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発明の名称 誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−123223(P2007−123223A)
公開日 平成19年5月17日(2007.5.17)
出願番号 特願2005−380243(P2005−380243)
出願日 平成17年12月28日(2005.12.28)
代理人 【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
発明者 金 ▲栄▼勳 / 李 恩泰
要約 課題
ステップカバレッジが良く、高温、高圧に耐えられるグリーンシートを基板に転写して誘電体層を形成することによって工程時間を短縮し、且つ性能に優れた誘電体層を提供する。

解決手段
本発明は、誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法に関するものである。そのプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法は、支持フィルム上にPbO系ガラス粉末、結合樹脂、分散剤、可塑剤及び溶剤を含むペースト組成物を塗布して形成された膜形成材料層を有するグリーンシートを形成する第1段階と、グリーンシートの膜形成材料層を電極が形成された基板上に転写する第2段階と、基板上に転写した膜形成材料層を焼成する第3段階と、を含む。
特許請求の範囲
【請求項1】
50wt%〜70wt%のPbO系ガラス粉末、15wt%〜25wt%の結合樹脂、0.1wt%〜2wt%の分散剤、0.1wt%〜5wt%の可塑剤及び10wt%〜30wt%の溶剤を含むことを特徴とする誘電体層用ペースト組成物。
【請求項2】
1wt%以下の消泡剤及び1wt%以下のレベリング剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の誘電体層用ペースト組成物。
【請求項3】
前記消泡剤は、炭化水素及びエチルヘキサノールのいずれかまたはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項2に記載の誘電体層用ペースト組成物。
【請求項4】
前記レベリング剤は、ポリヒドロキシカルボン酸アミド系レベリング剤またはアクリレート含有レベリング剤であることを特徴とする請求項2に記載の誘電体層用ペースト組成物。
【請求項5】
前記結合樹脂は、メタアクリル樹脂及びアクリル樹脂よりなる群から選択された一つ以上の物質からなることを特徴とする請求項1に記載の誘電体層用ペースト組成物。
【請求項6】
前記分散剤は、ポリアミンアミド系物質であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体層用ペースト組成物。
【請求項7】
前記可塑剤は、フタルレート系、DOA(ジオクチルアジペート)系、DOZ(ジオクチルアゾレート)系及びエステル系よりなる群から選択された一つ以上の物質からなることを特徴とする請求項1に記載の誘電体層用ペースト組成物。
【請求項8】
前記溶剤は、トルエン、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、BA(ブチルアセテート)、CYC(シクロヘキサノン)及びMEK(メチルエチルケトン)よりなる群から選択された一つ以上の物質からなることを特徴とする請求項1に記載の誘電体層用ペースト組成物。
【請求項9】
支持フィルム上にPbO系ガラス粉末、結合樹脂、分散剤、可塑剤及び溶剤を含むペースト組成物を塗布して形成された膜形成材料層を有することを特徴とする誘電体層用グリーンシート。
【請求項10】
前記膜形成材料層の表面を保護するための保護フィルムをさらに有することを特徴とする請求項9に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項11】
前記結合樹脂は、メタアクリル樹脂及びアクリル樹脂よりなる群から選択された一つ以上の物質からなることを特徴とする請求項9に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項12】
前記分散剤は、ポリアミンアミド系物質であることを特徴とする請求項9に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項13】
前記可塑剤は、フタルレート系、DOA(ジオクチルアジペート)系、DOZ(ジオクチルアゾレート)系及びエステル系よりなる群から選択された一つ以上の物質からなることを特徴とする請求項9に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項14】
