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発明の名称 昇降圧コンバータ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−97361(P2007−97361A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−286218(P2005−286218)
出願日 平成17年9月30日(2005.9.30)
代理人 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘
発明者 石井 卓也 / 吉田 雅人 / 元森 幹夫 / 原 淳一郎
要約 課題
スイッチングの1周期内でオンオフ動作を行なうことなく降圧動作と昇圧動作とを分離でき且つ降圧動作と昇圧動作の遷移中にスルーモードと昇圧動作又は降圧動作とを不規則に行き来することがなくなるようにする。

解決手段
昇降圧コンバータは、降圧コンバータ部20と昇圧コンバータ部25と第1駆動信号DR1及び第2の駆動信号DR2を生成する制御回路10とを有している。制御回路10は、出力値Voと所定値との誤差を増幅した誤差信号Veを生成する誤差増幅回路11と、三角波信号Vtを生成する発振回路12と、三角波信号Vtの周期の2倍以上の周期で振動する補償信号Vxを生成する補償信号生成回路13と、誤差信号Veと補償信号Vxとを加算した制御信号V1、V2を生成する制御信号生成回路14と、三角波信号Vtと各制御信号とをそれぞれ比較して、各駆動信号DR1、DR2を生成する比較回路15、16とを有している。
特許請求の範囲
【請求項1】
第1のスイッチと第1の整流手段とインダクタとを有する降圧コンバータ部と、
前記インダクタを共有し且つ第2のスイッチと第2の整流手段と平滑手段とを有する昇圧コンバータ部と、
前記第1のスイッチを開閉する第1の駆動信号と、前記第2のスイッチを開閉する第2の駆動信号とを生成して出力する制御回路とを備え、
前記制御回路は、
前記平滑手段からの出力値と所定電圧値との誤差を増幅した誤差信号を生成して出力する誤差増幅回路と、
所定の周期を有する三角波信号を生成して出力する発振回路と、
前記三角波信号の周期の2倍以上の周期で振動する補償信号を生成して出力する補償信号生成回路と、
前記誤差信号と前記補償信号とを加算した制御信号を生成して出力する制御信号生成回路と、
前記三角波信号と前記制御信号とを比較して、前記第1の駆動信号又は前記第2の駆動信号を生成して出力する比較回路とを有することを特徴とする昇降圧コンバータ。
【請求項2】
前記制御信号生成回路は、前記誤差信号と前記補償信号とを加算して第1の制御信号を生成する加算回路と、前記三角波信号の振幅以上のオフセットを前記第1の制御信号から減算して第2の制御信号を生成するレベルシフト回路とを有し、
前記比較回路は、前記三角波信号と前記第1の制御信号を比較して、前記第1の駆動信号を生成する第1の比較回路と、前記三角波信号と前記第2の制御信号とを比較して、前記第2の駆動信号を生成する第2の比較回路とを有し、
前記補償信号の振幅は、前記オフセットと前記三角波信号との振幅の差よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項3】
前記発振回路は、第1のレベルが前記三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが前記三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、
前記補償信号生成回路は、分周回路と遅延回路と増幅回路とを有し、前記パルス信号を分周して遅延し且つ増幅することにより前記補償信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項4】
前記発振回路は、第1のレベルが前記三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが前記三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、
前記補償信号生成回路は、分周回路と遅延回路と増幅回路と第1の積分回路とを有し、前記パルス信号を分周して遅延し且つ増幅して前記第1の積分回路を通すことにより、三角波状の前記補償信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項5】
前記発振回路は、第1のレベルが前記三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが前記三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、
前記補償信号生成回路は、分周回路と遅延回路と増幅回路と第1の積分回路と第2の積分回路とを有し、前記パルス信号を分周して遅延し且つ増幅して前記第1の積分回路及び第2の積分回路を通すことにより、正弦波状の前記補償信号を生成することを特徴とする請求項2に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項6】
前記誤差増幅回路は、前記平滑手段からの出力値と所定電圧値との誤差を増幅した第1の誤差信号を生成する誤差増幅器と、
前記三角波信号の振幅以上のオフセットを前記第1の誤差信号から減算した第2の誤差信号を生成するレベルシフト回路を有し、
前記補償信号生成回路は、前記オフセットと前記三角波信号の振幅との差よりも大きい振幅を有し前記三角波信号の周期の2倍以上の周期で振動する第1の補償信号を生成する第1の補償信号生成回路と、前記第1の補償信号と位相差を有する第2の補償信号を生成する遅延回路とを有し、
前記制御信号生成回路は、前記第1の誤差信号に前記第1の補償信号を重畳した第1の制御信号を生成する第1の加算回路と、前記第2の誤差信号に前記第2の補償信号を重畳した第2の制御信号を生成する第2の加算回路を有し、
前記比較回路は、前記三角波信号と前記第1の制御信号を比較して前記第1の駆動信号を生成する第1の比較回路と、前記三角波信号と前記第2の制御信号を比較して前記第2の駆動信号を出力する第2の比較回路とを有していることを特徴とする請求項1に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項7】
前記発振回路は、第1のレベルが前記三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが前記三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、
前記補償信号生成回路は、分周回路と増幅回路とを有し、前記パルス信号を分周し増幅することにより、前記第1の補償信号を生成する第1の補償信号生成回路と、前記第1の補償信号に対して前記三角波信号の半周期の位相差を有する前記第2の補償信号を生成する第2の補償信号生成回路とを有していることを特徴とする請求項6に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項8】
前記発振回路は、第1のレベルが前記三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが前記三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、
前記補償信号生成回路は、分周回路と増幅回路と第1の積分回路とを有し、前記パルス信号を分周し且つ増幅して前記第1の積分回路を通すことにより、三角波状の前記第1の補償信号を生成する第1の補償信号生成回路と、前記第1の補償信号に対して前記三角波信号の半周期の位相差を有する前記第2の補償信号を生成する第2の補償信号生成回路とを有していることを特徴とする請求項6に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項9】
前記発振回路は、第1のレベルが前記三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが前記三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、
前記補償信号生成回路は、分周回路と増幅回路と第1の積分回路と第2の積分回路とを有し、前記パルス信号を分周し且つ増幅して前記第1の積分回路及び第2の積分回路を通すことにより、正弦波状の前記第1の補償信号を生成する第1の補償信号生成回路と、前記第1の補償信号に対して前記三角波信号の半周期の位相差を有する前記第2の補償信号を生成する第2の補償信号生成回路とを有していることを特徴とする請求項6に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項10】
