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発明の名称 基板の切削加工方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−158239(P2007−158239A)
公開日 平成19年6月21日(2007.6.21)
出願番号 特願2005−354837(P2005−354837)
出願日 平成17年12月8日(2005.12.8)
代理人 【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
発明者 渡辺 真也
要約 課題
半導体ウエーハ等の基板に対して切断や溝加工といった切削加工を切削ブレードを用いて施す場合に、基板に対する切削ブレードの切り込み速度を速めることができ、その結果として生産効率の向上を図る。

解決手段
チャックテーブル42上に保持したウエーハ1の側方から、切削ブレード47を切削加工予定ライン5の接線7に沿ってウエーハ1の周縁から進入させて切削加工開始点6に到達させ、次いで、チャックテーブル42を回転させて切削加工予定ライン5に沿って切り込み、円形の溝4を全周にわたって形成する。側方進入により切削ブレード47の進入速度を速くさせることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
回転自在に設けられたチャックテーブルの表面に保持した基板に対して、円盤状の切削ブレードを回転させながら切り込んで、該基板に設定された円形状の切削加工予定ラインに沿って切削加工するにあたり、
前記基板の面方向の延長方向である該基板の側方に前記切削ブレードを配するとともに、その基板厚さ方向の位置を、基板に対する切り込み深さに相当する位置に予め設定しておき、
この状態から該切削ブレードを前記基板に向けて該基板の接線方向に沿って相対的に移動させ、これによって切削ブレードを基板の端縁から該基板に進入させて切削加工開始点に到達させ、
次いで、前記基板を前記チャックテーブルごと回転させて、前記切削加工予定ラインに沿って切削ブレードを切り込んでいくことにより基板に切削加工を施すことを特徴とする基板の切削加工方法。
【請求項2】
前記切削ブレードの前記基板に対する進入速度が1〜10mm/秒であることを特徴とする請求項1に記載の基板の切削加工方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエーハ等の基板に対して切断や溝加工といった切削加工を切削ブレードを用いて施す基板の切削加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ等の半導体デバイスは、シリコンウエーハ等の半導体基板材料からなるウエーハの表面に分割予定ラインを格子状に形成して多数の矩形状デバイス領域を区画し、次いでこれらデバイス領域にICやLSI等の電子回路を形成し、次いでウエーハの裏面を研削してウエーハを目的厚さまで薄化し、この後、分割予定ラインに沿ってウエーハを分割するといった過程を経て製造される。このような製造過程の中では、ウエーハを薄化する前の段階でウエーハの周縁を面取りし、取扱い時に周縁に割れや欠けなどの損傷を生じにくくする加工が施される場合がある。
【0003】
また、面取り加工されたウエーハが薄化されると、周縁の断面は外周側にいくほど薄くなるように鋭角化し、ナイフエッジ状に変化する。このままでは再び同様の損傷が生じやすくなるので、周縁が厚さ方向に沿った面(面方向に垂直な面)になるように、予め薄化前にナイフエッジにならないようにするための切削加工が施される(特許文献1参照)。周縁に割れや欠けなどの損傷が生じると、そこが起点となって電子回路が形成されたデバイス領域まで損傷が延び、ウエーハ自体が破損して使用不能になるおそれがあるので、上記の周縁に対する加工は有効とされる。
【0004】
さて、ナイフエッジを防止するための切削加工は、面取りされた薄化前のウエーハにおける表面側の周縁に環状の段差を形成するか、あるいは円形状の溝を形成することにより達成される。これらの段差や溝の径は、最終的に得るウエーハの直径に対応した円形状で、その深さは、薄化後のウエーハの目的厚さに相当する深さとされる。そしてウエーハの裏面が研削されて薄化加工が施されると、ナイフエッジ状の周縁が残ることなく厚さ方向に沿った面が得られるのである(特許文献1、特に図2〜図4参照)。
【0005】
このような周縁の切削加工は、表面を上に向けて水平に保持したウエーハの上方から、高速回転状態の切削ブレードを下降させてウエーハ表面の切削加工開始点に所定深さ切り込み、この状態からウエーハに対して切削ブレードを相対回転移動させることにより切削ブレードを水平方向に切り込んで切削する方法が採られている。