前記溶剤は、トルエン、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、EGMEA(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、PGMEA(プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、EA(エチルアセテート)、BA(ブチルアセテート)、CYC(シクロヘキサノン)、アセトン及びMEK(メチルエチルケトン)よりなる群から選択された一つ以上の物質からなることを特徴とする請求項9に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項15】
前記ペースト組成物は、消泡剤及びレベリング剤をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項16】
前記消泡剤は、炭化水素及びエチルヘキサノールよりなる群から選択された一つ以上の物質からなることを特徴とする請求項15に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項17】
前記レベリング剤は、ポリヒドロキシカルボン酸アミド系及びアクリルレートよりなる群から選択された一つ以上の物質からなることを特徴とする請求項15に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項18】
前記ペースト組成物は、消泡剤及びレベリング剤をそれぞれ1wt%以下で含むことを特徴とする請求項15に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項19】
前記ペースト組成物は、50wt%〜70wt%のPbO系ガラス粉末、15wt%〜25wt%の結合樹脂、0.1wt%〜2wt%の分散剤、0.1wt%〜5wt%の可塑剤及び10wt%〜30wt%の溶剤を含むことを特徴とする請求項9に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項20】
強度が100gf/mm〜500gf/mm、伸び率が100%〜2000%、粘着性が10gf〜100gf、剥離力が1gf/mm〜30gf/mm、残留溶剤の含量が0.2%〜2%であることを特徴とする請求項9に記載の誘電体層用グリーンシート。
【請求項21】
支持フィルム上にPbO系ガラス粉末、結合樹脂、分散剤、可塑剤及び溶剤を含むペースト組成物を塗布して形成された膜形成材料層を有するグリーンシートを用意する段階と、
前記グリーンシートの膜形成材料層を、電極が形成された基板上に加熱ローラを利用して転写する段階と、
前記基板上に転写した膜形成材料層を焼成する段階と、
を含むプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法。
【請求項22】
前記膜形成材料層を転写する段階の後に、前記支持フィルムを除去する段階をさらに含むことを特徴とする請求項21に記載のプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法。
【請求項23】
前記膜形成材料層を転写する段階は、前記基板を40℃〜100℃の予熱温度とした状態で遂行されることを特徴とする請求項21に記載のプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法。
【請求項24】
前記膜形成材料層を転写する段階は、前記加熱ローラの温度を50℃〜100℃とした状態で遂行されることを特徴とする請求項21に記載のプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法。
【請求項25】
前記膜形成材料層を転写する段階は、前記グリーンシートと前記基板との間隔を2mm以下に保持した状態で遂行されることを特徴とする請求項21に記載のプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法。
【請求項26】
前記膜形成材料層を転写する段階は、前記加熱ローラの圧力を2kgf/cm〜10kgf/cmとした状態で遂行されることを特徴とする請求項21に記載のプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法。
【請求項27】