前記発振回路は、前記所定の周期を有する第1の三角波信号を生成する三角波信号発生回路と、前記第1の三角波信号と交差せずに前記第1の三角波信号を反転した第2の三角波信号を生成する反転回路とを有し、
前記比較回路は、前記第1の三角波信号と前記制御信号とを比較して、前記第1の駆動信号を生成する第1の比較回路と、前記第2の三角波信号と前記制御信号とを比較して前記第2の駆動信号を出力する第2の比較回路とを有し、
前記補償信号の振幅が、前記第1の三角波信号の振動領域と前記第2の三角波信号の振動領域との隙間よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項11】
前記発振回路は、第1のレベルが前記三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが前記三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、
前記補償信号生成回路は、分周回路と増幅回路とを有し、前記パルス信号を分周し且つ増幅することにより、前記補償信号を生成することを特徴とする請求項10に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項12】
前記発振回路は、第1のレベルが前記三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが前記三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、
前記補償信号生成回路は、分周回路と第1の積分回路とを有し、前記パルス信号を分周して前記第1の積分回路を通すことにより、三角波状の前記補償信号を生成することを特徴とする請求項10に記載の昇降圧コンバータ。
【請求項13】
前記発振回路は、第1のレベルが前記三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが前記三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、
前記補償信号生成回路は、分周回路と第1の積分回路と第2の積分回路を有し、前記パルス信号を分周して前記第1の積分回路及び第2の積分回路を通すことにより、正弦波状の前記補償信号を生成することを特徴とする請求項10に記載の昇降圧コンバータ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された直流電圧を所定の出力電圧に変換する非絶縁型の昇降圧コンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
直流電源からの直流電圧(以下、入力直流電圧という。)を入力し、各種電子回路の直流電源電圧となる直流電圧(以下、出力直流電圧という)を出力する電源回路において、入力直流電圧が所定の出力直流電圧に対して変動する場合に、昇降圧コンバータが用いられる。このような昇降圧コンバータは、例えば特許文献1に記載されている。
【0003】
以下、従来例として、特許文献1に記載されている昇降圧コンバータについて図12を用いて説明する。図12は従来例に係る昇降圧コンバータの回路構成を示している。図12に示すように、従来の昇降圧コンバータは、第1のスイッチ2と第1のダイオード3とインダクタ4とからなる降圧コンバータ部20と、インダクタ4を共有し第2のスイッチ5と第2のダイオード6とキャパシタ7とからなる昇圧コンバータ部25と、第1のスイッチ2を開閉する第1の駆動信号DR1と第2のスイッチ5を開閉する第2の駆動信号DR2とを生成して出力する制御回路30とを有している。
【0004】
降圧コンバータ部20において、第1のスイッチ2は、入力端子が電圧ViのDCバッテリ等の入力直流電源1と接続され、出力端子が第1のダイオード3と直列に接続され、この直列回路は入力直流電源1と並列に接続される。第1のスイッチ2と第1のダイオード3との接続点にはインダクタ4が接続される。
【0005】
昇圧インバータ部25において、第2のスイッチ5と第2のダイオード6とは直列に接続され、この直列回路はキャパシタ7と並列に接続される。第2のスイッチ5と第2のダイオード6との接続点には、降圧コンバータ部20と共有されるインダクタ4が接続される。第2のダイオード6とキャパシタ7との接続点から出力直流電圧Voが出力され、各種電子回路(図示せず)に電力を供給する。
【0006】
制御回路30は、誤差増幅回路31、オフセット回路32、発振回路33、第1の比較器34及び第2の比較器35から構成される。誤差増幅回路31は、出力直流電圧Voを検出し、目標値(所定電圧)との誤差を増幅した第1の制御信号Veを発生する。第1の制御信号Veの電位は、出力直流電圧Voが目標値よりも高い場合に低下し、目標値よりも低い場合に上昇する。オフセット回路32は、第1の制御信号Veからオフセット電圧Esを減算して第2の制御信号Vy(=Ve−Es)を発生する。発振回路33は、所定の周期例えば500kHz〜1MHzで増減する三角波信号Vtを発生する。該三角波信号Vtの振幅をEtとし、該Etの振幅(電位差)をオフセット電圧Esよりも等しいか小さく設定する(Et≦Es)。第1の比較器34は、三角波信号Vtと第1の制御信号Veとを比較して、第1の制御信号Veが大きいときにハイ(H)レベルとなる第1の駆動信号DR1を発生する。一方、第2の比較器35は、三角波信号Vtと第2の制御信号Vyとを比較して、第2の制御信号Vyが大きいときにハイ(H)レベルとなる第2の駆動信号DR2を発生する。
【0007】
図13に制御回路30における各信号のタイミングチャート(動作波形図)を示す。図13に示すように、チャートの前半部分は、第1の制御信号Veは三角波信号Vtと断続的に交差するが、第2の制御信号Vyは三角波信号Vtと交差しない。このため、第1の比較器34が発生する第1の駆動信号DR1はパルス状となって、第1のスイッチ2を交互にオンオフさせる。このとき、第1の駆動信号DR1のパルス幅は第1の制御信号Veの上昇と共に大きくなる。一方、この前半部分では第2の比較器35が発生する第2の駆動信号DR2はロウ(L)レベルであるため、第2のスイッチ5はオフ状態にある。
【0008】
図12において、第1のスイッチ2が交互にオンオフの動作をし、第2のスイッチ5がオフ状態である場合は、昇降圧コンバータは降圧コンバータとして動作する。第1のスイッチ2がオン状態のとき、インダクタ4には入力直流電圧Viと出力直流電圧Voとの差電圧(Vi−Vo)が印加されて、入力直流電源1から、第1のスイッチ2、インダクタ4及び第2のダイオード6へと順次電流が流れることにより、インダクタ4に電気エネルギーが蓄積される。逆に、第1のスイッチ2がオフ状態のときは、インダクタ4には出力直流電圧Voが印加されて、第1のダイオード3、インダクタ4及び第2のダイオード6へと順次電流が流れることにより、インダクタ4に蓄積されていた電気エネルギーが放出される。第1のスイッチ2におけるスイッチング周期の1周期(三角波信号Vtの1周期)に占めるオン時間(第1の駆動信号DR1のパルス幅)の割合(デューティ比)をD1とすると、出力直流電圧Voは、Vo=D1・Viで表わされる。このデューティ比D1は第1の制御信号Veの上昇と共に大きくなる。すなわち、入力直流電圧Viが出力直流電圧Voよりも高いとき、昇降圧コンバータは降圧コンバータとして動作し、出力直流電圧Voが目標値となるように制御回路30によってデューティ比D1が調整される。
【0009】
図13に示すように、チャートの後半部分は、第1の制御信号Veが高くなって、三角波信号Vtと交差しなくなると、第1の比較器34が出力する第1の駆動信号DR1は常時ハイレベルとなるため、第1のスイッチ2はオン状態が継続する。一方、第2の制御信号Vyは三角波信号Vtと断続的に交差するようになり、第2の比較器35が出力する第2の駆動信号DR2はパルス状となって、第2のスイッチ5を交互にオンオフさせる。このとき、第2の駆動信号DR2のパルス幅は、第2の制御信号Vyの上昇と共にに大きくなる。
【0010】
