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発明の名称 圧電振動子の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−184810(P2007−184810A)
公開日 平成19年7月19日(2007.7.19)
出願番号 特願2006−2116(P2006−2116)
出願日 平成18年1月10日(2006.1.10)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 黒田 貴大
要約 課題
陽極接合時における放電による水晶振動片の損傷を防止し、且つ、接合の信頼性を高める。

解決手段
水晶振動子10の製造方法は、振動腕22,23と枠部25とを一体にした水晶振動片21を複数配設する水晶基板ウエハ20を形成する工程と、上基板31を複数配設するガラスからなる上基板ウエハ30を形成する工程と、下基板41を複数配設するガラスからなる下基板ウエハ40を形成する工程と、上基板ウエハ30と水晶基板ウエハ20と下基板ウエハ40とを陽極接合し積層体1を形成する工程と、積層体1を切断線2に沿って切断して個片化する工程と、を有し、下基板ウエハ40を形成する工程には、切断線2の交差部に凹部50を形成する工程を含み、積層体1を形成した状態において、凹部50に貫通孔44を開設する工程と、貫通孔44の内面に下側導電膜26aに接続する接続電極47を形成する工程と、をさらに含む。
特許請求の範囲
【請求項1】
振動腕と該振動腕の周囲の枠部とを一体にした圧電振動片を複数配設し、前記振動腕に設けられる第1励振電極と該第1励振電極と連続し前記枠部の下面に形成される下側導電膜と、第2励振電極と該第2励振電極と連続し前記枠部の上面に形成される上側導電膜と、該上側導電膜と連続する前記枠部の下面に形成される引出し電極と、を有する圧電基板ウエハを形成する工程と、
前記枠部の上面に対応して設けられる接合面を有する上基板を複数配設するガラスからなる上基板ウエハを形成する工程と、
前記枠部の下面に対応して設けられる接合面を有する下基板を複数配設するガラスからなる下基板ウエハを形成する工程と、
前記上基板ウエハの接合面と前記圧電基板ウエハの枠部と前記下基板ウエハの接合面とを陽極接合し積層体を形成する工程と、
前記積層体を縦及び横の切断線に沿って切断して圧電振動子を個片化する工程と、を有し、
前記下基板ウエハを形成する工程には、前記切断線の交差部の表面に凹部を形成する工程を含み、
前記積層体を形成した状態において、前記凹部に貫通孔を開設する工程と、前記貫通孔の内面に前記下側導電膜または前記引出し電極に接続する接続電極を形成する工程と、をさらに含むことを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動子の製造方法において、
前記下基板ウエハの下面側に前記凹部を形成することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の圧電振動子の製造方法において、
前記凹部を前記下基板ウエハの下面側の開口部を底部よりも広いテーパ状に形成することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の圧電振動子の製造方法において、
前記凹部を、サンドブラスト工程により穿設することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の圧電振動子の製造方法において、
前記下基板ウエハの上面側に前記凹部を形成することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の圧電振動子の製造方法において、
前記凹部を、エッチング工程により穿設することを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の圧電振動子の製造方法において、
前記貫通孔を開設する工程が、エッチング工程であることを特徴とする圧電振動子の製造方法。
【請求項8】
請求項1に記載の圧電振動子の製造方法において、
