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発明の名称 ステッピングモータ駆動装置及びその制御方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−60893(P2007−60893A)
公開日 平成19年3月8日(2007.3.8)
出願番号 特願2006−206788(P2006−206788)
出願日 平成18年7月28日(2006.7.28)
代理人 【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
発明者 藤中 洋
要約 課題
駆動対象であるステッピングモータ動作を低振動化および低騒音化するステッピングモータ駆動装置を提供する。

解決手段
そのステッピングモータ駆動装置は、巻線3に給電する電流の制限値を示す参照信号を生成する参照信号生成部14と、オン状態において巻線に電流を給電し、オフ状態において巻線への電流の給電を停止するスイッチング部5と、給電電流を測定する給電電流測定部20と、一定周期で基準パルスを出力する基準パルス生成部18と、基準パルスが出力されてから一定周期よりも短い所定時間が経過したことを示す計時完了信号を出力するタイマ部31と、基準パルスが出力された時点でスイッチング部5をオン状態にするとともに、給電電流測定部20による測定電流が、参照信号が示す電流制限値を超えた時点、及び、計時完了信号が出力された時点のうちの早い時点でスイッチング部5をオフ状態にするパルス幅変調制御部15とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
ステッピングモータを駆動する装置であって、
ステッピングモータが備える巻線に給電する電流の制限値を示す参照信号を生成する参照信号生成手段と、
オン状態において前記巻線に電流を給電し、オフ状態において前記巻線への電流の給電を停止するスイッチング手段と、
前記巻線に給電された電流を測定する給電電流測定手段と、
一定周期で基準パルスを出力する基準パルス生成手段と、
前記基準パルスが出力されてから前記一定周期よりも短い所定時間が経過したことを示す計時完了信号を出力するタイマ手段と、
前記基準パルスが出力された時点で前記スイッチング手段をオン状態にするとともに、前記給電電流測定手段によって測定された電流が、前記参照信号が示す電流制限値を超えた時点、及び、前記タイマ手段から計時完了信号が出力された時点のうちの早い時点で前記スイッチング手段をオフ状態にする制御手段と
を備えることを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記給電電流測定手段によって測定された電流の大きさを示す信号と前記参照信号とを比較することによって、前記電流が前記電流制限値を超えたことを検出するコンパレータと、
前記コンパレータからの出力信号と前記タイマ手段からの計時完了信号との論理和をとる論理和ゲートと、
前記基準パルスによってセットされ、前記論理和ゲートからの出力信号によってリセットされるフリップフロップと、
前記フリップフロップからの出力信号が第1状態のときに前記スイッチング手段をオン状態にし、前記フリップフロップからの出力信号が第2状態のときに前記スイッチング手段をオフ状態にする通電論理部と
を有することを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項3】
前記ステッピングモータ駆動装置はさらに、
前記電流制限値の最大値についての指示を発する最大値指示手段と、
電流制限値の最大値と前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値との組を複数個格納したテーブルを保持するとともに、前記最大値指示手段が指示した最大値に対応するタイマ設定値を前記テーブルから読み出して前記タイマ手段に出力するメモリ手段とを備え、
前記タイマ手段は、前記メモリ手段から出力されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力し、
前記参照信号生成手段は、前記参照信号が示す電流制限値の最大値が前記最大値指示手段によって指示された最大値となるような参照信号を生成する
ことを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項4】
前記ステッピングモータ駆動装置はさらに、前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値を前記タイマ手段に指示する計時時間指示手段を備え、
前記タイマ手段は、前記計時時間指示手段から指示されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力する
ことを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項5】
前記ステッピングモータ駆動装置はさらに、
前記参照信号の1周期内における時間位置を示すステップ信号を一定の時間間隔で出力するステップ制御手段と、
前記ステップ信号が示す時間位置と前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値との組を複数個格納したテーブルを保持するとともに、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、受けたステップ信号が示す時間位置に対応するタイマ設定値を前記テーブルから読み出して前記タイマ手段に出力するメモリ手段とを備え、
前記タイマ手段は、前記メモリ手段から出力されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力し、
前記参照信号生成手段は、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、受けたステップ信号が示す時間位置に対応する電流制限値を示す参照信号を生成する
ことを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項6】
前記ステッピングモータ駆動装置はさらに、
前記電流制限値の最大値についての指示を発する最大値指示手段と、
前記参照信号の1周期内における時間位置を示すステップ信号を一定の時間間隔で出力するステップ制御手段と、
電流制限値の最大値と前記ステップ信号が示す時間位置との組み合わせと前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値との組を複数個格納したテーブルを保持するとともに、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、前記最大値指示手段が指示した最大値と前記ステップ制御手段から出力されたステップ信号が示す時間位置との組み合わせに対応するタイマ設定値を前記テーブルから読み出して前記タイマ手段に出力するメモリ手段とを備え、
前記タイマ手段は、前記メモリ手段から出力されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力し、
前記参照信号生成手段は、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、前記最大値指示手段が指示した最大値と前記ステップ制御手段から出力されたステップ信号が示す時間位置との組み合わせに対応する電流制限値を示す参照信号を生成する
ことを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項7】
前記ステッピングモータ駆動装置はさらに、
前記参照信号の1周期内における時間位置を示すステップ信号を一定の時間間隔で出力するステップ制御手段と、
前記ステップ信号が示す時間位置と前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値との組を複数個指示する計時時間指示手段と、
前記計時時間指示手段から指示された時間位置とタイマ設定値との組をテーブルとして保持するとともに、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、前記ステップ信号が示す時間位置に対応するタイマ設定値を前記テーブルから読み出して前記タイマ手段に出力するメモリ手段とを備え、
前記タイマ手段は、前記メモリ手段から出力されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力し、
前記参照信号生成手段は、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、受けたステップ信号が示す時間位置に対応する電流制限値を示す参照信号を生成する
ことを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項8】
前記ステッピングモータ駆動装置はさらに、前記電流制限値の最大値及び前記電流制限値の1周期における時間位置の少なくとも1つについての指示を取得し、取得した最大値及び時間位置の少なくとも1つから、前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値を算出するタイマ設定値算出手段を備え、
前記タイマ手段は、前記タイマ設定値算出手段によって算出されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力する
ことを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項9】
ステッピングモータ駆動装置における制御方法であって、
前記ステッピングモータ駆動装置は、前記ステッピングモータが備える巻線に給電する電流の制限値を示す参照信号を生成する参照信号生成手段と、オン状態において前記巻線に電流を給電し、オフ状態において前記巻線への電流の給電を停止するスイッチング手段と、前記巻線に給電された電流を測定する給電電流測定手段と、一定周期で基準パルスを出力する基準パルス生成手段と、前記基準パルスが出力されてから前記一定周期よりも短い所定時間が経過したことを示す計時完了信号を出力するタイマ手段とを備え、
前記制御方法は、
前記基準パルスが出力された時点で前記スイッチング手段をオン状態にするとともに、前記給電電流測定手段によって測定された電流が、前記参照信号が示す電流制限値を超えた時点、及び、前記タイマ手段から計時完了信号が出力された時点のうちの早い時点で前記スイッチング手段をオフ状態にするステップを含む
ことを特徴とする制御方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモータ駆動装置に関し、特に、ステッピングモータを低騒音かつ低振動で駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の位置制御等にステッピングモータが用いられている。ステッピングモータは、回転子と複数相の巻線を備える固定子とから構成され、回転子は単位角度ずつ回転して停止する。また、回転子は、回転ステップ数の制御により、フィードバック制御無しに、目的の角度だけ回転して停止する。このようなステッピングモータの動作における特性は、位置制御用途に適する。
【0003】
近年、ステッピングモータは、DSC(Digital Still Camera:デジタル静止画カメラ、いわゆるデジカメ)やDVC(Digital Video Camera:デジタルビデオカメラ)といった撮影用電子機器における光学系アクチュエータとして、絞り、焦点、ズームなどの調整に用いられる。
【0004】
動画撮影用電子機器に用いられるステッピングモータの動作には、特に低騒音および低振動が求められる。ステッピングモータが発する騒音は機器の内蔵マイクにキャッチされ雑音として録音され、振動はぶれ等を生じさせ、録画画質を劣化させるからである。この要求に応えて、ステッピングモータの動作を低騒音化および低振動化する駆動技術が、例えば、特許文献1に開示されている。
