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発明の名称 リフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−221096(P2007−221096A)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
出願番号 特願2006−315493(P2006−315493)
出願日 平成18年11月22日(2006.11.22)
代理人 【識別番号】100075731
【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博
発明者 高八 忠弘 / 三宅 幸一 / 角陸 悟 / 福島 章雄
要約 課題
加圧することにより溶剤を被加工試料に強制的に浸透せしめるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置を提供することで、従来の技法では不可能であった微細構造においてもリフトオフ加工の実施を可能とする。

解決手段
被加工試料Wを溶剤Gに浸し、加圧することのできる密閉容器1と、該密閉容器1内を加圧する加圧手段2とを備えてなり、被加工試料Wが溶剤Gに浸した状態で密閉容器1内に入れられ、加圧手段2を用いて加圧されるようにして、常圧では浸透できない被加工試料Wの狭隘な隙間まで溶剤Gが押し込まれ、リフトオフ試料物であるレジストマスクを膨潤させることができるようにし、微小なパターンでもリフトオフが可能となるようにしている。
特許請求の範囲
【請求項1】
被加工試料を溶剤に浸した状態で密閉容器に入れ、加圧手段を用いて加圧することを特徴とするリフトオフ加工方法。
【請求項2】
前記被加工試料を前記密閉容器内で加熱することを特徴とする請求項1記載のリフトオフ加工方法。
【請求項3】
前記加圧手段として超臨界流体を用いることを特徴とする請求項1および2のいずれか一項記載のリフトオフ加工方法。
【請求項4】
前記超臨界流体として、超臨界二酸化炭素を用いることを特徴とする請求項3記載のリフトオフ加工方法。
【請求項5】
前記溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることを特徴とする請求項1、2、3および4のいずれか一項記載のリフトオフ加工方法。
【請求項6】
前記溶剤として前記超臨界流体に溶解する溶剤とリフトオフ試料物を溶解する溶剤との混合液を用いることを特徴とする請求項1、2、3および4のいずれか一項記載リフトオフ加工方法。
【請求項7】
前記超臨界流体に溶解する溶剤としてイソプロピルアルコールを、前記リフトオフ試料物を溶解する溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを使用することを特徴とする請求項6記載のリフトオフ加工方法。
【請求項8】
後工程として超臨界流体を用いたリンス工程を実行することを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6および7のいずれか一項記載のリフトオフ加工方法。
【請求項9】
前記被加工試料に対し、超臨界流体の気相から超臨界相への状態変化、あるいは超臨界相から気相への状態変化を複数回与えることを特徴とする請求項3、4、5、6、7および8のいずれか一項記載のリフトオフ加工方法。
【請求項10】
被加工試料を溶剤に浸した状態で加圧することのできる密閉容器と、前記密閉容器内を加圧する加圧手段とを備えたことを特徴とするリフトオフ加工装置。
【請求項11】
前記密閉容器内を加熱する加熱手段を付設したことを特徴とする請求項10記載のリフトオフ加工装置。
【請求項12】
前記加圧手段として、超臨界流体を使用することを特徴とする請求項10および11のいずれか一項記載のリフトオフ加工装置。
【請求項13】
前記超臨界流体として、超臨界二酸化炭素を使用することを特徴とする請求項12記載のリフトオフ加工装置。
【請求項14】
前記溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを用いることを特徴とする請求項10、11、12および13のいずれか一項記載のリフトオフ加工装置。
【請求項15】
前記溶剤として前記超臨界流体に溶解する溶剤とリフトオフ試料物を溶解する溶剤との混合液を用いることを特徴とする請求項10、11、12および13のいずれか一項記載のリフトオフ加工方装置。
【請求項16】
前記超臨界流体に溶解する溶剤としてイソプロピルアルコールを、前記リフトオフ試料物を溶解する溶剤としてN−メチル−2−ピロリドンを使用することを特徴とする請求項15記載のリフトオフ加工装置。
【請求項17】
前記密閉容器内に超臨界流体を供給して後工程であるリンス工程を実行するリンス工程実行手段を付設したことを特徴とする請求項10、11、12、13、14、15および16のいずれか一項記載のリフトオフ加工装置。
【請求項18】
前記被加工試料に対し、超臨界流体の気相から超臨界相への状態変化、あるいは超臨界相から気相への状態変化を複数回与える手段を付設したことを特徴とする請求項12、13、14、15、16および17のいずれか一項記載のリフトオフ加工装置。
【請求項19】
使用済みの超臨界流体を回収し、再循環させる超臨界流体回収手段を付設したこと特徴とする請求項12、13、14、15、16、17および18のいずれか一項記載のリフトオフ加工装置。
【請求項20】
使用済みの溶剤を回収し、再循環させる溶剤回収機構を付設したことを特徴とする請求項10、11、12、13、14、15、16、17、18および19のいずれか一項記載のリフトオフ加工装置。
【請求項21】
前記密閉容器内に、該密閉容器の蓋を開けることなく溶剤を供給する溶剤供給手段を付設したことを特徴とする請求項10、11、12、13、14、15、16、17、18、19および20のいずれか一項記載のリフトオフ加工装置。
【請求項22】
複数の溶剤を任意の割合で混合し供給する手段を付設したことを特徴とする請求項10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20および21のいずれか一項記載のリフトオフ加工装置。
【請求項23】
前記被加工試料であるウェハーの自動搬送装置を付設したことを特徴とする請求項10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21および22のいずれか一項記載のリフトオフ加工装置。
【請求項24】
前記ウェハー搬送装置と既存の半導体ウェハー加工装置におけるウェハー搬送装置とを共通化することにより、他の半導体ウェハー加工装置と一体化し、連続した加工を行うことができる装置を形成することを特徴とした請求項23記載のリフトオフ加工装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブミクロンサイズでのリフトオフの歩留まりを高めたリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄膜の微細加工手法の一つとして、リフトオフ(lift−off)法がある。この手法は、
