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発明の名称 セパレータユニット及び燃料電池装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−250480(P2007−250480A)
公開日 平成19年9月27日(2007.9.27)
出願番号 特願2006−75810(P2006−75810)
出願日 平成18年3月20日(2006.3.20)
代理人 【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
発明者 野々部 利彦
要約 課題
酸素極とセパレータ本体との間隔が酸化剤流路の下流側ほど広くなるようにして、酸化剤流路の下流側ほど流路断面積が広く、水詰まりが発生せず、水分を適切に排出することができ、酸素極の表面が水によって覆われる可能性が低く、濃度過電圧を低減することができ、燃料電池の性能低下を確実に防止することができるようにする。

解決手段
電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池を積層するために挟まれるセパレータユニットであって、前記燃料極に供給される燃料ガスと前記酸素極に供給される酸化剤ガスとを遮断する板状のセパレータ本体と、該セパレータ本体の一側に前記酸素極に当接させて設けられ、前記酸素極とセパレータ本体との間隔が前記酸化剤ガスの下流側ほど広くなるように変化する酸化剤流路を形成する酸素極側集電体とを備えた。
特許請求の範囲
【請求項1】
電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池を積層するために挟まれるセパレータユニットであって、
前記燃料極に供給される燃料ガスと前記酸素極に供給される酸化剤ガスとを遮断する板状のセパレータ本体と、
該セパレータ本体の一側に前記酸素極に当接させて設けられ、前記酸素極とセパレータ本体との間隔が前記酸化剤ガスの下流側ほど広くなるように変化する酸化剤流路を形成する酸素極側集電体とを備えたことを特徴とするセパレータユニット。
【請求項2】
前記酸素極側集電体は、酸化剤流路の方向に延在する凸条部と谷部が、酸化剤流路と垂直な方向に交互に形成されている請求項1に記載のセパレータユニット。
【請求項3】
前記凸条部と谷部は幅が一定である請求項2に記載のセパレータユニット。
【請求項4】
電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、セパレータユニットを挟んで積層されている燃料電池装置であって、
前記セパレータユニットは、前記燃料極に供給される燃料ガスと前記酸素極に供給される酸化剤ガスとを遮断する板状のセパレータ本体と、
該セパレータ本体の一側に前記酸素極に当接させて設けられ、前記酸素極とセパレータ本体との間隔が前記酸化剤ガスの下流側ほど広くなるように変化する酸化剤流路を形成する酸素極側集電体とを備えたことを特徴とする燃料電池装置。
【請求項5】
前記酸素極側集電体は、酸化剤流路の方向に延在する凸条部と谷部が、酸化剤流路と垂直な方向に交互に形成されている請求項4に記載の燃料電池装置。
【請求項6】
前記凸条部と谷部は幅が一定である請求項5に記載の燃料電池装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータユニット及び燃料電池装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料電池は発電効率が高く、有害物質を排出しないので、産業用、家庭用の発電装置として、又は、人工衛星や宇宙船などの動力源として実用化されてきたが、近年は、乗用車、バス、トラック、乗用カート、荷物用カート等の車両用の動力源として開発が進んでいる。そして、前記燃料電池は、アルカリ水溶液型(AFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、直接型メタノール(DMFC)等のものであってもよいが、固体高分子型燃料電池(PEMFC)が一般的である。
【0003】
この場合、固体高分子電解質膜を2枚のガス拡散電極で挟み、一体化させて接合する。そして、該ガス拡散電極の一方を燃料極(アノード極)とし、その表面に燃料としての水素ガスを供給すると、水素が水素イオン(プロトン)と電子とに分解され、水素イオンが固体高分子電解質膜を透過する。また、前記ガス拡散電極の他方を酸素極(カソード極)とし、その表面に酸化剤としての空気を供給すると、空気中の酸素と、前記水素イオン及び電子とが結合して、水が生成される。このような電気化学反応によって起電力が生じるようになっている。