【0006】
また、半導体デバイスの分野では、比較的大径のウエーハから、小径のウエーハを切り出したり円形以外の異形のウエーハを切り出したりすることも行われる場合があるが、その際にも、切削ブレードをウエーハの表面に対して所定深さまで落とし込んでから水平方向に切り込んでいる(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2000−173961号公報
【特許文献2】特開平11−54461号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記公報に記載の切削ブレードは回転軸を有するスピンドルの先端に同軸的に装着されており、通常、スピンドルの軸方向を水平に保持した状態でそのスピンドルが軸方向に沿った水平方向および鉛直方向に移動自在にフレーム等に支持されている。このような切削ブレードにおいては、スピンドルの下降速度が水平方向の移動速度よりも比較的遅く設定されているのが一般的であった。また、ウエーハに対して切削ブレードを切り込ませる際に切削ブレードに負荷が大きくかかって切削ブレードに撓みが生じることを回避するために、切削ブレードの下降速度を速くすることにも限度があった。これらの事情から、切削ブレードの下降速度は遅く、製造者にとっては切削加工開始点に切削ブレードが達するまでの時間が長く、生産効率に劣るといった不満があった。
【0009】
よって本発明は、半導体ウエーハ等の基板に対して切断や溝加工といった切削加工を切削ブレードを用いて施す場合に、基板に対する切削ブレードの切り込み速度を速めることができ、その結果として生産効率の向上が図られる基板の切削加工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、回転自在に設けられたチャックテーブルの表面に保持した基板に対して、円盤状の切削ブレードを回転させながら切り込んで、該基板に設定された円形状の切削加工予定ラインに沿って切削加工するにあたり、基板の面方向の延長方向である該基板の側方に切削ブレードを配するとともに、その基板厚さ方向の位置を、基板に対する切り込み深さに相当する位置に予め設定しておき、この状態から該切削ブレードを基板に向けて該基板の接線方向に沿って相対的に移動させ、これによって切削ブレードを基板の端縁から該基板に進入させて切削加工開始点に到達させ、次いで、基板をチャックテーブルごと回転させて、切削加工予定ラインに沿って切削ブレードを切り込んでいくことにより基板に切削加工を施すことを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、基板の側方に配した切削ブレードを基板に向けて相対的に近付け、さらに切削ブレードを基板の端縁から進入させて切り込んでいき、切削加工開始点まで到達させる。この時の切削ブレードの進入方向は基板に設定された円形状の切削加工予定ラインの接線方向と平行であり、切削ブレードの回転軸線が水平である一般的な装置構成の場合には水平方向となる。すなわち本発明では切削ブレードの基板に対する進入方向を、従来の基板厚さ方向(下降方向)ではなく、その方向に直交する基板の面方向(水平方向)に替えたものである。
【0012】
このように切削ブレードを基板の端縁から面方向に沿って進入させる方法を採ることにより、従来の下降による進入の場合と比べると切削ブレードをより速く切削加工開始点に到達させることが可能となる。また、本発明のような側方進入の場合は下降進入の場合よりも切削ブレードにかかる負荷が小さいため、切削ブレードの進入速度を速くすることができるという面もある。これらのことから、基板に対する切削ブレードの切り込み速度を速めることができ、その結果として生産効率の向上が図られる。
【0013】
切削ブレードによる切削加工の形態は、基板の周縁を完全に切り離して円盤状の基板を得る切断加工や、上述したナイフエッジ防止策としての環状の溝あるいは段差を加工する形態が挙げられる。
【0014】
切削ブレードの基板に対する進入速度は、切削ブレードの刃厚によっても速度の上限は変動するが、概ね1〜10mm/秒が好適とされる。この速度範囲を好適とする理由は、1mm/秒を下回ると従来の下降進入の場合と同等速度になり本発明の効果が奏されず、また、10mm/秒を超えると加工品質を低下させるおそれがあるからである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、切削ブレードを基板の側方から切削加工予定ラインの接線方向に沿って進入させるので、従来の下降による表面への進入の場合と比べると切削ブレードをより速く切削加工開始点に到達させることが可能となり、その結果として生産効率の向上が図られるといった効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明に係る一実施形態を説明する。