(1)試料上にレジスト(あるいは金属)でマスクパターンを作成し、加工したくない部分をマスクする、
(2)マスクをつけた状態で、所望の加工(蒸着、エッチングなど)を行う、
(3)その後、レジストマスクの場合は溶剤、金属マスクの場合は適当な酸・アルカリ水溶液によって、マスクを除去することにより、所望のパターンを作成する、
という方法である。
【0003】
一般には、以下の3種類の工程((1)から(3))と、試料表面に残った前工程の残滓を取り除く工程(4)を呼ぶことが多い。
(1)所望の基板上にネガパターン(作成するパターンと反対のパターン)を、フォトリソグラフィー、あるいは電子線リソグラフィーによってレジスト膜を加工することにより作成し、所望の膜(金属膜、絶縁膜など)を、蒸着、スパッタ、化学的堆積法などによって作成した後、不要部分を溶剤によって取り除く工程。
(2)すでに目的の膜が全面に作成された所望の基板上に、ポジパターン(作成するパターンと同一のパターン)を、フォトリソグラフィー、あるいは電子線リソグラフィーによってレジスト膜を加工することにより作成し、エッチング(イオンミリング、ケミカルイオンエッチングなど)により不要部分を取り除き、その後、目的パターン上に残ったレジストマスクを溶剤によって取り除く工程。
(3)上記(1)、(2)を組み合わせた工程で、はじめにすでに目的の膜が全面に作成された所望の基板上に、ポジパターン(作成するパターンと同一のパターン)を、フォトリソグラフィー、あるいは電子線リソグラフィーによってレジスト膜を加工することにより作成し、エッチング(イオンミリング、ケミカルイオンエッチングなど)により不要部分を取り除き、その後、所望の膜(金属膜、絶縁膜など)を、蒸着、スパッタ、化学的堆積法などによって作成した後、目的パターン上に残ったレジストマスクを溶剤によって取り除く工程。
(4)表面に残った前工程の残滓を取り除く工程。たとえば、CMP(chemical mechanical polishing:化学機械的研磨法)の後工程など。この工程は洗浄工程と見なされることが多い。
【0004】
リフトオフ法は、サブミクロンサイズの微小コンタクトホールや微小CPP構造(current perpendicular to plane:電流が面直に流れる構造)を作成するのによく使われている。この微小CPP構造は、TMR(tunnel magnetoresistance:トンネル磁気抵抗)素子に必須の構造であり、磁気ランダムアクセスメモリやハードディスクにおける磁気ヘッドに使われている技術である。
【0005】
次に、図2を使用して、リフトオフ法による微小CPP構造の作成方法の一例を説明する。これは、あらかじめ基板全面にスパッタされた金属多層膜AをパターンBの形状に加工し、面直方向に電流が流れる構造を作成する例である。図2は、作成方法の各工程を断面図により示したものである。ここで、パターンBに対するマスクパターンB’は、上から見た場合、100ナノメートル角程度から数マイクロメートル角の断面積である。加工手順は以下の通りである。
(1)図2(イ)に示すように、金属多層膜A上に、ネガレジストを使用しマスクパターンB′を作成する。
(2)図2(ロ)に示すように、アルゴンなどのイオンビームCの照射によるイオンミリングにより、金属多層膜Aの不要な部分をエッチングする。
(3)図2(ハ)に示すように、層間絶縁膜Dを成膜する。このとき、マスクパターンの上部、側壁にも絶縁膜が付着する。パターンサイズが小さくなるほど、相対的に側壁の絶縁膜が厚くなり、下部の絶縁膜との隙間が小さくなる。この隙間がつながってしまうと、リフトオフはきわめて困難になる。
(4)図2(ニ)に示すように、溶剤によりマスクパターンB′を溶かし、不要な部分を除去する(リフトオフ工程)ことにより、コンタクトホールEを作成する。
(5)図2(ホ)に示すように、コンタクトホールEに電極材料Fを埋め込むことにより、上部電極を形成する。
以上の工程で微小CPP素子を作成することができる。
【0006】
上記リフトオフ工程においては、リフトオフの試料物(上記例においては、マスクパターンB′)が数マイクロメートル角以上の大きさであれば、試料物を溶剤に浸し、超音波洗浄により、リフトオフを行うことができる。しかしながら、試料物のサイズが数マイクロメートル以下になると、その大きさが超音波により発生するキャビティーションのサイズよりも小さくなるため、試料物を振動させる効果が少なくなり、リフトオフできなくなるという問題がある。通常の超音波洗浄に用いられる周波数は数十キロヘルツ程度で、それに対応する溶剤中のキャビティーションのサイズは数マイクロメートル程度である。
【0007】
超音波でリフトオフできない場合に対して、リフトオフの試料物に、高圧高温の溶剤をジェット状に吹き付けることよりリフトオフを行う、高圧ジェットリフトオフ方法が開発されている。例えば、磁気ランダムアクセスメモリの磁気メモリ素子の加工においては、溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する)を使用し、70℃、150気圧に加圧したジェットを用いることにより、100ナノメートル角程度までの微小CPP接合を、歩留まりよく作成することが可能である。
【0008】
しかしながら、この方法においても、100ナノメートル角以下の大きさになると、極端に歩留まりが悪くなるという問題がある。これは、リフトオフ試料物が小さくなることにより、高圧ジェットの当たる面積が小さくなるためと考えられる。歩留まりを向上させるため、例えばジェットの圧力を上げると、サンプル自体の損傷(パターンの破損、膜はがれなど)が生じる。
【0009】
リフトオフを主目的としたものではないが、微細加工後の構造にダメージを与えない洗浄方法として、超臨界洗浄方法が開発されている(特許文献1参照)。
【0010】
特に、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として知られる微細機構デバイスの洗浄では、洗浄後の乾燥において、液体の表面が消失する際に、表面張力で構造が破壊されることが問題となっている。そこで、気液界面が存在しない洗浄方法として、洗浄液体を、液体から超臨界状態を経て気体にすることにより、表面張力によるダメージのない洗浄方法が開発された。さらに、より洗浄の効果を高めるために、超臨界媒体にオゾンなどの酸化剤を添加し、レジストなど有機物の洗浄効果を高めた方法(特許文献2)や、洗浄槽を二部分に分割し、片方の超臨界媒体に洗浄効果を高める添加物を導入する手法(特許文献3)などが、提案されている。
【0011】
しかしながら、超臨界流体のみを用いた洗浄方法では、微小な間隙部のレジストを除去することはできるが、リフトオフすべき不要な部分に物理的な作用を与え、表面から取り除くという効果はきわめて少ない。また、超臨界流体の粘性が常温の溶剤に比べて小さいため、超臨界流体を媒体とした超音波洗浄を行っても、振動が試料に伝わりにくいためリフトオフの効果はほとんどないことが知られている。
【0012】
【特許文献1】特開2003−173997号公報。
【0013】
【特許文献2】特開2004−141704号公報。
【0014】
