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発明の名称 磁気ディスク駆動用スピンドルモータ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−97393(P2007−97393A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2006−290957(P2006−290957)
出願日 平成18年10月26日(2006.10.26)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 豊島 弘祥
要約 課題
ロータハブにシャフト締結された軸回転型の動圧軸受仕様の磁気ディスク駆動スピンドルモータにおいて、スリーブとハウジングの接着強度を大きくばらつきの少ない締結強度を確保することを目的とする。

解決手段
スリーブ2とハウジング3とを接着するにあたり、接着剤の粘度とその接着隙間(接着隙間はハウジング内径とスリーブ外径との差の1/2をいい、半径隙間をいう。)の関係が、7.4×log10X―14≦δ≦10.2×log10X―7.4の関係式を満足するような粘度を有する接着剤、かつ接着隙間20μmが上限および下限で決まる範囲内に含まれることにより、接着強度を大きくばらつきの少ない締結強度を確保することができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
ハウジング本体と、前記ハウジングに固定されたスリ―ブと、前記スリーブに固定されたスラスト板と、磁気ディスクを搭載し前記ハウジング本体に対して相対的に回転自在であるロータハブと、前記ロータハブに締結されたシャフトを備え、前記シャフトと前記スリーブとからなりいずれか一方にヘリングボーン溝を有するラジアル動圧軸受と、スリーブの一方に固定されたスラスト板と、シャフトの一端で構成されるスラスト軸受を有する潤滑流体動圧軸受装置を使用した磁気ディスク駆動用スピンドルモータにおいて、前記ハウジングと前記スリーブの隙間を充填して接着締結する接着剤は、その接着剤の粘度とその接着隙間(接着隙間はハウジング内径とスリーブ外径との差の1/2をいい、半径隙間をいう。)の関係が
7.4×log10X―14≦δ≦10.2×log10X―7.4
ただし、Xは接着剤の粘度(cps、at25℃)
δは接着隙間(μm)
であり、かつ接着隙間20μmが上限および下限で決まる範囲内に含まれ、かつ前記関係式を満足するような粘度を有する接着剤であることを特徴とする磁気ディスク駆動用スピンドルモータ。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は部材の固定に接着剤を使用した磁気ディスク駆動用スピンドルモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の機器の一層の小形化、高容量化により、それらに組み込まれる記録媒体 (例えば磁気ディスク)駆動用のスピンドルモータについても、一層の小形化、高精度化が要請されている。
【0003】
従来、ボール軸受タイプの磁気ディスク駆動用スピンドルモータでは、ボール軸受の締結は圧入嵌合が多い組立を採用していた。低騒音化の要求に伴って、ボール軸受を使用するスピンドルモータでは組立時に内外輪の変形やレース面に圧痕が生じ易くなる等により、騒音が悪化することがあることが考えられ、最近ではボール軸受とシャフト、ボール軸受とハウジングの締結には接着剤を使用する締結が多くなってきている。
【0004】
実開平6―36353号公報、実開平6―68153号公報に見られるようにボール軸受の内輪とシャフトとの接着剤締結ではシャフトの外周面に3条の接着溝を設け、ボール軸受の外輪とハウジング(またはブラケット)との接着剤締結ではハウジングの内周面に1条の接着溝を設ける構造をしている。すなわち、ボール軸受の内外輪の接着締結の接着溝をそれぞれ違えている。組立作業で接着剤が容易に接着剤溝に浸透し、接着強度が増大するとしている。
【0005】
実開平6―84553号公報に見られるようにボール軸受の内輪とシャフトとの接着剤締結ではシャフトの外周面に1条の接着溝を設け、ボール軸受の外輪とハウジングとの接着剤締結ではハウジングの内周面にも1条の接着溝を設ける構造をしている。ボール軸受の内外輪の接着締結の接着溝を1条としている。この場合も組立作業で接着剤が容易に接着剤溝に浸透し、接着強度が増大するとしている。
