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発明の名称 インバータ装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−53895(P2007−53895A)
公開日 平成19年3月1日(2007.3.1)
出願番号 特願2006−195256(P2006−195256)
出願日 平成18年7月18日(2006.7.18)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 後藤 尚美 / 倉橋 康文
要約 課題
小型で、電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を検出できるインバータ装置の提供を目的としたものである。

解決手段
下アームスイッチング素子Xと直流電源の負側接続点2bとの間に電流検出器(シャント抵抗15)を備え、下アームスイッチング素子1つのみがONしている時間と当該時間に当該相の電流検出器により検出される電流値を2乗した値との積、及び、下アームスイッチング素子2つのみがONしている時間と当該時間に当該2相の電流検出器により検出される電流値の和を2乗した値との積とを演算する制御装置7を備える。これにより、電気回路を追加することなく、制御ソフトのみで実効値電流と相関のある値の算出が可能となる。
特許請求の範囲
【請求項1】
直流電源の正側接続点に接続される上アームスイッチング素子と負側接続点に接続される下アームスイッチング素子とを直列接続した回路を2相もしくは3相備え、前記上アームスイッチング素子と前記下アームスイッチング素子とを接続した中央接続点を負荷に接続し、前記直流電源の直流電圧をスイッチングすることにより交流電流を前記負荷へ出力するインバータ回路と、少なくとも1相の前記中央接続点と前記負側接続点との間に電流検出器と、前記電流検出器を備えた相の下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に前記電流検出器により検出される電流値を2乗した値との積を演算する制御装置とを備えたことを特徴とするインバータ装置。
【請求項2】
制御装置は、電流検出器を備えた相の下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に電流検出器により検出される電流値を2乗した値との積の演算結果に基づいて、さらに電流検出器に流れる電流の実効値を演算する請求項1に記載のインバータ装置。
【請求項3】
電流検出器はシャント抵抗である請求項1または請求項2に記載のインバータ装置。
【請求項4】
演算は1相のみについて行う請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項5】
直流電源の正側接続点に接続される上アームスイッチング素子と負側接続点に接続される下アームスイッチング素子とを直列接続した回路を3相備え、前記上アームスイッチング素子と前記下アームスイッチング素子とを接続した中央接続点を負荷に接続し、前記直流電源の直流電圧をスイッチングすることにより交流電流を前記負荷へ出力するインバータ回路と、少なくとも2相の前記中央接続点と前記負側接続点との間に電流検出器と、前記電流検出器を備えた相のうち1相のみの下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に当該相の前記電流検出器により検出される電流値を2乗した値との積、及び、前記電流検出器を備えた相のうち2相のみの下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に当該2相の前記電流検出器により検出される電流値の和を2乗した値との積とを演算する制御装置とを備えたことを特徴とするインバータ装置。
【請求項6】
制御装置は、電流検出器を備えた相のうち1相のみの下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に当該相の前記電流検出器により検出される電流値を2乗した値との積、及び、前記電流検出器を備えた相のうち2相のみの下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に当該2相の前記電流検出器により検出される電流値の和を2乗した値との積との演算結果に基づいて、インバータ回路と直流電源との間に流れる直流電流の実効値を演算する請求項5に記載のインバータ装置。
【請求項7】
前記当該時間を前記下アームスイッチング素子全てがONしている時間に置き換える請求項5または請求項6に記載のインバータ装置。
【請求項8】
位相幅120度に渡り演算を実行する請求項5から請求項7のうちいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項9】