【特許文献3】特開2004−186530号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
解決しようとする問題点は、リフトオフ加工工程において、パターンの微細化に伴い、リフトオフが困難になることである。
【0016】
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、超微細加工に対応できるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の方法として、被加工試料を溶剤に浸した状態で密閉容器に入れ、加圧手段を用いて加圧するようにしている。
【0018】
上記のような方法を採用したことにより、被加工試料が溶剤に浸した状態で密閉容器内に入れられ、加圧手段を用いて加圧されることとなる。その結果、常圧では浸透できない被加工試料の狭隘な隙間まで溶剤が押し込まれ、レジストマスクを膨潤させることができ、微小なパターンでもリフトオフが可能となる。なお、溶剤としては、レジストマスクが溶解する際に、その体積が膨潤する作用を有する溶剤を使用することが望ましい。
【0019】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の方法として、上記第1の方法を備えたリフトオフ加工方法において、前記被加工試料を前記密閉容器内で加熱することもでき、そのようにした場合、密閉容器内において溶剤が加圧と同時に加熱されることとなり、リフトオフの歩留まりを向上させることができる。
【0020】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の方法として、上記第1又は第2の方法を備えたリフトオフ加工方法において、前記加圧手段として超臨界流体を用いることもでき、そのようにした場合、溶剤が超臨界流体に溶解し得るときには、超臨界流体を媒体として、極めて微細な間隙にまで溶剤を導くことができ、リフトオフの歩留まりをさらに向上させることができる。
【0021】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の方法として、上記第3の方法を備えたリフトオフ加工方法において、前記超臨界流体として、超臨界二酸化炭素を用いることもでき、そのようにした場合、超臨界二酸化炭素の臨界温度(31℃)および臨界圧力(7.3MPa)が工業的に使い易い値なので、リフトオフ加工に適するものとなる。
【0022】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第5の方法として、上記第1、第2、第3又は第4の方法を備えたリフトオフ加工方法において、前記溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(以下、NMPと略称する)を用いることもでき、そのようにした場合、リフトオフ試料物を溶解剥離し易くなり、リフトオフの歩留まりをより一層向上させることができる。
【0023】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第6の方法として、上記第1、第2、第3又は第4の方法を備えたリフトオフ加工方法において、前記溶剤として前記超臨界流体に溶解する溶剤とリフトオフ試料物を溶解する溶剤との混合液を用いることもでき、そのようにした場合、リフトオフ試料物を溶解する溶剤が超臨界流体に溶解しない場合(あるいは溶解度が小さい場合)でも、超臨界流体に溶解する溶剤を媒体として、リフトオフ試料物を溶解する溶剤を被加工試料の狭隘な隙間にまで浸透させることができ、リフトオフの歩留まりをより一層向上させることができる。
【0024】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第7の方法として、上記第6の方法を備えたリフトオフ加工方法において、前記超臨界流体に溶解する溶剤としてイソプロピルアルコールを、前記リフトオフ試料物を溶解する溶剤としてNMPを使用することもでき、そのようにした場合、イソプロピルアルコールとNMPとの相性がよいので、リフトオフの歩留まりをより一層向上させることができる。
【0025】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第8の方法として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6又は第7の方法を備えたリフトオフ加工方法において、後工程として超臨界流体を用いたリンス工程を実行することもでき、そのようにした場合、リフトオフ加工後の微細構造に対し表面張力によるダメージを与えることなくリフトオフを行うことができる。
【0026】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第9の方法として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8の方法を備えたリフトオフ加工方法において、前記被加工試料に対し、超臨界流体の気相から超臨界相への状態変化、あるいは超臨界相から気相への状態変化を複数回与えることもでき、そのようにした場合、リフトオフ工程の歩留まりをさらに向上させることができる。
【0027】
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、被加工試料を溶剤に浸した状態で加圧することのできる密閉容器と、前記密閉容器内を加圧する加圧手段とを備えて構成している。
【0028】
上記のように構成したことにより、被加工試料が溶剤に浸した状態で密閉容器内に入れられ、加圧手段を用いて加圧されることとなる。その結果、常圧では浸透できない被加工試料の狭隘な隙間まで溶剤が押し込まれ、レジストマスクを膨潤させることができ、微小なパターンでもリフトオフが可能となる。なお、溶剤としては、レジストマスクを溶解する際に、その体積が膨潤する作用を有する溶剤を使用することが望ましい。
【0029】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記密閉容器内を加熱する加熱手段を付設することもでき、そのように構成した場合、密閉容器内において溶剤が加圧と同時に加熱されることとなり、リフトオフの歩留まりを向上させることができる。
【0030】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記加圧手段として、超臨界流体を使用することもでき、そのように構成した場合、溶剤が超臨界流体に溶解し得るときには、超臨界流体を媒体として、極めて微細な間隙にまで溶剤を導くことができ、リフトオフの歩留まりをさらに向上させることができる。
【0031】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第3の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記超臨界流体として、超臨界二酸化炭素を使用することもでき、そのように構成した場合、超臨界二酸化炭素の臨界温度(31℃)および臨界圧力(7.3MPa)が工業的に使い易い値なので、リフトオフ加工に適するものとなる。
