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有機EL素子及びその製造方法 - エルジー エレクトロニクス インコーポレイティド
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発明の名称 有機EL素子及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−36175(P2007−36175A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−356387(P2005−356387)
出願日 平成17年12月9日(2005.12.9)
代理人 【識別番号】110000165
【氏名又は名称】グローバル・アイピー東京特許業務法人
発明者 金 明燮 / 朴 相奏 / 李 在萬 / 成 昌▲済▼ / 車 隠秀 / 徐 正大
要約 課題
電子輸送層を有する有機EL素子及びその製造方法を提供する。

解決手段
陽極と陰極との間に発光層、電子輸送層を含む積層構造を有し、前記電子輸送層は、少なくとも2以上の物質が混合された混合物からなり、前記発光層に隣接した第1層と、少なくとも2以上の物質が混合された混合物からなり、前記陰極に隣接した第2層とを含み、前記少なくとも2以上の物質が混合された混合物は、1つの有機化合物と1以上の他の有機化合物、1つの金属または無機化合物と1以上の他の金属または無機化合物、または、1以上の有機化合物と1以上の金属または無機化合物の混合物からなる。
特許請求の範囲
【請求項1】
陽極と陰極との間に、発光層、電子輸送層を含む積層構造を有する有機EL素子であって、
前記電子輸送層は、
少なくとも2以上の物質が混合された混合物からなり、前記発光層に隣接した第1層と、
少なくとも2以上の物質が混合された混合物からなり、前記陰極に隣接した第2層と、を含み、
前記少なくとも2以上の物質が混合された混合物は、1つの有機化合物と1以上の他の有機化合物、1つの金属または無機化合物と1以上の他の金属または無機化合物、または、1以上の有機化合物と1以上の金属または無機化合物の混合物からなることを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
前記電子輸送層の第1層または第2層の厚さは、0.1〜200nmであることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項3】
前記電子輸送層の第1層または第2層は、第1物質と第2物質とが混合された混合物からなり、前記第1物質と第2物質の組成比は、第1物質X:第2物質Y=1〜100:1、または第1物質X:第2物質Y=1:1〜100であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項4】
前記電子輸送層の第1層または第2層は、第1物質と2以上の複数物質とが混合された混合物からなり、前記第1物質と複数物質の組成比は、第1物質X:複数物質Y=1〜100:1、または第1物質X:複数物質Y=1:1〜100であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項5】
前記電子輸送層の第1層は、少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とを含み、前記電子輸送層の第2層は、少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と、少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項6】
前記正孔ブロック性質を有する物質は、酸化ポテンシャル(Oxidation Potential)が0.4Vよりも大きく、最高占有分子軌道(HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital))の絶対値が5.2eV以上であることを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項7】
前記正孔ブロック性質を有する物質は、置換または非置換の8-ヒドロキシキノリン(hydroxyquinoline)を含む金属錯物であり、前記金属は、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項8】
前記正孔ブロック性質を有する物質は、置換または非置換の1,10-フェナントロリン(phenanthroline)誘導体、または置換または非置換のカルバゾール(Carbazole)誘導体であることを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項9】
前記正孔ブロック性質を有する物質は、Balq(aluminum(III)bis(2-methyl-8-quinolinato)4-phenylphenolate)、BCP(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)、CBP[4,48-N,N8-diCarbazole-1,18-biphenyl]、CF−X、CF−Yから選ばれることを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項10】
前記電子輸送性質を有する物質は、モビリティ(mobility)が1.0*10−6cm2/Vs以上であることを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項11】
前記電子輸送性質を有する物質は、置換または非置換のAlコンプレックス(complex)、置換または非置換のBeコンプレックス、置換または非置換のZnコンプレックス、置換または非置換のオキシジアゾール(oxidiazole)誘導体、置換または非置換のトリアゾール(triazole)誘導体、置換または非置換のチオフェン(thiophene)誘導体、置換または非置換のピロール(pyrrole)誘導体、置換または非置換のシラシクロペンタジエン(sila-cyclopentadiene)誘導体、置換または非置換のアントラセン(anthracene)誘導体、置換または非置換のピレン(pyrene)誘導体、置換または非置換のペリレン(perylene)誘導体から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項12】
前記電子輸送性質を有する物質は、Alq[Tris-(8-hydroxyquinolinolato)-aluminium]、BeBq[bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)beryllium]、Zn(oxz)[Bis(2-(2-hydroxyphenyl)-benz-1,3-oxadiazolato)zinc]、PBD[2-(4-biphenylyl)-5-(4-tert-butyl-phenyl)-1,3,4-oxadiazole]、TAZ[3-(4-Biphenylyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole]、Liq[8-Quinolinolato Lithium]、Mgq[Bis(8-Quinolinolato)Magnesium]、Znq[Bis(8-Quinolinolato)Zinc]から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項13】
前記電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質は、無機化合物または金属であることを特徴とする請求項5に記載の有機EL素子。
【請求項14】
前記無機化合物は、アルカリ金属化合物、アルカリ土金属化合物、土金属化合物、ランタニド化合物から選ばれることを特徴とする請求項13に記載の有機EL素子。
【請求項15】
前記無機化合物は、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、FrF、MgF、CaF、SrF、BaF、LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、FrClのハライド化合物と、LiO、Li2O、NaO、KO、RbO、Rb、CsO、Cs、LiAlO、LiBO、LiTaO、LiNbO、LiWO、LiCO、NaWO、KAlO、KSiO、B、Al、SiOの酸化物から選ばれることを特徴とする請求項13に記載の有機EL素子。
【請求項16】
前記金属は、アルカリ金属、アルカリ土金属、土金属、希土類金属及びこれらの合金から選ばれることを特徴とする請求項13に記載の有機EL素子。
【請求項17】
前記金属は、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Sm、Gd、Eb、Yb、Al:Li合金、Mg:Sr合金、In:Li合金から選ばれることを特徴とする請求項13に記載の有機EL素子。
【請求項18】
前記電子輸送層の第2層は、少なくとも1以上の有機化合物または少なくとも1以上の有機金属化合物からなり、前記有機または有機金属化合物は、フタロシアン(phthalocyanine)誘導体及び金属フタロシアン(metallophthalocyanine)誘導体であって、金属成分は、Co、AlCl、Cu、Li、Fe、Pb、Mg、Na、Sn、Zn、Ni、Mn、VO、Ag、MnCl、SiCl、SnClのいずれか一つからなり、または、ポルフィリン(porphyrin)誘導体及び金属ポルフィリン(metalloporphyrin)誘導体であって、金属成分は、Co、AlCl、Cu、Li、Fe、Pb、Mg、Na、Sn、Zn、Ni、Mn、VO、Ag、MnCl、SiCl、SnClのいずれか一つからなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項19】
