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発明の名称 ステッピングモータの駆動装置及び駆動方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−43895(P2007−43895A)
公開日 平成19年2月15日(2007.2.15)
出願番号 特願2006−189076(P2006−189076)
出願日 平成18年7月10日(2006.7.10)
代理人 【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
発明者 藤中 洋 / 川本 直毅
要約 課題
ステッピングモータ駆動装置において、検出遅れによって、特にゼロクロス近傍において波形の歪みが発生することを防止する。

解決手段
ステッピングモータの駆動装置は、ステッピングモータの巻線への給電電流を検出する検出手段と、検出手段の出力にオフセットを加算する第1のオフセット加算手段(40)と、第1のオフセット加算手段の出力を増幅する増幅手段(22)と、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段(14)と、参照信号生成手段の出力にオフセットを加算する第2のオフセット加算手段(41)と、導通状態において巻線へ給電し、非導通状態において巻線への給電を停止するスイッチング手段(5)と、所定の周期毎にスイッチング手段を導通状態にし、増幅手段の出力が第2のオフセット電圧加算手段の出力を上回った時点で、スイッチング手段を非導通状態にするパルス幅変調制御手段(15)とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
ステッピングモータが備える巻線への給電電流を検出する検出手段と、
前記検出手段の出力にオフセットを加算する第1のオフセット加算手段と、
前記第1のオフセット加算手段の出力を増幅する増幅手段と、
電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段と、
前記参照信号生成手段の出力にオフセットを加算する第2のオフセット加算手段と、
導通状態において前記巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段と、
所定の周期毎に前記スイッチング手段を導通状態にし、前記増幅手段の出力が前記第2のオフセット電圧加算手段の出力を上回った時点で、前記スイッチング手段を非導通状態にするパルス幅変調制御手段と、
を備えたことを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
【請求項2】
前記第1のオフセット加算手段が加算するオフセットに前記増幅手段の増幅率を乗じた値を、前記第2のオフセット加算手段が加算するオフセットとすることを特徴とする請求項1記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項3】
ステッピングモータが備える巻線への給電電流を検出する検出手段と、
前記検出手段の出力にオフセットを加算する第1のオフセット加算手段と、
前記第1のオフセット加算手段の出力を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段の出力からオフセットを減算するオフセット減算手段と、
電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段と、
導通状態において前記巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段と、
所定の周期毎に前記スイッチング手段を導通状態にし、前記オフセット減算手段の出力が前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、前記スイッチング手段を非導通状態にするパルス幅変調制御手段と、
を備えたことを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
【請求項4】
前記第1のオフセット加算手段が加算するオフセットに前記増幅手段の増幅率を乗じた値を、前記オフセット減算手段が減算するオフセットとすることを特徴とする請求項3記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項5】
ステッピングモータが備える巻線への給電電流を検出する検出手段と、
前記検出手段の出力にオフセットを加算する第1のオフセット加算手段と、
前記第1のオフセット加算手段の出力を増幅する増幅手段と、
電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段と、
導通状態において前記巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段と、
所定の周期毎に前記スイッチング手段を導通状態にし、前記増幅手段の出力が前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、前記スイッチング手段を非導通状態にするパルス幅変調制御手段と、
を備えたことを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
【請求項6】
ステッピングモータが備える巻線への給電電流を検出する検出手段と、
前記検出手段の出力にオフセットを加算する第1のオフセット加算手段と、
前記検出手段の出力または前記第1のオフセット加算手段の出力のいずれかを選択して出力する選択手段と、
前記選択手段の出力を増幅する増幅手段と、
電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段と、
導通状態において前記巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段と、
所定の周期毎に前記スイッチング手段を導通状態にし、前記増幅手段の出力が前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、前記スイッチング手段を非導通状態にするパルス幅変調制御手段と、
前記選択手段を制御するセレクタ駆動信号生成部とを備え、
前記セレクタ駆動信号生成部は、前記パルス幅変調制御手段が前記スイッチング手段を非導通状態としたことを判別し、その判別結果を出力し、
前記選択手段は、前記セレクタ駆動信号生成部から前記判別結果を入力し、その判別結果にしたがい前記検出手段の出力または前記第1のオフセット加算手段の出力のいずれかを選択して出力する、ことを特徴とするステッピングモータ駆動装置。
【請求項7】
前記選択手段は、前記セレクタ駆動信号生成部の判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が非導通状態の全期間において、前記第1のオフセット加算手段の出力を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の全期間において前記検出手段の出力を選択することを特徴とする請求項6記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項8】
前記選択手段は、前記セレクタ駆動信号生成部の判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が非導通状態の一部期間において、前記第1のオフセット加算手段の出力を選択し、前記スイッチング手段が非導通状態の残期間と前記スイッチング手段が導通状態の全期間において前記検出手段の出力を選択することを特徴とする請求項6記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項9】
前記一部期間は、前記スイッチング手段が非導通状態から導通状態へ遷移する前の所定の時間であることを特徴とする請求項8記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項10】
前記選択手段は、前記セレクタ駆動信号生成部の判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が導通状態の一部期間と前記スイッチング手段が非導通状態の全期間において、前記第1のオフセット加算手段の出力を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の残期間において前記検出手段の出力を選択することを特徴とする請求項6記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項11】
前記一部期間は、前記スイッチング手段が非導通状態から導通状態へ遷移した後の所定の時間であることを特徴とする請求項10記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項12】
前記選択手段は、前記セレクタ駆動信号生成部の判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が導通状態の一部期間と前記スイッチング手段が非導通状態の一部期間とにおいて、前記第1のオフセット加算手段の出力を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の残期間と前記スイッチング手段が非導通状態の残期間において前記検出手段の出力を選択することを特徴とする請求項6記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項13】
前記スイッチング手段が導通状態の一部期間は、前記スイッチング手段が非導通状態から導通状態へ遷移した後の所定の時間であって、
前記スイッチング手段が非導通状態の一部期間は、前記スイッチング手段が非導通状態から導通状態へ遷移する前の所定の時間であることを特徴とする請求項12記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項14】
前記セレクタ駆動信号生成部はさらに巻線電流の方向切替が指令されたことを判別し、その判別結果を出力し、
前記選択手段は、前記セレクタ駆動信号生成部の判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が非導通状態の全期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間において、前記第1のオフセット加算手段の出力を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の全期間から前記一定期間を除いた期間において前記検出手段の出力を選択することを特徴とする請求項6記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項15】
前記セレクタ駆動信号生成部はさらに巻線電流の方向切替が指令されたことを判別し、その判別結果を出力し、
前記選択手段は、前記セレクタ駆動信号生成部の判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が非導通状態の一部期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間とにおいて、前記第1のオフセット加算手段の出力を選択し、前記スイッチング手段が非導通状態の残期間と前記スイッチング手段が導通状態の全期間から、前記一定期間を除いた期間において前記検出手段の出力を選択することを特徴とする請求項6記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項16】
前記一部期間は、前記スイッチング手段が非導通状態から導通状態へ遷移する前の所定の時間であることを特徴とする請求項15記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項17】
前記セレクタ駆動信号生成部はさらに巻線電流の方向切替が指令されたことを判別し、その判別結果を出力し、
前記選択手段は、前記セレクタ駆動信号生成部の判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が導通状態の一部期間と前記スイッチング手段が非導通状態の全期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間とにおいて、前記第1のオフセット加算手段の出力を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の残期間から前記一定期間を除いた期間において前記検出手段の出力を選択することを特徴とする請求項6記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項18】
前記一部期間が、前記スイッチング手段が非導通状態から導通状態へ遷移した後の所定の時間であることを特徴とする請求項17記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項19】
前記セレクタ駆動信号生成部はさらに巻線電流の方向切替が指令されたことを判別し、その判別結果を出力し、
前記選択手段は、前記セレクタ駆動信号生成部の判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が導通状態である一部期間と前記スイッチング手段が非導通状態である一部期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間において、前記第1のオフセット加算手段の出力を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の残期間と前記スイッチング手段が非導通状態の残期間から前記一定期間を除いた期間において前記検出手段の出力を選択することを特徴とする請求項6記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項20】
前記スイッチング手段である導通状態の一部期間が、前記スイッチング手段が非導通状態から導通状態へ遷移した後の所定の時間であって、
前記スイッチング手段が非導通状態である一部期間が、前記スイッチング手段が非導通状態から導通状態へ遷移する前の所定の時間であることを特徴とする請求項19記載のステッピングモータ駆動装置。
【請求項21】
ステッピングモータの駆動方法であって、
ステッピングモータが備える巻線へ供給された電流を検出するステップと、
前記検出された電流値に第1のオフセットを加算するステップと、
前記第1のオフセットが加算された検出電流を増幅するステップと、
電流制限値を表す参照信号を生成するステップと、
前記参照信号に第2のオフセットを加算するステップと、
導通状態において前記巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段の導通を制御するステップとを含み、
前記制御するステップは、前記スイッチング手段を所定の周期毎に導通状態にし、前記増幅された電流値が、前記第2のオフセットが加算された参照信号の値を上回った時点で、前記スイッチング手段を非導通状態にする、
ことを特徴とするステッピングモータ駆動方法。
【請求項22】
ステッピングモータの駆動方法であって、
ステッピングモータが備える巻線へ供給された電流を検出するステップと、
前記検出された電流値に第1のオフセットを加算するステップと、
前記第1のオフセットが加算された電流値を増幅するステップと、
前記増幅された電流値から第2のオフセットを減算するステップと、
電流制限値を表す参照信号を生成するステップと、
