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セパレータ、それを用いた固体高分子型燃料電池およびそのセパレータの製造方法 - 株式会社栗本鐵工所
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発明の名称 セパレータ、それを用いた固体高分子型燃料電池およびそのセパレータの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−165275(P2007−165275A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2006−123134(P2006−123134)
出願日 平成18年4月27日(2006.4.27)
代理人 【識別番号】100112715
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 隆夫
発明者 橋本 勝 / 植田 雅巳 / 福井 茂雄 / 山室 成樹 / 青井 芳史 / 森 陽一 / 境 哲男 / 棚瀬 繁雄
要約 課題
優れた導電性と耐食性とを兼ね備えた固体高分子型燃料電池用のセパレータを提供する。

解決手段
セパレータ4は、ステンレス鋼41と、非晶質炭素膜42とを備える。ステンレス鋼41は、硫酸に対して耐腐食性を有し、凹凸面411が一主面に形成されている。非晶質炭素膜42は、ラマン散乱スペクトルのGバンドの半値幅として50〜200cm−1の範囲の半値幅を有し、比抵抗値が約1.0×10−3Ωcmである。そして、非晶質炭素膜42は、ステンレス鋼41の凹凸面411を覆うようにECRスパッタリング法により形成される。この場合、非晶質炭素膜42の膜厚は、0.1〜1.0μmの範囲である。
特許請求の範囲
【請求項1】
固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータであって、
硫酸に対して耐腐食性を有する金属板と、
前記金属板のうち前記固体高分子型燃料電池のガス拡散電極側の一主面に少なくとも形成され、導電性を有する非晶質炭素膜とを備え、
前記非晶質炭素膜は、ラマン散乱スペクトルのGバンドの半値幅として50〜200cm−1の範囲の半値幅を有する、セパレータ。
【請求項2】
固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータであって、
硫酸に対して耐腐食性を有する金属板と、
前記金属板のうち前記固体高分子型燃料電池のガス拡散電極側の一主面に少なくとも形成された被膜と、
前記被膜に接して形成され、導電性を有する非晶質炭素膜とを備え、
前記被膜は、前記非晶質炭素膜よりも低い導電率を有する、セパレータ。
【請求項3】
前記被膜は、前記金属板の前記一主面に形成された酸化被膜である、請求項2に記載のセパレータ。
【請求項4】
前記金属板は、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金のいずれかからなる、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項5】
前記ステンレス鋼は、
質量パーセントが10.5%〜40.0%の範囲であるNiと、
質量パーセントが20.0%〜30.0%の範囲であるCrとを含む、請求項4に記載のセパレータ。
【請求項6】
前記ステンレス鋼は、
質量パーセントが1.00%〜8.00%の範囲であるMoをさらに含む、請求項5に記載のセパレータ。
【請求項7】
前記Crの質量パーセントは、13.0%〜25.0%の範囲である、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項8】
前記Niの質量パーセントは、2.0%〜8.0%の範囲である、請求項6に記載のセパレータ。
【請求項9】
前記ステンレス鋼は、
質量パーセントが0.50%〜5.00%の範囲であるCuをさらに含む、請求項5から請求項8のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項10】
前記ステンレス鋼は、
質量パーセントが0.05%〜0.30%の範囲であるNをさらに含む、請求項5から請求項9のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項11】
前記ステンレス鋼は、
質量パーセントが1.00%以下であるNbをさらに含む、請求項5から請求項10のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項12】
前記ステンレス鋼は、
質量パーセントが0.08%以下であるCと、
質量パーセントが2.00%以下であるSiと、
質量パーセントが2.00%以下であるMnと、
質量パーセントが0.045%以下であるPと、
質量パーセントが0.030%以下であるSとをさらに含む、請求項5から請求項11のいずれか1項に記載のセパレータ。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のセパレータを備える固体高分子型燃料電池。
【請求項14】
固体高分子型燃料電池に用いるセパレータの製造方法であって、
前記セパレータは、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のセパレータからなり、
前記製造方法は、物理蒸着法を用いて、前記非晶質炭素膜を前記金属板の前記一主面に少なくとも形成する工程を備える製造方法。
【請求項15】
前記物理蒸着法における基板温度は、300℃以下である、請求項14に記載の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、固体高分子型燃料電池に用いるセパレータ、それを用いた固体高分子型燃料電池およびそのセパレータの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水素と酸素とを電気化学的に反応させることにより、電気を取り出す燃料電池は、二酸化炭素(CO)の排出を大きく低減することが可能な技術であると共に、従来の内燃機関に比べて効率が高く、静粛性に優れ、さらに、大気汚染の原因となるNO、SOおよびPM等の排出量が少ないという特徴を有している。
【0003】
このため、燃料電池は、クリーンなエネルギー変換装置として国際的にも研究開発が精力的に進められており、これまでに、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体酸化物型燃料電池等が開発されている。
【0004】
このような状況の下、近年、自動車用および家庭用等の小型の発電に適した燃料電池として、固体高分子型燃料電池が注目されている。この固体高分子型燃料電池が注目されるようになったのは、性能が一段と向上した固体高分子電解質膜を用いることによって電池の出力密度が飛躍的に向上し、高効率という従来からの燃料電池の特性に加え、小型化および低温作動が可能になったからである。
【0005】
固体高分子型燃料電池は、数十〜数百個の単位電池を直列に接続して所要電力を得る。そして、単位電池は、固体高分子電解質膜と、アノード側ガス拡散電極と、カソード側ガス拡散電極と、アノード側セパレータと、カソード側セパレータとを備える。アノード側ガス拡散電極およびカソード側ガス拡散電極は、固体高分子電解質膜の両側に配置される。アノード側セパレータは、アノード側ガス拡散電極に接して配置され、カソード側セパレータは、カソード側ガス拡散電極に接して配置される。
【0006】
このような、アノード側セパレータおよびカソード側セパレータは、隣り合う単位電池間を電気的に接続する集電体としての役目だけでなく、単位電池の外壁構造部材としても機能し、さらに、水素および空気をアノード側ガス拡散電極またはカソード側ガス拡散電極へ供給する通路としても機能する。
【0007】
したがって、アノード側セパレータおよびカソード側セパレータには、機械強度、導電性、および固体高分子型燃料電池の置かれる腐食環境に対する耐食性が要求される。
【0008】
従来の一般的なセパレータは、黒鉛材にフェノール樹脂を含浸させた材料からなる。しかし、その製造工程には、高温で長時間を要する焼結工程および黒鉛材料の表面に水素または酸素を供給するための通路を切削加工する切削工程が必要であるため、その製造工程が煩雑になって生産性が劣り、その結果として、製造コストが高くなるという欠点があった。このようなセパレータを数百枚も重ね合わせると、燃料電池の本体価格が非常に高くなるため、燃料電池を実用化するためには、セパレータのコスト低減が必須である。
【0009】
また、燃料電池のセパレータに要求される特性としては、水素ガスが漏れないこと、すなわち、水素ガス不透過性であること、エネルギーの変換効率を高くする上で導電性が優れていること、さらに、燃料電池に組み込む際に破損しないように機械的強度が高いこと等がある。従来のセパレータは、導電性が優れているが、水素不透過性および特に機械的強度が劣るという欠点があった。
【0010】
そこで、ごく最近になって、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂に種々の導電材を混合した材料を成形加工したセパレータが開発されつつある。しかし、これらの成形品は、従来品と比べ、導電性が1/3以下に低下してしまうという欠点がある。
