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発明の名称 タイバー剪断金型装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−242825(P2007−242825A)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
出願番号 特願2006−62052(P2006−62052)
出願日 平成18年3月8日(2006.3.8)
代理人 【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
発明者 藤本 真一 / 根本 明彦
要約 課題
ダイの刃部の剪断性が良好でタイバーをバリが生じることなくきれいに剪断することと、剪断したタイバーの端材をスリット外に排出することをともに満足させる。

解決手段
櫛歯状のダイ10のスリット13に、パンチ70を打ち下ろしてタイバー92を剪断する装置において、スリット13を形成する平行なスリット側面14の刃部16側の開口端部を平滑な開口側平滑部17とし、この開口側平滑部17よりも奥側でパンチ凸部70aが進入してくる領域を粗面な内部側粗面部18とする。スリット13を湿式切削加工で形成して切削面を開口側平滑部17として残し、スリット13の奥側からスリット13の開口方向に向けてブラスト材を噴射して内部側粗面部18を形成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
フレーム本体から複数のリード部が所定の間隔をおいて突出形成され、隣接するリード部どうしがタイバーで連結されたリードフレームをダイで支持し、前記タイバーをパンチで打ち抜いで剪断するタイバー剪断金型であって、
前記ダイは、
前記リード部が合わせられるリード支持面を有する複数のリード支持部と、
これらリード支持部間に形成され、前記リード部の間隔に対応して配列されたスリットと、
前記リード支持面の前記スリットに臨む一対の端縁に形成される刃部とを備えており、
前記パンチは、基台と、この基台に突出形成されて前記ダイの前記スリットに嵌合する複数のパンチ凸部とを備えており、
前記ダイの、互いに対向して前記スリットを形成する前記リード支持部のスリット側面は、前記刃部からスリットの奥方向に一様な平面であって、前記リード支持面に直交し、かつ互いに平行とされ、
さらにこれらスリット側面は、スリットの開口側端部の平滑に形成された開口側平滑部と、この開口側平滑部よりも奥側に形成され、開口側平滑部よりも粗面とされた内部側粗面部とを有しており、
前記パンチの前記パンチ凸部は、前記スリットに前記内部側粗面部まで進入することを特徴とするタイバー剪断金型装置。
【請求項2】
前記スリットは湿式切削加工によって形成され、
前記スリット側面の前記内部側粗面部は、前記スリットの奥側からスリットの開口方向に向けてブラスト材を噴射するブラスト加工によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載のタイバー剪断金型装置。
【請求項3】
前記スリット側面の前記内部側粗面部は、前記開口側平滑部に近付くにつれて面粗さが細かくなっていることを特徴とする請求項2に記載のタイバー剪断金型装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージのリードフレームが具備するタイバーをパンチで打ち抜いて剪断除去し、タイバーで連結されていた複数のリード部を分離させるタイバー剪断金型装置に係り、特に、リードフレームを支持するダイの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
リード部を備えた半導体パッケージは、ICやLSI等の電子回路が形成された半導体チップを金属製のリードフレーム上に搭載して樹脂封止し、次いで、リードフレームの複数のリード部を連結しているタイバーを除去してリード部を分離するといった工程で製造される。タイバーを除去する装置としては、通常、タイバーに対応する複数のスリットを有する櫛歯状のダイと、このダイのスリットに嵌合して複数のタイバーを一括して打ち抜き剪断する櫛歯状のパンチとの組み合わせで構成される金型が用いられている(特許文献1,2参照)。ダイのスリットは、例えば、ワイヤカット等の放電加工やプロファイル研削盤による研削加工で形成されるが、高速で回転させた回転ブレードを切り込むことによって形成する方法も適用することができる(特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−218449号公報