【0004】
そして、固体高分子型燃料電池は、MEA(Membrane Electrode Assembly)の外側に燃料ガスとしての水素ガスや酸素等の酸化剤ガスのような反応ガスの供給通路を形成するセパレータを配した積層構造を有する。前記セパレータは、積層方向に隣り合うMEAへの反応ガスの透過を防止するとともに、発生した電流を外部へ取り出すための集電を行う。このように、MEAとセパレータとから成る単位セルを多数積層して燃料電池スタックが構成される。
【0005】
ところで、燃料電池システムでは、電気化学反応によって生成される水、すなわち、生成水の量が多くなると、酸素極側において局所的に空気流路が水分によって塞(ふさ)がれてしまい、燃料電池の性能が低下したりしてしまうことが知られている。そこで、流路の断面積を変化させ、流路内の水分を吹き飛ばす技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−247154号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の燃料電池装置においては、空気の流速を高くするために下流側ほど流路の断面積が小さくなるようにしているので、下流においては流路内の壁面の面積が減少し、酸素極の電極面が水の膜によって覆われる確率が高くなり、燃料電池の性能が低下してしまう。
【0007】
本発明は、前記従来の燃料電池装置の問題点を解決して、酸素極とセパレータ本体との間隔が酸化剤流路の下流側ほど広くなるようにして、酸化剤流路の下流側ほど流路断面積が広く、水詰まりが発生せず、水分を適切に排出することができ、酸素極の表面が水によって覆われる可能性が低く、濃度過電圧を低減することができ、燃料電池の性能低下を確実に防止することができるセパレータユニット及び燃料電池装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明のセパレータユニットにおいては、電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池を積層するために挟まれるセパレータユニットであって、前記燃料極に供給される燃料ガスと前記酸素極に供給される酸化剤ガスとを遮断する板状のセパレータ本体と、該セパレータ本体の一側に前記酸素極に当接させて設けられ、前記酸素極とセパレータ本体との間隔が前記酸化剤ガスの下流側ほど広くなるように変化する酸化剤流路を形成する酸素極側集電体とを備えた。
【0009】
本発明の他のセパレータユニットにおいては、さらに、前記酸素極側集電体は、酸化剤流路の方向に延在する凸条部と谷部が、酸化剤流路と垂直な方向に交互に形成されている。
【0010】
本発明の更に他のセパレータユニットにおいては、さらに、前記凸条部と谷部は幅が一定である。
【0011】
本発明の燃料電池装置においては、電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、セパレータユニットを挟んで積層されている燃料電池装置であって、前記セパレータユニットは、前記燃料極に供給される燃料ガスと前記酸素極に供給される酸化剤ガスとを遮断する板状のセパレータ本体と、該セパレータ本体の一側に前記酸素極に当接させて設けられ、前記酸素極とセパレータ本体との間隔が前記酸化剤ガスの下流側ほど広くなるように変化する酸化剤流路を形成する酸素極側集電体とを備えた。
【0012】
本発明の他の燃料電池装置においては、さらに、前記酸素極側集電体は、酸化剤流路の方向に延在する凸条部と谷部が、酸化剤流路と垂直な方向に交互に形成されている。
【0013】
本発明の更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記凸条部と谷部は幅が一定である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、セパレータユニットにおいては、電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池を積層するために挟まれるセパレータユニットであって、前記燃料極に供給される燃料ガスと前記酸素極に供給される酸化剤ガスとを遮断する板状のセパレータ本体と、該セパレータ本体の一側に前記酸素極に当接させて設けられ、前記酸素極とセパレータ本体との間隔が前記酸化剤ガスの下流側ほど広くなるように変化する酸化剤流路を形成する酸素極側集電体とを備えた。また、燃料電池装置においては、電解質層を燃料極と酸素極とで挟持した燃料電池が、セパレータユニットを挟んで積層されている燃料電池装置であって、前記セパレータユニットは、前記燃料極に供給される燃料ガスと前記酸素極に供給される酸化剤ガスとを遮断する板状のセパレータ本体と、該セパレータ本体の一側に前記酸素極に当接させて設けられ、前記酸素極とセパレータ本体との間隔が前記酸化剤ガスの下流側ほど広くなるように変化する酸化剤流路を形成する酸素極側集電体とを備えた。
