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発明の名称 モータ駆動装置及びモータ駆動方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−28869(P2007−28869A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−211290(P2005−211290)
出願日 平成17年7月21日(2005.7.21)
代理人 【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
発明者 山本 泰永 / 森 英明 / 黒島 伸一 / 五十嵐 祥晃
要約 課題
低コストで、起動モードから逆起電圧帰還モードによる駆動に切り替わるまでの起動期間を短縮し、起動速度を向上させることができるモータ駆動装置及びモータ駆動方法を提供する。

解決手段
ロータ位置センサレスの多相モータ駆動装置は、ロータと、複数相の巻線と、前記各巻線の両端の端子のうち一方の端子がスター結線された共通端子と、前記巻線の前記共通端子ではない端子毎にそれぞれに接続された上側駆動トランジスタ及び下側駆動トランジスタと、前記各巻線の前記共通端子ではない前記端子のうち2端子を選択して、対応する一対の上側駆動トランジスタ及び下側駆動トランジスタをオン状態にする転流制御手段と、前記選択した2端子間に探索パルスを印加するロータ位置探索パルス印加手段と、前記各巻線の前記共通端子ではない前記端子のうち選択されなかった端子と前記共通端子との間に現れる前記探索パルス印加に対する応答信号に基づいてロータ位置を検出する比較手段とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
ロータと、
複数相の巻線と、
前記各巻線の両端の端子のうち一方の端子がスター結線された共通端子と、
前記巻線の前記共通端子ではない端子毎にそれぞれに接続された上側駆動トランジスタ及び下側駆動トランジスタと、
前記各巻線の前記共通端子ではない前記端子のうち2端子を選択して、対応する一対の上側駆動トランジスタ及び下側駆動トランジスタをオン状態にする転流制御手段と
前記選択した2端子間に探索パルスを印加するロータ位置探索パルス印加手段と、
前記各巻線の前記共通端子ではない前記端子のうち選択されなかった端子と前記共通端子との間に現れる前記探索パルス印加に対する応答信号に基づいてロータ位置を検出する比較手段と
を備えたことを特徴とするロータ位置センサレスの多相モータ駆動装置。
【請求項2】
前記比較手段は、前記応答信号と所定の閾値とを比較してロータ位置を検出することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項3】
前記閾値として正の閾値と負の閾値の少なくとも一方を与える手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のモータ駆動装置。
【請求項4】
前記閾値の可変手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のモータ駆動装置。
【請求項5】
前記比較手段を前記各巻線の端子に切り替えて使用するための端子線選択手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のモータ駆動装置。
【請求項6】
起動時の極低回転領域の起動モードにおける起動回転パルス電流のピーク値を制御する指令手段を有することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項7】
起動モードにおけるロータ位置探索パルス電流のピーク値を制御する指令手段を有すること、を特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項8】
起動モードにおけるロータ位置探索パルス電流が所定値に達したことを知るための電流指令手段と、
前記電流指令を前記パルス電流値が越えたタイミングで転流制御比較器の出力を転流制御ブロックに伝達する伝達手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項9】
前記比較手段は、前記応答信号と正の閾値とを比較する第1比較手段と、前記応答信号と負の閾値とを比較する第2比較手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項10】
前記比較手段は、前記起動モードと、前記ロータの回転によって発生する逆起電圧を検出して転流制御可能な逆起電圧帰還モードとの両方で兼用可能であることを特徴とする請求項9に記載のモータ駆動装置。
【請求項11】
前記ロータ位置探索パルス印加手段は、選択した第1組の2端子間に第1方向に沿って1回目の探索パルスを印加し、
前記1回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、選択した第2組の2端子間に第1方向に沿って2回目の探索パルスを印加し、
前記2回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、前記第1組の2端子間に前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って3回目の探索パルスを印加し、
前記3回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、前記第2組の2端子間に前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って4回目の探索パルスを印加し、
若しくは、前記2回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、前記第2組の2端子間に前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って3回目の探索パルスを印加し、前記3回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、前記第1組の2端子間に前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って4回目の探索パルスを印加する
ことを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動装置。
【請求項12】
前記ロータ位置探索パルス印加手段は、1回目のロータ位置探索パルスを印加する場合に選択した第1組の二相と、2回目のロータ位置探索パルスを印加する場合に選択した第2組の二相との間で互いに共通する相を、
前記1回目のロータ位置探索パルス印加時において電流ソースとした場合には、前記2回目のロータ位置探索パルス印加時においては電流シンクとし、
前記1回目のロータ位置探索パルス印加時において電流シンクとした場合には、前記2回目のロータ位置探索パルス印加時においては電流ソースとすることを特徴とする請求項11に記載のモータ駆動装置。
【請求項13】
ロータ位置探索パルス印加手段は、前記第1組の2端子及び前記第2組の2端子のうち、1つの相の2端子として必ず特定の相の組み合わせを選択するものであることを特徴とする請求項12に記載のモータ駆動装置。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のモータ駆動装置と、
前記モータ駆動装置によって制御されて、ディスクを回転駆動させるモータと
を備えることを特徴とするディスク駆動システム。
【請求項15】
ロータと、
複数相の巻線と、
前記各巻線の両端の端子のうち一方の端子がスター結線された共通端子と、
前記巻線の前記共通端子ではない端子毎にそれぞれに接続された上側駆動トランジスタ及び下側駆動トランジスタと、
一対の前記上側駆動トランジスタ及び前記下側駆動トランジスタをオン状態にする転流制御手段と
を備えたロータ位置センサレスの多相モータ駆動装置のモータ駆動方法であって、
前記ロータの起動時において、前記各巻線の前記共通端子でない前記端子のうち2端子を選択し、前記選択した前記2端子間に対してロータ位置を探索するための探索パルスを印加する探索パルス印加ステップと、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記各巻線の前記共通端子ではない前記端子のうち選択されなかった端子と前記共通端子との間に現れる応答信号に基づいてロータ位置を検出するロータ位置検出ステップと、
検出した前記ロータ位置に基づいて起動回転パルスを印加する起動回転パルス印加ステップと
を含むことを特徴とするモータ駆動方法。
【請求項16】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記ロータ位置を検出できない場合には、少なくとも前記探索パルス印加ステップを繰り返して行うことを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項17】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、1回目の探索パルスで前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、1回目の探索パルス印加時に選択した2つの端子間に対して、前記1回目とは逆方向に電流を印加する2回目の探索パルスを印加することを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項18】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記2回目の探索パルスでも前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記1回目及び前記2回目の探索パルス印加時とは異なる2つの端子の組を選択し、前記選択した2つの端子間に3回目の探索パルスを印加することを特徴とする請求項17に記載のモータ駆動方法。
【請求項19】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記3回目の探索パルスでも前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記3回目の探索パルス印加時に選択した2つの端子間に対して、前記3回目とは逆方向に電流を印加する4回目の探索パルスを印加することを特徴とする請求項18に記載のモータ駆動方法。
【請求項20】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記4回目の探索パルスでも前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記1回目乃至前記4回目の探索パルス印加時とは異なる2つの端子の組を選択し、前記選択した2つの端子間に5回目の探索パルスを印加することを特徴とする請求項19に記載のモータ駆動方法。
【請求項21】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記5回目の探索パルスでも前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記5回目の探索パルス印加時に選択した2つの端子間に対して、前記5回目とは逆方向に電流を印加する6回目の探索パルスを印加することを特徴とする請求項20に記載のモータ駆動方法。
【請求項22】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記ロータ位置を検出できた場合には、前記起動回転パルス印加ステップを行って前記各ステップを一巡させた後、2巡目の探索パルス印加ステップ、ロータ位置検出ステップ、起動回転パルス印加ステップを行うことを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項23】
N巡目(但し、Nは2以上の整数)の探索パルス印加ステップにおいて、N−1巡目でロータ位置を検出できた際の直前の探索パルス印加ステップの印加時に選択した2つの端子間に対して、前記N−1巡目でロータ位置を検出できた際の直前の探索パルスと同一の探索パルスを1回目の探索パルスとして印加することを特徴とする請求項22に記載のモータ駆動方法。
【請求項24】
前記2巡目の探索パルス印加ステップにおいて前記1回目の探索パルスを印加して、前記ロータ位置検出ステップにおいてロータ位置を検出できない場合に、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記1巡目のロータ位置検出ステップで検出されたロータ位置から前記ロータが電気角60度回転した位置を検出可能な探索パルスを2回目の探索パルスとして印加することを特徴とする請求項23に記載のモータ駆動方法。
【請求項25】
起動モードから逆起電圧帰還モードに切り替えるための所定の条件を満たさない場合に、起動モードにおいて生じた前記ロータの正転間のインターバルから見積もられる回転速度が所定値を越える場合には所定時間だけ全相通電オフ状態を保ち、少なくとも1相の逆起電圧ゼロクロス間インターバルから見積られるトルク指令プロファイル及び逆起電圧検出期間を設けて逆起電圧帰還モードに切り替えることを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項26】
起動モードから逆起電圧帰還モードに切り替えるための所定の条件を満たさない場合に、探索パルスの電流ピークレベルを低減させることを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項27】
起動モードから逆起電圧帰還モードに切り替えるための所定の条件を満たさない場合に、探索パルス印加期間又は探索パルスPWM印加期間のいずれかを短縮することを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項28】
前記ロータ位置検出ステップでは、前記探索パルスの応答信号を所定の閾値と比較することによってロータ位置を判定することを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項29】
前記ロータ位置検出ステップでは、前記閾値を設定することを特徴とする請求項28に記載のモータ駆動方法。
【請求項30】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、ロータ位置を検出できない場合に、前記閾値を変更して、再度、前記ロータ位置探索パルス印加ステップから繰り返すことを特徴とする請求項29に記載のモータ駆動方法。
