米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 発電 -> 松下電器産業株式会社

発明の名称 モータ制御装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−14115(P2007−14115A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−191421(P2005−191421)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 東 光英
要約 課題
高速運転性能を向上したモータ制御装置を提供する。

解決手段
スイッチング素子により直流電圧を交流電圧に変換し3相ブラシレスDCモータに供給する直流交流変換手段と、モータ誘起電圧を検出する誘起電圧検出手段と、
特許請求の範囲
【請求項1】
スイッチング素子を複数個含み該スイッチング素子の開閉により直流電圧をPWM信号に基づき交流電圧に変換し3相ブラシレスDCモータに供給する直流交流変換手段と、前記ブラシレスDCモータの誘起電圧を検出する誘起電圧検出手段と、該誘起電圧検出手段から電気角1周期に6個出力される磁極位置に基づいて通電角180゜未満の第1の電圧波形を出力する第1の電圧制御手段と、該第1の電圧波形を前記PWM信号に変換するPWM制御手段とを有するモータ制御装置において、
所定周波数領域内で動作し前記磁極位置を電気角1周期に(6−n)個(nは0以上の自然数)選択して磁極位置選択を出力する誘起電圧選択手段と、該磁極位置選択に基づいて任意形状の第2の電圧波形を前記PWM制御手段に出力する第2の電圧制御手段とを有し、該第2の電圧制御手段は選択されない各々n個の時間領域では所定の第2の電圧波形を出力し、前記所定周波数領域内の真偽判定により前記第1の電圧制御手段もしくは前記第2の電圧制御手段のどちらか一方を動作させ、前記磁極位置と前記磁極位置選択とに基づいて前記交流電圧の位相角を制御する位相角設定手段と、前記直流電圧の脈動電圧を検出する脈動電圧検出手段と、該脈動電圧検出手段からの該脈動電圧に基づいて、前記位相角設定手段は前記交流電圧の位相角を制御することを特徴とするモータ制御装置。
【請求項2】
上記脈動電圧検出手段は、上記直流電圧の電圧脈動周波数から予め算出される所定のカット周波数を持つローパスフィルタ群によって構成されることを特徴とする請求項1記載のモータ制御装置。
【請求項3】
上記脈動電圧は、上記直流電圧と上記ローパスフィルタ群の出力電圧との差によって導出されることを特徴とする請求項2記載のモータ制御装置。
【請求項4】
上記交流電圧の位相角は、電気角60゜区間毎に上記脈動電圧に応じて制御され、脈動電圧>0の時は位相角を遅角させ、脈動電圧<0の時は位相角を進角させることを特徴とする請求項1〜3記載のモータ制御装置。
【請求項5】
上記交流電圧の位相角は、脈動電圧の一次関数式で与えられることを特徴とする請求項4記載のモータ制御装置。
【請求項6】
上記一次関数式の一次係数もしくは定数を電気角60゜区間毎に個別に設定することを特徴とする請求項5記載のモータ制御装置。
【請求項7】
上記一次係数を電気角に対し単調増加関数に設定することを特徴とする請求項6記載のモータ制御装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシレスDCモータを周波数制御するモータ制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ブラシレスDCモータを回転数制御するモータ制御装置として、従来より120゜通電制御の方式と、正弦波180゜通電制御がある。
【0003】
120゜通電方式は、誘起電圧のゼロクロス信号を直接検出する方式であり、それを検出するために、インバータ相電圧と基準電圧との比較を行って得られるものである。このゼロクロス信号に基づいて、転流信号を変化させている。このゼロクロス信号は、モータ1回転中に12回発生し、機械角30゜、すなわち電気角60゜毎に発生する(特許文献1,2参照)。
【0004】