図12において、第1のスイッチ2がオン状態で且つ第2のスイッチ5が交互にオンオフ動作をする場合は、昇降圧コンバータは昇圧コンバータとして動作する。第2のスイッチ5がオン状態のとき、インダクタ4には入力直流電圧Viが印加されて、入力直流電源1から、第1のスイッチ2、インダクタ4及び第2のスイッチ5へと順次電流が流れることにより、インダクタ4に電気エネルギーが蓄積される。逆に、第2のスイッチ5がオフ状態のときは、インダクタ4には入力直流電圧Viと出力直流電圧Voとの差(Vi−Vo)が印加されて、入力直流電源1から、第1のスイッチ2、インダクタ4及び第2のダイオード6へと順次電流が流れることにより、インダクタ4に蓄積されていた電気エネルギーが放出される。第2のスイッチ5におけるスイッチング周期の1周期(三角波信号Vtの1周期)に占めるオン時間(第2の駆動信号DR2のパルス幅)の割合(デューティ比)をD2とすると、出力直流電圧Voは、Vo=Vi/(1−D2)で表わされる。このデューティ比D2は第2の制御信号Vyの上昇と共に大きくなる。すなわち、入力直流電圧Viが出力直流電圧Voよりも低いときには、昇降圧コンバータは昇圧コンバータとして動作し、出力直流電圧Voが目標値となるように制御回路30によってデューティ比D2が調整される。
【0011】
ここで、オフセット電圧Esを三角波信号Vtの振幅Et以上に設定するのは、第1のスイッチ2及び第2のスイッチ5がスイッチング周期の1周期内にオン動作とオフ動作が混在することによるスイッチング損失の増大を防ぐためであり、昇降圧コンバータを降圧コンバータ部20の動作と昇圧コンバータ部25の動作とに分けて動作させるためである。
【0012】
以上のように、従来例に係る昇降圧コンバータは、制御回路30によってデューティ比D1又はデューティ比D2が調整されることにより、入力直流電圧Viに対し、出力直流電圧Voの昇降圧制御が可能となる。
【特許文献1】特開平11−299229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従来例に係る昇降圧コンバータは、入力直流電圧Viの変動に対し、降圧コンバータ部20の動作と昇圧コンバータ部25の動作との移行が連続的に行なわれるのは、三角波信号Vtの振幅Etとオフセット電圧Esとが等しい場合である。実際の設計に当たって、回路定数のバラツキを考慮し、昇降圧コンバータを降圧コンバータ部20と昇圧コンバータ部25とに分けて動作させるには、オフセット電圧Esは三角波信号Vtの振幅Etよりも大きく設定することになる。このように、オフセット電圧Esを三角波信号Vtの振幅Etよりも大きく設定すると、第1の制御信号Veと第2の制御信号Vyとが共に三角波信号Vtと交差せず、その結果、第1のスイッチ2がオン状態で且つ第2のスイッチ5がオフ状態のスルーモードが発生する。このスルーモードは、昇降圧コンバータの入出力端子が第1のスイッチ2、インダクタ4及び第2のダイオード6を介して導通した状態となる。現実的には、このスルーモードで昇降圧コンバータの動作が安定することはなく、入出力条件と環境のわずかな変動とによって、スルーモードと昇圧動作又は降圧動作とを行き来する。この動作状態の過渡的な変化は誤差増幅回路31等を含む制御回路30の応答速度にも影響され、不規則であり、出力直流電圧Voの出力リップルを増大させるという問題がある。
【0014】
本発明は、前記従来の問題を解決し、スイッチング周期の1周期内でオンオフ動作を行なうことなく、降圧コンバータ動作と昇圧コンバータ動作とを分離でき、且つ、降圧コンバータ動作と昇圧コンバータ動作とのスムーズ(円滑)な遷移によって該遷移期間中における出力リップルの増大を生じないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本発明は、昇降圧コンバータを、出力直流電圧と所定電圧値(目標値)との差である誤差信号に、発振回路から出力される三角波信号の周波数を分周して生成した補償信号を加算してスイッチ素子の駆動信号を生成する構成とする。
【0016】
具体的に、本発明に係る昇降圧コンバータは、第1のスイッチと第1の整流手段とインダクタとを有する降圧コンバータ部と、インダクタを共有し且つ第2のスイッチと第2の整流手段と平滑手段とを有する昇圧コンバータ部と、第1のスイッチを開閉する第1の駆動信号と、第2のスイッチを開閉する第2の駆動信号とを生成して出力する制御回路とを備え、制御回路は、平滑手段からの出力値と所定電圧値との誤差を増幅した誤差信号を生成して出力する誤差増幅回路と、所定の周期を有する三角波信号を生成して出力する発振回路と、三角波信号の周期の2倍以上の周期で振動する補償信号を生成して出力する補償信号生成回路と、誤差信号と補償信号とを加算した制御信号を生成して出力する制御信号生成回路と、三角波信号と制御信号とを比較して、第1の駆動信号又は第2の駆動信号を生成して出力する比較回路とを有することを特徴とする。
【0017】
本発明の昇降圧コンバータにおいて、制御信号生成回路は、誤差信号と補償信号とを加算して第1の制御信号を生成する加算回路と、三角波信号の振幅以上のオフセットを第1の制御信号から減算して第2の制御信号を生成するレベルシフト回路とを有し、比較回路は、三角波信号と第1の制御信号を比較して、第1の駆動信号を生成する第1の比較回路と、三角波信号と第2の制御信号とを比較して、第2の駆動信号を生成する第2の比較回路とを有し、補償信号の振幅は、オフセットと三角波信号との振幅の差よりも大きいことが好ましい。
【0018】
この場合に、発振回路は、第1のレベルが三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、補償信号生成回路は、分周回路と遅延回路と増幅回路とを有し、パルス信号を分周して遅延し且つ増幅することにより補償信号を生成することが好ましい。
【0019】
また、この場合に、発振回路は、第1のレベルが三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、補償信号生成回路は、分周回路と遅延回路と増幅回路と第1の積分回路とを有し、パルス信号を分周して遅延し且つ増幅して第1の積分回路を通すことにより、三角波状の補償信号を生成することが好ましい。
【0020】
また、この場合に、発振回路は、第1のレベルが三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、補償信号生成回路は、分周回路と遅延回路と増幅回路と第1の積分回路と第2の積分回路とを有し、パルス信号を分周して遅延し且つ増幅して第1の積分回路及び第2の積分回路を通すことにより、正弦波状の補償信号を生成することが好ましい。
【0021】
本発明の昇降圧コンバータにおいて、誤差増幅回路は、平滑手段からの出力値と所定電圧値との誤差を増幅した第1の誤差信号を生成する誤差増幅器と、三角波信号の振幅以上のオフセットを第1の誤差信号から減算した第2の誤差信号を生成するレベルシフト回路を有し、補償信号生成回路は、オフセットと三角波信号の振幅との差よりも大きい振幅を有し三角波信号の周期の2倍以上の周期で振動する第1の補償信号を生成する第1の補償信号生成回路と、第1の補償信号と位相差を有する第2の補償信号を生成する遅延回路とを有し、制御信号生成回路は、第1の誤差信号に第1の補償信号を重畳した第1の制御信号を生成する第1の加算回路と、第2の誤差信号に第2の補償信号を重畳した第2の制御信号を生成する第2の加算回路を有し、比較回路は、三角波信号と第1の制御信号を比較して第1の駆動信号を生成する第1の比較回路と、三角波信号と第2の制御信号を比較して第2の駆動信号を出力する第2の比較回路とを有していることが好ましい。
【0022】
この場合に、発振回路は、第1のレベルが三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、補償信号生成回路は、分周回路と増幅回路とを有し、パルス信号を分周し増幅することにより、第1の補償信号を生成する第1の補償信号生成回路と、第1の補償信号に対して三角波信号の半周期の位相差を有する第2の補償信号を生成する第2の補償信号生成回路とを有していることが好ましい。
【0023】
また、この場合に、発振回路は、第1のレベルが三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、補償信号生成回路は、分周回路と増幅回路と第1の積分回路とを有し、パルス信号を分周し且つ増幅して第1の積分回路を通すことにより、三角波状の第1の補償信号を生成する第1の補償信号生成回路と、第1の補償信号に対して三角波信号の半周期の位相差を有する第2の補償信号を生成する第2の補償信号生成回路とを有していることが好ましい。
【0024】
また、この場合に、発振回路は、第1のレベルが三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、補償信号生成回路は、分周回路と増幅回路と第1の積分回路と第2の積分回路とを有し、パルス信号を分周し且つ増幅して第1の積分回路及び第2の積分回路を通すことにより、正弦波状の第1の補償信号を生成する第1の補償信号生成回路と、第1の補償信号に対して三角波信号の半周期の位相差を有する第2の補償信号を生成する第2の補償信号生成回路とを有していることが好ましい。