負荷がモータの場合において、モータの1回転に渡り演算を実行する請求項5から請求項7のうちいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項10】
前記電流検出器は2つの相のみに設けられる請求項5から請求項7のうちいずれか一項に記載のインバータ装置。
【請求項11】
特定の位相における位相幅120度に渡り演算を実行する請求項10に記載のインバータ装置。
【請求項12】
車両に搭載される請求項1から請求項11のうちいずれか一項に記載のインバータ装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流の実効値もしくはその実効値と相関のある値を検出するインバータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インバータ装置の電流検出に関しては、下アームスイッチング素子とアース間にシャント抵抗を設け、制御に必要となる相電流の瞬時値を検出することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図12は、従来のインバータ装置とその周辺の電気回路図である。インバータ装置122のインバータ回路37のスイッチング素子2について、上アームスイッチング素子をU,V,W、下アームスイッチング素子をX,Y,Zと定義する。上アームスイッチング素子U,V,Wは直流電源1の正側接続点2aに接続され、下アームスイッチング素子X,Y,Zは直流電源1の負側接続点2bに接続され、それぞれの上下アームのスイッチング素子が中央接続点2cで直列接続されている。スイッチング素子2としては、トランジスタ、IGBT等が用いられる。インバータ回路37を構成するダイオード3は、固定子巻線28に流れる電流の還流ルートとなる。
【0004】
U相下アームスイッチング素子Xとアース間にシャント抵抗15、V相下アームスイッチング素子Yとアース間にシャント抵抗16、W相下アームスイッチング素子Zとアース間にシャント抵抗17がそれぞれ設けられている。
【0005】
インバータ装置122の制御回路107は、これら各シャント抵抗からの電圧に基づき、各相の相電流の瞬時値(以降、下アーム電流と称す)を演算する。制御回路107は、この演算された相電流値、回転数指令信号(図示せず)等に基づき、インバータ回路37を構成するスイッチング素子2を制御し、バッテリー1からの直流電圧をPWM変調でスイッチングすることにより、交流電流をモータ30を構成する固定子巻線28へ出力する。そして、回転子29が駆動される。
【特許文献1】特開2003−209976号公報(第21頁、第14図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の下アームスイッチング素子とアース間に電流センサとしてシャント抵抗を設けた場合においては、相電流の瞬時値は演算しているが、実効値電流もしくは実効値と相関のある電流は検出していない。そのため、電流センサとして設けられているシャント抵抗などの電流検出器の電力損失、発熱を検出することができない。更には、直流電源からの直流電源ラインの電流(以降、直流電流と称す)の実効値電流もしくは実効値と相関のある電流も検出できない。従って、直流電源の内部抵抗による電力損失、発熱も検出することができない。
【0007】
また、電流の瞬時値を実効値に変換する電気回路の追加、直流電源ラインへの電流センサ追加などは、インバータ装置を大型化してしまう。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、小型で、下アーム電流及び直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を検出できるインバータ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のインバータ装置は、直流電源の正側接続点に接続される上アームスイッチング素子と負側接続点に接続される下アームスイッチング素子とを直列接続した回路を2相もしくは3相備え、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とを接続した中央接続点を負荷に接続し、直流電源の直流電圧をスイッチングすることにより交流電流を負荷へ出力するインバータ回路と、少なくとも1相の前記中央接続点と負側接続点との間に電流検出器と、電流検出器を備えた相の下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に電流検出器により検出される電流値を2乗した値との積を演算する制御装置とを備えたものである。
【0010】