[1]半導体ウエーハ
図1は、本実施形態の基板である円盤状の半導体ウエーハ(以下、ウエーハと略称)1を示している。このウエーハ1はシリコンウエーハ等であって、厚さは600〜700μm程度のものであり、図1(b)に示すように、ウエーハ1の周縁は断面R状に面取り加工されている。ウエーハ1の表面には格子状の分割予定ライン2によって多数の矩形状の半導体チップ3が区画されており、これら半導体チップ3の表面にはICやLSI等の電子回路が形成されている。
【0017】
ウエーハ1は裏面側が研削されて目的厚さ(例えば50〜100μm程度)に薄化された後、分割予定ライン2に沿って切断、分割され、多数の半導体チップ3に個片化される。本実施形態は、ウエーハ1が薄化された後に周縁がナイフエッジ状になることを未然に防止する切削加工を、図2に示す切削加工装置10を用いて行う方法である。以下、この切削加工装置10について説明する。
【0018】
[2]切削加工装置
切削加工装置10は略直方体状の基台11を有し、この基台11の水平な上面には位置決め機構20が設けられ、さらに、位置決め機構20の周囲には時計回りにカセット30、切削機構40、洗浄ユニット50が配列されている。ウエーハ1は、複数がカセット30に収容された状態で基台11上の所定位置に設置される。なお、図2に示すように、基台11の一方の辺方向および他の辺方向をそれぞれX方向、Y方向と矢印で示し、さらにこれら方向の一方側および他方側に、それぞれa,bを付随させて、特に方向を特定する場合にこれらの符号(Xa,Xb,Ya,Yb)を適宜用いることとする。
【0019】
カセット30から1枚のウエーハ1が取り出され、そのウエーハ1は位置決め機構20を経由して切削機構40に移され、この切削機構40によってウエーハ1の周縁が切削加工される。この後、ウエーハ1は位置決め機構20を経由して洗浄ユニット50に移され、この洗浄ユニット50で洗浄される。洗浄されたウエーハ1はもう一度位置決め機構20を経由してカセット30に戻される。基台11上には、このようにウエーハ1を移送する移送ロボットが設けられている(図示略)。以下に、ウエーハ1の移送順にしたがってカセット30、位置決め機構20、切削機構40、洗浄ユニット50を説明する。
【0020】
A.カセット
カセット30は持ち運びが可能で、複数のウエーハ1を積層して収容するもので、基台11上の所定のカセット設置部に着脱可能にセットされる。カセット30は、互いに離間した一対の平行なケース31を有しており、これらケース31の内側の互いの対向面に、ラック32が上下方向に複数段設けられている。これらラック32に、表面を上に向けた水平な姿勢のウエーハ1がスライド可能に挿入されるようになっている。カセット30は、基台11上のカセット設置部に、ウエーハ1のスライド方向がY方向と平行になるようにしてセットされる。カセット30内のウエーハ1は、上記移送ロボットによって位置決め機構20に移送される。
【0021】
B.位置決め機構
位置決め機構20は、Y方向に延びる一対の平行なガイドバー21が、互いに近付いたり離れたりするようにリンクしながらY方向に直交するX方向に移動するように構成されている。ウエーハ1は、ガイドバー21の間の基台11上に載置され、近付き合うガイドバー21に挟まれることにより、切削機構40、洗浄ユニット50およびカセット30への中継位置が定められる。
【0022】
C.切削機構
切削機構40は、矩形状のテーブルベース41上に回転自在に設けられた円盤状のチャックテーブル42と、このチャックテーブル42の上方に配設された切削ユニット45とを備えている。テーブルベース41は、基台11上に図示せぬガイドレールを介してX方向に移動自在に設けられ、図示せぬ往復駆動機構によって往復移動させられる。チャックテーブル42は、上面が水平で、Z方向(鉛直方向)を軸線として回転自在にテーブルベース41に支持されており、図示せぬ回転駆動機構によって時計方向または反時計方向に回転させられる。
【0023】
チャックテーブル42は周知の真空チャック式であって、表裏面に通じる多数の細かな吸引孔を有し、裏面側には図示せぬ真空装置の空気吸引口が配されている。ウエーハ1は真空装置を運転した状態からチャックテーブル42の上面に載置されて吸着、保持される。テーブルベース41の移動方向の両端部には、テーブルベース41の移動路を塞いで塵埃等が侵入することを防ぐ蛇腹状のカバー43が伸縮自在に設けられている。