【請求項31】
前記変更した閾値を記憶することを特徴とする請求項30に記載のモータ駆動方法。
【請求項32】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、ロータ位置を検出できない場合に、ロータ位置がデッド点にあるものと判断して、前記デッド点からロータ位置を変化させるために所定の回数のキックパルスを印加するキックパルス印加ステップをさらに含み、
前記キックパルス印加ステップの後に、再度、ロータ位置探索パルス印加ステップから繰り返すことを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項33】
前記キックパルス印加ステップにおける前記所定の回数のキックパルスが互いに略90度位相が異なる2種類の印加パルスからなることを特徴とする請求項32に記載のモータ駆動方法。
【請求項34】
前記所定の回数のキックパルスが互いに略60度又は120度位相が異なる2種類もしくは3種類の印加パルスからなることを特徴とする請求項32に記載のモータ駆動方法。
【請求項35】
前記起動回転パルスは、電流ピーク値を所定値に制御する所定期間の連続的なPWMパルスからなることを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項36】
前記ロータ位置探索パルスは、電流ピーク値を所定値に制御する所定期間の連続的なPWMパルスからなることを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項37】
前記ロータ位置検出ステップでは、電流が増加中の応答信号と電流が減少中の応答信号との一方の応答信号又は双方の応答信号に基づいてロータ位置を判定することを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項38】
前記起動モードにおいて前記ロータの所定の正転回数を検知した場合に、前記起動モードから前記逆起電圧帰還モードに切り替えることを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項39】
前記起動モードにおいて前記ロータの電気角60度正転のインターバルに基づく回転速度が所定値に達したことを検知した場合に、前記起動モードから前記逆起電圧帰還モードに切り替えることを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項40】
前記起動モードにおいて前記ロータの電気角60度正転のインターバルを反映して、前記逆起電圧モードの最初の通電プロファイル制御を行うことを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項41】
前記ロータ位置検出ステップでは、前記ロータ位置探索パルス電流が所定値に達した時点の応答信号の比較結果をロータ位置の判定に利用することを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項42】
前記ロータ位置検出ステップでは、前記ロータ位置探索パルスに対する中性点電位を基準とした応答信号が所定の正の閾値より大である場合、又は、前記応答信号が所定の負の閾値より小である場合に、ロータ位置を判定することを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項43】
前記起動モードにおいて、次の電気角60度期間へのロータの回転を確認することをもって直ちに起動モードから逆起電圧帰還モードに切替った直後の逆起電圧として、前記60度期間の中間期間において生じる所定の相巻線の逆起電圧ゼロクロスを待つことを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項44】
1巡目のロータ位置探索パルス印加ステップにおいてのみ最大4回のロータ位置探索パルス印加を行うことを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項45】
1巡目のロータ位置探索パルス印加ステップにおいてのみ最大6回のロータ位置探索パルス印加を行うことを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項46】
前記ロータ位置探索パルス印加ステップにおいて、特定の二相を順番に応答信号の検出相とすることを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項47】
前記ロータ位置探索パルス印加ステップにおいて、特定の一相とそれ以外の特定されない一相を順番に応答信号の検出相とすることを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項48】
前記ロータ位置探索パルス印加ステップにおいて、前記二相の応答信号の検出相のうちの第1検出相を選択した際には前記第1検出相以外の二相間に対して第1方向に沿って1回目のロータ位置探索パルスを印加し、
続いて、第2検出相を選択した際には前記第2検出相以外の二相間に対して第1方向に沿って2回目のロータ位置探索パルスを印加し、
更に、前記第2検出相を選択した際には前記第2検出相以外の二相間に対して前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って3回目のロータ位置探索パルスを印加し、
更に続けて、前記第1検出相を選択した際には前記第1検出相以外の二相間に対して前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って4回目のロータ位置探索パルスを印加し、
若しくは、前記第1検出相を選択して前記第1検出相以外の二相間に対して前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って3回目のロータ位置探索パルスを印加し、これに続けて前記第2検出相を選択して前記第2検出相以外の二相間に対して前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って4回目のロータ位置探索パルスを印加する
ことを特徴とする請求項46又は47に記載のモータ駆動方法。
【請求項49】
前記ロータ位置探索パルス印加ステップにおいて、1回目のロータ位置探索パルスを印加する場合に選択した第1の検出相以外の第1組の二相と、2回目のロータ位置探索パルスを印加する場合に選択した第2の検出相以外の第2組の二相との間で互いに共通する相を、
前記1回目のロータ位置探索パルス印加時において電流ソースとした場合には、前記2回目のロータ位置探索パルス印加時においては電流シンクとし、
前記1回目のロータ位置探索パルス印加時において電流シンクとした場合には、前記2回目のロータ位置探索パルス印加時においては電流ソースとする
ことを特徴とする請求項48に記載のモータ駆動方法。
【請求項50】
前記ロータ位置探索パルス印加ステップでは、入力されるトルク指令によって前記ロータ位置探索パルス電流のピーク値を制御することを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項51】
前記起動回転パルス印加ステップでは、入力されるトルク指令によって前記起動回転パルス電流のピーク値を制御することを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項52】
前記ロータ位置探索ステップの結果として、起動回転パルスを印加する前記起動回転パルス印加ステップを次巡のロータ位置探索パルス印加ステップと兼用することを特徴とする請求項15に記載のモータ駆動方法。
【請求項53】
前記起動回転パルスは、電流ピーク値を所定値に制御する所定期間の連続的なPWM駆動パルスからなることを特徴とする請求項52に記載のモータ駆動方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ位置センサを必要とせずに安定で迅速な起動を行うことが可能な三相ブラシレスモータ駆動装置及び起動時のモータ駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスモータにおいては、ステータの適切な巻線を選択して電流を与えてロータに安定なトルクを与えるために、ステータに対するロータの電気角的な相対位置の情報が必要になる。ステータに対するロータの電気角的な相対位置を知るために多様なロータ位置センサが利用されている。その一方、信頼性やコスト増や耐環境性の面でロータ位置センサを要しないセンサレス駆動技術も開発されている。このようなセンサレス駆動技術においては、ロータが回転している際にステータ相巻線に発生する逆起電圧を読み出すことによってロータ位置を検出することが一般的でよく知られている。
【0003】
しかし、ロータ停止時には逆起電圧が発生しないため、上記方法ではロータ位置を検出できない。そのため、ロータ停止時のロータ位置検出方法として、種々の方法が提案されている。例えば、ステータ相を順次選択してロータ位置探索パルスを印加した時に流れる電流が最高振幅を発生したステータ相からロータ位置を検出する方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、ステータ相を選択して順方向及び逆方向にロータ位置探索パルスを印加した際の応答信号の差の極性を順次検出した結果をもとにロータ位置を決める方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】日本国特許第2547778号
【特許文献2】特公平8−13196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の方法においては、ロータ位置探索パルス印加時に流れるパルス電流のピーク値の取り込みにおける正確性の問題がある。さらに、図9に示すように、ロータ位置に依存してパルス電流ピーク値に現れる相毎の差異が僅少であるため、ステータやロータが元来有している相毎の電気磁気的特性のばらつきが小さいことが前提条件として必要となる。従って、相毎の特性管理が不十分な安価なモータには適用困難となる場合がある。また、高速特性を達成するために巻線のインダクタンスが低いモータの場合にはパルス電流それ自体が大きくなり、パルス電流ピーク値の差異を得るための電流値自体が過大となるという問題もある。また、特許文献2の方法では、ロータ位置探索パルス信号の印加極性の正逆間での応答信号の差異を求める必要があり、相毎の応答信号差異の極性組合せを参照するテーブルが必要である。このため、上記方法を実現するには演算処理能力を必要とし、モータだけで自律した制御性を求める場合や安価なモータ駆動システムの場合には適用が困難である。
【0006】
本発明の目的は、低コストで、起動モードから逆起電圧帰還モードによる駆動に切り替わるまでの起動期間を短縮し、起動速度を向上させることができるモータ駆動装置及びモータ駆動方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るロータ位置センサレスの多相モータ駆動装置は、ロータと、
複数相の巻線と、
前記各巻線の両端の端子のうち一方の端子がスター結線された共通端子と、
前記巻線の前記共通端子ではない端子毎にそれぞれに接続された上側駆動トランジスタ及び下側駆動トランジスタと、
前記各巻線の前記共通端子ではない前記端子のうち2端子を選択して、対応する一対の上側駆動トランジスタ及び下側駆動トランジスタをオン状態にする転流制御手段と
前記選択した2端子間に探索パルスを印加するロータ位置探索パルス印加手段と、
前記各巻線の前記共通端子ではない前記端子のうち選択されなかった端子と前記共通端子との間に現れる前記探索パルス印加に対する応答信号に基づいてロータ位置を検出する比較手段と
を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、前記比較手段は、前記応答信号と所定の閾値とを比較してロータ位置を検出することができる。
【0009】
さらに、前記閾値として正の閾値と負の閾値の少なくとも一方を与える手段をさらに備えてもよい。前記閾値の可変手段をさらに備えてもよい。
【0010】
またさらに、前記比較手段を前記各巻線の端子に切り替えて使用するための端子線選択手段をさらに備えてもよい。
【0011】
また、起動時の極低回転領域の起動モードにおける起動回転パルス電流のピーク値を制御する指令手段をさらに備えてもよい。起動モードにおけるロータ位置探索パルス電流のピーク値を制御する指令手段をさらに備えてもよい。
【0012】
さらに、起動モードにおけるロータ位置探索パルス電流が所定値に達したことを知るための電流指令手段と、
前記電流指令を前記パルス電流値が越えたタイミングで転流制御比較器の出力を転流制御ブロックに伝達する伝達手段と
をさらに備えてもよい。
【0013】
前記比較手段は、前記応答信号と正の閾値とを比較する第1比較手段と、前記応答信号と負の閾値とを比較する第2比較手段とを備えてもよい。前記比較手段は、前記起動モードと、前記ロータの回転によって発生する逆起電圧を検出して転流制御可能な逆起電圧帰還モードとの両方で兼用可能としてもよい。
【0014】
また、前記ロータ位置探索パルス印加手段は、選択した第1組の2端子間に第1方向に沿って1回目の探索パルスを印加し、
前記1回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、選択した第2組の2端子間に第1方向に沿って2回目の探索パルスを印加し、
前記2回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、前記第1組の2端子間に前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って3回目の探索パルスを印加し、
前記3回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、前記第2組の2端子間に前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って4回目の探索パルスを印加するものであってもよい。
【0015】
また、上記の代わりに、前記2回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、前記第2組の2端子間に前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って3回目の探索パルスを印加し、前記3回目の探索パルスに対応する応答信号によってロータ位置を検出できない場合に、前記第1組の2端子間に前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って4回目の探索パルスを印加するものであってもよい。