導通状態において前記巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段の導通を制御するステップとを含み、
前記制御するステップは、前記スイッチング手段を所定の周期毎に導通状態にし、前記第2のオフセットが減算された電流値が、前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、前記スイッチング手段を非導通状態にする、
ことを特徴とするステッピングモータ駆動方法。
【請求項23】
ステッピングモータの駆動方法であって、
ステッピングモータが備える巻線へ供給された電流を検出するステップと、
前記検出された電流値にオフセットを加算するステップと、
前記オフセットが加算された電流値を増幅するステップと、
電流制限値を表す参照信号を生成するステップと、
導通状態において前記巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段の導通を制御するステップとを含み、
前記制御するステップは、前記スイッチング手段を所定の周期毎に導通状態にし、前記増幅された電流値が、前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、前記スイッチング手段を非導通状態にする、
ことを特徴とするステッピングモータ駆動方法。
【請求項24】
ステッピングモータの駆動方法であって、
ステッピングモータが備える巻線へ供給された電流を検出するステップと、
前記検出された電流値にオフセットを加算するステップと、
前記オフセットが加算された電流値と、前記オフセットが加算されていない、検出された電流値とのいずれかを選択するステップと、
前記選択された電流値を増幅するステップと、
電流制限値を表す参照信号を生成するステップと、
導通状態において前記巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段を所定の周期毎に導通状態にし、前記増幅された電流値が、前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、前記スイッチング手段を非導通状態にするステップとを含み、
前記選択するステップは、前記スイッチング手段が非導通状態にされたことを判別し、その判別結果にしたがい電流値を選択する、ことを特徴とするステッピングモータ駆動方法。
【請求項25】
前記選択するステップは、前記判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が非導通状態の全期間において、前記オフセットが加算された電流値を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の全期間において、前記前記オフセットが加算されていない、検出された電流値を選択することを特徴とする請求項24記載のステッピングモータ駆動方法。
【請求項26】
前記選択するステップは、前記判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が非導通状態の一部期間において、前記オフセットが加算された電流値を選択し、前記スイッチング手段が非導通状態の残期間と前記スイッチング手段が導通状態の全期間において、前記前記オフセットが加算されていない、検出された電流値を選択することを特徴とする請求項24記載のステッピングモータ駆動方法。
【請求項27】
前記選択するステップは、前記判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が導通状態の一部期間と前記スイッチング手段が非導通状態の全期間において、前記オフセットが加算された電流値を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の残期間において、前記前記オフセットが加算されていない、前記検出された電流値を選択することを特徴とする請求項24記載のステッピングモータ駆動方法。
【請求項28】
前記選択するステップは、前記判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が導通状態の一部期間と前記スイッチング手段が非導通状態の一部期間とにおいて、前記オフセットが加算された電流値を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の残期間と前記スイッチング手段が非導通状態の残期間において、前記前記オフセットが加算されていない、前記検出された電流値を選択することを特徴とする請求項24記載のステッピングモータ駆動方法。
【請求項29】
前記選択するステップは、
さらに巻線電流の方向切替が指令されたことを判別し、
前記判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が非導通状態の全期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間において、前記オフセットが加算された電流値を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の全期間から前記一定期間を除いた期間において、前記前記オフセットが加算されていない検出された電流値を選択することを特徴とする請求項24記載のステッピングモータ駆動方法。
【請求項30】
前記選択するステップはさらに巻線電流の方向切替が指令されたことを判別し、さらに、前記選択するステップは、前記判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が非導通状態の一部期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間とにおいて、前記オフセットが加算された電流値を選択し、前記スイッチング手段が非導通状態の残期間と前記スイッチング手段が導通状態の全期間から、前記一定期間を除いた期間において、前記前記オフセットが加算されていない検出された電流値を選択することを特徴とする請求項24記載のステッピングモータ駆動方法。
【請求項31】
前記選択するステップはさらに巻線電流の方向切替が指令されたことを判別し、さらに、前記選択するステップは、前記判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が導通状態の一部期間と前記スイッチング手段が非導通状態の全期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間とにおいて、前記オフセットが加算された電流値を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の残期間から前記一定期間を除いた期間において、前記前記オフセットが加算されていない検出された電流値を選択することを特徴とする請求項24記載のステッピングモータ駆動方法。
【請求項32】
前記選択するステップはさらに巻線電流の方向切替が指令されたことを判別し、さらに、前記選択するステップは、前記判別結果にしたがい、前記スイッチング手段が導通状態である一部期間と前記スイッチング手段が非導通状態である一部期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間において、前記オフセットが加算された電流値を選択し、前記スイッチング手段が導通状態の残期間と前記スイッチング手段が非導通状態の残期間から、前記一定期間を除いた期間において、前記前記オフセットが加算されていない検出された電流値を選択することを特徴とする請求項24記載のステッピングモータ駆動方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステッピングモータを低騒音かつ低振動に駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の位置制御等にステッピングモータが用いられている。ステッピングモータは、回転子と、複数相の巻線を備える固定子とから構成され、回転子が単位角度ずつ回転して停止するように構成されている。また回転子は、回転ステップ数の制御により、フィードバック制御無しに、目的の角度だけ回転して停止する。ステッピングモータの動作における、このような特性は位置制御用途に適する。
【0003】
近年、ステッピングモータは、DSC(Digital Still Camera:デジタル静止画カメラ)やDVC(Digital Video Camera:デジタルビデオカメラ)といった撮影用電子機器における光学系アクチュエータとして、絞り,焦点,ズームなどの調整に用いられる。
【0004】
動画撮影用電子機器に用いられるステッピングモータの動作には、特に低騒音性および低振動性が求められる。それは、ステッピングモータが発する騒音は、機器の内蔵マイクにキャッチされて雑音として録音され、また振動は、ぶれ等を生じさせて録画画質を劣化させるからである。この要求に応えて、ステッピングモータの動作を低騒音化かつ低振動化する駆動技術が、例えば特許文献1に開示されている。
【0005】
図15は特許文献1に記載されている従来のステッピングモータ駆動装置の構成図である。ここでは、原理説明に必要な構成要素のみを記載し、かつステッピングモータは複数相の巻線を備えるが、巻線毎に設けられる構成要素は同一であるため、1相の巻線と当該巻線に設けられる構成要素のみを記載する。
【0006】
以下、図15を参照しながら、前記従来のステッピングモータ駆動装置について説明する。なお、巻線毎に設けられる構成要素は同一であるため、ステッピングモータを構成する他の巻線、および他の巻線に設けられる構成要素は省略し、巻線に設けられる構成要素について説明する。
【0007】
パルス幅変調制御部15は、コンパレータ16,フリップフロップ17,基準パルス生成部18,通電論理部19から構成される。基準パルス生成部18が、フリップフロップ17を、パルス幅変調周期(以下、「PWM周期」と呼ぶ)毎にセットすることにより、通電論理部19が、スイッチング手段5を構成するトランジスタ6と9のいずれかと、トランジスタ7と8のいずれかを、貫通の発生しない組合せとタイミングで、一定周期毎に導通させる。通電論理部19に入力される電流方向切替信号(PHASE)によって、トランジスタ6と9、およびトランジスタ7と8のいずれを導通させるかが決まり、巻線3を流れる電流の向きが決まる。
【0008】
トランジスタ6〜9の導通期間中、電源1から巻線3へ電力が供給され、巻線3を流れる電流が増加する。以降、フリップフロップ17がセットされ、巻線3への電力供給によって、巻線3を流れる電流が増加する期間を、「PWMオン期間」と呼ぶ。
【0009】
トランジスタ6〜9の導通によって電源1から巻線3へ供給される電流を給電電流測定手段20にて検出し、検出電流値としてコンパレータ16へ出力する。給電電流測定手段20は、検出抵抗21と、センスアンプ22と、ゲイン設定抵抗23,24により構成される。センスアンプ22とゲイン設定抵抗23,24とで増幅回路25を構成し、増幅回路25の増幅率、すなわちセンスアンプ22の入力から出力へのゲインはゲイン設定抵抗23,24で設定される。巻線3へ供給された電流は検出抵抗21へ流入し、検出抵抗21端に発生した電圧がセンスアンプ22へ入力される。センスアンプ22は、入力電圧をゲイン倍した電圧を、検出電流値としてコンパレータ16へ出力する。
【0010】
以降の動作説明において、給電電流測定手段20が検出する巻線3を流れる電流を、単に「検出電流値」と呼ぶ。参照信号生成手段14は、ステップ上に増加し、そして減少する階段波を生成し、電流制限値を表す参照信号として、前記コンパレータ16へ出力する。前記参照信号生成手段14が生成する、電流制限値を表す参照信号は、巻線電流3にとっての電流目標値である。
【0011】
前記コンパレータ16は、入力された検出電流値と電流目標値を比較し、検出電流値が電流目標値を上回った時点でフリップフロップ17をリセットする。フリップフロップ17をリセットすることにより、通電論理部19がスイッチング手段5を構成するトランジスタ7と8の両方を遮断する。フリップフロップ17がリセットされ、トランジスタ7と8の両方が遮断している期間には、電源1から巻線3への電力供給は遮断され、回生動作により巻線3を流れる電流が減少する。
【0012】
トランジスタ7と8の両方が遮断している期間で、トランジスタ6と9の両方とも遮断している場合には、巻線3を流れる電流は、前記フライホイールダイオード11と12のいずれかと、フライホイールダイオード10と13のいずれかとで回生する。トランジスタ7と8の両方が遮断している期間で、トランジスタ6と9の両方を導通させる場合には、巻線3を流れる電流はトランジスタ6と9にて回生する。
【0013】
前記トランジスタ7と8の両方が遮断している期間、トランジスタ6と9のいずれか片方のみを導通させる場合には、導通していないトランジスタに接続するフライホイールダイオードが順方向バイアスであれば、フライホイールダイオード11と12のいずれかと、トランジスタ6と9のいずれかとで回生する。導通していないトランジスタに接続するフライホイールダイオードが逆方向バイアスであれば、フライホイールダイオード10と13のいずれかと、前記トランジスタ6と9のいずれかとで回生する。
【0014】
以降、フリップフロップ17がリセットされ、回生動作によって巻線3を流れる電流が減少する期間を「PWMオフ期間」と呼ぶ。PWMオフ期間中、巻線3を流れる電流は減少するが、再度、基準パルス生成部18の出力信号が、フリップフロップ17をセットすることにより、再び、PWMオン期間へ遷移し、巻線3を流れる電流は再び増加する。
【0015】
以上の動作により、巻線3へ供給される平均電流が、電流目標値に漸近するように動作する。電流目標値がステップ状に増減することにより、巻線3へ供給される平均電流がステップ状に増減し、巻線3以外の相の巻線についても、同様に動作することにより、ステップの進行する速度に応じた回転速度で、ステッピングモータ2が回転動作する。
【0016】
次に、参照信号生成手段14が生成する電流目標値について説明する。図16は従来のステッピングモータ駆動装置における参照信号と電流方向切替信号との関係を示す図である。
【0017】
前記参照信号生成手段14は、ステップ状に増加し、そして減少する階段波を生成し、電流目標値として、コンパレータ16へ出力する。電流目標値がステップ状に増加もしくは減少することによって、ステッピングモータは単位角度ずつ回転する。電流目標値のステップの進行は、ステップの進行を指示するCLK(クロック信号)の入力によってなされるが、タイマによるステップ進行間隔の計時によってなされる構成とすることもできる。前記電流目標値のステップが進行する周期は、入力CLK周期、あるいはステップ進行間隔を決定するタイマの周期によって決定され、電流目標値のステップが進行する周期によって、ステッピングモータが単位角度を回転する周期が決まり、ひいては、ステッピングモータの回転周期が決まる。前記電流目標値は、低騒音,低振動の観点からは、正弦波状の信号であることが望ましい。参照信号生成手段14は正弦波をサンプリングした階段波を生成する。
【0018】
図16では64ステップに対応してサンプリングされた階段波を電流目標値として示している。ステップの進行に伴い、各ステップにて正弦波をサンプリングした階段波の各値を順に出力することにより、正弦波をサンプリングした階段波が出力される。
【0019】
なお、巻線3を流れる電流の電流方向は、図16に示すように、電流方向切替信号によって指定される。すなわち、階段波の大きさが電流目標値の大きさを示し、電流方向切替信号が電流の方向を示す。さらに、階段状のレベル変化による急峻な電流変化を回避するため、ローパスフィルタ等の積分手段により平滑化した階段波を、電流目標値としてコンパレータ16へ出力する。