【0011】
これに対し、金属は、気密性および導電性が高く、薄板にしてプレス加工することも可能であるということで、ステンレス鋼およびアルミニウム等の金属セパレータが検討されている。
【0012】
しかし、ステンレス鋼およびアルミニウムは、燃料電池の作動条件で腐食が起き、腐食した金属イオンが固体高分子電解質膜と反応すると、固体高分子電解質膜がイオン伝導性の低下を引き起こす。
【0013】
また、ステンレス鋼およびアルミニウムの表面に金メッキを施した研究例もあるが、金メッキにピンホールが発生した場合、却って腐食を速める危険性があり、コストも高くなる。
【0014】
その他、導電性を確保しながらステンレス鋼およびアルミニウムにコーティングすることが試されているが、満足のいく結果は得られていない。
【0015】
金属セパレータを燃料電池に用いた場合の問題に対して、固体高分子型燃料電池において、カーボンペーパーおよびカーボンクロス等で構成されたガス拡散電極間に挟持され、アルミニウム、鉄およびステンレス等の金属によって構成されたガスセパレータの表面の少なくともガス拡散電極との接触面に主金属である鉛(Pb)の中にカーボンとしてのグラファイトを混入した付着膜を付着させた固体高分子型燃料電池が提案されている(特許文献1)。
【0016】
また、アルミニウムからなる低電気抵抗性金属板を水素含有量が1原子%以上20原子%以下である非晶質炭素膜によって被覆した燃料電池用のセパレータが提案されている(特許文献2)。
【0017】
さらに、固体高分子電解質膜と、その両側に配置された触媒電極層と、触媒電極層の両側に配置されたガス拡散電極と、ガス拡散電極の両側に配置されたセパレータとからなる単位電池を積層した燃料電池において、セパレータのうちガス拡散電極と接触する部位を導電性硬質炭素膜を含む被覆層で少なくとも被覆した固体高分子型燃料電池のセパレータが提案されている(特許文献3)。
【0018】
さらに、高耐食性ステンレス鋼の表面を、金属窒化物および金属分散ダイヤモンドライクカーボン等の導電性化合物によって被覆したセパレータが提案されている(特許文献4)。
【特許文献1】特開平10−308226号公報
【特許文献2】特開2000−67881号公報
【特許文献3】国際公開第WO01/006585号パンフレット
【特許文献4】特開2003−123781号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、特許文献1に開示されたセパレータでは、付着膜または被覆層の電気抵抗が大きいため、十分な発電特性を得ることが困難である。また、特許文献2および特許文献3に開示されたセパレータでは、被覆層の緻密性が不十分であるため、固体高分子型燃料電池の置かれる酸化性酸の腐食環境では、強固な不働態被膜が形成され、セパレータの接触抵抗の低減が不十分である。さらに、特許文献4に開示されたセパレータでは、ダイヤモンドライクカーボンが絶縁性を有し、高硬度であるため、微小な割れ等が発生し易く、高耐食性ステンレス鋼を使用し、ダイヤモンドライクカーボンに金属を分散させる必要がある。
【0020】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、優れた導電性と耐食性とを兼ね備えた固体高分子型燃料電池用のセパレータを提供することである。
【0021】
また、この発明の別の目的は、優れた導電性と耐食性とを兼ね備えた固体高分子型燃料電池用のセパレータを備えた固体高分子型燃料電池を提供することである。
【0022】
さらに、この発明の別の目的は、優れた導電性と耐食性とを兼ね備えた固体高分子型燃料電池用のセパレータの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この発明によれば、セパレータは、固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータであって、金属板と、非晶質炭素膜とを備える。金属板は、硫酸に対して耐腐食性を有する。非晶質炭素膜は、金属板のうち固体高分子型燃料電池のガス拡散電極側の一主面に少なくとも形成され、導電性を有する。そして、非晶質炭素膜は、ラマン散乱スペクトルのGバンドの半値幅として50〜200cm−1の範囲の半値幅を有する。
【0024】
また、この発明によれば、セパレータは、固体高分子型燃料電池に用いられるセパレータであって、金属板と、被膜と、非晶質炭素膜とを備える。金属板は、硫酸に対して耐腐食性を有する。被膜は、金属板のうち固体高分子型燃料電池のガス拡散電極側の一主面に少なくとも形成される。非晶質炭素膜は、被膜に接して形成され、導電性を有する。そして、被膜は、非晶質炭素膜よりも低い導電率を有する。
【0025】
好ましくは、被膜は、金属板の一主面に形成された酸化被膜である。
【0026】
好ましくは、金属板は、ステンレス鋼、チタン、チタン合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金のいずれかからなる。
【0027】
好ましくは、ステンレス鋼は、質量パーセントが10.5%〜40.0%の範囲であるNiと、質量パーセントが20.0%〜30.0%の範囲であるCrとを含む。
【0028】
好ましくは、ステンレス鋼は、質量パーセントが1.00%〜8.00%の範囲であるMoをさらに含む。
【0029】
好ましくは、Crの質量パーセントは、13.0%〜25.0%の範囲である。
【0030】
好ましくは、Niの質量パーセントは、2.0%〜8.0%の範囲である。
【0031】
好ましくは、ステンレス鋼は、質量パーセントが0.50%〜5.00%の範囲であるCuをさらに含む。
【0032】
好ましくは、ステンレス鋼は、質量パーセントが0.05%〜0.30%の範囲であるNをさらに含む。
【0033】
好ましくは、ステンレス鋼は、質量パーセントが1.00%以下であるNbをさらに含む。
【0034】
好ましくは、ステンレス鋼は、質量パーセントが0.08%以下であるCと、質量パーセントが2.00%以下であるSiと、質量パーセントが2.00%以下であるMnと、質量パーセントが0.045%以下であるPと、質量パーセントが0.030%以下であるSとをさらに含む。
【0035】
また、この発明によれば、固体高分子型燃料電池は、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のセパレータを備える。
【0036】
さらに、この発明によれば、製造方法は、固体高分子型燃料電池に用いるセパレータの製造方法である。セパレータは、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のセパレータからなる。そして、製造方法は、物理蒸着法を用いて、非晶質炭素膜を金属板の一主面に少なくとも形成する工程を備える。
【0037】
好ましくは、物理蒸着法における基板温度は、300℃以下である。
【発明の効果】
【0038】
この発明においては、セパレータは、硫酸に対して耐腐食性を有する金属板の一主面に、ラマン散乱スペクトルのGバンドの半値幅が50〜200cm−1の範囲である非晶質炭素膜を形成した構造からなる。そして、Gバンドの半値幅が50〜200cm−1の範囲である非晶質炭素膜は、適当な硬さおよび低い電気抵抗を有する。
【0039】
したがって、この発明によれば、セパレータの導電性および耐食性を向上できる。
【0040】
また、この発明においては、固体高分子型燃料電池は、導電性および耐食性に優れたセパレータを備える。
【0041】
したがって、この発明によれば、安定して高い発電効率で発電できる。
【0042】
さらに、この発明によれば、物理蒸着法を用いて、硫酸に対して耐腐食性を有する金属板の一主面に、ラマン散乱スペクトルのGバンドの半値幅が50〜200cm−1の範囲である非晶質炭素膜を形成する。
【0043】
したがって、この発明によれば、導電性および耐食性に優れたセパレータを容易に作製できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0045】
図1は、この発明の実施の形態によるセパレータを備えた固体高分子型燃料電池の断面概略図である。図1を参照して、この発明の実施の形態によるセパレータを備えた固体高分子型燃料電池10は、固体高分子電解質膜1と、ガス拡散電極2,3と、セパレータ4,5と、ガスシール6,7とを備える。
【0046】
ガス拡散電極2は、その一主面に触媒21を担持し、触媒21が固体高分子電解質膜1の一方面に接するように固体高分子電解質膜1の一方側に配置される。また、ガス拡散電極3は、その一主面に触媒31を担持し、触媒31が固体高分子電解質膜1の他方面に接するように固体高分子電解質膜1の他方側に配置される。
【0047】
セパレータ4は、ガス拡散電極2の一主面(触媒21が担持された一主面と反対側の一主面)に接するように配置される。セパレータ5は、ガス拡散電極3の一主面(触媒31が担持された一主面と反対側の一主面)に接するように配置される。
【0048】
ガスシール6は、固体高分子電解質膜1の外周部とセパレータ4の外周部との間に設けられ、気密性を保持してセパレータ4の外周部を固体高分子電解質膜1の外周部に連結する。ガスシール7は、固体高分子電解質膜1の外周部とセパレータ5の外周部との間に設けられ、気密性を保持してセパレータ5の外周部を固体高分子電解質膜1の外周部に連結する。