前記電子輸送層の第1層と第2層との間には、第3層がさらに形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項20】
前記第3層は、少なくとも1以上のサブ層から構成されることを特徴とする請求項19に記載の有機EL素子。
【請求項21】
前記電子輸送層の第3層は、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた少なくとも2物質が混合された混合物であるか、または、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた単一物質であることを特徴とする請求項19に記載の有機EL素子。
【請求項22】
前記電子輸送層の第3層は、前記電子輸送層の第1及び第2層と同じ物質または異なる物質からなることを特徴とする請求項19に記載の有機EL素子。
【請求項23】
前記陽極と発光層との間には、正孔注入層、正孔輸送層のうち少なくとも1層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項24】
前記陰極と電子輸送層との間には、電子注入層が形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項25】
前記発光層は、1以上であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項26】
前記発光層は、リン光物質を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項27】
前記第1及び第2電極のうち少なくともいずれか一つは、透明な物質からなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項28】
陽極と陰極間とのに、発光層、電子輸送層を含む積層構造を有するフルカラー有機EL素子であって、
前記発光層は、少なくとも1つのリン光物質を含み、
前記電子輸送層は、
少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とが混合された混合物からなり、前記発光層に隣接した第1層と、
少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と、少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とが混合された混合物からなり、前記陰極に隣接した第2層と、を含むことを特徴とする有機EL素子。
【請求項29】
前記電子輸送層の第1層と第2層との間には、少なくとも1以上のサブ層から構成される第3層がさらに形成され、前記第3層の各サブ層は、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた少なくとも2物質が混合された混合物であるか、または、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた単一物質であることを特徴とする請求項28に記載の有機EL素子。
【請求項30】
陽極と陰極との間に、発光層、電子輸送層を含む発光ユニットを複数個有する有機EL素子であって、
前記相互に隣接している発光ユニットは、界面層により分離され、
前記電子輸送層は、
少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とが混合された混合物からなり、前記発光層に隣接した第1層と、
少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と、少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とが混合された混合物からなり、前記陰極に隣接した第2層と、を含むことを特徴とする有機EL素子。
【請求項31】
前記各発光ユニットは、互いに同じ積層構造からなるか、または、それぞれ異なる積層構造からなることを特徴とする請求項30に記載の有機EL素子。
【請求項32】
前記電子輸送層の第1層と第2層との間には、少なくとも1以上のサブ層から構成される第3層がさらに形成され、前記第3層の各サブ層は、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた少なくとも2物質が混合された混合物であるか、または、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた単一物質であることを特徴とする請求項30に記載の有機EL素子。
【請求項33】
基板上に第1電極を形成する段階と、
前記第1電極上に、少なくとも1つのリン光物質を含む発光層を形成する段階と、
前記発光層の全体上に共通して少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とが混合された混合物からなる第1層と、少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とが混合された混合物からなる第2層と、から構成された電子輸送層を形成する段階と、
前記電子輸送層上に、第2電極を形成する段階と、
を備えてなることを特徴とする有機EL素子の製造方法。
【請求項34】
前記第1電極は陽極であり、前記第2電極は陰極であることを特徴とする請求項33に記載の有機EL素子の製造方法。
【請求項35】
前記第1電極と発光層との間に、正孔注入層、正孔輸送層のうち少なくともいずれか一つを形成する段階をさらに備えることを特徴とする請求項33に記載の有機EL素子の製造方法。
【請求項36】
前記電子輸送層を形成する段階は、
前記発光層上に少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とが混合された混合物からなる第1層を形成する段階と、
前記第2層上に少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と、少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とが混合された混合物からなる第2層を形成する段階と、からなることを特徴とする請求項33に記載の有機EL素子の製造方法。
【請求項37】
前記第1層上に少なくとも1以上のサブ層から構成され、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた少なくとも2物質が混合された混合物からなるか、または、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた単一物質からなる第3層を形成する段階をさらに備えることを特徴とする請求項36に記載の有機EL素子の製造方法。
【請求項38】
前記第2電極と電子輸送層との間に、電子注入層を形成する段階をさらに備えることを特徴とする請求項33に記載の有機EL素子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子に係り、特に、電子輸送層を有する有機EL素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機EL素子は、ITOなどからなる陽極(anode)とAlなどからなる陰極(cathode)との間に有機物層をその機能別に積層し、電場を加えることによって光を発する素子であって、低い電圧で駆動可能で、電力消耗が比較的少なく、かつ、軽くてフレキシブルな基板上にも素子製作が可能であるという特長がある。
【0003】
一般の有機EL素子の製作方法は、下記の通りである。
【0004】
図1に示すように、ガラス基板上に、ITOなどで陽極を形成し、Oプラズマ(plasma)またはUV−オゾン(Ozone)などで表面処理を行う。
【0005】
続いて、陽極上に、正孔注入層(HIL:hole injecting layer)としてフタロシアニン銅(CuPc:copper phthalocyanine)を約10〜50nmの厚さに蒸着する。
【0006】
その後、正孔注入層上に正孔輸送層(HTL:hole transport layer)として4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約30〜60nmの厚さに蒸着する。
【0007】
そして、正孔輸送層上に、発光層(emitting layer)を形成する。
【0008】
ここで、必要によって発光層にドーパント(dopant)を添加することができる。
【0009】
例えば、緑色(green)発光では、通常、発光層としてtris(8-hydroxy-quinolate)aluminum(Alq)を約30〜60nmの厚さに蒸着し、緑色ドーパント(green dopant)はクマリン(coumarin)545Tなどとする。
【0010】
その後、発光層上に、電子輸送層(ETL:electron transport layer)としてAlqを約200Å〜400Åの厚さに蒸着する。
【0011】
この電子輸送層上に、電子注入層(EIL:electron injection layer)としてLiFやLiOを約5Åの厚さに薄く蒸着するか、または、Li、Ca、Mg、Smなどのアルカリ金属またはアルカリ土金属を約200Åの厚さに蒸着する。