上記構成により、電気回路を追加することなく、制御ソフトのみで、電流検出器を備えた相の下アーム電流の実効値と相関のある値の算出が可能となる。そして、算出対象時間で除して平方根演算を行うことにより、実効値そのものを算出することができる。
【0011】
また、3相インバータ回路の場合、少なくとも2相の中央接続点と負側接続点との間に電流検出器を備え、電流検出器を備えた相のうち1相のみの下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に当該相の電流検出器により検出される電流値を2乗した値との積、及び、電流検出器を備えた相のうち2相のみの下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に当該2相の電流検出器により検出される電流値の和を2乗した値との積とを演算する制御装置とを備えたものである。
【0012】
上記構成により、電気回路を追加することなく、制御ソフトのみで、インバータ回路と直流電源との間の直流電流の実効値と相関のある値の算出が可能となる。そして、算出対象時間で除して平方根演算を行うことにより、実効値そのものを算出することができる。
【0013】
従って、小型で、下アーム電流及び直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を検出できるインバータ装置を実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のインバータ装置は、特段の回路を追加することなく小型で、下アームスイッチング素子とアース間の電流瞬時値から、下アーム電流及び直流電源ラインの電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を検出でき、電流検出器や直流電源の電力損失及び発熱を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明は、直流電源の正側接続点に接続される上アームスイッチング素子と負側接続点に接続される下アームスイッチング素子とを直列接続した回路を2相もしくは3相備え、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とを接続した中央接続点を負荷に接続し、直流電源の直流電圧をスイッチングすることにより交流電流を負荷へ出力するインバータ回路と、少なくとも1相の前記中央接続点と負側接続点との間に電流検出器と、電流検出器を備えた相の下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に電流検出器により検出される電流値を2乗した値との積を演算する制御装置とを備えたものである。
【0016】
上記構成により、電気回路を追加することなく、制御ソフトのみで、下アーム電流の実効値と相関のある値の算出が可能となり、特段の回路を追加することなく小型で、下アーム電流の実効値と相関のある値を検出できるインバータ装置を実現することができる。
【0017】
第2の発明は、第1の発明のインバータ装置における演算結果に基づいて、さらに下アーム電流の実効値を演算するものである。これにより、小型で、下アーム電流の実効値を
検出できるインバータ装置を実現することができる。
【0018】
第3の発明は、第1または2の発明のインバータ装置において、電流検出器をシャント抵抗とするものである。これにより、ピークの高い矩形波状で実効値の大きい電流が流れる当該シャント抵抗の電力損失、発熱を検出することができるようになり、信頼性向上に寄与することができる。
【0019】
第4の発明は、第1から3の発明のインバータ装置において、演算は1相のみについて行うものである。2相の場合、それぞれの相に、同じ波形の半波の電流が流れる。そのため、2相とも同じ演算結果となるので、1相のみについて演算すれば良い。3相の場合、3相は平衡しているため、それぞれ位相が120度異なるが、同じ波形の電流が流れる。そのため、3相ともに同じ演算結果となるので、1相のみについて演算すれば良い。これにより、演算の負担を削減できる。
【0020】
第5の発明は、直流電源の正側接続点に接続される上アームスイッチング素子と負側接続点に接続される下アームスイッチング素子とを直列接続した回路を3相備え、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子とを接続した中央接続点を負荷に接続し、直流電源の直流電圧をスイッチングすることにより交流電流を負荷へ出力するインバータ回路と、少なくとも2相の中央接続点と負側接続点との間に電流検出器と、電流検出器を備えた相のうち1相のみの下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に当該相の電流検出器により検出される電流値を2乗した値との積、及び、電流検出器を備えた相のうち2相のみの下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間に当該2相の電流検出器により検出される電流値の和を2乗した値との積とを演算する制御装置とを備えたものである。
