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発明の名称 ウエーハの分割方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−173475(P2007−173475A)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
出願番号 特願2005−368409(P2005−368409)
出願日 平成17年12月21日(2005.12.21)
代理人 【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
発明者 中村 勝
要約 課題
表面に低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)等が積層されたウエーハを所定のストリーに沿って確実に破断することができるウエーハの分割方法を提供する。

解決手段
基板の表面に積層された積層体によってデバイスが形成されたウエーハを、該デバイスを区画する複数のストリートに沿って分割するウエーハの分割方法であって、ウエーハのストリートに積層された積層体をストリートに沿って分断する積層体分断工程と、ウエーハの基板に対して透過性を有する波長のレーザー光線をウエーハの裏面側からストリートに沿って照射し、基板の内部にストリートに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、変質層が形成されたウエーハに外力を付与し、ウエーハをストリートに沿って分割する分割工程とを含む。
特許請求の範囲
【請求項1】
基板の表面に積層された積層体によってデバイスが形成されたウエーハを、該デバイスを区画する複数のストリートに沿って分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハのストリートに積層された積層体をストリートに沿って分断する積層体分断工程と、
ウエーハの基板に対して透過性を有する波長のレーザー光線をウエーハの裏面側からストリートに沿って照射し、基板の内部にストリートに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
該変質層が形成されたウエーハに外力を付与し、ウエーハをストリートに沿って分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法。
【請求項2】
該積層体分断工程は、ウエーハに形成されたストリートに沿ってウエーハの表面側から積層体に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を照射し、積層体の厚さより深いレーザー加工溝を形成する、請求項1記載の。ウエーハの分割方法。
【請求項3】
該積層体分断工程は、ウエーハに形成されたストリートに沿ってスクライブ加工を施し、積層体の厚さより深いスクライブ加工溝を形成する、請求項1記載の。ウエーハの分割方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の表面に積層された積層体によってデバイスが形成されたウエーハを、デバイスを区画する複数のストリートに沿って分割するウエーハの分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
当業者には周知の如く、半導体デバイス製造工程においては、シリコン等の半導体基板の表面に絶縁膜と機能膜が積層された積層体によって複数のIC、LSI等の半導体チップをマトリックス状に形成した半導体ウエーハが形成される。このように形成された半導体ウエーハは上記半導体チップがストリートと呼ばれる分割予定ラインによって区画されており、このストリートに沿って分割することによって個々の半導体チップを製造している。
【0003】
近時においては、IC、LSI等の半導体チップの処理能力を向上するために、シリコン等の半導体基板の表面にSiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)と回路を形成する機能膜が積層された積層体によって半導体チップを形成せしめた形態の半導体ウエーハが実用化されている。
【0004】
また、半導体ウエーハのストリートにテスト エレメント グループ(TEG)と称する金属膜が積層された金属パターを部分的に配設し、半導体ウエーハを分割する前に金属パターンを通して回路の機能をテストするように構成した半導体ウエーハも実用化されている。
【0005】
上述した半導体ウエーハ等のウエーハのストリートに沿った切断は、通常、ダイサーと称されている切削装置によって行われている。この切削装置は、半導体ウエーハ等のウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持された被加工物を切削するための切削手段と、チャックテーブルと切削手段とを相対的に移動せしめる切削送り手段とを具備している。切削手段は、回転スピンドルと該スピンドルに装着された切削ブレードおよび回転スピンドルを回転駆動する駆動機構を含んでいる。切削ブレードは円盤状の基台と該基台の側面外周部に装着された環状の切れ刃からなっており、切れ刃は例えば粒径3μm程度のダイヤモンド砥粒を電鋳によって基台に固定し厚さ20μm程度に形成されている。