【0012】
この電子注入層上に、陰極(cathode)としてAlを約1000Åの厚さに蒸着する。
【0013】
続いて、陰極上に、UV硬化型接着剤として吸湿剤入りのシールキャップ(seal cap)を合着することで、大気中の水分やO等から有機EL素子を保護することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このようにして製作される一般の有機EL素子は、使用される材料及び積層構造と、陽極の表面処理条件などによって素子の寿命及び効率が大きく異なってくる。
【0015】
そこで、今まで有機EL素子の寿命及び効率を向上させるための多くの研究が行われてきたが、満足すべき研究結果はまだ得られていない現状にある。
【0016】
本発明は上記の目的を達成するためのもので、その目的は、新規の物質で電子輸送層を形成することによって、寿命及び効率が向上した有機EL素子及びその製造方法を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、新規の物質で電子輸送層を形成することによって、工程が単純化した有機EL素子及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る有機EL素子は、陽極と陰極との間に、発光層、電子輸送層を含む積層構造を有し、前記電子輸送層は、少なくとも2以上の物質が混合された混合物からなり、前記発光層に隣接した第1層と、少なくとも2以上の物質が混合された混合物からなり、前記陰極に隣接した第2層と、を含み、前記少なくとも2以上の物質が混合された混合物は、1つの有機化合物と1以上の他の有機化合物、1つの金属または無機化合物と1以上の他の金属または無機化合物、または、1以上の有機化合物と1以上の金属または無機化合物の混合物からなることができる。
【0019】
また、電子輸送層の第1層または第2層は、第1物質と第2物質とが混合された混合物からなり、前記第1物質と第2物質の組成比は、第1物質X:第2物質Y=1〜100:1、または第1物質X:第2物質Y=1:1〜100でありある。
【0020】
電子輸送層の第1層または第2層は、第1物質と2以上の複数物質とが混合された混合物からなり、前記第1物質と複数物質の組成比は、第1物質X:複数物質Y=1〜100:1、または第1物質X:複数物質Y=1:1〜100でありうる。
【0021】
そして、電子輸送層の第1層は、少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とを含み、前記電子輸送層の第2層は、少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と、少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とを含むことができる。
【0022】
ここて、正孔ブロック性質を有する物質は、酸化ポテンシャル(Oxidation Potential)が0.4Vよりも大きく、最高占有分子軌道(HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital))の絶対値が5.2eV以上でありうる。
【0023】
また、電子輸送性質を有する物質は、モビリティ(mobility)が1.0*10−6cm2/Vs以上でありうる。モビリティは、キャリア(Carrier)、即ち電子又は正孔の移動である。モビリティは、例えば、電子移動度(electron mobility)である。
【0024】
また、電子輸送層において、電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質は、無機化合物または金属でありうる。
【0025】
また、電子輸送層の第1層と第2層との間には、少なくとも1以上のサブ層から構成された第3層がさらに形成されることができる。
【0026】
陽極と陰極間とのに、発光層、電子輸送層を含む積層構造を有する本発明のフルカラー有機EL素子は、前記発光層が、少なくとも1つのリン光物質を含み、前記電子輸送層は少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とが混合された混合物からなるともに前記発光層に隣接した第1層と、少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と、少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とが混合された混合物からなるとともに前記陰極に隣接した第2層と、を含むことができる。
【0027】
ここで、電子輸送層の第1層と第2層との間には、少なくとも1以上のサブ層から構成される第3層がさらに形成され、第3層の各サブ層は、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた少なくとも2物質が混合された混合物であるか、または、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた単一物質でありうる。
【0028】
陽極と陰極との間に、発光層、電子輸送層を含む発光ユニットを複数個有する本発明の有機EL素子は、相互に隣接している発光ユニットは、界面層により分離され、前記電子輸送層は、少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とが混合された混合物からなるとともに前記発光層に隣接した第1層と、少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と、少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とが混合された混合物からなるとともに前記陰極に隣接した第2層と、を含むことができる。
【0029】
本発明に係る有機EL素子の製造方法は、基板上に第1電極を形成する段階と、第1電極上に、少なくとも1つのリン光物質を含む発光層を形成する段階と、発光層の全体上に共通して少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とが混合された混合物からなる第1層と、少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とが混合された混合物からなる第2層と、から構成された電子輸送層を形成する段階と、電子輸送層上に、第2電極を形成する段階と、を備えてなることができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明による有機EL素子及びその製造方法は、正孔ブロック物質と電子輸送物質とが混合された電子輸送層の第1層と、電子輸送物質と電子輸送または注入を容易にする物質とが混合された電子輸送層の第2層を同時に適用するため、素子の寿命及び効率が大きく向上する効果が得られる。
【0031】
また、本発明は、正孔ブロック物質と電子輸送物質とが混合された第1層と、電子輸送物質と電子輸送または注入を容易にする物質とが混合された第2層とからなる電子輸送層を使用するため、リン光−蛍光ハイブリッド(hybrid)素子製作時に工程を単純化することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係る好適な有機EL素子及びその製造方法について、添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0033】
一般に、有機EL素子は、陰極と陽極からそれぞれ注入された電子と正孔が発光層中で再結合(recombination)しエキシトンを形成することによって、特定の波長の光を発する。
【0034】
効率的な有機EL素子の構造は、陽極と発光層との間に正孔輸送層を介在し、陰極と発光層との間に電子輸送層を介在した構造である。
【0035】
この構造は、再結合による発光領域が発光層内に制限されるので効率が高い。
【0036】
また、最適の発光効率を得るためには、発光層に注入されたキャリア(Carrier)が発光層の中心で励起するように、正孔と電子とをバランスさせることも重要である。
【0037】
すなわち、正孔輸送層と電子輸送層の輸送能力を考慮し、積層される各層の厚さを調節することによって最適の効率を得ることができる。
【0038】
一般に、有機EL素子は、順方向電圧が印加されると、陽極のITO電極から正孔が発光層に注入され、陰極から電子が発光層に注入され、これら正孔と電子が発光層で再結合することで光を発する。
【0039】
したがって、有機EL素子の内部量子効率は、外部電極から注入された電荷数に対して素子内部で発生した光子数の割合で与えられる。
すなわち、内部量子効率(nint)ηint=γ ηr ηfとなる。
【0040】
ここで、γは、電子と正孔注入のバランスに係わる因子であり、ηrは、電子−正孔再結合による一重項エキシトンの生成効率であり、ηfは、一重項エキシトンの発光量子効率である。
【0041】
スピンS=1/2の電子と正孔が発光層でエキシトンを形成する際、2スピンが対称に配列するS=1の三重項(triplet)状態と2スピンが反対称に配列するS=0の一重項状態が3:1の割合で生成されるが、大部分の分子の基底状態はスピン一重項状態とされる。
【0042】
したがって、量子力学的選択率(selection rule)によれば、一重項エキシトンは基底状態への発光遷移(radiative transition)が許容され、これを‘蛍光(fluorescence)’という。
【0043】
三重項エキシトンが、一重項の基底状態へ光を発しながら遷移することは禁じられる。
