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発明の名称 ウエーハの分割方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−173268(P2007−173268A)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
出願番号 特願2005−364347(P2005−364347)
出願日 平成17年12月19日(2005.12.19)
代理人 【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
発明者 関家 一馬 / 中村 勝 / 小林 賢史
要約 課題
デバイスの裏面に細かなクラック(チッピング)を発生させることなく分割することができるウエーハの分割方法を提供する。

解決手段
デバイスが形成されたウエーハを、分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割するウエーハの分割方法であって、ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を分割予定ラインに沿って照射しウエーハの内部に変質層を形成する変質層形成工程と、環状のフレームに装着され紫外線を照射することによって粘着力が低下する粘着テープの表面にウエーハの裏面を貼着するウエーハ支持工程と、ウエーハが貼着されている粘着テープに紫外線を照射し粘着テープの粘着力を低下せしめる粘着力低下工程と、粘着力低下工程を実施した後に、粘着力が低下せしめられた粘着テープに貼着されているウエーハに外力を付与し変質層が形成された分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスに分割する分割工程とを含む。
特許請求の範囲
【請求項1】
表面に複数の分割予定ラインが格子状に形成されているとともに該複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを、該分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に該分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
環状のフレームに装着され紫外線を照射することによって粘着力が低下する粘着テープの表面にウエーハの裏面を貼着するウエーハ支持工程と、
該分割予定ラインに沿って変質層が形成されたウエーハが貼着されている該粘着テープに紫外線を照射し、該粘着テープの粘着力を低下せしめる粘着力低下工程と、
該粘着力低下工程を実施した後に、粘着力が低下せしめられた該粘着テープに貼着されているウエーハに外力を付与し、該変質層が形成された該分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスに分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法。
【請求項2】
表面に複数の分割予定ラインが格子状に形成されているとともに該複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを、該分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に該分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
環状のフレームに装着された粘着テープの表面にウエーハの裏面を貼着するウエーハ支持工程と、
該ウエーハ支持工程の前または後に、ウエーハの表面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程と、
該粘着テープに貼着されているウエーハに外力を付与し、該変質層が形成された該分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスに分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法。
【請求項3】
表面に複数の分割予定ラインが格子状に形成されているとともに該複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを、該分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に該分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