【0049】
固体高分子電解質膜1は、たとえば、フッ素系のイオン交換膜からなる。ガス拡散電極2,3の各々は、ガス透過性および導電性を有する多孔体からなる。触媒21,31の各々は、白金(Pt)または白金合金(Pt−Ru)からなる。セパレータ4,5の各々は、後に詳述するように、硫酸に対して耐腐食性を有するステンレス鋼と、ステンレス鋼の表面に形成された非晶質炭素膜とからなる。ガスシール6,7の各々は、フッ素樹脂、バイトンゴム、およびシリコンゴムのいずれかからなる。そして、フッ素樹脂は、より具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等である。
【0050】
固体高分子電解質膜1は、触媒21によって分離された電子eと水素イオンHとのうち、水素イオンHのみを触媒31側へ通過させる。ガス拡散電極2は、セパレータ4から供給された水素ガスを触媒21へ拡散させる。触媒21は、ガス拡散電極2に供給された水素ガスを電子eと水素イオンHとに分離する。
【0051】
ガス拡散電極3は、セパレータ5から供給された空気(または酸素)を触媒31へ拡散させる。触媒31は、固体高分子電解質膜1から供給された水素イオンHと、ガス拡散電極3から供給された電子eと空気(または酸素)とを反応させ、水を生成する。
【0052】
セパレータ4は、ガス拡散電極2に接する一主面に凹凸構造からなるガス供給溝4Aを有する。そして、ガス供給溝4Aは、水素ガスの供給口および排出口に繋がっている。したがって、セパレータ4は、ガス供給溝4Aを介して水素ガスをガス拡散電極2に供給する。
【0053】
セパレータ5は、ガス拡散電極3に接する一主面に凹凸構造からなるガス供給溝5Aを有する。そして、ガス供給溝5Aは、空気(または酸素)の供給口および排出口に繋がっている。したがって、セパレータ5は、ガス供給溝5Aを介して空気(または酸素)をガス拡散電極3に供給する。
【0054】
図2は、図1に示すセパレータ4の概略断面図である。図2を参照して、セパレータ4は、ステンレス鋼41と、非晶質炭素膜42とを含む。ステンレス鋼41は、ガス拡散電極2に接する一主面に凹凸面411を有する。凹凸面411は、その幅Wおよび深さDが0.2mm〜1mmの範囲である。
【0055】
非晶質炭素膜42は、凹凸面411を覆うように形成される。その結果、ガス供給溝4Aがセパレータ4の表面のうち、ガス拡散電極2に接する一主面に形成される。非晶質炭素膜42は、ECR(Electron Cyclotron Resonance)スパッタリング法により形成され、0.1〜1μmの範囲の膜厚を有する。
【0056】
そして、非晶質炭素膜42は、約1×10−3Ωcmの比抵抗を有する。この比抵抗値は、絶縁物上に形成された非晶質炭素膜42の比抵抗値であり、4探針法により測定された。したがって、非晶質炭素膜42は、導電性を有する非晶質炭素膜である。
【0057】
なお、図1に示すセパレータ5も、図2に示すセパレータ4と同じ構成からなる。
【0058】
図3は、図2に示す非晶質炭素膜42のラマン散乱スペクトルである。図3において、縦軸は、ラマン強度を表し、横軸は、ラマンシフトを表す。
【0059】
ラマン散乱スペクトルは、日本分光株式会社製のNRS−2100型レーザーラマン分光光度計を用いて測定された。このNRS−2100型レーザーラマン分光光度計は、励起光として波長514.5nmのアルゴンイオンレーザーを用いている。そして、ラマン散乱スペクトルの測定は、波長514.5nmのアルゴンイオンレーザーを非晶質炭素膜42に照射し、後方散乱されたラマン散乱光をトリプルモノクロメーター光学系により分光し、その分光したラマン散乱光をCCD(Charge Coupled Device)検出器により検出することによって行なわれた。
【0060】
図3を参照して、ラマン散乱スペクトルk1は、DバンドDBと、GバンドGBとからなる。DバンドDBは、約1300cm−1に中心を有し、GバンドGBは、約1500cm−1に中心を有する。DバンドDBおよびGバンドGBは、600〜2200cmの範囲で得られるラマン散乱スペクトルk1のバックグラウンドを除去し、ガウス波形を用いて約1300cm−1付近に中心を有する成分と、約1500cm−1付近に中心を有する成分とに分離することにより得られる。
【0061】
そして、この発明においては、DバンドDBの強度I(D)とGバンドGBの強度I(G)との強度比(=I(D)/I(G))が演算された。また、GバンドGBの半値幅FWHM(Full Width at Half−Maximum)が測定された。なお、強度I(D),I(G)は、それぞれ、DバンドDBおよびGバンドGBのスペクトルの面積を演算することにより得られた。
【0062】
非晶質炭素膜42における強度比(=I(D)/I(G))および半値幅FWHMの概念について説明する。アモルファス炭素薄膜は、sp2混成炭素とsp3混成炭素とが混在している。励起光として可視光線を用いたラマン散乱スペクトルの場合、sp2混成炭素に関する情報が主となる。これは、可視光を励起光とした場合、sp2混成炭素の感度がsp3混成炭素の感度に比べ、50〜230倍程度敏感であるからである。
【0063】
アモルファス炭素薄膜のラマン散乱スペクトルは、上述したように、DバンドDBとGバンドGBとを有する。DバンドDBおよびGバンドGBは、それぞれ、sp2サイトのペアーの芳香環の呼吸振動と結合伸縮振動に帰属される散乱バンドである。
【0064】
DバンドDBとGバンドGBとの強度比(=I(D)/I(G))は、sp2混成炭素ドメイン(グラファイトドメイン)の構造に敏感であり、一般に、グラファイト構造が未発達なアモルファス炭素薄膜中のグラファイトドメインのサイズおよび数の増加と共に、増加する。
【0065】
また、GバンドGBの半値幅FWHMも、アモルファス炭素薄膜中のグラファイトドメインのサイズに敏感であり、グラファイト構造の発達とともに、GバンドGBの半値幅FWHMは、減少する。
【0066】
したがって、この発明においては、優れた導電性と耐食性とを兼ね備えたセパレータ4を形成するための非晶質炭素膜42を評価するために、強度比(=I(D)/I(G))および半値幅FWHMを用いた。
【0067】
その結果、優れた導電性と耐食性とを兼ね備えたセパレータ4を形成するためには、強度比(=I(D)/I(G))は、2.0〜5.0の範囲が好適であり、半値幅FWHMは、50〜200cm−1の範囲が好適であることが解った。
【0068】
強度比(=I(D)/I(G))が2.0未満では、アモルファス炭素薄膜のsp3混成炭素が多くなり、非晶質炭素膜42の電気抵抗が大きくなる。一方、強度比(=I(D)/I(G))が5.0よりも大きくなると、アモルファス炭素膜のsp2混成炭素が多くなり、非晶質炭素膜42の硬さが低下する。その結果、非晶質炭素膜42に傷等がつき易くなり、ステンレス鋼41の被覆性が低下する。
【0069】
また、GバンドGBの半値幅FWHMが50cm−1よりも小さくなると、アモルファス炭素膜のsp2混成炭素が多くなり、非晶質炭素膜42の硬さが低下する。その結果、非晶質炭素膜42に傷等がつき易くなり、ステンレス鋼41の被覆性が低下する。一方、GバンドGBの半値幅FWHMが200cm−1よりも大きくなると、アモルファス炭素薄膜のsp3混成炭素が多くなり、非晶質炭素膜42の電気抵抗が大きくなる。
【0070】
したがって、強度比(=I(D)/I(G))は、2.0〜5.0の範囲が好適であり、半値幅FWHMは、50〜200cm−1の範囲が好適である。
【0071】
図4は、図1,2に示すセパレータ4,5を作製する工程図である。図4を参照して、ステンレス鋼板を所定の大きさに加工し、ステンレス鋼20を作製する(図4の(a)参照)。そして、ステンレス鋼20の一主面20Aを切削加工あるいはエッチング加工あるいはプレス加工し、一主面20Aに凹凸面411を形成し、ステンレス鋼41を作製する(図4の(b)参照)。
【0072】
その後、ECRスパッタリング法により凹凸面411を覆うように非晶質炭素膜42をステンレス鋼41の一主面に形成する。ECRスパッタリング法による非晶質炭素膜42の形成は、ECRスパッタリング装置を用いて行なう。このECRスパッタリング装置は、ステンレス製のプラズマ室と、成膜室とからなる。プラズマ室は、2.45GHzの電磁波を上部からコイルに印加し、875ガウスの磁場を中央部付近に発生させる。
【0073】
そうすると、プラズマ室で発生したプラズマは、磁場勾配により成膜室内に運ばれ、基板表面に照射される。また、プラズマ室で発生したプラズマは、プラズマ室に設置された円筒状のターゲットにスパッタイオンとして照射され、ターゲットに400Wの電力を印加する。
【0074】
円筒状のターゲットは、グラファイト(C)からなり、6cmの内径および6cmの高さを有する。したがって、ターゲットの表面積は、(6×3.14)×6=113.04cmであり、ターゲットに印加されるパワー密度は、400W/113.04cm≒3.5W/cmである。
【0075】
非晶質炭素膜42を形成する場合、ECRスパッタリング装置のプラズマ室および成膜室を拡散ポンプにより1.0×10−5Paまで真空排気し、その後、プラズマ室内に高純度アルゴン(Ar)を供給してプラズマ室内の圧力を9×10−4Paに設定する。また、基板であるステンレス鋼41に20Vのバイアス電圧を印加する。この場合、基板温度は雰囲気温度である。
【0076】