【0006】
実開平7―39266号公報に見られるように、ボール軸受とシャフトの接着剤締結でシャフトに3条の接着溝を設けそのうちの真ん中1条の幅を大きくして、ボール軸受の外輪とハウジングとの接着剤締結ではハウジングの内周面に3条の接着溝を設けそのうちの真ん中1条の幅を大きくしている構造をしている。この場合も組立作業で接着剤が容易に接着剤溝に浸透し、接着強度が増大するとしている。
【0007】
このような接着溝を設けて、接着締結強度を増大させる方法がボール軸受に採用されている。
【0008】
また、従来、スピンドルモータに用いる軸受としては、ボール軸受が多く採用されている。ところが、スピンドルモータの小形化、特に小外径化が進行すると、それに見合う小外径の玉軸受を用いたのでは、接着幅が小さくなり、接着溝を十分に設けられなくなり、軽い圧入嵌合による締結が小型化したスピンドルモータに採用されつつあるが、やはり、十分注意して部品を組み立てても、ボール軸受が小さいために組立時に変形しやすい。
【0009】
モータ組立時に内外輪の変形が生じ易いこと等によるボール軸受に対する取り扱いが不十分であるために、スピンドルモータの騒音や振動の問題も起こり易い。
【0010】
さらに、磁気ディスク駆動用スピンドルモータの場合、小径ボール軸受化に伴い小型で高速回転が要求されるので、回転精度の問題が一層助長される。高容量化のためには、ボール軸受の精度には限界があり、要求仕様を満足するために流体軸受の磁気ディスク駆動用スピンドルモータが使われている。そうした流体軸受の磁気ディスク駆動用スピンドルモータの場合でも締結には接着剤が使用されることが多い。
【0011】
また、接着剤は種類も多く、粘度範囲も広く、多種にわたっているので、磁気ディスク駆動用スピンドルモータの締結部に使用する接着剤は接着箇所など用途に合わせて選定する必要がある。
【特許文献1】実開平6―36353号公報
【特許文献2】実開平6―68153号公報
【特許文献3】実開平6―84553号公報
【特許文献4】実開平7―39266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のボール軸受仕様のスピンドルモータに比べて、動圧流体軸受仕様のスピンドルモータは耐衝撃性能がはるかに優れている。その利点を活かすためにも、動圧流体軸受のスピンドルモータでは、軸受とハウジングの接着幅が短い割には締結強度が要求される。
【0013】
磁気ディスク用スピンドルモータが小型薄型になるにつれて、接着幅が短くなり、接着強度にばらつきが大きくなり、耐衝撃性能が向上したレベルまで強度が大きくならない場合が生じ始めている。すなわち、ボール軸受の接着締結のような接着溝の管理では、強度が保証できなくなってきている。
【0014】
したがって
(1)接着剤を充填する隙間が大きい
(2)接着剤の粘度
(3)接着剤を充填する隙間と接着溝
(4)接着溝の形状
(5)接着剤の充填率
などを明確にして、接着強度のばらつきを小さくし、接着強度の向上を行うことを目的にして、各種の評価試験を行った。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、評価結果をもとに解決する手段を見つけだした。本発明の磁気ディスク駆動用スピンドルモータは、ハウジング本体と、前記ハウジングに固定されたスリ―ブと、前記スリーブに固定されたスラスト板と、磁気ディスクを搭載し前記ハウジング本体に対して相対的に回転自在であるロータハブと、前記ロータハブに締結されたシャフトを備え、前記シャフトと前記スリーブとからなりいずれか一方にヘリングボーン溝を有するラジアル動圧軸受とスリーブの一方に固定されたスラスト板とシャフトの一端で構成されるスラスト軸受を有する潤滑流体動圧軸受装置を使用した磁気ディスク駆動用スピンドルモータにおいて、前記ハウジングと前記スリーブの隙間を充填して接着締結する接着剤は、その接着剤の粘度とその接着隙間(接着隙間はハウジング内径とスリーブ外径との差の1/2をいい、半径隙間をいう。)の関係が
7.4×log10X―14≦δ≦10.2×log10X―7.4
ただし、Xは接着剤の粘度(cps、at25℃)