【特許文献2】特開平5−253830号公報
【特許文献2】特開2004−311889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなタイバー剪断金型装置にあっては、ダイのスリットの開口縁部は刃部として構成され、その刃部に、スリットに嵌合するパンチによってタイバーが強く押圧されることにより、タイバーは押し切られて剪断させられる。ダイの刃部は、通常、スリットを形成することによって形成され、特に研磨するなどの加工は施さないため、刃部はスリットの両側の面(以下、スリット側面と称する)の粗さが反映した剪断性(切れ味)を示す。つまり、スリット側面が比較的粗いと刃部も粗くなり、逆に、平滑であればあるほど刃部は鋭くなって剪断性が向上する。実際、上記した放電加工や研削加工でスリットを形成すると、スリット側面は比較的粗い状態となる(放電加工でRy:1〜3μm、プロファイル研削でRy:0.5〜1μm)。スリット側面が粗面になると、刃部にチッピングと呼ばれる微小な欠けが発生し、このような刃部でタイバーが剪断されると、タイバー側およびリード部側の剪断面にはバリが生じる。
【0005】
バリの発生は刃部の剪断性の悪さを示し、リード部にバリが残ることにより半導体パッケージの品質は低下するが、それだけではなく、タイバーの剪断加工にも悪影響を及ぼしている。例えば、剪断されたタイバーの端材が、スリット側面に引っ掛かってスリット内から排出されずに堆積したり、パンチの先端に圧着の状態で付着してパンチとともにスリットから抜け出てダイの表面に付着し、次のタイバーの加工時に挟み込まれるといったことが起こり、これらの現象は、パンチに過大な応力がかかってパンチの破損の原因になるなどの不具合を招く。
【0006】
この点、特許文献1に記載のダイのように、スリットが奥に向かうにしたがって広がるテーパ状に形成されていると、タイバーの端材はスリット側面に引っ掛かることがないため、円滑に排出されやすい。また、特許文献3に記載されるように、湿式回転ブレードで形成した場合のスリット刃部は、放電加工などと比べると平滑であるからバリが発生しにくいといった利点がある。
【0007】
ところが、スリット側面が平滑ではなく粗面の場合、上記したバリの問題はあるものの、タイバーの端材がスリット側面に引っ掛かりやすく、それをきっかけにパンチに付着していた端材がパンチの上昇とともにパンチから離れて排出されるという好都合な面もある。特許文献2では、パンチの先端形状を突出させてタイバーの端材が湾曲するようにしたり、パンチの側面を鏡面として端材の付着を抑えることが記載されているが、いずれの従来技術にしても、端材の排出の確実性と刃部の高い剪断性の双方を満足させるには至らないものである。
【0008】
よって本発明は、ダイの刃部の剪断性が良好でタイバーをバリが生じることなくきれいに剪断することと、剪断したタイバーの端材をスリット外に排出することをともに満足させることのできるタイバー剪断金型装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、フレーム本体から複数のリード部が所定の間隔をおいて突出形成され、隣接するリード部どうしがタイバーで連結されたリードフレームをダイで支持し、タイバーをパンチで打ち抜いで剪断するタイバー剪断金型であって、ダイは、リード部が合わせられるリード支持面を有する複数のリード支持部と、これらリード支持部間に形成され、リード部の間隔に対応して配列されたスリットと、リード支持面のスリットに臨む一対の端縁に形成される刃部とを備えており、パンチは、基台と、この基台に突出形成されてダイのスリットに嵌合する複数のパンチ凸部とを備えており、ダイの、互いに対向してスリットを形成するリード支持部のスリット側面は、刃部からスリットの奥方向に一様な平面であって、リード支持面に直交し、かつ互いに平行とされ、さらにこれらスリット側面は、スリットの開口側端部の平滑に形成された開口側平滑部と、この開口側平滑部よりも奥側に形成され、開口側平滑部よりも粗面とされた内部側粗面部とを有しており、パンチのパンチ凸部は、スリットに内部側粗面部まで進入することを特徴としている。
【0010】
本発明のタイバー剪断金型装置では、リード部をダイのリード支持面に合わせるとともにタイバーをスリットに架け渡す状態にしてリードフレームをダイにセットし、スリットに対向配置して待機するパンチのパンチ凸部をスリットに押し込んで嵌合させることにより、パンチ凸部とダイの刃部とが協働してタイバーを剪断する。ダイの刃部は、この刃部が臨むスリット側面の開口側の端部が平滑に形成されているので、刃部が鋭く加工されてチッピング等の欠けが発生しにくく、このため良好な剪断性を示しタイバーの端材やリード部の剪断面にバリが生じるといったことが抑えられる。そして、タイバーの端材にバリが生じないことにより、スリットがテーパ状でなくとも、端材がスリット側面に引っ掛かってスリット内に堆積して詰まってしまうといった不具合が起こりにくい。