【0005】
図20は、特許文献1に開示されている従来のステッピングモータ駆動装置の構成図である。ここでは、原理説明に必要な構成要素のみを記載する。また、ステッピングモータは複数相の巻線を備えるが、巻線毎に設けられる構成要素は同一であるため、1相の巻線とその巻線に設けられる構成要素のみを記載する。
【0006】
図20に示されるように、従来のステッピングモータ駆動装置は、電源1、制御対象であるステッピングモータ2(巻線3、回転子4)、巻線3への給電を制御するスイッチング部5(巻線3への給電経路となるトランジスタ6〜9、フライホイールダイオード10〜13)、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成部14、パルス幅変調制御部15、給電電流測定部20から構成される。パルス幅変調制御部15はさらに、コンパレータ16、フリップフロップ17、基準パルス生成部18、通電論理部19から構成される。なお、巻線毎に設けられる構成要素は同一であるため、ステッピングモータ2を構成する他の巻線および他の巻線に設けられる構成要素の図示と説明を省略し、巻線3に設けられる構成要素について説明する。
【0007】
基準パルス生成部18は、フリップフロップ17を一定周期毎にセットする。これにより、通電論理部19は、スイッチング部5を構成するトランジスタ6と9のいずれかと、トランジスタ7と8のいずれかを、貫通の発生しない組合せとタイミングで、一定周期毎に導通させる。給電電流測定部20は、トランジスタ6〜9の導通によって電源1から巻線3へ供給される電流を検出し、検出電流値としてコンパレータ16へ出力する。なお、以降の動作説明においては、給電電流測定部20が検出する巻線3を流れる電流を単に「検出電流値」と呼ぶ。
【0008】
参照信号生成部14は、ステップ状に増加し、そして減少する階段波を生成し、電流制限値を表す参照信号として、コンパレータ16へ出力する。参照信号生成部14が生成する電流制限値を表す参照信号は、巻線3を流れる電流(巻線電流)にとっては、電流目標値となるものである。なお、以降の動作説明においては、この参照信号を単に「電流目標値」と呼ぶ。コンパレータ16は、入力された検出電流値と電流目標値を比較し、検出電流値が電流目標値を上回った時点で、フリップフロップ17をリセットする。フリップフロップ17がリセットされると、通電論理部19は、スイッチング部5を構成するトランジスタ7と8の両方を遮断する。トランジスタ7と8の両方が遮断している期間、トランジスタ6と9の両方とも遮断している場合には、巻線3を流れる電流は、フライホイールダイオード11と12のいずれかと、フライホイールダイオード10と13のいずれかとで回生する。トランジスタ7と8の両方が遮断している期間、トランジスタ6と9の両方を導通させる場合には、巻線3を流れる電流は、トランジスタ6と9にて回生する。トランジスタ7と8の両方が遮断している期間、トランジスタ6と9のいずれか片方のみを導通させる場合には、導通させなかったトランジスタに接続するフライホイールダイオードが順方向バイアスであれば、フライホイールダイオード11と12のいずれかと、トランジスタ6と9のいずれかとで、巻線電流は回生する。導通させなかったトランジスタに接続するフライホイールダイオードが逆方向バイアスであれば、フライホイールダイオード10と13のいずれかと、トランジスタ6と9のいずれかとで巻線電流は回生する。
【0009】
フリップフロップ17のリセット後、基準パルス生成部18は、フリップフロップ17を一定周期毎にセットする。これにより、以上の動作が繰り返される。
【0010】
以上の動作により、巻線3へ供給される平均電流が電流目標値に漸近するように制御される。なお、電流目標値がステップ状に増減することで、巻線3へ供給される平均電流がステップ状に増減し、巻線3以外の他相の巻線についても、同様に動作することで、ステップの進行する速度に応じた回転速度で、ステッピングモータ2が回転動作する。
【特許文献1】特開2004−215385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記のような従来のステッピングモータ駆動装置によれば、巻線3を流れる電流の電流リップルが大きく、かつ、電流波形の有する周波数がパルス幅変調の変調周波数より低くなるという2点の課題が存在する。以下、図21を参照しながら、2点の課題について説明する。
【0012】
図21は、従来のステッピングモータ駆動装置の電流波形図である。基準パルス生成部18は、パルス幅変調周期(以降、パルス幅変調周期を「PWM周期」と呼ぶ。)毎にフリップフロップ17をセットする信号を出力し(図21(a))、これによりフリップフロップ17がセットされる(図21(c))。フリップフロップ17がセットされている期間、電源1から巻線3へ電力が供給され、巻線3を流れる電流が増加する(図21(e))。なお、フリップフロップ17がセットされ、巻線3への電力供給によって、巻線3を流れる電流が増加する期間を「PWMオン期間」と呼ぶ。
【0013】
PWMオン期間に、巻線3を流れる電流が増加した結果、検出電流値(図21(g))は電流目標値(図21(f))を上回り、検出電流値が上回った時点で、コンパレータ16が、フリップフロップ17をリセットする信号を出力し(図21(b))、これにより、フリップフロップ17がリセットされる(図21(c))。ただし、フリップフロップ17がセットされた後、PWM周期Tの期間内に、検出電流値が電流目標値を上回るとは限らず、すなわち、PWMオン期間は、検出電流値が電流目標値を上回る迄、PWM周期の複数期間にまたがって継続する場合がある。このときには、巻線3を流れる電流が有する周波数は、パルス幅変調の変調周波数(以降、パルス幅変調の変調周波数を「PWM周波数」と呼ぶ。)ではなく、PWM周波数より低い周波数となる。仮に、PWM周波数が100KHzであり、可聴域を上回るように設定され、騒音と認識されない設計であったとしても、PWMオン期間が、PWM周期の複数期間継続することで、実質的なPWM周波数が下がった場合、例えば、5周期以上PWMオン期間が継続し、20KHz以下の周波数となった場合には、可聴域の周波数となり、騒音と認識される。
【0014】
一方、フリップフロップ17がリセットされている期間には、電源1から巻線3への電力供給は遮断され、回生動作により、巻線3を流れる電流が減少する(図21(e))。なお、フリップフロップ17がリセットされ、回生動作によって巻線3を流れる電流が減少する期間を「PWMオフ期間」と呼ぶ。巻線3のインダクタンス値をL、PWMオフ期間に巻線3に印加される電圧をVoffとするとき、減少する電流の傾きは、(Voff/L)である。PWMオフ期間中、巻線3を流れる電流は減少するが、再度、基準パルス生成部18の出力信号が、フリップフロップ17をセットすることにより、再びPWMオン期間へ遷移し、巻線3を流れる電流は再び増加する(図21(e))。ここで、基準パルス生成部18が、フリップフロップ17をセットする信号を出力した直後に、検出電流値が電流目標値を上回った場合には、基準パルス生成部18がフリップフロップ17をセットする信号の出力から、PWMオフ期間への遷移までが極めて短くなる。このとき、PWMオフ期間は、PWM周期Tの残時間分継続することになり、ほぼPWM周期Tと等しくなる。この現象は、1周期前のPWMオフ期間が極めて短く、巻線3を流れる電流の電流目標値からの減少量が極めて少ない状態で、PWMオン期間に遷移した場合、あるいは、検出電流値が、電流目標値を上回ったタイミングが、基準パルス生成部18がフリップフロップ17をセットする信号を出力するタイミングに合致した場合に生じる。
【0015】
巻線3を流れる電流の減少量は、PWMオフ期間がPWM周期Tである条件下で最大となり、(Voff/L)×Tが最大減少量となる。この最大減少量は、きわめて大きい値である。PWMオン期間に遷移後、PWM周期Tの期間内に必ずPWMオフ期間へ遷移する動作をする理想的なステッピングモータ駆動装置、つまり、一定のデューティ(「デューティ」とは、PWM周期Tに占めるPWMオン期間の割合であり、[PWMオン期間/PWM周期T]である。以降、この割合を単に「デューティ」と呼ぶ。)で巻線電流を流す動作をするステッピングモータ駆動装置では、PWMオフ期間の時間ToffはPWM周期Tに比べて小さく設定され(例えば、PWM周期Tの20%)、その結果、PWMオフ期間Toff内に巻線3を流れる電流の減少量(Voff/L)×Toffも小さい値(例えば、従来のステッピングモータ駆動装置における電流の減少量の20%)となる。従って、従来のステッピングモータ駆動装置における電流リップルは、理想的なステッピングモータ駆動装置における電流リップルと比してきわめて大きいといえる。この電流リップルの増大が、ステッピングモータにおける振動となる。
【0016】
このように、従来のステッピングモータ駆動装置では、電流リップルの増大と電流波形の有する周波数の低周波数化のために、特に動画撮影用電子機器への適用において、振動と騒音の低減効果が十分とはならず、ステッピングモータ動作の更なる低振動化および低騒音化への要求が依然として存在する。
【0017】
上記課題に鑑み、本発明は、駆動対象であるステッピングモータ動作を低振動化および低騒音化するステッピングモータ駆動装置及びその制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記の目的を達成するために、本発明に係る第1のステッピングモータ駆動装置は、ステッピングモータが備える巻線に給電する電流の制限値を示す参照信号を生成する参照信号生成手段と、オン状態において前記巻線に電流を給電し、オフ状態において前記巻線への電流の給電を停止するスイッチング手段と、前記巻線に給電された電流を測定する給電電流測定手段と、一定周期で基準パルスを出力する基準パルス生成手段と、前記基準パルスが出力されてから前記一定周期よりも短い所定時間が経過したことを示す計時完了信号を出力するタイマ手段と、前記基準パルスが出力された時点で前記スイッチング手段をオン状態にするとともに、前記給電電流測定手段によって測定された電流が、前記参照信号が示す電流制限値を超えた時点、及び、前記タイマ手段から計時完了信号が出力された時点のうちの早い時点で前記スイッチング手段をオフ状態にする制御手段とを備えることを特徴とする。これにより、巻線電流が電流制限値を超えた時点、及び、予め定められたPWM周期よりも短い所定時間が経過した時点のうちの早い時点でPWMオン期間からPWMオフ期間に遷移するので、巻線電流はPWM周期よりも短い時間で増減が繰り返されることとなり、電流波形の周波数の低下と電流リップルの増大が防止され、ステッピングモータの低振動化および低騒音化が実現される。
【0019】
ここで、前記制御手段は、例えば、前記給電電流測定手段によって測定された電流の大きさを示す信号と前記参照信号とを比較することによって、前記電流が前記電流制限値を超えたことを検出するコンパレータと、前記コンパレータからの出力信号と前記タイマ手段からの計時完了信号との論理和をとる論理和ゲートと、前記基準パルスによってセットされ、前記論理和ゲートからの出力信号によってリセットされるフリップフロップと、前記フリップフロップからの出力信号が第1状態のときに前記スイッチング手段をオン状態にし、前記フリップフロップからの出力信号が第2状態のときに前記スイッチング手段をオフ状態にする通電論理部とから構成することができる。
【0020】