前記接続電極を形成する工程の後に、前記接続電極の内面に導電性部材を充填する工程を含むことを特徴とする圧電振動子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動子の製造方法に関する。詳しくは、圧電振動片と上基板と下基板とを陽極接合して構成する圧電振動子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の小型化、薄型化に伴い、圧電振動子はより一層の小型化、薄型化が要求され、一般に表面実装型の圧電振動子は、圧電振動片を絶縁材料で形成したパッケージに封止する構造が広く採用されている。薄型化、小型化を実現する方法としてパッケージの製造方法として圧電振動片と上下の蓋体とを陽極接合する方法が提案されているが、陽極接合工程において、高電圧を印加することにより放電し、圧電振動片や電極等に損傷を与えるという課題を有する。
【0003】
このような、陽極接合工程における放電の発生を防止する製造方法を半導体センサの製造方法に応用した例が提案されている。この製造方法は、貫通孔を有するガラス台座と、このガラス台座上に接合され、貫通孔に対向する検出部を有するシリコン基板と、を備えた半導体センサの製造方法であって、ガラス台座の貫通孔を封鎖した状態(凹部の状態)で、シリコンウエハとガラス台座とを陽極接合する第1の工程と、第1の工程による陽極接合工程後に、貫通孔の封鎖部(凹部の底部)を除去する第2の工程を有するという製造方法である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平9−101218号公報(第3頁、図3〜図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような特許文献1では、陽極接合工程における放電対策として、本来貫通孔となるべき圧力導入孔を封鎖した状態で陽極接合を行い、陽極接合の後、封鎖部を研磨加工等の加工手段で除去して圧力導入孔を開設している。このような封鎖状態で電圧を印加した場合には、貫通孔において発生する放電を防止することができる。
【0006】
しかしながら、封鎖部を研磨加工により除去し貫通孔を形成する方法では、ガラス台座の破損が発生し易いということが予測される。
【0007】
また、ガラス台座及び立体的な上部電極を表面に有するシリコンウエハを接合した後に研磨を行うため、ガラス台座の裏面を安定的に水平に保持することが困難であり、ガラス台座の厚み寸法にばらつきがでてしまうというような課題がある。
【0008】
さらに、凹部の開口部が、ガラス台座とシリコンウエハとの接合面にあるため、接合面積が小さく、接合面の配置バランスが悪くなることもあるため、接合品質が安定しないことが考えられる。
【0009】
本発明の目的は、前述した課題を解決することを要旨とし、陽極接合時における放電による圧電振動片の損傷を防止し、且つ、接合の信頼性を高めることができる圧電振動子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の圧電振動子の製造方法は、振動腕と該振動腕の周囲の枠部とを一体にした圧電振動片を複数配設し、前記振動腕に設けられる第1励振電極と該第1励振電極と連続し前記枠部の下面に形成される下側導電膜と、第2励振電極と該第2励振電極と連続し前記枠部の上面に形成される上側導電膜と、該上側導電膜と連続する前記枠部の下面に形成される引出し電極と、を有する圧電基板ウエハを形成する工程と、前記枠部の上面に対応して設けられる接合面を有する上基板を複数配設するガラスからなる上基板ウエハを形成する工程と、前記枠部の下面に対応して設けられる接合面を有する下基板を複数配設するガラスからなる下基板ウエハを形成する工程と、前記上基板ウエハの接合面と前記圧電基板ウエハの枠部と前記下基板ウエハの接合面とを陽極接合し積層体を形成する工程と、前記積層体を縦及び横の切断線に沿って切断して圧電振動子を個片化する工程と、を有し、前記下基板ウエハを形成する工程には、前記切断線の交差部の表面に凹部を形成する工程を含み、前記積層体を形成した状態において、前記凹部に貫通孔を開設する工程と、前記貫通孔の内面に前記上側導電膜または前記引出し電極に接続する接続電極を形成する工程と、をさらに含むことを特徴とする。
ここで、圧電振動片としては、例えば、水晶振動片を採用することができる。
【0011】
この発明によれば、圧電振動片に設けられる第1、第2の励振電極を下基板に開設される貫通孔から外部に取り出す圧電振動子の構造において、この貫通孔を陽極接合が終了するまで貫通しない状態(凹部の状態)とし、陽極接合後に貫通孔を開設するため、陽極接合時において、貫通孔内で発生する放電を抑制することができ、放電による圧電振動片や電極等の損傷を防止することができる。
【0012】