【0032】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第5の手段として、上記第1、第2、第3又は第4の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記溶剤としてNMPを用いることもでき、そのように構成した場合、リフトオフ試料物を溶解剥離し易くなり、リフトオフの歩留まりをより一層向上させることができる。
【0033】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第6の手段として、上記第1、第2、第3又は第4の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記溶剤として前記超臨界流体に溶解する溶剤とリフトオフ試料物を溶解する溶剤との混合液を用いることもでき、そのように構成した場合、リフトオフ試料物を溶解する溶剤が超臨界流体に溶解しない場合(あるいは溶解度が小さい場合)でも、リフトオフ試料物を溶解剥離し易くなり、リフトオフの歩留まりをより一層向上させることができる。
【0034】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第7の手段として、上記第6の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記超臨界流体に溶解する溶剤としてイソプロピルアルコールを、前記リフトオフ試料物を溶解する溶剤としてNMPを使用することもでき、そのように構成した場合、イソプロピルアルコールとNMPとの相性がよいので、リフトオフの歩留まりをより一層向上させることができる。
【0035】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第8の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6又は第7の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記密閉容器内に超臨界流体を供給して後工程であるリンス工程を実行するリンス工程実行手段を付設することもでき、そのように構成した場合、微細構造に表面張力によるダメージを与えることなくリフトオフを行うことができる。
【0036】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第9の手段として、上記第3、第4、第5、第6、第7又は第8の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記被加工試料に対し、超臨界流体の気相から超臨界相への状態変化、あるいは超臨界相から気相への状態変化を複数回与える手段を付設することもでき、そのようにした場合、リフトオフ工程の歩留まりをさらに向上させることができる。
【0037】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第10の手段として、上記第3、第4、第5、第6、第7、第8又は第9の手段を備えたリフトオフ加工装置において、使用済みの超臨界流体を回収し、再循環させる超臨界流体回収手段を付設することもでき、そのように構成した場合、超臨界流体の消費量を著しく減少させることができる。特に、超臨界流体として超臨界二酸化炭素を用いた場合には、二酸化炭素の大気中への排出量を大幅に減少させることができることとなり、地球温暖化防止に寄与する。
【0038】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第11の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9又は第10の手段を備えたリフトオフ加工装置において、使用済みの溶剤を回収し、再循環させる溶剤回収機構を付設することもでき、そのように構成した場合、溶剤の廃棄量を著しく減少させることができる。
【0039】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第12の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10又は第11の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記密閉容器内に、該密閉容器の蓋を開けることなく溶剤を供給する溶剤供給手段を付設することもでき、そのように構成した場合、密閉容器の蓋を開けることなく、連続作業が可能となり、作業効率が向上する。
【0040】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第13の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11又は第12の手段を備えたリフトオフ加工装置において、複数の溶剤を任意の割合で混合し供給する手段を付設することもでき、そのように構成した場合、複数の溶剤の混合割合を自由に変えることができるので、最適な混合比の溶剤を用いることができる。
【0041】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第14の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、第11、第12又は第13の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記被加工試料であるウェハーの自動搬送装置を付設することもでき、そのように構成した場合、ウェハーでのリフトオフ加工工程の作業性が大幅に向上する。
【0042】
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第15の手段として、上記第14の手段を備えたリフトオフ加工装置において、前記ウェハー搬送装置と既存の半導体ウェハー加工装置におけるウェハー搬送装置とを共通化することにより、他のウェハー加工装置と一体化し、連続した加工を行うことができる装置を形成するすることもでき、そのように構成した場合、リフトオフ加工とその後の加工(例えば、電極形成加工)とを一貫して行うことができることとなり、作業性が大幅に向上する。
【発明の効果】
【0043】
本願発明のリフトオフ加工方法は、被加工試料を溶剤に浸し、密閉容器内で加圧することにより、溶剤をリフトオフすべき部位に押し込むことにより、従来技法ではリフトオフができない微細なパターンにおいても、リフトオフ工程の歩留まりを向上させ得るという利点がある。
【0044】
本願発明のリフトオフ加工装置は、被加工試料を溶剤に浸し、加圧することのできる密閉容器を備えているため、被加工試料を溶剤に浸し、密閉容器内で加圧することにより、溶剤をリフトオフすべき部位に押し込むことにより、従来技法ではリフトオフができない微細なパターンにおいても、リフトオフ工程の歩留まりを向上させ得るという利点がある。
【0045】