前記ペースト組成物は、50wt%〜70wt%のPbO系ガラス粉末、15wt%〜25wt%の結合樹脂、0.1wt%〜2wt%の分散剤、0.1wt%〜5wt%の可塑剤及び10wt%〜30wt%の溶剤を含むことを特徴とする請求項21に記載のプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法に関し、特に、最適の組成物からなるグリーンシートを使用することによって、簡単な工程で誘電体層を製造することができる誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;以下、“PDP”という)は、プラズマ放電による発光現象を利用して映像や情報を表示する平面ディスプレイである。一般に、PDPはパネル構造、駆動方法によってDC型とAC型に分けられる。
【0003】
PDPは隔壁で分離された放電セル内部にプラズマ放電を発生させ、この時に各放電セル内に注入されているHe、Xeなどのガスの放電によって発生する紫外線が蛍光体を励起させ、基底状態に戻るときのエネルギー差によって発生する可視光線の発光現象を用いた表示素子である。このPDPは、単純構造による製作の容易性、高輝度及び高発光効率の優秀性、メモリー機能及び160°以上の広視野角を持つと共に40インチ以上の大画面を具現できる長所がある。
【0004】
以下、PDPの構造を概略的に説明する。
【0005】
PDPは、対向配置された上部基板及び下部基板、そして隔壁を含み、これら上部基板、下部基板及び隔壁によってセルが区画されて形成される。上部基板には透明電極が形成され、該透明電極上には透明電極の抵抗を減少させるためのバス電極が形成される。また、下部基板にはアドレス、即ち、データ電極が形成される。
【0006】
隔壁によって区画されたセル内には蛍光物質が塗布される。さらに、上部基板には透明電極及びバス電極を覆うように上部誘電体層が形成され、下部基板にはアドレス電極を被覆するように下部誘電体層が形成される。その上部誘電体層上には、通常、酸化マグネシウムからなる保護層が形成される。
【0007】
このような誘電体層を製造するための従来の製造方法について説明する。
【0008】
図7(a)〜(d)は従来のプラズマディスプレイパネルの誘電体層を製造するための代表的な工程を示した断面図である。
【0009】
図7(a)に示されるように、ガラス粉末を含むペースト組成物130を製造し、該ペースト組成物130を、メッシュ120を用いたスクリーン印刷法によって上部基板100の表面に塗布する。このとき、上部基板100には透明電極(未図示)及びバス電極110が形成された状態である。
【0010】
次いで、図1(b)に示されるように、塗布されたペースト組成物を乾燥後、焼成することによって、有機物質を除去してガラス粉末を焼結し、1次膜形成材料層140を形成する。
【0011】
続いて、第1次膜形成材料層140が形成された上部基板に、図7(c)に示されるように、第2次膜形成材料層を含むグリーンシート150を転写する。
【0012】
次いで、図1(d)に示されるように、グリーンシート150を焼成することによって、有機物質を除去してガラス粉末を焼結し、誘電体層160を形成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のように、従来の誘電体層160の製造方法は、ペースト組成物130をスクリーン印刷法によって一次塗布した後、グリーンシート150を転写して誘電体層160を形成する。従って、工程が複雑になり、製造に必要とする時間が長くなるだけでなく、製造費用の上昇要因にもなっている。また、誘電体層160を2度にわたって形成することによって、第1次膜形成材料層130と第2次膜形成材料層との間にホールやクラックが発生する恐れがあった。さらに、誘電体層160の厚さが均一にならなかった。
【0014】
そこで、本発明の目的は、各電極端の追従性が良く、高温、高圧に耐えられるグリーンシートを基板に転写して誘電体層を形成することによって、工程時間を短縮し、性能に優れた誘電体層を製造できる誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法を提供することにある。
【0015】
また、本発明の目的は、グリーンシートを基板に転写する工程の条件を最適化して厚さの均一性に優れ、欠陥のない誘電体層を製造できる誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明に係る誘電体層用ペースト組成物は、50wt%〜70wt%のPbO系ガラス粉末、15wt%〜25wt%の結合樹脂、0.1wt%〜2wt%の分散剤、0.1wt%〜5wt%の可塑剤及び10wt%〜30wt%の溶剤を含む。
【0017】