【0020】
また、必ずしも正弦波をサンプリングした階段波である必要ではなく、実装面積の観点から、近似正弦波をサンプリングした階段波、あるいは正弦波から逸脱した階段波を用いる場合もあり、階段状のレベル変化による急峻な電流変化が許容可能な場合には、平滑化していない階段波をコンパレータ16へ出力する場合もある。
【0021】
【特許文献1】特開2004−215385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
従来のステッピングモータ駆動装置によれば、センスアンプ22の応答遅れによって、巻線3を流れる電流の波形歪が生じるという課題が存在する。
【0023】
以下、図17〜図22を参照しながら、前記課題について説明する。
【0024】
図17は一般的なセンスアンプ構成図とPWMオフ期間動作点を示す回路図である。センスアンプ22は、PチャネルMOSトランジスタ30a,30b,30c、NチャネルMOSトランジスタ31a,31b,31c、差動トランジスタ32a,32b、電流源33、位相補償容量34で構成される。またゲイン設定抵抗23,24は、抵抗値を同じ「R」として、ゲインを2倍としている。
【0025】
図18は一般的なセンスアンプ構成図とPWMオン期間動作点を示す図、図19(a)〜(c)は相切り替わり時の電流経路を示した図(図中の「35」は電流経路を示している)である。図20(a)〜(e)は従来のステッピングモータ駆動装置における電流目標値が大きい場合の電流波形図、図21(a)〜(e)は従来のステッピングモータ駆動装置における電流目標値が小さい場合の電流波形図、図22(a)、(b)は従来のステッピングモータ駆動装置における電流波形歪を示す波形図である。
【0026】
PWMオフ期間においては、前述した回生動作を行っているため、検出抵抗21に電流が流れない。したがって、センスアンプ22の非反転入力端子(+)には接地電圧が入力される。図17においては、Vin+=0Vとして示している。
【0027】
ここで、センスアンプ22は、PチャネルMOSトランジスタ30cから流れる定電流と、NチャネルMOSトランジスタ31cのオン抵抗とで決まる電圧(最低電圧)以下の電圧を出力することはできない。仮に、Rail−to−Railと呼ばれる形式のアンプを用いたとしても、センスアンプ22の最低電圧が0Vであれば、0Vを出力することはできない。
【0028】
図17においては、最低電圧を20mVとして、Vout=0.02Vとして示している。このとき、センスアンプ22の反転入力端子(−)には、その構成から半分の10mVが入力されることとなる。図17にはVin−=0.01Vとして示している。図17に示す状態では、センスアンプ22の仮想接地の関係が崩れ、差動トランジスタ32a,32bが平衡状態にないため、位相補償容量34には電源1の電圧にほぼ等しい電圧が印加される。図17にはVc=VCCとして示している。
【0029】
以降、前記のような仮想接地の関係が崩れた状態を、「センスアンプのループが外れている」と呼ぶ。位相補償容量34の容量値をCcompとしたとき、位相補償容量34には、[Ccomp×(VCC−20mV)]の電荷が蓄積されている。
【0030】
PWMオン期間におけるセンスアンプの動作点を図18に示す。PWMオン期間においては検出抵抗21に電流が流れるため、センスアンプ22の非反転入力端子には、検出抵抗21を流れる電流と、検出抵抗21の抵抗値とで決まる電圧が入力される。図18においては、Vin+=0.2Vとして示している。センスアンプ22の反転入力端子には0.2Vが入力され、センスアンプ22は0.4Vを出力する。
【0031】
図18においては、Vin−=0.2V,Vout=0.4Vとして示している。このとき
、センスアンプ22の仮想接地の関係は維持され、差動トランジスタ32a,32bが平衡状態にある。このため、位相補償容量34には、PチャネルMOSトランジスタ30cから流れる定電流と、NチャネルMOSトランジスタ31cのオン抵抗とで決まる電圧が0.4Vとなるような、NチャネルMOSトランジスタ31cのゲート電圧Vgs1が印加される。図18ではVc=Vgs1として示している。
【0032】
以降、前記のような仮想接地の関係が維持された状態を、「センスアンプのループが維持されている」と呼ぶ。位相補償容量34には、[Ccomp×(Vgs1−0.4V)]の電荷が蓄積されている。
【0033】
当然ながら、いくら検出抵抗21端から電圧が入力されても、センスアンプのループが外れた状態では、センスアンプ22は応答せずに正しく検出電流値を判定できない。PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移後に、正しく検出電流値を判定するには、図17に示す動作点から、図18に示す動作点への遷移が必要であり、特に位相補償容量34の電荷が課題となる。
【0034】
前述した通り、位相補償容量34において、図17に示す動作点では[Ccomp×(VCC−20mV)]の電荷、図18に示す動作点では[Ccomp×(Vgs1−0.4V)]の電荷が蓄積されている。VCC=5.02V,Vgs1=1.0Vとするとき、両動作点での電荷の差分すなわち[Ccomp×4.4V]の電荷を放電しなければ、正しく検出電流値を判定できない。この放電に要する時間は、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移後に、センスアンプ22が正しく検出電流値を判定可能となるまでの時間であり、すなわち、「検出遅れ」となる。
【0035】
前記放電は、NチャネルMOSトランジスタ31bを流れる電流と、差動トランジスタ32bを流れる電流との差分で行われるものである。差動トランジスタ32bが完全に遮断するほど(PWMオン期間への遷移後にセンスアンプ22の非反転端子へ入力される電圧が大きいほど、差動トランジスタ32bがより完全に遮断する)、放電に要する時間は短くなり、検出遅れが短くなる。
【0036】
逆に、PWMオン期間への遷移後にセンスアンプ22の非反転端子へ入力される電圧が小さいほど、すなわち、検出抵抗21を流れる電流が小電流であるほど、差動トランジスタ32bの遮断の程度が低く、放電に要する時間が長くなり、検出遅れが長くなる。したがって、検出遅れは、図16に示す駆動ステップ=0,31〜33,63のように、電流目標値が小さい駆動ステップほど、より顕著に現れることになる。電流目標値が小さい駆動ステップを、電流の正負が反転する点の近傍という意味で、以降、「ゼロクロス」と呼ぶ。図16ではゼロクロスをA点で示す。
【0037】
以上、PWMオフ期間において、センスアンプのループが外れた状態を説明したが、PWMオン期間においても、センスアンプのループが外れる場合がある。
【0038】
以下、PWMオン期間において、センスアンプのループが外れる場合について、図16,図19を参照して説明する。
【0039】
PWMオン期間においては、図19(a)に示すように、巻線3への給電が行われ、給電電流測定手段20へ電流が流入する。図19(a)では、トランジスタ8と9が導通し、トランジスタ6と7が遮断している。一方、PWMオフ期間においては、図19(b)に示すように、回生動作が行われて給電電流測定手段20へは電流が流れない。図19(b)では、トランジスタ9が導通し、トランジスタ6と7と8が遮断している。図19(b)に示すPWMオフ期間中に、巻線3を流れる電流は減衰するが、図16において、駆動ステップ=32,あるいは0で示した駆動ステップでは、電流自体が少ないため、PWMオフ期間に、巻線3両端に印加される電圧が小さく、結果、巻線3を流れる電流が減衰しにくくなっている。
【0040】
ここで駆動ステップが進む時間が短い場合、すなわち、ステッピングモータとしての回転速度が速い場合には、次の駆動ステップへの遷移時に、巻線3の電流が0まで減衰しきらない。巻線3の電流が残った状態で、駆動ステップ=32から33へ遷移、または0から1へ遷移した場合、電流方向切替信号が切り替わり、巻線3の電流を反転させるため、図19(c)に示すように、一つ前の駆動ステップ時と異なるトランジスタが導通する。図19(c)では、トランジスタ8と9が遮断し、トランジスタ6と7が導通している。このとき、巻線3の電流は接地から電源へと流れることになる。給電電流測定手段20にも接地から電流が逆流し、ひいては検出抵抗21にも接地から電流が逆流する。
【0041】
このため、検出抵抗21端には、負電位が発生してセンスアンプ22にも負電位が入力される。負電位が入力された場合、センスアンプ22は、前述した接地電圧が入力された場合と同じ理由によりセンスアンプのループが外れ、検出遅れが生じる。したがって、図16にて、Aにて示した箇所のように、電流方向切替信号PHASEが切り替わった直後、すなわち巻線3の電流が反転する直前は、PWMオン期間への遷移後であっても、センスアンプのループが外れ、検出遅れが生じる。
【0042】
次に、検出遅れが生じた場合の電流波形について、図20,図21を参照して説明する。図20,図21において、Aで示した部分が検出遅れ部分である。図20においては、検出遅れ中に、検出電流値が電流目標値を上回っていない。この場合には、検出遅れがあっても検出動作に悪影響はない。
【0043】
PWMオフ期間中の減衰量が大きい場合には、PWMオン期間への遷移後に、電流目標値に到達するのに時間を要するため、検出遅れ中に電流目標値に到達せず、図20に示すように悪影響がない可能性が高い。電流目標値が高ければ高いほど、PWMオフ期間中の回生動作における減衰量が大きいため、電流目標値が高い駆動ステップでは、悪影響がない、もしくは影響が小さい可能性が高い。
【0044】
図21においては、前記検出遅れ中に検出電流値が電流目標値を上回っている。この場合には、検出遅れ中は検出がなされないため、既に電流目標値を上回っているにも関わらず、PWMオン期間を継続し、その結果、電流目標値から逸脱している。PWMオフ期間中の減衰量が小さい場合には、PWMオン期間への遷移後に、電流目標値に到達するのに、時間を要さないため、検出遅れ中に電流目標値に到達し、図21に示すように悪影響がある可能性が高い。
【0045】
電流目標値が低ければ低いほど、PWMオフ期間中の回生動作における減衰量が小さいため、電流目標値が低い駆動ステップでは悪影響がある可能性が高い。このことは、特にゼロクロス近傍で目標電流から逸脱し、波形の歪が顕著に生じることを意味する。すなわち、図22のA部分に示すように、ゼロクロス近傍において電流が電流目標値から多い側へ逸脱し、電流波形が歪むこととなる。
【0046】
以上のように、従来のステッピングモータ駆動装置によれば、センスアンプの検出遅れによって、特にゼロクロス近傍で顕著に波形の歪が発生するという課題がある。この波形の歪によって、特に撮影用電子機器への適用において、振動と騒音の低減効果が十分とはならず、ステッピングモータ動作の更なる低振動化および低騒音化への要求が依然として存在する。
【0047】
本発明は、前記従来の課題に鑑みてなされたものであり、ステッピングモータ動作における低振動化および低騒音化を可能にするステッピングモータ駆動装置および駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0048】
本発明の第1の態様におけるステッピングモータ駆動装置は、ステッピングモータが備える巻線への給電電流を検出する検出手段と、検出手段の出力にオフセットを加算する第1のオフセット加算手段と、第1のオフセット加算手段の出力を増幅する増幅手段と、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段と、参照信号生成手段の出力にオフセットを加算する第2のオフセット加算手段と、導通状態において巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段と、所定の周期毎にスイッチング手段を導通状態にした後、増幅手段の出力が前記第2のオフセット電圧加算手段の出力を上回った時点で、スイッチング手段を非導通状態にするパルス幅変調制御手段とを備える。
【0049】
本発明の第2の態様におけるステッピングモータ駆動装置は、ステッピングモータが備える巻線への給電電流を検出する検出手段と、検出手段の出力にオフセットを加算する第1のオフセット加算手段と、第1のオフセット加算手段の出力を増幅する増幅手段と、増幅手段の出力からオフセットを減算するオフセット減算手段と、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段と、導通状態において巻線へ給電し、非導通状態において前記巻線への給電を停止するスイッチング手段と、所定の周期毎にスイッチング手段を導通状態にした後、オフセット減算手段の出力が前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、スイッチング手段を非導通状態にするパルス幅変調制御手段とを備える。
【0050】
本発明の第3の態様におけるステッピングモータ駆動装置は、ステッピングモータが備える巻線への給電電流を検出する検出手段と、検出手段の出力にオフセットを加算する第1のオフセット加算手段と、第1のオフセット加算手段の出力を増幅する増幅手段と、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段と、導通状態において前記巻線へ給電し、非導通状態において巻線への給電を停止するスイッチング手段と、所定の周期毎にスイッチング手段を導通状態にした後、前記増幅手段の出力が前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、スイッチング手段を非導通状態にするパルス幅変調制御手段とを備える。
【0051】
本発明の第4の態様におけるステッピングモータ駆動装置は、ステッピングモータが備える巻線への給電電流を検出する検出手段と、検出手段の出力にオフセットを加算する第1のオフセット加算手段と、検出手段の出力または前記第1のオフセット加算手段の出力のいずれかを選択して出力する選択手段と、選択手段の出力を増幅する増幅手段と、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段と、導通状態において巻線へ給電し、非導通状態において巻線への給電を停止するスイッチング手段と、所定の周期毎にスイッチング手段を導通状態にした後、増幅手段の出力が前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、スイッチング手段を非導通状態にするパルス幅変調制御手段と、選択手段を制御するセレクタ駆動信号生成部とを備える。
【0052】
セレクタ駆動信号生成部は、パルス幅変調制御手段がスイッチング手段を非導通状態としたことを判別し、その判別結果を出力する。選択手段は、セレクタ駆動信号生成部から判別結果を入力し、その判別結果にしたがい検出手段の出力または前記第1のオフセット加算手段の出力のいずれかを選択して出力する。
【0053】
第4の態様におけるステッピングモータ駆動装置において、選択手段は、セレクタ駆動信号生成部の判別結果にしたがい、スイッチング手段が非導通状態の全期間において、第1のオフセット加算手段の出力を選択し、スイッチング手段が導通状態の全期間において検出手段の出力を選択するようにしてもよい。
【0054】
または、選択手段は、スイッチング手段が非導通状態の一部期間において、第1のオフセット加算手段の出力を選択し、スイッチング手段が非導通状態の残期間とスイッチング手段が導通状態の全期間において、検出手段の出力を選択するようにしてもよい。
【0055】