よって本願発明のリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置によれば、溶剤を圧力により、リフトオフすべき部位に押し込むことにより、従来技法ではリフトオフができない微細なパターンにおいても、リフトオフ工程の歩留まりを向上させ得るという効果がある。
【0046】
また、本願発明のリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置によれば、従来技法のように、超音波(あるいは高圧ジェット)により被加工試料に物理的な振動(あるいは衝撃)を与えてリフトオフをするのではないため、(1)被加工試料へのダメージを少なくすることができる、(2)蒸着膜など加工耐性の少ない(膜はがれをおこし易いなど)膜材料においてもリフトオフ法による加工が可能となる、(3)サブミクロンサイズ以下の微細な形状(あるいはパターン)においてもリフトオフ法による加工が可能となる、等の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
本願発明では、従来技術では容易にリフトオフできないような微細な被加工試料に対して、リフトオフ工程の歩留まりを向上させるという目的を、被加工試料を溶剤に浸し、密閉容器内で加圧することより、溶剤をリフトオフすべき部位に押し込むことで、リフトオフ作用を促進させ、リフトオフ工程の歩留まりの向上を実現した。
【0048】
第1の実施の形態
以下、図1を用いて、本願発明の原理について説明する。図1に示すように、本願発明にかかるリフトオフ加工装置は、被加工試料W(例えば、図2に示す基板上にスパッタされた金属多層膜)を溶剤Gに浸した状態で加圧できる密閉容器1と、加圧手段2を備えている。リフトオフの手順は以下の通りである。まず、リフトオフする被加工試料Wを密閉容器1の中に入れ、溶剤Gで浸し、加圧する。符号3は加圧ガスを密閉容器1内に供給する際に開作動される開閉弁、4は密閉容器1内の加圧ガスを大気中に排出する際に開作動される開閉弁である。図1においては、加圧手段2として気体(例えば、ガスボンベに充填された加圧ガス)を用いているが、密閉容器1をピストン状とし、密閉容器1内の体積を減少させることにより加圧してもよい。また、密閉容器1内の温度を上昇させることにより、溶剤Gの一部を気化させ、その気体圧力により加圧することも可能である。加圧状態を適切な時間維持した後、密閉容器1内の圧力を減圧させ、被加工試料Wを取り出す。その後、必要であれば、後工程として、リンス(洗浄)工程を行うことができる。
【0049】
本願発明によるリフトオフ加工方法で最も重要な点は、加圧することより、常圧では浸透できないような狭隘な間隙まで溶剤Gを押し込み、レジストマスクB′(図2参照)を膨潤させることにより、微小なパターンでもリフトオフができるようになることである。それ故、レジストマスクB′が溶解する際、その体積が膨潤する作用のある溶剤を使用することが望ましい。
【0050】
本願発明によるリフトオフ加工装置においては、密閉容器1に加熱機構を設け、加圧と同時に溶剤を加熱することにより、リフトオフの歩留まりを向上させることができる。
【0051】
本願発明によるリフトオフ加工装置において、加圧手段2として超臨界流体を使うことができる。その中でも超臨界二酸化炭素は、臨界温度31℃、臨界圧力7.3MPaと工業的に使いやすく、加圧手段2として望ましい。さらに、溶剤Gが超臨界流体に溶解し得る場合、超臨界流体を媒体として、きわめて微細な間隙まで溶剤を導くことができ、結果としてリフトオフの歩留まりを向上させることができる。
【0052】
しかしながら、溶剤G(レジストマスクに対する溶剤)が超臨界流体に溶解しない場合(あるいは溶解度が小さい場合)も存在する。このような場合、溶剤Gとして、リフトオフ試料物の溶剤(以下、剥離剤と称する)と、超臨界流体に溶解し得る溶剤(以下、浸透剤と称する)を混合して用いることにより、さらにリフトオフの歩留まりを向上させることができる。剥離剤としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチルセロソルブアセテート、シクロペンタン、酢酸ブチル、メチルイソブチルケトン、エチルエチルケトン、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、エチレンカーボネート(炭酸エチレン)などが使用できる。また、浸透剤としてはイソプロピルアルコール、エタノール、メタノール、アセトン、キシレンなどが使用できる。その中でも、剥離剤としてNMP、浸透剤としてイソプロピルアルコールの組み合わせが望ましい。
【0053】
さらに、加圧手段2として超臨界流体を用いる場合、後工程として、超臨界流体による洗浄工程を行うことができる。この際、溶剤Gが超臨界流体に溶解し得る場合、リフトオフ工程で用いた溶剤Gを、超臨界流体で、超臨界状態を維持したまま置換することにより、表面張力の影響がない状態で、リンス工程を行うことができる。その結果、微細構造に表面張力によるダメージを与えること無くリフトオフ工程を行うことができる。
【0054】
第2の実施の形態
次に、図3を用いて、既存の超臨界二酸化炭素洗浄装置を用いて、本願発明のリフトオフ加工方法を行った実験手順と、その結果について説明する。
【0055】
被加工試料Wとしては、熱酸化シリコン基板上に銅、鉄−コバルト合金などの金属膜を100ナノメートル程度成膜したものに、厚さ350ナノメートルのレジストにより、大きさ2マイクロメートル角から、50ナノメートル角までのエッチングマスクを作成し、アルゴンイオンミリングにより、30ナノメートル程度エッチングし、層間絶縁膜として二酸化珪素を60ナノメートル程度、スパッタ法により成膜したものを使用した。
【0056】
使用した超臨界二酸化炭素洗浄装置は、図3に示すように、密閉容器1としての洗浄槽を持ち、加圧手段2として二酸化炭素ボンベに充填された二酸化炭素から得られた超臨界二酸化炭素を用い、該超臨界二酸化炭素によって溶剤Gを加圧することができるようになっている。また、洗浄槽1、超臨界二酸化炭素導入口5、同排出口6には、それぞれ独立にヒーター7,8,9が設けられ、また、洗浄槽1の圧力を圧力センサー10で測定しながら排出口側のバルブ11を調節することにより、超臨界二酸化炭素をフローさせた状態でも、高精度に温度を調節できるようになっている。符号12は二酸化炭素ボンベからの二酸化炭素を加圧送液するためのポンプである。
【0057】
洗浄槽1に溶剤Gを満たし、被加工試料Wを溶剤Gに浸した状態で蓋1aを閉じ、洗浄槽1内の空気を二酸化炭素で置換する。その後、洗浄槽1をヒータ7で加熱しながら、超臨界二酸化炭素により加圧する。溶剤Gが超臨界二酸化炭素に溶解し得る場合、二酸化炭素の臨界点(温度31℃、圧力7.3MPa)以上で溶剤Gと超臨界二酸化炭素の界面が消失することが観察される。溶剤Gと超臨界二酸化炭素の混合物を、超臨界二酸化炭素をフローさせることにより置換していく。完全に溶剤Gが置換された後、圧力を大気圧まで徐々に下げ、蓋1aを開けて、被加工試料Wを取り出す。
【0058】