また、本発明に係る第2のステッピングモータ駆動装置は、さらに、前記電流制限値の最大値についての指示を発する最大値指示手段と、電流制限値の最大値と前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値との組を複数個格納したテーブルを保持するとともに、前記最大値指示手段が指示した最大値に対応するタイマ設定値を前記テーブルから読み出して前記タイマ手段に出力するメモリ手段とを備え、前記タイマ手段は、前記メモリ手段から出力されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力し、前記参照信号生成手段は、前記参照信号が示す電流制限値の最大値が前記最大値指示手段によって指示された最大値となるような参照信号を生成することを特徴とする。これにより、目標電流の大きさに依存してタイマ設定値を変化させることができるので、目標電流の大きさに対応したきめ細かいパルス幅変調制御の最適化が可能となり、ステッピングモータがより低振動化および低騒音化される。
【0021】
また、本発明に係る第3のステッピングモータ駆動装置は、さらに、前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値を前記タイマ手段に指示する計時時間指示手段を備え、前記タイマ手段は、前記計時時間指示手段から指示されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力することを特徴とする。これにより、外部からの指示によってタイマ設定値を変化させることができるので、目標電流の大きさ等に対応したきめ細かいパルス幅変調制御の最適化が可能となり、ステッピングモータがより低振動化および低騒音化される。
【0022】
また、本発明に係る第4のステッピングモータ駆動装置は、さらに、前記参照信号の1周期内における時間位置を示すステップ信号を一定の時間間隔で出力するステップ制御手段と、前記ステップ信号が示す時間位置と前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値との組を複数個格納したテーブルを保持するとともに、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、受けたステップ信号が示す時間位置に対応するタイマ設定値を前記テーブルから読み出して前記タイマ手段に出力するメモリ手段とを備え、前記タイマ手段は、前記メモリ手段から出力されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力し、前記参照信号生成手段は、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、受けたステップ信号が示す時間位置に対応する電流制限値を示す参照信号を生成することを特徴とする。これにより、電流制限値の1周期における各時間位置に依存してタイマ設定値を変化させることができるので、目標電流の位相に対応したきめ細かいパルス幅変調制御の最適化が可能となり、ステッピングモータがより低振動化および低騒音化される。
【0023】
また、本発明に係る第5のステッピングモータ駆動装置は、さらに、前記電流制限値の最大値についての指示を発する最大値指示手段と、前記参照信号の1周期内における時間位置を示すステップ信号を一定の時間間隔で出力するステップ制御手段と、電流制限値の最大値と前記ステップ信号が示す時間位置との組み合わせと前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値との組を複数個格納したテーブルを保持するとともに、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、前記最大値指示手段が指示した最大値と前記ステップ制御手段から出力されたステップ信号が示す時間位置との組み合わせに対応するタイマ設定値を前記テーブルから読み出して前記タイマ手段に出力するメモリ手段とを備え、前記タイマ手段は、前記メモリ手段から出力されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力し、前記参照信号生成手段は、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、前記最大値指示手段が指示した最大値と前記ステップ制御手段から出力されたステップ信号が示す時間位置との組み合わせに対応する電流制限値を示す参照信号を生成することを特徴とする。これにより、目標電流の大きさ及び電流制限値の1周期における各時間位置に依存してタイマ設定値を変化させることができるので、目標電流の大きさ及び位相に対応したきめ細かいパルス幅変調制御の最適化が可能となり、ステッピングモータがより低振動化および低騒音化される。
【0024】
また、本発明に係る第6のステッピングモータ駆動装置はさらに、前記参照信号の1周期内における時間位置を示すステップ信号を一定の時間間隔で出力するステップ制御手段と、前記ステップ信号が示す時間位置と前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値との組を複数個指示する計時時間指示手段と、前記計時時間指示手段から指示された時間位置とタイマ設定値との組をテーブルとして保持するとともに、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、前記ステップ信号が示す時間位置に対応するタイマ設定値を前記テーブルから読み出して前記タイマ手段に出力するメモリ手段とを備え、前記タイマ手段は、前記メモリ手段から出力されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力し、前記参照信号生成手段は、前記ステップ制御手段から出力された前記ステップ信号を受けると、受けたステップ信号が示す時間位置に対応する電流制限値を示す参照信号を生成することを特徴とする。これにより、目標電流の大きさ及び電流制限値の1周期における各時間位置に依存してタイマ設定値を変化させることができるので、目標電流の大きさ及び位相に対応したきめ細かいパルス幅変調制御の最適化が可能となり、ステッピングモータがより低振動化および低騒音化される。
【0025】
なお、本発明に係るステッピングモータ駆動装置は、前記メモリ手段に代えて、予め定められた計算式に基づいてタイマ設定値を決定する手段を備えてもよい。つまり、前記ステッピングモータ駆動装置はさらに、前記電流制限値の最大値及び前記電流制限値の1周期における時間位置の少なくとも1つについての指示を取得し、取得した最大値及び時間位置の少なくとも1つから前記タイマ手段にセットしておく時間であるタイマ設定値を算出するタイマ設定値算出手段を備え、前記タイマ手段は、前記タイマ設定値算出手段によって算出されたタイマ設定値を前記所定時間として計時することにより前記計時完了信号を出力してもよい。これにより、最適なタイマ設定値は演算によって動的に算出されるので、各種タイマ設定値を登録したテーブルを保持しておく必要がなくなる。
【0026】
また、本発明は、上記のようなステッピングモータ駆動装置として実現できるだけでなく、同様の機能を1チップの回路で実現した半導体集積回路、ステッピングモータ駆動装置における制御方法、その制御方法に含まれるステップをコンピュータに実行させるプログラム、そのプログラムを記録したCD−ROM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体等として実現することもできる。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るステッピングモータ駆動装置によると、給電電流測定手段が検出した検出電流と参照信号生成手段が出力する電流制限値との比較結果に加えて、PWMオン期間の時間を制限するタイマ手段を用いてPWMオフ期間への遷移を行うことにより、PWMオン期間の最大時間をPWM周期以内に制限しているので、PWMオン期間がPWM周期の複数期間に渡って継続することを防止でき、電流波形の有する周波数の低周波数化を防止することができる。
【0028】
そして、PWMオフ期間の最大時間は、PWM周期TからPWMオン期間の最小時間を減じた残時間で与えられ、PWM周期Tより必ず短くなるため、従来のステッピングモータ駆動装置と比べ、電流リップルを減少させることができる。
【0029】
よって、電流波形の有する周波数の低周波数化の防止と、電流リップルの減少により、ステッピングモータ駆動装置を低騒音化および低振動化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明に係るステッピングモータ駆動装置の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
(第1の実施の形態)
まず、図1〜図5を参照しながら、本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置を説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。図2は、本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の電流波形図である。図3は、本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の電流経路図である。図4は、本発明の第1の実施の形態における給電電流測定部の一例を示す図である。図5は、理想的なステッピングモータ駆動装置の電流波形図である。なお、本実施の形態及び以降の実施の形態において、巻線毎に設けられる構成要素は同一であるため、ステッピングモータ2を構成する他の巻線および他の巻線に設けられる構成要素の図示と説明を省略し、巻線3に設けられる構成要素について説明する。
【0032】
図1に示されるように、第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、電源1、制御対象であるステッピングモータ2(巻線3、回転子4)、巻線3への給電を制御する、つまり、オン状態において巻線3に電流を給電し、オフ状態において巻線3への電流の給電を停止するスイッチング部5(巻線3への給電経路となるトランジスタ6〜9、フライホイールダイオード10〜13)、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成部14、パルス幅変調制御部15a、給電電流測定部20及びタイマ部31から構成される。パルス幅変調制御部15aはさらに、コンパレータ16、フリップフロップ17、基準パルス生成部18、通電論理部19及びORゲート30から構成される。この構成は、図20に示された従来のステッピングモータ駆動装置の構成にORゲート30とタイマ部31とを付加したものに相当する。
【0033】
ORゲート30は、コンパレータ16からの出力信号とタイマ部31からの出力信号(計時完了信号)との論理和をとり、その結果をフリップフロップ17のリセット端子に出力するゲートであり、検出電流値が電流目標値を上回った時点、あるいは、タイマ部31が所定の時間を計時した時点で、フリップフロップ17をリセットする役割を果たす。
【0034】
タイマ部31は、予め設定された時間(PWM周期Tよりも小さい時間)を計時すると、その旨を示すパルス信号(計時完了信号)を出力するタイマである。
【0035】
本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、巻線3へ供給される平均電流が、参照信号生成部14が生成する電流制限値に漸近するべく、パルス幅変調制御(以降、パルス幅変調制御を「PWM制御」と呼ぶ。)、より詳しくは、電流チョッパ方式でPWM制御する。
【0036】