【0006】
しかるに、切削ブレードは20μm程度の厚さを有するため、デバイスを区画するストリートとしては幅が50μm程度必要となる。このため、ウエーハに形成されたデバイスの大きさが小さい場合には、ストリートの占める面積比率が大きくなり、生産性が悪いという問題がある。
【0007】
一方、近年半導体ウエーハ等の板状の被加工物を分割する方法として、その被加工物に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザー光線を照射するレーザー加工方法も試みられている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、被加工物の一方の面側から内部に集光点を合わせて被加工物に対して透過性を有する赤外光領域のパルスレーザー光線を照射し、被加工物の内部に分割予定ラインに沿って変質層を連続的に形成し、この変質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って外力を加えることにより、被加工物を分割するものである。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特許第3408805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
而して、表面に低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)が積層されたウエーハやテスト エレメント グループ(TEG)と称する金属膜が積層された金属パターが配設されたウエーハを上述したレーザー加工方法を用いて分割しようとしてもストリートに沿って確実に分割することができない。即ち、ウエーハの一方の面側から内部に集光点を合わせてウエーハに対して透過性を有する赤外光領域のパルスレーザー光線を照射し、ウエーハの内部にストリートに沿って変質層を形成した後にストリートに沿って外力を付与しても、低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)等の積層体を確実に破断することができない。また、ウエーハがストリートに沿って破断されたとしても積層体が剥離して個々の分割されたチップの品質を低下させるという問題がある。
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、表面に低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)等が積層されたウエーハを所定のストリーに沿って確実に破断することができるウエーハの分割方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、基板の表面に積層された積層体によってデバイスが形成されたウエーハを、該デバイスを区画する複数のストリートに沿って分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハのストリートに積層された積層体をストリートに沿って分断する積層体分断工程と、
ウエーハの基板に対して透過性を有する波長のレーザー光線をウエーハの裏面側からストリートに沿って照射し、基板の内部にストリートに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
該変質層が形成されたウエーハに外力を付与し、ウエーハをストリートに沿って分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法が提供される。
【0011】
上記積層体分断工程は、ウエーハに形成されたストリートに沿ってウエーハの表面側から積層体に対して吸収性を有する波長のレーザー光線を照射し、積層体の厚さより深いレーザー加工溝を形成する。
また、上記積層体分断工程は、ウエーハに形成されたストリートに沿ってスクライブ加工を施し、積層体の厚さより深いスクライブ加工溝を形成する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるウエーハの分割方法においては、積層体分断工程を実施してウエーハのストリートに積層された積層体をストリートに沿って分断するとともに、変質層形成工程を実施して基板の内部にストリートに沿って変質層を形成した後に、変質層が形成されたウエーハに外力を付与してウエーハをストリートに沿って分割するので、ウエーハをストリートに沿って確実に分割することができる。また、積層体は積層体分断工程を実施することによりウエーハのストリートに沿って分断されているので、ウエーハがストリートに沿って破断される際に剥離することはなく、積層体が剥離することによりチップの品質を低下させるという問題を解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明によるウエーハの分割方法について添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