実験は、同一条件で作成された複数の被加工試料Wに対し、溶剤Gの種類を変えて、超臨界二酸化炭素を用いて加圧することよって行われた。本実験に用いたリフトオフ工程の種類は、前述の背景技術の項において説明した第3の方法である。
【0059】
被加工試料Wは、あらかじめ熱酸化シリコン基板上に作成した100ナノメートル程度の金属多層膜上に、電子線リソグラフィーにより、厚さ350ナノメートル、面直方向からみた大きさが2マイクロメートル角のチェッカーボード状のパターン、短辺が200ナノメートルかつ長辺が400ナノメートルの長方形の独立パターン、短辺が100ナノメートルかつ長辺が200ナノメートルの長方形の独立パターンの3種類のレジストマスクを作成した。アルゴンイオンビームにより30ナノメートル程度のエッチングを行った後、二酸化珪素を60ナノメートル成膜したものである。同一基板上に、より小さな独立パターン(50ナノメートル角)も作成した。
【0060】
レジストマスクとその上部に付着した二酸化珪素を除去し、コンタクトホールを開けることを、リフトオフ工程の目的とした。リフトオフ工程後、光学顕微鏡あるいは電子線顕微鏡(以下、SEMと略称する)により、形状を観察し、同一基板上に作成した複数のレジストマスクにおいて、歩留まり(リフトオフの成功率)を測定した。
【0061】
あらかじめ、同一条件で作成された被加工試料Wに対し、溶剤としてアセトン、NMPを用い、実験用3周波数可変型超音波洗浄機(28キロヘルツ、45キロヘルツ、100キロヘルツを1秒間隔で変化させるもの、出力は100W)を用いて、常温にて30分の処理を行ったが、全くリフトオフができないことを確認している。
【0062】
それぞれ実験の詳細は以下の通りである。観察により得られた顕微鏡画像、電子線顕微鏡画像を図4、図5および図6にまとめた。ここで、図4(イ)は下記の実験1の結果(チェッカーボード状パターンにおけるリフトオフ後の光学顕微鏡による観察像)であり、図4(ロ)は下記の実験3の結果(チェッカーボード状パターンにおけるリフトオフ後の偏光顕微鏡による観察像)であり、図5(イ)は下記の実験4の結果(チェッカーボード状パターンにおけるリフトオフ後の光学顕微鏡による観察像)であり、図5(ロ)は下記の実験4の結果(50ナノメートル角のパターンにおけるリフトオフ後の電子顕微鏡による観察像)であり、図6は実験5の結果(チェッカーボード状パターンにおけるリフトオフ後の光学顕微鏡による観察像)である。
【0063】
実験1では、溶剤としてイソプロピルアルコール、実験2では溶剤としてアセトンを使用した。この場合、レジストマスクのみがアセトンによって除去できているが、リフトオフすべき二酸化珪素の膜はほとんど全数残っていることが観察された(図4(イ)参照)。結果として、リフトオフはできていないと判断される。実験1では光学顕微鏡の観察でリフトオフが出来ていないことを確認できたため、SEMによる観察は行っていない。
【0064】
実験3は、溶剤としてNMPのみを使用した。この場合、独立パターンにおいて20%以上のレジストマスクが、チェッカーボード状のパターンにおいて60%のレジストマスクがリフトオフできている(図4(ロ)参照)。しかしながら、NMPが超臨界二酸化炭素に溶解しないため、リフトオフ工程の後、被加工試料W上に溶剤によるシミが残っていることが観察された。
【0065】
実験4は、溶剤として、NMPとイソプロピルアルコールの混合液(混合比は体積比で1:1)を使用した。この場合、独立パターンにおいて70%以上のレジストマスクが、チェッカーボード状のパターンにおいて93%のレジストマスクがリフトオフできている(図5(イ)参照)。この場合においては、リフトオフ工程の後、被加工試料の表面は非常にきれいであり、顕微鏡観察でも溶剤によるシミは存在しなかった。さらに、同一基板上に作成したより小さな50ナノメートル角パターンのリフトオフができていることをSEMにより確認した(図5(ロ)参照)。
【0066】
実験5は、NMPとイソプロピルアルコールの混合液(混合比は体積比で1:3)を使用した。この場合、独立パターンにおいて30%以上のレジストマスクが、チェッカーボード状のパターンにおいて23%のレジストマスクがリフトオフできている。しかしながら、同一基板上で、リフトオフできている部分が不均一に分布していた(図6参照)。この場合においては、実験4と同様に、リフトオフ工程の後、被加工試料の表面は非常にきれいであり、顕微鏡観察でも溶剤によるシミは存在しなかった。
【0067】
また、 表1に上記の実験結果をまとめた。
【0068】
【表1】


【0069】
上記の結果から、被加工試料Wを密閉容器1に入れ、溶剤Gに浸し、加圧、加熱することによりリフトオフの歩留まりが向上すること(実験3の結果)、さらに、超臨界二酸化炭素を加圧媒体に使用し、溶剤として剥離剤(NMP)と浸透剤(イソプロピルアルコール)の混合液を用いることにより、よりリフトオフの歩留まりが向上すること(実験4の結果)が確認できた。また、実験4と実験5の結果の比較から、剥離剤と浸透剤の割合は、体積比において1:3よりも、1:1が望ましいことが確認できた。
【0070】
第3の実施の形態
本願発明によるリフトオフ方法を用いて、100ナノメートル角程度の断面積を持つ磁気抵抗素子を作製するためには、第2の実施の形態で説明した実験で得られた歩留まり値(100ナノメートル×200ナノメートルサイズの接合において70%程度:表1を参照)よりも、さらに高い歩留まりが必要となる。
【0071】
そこで、第2の実施の形態で説明したリフトオフ方法を、超臨界二酸化炭素の相図上で説明する。図7に超臨界二酸化炭素の相図を示す。手順は次の通りである。
【0072】
被加工試料を加工槽(密閉容器)に入れ、加工槽上部に残った空気を、二酸化炭素で置換する(図7でAの点)。その後、加工槽をヒータで40℃まで加熱しつつ、二酸化炭素で30気圧まで加圧を行う(図7では、AからBの点への移動に対応)。さらに、加工槽を一定温度に保ったまま、二酸化炭素によって140気圧まで加圧することで、二酸化炭素を超臨界状態にする(図7では、BからCの点への移動に対応)。しばらくの間超臨界状態を保持した後、加工槽に超臨界二酸化炭素を導入し、溶剤を超臨界二酸化炭素によって置換する。その後、加工槽の温度を一定にしたまま減圧を行い、二酸化炭素を超臨界状態から気相状態へ戻す(図7では、CからBの点への移動に対応)。最後に、気相状態で、冷却しつつ減圧することで、室温、大気圧の状態へ戻し、加工槽を開け、サンプルを取り出す。
【0073】
上記方法では、被加工試料が、超臨界二酸化炭素で溶剤を置換してしまった後では(即ち、加工槽内に溶剤が無くなってしまった後では)リフトオフの効果が期待できないことから、より小さな接合におけるリフトオフに対する歩留まりを向上させるには、さらなる工夫が必要であることが解った。
【0074】
ここで、超臨界二酸化炭素と溶剤(ここでは、NMPとIPAとの1:1混合溶液を指す)が溶解する様子を目視によって観察した結果を記述する。溶剤の加熱、加圧の方法は、図7に示したリフトオフ工程と同じ方法である。また、参考のため、図8に40℃における二酸化炭素の圧力に対する密度の変化を示す。溶解の様子を図9(a)、(b)を用いて説明する。
【0075】