【0025】
本発明の昇降圧コンバータにおいて、発振回路は、所定の周期を有する第1の三角波信号を生成する三角波信号発生回路と、第1の三角波信号と交差せずに第1の三角波信号を反転した第2の三角波信号を生成する反転回路とを有し、比較回路は、第1の三角波信号と制御信号とを比較して、第1の駆動信号を生成する第1の比較回路と、第2の三角波信号と制御信号とを比較して第2の駆動信号を出力する第2の比較回路とを有し、補償信号の振幅が、第1の三角波信号の振動領域と第2の三角波信号の振動領域との隙間よりも大きいことが好ましい。
【0026】
この場合に、発振回路は、第1のレベルが三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、補償信号生成回路は分周回路と増幅回路とを有し、パルス信号を分周し且つ増幅することにより、補償信号を生成することが好ましい。
【0027】
また、この場合に、発振回路は、第1のレベルが三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、補償信号生成回路は分周回路と第1の積分回路とを有し、パルス信号を分周して第1の積分回路を通すことにより、三角波状の補償信号を生成することが好ましい。
【0028】
また、この場合に、発振回路は、第1のレベルが三角波信号の上昇に対応し、第2のレベルが三角波信号の下降に対応したパルス信号を生成するパルス信号生成回路を有し、補償信号生成回路は分周回路と第1の積分回路と第2の積分回路を有し、パルス信号を分周して第1の積分回路及び第2の積分回路を通すことにより、正弦波状の補償信号を生成することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明に係る昇降圧コンバータによると、誤差信号と補償信号とを加算した制御信号が発振回路による三角波信号と比較されるため、昇圧コンバータ動作と降圧コンバータ動作との遷移期間において、補償信号の周期と対応して昇圧コンバータ動作と降圧コンバータ動作とが交互に切り替わる。これにより、スルーモードと昇圧動作又は降圧動作とを不規則に行き来することがなくなると共に、第1のスイッチ及び第2のスイッチがスイッチング周期の1周期内でオンオフ動作をすることがなくなる。その結果、降圧コンバータ部と昇圧コンバータ部との動作を分離できるので、昇圧動作と降圧動作との遷移がスムーズ(円滑)となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る昇降圧コンバータについて図面を参照しつつ説明する。
【0031】
図1は本発明の第1の実施形態に係る昇降圧コンバータの回路構成を示している。図1に示すように、第1の実施形態に係る昇降圧コンバータは、第1のスイッチ2と第1の整流手段としての第1のダイオード3とインダクタ4とからなる降圧コンバータ部20と、インダクタ4を共有し第2のスイッチ5と第2の整流手段としての第2のダイオード6と平滑手段としてのコンデンサ(キャパシタ)7とからなる昇圧コンバータ部25と、第1のスイッチ2を開閉する第1の駆動信号DR1と第2のスイッチ5を開閉する第2の駆動信号DR2とを生成して出力する制御回路30とを有している。ここで、第1のスイッチ2及び第2のスイッチ5は例えばMOSトランジスタを用いることができる。
【0032】
降圧コンバータ部20において、第1のスイッチ2は、入力端子が電圧ViのDCバッテリ等の入力直流電源1と接続され、出力端子が第1のダイオード3のカソードと直列に接続され、この直列回路は入力直流電源1と並列に接続される。第1のスイッチ2と第1のダイオード3との接続点には、インダクタ4の一端子が接続される。第1のスイッチ2の制御端子(ゲート)は第1の駆動信号DR1を受け、また、第1のダイオード3のアノードは接地されている。
【0033】
昇圧インバータ部25において、第2のスイッチ5と第2のダイオード6のアノードとは直列に接続され、この直列回路はコンデンサ7の一端子と並列に接続される。第2のスイッチ5と第2のダイオード6との接続点には、降圧コンバータ部20と共有されるインダクタ4の他端子が接続される。第2のダイオード6とコンデンサ7との接続点から、出力直流電圧Voが出力され、各種電子回路(図示せず)に電力が供給される。第2のスイッチ5の制御端子(ゲート)は第2の駆動信号DR2を受け、且つ第2のスイッチ5の第2のダイオード6との接続点の反対側の端子は接地されている。また、コンデンサ7の他端子は接地されている。
【0034】
制御回路10は、コンデンサ7の一端子から出力される出力直流電圧Voを検出し、降圧コンバータ部20に第1の駆動信号DR1を出力し、また、昇圧コンバータ部25に第2の駆動信号DR2を出力することにより、降圧コンバータ部20及び昇圧コンバータ部25をそれぞれ制御する。
【0035】
具体的には、制御回路10は、出力直流電圧Voと目標値(所定電圧)との誤差を増幅した誤差信号Veを生成して出力する誤差増幅回路11と、三角波信号Vtと該三角波信号Vtの電圧の上昇及び下降に応じたパルス信号Vpを生成して出力する発振回路12と、パルス信号Vpを遅延し、分周して増幅した補償信号Vxを生成して出力する補償信号生成回路13と、加算回路140及びオフセット回路141を含む制御信号生成回路14と、三角波信号Vtと第1の制御信号V1とを比較して、該比較結果を第1の駆動信号DR1として出力する第1の比較器15と、三角波信号Vtと第2の制御信号V2とを比較して、該比較結果を第2の駆動信号DR2として出力する第2の比較器16とを有している。
【0036】
補償信号生成回路13は、発振回路12から出力されるパルス信号Vpの周期を2分の1の周期に分周し、方形波からなる補償信号Vxにおけるレベル変動が急峻な立ち上がり部分又は立下り部分と三角波信号Vtの先端部(頂部)とが交差しないように位相をずらせて、補償信号Vxの振幅を適切に設定する。
【0037】
制御信号生成回路14を構成する加算回路140は、誤差信号Veに補償信号Vxを加算した第1の制御信号V1を生成して出力し、オフセット回路141は、第1の制御信号V1から三角波信号Vtの振幅Etよりもわずかに大きい電圧差を持つオフセット電圧Vosを生成して出力する。すなわち、加算回路140とオフセット回路141とは、第1の制御信号V1と、該第1の制御信号V1からオフセット電圧Vosを減算した第2の制御信号V2とを生成する。ここで、補償信号Vxの振幅Exは、オフセット電圧Vosと三角波信号Vtの振幅Etとの差電圧(Vos−Et)よりも大きく設定する(Ex>Vos−Et)。
【0038】
第1の比較器15は、三角波信号Vtと第1の制御信号V1とを比較して、第1の制御信号V1の電圧が三角波信号Vtの電圧よりも高い場合に第1のスイッチ2をオン状態とし、逆に、第1の制御信号V1の電圧が三角波信号Vtの電圧よりも低い場合に第1のスイッチ2をオフ状態とする第1の駆動信号DR1を出力する。
【0039】
第2の比較器16は、三角波信号Vtと第2の制御信号V2とを比較して、第2の制御信号V2の電圧が三角波信号Vtの電圧よりも高い場合に第2のスイッチ5をオン状態とし、逆に、第2の制御信号V2の電圧が三角波信号Vtの電圧よりも低い場合に第2のスイッチ5をオフ状態とする第2の駆動信号DR2を出力する。
【0040】
図2に第1の実施形態に係る制御回路10における誤差増幅回路11、発振回路12、補償信号生成回路13及び制御信号生成回路14の回路構成例を示す。図2に示すように、誤差増幅回路11は、基準電圧源110と、出力直流電圧Voを分圧する第1の抵抗器111及び第2の抵抗器112と、分圧された分圧電圧と基準電圧源110の基準電圧Vrとを比較して増幅する演算増幅器113とからなり、該演算増幅器113から誤差信号Veが出力される。
【0041】
発振回路12は、三角波信号Vtを出力するコンデンサ120と、該コンデンサ120を充電する第1の定電流源121及びそれを放電する第2の定電流源122と、コンデンサ120の充放電を切り替えるPMOSトランジスタ123及びNMOSトランジスタ124と、三角波信号Vtと高電位VHとを比較するハイレベル比較器125と、三角波信号Vtと低電位VLとを比較するロウレベル比較器126と、ハイレベル比較器125からの出力値でセットされ、且つロウレベル比較器126からの出力値でリセットされるRSラッチ127とから構成される。
【0042】