そして、上述したパワー密度をターゲットに印加してスパッタリングする。成膜時間は、2時間である。そうすると、スパッタリングされたターゲット材料(C)は、プラズマ室から成膜室へ移動し、基板であるステンレス鋼41の凹凸面411上に堆積される。
【0077】
これにより、ステンレス鋼41の凹凸面411上に非晶質炭素膜42が形成され(図4の(c)参照)、セパレータ4,5が作製される。
【0078】
なお、2時間の成膜後における基板温度は、約120℃である。
【0079】
次に、図2に示すステンレス鋼41について詳細に説明する。この発明においては、JIS(Japan Industry Standard)規格で決められたステンレス鋼のうち、硫酸に対して耐腐食性を有するステンレス鋼がステンレス鋼41として用いられる。
【0080】
表1は、ステンレス鋼および接触抵抗値を示す。
【0081】
【表1】


【0082】
表1において、試料No.1〜No.12は、それぞれ、SUS304、SUS310S,SUS316L,SUS316J1L,SUS317L,SUS321,SUS329J1,SUS329J4L,SUS430,SUS444,Carpenter20,INCOLOY25−6Moを示す。また、表1において、“*”が付された試料は、比較例である。さらに、表1において、“−”は、未添加を示す。
【0083】
表1に示す試料No.1〜No.12のステンレス鋼のサイズは、直径が20mmであり、厚さが2mmである。そして、試料No.1〜No.12の各ステンレス鋼の一主面に、上述したECRスパッタリング法により非晶質炭素膜42を堆積した。
【0084】
そして、表1に示す試料No.1〜No.12のステンレス鋼および非晶質炭素膜42を形成した試料No.1〜No.12のステンレス鋼について、接触抵抗値を測定した。なお、非晶質炭素膜42を形成した試料No.1〜No.12のステンレス鋼については、硫酸浸漬後の接触抵抗値も測定した。
【0085】
接触抵抗値の測定は、各試料の両面から同じ大きさのカーボンペーパーを挟み、10kg/cmの圧力を印加し、1A/cmの電流を流し、4端子法により、各試料とカーボンペーパーとの間の接触抵抗値を測定することにより行なわれた。
【0086】
また、硫酸への浸漬実験は、各試料を80℃、0.5mol/Lの硫酸に1時間浸漬した後に、上記の方法により接触抵抗値を測定することにより行なわれた。
【0087】
試料No.1,2,9の各ステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)をそれぞれ表1に示す質量パーセントだけ含み、試料No.3,5,7の各ステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびモリブデン(Mo)をそれぞれ表1に示す質量パーセントだけ含み、試料No.4のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)および銅(Cu)をそれぞれ表1に示す質量パーセントだけ含む。
【0088】
また、試料No.6のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびチタン(Ti)をそれぞれ表1に示す質量パーセントだけ含み、試料No.8のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)および窒素(N)をそれぞれ表1に示す質量パーセントだけ含む。
【0089】
さらに、試料No.10のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、チタン(Ti)および窒素(N)をそれぞれ表1に示す質量パーセントだけ含み、試料No.11のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、ニオブ(Nb)およびタンタル(Ta)をそれぞれ表1に示す質量パーセントだけ含み、試料No.12のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)および窒素(N)をそれぞれ表1に示す質量パーセントだけ含む。
【0090】
なお、試料No.11については、ニオブ(Nb)とタンタル(Ta)との合計の質量パーセントを示す。
【0091】
試料No.1〜No.12の各試料は、非晶質炭素膜42によって被覆しない場合、31.7〜134.8mΩcmの範囲の接触抵抗値を有する。そして、非晶質炭素膜42によって被覆した試料No.1〜No.12の各試料は、0.21〜0.34mΩcmの範囲の接触抵抗値を有する。
【0092】
このように、試料No.1〜No.12の各試料は、非晶質炭素膜42によって被覆することにより、その接触抵抗値が約2桁低下する。上述したように、非晶質炭素膜42は、1×10−3Ωcm程度の比抵抗値を有するため、非晶質炭素膜42によって被覆することによって試料No.1〜No.12の各試料は、その接触抵抗値が大きく低下する。
【0093】
また、非晶質炭素膜42によって被覆された試料No.1,No.6,No.9,No.10の各試料は、硫酸へ浸漬すると、その接触抵抗値が980〜1340mΩcmの範囲へ大きくなる。すなわち、非晶質炭素膜42によって被覆された試料No.1,No.6,No.9,No.10の各試料は、硫酸へ浸漬すると、その接触抵抗値が約3桁〜4桁大きくなる。
【0094】
一方、非晶質炭素膜42によって被覆された試料No.2〜No.5,No.7,No.8,No.11,No.12の各試料は、硫酸へ浸漬しても、その接触抵抗値が殆ど変化しない。
【0095】
表2は、試料No.1〜No.12の各ステンレス鋼自体の硫酸浸漬試験の結果を示す。
【0096】
【表2】


【0097】
ステンレス鋼自体の硫酸浸漬試験は、ステンレス鋼を80℃、0.5mol/Lの硫酸に500時間浸漬し、質量減耗率を求めることにより行なわれた。
【0098】
試料No.1,No.6,No.9,No.10の各ステンレス鋼は、硫酸へ浸漬した場合、質量減耗率が4.73%〜39.0%の範囲である。一方、試料No.2〜No.5,No.7,No.8,No.11,No.12の各ステンレス鋼は、硫酸へ浸漬した場合、質量減耗率が1.37%以下であり、特に、試料No.2,No.5,No.7,No.8,No.11,No.12の各ステンレス鋼は、硫酸への浸漬によって質量が変化しない。
【0099】
したがって、表1および表2に示す結果から、硫酸への浸漬により接触抵抗値が約3桁〜4桁大きくなる試料No.1,No.6,No.9,No.10のステンレス鋼は、それ自体が硫酸に対して耐腐食性がないステンレス鋼であり、硫酸へ浸漬しても接触抵抗値が殆ど変化しない試料No.2〜No.5,No.7,No.8,No.11,No.12のステンレス鋼は、それ自体が硫酸に対して耐腐食性を有するステンレス鋼である。
【0100】
このように、この発明においては、硫酸に対して耐腐食性を有するステンレス鋼(試料No.2〜No.5,No.7,No.8,No.11,No.12のステンレス鋼)を用いてセパレータ4,5を作製することを特徴とする。
【0101】
この発明においては、硫酸に対して耐腐食性を有するステンレス鋼は、表1示す質量パーセントを有するカーボン(C)等を含むステンレス鋼に限らず、表3に示す試料No.13〜No.25のステンレス鋼であってもよい。
【0102】
【表3】


【0103】
試料No.13のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含み、試料No.14のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびモリブデン(Mo)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含み、試料No.15のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)および銅(Cu)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含む。
【0104】
また、試料No.16のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)および銅(Cu)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含み、試料No.17のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)および窒素(N)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含み、試料No.18のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)および窒素(N)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含む。
【0105】