まず、参照信号生成部14が生成する参照信号について説明する。参照信号生成部14は、ステップ状に増加し、そして減少する階段波の参照信号を生成し、電流目標値としてコンパレータ16へ出力する。電流目標値がステップ状に増加もしくは減少することによって、ステッピングモータは単位角度ずつ回転する。なお、電流目標値のステップの進行は、ステップの進行を指示するCLKの入力によってなされるが、タイマによるステップ進行間隔の計時によってなされる構成としても、本発明の効果を得ることができる。電流目標値のステップが進行する周期は、入力CLK周期、あるいはステップ進行間隔を決定するタイマの周期によって、決定され、電流目標値のステップが進行する周期によって、ステッピングモータが単位角度を回転する周期が決まり、ひいては、ステッピングモータの回転周期が決まる。電流目標値は、低騒音、低振動の観点からは、正弦波状の信号であることが望ましい。参照信号生成部14は、正弦波をサンプリングした階段波を生成する。ステップの進行に伴い、各ステップにて、正弦波をサンプリングした階段波の各値を順に出力することにより、正弦波をサンプリングした階段波が出力される。階段状のレベル変化による急峻な電流変化を回避するため、ローパスフィルタ等の積分器により階段波を平滑化した正弦波状の参照信号を、電流目標値としてコンパレータ16へ出力する。なお、必ずしも正弦波をサンプリングした階段波である必要ではなく、実装面積の観点から、近似正弦波をサンプリングした階段波、あるいは正弦波から逸脱した階段波を用いることも可能である。また、階段状のレベル変化による急峻な電流変化が許容可能な場合には、平滑化していない階段波を、コンパレータ16へ出力することも可能である。
【0037】
パルス幅変調制御部15aは、巻線3の電流をPWM制御する。以下、パルス幅変調制御部15aによるPWM制御動作について、図2を参照して、詳細に説明する。図2には、ステッピングモータ駆動装置の電流波形に加えて、PWM制御動作に係る主要信号の時間変化を示す。
【0038】
基準パルス生成部18は、巻線3への給電開始を指示する一定周期(PWM周期T)の信号を、フリップフロップ17のセット端子へ出力し、一定周期毎にフリップフロップ17をセットする(図2(a))。フリップフロップ17がセットされることにより、フリップフロップ17の出力信号を受けた通電論理部19が、トランジスタ6〜9を導通(オン状態)または遮断(オフ状態に)するゲート信号をトランジスタ6〜9へ供給して、スイッチング部5を構成するトランジスタ6と9のいずれかと、トランジスタ7と8のいずれかを、電源から接地への貫通が発生しない組合せとタイミングで導通させることで、巻線3への給電を開始し、これにより巻線3を流れる電流が増加し始める(図2(g))。基準パルス生成部18が生成する一定周期(PWM周期T)の信号毎に、巻線3への給電が開始され、PWMオン期間への遷移が行われるため、基準パルス生成部18が生成する一定周期がPWM周期として作用する。
【0039】
トランジスタ6と7へは、トランジスタが導通するゲート信号が供給され、トランジスタ8と9へは、トランジスタが遮断するゲート信号が供給されている場合について、PWMオン期間での電流経路を、図3(a)中の電流経路40に示す。図3(a)においては、電源1からトランジスタ6と巻線3とトランジスタ7と給電電流測定部20を経由して接地へ電流が流れることで、電源1から巻線3への給電がなされる。なお、本実施の形態では、給電電流測定部20を、接地とスイッチング部5の間に配置することで、給電電流測定部20を経由して接地へ流れる電流を検出しているが、給電電流測定部20を、電源1とスイッチング部5の間に配置することで、電源1から給電電流測定部20を経由して流れる電流を検出することも可能であり、その場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0040】
フリップフロップ17がセットされることにより、フリップフロップ17の出力信号を受けたタイマ部31が、それまでの計時内容をリセットし、新たに計時を開始する。タイマ部31は、計時開始から所定の時間が経過した後に、ORゲート30へ計時完了信号を出力する。なお、図2に示す本実施の形態では、フリップフロップ17がセットされる側への遷移時に、タイマ部31の計時内容をリセットしているが、フリップフロップ17がリセットされた時点で、計時内容をリセットした上で計時停止し、フリップフロップ17がセットされた後に、新たに計時開始することも可能である。
【0041】
図3(a)中の電流経路40に示した巻線3を流れる電流は、給電電流測定部20にて検出され、給電電流測定部20は、巻線3を流れる検出電流値をコンパレータ16へ出力する。図4は、給電電流測定部20の構成を示す回路図である。この給電電流測定部20は、検出抵抗41、センスアンプ42、ゲイン設定抵抗43及び44から構成される。電流経路40に示した巻線3を流れる電流は、検出抵抗41を通じて接地へ流入する。検出抵抗41の端子に発生する電圧が、センスアンプ42の非反転入力端子へと入力される。センスアンプ42の入力から出力への電圧ゲインは、ゲイン設定抵抗43と44によって設定される。非反転入力端子へと入力された電圧をゲイン倍した電圧が、巻線3を流れる電流の検出電流値として、センスアンプ42からコンパレータ16へ出力される。
【0042】
コンパレータ16へは、参照信号生成部14から電流目標値と、給電電流測定部20から検出電流値とが入力される。コンパレータ16は、入力された電流目標値と検出電流値を比較し、検出電流値が電流目標値を上回った時点で、ORゲート30を通じて、フリップフロップ17をリセットすることで(図2(b))、PWMオフ期間へ遷移する(図2(d)、(e)、(g))。本実施の形態においては、図2中の時刻Aに示すように、検出電流値が電流目標値を上回ったことを検出する以前であっても、タイマ部31が所定の時間(PWM周期よりも短い時間)を計時し、ORゲート30へ計時完了信号が出力された場合には、ORゲート30を通じて、フリップフロップ17がリセットされ、電流検出によらず、PWMオフ期間へ遷移する。タイマ部31によるPWMオフ期間への遷移が、本発明の特徴であり、複数のPWM周期に渡って、検出電流値が電流目標値を下回り続けたとしても、タイマ部31が、PWM周期Tよりも小さい設定時間の計時を完了するので、フリップフロップ17をリセットする。これにより、PWMオフ期間へ遷移することで、PWMオン期間の最大時間が制限され、PWMオン期間がPWM周期の複数期間に渡って継続することがない。言い換えれば、PWM制御における最大デューティがタイマ部31により制限される。
【0043】
本動作によって、第1の課題であったPWMオン期間がPWM周期の複数期間に渡って継続することが防止され、電流波形の有する周波数の低周波数化を防止することができる。
【0044】
なお、本実施の形態では、ORゲートを用いて構成しているが、信号の極性を変更することで、論理ゲートの種類を変更する事は可能である。本発明にて意図する動作は、検出電流値が電流制限値よりも大きくなった時点、もしくは、タイマ部31が計時完了信号を出力した時点で、PWMオフ期間へ遷移することであり、このように意図する動作を行う限り、ORゲートに代えて、NORゲート、あるいはANDゲート、あるいはNANDゲートで構成しても、本実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0045】
同様に、本実施の形態では、フリップフロップ17のセットおよびリセットとPWMオン期間およびPWMオフ期間の関係を、フリップフロップ17のセットによってPWMオン期間へ遷移、フリップフロップ17のリセットによってPWMオフ期間へ遷移となるような関係に構成しているが、その関係を入れ替えて構成することも可能であり、その場合であっても、本実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0046】
なお、検出電流値について、より詳しく補足すれば、PWMオン期間への遷移直後には、検出電流値にオーバーシュートが存在する場合がある。オーバーシュートは、主にスイッチング部5が有する寄生容量の放電電流、例えば、トランジスタ7のドレイン−ゲート間寄生容量の電荷を放電する電流が給電電流測定部20へ流入することにより発生する。したがって、給電電流測定部20とコンパレータ16が、オーバーシュートに追従すれば、巻線3の電流が実際には電流目標値を上回っていなくとも、オーバーシュートによって上回ったと誤検出される場合がある。その場合には、オーバーシュートが発生している可能性のある一定時間中は、給電電流測定部20とコンパレータ16による電流検出をマスクする(以降、電流検出をマスクする時間を「マスク時間」と呼ぶ。)。本実施の形態においては、フリップフロップ17にセット優先のフリップフロップを用い、かつ、基準パルス生成部18が出力する信号のパルス幅をマスク時間に相当するパルス幅とすることで、電流検出のマスクが行える。すなわち、基準パルス生成部18がマスク時間に相当するパルス幅を出力している間は、コンパレータ16がオーバーシュートによって誤検出しても、フリップフロップ17がセット優先であるため、リセットされる事がない。また、マスク時間中に、給電電流測定部20の出力、または、コンパレータ16の出力を固定しても、同様の効果を得ることができる。
【0047】
続いて、フリップフロップ17のリセット動作について説明する。本実施の形態では、フリップフロップ17をリセットすることにより、通電論理部19は、トランジスタが遮断するゲート信号をトランジスタ7と8へ供給する。トランジスタ7と8の両方が遮断されることで、PWMオフ期間へ遷移し、巻線3への給電が遮断され、巻線3を流れる電流は回生動作により減少を開始する。
【0048】
PWMオフ期間への遷移直前に、トランジスタ6と7が導通していた場合について、PWMオフ期間での電流経路を、図3(b)中の電流経路40に示す。図3(b)においては、巻線3を流れる電流は、フライホイールダイオード11とトランジスタ6とを経由して回生し、減少する。
【0049】
なお、本実施の形態では、フライホイールダイオード10〜13を設けているが、トランジスタ6〜9のバックゲートとドレインで構成されるボディダイオードで代用することも可能である。また、PWMオフ期間中の巻線3を流れる電流の減少量を軽減する目的においては、フライホイールダイオード10〜13としてショットキバリアダイオードを用いることも可能である。
【0050】
フリップフロップ17のリセットによるPWMオフ期間への遷移後、基準パルス生成部18が一定周期毎にフリップフロップ17をセットすることで、動作が繰り返される。このPWMオン期間中の電流の増加とPWMオフ期間中の電流の減少の繰返しによって、巻線3へ供給される平均電流が、電流目標値に漸近するように動作する。
【0051】
以下、第2の課題であった電流リップルの増大を防止する作用について説明する。
前述の通り、従来のステッピングモータ駆動装置においては、巻線3を流れる電流の減少量は、PWMオフ期間がPWM周期Tである条件下で最大となり、(Voff/L)×Tが最大減少量となる。ここで、Lは巻線3のインダクタンス値、VoffはPWMオフ期間に巻線3に印加される電圧である。
【0052】
一方、本実施の形態においては、次の条件下で、巻線3を流れる電流の減少量が最大となる。
【0053】
条件:「1周期前のPWM制御において、タイマ部31によるPWMオフ期間への遷移と、コンパレータ16によるPWMオフ期間への遷移が同時に発生する。」
【0054】
すなわち、タイマ部31による計時完了信号の出力と同時に、給電電流測定部20の検出電流値が、参照信号生成部14から入力される電流制限値を上回ることであり、図2中の時刻Bに示す現象である。上記条件において、PWMオン期間が最大、かつ、巻線3を流れる電流が電流目標値となる。PWMオフ期間は、PWM周期TからPWMオン期間を減じた残時間で与えられるため、PWMオン期間が最大時に、PWMオフ期間は最小となる。したがって、図2中の時刻BにおけるPWMオフ期間が最小PWMオフ期間(ここでは、最小PWMオフ期間34として示す。)である。最小PWMオフ期間をToff_minと表記し、PWM周期をT、タイマ部31による計時時間兼最大PWMオン期間をTtimerと表記するとき、最小PWMオフ期間Toff_minは、次式で表現される。
