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発明の名称 インバータ装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−28779(P2007−28779A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−206435(P2005−206435)
出願日 平成17年7月15日(2005.7.15)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 長谷川 博基 / 東 光英
要約 課題
正弦波駆動方式において巻線電流と巻線の誘起電圧との位相差を制御すること。

解決手段
位置センサ2の信号に基いてインバータ主回路3に備わるスイッチング素子を駆動するためにPWM処理された駆動信号を形成し、この駆動信号により正弦波駆動を行うものにおいて、前記駆動信号の位相は、前記信号に応じて決定されるモータの回転数および前記駆動信号の変調率に応じて決定される電圧指令値に基いて決定されており、その結果、前記誘起電圧と前記巻線に流れる電流の位相とが最適となるように制御したものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
DCブラシレスモータと、前記DCブラシレスモータの巻線に発生する誘起電圧と一定の位相関係を持つ信号を出力する位置センサと、3相ブリッジ接続された複数のスイッチング素子から構成され、電圧指令出力手段が出力する駆動信号に基づき前記複数のスイッチング素子を開閉し、これにより直流電圧を正弦波状の擬似交流電圧に変換し前記DCブラシレスモータに供給するインバータ装置において、前記駆動信号の位相は、回転数検出手段によって検出されるモータ回転数と、前記モータ回転数を制御する速度制御手段により決定される変調率とによって決定し、前記駆動信号の位相角によって巻線の電流位相角を推定し、前記電流位相角を制御することを特徴とするインバータ装置。
【請求項2】
前記駆動信号の位相は、ROMに記憶された制御プログラム及びデータに基づいて決定されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
【請求項3】
前記駆動信号の位相は、演算により決定されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
【請求項4】
前記誘起電圧と一定の位相関係を持つ信号は、前記ブラシレスモータに設けられたホールICから発生する位置信号であることを特徴とする請求項1記載のインバータ装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスモータの複数の巻線に通電してブラシレスモータを駆動するインバータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エアコン等のファンモータ、電気自動車の駆動用モータ、または、洗濯機の駆動用モータとしてブラシレスモータを使用することにより、可変速度制御を広範囲で実行可能にすると共に、電力消費量を低減する構成が考えられている。この構成においては、インバータ装置によってブラシレスモータを通電駆動するようにしている。
【0003】
上記ブラシレスモータには、構成が簡単で且つ安価な位置センサとして例えばホールICが配設されている。このホールICは、ロータの回転位置に対応する信号、即ち、ブラシレスモータの複数の巻線に発生する誘起電圧と一定の位相関係を持つ位置センサ信号を発生する。そして、インバータ装置は、上記ホールICからの位置センサ信号に基づいてブラシレスモータの巻線に120度通電方式で電圧を印加して駆動するように構成されている。このような構成のインバータ装置として例えばパルス幅変調(以下、PWMと称する)方式で制御する装置の一例を、図10から図11を参照して説明する。
【0004】
まず、直流電源4から直流母線4a、4bが導出されており、これら直流母線4a、