さらに、試料No.19のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)および窒素(N)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含み、試料No.20のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)およびニオブ(Nb)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含み、試料No.21のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)およびニオブ(Nb)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含む。
【0106】
さらに、試料No.22のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)およびニオブ(Nb)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含み、試料No.23のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、窒素(N)およびニオブ(Nb)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含み、試料No.24のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、窒素(N)およびニオブ(Nb)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含み、試料No.25のステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)、イオウ(S)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、窒素(N)およびニオブ(Nb)をそれぞれ表3に示す質量パーセントの範囲だけ含む。
【0107】
試料No.13〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが0.08%以下であるカーボン(C)を含むが、ステンレス鋼中のカーボンの質量パーセントが0.08%以下に設定されるのは、次の理由による。
【0108】
カーボン(C)は、オーステナイト生成元素であり、かつ、強度の向上に効果があるが、含有量が0.08%(質量パーセント)よりも多くなると、クロム炭化物の形成に伴いステンレス鋼にクロム(Cr)欠乏領域が発生し、ステンレス鋼の耐食性を劣化させる。そこで、ステンレス鋼中のカーボン(C)の質量パーセントを0.08%以下とした。好ましくは、ステンレス鋼中のカーボン(C)の質量パーセントは、0.03%以下である。
【0109】
また、試料No.13〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが2.00%以下であるシリコン(Si)を含むが、ステンレス鋼中のシリコンの質量パーセントが2.00%以下に設定されるのは、次の理由による。
【0110】
シリコン(Si)は、溶鋼の脱酸、溶鋼の鋳造性確保およびステンレス鋼の耐食性に有効な元素である。しかし、含有量が2.00%(質量パーセント)よりも多くなると、靭性を悪化させるので、ステンレス鋼中のシリコン(Si)の質量パーセントを2.00%以下とした。好ましくは、ステンレス鋼中のシリコン(Si)の質量パーセントは、1.50%以下である。
【0111】
さらに、試料No.13〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが2.00%以下であるマンガン(Mn)を含むが、ステンレス鋼中のマンガンの質量パーセントが2.00%以下に設定されるのは、次の理由による。
【0112】
マンガン(Mn)は、脱酸、脱硫を目的として添加され、またオーステナイト相安定化元素として作用する。このような作用効果を有効に発揮させるためには、0.10%以上のマンガン(Mn)を添加させることが好ましいが、質量パーセントが2.00%を超えてマンガン(Mn)を添加すると、ステンレス鋼の耐食性が劣化する。そこで、ステンレス鋼中のマンガン(Mn)の質量パーセントを2.00%以下とした。好ましくは、ステンレス鋼中のマンガン(Mn)の質量パーセントは、1.50%以下である。
【0113】
さらに、試料No.13〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが0.045%以下であるリン(P)を含むが、ステンレス鋼中のリンの質量パーセントが0.045%以下に設定されるのは、次の理由による。
【0114】
リン(P)は、ステンレス鋼中へ不可避的に混入する不純物元素であるが、質量パーセントが0.045%を超えると、靭性が劣化する。そこで、ステンレス鋼中のリン(P)の質量パーセントを0.045%以下とした。
【0115】
さらに、試料No.13〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが0.030%以下であるイオウ(S)を含むが、ステンレス鋼中のイオウの質量パーセントが0.030%以下に設定されるのは、次の理由による。
【0116】
イオウ(S)も、ステンレス鋼中へ不可避的に混入する不純物元素であるが、質量パーセントが0.030%を超えると、ステンレス鋼の熱間加工性が劣化する。そこで、ステンレス鋼中のイオウ(S)の質量パーセントを0.030%以下とした。
【0117】
さらに、試料No.13〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが10.5%〜40.0%の範囲であるニッケル(Ni)を含むが、ステンレス鋼中のニッケルの質量パーセントが10.5%〜40.0%の範囲に設定されるのは、次の理由による。
【0118】
ニッケル(Ni)は、ステンレス鋼の耐食性を向上させるとともに、組織をオーステナイト系に制御するために添加される。ニッケル(Ni)の質量パーセントが10.5%未満では、硫酸に対する耐食性が不十分である。一方、ニッケル(Ni)の質量パーセントが40.0%を超えると、ステンレス鋼の耐食性を向上させる効果が飽和し、材料の高コスト化を招来する。そこで、ステンレス鋼中のニッケル(Ni)の質量パーセントを10.5%〜40.0%の範囲とした。好ましくは、ステンレス鋼中のニッケル(Ni)の質量パーセントは、12.0%〜35.0%の範囲である。
【0119】
さらに、試料No.13〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが20.0%〜30.0%の範囲であるクロム(Cr)を含むが、ステンレス鋼中のクロムの質量パーセントが20.0%〜30.0%の範囲に設定されるのは、次の理由による。
【0120】
クロム(Cr)は、ステンレス鋼の耐食性を支配する重要な成分であり、モリブデン(Mo)を含まないオーステナイト系ステンレス鋼においては、クロム(Cr)の質量パーセントが20.0%未満では硫酸に対するオーステナイト系ステンレス鋼の耐食性が不十分である。一方、クロム(Cr)の質量パーセントが30.0%を超えると、ステンレス鋼の耐食性を向上させる効果が飽和し、材料の高コスト化を招来する。そこで、ステンレス鋼中のクロム(Cr)の質量パーセントを20.0%〜30.0%の範囲とした。好ましくは、ステンレス鋼中のクロム(Cr)の質量パーセントは、28.0%以下である。
【0121】
さらに、試料No.14,No.16,No.18,No.19,No.21,No.22,No.24,No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが1.00%〜8.00%の範囲であるモリブデン(Mo)を含むが、ステンレス鋼中のモリブデンの質量パーセントが1.00%〜8.00%の範囲に設定されるのは、次の理由による。
【0122】
モリブデン(Mo)は、ステンレス鋼への少量の添加によりステンレス鋼の耐食性の向上に極めて有効な元素であるが、含有量が1.00%(質量パーセント)未満では、所望の耐食性を得ることができない。モリブデン(Mo)の増加に伴い、ステンレス鋼の耐食性は、向上するが、質量パーセントが8.00%を超えると、ステンレス鋼の耐食性を向上させる効果が飽和し、靭性が劣化すると共に、不経済である。そこで、ステンレス鋼中のモリブデン(Mo)の質量パーセントを1.00%〜8.00%の範囲とした。
【0123】
さらに、試料No.15,No.16,No.19,No.22,No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが0.50%〜5.00%の範囲の銅(Cu)を含むが、ステンレス鋼中の銅の質量パーセントが0.50%〜5.00%の範囲に設定されるのは、次の理由による。
【0124】
銅(Cu)は、硫酸に対する耐食性を改善させる作用を有する元素であり、必要に応じてステンレス鋼へ添加されるが、含有量が0.50%(質量パーセント)未満では、所望の耐食性を得ることができない。一方、銅(Cu)の質量パーセントが5.00%を超えると、ステンレス鋼の熱間加工性が低下する。そこで、ステンレス鋼中の銅(Cu)の質量パーセントを0.50%〜5.00%の範囲とした。
【0125】
さらに、試料No.17〜No.19,No.23〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが0.05%〜0.30%の範囲の窒素(N)を含むが、ステンレス鋼中の窒素の質量パーセントが0.05%〜0.30%の範囲に設定されるのは、次の理由による。