または、選択手段は、スイッチング手段が導通状態の一部期間とスイッチング手段が非導通状態の全期間において、第1のオフセット加算手段の出力を選択し、スイッチング手段が導通状態の残期間において検出手段の出力を選択するようにしてもよい。
【0056】
または、選択手段は、スイッチング手段が導通状態の一部期間とスイッチング手段が非導通状態の一部期間とにおいて、第1のオフセット加算手段の出力を選択し、スイッチング手段が導通状態の残期間とスイッチング手段が非導通状態の残期間において検出手段の出力を選択するようにしてもよい。
【0057】
また、セレクタ駆動信号生成部はさらに巻線電流の方向切替が指令されたことを判別し、その判別結果を出力してもよい。この場合、選択手段は、判別結果にしたがい、スイッチング手段が非導通状態の全期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間において、第1のオフセット加算手段の出力を選択し、スイッチング手段が導通状態の全期間から、巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間を除いた期間において検出手段の出力を選択してもよい。
【0058】
または、選択手段は、スイッチング手段が非導通状態の一部期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間とにおいて、第1のオフセット加算手段の出力を選択し、前記スイッチング手段が非導通状態の残期間と前記スイッチング手段が導通状態の全期間から、前記巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間を除いた期間において前記検出手段の出力を選択するようにしてもよい。
【0059】
または、選択手段は、スイッチング手段が導通状態の一部期間とスイッチング手段が非導通状態の全期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間とにおいて、第1のオフセット加算手段の出力を選択し、スイッチング手段が導通状態の残期間から、巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間を除いた期間において検出手段の出力を選択してもよい。
【0060】
または、選択手段は、スイッチング手段が導通状態である一部期間とスイッチング手段が非導通状態である一部期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間において、第1のオフセット加算手段の出力を選択し、スイッチング手段が導通状態の残期間とスイッチング手段が非導通状態の残期間から、巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間を除いた期間において検出手段の出力を選択するようにしてもよい。
【0061】
本発明の第5の態様におけるステッピングモータ駆動方法は、ステッピングモータが備える巻線へ供給された電流を検出するステップと、検出された電流値に第1のオフセットを加算するステップと、第1のオフセットが加算された電流値を増幅するステップと、電流制限値を表す参照信号を生成するステップと、参照信号に第2のオフセットを加算するステップと、導通状態において巻線へ給電し、非導通状態において巻線への給電を停止するスイッチング手段の導通を制御するステップとを含む。制御するステップは、スイッチング手段を所定の周期毎に導通状態にし、増幅された電流値が、第2のオフセットが加算された参照信号の値を上回った時点で、スイッチング手段を非導通状態にする。
【0062】
本発明の第6の態様におけるステッピングモータ駆動方法は、ステッピングモータが備える巻線へ供給された電流を検出するステップと、検出された電流値に第1のオフセットを加算するステップと、第1のオフセットが加算された電流値を増幅するステップと、増幅された電流値から第2のオフセットを減算するステップと、電流制限値を表す参照信号を生成するステップと、導通状態において巻線へ給電し、非導通状態において巻線への給電を停止するスイッチング手段の導通を制御するステップとを含む。制御するステップは、前記スイッチング手段を所定の周期毎に導通状態にし、前記第2のオフセットが減算された電流値が、参照信号によって表される電流制限値を上回った時点でスイッチング手段を非導通状態にする。
【0063】
本発明の第7の態様におけるステッピングモータ駆動方法は、ステッピングモータが備える巻線へ供給された電流を検出するステップと、検出された電流値にオフセットを加算するステップと、オフセットが加算された電流値を増幅するステップと、電流制限値を表す参照信号を生成するステップと、導通状態において巻線へ給電し、非導通状態において巻線への給電を停止するスイッチング手段の導通を制御するステップとを含む。制御するステップは、スイッチング手段を所定の周期毎に導通状態にし、増幅された電流値が、参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、スイッチング手段を非導通状態にする。
【0064】
本発明の第8の態様におけるステッピングモータ駆動方法は、ステッピングモータが備える巻線へ供給された電流を検出するステップと、検出された電流値にオフセットを加算するステップと、検出された電流値と、オフセットが加算された電流値のいずれかを選択するステップと、選択された電流値を増幅するステップと、電流制限値を表す参照信号を生成するステップと、導通状態において巻線へ給電し、非導通状態において巻線への給電を停止するスイッチング手段を所定の周期毎に導通状態にし、増幅された電流値が、前記参照信号によって表される電流制限値を上回った時点で、スイッチング手段を非導通状態にするステップとを含む。選択するステップは、スイッチング手段が非導通状態にされたことを判別し、その判別結果にしたがい電流値を選択する。
【発明の効果】
【0065】
本発明に係るステッピングモータ駆動装置及び駆動方法によると、検出手段の入力へオフセットを付加することにより検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪の発生を防止することができる。また、検出手段の入力へ付加したオフセットをキャンセルすべく、第2のオフセットを付加することにより、付加したオフセットによる検出電流ずれの発生を防止することができる。また、検出遅れによる波形歪の発生防止と、オフセット付加時の検出電流ずれの発生防止とにより、ステッピングモータ駆動装置における低騒音化および低振動化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の各図の説明において、既に説明した部材に対応する部材には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0067】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置について、図1と図16および図2〜図7を参照しながら説明する。
【0068】
図1は第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。なお、ステッピングモータは複数相の巻線を有し、巻線毎に設けられる構成要素は各相で同一である。このため、1つの相の巻線に設けられる構成要素についてのみ説明する。
【0069】
図16は従来のステッピングモータ駆動装置における参照信号と電流方向切替信号PHASEとの関係を示す図である。参照信号と電流方向切替信号PHASEについては本実施形態においても既述した従来例と変わらない。
【0070】
図1において、ステッピングモータ駆動装置は電源1から電力を受けてステッピングモータ2を駆動する。制御対象であるステッピングモータ2は巻線3と回転子4を含む。
【0071】
ステッピングモータ駆動装置は、巻線3への給電を制御するスイッチング手段5と、電流制限値を表す参照信号を生成する参照信号生成手段14と、パルス幅変調制御部15と、給電電流測定手段20とを含む。
【0072】
スイッチング手段5は、巻線3への給電経路となるトランジスタ6〜9と、フライホイールダイオード10〜13を含む。パルス幅変調制御部15は、コンパレータ16と、フリップフロップ17と、基準パルス生成部18と、通電論理部19とを含む。
【0073】
第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置は、巻線3へ供給される平均電流が、参照信号生成手段14が生成する電流制限値に漸近するように、パルス幅変調制御(以降、PWM制御と呼ぶ)、より詳しくは電流チョッパ方式でPWM制御する。以降の動作説明においても、給電電流測定手段20が検出する巻線3を流れる電流を、単に「検出電流値」と呼び、また、参照信号生成手段14が生成する電流制限値を表す参照信号を、単に「電流目標値」と呼ぶ。
【0074】
まず、参照信号生成手段14が生成する電流目標値について説明する。参照信号生成手段14の動作は、前記従来のステッピングモータ駆動装置と変わらず、ステップ状に増加し、そして減少する階段波を生成し、電流目標値として出力する。電流目標値がステップ状に増加もしくは減少することによって、ステッピングモータは単位角度ずつ回転する。電流目標値のステップの進行は、ステップの進行を指示するCLKの入力によってなされるが、タイマによるステップ進行間隔の計時によってなされる構成としても、同様の効果を得ることができる。
【0075】
前記電流目標値のステップが進行する周期は、入力CLK周期、あるいはステップ進行間隔を決定するタイマの周期によって決定され、電流目標値のステップが進行する周期によって、ステッピングモータが単位角度を回転する周期が決まり、ひいては、ステッピングモータの回転周期が決まる。電流目標値は、低騒音,低振動の観点からは、正弦波状の信号であることが望ましい。参照信号生成手段14は正弦波をサンプリングした階段波を生成する。
【0076】
図16には、64ステップに対応してサンプリングされた階段波を電流目標値として示している。ステップの進行に伴い、各ステップにて、正弦波をサンプリングした階段波の各値を順に出力することにより、正弦波をサンプリングした階段波が出力される。
【0077】
なお、巻線3を流れる電流の電流方向は、図16に示すように、電流方向切替信号PHASEによって指定される。すなわち、前記階段波の大きさが電流目標値の大きさを示し、電流方向切替信号PHASEが電流の方向を示す。さらに、階段状のレベル変化による急峻な電流変化を回避するため、ローパスフィルタ等の積分手段により平滑化した階段波を、前記電流目標値として出力する。
【0078】
また、必ずしも正弦波をサンプリングした階段波である必要ではなく、実装面積の観点から、近似正弦波をサンプリングした階段波、あるいは正弦波から逸脱した階段波を用いることも可能であり、階段状のレベル変化による急峻な電流変化が許容可能な場合には、平滑化していない階段波を出力することも可能である。
【0079】
前記パルス幅変調制御部15は、コンパレータ16,フリップフロップ17,基準パルス生成部18,通電論理部19から構成され、巻線3の電流をPWM制御する。
【0080】
以下、PWM制御に係る動作について、図2を参照して詳細に説明する。図2には、ステッピングモータ駆動装置の電流波形に加えて、PWM制御動作に係る主要信号の時間変化を示す。
【0081】
前記基準パルス生成部18は、巻線3への給電開始を指示する一定周期の信号を、フリップフロップ17のセット端子へ出力し、一定周期毎にフリップフロップ17をセットする。フリップフロップ17がセットされることにより、フリップフロップ17の出力信号を受けた通電論理部19が、トランジスタ6〜9にトランジスタを導通または遮断するゲート信号を供給して、スイッチング手段5を構成するトランジスタ6と9のいずれかと、トランジスタ7と8のいずれかを、電源から接地への貫通が発生しない組合せとタイミングで導通させることにより、巻線3への給電を開始し、巻線3を流れる電流が増加し始める。
【0082】
前記通電論理部19に入力される電流方向切替信号PHASEによって、トランジスタ6と9、およびトランジスタ7と8のいずれを導通させるかが決まり、巻線3を流れる電流の向きが決まる。フリップフロップ17がセットされ、巻線3への電力供給によって巻線3を流れる電流が増加する期間を「PWMオン期間」と呼ぶ。基準パルス生成部18が生成する一定周期の信号毎に、巻線3への給電が開始され、PWMオン期間への遷移が行われるため、基準パルス生成部18が生成する一定周期がPWM周期として作用する。
【0083】
前記トランジスタ6と7には、それらのトランジスタを導通させるためのゲート信号が供給され、トランジスタ8と9には、それらのトランジスタを遮断するためのゲート信号が供給されている。この場合についてのPWMオン期間での電流経路を、図3(a)中の電流経路42に示す。図3(a)においては、電源1からトランジスタ6と巻線3とトランジスタ7と給電電流測定手段20を経由して接地へ電流が流れ、これにより、電源1から巻線3への給電がなされる。
【0084】
なお、本実施形態では、給電電流測定手段20を、接地とスイッチング手段5の間に配置することにより、給電電流測定手段20を経由して接地へ流れる電流を検出しているが、給電電流測定手段20を電源1とスイッチング手段5の間に配置することにより、電源1から給電電流測定手段20を経由して流れる電流を検出することも可能であり、その場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0085】
ただし、この場合には、検出電流値と電流目標値は接地基準ではなく、電源1の基準の信号となり、検出電流値と電流目標値の大小関係は接地基準時と逆の大小関係となる。
【0086】
図3(a)において、巻線3を流れる電流は電流経路42を流れ、給電電流測定手段20にて検出される。給電電流測定手段20は巻線3を流れる検出電流値を出力する。PWMオン期間への遷移直後には、検出電流値にオーバーシュートが存在する場合がある。
【0087】
前記オーバーシュートは、主にスイッチング手段5が有する寄生容量の放電電流、例えば、トランジスタ7のドレイン−ゲート間の寄生容量の電荷を放電する電流が、給電電流測定手段20へ流入することにより発生する。したがって、給電電流測定手段20とコンパレータ16がオーバーシュートに追従すれば、巻線3の電流が実際には電流目標値を上回っていなくとも、オーバーシュートによって、検出電流値が電流目標値を上回ったと誤検出される場合がある。
【0088】
その場合には、オーバーシュートが発生している可能性のある一定時間中(以降、「マスク時間」と呼ぶ)は、給電電流測定手段20とコンパレータ16による電流検出をマスクする。本実施形態においては、フリップフロップ17にセット優先のフリップフロップを用い、かつ基準パルス生成部18が出力する信号のパルス幅を、マスク時間に相当するパルス幅とすることにより電流検出のマスクが行える。すなわち、基準パルス生成部18が、マスク時間に相当するパルス幅を出力している間は、コンパレータ16がオーバーシュートによって誤検出しても、フリップフロップ17がセット優先であるため、リセットされることがない。またマスク時間中に、給電電流測定手段20の出力、またはコンパレータ16の出力を固定しても、同様の効果を得ることができる。
【0089】
前記コンパレータ16へは、前記検出電流値を示す信号と前記電流目標値を示す信号とが入力される。図1に示す本実施形態において、検出電流値を示す信号は給電電流測定手段20の出力であり、電流目標値を示す信号は参照信号生成手段14から出力される電流目標値と、第2のオフセット加算手段41によるオフセットとの加算結果である。第2のオフセット加算手段41の詳細な動作と効用については後述する。
【0090】