4b間にはインバータ主回路3が接続されている。このインバータ主回路3は、3相ブリッジ接続されたスイッチング素子Qu〜QwおよびQx〜Qzと、これらQu〜QwおよびQx〜Qzにそれぞれ図示する極性で並列接続されたフリーホイールダイオードDu〜DwおよびDx〜Dzとから構成されている。そして、上記インバータ主回路3の出力端子U、V、Wは、ブラシレスモータ1の3相の巻線に接続されている。また、インバータ主回路3の各スイッチング素子Qu〜QwおよびQx〜Qzには駆動信号出力手段8の出力端子がそれぞれ接続されている。
【0005】
一方、ブラシレスモータ1には、位置センサ2として例えば3個のホールICが電気角で120度毎に配設されている。これらホールは、位置センサ信号Hu、Hv、Hwを位置検出手段5および回転数検出手段6へ与えるように構成されている。この位置検出手段5は位置センサ信号Hu、Hv、Hwを基に6個の出力端子から位置情報Pu、Pv、Pw、Px、Py、Pzを駆動信号出力手段8に出力する。また回転数検出手段6は位置センサ信号Hu、Hv、Hwを基に一定時間に入力されるセンサ信号の立ち下がりまたは立ち上がりエッジをカウントすることで回転数を検出する。速度制御手段7は回転数検出手段6により得られた回転数と目標回転数との偏差に応じて、変調率を駆動信号出力手段8に出力する。駆動信号出力手段8は、位置情報Pu、Pv、Pw、Px、Py、Pzおよび変調率が入力され、入力された変調率に応じたPWM信号Paが作成される。このPWM信号Paは三角波のキャリア信号と速度制御手段7の出力である変調率を比較し、変調率が大きい時にはハイレベル、逆の場合はローレベルを出力する。さらに位置情報のうちPu、Pv、PwをPWM信号Paと論理和をとり、これを駆動信号Su、Sv、Swとする。また位置情報信号Px、Py、Pzについては処理せずに駆動信号Sx、Sy、Szとする。このようにして得られた駆動信号Su〜SwおよびSx〜Szを駆動信号出力手段8からスイッチング素子Qu〜QwおよびQx〜Qzへ出力する。
【0006】
次に、上記構成のインバータ装置の動作を図11を参照して説明する。この場合、ブラシレスモータ1の3相巻線に発生する誘起電圧Vmu、Vmv、VmwのうちのU相の誘起電圧Vmuを基準とした電気角でロータの回転位置を示している。
【0007】
そして、位置検出手段5は、位置センサ信号Hu、Hv、Hwに基づいて次の通りの論理演算を実行し、論理演算結果である位置情報Pu、Pv、Pw、Px、Py、Pzを出力するようになっている。
Pu={not(Hu)}and(Hv)
Pv={not(Hv)}and(Hw)
Pw={not(Hw)}and(Hu)
Px=(Hu)and{not(Hv)}
Py=(Hv)and{not(Hw)}
Pz=(Hw)and{not(Hu)}
そして、これら駆動信号Su〜SwおよびSx〜Szによりインバータ主回路3の各スイッチング素子がオンオフされる。これにより、ブラシレスモータ1のロータ位置に対応した電圧が3相の巻線に供給されると共に、ロータ位置に対応した電流が3相の巻線に流れるようになり、ブラシレスモータ1のロータが回転駆動される。このようなブラシレスモータ1の通電方式が、120度通電方式である。また、電圧指令Daに対応したPWM制御により3相の巻線に供給される電圧の大きさが可変されることにより、ブラシレスモータ1の回転速度が調整されるようになっている。
【0008】
また、トルク変動を小さくする構成として、ブラシレスモータを正弦波駆動する通電方式が知られており、この正弦波駆動によりトルク変動を小さくすることは可能である。しかし、上記正弦波駆動方式の場合、巻線に流れる巻線電流と巻線に誘起される誘起電圧との位相がずれることがあり、この位相のずれが生ずると、モータの効率が低下したり、位相のずれが大きい場合には脱調を起こして停止してしまうという不具合があった。この構成の場合、電流センサを設け、この電流センサにより検知した検知信号に基づいて上記位相のずれが生じないように制御する構成が容易に考えられるが、このように構成すると、電流センサの分だけ製造コストが高くなってしまう。
【0009】
そこで、正弦波駆動方式で誘起電圧と巻線電流の位相を一致させるようにする制御が提案されているが(例えば、特許文献1参照)、上記位相を一致させることがモータの回転数や最高回転数の点から必ずしも最適ではなく、巻線電流の位相を誘起電圧よりも若干進ませる方が上記2つの点から有利であることがわかっている。