【0014】
図1には、本発明によるウエーハの分割方法によって個々のチップに分割される半導体ウエーハの斜視図が示されており、図2には図1に示す半導体ウエーハの要部拡大断面図が示されている。図1および図2に示す半導体ウエーハ2は、シリコン等の半導体基板20の表面に絶縁膜と回路を形成する機能膜が積層された積層体21によって複数のIC、LSI等のデバイス22がマトリックス状に形成されている。そして、各デバイス22は、格子状に形成されたストリート23によって区画されている。なお、図示の実施形態においては、積層体21を形成する絶縁膜は、SiO膜または、SiOF、BSG(SiOB)等の無機物系の膜やポリイミド系、パリレン系等のポリマー膜である有機物系の膜からなる低誘電率絶縁体被膜(Low−k膜)からなっている。このように形成された半導体ウエーハ2は、半導体基板20の裏面が研削され、所定の厚さに形成される。
【0015】
上述した半導体ウエーハ2をストリート23に沿って分割する第1の実施形態について、図3乃至図14を参照して説明する。
第1の実施形態においては、先ず半導体ウエーハ2のストリート23に積層された積層体21をストリートに沿って分断する積層体分断工程を実施する。この積層体分断工程は、図3に示すレーザー加工装置3を用いて実施する。図3に示すレーザー加工装置3は、被加工物を保持するチャックテーブル31と、該チャックテーブル31上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段32と、チャックテーブル31上に保持された被加工物を撮像する撮像手段33を具備している。チャックテーブル31は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない移動機構によって図3において矢印Xで示す加工送り方向および矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0016】
上記レーザー光線照射手段32は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング321を含んでいる。ケーシング321内には図示しないYAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング321の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光するための集光器322が装着されている。
【0017】
上記レーザー光線照射手段42を構成するケーシング321の先端部に装着された撮像手段33は、図示の実施形態においては可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0018】
上述したレーザー加工装置3を用いて実施する積層体分断工程について、図3乃至図5を参照して説明する。
この積層体分断工程は、先ず上述した図3に示すレーザー加工装置3のチャックテーブル31上に半導体ウエーハ2を載置し、該チャックテーブル31上に半導体ウエーハ2を吸着保持する。このとき、半導体ウエーハ2は、表面2aを上側にして保持される。
【0019】
上述したように半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル31は、図示しない加工送り機構によって撮像手段33の直下に位置付けられる。チャックテーブル31が撮像手段33の直下に位置付けられると、撮像手段33および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段33および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されているストリート23と、ストリート23に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段32の集光器322との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ2に形成されている上記所定方向に対して直角に延びるストリート23に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。
【0020】
以上のようにしてチャックテーブル31上に保持された半導体ウエーハ2に形成されているストリート23を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図4で示すようにチャックテーブル31をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段32の集光器322が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定のストリート23を集光器322の直下に位置付ける。このとき、図4の(a)で示すように半導体ウエーハ2は、ストリート23の一端(図4の(a)において左端)が集光器322の直下に位置するように位置付けられる。次に、レーザー光線照射手段32の集光器322から半導体ウエーハ2の積層体21に対して吸収性を有する波長のパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル31即ち半導体ウエーハ2を図4の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図4の(b)で示すように分割予定ライン21の他端(図4の(b)において右端)が集光器322の直下位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル31即ち半導体ウエーハ2の移動を停止する。この積層体分断工程においては、パルスレーザー光線の集光点Pをストリート23の表面付近に合わせる。