前記コンパレータ16は、入力された前記検出電流値を示す信号と前記電流目標値を示す信号とを比較し、前記検出電流値を示す信号が前記電流目標値を示す信号を上回った時点で、フリップフロップ17をリセットし、回生動作を開始する。フリップフロップ17がリセットされ、回生動作によって、巻線3を流れる電流が減少する期間を「PWMオフ期間」と呼ぶ。
【0091】
本実施形態では、フリップフロップ17のセットおよびリセットとPWMオン期間およびPWMオフ期間の関係を、フリップフロップ17のセットによってPWMオン期間へ遷移し、フリップフロップ17のリセットによってPWMオフ期間へ遷移となるように構成しているが、その関係を入れ替えて構成することは可能であり、その場合であっても、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0092】
前記フリップフロップ17をリセットすることにより、通電論理部19はトランジスタを遮断するゲート信号をトランジスタ7と8へ供給する。トランジスタ7と8の両方が遮断されることにより、PWMオフ期間へ遷移し、巻線3への給電が遮断され、巻線3を流れる電流は回生動作により減少を開始する。PWMオフ期間への遷移直前にトランジスタ6と7が導通していた場合について、PWMオフ期間での電流経路を図3(b)中の電流経路42に示す。
【0093】
図3(b)において、巻線3を流れる電流は、フライホイールダイオード11とトランジスタ6とを経由して回生して減少する。また、PWMオフ期間中に、巻線3を流れる電流の減少量を軽減して、巻線3を流れる電流のリップルを軽減する目的でトランジスタ6と9の両方を導通させることも可能である。フライホイールダイオード11による電力消費が、トランジスタ9のオン抵抗による電力消費へと置き換わり、減少することによって、PWMオフ期間中の巻線3を流れる電流の減少量が軽減される。この場合の電流経路を、図3(c)中の電流経路42に示す。
【0094】
図3(c)において、巻線3を流れる電流は、トランジスタ6と9とを経由して回生して減少する。また、PWMオフ期間中に、前記巻線3を流れる電流を速やかに減少させる目的でトランジスタ6と9の両方を遮断することも可能である。この場合の電流経路を、図3(d)中の電流経路42に示す。
【0095】
図3(d)においては、巻線3を流れる電流はフライホイールダイオード10と11とを経由して回生して減少する。なお、本実施形態では、フライホイールダイオード10〜13を設けているが、トランジスタ6〜9のバックゲートとドレインで構成されるボディダイオードで代用することも可能である。また、PWMオフ期間中の巻線3を流れる電流の減少量を軽減する目的においては、フライホイールダイオード10〜13としてショットキバリアダイオードを用いることも可能である。
【0096】
前記フリップフロップ17のリセットによるPWMオフ期間への遷移後、基準パルス生成部18が、一定周期毎にフリップフロップ17をセットすることによって前記動作が繰り返される。このPWMオン期間中の電流の増加とPWMオフ期間中の電流の減少を繰り返すことによって、巻線3へ供給される平均電流が、電流目標値に漸近する。電流目標値がステップ上に増減することにより、巻線3へ供給される平均電流がステップ上に増減し、巻線3以外の他相の巻線についても、同様に動作することにより、ステップの進行する速度に応じた回転速度でステッピングモータ2が回転動作する。
【0097】
次に、前記給電電流測定手段20の構成と動作について説明する。給電電流測定手段20は、トランジスタ6から9の導通によって電源1から巻線3へ供給される電流を検出し、検出電流値として出力する。
【0098】
本実施形態における給電電流測定手段20は、検出手段である検出抵抗21と、増幅手段である増幅回路25と、第1のオフセット加算手段40とから構成される。また、増幅回路25は、センスアンプ22と、ゲイン設定抵抗23,24とから構成され、増幅回路25の増幅率、すなわち、センスアンプ22の入力から出力へのゲインはゲイン設定抵抗23,24で設定される。
【0099】
図1において、検出手段として検出抵抗21を用いて構成したが、図4に示すように、ゲート印加電圧45を与えたときのMOSトランジスタ44のオン抵抗を用いて、図1における検出抵抗21と同様の作用を得ることも可能である。巻線3へ供給された電流は、検出抵抗21を通じて接地へ流入し、検出抵抗21両端には、該検出抵抗21の抵抗値と流入する電流で決まる電圧が発生する。検出抵抗21両端に発生した電圧は、第1のオフセット加算手段40によって、オフセットを加算された後、増幅回路25を構成するセンスアンプ22の非反転入力端子(+)へと入力される。センスアンプ22、すなわち増幅手段25は、入力電圧をゲイン倍に増幅した電圧を検出電流値として、コンパレータ16へ出力する。
【0100】
図5(a)〜(d)にて第1のオフセット加算手段40によるオフセット加算の具体例を説明する。
【0101】
図5(a)において、第1のオフセット加算手段40は、抵抗47と電流源48とにより構成される。抵抗47の抵抗値と電流源48の電流値により定まる電圧が、加算するオフセットとなる。なお、抵抗47の代わりにダイオードを用いることも可能である。
【0102】
図5(b)において、第1のオフセット加算手段40は、電流源48とゲート印加電圧49とMOSトランジスタ50とで構成される。ゲート印加電圧49で定まるMOSトランジスタ50のオン抵抗と、電流源48の電流値とで定まる電圧が、加算するオフセットとなる。MOSトランジスタ50は、PチャネルMOSトランジスタでも、またNチャネルMOSトランジスタであっても実現可能である。
【0103】
図5(c)において、第1のオフセット加算手段40は、MOSトランジスタ51と電流源52によるソースフォロアで構成され、ゲート−ソース間電圧が加算するオフセットとなる。MOSトランジスタ51によるソースフォロアの代わりに、バイポーラトランジスタによるエミッタフォロアを用いることも可能である。
【0104】
図5(d)において、PチャンネルMOSトランジスタ30a〜30cと、NチャンネルMOSトランジスタ31a〜31cと、差動トランジスタ32a、32bと、電流源33とがセンスアンプ22を構成する。第1のオフセット加算手段40は、センスアンプ22を構成する差動トランジスタ32aと32bとにより構成される。差動トランジスタ32aと32bのサイズ、もしくは個数の差によって生じるオフセットが、加算するオフセットとなる。該オフセットは、サイズもしくは個数の差によって生成するのではなく、差動トランジスタ32aと差動トランジスタ32bの一方の電流を加減して、差動トランジスタ32aと差動トランジスタ32bに流す電流を不平衡とすることによって生成することも可能である。
【0105】
図5では、第1のオフセット加算手段40について示しているが、第2のオフセット加算手段についても同様である。ただし、図5(d)に相当する具体例では、第2のオフセット加算手段に対しては、センスアンプ22がコンパレータ16と置き換えられる。
【0106】
図6は第1のオフセット加算手段40によってオフセットが加算された場合のPWMオフ期間動作点を示し、図7はPWMオン期間動作点を示す。図6と図7を参照して、第1のオフセット加算手段によってオフセットが加算された場合のセンスアンプの動作を説明する。
【0107】
図6と図7において、ゲイン設定抵抗23,24は同じ抵抗値Rであり、すなわちゲインを2倍としている。PWMオフ期間においては、回生動作を行っているため、検出抵抗21に電流が流れない。このとき、検出抵抗21端の電圧は接地電圧となる。
【0108】
図6において、第1のオフセット加算手段40によるオフセットを20mVとしている。したがって、センスアンプ22の非反転入力端子には、検出抵抗21端の電圧と第1のオフセット加算手段40によるオフセットとを加算した20mVが入力されることになり、図6においてはVin+=0.02Vとして示している。センスアンプ22の反転入力端子には0.02Vが入力され、センスアンプ22は0.04Vを出力する。図6においてはVout=0.04Vとして示している。
【0109】
ここで、センスアンプ22は、PチャネルMOSトランジスタ30cから流れる定電流と、NチャネルMOSトランジスタ31cのオン抵抗とで決まる最低電圧以下の電圧を出力することはできない。仮に、Rail−to−Railと呼ばれる形式のアンプを用いたとしても、センスアンプ22の最低電位が0Vであれば、0Vを出力することはできない。
【0110】
図17に示す既述した従来のステッピングモータ駆動装置においては、PWMオフ期間中、センスアンプ22出力が、最低電圧とした20mVである。このときセンスアンプ22の仮想接地の関係が崩れ、差動トランジスタ32a,32bが平衡状態にないため、位相補償容量34には電源1の電圧にほぼ等しい電圧が印加された。
【0111】
一方、本実施形態の図6においては、第1のオフセット加算手段40によるオフセットのために、センスアンプ22の出力は、最低電圧とした20mVを上回る40mVであり、センスアンプ22の仮想接地の関係は維持される。このとき、差動トランジスタ32a,32bが平衡状態にあるため、位相補償容量34には、PチャネルMOSトランジスタ30cから流れる定電流と、NチャネルMOSトランジスタ31cのオン抵抗とで決まる電圧が0.04Vとなるような、NチャネルMOSトランジスタ31cのゲート電圧Vgs2が印加される。図6においてはVc=Vgs2として示している。以降、仮想接地の関係が維持された状態を「センスアンプのループが維持されている」と呼び、仮想接地の関係が崩れた状態を「センスアンプのループが外れている」と呼ぶ。図6において、位相補償容量34には、[Ccomp×(Vgs2−0.04V)]の電荷が蓄積されている。
【0112】
次いで、PWMオン期間動作点を図7に示す。PWMオン期間においては、検出抵抗21に電流が流れるため、検出抵抗21両端の電圧は、検出抵抗21を流れる電流と検出抵抗21の抵抗値とで決まる電圧となる。検出抵抗21両端の電圧が0.2Vであり、第1のオフセット加算手段40によるオフセットが20mVであるとき、センスアンプ22の非反転入力端子(+)には、検出抵抗21端の電圧と第1のオフセット加算手段40によるオフセットとを加算した0.22Vが入力されることになり、図7においてはVin+=0.22Vとして示している。
【0113】
前記センスアンプ22の反転入力端子(−)には、0.22Vが入力され、センスアンプ22は0.44Vを出力する。図7においてはVin−=0.22V,Vout=0.44Vとして示している。このときにも、センスアンプ22の仮想接地の関係は維持され、差動トランジスタ32a,32bが平衡状態にあるため、位相補償容量34には、PチャネルMOSトランジスタ30cから流れる定電流と、NチャネルMOSトランジスタ31cのオン抵抗とで決まる電圧が0.44Vとなるような、NチャネルMOSトランジスタ31cのゲート電圧Vgs3が印加される。図7においてはVc=Vgs3として示している。位相補償容量34には、[Ccomp×(Vgs3−0.44V)]の電荷が蓄積されている。
【0114】
図6に示す本実施形態では、PWMオフ期間においても、センスアンプのループが維持されているため、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移において、センスアンプのループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。本実施形態のように、PWMオフ期間においても、センスアンプのループを維持するためには、増幅回路25の増幅率をα、第1のオフセット加算手段40によるオフセットをOFFSET、センスアンプ22が出力可能な最低電圧をVminとしたとき、OFFSETは、下式(1)の条件を最低限満たす必要がある。
【0115】
OFFSET≧Vmin/α (1)
より具体的には、式(1)における各値のばらつきと、センスアンプ22自体が有するオフセットを見込んだマージンを加える必要がある。
【0116】
前述したように、図6に示す動作点では[Ccomp×(Vgs2−0.04V)]の電荷、図7に示す動作点では[Ccomp×(Vgs3−0.44V)]の電荷が蓄積されている。MOSトランジスタにおける入力ゲート電圧と電流の二乗特性から、前記Vgs2と前記Vgs3とに大きな差はないため、簡単のために、Vgs2=Vgs3とする。
【0117】
このとき、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移時に放電しなければならない位相補償容量34の電荷は、[Ccomp×0.4V]となり、図17と図18とに示した従来例における放電すべき電荷の[Ccomp×4.4V]と比べて、約10分の1と小さい。しかも、さらに電流が少なく、検出抵抗21端の電圧が小さい場合には、放電すべき電荷もさらに小さくなる。
【0118】
例えば、検出抵抗21両端の電圧が0.1Vである場合には、前記従来例における放電すべき電荷は、[Ccomp×4.2V]であり、本実施形態においては、[Ccomp×0.2V]となり、前記従来例と比して、約20分の1と、さらに小さい。前述したように、この放電に要する時間は、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移後に、センスアンプ22が正しく検出電流値を判定可能となるまでの時間となり、すなわち検出遅れとなる。本実施形態においては、放電すべき電荷が少なく、その結果、検出遅れが生じない。したがって、検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪を防止することができる。
【0119】
前記従来のステッピングモータ駆動装置の説明にて既述したとおり、巻線3の電流が残った状態で電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転する際には、巻線3の電流は接地から電源へと流れる。このとき、センスアンプ22にも接地から電流が逆流し、ひいては前記検出抵抗21にも接地から電流が逆流する。このため、検出抵抗21端には負電位が発生する。前記(1)の式で示した条件は、検出抵抗21端の電圧が接地電圧の場合に対するものであり、負電位に対しても検出遅れを排除するためには、下式(数2)の条件を満たす必要がある。
【0120】
OFFSET≧(Vmin/α)+Vneg (2)
なお、増幅回路25の増幅率をα、第1のオフセット加算手段40によるオフセットをOFFSET、センスアンプ22が出力可能な最低電圧をVmin、検出抵抗21端に発生し得る最大の負電位をVnegとする。
【0121】
第1のオフセット加算手段40が、式(2)を満たすオフセットを加算することにより、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転する際にも、検出遅れを排除して波形歪を防止することができる。
【0122】
次に、パルス幅変調制御部15に接続する第2のオフセット加算手段41について説明する。前記第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットのため、給電電流測定手段20から出力される前記検出電流値は、実際には検出抵抗21を流れる電流量に相当する値からずれることになる。
【0123】
図2(e)において、実線がオフセット加算後の検出電流値であり、破線がオフセット加算前の検出電流値である。図2(e)のA部に、電流が流れていないPWMオフ期間であっても、給電電流測定部の出力が、オフセットのため接地電圧にならない状況を示す。
【0124】