【0126】
窒素(N)は、オーステナイト組織の安定化およびステンレス鋼の耐食性に有効であり、その効果を発揮するためには、少なくとも0.05%の質量パーセントが必要である。しかし、窒素(N)の質量パーセントが0.30%を超えると、ステンレス鋼の熱間強度が著しく高くなり、加工性が劣化する。そこで、ステンレス鋼中の窒素(N)の質量パーセントを0.05%〜0.30%の範囲とした。
【0127】
さらに、試料No.20〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが1.00%以下であるニオブ(Nb)を含むが、ステンレス鋼中のニオブの質量パーセントが1.00%以下に設定されるのは、次の理由による。
【0128】
ニオブ(Nb)は、ステンレス鋼中でカーボン(C)を固定し、ステンレス鋼の耐食性を向上させるために、環境に応じて1.00%(質量パーセント)以下でステンレス鋼へ添加される。そして、ニオブ(Nb)の質量パーセントが1.00%を超えると、ステンレス鋼の熱間加工性が劣化する。そこで、ステンレス鋼中のニオブ(Nb)の質量パーセントを1.00%以下とした。
【0129】
この発明においては、表3に示す試料No.14,No.16,No.18,No.19,No.21,No.22,No.24,No.25の各ステンレス鋼において、クロム(Cr)の質量パーセントを13.0〜25.0%の範囲に設定したステンレス鋼を硫酸に対して耐腐食性を有するステンレス鋼として用いてもよい。
【0130】
試料No.14,No.16,No.18,No.19,No.21,No.22,No.24,No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが1.00%〜8.00%の範囲であるモリブデン(Mo)を含むステンレス鋼であり、モリブデン(Mo)を含むステンレス鋼において質量パーセントで13.0%以上のクロム(Cr)を含有させると、固体高分子型燃料電池の作動環境において良好な耐食性を確保できる。一方、モリブデン(Mo)を含むステンレス鋼においては、クロム(Cr)の質量パーセントが25.0%を超えると、ステンレス鋼の熱間加工性が著しく劣化する。そこで、モリブデン(Mo)を含むステンレス鋼においては、クロム(Cr)の質量パーセントを13.0%〜25.0%の範囲とした。好ましくは、モリブデン(Mo)を含むステンレス鋼においては、クロム(Cr)の質量パーセントは、15.0%〜25.0%の範囲である。
【0131】
また、この発明においては、表3に示す試料No.14,No.16,No.18,No.19,No.21,No.22,No.24,No.25の各ステンレス鋼において、ニッケル(Ni)の質量パーセントを2.0〜8.0%の範囲に設定した二相ステンレス鋼を硫酸に対して耐腐食性を有するステンレス鋼として用いてもよい。
【0132】
ニッケル(Ni)は、二相ステンレス鋼の耐食性および二相組織形成の観点から不可欠な元素であるが、ニッケル(Ni)の含有量が2.0%(質量パーセント)未満では、その効果が不十分である。一方、ニッケル(Ni)の質量パーセントが8.00%を超えると、二相ステンレス鋼の耐食性および二相組織化を改善する効果が飽和し、また、不経済である。そこで、二相ステンレス鋼においては、ニッケル(Ni)の質量パーセントを2.0%〜8.0%の範囲とした。
【0133】
このように、この発明においては、上述した各種のステンレス鋼が硫酸に対して耐腐食性を有するステンレス鋼として用いられる。そして、上述した各種のステンレス鋼の一主面に凹凸面411を形成し、その形成した凹凸面411を覆うように非晶質炭素膜42を形成すると、接触抵抗値が1mΩcm以下と小さく、硫酸への浸漬に対しても、接触抵抗値が殆ど変化しないセパレータ4,5を作製できる。
【0134】
なお、表3に示す試料No.13〜No.25の各ステンレス鋼は、質量パーセントが0.08%以下であるカーボン(C)と、質量パーセントが2.00%以下であるシリコン(Si)と、質量パーセントが2.00%以下であるマンガン(Mn)と、質量パーセントが0.045%以下であるリン(P)と、質量パーセントが0.030%以下であるイオウ(S)とを含む。
【0135】
したがって、試料No.13〜No.25の各ステンレス鋼は、カーボン(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)、リン(P)およびイオウ(S)の質量パーセントが0%であるステンレス鋼も含む。
【0136】
そうすると、試料No.13のステンレス鋼は、質量パーセントが10.5%〜40.0%であるニッケル(Ni)、および質量パーセントが20.0〜30.0%であるクロム(Cr)のみを含むステンレス鋼であってもよい。
【0137】
上述したように、ニッケル(Ni)およびクロム(Cr)は、耐食性を向上させるために重要な元素であるので、質量パーセントが10.5%〜40.0%であるニッケル(Ni)と質量パーセントが20.0%〜30.0%であるクロム(Cr)とを含んでいれば、ステンレス鋼は、硫酸に対して耐腐食性を有するからである。
【0138】
なお、この発明においては、ステンレス鋼に含まれるニッケル(Ni)およびクロム(Cr)の質量パーセントを固体高分子型燃料電池10の使用環境に応じてそれぞれ10.5%〜40.0%の範囲および20.0%〜30.0%の範囲から変えてもよい。
【0139】
再び、図1を参照して、固体高分子型燃料電池が発電する動作について説明する。セパレータ4のガス供給溝4Aを介して水素がガス拡散電極2へ供給されると、ガス拡散電極2は、水素ガスを触媒21へ拡散し、触媒21は、水素を水素イオンHと電子eとに分離する。
【0140】
そうすると、固体高分子電解質膜1は、触媒21によって分離された水素イオンHおよび電子eのうち、水素イオンHのみを透過して触媒31へ供給する。一方、電子eは、触媒21からガス拡散電極2を介してセパレータ4へ移動し、セパレータ4から外部の負荷(図示せず)を介してセパレータ5へ流れる。そして、セパレータ5は、電子eをガス拡散電極3へ供給する。
【0141】
また、セパレータ5のガス供給溝5Aを介して空気(または酸素)がガス拡散電極3へ供給される。そして、ガス拡散電極3は、空気(または酸素)を触媒31へ拡散し、電子eを触媒31へ供給する。
【0142】
そうすると、水素イオンH、空気(または酸素)および電子eは、触媒31の助けを借りて反応し、水になる。
【0143】
このようにして、固体高分子型燃料電池10は発電する。そして、固体高分子型燃料電池10のセパレータ4,5は、上述したように、低い接触抵抗値を有し、この低い接触抵抗値は、硫酸に浸漬しても殆ど変化しないので、優れた導電性と耐食性とを兼ね備えている。その結果、固体高分子型燃料電池10は、安定して高い発電効率で発電できる。
【0144】
図5は、図1に示すセパレータ4,5の他の概略断面図である。この発明においては、セパレータ4,5は、図5に示すセパレータ40であってもよい。図5を参照して、セパレータ40は、図2に示すセパレータ4に酸化被膜43を追加したものであり、その他は、セパレータ4と同じである。
【0145】
酸化被膜43は、ステンレス鋼41と非晶質炭素膜42との間に挿入される。その結果、酸化被膜43は、ステンレス鋼41の凹凸面411に接して形成され、非晶質炭素膜42は、酸化被膜43に接して形成される。そして、酸化被膜43および非晶質炭素膜42が凹凸面411に順次形成されたセパレータ40においても、ガス供給溝4Aがセパレータ40の表面のうち、ガス拡散電極2または3に接する一主面に形成される。
【0146】
図6は、固体高分子型燃料電池の発電特性を示す図である。図6の(a)は、セパレータを構成するステンレス鋼41の表面を非晶質炭素膜42によって被覆した場合の発電特性を示し、図6の(b)は、セパレータを構成するステンレス鋼41の表面を非晶質炭素膜42によって被覆しない場合の発電特性を示す。
【0147】
図6の(a)および(b)において、横軸は、電流密度を表し、縦軸は、セル電圧を表す。また、図6の(a)において、曲線k1は、セパレータをカーボンによって作製した場合の発電特性を示し、曲線k2は、SUS304の表面を非晶質炭素膜42によって被覆してセパレータを作製した場合の発電特性を示し、曲線k3は、SUS316Lの表面を非晶質炭素膜42によって被覆してセパレータを作製した場合の発電特性を示し、曲線k4は、SUS329J1の表面を非晶質炭素膜42によって被覆してセパレータを作製した場合の発電特性を示す。
【0148】
更に、図6の(b)において、曲線k5は、SUS304の表面を非晶質炭素膜42によって被覆せずにセパレータを作製した場合の発電特性を示し、曲線k6は、SUS316Lの表面を非晶質炭素膜42によって被覆せずにセパレータを作製した場合の発電特性を示し、曲線k7は、SUS329J1の表面を非晶質炭素膜42によって被覆せずにセパレータを作製した場合の発電特性を示す。
【0149】
図6の(a)を参照して、SUS304を用いてセパレータを作製した場合、発電特性は、セパレータがカーボンからなる場合の発電特性よりも低い(曲線k1,k2参照)。
【0150】
一方、SUS316Lを用いてセパレータを作製した場合、発電特性は、セパレータがカーボンからなる場合の発電特性と同等であり(曲線k1,k3参照)、SUS329J1を用いてセパレータを作製した場合、発電特性は、セパレータがカーボンからなる場合の発電特性よりも改善される(曲線k1,k4参照)。