【0044】
ところが、スピン・軌道結合(spin-orbit coupling)のような摂動により三重項エキシトンも光を発しながら遷移可能であり、これを‘リン光(phosphorescence)’という。
【0045】
リン光または蛍光有機EL素子において最大の効率を得るためには、電子と正孔注入がバランスされなければならない(γ:charge balance factor)
【0046】
一般の有機EL素子では、電子(electron)よりも正孔(hole)の数が過度に発光層に注入されるのが殆どであり、このため、効率が低下する。
【0047】
これを防ぐために、発光層中に注入される正孔を抑制すると、大部分の場合、I−Vカーブ(curve)で電圧(voltage)が上昇してしまう。
【0048】
この種の短所を補うためには、発光層への電子の注入を最大限に高め、発光層に注入された正孔を適宜遮断しうる電子輸送層(electron transporting layer)が必要とされる。
【0049】
本発明は、新規の物質を電子輸送層とすることによって、高効率の有機EL素子を得ることができ、結果として素子の寿命も向上させることができる。
【0050】
本発明による有機EL素子は、大きく、基板、基板上に形成される第1電極、第1電極上に形成される発光層、発光層上に形成される第2電極、及び第1電極と発光層との間、第2電極と発光層との間のうち少なくともいずれか1箇所に形成される電子輸送層から構成される。
【0051】
ここで、第1及び第2電極のいずれか一つは、透明な物質からなる陽極または陰極でありうる。
【0052】
本発明で使用される電子輸送層は、第1層及び第2層からなり、第1層及び第2層は、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた2以上の物質が混合された混合物からなる。
【0053】
すなわち、本発明の電子輸送層の第1層または第2層は、1つの有機化合物と1以上の他の有機化合物、または1つの金属または無機化合物と1以上の他の金属または無機化合物、または1以上の有機化合物と1以上の金属または無機化合物の混合物からなることができる。
【0054】
そして、電子輸送層の第1層または第2層の厚さはそれぞれ、約0.1〜200nmが好ましい。
【0055】
また、本発明の電子輸送層の第1層または第2層は、第1物質と第2物質とが混合された混合物からなり、この場合、第1物質と第2物質との組成比は、第1物質X:第2物質Y=1〜100:1、または、第1物質X:第2物質Y=1:1〜100でありうる。
【0056】
本発明の電子輸送層の第1層または第2層が、第1物質と2以上の複数物質とが混合された混合物からなると、第1物質と複数物質との組成比は、第1物質X:複数物質Y=1〜100:1、または、第1物質X:複数物質Y=1:1〜100でありうる。
【0057】
本発明の電子輸送層の第1層は、発光層に隣接し、少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と、少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質を含む。
【0058】
また、本発明の電子輸送層の第2層は、第1電極または第2電極に隣接し、少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と、少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とを含む。
【0059】
ここで、正孔ブロック性質を有する物質は、酸化ポテンシャル(Oxidation Potential)が0.4Vよりも大きく、最高占有分子軌道(HOMO(Highest Occupied Molecular Orbital))の絶対値が5.2eV以上であるものが好ましい。
【0060】
一般に、HOMOの絶対値が、緑色ドーパント(Green dopant)では約5.2eV、赤色ドーパントでは約5eV、青色ドーパントでは約5.1eV以上とされるので、正孔ブロック物質(hole blocking material)は、HOMOの絶対値が5.2eV以上の物質が使用され、正孔及び発光層中で形成されたエキシトン(exciton)を遮断(blocking)する役割を果たす。
【0061】
正孔ブロック性質を有する物質は、置換または非置換の8-ヒドロキシキノリン(8-hydroxyquinoline)を含む金属錯物であり、この金属は、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、リチウム(Li)から選ばれることができる。
【0062】
正孔ブロック性質を有する物質は、置換または非置換の1,10−フェナントロリン(1,10-phenanthroline)誘導体、または、置換または非置換のカルバゾール(Carbazole)誘導体でありうる。
【0063】
正孔ブロック性質を有する物質は、図2a乃至図2eに示すように、Balq(aluminum(III)bis(2-methyl-8-quinolinato)4-phenylphenolate)、BCP(2,9-Dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-phenanthroline)、CBP[4,48-N,N8-diCarbazole-1,18-biphenyl]、CF−X、CF−Yなどから選ばれることができる。
【0064】
また、電子輸送性質を有する物質は、モビリティ(mobility)が1.0*10−6cm2/Vs以上であるものが好ましい。
【0065】
電子輸送性質を有する物質は、図3a乃至図3hに示すように、置換または非置換のAlコンプレックス(complex)、置換または非置換のBeコンプレックス、置換または非置換のZnコンプレックス、置換または非置換のオキシジアゾール(oxidiazole)誘導体、置換または非置換のトリアゾール(triazole)誘導体、置換または非置換のチオフェン(thiophene)誘導体、置換または非置換のピロール(pyrrole)誘導体、置換または非置換のシラシクロペンタジエン(sila-cyclopentadiene)誘導体、置換または非置換のアントラセン(anthracene)誘導体、置換または非置換のピレン(pyrene)誘導体、置換または非置換のペリレン(perylene)誘導体から選ばれることができる。
【0066】
電子輸送性質を有する物質は、図4a乃至図4hに示すように、Alq[Tris-(8-hydroxyquinolinolato)-aluminium]、BeBq[bis(10-hydroxybenzo[h]quinolinato)beryllium]、Zn(oxz)[Bis(2-(2-hydroxyphenyl)-benz-1,3-oxadiazolato)zinc]、PBD[2-(4-biphenylyl)-5-(4-tert-butyl-phenyl)-1,3,4-oxadiazole]、TAZ[3-(4-Biphenylyl)-4-phenyl-5-tert-butylphenyl-1,2,4-triazole]、Liq[8-Quinolinolato Lithium]、Mgq[Bis(8-Quinolinolato)Magnesium]、Znq[Bis(8-Quinolinolato)Zinc]から選ばれることができる。
【0067】
また、電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質は、無機化合物または金属でありうる。
【0068】
無機化合物は、アルカリ金属化合物、アルカリ土金属化合物、土金属化合物、ランタニド化合物から選ばれることができる。
【0069】
具体的に、無機化合物は、LiF、NaF、KF、RbF、CsF、FrF、MgF、CaF、SrF、BaF、LiCl、NaCl、KCl、RbCl、CsCl、FrClのハライド化合物と、LiO、Li、NaO、KO、RbO、Rb、CsO、Cs、LiAlO、LiBO、LiTaO、LiNbO、LiWO、LiCO、NaWO、KAlO、KSiO、B、Al、SiOの酸化物から選ばれることができる。
【0070】
そして、金属は、アルカリ金属、アルカリ土金属、土金属、希土類金属及それらの合金から選ばれることができる。
【0071】
具体的に、金属は、Li、Na、K、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Y、La、Ce、Sm、Gd、Eb、Yb、Al:Li合金、Mg:Sr合金、In:Li合金から選ばれることができる。
【0072】
一方、第1電極または第2電極に隣接した電子輸送層の第2層が、少なくとも1以上の有機化合物または少なくとも1以上の有機金属化合物からなると、有機または有機金属化合物は、フタロシアン(phthalocyanine)誘導体及び金属フタロシアン(metallophthalocyanine)誘導体であって、金属成分は、Co、AlCl、Cu、Li、Fe、Pb、Mg、Na、Sn、Zn、Ni、Mn、VO、Ag、MnCl、SiCl、SnClのいずれか一つからなり、または、ポルフィリン(porphyrin)誘導体及び金属ポルフィリン(metalloporphyrin)誘導体であって、金属成分は、Co、AlCl、Cu、Li、Fe、Pb、Mg、Na、Sn、Zn、Ni、Mn、VO、Ag、MnCl、SiCl、SnClのいずれか一つから構成されることができる。
【0073】
また、電子輸送層の第1層と第2層との間には第3層がさらに形成されても良い。
【0074】