【特許文献1】特開平10−146090号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の120度通電方式でブラシレスモータを駆動した場合、各相の巻線に電流が流れない(発生しない)期間があるため、ロータの永久磁石から発生する磁束を有効に利用していないという不具合があった。また、各相の巻線に供給する電圧を切り替えるときに、即ち、いわゆる転流時にトルク変動が発生していた。このトルク変動が発生すると、ブラシレスモータの振動が大きくなるため、ブラシレスモータを搭載する電気機器においては、防振ゴム等を使用して振動を小さくする対策を行っていた。しかし、このような防振対策を行うと、製品のコストが高くなるという欠点があった。特に、エアコンの室外機のファンモータとしてブラシレスモータを使用した構成の場合には、屋外に設置しなければならないので、防振対策構造が経時劣化し易いという問題点があった。
【0011】
これに対して、トルク変動を小さくする構成として、ブラシレスモータを正弦波駆動する通電方式が知られており、この正弦波駆動によりトルク変動を小さくすることは可能である。しかし、上記正弦波駆動方式の場合、巻線に流れる巻線電流と巻線に誘起される誘起電圧との位相がずれることがあり、この位相のずれが生ずると、モータの効率が低下したり、位相のずれが大きい場合には脱調を起こして停止してしまうという不具合があった
。この構成の場合、電流センサを設け、この電流センサにより検知した検知信号に基づいて上記位相のずれが生じないように制御する構成が容易に考えられるが、このように構成すると、電流センサの分だけ製造コストが高くなってしまう。
【0012】
本発明のインバータ装置は、前記従来の課題を解決するもので、電流センサを設けることなく、モータの効率の低下とトルク変動を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明のインバータ装置は、巻線に発生する誘起電圧と一定の位相関係を持つ信号に基いてインバータ回路に備わるスイッチング素子を駆動するためにPWM処理された駆動信号を形成し、この駆動信号により正弦波駆動を行うものにおいて、前記駆動信号の位相は、前記信号に応じて決定されるモータの回転数及び前記駆動信号の変調率に応じて決定される電圧指令に基いて決定されており、前記誘起電圧と前記巻線に流れる電流の位相とが最適となるように制御することができる。これによって、モータ効率の低下を防止することができると共に、電流センサを用いる必要がないので、製造コストが高くなることもない。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、正弦波駆動を行うインバータ装置において、モータに発生する誘起電圧と巻線に流れる電流の位相とが最適となるように制御したので、トルク変動を低減することができ、しかも、効率の低下並びに製造コストの上昇を防止できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
第1の発明はスイッチング素子を駆動する駆動信号の位相をモータ回転数および変調率に基づき決定することにより、各相の巻線電流の位相と誘起電圧の位相が最適となり、トルク変動を低減することができ、さらに効率の低下並びに製造コストの上昇を防止することができる。
【0016】
第2の発明は前記駆動信号の位相をROMに記憶された制御プログラム及びデータに基づいて決定されるように構成することにより、マイクロコンピュータの演算による負担を軽減することができる。
【0017】
第3の発明は前記駆動信号の位相を演算により決定されるように構成することにより、マイクロコンピュータ100のROM容量を軽減することができる。
【0018】
第4の発明は前記誘起電圧と一定の位相関係を持つ信号は、前記ブラシレスモータに設けられたホールICから発生する位置信号とすることにより、簡単な構成とすることができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態1のインバータ装置の構成を示している。なお図1において従来構成(図10)と同一部分は、同一符号を付している。図1に示すように、ブラシレスモータ1は、3相の巻線と位置センサ2として3個のホールICを有している。これらのホールICは、巻線に発生する誘起電圧と一定の位相関係を持つ位置センサ信号Hu、Hv、Hwを出力するように構成されている。