180゜通電方式は、モータ巻線の中性点電位と、3相のインバータ出力電圧に対して3相Y結線した抵抗の中性点電位との差分電圧を増幅し、それを積分回路に入力し、その積分回路の出力信号と、その出力信号をフィルタ回路により処理し直流カットしたローパス信号との比較により、誘起電圧に対応する位置検出信号を得ている。この位置検出信号は、モータ1回転中に12回発生し、機械角30゜、すなわち電気角60゜毎に発生する。この方式においては、積分回路を通すため、位相補正制御が必要である(特許文献3参照)。
【特許文献1】特許第2642357号公報
【特許文献2】特開平7−245982号公報
【特許文献3】特開平7−337079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の構成における課題を説明する。
【0006】
図8は従来のモータ制御装置の制御ブロック図である。この120゜通電方式は、誘起電圧部分のゼロクロスの比較を行っているため、モータ負荷急変・電源電圧急変の状態がおきると、誘起電圧のゼロクロス信号がインバータ出力電圧領域内に隠れてしまい、検出できなくなることがある。このような状態になると、まず脱調現象が発生し、インバータシステムが停止してしまう。また、120゜通電では、1相当たり誘起電圧が電気角60゜連続して確認できるのであるが、モータ運転時の音・振動を軽減しようとして、通電角を150゜程度に設定して運転させようとすると、1相当たり誘起電圧が電気角30゜分しか連続確認できず、通常運転時においても脱調する危険性が増加し、また乱調等の不安定現象も発生し易くなる傾向があった。また、本構成では、180゜通電に近い運転はまず不可能であるという課題を有していた。図9(a)は120゜通電制御の相電流波形と誘起電圧波形との関係図である。通常運転時には誘起電圧10に対して相電流20の位置に設定し、最高回転数を増加させる場合には相電流21の位置まで進角させる。しかし、相電流21の位置より進角させることは困難であるため、最高回転数も低くなり、限定された速度範囲しか運転できない課題がある。
【0007】
図9(b)は180゜通電制御の相電流波形と誘起電圧波形との関係図である。180゜通電方式は、積分回路を通すため、誘起電圧のゼロクロス位置を絶対値での的確な把握ができず、また、運転状態によってはゼロクロス位置と位置検出信号の位相差が大きく変
化するため、位相補正等の複雑な制御が必要となり、その位相補正調整が困難であったり、制御演算が複雑になる。また、モータに中性点出力端子が必要、誘起電圧波形の3次高調波成分を利用しているため正弦波着磁マグネットを使用したモータでは使用不可能という課題を有していた。
【0008】
また、電流フィードバック方式によるセンサレス正弦波180゜通電駆動制御では、モータの磁極位置をモータ電流とモータ電気的定数とにより推定演算するため演算誤差が大きくなり、モータ電流の進角制御の限界点が早く、最高回転数も位置センサ付制御に対しどうしても遠く及ばない課題があった。180゜通電制御の場合にも、通常運転時には誘起電圧10に対して相電流22の位置に設定し、最高回転数を増加させる場合には相電流23の方向へ進角させる。
【0009】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、機械的電磁ピックアップセンサを必要としない誘起電圧フィードバック制御の新方式により、位置センサ付正弦波180゜通電と同等レベルの高速性能を実現し、さらには安価かつ信頼性の高いモータ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るモータ制御装置は、スイッチング素子を複数個含み該スイッチング素子の開閉により直流電圧をPWM信号に基づき交流電圧に変換し3相ブラシレスDCモータに供給する直流交流変換手段と、前記ブラシレスDCモータの誘起電圧を検出する誘起電圧検出手段と、該誘起電圧検出手段から電気角1周期に6個出力される磁極位置に基づいて通電角180゜未満の第1の電圧波形を出力する第1の電圧制御手段と、該第1の電圧波形を前記PWM信号に変換するPWM制御手段とを有するモータ制御装置において、
