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発明の名称 有機半導体装置の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−142056(P2007−142056A)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
出願番号 特願2005−332214(P2005−332214)
出願日 平成17年11月16日(2005.11.16)
代理人
発明者 長谷川 達生 / 平岡 牧 / 阿部 恭 / 山田 寿一 / 十倉 好紀
要約 課題
真空蒸着法による薄膜形成が困難な導電性電荷移動錯体材料を用いた有機半導体装置用の有機金属薄膜の形成と、そのパターニングによる電極作製のための手段、及びそれに適した材料を提供することを課題とする。

解決手段
有機半導体層を形成する工程と、電子供与性分子と電子受容性分子との組み合わせにより得られ、1×10−2ミリ モル/リットル以上の有機溶媒への溶解度を持つ高導電性電荷移動錯体材料からなるインクをインクジェットプリンティング法によって上記有機半導体層上の一部に電極として形成する工程とを含む有機半導体装置の製造方法である。
特許請求の範囲
【請求項1】
有機半導体層を形成する工程と、電子供与性分子と電子受容性分子との組み合わせにより得られ、1×10−2ミリ モル/リットル以上の有機溶媒への溶解度を持つ高導電性電荷移動錯体材料からなるインクをインクジェットプリンティング法によって上記有機半導体層上の一部に電極として形成する工程とを含む有機半導体装置の製造方法。
【請求項2】
上記高導電性電荷移動錯体は、アルキル基、又はそれと同等の置換基によって置換し、有機溶媒への溶解度を向上させた有機分子を構成要素とすることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項3】
上記高導電性電荷移動錯体は、ビスエチレンジオキシテトラチアフルバレンを電子供与体とし、これと電子受容性有機分子、又は無機陰イオンを組み合わせて得られることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体装置の製造方法。
【請求項4】
上記高導電性電荷移動錯体は、テトラシアノキノジメタン、又はそのアルキル置換体を電子受容体とし、これと電子供与性有機分子、又は無機陽イオンを組み合わせて得られることを特徴とする請求項1に記載の有機半導体装置の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機半導体装置の製造方法に関し、さらに詳しくは、有機半導体装置を構成する有機半導体に電流を流すための電気的接点となる有機半導体装置用の電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機半導体からなる電子装置は、シリコン半導体装置の安価な代替品として注目されている。特に、著しく製造コストのかかる工程が必要なシリコン半導体装置と比べ、有機半導体装置は、安価に製造することが可能であり、経済性が優先される場合には有用である。また有機半導体のその他の利点として、薄膜を用いた大面積の電子装置を作ることが容易であること、製造工程に高温プロセスを必要としないことからプラスチック基板上への形成が可能であること、また機械的な折り曲げに対し素子特性を劣化させないなどの特性を持つため、シリコン半導体装置では不可能な、大面積で機械的にフレキシブルな電子装置を製造することが可能である点が挙げられる。中でも、フレキシブルな大面積ディスプレイを実現するために、製品化が進む有機電界発光ダイオードとともに、ディスプレイ用スイッチング素子を用途とする有機半導体薄膜電界効果トランジスタの研究開発が近年大きく進展している。
【0003】
有機半導体薄膜装置の構成要素の中でも、有機半導体層との電気的接点となる電極は、有機半導体装置の性能を決定する重要な役割を担う。例えば有機薄膜トランジスタでは、電極から有機半導体へのキャリヤ注入効率の最適化によって、より大きなトランジスタ動作を引き出すことが可能になることや、またキャリヤを選択的に注入することによって、トランジスタ動作をマイナスの印加電圧で動作するN型や、プラスの印加電圧で動作するP型に変えることなどが考えられる。