【0024】
切削ユニット45は、軸方向がY方向と平行な状態に保持された円筒状のスピンドル46と、このスピンドル46の一端部(図2でYa側の端部)に装着された切削ブレード47とを備えている。切削ブレード47は、刃厚が0.1mm程度のものが用いられる。スピンドル46は回転軸および回転軸を回転駆動させるモータ等を内蔵しており(いずれも図示略)、切削ブレード47は回転軸に固定されている。スピンドル46は、基台11上に設けられた図示せぬフレームに、軸方向がY方向と平行な状態を保持したままで、Y方向に往復移動し、かつZ方向に上下動するように支持されている。そのフレームには、スピンドル46をそれらの方向に移動させる図示せぬ駆動機構が設けられている。スピンドル46の切削ブレード47が装着された側の端部には、ブレードカバー48が取り付けられている。このブレードカバー48には、切削時の潤滑、冷却、清浄化等のための切削水をウエーハ1に供給する切削水ノズル49A,49Bが取り付けられている。
【0025】
上記構成の切削機構40によれば、チャックテーブル42上にウエーハ1が吸着、保持され、そのウエーハ1に対して切削ブレード47を切り込むことによってウエーハ1が切削される。切削ブレード47のY方向の切り込み位置はスピンドル46をY方向に移動させることにより調整され、切削深さはスピンドル46をZ方向に移動させることにより調整される。そして、テーブルベース41をX方向に移動させることによりX方向への切削が進行し、チャックテーブル42を回転させると円形状の切削が可能となっている。
【0026】
D.洗浄ユニット
洗浄ユニット50は、上記切削機構40のチャックテーブル42と同様の真空チャック式のチャックテーブル51と、このチャックテーブル51の周囲に配設された洗浄水ノズルおよびエアノズル(いずれも図示略)とを備えている。チャックテーブル51は、水平な上面にウエーハ1を吸着、保持し、図示せぬ回転駆動機構によって高速で回転させられる。チャックテーブル51上に保持されて高速回転させられるウエーハ1に対して、洗浄水ノズルから洗浄水が噴射され、これによってウエーハ1は洗浄される。そして、チャックテーブル51の回転を続行するとともに洗浄水の噴射を停止することにより洗浄水はスピンアウトし、さらにエアノズルからウエーハ1に空気が噴射されることにより、洗浄されたウエーハ1が乾燥処理される。
【0027】
[3]切削加工装置の動作
次に、上記切削加工装置の動作を説明する。先に述べたように、本実施形態は、ウエーハ1が薄化された後に周縁がナイフエッジ状になることを防止する切削加工を施す方法である。この場合の切削加工の形態は、図3、図4および図5(a)に示すように、ウエーハ1の表面側の周縁に、円形状の溝4を全周にわたって形成するものである。図3および図4の破線5は、溝4が形成される部分であって、最終的に得ようとするウエーハ1の外形を示し、これは、切削機構40のチャックテーブル42上に保持されたウエーハ1に形成する溝4の切削加工予定ラインとされる。
【0028】
切削加工装置10による切削加工は、まずはじめに、上記の移送ロボットによってカセット30内の1枚のウエーハ1が、位置決め機構20における2つのガイドバー21の間に表面を上に向けた状態で水平に置かれる。そして、2つのガイドバー21が互いに近付く方向にリンクして移動し、両ガイドバー21がウエーハ1に当接して挟んだ時点で移動を停止する。これによってウエーハ1は切削機構40のチャックテーブル42への移送開始位置に位置決めされる。
【0029】
チャックテーブル42は予め吸着運転されており、ウエーハ1はそのチャックテーブル42上に移送ロボットによって移され、吸着、保持される。上記切削加工予定ライン5はこの時点で設定されるものであって、チャックテーブル42の回転中心を中心とした直径に対応し、かつ多数の半導体チップ3の形成領域を囲む円である。また、切削加工予定ライン5の最もYb側の点、すなわちチャックテーブル42の回転中心から、得ようとするウエーハ1の半径の距離Yb方向に離れた点が、切削加工開始点6(図1(a)参照)に設定される。
【0030】
次に、テーブルベース41のX方向の移動と、切削ユニット45のY方向およびZ方向への移動を適宜に行って、ウエーハ1に対する切削ブレード47の位置が、切削加工開始点6に対応する切削開始位置に定められる。その切削開始位置は、図4に示すように、Y方向が切削加工開始点6と同じ位置、X方向はウエーハ1よりもXa側に外れた側方の任意の位置、Z方向は切削ブレード47の切り込み深さが薄化後のウエーハ1の目的厚さに相当する位置とされる。すなわち、切削ブレード47は、切削加工開始点6からXa側に延びる切削加工予定ライン5の接線7上に配置される。