【0015】
この場合、酸化剤流路の下流側ほど流路断面積が広くなるので、水詰まりが発生せず、水分を適切に排出することができ、酸素極の表面が水によって覆われる可能性が低く、濃度過電圧を低減することができ、燃料電池の性能低下を確実に防止することができる。また、酸化剤流路が水分によって塞がれてしまうことがなく、酸化剤の流れが阻害されることがない。さらに、冷却能力が向上するので、酸化剤流路内の温度を均一化することができる。
【0016】
他のセパレータユニット及び燃料電池装置においては、さらに、前記酸素極側集電体は、酸化剤流路の方向に延在する凸条部と谷部が、酸化剤流路と垂直な方向に交互に形成されている。
【0017】
この場合、酸素極側集電体の表面積が大きく、冷却能力が向上する。
【0018】
更に他のセパレータユニット及び燃料電池装置においては、さらに、前記凸条部と谷部は幅が一定である。
【0019】
この場合、酸素極側集電体の構造を簡素化することができ、かつ、酸素極側集電体の製造が容易なので、セパレータユニット及び燃料電池装置の製造コストを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図2は本発明の実施の形態における燃料電池スタックの構成を示す模式斜視図、図3は本発明の実施の形態における燃料電池のセルモジュールの構成を示す図である。
【0022】
図において、11は燃料電池(FC)装置としての燃料電池スタックであり、乗用車、バス、トラック、乗用カート、荷物用カート等の車両用の動力源として使用される。ここで、前記車両は、照明装置、ラジオ、パワーウィンドウ等の車両の停車中にも使用される電気を消費する補機類を多数備えており、また、走行パターンが多様であり、動力源に要求される出力範囲が極めて広いので、動力源としての燃料電池スタック11と図示されない蓄電手段としての二次電池又はキャパシタとを併用して使用することが望ましい。
【0023】
そして、燃料電池スタック11は、アルカリ水溶液型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、直接型メタノール等のものであってもよいが、固体高分子型燃料電池であることが望ましい。
【0024】
なお、更に望ましくは、水素ガスを燃料ガス、すなわち、アノードガスとし、酸素又は空気を酸化剤、すなわち、カソードガスとするPEMFC(Proton Exchange Membrane Fuel Cell)型燃料電池、又は、PEM(Proton Exchange Membrane)型燃料電池と呼ばれるものである。ここで、該PEM型燃料電池は、一般的に、プロトン等のイオンを透過する電解質層の両側に触媒、電極及びセパレータを結合したセル(Fuel Cell)を複数及び直列に結合したスタック(Stack)から成る。
【0025】
本実施の形態において、燃料電池スタック11は、複数のセルモジュール10を有する。該セルモジュール10は、燃料電池としての単位セル(MEA)10Aと、該単位セル10A同士を電気的に接続するとともに、単位セル10Aに導入される、アノードガスとしての水素ガスの流路とカソードガスとしての空気の流路とを分離するセパレータユニット10Bを1セットとして、板厚方向に複数のセットを重ねて構成されている。なお、セルモジュール10は、単位セル10A同士が所定の間隙(げき)を隔てて配置されるように、単位セル10Aとセパレータユニット10Bとが、2種類のフレーム17及び18とともに、多段に重ねられて積層されている。この場合、セルモジュール10は、導電可能に、かつ、燃料ガス流路、すなわち、水素ガス流路が連続するように相互に接続されている。
【0026】
そして、単位セル10Aは、電解質層としての固体高分子電解質膜、並びに、該固体高分子電解質膜の一側に設けられた酸素極としての空気極(カソード極)及び他側に設けられた燃料極(アノード極)から成る。前記空気極及び燃料極は、反応ガスを拡散しながら透過する導電性材料から成る電極拡散層と、該電極拡散層上に形成され、固体高分子電解質膜と接触させて支持される触媒層とから成る。
【0027】