また、本発明に係る誘電体層用グリーンシートは、支持フィルム上にPbO系ガラス粉末、結合樹脂、分散剤、可塑剤及び溶剤を含むペースト組成物を塗布して形成された膜形成材料層を含んで構成される。
【0018】
さらに、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法は、支持フィルム上にPbO系ガラス粉末、結合樹脂、分散剤、可塑剤及び溶剤を含むペースト組成物を塗布して形成された膜形成材料層を有するグリーンシートを用意する段階と、前記グリーンシートの膜形成材料層を、電極が形成された基板上に加熱ローラを利用して転写する段階と、該基板上に転写した膜形成材料層を焼成する段階と、を含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法は、各電極端の追従性が良く、高温、高圧に耐えられるグリーンシートを基板に転写して誘電体層を形成することによって、工程時間を短縮し、性能に優れた誘電体層を製造できるという長所がある。
【0020】
また、本発明に係る誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法は、グリーンシートを基板に転写する工程の条件を最適化して厚さの均一性に優れ、欠陥のない誘電体層を製造できるという長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下では、添付図面を参照して本発明に係る誘電体層用ペースト組成物、グリーンシート及びプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造方法の好適例を詳細に説明する。
【0022】
図1は本発明の実施形態に係るプラズマディスプレイパネルを示した断面図である。
【0023】
図1を参照すれば、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel;以下、“PDP”という)は上板構造200及び下板構造300に分けられる。
【0024】
PDPの上板構造200では、グラス基板210(以下、‘上部基板’という)の下部に、透明電極220、バス電極230、上部誘電体層240及び保護層250が形成されている。
【0025】
透明電極220は、放電セルから放出される光を透過させるために、透明なインジウムスズ酸化物(以下、‘ITO’という)またはインジウム亜鉛酸化物(以下、‘IZO’という)で形成される。バス電極230は、透明電極220の下部に形成され、透明電極220のライン抵抗を減少させる。このバス電極230は、導電性の高い銀(Ag)ペーストで形成する。このようにバス電極230を導電性の高い物質で形成することにより、導電性の低い透明電極220の駆動電圧を減少させることができる。上部誘電体層240は、金属物質からなるバス電極230と直接接触する層であり、バス電極230との化学反応を避けるために、軟化点の高いPbO系のガラスが使用される。このような上部誘電体層240は、放電電流を制限してグロー(GLOW)放電を維持させ、プラズマ放電時に発生した電荷が蓄積される。保護膜250は、プラズマ放電時スパッタリングによる上部誘電体層240の損傷を防止すると共に、第2次電子の放電効率を上げる。保護膜250は酸化マグネシウム(MgO)で形成される。
【0026】
PDPの下板構造300では、グラス基板310(以下、‘下部基板’という)の上部にアドレス電極320、下部誘電体層330、隔壁340及び蛍光層350が形成されている。
【0027】
アドレス電極320は、各放電セルの中央に位置し、70〜80μm程度の線幅を持つ。下部誘電体層330は、アドレス電極320と下部基板310の全面を覆い、アドレス電極320を保護する。隔壁340は、下部誘電体層330の上部に位置し、アドレス電極320から所定距離離隔されて形成され、垂直方向に長く立設されて構成される。この隔壁340は放電距離を維持させ、隣接した放電セル間の電気的、光学的干渉を防止するために必要である。蛍光層350は、隔壁340の両側面及び下部誘電体層330の上部に形成される。この蛍光層350は、プラズマ放電時に発生された紫外線によって励起され、赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)中のいずれか一つの可視光線を発生する。
【0028】
以下、PDPの発光動作を詳述する。
【0029】
