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発明の名称 高濃度不純物ダイヤモンド薄膜及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−194231(P2007−194231A)
公開日 平成19年8月2日(2007.8.2)
出願番号 特願2006−8118(P2006−8118)
出願日 平成18年1月17日(2006.1.17)
代理人
発明者 李 成奇 / 山崎 聡 / 大串 秀世 / 鹿田 真一
要約 課題
不純物濃度傾斜層を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜及びその製造方法を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
ダイヤモンド単結晶基板上に、不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜を複数層設けることにより、ダイヤモンド単結晶基板側から、不純物が順次高くなった傾斜層を作成し、最外層が最高濃度不純物を含むダイヤモンド薄膜である不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜。
【請求項2】
ダイヤモンド単結晶が、(111)、(110)、(100)単結晶のいずれかである請求項1に記載した不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜。
【請求項3】
不純物がボロンであるP型の半導体である請求項1又は請求項2に記載した不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜。
【請求項4】
不純物がリンであるN型の半導体である請求項1又は請求項2に記載した不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜。
【請求項5】
最内層の不純物ダイヤモンド薄膜層の厚さが、0.5〜2μmであり、順次形成される不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜層の厚さが、0.3〜1μmである請求項1ないし請求項4のいずれかに記載した不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜。
【請求項6】
最内層の不純物ダイヤモンド薄膜層の不純物濃度が、30〜80ppmであり、順次形成される不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜層の濃度が、内層の不純物濃度の2〜6倍濃度である請求項1ないし請求項4のいずれかに記載した不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜。
【請求項7】
不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜の数が3〜6である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載した不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜。
【請求項8】
マイクロ波プラズマ化学気相合成法を用いて、メタンを含む水素に、ボロンをボロン(B)と炭素(C)の割合が30〜80ppmになるように加え、合成圧力下の反応室に導入し、基板温度900℃-1050℃で、単結晶ダイヤモンド面上にダイヤモンド膜の合成し、当該単結晶ダイヤモンドの(111)面上に[B]/[C]= 30〜80ppm のダイヤモンド膜を0.3〜2μm堆積した後、ボロン(B)と炭素(C)の割合を2〜6倍濃度とし、膜厚を各々0.3〜1μmとしたになるよう不純物ダイヤモンド薄膜を3〜6層積層させるP型不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜の製造方法。
【請求項9】
マイクロ波プラズマ化学気相合成法を用いて、メタンを含む水素に、リンをリン(P)と炭素(C)の割合が30〜80ppmになるように加え、合成圧力下の反応室に導入し、基板温度900℃-1050℃で、単結晶ダイヤモンド面上にダイヤモンド膜の合成し、当該単結晶ダイヤモンドの(111)面上に[P]/[C]= 30〜80ppm のダイヤモンド膜を0.3〜2μm堆積した後、リン(P)と炭素(C)の割合を2〜6倍濃度とし、膜厚を各々0.3〜1μmとしたになるよう不純物ダイヤモンド薄膜を3〜6層積層させるN型不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜の製造方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載した不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜を利用したダイオード又はトランジスタ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、不純物濃度傾斜層を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダイヤモンド薄膜中のボロンなどの不純物濃度の増加した場合、ダイヤモンド薄膜表面形態は荒れる。(非特許文献1参照)。
【0003】
また、ダイヤモンド薄膜中のボロンなどの不純物濃度の増加に伴い、薄膜の格子定数も増加する。(非特許文献2参照)。
【0004】
【非特許文献1】T. Tsubota, T. Fukui, T. Saito, K.Kusakabe, S. Morooka and H. Maeda, Diamond Relat. Mater. 9, 1362 (2000).
【非特許文献2】F. Brunet, P. Germi, M. Pernet, A.Deneuville, E. Gheereart, F. Laugier, M. Burdin and G. Rolland, J. Appl. Phys.,83, 181 (1998).
【0005】
したがって、高濃度不純物ダイヤモンド薄膜を得る場合、不純物のドーピング濃度を一気に増やすと、薄膜と下地基板との格子定数にずれが生じ高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の表面形態は荒れ、その結晶性も低下する。当然、この高濃度不純物ダイヤモンド薄膜上にデバイスの活性層を堆積させた場合、活性層の表面形態も荒れ、結晶性の低下を招く。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ダイヤモンド薄膜を電子デバイスへ応用する際、低抵抗かつ高品質な薄膜の合成技術が必要不可欠となる。しかし、低抵抗層、すなわち高濃度不純物ダイヤモンド薄膜を得るために不純物のドーピング濃度を一気に増やすと、薄膜と下地基板との格子定数にずれが生じ、堆積された高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の表面形態および結晶性が低下する。したがって、この高濃度不純物ダイヤモンド薄膜上にデバイスの活性層を堆積させた場合、当然、活性層の表面形態および結晶性も低下してしまう。この発明は、高濃度の不純物層を堆積させる場合、下地基板との間に不純物濃度を徐々に増加させていく傾斜層を設けることで、表面形態が平坦かつ高品質、そして低抵抗な薄膜を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、高濃度の不純物層を堆積させる場合、下地基板との間に不純物濃度を徐々に増加させていく傾斜層を設けることで、格子定数のずれを徐々にずらし、高濃度不純物ダイヤモンド薄膜を堆積させる方法を見出した。本発明は、傾斜層を設けることで、表面形態が平坦かつ高品質、そして低抵抗な薄膜を提供できる。すなわち、不純物濃度傾斜層を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の製造方法である。
すなわち、本発明は、ダイヤモンド単結晶基板上に、不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜を複数層設けることにより、ダイヤモンド単結晶基板側から、不純物が順次高くなった傾斜層を作成し、最外層が最高濃度不純物を含むダイヤモンド薄膜である不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜である。
また本発明は、ダイヤモンド単結晶が、(111)、(110)、(100)単結晶のいずれかとすることができる。
さらに本発明は、不純物をボロンとしP型の半導体とすることができる。
又本発明は、不純物をリンとしN型の半導体とすることができる。
また本発明は、最内層の不純物ダイヤモンド薄膜層の厚さが、0.5〜2μmであり、順次形成される不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜層の厚さを、0.3〜1μmとすることができる。
さらに本発明は、最内層の不純物ダイヤモンド薄膜層の不純物濃度が、30〜80ppmであり、順次形成される不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜層の濃度を、内層の不純物濃度の2〜6倍濃度とすることができる。
又、本発明は、不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜の数を3〜6とすることができる。
【0008】
別の観点から見れば、本発明は、マイクロ波プラズマ化学気相合成法を用いて、メタンを含む水素に、ボロンをボロン(B)と炭素(C)の割合が30〜80ppmになるように加え、合成圧力下の反応室に導入し、基板温度900℃-1050℃で、単結晶ダイヤモンド面上にダイヤモンド膜の合成し、当該単結晶ダイヤモンドの(111)面上に[B]/[C]= 30〜80ppm のダイヤモンド膜を0.3〜2μm堆積した後、ボロン(B)と炭素(C)の割合を2〜6倍濃度とし、膜厚を各々0.3〜1μmとしたになるよう不純物ダイヤモンド薄膜を3〜6層積層させるP型不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜の製造方法である。
また、本発明は、マイクロ波プラズマ化学気相合成法を用いて、メタンを含む水素に、リンをリン(P)と炭素(C)の割合が30〜80ppmになるように加え、合成圧力下の反応室に導入し、基板温度900℃-1050℃で、単結晶ダイヤモンド面上にダイヤモンド膜の合成し、当該単結晶ダイヤモンドの(111)面上に[P]/[C]= 30〜80ppm のダイヤモンド膜を0.3〜2μm堆積した後、リン(P)と炭素(C)の割合を2〜6倍濃度とし、膜厚を各々0.3〜1μmとしたになるよう不純物ダイヤモンド薄膜を3〜6層積層させるN型不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜の製造方法である。
さらに、本発明は、上記の不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜を利用したダイオードおよびトランジスタである。