また、本発明では、前記下基板ウエハの下面側に前記凹部を形成することが好ましい。
【0013】
このようにすれば、下基板ウエハと圧電基板ウエハとの接合面には、凹部の開口部がないため、接合面の状態が平滑な一様な面であるため、接合品質を確保しやすいというような効果がある。
【0014】
また、前記凹部を前記下基板ウエハの下面側の開口部を底部よりも広いテーパ状に形成することがより好ましい。
【0015】
前述したように、凹部には陽極接合後に貫通孔を開設し、接続電極を形成する。詳しくは実施の形態で後述するが、接続電極は、下基板ウエハの下面側からスパッタ等の手段で形成する。従って、下面側の開口部が底部よりも広いテーパ状に形成されていることから、下基板ウエハの下面から下基板ウエハの上面方向にある下側導電膜または引出し電極の深さに至るまで接続電極を形成することができる。
【0016】
また、前記凹部を、サンドブラスト工程により穿設することがより好ましい。
【0017】
テーパ状の凹部を穿設する方法としては多種存在するが、サンドブラストによれば、研磨材の材質、粒度、吹き付け速度、時間等の調整により所望のテーパ形状を容易に形成することが可能であり、さらに、複数の凹部も同時に短時間で形成することができることから生産効率を高めることができる。
【0018】
また、本発明では、前記下基板ウエハの上面側に前記凹部を形成することが望ましい。
【0019】
このように、下基板ウエハの上面方向に前記凹部を形成しても、陽極接合が終了するまで貫通孔を開設しない状態(凹部の状態)とし、陽極接合後に貫通孔を開設するため、陽極接合時において、貫通孔内で発生する放電を防止することができる。
【0020】
また、本発明では、前記凹部をエッチング工程により穿設することがより望ましい。
【0021】
詳しくは、後述する実施の形態で説明するが、下基板ウエハの上面には、圧電振動片を収納するキャビティーとなる空間がエッチング工程により形成されるが、この空間をエッチング工程で形成するようにすれば、凹部と空間とを同じエッチング工程で形成することができ、生産性を高めることができる。
【0022】
また、この凹部は、サンドブラスト等でも形成可能であるが、サンドブラストにより形成される凹部はテーパ形状となる。この凹部を下基板ウエハの下面からみると逆テーパとなり、接続電極を下面側からスパッタ形成する場合、下基板ウエハの下面から下基板ウエハの上面側にある下側導電膜または引出し電極まで達しないことが考えられる。しかし、エッチングによれば、凹部内の側面は下基板ウエハの下面に対してほぼ垂直に形成できることから、接続電極を下側導電膜または引出し電極に至るまで形成することを可能にする。
【0023】
また、前述した貫通孔を開設する工程が、エッチング工程であることが好ましい。
【0024】
このようにすれば、前述した従来技術のような貫通孔の開設が研磨による方法に比べ、凹部の底部をエッチングにより除去すればよいので、下基板ウエハの損傷や、厚さのばらつきは発生しない。
【0025】
また、本発明では、前記接続電極を形成する工程の後に、前記接続電極の内面に導電性部材を充填する工程を含むことがより望ましい。
【0026】
接続電極は、上述した貫通孔内にスパッタ等で形成するが、貫通孔が深い(下基板ウエハが厚い)場合には、下側導電膜または引出し電極の深さまで均一に形成されないことがまれにあることが考えられるが、導電部材を充填することにより、下側導電膜または上側導電膜と接続電極との接続をより確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明の実施形態1に係る圧電振動子の構造を示し、図5〜図8は、実施形態1に係る圧電振動子の製造方法、図9、図10は実施形態2に係る圧電振動子の製造方法、図11は、実施形態3に係る圧電振動子の製造方法の一部を示している。なお、本発明では、圧電振動子として水晶を用いる水晶振動子を例示して説明する。
(実施形態1)
【0028】
図1は、実施形態1に係る水晶振動子の概略構造を示す平面図、図2は、図1のA―A切断面を示す断面図である。なお、図1は、上基板31を透視した状態を示している。図1、図2において、水晶振動子10は、水晶振動片21の上面及び下面それぞれに上基板31と下基板41とを一体に積層して構成されている。本実施形態では、上基板31と下基板41とは、水晶振動片21の平面方向において近似な熱膨張係数を有するソーダガラスを用いるのが好適である。これら上基板31と水晶振動片21と下基板41とは、それぞれ大判のウエハの状態で陽極接合されて積層体1を形成した後、切断線2に沿って切断、個片化されて、水晶振動子10が形成されている。