透明電極220及びバス電極230の電極間に一定の電圧(電圧マージン範囲内)がかかった状態で、アドレス電極320にプラズマを生成するに足りるほどの追加の電圧がかかれば、電極間にプラズマが生成される。気体にはある程度の自由電子が存在するが、電場がかかれば、その自由電子らが力(F=qE)を受けるようになる。この力を受けた電子が不活性気体等の最外角電子を離すに足りるほどのエネルギーを得るようになれば(第1イオン化エネルギー)、気体をイオン化させるようになり、ここで発生したイオンと電子は電磁場の力を受けて両電極に移動するようになる。特にイオンが保護層250にぶつかるようになれば、保護層250では二次電子が発生し、この電子がプラズマの生成を促進する。従って、初期放電の開始には高い電圧が必要になるが、いったん放電が始まれば電子密度が増加し、低い電圧で良いことになる。
【0030】
PDP中に注入される気体は、主にNe、Xe、He等の不活性気体であり、特にXeが準安定状態のとき、約147nmと173nmの波長の紫外線が蛍光層350に加えられ、赤色、緑色または青色の可視光線が発生される。発生される可視光線は、その蛍光層350の種類に応じて決定され、各放電セルが赤色、緑色、青色をそれぞれ表示するピクセルになる。この各放電セルのRGB値の組合せで色合いの調節が行われる。PDPの場合は、プラズマが発生する時間を調節してこれを調節することになる。発生された可視光線は上部基板210を通じて外部に発散する。
【0031】
以下、上部誘電体層240及び下部誘電体層330の組成物及び製造方法に関して詳述する。説明の便宜のために上部誘電体層240(以下、‘誘電体層’という)を例に上げて詳述する。
【0032】
図2は本発明の実施形態に係る誘電体層用グリーンシートを示した断面図、図3(a)及び(b)は図2のグリーンシートの剥離力特性を示した断面図、図4(a)及び(b)は図1の誘電体層を示した写真で、図4(a)は最適の特性範囲内のグリーンシートを使用した場合を示した写真、(b)は最適の特性範囲外のグリーンシートを使用した場合を示した写真である。
【0033】
図2を参照すれば、グリーンシート400は、PDP構成要素の形成工程、特に誘電体層240の形成工程に好適に使われるシートである。グリーンシート400は、誘電体層240を形成するためのペースト組成物を支持フィルム410上に塗布して乾燥することによって形成される膜形成材料層420を備える。膜形成材料層420の表面には保護フィルム430が作られている。支持フィルム410及び保護フィルム430は膜形成材料層420と剥離できるように形成される。
【0034】
支持フィルム410は、耐熱性及び耐溶剤性を持つと同時に可撓性を持つ樹脂フィルムであるのが好ましい。支持フィルム410が可撓性を持つことによってロールコッター、ブレードコッターなどを使用してペースト組成物を塗布することができる。これにより、膜厚が均一な膜形成材料層420を形成することができるだけでなく、膜形成材料層420をロール形態で保存することができる。
【0035】
膜形成材料層420は焼成することによって誘電体層240になる層である。膜形成材料層420を形成するために支持フィルム410上に塗布されるペースト組成物は、ガラス粉末、結合樹脂、分散剤、可塑剤及び溶剤を含んでいる。また、ペースト組成物は消泡剤及びレベリング剤をさらに含むこともできる。
【0036】
特にペースト組成物は、50wt%〜70wt%のPbO系ガラス粉末、15wt%〜25wt%の結合樹脂、0.1wt%〜2wt%の分散剤、0.1wt%〜5wt%の可塑剤、10wt%〜30wt%の溶剤、1wt%以下の消泡剤及び1wt%以下のレベリング剤を含む構成とすることが好ましい。
【0037】
ガラス粉末はPbO系ガラスを使用するが、鉛−ホウ珪酸塩ガラスまたはホウ珪酸塩ガラスを使用することも可能である。結合樹脂は、メタアクリル樹脂及びアクリル樹脂よりなる群から選択される。メタアクリル樹脂が分解温度が低くて、好ましい。分散剤は、ガラス粉末の分散力を増大させて膜形成材料層420にガラス粉末が沈澱することを防止するために添加される組成物であり、ポリアミンアミド系化合物を使用する。可塑剤は、熱可塑性を増大させることによって高温での成形加工を容易にするために添加する組成物で、フタルレート、DOA(ジオクチルアジペート)、DOZ(ジオクチルアゾレート;dioctylazolate)及びエステル系よりなる群から選択された化合物を使用する。
【0038】
溶剤は、無機粒子との親和性と結合樹脂を溶解する性質とが良好で、ペースト組成物に適切な粘性を付与することができ、また乾燥時に容易に蒸発することが好ましい。このような溶剤には、トルエン、PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)、EGMEA(エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート)、PGMEA(プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート)、EA(エチルアセテート)、BA(ブチルアセテート)、CYC(シクロヘキサノン)、MEK(メチルエチルケトン)及びアセトンよりなる群から選択したものを使用することができる。