【0055】
Toff_min=(T−Ttimer) ・・・・・・式(1)
【0056】
上記条件において、PWMオフ期間へ遷移した時点、すなわち図2中の時刻Bでは、巻線3を流れる電流は、電流目標値であり、最小PWMオフ期間34中に減少する電流量は、再びPWMオン期間へ遷移する際には、電流目標値からの差分となる。最小PWMオフ期間34中に減少する電流量は、減少時間が最小であるため、最小の電流減少量である。この電流減少量をIdropと表記し、巻線3のインダクタンス値をL、PWMオフ期間に巻線3に印加される電圧をVoffとすると、最小PWMオフ期間34中に減少する最小の電流減少量Idropは、次式で近似される。
【0057】
Idrop=(Voff / L)×Toff_min ・・・・・・式(2)
【0058】
最小PWMオフ期間34後のPWMオン期間への遷移において、電流目標値からの差分は最小のIdropである。したがって、PWMオン期間への遷移後に、参照信号生成部14から入力される電流目標値を検出電流値が上回るまでの時間も最小となる。その時間が、最小のPWMオン期間であり、図2中の時刻Cにおける最小PWMオン期間35として示される。最小PWMオン期間をTon_minと表記し、PWMオン期間に巻線3に印加される電圧をVonすると、最小PWMオン期間Ton_minは、次式で近似される。
【0059】
Ton_min=(Idrop × L)/Von ・・・・・・式(3)
【0060】
前述の通り、PWMオフ期間は、PWM周期TからPWMオン期間を減じた残時間で与えられるため、PWMオン期間が最小時に、PWMオフ期間は最大となる。したがって、図2中の時刻CにおけるPWMオフ期間が最大PWMオフ期間(ここでは、最大PWMオフ期間36として示す。)である。最大PWMオフ期間をToff_maxと表記するとき、最大PWMオフ期間Toff_maxは、次式で表現される。
【0061】
Toff_max=(T−Ton_min) ・・・・・・式(4)
【0062】
巻線3を流れる電流の減少量は、PWMオフ期間が最大PWMオフ期間36である条件下で最大となり、最大減少量をIrippleと表記するとき、最大減少量Irippleは、次式で近似される。
【0063】
Iripple=(Voff / L)×Toff_max ・・・・・・式(5)
【0064】
式(1)〜式(5)より、最大減少量Irippleは、次式で表現される。
【0065】
Iripple=[(Voff/L)×T]−[(T−Ttimer)×Voff×Voff/Von/L] ・・・・・・式(6)
【0066】
ここで、従来のステッピングモータ駆動装置における電流の減少量は、[(Voff/L)×T]である。したがって、従来のステッピングモータ駆動装置と比して、[(T−Ttimer)×Voff×Voff/Von/L]の項で表される電流量が、電流リップルとして軽減されることになり、第2の課題であった電流リップルの増大を防止することができる。
【0067】
なお、本実施の形態においては、PWMオフ期間においてトランジスタ7と8を遮断する、いわゆる下チョッパ動作で説明を行ったが、PWMオフ期間においてトランジスタ6と9を遮断する、いわゆる上チョッパ動作にて構成しても、本実施の形態と同様の効果を得ることが出来る。
【0068】
以上の説明の通り、本実施の形態によれば、第1の課題であったPWMオン期間がPWM周期の複数期間に渡って継続することが防止され、電流波形の有する周波数の低周波数化を防止することができる。また、第2の課題であった電流リップルの増大を防止することができる。このことより、本実施の形態によって、ステッピングモータ駆動装置を低騒音化および低振動化することができる。
【0069】
つまり、本実施の形態によれば、図5に示されるような理想的なステッピングモータ駆動装置の動作に近い動作が行われ、電流波形の有する周波数の低周波数化が防止されるとともに、電流リップルの増大が防止される。ここで、理想的なステッピングモータ駆動装置とは、図5(e)に示される巻線電流の波形のように、PWM周期Tの期間内に必ず一定のデューティでPWMオン期間とPWMオフ期間(例えば、PWM周期Tの80%がPWMオン期間で、残る20%がPWMオフ期間)が繰り返される動作をする装置である。
【0070】
なお、本実施の形態では、図3(b)にPWMオフ期間での電流経路40が示されたが、PWMオフ期間での電流経路としては、このような経路に限られない。たとえば、図6(a)に示される電流経路40のように、PWMオフ期間中に、巻線3を流れる電流の減少量を軽減して、巻線3を流れる電流のリップルを軽減する目的で、トランジスタ6と9の両方を導通させることも可能である。このとき、フライホイールダイオード11による電力消費が、トランジスタ9のオン抵抗による電力消費へと置き換わり、減少することで、PWMオフ期間中の巻線3を流れる電流の減少量が軽減される。図6(a)においては、巻線3を流れる電流は、トランジスタ6と9とを経由して回生し、減少する。さらに、図6(b)に示される電流経路40のように、PWMオフ期間中に、巻線3を流れる電流を速やかに減少させる目的で、トランジスタ6と9の両方を遮断することも可能である。図6(b)においては、巻線3を流れる電流は、フライホイールダイオード10と11とを経由して回生し、減少する。
【0071】
また、本実施の形態では、給電電流測定部20は、図4に示される構成を備えたが、給電電流測定部としては、このような回路に限られない。例えば、図7(a)に示される給電電流測定部20aのように、センスアンプ42をもたない簡易な回路であってもよい。この給電電流測定部20aでは、検出抵抗41における電圧降下によって巻線電流が検出される。また、図7(b)に示される給電電流測定部20bのように、ゲート印加電圧46を与えたときのMOSトランジスタ45のオン抵抗を用いて、図4における検出抵抗41と同様の作用を得ることも可能である。もちろん、図7(b)に示すように、ゲート印加電圧46を与えたときのMOSトランジスタ45のオン抵抗を用いた上で、図7(a)に示される給電電流測定部20aのように、センスアンプ42を省いて構成することも可能である。
【0072】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0073】
本発明の第2の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置と比べて、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間が、参照信号によって表される電流制限値の最大値(以降、電流制限値の最大値を「電流目標値の最大値」と呼ぶ。)に対応してメモリ部より選択される点で異なる。以下、図8〜図10を参照しながら、主に第1の実施の形態との違いを説明し、第1の実施の形態と同一の動作については、説明を省略する。
【0074】
図8は、本発明の第2の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。このステッピングモータ駆動装置は、電源1、制御対象であるステッピングモータ2(巻線3、回転子4)、巻線3への給電を制御するスイッチング部5(巻線3への給電経路となるトランジスタ6〜9、フライホイールダイオード10〜13)、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成部14a、パルス幅変調制御部15a、給電電流測定部20、タイマ部31、最大値指示部50及びメモリ部51から構成される。この構成は、図1に示された第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成において、参照信号生成部14を参照信号生成部14aに置き換え、さらに、最大値指示部50とメモリ部51とを付加したものに相当する。
【0075】
最大値指示部50は、電流目標値の最大値を参照信号生成部14a及びメモリ部51へ指示する処理部であり、図9に示されるように、シリアルインターフェース52と最大値設定DAC53とから構成される。シリアルインターフェース52は、マイコンによる制御あるいはユーザによる指令によって、参照信号生成部14aが生成する電流目標値の最大値を指定するコードを最大値設定DAC53へ出力する。最大値設定DAC53は、シリアルインターフェース52の指定する電流目標値の最大値を、参照信号生成部14a及びメモリ部51へ出力する。
【0076】
メモリ部51は、図10に示されるように、電流目標値の最大値とタイマ部31にプリセットしておく時間であるタイマ設定値とを対応づけたテーブルを記憶するメモリ等である。このメモリ部51は、最大値指示部50が出力する電流目標値の最大値に対応して、巻線3に電流目標値の最大値の電流を流すために必要なデューティ、すなわちPWMオン期間の制限時間(「タイマ設定値」)をテーブルとして保持し、最大値指示部50からの電流目標値の最大値、もしくは、電流目標値の最大値を指定するコードを受け取ると、その値、もしくは、コードに対応するタイマ設定値をタイマ部31へ出力する。なお、メモリ部51が保持するテーブルは、例えば、図10に示されるように、電流目標値の最大値が大きい場合にはPWM制御における最大デューティを大きく、電流目標値の最大値が小さい場合にはPWM制御における最大デューティを小さく設定できるように作成されている。
【0077】
参照信号生成部14aは、最大値指示部50(最大値設定DAC53)から出力される電流目標値の最大値をピーク値とする正弦波をサンプリングした階段波、あるいは、その階段波を平滑化した電圧を、電流制限値を表す参照信号としてコンパレータ16へ出力する。
【0078】
以上のように構成された第2の実施の形態の特徴は次の通りである。つまり、前述の通り、第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置においては、[(T−Ttimer)×Voff×Voff/Von/L]の項で表される電流量が電流リップルとして軽減される。したがって、タイマ部31による計時時間Ttimerを、より短くすること、すなわち、PWM制御における最大デューティを小さく設定することにより、より大きな電流リップルの軽減効果を得ることができる。しかしながら、PWM制御における最大デューティを小さく設定することは、巻線3に流せる最大電流を制限することであり、電流目標値を巻線3に流すために必要なデューティ以下には、最大デューティを設定することはできない。このため、電流目標値の最大値を何種類か切り替えるような場合には、その中でも最大の電流値を流すために必要となるデューティに合わせて、タイマ部31による計時時間Ttimerを設定する必要があり、より低い電流値に対しては最適な設定が行えず、最大限の電流リップルの軽減効果を得ることができない。本実施の形態は、電流目標値の複数の最大値に対して、最適な設定を行う目的を果たすものである。
【0079】
以下、本実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の動作について説明する。
まず、最大値指示部50と参照信号生成部14aとが生成する電流目標値について説明する。最大値指示部50は、シリアルインターフェース52の指定する電流目標値の最大値を参照信号生成部14aへ出力する。参照信号生成部14aは、最大値設定DAC53が出力する電流目標値の最大値をピーク値とする正弦波をサンプリングした階段波を生成する。そして、階段状のレベル変化による急峻な電流変化を回避するため、ローパスフィルタ等の積分器により階段波を平滑化した正弦波を、電流制限値を表す参照信号としてコンパレータ16へ出力する。なお、必ずしも正弦波をサンプリングした階段波である必要ではなく、実装面積の観点から、近似正弦波をサンプリングした階段波、あるいは正弦波から逸脱した階段波を用いることも可能である。また、階段状のレベル変化による急峻な電流変化が許容可能な場合には、平滑化していない階段波を、コンパレータ16へ出力することも可能である。また、本実施の形態では、最大値指示部50を、シリアルインターフェース52と最大値設定DAC53とから構成したが、生成する電流目標値の最大値を指定するコードを、シリアルインターフェース52から、参照信号生成部14aへ直接出力する構成とすることも可能であり、その場合であっても本実施の形態の効果を得ることが可能である。さらに、マイコンによる制御あるいはユーザによる指令の手段として、シリアルインターフェースで構成したが、その他のインターフェースを用いて構成しても、本実施の形態の効果を得ることが可能である。同じく、指定される電流目標値の最大値を出力する手段として、DACで構成したが、その他の要素を用いて構成しても、インターフェースから指定される最大値を出力できる要素であれば、本実施の形態の効果を得ることが可能である。