加工槽に被加工試料を導入した後、二酸化炭素で加圧する場合、リフトオフ工程上の超臨界転移点(ここでは、40℃、73気圧近傍)に至るまでは、二酸化炭素と溶剤の間には明瞭な界面が形成されている。超臨界転移点近傍になると、界面が不明瞭になり、界面がだんだんと広がっていく溶解の仕方を示す(図9(a)参照)。さらに、超臨界転移点を越えて加圧していくと、一気に界面が溶液全体に拡散する(図9(b)参照)。
【0076】
超臨界二酸化炭素を使用するリフトオフ工程では、超臨界二酸化炭素と溶剤とがよく混じり合った界面において、高いリフトオフ効率が得られると期待される。さらに、そのような界面を、被加工試料全体に作用させるためには、図9(b)の状態を繰返し実現することが望ましいと考えられる。
【0077】
上記の考えに基づいて、次のような工程でリフトオフの実験を行った。昇温、昇圧の手順は、第2の実施の形態で説明した手順と同じであるが、図9(b)で説明した状態を複数回被加工対象に与えるため、本実施の形態における実験では、図7で示した状態変化図において、BからCの行程を3回繰り返して、リフトオフを行った。
【0078】
本実験において、被加工試料としては、酸化マグネシウムをトンネル障壁として備える磁気トンネル抵抗薄膜(MR(磁気抵抗)比160%程度、膜厚70ナノメートル程度)を用いた。上記磁気抵抗薄膜は、熱酸化シリコン基板上にスパッタ法にて成膜したものである。この磁気抵抗薄膜上に、厚さ350ナノメートルのレジストにより、大きさ150×50ナノメートルから、600×200ナノメートルまでのエッチングマスクを作成し、アルゴンイオンミリングにより、30ナノメートル程度エッチングし、層間絶縁膜として二酸化珪素を60ナノメートル程度、スパッタ法により成膜したものを使用した。
【0079】
リフトオフの成功・失敗の判定は、磁気抵抗素子の抵抗値とMR比の測定によって行った。リフトオフが出来ていない場合は、素子は絶縁状態となり、またリフトオフ工程上で層間絶縁膜がダメージを受けた場合は、素子はショートした状態になる。また、リフトオフ後のコンタクトホール界面上にレジスト滓が残る場合、素子の抵抗値が高くなる。本実験においては、20ミリ角基板上に複数の磁気抵抗素子を作製し、それぞれの大きさにおいてリ歩留まりを評価した。
【0080】
【表2】


【0081】
上記表2は、超臨界二酸化炭素リフトオフ法により作製した磁気抵抗素子と、従来の方法(高圧ジェットリフトオフ法)により作製した磁気抵抗素子の特性をまとめたものである。歩留まりは、磁気抵抗が測定できた素子の数と作製した素子数との比である。Rpは磁気抵抗素子の磁化の向きが平行状態の抵抗値、MRは磁気抵抗比(磁化の向きが平行状態と反平行状態での抵抗値の比)の磁気抵抗が測定できた素子に対する平均値である。この結果から、30×90ナノメートルの断面積を持つ素子においても、超臨界二酸化炭素リフトオフ法により、歩留まり90%以上で素子を作製できることが解る。また、Rpの値と、MRの値で、超臨界二酸化炭素リフトオフ法によって作製した素子と従来の方法によって作製した素子の間に、大きな差が見られないことから、本願発明による超臨界二酸化炭素リフトオフ法はサブミクロンサイズの磁気抵抗素子の作製に有効であることが示された。
【0082】
第4の実施の形態
図10には、本願発明の第4の実施の形態にかかるリフトオフ加工装置が示されている。
【0083】
この場合、加圧手段2として超臨界二酸化炭素を用い、被加工試料Wをあらかじめ密閉容器1に入れ、蓋1aを閉めた状態で溶剤Gを供給する溶剤供給手段13を備えており、該溶剤供給手段13は、複数の液だめ14,14,14と混合器15からなっており、複数の溶剤を任意の割合で混合したものを溶剤として供給できるようになっている。
【0084】
上記の手段を設けることにより、複数の溶剤(例えば剥離剤と浸透剤)の割合を自由に変えることができ、最適な混合比の溶剤を用いることができる。また、蓋1aを開けることなく、任意の回数の任意の溶剤によるリフトオフ加工工程、任意の回数の超臨界二酸化炭素を用いた洗浄工程を繰り返すことができ、結果として、作業性が大幅に向上する。
【0085】
上記混合器15として、溶剤を混合する容器を設け、その容器に加熱、撹拌機能を設けることができる。さらに、混合器15に、流量計、調節弁を設け、密閉容器1に混合した溶剤を正確な量で供給すること、供給する速度を調節することにより、リフトオフ加工の条件を精密に調節することができる。
【0086】
その他の構成および作用効果は、第2の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0087】
第5の実施の形態
図11には、本願発明の第5の実施の形態にかかるリフトオフ加工装置が示されている。
【0088】
この場合、加圧手段2として超臨界二酸化炭素を用い、使用した二酸化炭素を回収し、再利用する超臨界流体回収手段16を備えており、該超臨界流体回収手段16は、リフトオフに使用した二酸化炭素と溶剤の混合物から二酸化炭素と溶剤を分離する気液分離器17と、該気液分離器17により分離回収された二酸化炭素を加圧手段である二酸化炭素ボンベ2の出口側の開閉弁3の下流側に還流させる還流通路18と、該還流通路18の途中に介設されたフィルタ19、純化器20およびバッファタンク21とからなっている。
【0089】
この場合、リフトオフ加工時に使用した二酸化炭素を回収し、再利用することが望ましいとの観点から、リフトオフに使用した二酸化炭素と溶剤の混合物から、気液分離器17を用いて二酸化炭素と溶剤を分離し、その後、フィルター19、純化器20を用い、回収した二酸化炭素の純度を上げ、バッファタンク21に蓄積することとされており、蓄積された二酸化炭素を再びポンプ12に導入することにより、二酸化炭素循環式リフトオフ装置が構成される。リフトオフの工程で失われた(逃げてしまった)二酸化炭素については、二酸化炭素ボンベ2より供給される。このようにして、全体での二酸化炭素の消費量を著しく減少させることが可能である。しかも、昨今の環境保全への意識の高まりに好適に対処することが可能となる。
【0090】
その他の構成および作用効果は、第2の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0091】
第6の実施の形態
図12には、本願発明の第6の実施の形態にかかるリフトオフ加工装置が示されている。
【0092】
この場合、加圧手段2として超臨界二酸化炭素を用い、使用した溶剤を回収する溶剤回収手段22が設けられている。該溶剤回収手段22は、リフトオフに使用した二酸化炭素と溶剤の混合物から二酸化炭素と溶剤を分離する気液分離器17と、該気液分離器17により分離回収された溶剤を密閉容器1に還流させる還流通路23と、該還流通路23の途中に介設されたフィルタ24、純化器25およびバッファタンク26とからなっている。
【0093】
この場合、リフトオフ加工時に使用した溶剤を回収し、再利用することが望ましいとの観点から、リフトオフに使用した二酸化炭素と溶剤の混合物から、気液分離器17を用いて二酸化炭素と溶剤を分離し、その後、フィルター24、純化器25を用い、回収した溶剤の純度を上げ、バッファタンク26に蓄積することとされており、蓄積された溶剤を再び密閉容器1に導入することにより、溶剤循環式リフトオフ装置が構成される。