環状のフレームに装着され紫外線を照射することによって粘着力が低下する粘着テープの表面にウエーハの裏面を貼着するウエーハ支持工程と、
該ウエーハ支持工程の前または後に、ウエーハの表面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程と、
該分割予定ラインに沿って変質層が形成されたウエーハが貼着されている該粘着テープに紫外線を照射し、該粘着テープの粘着力を低下せしめる粘着力低下工程と、
該粘着力低下工程を実施した後に、粘着力が低下せしめられた該粘着テープに貼着されているウエーハに外力を付与し、該変質層が形成された該分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスに分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に複数の分割予定ラインが格子状に形成されているとともに該複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを、該分割予定ラインに沿って個々のチップに分割するウエーハの分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、略円板形状である半導体ウエーハの表面に格子状に配列されたストリートと呼ばれる分割予定ラインによって複数の領域が区画され、この区画された領域にIC、LSI等のデバイスを形成する。そして、半導体ウエーハを分割予定ラインに沿って切断することによりデバイスが形成された領域を分割して個々の半導体チップを製造している。また、サファイヤ基板の表面に窒化ガリウム系化合物半導体等が積層された光デバイスウエーハも所定の分割予定ラインに沿って切断することにより個々の発光ダイオード、レーザーダイオード等の光デバイスに分割され、電気機器に広く利用されている。
【0003】
上述した半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハを分割予定ラインに沿って分割する方法として、そのウエーハに対して透過性を有する波長のパルスレーザー光線を用い、分割すべき領域の内部に集光点を合わせてパルスレーザー光線を照射するレーザー加工方法が提案されている。このレーザー加工方法を用いた分割方法は、ウエーハの一方の面側から内部に集光点を合わせてウエーハに対して透過性を有する赤外光領域のパルスレーザー光線を照射し、ウエーハの内部に分割予定ラインに沿って変質層を連続的に形成し、この変質層が形成されることによって強度が低下した分割予定ラインに沿って外力を加えることにより、ウエーハを個々のデバイスに分割するものである。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特許第3408805号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体ウエーハ等のウエーハを分割予定ラインに沿って分割する際には、個々に分割されたデバイスがバラバラにならないように、ウエーハは裏面を環状のフレームに装着された粘着テープの表面に貼着された状態で分割される。
而して、分割予定ラインに沿って変質層が形成されたウエーハに外力を付与して個々のデバイスに分割すると、粘着テープに塗布されている柔軟な粘着糊の影響でウエーハが踊り、分割されたデバイスの裏面に微細なクラック(チッピング)が発生し、デバイスの品質を低下させるという問題がある。また、ウエーハを変質層が形成された分割予定ラインに沿って分割する際に粉塵が飛散し、この粉塵がデバイスの表面に付着してデバイスの品質を低下させるという問題がある。
【0005】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、デバイスの裏面に細かなクラック(チッピング)を発生させることなく分割することができるウエーハの分割方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、表面に複数の分割予定ラインが格子状に形成されているとともに該複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを、該分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に該分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
環状のフレームに装着され紫外線を照射することによって粘着力が低下する粘着テープの表面にウエーハの裏面を貼着するウエーハ支持工程と、