【0021】
上述した積層体分断工程を実施することにより、半導体ウエーハ2のストリート23には図5に示すように積層体21の厚さより深いレーザー加工溝24が形成される。この結果、ストリート23に積層された積層体21は、レーザー加工溝24によってストリート21に沿って分断される。そして、上述した積層体分断工程を半導体ウエーハ2に形成された全てのストリート23に実施する。
【0022】
なお、上記積層体分断工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
レーザー光線の光源 :LD励起QスイッチNd:YVO4レーザー
波長 :355nm
出力 :0.5〜2.5W
繰り返し周波数 :200kHz
パルス幅 :200ns
集光スポット径 :φ10μm
加工送り速度 :300〜500mm/秒
【0023】
次に、積層体分断工程の他の実施形態について、図6乃至図8を参照して説明する。
この実施形態における積層体分断工程は、図6に示す超音波スクライブ装置4を用いて実施する。図6に示す超音波スクライブ装置4は、被加工物を保持するチャックテーブル41と、該チャックテーブル41上に保持された被加工物に超音波スクライブ加工を施す超音波スクライブユニット42と、チャックテーブル41上に保持された被加工物を撮像する撮像手段43を具備している。チャックテーブル41は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない移動機構によって図6において矢印Xで示す加工送り方向および矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0024】
上記超音波スクライブユニット42は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング421を含んでいる。ケーシング421内には図示しない超音波発生手段が配設されている。上記ケーシング421の先端部には、超音波発生手段によって発生された超音波を被加工物に作用せしめる超音波スクライバ422が装着されている。
【0025】
上記超音波スクライブユニット42を構成するケーシング421の先端部に装着された撮像手段43は、被加工物を照明する照明手段と、該照明手段によって照明された領域を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた像を撮像する撮像素子(CCD)等を備え、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0026】
上述した超音波スクライブ装置4を用いて実施する積層体分断工程について、図6乃至図8を参照して説明する。
この積層体分断工程は、先ず上述した図6に示す超音波スクライブ装置4のチャックテーブル41上に半導体ウエーハ2を載置し、該チャックテーブル41上に半導体ウエーハ2を吸着保持する。このとき、半導体ウエーハ2は、表面2aを上側にして保持される。
【0027】
上述したように半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル41は、図示しない加工送り機構によって撮像手段43の直下に位置付けられる。チャックテーブル41が撮像手段43の直下に位置付けられると、撮像手段43および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のスクライブ加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段43および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されているストリート23と、ストリート23に沿ってスクライブ加工を施す超音波スクライブユニット42の超音波スクライバ422との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ2に形成されている上記所定方向に対して直角に延びるストリート23に対しても、同様にスクライブ加工位置のアライメントが遂行される。
【0028】