【0021】
上記構成により、電気回路を追加することなく、制御ソフトのみで、直流電源ラインの電流である直流電流の実効値と相関のある値の算出が可能となる。従って、直流電源ラインに電流センサなど特段の回路を追加することなく小型で、直流電流の実効値と相関のある値を検出できるインバータ装置を実現することができる。
【0022】
第6の発明は、第5の発明のインバータ装置における演算結果に基づいて、さらにインバータ回路と直流電源との間に流れる直流電流の実効値を演算する。これにより、直流電源ラインに電流センサなど特段の回路を追加することなく小型で、直流電流の実効値を検出できるインバータ装置を実現することができる。
【0023】
第7の発明は、第5または6の発明のインバータ装置において、電流検出器による電流検出は、下アームスイッチング素子全てがONしている時間に行われる。これにより、若干の誤差が生じるが、電流検出するための時間の確保が容易となる。
【0024】
第8の発明は、第5から7の発明のインバータ装置において、位相幅120度に渡り演算を実行する。位相幅120度において、トルク変動等に起因して位相により異なる電流変化の位相幅360度一巡の傾向を凡そ把握できるため、これにより、迅速に演算を実行できる。
【0025】
第9の発明は、第5から7の発明のインバータ装置において、モータの1回転に渡り演算を実行する。これにより、モータの1回転に渡るトルク変動等による電流変動も含めた正確な演算結果を得られる。
【0026】
第10の発明は、第5から7の発明のインバータ装置において、電流検出器は2つの相のみに設けられるものである。電流の実効値を求める場合、位相範囲を特定すれば、3相
各相ともに設けずとも、2つの相のみに設けることで可能となる。これにより、電流検出器を削減できる。
【0027】
第11の発明は、第10の発明のインバータ装置において、特定の位相における位相幅120度に渡り演算を実行するものである。電流の実効値は、この範囲で求めることができる。これにより、演算の負担を削減できる。
【0028】
第12の発明は、第1から11の発明のインバータ装置において、車両に搭載されるものである。小型で、直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を検出できるため、車両搭載機器として重要な小型軽量化に寄与することができる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0030】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態1に係るインバータ装置の電気回路図を示す。従来のインバータ装置の電気回路図である図12との違いは、制御回路107が制御回路7に、インバータ装置122がインバータ装置22となっている点である。同一箇所には、同一符号を用いている。また、上アームスイッチング素子U,V,W、下アームスイッチング素子X,Y,Zと並列に接続されている各ダイオードを、それぞれ、3U,3V,3W及び3X,3Y,3Zと定義する。上アームスイッチング素子U,V,Wは直流電源1の正側接続点2aに接続され、下アームスイッチング素子X,Y,Zは直流電源1の負側接続点2bに接続され、それぞれの上下アームのスイッチング素子が中央接続点2cで直列接続されている。
【0031】
制御回路7は、上アームスイッチング素子U,V,W、下アームスイッチング素子X,Y,Zと、接続線18により接続されており、各スイッチング素子を制御している。スイッチング素子がIGBTまたはパワーMOSFETの場合はゲート電圧を、パワートランジスタの場合はベース電流を制御する。
【0032】
U相下アームスイッチング素子Xとアース間にシャント抵抗15、V相下アームスイッチング素子Yとアース間にシャント抵抗16、W相下アームスイッチング素子Zとアース間にシャント抵抗17がそれぞれ設けられている。制御回路7は、これら各シャント抵抗からの電圧により、各相の相電流の瞬時値を演算する。この演算された相電流、回転数指令信号(図示せず)等に基づき、インバータ回路37を構成するスイッチング素子2を制御し、バッテリー1からの直流電圧をPWM変調でスイッチングすることにより、交流電流をモータ30を構成する固定子巻線28へ出力する。
【0033】
また、制御回路7は、上記スイッチング及び相電流の瞬時値に基づいて、下アーム電流の実効値もしくはその実効値と相関のある値を算出する。これについて、正弦波状の交流電流を出力する場合を例に以下説明する。