ここで、第3層は、少なくとも1以上のサブ層から構成され、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた少なくとも2物質が混合された混合物であるか、または、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた単一物質でありうる。
【0075】
また、電子輸送層の第3層は、電子輸送層の第1及び第2層と同じ物質または異なる物質からなりうる。
【0076】
このような新規の物質の電子輸送層は、多様な構造の有機EL素子に適用することができる。
【0077】
図5乃至図8は、本発明の第1乃至第4実施例による有機EL素子の構造を示す図である。
【0078】
図5及び図6は、それぞれ第1実施例及び第2実施例に係る有機EL素子の構造を示す図である。
第1及び第2実施例に係る有機EL素子は、基板(Substrate)と、陽極(Anode)と、正孔注入層(HIL)及び/又は正孔輸送層(HTL)と、発光層(emitting layer)と、電子輸送層(ETL)と、電子注入層(EIL)と、陰極(Cathode)とを備えている。
本発明は、図5及び図6に示すように、電子輸送層(ETL)は、発光層に隣接した第1層(first layer)と、陰極(Cahode)に隣接した第2層(Second layer)とからなり、第1層と第2層との間には、1以上のサブ層(Sublayer)を有する第3層(Third layer)が形成されている。ここで、第3層は省いても良い。
【0079】
また、陽極(Anode)と発光層(emitting layer)との間に、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)の少なくも1層を形成することができる。
【0080】
そして、本発明では、陰極と電子輸送層との間で電子注入層(EIL)を省略しても、陰極と電子輸送層との間に電子注入層(EIL)を形成しても良い。
【0081】
また、発光層は、少なくとも1つのリン光物質が含まれても良い。
基板(Substrate)は、透明基板とすることができる。透明基板としては、ガラス基板を使用することができる。
【0082】
なお、本発明は、図7に示すように、発光層を複数の層としても良い。
図7は、第3実施例に係る有機EL素子の構造を示す図である。本実施例に係る有機EL素子は、複数の発光層として、第1発光層(First emitting layer)、第2発光層(Second emitting layer)、・・第N発光層(Nth emitting layer)を備える。ここで、Nは、2以上の自然数である。
【0083】
このように、本発明によれば、多様な構造の有機EL素子が製作可能になる。
【0084】
本発明は、図8に示すように、マルチタイプの有機EL素子を製作することもできる。
【0085】
本発明は、陽極(Anode)と陰極(Cathode)との間に、発光層(emitting layer)、電子輸送層(ETL)を含む複数個の発光ユニット(unit)を有しており、隣接する発光ユニットは界面層(interlayer)により分離される。
【0086】
ここで、各発光ユニットは、少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とが混合された混合物からなる第1層と、少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と少なくとも一つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とが混合された混合物からなる第2層とからなる電子輸送層を含む。
【0087】
ここで、電子輸送層の第1層と第2層との間には、1以上のサブ層(Sublayer)から構成される第3層(third layer)がさらに形成されても良い。
【0088】
第3層の各サブ層は、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた少なくとも2物質が混合された混合物であるか、または、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた単一物質でありうる。
【0089】
そして、各発光ユニットは、同じ積層構造を有するか、あるいは、それぞれ異なる積層構造を有する。
【0090】
本発明による有機EL素子は、下記の通りに製作される。
【0091】
まず、基板(Substrate)上に、第1電極(例えば、陽極)を形成し、第1電極上に、少なくとも1つのリン光物質を含む発光層(emitting layer)を形成する。第1電極と発光層との間に、正孔注入層(HIL)及び正孔輸送層(HTL)のうち少なくとも1層を形成することができる。
【0092】
続いて、発光層の全体上に共通して少なくとも1つの正孔ブロック(hole block)性質を有する物質と少なくとも1つの電子輸送(electron transport)性質を有する物質とが混合された混合物からなる第1層と、少なくとも1つの電子輸送性質を有する物質と少なくとも1つの電子注入または輸送を容易にする性質を有する物質とが混合された混合物からなる第2層と、から構成された電子輸送層(ETL)を形成する。
【0093】
場合によって、電子輸送層は、第1層上に少なくとも1以上のサブ層から構成され、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた少なくとも2物質が混合された混合物、または、有機化合物、金属化合物、無機化合物から選ばれた単一物質からなる第3層をさらに含む。
【0094】
この電子輸送層上に、第2電極を形成する。
【0095】
このように、リン光物質(phosphorescence materials)が含まれた発光層(emitting layer)を使用する場合(リン光有機EL素子)では、電子輸送層(ETL:electron transport layer)が正孔ブロック(Holeblock)機能を遂行するので、正孔ブロック層を別に形成する必要がない。
【0096】
したがって、本発明は、別途の正孔ブロック層を省き電子輸送層のみを形成することで済むので、工程が単純化する長所がある。
【0097】
特に、フルカラー(full color)有機EL素子を製作する際に、赤色(Red)、緑色(Green)、青色(Blue)発光層のうち少なくともいずれか一つは蛍光発光層であり、少なくともいずれか一つはリン光発光層である場合(リン光−蛍光ハイブリッド(hybrid)有機EL素子)では、本発明は、リン光発光層に別途の正孔ブロック層を形成せずに、正孔ブロック機能を遂行する電子輸送層を、リン光及び蛍光発光層全体に同一に形成することができるので、工程が単純化する。
【0098】
このようにして製作される本発明の特性を調べるために、まず、一般の電子輸送層物質として用いられるAlqと正孔ブロック物質として用いられるBalq[aluminum(III)bis(2-methyl-8-quinolinato)4-phenylphenolate]のIVL特性を比較してみた。
【0099】
例1
1)まず、透明基板上にITOの陽極を形成し、陽極上に、フタロシアニン銅(CuPc)からなる正孔注入層を約25nm被覆する。
2)その上に、正孔輸送層として4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約35nm被覆する。
3)正孔輸送層上に、緑色発光層を作るために、8-hydroxyquinoline aluminum(Alq)にCoを約1%ドーピングして25nm程度被覆する。
4)次に、発光層上に、電子輸送層(ETL)としてAlq(素子A)またはBalq(素子B)を35nm程度被覆する。
5)電子輸送層上に、電子注入層(EIL)としてLiFを0.5nm程度被覆する。
6)電子注入層上に、陰極としてAlを150nm被覆する。
【0100】
このようにして製作された素子Aと素子BのIVLを比較すると、図9及び図10のグラフのようになる。図9において、横軸は電圧(Voltage)[V]、縦軸は電流密度(current density)[mA/cm2]である。図10において、横軸は電流密度(current density)[mA/cm2]、縦軸は輝度(Luminance)[nit]である。
【0101】
すなわち、電子輸送層としてAlqが使用された素子Aでは、正孔(hole)が多数キャリア(major carrier)となる。
【0102】
したがって、発光層には、注入された多数の正孔が残るようになる。
【0103】
このような正孔を抑制(block)するためにBalqを使用すると、正孔は抑制されるが、Balqの電子移動度(electron mobility)がAlqに比べて劣ることになる。
【0104】
したがって、図9及び図10に示すように、電子輸送層としてBalqを使用した素子Bが、Alqを使用した素子AよりもI−Vカーブ(curve)において電圧が約1.2V高く、性能が劣ることがわかる。
【0105】
この結果からわかるように、正孔ブロック性質と電子輸送性質を同時に有する物質が求められるが、今のところ2性質を同時に満足する物質は開発されていないのである。
【0106】
そこで、本発明では、電子輸送層の物質を、正孔ブロック性質を有する物質と電子輸送性質を有する物質とを混合したものとし、電子輸送層の電子輸送能力を維持するとともに正孔を抑制し、発光層内で正孔と電子のチャージバランス(charge balance)を合わせることによって、有機EL素子の効率を向上させた。
【0107】
例2
図11は、本発明の特性を説明するための実施例である。
1)まず、透明基板上にITOの陽極を形成し、陽極上に、フタロシアニン銅(CuPc)からなる正孔注入層を約25nm被覆する。