前記単位セル10Aにおいては水が移動する。この場合、セパレータユニット10Bの燃料極側に形成された燃料室内に燃料ガス、すなわち、アノードガスとしての水素ガスを供給すると、水素が水素イオンと電子とに分解され、水素イオンがプロトン同伴水を伴って、固体高分子電解質膜を透過する。また、前記空気極をカソード極とし、セパレータユニット10Bの空気極側に形成された空気流路としての酸素室内に酸化剤、すなわち、カソードガスとしての空気を供給すると、空気中の酸素と、前記水素イオン及び電子とが結合して水が生成される。なお、水分が逆拡散水として固体高分子電解質膜を透過し、燃料室内に移動する。ここで、逆拡散水とは、空気流路としての酸素室において生成される水が固体高分子電解質膜内に拡散し、該固体高分子電解質膜内を前記水素イオンと逆方向に透過して燃料室にまで浸透したものである。
【0028】
また、燃料電池スタック11に酸化剤としての空気を供給する図示されない装置が示されている。この場合、空気は、エアフィルタを通って、酸化剤供給源としての空気供給ファンに吸引され、該空気供給ファンから、空気供給管路、吸気マニホールド等を通って、燃料電池スタック11の酸素室、すなわち、空気流路に供給される。この場合、供給される空気の圧力は、大気圧程度の常圧であってもよいし、より高い圧力であってもよい。なお、前記空気供給ファンは、空気を吸引して吐出することができるものであれば、いかなる種類のものであってもよく、高圧の空気を供給するためのポンプであってもよい。また、前記エアフィルタは、空気に含まれる塵埃(じんあい)、不純物等を除去することができるものであれば、いかなる種類のものであってもよい。なお、酸化剤として、空気に代えて酸素を使用することもできる。そして、空気流路から排出される空気は、図示されない排気マニホールドを通って大気中へ排出される。図に示される例において、空気は燃料電池スタック11内を流通する。
【0029】
また、前記空気供給管路には、必要に応じて、空気流路に供給される空気中に水をスプレーして供給し、燃料電池スタック11の空気極を湿潤な状態に維持するための水供給ノズルを配設することもできる。さらに、前記排気マニホールドの端部に、前記燃料電池スタック11から排出される空気中の水分を凝縮して除去するための凝縮器を配設することもできる。この場合、該凝縮器によって凝縮された水は図示されない水タンクに回収されることが望ましい。そして、該水タンク内の水を前記水供給ノズルに供給することによって水を無駄に廃棄することなく、循環させて再利用することができる。
【0030】
一方、燃料ガスとしての水素ガスは、水素吸蔵合金を収納した容器、デカリンのような水素吸蔵液体を収納した容器、水素ガスボンベ等から成る図示されない燃料貯蔵手段から燃料供給管路を通って、燃料電池スタック11の燃料ガス流路の入口に供給される。図に示される例において、水素ガスは燃料電池スタック11内を流通する。そして、燃料電池スタック11の燃料ガス流路の出口から未反応成分として排出される水素ガスは、図示されない燃料排出管路を通って燃料電池スタック11外に排出される。なお、前記燃料排出管路には、排出された水素ガスが含まれる水分を分離して回収するための水回収ドレインタンクが配設されていることが望ましい。これにより、水分が分離されて水回収ドレインタンクから排出された水素ガスを回収し、燃料電池スタック11の燃料ガス流路に供給して再利用することができる。
【0031】
この場合、燃料電池スタック11は、全体として扁(へん)平な直方体状の形状を有し、内部における空気の流れは、図2において矢印Aで示されるように、重力方向、すなわち、上から下に直線状になっている。また、水素ガスの流れは、矢印Bで示されるように、重力方向、すなわち、前記矢印Aで示される方向とほぼ直交する水平面内において、セルモジュール10毎に折り返すサーペンタイン状に、すなわち、蛇行状になっている。
【0032】
また、前記燃料電池スタック11は、水素ガスの入口側及び出口側に配設された図示されないエンドプレートによって積層方向に締め付けられている。なお、前記エンドプレートは締付用シャフトによって、セルモジュール10を締め付ける力が付与された状態で、相互に接続されている。
【0033】
次に、前記燃料電池スタック11の構成を詳細に説明する。
【0034】
図4は本発明の実施の形態における燃料電池のセパレータユニットの構成を示す第1の図、図5は本発明の実施の形態における燃料電池のセパレータユニットの構成を示す第2の図、図6は本発明の実施の形態における燃料電池のセパレータユニットの構成を示す拡大斜視図である。
【0035】
