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発明の名称 ウエーハの分割方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−194515(P2007−194515A)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
出願番号 特願2006−13352(P2006−13352)
出願日 平成18年1月23日(2006.1.23)
代理人 【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
発明者 中村 勝
要約 課題
表面に分割予定ラインが格子状に形成されたウエーハを、分割予定ラインに沿って精度良く分割することができるウエーハの分割方法を提供する。

解決手段
複数の第1の分割予定ラインと複数の第2の分割予定ラインが交差して形成されたウエーハを、第1の分割予定ラインおよび第2の分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハの分割方法であって、ウエーハの内部に第1の分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射し変質層を形成する第1の変質層形成工程と、ウエーハに第1の分割予定ラインに沿って外力を付与し変質層が形成された第1の分割予定ラインに沿って破断しウエーハを短冊状に分割する第1の分割工程と、ウエーハの内部に第2の分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射し変質層を形成する第2の変質層形成工程と、短冊状のウエーハに第2の分割予定ラインに沿って外力を付与し変質層が形成された第2の分割予定ラインに沿って破断しウエーハを個々のチップに分割する第2の分割工程とを含む。
特許請求の範囲
【請求項1】
所定の方向に延びる複数の第1の分割予定ラインと該複数の第1の分割予定ラインと交差して形成された複数の第2の分割予定ラインによって区画されたウエーハを、第1の分割予定ラインおよび第2の分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第1の分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に第1の分割予定ラインに沿って変質層を形成する第1の変質層形成工程と、
該第1の変質層形成工程を実施した後に、ウエーハに第1の分割予定ラインに沿って外力を付与し、該変質層が形成された第1の分割予定ラインに沿って破断しウエーハを短冊状に分割する第1の分割工程と、
該第1の分割工程を実施することにより短冊状に分割されたウエーハに、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第2の分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に第2の分割予定ラインに沿って変質層を形成する第2の変質層形成工程と、
該第2の変質層形成工程を実施した後に、短冊状のウエーハに第2の分割予定ラインに沿って外力を付与し、該変質層が形成された第2の分割予定ラインに沿って破断しウエーハを個々のチップに分割する第2の分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法。
【請求項2】
ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープに貼着する保護テープ貼着工程を実施した後に、該第1の変質層形成工程、該第1の分割工程、該第2の変質層形成工程および該第2の分割工程を実施する、請求項1記載のウエーハの分割方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に複数の分割予定ラインが格子状に形成されているウエーハを、該分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハの分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体チップを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハも所定の分割予定ラインに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハを分割予定ラインに沿って分割する方法として、そのウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザー光線を照射するレーザー加工方法が提案されている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、ウエーハの一方の面側から内部に集光点を合わせてウエーハに対して透過性を有する赤外光領域のパルスレーザー光線を照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って変質層を連続的に形成し、この変質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って外力を加えることにより、ウエーハを個々のチップに分割するものである。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特許第3408805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ウエーハの表面に格子状に形成された分割予定ラインに沿ってレーザー光線を照射して変質層を形成し、変質層が形成されたウエーハに外力を付与してウエーハを分割予定ラインに沿って分割すると、分割予定ラインが蛇行して分割される。