2)その上に、正孔輸送層として4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約35nm被覆する。
3)正孔輸送層上に、緑色発光層を作るために、8-hydroxyquinoline aluminum(Alq)にC545Tを約1%ドーピングして25nm程度被覆する。
4)発光層上に、電子輸送層(ETL)として電子移動度(electronmobility)の良好なAlqと正孔ブロック能力に優れたBalqを、Balq:Alq=3:7(素子C)、Balq:Alq=5:5(素子D)またはBalq:Alq=7:3(素子E)vol%の割合として35nm程度被覆する。
5)電子輸送層上に、電子注入層(EIL)としてLiFを0.5nm程度被覆する。
6)電子注入層上に、陰極としてAlを150nm被覆する。
【0108】
このようにして製作された素子C、素子D、素子EのIVLを比較してみると、図12及び図13のようになる。図12において、横軸は電圧(Voltage)[V]、縦軸は電流密度(current density)[mA/cm2]である。図13において、横軸は電流密度(current density)[mA/cm2]、縦軸は輝度(Luminance)[nit]である。
【0109】
図12及び図13に示すように、素子C(Balq:Alq=3:7)は、I−L特性は良好であるが、I−V特性は、Alqを単独使用した素子Aと略同様だった。
【0110】
これに対し、素子E(Balq:Alq=7:3)は、I−L特性が良好で、I−V特性は、3素子の中で最も高くなるが、例1におけるBalqを単独使用した素子Bの場合に比べて電圧が低減されて向上したことがわかる。
【0111】
以上の実験結果からわかるように、有機EL素子において、電子輸送層に正孔ブロック性質を有する物質を適宜混合することによって、陽極(ITO)から正孔輸送層を通って発光層に注入された正孔を、発光層内に制限(confine)し、有機EL素子の効率を増大させることができる。
【0112】
下記表1は、電流密度(Current density)50mA/cm2で各素子の特性を比較したものである。
【表1】


【0113】
例3
次に、本発明で使用された電子輸送層の他の例について説明する。
電子を輸送する物質をBeBqとし、正孔を抑制する物質をBalqとして素子を製作した。
ここで、BeBqは、上記の例で使用されたAlqよりも電子輸送能力に優れているため、素子の性能がより高められた。
図14は、本発明の特性を説明するための実施例である。
1)まず、透明基板上にITOの陽極を形成し、陽極上に、フタロシアニン銅(CuPc)からなる正孔注入層を約25nm被覆する。
2)その上に、正孔輸送層として4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約35nm被覆する。
3)正孔輸送層上に、緑色発光層を作るために、8-hydroxyquinoline aluminum(Alq)にC545Tを約1%ドーピングして25nm程度被覆する。
4)発光層上に、電子輸送層(ETL)として電子移動度(electron mobility)が良好なBeBqと正孔ブロック能力に優れたBalqを、Balq:BeBq2=5:5(素子F)vol%の割合として35nm程度被覆する。
5)電子輸送層上に、電子注入層(EIL)としてLiFを0.5nm程度被覆する。
6)電子注入層上に、陰極としてAlを150nm被覆する。
【0114】
このようにして製作された素子Fを、素子A、素子Dの特性と比較し、下記表2に示す。
【0115】
下記表2は、電流密度(Current density)50mA/cm2で各素子の特性を比較したものである。
【表2】


【0116】
表2に示すように、BalqとBeBqとを混合した素子Fは、素子Aに比べてI−V特性が0.8V向上し、I−L特性が約3820nitさらに向上する。
【0117】
したがって、素子Fのパワー効率(power efficiency)は、素子Aの基準値よりも約176%向上した。
【0118】
素子Aと素子Fの寿命を比較し、図15に示す。図15のグラフにおいて、横軸は寿命(Servicelife[時間:hrs]、上段グラフ縦軸は輝度L/L0(Luminance)[%]、下段グラフ縦軸は電圧(Voltage)[V]である。ここで、L0=5000 [nit(cd/m2)]である。
図15を参照すると、同輝度5000nit(L/L0=100%)で、素子Fの寿命が素子Aに比べて顕著に向上したことがわかる。
【0119】
次に、本発明で使用された電子輸送層が、リン光有機EL素子に適用された場合について説明する。
【0120】
一般に、スピンS=1/2の電子と正孔が発光層でエキシトンを形成する際に、2スピンが対称に配列するS=1の三重項(triplet)状態と2スピンが反対称に配列するS=0の一重項状態が3:1の割合で生成されるが、大部分の分子の基底状態はスピン一重項状態とされる。
【0121】
したがって、量子力学的選択率(selection rule)によれば、一重項エキシトンは基底状態への発光遷移(radiative transition)が許容され、これを‘蛍光(fluorescence)’という。
【0122】
三重項エキシトンが、一重項の基底状態へ光を発しながら遷移することは禁じられる。
【0123】
ところが、スピン・軌道結合(spin-orbit coupling)のような摂動により三重項エキシトンも光を発しながら遷移可能であり、これを‘リン光(phosphorescence)’という。
【0124】
リン光素子では三重項エキシトン(Triplet exciton)を用いて光を得るようになるが、発光層で形成された三重項エキシトンが陰極側に移動できないように発光層内に三重項エキシトンを制限(confine)するために発光層の後に正孔ブロック層(hole-blocking layer)を使用することができる。
【0125】
すなわち、リン光有機EL素子は、発光層の後に三重項エキシトンを制限できる正孔ブロック層及び電子輸送層の2層を使用することができる。
【0126】
しかしながら、本発明のように、上記の2機能を果たせる電子輸送層を使用すると、正孔ブロック層を別に使用する必要がない。
【0127】
例4
図16及び図17は、本発明の特性を説明するための実施例である。
1)まず、透明基板上に、ITOの陽極を形成し、陽極上に、フタロシアニン銅(CuPc)からなる正孔注入層を約25nm被覆する。
2)その上に、正孔輸送層として4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約35nm被覆する。
3)正孔輸送層上に、リン光緑色発光層を作るために、4,48-N,N8-dicarbazole-1,18-biphenyl(CBP)にtris(2-phenylpyridine)iridium[Ir(ppy)3]を約8%ドーピングして約25nm程度被覆する。
4)続いて、三重項エキシトンを抑制する物質として、2,9-dimethyl-4,7-diphenyl 1,10-phenanthroline(BCP)を10nm程度被覆し、電子輸送層(ETL)としてAlq3を25nm程度被覆する。
すなわち、
CBP+Ir(ppy)3(8%)[25nm]/BCP[10nm]/Alq[25nm]………素子G
とする。
または、本発明で使用された電子輸送層として、電子移動度(electron mobility)が良好なBeBqと正孔ブロック能力に優れたBalqをそれぞれvol%で5:5の割合として35nm程度被覆する。
すなわち、
CBP+Ir(ppy)3(8%)[25nm]/Balq:BeBq=5:5[35nm]………素子H
とする。
5)電子輸送層上に、電子注入層(EIL)としてLiFを0.5nm程度被覆する。
6)電子注入層上に、陰極としてAlを150nm被覆する。
【0128】
このようにして製作された素子Gと素子Hの特性を比較し、下記表3に示す。
【0129】
表3は、電流密度25mA/cm2で各素子の特性を比較したものである。
【表3】


【0130】
上記表3からわかるように、電子輸送層を使用した本発明(素子H)は、BCP/Alqを使用した既存素子(素子G)と同じ特性(lm/W)が得られた。
【0131】
したがって、本発明で使用された電子輸送層は、正孔ブロック層を別途に形成した既存の素子と同等の特性及び効率が得られるに加えて、工程を単純化できるという利点が得られる。
【0132】
以下、有機EL素子を用いてフルカラー有機ELパネルを製作する場合について説明する。
【0133】
仮に、R、G、B発光素子が全て蛍光またはリン光物質を使用すると、電子輸送層は同じものを使用する。
【0134】
しかしながら、R、G、B発光素子のうち1つまたは2つが、リン光または蛍光物質を使用する場合には、リン光物質を使用する素子は、三重項エキシトンを抑制する抑制層(Blocking layer)を使用しなければならない。
【0135】
したがって、リン光物質を使用する素子と蛍光物質を使用する素子は、発光層の次に蒸着される電子輸送層が異なる。
すなわち、電子輸送層は各素子に対して下記のように蒸着される。
【0136】
例えば、
Greenリン光素子:CBP+Ir(ppy)3/BCP(10nm)/Alq(25nm)
Red蛍光素子:Alq+dcjtb/Alq(35nm)
Blue蛍光素子:DPVBi/Alq(35nm)
となる。
【0137】
しかしながら、本発明の電子輸送層は、正孔ブロック物質が混合されているので、各発光素子ごとに電子輸送層を異なる構造とする必要がなく、よって、一つの電子輸送層だけですむので工程が簡易化する。