【0029】
図1に示すように、水晶振動片21は、振動腕22,23が基部24から延在された音叉型振動片であって、基部24と振動腕22,23の周囲を囲む枠部25とが一体で形成されている。電極の構成の詳細は、図3,4に示すが、振動腕22,23及び枠部25の表裏両面には、第1励振電極26と第2励振電極27と、これらの電極それぞれに連続する下側導電膜26a、上側導電膜27aが形成されている。
上側導電膜27aは、ビアホール(コンタクトホール)28を連通して下面側に設けられる引出し電極27bに接続されている。
【0030】
上基板31は、振動腕22,23が可振できるように凹部32が穿設され、凹部32の周縁部は、水晶振動片21の枠部25と大略同じ形状に形成された接合面33である(図1のドット表示領域)。
【0031】
下基板41は、上基板31と同様に振動腕22,23が可振できるように凹部42が穿設され、凹部42の周縁部は、水晶振動片21の枠部25と大略同じ形状に形成された接合面43である(図1において、ドットにて表示する領域)。また、下基板41の外周角部には、切欠き部44aが設けられており、この切欠き部44aの内面(側面)には、引出し電極27bに接続する接続電極48と、下側導電膜26aに接続する接続電極47とが形成されている。接続電極47,48は、図示の左右にそれぞれ2箇所ずつ設けられている。さらに、接続電極47,48は、下基板41の下面に設けられる外部電極45,46に接続している。
【0032】
なお、水晶振動片21は水晶基板ウエハ20、上基板31は上基板ウエハ30、下基板41は下基板ウエハ40に、それぞれ複数配列して形成した後、積層接合されて積層体1を形成した後、切断線2に沿って切断され、水晶振動子10に個片化される。従って、下基板41の外周角部に設けられた貫通孔44を切断することにより上述した切欠き部44aが形成される。
【0033】
このように構成された水晶振動子10は、振動腕22,23が、上基板31の凹部32と下基板41の凹部42それぞれの空間とによって形成されたキャビティー内に振動可能に収容されて、第1励振電極26、第2励振電極27とが、それぞれ外部電極45,46まで接続され、外部電極45,46から励振信号を入力すると共に、共振信号を出力することが可能な構成である。
【0034】
続いて、水晶振動片21に形成される各電極構成について図面を参照して説明する。
図3は、水晶振動片の上面側を表し、図4は下面側を表している。図3,4において、振動腕22の上面側先端部には第1励振電極26が設けられ、振動腕22の外周面から基部24の上面及び振動腕23の上面の中央部にまで延在されている。さらに、振動腕22の側面から下面側に延在され、枠部25の下面における下側導電膜26aが形成されている。
【0035】
振動腕23の上面先端部には第2励振電極27が設けられ、振動腕23の外周面から基部24の上面及び振動腕22の上面の中央部にまで延在されている。さらに、振動腕23の側面から上面側に延在され、枠部25の上面における上側導電膜27aが形成されている。
【0036】
第1励振電極26と第2励振電極27とは、振動腕22,23の上面に対して表裏において面対称となるよう形成される。また、上側導電膜27aは、枠部25の端部(図中、右側端部)において、枠部25に開設される2個のビアホール28によって下面側に延在され、引出し電極27bに接続されている。従って、第1励振電極26と第2励振電極27とは、それぞれ水晶振動片21の下面側に延在されて、下側導電膜26aと引出し電極27bに接続されている。
【0037】
このような各電極の形成は、水晶基板ウエハ20の状態で、まず、振動腕22,23及びビアホール28(貫通孔の状態)をエッチング工程により形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いて形成される。
【0038】
なお、上述した第1励振電極26、第2励振電極27、下側導電膜26a、上側導電膜27a及び引出し電極27bはAlもしくはAl合金で形成されるが、Cr、Ti、Auなどの材料のうちから選択した1種以上の薄膜でもよく、接続電極47,48及び外部電極45,46は、Au/Cr、Ni、Tiなどを蒸着、スパッタ、メッキ法にて使用することができる。
【0039】
続いて、本実施形態に係る水晶振動子の製造方法について図面を参照して説明する。まず、下基板ウエハ40の製造方法について説明する。