【0021】
また、直流電源4とこれにスイッチング素子Qu〜QwおよびQx〜Qzを含むインバ
ータ主回路3が接続され、マイクロコンピュータ100内部の処理手段として、位置検出手段5、回転数検出手段6、速度制御手段7、電圧位相角決定手段10、電圧指令決定手段11、電圧指令出力手段9が図1に示すように構成されている。これらの構成のうち、マイクロコンピュータ100内部の処理について以下に具体的に説明する。
【0022】
まず、図1に示すように、位置センサ信号Hu、Hv、Hwは、位置検出手段5および回転数検出手段6へ与えられるように構成されている。マイクロコンピュータ100は、ブラシレスモータ1を通電制御する機能を有しており、そのための制御プログラム及びこのプログラムの実行に必要なデータを内部に設けられたROM(図示せず)に記憶し、作業領域としてRAM(図示せず)およびタイマ(図8に示す三角波)が設けられている。
【0023】
マイクロコンピュータ100の処理としては、位置センサ信号Hu、Hv、Hwを第1の割り込み処理として受け付け、さらに内部タイマのアンダーフロー時に第2の割り込み処理を行う。さらに、マイクロコンピュータ100は、駆動信号Su〜SwおよびSx〜Szを各スイッチング素子に出力するように構成されている。
【0024】
以下にブラシレスモータ1の制御動作について、図2〜図9を参照して説明する。まず第1の割り込み処理について説明する。図2に示すフローチャートは、マイクロコンピュータ100に記憶された第1の割込処理の制御内容を示している。第1の割り込み処理は位置センサ信号Hu、Hv、Hwのうちのいずれか1つが立ち上がり、または立ち下がることで処理を実行する。ステップ000においてマイコン100は正弦波駆動用のデータを作成する処理を行う。
【0025】
具体的には、ブラシレスモータ1のロータの位置としての位相角θpを図3に示すデータテーブル1に基づいて決定する。このデータテーブル1は、予め誘起電圧と位置センサ信号Hu、Hv、Hwとの関係から作成したデータテーブルであり、マイクロコンピュータ100のROMに記憶されている。なお、この位相角θpは、U相の誘起電圧Vmuを基準とした電気角で表わされている。次のステップ001では位置センサ信号入力フラグをHiとした後、リターンする。
【0026】
次に第2の割り込み処理について説明する。図4に示すフローチャートは、マイクロコンピュータ100のROMに記憶された第2の割込処理の制御内容を示している。マイクロコンピュータ100内部の電圧指令出力手段9には、図8に示すようにキャリア周期Tcである三角波によるタイマを内蔵しており、図8のアンダーフロー毎に第2の割り込み処理を実行する。
【0027】
具体的にはまずステップ100において回転数Fをマイクロコンピュータ100内部のRAMから読み込む。次のステップ101において変調率を同じくマイクロコンピュータ100内部のRAMから読み込む。(回転数および変調率については後述する。)さらにステップ102において位置センサ信号入力フラグのレベル判定を行い、上記フラグがHiのとき(位置センサのエッジ入力後に初めて第2の割り込み処理が処理されるとき)、電圧位相θnにおいて次のステップ103でn=0、つまり電圧位相θ0とし上記フラグをLoとする。一方、ステップ102において上記フラグがLoの場合にはnをインクリメントし、次のステップ104において電圧位相θnを設定する。ここで、電圧進角をβとすると電圧位相角θnは以下のように求めることができる。
θ0=θp+β (n=0のとき)
θ1=θ0+Δθ
・・・
θn=θn−1+Δθ
Δθ=2・π・f・Δt (Δt=Tc、f[Hz]は回転数F[rpm]をHz換算し
た値。)
ここで、回転数Fは回転数検出手段6により以下のように求め、マイクロコンピュータ100のRAMに格納する。具体的には一定時間(=0.5s間)に入力されるセンサ信号Hu、Hv、Hwの立ち下がりまたは立ち上がりエッジのいずれかをカウントしこのカウント値を10倍にすることで回転数を検出する。仮に0.5s間のカウント数が50であれば、このときの回転数は500rpmとなる。