この結果、ウエーハは分割予定ラインが交差する近傍において歪み、斜め割れやバリ等が発生して品質の低下を招くという問題がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、表面に分割予定ラインが格子状に形成されたウエーハを、分割予定ラインに沿って精度良く分割することができるウエーハの分割方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、所定の方向に延びる複数の第1の分割予定ラインと該複数の第1の分割予定ラインと交差して形成された複数の第2の分割予定ラインによって区画されたウエーハを、第1の分割予定ラインおよび第2の分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第1の分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に第1の分割予定ラインに沿って変質層を形成する第1の変質層形成工程と、
該第1の変質層形成工程を実施した後に、ウエーハに第1の分割予定ラインに沿って外力を付与し、該変質層が形成された第1の分割予定ラインに沿って破断しウエーハを短冊状に分割する第1の分割工程と、
該第1の分割工程を実施することにより短冊状に分割されたウエーハに、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第2の分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に第2の分割予定ラインに沿って変質層を形成する第2の変質層形成工程と、
該第2の変質層形成工程を実施した後に、短冊状のウエーハに第2の分割予定ラインに沿って外力を付与し、該変質層が形成された第2の分割予定ラインに沿って破断しウエーハを個々のチップに分割する第2の分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法が提供される。
【0007】
ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープに貼着する保護テープ貼着工程を実施した後に、該第1の変質層形成工程、該第1の分割工程、
該第2の変質層形成工程および該第2の分割工程を実施することが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるウエーハの分割方法においては、ウエーハの内部に第1の分割予定ラインに沿って変質層を形成する第1の変質層形成工程を実施した後に、ウエーハに第1の分割予定ラインに沿って外力を付与し変質層が形成された第1の分割予定ラインに沿って破断してウエーハを短冊状に分割する第1の分割工程を実施するので、第1の分割工程を実施する際には第1の分割予定ラインと交差する第2の分割予定ラインには変質層が形成されていないため、第1の分割予定ラインに沿って外力を作用する際に第1の分割予定ラインが蛇行することなく、ウエーハを第1の分割予定ラインに沿って精度良く分割することができる。また、第1の分割工程を実施することにより短冊状に分割されたウエーハの内部に第2の分割予定ラインに沿って変質層を形成する第2の変質層形成工程を実施した後に、短冊状のウエーハに第2の分割予定ラインに沿って外力を付与し該変質層が形成された第2の分割予定ラインに沿って破断してウエーハを個々のチップに分割する第2の分割工程を実施するので、上述した第2の分割工程を実施する際にはウエーハは第1の分割予定ラインに沿って短冊状に分割されているため、第2の分割予定ラインに沿って外力が作用することにより、ウエーハは第2の分割予定ラインに沿って制度良く分割される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明によるウエーハの分割方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
図1には、本発明によるウエーハの分割方法に従って分割されるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図1に示す半導体ウエーハ2は、例えば厚さが300μmのシリコンウエーハからなっており、表面2aには所定の方向に延びる複数の第1の分割予定ライン21と該複数の第1の分割予定ライン21と直交する方向に交差して延びる複数の第2の分割予定ライン22が形成されている。そして、半導体ウエーハ2の表面2aには、複数の第1の分割予定ライン21と複数の第2の分割予定ライン22によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス23が形成されている。以下、この半導体ウエーハ2を個々のデバイス(チップ)に分割するウエーハの分割方法の実施形態について説明する。
【0011】
上記図1に示す半導体ウエーハ2は、図2に示すように環状のフレーム3に装着されたポリオレフィン等の合成樹脂シートからなる保護テープ4に表面2a側を貼着する(保護テープ貼着工程)。従って、半導体ウエーハ2は、裏面2bが上側となる。
【0012】
上述した保護テープ貼着工程を実施したならば、シリコンウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第1の分割予定ライン21に沿って照射し、ウエーハの内部に第1の分割予定ライン21に沿って変質層を形成する第1の変質層形成工程を実施する。この第1の変質層形成工程は、図3に示すレーザー加工装置5を用いて実施する。図3に示すレーザー加工装置5は、被加工物を保持するチャックテーブル51と、該チャックテーブル51上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52と、チャックテーブル51上に保持された被加工物を撮像する撮像手段53を具備している。チャックテーブル51は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない移動機構によって図3において矢印Xで示す加工送り方向および矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0013】