【0034】
図2は、正弦波駆動用インバータ装置の各相出力のDuty特性図の一例であり、3相変調の場合を示している。この特性図で、U相端子電圧41、V相端子電圧42、W相端子電圧43を示している。これらの端子電圧はPWM変調にて縦軸に示すDuty(%)で実現される。
【0035】
図3は、3相変調のキャリア周期内でのスイッチングのタイミングチャートであり、キャリア周期内での上アームスイッチング素子U,V,W、下アームスイッチング素子X,Y,ZのON/OFFの一例を示している。これは、一般的に、三角波とマイコンのタイ
マ機能により具現化される。但し、表示を簡明にするために、上アームスイッチング素子と下アームスイッチング素子との短絡防止用デッドタイムは割愛している。
【0036】
図3の場合、図2において点α付近でのタイミングチャートである。図3に示す如く、各スイッチング素子のスイッチングには、(a),(b),(c),(d)の4モードの期間があり、各期間における電流経路説明の電気回路図を図4から図7に示す。
【0037】
図4に示す期間(a)においては、上アームスイッチング素子U,V,W全てがOFF、下アームスイッチング素子X,Y,Z全てがONである。U相電流iU、V相電流iVがそれぞれ、下アームスイッチング素子X,Yと並列のダイオード3X,3Yから固定子巻線28へ流れ、W相電流iWは固定子巻線28から下アームスイッチング素子Zへ流れ出ている。即ち、下アームとモータ30間で電流が循環している。このため、バッテリー1からインバータ回路37へは電力供給されない非通電の状態にある。
【0038】
図5に示す期間(b)においては、上アームスイッチング素子UがON、下アームスイッチング素子Y,ZがONである。U相電流iUは、上アームスイッチング素子Uから固定子巻線28へ流れ、V相電流iVは下アームスイッチング素子Yと並列のダイオード3Yから固定子巻線28へ流れ、W相電流iWは固定子巻線28から下アームスイッチング素子Zへ流れ出ている。このため、バッテリー1からインバータ回路37へ電力供給される通電状態にある。このとき、電源ラインにはU相の相電流が流れる。
【0039】
図6に示す期間(c)においては、上アームスイッチング素子U,VがON、下アームスイッチング素子ZがONである。U相電流iU、V相電流iVは、それぞれ、上アームスイッチング素子U,Vから固定子巻線28へ流れ、W相電流iWは固定子巻線28から下アームスイッチング素子Zへ流れ出ている。このため、バッテリー1からインバータ回路37へ電力供給される通電状態にある。そして、電源ラインにはW相の相電流が流れる。
【0040】
図7に示す期間(d)においては、上アームスイッチング素子U,V,W全てがON、下アームスイッチング素子X,Y,Z全てがOFFである。U相電流iU、V相電流iVは、それぞれ、上アームスイッチング素子U,Vから固定子巻線28へ流れ、W相電流iWは固定子巻線28から上アームスイッチング素子Wと並列のダイオード3Wへ流れ込んでいる。即ち、上アームとモータ30間で電流が循環している。このため、バッテリー1からインバータ回路37へは電力供給されない非通電の状態にある。
【0041】
図8に、上記スイッチングによる下アーム電流を示す。プラス側は、固定子巻線28から流れ出る電流を、マイナス側は、固定子巻線28へ流れ込む電流を示している。
【0042】
下アームスイッチング素子Xは、期間(a)のみにおいてONであり、このとき、下アームスイッチング素子XにはU相電流iUが固定子巻線28へ流れる。
【0043】
下アームスイッチング素子Yは、期間(a)及び期間(b)においてONであり、このとき、下アームスイッチング素子YにはV相電流iVが固定子巻線28へ流れる。
【0044】
下アームスイッチング素子Zは、期間(a)、期間(b)及び期間(c)においてONであり、このとき、下アームスイッチング素子ZにはW相電流iWが固定子巻線28から流れる。
【0045】
ここで、当該下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間にシャント抵抗により検出される電流値を2乗した値との積を、キャリア周期内の前半と後半で演算し、
その和をキャリア周期の時間で割ることにより、当該キャリア周期での、下アーム電流の実効値と相関のある値を求めることができる。また、キャリア周期内の前半もしくは後半のみで演算し、その値をキャリア周期の半分の時間で割っても良い。
【0046】
ここで、上記実効値と相関のある値とは、実効値を二乗した値である。そのため、この値を、この電流の流れるシャント抵抗の抵抗値に掛けることにより、このシャント抵抗の消費電力を演算できる。また、この消費電力とシャント抵抗の特性より発熱を推定することができる。
【0047】