【0004】
有機薄膜トランジスタ用の電極としては、従来、主に無機金属が電極として利用されてきた。また、近年、電極材料として、電子供与性分子材料と電子受容性分子材料の組み合わせからなる導電性電荷移動錯体(又は有機金属材料)が、有機半導体装置に好適な制御された電極を形成するための材料として有望であることが提案されている。
【0005】
すなわち、特許文献1では、有機半導体層と同一の分子を導電性電荷移動錯体材料の構成要素とすることによって、有機金属/有機半導体層界面でのエネルギー整合を取ることが自動的に可能であり、これによってキャリヤ注入効率を最適化することが可能であることが示されている。
さらに、特許文献2では、有機分子の自在な設計可能性を利用し、化学修飾によって有機金属のフェルミ準位を大きく変化させ、これによってトランジスタ動作をP型からN型へと制御することも可能であることが現在までに示されてきている。
以上のような特色から、導電性電荷移動錯体薄膜を用いた有機金属電極は、有機半導体装置に好適な電極と考えられる。
【0006】
上記特許文献では、有機金属電極を形成するにあたって、真空蒸着法を用いた成膜技術が用いられていた。しかしながら、導電性電荷移動錯体の多くは、錯体状態で昇華性が低く、真空中での加熱に伴って昇華前に分子が分解するなどが生じやすいことが知られている。特に、非常に多数の有機金属材料を与えることで知られる、ビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDT-TTF)や、ビスエチレンジオキシテトラチアフルバレン(BEDO-TTF)を構成要素とする導電性電荷移動錯体は、真空蒸着法による電極形成が困難なものがほとんどである。
上記のような難点のため、利用可能な材料が限定されることになり、有機半導体の種類に応じたキャリヤ注入効率の最適化や、トランジスタのP型/N型動作制御など、有機金属電極の利点の十分な活用が困難になる。
【0007】
特許文献3では、高分子系材料を用いた有機半導体装置の作製において、特に有機電界発光ダイオードを作製するために、スピンコート法などの溶液プロセスが一般的に利用されている。また特許文献4では、高分子系の電界発光ダイオードにおいて、ディスプレイを構築するための画素毎のパターニングのため、インクジェットプリンティング法が活用されている。
【特許文献1】特願2004−228575号
【特許文献2】特願2005−49759号
【特許文献3】特開平10−12377号公報
【特許文献4】特表2005−518332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のような状況に鑑み、本発明は、真空蒸着法による薄膜形成が困難な導電性電荷移動錯体材料を用いた有機半導体装置用の有機金属薄膜の形成と、そのパターニングによる電極作製のための手段、及びそれに適した材料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、有機半導体層を形成する工程と、電子供与性分子と電子受容性分子との組み合わせにより得られ、1×10−2ミリ モル/リットル以上の有機溶媒への溶解度を持つ高導電性電荷移動錯体材料からなるインクをインクジェットプリンティング法によって上記有機半導体層上の一部に電極として形成する工程とを含む有機半導体装置の製造方法を提供するものである。
【0010】
また本発明は、上記高導電性電荷移動錯体は、アルキル基、又はそれと同等の置換基によって置換し、有機溶媒への溶解度を向上させた有機分子を構成要素とする有機半導体装置の製造方法を提供するものである。
【0011】
また本発明は、上記高導電性電荷移動錯体は、ビスエチレンジオキシテトラチアフルバレンを電子供与体とし、これと電子受容性有機分子、又は無機陰イオンを組み合わせて得られる有機半導体装置の製造方法を提供するものである。
【0012】
また本発明は、上記高導電性電荷移動錯体は、テトラシアノキノジメタン、又はそのアルキル置換体を電子受容体とし、これと電子供与性有機分子、又は無機陽イオンを組み合わせて得られる有機半導体装置の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、真空蒸着法による薄膜形成が困難な導電性電荷移動錯体材料を用いた有機半導体装置用の有機金属薄膜の形成と、そのパターニングによる電極作製が可能になる。これにより、電極として利用可能な電荷移動錯体の種類が増大し、有機半導体の種類に応じたキャリヤ注入効率の最適化や、トランジスタのP型/N型動作制御など、有機金属電極の利点の十分な活用が可能になる。