以上のようにしてチャックテーブル41上に保持された半導体ウエーハ2に形成されているストリート23を検出し、スクライブ加工位置のアライメントが行われたならば、図7で示すようにチャックテーブル41を超音波スクライブユニット42の超音波スクライバ422が位置するスクライブ加工領域に移動し、所定のストリート23を超音波スクライバ422の直下に位置付ける。このとき、図7の(a)で示すように半導体ウエーハ2は、ストリート23の一端(図7の(a)において左端)が超音波スクライバ422の直下に位置するように位置付けられる。そして、超音波スクライブユニット42を下降して超音波スクライバ422をストリート23の上面に接触させる。次に、超音波スクライブユニット42の図示しない超音波発生手段を附勢(ON)して超音波スクライバ422に超音波振動を付与しつつチャックテーブル41即ち半導体ウエーハ2を図7の(a)において矢印X1で示す方向に所定の加工送り速度で移動せしめる。そして、図7の(b)で示すように分割予定ライン21の他端(図7の(b)において右端)が超音波スクライバ422の直下位置に達したら、図示しない超音波発生手段を除勢(OFF)するとともにチャックテーブル41即ち半導体ウエーハ2の移動を停止する。
【0029】
上述した積層体分断工程を実施することにより、超音波振動が付与された超音波スクライバ422は2〜5μm切り込み送りされ、この結果半導体ウエーハ2のストリート23には図8に示すように積層体21の厚さより深いスクライブ加工溝25が形成される。この結果、ストリート23に積層された積層体21は、スクライブ加工溝25によってストリート21に沿って分断される。そして、上述した積層体分断工程を半導体ウエーハ2に形成された全てのストリート23に実施する。
【0030】
なお、上記積層体分断工程は、例えば以下の加工条件で行われる。
出力 :20〜100W
周波数 :40kHz
スクライバの材質 :ダイヤモンド
加工送り速度 :100mm/秒
【0031】
上述したように積層体分断工程を実施したならば、半導体ウエーハ2の半導体基板20対して透過性を有するレーザー光線を半導体基板20の裏面2a側からストリート23に沿って照射し、半導体基板20の内部にストリート23に沿って変質層を形成する変質層形成工程を実施する。この変質層形成工程は、実質的に上記図3に示すレーザー加工装置3と同様に構成されたレーザー加工装置を用いて実施される。従って、変質層形成工程の説明においては、図3に示すレーザー加工装置3の符号を用いて説明する。変質層形成行程は、図3に示すレーザー加工装置3のチャックテーブル31上に半導体ウエーハ2の表面2a側を載置し(従って、半導体ウエーハ2は裏面2bが上側となる)、図示しない吸引手段によってチャックテーブル31上に半導体ウエーハ2を吸着保持する。半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル31は、図示しない移動機構によって撮像手段33の直下に位置付けられる。
【0032】
チャックテーブル31が撮像手段33の直下に位置付けられると、撮像手段33および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。このアライメント作業は、積層体分断工程におけるアライメント作業と実質的に同様である。なお、このアライメント作業においては、半導体ウエーハ2のストリート23が形成されている表面2aは下側に位置しているが、撮像手段33が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、裏面2bから透かしてストリート23を撮像することができる。
【0033】
以上のようにしてチャックテーブル31上に保持されている半導体ウエーハ2に形成されているストリート23を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図9の(a)で示すようにチャックテーブル31をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段32の集光器322が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定のストリート23の一端(図9の(a)において左端)をレーザー光線照射手段32の集光器322の直下に位置付ける。そして、集光器322から半導体基板20に対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル31即ち半導体ウエーハ2を図9の(a)において矢印X1で示す方向に所定の送り速度で移動せしめる。そして、図9の(b)で示すように集光器322の照射位置が分割予定ライン21の他端の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル31即ち半導体ウエーハ2の移動を停止する。この変質層形成工程においては、パルスレーザー光線の集光点Pを半導体ウエーハ2の内部に合わせることにより、図9の(b)および図10に示すように半導体ウエーハ2の内部にストリート23に沿って変質層26が形成される。この変質層26は、溶融再固化層として形成される。そして、上述した変質層形成工程を半導体ウエーハ2に形成された全てのストリート23に実施する。
【0034】
上記変質層形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
光源 :LD励起QスイッチNd:YVO4スレーザー
波長 :1064nm
出力 :0.1〜10W