【0151】
図6の(b)を参照して、SUS304、SUS316LおよびSUS329J1の表面を非晶質炭素膜42によって被覆せずにセパレータを作製した場合、発電特性は、セパレータがカーボンからなる場合の発電特性よりも低下し、SUS304、SUS316LおよびSUS329J1の順で悪くなる(曲線k1,k5〜k7参照)。
【0152】
図6の(a)および図6の(b)を比較すると、SUS304を用いてセパレータを作製する場合、SUS304の表面を非晶質炭素膜42によって被覆しても、発電特性は、改善されない(曲線k2,k5参照)。
【0153】
一方、SUS316LまたはSUS329J1を用いてセパレータを作製する場合、SUS316LまたはSUS329J1の表面を非晶質炭素膜42によって被覆すると、発電特性は、大きく改善される。特に、SUS329J1を用いてセパレータを作製した場合の発電特性の改善が著しい(曲線k3,k4,k6,k7参照)。
【0154】
SUS304,SUS316L,SUS329J1においては、SUS304<SUS316L<SUS329J1の順で耐食性が向上する。そして、SUS304,SUS316L,SUS329J1の表面を非晶質炭素膜42によって被覆しない場合、発電特性は、SUS329J1<SUS316L<SUS304の順で向上する。また、SUS304,SUS316L,SUS329J1の表面を非晶質炭素膜42によって被覆した場合、発電特性は、SUS304<SUS316L<SUS329J1の順で向上する。
【0155】
したがって、ステンレス鋼の耐食性が高くなる程、表面を非晶質炭素膜42によって被覆すれば、発電特性が向上する。
【0156】
図7は、非晶質炭素膜42の有無によるステンレス鋼の接触抵抗の違いを説明するための概念図である。図7を参照して、酸化被膜51がステンレス鋼50の表面に形成される。ステンレス鋼50の接触抵抗を測定する場合、カーボンペーパー60が酸化被膜51に接触される。そして、非晶質炭素膜42が形成されない場合、カーボンペーパー60が酸化被膜51に点接触する(図7の(a)参照)。
【0157】
一方、非晶質炭素膜42が形成される場合、導電性の非晶質炭素膜42が酸化被膜51と面接触になり、カーボンペーパー60は、非晶質炭素膜42に点接触する(図7の(b)参照)。
【0158】
ステンレス鋼50の耐食性が優れている場合、酸化被膜51は、相対的に大きい電気抵抗を有する。そうすると、非晶質炭素膜42が形成されない場合、カーボンペーパー60は、酸化被膜51に点接触するため、接触抵抗が相対的に大きくなる。ステンレス鋼50/酸化被膜51がセパレータとして用いられる場合、酸化被膜51は、ガス拡散電極2,3側に配置され、ガス拡散電極2,3に点接触する。そうすると、酸化被膜51を介してガス拡散電極2,3からステンレス鋼50へ流れる電流の経路が少なくなり、セパレータとガス拡散電極2,3との間の接触抵抗が大きくなる。その結果、ステンレス鋼50/酸化被膜51を用いた固体高分子型燃料電池の発電特性が低下する。
【0159】
一方、非晶質炭素膜42が形成されている場合、カーボンペーパー60は、非晶質炭素膜42と点接触するが、非晶質炭素膜42は、酸化被膜51と面接触するので、酸化被膜51を介して非晶質炭素膜42からステンレス鋼50へ流れる電流の経路が多くなり、接触抵抗が相対的に低くなる。そして、表面を非晶質炭素膜42によって被覆したステンレス鋼50をセパレータとして用いる場合、非晶質炭素膜42は、ガス拡散電極2,3に点接触するが、接触抵抗は低いので、表面を非晶質炭素膜42によって被覆したステンレス鋼50を用いた固体高分子型燃料電池の発電特性は、向上する。
【0160】
したがって、この発明においては、耐食性に優れたステンレス鋼(SUS316L,SUS329J1等)41の表面に相対的に大きい電気抵抗を有する酸化被膜43を形成し、酸化被膜43に面接触するように非晶質炭素膜42を形成してセパレータ40を作製することを特徴とする。
【0161】
これによって、耐食性に優れたステンレス鋼を用いても、ガス拡散電極2,3との接触抵抗を低くして発電特性の良好な固体高分子型燃料電池10を作製できる。
【0162】
耐食性に優れたステンレス鋼の表面に酸化被膜を形成すると、その形成された酸化被膜は、相対的に大きい電気抵抗を有するが、厚さが相対的に薄く、かつ、金属との密着性が良好である。すなわち、耐食性に優れたステンレス鋼の表面に形成された酸化被膜は、相対的に小さい貫通抵抗率を有する。
【0163】
このように、SUS316L,SUS329J1等のステンレス鋼は、金属との密着性が良好な酸化被膜が表面に形成されるために耐食性に優れる。そして、この耐食性に優れたステンレス鋼をそのままセパレータとして用いると、上述したようにガス拡散電極2,3との接触抵抗が大きくなるが、酸化被膜に面接触するように非晶質炭素膜42を形成することによってガス拡散電極2,3との接触抵抗が小さくなるので、ステンレス鋼41の表面に相対的に大きい電気抵抗を有する酸化被膜43を形成し、酸化被膜に面接触するように非晶質炭素膜42を形成してセパレータ40を作製することにしたものである。
【0164】
酸化被膜43は、SUS316L,SUS329J1の表面に自然に形成される自然酸化膜であってもよいし、SUS316L,SUS329J1の表面を積極的に酸化することによって形成される酸化膜であってもよい。
【0165】
前者の場合、セパレータ40は、図4に示す工程(a)〜(c)に従って作製される。また、後者の場合、セパレータ40は、図4に示す工程(b)と工程(c)との間に凹凸面411を酸化する工程を挿入した工程に従って作製される。
【0166】
この発明においては、セパレータ40は、酸化被膜43に限らず、他の材料からなる被膜を備えていてもよい。すなわち、セパレータ40は、一般に、厚さが相対的に薄く、かつ、相対的に大きい電気抵抗を有し、さらに、金属との密着性が良好な被膜を備えていればよい。この場合、被膜は、非晶質炭素膜42よりも低い導電率を有する。
【0167】
また、この発明においては、ステンレス鋼に代えて、チタン、チタン合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金のいずれかを用いてセパレータ4,5,40を作製してもよい。
【0168】
表4は、セパレータ4,5がアルミニウムまたはアルミニウム合金からなる場合の固体高分子型燃料電池10の発電試験の結果を示す。
【0169】
【表4】


【0170】
なお、表4における「−」は、検出限界以下であることを表す。
【0171】
表5に示すアルミニウム(Al050)は、質量パーセントが0.07%であるSiと、質量パーセントが0.27%であるFeと、質量パーセントが0.01%であるCuと、質量パーセントが0.01%よりも少ないMnと、質量パーセントが0.01%であるMgと、質量パーセントが0.01%よりも少ないZnと、質量パーセントが0.01%であるTiとを含む。なお、Crの質量パーセントは、検出限界以下である。
【0172】
また、アルミニウム合金としては、Al−Cu合金(A2017)、Al−Mg合金(A5052)、Al−Mg合金(A5083)およびAl−Mg−Si合金(A6061)が用いられた。
【0173】
そして、Al−Cu合金(A2017)は、質量パーセントが0.70%であるSiと、質量パーセントが0.52%であるFeと、質量パーセントが3.9%であるCuと、質量パーセントが0.53%であるMnと、質量パーセントが0.57%であるMgと、質量パーセントが0.02%であるCrと、質量パーセントが0.02%であるZnと、質量パーセントが0.04%であるTiとを含む。また、Al−Mg合金(A5052)は、質量パーセントが0.07%であるSiと、質量パーセントが0.25%であるFeと、質量パーセントが0.01%であるCuと、質量パーセントが0.01%よりも少ないMnと、質量パーセントが2.61%であるMgと、質量パーセントが0.17%であるCrと、質量パーセントが0.01%よりも少ないZnとを含む。なお、Tiの質量パーセントは、検出限界以下である。さらに、Al−Mg合金(A5083)は、質量パーセントが0.06%であるSiと、質量パーセントが0.22%であるFeと、質量パーセントが0.02%であるCuと、質量パーセントが0.65%であるMnと、質量パーセントが4.7%であるMgと、質量パーセントが0.05%であるCrと、質量パーセントが0.01%であるZnと、質量パーセントが0.01%であるTiとを含む。さらに、Al−Mg−Si合金(A6061)は、質量パーセントが0.62%であるSiと、質量パーセントが0.42%であるFeと、質量パーセントが0.28%であるCuと、質量パーセントが0.02%であるMnと、質量パーセントが0.98%であるMgと、質量パーセントが0.11%であるCrと、質量パーセントが0.01%であるZnと、質量パーセントが0.03%であるTiとを含む。なお、表4に示すアルミニウムおよびアルミニウム合金は、ECRスパッタリング法によって形成された導電性炭素膜によって被覆されている。
【0174】
また、発電試験は、ガス流路がサーペンタインフロー式であり、電極面積が5cmであり、空気極ガス流量が200mL/minであり、燃料極ガス流量が50mL/minであり、ガス露点が60℃であり、運転温度が70℃である条件で行なわれた。表4に、電流密度が0.5A/cmであるときの固体高分子型燃料電池10のセル電圧を示す。