RSラッチ127からの出力値は、PMOSトランジスタ123及びNMOSトランジスタ124のゲートに接続されることにより、第1の定電流源121及び第2の定電流源122に対して互いに等しい電流を流すように設定される。また、RSラッチ127からの出力値は、パルス信号Vpとして補償信号生成回路13に出力される。この構成により、発振回路12は、コンデンサ120が互いに等しい充電電流及び放電電流によって高電位VHと低電位VLとの間を充放電する。これにより、上昇時間と下降時間とが等しい三角波信号Vtと、該三角波信号Vtに同期したパルス信号Vpを生成する。
【0043】
補償信号生成回路13は、発振回路12から入力されるパルス信号Vpが第1の抵抗器130を介して印加されるコンデンサ131と、該コンデンサ131の電圧と第1の電圧源132の電圧とを比較する比較器133と、該比較器133の出力信号を2分の1の周期に分周するDラッチからなる分周回路134と、該分周回路134の出力信号により駆動されソース接地されたNMOSトランジスタ135と、補償信号Vxのパルス電圧を決定する電圧Exを出力する第2の電圧源137とNMOSトランジスタ135のドレインとの間に接続される第2の抵抗器136と、NMOSトランジスタ135のドレインと第2の抵抗器136との接続点の電位を入力されるバッファ回路138とから構成される。このバッファ回路138からの出力値が補正信号Vxである。この構成により、比較器133からの出力信号は、第1の抵抗器130とコンデンサ131との時定数によってパルス信号Vpから遅延したパルス信号となり、この遅延したパルス信号は分周され、その後、第2の電圧源137の電圧Exの振幅を有する補正信号Vxに変換されて出力される。
【0044】
制御信号生成回路14を構成する加算回路140は、誤差増幅回路11から出力される誤差信号Veが印加される第1の抵抗器142及び第2の抵抗器143からなる第1の直列回路と、補償信号生成回路13から出力される補正信号Vxが印加される第3の抵抗器144及び第2の抵抗器145からなる第2の直列回路と、演算増幅器146とから構成される。
【0045】
第1の抵抗器142と第2の抵抗器143との接続点の電位は、演算増幅器146の非反転入力端子に印加され、第2の抵抗器143の接続点と反対側の端子は接地される。第3の抵抗器144と第4の抵抗器145との接続点の電位は、演算増幅器146の反転入力端子に印加され、第4の抵抗器145の接続点と反対側の端子は、演算増幅器146の出力端子と接続される。この演算増幅器146からの出力値が第1の制御信号V1となる。ここで、第1の抵抗器142及び第2の抵抗器143の抵抗値は等しく、第3の抵抗器144及び第4の抵抗器145の抵抗値も等しく設定される。この構成により、演算増幅器146の非反転入力端子にはVe/2の電圧が印加され、反転入力端子には(Vx+V1)/2の電圧が印加される。演算増幅器146は、Ve/2と(Vx+V1)/2との電位が等しくなるように第1の制御信号V1を調整するため、V1=Ve−Vxとなる。すなわち、第1の制御信号V1は、誤差信号Veから補正信号Vxを減算した信号となる。第1の制御信号V1は、誤差信号Veに補正信号Vxを重畳すれば良く、補正信号Vxを誤差信号Veに対して加算しても減算しても良い。
【0046】
図3に第1の実施形態に係る制御回路10における各信号(パルス信号Vp、補償信号Vx、三角波信号Vt、第1の制御信号V1、第2の制御信号V2、第1の駆動信号DR1及び第2の駆動信号DR2)のタイミングチャート(動作波形図)を示す。図3に示すように、三角波信号Vtは上昇時間と下降時間とが等しく、また、パルス信号Vpはそのハイレベル“H”とロウレベル“L”との時間も等しい。補償信号Vxは、前述したように、その振幅Exをオフセット電圧Vosと三角波信号Vtの振幅Etとの差電圧(Vos−Et)よりも大きくなるように設定されている。
【0047】
図3に示すチャートの前半部分は、第1の制御信号V1が三角波信号Vtと断続的に交差するが、第2の制御信号V2は三角波信号Vtと交差しない。従って、第1の比較器15から出力される第1の駆動信号DR1は第1のスイッチ2に対して交互にオンオフ動作をするように制御する。一方、第2の比較器16から出力される第2の駆動信号DR2はロウレベルのままであり、第2のスイッチ5はオフ状態にある。
【0048】
第1のスイッチ2が交互にオンオフ動作し、第2のスイッチ5がオフ状態の場合は、第1の実施形態に係る昇降圧コンバータは降圧コンバータとして動作する。
【0049】
第1のスイッチ2がオン状態のとき、インダクタ4には入力直流電圧Viと出力直流電圧Voとの差電圧(Vi−Vo)が印加され、入力直流電源1から、第1のスイッチ2、インダクタ4及び第2のダイオード6へと順次電流が流れ、インダクタ4に電気エネルギーが蓄積される。逆に、第1のスイッチ2がオフ状態のときは、インダクタ4には出力直流電圧Voが印加されて、第1のダイオード3、インダクタ4及び第2のダイオード6へと順次電流が流れ、インダクタ4に蓄積されていた電気エネルギーが放出される。第1のスイッチ2におけるスイッチング周期の1周期(三角波信号Vtの1周期)に占めるオン時間(第1の駆動信号DR1のパルス幅)の割合(デューティ比)をD1とすると、出力直流電圧Voは、Vo=D1・Viで表わされる。このデューティ比D1は第1の制御信号V1の上昇と共に大きくなる。すなわち、入力直流電圧Viが出力直流電圧Voよりも高いときは、第1の実施形態に係る昇降圧コンバータは降圧コンバータとして動作し、出力直流電圧Voが目標値となるように制御回路10によってデューティ比D1が調整される。
【0050】
図3において、第2の制御信号V2が三角波信号Vtと交差し始めるとき(図3のチャートの中間部分)、第2の制御信号V2にはパルス信号Vpにおけるスイッチング周期の2倍の周期を持つ補償信号Vxが重畳されているため、第2の制御信号V2はスイッチング周期の2周期で1回の割合で三角波信号Vtと交差する。一方、第1の制御信号V1は、三角波信号Vtの振幅Etよりもわずかに大きいオフセット電圧Vosだけ第2の制御信号V2よりも大きく、且つ、Vos−Etよりも大きい振幅の補償信号Vxが重畳されているため、第2の制御信号V2と同様に、スイッチング周期の2周期で1回の割合で三角波信号Vtと交差する。
【0051】
ここで、補償信号Vxがパルス信号Vpに対して4分の1周期程度遅延しているのは、三角波信号Vtの先端部(頂部)と第1の制御信号V1及び第2の制御信号V2の変動部分(立ち上がり部分及び立ち下がり部分)とが重なって、各制御信号V1、V2のパルス幅が不安定となることを防止するためである。このとき、第2のスイッチ5がオフ状態で且つ第1のスイッチ2が交互にオンオフ動作を繰り返す降圧コンバータとして動作する周期と、第1のスイッチ2がオン状態で且つ第2のスイッチ5が交互にオンオフ動作を繰り返す昇圧コンバータとして動作する周期とが交互に発生する。
【0052】
次に、図3に示すチャートの後半部分において、第1の制御信号V1が三角波信号Vtと交差しなくなると、第1の駆動信号DR1は常時ハイレベルとなるため、第1のスイッチ2は継続的にオン状態となる。一方、第2の駆動信号DR2は、第2の制御信号V2が三角波信号Vtと断続的に交差するようになるため、第2のスイッチ5を交互にオンオフ動作を繰り返すようになる。ここで、第2の駆動信号DR2のパルス幅は第2の制御信号V2の上昇と共に大きくなる。このように、第1のスイッチ2がオン状態で且つ第2のスイッチ5がオンオフ動作する場合は、昇降圧コンバータは昇圧コンバータとして動作する。第2のスイッチ5がオン状態のとき、インダクタ4には入力直流電圧Viが印加されて、入力直流電源1から、第1のスイッチ2、インダクタ4及び第2のスイッチ5へと順次電流が流れることにより、インダクタ4に電気エネルギーが蓄積される。逆に、第2のスイッチ5がオフ状態のとき、インダクタ4には入力直流電圧Viと出力直流電圧Voとの差電圧(Vi−Vo)が印加されて、入力直流電源1から、第1のスイッチ2、インダクタ4及び第2のダイオード6へと順次電流が流れることにより、インダクタ4に蓄積されていた電気エネルギーが放出される。第2のスイッチ5のスイッチング周期の1周期(三角波信号Vtの1周期)に占めるオン時間(第2の駆動信号DR2のパルス幅)の割合(デューティ比)をD2とすると、出力直流電圧Voは、Vo=Vi/(1−D2)で表わされる。このデューティ比D2は第2の制御信号V2の上昇と共に大きくなる。すなわち、入力直流電圧Viが出力直流電圧Voよりも低いときには、昇降圧コンバータは昇圧コンバータとして動作し、出力直流電圧Voが目標値となるように制御回路10によってデューティ比D2が調整される。
【0053】