δは接着隙間(μm)
であり、かつ接着隙間20μmが上限および下限で決まる範囲内に含まれ、かつ前記関係式を満足するような粘度を有する接着剤であることを特徴とするとしたものであり、接着剤が隙間に充填する率が上がる。さらに、接着強度の増加するうえに、接着強度ばらつきがなく安定した強度となる。また、接着強度の計算値と合ってきて、事前の計算の予測ができる。また、接着時間などが安定するので、組立作業後のロータハブの傾きが小さいなど、スピンドルモータ組立上の信頼性が向上するという作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、使用する接着剤の粘度に合わせて、接着隙間を設定することにより、付着率の向上が図られ、接着強度が大きくなり、またばらつきは少なく、安定した強度が得られるという有利な効果が得られる。そのため小型で薄型の流体軸受仕様の磁気ディスク駆動用スピンドルモータの接着強度が大きくなり、耐衝撃性が向上するという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明の磁気ディスク駆動用スピンドルモータの実施形態を図1から図6の図面とともに詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の動圧流体軸受を使用した磁気ディスク駆動用スピンドルモータの断面図、図2は接着面の接着剤の付着率と相対接着強度の関係図、図3は接着隙間と相対接着強度の関係図、図4は接着隙間と相対接着強度の関係図である。
【0019】
磁気ディスク(図示せず)をハブ1に搭載して回転駆動する磁気ディスク駆動用スピンドルモータを取り付ける装置は内部が密閉構造となっていて、ゴミを極端に嫌う。磁気ディスク面にダメージを与えるような、化学物質などの使用は制限されている。そのため使用する接着剤は有害なアウトガスの発生のないものが使用される。
【0020】
まず、磁気ディスク回転駆動用スピンドルモータを簡単に説明する。図1において、1はロータハブ、2はスリーブ、3はハウジング、4はスラスト板である。
【0021】
スピンドルモータのハウジング3にはフランジ部5と内部円筒部6と外部円筒部7の構成があり、フランジ部5の外周はハードディスク駆動装置(以下、HDDとする)のシャーシ(図示せず)に取り付けられる。前記内部円筒部6の内側にはスリーブ2が接着で取り付けられている。ハウジング3の内部円筒部6の外周面にはコイル8が巻配されたステータコア9が固着されている。ロータハブ1は磁気ディスク受け面10と磁気ディスクの内径規制の円筒部11からなるカップ形状をしている。上記のロータハブ1の円筒部内周には周方向にN極、S極を交互に着磁した円筒状のマグネット12が固着されている。前記ロータハブ1にはロータハブ1の抜け止め防止のための抜け止め板13が取り付けられている。前記ロータハブ1の中心部にはシャフト14が固定され、全体としてロータ部を構成している。
【0022】
シャフト14は、内周面にヘリングボーン溝を有する第1および第2の円筒部15,16を有するスリーブ2の内径孔に回転可能に挿入されて、シャフト14とスリーブ2の隙間に潤滑流体を介在させたラジアル動圧流体軸受を構成している。またシャフト14の一方の端面との対向するスラスト板4の面にスパイラル溝を形成させ、そのシャフト14とスラスト板4との隙間に潤滑流体を介在させたスラスト動圧流体軸受を構成している。
【0023】
第1の円筒部15と第2の円筒部16との間に、径の大きな円筒部17を構成し、さらに、スリーブ2のスラスト軸受側に、円筒部15,16よりも径の大きな円筒部18が設けられ、潤滑流体はシャフト14とスリーブ2、シャフトとスラスト板4の隙間に介在しているが、スリーブ2の径の大きな円筒部17との隙間は動圧発生には寄与せず、潤滑流体の保持を目的とした隙間である。また、径の大きな円筒部18で構成される隙間はスラスト軸受とラジアル軸受のための潤滑流体の保持隙間である。
【0024】
ロータハブ1の磁気ディスク受け面10には磁気ディスク(図示せず)が搭載される。図1に示されるスピンドルモータは、ラジアルタイプのブラシレスモータであり、コイル8に電流が通電され、ステータコア9の突極に磁界が発生し、ステータコア9に対向した界磁用マグネット12との間で、トルクを発生させ、ロータハブ1を回転させる。よって、ロータハブ1にクランプした磁気ディスクもロータハブ1の回転に伴って回転する。