【0016】
さらに、前記ロータ位置探索パルス印加手段は、1回目のロータ位置探索パルスを印加する場合に選択した第1組の二相と、2回目のロータ位置探索パルスを印加する場合に選択した第2組の二相との間で互いに共通する相を、
前記1回目のロータ位置探索パルス印加時において電流ソースとした場合には、前記2回目のロータ位置探索パルス印加時においては電流シンクとし、
前記1回目のロータ位置探索パルス印加時において電流シンクとした場合には、前記2回目のロータ位置探索パルス印加時においては電流ソースとしてもよい。
【0017】
またさらに、ロータ位置探索パルス印加手段は、前記第1組の2端子及び前記第2組の2端子のうち、1つの相の2端子として必ず特定の相の組み合わせを選択してもよい。
【0018】
さらに、本発明に係るディスク駆動システムは、前記モータ駆動装置と、
前記モータ駆動装置によって制御されて、ディスクを回転駆動させるモータと
を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係るモータ駆動方法は、ロータと、
複数相の巻線と、
前記各巻線の両端の端子のうち一方の端子がスター結線された共通端子と、
前記巻線の前記共通端子ではない端子毎にそれぞれに接続された上側駆動トランジスタ及び下側駆動トランジスタと、
一対の前記上側駆動トランジスタ及び前記下側駆動トランジスタをオン状態にする転流制御手段と
を備えたロータ位置センサレスの多相モータ駆動装置のモータ駆動方法であって、
前記ロータの起動時において、前記各巻線の前記共通端子でない前記端子のうち2端子を選択し、前記選択した前記2端子間に対してロータ位置を探索するための探索パルスを印加する探索パルス印加ステップと、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記各巻線の前記共通端子ではない前記端子のうち選択されなかった端子と前記共通端子との間に現れる応答信号に基づいてロータ位置を検出するロータ位置検出ステップと、
検出した前記ロータ位置に基づいて起動回転パルスを印加する起動回転パルス印加ステップと
を含むことを特徴とする。
【0020】
また、前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記ロータ位置を検出できない場合には、少なくとも前記探索パルス印加ステップを繰り返して行ってもよい。
【0021】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、1回目の探索パルスで前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、1回目の探索パルス印加時に選択した2つの端子間に対して、前記1回目とは逆方向に電流を印加する2回目の探索パルスを印加するようにしてもよい。
【0022】
さらに、前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記2回目の探索パルスでも前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記1回目及び前記2回目の探索パルス印加時とは異なる2つの端子の組を選択し、前記選択した2つの端子間に3回目の探索パルスを印加するようにしてもよい。
【0023】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記3回目の探索パルスでも前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記3回目の探索パルス印加時に選択した2つの端子間に対して、前記3回目とは逆方向に電流を印加する4回目の探索パルスを印加するようにしてもよい。
【0024】
またさらに、前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記4回目の探索パルスでも前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記1回目乃至前記4回目の探索パルス印加時とは異なる2つの端子の組を選択し、前記選択した2つの端子間に5回目の探索パルスを印加するようにしてもよい。
【0025】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記5回目の探索パルスでも前記ロータ位置を検出できない場合には、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記5回目の探索パルス印加時に選択した2つの端子間に対して、前記5回目とは逆方向に電流を印加する6回目の探索パルスを印加するようにしてもよい。
【0026】
また、前記ロータ位置検出ステップにおいて、前記ロータ位置を検出できた場合には、前記起動回転パルス印加ステップを行って前記各ステップを一巡させた後、2巡目の探索パルス印加ステップ、ロータ位置検出ステップ、起動回転パルス印加ステップを行うようにしてもよい。
【0027】
さらに、N巡目(但し、Nは2以上の整数)の探索パルス印加ステップにおいて、N−1巡目でロータ位置を検出できた際の直前の探索パルス印加ステップの印加時に選択した2つの端子間に対して、前記N−1巡目でロータ位置を検出できた際の直前の探索パルスと同一の探索パルスを1回目の探索パルスとして印加するようにしてもよい。
【0028】
前記2巡目の探索パルス印加ステップにおいて前記1回目の探索パルスを印加して、前記ロータ位置検出ステップにおいてロータ位置を検出できない場合に、
前記探索パルス印加ステップにおいて、前記1巡目のロータ位置検出ステップで検出されたロータ位置から前記ロータが電気角60度回転した位置を検出可能な探索パルスを2回目の探索パルスとして印加するようにしてもよい。
【0029】
またさらに、起動モードから逆起電圧帰還モードに切り替えるための所定の条件を満たさない場合に、起動モードにおいて生じた転流間のインターバルから見積もられる回転速度が所定値を越える場合には所定時間だけ全相通電オフ状態を保ち、少なくとも1相の逆起電圧ゼロクロス間インターバルから見積られるトルク指令プロファイル及び逆起電圧検出期間を設けて逆起電圧帰還モードに切り替えるようにしてもよい。
【0030】
起動モードから逆起電圧帰還モードに切り替えるための所定の条件を満たさない場合に、探索パルスの電流ピークレベルを低減させるようにしてもよい。起動モードから逆起電圧帰還モードに切り替えるための所定の条件を満たさない場合に、探索パルス印加期間又は探索パルスPWM印加期間のいずれかを短縮するようにしてもよい。
【0031】
また、前記ロータ位置検出ステップでは、前記探索パルスの応答信号を所定の閾値と比較することによってロータ位置を判定するようにしてもよい。前記ロータ位置検出ステップでは、前記閾値を設定してもよい。
【0032】
前記ロータ位置検出ステップにおいて、ロータ位置を検出できない場合に、前記閾値を変更して、再度、前記ロータ位置探索パルス印加ステップから繰り返してもよい。なお、前記変更した閾値を記憶してもよい。
【0033】
さらに、前記ロータ位置検出ステップにおいて、ロータ位置を検出できない場合に、ロータ位置がデッド点にあるものと判断して、前記デッド点からロータ位置を変化させるために所定の回数のキックパルスを印加するキックパルス印加ステップをさらに含み、
前記キックパルス印加ステップの後に、再度、ロータ位置探索パルス印加ステップから繰り返してもよい。
【0034】
前記キックパルス印加ステップにおける前記所定の回数のキックパルスが互いに略90度位相が異なる2種類の印加パルスからなるものとしてもよい。あるいは、前記所定の回数のキックパルスが互いに略60度又は120度位相が異なる2種類もしくは3種類の印加パルスからなるものとしてもよい。
【0035】
また、前記起動回転パルスは、電流ピーク値を所定値に制御する所定期間の連続的なPWMパルスとしてもよい。
【0036】
前記ロータ位置探索パルスは、電流ピーク値を所定値に制御する所定期間の連続的なPWMパルスとしてもよい。
【0037】
さらに、前記ロータ位置検出ステップでは、電流が増加中の応答信号と電流が減少中の応答信号との一方の応答信号又は双方の応答信号に基づいてロータ位置を判定するようにしてもよい。
【0038】
前記起動モードにおいてロータが電気角60度の正転を所定の回数行なったことを検知した場合に、前記起動モードから前記逆起電圧帰還モードに切り替えてもよい。あるいは、前記起動モードにおいてロータの電気角60度正転のインターバルに基づく回転速度が所定値に達したことを検知した場合に、前記起動モードから前記逆起電圧帰還モードに切り替えてもよい。
【0039】
またさらに、前記起動モードにおいてロータの所定回数の電気角60度正転のインターバルを反映して、前記逆起電圧モードの最初の通電プロファイル制御を行ってもよい。
【0040】
前記ロータ位置検出ステップでは、前記ロータ位置探索パルス電流が所定値に達した時点の応答信号の比較結果をロータ位置の判定に利用してもよい。
【0041】
また、前記ロータ位置検出ステップでは、前記ロータ位置探索パルスに対する中性点電位を基準とした応答信号が所定の正の閾値より大である場合、又は、前記応答信号が所定の負の閾値より小である場合に、ロータ位置を判定するものであってもよい。
【0042】
前記起動モードにおいて、次の電気角60度期間へのロータの回転を確認することをもって起動モードから逆起電圧帰還モードに切替った直後の逆起電圧として、前記電気角60度期間の中間期間において生じる所定の相巻線の逆起電圧ゼロクロスを待つこととしてもよい。
【0043】
さらに、1巡目のロータ位置探索パルス印加ステップにおいてのみ最大4回のロータ位置探索パルス印加を行ってもよい。あるいは、1巡目のロータ位置探索パルス印加ステップにおいてのみ最大6回のロータ位置探索パルス印加を行ってもよい。
【0044】
前記ロータ位置探索パルス印加ステップにおいて、特定の二相を順番に応答信号の検出相としてもよい。前記ロータ位置探索パルス印加ステップにおいて、特定の一相とそれ以外の特定されない一相を順番に応答信号の検出相としてもよい。
【0045】
またさらに、前記ロータ位置探索パルス印加ステップにおいて、前記二相の応答信号の検出相のうちの第1検出相を選択した際には前記第1検出相以外の二相間に対して第1方向に沿って1回目のロータ位置探索パルスを印加し、
続いて、第2検出相を選択した際には前記第2検出相以外の二相間に対して第1方向に沿って2回目のロータ位置探索パルスを印加し、
更に、前記第2検出相を選択した際には前記第2検出相以外の二相間に対して前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って3回目のロータ位置探索パルスを印加し、
更に続けて、前記第1検出相を選択した際には前記第1検出相以外の二相間に対して前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って4回目のロータ位置探索パルスを印加することとしてもよい。
【0046】
また、上記の代わりに、前記第1検出相を選択して前記第1検出相以外の二相間に対して前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って3回目のロータ位置探索パルスを印加し、これに続けて前記第2検出相を選択して前記第2検出相以外の二相間に対して前記第1方向とは逆方向の第2方向に沿って4回目のロータ位置探索パルスを印加するものであってもよい。
【0047】
前記ロータ位置探索パルス印加ステップにおいて、1回目のロータ位置探索パルスを印加する場合に選択した第1の検出相以外の第1組の二相と、2回目のロータ位置探索パルスを印加する場合に選択した第2の検出相以外の第2組の二相との間で互いに共通する相を、
前記1回目のロータ位置探索パルス印加時において電流ソースとした場合には、前記2回目のロータ位置探索パルス印加時においては電流シンクとし、
前記1回目のロータ位置探索パルス印加時において電流シンクとした場合には、前記2回目のロータ位置探索パルス印加時においては電流ソースとする
こととしてもよい。
【0048】
また、前記ロータ位置探索パルス印加ステップでは、入力されるトルク指令によって前記ロータ位置探索パルス電流のピーク値を制御することとしてもよい。
【0049】
前記起動回転パルス印加ステップでは、入力されるトルク指令によって前記起動回転パルス電流のピーク値を制御してもよい。
【0050】
さらに、前記ロータ位置探索ステップの結果として、起動回転パルスを印加する前記起動回転パルス印加ステップを次巡のロータ位置探索パルス印加ステップと兼用してもよい。
【0051】
前記起動回転パルスは、電流ピーク値を所定値に制御する所定期間の連続的なPWM駆動パルスとしてもよい。
【発明の効果】
【0052】
本発明に係るモータ駆動装置及びモータ駆動方法によれば、印加されるロータ位置探索パルスに対する応答信号を所定の閾値と比較し、ロータ位置を判定する。この場合、ロータ位置を直ちに判定できる場合が一定の割合で存在する。従って、ロータ位置の判定ができた場合には、好適な通電相にロータを起動するための起動回転パルスの通電を直ちに行うことができる。即ち本発明では、所定の相選択を一通り行った後にロータ位置の判定を行うというステップを必ずしも経ることなく、起動のためのトルク信号印加を行うことができる。従って、起動モードから逆起電圧帰還モードによる駆動に切り替わるまでの起動期間を短縮し、起動速度を向上させることができる。また、ロータ位置探索パルスが所定の範囲内にある応答信号をモニタするので、応答信号の品質が良好で正確なロータ位置の判定を行うことができる。また、上記制御は低コストで実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
以下、本発明の実施の形態に係るモータ駆動装置及びモータ駆動方法について添付図面を参照して説明する。なお、図面において、実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