【0028】
さらに変調率DUTYは速度制御手段7により決定する。具体的には回転数検出手段6により得られた回転数Fと目標回転数との偏差に応じて、回転数Fが目標回転数よりも低い時には変調率DUTYを所定量増加させ、回転数Fが目標回転数よりも高い時には変調率DUTYを所定量減少させるように決定する。
【0029】
以上のようにして決定した回転数Fと変調率DUTYから、次に電圧進角βを決定する。図9に示すように、巻線電流は巻線のインダクタンス成分により、電圧指令値に対して遅れる。そのため、誘起電圧に対して電圧指令値をβ進ませることで、電流位相θiが最適となるように制御する。この電圧進角βは、回転数Fと変調率DUTYにより異なる数値である。具体的な電圧進角βの設定方法を以下に説明する。
【0030】
図5はトルクTと回転数Fの関係を表す特性データであり、図6は誘起電圧と巻線電流の位相差である巻線電流位相θiと、誘起電圧と電圧指令値の位相差である電圧進角βの関係を表す特性データである。これら図5および図6に示す特性データは実験または演算等により求めることができる。
【0031】
まず、図5において図4に示す第2の割り込み処理のステップ100および101においてマイクロコンピュータ100のRAMから読み出した変調率と回転数からトルクを求める。具体的には図5に示すように変調率DUTY=Dy1、回転数F=F1のときにトルクT=T1となる。また、回転数F=F1のときに変調率DUTYがDy0(Dy0<Dy1)であればトルクT=T0(T0<T1)となり、変調率DUTYがDy2(Dy2>Dy1)であればトルクT=T2(T2>T1)となる。これは同一回転数F1であっても変調率の高い程、大きなトルクが必要となることを意味する。
【0032】
さらに、図6において、トルクT=T1のとき巻線電流位相θiが最適となる位相θioに制御するためには、電圧進角β=β1とすれば良い。また、トルクT=T0(T0<T1)のとき、巻線電流位相θi=θioに制御するためには、電圧進角β=β0(β0<β1)とすれば良く、トルクT=T2(T2>T1)のとき、巻線電流位相θi=θioに制御するためには、電圧進角β=β2(β2>β1)とすれば良いことがわかる。つまり負荷トルクが大きい程、電圧進角βを大きくする必要のあることを意味している。
【0033】
以上より位相角θnが求まる。ここで、電圧位相θnは、「0〜359」の値をとるデータであるから、上記式の計算結果が「359」を越えた場合には、「360」を減算したデータを電圧位相θnとする。このようにして電圧位相θnを決定した後は、図4のステップ105へ進み、電圧位相θnに対応する電圧指令データを図7に示す正弦波データから読み出すことで、U相の電圧指令データDuが求まる。さらにステップ106で、この電圧指令データDuに変調率DUTYを掛け合わせ、電圧指令値Vuを求める。この図7に示すデータテーブル2は、電圧位相θnと電圧指令データDuとの対応関係を表わすデータから形成されたデータテーブルであり、マイクロコンピュータ100内部のROMに記憶されている。そして、上記式による計算結果である電圧指令値Vuを電圧指令出力手段9へ出力するように構成されている。
【0034】
この後、ステップ107へ進み、V相の電圧指令値Vvを上記U相の信号波Vuと同様
にして計算により求めて出力する。具体的には、まず電圧位相Pnから120度を減算したV相の電圧位相θnを求める。このとき、減算した結果θnがθn<0であれば、このθnに360度を加える。そして、このV相の電圧位相θnに対応するV相の電圧率データDvを図3に示す電圧率データテーブルに基づいて決定する。続いて、この電圧率データDvに変調率DUTYを掛け合わせV相の電圧指令値Vvを計算する。この計算結果である電圧指令値Vvを電圧指令出力手段9へ出力するように構成されている。
【0035】