本実施形態では、第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットによって、巻線3を流れる電流が電流目標値からずれることを防止するため、第2のオフセット加算手段41によるオフセットを電流目標値に加算する。図2(e)に示すように、給電電流測定手段20からの出力、すなわち増幅回路25からの出力は、第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットと増幅回路25の増幅率を乗じた値だけ、破線に示した、実際に検出抵抗21を流れる電流量に相当する値からずれている。
【0125】
前記第2のオフセット加算手段41によって設けた電流目標値のオフセットを、第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットと増幅回路25の増幅率を乗じた値と等しくすることにより、コンパレータ16へ実際に入力される電流目標値と電流検出値の両方が同値だけずれることになり、コンパレータ16へ入力される差電圧は、両オフセットがない場合と等しくなる。このため、コンパレータ16による電流目標値と電流検出値の大小判定は、両オフセットを設けない場合と変わらず、付加したオフセットによる検出電流のずれを防止できる。
【0126】
以上説明したとおり、第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置によれば、センスアンプ22の入力へオフセットを付加することにより、検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪を防止することができる。また、センスアンプ22の入力に付加したオフセットをキャンセルすべく、第2のオフセットを付加することにより、付加したオフセットによる検出電流ずれを防止することができる。このことより、本実施形態において、ステッピングモータ駆動装置の低騒音化および低振動化が実現する。
【0127】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置は、第1の実施形態における第2のオフセット加算手段に代わりに、オフセット減算手段を設ける点が、第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置と異なる。以下、図8と図9を参照しながら、主に第1の実施形態との違いを説明し、第1の実施形態と同一の動作については、詳しい説明を省略する。
【0128】
図8は第2の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図、図9は第2の実施形態に係るオフセット減算手段の一例を示す図である。なお、ステッピングモータは複数相の巻線を有し、巻線毎に設けられる構成要素は各相で同一である。このため、1つの相の巻線3に設けられる構成要素についてのみ説明する。
【0129】
図8に示す本実施形態に係るステッピングモータ駆動装置は、オフセット減算手段55を有する。
【0130】
図8に示す本実施形態において、電流目標値を示す信号は参照信号生成手段14から出力される電流目標値であり、検出電流値を示す信号は給電電流測定手段20の出力から、オフセット減算手段55によるオフセットを減算した結果である。オフセット減算手段55の詳細な動作と効用については後述する。コンパレータ16は、入力された検出電流値を示す信号と電流目標値を示す信号とを比較し、検出電流値を示す信号が電流目標値を示す信号を上回った時点で、フリップフロップ17をリセットして、PWMオフ期間へ遷移する。
【0131】
図9(a)〜(d)にオフセット減算手段55によるオフセット減算の具体例を示す。
【0132】
図9(a)において、オフセット減算手段55は抵抗47と電流源48で構成される。
抵抗47の抵抗値と電流源48の電流値とで定まる電圧が減算するオフセットとなる。なお、抵抗47の代わりにダイオードを用いることも可能である。
【0133】
図9(b)において、オフセット減算手段55は、電流源48とゲート印加電圧49とMOSトランジスタ50とで構成される。ゲート印加電圧49で定まるMOSトランジスタ50のオン抵抗と、電流源48の電流値とで定まる電圧が減算するオフセットとなる。MOSトランジスタ50は、PチャネルMOSトランジスタでも、NチャネルMOSトランジスタであっても実現可能である。
【0134】
図9(c)において、オフセット減算手段55は、MOSトランジスタ51と電流源52によるソースフォロアで構成され、ゲート−ソース間電圧が減算するオフセットとなる。MOSトランジスタ51によるソースフォロアの代わりに、バイポーラトランジスタによるエミッタフォロアを用いることも可能である。
【0135】
図9(d)において、PチャンネルMOSトランジスタ56a〜56cと、NチャンネルMOSトランジスタ57a〜57cと、差動トランジスタ58a、58bと、電流源59とがコンパレータ16を構成する。オフセット減算手段55は、コンパレータ16を構成する差動トランジスタ58aと58bで構成される。差動トランジスタ58aと58bのサイズ、あるいは個数の差によって生じるオフセットが、減算するオフセットとなる。オフセットを、サイズもしくは個数の差によって生成するのではなく、差動トランジスタ58aと58bの片方の電流を加減して、差動トランジスタ58aと58bに流す電流を不平衡とすることによって生成することも可能である。
【0136】
次に、本実施の形態の給電電流測定手段20の構成と動作について説明する。給電電流測定手段20は、トランジスタ6からトランジスタ9の導通によって電源1から巻線3へ供給される電流を検出して検出電流値として出力する。本実施形態における給電電流測定手段20は、検出手段である検出抵抗21と、増幅手段である増幅回路25と、第1のオフセット加算手段40とから構成される。
【0137】
また、増幅回路25は、センスアンプ22とゲイン設定抵抗23,24とから構成され、増幅回路25の増幅率、すなわちセンスアンプ22の入力から出力へのゲインはゲイン設定抵抗23,24で設定される。
【0138】
図8においては、検出手段として検出抵抗21を用いた構成としたが、図4に示すように、ゲート印加電圧45を与えたときのMOSトランジスタ44のオン抵抗を用いて、図8における検出抵抗21と同様の作用を得ることも可能である。巻線3へ供給された電流は、検出抵抗21を通じて接地へ流入し、検出抵抗21端には、検出抵抗21の抵抗値と流入する電流で決まる電圧が発生する。検出抵抗21端に発生した電圧は、第1のオフセット加算手段40によって、オフセットを加算された後、増幅回路25を構成するセンスアンプ22の非反転入力端子へと入力される。センスアンプ22、すなわち増幅回路25は、入力電圧をゲイン倍に増幅した電圧をオフセット減算手段55へ出力する。
【0139】
図8に示す本実施形態においても、前記第1の実施形態と同じく、PWMオフ期間中も第1のオフセット加算手段40によってセンスアンプのループが維持されているため、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移において、センスアンプのループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。
【0140】
第1の実施形態で既述したとおり、第1のオフセット加算手段40によるオフセットを、前述の式(1)と式(2)とを満たすオフセットとすることにより、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転する際にも検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪を防止することができる。
【0141】
次に、オフセット減算手段55について説明する。本実施形態においては、前記第1の実施形態における第2のオフセット加算手段が存在せず、代わりにオフセット減算手段55を設けている。本実施形態においても、第1の実施形態と同じく、第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットのため、給電電流測定手段20からの出力値は、実際に検出抵抗21を流れる電流量に相当する値からずれることになる。給電電流測定手段20からの出力は、オフセット減算手段55へ入力され、巻線3を流れる電流が電流目標値からずれることを防止するため、オフセット減算手段55によるオフセットを減算した値を検出電流値としてコンパレータ16へ出力する。
【0142】
第1の実施形態にて説明したように、給電電流測定手段20からの出力、すなわち増幅回路25からの出力は、第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットに増幅回路25の増幅率を乗じた値だけ、図2における破線に示した実際に検出抵抗21を流れる電流量に相当する値からずれている。
【0143】
前記オフセット減算手段55によるオフセットを、第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットに増幅回路25の増幅率を乗じた値と等しくすることにより、第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットは、オフセット減算手段55が減算するオフセットで±0に打ち消される。このため、コンパレータ16による電流目標値と電流検出値の大小判定は、両オフセットを設けない場合と変わらず、付加したオフセットによる検出電流ずれを防止することができる。
【0144】
以上説明したとおり、第2の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置によると、センスアンプ22の入力へオフセットを付加することにより検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪を防止することができる。また、センスアンプ22の入力へ付加したオフセットをキャンセルするためオフセットを減算することにより、付加したオフセットによる検出電流ずれを防止することができる。このことより、本実施形態において、ステッピングモータ駆動装置の低騒音化および低振動化が実現する。
【0145】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置は、第1の実施形態における第2のオフセット加算手段を設けない点が、第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置と異なる。
【0146】
以下、図10を参照しながら、主に第1の実施形態との違いを説明し、第1の実施形態と同一の動作については、詳しい説明は省略する。
【0147】
図10は、本発明の第3の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。なお、ステッピングモータは複数相の巻線を有し、巻線毎に設けられる構成要素は各相で同一である。このため、1つの相の巻線に設けられる構成要素についてのみ説明する。
【0148】
コンパレータ16へは、検出電流値を示す信号と電流目標値を示す信号が入力される。図10に示す本実施形態において、電流目標値を示す信号は、参照信号生成手段14から出力される電流目標値であり、検出電流値を示す信号は給電電流測定手段20の出力である。コンパレータ16は、入力された検出電流値を示す信号と、電流目標値を示す信号とを比較し、検出電流値を示す信号が、電流目標値を示す信号を上回った時点で、フリップフロップ17をリセットし、PWMオフ期間へ遷移する。
【0149】
次に、給電電流測定手段20の構成と動作について説明する。
【0150】
給電電流測定手段20は、トランジスタ6からトランジスタ9の導通によって、電源1から巻線3へ供給される電流を検出し、検出電流値として出力する。本実施形態における給電電流測定手段20は、検出手段である検出抵抗21と、増幅手段である増幅回路25と、第1のオフセット加算手段40とから構成される。
【0151】
また、増幅回路25は、センスアンプ22と、ゲイン設定抵抗23,24とから構成され、増幅回路25の増幅率、すなわちセンスアンプ22の入力から出力へのゲインは、ゲイン設定抵抗23,24で設定される。
【0152】
図10においては、検出手段として検出抵抗21を用いた構成としたが、図4に示すように、ゲート印加電圧45を与えたときのMOSトランジスタ44のオン抵抗を用いて、図10における検出抵抗21と同様の作用を得ることも可能である。巻線3へ供給された電流は検出抵抗21を通じて接地へ流入し、検出抵抗21端には検出抵抗21の抵抗値と流入する電流で決まる電圧が発生する。検出抵抗21端に発生した電圧は、第1のオフセット加算手段40によって、オフセットを加算された後、増幅回路25を構成するセンスアンプ22の非反転入力端子へと入力される。センスアンプ22、すなわち増幅回路25は、入力電圧をゲイン倍に増幅した電圧を、検出電流値としてコンパレータ16へ出力する。
【0153】
図10に示す第3の実施形態においても、第1の実施形態と同じく、PWMオフ期間中も第1のオフセット加算手段40によって、センスアンプのループが維持されているため、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移において、センスアンプのループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。
【0154】
第1の実施形態で既述したとおり、第1のオフセット加算手段40によるオフセットを、前述の式(1)と式(2)を満たすオフセットとすることにより、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転する際にも検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪を防止することができる。
【0155】
本実施形態においても、第1の実施形態と同じく、第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットのため、給電電流測定手段20からの出力値は、実際に前記検出抵抗21を流れる電流量に相当する値からずれることになる。第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットをoffsetとし、検出抵抗21の抵抗値をRcsとするとき、検出電流のずれは[offset/Rcs]であり、実際に検出抵抗21を流れる電流量が、電流目標値より小さくなる方向にずれが生じる。
【0156】
本実施形態においては、第1の実施形態における第2のオフセット加算手段が存在せず、また第2の実施形態におけるオフセット減算手段も存在しないため、巻線3を流れる電流の電流目標値からのずれをキャンセルすることができない。検出電流のずれが小さく、該ずれが許容可能な場合には、構成要素削減の観点から本実施形態が有用である。
【0157】
また、実際に検出抵抗21を流れる電流量において、電流目標値より小さくなる方向にずれが生じるということは、電流目標値が0Aを示すときに、巻線3を流れる電流がばらつき等に依存せず、確実に0Aとなることである。第1のオフセット加算手段40が加算するオフセットを、巻線3を流れる電流が確実に0Aとなることを保証するオフセットとして用いることが可能であり、電流目標値が0Aを示すときに、巻線3を流れる電流が確実に0Aとなることを保証する場合にも本実施形態が有用である。
【0158】
以上説明したとおり、第3の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置によれば、センスアンプ22の入力へオフセットを付加することにより、検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪を防止することができる。なお、センスアンプ22の入力へ付加したオフセットによる検出電流ずれが生じるが、反面、付加したオフセットによって、巻線3を流れる電流が確実に0Aとなることを保証することができる。このことより、本実施形態において、ステッピングモータ駆動装置の低騒音化および低振動化が実現する。