【0054】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るモータ駆動装置の回路構成を示すブロック図である。図1において、このモータ駆動装置は、高電位側電源線1、低電位側電源線2、U相高電位側駆動トランジスタ3、V相高電位側駆動トランジスタ4、W相高電位側駆動トランジスタ5、U相低電位側駆動トランジスタ6、V相低電位側駆動トランジスタ7、W相低電位側駆動トランジスタ8、モータ9、U相モータ巻線10、V相モータ巻線11、W相モータ巻線12、U相端子線13、V相端子線14、W相端子線15、中性点端子線16、相比較制御ブロック17、電流検出抵抗18、電流検出増幅器19、プリドライバ20、外部指令信号21、成分トルク生成ブロック22、トルク比較ブロック23、PWMオンパルス発生ブロック24、PWMラッチブロック25、転流制御ブロック26、ロータ位置探索パルス指令発生器31、起動パルス指令発生器32を備える。また、相比較制御ブロック17の中には、端子線選択ブロック27、第一転流制御比較器28、第二転流制御比較器29、比較器閾値設定器30を備える。
【0055】
このモータ駆動装置は、モータ9の起動時を含めた極低回転領域においては、起動モードとして動作し、ロータ回転によって発生する逆起電圧を安定に検出して転流制御できる領域では本分野において広く知られている逆起電圧帰還モードで動作する。転流制御ブロック26と相比較制御ブロック17の機能を概略的に説明すると、両者は連携して動作する。このことを前提に図1のモータ駆動装置の動作を以下に説明する。
【0056】
まず、逆起電圧帰還モードのトルク制御について説明する。本モードではロータ位置探索パルス指令発生器31及び起動パルス指令発生器32は用いられない。与えられたトルク指令信号21を受けて、成分トルク生成ブロック22は、転流制御ブロック26からのタイミングと駆動トランジスタ3〜8のオン状態の組合せに応じた複数の成分トルク指令信号を生成する。PWMオンパルス発生ブロック24は、転流制御ブロック26で選択された相へのPWMオンタイミングを与える。トルク比較ブロック23は、転流制御ブロック26から、オン状態にある相情報を受けることにより、複数の成分トルク指令信号から選択して増幅器19の出力と比較するか、増幅器19の出力と各成分トルク指令信号との複数の比較結果のいずれかを選択するか、のいずれかを行って、電流検出増幅器19の出力が比較対象の成分トルク指令信号より大になったときにPWMオフパルスを発生する。上記のPWMオンパルスとPWMオフパルスがラッチブロック25に入力されることにより、転流制御ブロック26が選択した相のパルス幅が制御されることになる。なお、上記方法の詳細は、特許文献(特開2003−174789公報)に示されているものであり、3相巻線総てに電流が存在するときも電流制御を可能にするものである。なお、120度通電を行う場合には、成分トルク生成ブロック22は必要なく、並列して複数本の信号が伝達されることを示す為に図1中で用いられている白抜き矢印は1本の信号の伝達を表わすために細い矢印表記が相応しいことになる。
【0057】
次に、逆起電圧帰還モードの通電相制御について説明する。既に述べたようにこの方法は本分野で広く知られている方法である。転流制御ブロック26は、三相巻線の各巻線について各々の逆起電圧の極性が変化すると予測される期間に於いて当該巻線の電流をゼロにするように通電制御を行う。電流がゼロである巻線では電流の時間変化成分も短時間後にゼロになり、当該巻線の両端子間、すなわちU相端子線13と中性点端子線16との間またはV相端子線14と中性点端子線16との間、またはW相端子線15と中性点端子(共通端子)線16との間には当該巻線と回転するロータ磁束との相互作用による逆起電圧が現れるので、この逆起電圧の極性変化のタイミング(ゼロクロスタイミング)を検出してロータ位置を正確に認識することができる。この逆起電圧帰還モードでは、比較器閾値設定器30は、第一転流制御比較器28及び第二転流制御比較器29の双方または片方の差動入力信号の比較に際して若干のオフセットを設定する。このオフセットは、差動入力信号間の電位差が所定値に達したか否かによって比較器28、29の出力を変化させるものである。言い換えれば、このオフセットは、比較器の差動入力信号に対する閾値として作用するものであって、ゼロクロスタイミングのチャタリングによる影響を防止するものである。転流制御ブロック26によって、電流及びその時間変化がゼロの巻線電位差のゼロクロスタイミングが端子線選択ブロック27を介して選択され第一転流制御比較器28及び第二転流制御比較器29を介して転流制御ブロック26に帰還されることによって正確な転流タイミングの制御が継続的に維持される。なお、上記チャタリング防止する目的ではオフセット(閾値)を設けなくともラッチ回路を転流制御ブロック26内部に設けることでも可能であり、この場合は第二転流制御比較器29及び比較器閾値設定器30を要しない。また、各相巻線毎に第一転流制御比較器28と第一転流制御比較器29の一方または両方を予め用意すれば端子線選択ブロック27を要しない。端子線選択ブロック27を設けることによって、起動モードと逆起電圧帰還モードの両方で比較器を兼用することが可能となる。
【0058】
さらに、起動モードについて説明する。ロータが起動直後で極低回転領域にある場合には起動モードとして動作する。起動モードでは、探索パルス印加ステップと、ロータ位置探索ステップと、ロータ位置が判明したロータに起動回転トルクを与えるために好適なステータ相にトルク電流パルスを印加する起動回転トルク付与ステップ、とを交互に繰り返すことで起動加速を行う。起動モードでは、転流制御ブロック26が三相巻線のU相端子、V相端子及びW相端子のうちの2端子を選択して両端子間にロータ位置探索パルスを印加する。ロータ位置探索パルス印加に対する応答信号の説明を以下に図2を用いて行う。なお、図2の横軸において表記されている電気角表示は、U相端子からV相端子に定常電流を流したときにロータがロックされる位置を150度として示したものであり、以後の説明における図3、図5及び図7の電気角表記についても同様である。
【0059】
図2は、あらかじめ得られたロータ位置の電気角と、U相巻線とV相巻線との間に探索パルスを印加した場合の応答電圧との関係を示す図である。図2のロータ位置の電気角と応答電圧との関係を示す曲線41は、次のようにして得られる。
(a)まず、ロータ位置の電気角を所定間隔ごとに変化させて、所定間隔ごとの各電気角の位置にロータをセットする。
(b)次いで、転流制御ブロック26によって選択的に図1における駆動トランジスタ3及び駆動トランジスタ7をオンすることによって、ロータ位置探索パルス電流を、高電位側電源線1、駆動トランジスタ3、U相巻線10、中性点端子(共通端子)、V相巻線11、駆動トランジスタ7、電流検出抵抗18、低電位側電源線2、の経路で流す。
(c)電流ゼロのW相巻線のW相端子線15と中性点端子線16との間に生じる応答電圧を測定し、設定したロータ位置の電気角に対応する応答電圧として得る。
(d)さらに、上記(a)でロータ位置の電気角を所定間隔ごとに変化させて、(b)及び(c)の手順を繰り返し、ロータ位置の電気角に対応する応答電圧の変化を図2の曲線41として得ることができる。なお、図2では、ロータ位置の電気角に対する応答電圧の変化を連続した曲線41として表しているが、実際には上述のように、あらかじめ設定した電気角ごとに得られる応答電圧の点をつなげて得られる。
なお、図2の点線42については後述する。
【0060】
次に、図2のロータ位置の電気角に対する応答電圧の関係を示す曲線41を用いて、測定した応答電圧からロータ位置を検出する方法について説明する。図2に示すように、ロータ位置の電気角に対する応答電圧の関係を示す曲線41は、電気角120度付近(領域46)と、電気角180度付近(領域45)でその絶対値が大きくなるが、それ以外の領域ではほとんど検出されない。このことから、測定された応答電圧から、ロータ位置が電気角120度付近、又は、電気角180度付近である場合には特定することができることがわかる。しかし、応答電圧に対してロータ位置の電気角が必ずしも一対一には対応しないので、所定の絶対値以上の応答電圧についてのみロータ位置を特定できるようにする必要がある。そこで、あらかじめ正の閾値43と、負の閾値44を設定しておくことにより、応答電圧が正の閾値43以上となる場合(Hレベル信号)に、電気角180度付近と判定し、応答電圧が負の閾値44以下となる場合(Lレベル信号)に、電気角120度付近と判定することができる。
【0061】
また、図2のロータ位置の電気角と応答電圧との関係を示す曲線42は、次のようにして得られる。
(a)まず、ロータ位置の電気角を所定間隔ごとに変化させて、所定間隔ごとの各電気角の位置にロータをセットする。
(b)次いで、転流制御ブロック26によって駆動トランジスタ4及び駆動トランジスタ6をオンすることによって、ロータ位置探索パルス電流を、高電位側電源線1、駆動トランジスタ4、V相巻線11、中性点端子、U相巻線10、駆動トランジスタ6、電流検出抵抗18、低電位側電源線2、の経路で流す。
(c)電流ゼロのW相巻線のW相端子線15と中性点端子線16との間に生じる応答電圧を測定し、設定したロータ位置の電気角に対応する応答電圧として得る。
の特性を曲線42として示す。
(d)さらに、上記(a)でロータ位置の電気角を所定間隔ごとに変化させて、(b)及び(c)の手順を繰り返し、ロータ位置の電気角に対応する応答電圧の変化を図2の曲線42として得ることができる。なお、図2では、ロータ位置の電気角に対する応答電圧の変化を連続した曲線42として表しているが、実際には上述のように、あらかじめ設定した電気角ごとに得られる応答電圧の点をつなげて得られる。
【0062】
次に、図2のロータ位置の電気角に対する応答電圧の関係を示す曲線42を用いて、測定した応答電圧からロータ位置を検出する方法について説明する。図2に示すように、ロータ位置の電気角に対する応答電圧の関係を示す曲線42は、電気角0度付近(領域48)と、電気角300度付近(領域47)でその絶対値が大きくなるが、それ以外の領域ではほとんど検出されない。このことから、測定された応答電圧から、ロータ位置が電気角0度付近、又は、電気角300度付近である場合には特定することができることがわかる。この場合も上記の曲線41と同様に、所定の絶対値以上の応答電圧についてのみロータ位置を特定できるようにする必要がある。ここでは、上記の曲線41と同じ正の閾値43と、負の閾値44を設定している。これにより、応答電圧が正の閾値43以上となる場合(Hレベル信号)に、電気角300度付近と判定し、応答電圧が負の閾値44以下となる場合(Lレベル信号)に、電気角0度付近と判定することができる。
【0063】
図7は、3相の巻線のうち、2相を選択してロータ位置探索パルスを印加、選択しなかった1相と中性点端子との間の応答電圧によって検出できるロータ位置の領域を示す図である。具体的には、U相巻線とV相巻線との間にロータ位置探索パルスを印加する場合(図2)に検出できるロータ位置を上段の領域71〜74として示している。また、V相巻線とW相巻線との間にロータ位置探索パルスを印加する場合に検出できるロータ位置を中段の領域75〜78として示している。さらに、W相巻線とU相巻線との間にロータ位置探索パルスを印加する場合に検出できるロータ位置を下段の領域79〜82として示している。図7の71〜82の領域は、それぞれ略60度の電気角領域を示しているので、それぞれを電気角60度期間と呼ぶ。
【0064】
図14は、本発明の実施の形態1に係るモータ駆動方法におけるロータ位置探索ステップのフローチャートである。
以下に、測定した応答電圧からロータ位置を検出する具体的な手順を図14のフローチャートを用いて説明する。
(a)まず、転流制御ブロック26によって駆動トランジスタ3及び駆動トランジスタ7をオンすることによって、ロータ位置探索パルス電流を、U相巻線10から中性点端子を介してV相巻線11へ通電する(S01)。
(b)次に、比較器閾値設定器30は、所定の正の閾値43を第一転流制御比較器28に与え、所定の負の閾値44を第二転流制御比較器29に与える。このとき端子線選択ブロック27は、転流制御ブロック26によってW相端子線15と中性点端子線16を比較器28及び比較器29の非反転入力端子と反転入力端子とに入力する。
(c)このとき、比較器28の出力を正の閾値43と比較し、正の閾値43以上であるか否か判断する(S02)。出力が正の閾値43以上である場合、すなわちHレベル信号を出力した場合には、ロータ位置が図2の領域45で示す電気角180度付近にあることが分る(S03)。
(d)また、比較器29の出力を負の閾値44と比較し、負の閾値44以下であるか否か判断する(S04)。出力が負の閾値44以下である場合、すなわちLレベル信号を出力した場合には、ロータ位置が図2の領域46で示す電気角120度付近にあることが分る(S05)。
(e)比較器28及び29の出力が上記のHレベル信号又はLレベル信号でない場合には、ロータは他の角度位置にあるものと推定される。
(f)ここで、電気角180度の位置にあるロータに対しては駆動トランジスタ4及び8をオンすることで良好な起動回転トルクを与えることができ、電気角120度の位置にあるロータに対しては駆動トランジスタ3及び8をオンすることで良好な起動回転トルクを与えることができる。
【0065】
上記の要領で他の2端子の組合せを選択し、ロータ位置探索パルスを印加して、他の角度にある場合のロータ位置を検出することができる。そこで、V相巻線11からU相巻線10へ通電する場合を説明する。
(a)まず、転流制御ブロック26によって駆動トランジスタ4及び駆動トランジスタ6をオンすることによって、ロータ位置探索パルス電流を、V相巻線11から中性点端子を介してU相巻線10へ通電する(S06)。
(b)次に、比較器閾値設定器30は、所定の正の閾値43を第一転流制御比較器28に与え、所定の負の閾値44を第二転流制御比較器29に与える。この場合、端子線選択ブロック27は、転流制御ブロック26によってW相端子線15と中性点端子線16を比較器28及び比較器29の非反転入力端子と反転入力端子とに入力する。
(c)このとき、比較器28の出力を正の閾値43と比較し、正の閾値43以上であるか否か判断する(S07)。出力が正の閾値43以上である場合、すなわちHレベル信号を出力した場合には、ロータ位置が図2の領域47で示す電気角300度付近にあることが分る(S08)。
(d)また、比較器29の出力を負の閾値44と比較し、負の閾値以下であるか否か判断する(S09)。出力が負の閾値44以下である場合、すなわちLレベル信号を出力した場合には、ロータ位置が図2の領域48で示す電気角0度付近にあることが分る(S10)。
(e)比較器28及び比較器29の出力が上記のHレベル信号又はLレベル信号でない場合には、ロータが他の角度位置にあるものと推定される。この場合には、U相端子とV相端子の組合せ以外の別の2端子の組を選んで、選択した2端子に対するロータ位置探索パルスを印加する。
(f)なお、ステップS08で、電気角300度の位置にあると判定されたロータに対しては、駆動トランジスタ5及び6をオンすることで良好な起動回転トルクを与えることができる。また、ステップS10で、電気角0度の位置にあると判定されたロータに対しては駆動トランジスタ5及び7をオンすることで良好な起動回転トルクを与えることができる。