該分割予定ラインに沿って変質層が形成されたウエーハが貼着されている該粘着テープに紫外線を照射し、該粘着テープの粘着力を低下せしめる粘着力低下工程と、
該粘着力低下工程を実施した後に、粘着力が低下せしめられた該粘着テープに貼着されているウエーハに外力を付与し、該変質層が形成された該分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスに分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、表面に複数の分割予定ラインが格子状に形成されているとともに該複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを、該分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に該分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
環状のフレームに装着された粘着テープの表面にウエーハの裏面を貼着するウエーハ支持工程と、
該ウエーハ支持工程の前または後に、ウエーハの表面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程と、
該粘着テープに貼着されているウエーハに外力を付与し、該変質層が形成された該分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスに分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法が提供される。
【0008】
更に、本発明によれば、表面に複数の分割予定ラインが格子状に形成されているとともに該複数の分割予定ラインによって区画された複数の領域にデバイスが形成されたウエーハを、該分割予定ラインに沿って個々のデバイスに分割するウエーハの分割方法であって、
ウエーハに対して透過性を有する波長のレーザー光線を該分割予定ラインに沿って照射し、ウエーハの内部に該分割予定ラインに沿って変質層を形成する変質層形成工程と、
環状のフレームに装着され紫外線を照射することによって粘着力が低下する粘着テープの表面にウエーハの裏面を貼着するウエーハ支持工程と、
該ウエーハ支持工程の前または後に、ウエーハの表面に保護テープを貼着する保護テープ貼着工程と、
該分割予定ラインに沿って変質層が形成されたウエーハが貼着されている該粘着テープに紫外線を照射し、該粘着テープの粘着力を低下せしめる粘着力低下工程と、
該粘着力低下工程を実施した後に、粘着力が低下せしめられた該粘着テープに貼着されているウエーハに外力を付与し、該変質層が形成された該分割予定ラインに沿ってウエーハを個々のデバイスに分割する分割工程と、を含む、
ことを特徴とするウエーハの分割方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によるウエーハの分割方法においては、分割工程を実施する際には、粘着力低下工程が実施され粘着テープの粘着糊が硬化せしめられているので、ウエーハが粘着糊の影響で踊ることがないため、分割された個々のデバイスの裏面にチッピングが生じることはない。
また、本発明によるウエーハの分割方法においては、分割工程を実施する際には、ウエーハの表面に保護テープが貼着されており、ウエーハは粘着テープと保護テープとによってサンドイッチされた状態であるので粘着糊の影響で踊ることがないため、分割された個々のデバイスの裏面にチッピングが生じることはない。また、ウエーハの表面には保護テープが貼着されているので、ウエーハが分割予定ラインに沿って破断される際に粉塵が飛散しても、この粉塵がデバイスの表面に付着することはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明によるウエーハの分割方法の好適な実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1には、本発明によるウエーハの分割方法に従って分割されるウエーハとしての半導体ウエーハの斜視図が示されている。図1に示す半導体ウエーハ2は、例えば厚さが300μmのシリコンウエーハからなっており、表面2aには複数の分割予定ライン21が格子状に形成されている。そして、半導体ウエーハ2の表面2aには、複数の分割予定ライン21によって区画された複数の領域にIC、LSI等のデバイス22が形成されている。以下、この半導体ウエーハ2を個々のデバイスに分割するウエーハの分割方法について説明する。
【0012】
上述した半導体ウエーハ2をストリート21に沿って分割する第1の実施形態について、図2乃至図10を参照して説明する。