次にステップ108へ進み、W相の電圧指令値Vwを上記U相の電圧指令値Vuと同様にして計算により求めて出力する。具体的には、まず電圧位相θnから240度を減算したW相の電圧位相θnを求める。このとき、減算した結果θnがθn<0であれば、このθnに360度を加える。そして、このW相の電圧位相θnに対応するW相の電圧率データDwを図7に示す電圧率データテーブルに基づいて決定する。続いて、この電圧指令データDwに変調率DUTYを掛け合わせることによりW相の電圧指令値Vwを計算する。この計算結果である電圧指令値Vwを電圧指令出力手段9へ出力するように構成されている。
【0036】
さらに、図8に示すように電圧指令出力手段9には電圧指令決定手段11の出力である電圧指令値Vu、Vu、Vwが入力され、この信号と三角波のレベルを比較する。電圧指令値Vu、Vv、Vwが三角波よりも大きいときハイレベルであり、そうでないときロウレベルである信号Dup、Dvp、Dwpを出力するとともに、これら信号Dup、Dvp、Dwpの反転信号として信号Dun、Dvn、Dwnを出力するように構成されている。そして、これら出力信号Dup、Dun、Dvp、Dvn、Dwp、Dwnはスイッチング素子Qu〜QwおよびQx〜Qzへ与えられるように構成されている。
【0037】
これによって、インバータ主回路3のスイッチング素子Qu〜QwおよびQx〜Qzがオンオフ制御されるようになる。この結果、ブラシレスモータ1の3相の巻線に、PWM処理された正弦波電圧が供給されるようになり、ブラシレスモータ1が正弦波駆動される。この場合、各巻線に流れる電流位相θiは最適な位相角θioに制御することができる。この理由は、第2の割込処理において、回転数Fに基づいて電圧位相θnを決定する処理を実行するに際して、図5および図6の特性グラフから求められる電圧進角βを用いているからである。この電圧進角βは、巻線電流位相θiがθioとなるような値であり、この図5および図6の特性は予め実験により求めておくか、演算により算出しても良い。
【0038】
このような構成の本実施例によれば、ブラシレスモータ1を正弦波駆動方式で通電制御するように構成したので、ブラシレスモータ1のトルク変動を小さくすることができる。そして、本実施例では、上記正弦波駆動方式で通電制御する場合に、回転数Fと変調率DUTYとに基づいて電圧位相θnを調整するように構成したので、各相の巻線電流の位相と誘起電圧の位相とが最適となるように任意に制御することができる。この制御により、ブラシレスモータ1の効率を高くすることができ、電流センサを用いる必要がないので、製造コストが高くなることを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明にかかるインバータ装置は、各相の巻線電流の位相と誘起電圧の位相とが最適となるように正弦波駆動することができるので、ブラシレスモータの高効率駆動と、電流センサを用いる必要がないので、製造コストが高くなることを防止でき、エアコン等のファンモータ、電気自動車の駆動用モータ、または、洗濯機の駆動用モータ
等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1におけるインバータ装置の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における割り込み処理1のフローチャート
【図3】本発明の実施の形態1における位相角を表すデータテーブルの図
【図4】本発明の実施の形態1における割り込み処理2のフローチャート
【図5】本発明の実施の形態1におけるトルクと回転数の関係を表す特性図
【図6】本発明の実施の形態1における電流位相と電圧進角の関係を表す特性図
【図7】本発明の実施の形態1における電圧指令データのデータテーブルの図
【図8】本発明の実施の形態1におけるタイムチャート
【図9】本発明の実施の形態1における電圧指令値と巻線電流と誘起電圧の位相を示す特性図
【図10】従来のインバータ装置の構成を示すブロック図
【図11】従来のインバータ装置のタイムチャート
【符号の説明】
【0041】
1 ブラシレスモータ
2 位置センサ
3 インバータ主回路
4 直流電源
5 位置検出手段
6 回転数検出手段
7 速度制御手段
8 駆動信号出力手段
9 電圧指令出力手段
10 電圧進角決定手段
11 電圧指令決定手段
12 位置センサ
100 マイクロコンピュータ




 

 


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