【0066】
次に、V相巻線11からとW相巻線12へ通電する場合について説明する。
(a)まず、転流制御ブロック26によって駆動トランジスタ4と駆動トランジスタ8をオンした場合は、ロータ位置探索パルス電流を、V相巻線11から中性点端子を介してW相巻線12に通電する(S11)。
(b)次に、端子線選択ブロック27を制御してU相端子線13及び中性点端子線16を比較器28と比較器29の非反転入力端子及び反転入力端子に入力する。
(c)比較器28の出力を正の閾値43と比較し、正の閾値43以上であるか否か判断する(S12)。出力が正の閾値43以上である場合、すなわちHレベル信号を出力した場合には、ロータ位置は300度付近と判定される(S13)。
(d)また、比較器29の出力を負の閾値44と比較し、負の閾値以下であるか否か判断する(S14)。出力が負の閾値44以下である場合、すなわちLレベル信号を出力した場合には、ロータ位置は240度付近と判定される(S15)。
(e)比較器28及び比較器29の出力が上記のHレベル信号又はLレベル信号でない場合には、ロータが他の角度位置にあるものと推定される。この場合には、転流制御ブロック26によって高電位側駆動トランジスタと低電位側駆動トランジスタとの他の組合せをオンして、他の2端子の組み合わせを選択し、探索パルス印加ステップ及びロータ位置探索ステップを継続することになる。
【0067】
次に、W相巻線12からとV相巻線11へ通電する場合について説明する。
(a)まず、転流制御ブロック26によって駆動トランジスタ5と駆動トランジスタ7をオンした場合は、ロータ位置探索パルス電流を、W相巻線12から中性点端子を介してV相巻線11に通電する(S16)。
(b)次に、端子線選択ブロック27を制御してU相端子線13及び中性点端子線16を比較器28と比較器29の非反転入力端子及び反転入力端子に入力する。
(c)比較器28の出力を正の閾値43と比較し、正の閾値43以上であるか否か判断する(S17)。出力が正の閾値43以上である場合、すなわちHレベル信号を出力した場合には、ロータ位置は60度付近と判定される(S18)。
(d)また、比較器29の出力を負の閾値44と比較し、負の閾値以下であるか否か判断する(S19)。出力が負の閾値44以下である場合、すなわちLレベル信号を出力した場合には、ロータ位置は120度付近と判定される(S20)。
(e)比較器28及び29の出力が上記のHレベル信号又はLレベル信号でない場合は、ロータが他の角度位置にあるものと推定される。この場合には、転流制御ブロック26によって高電位側駆動トランジスタと低電位側駆動トランジスタとの他の組合せをオンしてロータ位置探索を継続することになる。
【0068】
次に、W相巻線12からとU相巻線10へ通電する場合について説明する。
(a)まず、転流制御ブロック26によって駆動トランジスタ5と駆動トランジスタ6をオンした場合は、ロータ位置探索パルス電流を、W相巻線12から中性点端子を介してU相巻線10に通電する(S21)。
(b)次に、端子線選択ブロック27を制御してV相端子線14及び中性点端子線16を比較器28と比較器29の非反転入力端子及び反転入力端子に入力する。
(c)比較器28の出力を正の閾値43と比較し、正の閾値43以上であるか否か判断する(S22)。出力が正の閾値43以上である場合、すなわちHレベル信号を出力した場合には、ロータ位置は60度付近と判定される(S23)。
(d)また、比較器29の出力を負の閾値44と比較し、負の閾値以下であるか否か判断する(S24)。出力が負の閾値44以下である場合、すなわちLレベル信号を出力した場合には、ロータ位置は0度付近と判定される(S25)。
(e)比較器28及び比較器29の出力が上記のHレベル信号又はLレベル信号でない場合には、ロータが他の角度位置にあるものと推定される。この場合には、転流制御ブロック26によって高電位側駆動トランジスタと低電位側駆動トランジスタとの他の組合せをオンしてロータ位置探索を継続することになる。
【0069】
次に、U相巻線10からとW相巻線12へ通電する場合について説明する。
(a)まず、転流制御ブロック26によって駆動トランジスタ3と駆動トランジスタ8をオンした場合は、ロータ位置探索パルス電流を、U相巻線10から中性点端子を介してW相巻線12に通電する(S26)。
(b)次に、端子線選択ブロック27を制御してV相端子線14及び中性点端子線16を比較器28と比較器29の非反転入力端子及び反転入力端子に入力する。
(c)比較器28の出力を正の閾値43と比較し、正の閾値43以上であるか否か判断する(S27)。出力が正の閾値43以上である場合、すなわちHレベル信号を出力した場合には、ロータ位置は180度付近と判定される(S28)。
(d)また、比較器29の出力を負の閾値44と比較し、負の閾値以下であるか否か判断する(S29)。出力が負の閾値44以下である場合、すなわちLレベル信号を出力した場合には、ロータ位置は240度付近と判定される(S30)。
(e)比較器28及び比較器29の出力が上記のHレベル信号又はLレベル信号でない場合には、ロータが他の角度位置にあるものと推定される。この場合には、転流制御ブロック26が高電位側駆動トランジスタと低電位側駆動トランジスタとの他の組合せをオンしてロータ位置探索を継続することになる。
【0070】
以上、印加極性も含めて6種類のロータ位置探索パルスを印加して、ロータ位置を検出する場合について説明したが、基本的にこの6種類のロータ位置探索パルス印加時の応答信号レベルからロータ位置判定を十分な精度で行うことができる。なお、図14における第一相、第二相及び第三相は、上記の例に限られず、U相、V相及びW相の三相から適当に重複することなく選べばよい。図14に示したロータ位置探索ステップは6回のロータ位置探索ステップを含むが、ロータ位置が判定され次第、直ちに終了としている。また、図14のフローを2回目以降のロータ位置探索ステップとして利用してもよいが、以後に述べる効率化の観点から1回目のロータ位置探索パルス印加ステップにのみ用いるのがより効率的である。
【0071】
更にまた、図15のフローチャートに示すように、冗長性を排するならば4種類のロータ位置探索パルス印加時の応答信号レベルからロータ位置判定を行うことができる。図15は、本発明の実施の形態1に係るモータ駆動方法におけるロータ位置探索ステップの別例のフローチャートである。この図15のフローチャートの各ステップS31〜S50は、図14のフローチャートのステップS01〜S20と実質的に対応するので説明を省略する。図15における第一相、第二相及び第三相はU相、V相及びW相の三相から適当に重複することなく選べばよい。図15に示したロータ位置探索ステップは4回のロータ位置探索ステップを含むが、ロータ位置が判定され次第、直ちに終了としている。図15のフローを2回目以降のロータ位置探索ステップに利用してもよいが、以後に述べる効率化の観点から1回目のロータ位置探索ステップのみとして用いるのがより効率的である。図15のフローを終了した後は図16のフローが開始される。なお、図16における終了のステップ以後は、広く知られている逆起電圧モードでの動作に移る。
【0072】
図16は、1回目の起動回転パルス印加ステップから逆起電圧帰還モードへの切替条件を満たすまでのフローチャートである。図14のフローを終了した後、図16のフローが開始される。
(a)まず、前回のロータ位置探索ステップによるロータ位置の判定結果に基づく相に起動回転パルスを印加する(S51)。
(b)次に、前回のロータ位置を判定できた場合に印加したロータ位置探索パルスと同じ条件の探索パルスを印加する(S52)。
(c)探索パルス電流を印加していない相の巻線端子の応答信号が所定閾値の外(すなわち、Hレベル信号でもLレベル信号でもない状態0である)か否か判断する(S53)。応答信号が前回と同じである場合(NO:状態P又は状態N)、ロータが前回判定の電気角60度期間に存在と判定される(S54)。その後、ステップS51に戻る。
(c)一方、ステップS53において、応答信号が状態0の場合(YES)には、ロータが次の電気角60度期間に回転したと判定され(S55)、逆起電圧帰還モード切替条件を満たしたか否か判断する(S56)。逆起電圧帰還モード切替条件を満たしている場合には、終了し、その後は、広く知られている逆起電圧帰還モードでの動作に移る。一方、切替条件を満たしていない場合には、ステップS51に戻る。
【0073】
既に、ロータ位置が電気角0度、120度、180度及び300度にある場合の起動回転パルスの通電相については述べた。ロータ位置の電気角が60度付近と判明した場合は、駆動トランジスタ3と駆動トランジスタ7をオンすることで、良好な起動回転トルクを与えることができる。一方、ロータ位置の電気角が240度付近と判明した場合は、駆動トランジスタ4と駆動トランジスタ6をオンすることで、良好な起動回転トルクを与えることができる。本方法では、最初のロータ位置探索パルスに対する応答結果が比較器28の出力がHレベル信号であるか、比較器29の出力がLレベル信号であれば、他の巻線へのロータ位置探索パルス印加の応答を待たなくとも直ちにロータ位置が分る。そこで、ロータ起動トルクに寄与しない余分な探索パルス印加を省略して所定の起動パルスを与えることができ、トータル的に迅速な起動加速を行うことができる。
【0074】
図3は、ロータ位置探索パルスと起動回転パルスの印加の様子を模式的に示すタイミングチャートの一例である。図3において横軸は時間軸であり、(a)、(b)及び(c)は、各々U相巻線電流、V相巻線電流及びW相巻線電流をその縦軸に示し、(d)は、比較器28または比較器29の出力結果を示しており、(e)は、ロータ位置判定結果を示す。図3の(d)における符号Pは、比較器28の出力がHレベル信号である状態を示し、Nは、比較器29の出力がLレベル信号である状態を示し、0は、比較器28の出力がHレベル信号でなく、且つ、比較器29の出力がLレベル信号でないことを示す。また、図3の(e)において、各数値240、300、0及び60は、ロータ位置の判定結果がそれぞれ電気角240度前後、300度前後、0度前後及び60度前後、であることを各々示す。
【0075】
図3には、一回目のロータ位置探索に要したロータ位置探索パルス印加ステップDS1として、3回のパルス印加を要した例を示している。このロータ位置探索パルス印加ステップDS1では、1回目にU相巻線10からV相巻線11へロータ位置探索パルスを通電し、2回目にV相巻線11からU相巻線10へ通電し、3回目にV相巻線11からW相巻線12へ通電している。1回目、2回目のロータ位置探索パルスの通電ではロータ位置探索に失敗したが、3回目のロータ位置探索パルス通電によって、第二転流制御比較器29の出力がLレベル信号(状態N)となり、ロータ位置が240度にあると判定される。このときのロータ位置探索パルス条件を保存すると共に、ロータに好適なトルクを印加するために駆動トランジスタ4及び6をオンにして、起動回転パルス印加ステップSP1において起動回転パルスを与える。
【0076】
図3の二回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS2では、前回保存した探索パルス条件と同じ探索パルスを印加する。起動時は一般的に回転速度が低いために次の電気角60度期間へのロータの回転を生じる頻度はロータ位置探索回数に比べて十分に低い。そこで、ロータ位置探索パルス印加ステップDS2では、直ちに再び第二転流制御比較器29の出力としてLレベル信号(状態N)を得ることができ、直前のロータ位置と同じ電気角240度であると判定される。このときの探索パルス条件を保存すると共にロータに好適なトルクを印加するために駆動トランジスタ4及び6をオンにして、起動回転パルス印加ステップSP2において起動回転パルスを与える。
【0077】
図3の三回目及び四回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS3及びDS4についても、そのロータ位置判定結果に基づいて、駆動トランジスタ4及び6をオンにして、三回目及び四回目の起動回転パルスステップSP3及びSP4に示す起動回転パルスを与える。
【0078】
図3の五回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS5では、2回のロータ位置探索パルスを印加している。まず、1回目のロータ位置探索パルス印加では、前回保存した探索パルス条件としてロータ位置探索パルス印加ステップDS4と同様のロータ位置探索パルスを印加するが、このときは第二転流制御比較器29の出力としてLレベル信号を得られない。従って、2回目のロータ位置探索パルスとして、直前に検出されたロータ位置の電気角240度から60度だけロータが回転した位置300度にあることを探索できるように、駆動トランジスタ4及び6をオンにする。この場合、V相巻線11からU相巻線10へ通電する。このとき第一転流制御比較器28の出力がHレベル信号(状態P)となり、ロータ位置が300度にあると判定される。このときの探索パルス条件を保存すると共に、ロータに好適なトルクを印加するために駆動トランジスタ5及び6をオンにして起動回転パルス印加ステップSP5において起動回転パルスを与える。
【0079】
図3の六回目及び七回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS6及びDS7も、ロータ位置探索パルス印加ステップDS5の2回目のロータ位置探索パルスと同様の探索パルスを印加し、ロータ位置として同じ電気角300度にあると判定される。そこで、六回目及び七回目の起動回転パルス印加ステップSP6及びSP7においても起動回転パルス印加ステップSP5と同様の起動回転パルスを印加する。
【0080】
図3の八回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS8も、結果的に2回のロータ位置探索パルスからなる。まず、1回目のロータ位置探索パルス印加では、前回保存した探索パルス条件としてロータ位置探索パルス印加ステップDS7と同様な探索パルスを印加するが、このときは第一転流制御比較器28の出力としてHレベル信号を得られない。従って、2回目のロータ位置探索パルスとして、直前に検出されたロータ位置の電気角300度から60度だけロータが回転した位置360度、即ち0度にあることを探索できるように、駆動トランジスタ5及び6をオンにする。この場合、W相巻線12からU相巻線10へ通電する。このとき第二転流制御比較器29の出力がLレベル信号(状態N)となりロータ位置が0度にあると判定され、このときの探索パルス条件を保存すると共に、ロータに好適なトルクを印加するために駆動トランジスタ5及び7をオンにして起動回転パルス印加ステップSP8において起動回転パルスを与える。