【発明の効果】
【0009】
本発明の不純物濃度傾斜層を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜は、紫外線発光デバイス、ショットキーバリアダイオード、バイポーラトランジスタのエミッタ領域などのp+もしくはn+層などの電子デバイス開発の全般で利用され、デバイス化を図る上で産業界へのインパクトは極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明で用いるダイヤモンド単結晶基板は、(100)、(110)、(111)であれば、どのようなものであっても良いが、精度の良いものが良いが、好適には、入手しやすい汎用のものを用いることが出来る。
本発明においては、不純物としてボロンやリンなどを用いることができる。
本発明においては、周知のホモエピタキシャル成長の条件を用いることが出来る。
例えば、ダイヤモンド(111)単結晶基板上において、ホモエピタキシャルダイヤモンド膜を得るためには、炭素含有ガスとして、メタン、一酸化炭素等が用いられるが、メタンが好ましく用いられる。また、炭素含有ガスは、通常水素により希釈されて用いられる。
本発明においては、炭素含有ガスがメタンであって、水素で希釈して、流量比濃度が0.25%以下のものを用いるのが特に好ましい。また、ドーピングガスとして、ボロンを用いても良い。
合成圧力は、20〜100Torr程度であり、基板温度900℃-1050℃で、単結晶ダイヤモンド上にダイヤモンド膜を合成する。
【0011】
また本発明は、最内層の不純物ダイヤモンド薄膜層の厚さが、0.5〜2μmであり、順次形成される不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜層の厚さが、0.3〜1μmとすることができるが、最内層の不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜層の厚さは、薄すぎると歪を発生しやすく、厚すぎると半導体全体が厚くなりすぎる。
さらに本発明は、最内層の不純物ダイヤモンド薄膜層の不純物濃度が、30〜80ppmであり、順次形成される不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜層の濃度が、内層の不純物濃度の2〜6倍濃度とすることができるが、最内層の不純物ダイヤモンド薄膜層の不純物濃度が、30ppm以下であると最外層の高い不純物濃度に達するまでに何層も必要になり効率が悪くなり、80ppm以上であるとダイヤモンド単結晶基板との相性が悪くなり、表面形態が平坦かつ高品質、そして低抵抗な高濃度不純物ダイヤモンド薄膜が得られない。又、本発明は、不純物濃度が異なる不純物ダイヤモンド薄膜の数を3〜6とすることができるが、3以下であると表面形態が平坦かつ高品質、そして低抵抗な高濃度不純物ダイヤモンド薄膜を得ることが出来ず、6以上であると製造する工程が増えて効率が落ちる。
本発明の不純物傾斜型ダイヤモンド薄膜を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜は、従来技術の半導体と同様に、ダイオードおよびトランジスタを製造することが出来る。
【実施例1】
【0012】
マイクロ波プラズマ化学気相合成法において、メタンを0.2%含む水素に、ボロンをボロン(B)と炭素(C)の割合が50ppmになるように加え、合成圧力50 Torrの反応室に導入し、基板温度900℃-1050℃で、単結晶ダイヤモンドの(111)面上にダイヤモンド膜の合成を開始する。そして、単結晶ダイヤモンドの(111)面上に[B]/[C]=50ppmのダイヤモンド膜を1μm堆積した後、ボロン濃度を100ppm、500ppm、1000ppmに増加させ、膜厚が各々500nmになるようにダイヤモンド膜を積層させる。不純物濃度傾斜層を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の断面模式図を図1に示す。そして、光学顕微鏡像によって観察された高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の平坦な表面を図2に示す。