また本発明によれば、低分子系材料を用いた有機薄膜トランジスタでは、一般的ではないがインクジェットプリンティング法を用いることによって、その利点であるドロップ・オン・デマンド、すなわち、必要な箇所だけに薄膜を形成することで、資源の節約と大幅なコストの低減に資することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施の形態について以下図面を参照して詳細に説明する。
有機薄膜トランジスタを形成するための有機半導体層として、ここでは研究が盛んに行われているペンタセンを用い、また上記有機半導体層との電気的接点となる電極を構成する材料として、ビスエチレンジオキシテトラチアフルバレン(以下、BEDO-TTF)とn-ブタデシル-テトラシアノキノジメタン(以下、C14TCNQ)の9:4組成比の高導電性電荷移動錯体材料を用いた実施例について説明する。
【0015】
本実施例において、有機半導体層として用いたペンタセンは、市販のものを真空昇華法によって精製した。また、電極として用いた有機金属材料の原料であるBEDO-TTF、及びC14TCNQは、それぞれ既知の方法により合成し、再結晶法によって精製したものを用いた。なお、これらを組み合わせて得られる(BEDO-TTF)9(C14TCNQ)4は、ラングミュアブロジェット法によって高い導電性の単分子薄膜を与えることが知られている。
【0016】
まず、導電性有機電荷移動錯体材料を用いた導電性薄膜を作製するため、BEDO-TTF 5.77 mg (18 μmol: 分子量320.4)、及びC14TCNQ 3.20 mg (8.0 μmol: 分子量400.6)をそれぞれ、ジメチルスルオキシド(DMSO) 2.5 mlに溶解させて、インクとして用いる濃度0.8 mmol/lの (BEDO-TTF)9(C14TCNQ)4電荷移動錯体溶液を調整した。
得られたインクの粘度は2〜3 mPa sであり、インクジェットプリンティング法に用いるインクとして好適な性質を示した。
なお電荷移動錯体による高い導電性の薄膜をインクジェットプリンティング法によって形成するためには、有機溶媒に1×10−2ミリ モル/リットル以上の高い濃度で電荷移動錯体を溶解させたインクを用いる必要がある。これは、濃度がそれよりも低くなると、一滴(100ピコリットル程度)を打った際に形成される円状のパターン(直径50マイクロメートル程度)の平均的な膜厚は、0.1マイクロメートル程度以下になる。このような場合は、均一な薄膜よりもむしろ、斑状のものとなって、電極として利用することが困難となるからである。
【0017】
デジタル制御により60ピコリットル程度の微少液滴を正確な量、正確な位置に非接触で任意にパターニングさせる事ができるインクジェット式パターニング装置を用いて、ガラス上に導電性薄膜を形成した。各液滴によって、厚さが40〜80 nmで、直径約70 μm程度の円状の電荷移動錯体薄膜が形成された。これを相互に重ね合わせたパターニングによって、正方形状の導電性薄膜を形成したところ、約100kΩ/□の面抵抗が得られ、ペンタセンによる有機薄膜トランジスタ用の電極として十分な、高い導電性を持つ電荷移動錯体薄膜が得られていることが分かった。
【0018】
次に、図1に示す有機半導体薄膜トランジスタを、上記プロセスによって調整した有機半導体分子材料、及び導電性有機電荷移動錯体溶液を用いて製造した。
まず、N型にドープされたシリコン基板をゲート電極50として用い、シリコン基板の表面を酸化することによって作製した厚さ500 nmの絶縁性の酸化膜をゲート絶縁膜40として用いた。その上面にペンタセン薄膜を有機半導体層30として、真空蒸着法により形成した。この際、基板温度を一定温度(82℃)に保ち、かつ、0.05 nm/sの速度で蒸着を行うことにより十分に粒界間の導電性がよくなるように注意を払った。
【0019】