【0159】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置は、第2のオフセット加算手段が存在せず、検出手段の出力または第1のオフセット加算手段の出力のいずれかを選択し、後段へ出力する選択手段(セレクタ)と、パルス幅変調制御手段がスイッチング手段を非導通状態としたことを判別し、その判別結果にしたがい選択手段を制御するセレクタ駆動信号生成部とを設ける点が、第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置と異なる。
【0160】
以下、図11,図12を参照しながら、主に第1の実施形態との違いを説明し、第1の実施形態と同一の動作については、詳しい説明を省略する。
【0161】
図11は本発明の第4の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。ステッピングモータ駆動装置はセレクタ65と、セレクタ駆動信号生成部66とを含む。なお、ステッピングモータは複数相の巻線を有し、巻線毎に設けられる構成要素は各相で同一である。このため、1つの相の巻線に設けられる構成要素についてのみ説明する。
【0162】
また、図12(a)〜(c)は第4の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の波形図である。
【0163】
図11に示す第4の実施形態において、コンパレータ16へは、検出電流値を示す信号と電流目標値を示す信号が入力される。電流目標値を示す信号は参照信号生成手段14から出力される電流目標値である。検出電流値を示す信号は検出抵抗21の出力または第1のオフセット加算手段40の出力のいずれかを選択し、後段へ出力するセレクタ65の出力である。セレクタ65の詳細な動作と効用については後述する。コンパレータ16は、入力された検出電流値を示す信号と電流目標値を示す信号とを比較し、検出電流値を示す信号が電流目標値を示す信号を上回った時点で、フリップフロップ17をリセットし、PWMオフ期間へ遷移する。
【0164】
次に、給電電流測定手段20の構成と動作について説明する。給電電流測定手段20は、トランジスタ6からトランジスタ9の導通によって、電源1から巻線3へ供給される電流を検出し、検出電流値として出力する。本実施形態における給電電流測定手段20は、検出手段である検出抵抗21と、増幅手段である増幅回路25と、第1のオフセット加算手段40と、セレクタ65とから構成される。
【0165】
また、増幅回路25は、センスアンプ22と、ゲイン設定抵抗23と24とから構成され、増幅回路25の増幅率、すなわち、センスアンプ22の入力から出力へのゲインは、ゲイン設定抵抗23,24で設定される。
【0166】
図11において、検出手段として検出抵抗21を用いた構成としたが、図4に示すように、ゲート印加電圧45を与えたときのMOSトランジスタ44のオン抵抗を用いて、図11における検出抵抗21と同様の作用を得ることも可能である。
【0167】
前記巻線3へ供給された電流は、検出抵抗21を通じて接地へ流入し、検出抵抗21端には、検出抵抗21の抵抗値と流入する電流で決まる電圧が発生する。検出抵抗21端に発生した電圧は、第1のオフセット加算手段40によってオフセットを加算された後、セレクタ65の一方の端子へ入力される。また、セレクタ65の他方の端子へは、検出抵抗21端に発生した電圧が入力される。
【0168】
前記セレクタ65は、セレクタ駆動信号生成部66からの指令に応じて、増幅回路25を構成するセンスアンプ22の非反転入力端子へ、オフセットが加算された信号またはオフセットが加算されていない信号のいずれかを出力する。センスアンプ22、すなわち増幅回路25は、入力電圧をゲイン倍に増幅した電圧を検出電流値として、コンパレータ16へ出力する。PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移において、セレクタ65が、センスアンプ22へ第1のオフセット加算手段40の出力を導通させている限りは、第1の実施形態と同じく第1のオフセット加算手段40によって、センスアンプ22のループが維持されているため、センスアンプ22のループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。すなわち、検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0169】
前記セレクタ駆動信号生成部66が前記セレクタ65の選択動作を制御するタイミングについて、図12(a)〜図12(c)を参照して説明する。
【0170】
図12(a)に、セレクタ65が、PWMオフ期間において第1のオフセット加算手段40の出力を導通させ、残期間において検出抵抗21の出力を導通させた場合の波形を示す。
【0171】
図12(a)において、セレクタ65が第1のオフセット加算手段40の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66の出力を「A」とする。また、セレクタ65が検出抵抗21の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66の出力を「B」とする。PWMオフ期間中、セレクタ駆動信号生成部66出力が「A」を出力し、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させるため、第1の実施形態において説明したとおり、センスアンプ22のループが維持される。PWMオン期間中、セレクタ駆動信号生成部66出力が「B」を出力し、検出抵抗21の出力を導通させる。PWMオン期間中、検出抵抗21には電流が流れるため、センスアンプ22のループが維持され、センスアンプ22のループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。すなわち検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0172】
また、PWMオン期間中には、第1のオフセット加算手段40を介さず、検出抵抗21の出力がセンスアンプ22へ入力されるため、第1のオフセット加算手段40による検出電流ずれも発生しない。ただし、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転する際、検出抵抗21に負電位が発生すれば検出遅れが発生するが、負電位が消失すれば本検出遅れも消失する。
【0173】
図12(b)に、セレクタ65がPWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移する前の所定の時間において、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させ、残期間において検出抵抗21の出力を導通させた場合の波形を示す。
【0174】
図12(b)においても、セレクタ65が第1のオフセット加算手段40の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66の出力を「A」とする。また、セレクタ65が検出抵抗21の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66の出力を「B」とする。PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移する前の所定の時間、セレクタ駆動信号生成部66の出力が「A」を出力し、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させるため、第1の実施形態において説明したとおり、センスアンプ22のループが維持される。
【0175】
続くPWMオン期間中、セレクタ駆動信号生成部66の出力が「B」を出力し、検出抵抗21の出力を導通させる。PWMオン期間中、検出抵抗21には電流が流れるため、センスアンプ22のループが維持され、センスアンプ22のループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。すなわち、検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0176】
ただし、PWMオフ期間かつセレクタ駆動信号生成部66の出力が「B」を出力している期間には、センスアンプ22のループが外れているため、PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移する前の所定の時間は、センスアンプ22のループが外れた状態から維持された状態への遷移に要する時間以上確保する必要がある。さもなければ、センスアンプ22のループが外れた状態のまま、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移を迎えることになり、検出遅れが生じる。
【0177】
なお、PWMオン期間中には、第1のオフセット加算手段40を介さず、検出抵抗21の出力が、センスアンプ22へ入力されるため、第1のオフセット加算手段40による検出電流ずれも発生しない。ただし、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転する際、検出抵抗21に負電位が発生すれば検出遅れが発生するが、負電位が消失すれば本検出遅れも消失する。
【0178】
図12(c)に、セレクタ65が、PWMオフ期間と、該PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移した後の所定の時間とにおいて、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させ、残期間において検出抵抗21の出力を導通させた場合の波形を示す。
【0179】
図12(c)においても、セレクタ65が、第1のオフセット加算手段40の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66出力を「A」とする。また、セレクタ65が検出抵抗21の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66の出力を「B」とする。PWMオフ期間と、該PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移した後の所定の時間とにおいて、セレクタ駆動信号生成部66の出力が「A」を出力し、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させるため、第1の実施形態において説明したとおり、センスアンプ22のループが維持される。PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移した後の前記所定の時間経過後、セレクタ駆動信号生成部66出力が「B」を出力し、検出抵抗21の出力を導通させる。PWMオン期間中、検出抵抗21には電流が流れるため、センスアンプ22のループが維持され、センスアンプ22のループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。すなわち、検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0180】
なお、PWMオン期間中には、第1のオフセット加算手段40を介さず、検出抵抗21の出力がセンスアンプへ入力されるため、第1のオフセット加算手段40による検出電流ずれも発生しないが、PWMオン期間かつセレクタ駆動信号生成部66の出力が「A」を出力している期間には、第1のオフセット加算手段40による検出電流ずれが発生する。その反面、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転する際、検出抵抗21に発生した負電位が消失するまでの時間以上、セレクタ駆動信号生成部66の出力が「A」を出力することにより、検出抵抗21に発生する負電位に対しても、センスアンプ22のループが維持されるため、検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0181】
また、図12(c)の例では、PWMオフ期間の全期間においてセレクタ65により第1のオフセット加算手段40の出力が選択されたが、PWMオフ期間の一部の期間において第1のオフセット加算手段40の出力が選択されてもよい。すなわち、PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移する前の所定期間において第1のオフセット加算手段40の出力が選択され、PWMオフ期間の残りの期間においては検出抵抗21の出力が選択されてもよい。
【0182】
以上説明したとおり、第4の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置によると、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移において、センスアンプ22の入力へオフセットを付加することで、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移する際の検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪を防止できる。また、PWMオン期間の電流検出時にはセンスアンプ22の入力へオフセットを付加しないことにより、オフセットによる検出電流ずれを防止できる。このことより、本実施形態において、ステッピングモータ駆動装置の低騒音化および低振動化が実現する。
【0183】
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置は、前記第4の実施形態においてセレクタ駆動信号生成部が、パルス幅変調制御手段にてスイッチング手段を非導通状態としたことに加えて、巻線電流の方向切替が指令されたことを判別する点が、第4の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置と異なる。以下、図13,図14を参照しながら、主に第4の実施形態との違いを説明し、第4の実施形態と同一の動作については、詳しい説明を省略する。
【0184】
図13は本発明の第5の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図である。なお、ステッピングモータは複数相の巻線を有し、巻線毎に設けられる構成要素は各相で同一である。このため、1つの相の巻線に設けられる構成要素についてのみ説明する。図14は第5の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の波形図である。
【0185】
図13に示すように、第5の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置においては、セレクタ駆動信号生成部66に電流方向切替信号PHASEが入力され、第4の実施形態における制御に加えて、電流方向切替信号PHASEに基づいたセレクタ65の制御を行う。
【0186】
セレクタ駆動信号生成部66が、セレクタ65の選択動作を制御するタイミングについて、図14(a)〜図14(c)を参照して説明する。
【0187】