【0039】
消泡剤は、膜形成材料層420の気泡を除去するために添加する組成物であり、炭化水素及びエチルヘキサノールよりなる群から選択して使用することができる。レベリング剤は、膜形成材料層420を均一に形成するために添加する組成物である。ポリヒドロキシカルボン酸アミド系及びアクリルレートよりなる群から選択して使用することができる。
【0040】
このように構成されたペースト組成物を含むグリーンシート400は、強度が100gf/mm〜500gf/mm、伸び率が100%〜2000%、粘着性が10gf〜100gf、剥離力が1gf/mm〜30gf/mm、残留溶剤の含量が0.2%〜2%である。
【0041】
剥離力は、保護フィルム430を膜形成材料層420から剥離する力を示す。図3(a)に示されるように、後述する誘電体層240を形成する工程では保護フィルム430の一端が膜形成材料層420から剥離された状態で数秒間待機する。この時、膜形成材料層420の粘着性によって、保護フィルム430と接触した膜形成材料層420の部分(A)が保護フィルム430に付着して上方に伸びる。
【0042】
このようなグリーンシート400を上部基板210に転写する場合、図3(b)に示されるように、膜形成材料層420の部分(A)における端部が突き出た状態を維持する。熱圧着によって膜形成材料層420が均一な厚さで形成されるためには、部分(A)の高さが5μm以下でなければならない。部分(A)の高さが5μmを越えるとき、部分(A)における誘電体層240の特性が低下する。そこで、剥離力が上記の通りに1gf/mm〜30gf/mmのとき、部分(A)の高さが5μm以下となる。
【0043】
上記の強度、伸び率、粘着性、剥離力及び残留溶剤含量の特性範囲を維持したグリーンシート400を、バス電極230が形成された上部基板210に転写する工法で、誘電体層240を形成することができる。これにより、バス電極230端の追従性(ステップカバレッジ)が確保され、且つグリーンシート400は、高温及び高圧で遂行される製造工程でも変形を生じない。
【0044】
上記の特性範囲を維持するグリーンシート400を使用して誘電体層240を形成すると、図4(a)に示されるように、バス電極230端に気泡が発生せず、またグリーンシート400の変形も起こらない。一方、上記の特性範囲を離れたグリーンシートを使用して誘電体層を形成した場合は、図4(b)に示されるように、誘電体層に多量の気泡が発生し、グリーンシートの変形も発生する。
【0045】
以下、上記ペースト組成物で形成されたグリーンシートの特性実験結果を詳しく説明する。
【表1】


【表2】


【0046】
表1は、本発明に係るペースト組成物について、組成比の実施例1〜3を示し、表2は、表1の組成比からなるペースト組成物で形成されたグリーンシート等の特性を示す。
【0047】
実施例1は60wt%のパウダー、18wt%の結合樹脂、1wt%の分散剤、3wt%の可塑剤、1wt%の消泡剤、1wt%のレベリング剤及び16wt%の溶剤からなるペースト組成物である。実施例2は63wt%のパウダー、20wt%の結合樹脂、1.3wt%の分散剤、3wt%の可塑剤、0.1wt%の消泡剤、0.1wt%のレベリング剤及び12.5wt%の溶剤からなるペースト組成物である。実施例3は64wt%のパウダー、22wt%の結合樹脂、2wt%の分散剤、2wt%の可塑剤及び10wt%の溶剤からなるペースト組成物である。
【0048】
この実施例1〜3で、パウダーはPbO系ガラス粉末、結合樹脂はメタアクリルまたはアクリル、分散剤はポリアミンアミド系物質、可塑剤はフタルレート系物質、消泡剤はエチルヘキサノール、レベリング剤はアクリレート、溶剤はトルエンまたはPGMEを使用している。
【0049】
550nmの波長を透過させる程度で表した透過率は、実施例1〜3のいずれも60%以上と測定された。
【0050】
ペースト組成物の分散がよく行われる程度を表した分散性は、グリーンシートを製造した後のパウダー凝集発生有無で判断すると、実施例1〜3のいずれも良好な特性を示した。
【0051】
気泡発生程度を確認するために耐電圧も測定した。すなわち、気泡の発生量が多ければ耐電圧が低下する。実施例1〜3の全てで耐電圧が4.0Kvないし3.5Kv以上と測定され、特性が良好であることを確認することができた。
【0052】