図5は、本実施形態に係る下基板ウエハ40の製造工程を示し、(a)は、下面40a側を示す斜視図、(b)は、(a)のB―B切断面を示す断面図である。図5(a)、(b)において、上面40b側にハーフエッチングによりキャビティーを形成するための空間としての凹部42を形成する。凹部42の周縁部が接合面43(図2、参照)である。そして、下面40a側に凹部50を形成する。
【0040】
凹部50は、下基板ウエハ40を切断線2の各交点にサンドブラストにより形成する。サンドブラスト工程では、所定の大きさの開口部を備えるマスクを用いて所定の深さまで凹部50を穿設する。ここで、本実施形態では、残り厚さを30μm程度とし、下面40a側の開口部の直径を200μm、底部の直径を100μmとするテーパ形状とする。サンドブラストにおける研磨材の材質、粒度、吹き付け速度、加工時間等は、所望の凹部50の深さ、テーパ形状に合わせて適宜選択する。
【0041】
次いで、上基板ウエハ30の製造方法について図6を参照して説明する。
図6は、上基板ウエハ30、水晶基板ウエハ20、下基板ウエハ40の接合前の状態を示す説明図である。図6の最上層に上基板ウエハ30を示す。上基板ウエハ30は、裏面側(図中、下側)にキャビティーを構成するための空間となる凹部32をハーフエッチングにより形成する。この凹部32は、上述した下基板ウエハ40の凹部42に対応した位置、大きさで形成され、凹部32の周縁部が接合面33(図2、参照)である。
【0042】
水晶基板ウエハ20の製造方法については、図3,4を参照して説明しているので省略するが、枠部25から基部24と振動腕22,23とが延在された音叉と、上述した各電極が形成された状態で水晶振動片21を複数配列して水晶基板ウエハ20を形成する。このように形成された上基板ウエハ30と水晶基板ウエハ20と下基板ウエハ40とを正確に位置決めして積層し、接合する。
【0043】
図7は、接合工程〜接続電極形成工程までを示す断面図である。図7(a)は、接合工程を示す。接合工程では、水晶基板ウエハ20の上面に上基板ウエハ30、下面に下基板ウエハ40を積層し、この状態で、上下基板ウエハおよび水晶基板ウエハは図示しないホットプレートにより加熱加圧保持され、水晶基板ウエハ20に直流電源90の正極を、上基板ウエハ30と下基板ウエハ40には負極を接続して電圧を印加して陽極接合を行う。本実施形態による陽極接合の条件は、140〜160℃の環境下において、加圧しながら0.5〜1.4kVの電圧を5分間印加することで、所定の接合強度、密閉性が得られた。
なお、接合の性質上、加圧がなくてもよい。また接合雰囲気は大気中、N2中もしくは10-4Pa以下の真空中でも可能である。
【0044】
下基板ウエハ40には、複数の凹部50が形成されているが、これら凹部は、貫通していないため、陽極接合の際の放電の発生を抑制する。
【0045】
続いて、陽極接合工程後における第1励振電極26及び第2励振電極27を外部電極に取り出すための接続電極の形成工程について説明する。
なお、第1励振電極26は、下側導電膜26aに接続されており、第2励振電極27は、上側導電膜27aとビアホール28を介して引出し電極27bに接続されている(図3,4、参照)が、下側導電膜26a及び引出し電極27bそれぞれに接続する接続電極45,46の構造は同じであるため、下側導電膜26a側を例示して説明する。
【0046】
図7(b)に示すように、陽極接合後、積層体1の状態において、下基板ウエハ40の下面40a側に耐食膜60を形成する。耐食膜60は、基板側からCr、Au、レジスト膜の順で構成される3層構造である。CrとAuは、ガラスとレジストの密着性を高めるために形成される。また、上基板ウエハ30の上面にも耐食膜61を形成する。耐食膜61の構成も上述した耐食膜60と同様な3層構造とし、後述するエッチング工程時に、上基板ウエハ30の表面を保護するために設けられる。
【0047】
次に、凹部50の内側表面の耐食膜を露光、現像により除去する。図7(c)に示すように耐食膜60は、凹部50部分が開口される。
【0048】
次に、図7(d)に示すように、エッチング工程により凹部50の底部を除去し貫通孔44を形成する。エッチャントとしては、HFまたはH22+NH4HF2を用いて液温25〜30℃程度で、下側導電膜26aの表面が露出するまで加工する。そして、耐食膜60,61を剥離し、貫通孔44の内面を含めて洗浄する(図示せず)。
【0049】