【0025】
シャフト14が回転するとスリーブ2の円筒部15,16に設けられたヘリングボーン溝の作用で、潤滑流体をポンピングすることで動圧を発生させ、シャフト14は浮上し非接触で回転する。また、スラスト動圧軸受も同様に、シャフト14はスラスト板4から浮上し非接触で回転する。
潤滑流体は導電性を付加したオイルであり、シャフト14とハウジング3は回転中でも導電状態となるので、磁気ディスクと装置シャーシは導電状態になる。そのために、磁気ディスクの回転中に磁気ディスクと空気との摩擦によって磁気ディスクに静電気が帯電し、磁気ディスクと磁気ヘッドとの間に電位差が生じるようなことがない。ハウジング3にフレキシブルプリント基板19を貼り、スピンドルモータのコイル8の端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けして外部駆動回路へ導通させている。
【0026】
つぎに、本実施例の磁気ディスク駆動用スピンドルモータの組立方法について、説明する。
(1)まず、ステータ組立体を以下のようにつくる。フレキシブルプリント基板19の一端をハウジング3に設けた穴から通し、外部に取り出す。フレキシブルプリント基板19の粘着材でハウジング3に貼り付ける。その穴を紫外線硬化型接着剤で封止する。
【0027】
また、電着塗装膜を施したステータコア9にコイル8を巻回して、コイル端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けしやすいように、あらかじめ所定寸法長さにして端末の先端をハンダあげして、コイル組立体を作成する。
つぎに、コイル組立体をハウジング3に接着固定し、前処理されたコイル端末をフレキシブルプリント基板19にハンダ付けして、ステータ組立体をつくる。
(2)つぎに、ロータハブ1にシャフト14を固定し、さらに着磁されたマグネット12を接着固定して、ハブ組立体をつくる。
(3)さらに、スリーブ2にスラスト板4をかしめ固定して、軸受組立体をつくる。
(4)つぎに、軸受組立体のスリーブ2の内周部に潤滑流体を規定量注油して、ハブ組立体のシャフト14を挿入する。抜け止め13をロータハブ1に固定して、抜け止め13で軸受組立体ははずれなくなる。
(5)ステータ組立体の内部円筒部6の内周部に接着剤を所定量塗布して、前記のロータハブの組み込まれたスリーブ2を挿入する。ハウジング3の基準面とロータハブ1の磁気ディスク受け面10との距離を規定値になるように、接着固定する。
【0028】
以上のようにしてスピンドルモータを組立する。最終接着箇所であるハウジング3の内部円筒部6とスリーブ2の接着強度が不十分であると衝撃時のその接着が外れ、ハウジング3の基準面とロータハブ1の磁気ディスク受け面10との距離が規定値から外れる。そのために、接着強度を確保することが、重要な課題となっている。
【0029】
その課題解決のために、接着強度の確保の実験を行った。一般に、スリーブとハウジングのような接着強度は、理論的な計算手法として以下のような強度計算をする。接着強度Pは、接着面積S、接着剤のせん断強度Qとすると、次式で与えられる。
P=S×Q
また、スリーブ外径をD、接着幅をLとすると、P=S×Qの面積Sは次式になる。
S=π×D×L
たとえば、D=6mm、L=3mm、Q=300kgf/cm2と
すると、
面積S=0.56cm2
接着強度P=167kgf
となる。
【0030】
実際の設計においては、実際に必要とされる接着強度を明確に把握していく必要がある。
【0031】
また、接着面に接着剤が隈無く存在すると、P=S×Qで求められる接着強度がほぼ得られる。しかし、接着剤の選定によっては、接着作業による接着剤むら(または接着むら)が発生する。接着剤の接着強度を無次元化するために、接着剤むらがない状態での接着強度を1とした相対接着強度(または接着強度比)と接着剤の付着率との関係は図2に示すような実験データが得られた。
【0032】
図2から、一定の接着隙間では、接着剤の付着率と相対接着強度は正比例の関係となる。したがって、付着率が1ということは接着隙間に接着剤が100%充填している状態である。付着率0とは接着隙間に接着剤が全く介在しない状態である。付着率は接着隙間に介在する接着剤の量に関係するので、接着強度の式P=S×Qは、付着率αとすると、P=S×Q×αで表わせる。