U相電流iU、V相電流iV、W相電流iWは、シャント抵抗15、シャント抵抗16、シャント抵抗17によりそれぞれ検出できるが、それぞれの下アームスイッチング素子がONしている時間を測定するとなれば、通常は別途電気回路が必要になる。然しながら、制御回路7はインバータ回路37を構成するスイッチング素子2を制御しているので、上アームスイッチング素子、下アームスイッチング素子のON/OFF状況、ON時間は把握済である。また、キャリア周期も把握済である。そのため、制御回路7は、それぞれの下アームスイッチング素子がONしている時間、キャリア周期を測定する必要はない。
【0048】
従って、制御回路7は、下アームスイッチング素子がONしている時間と当該時間にシャント抵抗により検出される電流値を2乗した値との積を、電気回路を追加することなく、容易に演算できる。そして、下アーム電流の実効値と相関のある値を、演算すべき期間に渡り上記演算を行い、それらの和を求め、当該期間の時間で割ることにより、実効値を二乗した値即ち実効値と相関のある値を得られる。また、上記演算値を1/2乗、即ち平方根を求めることにより、実効値そのものを得られる。
【0049】
従って、小型で、下アーム電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を検出できるインバータ装置が得られる。そして、これらの下アーム電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を用いて、出力制限、停止など出力調節を行い、シャント抵抗の発熱を抑制し信頼性の向上を図ることができる。また、インバータ回路の電流はピーク値が大きい矩形波状の電流であるため実効値が大きく、シャント抵抗の電力損失、発熱は大きい。そのため、本方法を有効に活用できる。シャント抵抗に限らず、当該電流の流れる経路に設けられている、各種素子、部品に関しても適用できる。
【0050】
尚、上記実施の形態においては、直流電源の正側接続点に接続される上アームスイッチング素子と負側接続点に接続される下アームスイッチング素子とを直列接続した回路を、3相備えた場合について説明した。2相備えた場合については、例えば、上アームスイッチング素子W、ダイオード3W、下アームスイッチング素子Z、ダイオード3Z、シャント抵抗17、固定子巻線28のWを削除した形態の回路が考えられる。この場合、単相交流が固定子巻線28に流れる。また、負荷としては、トランス、単相モータなどが考えられる。そして、図2に相当する波形としては、U相端子電圧41、V相端子電圧42、W相端子電圧43のうちの、いずれか1つのみの波形になる。
【0051】
2相の場合、それぞれの相に同じ波形の半波の電流が流れる。そのため、2相とも同じ演算結果となるので、1相のみについて演算すれば良い。3相の場合、3相は平衡しているためそれぞれ位相が120度異なるが、同じ波形の電流が流れる。そのため、3相ともに同じ演算結果となるので、1相のみについて演算すれば良い。これにより、演算の負担を削減できる。
【0052】
上記実施の形態において、モータを特定していないが、誘導モータ、センサレスDCブラシレスモータ等いずれでもよい。PWM変調は3相変調について説明したが、2相変調でも同様に適用できる。また、正弦波状の交流電流を出力する場合について説明したが、
120度通電方式、PAM変調等にも適用できる。シャント抵抗からの電流の瞬時値が、直接制御回路7に入力される例を示したが、シャント抵抗と制御回路7の間に、信号増幅、電圧シフトなどを行うオペアンプを設けても良い。
【0053】
また、電流検出器としてはこれらシャント抵抗に限らず、例えばホール素子を用いたもの、またはダイオードの順方向電圧を用いたものなど、他の電流センサでも良い。また、電流検出器はインバータ回路内に組み込まれても良いし、さらに、中央接続点と下アームスイッチング素子との間に設けられても良い。
【0054】
(実施の形態2)
下アームのスイッチング及び下アーム電流に基づいて、バッテリー1とインバータ装置22との間に流れる直流電流の実効値もしくはその実効値と相関のある値を算出する方法について説明する。
【0055】
図9に、実施の形態1で示した例のキャリア周期内における直流電流の例を示す。期間(a)においては、下アームとモータ30間で電流が循環するため流れない。期間(b)ではU相電流iUが流れ、期間(c)ではW相電流iWが流れる。期間(d)においては、上アームとモータ30間で電流が循環するため流れない。
【0056】
これは、図8において、プラス側電流とマイナス側電流との和を求めたものと同じになっている。期間(a)においては、3相各電流の和であり0になる。期間(b)では、図5にも示すように、下アームスイッチング素子YとZがONで、W相電流iWとV相電流iVとの和となり、U相電流iUになる。期間(c)では、図6にも示すように、下アームスイッチング素子ZのみがONで、W相電流iWが流れる。