第1の実施形態においては、先ず図2に示すように上述した半導体ウエーハ2の表面2aに保護テープ3を貼着する(保護テープ貼着工程)。
【0013】
保護テープ貼着工程を実施することにより半導体ウエーハ2の表面2aに保護テープ3を貼着したならば、例えばシリコンウエーハによって構成された半導体ウエーハ2に対して透過性を有するパルスレーザー光線を半導体ウエーハ2の裏面側から分割予定ライン21に沿って照射し、半導体ウエーハ2の内部に分割予定ライン21に沿って変質層を形成することにより分割予定ラインに沿って強度を低下せしめる変質層形成工程を実施する。この変質層形成工程は、図3に示すレーザー加工装置4を用いて実施する。図3に示すレーザー加工装置4は、被加工物を保持するチャックテーブル41と、該チャックテーブル41上に保持された被加工物にレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段42と、チャックテーブル41上に保持された被加工物を撮像する撮像手段43を具備している。チャックテーブル41は、被加工物を吸引保持するように構成されており、図示しない移動機構によって図3において矢印Xで示す加工送り方向および矢印Yで示す割り出し送り方向に移動せしめられるようになっている。
【0014】
上記レーザー光線照射手段42は、実質上水平に配置された円筒形状のケーシング421を含んでいる。ケーシング421内には図示しないYAGレーザー発振器或いはYVO4レーザー発振器からなるパルスレーザー光線発振器や繰り返し周波数設定手段を備えたパルスレーザー光線発振手段が配設されている。上記ケーシング421の先端部には、パルスレーザー光線発振手段から発振されたパルスレーザー光線を集光するための集光器422が装着されている。
【0015】
上記レーザー光線照射手段42を構成するケーシング421の先端部に装着された撮像手段43は、図示の実施形態においては可視光線によって撮像する通常の撮像素子(CCD)の外に、被加工物に赤外線を照射する赤外線照明手段と、該赤外線照明手段によって照射された赤外線を捕らえる光学系と、該光学系によって捕らえられた赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成されており、撮像した画像信号を図示しない制御手段に送る。
【0016】
上述したレーザー加工装置4を用いて実施する変質層形成工程について、図3乃至図5を参照して説明する。
この変質層形成行程は、先ず上述した図3に示すレーザー加工装置4のチャックテーブル41上に半導体ウエーハ2の保護部材3側を載置し(従って、半導体ウエーハ2は裏面2bが上側となる)、図示しない吸引手段によってチャックテーブル41上に半導体ウエーハ2を吸着保持する。半導体ウエーハ2を吸引保持したチャックテーブル41は、図示しない移動機構によって撮像手段43の直下に位置付けられる。
【0017】
チャックテーブル41が撮像手段43の直下に位置付けられると、撮像手段43および図示しない制御手段によって半導体ウエーハ2のレーザー加工すべき加工領域を検出するアライメント作業を実行する。即ち、撮像手段43および図示しない制御手段は、半導体ウエーハ2の所定方向に形成されている分割予定ライン21と、分割予定ライン21に沿ってレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段42の集光器422との位置合わせを行うためのパターンマッチング等の画像処理を実行し、レーザー光線照射位置のアライメントを遂行する。また、半導体ウエーハ2に形成されている上記所定方向に対して直交して延びる分割予定ライン21に対しても、同様にレーザー光線照射位置のアライメントが遂行される。このとき、半導体ウエーハ2の分割予定ライン21が形成されている表面2aは下側に位置しているが、撮像手段43が上述したように赤外線照明手段と赤外線を捕らえる光学系および赤外線に対応した電気信号を出力する撮像素子(赤外線CCD)等で構成された撮像手段を備えているので、裏面2bから透かして分割予定ライン21を撮像することができる。
【0018】