【0080】
次いで、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間について説明する。メモリ部51は、最大値指示部50から出力された電流目標値の最大値に対応するPWMオン期間の制限時間をタイマ部31へ出力する。このことにより、電流目標値の最大値が大きい場合にはPWM制御における最大デューティを大きく、電流目標値の最大値が小さい場合にはPWM制御における最大デューティを小さく設定し、最適化することができる。
【0081】
なお、本実施の形態ではメモリ部51を、電流目標値の最大値とPWMオン期間の制限時間を対応させたテーブルとして構成したが、電流目標値の最大値を入力として、PWMオン期間の制限時間を出力する計算式を保持し、演算させることも可能であり、その場合であっても本実施の形態の効果を得ることが可能である。ここでいう計算式とは、例えば、電源電圧をV、PWMオン期間時の経路抵抗をR、入力する電流目標値の最大値をImax、出力するPWMオン期間の制限時間をTon、PWM周期をT、ばらつきに対するマージン係数をαとしたときに、[Ton=α × Imax × T × R / V]で示されるような計算式である。もちろん、上式に限定されるものではなく、入力された電流目標値の最大値に対して、巻線3へ電流目標値の最大値を流すことが可能なPWMオン期間の制限時間を出力する計算式であれば、本発明の効果を得ることが可能である。
【0082】
タイマ部31は、メモリ部51から入力されるPWMオン期間の制限時間を計時することで、計時完了信号を出力し、計時完了信号の出力時点で、PWMオフ期間へ未遷移であれば、PWMオフ期間への遷移を行う。
【0083】
以上の動作によって、本実施の形態によれば、第1の実施の形態における効果に加えて、電流目標値の最大値を何種類か切り替えるような場合においても、電流目標値の複数の最大値に対して、電流リップルの増大を防止する効果を最適化することができる。このことより、本実施の形態によって、ステッピングモータ駆動装置を、より低騒音化および低振動化することができる。
【0084】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0085】
本発明の第3の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置と比べて、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間が、マイコンによる制御あるいはユーザによる指令によって、詳細に、かつ、任意に指定される点で異なる。以下、図11を参照しながら、主に第1の実施の形態との違いを説明し、第1の実施の形態と同一の動作については、説明を省略する。
【0086】
図11は、本発明の第3の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。このステッピングモータ駆動装置は、電源1、制御対象であるステッピングモータ2(巻線3、回転子4)、巻線3への給電を制御するスイッチング部5(巻線3への給電経路となるトランジスタ6〜9、フライホイールダイオード10〜13)、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成部14、パルス幅変調制御部15a、給電電流測定部20、タイマ部31及び計時時間指示部55から構成される。この構成は、図1に示された第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成に計時時間指示部55を付加したものに相当する。
【0087】
計時時間指示部55は、タイマ部31の設定値(PWM周期よりも短い時間を示すタイマ設定値)について、マイコンによる制御あるいはユーザによる指令を取得し、その指令に対応するタイマ設定値をタイマ部31に出力(指示)して設定するシリアルインターフェース等である。
【0088】
以上のように構成された第3の実施の形態の特徴は次の通りである。つまり、第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置においては、電流目標値の最大値を何種類か切り替えるような場合には、その中でも最大の電流値を流すために必要となるデューティに合わせて、タイマ部31による計時時間Ttimerを設定する必要があり、より低い電流値に対しては最適な設定が行えず、最大限の電流リップルの軽減効果を得ることができない。本実施の形態は、電流目標値の複数の最大値に対して、最適な設定を行う目的を果たすものである。
【0089】
以下、本実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の動作について説明する。ここでは、計時時間指示部55が出力する計時時間について説明する。計時時間指示部55は、タイマ部31へ、計時完了信号を出力するまでの計時時間(タイマ設定値)を出力する。電流目標値の最大値が大きい場合にはPWM制御における最大デューティを大きくする計時時間、電流目標値の最大値が小さい場合にはPWM制御における最大デューティを小さくする計時時間が、マイコンにおける演算結果、あるいはユーザによる設定として、計時時間指示部55から入力されることで、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間が、詳細に任意に指定される。これにより、第2の実施の形態と同様に、電流目標値の各最大値に対して、電流リップルの軽減効果を細かく最適化することができる。
【0090】
なお、マイコンによる制御あるいはユーザによる指令の手段として、シリアルインターフェースで構成したが、その他のインターフェースを用いて構成しても、本実施の形態の効果を得ることが可能である。
【0091】
以上の動作によって、本実施の形態によれば、第1の実施の形態における効果に加えて、電流目標値の最大値を何種類か切り替えるような場合においても、電流目標値の複数の最大値に対して、電流リップルの増大を防止する効果を細かく最適化することができる。このことより、本実施の形態によって、ステッピングモータ駆動装置を、より低騒音化および低振動化することができる。
【0092】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
【0093】
本発明の第4の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置と比べて、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間が、ステッピングモータの駆動ステップに対応してメモリ部より選択される点で異なる。以下、図12〜図15を参照しながら、主に第1の実施の形態との違いを説明し、第1の実施の形態と同一の動作については、説明を省略する。
【0094】
図12は、本発明の第4の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。このステッピングモータ駆動装置は、電源1、制御対象であるステッピングモータ2(巻線3、回転子4)、巻線3への給電を制御するスイッチング部5(巻線3への給電経路となるトランジスタ6〜9、フライホイールダイオード10〜13)、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成部14b、パルス幅変調制御部15a、給電電流測定部20、タイマ部31、ステップ制御部56及びメモリ部51aから構成される。この構成は、図1に示された第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成において、参照信号生成部14を参照信号生成部14bに置き換え、さらに、ステップ制御部56とメモリ部51aとを付加したものに相当する。
【0095】
ステップ制御部56は、一定の時間間隔で、電流目標値の1周期における各時間位置(例えば、1周期を64分割した各位置:駆動ステップ値)を示す駆動ステップ信号を参照信号生成部14b及びメモリ部51aに出力する回路であり、図13のステップ制御部56に示されるように、分周回路57と駆動ステップカウント部59とから構成される。ステップ制御部56へは、電流目標値のステップの進行を指示するCLKが入力される(ステップ制御部56へ入力されるCLKを単に「入力CLK」と呼ぶ)。この入力CLKは、分周回路57に入力される。通常、入力CLKは、電流目標値のステップが進行する周期より高速であるため、電流目標値のステップが進行する周期そのものとするために、分周回路57は、入力CLKを分周することにより、駆動CLK58を出力する。なお、ステップ制御部56へ与えられる入力CLKが、電流目標値のステップが進行する周期そのものである場合には、分周回路57は不要であり、入力CLKが、そのまま駆動CLK58となる。その場合であっても、本発明の効果を得ることができる。駆動CLK58は、駆動ステップカウント部59へ入力される。駆動ステップカウント部59は、駆動CLK58の入力毎に、駆動ステップを進めて、駆動ステップ値を表す信号として、ステップ信号60を参照信号生成部14b及びメモリ部51aへ出力する。
【0096】
参照信号生成部14bは、ステップ制御部56から出力されるステップ信号60に対応した電流目標値を出力する回路であり、図13の参照信号生成部14bに示されるように、電流目標値対応テーブル61と目標値設定DAC63と積分器65とから構成される。
【0097】
参照信号生成部14bへ入力されたステップ信号60は、駆動ステップ値を表す信号として、電流目標値対応テーブル61へ入力される。電流目標値対応テーブル61は、各駆動ステップ値に対応する電流目標値を保持している。一例として、図14に保持する電流目標値を示す。図14に示される例では、電流目標値対応テーブル61は、正弦波状の電流目標値をサンプリングした値を各駆動ステップ値に対応した電流目標値として保持している。より正確には、各駆動ステップ値に対応した電流目標値を後段の回路で生成するためのコードを保持している。一例としては、電流目標値のデジタル値であり、一例としては、後段の回路で生成される複数の電流目標値から各駆動ステップ値に対応する電流目標値を選択する指令である。なお、電流目標値対応テーブル61が保持する電流目標値は、図14の値に限定するものではなく、正弦波から逸脱しても、方形波であっても、駆動ステップ値に対応して電流目標値が定まれば、本発明の効果を得ることができる。また、図14では、電流目標値をピーク電流値に対するパーセントで保持しているが、電流目標値そのものを保持しても、本発明の効果を得ることができる。
【0098】