【0094】
このように溶剤の回収機構をもつリフトオフ装置が構成され、回収された溶剤を再利用することで溶剤の廃棄量を著しく減少させることが可能である。
【0095】
その他の構成および作用効果は、第2の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0096】
第7の実施の形態
図13には、本願発明の第7の実施の形態にかかるリフトオフ加工装置が示されている。
【0097】
この場合、加圧手段2として超臨界二酸化炭素を用い、ウェハーの自動搬送装置27が設けられている。この場合、密閉容器1の蓋1aは、自動開閉できるようになっている。この自動搬送装置27とは、定位置(ウェハー出し入れ口)に供給されたウェハーYを、自動搬送機構、自動開閉蓋などを利用し、密閉容器1内の定位置に治め、かつリフトオフ加工終了後、ウェハーYを定位置まで戻す搬送装置を指す。この機構を付加することにより、ウェハーでのリフトオフ加工工程の作業性が大幅に上昇する。
【0098】
その他の構成および作用効果は、第2の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
【0099】
第8の実施の形態
昨今の半導体加工装置(特に加工対象がウェハー形状であるもの)は、加工工程における作業性を向上させるため、共通化したウェハーの自動搬送装置を設けている場合が多い。さらに、装置の外形をモジュール化(装置の大きさを単位長さの整数倍に揃えたもの)し、装置の設置効率の向上を図っているものが多い。このような装置に対して、本願発明によるリフトオフ加工装置においても、共通化したウェハーの自動搬送装置を備え、その大きさをモジュール化することにより、ウェハーに対し一貫した連続工程を可能とすることで、ウェハーでのリフトオフ加工工程の作業性が大幅に向上させることが出来る。
【0100】
図14には、加圧手段2として超臨界二酸化炭素を使用し、他のウェハー加工装置と共通化したウェハーの自動搬送装置を設け、モジュール化したリフトオフ加工装置の例が示されている。この例においては、モジュール化したイオンミリング装置28、絶縁膜スパッタ装置29、本願発明にかかるリフトオフ加工装置30、金属膜スパッタ装置31を、共通化したウェハーの自動搬送装置によって接続し、さらにロードロック機構32を付加したものである。この装置を使用することにより、金属膜上に所望のサイズのレジストマスクを作成した被加工試料Wに対して、一貫して、CPP形状に加工、絶縁膜作成、リフトオフ、上部電極作成の工程を行うことが出来る。さらに、この装置による加工では、前記の工程中、大気に曝すことがないので、結果として寄生抵抗(例えば、加工面での酸化、汚染による接触抵抗)のきわめて小さい素子を作成することが可能である。
【0101】
なお、上記第4の実施の形態から第8の実施の形態にかかるリフトオフ加工装置は、任意に組み合わせることが可能である。例えば、第4の実施の形態と第5の実施の形態を組み合わせ、蓋を開けることなく複数の溶剤を供給し、リフトオフ工程と超臨界二酸化炭素による洗浄工程を任意の回数繰り返すことができる手段と、二酸化炭素を回収し、再利用する手段とを設けたリフトオフ加工装置を構成することが可能である。
【0102】
また、上記第4の実施の形態から第8の実施の形態において、加圧手段として、超臨界二酸化炭素を用いたが、リフトオフ加工における加圧方法としては、窒素、アルゴンなどの不活性ガスを使用することも可能である。
【産業上の利用の可能性】
【0103】
本願発明のリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置は、情報通信産業における各種メモリー、演算素子、トランジスター、ストレージ機器部品(磁気ヘッド等)の作製に適用することができ、また、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)として知られる微細機構デバイスの作製などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】本願発明の第1の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置の原理を示した概略構成図である。
【図2】一般的なリフトオフ法による微小CPP接合の作成方法を説明する図である。
【図3】本願発明の第2の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置を示した概略構成図である。
【図4】本願発明の第2の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置により得られた実験結果を示し、(イ)は実験1による実験結果を示す光学顕微鏡による観察像、(ロ)は実験3による実験結果を示す偏光顕微鏡による観察像である。
【図5】本願発明の第2の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置により得られた実験結果を示し、(イ)は実験4による実験結果を示す光学顕微鏡による観察像、(ロ)は実験4による実験結果を示す電子顕微鏡による観察像である。
【図6】本願発明の第2の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置により得られた実験結果を示し、実験5による実験結果を示す光学顕微鏡による観察像である。
【図7】超臨界二酸化炭素の相図である。
【図8】40℃における二酸化炭素の圧力に対する密度の変化を示す特性図である。
【図9】(a)は超臨界転移点に至る前における二酸化炭素と溶剤との状態を示す模式図、(b)は超臨界転移点を超えた二酸化炭素と溶剤との状態を示す模式図である。
【図10】本願発明の第4の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置を示す概略構成図である。
【図11】本願発明の第5の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置の概略構成図である。
【図12】本願発明の第6の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置の概略構成図である。
【図13】本願発明の第7の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置の概略構成図である。
【図14】本願発明の第8の実施の形態にかかるリフトオフ加工方法およびリフトオフ加工装置において、規格化されたウェハーの自動搬送機能を追加し、他のウェハー加工装置と一体構成を取り得る実施例を示した概略構成図である。
【符号の説明】
【0105】
1は密閉容器(洗浄槽)
1aは蓋
2は加圧手段(ボンベ)
7は加熱手段(ヒータ)
13は溶剤供給手段
14は液だめ
15は混合器
16は超臨界流体回収手段
22は溶剤回収手段
27は自動搬送装置
Gは溶剤
Wは被加工試料




 

 


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