以上のようにしてチャックテーブル41上に保持されている半導体ウエーハ2に形成されている分割予定ライン21を検出し、レーザー光線照射位置のアライメントが行われたならば、図4の(a)で示すようにチャックテーブル41をレーザー光線を照射するレーザー光線照射手段42の集光器422が位置するレーザー光線照射領域に移動し、所定の分割予定ライン21の一端(図4の(a)において左端)をレーザー光線照射手段42の集光器422の直下に位置付ける。そして、集光器422からシリコンウエーハに対して透過性を有するパルスレーザー光線を照射しつつチャックテーブル41即ち半導体ウエーハ2を図4の(a)において矢印X1で示す方向に所定の送り速度で移動せしめる。そして、図4の(b)で示すように集光器422の照射位置が分割予定ライン21の他端の位置に達したら、パルスレーザー光線の照射を停止するとともにチャックテーブル41即ち半導体ウエーハ2の移動を停止する。この変質層形成工程においては、パルスレーザー光線の集光点Pを半導体ウエーハ2の表面2a(下面)付近に合わせることにより、表面2a(下面)に露出するとともに表面2aから内部に向けて変質層210が形成される。この変質層210は、溶融再固化層として形成される。
【0019】
上記変質層形成工程における加工条件は、例えば次のように設定されている。
光源 :LD励起QスイッチNd:YVO4スレーザー
波長 :1064nmのパルスレーザー
パルス出力 :10μJ
集光スポット径 :φ1μm
繰り返し周波数 :100kHz
加工送り速度 :100mm/秒
【0020】
なお、半導体ウエーハ2の厚さが厚い場合には、図5に示すように集光点Pを段階的に変えて上述した変質層形成工程を複数回実行することにより、複数の変質層210を形成する。例えば、上述した加工条件においては1回に形成される変質層の厚さは約50μmであるため、上記変質層形成工程を例えば3回実施して150μmの変質層210を形成する。また、厚さが300μmのウエーハ2に対して6層の変質層を形成し、半導体ウエーハ2の内部に分割予定ライン21に沿って表面2aから裏面2bに渡って変質層を形成してもよい。また、変質層210は、表面2aおよび裏面2bに露出しないように内部だけに形成してもよい。
【0021】
このようにして、半導体ウエーハ2の所定方向に延在する全ての分割予定ライン21に沿って上記変質層形成工程を実行したならば、チャックテーブル41を90度回動せしめて、上記所定方向に対して直角に延びる各分割予定ラインに沿って上記変質層形成工程を実行する。
【0022】
以上のようにして、半導体ウエーハ2に形成された全ての分割予定ライン21に沿って上記変質層形成工程を実行したならば、環状のフレームに装着され紫外線を照射することによって粘着力が低下する粘着テープの表面にウエーハの裏面を貼着するウエーハ支持工程を実施する。即ち、図6に示すように環状のフレーム5の開口51を覆うように外周部が装着された粘着テープ50の表面に半導体ウエーハ2の裏面2bを貼着する。そして、半導体ウエーハ2の表面2aに貼着されている保護テープ3を剥離する。なお、粘着テープ50は、例えば厚さが70μmのポリ塩化ビニル(PVC)等の合成樹脂からなるシート材の表面に紫外線を照射することにより粘着力が低下する粘着糊が塗布されている。紫外線を照射することにより粘着力が低下する粘着糊を備えた粘着テープとしては、リンテック(株)が製造販売するDシリーズテープ、古河電気工業(株)が製造販売するUCシリーズテープ、住友ベークライト(株)が製造販売するFSL-N4000シリーズテープ等を使用することができる。
【0023】
上述したウエーハ支持工程を実施したならば、分割予定ライン21に沿って変質層210が形成された半導体ウエーハ2が貼着されている粘着テープ50に紫外線を照射し、粘着テープ50の粘着力を低下せしめる粘着力低下工程を実施する。この粘着力低下工程は、図7および図8に示す紫外線照射器6を用いて実施する。図7および図8に示す紫外線照射器6は、上方が開口した略直方体状のランプハウジング61と、該ランプハウジング61内に配設された複数本の紫外線照射ランプ62と、ランプハウジング61の上面に配設されたフレーム保持板63とからなっている。フレーム保持板63には環状のフレーム5の開口51と対応する開口631が形成されている。この開口631には透明ガラス632が嵌め込まれている。また、フレーム保持板63の上面には、環状のフレーム5の外周縁を規制するための2個の位置決め部材633、634が設けられている。
【0024】
以上のように構成された紫外線照射器6のフレーム保持板63上に半導体ウエーハ2(分割予定ライン21に変質層210が形成されている)を粘着テープ50を介し支持している環状のフレーム5を載置する。このとき、環状のフレーム5の外周縁を2個の位置決め部材633、634に当接することにより、環状のフレーム5は所定の位置に位置付けられる。このようにして、フレーム保持板63の所定位置に位置付けられると、図8に示すようにフレーム保持板63に形成された開口631と環状のフレーム5の開口51が対応する。そして、図8に示すように紫外線照射ランプ62を点灯する。紫外線照射ランプ62の点灯により、透明ガラス632を透過して環状のフレーム5に装着された粘着テープ50に紫外線が照射される。この結果、粘着テープ50の粘着糊が硬化して粘着力が低下する。