上記レーザー光線照射手段52は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング521を含んでいる。ケーシング521内には図示しないYAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング521の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光するための集光器522が装着されている。
【0014】
上記レーザー光線照射手段52を構成するケーシング521の先端部に装着された撮像手段53は、図示の実施形態においては可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0015】
上述したレーザー加工装置5を用いて上記半導体ウエーハ2の第1のストリート21に沿って変質層を形成する第1の変質層形成工程について、図3乃至図5を参照して説明する。
先ず上述した図3に示すレーザー加工装置5のチャックテーブル51上に半導体ウエーハ2の表面2aを上にして載置し、該チャックテーブル51上に半導体ウエーハ2を吸着保持する。なお、図3においては、保護テープ4が装着された環状のフレーム3を省いて示しているが、環状のフレーム3はチャックテーブル51に配設された適宜のフレーム保持手段に保持されている。半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル51は、図示しない移動機構によって撮像手段53の直下に位置付けられる。
【0016】
チャックテーブル51が撮像手段53の直下に位置付けられると、撮像手段53および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段53および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されている第1の分割予定ライン21と、該第1の分割予定ライン21に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器522との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する(アライメント工程)。このとき、半導体ウエーハ2の第1の分割予定ライン21が形成されている表面2aは下側に位置しているが、撮像手段53が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、裏面2bから透かして第1の分割予定ライン21を撮像することができる。
【0017】
以上のようにしてチャックテーブル51上に保持された半導体ウエーハ2に形成されている第1の分割予定ライン21を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図4の(a)で示すようにチャックテーブル51をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器522が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の第1の分割予定ライン21の一端(図4の(a)において左端)をレーザー光線照射手段52の集光器522の直下に位置付ける。そして、集光器522からシリコンウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル51を図4の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図4の(b)で示すようにレーザー光線照射手段52の集光器522の照射位置が第1の分割予定ライン21の他端(図4の(b)において右端)の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル51の移動を停止する。この第1の変質層形成工程においては、パルスレーザー光線の集光点Pを半導体ウエーハ2の表面2a(下面)付近に合わせる。この結果、半導体ウエーハ20には、第1の分割予定ライン21に沿って表面2a(下面)から内部に向けて変質層210が形成される。この変質層210は、溶融再固化層として形成される。
【0018】
上記第1の変質層形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
光源 :LD励起QスイッチNd:YVO4スレーザー
波長 :1064nmのパルスレーザー
繰り返し周波数 :100kHz
パルス幅 :40ns
平均出力 :3W
集光スポット径 :φ1μm
加工送り速度 :100mm/秒
【0019】
なお、半導体ウエーハ2の厚さが厚い場合には、図5に示すように集光点Pを段階的に変えて上述した第1の変質層形成工程を複数回実行することにより、複数の変質層210を形成する。例えば、上述した加工条件においては1回に形成される変質層の厚さは約50μmであるため、上記第1の変質層形成工程を例えば3回実施して150μmの変質層210を形成する。また、厚さが300μmの半導体ウエーハ2に対して6層の変質層を形成し、半導体ウエーハ2の内部に第1の分割予定ライン21に沿って半導体ウエーハ2の表面2aから裏面2bに渡って変質層を形成してもよい。また、変質層210は、表面2aおよび裏面2bに露出しないように内部だけに形成してもよい。