【0011】
剪断されたタイバーの端材は、パンチ凸部で押し込まれることにより開口側平滑部を通過して内部側粗面部に至り、この段階でパンチ凸部は逆方向に移動しスリットから抜けて待機位置に戻る。ここで、パンチ凸部の先端にタイバーの端材が圧着する状態で付着していた場合、その端材はパンチ凸部とともにスリットから抜ける方向に移動しようとする。スリットがテーパ状であったり、スリット側面が平滑であった場合、その端材はパンチ凸部とともに移動しやすいが、本発明では内部側粗面部が適度に粗面であるから、そのスリット側面に端材が引っ掛かかってパンチ凸部から離れ、スリット外に排出されやすい。
【0012】
本発明は、ダイのスリット側面が、開口側平滑部と内部側粗面部とを有していることをポイントとしており、このようなスリット側面は、まず、スリットを湿式切削加工によって形成し、次いで、スリットの奥側からスリットの開口方向に向けてブラスト材を噴射するブラスト加工を行うといった方法で形成することができる。すなわち、ブラスト材の打撃を受ける部分が内部側粗面部となり、開口側端部のブラスト材の打撃を受けない部分が、湿式切削加工で形成された平滑面が保持された開口側平滑部となる。ブラスト加工は、周知のサンドブラスト等を適用することができる。この方法を用いると、スリットの奥側が強く、開口に近付くにつれて噴射勢力が徐々に弱まるので、開口側平滑部に近付くにつれて面粗さが細かくなる内部側粗面部が得られる。ブラスト材の種類や粒径、噴射圧力等は、スリット側面の全面が粗面にならず、平滑な開口側平滑部が確実に残存するように調整される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スリットの両側のスリット側面を平行とし、これらスリット側面の開口側端部を平滑な面とし、この開口側平滑部よりも奥側を粗面として、パンチのパンチ凸部を内部側粗面部まで進入させることを特徴としたので、ダイの刃部の剪断性が良好でタイバーをバリが生じることなくきれいに剪断することと、剪断したタイバーの端材をスリット外に排出することをともに満足させることができるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明に係る一実施形態を説明する。
図1(A)は一実施形態に係るタイバー剪断金型装置のダイを示している。このダイ10は、側面視が概ね逆L字状であって、鉛直方向に沿って立てられる矩形板状の基部11を有している。この基部11の片面の上部には、水平方向に突出する複数のリード支持部12が櫛歯状に形成されている。
【0015】
リード支持部12は、リードフレームのリード部の幅と同等の幅を有する略三角形状の薄い板状部であり、間にスリット13を挟んで等間隔かつ互いに平行に形成されている。リード支持部12の上端面(リード支持面)12aは、水平な基部11の上端面11aと面一で、リード部の幅と同じ幅の細長い長方形状に形成されている。リード支持部12の先端面12bは、鉛直にカットされたように縦長の長方形状に形成されており、また、リード支持部12の下面12cは、先端面12bの下端から基部11にかけてアーチ状に湾曲している。
【0016】
スリット13は、隣接する一対のリード支持部12の互いに対向する平行なスリット側面14間の空隙であり、複数のスリット13を切削加工で形成することによって複数のリード支持部12が形成されている。スリット13は、当該ダイ10と組み合わせられるパンチのパンチ凸部の幅と同等の幅を有し、リード支持部12の上端面12a側、先端面12b側およびアーチ状の下面(以下アーチ面と称する)12c側に開口している。上端面12a側の開口15からの下方への深さ(開口15からアーチ面12cまでの距離)は、最も浅い先端面12bの近傍で、1〜1.5mm程度に設定されている。そして、上端面12a側の開口15の端縁、すなわち隣接する上端面12aがスリット13に臨む平行な一対の端縁が刃部16として構成されている。
【0017】
リード支持部12の互いの対向面であるスリット側面14は、基部11および上端面12aに対して直交する一様な平面である。このスリット側面14は、図1(B)に示すように、刃部16に連なる一定幅の上端部が開口側平滑部17に形成され、開口側平滑部17よりも奥側(下側)が、内部側粗面部18(図1(B)で点線の領域)に形成されている。開口側平滑部17の面粗さは、Ry:0.02μm程度、内部側粗面部18はRy:0.5μm程度に調整される。開口側平滑部17は、刃部16から先端面12bの高さの1/3程度の深さまで形成され、この開口側平滑部17よりも下方のアーチ面12cまでが内部側粗面部18の領域となっている。