【0138】
例えば、
Greenリン光素子:CBP+Ir(ppy)3/Balq:BeBq=5:5、35nm
Red蛍光素子:Alq+dcjtb/Balq:BeBq2=5:5、35nm
Blue蛍光素子:DPVBi/Balq:BeBq=5:5、35nm
となる。
【0139】
このように、本発明は、共通の電子輸送層を使用する場合、リン光−蛍光ハイブリッド(hybrid)素子においても工程の単純化に加えて素子の効率も高めることができる。
【0140】
次に、本発明の有機EL素子は、発光層に注入されるキャリア(Carrier)において少数キャリア(minor Carrier)が電子(electron)であるので、少数キャリアの注入能力を向上させると、I−Vカーブと、I−Lカーブに示すように、素子の効率が向上することがわかる。
【0141】
例5
1)まず、透明基板上に、ITOの陽極を形成し、陽極上に、フタロシアニン銅(CuPc)からなる正孔注入層を約25nm被覆する。
2)その上に、正孔輸送層として4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約35nm被覆する。
3)正孔輸送層上に、緑色発光層を作るために、8-hydroxyquinoline aluminum(Alq)にC545Tを約1%ドーピングし、これを25nm程度被覆する。
4)発光層上に、電子輸送層(ETL)の第1層としてAlqを約25nm被覆する。
5)電子輸送層の第1層上に、電子輸送層の第2層をBeBq:LiF=1:1(素子I)vol%の割合として約35nm被覆する。
ここで、電子輸送層の第2層は、電子注入層(EIL:electron injection layer)の機能をも兼ねる。
6)電子輸送層の第2層上に、陰極としてAlを150nm程度被覆する。
【0142】
このようにして製作された素子Iを素子Aの特性と比較し、下記表4に示す。
【0143】
下記表4は、電流密度(Current density)50mA/cm2で各素子の特性を比較したものである。
【表4】


【0144】
表4、図18及び図19に示すように、素子Aに比べて、電子輸送層の第2層としてBeBqとLiFを共蒸着(co-deposition)した素子Iが、I−Vカーブにおいて電圧が約1V向上し、I−Lカーブにおいて効率の上昇が見られた。ここで、図18において、横軸は電圧(Voltage)[V]、縦軸は電流密度(current density)[mA/cm2]である。図19において、横軸は電流密度(current density)[mA/cm2]、縦軸は輝度(Luminance)[nit]である。
【0145】
図20乃至図24に示すように、本発明は、素子Iのような構造を導入することによって、電子輸送層と陰極間のポテンシャルバリア高さ(Potential barrier height)を下げることができ、電子注入が容易となる。
【0146】
したがって、本発明は、電圧減少と効率の向上が図られることがわかる。
【0147】
例6
例6は、例3における電子輸送層と例5における電子輸送層の第2層を同時に適用したものである。
1)まず、透明基板上に、ITOの陽極を形成し、陽極上に、フタロシアニン銅(CuPc)からなる正孔注入層を約25nm被覆する。
2)その上に、正孔輸送層として4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約35nm被覆する。
3)正孔輸送層上に、緑色発光層を作るために、8-hydroxyquinoline aluminum(Alq)にC545Tを約1%ドーピングし、これを25nm程度被覆する。
4)発光層上に、電子輸送層(ETL)の第1層を形成する。
電子輸送層の第1層は、正孔ブロック性質を有する物質(HBM:Hole Blocking Materials)であるBalqと発光層(Emitting Layer)への電子輸送を促す物質であるAlqとを5:5vol%の割合として共蒸着して約25nmとした。
5)電子輸送層の第1層上に、電子輸送層の第2層を形成する。
電子輸送層の第2層は、電子輸送を促す物質であるBeBqと電子注入を促す物質であるLiFを1:1vol%の割合として共蒸着して約10nmとした。
すなわち、電子輸送層の第1層/電子輸送層の第2層は、
Balq:Alq(5:5)[25nm]/BeBq:LiF(1:1)[10nm]………素子J
とする。
6)電子輸送層の第2層上に、陰極としてAlを150nm程度被覆する。
【0148】
このようにして製作された素子Jの特性は、図25及び図26に示すように、電子輸送層の第1層特徴と電子輸送層の第2層特徴とが結合して優れた特性が得られたことがわかる。図25において、横軸は電圧(Voltage)[V]、縦軸は電流密度(current density)[mA/cm2]である。図26において、横軸は電流密度(current density)[mA/cm2]、縦軸は輝度(Luminance)[nit]である。
【0149】
下記表5は、電流密度(Current density)50mA/cm2で各素子の特性を比較したものである。
【表5】


【0150】
表5からわかるように、電子輸送層の第1層と電子輸送層の第2層をそれぞれ別に適用した場合、それぞれ最大140%程度の効率上昇が得られたが、素子Jのように電子輸送層の第1層と電子輸送層の第2層を同時に適用すると、素子Aに比べて約200%以上の素子の効率向上が得られた。
【0151】
例7
例7は、例3における電子輸送層と例5における電子輸送層の第2層を同時に適用した例6の変形例である。
1)まず、透明基板上にITOの陽極を形成し、陽極上に、フタロシアニン銅(CuPc)からなる正孔注入層を約25nm被覆する。
2)その上に、正孔輸送層として、4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約35nm被覆する。
3)正孔輸送層上に、緑色発光層を作るために、8-hydroxyquinoline aluminum(Alq)にC545Tを約1%ドーピングし、これを25nm程度被覆する。
4)発光層上に、電子輸送層(ETL)の第1層を形成する。
電子輸送層の第1層は、正孔ブロック性質を有する物質(HBM)であるBalqと発光層への電子輸送を促す物質であるBeBqを5:5vol%の割合として共蒸着(co-deposition)して約25nmとした。
5)次に、電子輸送層の第1層上に、電子輸送層の第2層を形成する。
電子輸送層の第2層は、電子輸送を促す物質であるBeBqと電子注入を促す物質であるLiFを1:1vol%の割合として共蒸着して約10nmとした。
すなわち、電子輸送層の第1層/電子輸送層の第2層は、
Balq:BeBq(5:5)[25nm]/BeBq:LiF(1:1)[10nm]………素子K
とする。
6)電子輸送層の第2層上に、陰極としてAlを150nm程度被覆する。
【0152】
このようにして製作された素子Kの特性は、電子輸送層の第1層特徴と電子輸送層の第2層特徴とが結合されて優れた特性を示している。
【0153】
下記表6は、電流密度(Current density)50mA/cm2で各素子の特性を比較したものである。
【表6】


【0154】
上記表6に示すように、電子輸送層の第1層と電子輸送層の第2層をそれぞれ別途適用した場合、それぞれ最大140%程度の効率上昇が得られたが、素子Kのように電子輸送層の第1層と電子輸送層の第2層を同時に適用すると、素子Aに比べて約230%以上の素子の効率向上が得られた。
【0155】
素子Aと素子Kの寿命を比較してみると、図27に示すように、同じ輝度5000nitで素子Kの寿命が顕著に向上したし、例3の素子Fよりも寿命が向上したことが分かる。図27のグラフにおいて、横軸は寿命(Servicelife[時間:hrs]、上段グラフ縦軸は輝度L/L0(Luminance)[%]、下段グラフ縦軸は電圧(Voltage)[V]である。ここで、L0=5000 [nit(cd/m2)]である。
【0156】
例8
例8は、例3における電子輸送層と例5における電子輸送層の第2層を同時に適用した例6の他の変形例である。
1)まず、透明基板上にITOの陽極を形成し、陽極上に、フタロシアニン銅(CuPc)からなる正孔注入層を約25nm被覆する。
2)その上に、正孔輸送層として4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約35nm被覆する。
3)正孔輸送層上に、緑色発光層を作るために、8-hydroxyquinoline aluminum(Alq)にC545Tを約1%ドーピングし、これを25nm程度被覆する。
4)発光層上に、電子輸送層(ETL)の第1層を形成する。
電子輸送層の第1層は、正孔ブロック性質を有する物質(HBM:Hole Blocking Materials)であるBCPと発光層(EmittingLayer)への電子輸送を促す物質であるBeBq2を5:5vol%の割合として共蒸着(co-deposition)して約25nmとした。
5)電子輸送層の第1層上に、電子輸送層の第2層を形成する。
電子輸送層の第2層は、電子輸送を促す物質であるBeBqと電子注入を促す物質であるLiFを1:1vol%割合として共蒸着して約10nmとした。
すなわち、電子輸送層の第1層/電子輸送層の第2層は、
BCP:BeBq(5:5)[25nm]/BeBq:LiF(1:1)[10nm]………素子L
とする。
6)次に、電子輸送層の第2層上に、陰極としてAlを150nm程度被覆する。
【0157】
このようにして製作された素子Lの特性は、電子輸送層の第1層特徴と電子輸送層の第2層特徴とが結合して優れた特性を示した。