【0081】
図3の九回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS9もロータ位置探索パルス印加ステップDS8の2回目のロータ位置探索パルスと同様の探索パルスを印加し、ロータ位置として同じ電気角300度にあると判定される。そこで、九回目の起動回転パルス印加ステップSP9においても起動回転パルス印加ステップSP8と同様の起動回転パルスを印加する。
【0082】
図3の十回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS10では、結果的に2回のロータ位置探索パルスを印加している。まず、1回目のロータ位置探索パルス印加では、前回保存した探索パルス条件としてロータ位置探索パルス印加ステップDS9と同様のロータ位置探索パルスを印加するが、このときは第二転流制御比較器29の出力としてLレベル信号を得られない。従って、2回目のロータ位置探索パルスとして、直前に検出されたロータ位置の電気角0度から60度だけロータが回転した位置60度付近にあることを探索できるように駆動トランジスタ5及び7をオンにする。この場合、W相巻線12からV相巻線11へ通電する。このとき第一転流制御比較器28の出力がHレベル信号(状態P)となり、ロータ位置が60度付近にあると判定される。
【0083】
ここで、最初のロータ位置探索パルス印加ステップDS1からロータの一回目の電気角60度正転を確認した五回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS5、及び二回目の電気角60度正転を確認した八回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS8を経て、十回目のロータ位置探索パルス印加ステップDS10にて三回目の電気角60度正転を確認することになる。三回の電気角60度正転をもって回転起動が成功したものと判定すれば、以後は通常の加速トルクを印加するものとし、ロータ位置の検出方法として逆起電圧を利用することができる。AP1の電流波形に示すように駆動トランジスタ3及び7をオンにして電流をPWM制御して駆動することができる。以後はロータが回転しているので前述したように広く知られている逆起電圧によるロータ位置検出によってモータ駆動を行うことができる。
【0084】
なお、上述の場合では、三回のロータの電気角60度正転をもって回転起動が成功したものと判定したが、三回以外の回数の電気角60度正転をもってロータの回転起動が成功したと判定してもよい。また、起動回転パルス電流についての電気角60度の正転のインターバルから得られる回転速度が所定値に達していることをもって回転起動が成功したものと判定してもよい。
【0085】
また、起動モードから逆起電圧帰還モードに変化した直後の加速トルク印加において、そのプロファイル形成及び逆起電圧のゼロクロスを検出するための電流ゼロ期間を、起動モードでの電気角60度毎のモータ正転周期から予め逆起電圧のゼロクロスが予測されるタイミングで設ける。図3においては、AP1の後のゼロクロスを検出することになる。ロータ位置として電気角60度の領域が判定されたことを受けて、例えば、電気角60度の領域の中心タイミングで生じるべきW相巻線の逆起電圧の正から負へのゼロクロスの検出を行う。ゼロクロス検出期間の開始時にまだ上記所定のゼロクロスが生じていなければそのゼロクロスの発生を待ち、その発生をもってロータの電気角60度正転を検出する。言い換えれば、W相巻線の逆起電圧の正から負へのゼロクロスを待つ場合に逆起電圧検出期間開始時にW相巻線の逆起電圧がまだ正であれば所定のゼロクロスが生じるまでゼロクロス検出期間を継続し、所定のゼロクロスが生じた時点をもって文字通りゼロクロスが生じたとするものである。逆起電圧ゼロクロス検出期間の開始時に既に所定のゼロクロスが生じていることが逆起電圧信号の極性から判明している場合は逆起電圧ゼロクロス検出期間の開始タイミングをもってゼロクロスタイミングとする。つまり、例えばW相巻線の逆起電圧の正から負へのゼロクロスを待つ場合に検出期間開始時にW相巻線の逆起電圧が既に負になっていれば、直ちにゼロクロスが生じたとする。
【0086】
図4を用いて逆起電圧のゼロクロス検出について詳述する。図4の(a)は、逆起電圧ゼロクロスを検出するタイミングの説明図であり、図4(b)及び(c)は、逆起電圧帰還モードに変化した直後のロータ位置がタイミング69及びタイミング70にある場合の電流プロファイルを各々示す。図の横軸は、ロータ位置もしくは時間軸を示す。この図4の(a)は、図2に示した6種類の電気角60度期間のうちいずれかの一つを期間61として示す。図4の(a)には、上記電気角60度期間61の中心角度位置62、初期位置63及び最終位置64をそれぞれ示す。また、図4の(a)には、逆起電圧ゼロクロス検出期間の進相成分65a及び65bを示すと共に、逆起電圧ゼロクロス検出期間が、逆起電圧ゼロクロスが来るまで延長される区間66a及び66bを示す。さらに、逆起電圧ゼロクロス検出期間の開始タイミング67a、67b及び終了タイミング68a、68bを示す。
【0087】
また、センサレス駆動では、逆起電圧を検出するための所定のゼロ電流区間を各相毎に形成する必要がある。上記ゼロ電流区間内における所定の期間を上記ゼロクロス検出期間として、前回電気角60度相当期間と認識された期間を考慮して予測される次の逆起電圧ゼロクロスタイミングよりも図5に期間65aまたは期間65bで示す期間だけ早いタイミング67aまたは67bにてゼロクロス検出期間を開始する。これによって予測していた周期が長い場合、すなわち予測していた回転速度が低めだった場合には、少しずつ位相が進められて予測値が徐々に修正されていく。また、予測していた周期が短い場合、すなわち予測していた回転速度が高めだった場合には、上述したように所定の相において所定の逆起電圧ゼロクロスが生じるのを待ちつづけるので、結果的に位相が遅れて正しい逆起電圧ゼロクロスがタイミング68aまたは68bにて検出されて予測タイミングが修正される。
【0088】
通常は、逆起電圧帰還モードに切り替わる直前の起動モードにおける電気角60度正転期間中の起動回転パルスの回数は十分多く、逆起電圧帰還モードに変化した直後のロータ位置は当該電気角60度期間中の初期段階、例えばタイミング69にある。このときに、通電電流プロファイルは、図4(b)のようになる。直前のロータ位置情報を受けて、U相電流83aが比較的急峻に立ち上がり、V相電流84aが比較的急峻に立ち下がり、W相電流85aは比較的緩い傾斜で立ち上がる。その後、U相電流83aは比較的緩い傾斜で立下り始める。ここでのU相電流83aとW相電流85aなどの緩い変化率はモータ振動及び騒音低減に効果的なスロープ状電流を構成するためのものである。やがてU相電流83aはゼロとなり、U相電流83aがゼロに整定するまでの短期間のゼロ電流区間を経てすぐに、U相に現れる逆起電圧の正から負へのゼロクロスを検出するためのゼロクロス検出期間が始まる。その後、タイミング62で前記ゼロクロスを検出した結果、U相電流は更に負方向に比較的緩い傾斜で立下り始める。以上のように逆起電圧帰還モードに変化した後に生じる逆起電圧のゼロクロスは当該電気角60度期間の中間タイミング62で発生する逆起電圧ゼロクロスを検出することが可能であり、電気角約30度期間後のタイミング62の近くでゼロクロス検出期間を設定してよいことになる。この場合にゼロクロス検出期間が、ゼロクロスが検出されるまで継続されて正しくゼロクロスタイミングが検出される。
【0089】
また、直前の起動モードでの電気角60度正転期間中の起動回転パルスの回数が少なく、逆起電圧帰還モードに変化した直後のロータ位置は当該電気角60度期間中の終盤、例えばタイミング70にあるとする。このときに、通電電流プロファイルは図4(c)のようになる。直前のロータ位置情報を受けて、U相電流83bが比較的急峻に立ち上がり、V相電流84bが比較的急峻に立ち下がり、W相電流85bは比較的緩い傾斜で立ち上がる。その後、U相電流83bは比較的緩い傾斜で立下り始める。ここでのU相電流83bとW相電流85bなどの緩い変化率はモータ振動及び騒音低減に効果的なスロープ状電流を構成するためのものである。やがて、U相電流83bはゼロとなり、U相電流83bがゼロに整定するまでの短期間のゼロ電流区間を経てすぐに、U相に現れる逆起電圧の正から負へのゼロクロスを検出するためのゼロクロス検出期間が始まる。この場合はタイミング62で既に逆起電圧ゼロクロスが生じた後であり、一見したところ次に来る電気角60度期間の中間タイミングのゼロクロスを検出した方がよいと思われるが、逆に、起動モードでの電気角60度正転期間中の起動回転パルスの回数が十分多い場合にはゼロクロス検出期間が電気角90度相当期間継続することになりトルクが低下するという問題が生じる。従って逆起電圧帰還モードに切り替わった直後のロータ位置がタイミング70にあるような場合においても、当該電気角60度期間の逆起電圧ゼロクロスを待つ方が好ましい。このとき、タイミング62で既に逆起電圧ゼロクロスが生じた後であるため、更に電気角180度相当期間後までは極性が一定であり、その極性から逆起電圧ゼロクロス検出開始タイミング67bで既に逆起電圧ゼロクロスが生じたと判断できて直ちにゼロクロス検出したものと見なし、次の電気角60度のプロファイルを形成する。なお、この場合の方がトルク低下を生じない。既に説明したように、予測周期情報を期間65bずつ短縮することによって、やがては正確なゼロクロスタイミングの検出ができるようになる。
【0090】
なお、ここで相比較制御ブロック17について説明する。相比較制御ブロック17の具体例としては、図12(a)、(b)、(c)に示す回路構成等が考えられる。図7における領域71〜78のロータ位置探索パルスが印加できれば、領域79〜82のロータ位置探索パルスはなくてもよい。従って、常に探索パルス印加電流が流れるV相端子を応答信号検出端子として利用しないので、図12(a)では、U相端子及びW相端子が端子線選択ブロック27を介して比較器28及び比較器29に接続され、ロータ位置を判定可能としている。また、逆起電圧帰還モードでは、比較器28及び比較器29の閾値はゼロに戻されるか、または絶対値を小さくされ、各々がU相端子及びW相端子に接続される一方で、逆起電圧帰還モードでのみ使用される比較器99がV相端子に接続される。上記3つの比較器の出力は転流制御ブロック26に伝達される。
【0091】
また、図12(b)は、端子線選択ブロック27を使用しないで、各相が2つずつ専用のロータ位置探索パルス印加に対する応答信号を入力する比較器28U、28V、28W、29U、29V及び29Wをもつものである。逆起電圧帰還モードにおいては上記比較器の閾値はその絶対値を低減または除去されて逆起電圧比較用の比較器として使用される。
【0092】
更に、図12(c)は、1組の比較器28及び比較器29のみが端子線選択ブロック27を介してロータ位置探索パルスに対する応答信号を前記探索パルスが印加されていない巻線端子から読み出すものである。逆起電圧帰還モードにおいては上記比較器の閾値はその絶対値を低減または除去されて逆起電圧比較用の比較器として使用される。このとき逆起電圧のゼロクロスはその出現が予測されるタイミングで端子線選択ブロック27を介して所定の巻線端子から検出される。
【0093】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るモータ駆動方法は、ロータ位置探索パルスの電流が所定値にある時の誘導作用による応答信号値を利用することを特徴とする。図5は、ロータ位置探索パルスの電流レベルが互いに異なる2つの場合について、U相巻線端子からV相巻線端子にロータ位置探索パルスを印加した時の電流ゼロであるW相巻線のW相端子線15と中性点端子線16との間に生じる応答信号のロータ位置に対する特性を示す図である。図5では、ロータ位置探索パルス電流が高い場合における応答信号の特性を曲線51として示しており、応答信号特性51の主ピーク52、主ボトム53、サブピーク54及びサブボトム55を示す。また、ロータ位置探索パルス電流が比較的低い場合における応答信号の特性を曲線56として示しており、応答信号特性56の主ピーク57、主ボトム58、サブピーク59及びサブボトム60を示す。この結果から、ロータ位置探索パルス電流を高めに設定した場合のサブピーク54及びサブボトム55の方がロータ位置探索パルス電流を低めに設定した場合のサブピーク59及びサブボトム60よりも小さいので、正の閾値43及び負の閾値レベル44の絶対値の下限マージンを大きく確保できる。従って上記のロータ位置検出において所定のロータ位置探索パルス電流値をよく制御することによって電流ゼロの巻線両端に現れる応答電圧信号形状のサブピーク及びサブボトムの大きさが減少し、ロータ位置をより正しく判定できる。つまり基本的には、ロータ位置探索パルスの与え方としては、選択した高電位側駆動トランジスタと低電位側駆動トランジスタとのオンによって巻線端子間に所定電圧を所定時間幅だけ印加するものであるが、図5を用いた上記の議論の結果に基づいて本実施形態では以下のように行う。
【0094】
図1におけるロータ位置探索パルス指令発生器31は、上記応答信号の読み取りタイミングを決めるためにロータ位置探索パルスの閾値電流値を設定するものである。起動モードにおける転流制御ブロック26がロータ位置探索パルス印加のために選択した駆動トランジスタをPWMオンパルス発生ブロック24からのパルスによってPWMオンさせる。この様子を、図6を用いて説明する。図6(a)、(b)及び(c)は、各々、ロータ位置探索電流、比較器29の出力信号及び転流制御ブロック内格納信号を示す。印加によって流れ始めるロータ位置探索パルス電流は、図6(a)に示すように電流検出抵抗18でモニタされ、これが増幅器19を介した信号がロータ位置探索パルス指令発生器31にて設定された値とトルク比較ブロック23において比較されて、ロータ位置探索パルス電流値が所定値Ithに達したならばこの瞬間86のタイミングでの比較器28及び比較器29の出力結果を転流制御ブロック26が取り込んだ後にロータ位置探索パルス電流はPWMオフされる。仮にロータ位置が0度の位置にあるとする。このとき図6(b)に示すようにロータ位置探索パルス電流の増加に伴って比較器28の出力は、図5に示すようなサブピーク59を誤検出してチャタリングを生じることが考えられる。電流レベルに依存してチャタリングを生じ得る期間87と88に示す出力が安定した期間が存在する。比較器の出力が安定な電流領域に相当する期間88に含まれるタイミング86で比較器出力を転流制御ブロック26が格納することにより誤ったロータ位置判定を防止することができる。