実施例1〜3の強度は200〜450gf/mmの範囲内であり、上記した特性範囲を満足しているを確認することができる。伸び率は実施例2が1000以下の最高値を示し、これは上記した特性範囲内に属していることを確認することができる。粘着性は実施例1〜3で最低10gf、最高70gfであり、上記した特性範囲内に属していることを確認することができる。剥離力は実施例1が20gf/mmの最高値を示し、上記した特性範囲内に属していることを確認することができる。残留溶剤の含量は実施例1〜3のいずれも1%以下であり、満足すべき特性範囲内に属していることを確認することができる。
【0053】
このように、上記組成比のペースト組成物で形成されたグリーンシート400は誘電体層240として使用するのに、満足すべき特性を示していることを確認することができる。
【0054】
以下、PDPの上部誘電体層製造工程を説明する。
【0055】
図5(a)〜(c)は図1のプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造工程を示した斜視図及び断面図である。図6(a)及び(b)は、図1のプラズマディスプレイパネルを製造する基板を示した写真で、図6(a)は最適の工程条件範囲内で誘電体層を製造した場合を示した写真であり、図6(b)は最適の工程条件範囲外で誘電体層を製造した場合を示した写真である。
【0056】
図5(a)に示されるように、上部基板210に透明電極(未図示)及びバス電極230が既に形成された状態でグリーンシート400を転写する。このために、膜形成材料層420の表面から保護フィルム430を剥離し、上部基板210表面に膜形成材料層420の表面が接触するようにグリーンシート400を重ね合わせる。そして、重ねたグリーンシート400の上から加熱ローラ500を移動させて、図5(b)に示されるように熱圧着する。
【0057】
このような方法によって、支持フィルム410上に形成された膜形成材料層420が上部基板210に転写される。この時、最適の工程条件では、加熱ローラの温度が50℃〜100℃、加熱ローラによるロール圧力が2kgf/cm〜10kgf/cmであり、膜形成材料層420と上部基板210との間隔を2mm以下に保持する。また、上部基板210は40℃〜100℃に予熱されていることが好ましい。
【0058】
続いて、図5(c)に示されるように、膜形成材料層420から支持フィルム410を剥離除去する。継いで、支持フィルム410が除去された膜形成材料層420を焼成して誘電体層240を形成する。
【0059】
このように、最適の工程条件範囲内で誘電体層240を形成した場合、図6(a)に示されるように、バス電極230端の周辺に気泡の発生量が少ないことを確認することができた。一方、最適の工程条件範囲外で誘電体層240を形成した場合は、図6(b)に示されるように、バス電極230端の周辺に多量の気泡が発生することを確認することができた。
【0060】
以上説明した本発明の実施形態は例示の目的のために開示されたものであり、本発明の属する分野で通常の知識を有した当業者であれば、本発明の思想と範囲内で様々な修正、変更、付加が可能である。従って、このような修正、変更及び付加は本発明の特許請求の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の実施形態に係るプラズマディスプレイパネルを示した断面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る誘電体層用グリーンシートを示した断面図である。
【図3】図2のグリーンシートの剥離特性を示した断面図である。
【図4】図1の誘電体層を示した写真であり、(a)は最適の特性範囲内のグリーンシートを使用した場合、(b)は最適の特性範囲外のグリーンシートを使用した場合をそれぞれ示した写真である。
【図5】図1のプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造工程を示した斜視図及び断面図である。
【図6】図1のプラズマディスプレイパネルを製造する基板を示した写真であり、(a)は最適の工程条件範囲内で誘電体層を製造した場合、(b)は最適の工程条件範囲外で誘電体層を製造した場合をそれぞれ示した写真である。
【図7】従来のプラズマディスプレイパネルの誘電体層製造工程を示した断面図である。
【符号の説明】
【0062】
210 上部基板
230 バス電極
400 グリーンシート
410 支持フィルム
420 膜形成材料層
430 保護フィルム
500 ローラ




 

 


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