図4に示されるように、セパレータユニット10Bの縦方向凸条形成面と一方のフレーム17の端面とで終端し、セルモジュール10の他端(図3における下側端)は、図5に示されるように、セパレータユニット10Bの横方向凸条形成面と他方のフレーム18の端面とで終端している。
【0036】
そして、各セルモジュール10は、全体として直方体状の形状を有し、セパレータユニット10Bを備える。なお、該セパレータユニット10Bは、長方形状の開口の周囲を取り囲む枠状のフレーム17及び18を有し、各フレーム17及び18は、長手方向両端近傍に形成された長孔(あな)を備える。各セパレータユニット10Bは、相互に密着し、かつ、前記長孔同士が相互に整列するように積層され、これにより、長孔はセパレータユニット10Bの積層方向に貫通する水素ガス流路を形成する。
【0037】
また、前述のように、単位セル10Aは、電解質層としての固体高分子電解質膜と、該固体高分子電解質膜の一側に設けられた空気極及び他側に設けられた燃料極とから成る。そして、前記空気極及び燃料極は、反応ガスを拡散しながら透過する導電性材料から成る電極拡散層と、該電極拡散層上に形成され、固体高分子電解質膜と接触させて支持される触媒物質を含む触媒層とから成る。これらの部材のうち、空気極及び燃料極は、それらの支持部材としてのフレーム18の開口部の幅より若干長い横方向寸法と、開口部の高さより若干短い縦方向寸法とを有するものとされている。また、固体高分子電解質膜は、開口部の縦横方向寸法より一回り大きな縦横寸法とされている。
【0038】
そして、セパレータユニット10Bは、単位セル10A間のガス遮断部材でありセパレータ本体としてのセパレータ基板16と、該セパレータ基板16の一側に設けられ、単位セル10Aの空気極側の電極拡散層に接触して集電するとともに、空気と水との混合流を透過する多数の開口が形成された網目状の酸素極側集電体としての空気極側コレクタ14と、セパレータ基板16の他側に設けられ、単位セル10Aの燃料極側の電極拡散層に接触して同じく電流を外部に導出するための網目状の燃料極側集電体としての燃料極側コレクタ15とを有する。そして、これらを単位セル10Aも含めて所定の位置関係に保持すべく、空気極側コレクタ14の左右両側に配置されたフレーム17(最外側のもののみが上下端を相互にバックアッププレート17a及び17bで連結されて枠状((図4参照)をなす。)と、燃料極側コレクタ15及び単位セル10Aの周縁部に配置されたフレーム18とが設けられている。空気極側コレクタ14及び燃料極側コレクタ15は、本実施の形態においては、導電性の板材、例えば、板厚が0.2〔mm〕程度の金属薄板で構成されている。また、セパレータ基板16は、板厚が更に薄い導電性の板材、例えば、金属薄板で構成される。この構成金属としては、導電性と耐蝕(しょく)性を備えた金属、例えば、ステンレス鋼、ニッケル合金、チタン合金等に金メッキ等の耐蝕導電処理を施したものが挙げられる。また、フレーム17及び18は、適宜の絶縁材料から成る。
【0039】
また、空気極側コレクタ14は、図5に示されるように、全体形状を横長の矩(く)形の多孔(こう)体から成る。例えば、図6に一部を拡大して詳細を示すように、開口率59〔%〕の網目状の開口143を有する(板面形状の参照を容易にすべく、一部のみに網目形状を表記)エキスパンドメタル、パンチングメタル等の板材から成り、プレス加工によって形成された細かい凸条部141を有する波板とされている。前記凸条部141は、板材の縦辺(図6に示される例における短辺)に平行に等間隔で、板面を完全に縦断する配置とされている。前記凸条部141の断面形状は、概略矩形波状断面とされ、プレス加工の型抜きの関係から、根元側が若干裾(すそ)広がりの形状とされている。前記凸条部141の高さは、後述されるように下流側ほど高くなるように変化し、それにより、積層状態で両側のフレーム17間を縦方向に貫通する所定の開口面積の空気流路の断面積が下流側ほど大きくなるように変化している。各凸条部141の頂部142の平面は、空気極側の電極拡散層が接触する当接部となっており、凸条部141間の谷部144は、セパレータ基板16との当接部とされている。
【0040】
なお、空気極側コレクタ14には、親水性処理が施されていることが望ましい。処理方法としては、親水処理剤を、表面に塗布する方法が採られる。塗布される処理剤としては、ポリアクリルアミド、ポリウレタン系樹脂、酸化チタン(TiO2 )等が挙げられる。この他の親水性処理としては、金属表面の粗さを粗化する処理が挙げられる。例えば、プラズマ処理などがその一例である。親水性処理は、最も温度が高くなる部位に施すことが好ましく、例えば、単位セル10Aに接触している凸条部141の頂部142、特に、空気流路側に施される。このように、親水性処理を施すことによって、空気極側コレクタ14と空気極側の電極拡散層との当接面の濡(ぬ)れが促進され、水の潜熱冷却による効果が向上する。また、これにより、網目、すなわち、開口143に水が詰まり難くなるため、水が空気の供給を阻害する可能性も一層低くなる。