【0158】
下記表7は、電流密度(Current density)50mA/cm2で各素子の特性を比較したものである。
【表7】


【0159】
表7からわかるように、電子輸送層の第1層と電子輸送層の第2層をそれぞれ別途適用した場合、それぞれ最大140%程度の効率上昇が得られたが、素子Lのように電子輸送層の第1層と電子輸送層の第2層を同時に適用すると、素子Aに比べて約260%以上の素子効率向上が得られた。
【0160】
例9
例9は、電子輸送層の第1層を単一物質とし、電子輸送層の第2層を混合物質としたものである。
1)まず、透明基板上にITOの陽極を形成し、陽極上に、フタロシアニン銅(CuPc)からなる正孔注入層を約25nm被覆する。
2)その上に、正孔輸送層として4,4'-bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl(NPD)を約35nm被覆する。
3)正孔輸送層上に、緑色発光層を作るために、8-hydroxyquinoline aluminum(Alq)にC545Tを約1%ドーピングし、これを25nm程度被覆する。
4)発光層上に、電子輸送層(ETL)の第1層を形成する。
電子輸送層の第1層は、正孔ブロック性質を有する物質(HBM)であるBalqを約10nmとして形成する。
5)電子輸送層の第1層上に、電子輸送層の第2層を形成する。
電子輸送層の第2層は、電子輸送を促す物質であるBeBqと電子注入を促す物質であるLiFを1:1vol%の割合として共蒸して約25nmとした。
すなわち、電子輸送層の第1層/電子輸送層の第2層は、
Balq[10nm]/BeBq:LiF(1:1)[25nm]………素子M
6)電子輸送層の第2層上に、陰極としてAlを150nm程度被覆する。
【0161】
このようにして製作された素子Mの特性は、電子輸送層の第1層特徴と電子輸送層の第2層特徴とが結合して優れた特性を示した。
【0162】
下記表8は、電流密度(Current density)50mA/cm2で各素子の特性を比較したものである。
【表8】


【0163】
上記表8からわかるように、素子Mは、素子Aに比べて約140%以上の素子効率向上が得られた。
【0164】
以上説明した内容から本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で多様な変更及び修正が可能であることは、当業者にとっては明らかであるだろう。したがって、本発明の技術的範囲は、上記記載された内容に限定されてはいけなく、特許請求の範囲によって定められるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】一般の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図2A】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される正孔ブロック物質の化学構造式である。
【図2B】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される正孔ブロック物質の化学構造式である。
【図2C】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される正孔ブロック物質の化学構造式である。
【図2D】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される正孔ブロック物質の化学構造式である。
【図2E】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される正孔ブロック物質の化学構造式である。
【図3A】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される誘導体の化学構造式である。
【図3B】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される誘導体の化学構造式である。
【図3C】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される誘導体の化学構造式である。
【図3D】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される誘導体の化学構造式である。
【図3E】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される誘導体の化学構造式である。
【図3F】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される誘導体の化学構造式である。
【図3G】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される誘導体の化学構造式である。
【図3H】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される誘導体の化学構造式である。
【図4A】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される電子輸送物質の化学構造式である。
【図4B】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される電子輸送物質の化学構造式である。
【図4C】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される電子輸送物質の化学構造式である。
【図4D】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される電子輸送物質の化学構造式である。
【図4E】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される電子輸送物質の化学構造式である。
【図4F】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される電子輸送物質の化学構造式である。
【図4G】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される電子輸送物質の化学構造式である。
【図4H】本発明による有機EL素子の電子輸送層に使用される電子輸送物質の化学構造式である。
【図5】本発明の第1実施例による有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第2実施例による有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第3実施例による有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第4実施例による有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図9】電子輸送層に使用される物質によるIVLの特性を比較したグラフである(I−V特性)。
【図10】電子輸送層に使用される物質によるIVLの特性を比較したグラフである(I−L特性)。
【図11】Balq:Alq電子輸送層を有する有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図12】Balq:Alq電子輸送層の組成比によるIVLの特性を比較したグラフである(I−V特性)。
【図13】Balq:Alq電子輸送層の組成比によるIVLの特性を比較したグラフである(I−L特性)。
【図14】Balq:BeBq電子輸送層を有する有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図15】電子輸送層に使用される物質による素子の寿命を比較したグラフである。
【図16】本発明の特性を説明するための有機EL素子の構造断面図である。
【図17】本発明の特性を説明するための有機EL素子の構造断面図である。
【図18】Alq/BeBq:LiF電子輸送層によるIVLの特性を比較したグラフである(I−V特性)。
【図19】Alq/BeBq:LiF電子輸送層によるIVLの特性を比較したグラフである(I−L特性)。
【図20】BeBq/LiF/Al電子輸送層の組成比による特性を比較したグラフである。
【図21】BeBq/LiF/Al電子輸送層の組成比による特性を比較したグラフである。
【図22】BeBq/LiF/Al電子輸送層の組成比による特性を比較したグラフである。
【図23】BeBq/LiF/Al電子輸送層の組成比による特性を比較したグラフである。
【図24】BeBq/LiF/Al電子輸送層の電子注入時におけるバリア高さ(barrier height)の変化を示すグラフである。
【図25】Balq:Alq(5:5)電子輸送層とBeBq:LiF(1:1)電子輸送層間のIVLの特性を比較したグラフである(I−V特性)。
【図26】Balq:Alq(5:5)電子輸送層とBeBq:LiF(1:1)電子輸送層間のIVLの特性を比較したグラフである(I−L特性)。
【図27】電子輸送層に使用される物質による素子の寿命を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0166】
EIL 電子注入層
ETL 電子輸送層
HTL 正孔輸送層
HIL 正孔注入層
フェルミエネルギー
LUMO 最低非占有分子軌道
HOMO 最高占有分子軌道




 

 


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