【0025】
上述した粘着力低下工程を実施したならば、粘着力が低下せしめられた粘着テープ50に貼着されている半導体ウエーハ2に外力を付与し、変質層210が形成された分割予定ライン21に沿って半導体ウエーハ2を個々のデバイスに分割する分割工程を実施する。
この分割工程は、図9に示す分割装置2を用いて実施する。
図9に示す分割装置7は、基台71と、該基台71上に矢印Yで示す方向に移動可能に配設された移動テーブル72を具備している。基台71は矩形状に形成され、その両側部上面には矢印Yで示す方向に2本の案内レール711、712が互いに平行に配設されている。この2本の案内レール711、712上に移動テーブル72が移動可能に配設されている。移動テーブル72は、移動手段73によって矢印Yで示す方向に移動せしめられる。移動テーブル72上には、上記環状のフレーム5を保持するフレーム保持手段74が配設されている。フレーム保持手段74は、円筒状の本体741と、該本体741の上端に設けられた環状のフレーム保持部材742と、該フレーム保持部材742の外周に配設された固定手段としての複数のクランプ743とからなっている。このように構成されたフレーム保持手段74は、フレーム保持部材742上に載置された環状のフレーム5をクランプ743によって固定する。また、図9に示す分割装置7は、上記フレーム保持手段74を回動せしめる回動手段75を具備している。この回動手段75は、上記移動テーブル72に配設されたパルスモータ751と、該パルスモータ751の回転軸に装着されたプーリ752と、該プーリ752と円筒状の本体741に捲回された無端ベルト753とからなっている。このように構成された回動手段75は、パルスモータ751を駆動することにより、プーリ752および無端ベルト753を介してフレーム保持手段74を回動せしめる。
【0026】
図9に示す分割装置7は、上記環状のフレーム保持部材742に保持された環状のフレーム5に粘着テープ50を介して支持されている半導体ウエーハ2に分割予定ライン21と直交する方向に引張力を作用せしめる張力付与手段76を具備している。張力付与手段76は、環状のフレーム保持部材74の本体61内に配置されている。この張力付与手段76は、矢印Y方向と直交する方向に長い長方形の保持面を備えた第1の吸引保持部材761と第2の吸引保持部材762を備えている。第1の吸引保持部材761には複数の吸引孔761aが形成されており、第2の吸引保持部材762には複数の吸引孔762aが形成されている。複数の吸引孔761aおよび762aは、図示しない吸引手段に連通されている。また、第1の吸引保持部材761と第2の吸引保持部材762は、図示しない移動手段によって矢印Y方向にそれぞれ移動せしめられるようになっている。
【0027】
図9に示す分割装置7は、上記環状のフレーム保持部材742に保持された環状のフレーム5に粘着テープ50を介して支持されている半導体ウエーハ2の分割予定ライン21を検出するための検出手段77を具備している。検出手段77は、基台71に配設されたL字状の支持柱771に取り付けられている。この検出手段7は、光学系および撮像素子(CCD)等で構成されており、上記張力付与手段76の上方位置に配置されている。このように構成された検出手段77は、上記環状のフレーム保持部材742に保持された環状のフレーム5に粘着テープ50を介して支持されている半導体ウエーハ2の分割予定ライン21を撮像し、これを電気信号に変換して図示しない制御手段に送る。
【0028】
上述した分割装置7を用いて実施する分割工程について、図9および図10を参照して説明する。
上述した粘着力低下工程が実施された粘着テープ50に貼着されている半導体ウエーハ2を支持する環状のフレーム5を、図10の(a)に示すようにフレーム保持部材742上に載置し、クランプ743によってフレーム保持部材742に固定する。次に、移動手段73を作動して移動テーブル72を矢印Yで示す方向(図9参照)に移動し、図10の(a)に示すように半導体ウエーハ2に所定方向に形成された1本の分割予定ライン21(図示の実施形態においては最左端の分割予定ライン)が張力付与手段76を構成する第1の吸引保持部材761の保持面と第2の吸引保持部材762の保持面との間に位置付ける。このとき、検出手段77によって分割予定ライン21を撮像し、第1の吸引保持部材761の保持面と第2の吸引保持部材762の保持面との位置合わせを行う。このようにして、1本の分割予定ライン21が第1の吸引保持部材761の保持面と第2の吸引保持部材762の保持面との間に位置付けられたならば、図示しない吸引手段を作動し吸引孔761aおよび762bに負圧を作用せしめることにより、第1の吸引保持部材761の保持面と第2の吸引保持部材762の保持面上に粘着テープ50を介して半導体ウエーハ2を吸引保持する(保持工程)。