【0041】
また、燃料極側コレクタ15は、空気極側コレクタ14と同様の寸法で網目状の開口153を有する(板面形状の参照を容易にすべく、一部のみに網目形状を表記)エキスパンドメタル、パンチングメタル等の矩形の板材から成り、プレス加工によって、複数の凸条部151が形成されている。該凸条部151は、頂部152が平坦(たん)で、断面形状も、前記凸条部141の場合と同様に実質上矩形波状とされているが、この燃料極側コレクタ15の場合の凸条部151は、横方向に板面を完全に横断して延びるものとして縦方向に一定のピッチで設けられている。これら凸条部151の頂部152の平面は、燃料極が接触する当接部となっており、凸条部151間の谷部154がセパレータ基板16との当接部とされている。これら凸条部151の断面形状も、大まかには矩形波状断面とされ、プレス加工の型抜きの関係から、根元側が若干裾広がりの形状とされている。これら凸条部151の高さは、単位セル10Aの厚さと合わせてフレーム18の厚さに実質上相当する高さとされ、それにより、積層状態でフレーム18の内側を横方向に貫通する所定の開口面積の燃料ガス流路を確保している。
【0042】
そして、前記空気極側コレクタ14及び燃料極側コレクタ15は、それぞれの凸条部141及び151がともに外側となるように、セパレータ基板16を間に挟んで配置される。このとき、前記空気極側コレクタ14及び燃料極側コレクタ15のそれぞれの谷部144及び154は、セパレータ基板16と当接した状態となり、相互に通電可能な状態となる。また、前記空気極側コレクタ14及び燃料極側コレクタ15をセパレータ基板16と重ね合わせることによって、該セパレータ基板16の一方側に酸化剤流路としての空気流路、すなわち、酸素室が構成され、他方側に燃料ガス流路、すなわち、燃料室が構成されることになる。そして、この縦方向の空気流路から、単位セル10Aの空気極に空気が供給され、同様に、横方向の燃料ガス流路から単位セル10Aの燃料極に水素が供給される。
【0043】
前記フレーム17及び18によって、空気極側コレクタ14及び燃料極側コレクタ15並びにセパレータ基板16を保持してセパレータユニット10Bが構成される。そして、該セパレータユニット10Bと単位セル10Aとを交互に積層して、セルモジュール10が構成される。このように積層されたセルモジュール10には、図3に示される、フレーム18で挟まれる間の部分に、セルモジュール10の上面から縦方向に該セルモジュール10の下面まで全通するスリット状の空気流路が形成される。
【0044】
なお、単位セル10Aにおいては水が移動する。すなわち、燃料極側コレクタ15が配設されている燃料室内に燃料ガスとして水素ガスを供給すると、水素が水素イオンと電子とに分解され、水素イオンがプロトン同伴水を伴って、固体高分子電解質膜を透過する。また、前記空気極をカソード極とし、酸素室内に酸化剤としての空気を供給すると、空気中の酸素と、前記水素イオン及び電子が結合して、水が生成される。さらに、水分が逆拡散水として固体高分子電解質膜を透過し、燃料室内に移動する。ここで、逆拡散水とは、酸素室において生成される水が固体高分子電解質膜内に拡散し、該固体高分子電解質膜内を前記水素イオンと逆方向に透過して燃料室にまで浸透したものである。
【0045】
次に、前記空気極側コレクタ14の構成について詳細に説明する。
【0046】
図1は本発明の実施の形態における空気極側コレクタの構成を示す図、図7は本発明の実施の形態における空気極側コレクタの機能を従来の空気極側コレクタと比較した図である。なお、図1(a)は空気の入口側端面を示し、図1(b)は上面を示し、図1(c)は空気の出口側端面を示し、図7(a−1)〜(a−3)は従来の空気極側コレクタの機能を示し、図7(b−1)〜(b−3)は本実施の形態の空気極側コレクタの機能を示している。
【0047】
本実施の形態において、空気極側コレクタ14は、図1に示されるように、頂部142と谷部144との距離が空気流路の下流側ほど大きくなるように、すなわち、凸条部141の高さが空気流路の下流側ほど高くなるように形成されている。これにより、空気極とセパレータ基板16との間隔が空気流路の下流側ほど広くなるように変化する。なお、図1において、X1 は空気極側コレクタ14における空気流路の最上流側、すなわち、空気の入口側での凸条部141の高さを示し、X2 は空気極側コレクタ14における空気流路の最下流側、すなわち、空気の出口側での凸条部141の高さを示している。この場合、次の式(1)の関係が成り立つ。