【0033】
しかし、図2の実験では付着率が1である状態はほとんどの場合得られていない。接着面が一般的な円筒形状では、接着剤がしごかれて接着隙間に充填する状況が安定せず、付着率にばらつきが生じるためである。
【0034】
接着隙間や接着剤の粘度をいろいろ変えても、接着剤の付着率と相対接着強度は正比例の関係となるが、付着率のばらつきや平均値が変わる。
【0035】
図3には、接着剤における接着隙間と相対接着強度との関係を示す。図3の関係はハウジング3の材質がアルミ材料A5052で、スリーブ2の材質は真鍮C3602の場合は白丸(○)で、ハウジング3の材質がアルミダイキャストAD12で、スリーブ2の材質は真鍮C3602に無電解ニッケルメッキ処理を施した場合は黒丸(●)で表した。
【0036】
図3から、接着隙間を大きくしていくと、相対接着強度は比例的に増大するが、ある接着隙間以上になると相対接着強度は1となる。さらに接着隙間を大きくしていくと相対接着強度は悪くなってくる現象があるが、その現象は接着隙間が50μm以下ではあまり見られない。しかし、あまり接着隙間が大きくなると、ハウジングに対してスリーブが傾いて接着されるようになるので、ハウジングとロータハブのディスク搭載面も傾きが生じる。
【0037】
そこで、2.5インチの磁気ディスクの場合のハウジングとロータハブのディスク搭載面の傾きの規格を適用して、接着隙間の大きい限度を決めると、図3に示すように、相対接着強度は1であるが、ふれが大きい場合が生じ、そのデータを(×)で表した。傾きが問題にならない領域で、相対接着強度が大きい時の接着隙間の範囲を最適接着隙間範囲として、図3の中に示した。
【0038】
図3では、同じ接着剤で、同じ接着隙間の場合は相対接着強度が大きいデータのみを表示しているので、実際、円筒面隙間の場合は同じ接着剤、同じ接着隙間でも付着率のばらつきが大きく、相対接着強度は図3の表示よりも小さなものがあった。すなわち、図3とも同一接着隙間での相対接着強度の最大値を示していることになり、正比例の関係にある範囲は付着率の影響であると考えられる。
【0039】
図3のように求められる最適接着隙間範囲は接着剤の粘度が大きい場合でも小さい場合でも存在していて、各粘度の接着剤を用いて、最適接着隙間範囲を実験で求めると図4のような結果が得られた。接着剤の粘度が200cpsから30000cpsまでの接着剤を評価した。
【0040】
図4から、温度25℃の時の粘度に対応した最適接着隙間範囲の下限と上限を、直線でそれぞれ表示することにより、使用する接着剤の粘度に合わせて、最適な接着隙間をあらかじめ知ることができる。
【0041】
したがって、接着強度を確保するためには、粘度による最適な接着隙間が必要である。その関係は次式である。
7.4×log10X―14≦δ≦10.2×log10X―7.4
ただし、Xは接着剤の粘度(cps、at25℃)
δは接着隙間(μm)
図5は本発明の動圧流体軸受の磁気ディスク駆動用スピンドルモータの断面図、図6は接着面の接着溝幅と付着率の関係図、図7,図8は総合接着溝幅比と付着率の関係図である。
【0042】
図5の流体軸受仕様の磁気ディスク駆動用スピンドルモータは実施例1と類似しているところがあるので、類似するところの説明は省略し、関係する相違点を中心に説明する。
【0043】
図5はシャフト14の先端が球状をしていて、スラスト板4とは接触状態で摺動するピボット軸受であるスラスト軸受である。スラスト板4には実施例1のような動圧溝は構成されていないフラットな板であり、セラミックで構成されている。ハウジング3の内部円筒部6の内周面に接着溝20を設け、接着剤の充填をするようにしている。図5は、ハウジング3の内部円筒部6の内周面には接着溝が2条である。
【0044】
接着強度を確保するためには、付着率を上げる必要があり、2条の接着溝でも接着溝の幅を明確にするために、1条溝の評価を行った。その結果は図6に示すように接着溝幅と付着率の関係が得られた。
【0045】
図6から、接着溝幅を大きくしていくと付着率が低下する。また、図6には磁気ディスク駆動用スピンドルモータに使用される接着剤のうち粘度の高いものと低いものでのデータも表している。すなわち、粘度が高いと接着溝の幅が大きくても付着率は大きいが、粘度が低いと付着率の低下する接着溝幅は小さい。