【0029】
上述した保持工程を実施したならば、張力付与手段76を構成する図示しない移動手段を作動し、第1の吸引保持部材761と第2の吸引保持部材762を図10の(b)に示すように互いに離反する方向に移動せしめる。この結果、第1の吸引保持部材761の保持面と第2の吸引保持部材762の保持面との間に位置付けられた分割予定ライン21には、分割予定ライン21と直交する方向に引張力が作用して、半導体ウエーハ2は分割予定ライン21に沿って破断される(分割工程)。この分割工程を実施することにより、粘着テープ50は僅かに伸びる。この分割工程においては、半導体ウエーハ21は分割予定ライン21に沿って変質層210が形成され強度が低下せしめられているので、第1の吸引保持部材761と第2の吸引保持部材762を互いに離反する方向に0.5mm程度移動することにより半導体ウエーハ2を分割予定ライン21に沿って破断することができる。
【0030】
上述したように所定方向に形成された1本の分割予定ライン21に沿って破断する分割工程を実施したならば、上述した第1の吸引保持部材761および第2の吸引保持部材762による半導体ウエーハ2の吸引保持を解除する。次に、移動手段73を作動して移動テーブル72を矢印Yで示す方向(図9参照)に分割予定ライン21の間隔に相当する分だけ移動し、上記分割工程を実施した分割予定ライン21の隣の分割予定ライン21が張力付与手段76を構成する第1の吸引保持部材761の保持面と第2の吸引保持部材762の保持面との間に位置付ける。そして、上記保持工程および分割工程を実施する。
【0031】
以上のようにして、所定方向に形成された全ての分割予定ライン21に対して上記保持工程および分割工程を実施したならば、回動手段75を作動してフレーム保持手段74を90度回動せしめる。この結果、フレーム保持手段74のフレーム保持部材762に保持された半導体ウエーハ2も90度回動することになり、所定方向に形成され上記分割工程が実施された分割予定ライン21と直交する方向に形成された分割予定ライン21が第1の吸引保持部材761の保持面と第2の吸引保持部材762の保持面と平行な状態に位置付けられる。次に、上記分割工程が実施された分割予定ライン21と直交する方向に形成された全ての分割予定ライン21に対して上述し保持工程および分割工程を実施することにより、半導体ウエーハ2は分割予定ライン21に沿って個々のデバイスに分割される。
【0032】
上述した分割工程を実施する際には、既に上記粘着力低下工程が実施され粘着テープ50の粘着糊が硬化せしめられているので、半導体ウエーハ2が粘着糊の影響で踊ることがないため、分割された個々のデバイスの裏面にチッピングが生じることはない。
【0033】
次に、図1に示す半導体ウエーハ2をストリート21に沿って分割する第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態も上記第1の実施形態と同様に、上述した保護テープ貼着工程および変質層形成工程を実施する、そして、図11に示すように環状のフレーム5に装着された粘着テープ50の表面に半導体ウエーハ2の裏面2bを貼着するウエーハ支持工程を実施する。第2の実施形態におけるウエーハ支持工程においては、半導体ウエーハ2の表面2aに貼着されている保護テープ3は剥離しない。なお、上述した保護テープ貼着工程は、ウエーハ支持工程を実施した後に実施してもよい。即ち、半導体ウエーハ2の表面に保護テープ3を貼着しないで上記変質層形成工程を実施し、変質層形成工程が実施された半導体ウエーハ2の裏面2bを環状のフレーム5に装着された粘着テープ50の表面に貼着するウエーハ支持工程を実施する。そして、環状のフレーム5に装着された粘着テープ50の表面に貼着された半導体ウエーハ2の表面2aに保護テープ3を貼着する。なお、第2の実施形態においては、粘着テープ50の表面に塗布される粘着糊は、必ずしも紫外線を照射することにより粘着力が低下する粘着糊である必要はない。
【0034】