図14(a)に、セレクタ65が、PWMオフ期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間において、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させ、残期間において検出抵抗21の出力を導通させた場合の波形を示す。
【0188】
図14(a)において、セレクタ65が、第1のオフセット加算手段40の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66出力を「A」とする。また、セレクタ65が、検出抵抗21の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66出力を「B」とする。PWMオフ期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間中、セレクタ駆動信号生成部66の出力が「A」を出力し、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させるため、第1の実施形態において説明したとおり、センスアンプ22のループが維持される。
【0189】
続くPWMオン期間中、セレクタ駆動信号生成部66の出力が「B」を出力し、検出抵抗21の出力を導通させる。PWMオン期間中、検出抵抗21には、電流が流れるため、センスアンプ22のループが維持され、センスアンプ22のループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。すなわち、検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0190】
また、PWMオン期間中には、第1のオフセット加算手段40を介さず、検出抵抗21の出力がセンスアンプ22へ入力されるため、第1のオフセット加算手段40による検出電流ずれも発生しない。本実施形態においては、電流方向切替信号PHASEが切り替わった後の一定時間も、セレクタ駆動信号生成部66が「A」を出力し、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させるため、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転した場合であっても、検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0191】
図14(b)に、セレクタ65が、PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移する前の所定期間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間において、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させ、残期間において検出抵抗21の出力を導通させた場合の波形を示す。
【0192】
図14(b)においても、セレクタ65が、第1のオフセット加算手段40の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66の出力を「A」とする。また、セレクタ65が、検出抵抗21の出力を選択し、導通させる場合の、セレクタ駆動信号生成部66の出力を「B」とする。PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移する前の所定の時間と巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間、セレクタ駆動信号生成部66の出力が「A」を出力し、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させるため、第1の実施形態において説明したとおり、センスアンプ22のループが維持される。
【0193】
続くPWMオン期間中、セレクタ駆動信号生成部66の出力が「B」を出力し、検出抵抗21の出力を導通させる。PWMオン期間中、検出抵抗21には電流が流れるため、センスアンプ22のループが維持され、センスアンプ22のループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。すなわち、検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0194】
ただし、PWMオフ期間かつセレクタ駆動信号生成部66の出力が「B」を出力している期間には、センスアンプ22のループが外れているため、PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移する前の所定の時間は、センスアンプ22のループが外れた状態から維持された状態への遷移に要する時間以上確保する必要がある。さもなければセンスアンプ22のループが外れた状態のまま、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移を迎えることになり、検出遅れが生じる。
【0195】
なお、PWMオン期間中には、第1のオフセット加算手段40を介さず、検出抵抗21の出力がセンスアンプ22へ入力されるため、第1のオフセット加算手段40による検出電流ずれも発生しない。
【0196】
また、本実施形態においては、電流方向切替信号PHASEが切り替わった後の一定時間も、セレクタ駆動信号生成部66が「A」を出力し、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させるため、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転した場合であっても、検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0197】
図14(c)に、セレクタ65が、PWMオフ期間と、該PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移した後の所定期間と、巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間とにおいて、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させ、残期間において検出抵抗21の出力を導通させた場合の波形を示す。
【0198】
図14(c)においても、セレクタ65が、第1のオフセット加算手段40の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66出力を「A」とする。また、セレクタ65が、検出抵抗21の出力を選択し、導通させる場合におけるセレクタ駆動信号生成部66出力を「B」とする。
【0199】
PWMオフ期間と、該PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移した後の所定の時間と、巻線電流の方向切替が指令された後の一定期間、セレクタ駆動信号生成部66の出力が「A」を出力し、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させるため、第1の実施形態において説明したとおり、センスアンプ22のループが維持される。PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移した後の所定の時間経過後、セレクタ駆動信号生成部66出力が「B」を出力し、検出抵抗21の出力を導通させる。PWMオン期間中、検出抵抗21には電流が流れるため、センスアンプ22のループが維持され、センスアンプ22のループが外れた状態から維持された状態への遷移が発生しない。すなわち、検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0200】
なお、PWMオン期間中には、第1のオフセット加算手段40を介さず、検出抵抗21の出力が、センスアンプ22へ入力されるため、第1のオフセット加算手段40による検出電流ずれも発生しないが、PWMオン期間かつセレクタ駆動信号生成部66の出力が「A」を出力している期間には、第1のオフセット加算手段40による検出電流ずれが発生する。
【0201】
また、本実施形態においては、電流方向切替信号PHASEが切り替わった後の一定時間も、セレクタ駆動信号生成部66が「A」を出力し、第1のオフセット加算手段40の出力を導通させるため、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転した場合であっても検出遅れを排除し、波形歪を防止することができる。
【0202】
また、図14(c)の例では、PWMオフ期間の全期間においてセレクタ65により第1のオフセット加算手段40の出力が選択されたが、PWMオフ期間の一部の期間において第1のオフセット加算手段40の出力が選択されてもよい。すなわち、PWMオフ期間からPWMオン期間へ遷移する前の所定期間において第1のオフセット加算手段40の出力が選択され、PWMオフ期間の残りの期間においては検出抵抗21の出力が選択されてもよい。
【0203】
以上説明したとおり、本発明に係るステッピングモータ駆動装置によると、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移において、センスアンプ22の入力へオフセットを付加することにより、PWMオフ期間からPWMオン期間への遷移する際の検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪を防止することができる。加えて、電流方向切替信号PHASEが切り替わった後の一定時間も、センスアンプ22の入力へオフセットを付加する。これにより、電流方向切替信号PHASEが切り替わり、巻線3の電流を反転した場合の検出遅れを排除でき、特にゼロクロス近傍での波形歪を防止することができる。
【0204】
また、PWMオン期間の電流検出時にはセンスアンプ22の入力へオフセットを付加しないことにより、オフセットによる検出電流ずれを防止することができる。このことにより、本実施形態において、ステッピングモータ駆動装置の低騒音化および低振動化が実現する。
【0205】
本発明は、特定の実施形態について説明されてきたが、当業者にとっては他の多くの変形例、修正、他の利用が明らかである。それゆえ、本発明は、ここでの特定の開示に限定されず、添付の請求の範囲によってのみ限定され得る。
【産業上の利用可能性】
【0206】
以上説明したように、本発明は、ステッピングモータ駆動装置に適用され、特に検出遅れによる波形歪と検出電流ずれとの発生を防止することにより、振動と騒音を低減するための装置として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の電流波形図((a)基準パルス生成部の出力、(b)コンパレータ出力、(c)フリップフロップ出力、(d)参照信号生成手段の出力(電流目標値)(J)と巻線電流(K)、(e)オフセット加算後の参照信号生成手段の出力(電流目標値)(X)、参照信号生成手段の出力(電流目標値)(X’)、給電電流測定手段の出力(検出電流値)(Y))
【図3】本発明の第1の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の電流経路図
【図4】本発明の第1の実施形態に係る検出手段の一例を示す図
【図5】本発明の第1の実施形態に係る第1のオフセット加算手段の一例を示す図
【図6】本発明の第1の実施形態に係るセンスアンプ構成図とPWMオフ期間動作点を示す図
【図7】本発明の第1の実施形態に係るセンスアンプ構成図とPWMオン期間動作点を示す図
【図8】本発明の第2の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図
【図9】本発明の第2の実施形態に係るオフセット減算手段の一例を示す図
【図10】本発明の第3の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図
【図11】本発明の第4の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図
【図12】本発明の第4の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の波形図((i)基準パルス生成部の出力、(ii)コンパレータ出力、(iii)フリップフロップ出力(PWM制御手段の出力)、(iv)電流方向切替信号PHASE、(v)セレクタ駆動信号生成部の出力、(vi)参照信号生成手段の出力(電流目標値)(X)と給電電流測定手段の出力(検出電流値)(Y))
【図13】本発明の第5の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の構成例を示すブロック図
【図14】本発明の第5の実施形態に係るステッピングモータ駆動装置の波形図((i)基準パルス生成部の出力、(ii)コンパレータ出力、(iii)フリップフロップ出力(PWM制御手段の出力)、(iv)電流方向切替信号PHASE、(v)セレクタ駆動信号生成部の出力、(vi)参照信号生成手段の出力(電流目標値)(X)と給電電流測定手段の出力(検出電流値)(Y))
【図15】従来のステッピングモータ駆動装置の構成図
【図16】従来のステッピングモータ駆動装置における参照信号と電流方向切替信号を示す図
【図17】一般的なセンスアンプ構成図とPWMオフ期間動作点を示す図
【図18】一般的なセンスアンプ構成図とPWMオン期間動作点を示す図
【図19】相切り替わり時電流経路図
【図20】従来のステッピングモータ駆動装置における電流目標値が大きい場合の電流波形図((a)基準パルス生成部の出力、(b)コンパレータ出力、(c)フリップフロップ出力、(d)参照信号生成手段の出力(電流目標値)(J)と巻線電流(K)、(e)参照信号生成手段の出力(電流目標値)(X)、給電電流測定手段の出力(検出電流値)(Y))
【図21】従来のステッピングモータ駆動装置における電流目標値が小さい場合の電流波形図((a)基準パルス生成部の出力、(b)コンパレータ出力、(c)フリップフロップ出力、(d)参照信号生成手段の出力(電流目標値)(J)と巻線電流(K)、(e)参照信号生成手段の出力(電流目標値)(X)、給電電流測定手段の出力(検出電流値)(Y))
【図22】従来のステッピングモータ駆動装置における電流波形歪を示す図((a)理想電流波形、(b)歪みを伴う電流波形)
【符号の説明】
【0208】
1 電源
2 ステッピングモータ
3 巻線
4 回転子
5 スイッチング手段
6〜9 トランジスタ
10〜13 フライホイールダイオード
14 参照信号生成手段
15 パルス幅変調制御手段
16 コンパレータ
17 フリップフロップ
18 基準パルス生成部
19 通電論理部
20 給電電流測定手段
21 検出抵抗
22 センスアンプ
23 ゲイン設定抵抗
24 ゲイン設定抵抗
25 増幅回路
30a〜30c PチャネルMOSトランジスタ
31a〜31c NチャネルMOSトランジスタ
32a,32b 差動トランジスタ
33 電流源
34 位相補償容量
35 電流経路
40 第1のオフセット加算手段
41 第2のオフセット加算手段
42 電流経路
44 MOSトランジスタ
45 ゲート印加電圧
47 抵抗
48 電流源
49 ゲート印加電圧
50 MOSトランジスタ
51 MOSトランジスタ
52 電流源
55 オフセット減算手段
56a〜56c PチャネルMOSトランジスタ
57a〜57c NチャネルMOSトランジスタ
58a,58b 差動トランジスタ
59 電流源
65 セレクタ
66 セレクタ駆動信号生成部




 

 


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