次に、ペンタセン多結晶薄膜上に、インクジェットプリンティング法によってソース電極10及びドレイン電極20を形成するために、図2の写真に示すような、有機金属薄膜によるソース電極、及びドレイン電極のパターンを形成した。写真上側の端子部位を除く各電極のサイズは2,200 μm × 220 μmで、これを、30滴× 3滴のインクジェットプリンティングにより形成した。これにより長さが400 μm、幅が2,200 μmのチャネルの有機半導体薄膜トランジスタを作製した。
【0020】
次にソース、及びドレイン電極から外部への電気的な接触は金線を導電性ペーストにより端子部位に接続する事によって得た。直流の電界効果特性は、内部を真空に保持したクライオスタット中にサンプルを封入し、常温でアジレントテクノロジー社半導体評価解析装置E5270Aを用いて評価した。
【0021】
上記により作製したペンタセン有機半導体薄膜トランジスタについて、ゲート電圧を0 V、-50 V、-100 V、-150 V、-200 Vにそれぞれ固定して、ソース・ドレイン間の電流-電圧特性を測定した結果を図3に示す。
【0022】
標準的な電界効果トランジスタの方程式:μ=(dID/dVG)[L/(WCiVD)] を用いて線形領域で移動度を評価したところ、0.05 cm2/Vsの移動度を示す比較的高い性能の有機薄膜トランジスタが得られた。ここで、Ciはゲート絶縁層の絶縁容量、LとWはそれぞれチャネル長とチャネル幅、VG はゲート電圧、VD はドレイン電圧、IDはソース−ドレイン電流、μは移動度である。
【0023】
上記のように、成膜条件などが大きく素子特性に影響する有機半導体からなるチャネル部分とは異なり、電極部分では、導電性がある程度高ければ十分であり、真空蒸着法による成膜法以外の汎用性の高い成膜法を適用することが可能であることが示された。
【0024】
なお、上記の実施例は、あくまでも本発明の理解を容易にするためのものであり、この実施例に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術思想に基づく変形、他の態様は、当然本発明に包含されるものである。
例えば高導電性電荷移動錯体としては、電子供与体としてBEDO-TTF及び電子受容体としてC14TCNQの組み合わせを例示したが、ビスエチレンジオキシテトラチアフルバレンを電子供与体とし、これと電子受容性有機分子、又は無機陰イオンを組み合わせて得るようにしてもよい。
また上記高導電性電荷移動錯体は、テトラシアノキノジメタン、又はそのアルキル置換体を電子受容体とし、これと電子供与性有機分子、又は無機陽イオンを組み合わせて得るようにしてもよい。
さらに高導電性電荷移動錯体は、アルキル基、又はそれと同等の置換基によって置換し、有機溶媒への溶解度を向上させた有機分子としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明による有機半導体装置は、従来よりも簡便な方法により製造が可能であり、安価な有機半導体薄膜トランジスタとして利用できる。特に、エレクトロニクス分野における小型・大型画面表示(ディスプレー)装置のためのスイッチングデバイス、あるいはその駆動回路に用いられる相補型論理演算回路用の有機半導体薄膜電界効果トランジスタを製造する上で極めて有用である。例えばこのような利点を活かして、表示装置、デジタルスチルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、モバイルコンピュータ、記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置、ゴーグル型ディスプレイ、ビデオカメラ、携帯電話、シート型圧力センサなどへの用途が有望である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】有機半導体薄膜トランジスタの断面模式図である。
【図2】有機半導体薄膜トランジスタを上面から撮影した写真である。
【図3】一定のゲート電圧を加えた状態でドレイン電圧の変化に対するドレイン電流の変化を示したグラフである。
【符号の説明】
【0027】
10 ゲート電極の電気的接点
20 基板
30 導体膜(ゲート電極)
40 誘電体層(ゲート絶縁膜)
50 有機半導体薄膜層
60 導電性電荷移動錯体薄膜電極(ソース・ドレイン電極)
70 導電性電荷移動錯体薄膜溶液のインク滴
80 インクジェットプリンティング装置





 

 


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