【0018】
以上がダイ10の構成であり、次いで、このダイ10の製造例を説明する。
ダイ10は超硬等の鋼材が材料とされ、上記スリット13およびリード支持部12が形成されていない状態まで切削等によって加工、成形されたダイ10を、図2および図3に示す切削装置20で切削加工してスリット13およびリード支持部12を形成する。
【0019】
図2は、切削装置20の外観を示している。この切削装置20は、全体が概ね直方体状の筐体(外殻部材)21を備えており、この筐体21の内部においてワークに対し切断や溝形成といった切削加工が行われる。筐体21には、切削装置20内に対してワークを出し入れするためのハッチ22が設けられており、このハッチ22の上方には切削装置20を操作するための操作盤23が設けられている。また、筐体21の上部には作業状態を表示したり警告を発したりする表示灯24が取り付けられている。
【0020】
図3は切削装置20の内部に設けられた切削機構の斜視図であり、同図に示すように、切削装置20内には、矩形状の薄い箱体からなるウォータケース30が設置されている。このウォータケース30の内側には、飛散する切削屑やミストとなった切削屑を含む切削水の飛散を抑える直方体状のカバー31が設置されており、このカバー31内が加工室32とされている。ウォータケース30の、カバー31から出ている部分は、ハッチ22の近傍に配されたワークの着脱エリア33となっている。
【0021】
ウォータケース30の底部には、着脱エリア33から加工室32にわたってX方向に延びる互いに平行な一対のガイドレール(図示略)を介して、矩形状のテーブルベース41がそのガイドレールに沿って移動自在に支持されており、このテーブルベース41上に、真空チャック式のチャックテーブル42が設けられている。テーブルベース41は、図示せぬ移動機構によりガイドレールに沿って着脱エリア33から加工室32間を往復移動させられる。チャックテーブル42は例えば円盤状であって、図3のZ方向(鉛直方向)を軸として回転自在にテーブルベース41に支持されており、図示せぬ回転駆動機構によって時計方向または反時計方向に回転可能となっている。
【0022】
テーブルベース41の移動方向の両端と、ウォータケース30の内面との間には、テーブルベース41のガイドレールを覆って、このガイドレールに切削屑や切削屑を含んだミストが付着することを防ぐ蛇腹状のカバー43がそれぞれ取り付けられている。これらカバー43は、テーブルベース41の移動に伴ってX方向に伸縮する。また、カバー31の着脱エリア33側の下端部には、チャックテーブル42が着脱エリア33と加工室32内との間を往復移動することを可能とする横長のスリット34が形成されている。
【0023】
スリット34の上方には、丸管状で、水を下向きに吐出してスリット34にウォータカーテンを形成するウォータカーテンノズル44が取り付けられている。このウォータカーテンにより、加工室32内に浮遊する切削屑や切削屑を含んだミストがスリット34を通って加工室32の外側に出ることが抑えられるようになっている。なお、加工室32には排気装置に接続された排気管(いずれも図示略)が接続されており、この排気管を通って加工室32内の切削屑やミストが切削装置20の外部に排出されるようになっている。
【0024】
加工室32内には、チャックテーブル42上に吸着、保持されたワークを切削する切削工具50が収容されている。切削工具50は、Y方向と平行な回転軸を有するスピンドル51にダイヤモンドブレード等からなるディスク状の切削ブレード52が装着されたもので、加工室32内に設けられた図示せぬフレームに、Z方向およびY方向に移動自在に支持されており、なおかつ、これらの方向に図示せぬ送り機構によって移動させられるようになっている。スピンドル51にはブレードカバー53が装着されており、このブレードカバー53には、切削水をワークの切削部分に供給する切削水ノズル54,55が取り付けられている。切削水ノズル54,55から吐出した切削水と、ウォータカーテンノズル44から吐出した水は、ともにウォータケース30で受けられ、該ケース30に設けられた排水口35から装置外部に排水される。
【0025】