所定周波数領域内で動作し前記磁極位置を電気角1周期に(6−n(=m≧0と定義))個選択して磁極位置選択を出力する誘起電圧選択手段と、該磁極位置選択に基づいて任意形状の第2の電圧波形を前記PWM制御手段に出力する第2の電圧制御手段とを有し、該第2の電圧制御手段は選択されない各々n個の時間領域では所定の第2の電圧波形を出力し、前記所定周波数領域内の真偽判定により前記第1の電圧制御手段もしくは前記第2の電圧制御手段のどちらか一方を動作させ、前記磁極位置と前記磁極位置選択とに基づいて前記交流電圧の位相角を制御する位相角設定手段と、前記直流電圧の脈動電圧を検出する脈動電圧検出手段と、該脈動電圧検出手段からの該脈動電圧に基づいて、前記位相角設定手段は前記交流電圧の位相角を制御する。
【0011】
また、上記脈動電圧検出手段は、上記直流電圧の電圧脈動周波数から予め算出される所定のカット周波数を持つローパスフィルタ群によって構成される。
【0012】
また、上記脈動電圧は、上記直流電圧と上記ローパスフィルタ群の出力電圧との差によって導出される。
【0013】
また、上記交流電圧の位相角は、電気角60゜区間毎に上記脈動電圧に応じて制御され、脈動電圧>0の時は位相角を遅角させ、脈動電圧<0の時は位相角を進角させる。
【0014】
また、上記交流電圧の位相角は、脈動電圧の一次関数式で与えられる。
【0015】
また、上記一次関数式の一次係数もしくは定数を電気角60゜区間毎に個別に設定する。
【0016】
また、上記一次係数を電気角に対し単調増加関数に設定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るモータ制御装置によれば、ブラシレスDCモータに流れる電機子電流の位相角を自由自在に制御できるので、運転用途に応じた運転性能・運転特性・高速性能を引き出すことができる。
【0018】
また、直流電圧の脈動成分を考慮したのでモータ制御システムを安定に構築でき、さらにはモータ電流波形が一層滑らかになり、モータ制御装置の運転音・共振音を極力小さく抑えることができる。
【0019】
また、誘起電圧のゼロクロス信号も的確・確実に検出できるようになるので、極めて高い制御安定性を確保でき、脱調・乱調・異常振動・異常音のない動作信頼性に極めて優れたモータ制御装置を安価に提供できる。
【0020】
また、位相角変化を応用した電流波形を供給するようにしたので、モータ振動成分が分散され、低振動・低騒音・低発熱・低入力を高次元でバランスさせたモータ制御装置を構築できる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施の形態1)
以下、添付の図面を用いて、本発明に係るモータ制御装置の実施形態を説明する。図1に本実施形態のモータ制御装置の制御ブロック図を示す。本実施形態のモータ制御装置は、3相ブラシレスDCモータ7を回転数制御するモータ制御装置を示している。この図において、モータ制御装置は、直流電圧8を交流電圧に変換し、3相ブラシレスDCモータ(以下、BLMと略)7に出力する直流交流変換手段6と、BLM7の誘起電圧を検出する誘起電圧検出手段1と、誘起電圧検出手段1から出力される磁極位置に基づいて第1の電圧波形を出力する第1の電圧制御手段3と、第1の電圧波形をPWM信号に変換するPWM制御手段5と、磁極位置を電気角1周期に(6−n(=mと定義))個選択して磁極位置選択を出力する誘起電圧選択手段2と、磁極位置選択に基づいて第2の電圧波形をPWM制御手段5に出力する第2の電圧制御手段4とを有し、第2の電圧制御手段4は磁極位置選択の各々m個の時間領域における電圧位相よりも選択されない各々n個の時間領域の電圧位相を所定値進角させた第2の電圧波形を出力する。
【0022】
PWM制御手段5は、BLM7を回転数制御するための印加電圧・周波数・位相を制御するPWM信号を出力する。直流交流変換手段6は、高速に開閉する6つのスイッチング素子から成り立っている。
【0023】
まず、図1において誘起電圧検出手段1と第1の電圧制御手段3、PWM制御手段5の役割について順次説明する。この部分は、図5従来のモータ制御装置の制御ブロック図の働きと同様である。
【0024】
図1において、誘起電圧検出手段1は、BLM7の誘起電圧を降下させ、そのゼロクロス信号を検出し、そのゼロクロス信号を磁極位置として第1の電圧制御手段3に出力する。第1の電圧制御手段3はその磁極位置に基づいて、BLM7を駆動させるための電圧波形を演算しそれを第1の電圧波形としてPWM制御手段5に出力する。第1の電圧波形に基づきPWM制御手段5はPWM信号を直流交流変換手段6に出力する。このように構成されたモータ制御装置では、BLM7の回転数は、直流交流変換手段6から出力される交流電圧の周波数と位相(以下、『インバータ周波数』と称す)を変化させることにより制御される。