【0057】
図10に、図9の時間軸を拡大した図を示す。ここで、τ1*iU+τ2*iWを、キャリア周期内の前半と後半で行い、その和をキャリア周期の時間で割ることにより、当該キャリア周期での直流電流の実効値と相関のある値を求めることができる。キャリア周期内の前半もしくは後半のみで演算し、その値をキャリア周期の半分の時間で割っても良い。ここで、上記実効値と相関のある値とは、実効値を二乗した値である。そのため、この値を、この電流の流れる抵抗の抵抗値に掛けることにより、この抵抗の消費電力を演算できる。例えば、バッテリー1の内部抵抗による電力損失、発熱も演算することができる。
【0058】
iV,iWは、シャント抵抗16、シャント抵抗17により検出できるが、t1〜t2の時間τ1、t2〜t3の時間τ2、t4〜t5の時間τ2、t5〜t6の時間τ1を測定するとなれば、別途電気回路が必要になる。
【0059】
然しながら、制御回路7は、インバータ回路37を構成するスイッチング素子2を制御しているので、上アームスイッチング素子、下アームスイッチング素子のON/OFF状況、ON時間は把握済である。また、キャリア周期も把握済である。即ち、下アームスイッチング素子Y及びZの同時ON時間であるところのτ1、下アームスイッチング素子ZのON時間であるところのτ2、及びキャリア周期τを把握済である。そのため、制御回路7は、t1〜t2の時間τ1、t2〜t3の時間τ2、t4〜t5の時間τ2、t5〜t6の時間τ1、キャリア周期τを測定する必要はない。
【0060】
従って、制御回路7は、下アームスイッチング素子1つのみがONしている時間と当該時間に当該相のシャント抵抗により検出される電流値の二乗との積、及び、下アームスイッチング素子2つのみがONしている時間と当該時間に当該相のシャント抵抗により検出される電流値の二乗との積を、電気回路を追加することなく、容易に演算できる。そして
、直流電流の実効値もしくはその実効値と相関のある値を演算すべき期間に渡り、上記演算を行い、それらの和を求め、当該期間の時間で割ることにより、実効値を二乗した値、即ち実効値と相関のある値を得られる。また、上記演算値を1/2乗する、即ち平方根を求めることにより、実効値そのものを得られる。
【0061】
従って、小型で、直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を検出できるインバータ装置が得られる。そして、これらの直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を用いて、出力制限、停止など出力調節を行い、信頼性の向上を図ることができる。対象としては、バッテリー1の内部抵抗による発熱抑制や保護、直流電源ラインと直列に設けられている抵抗の発熱抑制や保護、バッテリー1と並列に電流平滑コンデンサを設けた場合には、当該平滑コンデンサの発熱抑制や保護などがある。
【0062】
尚、上記実施の形態においては、期間(b)、期間(c)において電流検出器により電流値を検出している。即ち、2相のみの下アームスイッチング素子YとZがONしている当該時間である期間(b)に当該2相の電流検出器により電流値を検出する。また、1相のみの下アームスイッチング素子ZがONしている当該時間である期間(c)に当該相の電流検出器により電流値を検出する。
【0063】
然しながら、時間の短い期間(b)、期間(c)において電流検出器により電流値を検出するのは困難な場合がある。そこで、短時間のキャリア周期内においては、各相電流の変化は小さいため、図8に示す期間(a)、即ち下アームスイッチング素子全てがONしている時間に、電流検出器により電流値を検出することが考えられる。これにより、若干の誤差が生じるが、電流検出するための時間の確保が容易となる
上記実施の形態において、モータを特定していないが、誘導モータ、センサレスDCブラシレスモータ等いずれでもよい。PWM変調は3相変調について説明したが、2相変調でも同様に適用できる。また、正弦波状の交流電流を出力する場合について説明したが、120度通電方式、PAM変調等にも適用できる。シャント抵抗からの電流の瞬時値が直接制御回路7に入力される例を示したが、シャント抵抗と制御回路7の間に、信号増幅、電圧シフトなどを行うオペアンプを設けても良い。また、シャント抵抗に限らず、他の電流センサでも良い。
【0064】
以上、3相ともにシャント抵抗を設ける場合について説明したが、上記の例においてV相電流iVとW相電流iWが検出できれば良いように、2相の電流が検出できれば良い。但し、この場合、検出できる期間が限られる。回路としては、シャント抵抗15を削除した形態の回路が考えられる。
【0065】
(実施の形態3)