以上説明したように、第1の実施形態に係る昇降圧コンバータは、デューティ比D1又はデューティ比D2が調整されることにより、入力直流電圧Viに対して出力直流電圧Voの昇降圧制御が可能となる。また、降圧コンバータ動作と昇圧コンバータ動作との遷移領域においては、降圧コンバータ動作の周期と昇圧コンバータ動作の周期とが交互に発生する。このため、第1のスイッチ2と第2のスイッチ5とが一スイッチング周期内でオンオフ動作を行なうことがなく、従って、スイッチング損失が増大しない。このように、降圧コンバータ部20と昇圧コンバータ25とを分離して動作させることが可能となると共に、昇圧動作と降圧動作との遷移がスムーズに行なえる。
【0054】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係る昇降圧コンバータについて図面を参照しながら説明する。
【0055】
図4は本発明の第2の実施形態に係る昇降圧コンバータの回路構成を示している。図4において、図1に示した昇降圧コンバータと同一の構成要素には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0056】
第2の実施形態に係る昇降圧コンバータは、第1の実施形態に係る制御回路10とは構成が異なる制御回路10Aを有している。
【0057】
図4に示すように、第2の実施形態に係る制御回路10Aは、誤差増幅器114とオフセット電圧源115とからなる誤差増幅回路11Aと、補償信号生成回路13Aと、制御信号生成回路14Aとを有している。
【0058】
誤差増幅回路11Aの誤差増幅器114は、出力直流電圧Voと目標値との誤差電圧を増幅した第1の誤差信号Ve1を生成して出力する。誤差増幅器114の回路構成は、例えば図2に示した誤差増幅回路11を用いることができる。
【0059】
誤差増幅回路11Aのオフセット電圧源115は、誤差増幅器114からの第1の誤差信号Ve1を受け、受けた第1の誤差信号Ve1からオフセット電圧Vosを減算した第2の誤差信号Ve2を生成して出力する。オフセット電圧源115には、例えば図1に示したオフセット回路141を用いることができる。
【0060】
補償信号生成回路13Aは、発振回路12からのパルス信号Vpを分周して増幅した第1の補償信号Vx1を生成して出力すると共に、該第1の補償信号Vx1からパルス信号Vpの半周期分だけ位相がずれた第2の補償信号Vx2を生成して出力する。すなわち、補償信号生成回路13Aは、パルス信号Vpの周期を2分の1の周期に分周して、各補償信号Vx1、Vx2の振幅を適切に設定し、且つ、第1の補償信号Vx1からパルス信号Vpの半周期だけ位相がずれた第2の補償信号Vx2を生成する。
【0061】
制御信号生成回路14Aは、第1の誤差信号Ve1に第1の補償信号Vx1を加算した第1の制御信号V1を生成して出力する第1の加算回路147と、第2の誤差信号Ve2に第2の補償信号Vx2を加算した第2の制御信号V2を生成して出力する第2の加算回路148とを有する。
【0062】
なお、オフセット電圧Vosは三角波信号Vtの振幅Etよりもわずかに大きく設定される点と、第1の補償信号Vx1及び第2の補償信号Vx2の各振幅Exは、オフセット電圧Vosと三角波信号Vtの振幅Etとの差電圧(Vos−Et)よりも大きく設定される(Ex>Vos−Et)点も第1の実施形態と同様である。
【0063】
図5に補償信号生成回路13Aの回路構成の一例を示す。図5に示すように、第2の実施形態に係る償信号生成回路13Aは、発振回路12から出力されるパルス信号Vpを受けるインバータ230と、該インバータ230からの出力信号がクロック端子に入力されるDラッチからなる第1の分周回路231と、該第1の分周回路231からの出力信号により駆動されるソース接地された第1のNMOSトランジスタ232と、該第1のNMOSトランジスタ232のドレインと電圧がExの電圧源239との間に接続された第1の抵抗器233と、第1のNMOSトランジスタ232のドレインと第1の抵抗器233の接続点の電位を入力される第1のバッファ234とを有する。
【0064】
また、補償信号生成回路13Aは、パルス信号Vpをクロック端子に受けるDラッチからなる第2の分周回路235と、該第2の分周回路235からの出力信号により駆動されるソース接地された第2のNMOSトランジスタ236と、該第2のNOMSトランジスタ236のドレインと電圧源239との間に接続された第2の抵抗器237と、第2のNOMOSトランジスタ236のドレインと第2の抵抗器237の接続点の電位を入力される第2のバッファ238とを有する。従って、第1のバッファ234からの出力信号が第1の補償信号Vx1であり、第2のバッファ238からの出力信号が第2の補償信号Vx2である。
【0065】
この構成により、償信号生成回路13Aは、発振回路12からのパルス信号Vpの半周期だけ位相が異なる2つの分周信号Vx1,Vx2を生成し、これらの分周信号Vx1、Vx2の各振幅を電圧Exに設定して、第1の補償信号Vx1と第2の補償信号Vx2として制御信号生成回路14Aに出力する。
【0066】
以下、第2の実施形態に係る昇降圧コンバータの制御回路10Aの動作について図4、図5及び図6を参照しながら説明する。
【0067】
図6は第2の実施形態に係る制御回路10Aのタイミングチャート(動作波形図)であって、パルス信号Vp、第1の補償信号Vx1、第2の補償信号Vx2、三角波信号Vt、第1の制御信号V1、第2の制御信号V2、第1の駆動信号DR1及び第2の駆動信号DR2の信号波形を示す。図6に示すように、三角波信号Vtは上昇時間と下降時間とが等しく、パルス信号Vpのハイレベル“H”とロウレベル“L”との時間も等しい。第1の補償信号Vx1は、前述したように、パルス信号Vpを第1の分周回路231によって2分の1の周波数に分周し、増幅回路によってその振幅Exをオフセット電圧Vosと三角波信号Vtの振幅Etとの差電圧(Vos−Et)よりも大きく設定されている(Ex>Vos−Et)。第2の補償信号Vx2は、遅延回路によって第1の補償信号Vx1からパルス信号Vpの半周期だけ位相が遅れている。
【0068】
図6に示すチャートの前半部分は、第1の制御信号V1が三角波信号Vtと断続的に交差するが、第2の制御信号V2は三角波信号Vtと交差しない。これにより、第1の駆動信号DR1は第1のスイッチ2に対して交互にオンオフ動作をするように制御する。一方、第2の駆動信号DR2はロウレベルのままであり、第2のスイッチ5はオフ状態にある。すなわち、第2の実施形態に係る昇降圧コンバータは降圧コンバータとして動作する。
【0069】
図6に示すチャートの中間部分において、第2の制御信号V2が三角波信号Vtと交差するようになると、第2の制御信号V2はスイッチング周期の2倍の周期を持つ第2の補償信号Vx2が重畳されているため、第2の制御信号V2はスイッチング周期の2周期に1回ずつ三角波信号Vtと交差する。一方、第1の制御信号V1は三角波信号Vtの振幅Etよりもわずかに大きいオフセット電圧Vosだけ第2の制御信号V2よりも大きく、且つ、Vos−Etよりも大きい振幅の第1の補償信号Vx1が重畳されているため、スイッチング周期の2周期に1回ずつ三角波信号Vtと交差する。ここで、第2の補償信号Vx2を第1の補償信号Vx1に対して位相をずらせているのは、三角波信号Vtの先端部と第1の制御信号V1及び第2の制御信号V2のそれぞれの変動部分(立ち上がり部分又は立下り部分)とが重なってパルス幅が不安定となることを避けるためである。このとき、第2のスイッチ5がオフ状態で且つ第1のスイッチ2が交互にオンオフ動作を行なう降圧コンバータとして動作する周期と、第1のスイッチ2がオン状態で且つ第2のスイッチ5が交互にオンオフ動作を行なう昇圧コンバータとして動作する周期とが交互に発生する。
【0070】
さらに、図6に示すチャートの後半部分において、第1の制御信号V1が三角波信号Vtと交差しなくなると、第1の駆動信号DR1は常時ハイレベルとなるため、第1のスイッチ2はオン状態となる。一方、第2の駆動信号DR2は、第2のスイッチ5を交互にオンオフ動作させる。さらに、第2の駆動信号DR2のパルス幅は第2の制御信号V2の上昇と共に大きくなるため、第2の実施形態に係る昇降圧コンバータは昇圧コンバータとして動作する。
【0071】
以上説明したように、第2の実施形態に係る昇降圧コンバータは、第1の実施形態に係る昇降圧コンバータと同様に、入力直流電圧Viに対して出力直流電圧Voの昇降圧制御が可能となる。また、降圧コンバータ部20の動作と昇圧コンバータ部25の動作との遷移領域では、降圧コンバータ20の動作周期と昇圧コンバータ25の動作周期とが交互に発生するため、第1のスイッチ2及び第2のスイッチ5が一スイッチング周期内でオンオフ動作を行なうことがなく、従って、スイッチング損失が増大することがない。これにより、降圧コンバータ部20と昇圧コンバータ部25とを分離して動作させることが可能となると共に、昇圧動作と降圧動作との遷移がスムーズに行なえる。