【0025】
120゜通電制御の場合、PWM制御手段5は、直流交流変換手段6のスイッチング素子を開閉する6通りのPWM信号を出力し、その6通りのPWM信号によりスイッチング素子が開閉されることにより、直流交流変換手段6から出力されるインバータ周波数が制御される。
【0026】
6通りのPWM信号について説明する。6通りのPWM信号とは、直流交流変換手段6のスイッチング素子を駆動するためのパルス信号である。PWM信号は、インバータ電気角1周期において6つの基本的なパターンPTN1〜PTN6を有し、PWM信号1周期の逆数がインバータ周波数となる。
【0027】
実際、BLM7の回転数を変更させるべき手法は、PWM制御手段5が直流交流変換手段6のインバータ周波数を変化させながら、BLM7を回転数制御する。
【0028】
直流交流変換手段6は、6個のスイッチング素子を有し、U相、V相、W相に対して、それぞれ上アームにスイッチング素子1個、下アームにスイッチング素子1個具備している。
【0029】
PTN1では、U相上アームスイッチング素子と、V相下アームスイッチング素子が通電される。PTN2では、U相上アームスイッチング素子と、W相下アームスイッチング素子が通電される。PTN3では、V相上アームスイッチング素子と、W相下アームスイッチング素子が通電される。
【0030】
PTN4では、V相上アームスイッチング素子と、U相下アームスイッチング素子が通電される。PTN5では、W相上アームスイッチング素子と、U相下アームスイッチング素子が通電される。PTN6では、W相上アームスイッチング素子と、V相下アームスイッチング素子が通電される。
【0031】
PWM信号の転流切換は、第1の電圧制御手段3の第1の電圧波形出力に基づいて行われる。誘起電圧検出手段1の詳細動作を図3の誘起電圧検出手段の動作説明図を用いて説明する。BLM7の誘起電圧ゼロクロス信号は、電気角1周期中に6回発生する。図3は1相当たりの誘起電圧ゼロクロス信号を記載している。図3(a)は相電流波形と誘起電圧波形との関係図であり、誘起電圧10と相電流9とその正ゼロクロス信号11と逆ゼロクロス信号12を示している。正ゼロクロス信号11は電気角0゜、逆ゼロクロス信号12は電気角180゜で発生するものとする。
【0032】
誘起電圧検出手段1が実際に観測できる誘起電圧は、直流電圧8の負側をGND電位Nとするならば、図3(a)および(b)の誘起電圧10a・10bのようになっており、これはBLM7の線間電圧を観測していることになるが、ゼロクロス信号付近の誘起電圧を考えるものとすれば、誘起電圧10の電圧波形にPWM電圧成分が重畳された波形となる。基本的には、直流電圧8VDCの半分である(=VDC/2)と誘起電圧10a(10b)の交点、さらには直流交流変換手段6の上アーム素子と下アーム素子がそれぞれ1つずつ導通点弧している期間(図3中のTON部分)であれば正ゼロクロス信号11(逆ゼロクロス信号12)を検出できる。
【0033】
誘起電圧検出手段1は、図中の正ゼロクロス信号11および逆ゼロクロス信号12を検出して、それを磁極位置として第1の電圧制御手段3に出力する。そのゼロクロス信号に基づいて第1の電圧制御手段3は相電流9とほぼ相似形の第1の電圧波形を演算し、PWM制御手段5ではその第1の電圧波形の情報に基づいて、各電気角に対応したPWM信号のベースPTNを創出する。電気角X1〜X2、X3〜X4は電流カット区間である。ま
た、第1の電圧制御手段3は120゜〜180゜通電波形の第1の電圧波形を創出できる。ただし、誘起電圧を観測するためには、その通電角を180゜未満にする必要がある。
【0034】
通電角>120゜とする場合には、120゜通電制御で説明した6通りのPWM信号に加えて、3相正弦波駆動用PWM信号を追加する。基本的には、3相のうちどれか1相でも電流OFFとなる区間では、120゜通電制御用のPWM信号を使用する。3相すべてに相電流が流れている区間では、3相正弦波駆動用PWM信号を使用する。このPWM信号については、3相正弦波PWM制御としてすでに公知技術であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0035】