【0031】
このように切削ブレード47が切削開始位置に定められたら高速回転させ、次いでテーブルベース41をXa方向に一定速度で移動させる。これによって切削ブレード47をウエーハ1の周縁から相対的にXb方向に進入させて切り込んでいき、切削ブレード47が切削加工開始点6まで到達したらテーブルベース41を停止させる。このように切削ブレード47を進入させたウエーハ1には、図4に示すように、切削ブレード47の進入点から切削加工開始点6まで、X方向すなわち接線7方向に沿った溝が形成される。この溝は、切削加工予定ライン5よりも外周側に形成される。切削ブレード47がウエーハ1に進入して溝を形成する速度、すなわちテーブルベース41のXa方向への移動速度は、1〜10mm/秒に設定される。
【0032】
次に、テーブルベース41の停止を保持し、かつ切削ブレード47の回転を続けたまま、チャックテーブル42を一方向に回転させてウエーハ1を回転させ、切削ブレード47を切削加工予定ライン5に沿って切り込んでいく。なお、このときのチャックテーブル42の回転速度すなわち切削ブレード47の切削速度は、進入時の速度と同じく1〜10mm/秒に設定される。ウエーハ1を1回転させて切削ブレード47が切削加工開始点6に戻ったら、切削加工予定ライン5に沿った円形の溝4が形成される。溝4が形成されたら、切削ブレード47を待機位置まで上昇させる。
【0033】
上記のようにナイフエッジ防止用の溝4が周縁の全周にわたって形成されたウエーハ1は、移送ロボットによって再び位置決め機構20に移され、ここで洗浄ユニット45のチャックテーブル51への移送開始位置が定められてから、移送ロボットによって洗浄ユニット45のチャックテーブル51上に移される。ウエーハ1はチャックテーブル51上に吸着、保持され、次いでチャックテーブル51を高速で回転させながら、回転するウエーハ1に対して洗浄水ノズルから洗浄水が所定時間噴射される。これにより、ウエーハ1の表面や形成した溝4に存在していた水はスピンアウトし、水とともに切削屑や塵埃などが除去されてウエーハ1が洗浄される。
【0034】
引き続きチャックテーブル51を回転させながら、エアノズルからウエーハ1に空気が噴射され、これによってウエーハ1が乾燥処理される。このようにして洗浄されたウエーハ1は、移送ロボットによって洗浄ユニット50から位置決め機構20を経由してカセット30内に収容され、次の裏面研削による薄化工程に移される。
【0035】
薄化工程では、図6に示すように、裏面に保護テープ8が貼着されたウエーハ1を、真空チャック式のチャックテーブル61上に保護テープ8を介して吸着、保持し、そのウエーハ1の表面に対して、高速回転させた研削ホイール62の砥石63を押圧することによって、ウエーハ1の裏面が研削される。
【0036】
ウエーハ1の裏面が研削されて目的厚さに薄化されると、図5(b)に示すように、溝4から外周側のウエーハ1の周縁は離脱して除去され、ウエーハ1の周縁は、厚さ方向に沿った溝4の内側の面に形成される。これは、溝4の深さが目的厚さに相当するものであったからに他ならない。したがって、溝4の深さは薄化後のウエーハ1の目的厚さに相当する必要があり、その目的厚さよりも深くてもよい。ちなみに、溝4を加工しないまま従来のようにウエーハ1を薄化すると、図5(c)に示すように周縁はナイフエッジ状に鋭角化し、割れや欠けなどの損傷が生じやすいものとなる。なお、図5の破線はウエーハ1の研削された部分を示している。
【0037】
以上説明したように、本実施形態によれば、水平に保持されているウエーハ1に対し、切削ブレード47をウエーハ1の周縁から水平方向に進入させることにより、従来の下降による進入の場合と比べると、切削ブレード47をより速く切削加工開始点6に到達させることができる。
【0038】
例えば、切削ユニット45の下降速度は、ミクロン単位の切り込み深さの設定が求められることから比較的遅いものであったが(例えば0.05mm/秒)、水平移動に関しては比較的ラフな操作が許容されることから、上記のように1〜10mm/秒といった程度の速度に設定される。また、ウエーハ1に対しての側方進入の場合は下降進入の場合よりも切削ブレード47にかかる負荷が小さいため、切削ブレード47の進入速度を速くすることができるという面もある。これらのことから、本実施形態のように切削ブレード47を側方から進入させる方法を採ることにより進入速度を速めることができ、その結果として切削加工に要する時間が短縮されて生産効率の向上が図られる。