【実施例2】
【0013】
マイクロ波プラズマ化学気相合成法において、メタンを0.4%含む水素に、トリメチルボロンをボロン(B)と炭素(C)の割合が10000ppmになるように加え、合成圧力60 Torrの反応室に導入し、基板温度950℃で、単結晶ダイヤモンドの高濃度ボロンドープ(100)基板上に、ボロンドープp型ダイヤモンド膜を5μm堆積した。その後、ボロン濃度を5000ppm、1000ppm、500ppmに減少させ、膜厚が各々1μmになるようにダイヤモンド膜を順次積層させ、不純物濃度傾斜層を用いた高濃度不純物ダイヤモンド層を形成した。次に、デバイスのドリフト層として、5ppmの低濃度ボロンドープ層を10μm堆積した。こうして得られたドリフト層/傾斜高濃度層/高濃度基板 の3層構造の基板上に、ショットキーバリアダイオードを形成した。裏面にTi/Mo/Auのオーミック電極を形成し、表面であるドリフト層側にショットキー電極をPtで形成した。
電極のサイズは半径50μmで、円形状である。 ショットキーバリアダイオードの動作を計測したところ、70%の歩留で良好な整流性を有するデバイスを得ることが出来た。
【0014】
上記の実施例に対して下記の比較例に示すように、不純物傾斜層がない場合は、平坦なダイヤモンド膜表面は得られなかった。
(比較例1)
マイクロ波プラズマ化学気相合成法において、メタンを0.2%含む水素に、ボロンをボロン(B)と炭素(C)の割合が1000ppmになるように加え、合成圧力50 Torrの反応室に導入し、基板温度900℃-1050℃で、単結晶ダイヤモンドの(111)面上に1μmのダイヤモンド膜を合成した。不純物濃度傾斜層を用いなかった場合の高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の断面模式図を図3に示す。そして、光学顕微鏡像によって観察された高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の凸凹した表面を図4に示す。
【0015】
(比較例2)
マイクロ波プラズマ化学気相合成法において、メタンを0.4%含む水素に、トリメチルボロンをボロン(B)と炭素(C)の割合が10000ppmになるように加え、合成圧力60 Torrの反応室に導入し、基板温度950℃で、単結晶ダイヤモンドの高濃度ボロンドープ(100)基板上に、ボロンドープp型ダイヤモンド膜を8μm堆積し、高濃度不純物ダイヤモンド層を形成した。次に、デバイスのドリフト層として、5ppmの低濃度ボロンドープ層を10μm堆積した。こうして得られたドリフト層/高濃度層/高濃度基板 の3層構造の基板上に、ショットキーバリアダイオードを形成した。裏面にTi/Mo/Auのオーミック電極を形成し、表面であるドリフト層側にショットキー電極をPtで形成した。
電極のサイズは半径50μmで、円形状である。 ショットキーバリアダイオードの動作を計測したところ、整流性を有するデバイスの歩留は低く、5%しか得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明の不純物濃度傾斜層を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の製造方法は、平坦な高濃度不純物ダイヤモンド薄膜が容易に得られるため、ダイヤモンド電子デバイスの活性層用のベースとして利用される。したがって、電子デバイス開発全般で利用され、デバイス化を図る上で産業界へのインパクトは極めて大きい。デバイス例としては、紫外線発光デバイス、電子放出源、高周波・高出力デバイス、ショットキーバリアダイオードなどへの応用が期待される。

【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】不純物濃度傾斜層を用いた高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の断面模式図
【図2】不純物濃度傾斜層を用いた場合の高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の平坦な表面の光学顕微鏡像
【図3】不純物濃度傾斜層を用いなかった場合の高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の断面模式図
【図4】不純物濃度傾斜層を用いなかった場合の高濃度不純物ダイヤモンド薄膜の凸凹した表面の光学顕微鏡像




 

 


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