【0095】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係るモータ駆動方法では、ロータ位置探索パルスを印加する際に、どの相の巻線からどの相の巻線に通電するか、どの2つの相の巻線の組合せを優先的に選択していくかについて所定の順番としていることを特徴とする。ロータ位置探索パルスを印加する際に、どの相の巻線からどの相の巻線に通電するかは、高電位側駆動トランジスタと低電位側駆動トランジスタと選択することによって決定される。図7は、三相巻線のうち、二相の直列巻線を選択してロータ位置探索パルスを印加した場合に、ロータ位置を検出できる電気角の角度位置を示す図である。
(i)U相巻線からV相巻線にロータ位置探索パルス電流を通電した場合に検出できるロータ位置を領域71及び72として示す。
(ii)また、V相巻線からU相巻線にロータ位置探索パルス電流を通電した場合に検出できるロータ位置を領域73及び74として示す。
(iii)V相巻線からW相巻線にロータ位置探索パルス電流を通電した場合に検出できるロータ位置を領域75及び76として示す。
(iv)W相巻線からV相巻線にロータ位置探索パルス電流を通電した場合に検出できるロータ位置を領域77及び78として示す。
(v)W相巻線からU相巻線にロータ位置探索パルス電流を通電した場合に検出できるロータ位置を領域79及び80として示す。
(vi)U相巻線からW相巻線にロータ位置探索パルス電流を通電した場合に検出できるロータ位置を領域81及び82として示す。
【0096】
図7から分るように、これらの全パターンの探索パルス印加を行う必要はない。領域71〜74、領域75〜78または領域79〜82の何れにおいても4つの検出可能なロータ位置は、互いに位置の重複が少ないので効率的である。従って、これら3種の組合せの一つを選択して、一巡目のロータ位置探索ステップにおける1回目の探索パルス及び1回目の探索パルスでロータ位置判定できなかった場合の2回目の探索パルス印加に利用することが好適である。2回目の探索パルスでもロータ位置の判定ができなければ、別の組合せの探索パルスを3回目の探索パルス及び3回目の探索パルスでロータ位置が判定できなかった場合の4回目の探索パルス印加に利用すればよい。但し既述したように、二巡目以降のロータ位置探索ステップにおいては1回目の探索パルスは、一巡目の最後にロータ位置探索ステップにおいてロータ位置を判定できた探索パルスに等しいものを用い、これが外れた場合の2回目の探索パルスにはロータが電気角60度正転した場合のロータ位置判定できる探索パルスを用いる。
【0097】
また、図7において、ロータ位置探索パルス電流の印加を、U相巻線からV相巻線へ行うことで検出可能なロータ位置の領域71及び72と、V相巻線からW相巻線へ行うことで検出可能なロータ位置の領域75及び76と、W相巻線からU相巻線へ行うことで検出可能なロータ位置の領域79及び80とは、互いに検出可能なロータ位置の重複が少ない。従って、これらのうち2種類の探索パルス電流の印加を1回ずつ合計2回順次行ってもこの時点でのロータ位置把握率は上述のように一対の端子間に正方向及び逆方向にロータ位置探索パルス電流印加をする場合に比べて同程度であるといえる。続いて、ロータ位置検出のための3回目の探索パルス電流印加は、前記2種類のうち一方の電流印加相間に逆方向に電流パルス印加を行い、4回目の電流印加は前記2種類のうち他方の電流印加相間に逆方向に電流パルス印加を行えば、総てのロータ位置を把握することができる。即ち、図15のフローチャートに示すように、例としては、ロータ位置探索パルス電流の印加を、まず、U相巻線からV相巻線へ行い、次に、V相巻線からW相巻線へ行い、さらに、V相巻線からU相巻線へ行い、そして、W相巻線からV相巻線へ行えば、ロータ位置を早期に把握できる。また、この手順を一部変えて、ロータ位置探索パルス電流の印加を、U相巻線からV相巻線へ行い、V相巻線からW相巻線へ行い、W相巻線からV相巻線へ行い、V相巻線からU相巻線へ行ってもロータ位置を把握できる。この場合V相は、1回目のロータ位置探索パルス電流印加ではソースであり、2回目のロータ位置探索パルス電流印加ではシンクとなっている。もし2回目の探索パルス電流印加においてもV相がソースであれば、1回目の電流印加と2回目の電流印加でのロータ位置検出可能な電気角の領域が、図7の領域71、72、77、78となり、重複が大きくロータ位置の早期検出率が低下する。
【0098】
同様に、ロータ位置探索パルス電流の印加を、V相巻線からU相巻線へ行うことで検出可能なロータ位置の領域73及び74と、W相巻線からV相巻線へ行うことで検出可能なロータ位置の領域77及び78と、W相巻線からU相巻線へ行うことで検出可能なロータ位置の領域81及び82とは互いに検出できるロータ位置の重複が少ない。従って、これらのうち2種類の探索パルス電流の印加を1回ずつ合計2回順次行ってもこの時点でのロータ位置把握率は、上述のように一対の端子間に正方向及び逆方向にロータ位置探索パルス電流印加をする場合に比べて遜色がないといえる。続いて、ロータ位置検出のための3回目の探索パルス電流印加は、前記2種類のうち一方の電流印加相間に逆方向に電流パルス印加を行い、4回目の探索パルス電流印加は前記2種類のうち他方の電流印加相間に逆方向に電流パルス印加を行えば、総てのロータ位置を把握することができる。
【0099】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係るモータ駆動方法は、起動回転パルスの印加方法について特徴づけられている。ロータ位置判定の結果から通電すべき相に対して起動回転パルスが印加される。起動回転パルスの与え方について図8を用いて説明する。上記までの説明ではロータ位置探索パルス及び起動回転パルスを図8(a)に示すように、それぞれ1つのパルス91及び92からなるとした。しかし、特に起動回転パルスを与える期間が長くなり過大な電流上昇を伴う場合があり、信頼性上問題を生じる場合がある。そこで、このモータ駆動方法では、図8(b)のパルス94に示すようにPWM駆動をすることを特徴とする。このようなPWMパルスによれば、起動パルス指令発生器32からのトルク指令値に基づいて電流ピーク値に達すればPWMオフし、所定時間経過後に再度PWMオンすることによりほぼ一定の電流レベルを保つことができて信頼性を維持することができる。ロータ位置探索パルスについても、図8(a)のパルス93に示すように電流値をPWM制御することも可能であり、ロータ位置の誤検出防止に効果がある。
【0100】
なお、これまでは探索パルス電流の大きさが増大傾向にある場合の応答信号を基本に議論してきたが、探索パルス電流の大きさが減少傾向にある場合にもロータ位置検出は可能であることを説明する。図13は、ロータ位置の電気角に対する探索パルスの応答信号の特性を示す図である。図の横軸は、ロータ位置の電気角であり、縦軸は応答信号である。図13は、図2の場合と同様に、U相巻線からV相巻線にロータ位置探索パルス電流を通電した場合であって、そのパルス電流が増加傾向にあるときに電流印加されていないW相の巻線に現れる応答信号41を示すとともに、U相巻線からV相巻線にロータ位置探索パルス電流を通電した場合であって、そのパルス電流が減少傾向にあるときに電流印加されていないW相の巻線に現れる応答信号41*とを示す。応答信号は、インダクタンスと電流変化の積として検出されるので、ロータが同じ位置にあるときに現れる応答信号41*と応答信号41とは逆極性になる。すなわち応答信号41*及び応答信号41の閾値設定については、一方の正の閾値設定は他方に対しては負の閾値設定とすればよい。従って、例えば、図8(b)のパルス93ではPWMオン後にPWMオフされた期間には極性が逆の応答信号を検出することができる。即ち、図8(b)をロータ位置が240度にあるときにロータ位置探索パルスをV相端子からW相端子方向に流した場合とすればこのときU相巻線10の応答信号としては、期間95では比較器29の出力がLレベル信号になることを既述したが、期間96では比較器28の出力がHレベル信号になるのでこれを利用してもよい。
【0101】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係るモータ駆動方法は、ロータ位置探索ステップにおける応答信号と比較するための閾値の設定について特徴付けられる。応答信号と比較するための適正な閾値レベル域は、モータによって変動するため、モータ毎に閾値を適正な値に調整する必要がある。閾値が高すぎれば、例えば図2に示される検出可能なロータ位置の領域45〜48の各々の角度範囲が狭まるので判定不能なロータ位置の範囲(判定デッドポイント)を生じてしまい、その一方、閾値が低すぎれば、サブピーク若しくはサブボトムを主ピーク若しくは主ボトムとして誤判定する可能性がある。そこで、実施の形態5に係るモータ駆動方法では、初期閾値の絶対値を大きめに設定しておく。図14に示す6種類のロータ位置探索パルスの印加を行っても、比較器28及び比較器29の出力がHレベル信号でもLレベル信号でもない場合、すなわちロータ位置を判定できない場合には、閾値を自己調整する。例えば、閾値の絶対値を所定値低減した後に、再度ロータ位置探索ステップに戻す。このようにデッドポイントの存在を認識した結果としてデッドポイントを解消できる。自己調整した閾値レベルは更新する。内部に不揮発メモリを持っている場合には、適正化された閾値を内部に保持して、以後は迅速にロータ位置探索を可能にすることが出来る。この閾値レベル更新のステップは、図14の経路97及び図15の経路98の途中に挿入することができる。
【0102】
図18は、閾値の自己調整を含む上記のモータ駆動方法のフローチャートである。この図18は、図14〜図17に示したロータ位置探索ステップを一般化するとともに、ロータ位置探索パルスへの応答信号に対する上記の閾値の絶対値レベルの低減ステップを加えている。更に、前記閾値の可変の結果にも拘わらずロータ位置検出精度が向上しない場合に同期運転で起動する同期起動モードへの遷移ステップや、モータ回転に伴う逆起電圧を検出して得たロータ位置情報に基づく逆起電圧帰還モードでの運転への切替ステップを追加している。
【0103】
(a)回転速度は所定値以上か否かを判断する(S71)。回転速度が所定値以上でない場合には、回転速度がゼロまたは極低速であって起動モードであると判断され、次のステップS72に移行する。一方、回転速度が所定値以上の場合には、逆起電圧帰還モードで駆動できると判断して、ステップS79に移行する。なお、図16及び図17では、単に「逆起電圧帰還モード切替条件」としていたが、ここでは、より具体的な回転速度を切替条件としている。
(b)次に、印加するロータ位置探索パルスのパターン数Pを初期化する。具体的には、Pに0を代入する(P=0)(S72)。
(c)続いて、印加するロータ位置探索パルスのパターン数Pをインクリメントする。具体的には、P自身に1を加えた値をPに代入する(P=P+1)(S73)。
(d)P番目のパターンの探索パルスを印加する(S74)。
(e)検出相出力はロータ位置を特定できるレベルか否か判断する(S75)。出力がHレベル信号又はLレベル信号である場合には、ロータ位置を判定でき、判定されたロータ位置に該当する起動回転パルスを印加する(S81)。回転速度が所定値に達するまではロータ位置探索パルス印加ステップと起動パルス印加とが繰り返される(起動モード)。その後、ステップS71に戻る。
(f)全パターンのパルス印加を実施したか否か判断する(P=P?)(S76)。ここでPは全パターンの数である。なお、図14の場合はP=6であり、図15の場合はP=4に相当する。
(g)比較器閾値の絶対値は下限値に達したか否か判断する(S77)。閾値の絶対値が下限値に達した場合には、これ以上閾値の絶対値を低減できないので、所定の回転速度の回転磁界をステータに発生させてモータ起動を行う同期起動モードで起動を行う(S82)。この同期起動モードでは起動速度が遅くなるがロータ位置が不明であっても確実な起動を実現できる。その後、ステップS71に戻る。一方、下限値に達していない場合には、ステップS78に移行する。
(h)閾値の絶対値を所定値だけ低減する(S78)。比較器閾値の絶対値を所定値だけ低減させたにも拘わらず一通りのパターン印加を経てもなおロータ位置判定されなければ、再度、所定値ずつ比較器閾値の絶対値が下げられていく。この比較器閾値の絶対値の低減ステップはロータ位置判定されなければ、S77で比較器閾値の絶対値が下限値に達したと判定されるまでは、繰り返される。その後、ステップS71に戻る。
(i)ステップS71において回転速度が所定値に達したと判定されれば、比較器閾値の絶対値を逆起電圧帰還モードに適した所定値に設定する(S79)。次いで、逆起電圧帰還モードでの運転を行う(S80)。その後、ステップS71に戻る。
以上により、閾値を自己調整しながらロータ位置の判定のデッドポイントを解消してモータ駆動できる。
【0104】
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係るモータ駆動方法は、所定のロータ位置判定を行ってもロータ位置判定できない場合に、キックパルスを印加してロータを変位させる点で特徴を有する。上記のロータ位置の判定におけるデッドポイントは、全電気角からみれば稀であるため、このモータ駆動方法では、所定のロータ位置判定を行ってもロータ位置判定できない場合に所定のキックパルスを印加してロータを現状の位置から若干変位させている。これによって、ロータがデッドポイントから脱するので、その後、ロータ位置を判定することができる。この場合のキックパルスとしては、所定値以上のトルクが印加される少なくとも1つのパルスを含む複数のパルスを一組によって構成する。例えば、互いに90度位相が異なる2種類のパルスを印加すれば、最大トルクを1としたときに少なくとも0.71のトルクを印加できる。あるいは、互いに60度または120度位相が異なる3種類のパルスを印加すれば、最大トルクを1としたときに少なくとも0.87のトルクを印加できる。別例として、互いに60度または120度位相が異なる2種類のパルスを印加すれば、最大トルクを1としたときに少なくとも0.50のトルクを印加できる。上記のうち、互いに60度または120度位相が異なるパルスの組合せは、図1の3つの相巻線端子のうち任意に選んだ2つの端子間に電流パルスを印加する組合せによって用意できる。また、90度位相が異なるパルスは、一回目は3つの相巻線端子のうち任意に選んだ2つの端子間に電流パルスを印加するとともに、二回目は前記2端子を束ねたものと、残る1端子との間に電流パルスを印加すれば用意できる。このキックパルス印加ステップは、図14の経路97又は図15の経路98の途中に挿入すればよい。
【0105】