【0072】
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係る昇降圧コンバータについて図面を参照しながら説明する。
【0073】
図7(a)は本発明の第3の実施形態に係る昇降圧コンバータの回路構成を示している。図7(a)において、図1に示した昇降圧コンバータと同一の構成要素には同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0074】
第3の実施形態に係る昇降圧コンバータは、第1の実施形態に係る制御回路10とは構成が異なる制御回路10Bを有している。
【0075】
図7(a)に示すように、第3の実施形態に係る制御回路10Bは、発振回路12Bと、補償信号生成回路13Bと、制御信号生成回路14Bと、第1の比較器15Bと、第2の比較器16Bとを有している。
【0076】
発振回路12Bは、第1の三角波信号Vt1と第1の三角波信号Vt1の電圧の上昇と下降とに応じたパルス信号Vpを生成する信号生成回路220と、該信号生成回路220からの第1の三角波信号Vt1を反転してレベルシフトした第2の三角波信号Vt2を生成して出力する反転回路221とから構成されている。ここで、第1の三角波信号Vt1と第2の三角波信号Vt2とは交差せず、第1の三角波信号Vt1のピーク値と第2の三角波信号Vt2の谷値とは、隙間電圧Vdの電圧差に設定される。
【0077】
補償信号生成回路13Bは、信号生成回路220からのパルス信号Vpを分周して増幅した補償信号Vxを生成する。ここで、補償信号生成回路13Bの回路構成は、図2に示した補償信号生成回路13におけるコンデンサ131を設けない構成とすればよい。また、補償信号Vxの振幅Exは、隙間電圧Vdよりも大きく設定される(Ex>Vd)。
【0078】
制御信号生成回路14Bは、誤差信号Veに補償信号Vxを加算した制御信号Vexを生成して出力する。
【0079】
第1の比較器15Bは、制御信号Vexと第1の三角波信号Vt1とを比較して、制御信号Vexが第1の三角波信号Vt1よりも大きいか等しい場合にはハイレベルの、逆に小さい場合にはロウレベルの第1の駆動信号DR1を出力する。
【0080】
第2の比較器16Bは、制御信号Vexと第2の三角波信号Vt2とを比較して、制御信号Vexが第2の三角波信号Vt2よりも大きいか等しい場合にはハイレベルの、逆に小さい場合にはロウレベルの第2の駆動信号DR2を出力する。
【0081】
図7(b)に反転回路221の回路構成の一例を示す。反転回路221は、例えば、発振回路12Bからの第1の三角波信号Vt1を受けるバッファ回路221aと、該バッファ回路221aの出力信号を受ける第1の抵抗器221b及び第2の抵抗器221cからなる直列回路と、反転入力端子が第1の抵抗器221b及び第2の抵抗器221cの接続点と接続され、非反転入力端子が電圧値がVH+Vd/2の電圧源221dと接続され、出力端子が第2の抵抗器221cにおける接続点の反対側の端子と接続された演算増幅器221eとから構成される。これにより、反転回路221からは、第1の三角波信号Vtが反転された第2の三角波信号Vt2が出力される。ここで、第1の抵抗器221bと第2の抵抗器221cとの互いの抵抗値が等しく設定されることにより、第2の三角波信号Vt2は以下の式(1)で表わされる。
【0082】
Vt2 = 2VH+Vd−Vt1 …(1)
これにより、第1の三角波信号Vt1がピーク値VHのときには、第2の三角波信号Vt2はVH+Vdとなり、第1の三角波信号Vt1が谷値VLの時には、第2の三角波信号Vt2は2VH+Vd−VLとなる。すなわち、第2の三角波信号Vt2は、第1の三角波信号Vt1に対してそのピーク値と谷値とが互いに反転し、第1の三角波信号Vt1のピーク値と第2の三角波信号のVt2の谷値とは隙間電圧Vdの電圧差に設定される。
【0083】
なお、信号生成回路220の回路構成は、図12に示した発振回路12を用いることができる。
【0084】
以下、第3の実施形態に係る昇降圧コンバータの制御回路10bの動作について図7(a)及び図8を参照しながら説明する。
【0085】
図8は第3の実施形態に係る制御回路10Bのタイミングチャート(動作波形図)であって、パルス信号Vp、補償信号Vx1、第1の三角波信号Vt1、第2の三角波信号Vt2、制御信号Vex、第1の駆動信号DR1及び第2の駆動信号DR2の信号波形を示す。図6に示すように、第1の三角波信号Vt1は上昇時間と下降時間とが等しく、パルス信号Vpのハイレベル“H”の時間とロウベル“L”の時間とも等しい。図示はしていないが、補償信号生成回路13Bは分周回路と増幅回路とを有しており、補償信号Vxはパルス信号Vpを分周回路によって2分の1の周波数に分周し、増幅回路によってその振幅Exを隙間電圧Vdよりも大きく設定されている。
【0086】
図8に示すチャートの前半部分は、制御信号Vexが第1の三角波信号Vt1と断続的に交差しているが、第2の三角波信号Vt2と交差していない。従って、第1の駆動信号DR1は第1のスイッチ2を交互にオンオフ動作するように制御する。これに対し、第2の駆動信号DR2はロウレベルのままであり、第2のスイッチ5はオフ状態にある。すなわち、第3の実施形態に係る昇降圧コンバータは降圧コンバータとして動作する。
【0087】
図6に示すチャートの中間部分において、制御信号Vexが第2の三角波信号Vt2と交差するようになると、制御信号Vexはスイッチング周期の2倍の周期を持つ補償信号Vxが重畳されているため、制御信号Vexはスイッチング周期ごとに第1の三角波信号Vt1と第2の三角波信号Vt2と交互に交差する。このため、第2のスイッチ5がオフ状態で且つ第1のスイッチ2がオンオフ動作を行なう降圧コンバータとして動作する周期と、第1のスイッチ2がオン状態で且つ第2のスイッチ5がオンオフ動作を行なう昇圧コンバータとして動作する周期とが交互に発生する。
【0088】
次に、図8に示すチャートの後半部分において、制御信号Vexが第1の三角波信号Vt1と交差しなくなると、第1の駆動信号DR1は常時ハイレベルとなるため、第1のスイッチ2はオン状態となる。一方、第2の駆動信号DR2は、第2のスイッチ5を交互にオンオフ動作させる。さらに、第2の駆動信号DR2のパルス幅は制御信号Vexの上昇と共に大きくなるため、第3の実施形態に係る昇降圧コンバータは昇圧コンバータとして動作する。
【0089】
以上説明したように、第3の実施形態に係る昇降圧コンバータは、第1の実施形態に係る昇降圧コンバータと同様に、入力直流電圧Viに対して出力直流電圧Voの昇降圧制御が可能となる。また、降圧コンバータ部20の動作と昇圧コンバータ部25の動作との遷移領域では、降圧コンバータ部20の動作周期と昇圧コンバータ部25の動作周期とが交互に発生するため、第1のスイッチ2及び第2のスイッチ5が一スイッチング周期内でオンオフ動作を行なうことがなく、従って、スイッチング損失が増大することがない。これにより、降圧コンバータ部20と昇圧コンバータ部25とを分離して動作させることが可能となると共に、昇圧動作と降圧動作との遷移がスムーズに行なえるようになる。
【0090】
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係る昇降圧コンバータについて図面を参照しながら説明する。
【0091】
前述した本発明の第1〜3の各実施形態においては、誤差信号Veに重畳される補償信号Vexはパルス信号Vpを2分の1の周期に分周して生成している。しかしながら、本発明は2分の1の分周に限定されるものではない。例えば、他の用途で4分の1の周期に分周された信号を用いることができれば、その4分の1の周期の信号を補償信号として利用することができる。
【0092】
図9に第4の実施形態に係る昇降圧コンバータのタイミングチャート(動作波形図)を示す。回路構成は図7に示した第3の実施形態とほぼ同等である。図7の昇降圧コンバータと異なる点は、補償信号生成回路13Bにおいてパルス信号Vpを4分の1の周期に分周して増幅した補償信号Vxを生成し、これを誤差信号Veに重畳して制御信号Vex1を生成する点である。
【0093】
図9に示すチャートにおいて、特にその中間部分において、制御信号Vex1が第1の三角波信号Vt1と第2の三角波信号Vt2とに交差するとき、制御信号Vex1にはスイッチング周期の4倍の周期を持つ補償信号Vxが重畳されているため、制御信号Vex1はスイッチング周期の2周期ごとに第1の三角波信号Vt1と第2の三角波信号Vt2とに交互に交差する。このため、第2のスイッチ5がオフ状態で且つ第1のスイッチ2がオンオフ動作を行なう降圧コンバータとして動作する2周期と、第1のスイッチ2がオン状態で且つ第2のスイッチ5がオンオフ動作を行なう昇圧コンバータとして動作する2周期とが交互に発生する。