繰り返し周波数 :100kHz
パルス幅 :40ns
集光スポット径 :φ1μm
加工送り速度 :100mm/秒
【0035】
なお、半導体ウエーハ2の厚さが厚い場合には、図11に示すように集光点Pを段階的に変えて上述した変質層形成工程を複数回実行することにより、複数の変質層26を形成する。
【0036】
上述した変質層形成工程を実施したならば、図12に示すように環状のフレーム5に装着されたポリオレフィン等の合成樹脂シートからなる伸縮可能な保持テープ50の表面に半導体ウエーハ2の裏面2b側を貼着する(ウエーハ支持工程)。従って、半導体ウエーハ2は、表面2aが上側となる。
【0037】
図12に示すように環状のフレーム5に装着された保持テープ50の表面に半導体ウエーハ2を貼着したならば、変質層26が形成された半導体ウエーハ2に外力を付与し、半導体ウエーハ2をストリート23に沿って分割する分割工程を実施する。この分割工程は、図示の実施形態においては図13に示す分割装置6を用いて実施する。図13に示す分割装置6は、上記環状のフレーム5を保持するフレーム保持手段61と、該フレーム保持手段61に保持された環状のフレーム5に装着された保持テープ50を拡張するテープ拡張手段62を具備している。フレーム保持手段61は、環状のフレーム保持部材611と、該フレーム保持部材611の外周に配設された固定手段としての複数のクランプ612とからなっている。フレーム保持部材611の上面は環状のフレーム5を載置する載置面611aを形成しており、この載置面611a上に環状のフレーム5が載置される。そして、載置面611a上に載置された環状のフレーム5は、クランプ612によってフレーム保持部材611に固定される。このように構成されたフレーム保持手段61は、テープ拡張手段62によって上下方向に進退可能に支持されている。
【0038】
テープ拡張手段62は、上記環状のフレーム保持部材611の内側に配設される拡張ドラム621を具備している。この拡張ドラム621は、環状のフレーム5の内径より小さく該環状のフレーム5に装着された保持テープ50に貼着される半導体ウエーハ2の外径より大きい内径および外径を有している。また、拡張ドラム621は、下端に支持フランジ622を備えている。図示の実施形態におけるテープ拡張手段62は、上記環状のフレーム保持部材611を上下方向に進退可能な支持手段63を具備している。この支持手段63は、上記支持フランジ622上に配設された複数のエアシリンダ631からなっており、そのピストンロッド632が上記環状のフレーム保持部材611の下面に連結される。このように複数のエアシリンダ631からなる支持手段63は、環状のフレーム保持部材611を載置面611aが拡張ドラム621の上端と略同一高さとなる基準位置と、拡張ドラム621の上端より所定量下方の拡張位置の間を上下方向に移動せしめる。従って、複数のエアシリンダ631からなる支持手段63は、拡張ドラム621とフレーム保持部材611とを上下方向に相対移動する拡張移動手段として機能する。
【0039】
以上のように構成された分割装置6を用いて実施する分割工程について図14を参照して説明する。即ち、半導体ウエーハ2(ストリート23に沿ってレーザー加工溝24またはスクライブ加工溝25と変質層26が形成されている)を保持テープ50を介して支持した環状のフレーム5を、図14の(a)に示すようにフレーム保持手段61を構成するフレーム保持部材611の載置面611a上に載置し、クランプ機構612によってフレーム保持部材611に固定する。このとき、フレーム保持部材611は図14の(a)に示す基準位置に位置付けられている。次に、テープ拡張手段62を構成する支持手段63としての複数のエアシリンダ631を作動して、環状のフレーム保持部材611を図14の(b)に示す拡張位置に下降せしめる。従って、フレーム保持部材611の載置面611a上に固定されている環状のフレーム30も下降するため、図14の(b)に示すように環状のフレーム4に装着された保持テープ4は拡張ドラム621の上端縁に当接して拡張せしめられる(テープ拡張工程)。この結果、保持テープ50に貼着されている半導体ウエーハ2は放射状に引張力が作用する。このように半導体ウエーハ2に放射状に引張力が作用すると、ストリート23に沿って形成された変質層26は強度が低下せしめられているので、この変質層26が分割起点となって半導体ウエーハ2は変質層26に沿って破断され個々の半導体チップ200に分割される。このとき、半導体ウエーハ2のストリート23には図5または図8に示すように積層体21の厚さより深いレーザー加工溝24またはスクライブ加工溝25が形成され積層体21はストリート23に沿って分断されているので、半導体ウエーハ2はストリート23に沿って確実に分割される。また、積層体21はレーザー加工溝24またはスクライブ加工溝25によってストリート23に沿って分断されているので、半導体ウエーハ2がストリート23に沿って破断される際に剥離することはなく、積層体21が剥離することにより半導体チップ200の品質を低下させるという問題を解消することができる。
【0040】
なお、分割工程は上述した分割方法の外に、次のような分割方法を用いることができる。