続いて、図7(e)に示すように、下基板ウエハ40の下面40aに耐食膜62を形成し、露光、現像工程により、貫通孔44及び貫通孔44の周辺部に開口部62aを開口する。この開口部62aは、外部電極45,46を形成する領域である。
【0050】
次に、図7(f)に示すようにスパッタ等の手段で接続電極47と外部電極45,46)を形成する。外部電極45は下側導電膜26a(つまり、第1励振電極26)と接続し、外部電極46は引出し電極27b(つまり、第2励振電極)と接続する。貫通孔44は、凹部50の形成時においてテーパ形状としているため、下面側からのスパッタによって、内側の側面及び下側導電膜26a(または引出し電極27b)まで一様に接続電極47を形成することを可能にしている。
【0051】
接続電極47、外部電極45,46を形成後、耐食膜62を剥離し、洗浄して積層体1が形成される(図示せず)。
【0052】
なお、図7(b)〜図7(f)において示した工程は、本実施形態の好適な例を示したもので、他の工順を用いることが可能である。
例えば、貫通孔44を開設後(図7(d)、参照)に洗浄し、続いてスパッタ工程により接続電極47を形成する工順としてもよい。それから、耐食膜形成、露光、現像、外部電極45,46の形成を行ってもよい。また、メタルマスクを用いてスパッタ法、蒸着法にて端子形成することも可能であり、この場合耐食膜形成等の工程も不要となる。
また、貫通孔44を開設する前に、外部電極45,46を予め形成しておくことも可能である。
【0053】
さらには、外部電極45,46を省略することも可能である。このような場合、切欠き部44a(図1、参照)を利用して、第1励振電極26、第2励振電極27それぞれに対応した接続電極47を、図示しない回路基板に直接、接続する構造としてもよい。
【0054】
続いて、上述したように形成した積層体1を切断し、個片化する。
図8は、積層体1を切断する工程を模式的に示す説明図である。積層体1を、切断線2に沿って縦、横に切断し、個片化して、図1,2に示すような水晶振動子10を形成する。
【0055】
従って、前述した実施形態1によれば、水晶振動片21に設けられる第1励振電極26、第2励振電極27を下基板ウエハ40に開設される貫通孔44(個片では切欠き部44a)から外部に取り出す水晶振動子10の構造において、この貫通孔44を陽極接合が終了するまで貫通しない状態(凹部50の状態)とし、陽極接合後に貫通孔44を開設するため、陽極接合時において、貫通孔44内で放電が発生することを排除しているので、水晶振動片21及び前述した各電極を損傷することを防止することができる。
【0056】
また、下基板ウエハ40の下面40a方向に凹部50を形成しているために、下基板ウエハ40と水晶基板ウエハ20との接合面43には開口部がないため、接合面43の状態が平滑な一様な面であるため、接合品質を確保しやすいというような効果がある。
【0057】
また、凹部50を下基板ウエハ40の下面40a方向の開口部が底部よりも広いテーパ状に形成していることから、スパッタによる接続電極47の形成時において、下基板ウエハ40の下面40a側から上面40b側にある下側導電膜26aまたは引出し電極27bの深さに至るまで好適に連続した接続電極を形成することができる。
【0058】
また、このテーパ状の凹部50を、サンドブラストにより穿設することにより、研磨材の材質、粒度、吹き付け速度、時間等の調整により所望のテーパ形状を形成することが容易であり、さらに、複数の凹部50も同時に短時間で形成することができることから生産効率を高めることができる。
【0059】
さらに、凹部50の底部をエッチングにより除去しているため、前述した従来技術のような貫通孔の開設が研磨による方法に比べ、下基板ウエハ40の損傷や、厚さのばらつきが発生しないというような効果がある。
(実施形態2)
【0060】
次に、本発明の実施形態2に係る水晶振動子の製造方法について図面を参照して説明する。実施形態2は、下基板ウエハ40の上面40bに凹部を形成していることに特徴を有し、凹部の形成から貫通孔形成までの工程以外は、前述した実施形態1と共通であるため、説明を省略し、共通部分には同じ符号を付して説明する。
図9は、本実施形態に係る下基板ウエハ40の製造工程を示し、(a)は、上面40b側を示す斜視図、(b)は、(a)のC−C切断面を示す断面図である。図9(a)、(b)において、上面40b側にハーフエッチングによりキャビティーを形成するための空間となる凹部42と、凹部51と、を形成する。
【0061】