【0020】
このようにして、半導体ウエーハ2の所定方向に延在する全ての第1の分割予定ライン21に沿って上記第1の変質層形成工程を実行したならば、半導体ウエーハ2を第1の分割予定ライン21に沿って外力を付与し、変質層210が形成された第1の分割予定ライン21に沿って破断しウエーハを短冊状に分割する第1の分割工程を実施する。この第1の分割工程は、図6に示す分割装置6を用いて実施する。
図6に示す分割装置6は、基台61と、該基台61上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された移動テーブル62を具備している。基台61は矩形状に形成され、その両側部上面には矢印Yで示す方向に2本の案内レール611、612が互いに平行に配設されている。この2本の案内レール611、612上に移動テーブル62が移動可能に配設されている。移動テーブル62は、移動手段63によって矢印Yで示す方向に移動せしめられる。移動テーブル62上には、上記環状のフレーム3を保持するフレーム保持手段64が配設されている。フレーム保持手段64は、円筒状の本体641と、該本体641の上端に設けられた環状のフレーム保持部材642と、該フレーム保持部材642の外周に配設された固定手段としての複数のクランプ643とからなっている。このように構成されたフレーム保持手段64は、フレーム保持部材642上に載置された環状のフレーム3をクランプ643によって固定する。また、図6に示す分割装置6は、上記フレーム保持手段64を回動せしめる回動手段65を具備している。この回動手段65は、上記移動テーブル62に配設されたパルスモータ651と、該パルスモータ651の回転軸に装着されたプーリ652と、該プーリ652と円筒状の本体641に捲回された無端ベルト653とからなっている。このように構成された回動手段65は、パルスモータ651を駆動することにより、プーリ652および無端ベルト653を介してフレーム保持手段64を回動せしめる。
【0021】
図6に示す分割装置6は、上記環状のフレーム保持部材642に保持された環状のフレーム3に保護テープ4を介して支持されている半導体ウエーハ2に分割予定ラインと直交する方向に引張力を作用せしめる張力付与手段66を具備している。張力付与手段66は、環状のフレーム保持部材64の本体641内に配置されている。この張力付与手段66は、矢印Y方向と直交する方向に長い長方形の保持面を備えた第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662を備えている。第1の吸引保持部材661には複数の吸引孔661aが形成されており、第2の吸引保持部材662には複数の吸引孔662aが形成されている。複数の吸引孔661aおよび662aは、図示しない吸引手段に連通されている。また、第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662は、図示しない移動手段によって矢印Y方向にそれぞれ移動せしめられるようになっている。
【0022】
図6に示す分割装置6は、上記環状のフレーム保持部材642に保持された環状のフレーム3に保護テープ4を介して支持されている半導体ウエーハ2の分割予定ラインを検出するための検出手段67を具備している。検出手段67は、基台61に配設されたL字状の支持柱671に取り付けられている。この検出手段6は、光学系および撮像素子(CCD)等で構成されており、上記張力付与手段66の上方位置に配置されている。このように構成された検出手段67は、上記環状のフレーム保持部材642に保持された環状のフレーム3に保護テープ4を介して支持されている半導体ウエーハ2の分割予定ラインを撮像し、これを電気信号に変換して図示しない制御手段に送る。
【0023】
上述した分割装置6を用いて実施する第1の分割工程について、図6および図7を参照して説明する。
上述した第1の変質層形成工程が実施された半導体ウエーハ2を保護テープ4を介して支持する環状のフレーム3を、図7の(a)に示すようにフレーム保持部材642上に載置し、クランプ643によってフレーム保持部材642に固定する。次に、移動手段63を作動して移動テーブル62を矢印Yで示す方向(図6参照)に移動し、図7の(a)に示すように半導体ウエーハ2の変質層21が形成された1本の第1の分割予定ライン21(図示の実施形態においては最左端の分割予定ライン)が張力付与手段66を構成する第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付ける。このとき、検出手段67によって第1の分割予定ライン21を撮像し、第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との位置合わせを行う。このようにして、1本の第1の分割予定ライン21が第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付けられたならば、図示しない吸引手段を作動し吸引孔661aおよび662aに負圧を作用せしめることにより、第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面上に保護テープ4を介して半導体ウエーハ2を吸引保持する(保持工程)。
【0024】