次に、環状のフレーム5に装着された粘着テープ50の表面に貼着された半導体ウエーハ2の表面2aに保護テープ3が貼着された状態で、半導体ウエーハ2に外力を付与し変質層210が形成された分割予定ライン21に沿って半導体ウエーハ2を個々のデバイスに分割する分割工程を実施する。この分割工程は、上記図9に示す分割装置7を用いて実施する。即ち、粘着テープ50に貼着されている半導体ウエーハ2を支持する環状のフレーム5を、図12の(a)に示すようにフレーム保持部材742上に載置し、クランプ743によってフレーム保持部材742に固定する。そして、上述した分割工程と同様に、第1の吸引保持部材761の保持面と第2の吸引保持部材762の保持面との位置合わせを実施した後、図示しない吸引手段を作動し吸引孔761aおよび762bに負圧を作用せしめることにより、第1の吸引保持部材761の保持面と第2の吸引保持部材762の保持面上に粘着テープ50を介して半導体ウエーハ2を吸引保持する。次に、張力付与手段76を構成する図示しない移動手段を作動し、第1の吸引保持部材761と第2の吸引保持部材762を図12の(b)に示すように互いに離反する方向に移動せしめることにより、半導体ウエーハ2は分割予定ライン21に沿って破断される。この分割工程を実施することにより、粘着テープ50および保護テープ3は僅かに伸びる。この分割工程を実施する際には、半導体ウエーハ2の表面2aに保護テープ3が貼着されており、半導体ウエーハ2は粘着テープ50と保護テープ3とによってサンドイッチされた状態であるので粘着糊の影響で踊ることがないため、分割された個々のデバイスの裏面にチッピングが生じることはない。また、半導体ウエーハ2の表面2aには保護テープ3が貼着されているので、半導体ウエーハ2が分割予定ライン21に沿って破断される際に粉塵が飛散しても、この粉塵がデバイスの表面に付着することはない。
【0035】
次に、図1に示す半導体ウエーハ2をストリート21に沿って分割する第3の実施形態について説明する。
第3の実施形態は、上記第1の実施形態と第2の実施形態を組み合わせた分割方法である。即ち、上記第1の実施形態および第2の実施形態における保護テープ貼着工程および変質層形成工程を実施し、第2の実施形態におけるウエーハ支持工程を実施する。そして、環状のフレーム5に装着され紫外線を照射することにより粘着力が低下する粘着糊が塗布されている粘着テープ50の表面に貼着された半導体ウエーハ2の表面2aに保護テープ3が貼着された状態で、上記第1の実施形態における粘着力低下工程を実施する。次に、第2の実施形態における分割工程を実施する。この第3の実施形態における分割工程を実施する際には、半導体ウエーハ2の表面2aに保護テープ3が貼着されているとともに、粘着テープ50の粘着糊が硬化せしめられているので、半導体ウエーハ2は上記第1の実施形態および第2の実施形態よりも更に安定して粘着糊の影響で踊ることがないため、分割された個々のデバイスの裏面にチッピングが生じることはない。また、半導体ウエーハ2の表面2aには保護テープ3が貼着されているので、半導体ウエーハ2が分割予定ライン21に沿って破断される際に粉塵が飛散しても、この粉塵がデバイスの表面に付着することはない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるウエーハの分割方法によって個々のデバイスに分割される半導体ウエーハの斜視図。
【図2】図1に示す半導体ウエーハの表面に保護テープを貼着した状態を示す斜視図。
【図3】本発明によるウエーハの分割方法における変質層形成工程を実施するためのレーザー加工装置の要部斜視図。
【図4】本発明によるウエーハの分割方法における変質層形成行程の説明図。
【図5】図4に示す変質層形成行程において半導体ウエーハの内部に変質層を積層して形成した状態を示す説明図。
【図6】本発明によるウエーハの分割方法におけるウエーハ支持工程の説明図。
【図7】本発明によるウエーハの分割方法における粘着力低下工程を実施するための紫外線照射器の斜視図。
【図8】本発明によるウエーハの分割方法における粘着力低下工程の説明図。
【図9】本発明によるウエーハの分割方法における分割工程を実施するための分割装置の斜視図。
【図10】本発明によるウエーハの分割方法における分割工程の説明図。
【図11】本発明によるウエーハの分割方法におけるウエーハ支持工程の他の実施形態を示す説明図。
【図12】本発明によるウエーハの分割方法における分割工程の他の実施形態を示す説明図。
【符号の説明】
【0037】
2:半導体ウエーハ
21:分割予定ライン
22:デバイス
210:変質層
3:保護テープ
4:レーザー加工装置
41:レーザー加工装置のチャックテーブル
42:レーザー光線照射手段
43:撮像手段
5:環状のフレーム
50:粘着テープ
6:紫外線照射器
61:ランプハウジング
62:紫外線照射ランプ
63:フレーム保持板
7:分割装置
71:分割装置の基台
72:移動テーブル
73:移動手段
74:フレーム保持手段
75:回動手段
76:張力付与手段
77:検出手段




 

 


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