図11に、位相とU相の相電流(iU)51、V相の相電流(iV)52、W相の相電流(iW)53との関連を示す。位相による電流変化が位相幅360度で一巡する。また、これらの相電流は、図9に示す如く、直流電流に現れる。そのため、位相幅360度毎に直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を演算することにより、トルク変動等に起因する位相に関連する実効値変化を一巡させて、正確な値を得られる。 一方、位相幅120度は電流変化傾向の一つの区切りとして、位相幅360度において3回繰り返されている。トルク変動等に起因して位相により異なる電流変化の位相幅360度一巡の傾向を凡そ把握できる。そのため、位相幅120度毎に直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を演算することにより、迅速に演算を実行することができる。
【0066】
センサレスDCブラシレスモータ等磁石回転子を有するモータにおいては、位相幅360度と磁石回転子の1回転とは、磁石回転子の極数により必ずしも一致しない。そのため、磁石回転子即ちモータの1回転に渡り直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値
を演算することにより、モータの1回転に渡るトルク変動等による電流変動も含めた正確な直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を得られる。
【0067】
実施の形態2に記載した、2相のみの電流、即ちV相電流iVとW相電流iWが検出できるように、シャント抵抗15を削除した形態の回路において、検出できる期間を考察する。この回路により、実施の形態2と同様に直流電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を検出できる範囲は、図2において、時間αの前後になる。即ち、W相端子電圧43とV相端子電圧42との交点から、U相端子電圧41とV相端子電圧42との交点までである。
【0068】
実施の形態2とは異なり、直流電流として、U相電流iU、V相電流iVが流れる場合は、上記より左側の、U相端子電圧41とW相端子電圧43との交点から、W相端子電圧43とV相端子電圧42との交点までである。これら両者の期間は等しく、位相においては60度となる。直流電流は、この特定された位相範囲の120度における電流パターンの繰り返しになる。これにより、演算の負担を削減できる。
【0069】
尚、図11における各相の相電流は、図2における各相の端子電圧と位相が一致しているが、これは作図の便宜上であり、一致するとは限らない。
【0070】
(実施の形態4)
車両に搭載されるインバータ装置においては、小型軽量を求められる。また、駆動源として、バッテリーが用いられる。そして、高温の環境にさらされることもある。そのため、本発明のインバータ装置を車両に適用して搭載することは有効に作用する。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかるインバータ装置は、小型で、電流の実効値もしくは実効値と相関のある値を検出できるので、各種民生用製品、各種産業用機器、各種移動体用機器に適用できる。負荷としてモータ以外の交流機器にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態1に係るインバータ装置の電気回路図
【図2】正弦波駆動用インバータ装置の各相出力のDuty特性図
【図3】キャリア周期内におけるスイッチングのタイミングチャート
【図4】期間(a)における電流経路を示す電気回路図
【図5】期間(b)における電流経路を示す電気回路図
【図6】期間(c)における電流経路を示す電気回路図
【図7】期間(d)における電流経路を示す電気回路図
【図8】本発明の実施の形態1に係る下アーム電流演算の説明図
【図9】本発明の実施の形態2に係るキャリア周期内における直流電流図
【図10】本発明の実施の形態2に係る直流電流演算の説明図
【図11】本発明の実施の形態3に係る位相と各相電流波形の特性説明図
【図12】従来の下アームに電流検出器を備えたインバータ装置の電気回路図
【符号の説明】
【0073】
1 バッテリー
2 スイッチング素子
2a 正側接続点
2b 負側接続点
2c 中央接続点
3 ダイオード
7 制御装置
15 U相下アームの電流検出用シャント抵抗
16 V相下アームの電流検出用シャント抵抗
17 W相下アームの電流検出用シャント抵抗
22 インバータ装置
30 モータ
37 インバータ回路
U,V,W 上アームスイッチング素子
X,Y,Z 下アームスイッチング素子





 

 


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