上述した保持工程を実施したならば、張力付与手段66を構成する図示しない移動手段を作動し、第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662を図7の(b)に示すように互いに離反する方向に移動せしめる。この結果、第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付けられた第1の分割予定ライン21には、第1の分割予定ライン21と直交する方向に引張力が作用して、半導体ウエーハ2は第1の分割予定ライン21に沿って破断される(第1の分割工程)。この第1の分割工程を実施することにより、保護テープ4は僅かに伸びる。この分割工程においては、半導体ウエーハ2は第1の分割予定ライン21に沿って変質層210が形成され強度が低下せしめられているので、第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662を互いに離反する方向に0.5mm程度移動することにより半導体ウエーハ2を第1の分割予定ライン21に沿って破断することができる。
【0025】
上述したように所定方向に形成された1本の第1の分割予定ライン21に沿って破断する第1の分割工程を実施したならば、上述した第1の吸引保持部材661および第2の吸引保持部材662による半導体ウエーハ2の吸引保持を解除する。次に、移動手段63を作動して移動テーブル62を矢印Yで示す方向(図6参照)に第1の分割予定ライン21の間隔に相当する分だけ移動し、上記第1の分割工程を実施した第1の分割予定ライン21の隣の第1の分割予定ライン21が張力付与手段66を構成する第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付ける。そして、上記保持工程および第1の分割工程を実施する。以上のようにして、所定方向に形成された全ての第1の分割予定ライン21に対して上記保持工程および第1の分割工程を実施することにより、半導体ウエーハ2は第1の分割予定ライン21に沿って短冊状に分割される。
【0026】
なお、分割工程において第1の分割予定ライン21と第2の分割予定ライン22の両方に変質層が形成されていると、第1の分割予定ライン21に沿って外力を付与する際に第2の分割予定ライン22に形成された変質層にも外力が伝播するため、分割予定ラインが蛇行し、第1の分割予定ライン21と第2の分割予定ライン22が交差する近傍において歪み、斜め割れやバリ等が発生する。しかるに、上述した第1の分割工程においては、第1の分割予定ライン21と交差する第2の分割予定ライン22には変質層が形成されていないので、第1の分割予定ライン21と直交する方向に引張力が作用する際に第1の分割予定ライン21が蛇行することなく、半導体ウエーハ2を第1の分割予定ライン21に沿って精度良く分割することができる。
【0027】

上述した第1の分割工程を実施したならば、第1の分割工程を実施することにより短冊状に分割された半導体ウエーハ2に、シリコンウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を第2の分割予定ライン22に沿って照射し、ウエーハの内部に第2の分割予定ライン22に沿って変質層を形成する第2の変質層形成工程を実施する。この第2の変質層形成工程は、上記図3に示すレーザー加工装置5を用いて実施する。なお、第2の変質層形成工程を実施する際には、図8に示すように半導体ウエーハ2(第1の分割予定ライン21に沿って短冊状に分割されている)はレーザー加工装置5のチャックテーブル51上に上記第1の変質工程のときと90度の位相角をもって載置し、該チャックテーブル51上に半導体ウエーハ2を吸着保持する。このようにして、チャックテーブル51上に半導体ウエーハ2を吸着保持したならば、上述したアライメント工程を実施する。
【0028】
次に、図9の(a)で示すようにチャックテーブル51をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段52の集光器522が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の第2の分割予定ライン22の一端(図9の(a)において左端)をレーザー光線照射手段52の集光器522の直下に位置付ける。そして、集光器522からシリコンウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル51を図9の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図9の(b)で示すようにレーザー光線照射手段52の集光器322の照射位置が第2の分割予定ライン22の他端(図9の(b)において右端)の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル51の移動を停止する。この第2の変質層形成工程においても、パルスレーザー光線の集光点Pを半導体ウエーハ2の表面2a(下面)付近に合わせる。この結果、半導体ウエーハ20には、第2の分割予定ライン22に沿って表面2a(下面)から内部に向けて変質層220が形成される。この変質層220は、溶融再固化層として形成される。なお、第2の変質層形成工程の加工条件は、上記第1の変質層形成工程の加工条件と同じでよい。
【0029】
このようにして、半導体ウエーハ2に形成された全ての第2の分割予定ライン22に沿って上記第2の変質層形成工程を実行したならば、短冊状に形成された半導体ウエーハ2に第2の分割予定ライン22に沿って外力を付与し、変質層220が形成された第2の分割予定ラインに沿って破断しウエーハを個々のチップに分割する第2の分割工程を実施する。この第2の分割工程は、上記図6に示す分割装置6を用いて実施する。即ち、上述した第2の変質層形成工程が実施され短冊状に分割された半導体ウエーハ2を保護テープ4を介して支持する環状のフレーム3を、図10の(a)に示すようにフレーム保持部材642上に載置し、クランプ643によってフレーム保持部材642に固定する。次に、移動手段63を作動して移動テーブル62を矢印Yで示す方向(図6参照)に移動し、図10の(a)に示すように半導体ウエーハ2の変質層22が形成された1本の第2の分割予定ライン22(図示の実施形態においては最左端の分割予定ライン)が張力付与手段66を構成する第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付ける。