【0094】
このように、第4の実施形態に係る昇降圧コンバータは、第3の実施形態に係る昇降圧コンバータと同様に、入力直流電圧Viに対して出力直流電圧Voの昇降圧制御が可能でとなる。また、降圧コンバータ部の動作と昇圧コンバータ部の動作との遷移領域では降圧コンバータ部の動作周期と昇圧コンバータ部の動作周期とが2周期ごとに交互に発生するため、第1のスイッチ及び第2のスイッチが一スイッチング周期内でオンオフ動作を行なうことがなく、従って、スイッチング損失が増大しない。これにより、降圧コンバータ部と昇圧コンバータ部とを分離して動作させることが可能となると共に、昇圧動作と降圧動作との遷移がスムーズに行なえるようになる。
【0095】
(第5の実施形態)
前述した本発明の第1〜4の各実施形態に係る昇降圧コンバータは、補償信号Vxをパルス信号Vpから生成しているため、該補償信号Vxは方形波であったが、補償信号Vxは方形波に限定されない。
【0096】
例えば、図10(a)は第3の実施形態に係る補償信号生成回路13Bの他の構成例であって、第5の実施形態に係る昇降圧コンバータの補償信号生成回路13Cの回路構成を示し、図10(b)は制御回路におけるタイミングチャート(動作波形図)を示している。図10(a)及び(b)に示すように、パルス信号Vpから分周回路330によって分周信号Vx0に変換する。さらに、変換された分周信号Vx0を抵抗器331及びコンデンサ332からなる積分回路によって三角波状の補償信号Vxを生成する。この三角波状の補償信号Vxを誤差信号Veに加算する。
【0097】
(第5の実施形態の一変形例)
図11(a)は第3の実施形態に係る補償信号生成回路13Bのさらに他の構成例であって、第5の実施形態の一変形例に係る昇降圧コンバータの補償信号生成回路13Dの回路構成を示し、図11(b)は制御回路におけるタイミングチャート(動作波形図)を示している。図11(a)及び(b)に示すように、パルス信号Vpから分周回路330によって分周信号Vx0に変換し、変換された分周信号Vx0を第1の抵抗器331及び第1のコンデンサ332からなる第1の積分回路によって三角波状に変換する。変換された分周信号Vx0を第2のコンデンサ333を介して交流成分のみとした三角波信号Vx1を生成し、さらに第2の抵抗器334と第3のコンデンサ335とからなる第2の積分回路によって正弦波状の補償信号Vxを生成する。この正弦波状の補償信号Vxを誤差信号Veに加算する。
【0098】
第1〜第4の各実施形態は、補償信号Vxに方形波状の信号を用いているため、方形波状の補償信号Vxから生成される制御信号V1、V2に急峻なレベル変動部分が周期的に発生する。この急峻なレベル変動部分が三角波信号Vtと交差する際に、駆動信号DR1、DR2が不安定となるおそれがある。しかしながら、第5の実施形態又はその変形例においては、補償信号Vxを三角波状又は正弦波状としていることにより、より安定な駆動信号DR1、DR2を生成することができる。
【0099】
従って、第5の実施形態又はその一変形例に係る昇降圧コンバータによると、第1〜4の各実施形態の昇降圧コンバータと同様の効果を得られる上に、補償信号Vxを方形波状から三角波状又は正弦波状とすることにより、より安定な駆動信号DR1、DR2を得ることができる。
【0100】
なお、三角波状又は正弦波状の補償信号Vxを、第1の実施形態のようにパルス信号Vpに対して遅延させてもよい。
【0101】
また、第1〜第5の各実施形態においては、第1の整流手段及び第2の整流手段としてダイオード3、6を用いたが、これらダイオード3、6をスイッチ素子に置き換えた同期整流回路であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明に係る昇降圧コンバータは、降圧コンバータ部と昇圧コンバータ部との動作を分離できるので、昇圧動作と降圧動作との遷移がスムーズとなって、降圧動作及び昇圧動作が共に安定するという効果を有し、非絶縁型の昇降圧コンバータ等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る昇降圧コンバータを示す回路図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る昇降圧コンバータにおける制御回路を構成する回路の一例を示す回路図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る昇降圧コンバータにおける制御回路のタイミングチャートである。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る昇降圧コンバータを示す回路図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る昇降圧コンバータにおける制御回路を構成する補償信号生成回路を示す回路図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る昇降圧コンバータにおける制御回路のタイミングチャートである。
【図7】(a)は本発明の第3の実施形態に係る昇降圧コンバータを示す回路図である。(b)は本発明の第3の実施形態に係る昇降圧コンバータにおける制御回路を構成する補償信号生成回路を示す回路図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る昇降圧コンバータにおける制御回路のタイミングチャートである。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る昇降圧コンバータにおける制御回路のタイミングチャートである。
【図10】(a)は本発明の第5の実施形態に係る昇降圧コンバータにおける制御回路を構成する補償信号生成回路を示す回路図である。(b)は本発明の第5の実施形態に係る昇降圧コンバータにおける制御回路のタイミングチャートである。
【図11】(a)は本発明の第5の実施形態の一変形例に係る昇降圧コンバータにおける制御回路を構成する補償信号生成回路を示す回路図である。(b)は本発明の第5の実施形態の一変形例に係る昇降圧コンバータにおける制御回路のタイミングチャートである。
【図12】従来の昇降圧コンバータを示す回路図である。
【図13】従来の昇降圧コンバータにおける制御回路のタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0104】
1 入力直流電源
2 第1のスイッチ
3 第1のダイオード(第1の整流手段)
4 インダクタ
5 第2のスイッチ
6 第2のダイオード(第2の整流手段)
7 コンデンサ(平滑手段)
10 制御回路
10A 制御回路
10B 制御回路
11 誤差増幅回路
11A 誤差増幅回路
110 基準電圧源
111 第1の抵抗器
112 第2の抵抗器
113 演算増幅器
114 誤差増幅器
115 オフセット電圧源
12 発振回路
12B 発振回路
120 コンデンサ
121 第1の定電流源
122 第2の定電流源
123 PMOSトランジスタ
124 NMOSトランジスタ
125 ハイレベル比較器
126 ロウレベル比較器
127 RSラッチ
13 補償信号生成回路
13A 補償信号生成回路
130 第1の抵抗器
131 コンデンサ
132 第1の電圧源
133 比較器
134 分周回路
135 NMOSトランジスタ
136 第2の抵抗器
137 第2の電圧源
138 バッファ回路
14 制御信号生成回路
14A 制御信号生成回路
14B 制御信号生成回路
140 加算回路
141 オフセット回路
142 第1の抵抗器
143 第2の抵抗器
144 第3の抵抗器
145 第4の抵抗器
146 演算増幅器
147 第1の加算回路
148 第2の加算回路
15 第1の比較器
15B 第1の比較器
16 第2の比較器
16B 第2の比較器
20 降圧コンバータ部
25 昇圧コンバータ部
220 信号生成回路
221 反転回路
221a バッファ回路
221b 第1の抵抗器
221c 第2の抵抗器
221d 電圧源
221e 演算増幅器
230 インバータ
231 第1の分周回路
232 第1のNMOSトランジスタ
233 第1の抵抗器
234 第1のバッファ
235 第2の分周回路
236 第2のNMOSトランジスタ
237 第2の抵抗器
238 第2のバッファ
239 電圧源
330 分周回路
331 (第1の)抵抗器
332 (第1の)コンデンサ
333 第2のコンデンサ
334 第2の抵抗器
335 第3のコンデンサ




 

 


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