なお、第1の電圧波形は相電流9とほぼ相似系であるが、実際その位相差は相電流9に対して多少進んでいる。本文の説明では簡単化のため、その位相差をゼロとして説明することにする。すなわち 相電流9=第1の電圧波形 と定義する。
【0036】
図7は、BLM7の等価回路図である。R1は巻線一次抵抗、Lu・Lv・Lwは各相のインダクタンス、Eu・Ev・Ewは各相の界磁誘起電圧である。ここで、界磁誘起電圧とは、BLM7が無通電状態で回転したときに、マグネット(界磁)のみによる発生する誘起電圧を意味している。図4は3相ブラシレスDCモータの界磁誘起電圧波形関係図である。図中のU1はEuの正ゼロクロス位置を、U2は逆ゼロクロス位置を表している。同様に他相も表記しており、ゼロクロス位置の間隔は理想的には60゜毎、電気角1周期につき6回発生することになる。これらゼロクロス位置を、BLM7の真の磁極位置と命名する。
【0037】
BLM7の真の磁極位置は、誘起電圧10のゼロクロス信号からは、電機子反作用の影響により直接確定することはできず、両者には位相差が生ずる。また、この位相差は、運転負荷に依存するため、真の磁極位置を誘起電圧ゼロクロス信号から特定するのは困難である。しかし、真の磁極位置は特定できなくとも、誘起電圧ゼロクロス信号のみによりBLM7を回転数制御することは十分可能であり、むしろ誘起電圧により制御するほうが好ましい場合もある。本実施例では、両者の位相差はゼロであるものとして説明する。すなわち、
真の磁極位置=誘起電圧ゼロクロス位置
である。すなわち、図3(a)の誘起電圧10がU相に対応したものであるならば
ゼロクロスU1=正ゼロクロス信号11
ゼロクロスU2=逆ゼロクロス信号12
である。なお、
Eu≠誘起電圧10
である。上式は、電機子反作用の影響により両者の電圧波形振幅が異なるために発生する。
【0038】
次に、誘起電圧選択手段2と第2の電圧制御手段4の動作を説明する。この部分は本発明による新しい制御機構である。誘起電圧選択手段2は、誘起電圧検出手段1の出力である磁極位置を選択するものである。その選択動作としては、
電気角1周期中に、n個間引く((6−n)(=m)個選択する)
である。ここでn,mは、
n≧0 かつ m≧0 ;n+m=6
を満たす自然数である。なお、上記変数は一定値である必要はなく、1周期毎もしくは、それ以上の周期で変化させてもよい。もしくは、1周期未満の周期でも変化させてもよい。この選択した磁極位置を磁極位置選択として第2の電圧制御手段4に出力する。
【0039】
第2の電圧制御手段4では、磁極位置選択にもとづいて任意形状の第2の電圧波形を創
出する。その第2の電圧波形にもとづいてPWM制御手段5はPWM信号を演算するのは第1の電圧波形からPWM信号を創出する方式と同等である。なお、モータ制御装置の運転状態に応じて、PWM制御手段5は第1の電圧波形もしくは第2の電圧波形を選択するようになっている。第2の電圧波形を図2本実施形態の相電流波形と誘起電圧波形との関係図を参照して説明する。
【0040】
図2(a)(b)は、n=4(m=2)と設定し、かつゼロクロスU1とゼロクロスU2を選択した場合である。なお、ゼロクロスV1とゼロクロスV2、ゼロクロスW1とゼロクロスW2の組合せでもよい。正ゼロクロス信号11と逆ゼロクロス信号12は180゜毎に磁極位置選択として入力されるので、これに基づいて第2の電圧波形を相電流9aのようにつくることができる。正ゼロクロス信号11・逆ゼロクロス信号12の検出のために、X1〜X2、X3〜X4の区間は電流をゼロにしている。ここで、
−30゜≦X1≦0゜
0゜≦X2≦30゜
150゜≦X3≦180゜
180゜≦X4≦210゜
330゜≦X5≦360゜
を満たす実数である。
【0041】
図2(b)は図2(a)に対して、X3およびX5を小さく設定(進角設定)した場合の電流波形である。相電流9bは見かけ上、誘起電圧10に対して進角することになり、BLM7の回転数を向上できる。なお、上記nおよびmの設定は一例であり、モータ制御装置の運転状態により電気角2周期以上にわたり、
n=6(m=0)
でもよい。また、突発的偶発的外乱もしくは必然的外乱作用によりBLM7の回転速度が急変した場合でも、n(もしくはm)をリアルタイムに制御(電気角1周期以内にnを数回変化)すれば、モータ制御装置の制御安定性・応答性を十分に確保しつつnを大きくとることができるため、第2の電圧制御手段4出力である第2の電圧波形の波形自由度を向上できるため、任意の相電流波形をBLM7に供給できる。