電流目標値対応テーブル61は、入力されたステップ信号60に対応する電流目標値を指定するための指定コード62を目標値設定DAC63へ出力する。指定コード62は、一例としては、ステップ信号60に対応する電流目標値のデジタル値である。この場合、目標値設定DAC63は、電流目標値のデジタル値である指定コード62をDA変換した信号を、電流目標値の階段波64として出力する。指定コード62は、一例としては、後段の回路で生成される複数の電流目標値から、各駆動ステップ値に対応する電流目標値を選択する指令である。この場合、目標値設定DAC63は、各駆動ステップに対応する複数の電流目標値を生成し、その中から指定コード62が指定する電流目標値を電流目標値の階段波64として出力する。目標値設定DAC63への入力は、離散的であるため、目標値設定DAC63の出力は階段波となる。電流目標値の階段波64は、階段状のレベル変化による急峻な電流変化を回避するため、ローパスフィルタ等で構成される積分器65へ出力される。そして、積分器65は階段波を平滑化した正弦波状の参照信号66を電流目標値として出力する。なお、階段状のレベル変化による急峻な電流変化が許容可能な場合には、電流目標値の階段波64を参照信号66として用いても良い。この場合には、積分器65は不要である。
【0099】
メモリ部51aは、図15に示されるように、ステップ制御部56から指示されるステップ信号60が示す駆動ステップ値(ここでは、0〜63の整数値)とタイマ設定値(PWM周期よりも短い時間を示すタイマ設定値)とを対応づけたテーブルを記憶するメモリ等である。このメモリ部51aは、ステップ信号60が示す駆動ステップ値毎に、対応する電流目標値を巻線3に流すために必要なデューティ、すなわちPWMオン期間の制限時間(タイマ部31に設定するタイマ設定値)をテーブルとして保持し、ステップ信号60が入力されると、ステップ信号60が示す駆動ステップ値毎に、対応するPWMオン期間の制限時間(タイマ設定値)を、タイマ部31へ出力する。
【0100】
以上のように構成された第4の実施の形態の特徴は次の通りである。つまり、前述の通り、第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置においては、[(T−Ttimer)×Voff×Voff/Von/L]の項で表される電流量が、電流リップルとして軽減される。したがって、タイマ部31による計時時間Ttimerを、より短くすること、すなわち、PWM制御における最大デューティを小さく設定することにより、より大きな電流リップルの軽減効果を得ることができる。しかしながら、PWM制御における最大デューティを小さく設定することは、巻線3の最大電流を制限することであり、電流目標値の最大値を巻線3に流すために必要なデューティ以下には、最大デューティを設定することはできない。電流目標値は正弦波状の信号であり、電流目標値が低い駆動ステップがあるにも関わらず、上記理由から、正弦波のピークに対応する電流目標値を流すために必要となるデューティに合わせて、タイマ部31による計時時間Ttimerを設定する必要があり、電流目標値が低い駆動ステップに対しては、最適な設定が行えず、最大限の電流リップルの軽減効果を得ることができない。本実施の形態は、正弦波のピークに対応する駆動ステップ以外の各駆動ステップに対して最適な設定を行う目的を果たすものである。
【0101】
以下、本実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の動作について説明する。
まず、ステップ制御部56と参照信号生成部14bの動作について説明する。ステップ制御部56は、目標電流値を変化させるタイミングを示す信号(ステップ信号60)を参照信号生成部14bへ出力する。参照信号生成部14bは、そのタイミングに同期して、例えば、図14に示される階段波を滑らかにした正弦波を参照信号66としてコンパレータ16に出力する。
【0102】
次いで、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間について説明する。メモリ部51aは、ステップ制御部56からステップ信号60が入力されると、ステップ信号60が示す駆動ステップ値毎に、対応するPWMオン期間の制限時間(タイマ設定値)をタイマ部31へ出力する。このことにより、電流目標値が大きい駆動ステップにおいては、PWM制御における最大デューティを大きく、電流目標値が小さい駆動ステップにおいては、PWM制御における最大デューティを小さく設定し、最適化することができる。なお、各駆動ステップ値に対して、別々のPWMオン期間の制限時間を保持するのではなく、複数の駆動ステップ値において、同一のPWMオン期間の制限時間を保持することも可能である。
【0103】
タイマ部31は、メモリ部51aから入力されるPWMオン期間の制限時間(タイマ設定値)を計時することで、計時完了信号を出力し、計時完了信号の出力時点で、PWMオフ期間へ未遷移であれば、PWMオフ期間への遷移を行う。
【0104】
以上の動作によって、本実施の形態によれば、第1の実施の形態における効果に加えて、電流目標値が低い駆動ステップに対しても、電流リップルの増大を防止する効果を最適化することができる。このことより、本実施の形態によって、ステッピングモータ駆動装置を、より低騒音化および低振動化することができる。
【0105】
(第5の実施の形態)
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
【0106】
本発明の第5の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、第4の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置と比べて、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間が、ステッピングモータの駆動ステップと、電流目標値の最大値とに対応してメモリ部より選択される点で異なる。以下、図16〜図18を参照しながら、主に第1および第4の実施の形態との違いを説明し、第1および第4の実施の形態と同一の動作については、説明を省略する。
【0107】
図16は、本発明の第5の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。このステッピングモータ駆動装置は、電源1、制御対象であるステッピングモータ2(巻線3、回転子4)、巻線3への給電を制御するスイッチング部5(巻線3への給電経路となるトランジスタ6〜9、フライホイールダイオード10〜13)、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成部14c、パルス幅変調制御部15a、給電電流測定部20、タイマ部31、ステップ制御部56、最大値指示部50及びメモリ部51bから構成される。この構成は、図12に示された第4の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成において、参照信号生成部14bを参照信号生成部14cに置き換え、メモリ部51aをメモリ部51bに置き換え、さらに、最大値指示部50を付加したものに相当する。
【0108】
参照信号生成部14cは、ステップ制御部56から出力されるステップ信号60及び最大値指示部50から出力される目標電流値の最大値に対応した電流目標値を出力する回路であり、図17の参照信号生成部14cに示されるように、電流目標値対応テーブル61と目標値設定DAC63aと積分器65とから構成される。電流目標値対応テーブル61は、第4の実施の形態におけるものと同一であり、ステップ制御部56から出力されたステップ信号60に対応する電流目標値を指定するための指定コード62を目標値設定DAC63aへ出力する。指定コード62は、一例としては、ステップ信号60に対応する電流目標値のピーク電流値に対する割合のデジタル値である。この場合、目標値設定DAC63aは、指定コード62が示す電流目標値のピーク電流値に対する割合と、最大値指示部50から出力される電流目標値の最大値との積を電流目標値の階段波64として出力する。すなわち、入力された電流目標値の最大値を、ピーク電流値としたDA変換後の信号を出力する。指定コード62は、一例としては、後段の回路で生成される複数の電流目標値から、各駆動ステップ値に対応する電流目標値を選択する指令である。この場合、目標値設定DAC63aは、入力された電流目標値の最大値をピーク電流値とした、各駆動ステップに対応する複数の電流目標値を生成し、その中から指定コード62が指定する電流目標値を電流目標値の階段波64として出力する。目標値設定DAC63aへの入力は、離散的であるため、目標値設定DAC63aの出力は階段波となる。電流目標値の階段波64は、階段状のレベル変化による急峻な電流変化を回避するため、ローパスフィルタ等で構成される積分器65へ出力される。そして、積分器65は階段波を平滑化した正弦波状の参照信号66を電流目標値として出力する。なお、階段状のレベル変化による急峻な電流変化が許容可能な場合には、電流目標値の階段波64を参照信号66として用いても良い。この場合には、積分器65は不要である。
【0109】
メモリ部51bは、図18に示されるように、ステップ制御部56から指示されるステップ信号60が示す駆動ステップ値(ここでは、0〜63の整数値)とタイマ設定値(PWM周期よりも短い時間を示すタイマ設定値)とを対応づけたテーブルを、複数の電流目標値の最大値ごとに記憶するメモリ等である。つまり、メモリ部51bは、最大値指示部50が指定する電流目標値の最大値と、ステップ信号60が示す駆動ステップ値との組合せ毎に、対応する電流目標値を巻線3に流すために必要なデューティ、すなわちPWMオン期間の制限時間(タイマ設定値)を、テーブルとして保持する。
【0110】
最大値指示部50は、第2の実施の形態におけるものと同一であり、電流目標値の最大値を参照信号生成部14c及びメモリ部51bへ指示する処理部である。
【0111】
以上のように構成された第5の実施の形態の特徴は次の通りである。つまり、前述の通り、第4の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置においては、電流目標値が低い駆動ステップに対しても、電流リップルの増大を防止する効果を最適化することができる。しかしながら、電流目標値の最大値を何種類か切り替えるような場合、すなわち、正弦波状の電流目標値のピーク電流値を何種類か切り替えるような場合には、最大のピーク電流値を有する正弦波状の電流目標値を前提として、各駆動ステップに対応するPWMオン期間の制限時間を設定する必要があり、より低いピーク電流値を有する正弦波状の電流目標値に対しては、最適な設定が行えず、最大限の電流リップルの軽減効果を得ることができない。本実施の形態は、異なるピーク電流値を有する複数の電流目標値に対して、最適な設定を行う目的を果たすものである。
【0112】
以下、本実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の動作について説明する。
まず、最大値指示部50とステップ制御部56と参照信号生成部14cとが生成する電流目標値について説明する。第2の実施の形態において既に説明した通り、最大値設定DAC53は、シリアルインターフェース52の指定する電流目標値の最大値を参照信号生成部14cへ出力する。また、第4の実施の形態において既に説明した通り、ステップ制御部56は、駆動ステップ値を表す信号として、ステップ信号60を参照信号生成部14cへ出力する。
【0113】
参照信号生成部14cでは、電流目標値対応テーブル61は、ステップ制御部56から出力されたステップ信号60に対応する電流目標値を指定するための指定コード62を目標値設定DAC63aへ出力する。目標値設定DAC63aは、指定コード62が示す電流目標値のピーク電流値に対する割合と、最大値指示部50から出力される電流目標値の最大値との積を電流目標値の階段波64として出力する。つまり、目標値設定DAC63aは、入力された電流目標値の最大値をピーク電流値とした、各駆動ステップに対応する複数の電流目標値を生成し、その中から指定コード62が指定する電流目標値を電流目標値の階段波64として出力する。目標値設定DAC63aから出力された電流目標値の階段波64は、ローパスフィルタ等で構成される積分器65へ出力される。そして、積分器65は階段波64を平滑化した正弦波状の参照信号66を電流目標値として出力する。