凹部51は、下基板ウエハ40の切断線2の各交点を中心に、やはりハーフエッチングにより形成する。凹部51の形成手段としては、実施形態1で説明したサンドブラストにより穿設してもよいが、本実施形態においては、エッチングにより内側側面を上面40bに対して垂直に形成することが望ましい。凹部51の残り厚さは30μm程度とする。
このように形成された下基板ウエハ40と水晶基板ウエハ20とを重ねあわせて積層する(図6、参照)。
そして、陽極接合により積層体1を形成する。
【0062】
図10は、陽極接合工程以降、接続電極形成工程を示す部分断面図である。なお、下側導電膜26a側を例示して説明する。
【0063】
図10(a)は、陽極接合工程を示している。接合工程では、水晶基板ウエハ20の上面に上基板ウエハ30、下面に下基板ウエハ40を積層し、この状態で、上下基板ウエハ及び水晶基板ウエハは図示しないホットプレートにより加熱加圧され、水晶基板ウエハ20に直流電源90の正極を、上基板ウエハ30と下基板ウエハ40には負極を接続して電圧を印加して陽極接合を行う。陽極接合の条件は、前述した実施形態1(図7も参照)と同じとする。
【0064】
下基板ウエハ40には、複数の凹部51が開口部を水晶基板ウエハ20の方向に有して形成されているが、これら凹部は、貫通していないため、陽極接合の際、貫通孔内に発生するような放電の発生を抑制している。
【0065】
次に、図10(b)に示すように、陽極接合後、積層体1の状態において、下基板ウエハ40の下面40a側に耐食膜60を形成する。耐食膜60の構成も実施形態1と同様に基板側からCr、Au、レジスト膜で構成される3層構造である。また、上基板ウエハ30の上面にも耐食膜61を形成する。
【0066】
続いて、図10(c)に示すように、耐食膜を露光、現像により不要部分を除去し、凹部51に相当する形状の開口部60aを形成する。
【0067】
次に、図10(d)に示すように、エッチング工程により凹部51の底部を除去し貫通孔44を形成する。エッチャントとしては、HFまたはH22+NH4HF2を用いて、下側導電膜26aの表面が露出するまで加工する。そして、耐食膜60,61を剥離し、貫通孔44の内面を含めて洗浄する(図示せず)。
【0068】
続いて、図10(e)に示すように、下基板ウエハ40の下面40aに耐食膜62を形成し、露光、現像工程により、貫通孔44及び貫通孔44の周辺部に開口部62aを開口する。この開口部62aは、接続電極及び外部電極を形成する領域である。
【0069】
次に、図10(f)に示すようにスパッタ等の手段で接続電極47と外部電極45,46)を形成する。外部電極45は下側導電膜26a(つまり、第1励振電極26)と接続し、外部電極46は引出し電極27b(つまり、第2励振電極27)と接続する。本実施形態では、貫通孔44は、凹部51の形成時において上面40bに対して略垂直に形成しているため、下面40a方向からのスパッタによって、内側側面及び下側導電膜26a(または引出し電極27b)まで一様に連続した接続電極47を形成することを可能にしている。
接続電極47、外部電極45,46を形成後、耐食膜62を剥離し、洗浄して積層体1を形成する。そして、切断(図8、参照)、個片化され、図1,2に示すような水晶振動子10を形成する。
【0070】
なお、本実施形態においても、貫通孔44を開設後(図10(d)に示す)に洗浄し、続いてスパッタ工程により接続電極47を形成する工順としてもよい。それから、耐食膜形成、露光、現像、外部電極45,46の形成を行う工順としてもよい。
また、貫通孔44を開設する前に、外部電極45,46を予め形成しておくことも可能である。
【0071】
さらには、外部電極45,46を省略することも可能である。このような場合、切欠き部44a(図1、参照)を利用して、第1励振電極26、第2励振電極27それぞれに対応した接続電極47を、図示しない回路基板に直接、接続する構造としてもよい。
【0072】
従って、前述した実施形態2によれば、下基板ウエハ40の上面40b方向に凹部51を形成しても、貫通孔44を陽極接合が終了するまで貫通しない状態(凹部51が形成された状態)とし、陽極接合後に貫通孔44を開設するため、陽極接合時において、放電が発生することを防止することができる。
【0073】
また、本実施形態では、凹部51をエッチング工程により穿設しているが、下基板ウエハ40の上面40bには、水晶振動片を収納するキャビティーを形成する凹部42をエッチング工程により形成しているので、凹部42と凹部51とを同じ工程で形成することができ、生産性を高めることができる。