X1<X2 ・・・式(1)
そのため、図7(b−2)に示されるように、空気流路の下流側ほど空気極とセパレータ基板16との間隔が広くなるので、空気流路の断面積は下流側ほど広くなる。なお、図7(a−2)は、比較のために従来の空気極側コレクタを使用した場合を示している。これにより、空気の流れがスムーズになる。また、生成水や空気中に供給された水分の量は、下流側に行くほど増加するが、空気流路の断面積が下流側ほど広くなっているので、空気流路が水分によって塞がれてしまうことがなく、空気の流れが阻害されることがない。したがって、フラッディングが発生することがない。
【0048】
なお、凸条部141及び谷部144の幅は一定である。そのため、プレス加工によって、前記凸条部141及び谷部144を容易に成形することができる。
【0049】
また、空気流路の断面積が下流側ほど広いので、空気流路を取り囲む壁面の面積が下流側に行くほど増加し、発熱拡散による冷却能力が向上する。図7(a−2)及び(b−2)に示されるように、本実施の形態における冷却能力Q2は従来の空気極側コレクタを使用した場合の冷却能力Q1より大きくなっている。すなわち、次の式(2)の関係が成り立つ。
Q1<Q2 ・・・式(2)
そのため、空気流路内の温度は、従来の空気極側コレクタを使用した場合には、図7(a−3)に示されるように、空気流路の下流側ほど高いのに対し、本実施の形態においてはほぼ均一となる。すなわち、空気流路内の温度を均一化することができる。
【0050】
また、空気流路を取り囲む壁面の面積が増加すると、水の膜が空気極の表面に付着する確率が小さくなり、空気極の表面が水によって覆われる可能性が低くなる。そのため、空気流路の下流側において水分の量が増えても、空気極の表面が水によって覆われる可能性が低いので、空気が空気極と接触して電気化学反応が発生するための面積が減少することを防止することができる。したがって、燃料電池の性能の低下を防止することができ、濃度過電圧を低減することができる。
【0051】
このように、本実施の形態において、空気極とセパレータ基板16との間隔が空気流路の下流側ほど広くなるように変化している。そのため、空気流路の下流側ほど空気流路の断面積が広くなるので、水詰まりが発生せず、水分を適切に排出することができ、空気の流れがスムーズになる。そして、空気流路内の水分の量は、下流側に行くほど増加するが、空気流路の断面積が下流側ほど広くなっているので、空気流路が水分によって塞がれてしまうことがなく、空気の流れが阻害されることがない。
【0052】
また、空気流路を取り囲む壁面の面積が下流側に行くほど増加し、冷却能力が向上するので、空気流路内の温度を均一化することができる。さらに、空気が空気極と接触して電気化学反応が発生するための面積が減少することを防止することができので、燃料電池の性能の低下を防止することができ、濃度過電圧を低減することができる。
【0053】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態における空気極側コレクタの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態における燃料電池スタックの構成を示す模式斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態における燃料電池のセルモジュールの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における燃料電池のセパレータユニットの構成を示す第1の図である。
【図5】本発明の実施の形態における燃料電池のセパレータユニットの構成を示す第2の図である。
【図6】本発明の実施の形態における燃料電池のセパレータユニットの構成を示す拡大斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態における空気極側コレクタの機能を従来の空気極側コレクタと比較した図である。
【符号の説明】
【0055】
10B セパレータユニット
11 燃料電池スタック
14 空気極側コレクタ
16 セパレータ基板
144 谷部
141 凸条部




 

 


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