【0039】
[4]溝の代わりに段差を形成する切削加工
上記実施形態はナイフエッジ防止策としてウエーハ1の周縁に溝4を形成する切削加工であるが、溝4の代わりに、図7(a)に示すように段差9を形成することによっても同様の効果を得ることができる。段差9を形成するには、上記切削ユニット45の切削ブレード47の刃厚をより厚いものとし(例えば0.5mm程度)、その切削ブレード47のYa側の面を切削加工予定ライン5に位置付けして、上記と同様に側方からウエーハ1の周縁に進入させて切削加工開始点6まで切り込んだ後、ウエーハ1を1回転させる。この場合、切削ブレード47の刃厚はウエーハ1の周縁よりも外周側にはみ出る寸法とし、段差9の形成によって不要な周縁は削り取ってしまう。この後、ウエーハ1の裏面を研削して薄化すると、図7(b)に示すように、ナイフエッジのないウエーハ1を得ることができる。
【0040】
[5]周縁を切り落とす切削加工
これまでの実施形態は、ウエーハ1の表面側の周縁に溝4や段差9を形成して、ウエーハ1を薄化した際に周縁がナイフエッジにならないようにするための切削加工であったが、周縁を全周にわたって切り落とし、薄化する前にウエーハ1を目的の直径にする切削加工も、上記実施形態のように切削ブレード47の側方進入によって行うことができる。その場合、ウエーハ1を切削機構40のチャックテーブル42に直接載置すると、ウエーハ1を貫通する切削ブレード47がチャックテーブル42の上面に当たるため不適当であるから、図8に示すようにウエーハ1の裏面にダイシングテープ71を貼り付け、切削ブレード47の切削深さを、このダイシングテープ71に切り込む程度に設定する。
【0041】
ダイシングテープ71は、ウエーハ1よりも大きな円形状で片面が粘着面とされた粘着テープであり、例えば、厚さ100μm程度のポリ塩化ビニルを基材とし、その片面に厚さ5μm程度でアクリル樹脂系の粘着剤が塗布されたものが用いられる。このままではウエーハ1は取扱いにくいので、ダイシングテープ71の粘着面の周縁に、ステンレス等の金属でできた環状の板材からなるダイシングフレーム72を貼り付け、ダイシングフレーム72を保持することによってウエーハ1のハンドリングを可能とする。
【0042】
図9は、上記切削加工装置を用いて、ダイシングテープ71およびダイシングフレーム72を装着したウエーハ1に対し、その周縁を切り落とす切削加工を行う使用状況を示している。上記カセット30にはウエーハ1を保持したダイシングテープ71およびダイシングフレーム72が収容され、このカセット30から、上記と同様の手順でウエーハ1がダイシングテープ71およびダイシングフレーム72ごと移送され、周縁を切り落とす切削加工が施される。切削機構40で用いられる切削ブレード47の刃厚は、この場合0.3mm程度とされる。なお、この場合には、ダイシングフレーム6の上下動を規制するクランプ44がテーブルベース41に取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】半導体ウエーハの(a)平面図(拡大部分は半導体チップ)、(b)側面図である。
【図2】本発明の一実施形態を実施するに好適な切削加工装置の斜視図である。
【図3】(a)切削加工装置の切削ブレードでウエーハ周縁に溝を形成している状態の斜視図、(b)溝が形成されたウエーハを示す断面図である。
【図4】切削ブレードがウエーハに進入する様子を示す平面図である。
【図5】(a)〜(b)はウエーハ周縁への溝加工からウエーハ裏面研削による薄化の過程を示す断面図であり、(c)は溝加工をしなかった場合の薄化したウエーハの周縁部断面図である。
【図6】ウエーハの裏面を研削する工程を示す側面図である。
【図7】ウエーハの周縁に段差を形成してから裏面研削による薄化の過程を(a)〜(b)の順に示す断面図である。
【図8】ダイシングテープを介してダイシングフレームに支持された状態の半導体ウエーハを示す(a)斜視図、(b)断面図である。
【図9】図2に示した切削加工装置を用いて、ダイシングテープおよびダイシングフレームを装着したウエーハの周縁を切り落とす切削加工を行う使用状況を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
1…半導体ウエーハ1(基板)、5…切削加工予定ライン、6…切削加工開始点、42…チャックテーブル(保持部材)、47…切削ブレード。




 

 


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