このとき、検出手段67によって第2の分割予定ライン22を撮像し、第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との位置合わせを行う。このようにして、1本の第2の分割予定ライン22が第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付けられたならば、図示しない吸引手段を作動し吸引孔661aおよび662aに負圧を作用せしめることにより、第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面上に保護テープ4を介して短冊状に分割された半導体ウエーハ2を吸引保持する(保持工程)。
【0030】
上述した保持工程を実施したならば、張力付与手段66を構成する図示しない移動手段を作動し、第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662を図10の(b)に示すように互いに離反する方向に移動せしめる。この結果、第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付けられた第2の分割予定ライン22には、第2の分割予定ライン22と直交する方向に引張力が作用して、短冊状に分割された半導体ウエーハ2は第2の分割予定ライン22に沿って破断される(第2の分割工程)。この第2の分割工程を実施することにより、保護テープ4は僅かに伸びる。この第2の分割工程においては、半導体ウエーハ2は第2の分割予定ライン22に沿って変質層220が形成され強度が低下せしめられているので、第1の吸引保持部材661と第2の吸引保持部材662を互いに離反する方向に0.5mm程度移動することにより短冊状に分割された半導体ウエーハ2を第2の分割予定ライン22に沿って破断することができる。
【0031】
上述したように1本の第2の分割予定ライン22に沿って破断する第2の分割工程を実施したならば、上述した第1の吸引保持部材661および第2の吸引保持部材662による半導体ウエーハ2の吸引保持を解除する。次に、移動手段63を作動して移動テーブル62を矢印Yで示す方向(図6参照)に第2の分割予定ライン22の間隔に相当する分だけ移動し、上記第2の分割工程を実施した第2の分割予定ライン22の隣の第2の分割予定ライン22が張力付与手段66を構成する第1の吸引保持部材661の保持面と第2の吸引保持部材662の保持面との間に位置付ける。そして、上記保持工程および第2の分割工程を実施する。以上のようにして、所定方向に形成された全ての第2の分割予定ライン22に対して上記保持工程および第2の分割工程を実施することにより、短冊状に分割された半導体ウエーハ2は第2の分割予定ライン22に沿って破断され個々のチップ20に分割される。
【0032】
なお、上述した第2の分割工程を実施する際には、半導体ウエーハ2は第1の分割予定ライン21に沿って短冊状に分割されているので、第2の分割予定ライン22と直交する方向に引張力が作用することにより、半導体ウエーハ2は第2の分割予定ライン22に沿って精度良く分割される。
【0033】
以上、本発明を実施形態に基いて説明したが、本発明は実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で種々の変形は可能である。例えば、上記第1の変質層形成工程および第1の分割工程を実施しウエーハを短冊状に分割したならば、短冊状に形成されたウエーハの1本1本に対してそれぞれ第2の変質層形成工程および第2の分割工程を実施してもよい。このようにすることにより、第1の分割工程を実施しウエーハを短冊状に分割することにより、短冊状のウエーハにそれぞれ形成されている第2の分割予定ラインが僅かに変位しても、第2の変質層形成工程において第2の分割予定ラインに沿って確実に変質層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明によるウエーハの分割方法によって個々のチップに分割される半導体ウエーハの斜視図。
【図2】図1に示す半導体ウエーハを環状のフレームに装着された保護テープの表面に貼着した状態を示す斜視図。
【図3】本発明によるウエーハの分割方法における第1の変質層形成工程および第2の変質層形成工程を実施するためのレーザー加工装置の要部斜視図。
【図4】本発明によるウエーハの分割方法における第1の変質層形成行程の説明図。
【図5】図4に示す第1の変質層形成行程において半導体ウエーハの内部に変質層を積層して形成した状態を示す説明図。
【図6】本発明によるウエーハの分割方法における第1の分割工程および第2の分割工程を実施するための分割装置の斜視図。
【図7】本発明によるウエーハの分割方法における第1の分割工程の説明図。
【図8】本発明によるウエーハの分割方法における第2の変質層形成行程の説明図。
【図9】本発明によるウエーハの分割方法における第2の変質層形成行程の説明図。
【図10】本発明によるウエーハの分割方法における第2の分割工程の説明図。
【符号の説明】
【0035】
2:半導体ウエーハ
20:チップ
21:第1の分割予定ライン
22:第2の分割予定ライン
23:デバイス
210:変質層
220:変質層
3:環状のフレーム
4:保護テープ
5:レーザー加工装置
51:レーザー加工装置のチャックテーブル
52:レーザー光線照射手段
53:撮像手段
6: 分割装置
61:分割装置の基台
62:移動テーブル
63:移動手段
64:フレーム保持手段
65:回動手段
66:張力付与手段
67:検出手段




 

 


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