【0046】
また、2,3条溝でも、図6と同じような傾向が得られた。付着率は接着溝の条数よりも接着溝の幅に影響される割合が高い。付着率を高くして接着強度を確保するには、接着溝の幅は0.5mm以下である必要がある。
【0047】
小型薄型のスピンドルモータでは、数条の接着溝を構成できない場合がある。接着幅に対する接着溝幅の合計の比率(以後、総合接着溝幅比という)が大きいと強度が低下する可能性があり、その範囲を調べた。接着幅は規定して、接着溝幅を変化させて総合接着溝幅比を変えているので、総合接着溝幅比が大きいということは、接着溝幅が大きいということである。図7は1条の接着溝の場合の総合接着溝幅比と付着率の関係であり、総合接着溝幅比が大きくなると、付着率が低下してくる。図6と同様に溝幅が大きくなることからいえる。また、総合接着溝幅比が小さいということは、接着溝幅は小さいことであり、接着溝幅があまり小さくなると、溝のない状態に近くなり、逆に付着率が下がる。すなわち、図7に見られるように、総合接着溝幅比との関係で付着率は最大となる最適な総合接着溝幅比が存在する。
【0048】
また、3条の接着溝の場合の総合接着溝幅比と付着率の関係を図8に示す。図8は図7と同様な傾向で、総合接着溝幅比が大きくなると、付着率が低下してくる。また、総合接着溝幅比が0近くになると、溝のない状態に近くなり、逆に付着率が下がる。したがって、3条の接着溝の場合でも、総合接着溝幅比との関係で付着率は最大となる最適な総合接着溝幅比が存在する。
接着溝が6条以下では、同様な傾向が得られた。6条以上の評価はないが6条以下と同様な結果になると思われる。
【0049】
したがって、接着強度を確保するためには総合接着溝幅比は次式の関係である必要がある。
総合接着溝幅比≦0.4
接着溝幅の合計/接着幅≦0.4
接着溝が数条あると、付着率が全体的に大きくなり、3条以上になると付着率が1になることが多くなる。したがって、接着強度Pは、接着面積S、接着剤のせん断強度Q、環境係数Kとすると、次式で与えられる。
P=S×Q×K
接着溝を設けた場合はK=1となるほうが、適している。
【0050】
以上項目をスリーブ2とハウジング3の接着箇所に盛り込むことで、接着強度は大きくなり、ばらつきが少なく、安定した強度が得られる。
【0051】
以上、評価結果をもとに解決する手段を見つけだした。
【0052】
部品の締結に接着剤を用いて締結を行う流体軸受仕様のスピンドルモータでは、その接着剤はアウトガスの少ない接着剤であり、使用するオイルと反応しないものでないといけない。
(1)使用する接着剤の粘度に合わせて、接着隙間を設定する。
(2)接着隙間部に接着溝を設ける。
(3)その接着溝は、各幅が所定の幅が必要である。
(4)その接着幅に対する接着溝幅の総和の比率が所定の範囲である。
【0053】
このように接着部の寸法を設ける必要がある。そうすると、接着結合作業での接着剤の充填が作業ばらつきが少なくなり、接着強度が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の小型で薄型の流体軸受仕様の磁気ディスク駆動用スピンドルモータは、特にポータブルプレーヤーやカーナビゲーション装置などの振動を受けやすい環境下で用いられる装置に適しているが、この他、光ディスク駆動装置、ビデオテープレコーダ等の各種のモータなどにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施例1による動圧流体軸受仕様の磁気ディスク駆動用スピンドルモータの断面図
【図2】接着面の接着剤の付着率と相対接着強度の関係図
【図3】接着隙間と相対接着強度の関係図
【図4】接着剤粘度と接着隙間の関係図
【図5】本発明の実施例2による動圧流体軸受仕様の磁気ディスク駆動用スピンドルモータの断面図
【図6】接着溝幅と付着率の関係図
【図7】総合接着溝幅比と付着率の関係図
【図8】総合接着溝幅比と付着率の関係図
【符号の説明】
【0056】
1 ロータハブ
2 スリーブ
3 ハウジング
4 スラスト板
6 内部円筒部
14 シャフト
20 接着溝





 

 


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