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係るモータ駆動方法は、回転速度を見積もることによって起動モードから逆起電圧帰還モードへの切り替えを行うことを特徴とする。上述の実施の形態では、起動モードでは通常はロータの電気角60度の正転が順次進む場合について説明した。これはモータ負荷が通常の大きさで、これに適正化された起動回転トルクを与える場合に満足される。このような通常の大きさの負荷に加えて、もっと軽い負荷にも対応させる場合には同様の起動回転パルスではロータ回転速度が高くなり、一気に120度や180度のロータ正転が生じたりして電気角60度のロータ正転確認条件を満足せずスムーズな加速が行われないことがある。この場合には、電気角60度毎のロータ正転間の周期を測定しておいて、これから見積もられる回転速度が所定値以上であることを検知すれば、ロータ回転速度が速いことがわかる。この場合には、所定時間の全相通電オフ状態を作り、少なくとも1相のゼロクロス間隔または複数相のゼロクロス間隔を計測することにより正確な回転速度を見積ることができる。見積もられた回転速度を元にトルク指令プロファイル及び逆起電圧検出期間を設けて、以後は逆起電圧帰還モードとする。これによって、通常負荷時だけでなく軽負荷時も安定なモータの起動及び加速駆動を行うことができる。
【0106】
また、上記と同様に負荷が軽い場合などにおいて、起動モードでスムーズな加速が行われない場合には、探索パルスも回転トルクを与えている場合もあるので、その電流値及び継続時間若しくはパルス幅を絞れば軽負荷時の探索パルスに起動回転トルクを生じさせないようにすることができる。また120度や180度のロータ正転が生じることを防いで、電気角60度のロータ正転確認条件を満たせるように起動回転パルスの電流値及び継続時間若しくはパルス幅を絞ることも有効である。これらは実施の形態4で説明したように起動回転パルスの電流値を制御することによって実現できる。
【0107】
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8に係るモータ駆動方法は、起動回転パルス印加ステップがロータ位置探索パルス印加ステップを兼ねていることを特徴とする。図10は、図3におけるロータ位置探索パルス印加ステップを合理化した模式的に示すタイミングチャートの一例である。図10において横軸は時間軸であり、(a)、(b)及び(c)は、各々U相巻線電流、V相巻線電流及びW相巻線電流をその縦軸に示し、(d)は、比較器28または比較器29の出力結果を示しており、(e)は、ロータ位置判定結果を示す。実施の形態8に係るモータ駆動方法では、1回目の起動回転パルス印加ステップSD1において、V相端子からU相端子方向への起動回転パルス電流印加が2回目のロータ位置探索パルス印加ステップを兼ねている。起動回転パルス印加ステップSD1〜SD3においてはW相からの応答信号の大きさは小さく、ロータ位置は電気角60度に対応した位置、120度に対応した位置、180度に対応した位置及び240度に対応した位置の何れかに在ると考えられるが、ロータは回転せず以前と同じ電気角240度の位置であると判断される。このロータ位置の判定方法は、検出できる電気角度の精度は粗いものの、1回の起動回転パルス印加によってロータが所定の電気角度ずつ正転するという条件に従って正しく行なうことができる。
【0108】
4回目の起動回転パルス印加ステップSD4において、W相からの応答信号は、正の閾値以上となり、ロータは300度位置に電気角60度正転したと判定され、5回目の起動回転パルス印加ステップSD5としてW相端子からU相端子に電流を流す。起動回転パルス印加ステップSD5,SD6ではロータ位置は電気角120度に対応した位置、180度に対応した位置、240度に対応した位置及び300度に対応した位置の何れかに在ると考えられるが、起動回転パルス印加ステップSD1〜SD3における判断と同じ要領で電気角60度の正転が無かったとされてロータは電気角300度の位置にあると判定される。
【0109】
7回目の起動回転パルス印加ステップSD7でV相からの応答信号は負の閾値以下となりロータは電気角0度に対応した位置に電気角60度正転したと判定される。次に、8回目の起動回転パルス印加ステップSD8でW相端子からV相端子方向に電流印加される。図10では最終的に起動回転パルス印加ステップSD9によって3回目の電気角60度正転が確認されて以後は逆起電圧帰還モードに切り替わるとして例示した。
【0110】
図17は、このモータ駆動方法のフローチャートである。
(a)まず、前回のロータ位置探索ステップによるロータ位置の判定結果に基づく相に起動回転パルスを印加する(S61)。なお、この起動回転パルス印加ステップがロータ位置探索パルス印加ステップを兼用するので、図16における探索パルス印加のステップが省略される。
(b)起動回転パルス電流を印加していない相の巻線端子の応答信号が所定閾値の外(すなわち、Hレベル信号でもLレベル信号でもない状態0)か否か判断する(S62)。応答信号が前回と同じである場合(NO:状態P又は状態N)、ロータが前回判定の電気角60度期間に存在と判定される(S63)。その後、ステップS61に戻る。
(c)一方、ステップS62において、応答信号が状態0の場合(YES)には、ロータが次の電気角60度期間に正転したと判定され(S64)、逆起電圧帰還モード切替条件を満たしたか否か判断する(S65)。逆起電圧帰還モード切替条件を満たしている場合には、終了し、その後は、広く知られている逆起電圧帰還モードでの動作に移る。一方、切替条件を満たしていない場合には、ステップS61に戻る。
この実施の形態8に係るモータ駆動方法によれば、トルクに寄与しないロータ位置探索パルスの代わりに起動回転パルスを利用するので起動時の加速度を高めることができる。
【0111】
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9に係るモータ駆動方法は、起動回転パルス印加ステップにおいて、ピーク電流値を制御されたPWM駆動パルスを印加することを特徴とする。図11は、実施の形態9に係るモータ駆動方法における起動回転パルス印加ステップを示すタイミングチャートの一例である。この図11は、図10と同様に図3におけるロータ位置探索パルス印加ステップを合理化したものである。図11において横軸は時間軸であり、(a)、(b)及び(c)は、各々U相巻線電流、V相巻線電流及びW相巻線電流をその縦軸に示し、(d)は、比較器28または比較器29の出力結果を示しており、(e)は、ロータ位置判定結果を示す。図10では、起動回転パルス印加ステップSD1〜SD4の起動回転パルスはそれぞれ孤立したパルス列であるが、図11では、起動回転パルス印加ステップSD11〜SD13のそれぞれの電流波形が示すように、ピーク電流値を制御されたPWM駆動期間となっている。実施の形態9では、図11(d)の実線の矢印はパルス電流の絶対値の増加区間を示すものである。起動回転パルス印加ステップSD11における前記増加期間に現れる応答信号が正の閾値以上であればロータが300度の位置あることを示す。同様に起動回転パルス印加ステップSD12及びSD13における前記増加期間に現れる応答信号が負の閾値以下及び正の閾値以上であればロータが0度の位置及び60度の位置にあることを各々示す。また、図11(d)の点線の矢印はパルス電流の絶対値の減少区間を示すものである。起動回転パルス印加ステップSD11における前記減少期間に現れる応答信号が負の閾値以下であればロータが300度の位置にあることを示す。同様に起動回転パルス印加ステップSD12及びSD13における前記減少期間に現れる応答信号が正の閾値以上及び負の閾値以下であればロータが0度の位置及び60度の位置にあることを各々示す。なお、上記パルス電流の増加期間に現れる応答信号及び減少期間に現れる応答信号のうちいずれか一方の応答信号を利用してもよく、あるいはその両方の応答信号を利用してロータ位置の判定を行ってもよい。この実施の形態9に係るモータ駆動方法では起動回転のためのトルクを与えるパルス電流が連続しており、図10に示す実施の形態8よりもさらに起動時の加速度を高めることができる。
【0112】
以上、本発明の説明を上述のように各実施の形態に基づいて行ったが、本発明はこれらの具体例に限定することなく本発明の主旨に基づいた他の具体例を含むものであり、本発明の主旨は各請求項に示される。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係るモータ駆動装置及びモータ駆動方法は、正確なロータ位置判定を可能にすることによって、安定で高速な起動速度を達成するものであり、システムの高速スタートに寄与するものである。また起動時の負荷変動にも強い起動速度を向上することができる。またこれらの制御は低コストで容易に実現されるものであり、安価で安定かつ高性能のセンサレスモータ駆動装置に極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明の実施の形態1に係るモータ駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図2】U相巻線とV相巻線との間にロータ探索パルスを印加した場合におけるW相巻線間の応答電圧のロータ位置に対する特性を示す図である。
【図3】本発明のロータ位置探索パルスと起動回転パルスの印加の様子を示すタイミングチャートの一例であり、(a)、(b)、(c)はそれぞれU相巻線電流、V相巻線電流及びW相巻線電流であり、(d)は比較器の出力結果であり、(e)はロータ位置判定結果である。
【図4】(a)は、逆起電圧ゼロクロスを検出するタイミングの説明図であり、(b)及び(c)は、逆起電圧帰還モードに変化した直後のロータ位置がそれぞれ異なるタイミングにある場合の電流プロファイルを各々示す図である。
【図5】ロータ位置探索パルスのレベルが異なる場合の応答電圧のロータ位置の依存特性を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態2におけるロータ位置探索パルスの電流閾値による比較タイミングの制御の説明する図であって、(a)、(b)及び(c)は、各々、ロータ位置探索電流、比較器の出力信号及び転流制御ブロック内格納信号を示す。
【図7】3相の巻線のうち、2相を選択してロータ位置探索パルスを印加し、選択しなかった1相と中性点端子との間の応答電圧によって検出できるロータ位置の領域を示す図である。
【図8】(a)は、実施の形態1〜3におけるロータ位置探索パルス及び起動回転パルスの例であり、(b)は、実施の形態4におけるロータ位置探索パルス及び起動回転パルスの例である。
【図9】従来例におけるパルス電流を示す概略図である。
【図10】実施の形態8のロータ位置探索パルスと起動回転パルスの印加のタイミングチャートの一例であり、(a)、(b)、(c)はそれぞれU相巻線電流、V相巻線電流及びW相巻線電流であり、(d)は比較器の出力結果であり、(e)はロータ位置判定結果である。
【図11】実施の形態9のロータ位置探索パルスと起動回転パルスの印加のタイミングチャートの一例であり、(a)、(b)、(c)はそれぞれU相巻線電流、V相巻線電流及びW相巻線電流であり、(d)は比較器の出力結果であり、(e)はロータ位置判定結果である。
【図12】(a)、(b)及び(c)は、相比較制御ブロックの具体的な構成例を示す図である。
【図13】ロータ位置探索パルス電流の変化の極性が異なる場合の応答電圧のロータ位置の依存特性を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態1に係るモータ駆動方法におけるロータ位置探索ステップのフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態1に係るモータ駆動方法におけるロータ位置探索ステップの別例のフローチャートである。
【図16】本発明の実施の形態1に係るモータ駆動方法における、起動モードでの1回目の起動回転トルク印加ステップ以降のフローチャートである。
【図17】実施の形態8及び9の、起動モードの、1回目の起動回転トルク印加ステップ以降のフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態5に係るモータ駆動方法における閾値の自己調整を含む上記のモータ駆動方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0115】
1 高電位側電源線、2 低電位側電源線、3 U相高電位側駆動トランジスタ、4 V相高電位側駆動トランジスタ、5 W相高電位側駆動トランジスタ、6 U相低電位側駆動トランジスタ、7 V相低電位側駆動トランジスタ、8 W相低電位側駆動トランジスタ、9 モータ、10 U相モータ巻線、11 V相モータ巻線、12 W相モータ巻線、13 U相端子線、14 V相端子線、15 W相端子線、16 中性点端子線、17 相比較制御ブロック、18 電流検出抵抗、19 電流検出増幅器、20 プリドライバ、21 外部指令信号、22 成分トルク生成ブロック、23 トルク比較ブロック、24 PWMオンパルス発生ブロック、25 PWMラッチブロック、26 転流制御ブロック、27 端子線選択ブロック、28 第一転流制御比較器、29 第二転流制御比較器、30 比較器オフセット設定器、31 ロータ位置探索パルス指令発生器、32 起動パルス指令発生器、41、42 応答電圧のロータ位置に対する特性、43 正の閾値レベル、44 負の閾値レベル、45、46、47、48 ロータ位置検出領域、51 ロータ位置探索パルス電流が高い場合における応答電圧特性、
52、53、54、55 応答特性51のピーク、ボトム、サブピーク及びサブボトム、
56 ロータ位置探索パルス電流が比較的低い場合における応答電圧特性、
57、58、59、60 応答特性56のピーク、ボトム、サブピーク及びサブボトム、
61 電気角60度期間のうちの一つ、
62、63、64 電気角60度期間61の中心角度位置、初期位置及び最終位置、
65a、65b 逆電圧ゼロクロス検出期間、
66a、66b 逆電圧ゼロクロス検出期間65の延長、
67a、67b 逆起電圧ゼロクロス検出期間67の開始タイミング、
68a、68b 逆起電圧ゼロクロス検出期間67の終了タイミング、
71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82 検出可能なロータ位置、86 比較器出力の転流制御ブロック26による格納タイミング、
91 ロータ位置探索パルス、92 ロータ起動回転パルス、93 ロータ位置探索パルス、94 ロータ起動回転パルス




 

 


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