即ち、保持テープ50に貼着された半導体ウエーハ2(ストリート23に沿ってレーザー加工溝24またはスクライブ加工溝25と変質層26が形成されている)を柔軟なゴムシート上に載置し、その上面をローラーによって押圧することによって、半導体ウエーハ2を変質層26が形成され強度が低下したストリート23に沿って割断する方法を用いることができる。また、変質層が形成され強度が低下したストリート23に沿って例えば周波数が28kHz程度の縦波(疎密波)からなる超音波を作用せしめる方法等を用いることができる。
【0041】
次に、上述した半導体ウエーハ2をストリート23に沿って分割する第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態においては、先ず半導体ウエーハ2の半導体基板20対して透過性を有するレーザー光線を半導体基板20の裏面2a側からストリート23に沿って照射し、半導体基板20の内部にストリート23に沿って変質層を形成する変質層形成工程を実施する。この変質層形成工程は、上記図3に示すレーザー加工装置3と実質的に同じ構成からなるレーザー加工装置を用いて図9乃至図11に示す変質層形成工程と同様に実施することができきる。なお、このとき、半導体ウエーハ2にはストリート23に沿ってレーザー加工溝24またはスクライブ加工溝25は形成されていない。
【0042】
上述した変質層形成工程を実施したならば、図12に示す環状のフレーム5に装着された保持テープ50の表面に半導体ウエーハ2の裏面2b側を貼着するウエーハ支持工程を実施する。従って、半導体ウエーハ2は、表面2aが上側となる。なお、このとき、半導体ウエーハ2にはストリート23に沿ってレーザー加工溝24またはスクライブ加工溝25は形成されていない。
【0043】
ウエーハ支持工程を実施したならば、半導体ウエーハ2のストリート23に積層された積層体21をストリートに沿って分断する積層体分断工程を実施する。この積層体分断工程は、図3に示すレーザー加工装置3または図6に示す超音波スクライブ装置4を用いて実施する。なお、レーザー加工装置3を用いた場合には、上記図4および図5に示す積層体分断工程と同様に実施する。また、超音波スクライブ装置4を用いた場合には、図7および図8に示す積層体分断工程と同様に実施する。なお、積層体分断工程においては、レーザー加工装置3のチャックテーブル31または超音波スクライブ装置4のチャックテーブルには半導体ウエーハ2が保持テープ50を介して保持される。
【0044】
上述した積層体分断工程を実施したならば、変質層26が形成された半導体ウエーハ2に外力を付与し、半導体ウエーハ2をストリート23に沿って分割する分割工程を実施する。この分割工程は、図13に示す分割装置6を用いて図14に示すように実施する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明によるウエーハの分割方法によって分割される半導体ウエーハを示す斜視図。
【図2】図1に示す半導体ウエーハの断面拡大図。
【図3】本発明によるウエーハの分割方法における積層体分断工程および変質層形成工程を実施するためのレーザー加工装置の要部斜視図。
【図4】図3に示すレーザー加工装置を用いて実施する本発明によるウエーハの分割方法における積層体分断工程の説明図。
【図5】図4に示す積層体分断工程によって半導体ウエーハのストリートに形成されたレーザー加工溝を示す半導体ウエーハの要部拡大断面図。
【図6】本発明によるウエーハの分割方法における積層体分断工程を実施するための超音波スクライブ装置の要部斜視図。
【図7】図7に示す本発明によるウエーハの分割方法において積層体分断工程(スクライブ加工溝形成工程)の説明図。
【図8】図7に示す超音波スクライブ装置を用いて実施する本発明によるウエーハの分割方法における積層体分断工程の説明図。
【図9】図3に示すレーザー加工装置を用いて実施する本発明によるウエーハの分割方法において変質層形成工程の説明図。
【図10】図9に示す変質層形成工程によって半導体ウエーハの内部に形成された変質層を示す半導体ウエーハの要部拡大断面図。
【図11】図10に示す変質層形成工程において半導体ウエーハの内部に変質層を積層して形成した状態を示す説明図。
【図12】積層体分断工程および変質層形成工程が実施された半導体ウエーハが環状のフレームに保護テープを介して支持された状態を示す斜視図。
【図13】本発明によるウエーハの分割方法における分割工程を実施するための分割装置の斜視図。
【図14】本発明によるウエーハの分割方法における分割工程の説明図。
【符号の説明】
【0046】
2:半導体ウエーハ
20:基板
21:積層体
23:ストリート
24:レーザー加工溝
25:スクライブ加工溝
3:レーザー加工装置
31:レーザー加工装置のチャックテーブル
32:レーザー光線照射手段
322:集光器
4:超音波スクライブ装置
41:超音波スクライブ装置のチャックテーブル
42:超音波スクライブユニット
422:超音波スクライバ
5:環状のフレーム
50:保持テープ
6:分割装置
61:フレーム保持手段
62:テープ拡張手段




 

 


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