上記切削装置20でダイ10にスリット13およびリード支持部12を形成するには、まず、着脱エリア33に移動させたチャックテーブル42を真空運転し、ハッチ22を開けて、チャックテーブル42上に、リード支持部12が形成される側面視三角形状の突出部を上に向け、基部11の平坦な背面をチャックテーブル42の上面に合わせた姿勢で、該チャックテーブル42に載置する。ダイ10はチャックテーブル42上に吸着、保持され、次に、テーブルベース41が加工室32内に移動し、ダイ10にスリット13を形成する切削運転が開始される。
【0026】
切削運転は、チャックテーブル42を回転させて、ダイ10を、基部11の上端面11aがY方向と平行になってこの上端面11aに直交するX方向にスリット13が切削ブレード52で形成され得る横置きの姿勢にする。次いで、切削ブレード52のZ方向の切り込み深さを定め、さらにY方向に適宜に移動させて切り込み位置を定める。続いて、テーブルベース41をX方向に移動させて、高速回転する切削ブレード52をダイ10の突出部に切り込んで通過させ、1つのスリット13を切削して形成する。次いで、スリット13のピッチに応じた切削工具50のY方向への割り出し送りと、テーブルベース41の往復移動とを交互に行って、複数のスリット13を形成する。このように湿式の切削加工によってスリット13を形成することにより、スリット側面14はRy:0.02μm程度の平滑面に形成される。
【0027】
なお、切削運転の際には、ウォータカーテンノズル44から水が吐出されてカバー31のスリット34にウォータカーテンが形成されるとともに、切削水が切削水ノズル54,55から切削ブレード52によって加工されるダイ10の加工点に適宜量供給される。また、排気装置が運転され、排気管を通じて加工室32内が排気される。
【0028】
スリット13の形成が完了したら、そのダイ10は切削装置20から取り出されて次のサンドブラスト工程に移される。サンドブラスト工程では、図4に示すように、横置きに保持したダイ10のスリット13内に向けて、アーチ12c面側からブラストノズル60よりブラスト材(砂粒)61を噴射する。このときのブラストノズル60の噴射角度は、ダイ10の基部11に対して10〜30°程度傾斜させてアーチ面12cに平均的にブラスト材61が当たるようにする。このようなサンドブラスト加工により、スリット側面14は、ブラストノズル60に近いアーチ面12c側が粗く加工され、刃部16近傍にはほとんどブラスト材61が作用せず、これによってスリット側面14には図2に示した開口側平滑部17と内部側粗面部18とが形成される。
【0029】
特にこの場合は、アーチ面12c側の開口から刃部16側の開口15に近付くにつれて噴射勢力が徐々に弱まるので、内部側粗面部18は開口側平滑部17に近付くにつれて面粗さが細かくなる。なお、ブラスト材61の種類や粒径、噴射圧力等は、スリット側面14の全面が粗面にならず、平滑な開口側平滑部17が確実に残存するように調整されるが、例えば♯180〜200のGC(グリーン・カーボランダム)等の砥粒が好適に用いられる。
【0030】
このようにして図1に示すダイ10は製造され、このダイ10は、図5に示すようにパンチ70およびストリッパ71と組み合わされてタイバー剪断金型装置を構成する。パンチ70は、図示せぬ基台に、ダイ10のスリット13に嵌合する複数のパンチ凸部70aが突出形成されたもので、パンチ凸部70aはダイ10のスリット13に対応して複数が具備される。ストリッパ71はダイ10のリード支持部12の上端面12aに合わせられたリード部91を上から押さえ付けるもので、ダイ10のスリット13に対応するスリット71aが形成されている。
【0031】
図5に示す符号91はリードフレームのフレーム本体に突出形成された複数のリード部を示し、隣接するリード部91間にタイバー92が架け渡され、連結されている。上記タイバー剪断金型装置でタイバー92を剪断するには、リード部91をダイ10のリード支持面12aに合わせるとともにタイバー92をスリット13に架け渡す状態とし、スリット71aをダイ10のスリット13に一致させたストリッパ71でリード部91をリード支持面12aに押さえ付ける。この状態から、スリット13の上方で待機していたパンチ70をパンチ凸部70aがスリット13内に入り込むまで打ち下ろす。すると、パンチ凸部70aとダイ10の刃部16とが協働してタイバー92を剪断し、剪断されたタイバー92の端材92aはパンチ凸部70aによってスリット13の下方に押し込まれる。パンチ凸部70aは、先端がスリット側面14の開口側平滑部17を通過して内部側粗面部18の上端部にかかるまで下降し、この後、上昇して待機位置に戻る。これが1つのサイクルであり、リードフレームは該装置に次々とセットされてタイバー92の剪断、除去が繰り返し行われる。
【0032】