【0042】
次に、脈動電圧検出手段32の動作を図9を用いて説明する。脈動電圧検出手段32は、直流電圧8の電圧脈動周波数から予め算出される所定のカット周波数を持つローパスフィルタ群によって構成されている。脈動電圧検出手段32に直流電圧波形33が入力されると、まず直流平均電圧波形34を生成する。そして次の演算を行うことにより、脈動電圧波形35を得る。
【0043】
脈動電圧波形35 = 直流電圧波形33−直流平均電圧波形34
こうして得られた脈動電圧波形35は、位相角設定手段14に出力される。
【0044】
次に、位相角設定手段14の動作を図5を使用して説明する。位相角設定手段14は、電気角60゜×整数倍毎に同等もしくは異なる位相角を個別に持ち、その位相角を各電気角毎に第2の電圧制御手段4に出力する。また、位相角設定手段14は、それら位相角の最大値および最小値を規定し、さらには電気角60゜×整数倍毎に、各々異なる最大値および最小値を設定することもできる。位相角設定手段14は、誘起電圧検出手段1の誘起電圧ゼロクロス信号に基づいて、誘起電圧ゼロクロス信号に対応する各電気毎の位相角を第2の電圧制御手段4に出力する。また、誘起電圧選択手段2の磁極位置選択出力に基づいて、その磁極位置選択に対応した位相角を設定し、その位相角値を第2の電圧制御手段4に出力する。これらのイメージ図を図5に示す。図5は、位相角設定手段14の動作を示したものであり、誘起電圧検出手段1から出力されるゼロクロス信号に対応した各電気角毎に、位相角設定手段14において設定される位相角を表す。位相角値を増やせばブラ
シレスDCモータ7の電機子電流は誘起電圧に対して進み位相となり、この状態を電流進角と定義する(進角)。逆に、位相角値を減らせば遅れ位相となり電流遅角となる(遅角)。各電気角に対応した位相角15は、誘起電圧選択手段2において、
n=5,m=1
とし、位相角設定手段14における位相角設定個数をn0とすれば、
n0=6
としたものである。各ゼロクロス信号に対応した電気角毎に区間分割し、その回転分割区間i(本図では0≦i≦5を満たす自然数)毎の位相角15φiを定義する。図に示すように、φiは
U相電流16、V相電流17、W相電流18
の位相角を決定するものである。ここでいう位相角は、誘起電圧ゼロクロス信号に対しての位相角を表すことになる。本図では、誘起電圧選択手段2の設定を
電気角360゜*自然数
毎に、誘起電圧ゼロクロス信号を選択する設定を例として示してある。
【0045】
また位相角設定手段14では、位相角13φi’に示すような初期位相角定数を予め個別設定しており、脈動電圧検出手段32の出力である脈動電圧波形35に基づき、所定の演算を行って位相角15φiを再度設定する。ここで、
脈動電圧ΔV=脈動電圧波形35
とおけば、その演算式は次にようになる。
【0046】
φi = φi’ − Ki・ΔV :Kiは可変定数(≧0)
従って、脈動電圧ΔV>0の時は位相角φi’を遅角させ、脈動電圧ΔV<0の時は位相角φi’を進角させる働きを持つ。すなわち、一般的なブラシレスDCモータの電気的特性を応用したものであり、位相角を増大(進角)させることは、ブラシレスDCモータに供給する電圧値を増加させるのと同じような働きを持つので、脈動電圧ΔVによるトルク変動を抑えるには、上式のように位相角φiを制御すれば良い。上式においてKiを適切に設定すれば、脈動電圧波形35によるBLM7のトルク変動を相殺することができ、低振動化・低騒音化・高効率化・低コスト化に大きく貢献できるモータ制御装置を構築できる。
【0047】
第2の電圧制御手段4は、正弦波状の内部電流指令をもち誘起電圧選択手段2からの磁極位置選択情報に基づいて作られる。その様子を図2(c)および(d)に示す。図において内部電流指令9dは誘起電圧10に対して位相角を進角させている。すなわち、内部電流指令9dのゼロ点電気角をX1、X3、X5とすれば
X1<0゜、X3<180゜、X5<360゜
である。相電流9cを内部電流指令9dに追従させるように第2の電圧制御手段4は電圧制御を行う。図2(c)がU相に対応しているものであるので、電流選択手段32は電流検出手段30を選択して第2の電圧制御手段4へ電流情報を出力する。本図は電気角X1で相電流9cを電流カットし、電気角0゜で相電流9cを内部電流指令9dに追従制御させている場合を記述している。