【0114】
次いで、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間について説明する。メモリ部51bは、ステップ制御部56からステップ信号60と、最大値指示部50から電流目標値の最大値、もしくは、電流目標値の最大値を指定するコードとが入力され、最大値指示部50が指定する電流目標値の最大値と、ステップ信号60が示す駆動ステップ値との組合せ毎に、対応するPWMオン期間の制限時間(タイマ設定値)を、タイマ部31へ出力する。
【0115】
このことにより、電流目標値の最大値が大きい場合にはPWM制御における最大デューティを大きく、電流目標値の最大値が小さい場合にはPWM制御における最大デューティを小さく設定し、かつ、電流目標値が大きい駆動ステップにおいては、PWM制御における最大デューティを大きく、電流目標値が小さい駆動ステップにおいては、PWM制御における最大デューティを小さく設定し、最適化することができる。
【0116】
なお、同一正弦波の各駆動ステップ値に対して、別々のPWMオン期間の制限時間を保持するのではなく、複数の駆動ステップ値において、同一のPWMオン期間の制限時間を保持することも可能である。また、本実施の形態ではメモリ部51bを、最大値指示部50が指定する電流目標値の最大値と、ステップ信号60が示す駆動ステップ値との組合せとPWMオン期間の制限時間を対応させたテーブルとして構成したが、各駆動ステップについて、電流目標値の最大値を入力として、PWMオン期間の制限時間を出力する計算式を保持し、演算させることも可能であり、その場合であっても本実施の形態の効果を得ることが可能である。ここでいう計算式とは、例えば、電源電圧をV、PWMオン期間時の経路抵抗をR、入力する電流目標値の最大値をImax、出力するPWMオン期間の制限時間をTon、PWM周期をT、ばらつきに対するマージン係数をα、各駆動ステップnにおける電流目標値のピーク電流値に対する割合をβn としたときに、[Ton=βn × α ×Imax × T × R / V]で示されるような計算式である。もちろん、上式に限定されるものではなく、入力された電流目標値の最大値に対して、巻線3へ電流目標値の最大値を流すことが可能なPWMオン期間の制限時間を出力する計算式であれば、本発明の効果を得ることが可能である。
【0117】
タイマ部31は、メモリ部51bから入力されるPWMオン期間の制限時間(タイマ設定値)を計時することで、計時完了信号を出力し、計時完了信号の出力時点で、PWMオフ期間への遷移が未遷移であれば、PWMオフ期間への遷移を行う。
【0118】
以上の動作によって、本実施の形態によれば、第4の実施の形態における効果に加えて、異なるピーク電流値を有する複数の電流目標値に対して、電流リップルの増大を防止する効果を最適化することができる。このことより、本実施の形態によって、ステッピングモータ駆動装置を、より低騒音化および低振動化することができる。
【0119】
(第6の実施の形態)
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
【0120】
本発明の第6の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置は、第4の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置と比べて、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間が、マイコンによる制御あるいはユーザによる指令によって、電流目標値の最大値に応じて駆動ステップ毎に、詳細に任意に指定される点で異なる。以下、図19を参照しながら、主に第1および第4の実施の形態との違いを説明し、第1および第4の実施の形態と同一の動作については、説明を省略する。
【0121】
図19は、本発明の第6の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。このステッピングモータ駆動装置は、電源1、制御対象であるステッピングモータ2(巻線3、回転子4)、巻線3への給電を制御するスイッチング部5(巻線3への給電経路となるトランジスタ6〜9、フライホイールダイオード10〜13)、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成部14b、パルス幅変調制御部15a、給電電流測定部20、タイマ部31、ステップ制御部56、メモリ部51a及び計時時間指示部55から構成される。この構成は、図12に示された第4の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成において、計時時間指示部55を付加したものに相当する。
【0122】
計時時間指示部55は、マイコンによる制御あるいはユーザによる指令によって、ステップ制御部56から出力されるステップ信号が示す時間位置とタイマ部31にセットしておく時間であるタイマ設定値との組(複数組)をメモリ部51aに出力(指示)して設定するシリアルインターフェース等である。この計時時間指示部55は、目標電流値の最大値が変わった場合に、その最大値に対応する新たなタイマ設定値一式(例えば、64個のタイマ設定値)をメモリ部51aに指示することによって、メモリ部51aの内容を更新する。
【0123】
メモリ部51aは、第4の実施の形態におけるものと同一であり、計時時間指示部55から指示された時間位置とタイマ設定値との組をテーブルとして保持するとともに、ステップ制御部56から出力されたステップ信号を受けると、そのステップ信号が示す時間位置に対応するタイマ設定値をテーブルから読み出してタイマ部31に出力するRAM等である。このメモリ部51aは、計時時間指示部55から新たなタイマ設定値一式(例えば、64個のタイマ設定値)の指示を受け取ると、テーブルの内容を更新する。
【0124】
以上のように構成された第6の実施の形態の特徴は次の通りである。第4の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置においては、電流目標値の最大値を何種類か切り替えるような場合、すなわち、正弦波状の電流目標値のピーク電流値を何種類か切り替えるような場合には、最大のピーク電流値を有する正弦波状の電流目標値を前提として、各駆動ステップに対応するPWMオン期間の制限時間を設定する必要があり、より低いピーク電流値を有する正弦波状の電流目標値に対しては、最適な設定が行えず、最大限の電流リップルの軽減効果を得ることができない。本実施の形態は、異なるピーク電流値を有する複数の電流目標値に対して、最適な設定を行う目的を果たすものである。
【0125】
以下、本実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の動作について説明する。ここでは、タイマ部31が計時完了信号を出力するまでの計時時間について説明する。メモリ部51aは、予め計時時間指示部55から指示された時間位置とタイマ設定値との組、つまり、目標電流値(の最大値)に対応するタイマ設定値一式をテーブルとして保持しており、ステップ制御部56からステップ信号60が入力されると、そのステップ信号60が示す駆動ステップ値に対応するPWMオン期間の制限時間(タイマ設定値)を、タイマ部31へ出力する。
【0126】
このことにより、電流目標値の最大値が大きい場合にはPWM制御における最大デューティを大きく、電流目標値の最大値が小さい場合にはPWM制御における最大デューティを小さく設定し、かつ、電流目標値が大きい駆動ステップにおいては、PWM制御における最大デューティを大きく、電流目標値が小さい駆動ステップにおいては、PWM制御における最大デューティを小さく設定し、最適化することができる。
【0127】
タイマ部31は、メモリ部51aから入力されるPWMオン期間の制限時間(タイマ設定値)を計時することで、計時完了信号を出力し、計時完了信号の出力時点で、PWMオフ期間への遷移が未遷移であれば、PWMオフ期間への遷移を行う。
【0128】
以上の動作によって、本実施の形態によれば、第4の実施の形態における効果に加えて、異なるピーク電流値を有する複数の電流目標値に対して、電流リップルの増大を防止する効果を最適化することができる。このことより、本実施の形態によって、ステッピングモータ駆動装置を、より低騒音化および低振動化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、パルス幅変調制御によってステッピングモータを駆動する装置として、特に、電流リップルの増大と電流周波数の低周波数化を防止し、振動と騒音を低減するステッピングモータ駆動装置・制御装置・制御プログラム等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の電流波形図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の電流経路図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態における給電電流測定部の一例を示す図である。
【図5】理想的なステッピングモータ駆動装置の電流波形図である。
【図6】電流経路の他の例を示す図である。
【図7】給電電流測定部の他の例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態における最大値指示部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態におけるメモリ部が保持するテーブル例を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態におけるステップ制御部と参照信号生成部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態における電流目標値の一例を示す図である。
【図15】本発明の第4の実施の形態におけるメモリ部が保持するテーブル例を示す図である。
【図16】本発明の第5の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
【図17】本発明の第5の実施の形態におけるステップ制御部と参照信号生成部と最大値指示部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態におけるメモリ部が保持するテーブル例を示す図である。
【図19】本発明の第6の実施の形態におけるステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
【図20】従来のステッピングモータ駆動装置の構成図である。
【図21】従来のステッピングモータ駆動装置の電流波形図である。
【符号の説明】
【0131】
1 電源
2 ステッピングモータ
3 巻線
4 回転子
5 スイッチング部
6〜9 トランジスタ
10〜13 フライホイールダイオード
14、14a、14b、14c 参照信号生成部
15a パルス幅変調制御部
16 コンパレータ
17 フリップフロップ
18 基準パルス生成部
19 通電論理部
20、20a、20b 給電電流測定部
30 ORゲート
31 タイマ部
41 検出抵抗
42 センスアンプ
43、44 ゲイン設定抵抗
45 MOSトランジスタ
46 ゲート印加電圧
50 最大値指示部
51、51a、51b メモリ部
52 シリアルインターフェース
53 最大値設定DAC
55 計時時間指示部
56 ステップ制御部
57 分周回路
59 駆動ステップカウント部
61 電流目標値対応テーブル
63、63a 目標値設定DAC
65 積分器




 

 


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