さて、本実施形態のタイバー剪断金型装置によれば、ダイ10の刃部16は、この刃部16が臨むスリット側面14の開口15側の端部が平滑に形成されて開口側平滑部17とされているから、刃部16は鋭くチッピング等の欠けが発生しにくい。このため良好な剪断性を示し、タイバー92の端材92aやリード部91の剪断面にバリが生じるといったことが抑えられる。そして、タイバー92の端材92aにバリが生じないことにより、スリット13がテーパ状でなくとも、端材92aがスリット側面14に引っ掛かってスリット13内に堆積して詰まってしまうといった不具合が起こりにくい。
【0033】
本実施形態の装置においては、剪断されたタイバー92の端材92aは、パンチ凸部70aで押し込まれることにより開口側平滑部17を通過して内部側粗面部18に至り、この段階でパンチ凸部70aは上昇してスリット13から抜け出る。パンチ70は強い力でタイバー92をスリット13に押し込むので、パンチ凸部70aの先端に端材92aが圧着する状態で付着する場合がある。そうなると、その端材92aはパンチ凸部70aとともに上昇しようとするが、その時点で、端材92aは内部側粗面部18に接触しているため、摩擦によって端材92aはその内部側粗面部18に引っ掛かかり、パンチ70のみが上昇していく。このため、端材92aのせり上がりは生じず、いずれはスリット13の下方に排出される。
【実施例】
【0034】
次に、本発明の効果を実証する実施例を説明する。
[試験1]
図1に示したものと同一構成でスリットが均一幅(ストレート形状)のダイを、スリットをプロファイル研削で形成し、スリット側面はブラスト加工していないものと、上記実施形態のようにスリットを湿式切削(ダイサー)加工で形成し、かつスリット側面をブラスト加工したものの2種類を、既存の2種類の金型A,Bに適合するように寸法等を調整して製造した。そして、それぞれを金型A,Bに組み込み、リードフレームのタイバーを繰り返し多数剪断加工する試験を行い、表1に示すように、タイバーの端材がパンチ凸部に付着して上昇するパンチ凸部とともにせり上がってしまう場合の数とその確率(せり上がり率)、バリの大きさ(レベル)を調べた。
【0035】
【表1】


【0036】
[試験2]
次に、スリットが下方に向かうにしたがって拡幅する形状としたダイを、スリットをプロファイル研削および放電加工で形成し、スリット側面はブラスト加工していないものと、上記実施形態のようにスリットを湿式切削加工で形成し、かつスリット側面をブラスト加工したものの2種類を、既存の2種類の金型A,Bに適合するように寸法等を調整して製造した。これらダイを用いて、試験1と同様にタイバーの剪断加工試験を行い、表2に示すようにタイバーの端材のせり上がり性やバリを調べた。
【0037】
【表2】


【0038】
表1によれば、スリット形状がストレートであっても、本発明のように切削加工でスリットが形成されてブラスト加工が施されると、タイバーの端材のせり上がりは無く、またバリも極小であり、本発明の作用効果が十分に証明された。一方、プロファイル研削によりスリットが形成されたダイでは、端材のせり上がる率が比較的高く、これは刃部が比較的鋭くなく剪断面にバリが生じることが原因であると推測された。また、表2では、スリットがテーパ形状の場合の比較であるが、ここでも切削加工+ブラスト加工を施したダイが端材のせり上がる率はプロファイル研削および放電加工のものと比べるとせり上がる率が比較的少なく、切削加工+ブラスト加工が有効であることが確認された。ちなみに切削加工+ブラスト加工を施したスリットを有するダイでタイバーを剪断したリードフレームを用いると、製品寿命も1.6倍程度に向上することが判明した。これは刃部の剪断性が良好でバリやダレが生じていないことによる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係るタイバー剪断金型装置が具備するダイの(A)全体斜視図、(B)一部破断斜視図である。
【図2】ダイのスリットを形成する切削装置の全体斜視図である。
【図3】同切削装置内の切削機構を示す斜視図である。
【図4】ブラスト加工の方法を説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るタイバー剪断金型装置でタイバーを剪断している状態を示す装置正面図である。
【符号の説明】
【0040】
10…ダイ
12…リード支持部
12a…上端面(リード支持面)
13…スリット
16…刃部
17…開口側平滑部
18…内部側粗面部
50…切削工具
52…切削ブレード
60…ブラストノズル
61…ブラスト材
70…パンチ
70a…パンチ凸部
91…リード部
92…タイバー




 

 


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