【0048】
図2(d)は、内部電流指令9fの電流周波数を電気角1周期の間に変化させた場合の一例である。具体的には、内部電流指令9fの平均周波数をf9f、電気角Xにおける周波数をf(X)とすれば、
f(X)≧f9f ;0≦X≦X5
f(X)≦f9f ;X5<X<360
である。このようにすれば、図2(c)と同様な位相角の進角効果を引き出しつつ、X>0付近の相電流9eの立ち上がりが滑らかになるので、より一層BLM7の低騒音・低振動運転が可能と考える。ただし、図2(c)の内部電流指令9dが位相角を固定的に進角
させるだけなのに対し、内部電流指令9fは周波数を動的に変更させる必要があるので制御の間便さを考えると図2(c)がトータルとして有用な場合もあり、モータ制御装置システムに最適な内部電流指令方式を選択もしくは新たに作製すればよい。
【0049】
上記説明では、誘起電圧選択手段2の磁極位置選択として1相分のゼロクロス信号(U1)に基づく記述であるが、もちろん2相〜3相にわたりどのゼロクロス信号を選択してもよく、全相においてそのゼロクロス信号を適宜選択・非選択可能である。
【0050】
PWM制御手段5をBLM7の低速〜中速回転時には第1の電圧波形を選択し、高速回転時には第2の電圧波形を選択するようにすれば、低中速時には磁極位置をすべて利用するので安定性が向上し、また駆動効率のよい120゜通電制御〜150゜通電制御を活用できる。高速域では、正弦波電流や台形波・円弧状電流による進角制御を利用できるので高速性能が向上する。
【0051】
誘起電圧選択手段2において、BLM7の電気角周期に換算して電気角(磁石極数/2)周期毎に磁極位置を1回選択した磁極位置選択を出力するようにしても良い。これにより、モータ1回転当たりにつき1回誘起電圧ゼロクロス信号を検出することになるので、1回転毎に周期的・規則的な速度変動のある負荷(たとえばロータリコンプレッサ)を駆動した場合でも、定速・定常運転領域においては誘起電圧ゼロクロス信号を検出する瞬間のモータ回転速度はほぼ一定値をとるようになる。この場合、モータ制御装置は速度変動影響をほとんど受けず非常に安定した速度制御系を構築できるようになる。
【0052】
以上、本実施例は3相ブラシレスDCモータを例にあげて説明したが単相ブラシレスDCモータへの適用についてもその考え方は同一であり、また本発明の主旨・概念・請求範囲を逸脱しない範囲内において適宜、実施例の変更・追加・削除はもちろん可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明にかかるモータ制御装置は、ブラシレスDCモータにおいて音・振動発生の少ない高速運転が可能となるので、インバータエアコン・汎用インバータ装置等の用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1におけるモータ制御装置の制御ブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における相電流波形と誘起電圧波形との関係図
【図3】本発明の実施の形態1における誘起電圧検出手段の動作説明図
【図4】本発明の実施の形態1における3相ブラシレスDCモータの界磁誘起電圧波形関係図
【図5】本発明の実施の形態1における位相角設定手段の動作説明図
【図6】本発明の実施の形態1における脈動電圧検出手段の動作説明図
【図7】本発明と従来共通の3相ブラシレスDCモータの等価回路図
【図8】従来のモータ制御装置の制御ブロック図
【図9】従来の相電流波形と誘起電圧波形との関係図
【符号の説明】
【0055】
1 誘起電圧検出手段
2 誘起電圧選択手段
3 第1の電圧制御手段
4 第2の電圧制御手段
5 PWM制御手段
6 直流交流変換手段
7 ブラシレスDCモータ(BLM)
8 直流電圧
9 相電流
10 誘起電圧
11 正ゼロクロス信号
12 逆ゼロクロス信号
13 位相角
14 位相角設定手段
15 位相角
16 U相電流
17 V相電流
18 W相電流
20 相電流
21 相電流
22 相電流
23 相電流
32 脈動電圧検出手段
33 直流電圧波形
34 直流平均電圧波形
35 脈動電圧波形




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013