【0175】
表4に示す結果から、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるセパレータ4,5を用いることにより、セル電圧が0.63V以上である固体高分子型燃料電池10を作製できる。そして、アルミニウム合金からなるセパレータ4,5を用いることにより、固体高分子型燃料電池10のセル電圧は、0.65V以上になり、アルミニウム合金からなるセパレータは、純アルミニウムからなるセパレータに比べ、好適なセパレータである。
【0176】
なお、この発明においては、純アルミニウムは、0.25%以下のSi、0.40%以下のFe、0.05%以下のCu、0.05%以下のMn、0.05%以下のMo、0.05%以下のZn、および0.03%以下のTiを含むものを言うものとする。また、アルミニウム合金は、表4に示すアルミニウム合金に限らず、次の3種類のアルミニウム合金であればよい。第1の種類のアルミニウム合金は、質量パーセントが0.20%〜0.80%の範囲であるSiと、質量パーセントが0.70%よりも少ないFeと、質量パーセントが3.5%〜4.5%の範囲であるCuと、質量パーセントが0.40%〜1.0%の範囲であるMnと、質量パーセントが0.40%〜0.80%の範囲であるMgと、質量パーセントが0.10%よりも少ないCrと、質量パーセントが0.25%よりも少ないZnと、質量パーセントが0.15%よりも少ないTiとを含むアルミニウム合金である。
【0177】
また、第2の種類のアルミニウム合金は、質量パーセントが0.40%よりも少ないSiと、質量パーセントが0.40%よりも少ないFeと、質量パーセントが0.10%よりも少ないCuと、質量パーセントが1.0%よりも少ないMnと、質量パーセントが2.0%〜5.0%の範囲であるMgと、質量パーセントが0.05%〜0.35%の範囲であるCrと、質量パーセントが0.25%よりも少ないZnと、質量パーセントが0.15%よりも少ないTiとを含むアルミニウム合金である。
【0178】
さらに、第3の種類のアルミニウム合金は、質量パーセントが0.40%〜0.80%の範囲であるSiと、質量パーセントが0.70%よりも少ないFeと、質量パーセントが0.15%〜0.40%の範囲であるCuと、質量パーセントが0.15%よりも少ないMnと、質量パーセントが0.80%〜1.2%の範囲であるMgと、質量パーセントが0.04〜0.35%の範囲であるCrと、質量パーセントが0.25%よりも少ないZnと、質量パーセントが0.15%よりも少ないるTiとを含むアルミニウム合金である。
【0179】
さらに、この発明においては、セパレータ4,5の各々を構成する非晶質炭素膜42は、グラファイト(C)をスパッタリングして形成されるため、ドーパントを含まないが、この発明においては、非晶質炭素膜42は、ホウ素(B)、窒素(N)、フッ素(F)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)およびニオブ(Nb)のいずれかをドーパントとして含んでいてもよい。
【0180】
この場合、ホウ素(B)、窒素(N)、フッ素(F)、シリコン(Si)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)およびニオブ(Nb)のいずれかを含むグラファイト(C)をターゲットとして用いてECRスパッタリングを行なうことにより、ドーパントを含む非晶質炭素膜42を形成する。
【0181】
さらに、上記においては、非晶質炭素膜42は、ECRスパッタリングにより形成されると説明したが、この発明においては、これに限らず、非晶質炭素膜42は、プラズマCVD(Chemical Vapour Deposition)法により形成されてもよく、一般的には、物理蒸着法により形成される。
【0182】
非晶質炭素膜42がプラズマCVD法により形成される場合、非晶質炭素膜42は、反応室に供給されたメタン(CH)ガスに13.56MHzの高周波電力を印加してメタンガスを分解し、カーボン(C)を基板上に堆積することにより形成される。
【0183】
非晶質炭素膜42を物理蒸着法により形成する場合、その基板温度は、300℃以下である。ステンレス鋼試料(20mmφ×2mmt)にフッ素系電解質膜を密着させ、80℃において純水中に500時間保持した後、純水中に溶出した金属イオンを分析した。その結果を表4に示す。
【0184】
【表5】


【0185】
なお、表5において、「−」は、ステンレス鋼の表面を非晶質炭素膜42によって被覆していないことを示す。すなわち、「−」は、ステンレス鋼生材であることを表す。また、溶出金属イオン量が多いほど耐食性が悪いことを表す。
【0186】
溶出金属イオンの解析においては、非晶質炭素膜42は、熱CVD法、イオン化蒸着法およびECRスパッタリング法によってSUS304およびSUS316Lの表面に形成された。そして、熱CVD法における基板温度は、800℃であり、イオン化蒸着法における基板温度は、300℃であり、ECRスパッタリング法における基板温度は、200℃である。また、熱CVD法およびイオン化蒸着法においては、それぞれ、メタン(CH)ガスおよびベンゼン(C)ガスが導入ガスとして用いられた。そして、CHガスおよびCガスの流量は、10〜100sccmの範囲である。
【0187】
表5に示す結果から、Feイオン、Crイオン、NiイオンおよびMoイオン等の溶出イオンが多い順に並べると、熱CVD法>ステンレス鋼生材>イオン化蒸着法=ECRスパッタリング法の順になる。
【0188】
そして、イオン化蒸着法およびECRスパッタリング法によって非晶質炭素膜42を形成した場合、熱CVD法によって非晶質炭素膜42を形成した場合およびステンレス鋼を非晶質炭素膜42によって被覆しない場合よりも、溶出金属イオン量が大幅に低下する。
【0189】
そして、熱CVD法によってSUS304およびSUS316Lの表面に非晶質炭素膜42を形成した場合、溶出金属イオン量が最も多くなる。これは、熱CVD法においては、基板温度が800℃と高いため、導入ガスの分解によって精製された水素ガスがSUS304およびSUS316Lの表面に形成された酸化膜を還元するために、耐食性が劣化したものと考えられる。
【0190】
したがって、この発明においては、基板温度が300℃以下、好ましくは、200℃以下である物理蒸着法を用いて非晶質炭素膜42を形成する。
【0191】
さらに、上記においては、非晶質炭素膜42は、ステンレス鋼41の一主面(凹凸面411)に形成されると説明したが、この発明においては、これに限らず、非晶質炭素膜42は、ステンレス鋼41の周囲を覆うように形成されてもよい。
【0192】
さらに、上記においては、セパレータ4,5の各々は、硫酸に対して耐腐食性を有するステンレス鋼41と、ラマン散乱スペクトルのGバンドGBの半値幅FWHMが50〜200cm−1であり、かつ、導電性を有する非晶質炭素膜42とからなると説明したが、この発明においては、これに限らず、セパレータ4,5の各々は、硫酸に対して耐腐食性を有する金属板であれば、どのような金属板を備えていてもよい。
【0193】
上述した各種のステンレス鋼に限らず、硫酸に対して耐腐食性を有する金属板を用いれば、導電性を有する非晶質炭素膜42によって金属板の一主面を少なくとも被覆することによって導電性および耐食性に優れたセパレータを作製することが可能であるからである。
【0194】
さらに、この発明による固体高分子型燃料電池10は、自動車およびパーソナルコンピュータの電源として用いられる。
【0195】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0196】
この発明は、優れた導電性と耐食性とを兼ね備えた固体高分子型燃料電池用のセパレータに適用される。また、この発明は、優れた導電性と耐食性とを兼ね備えた固体高分子型燃料電池用のセパレータを備えた固体高分子型燃料電池に適用される。さらに、この発明は、優れた導電性と耐食性とを兼ね備えた固体高分子型燃料電池用のセパレータの製造方法に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0197】
【図1】この発明の実施の形態によるセパレータを備えた固体高分子型燃料電池の断面概略図である。
【図2】図1に示すセパレータの概略断面図である。
【図3】図2に示す非晶質炭素膜のラマン散乱スペクトルである。
【図4】図1,2に示すセパレータを作製する工程図である。
【図5】図1に示すセパレータの他の概略断面図である。
【図6】固体高分子型燃料電池の発電特性を示す図である。
【図7】非晶質炭素膜の有無によるステンレス鋼の接触抵抗の違いを説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0198】
1 固体高分子電解質膜、2,3 ガス拡散電極、4,5,40 セパレータ、4A,5A ガス供給溝、6,7 ガスシール、10 固体高分子型燃料電池、20,41,50 ステンレス鋼、20A 一主面、21,31 触媒、42 非晶質炭素膜、51 酸化被膜、60 カーボンペーパー、411 凹凸面。




 

 


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