【0074】
また、凹部51は、サンドブラスト等でも形成可能であるが、サンドブラストにより形成される凹部はテーパ形状となる。この凹部を下基板ウエハ40の下面40a側からみると逆テーパとなり、接続電極47を下面40a側からスパッタ形成する場合、下基板ウエハ40の下面40aから上面40b方向にある下側導電膜26aまたは引出し電極27bの深さに達しないことが考えられる。しかし、エッチングによれば、凹部51内の側面は下基板ウエハの下面40aに対してほぼ垂直に形成できることから接続電極47を貫通孔44の内部全体に形成することを可能にする。
(実施形態3)
【0075】
続いて、本発明の実施形態3に係る水晶振動子の製造方法について説明する。実施形態3は、接続電極47(外部電極45,46を含む)形成までは、前述した実施形態1または実施形態2による方法で形成した後、接続電極47によって形成される窪みの内部に導電性物質を埋め込んでいることに特徴を有している。実施形態1、実施形態2と異なる部分のみを説明する。
【0076】
図11は、実施形態3に係る積層体1の一部を示す断面図である。接続電極47は、貫通孔44の内面に沿って形成されているので、中心部に窪みができる。この窪みを埋めるように導電性部材70を形成する。導電性部材としては、穴埋めメッキや、半田、導電性接着剤等でも良い。
【0077】
導電性部材として、穴埋めメッキや半田を用いる場合には、接続電極47の代わりに貫通孔44の内面に下地メッキを形成する工程としてもよい。
【0078】
実施形態3によれば、接続電極47は、上述した貫通孔44内にスパッタ等で形成するが、貫通孔44が深い(下基板ウエハ40が厚い)場合には、下側導電膜26aまたは引出し電極27bの深さまで均一に形成されないことが稀に発生することが考えられるが、導電性部材70を充填することにより、下側導電膜26aまたは引出し電極27bと接続電極47との接続をより確実に行うことができる。
【0079】
なお、図11では、実施形態2による製造方法で形成された凹部形状を例示しているが、実施形態1によるテーパ状の凹部を形成する場合にも応用可能であり、より信頼性を高めることができる。
【0080】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明しているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲に逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、材質、組み合わせ、その他の詳細な構成、及び製造工程間の加工方法において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0081】
従って、上記に開示した形状、材質、製造工程などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものでないから、それらの形状、材質、組み合わせなどの限定の一部もしくは全部の限定をはずした部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0082】
例えば、前述の実施形態1〜実施形態3では、水晶振動子を例示して説明したが、ガラスと異種材料との陽極接合において、ガラスに貫通孔を形成する必要がある場合において、陽極接合時では、貫通孔とせず、陽極接合後にエッチングで貫通孔を開設することにより、貫通孔内における放電を抑制することができる。また当然、3層ではなく2層の陽極接合時にも用いることができる。
【0083】
従って、前述の実施形態1〜実施形態3によれば、陽極接合時における放電による水晶振動片の損傷を防止し、且つ、接合の信頼性を高めることができる水晶振動子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施形態1に係る水晶振動子の概略構造を示す平面図。
【図2】図1のA―A切断面を示す断面図。
【図3】本発明の実施形態1に係る水晶振動片の上面側の電極構成を示す平面図。
【図4】本発明の実施形態1に係る水晶振動片の下面側の電極構成を示す平面図。
【図5】本発明の実施形態1に係る下基板ウエハの製造工程を示し、(a)は、裏面側を示す斜視図、(b)は、(a)のB―B切断面を示す断面図。
【図6】本発明の実施形態1に係る上基板ウエハ、水晶基板ウエハ、下基板ウエハの接合前の状態を示す説明図。
【図7】本発明の実施形態1に係る接合工程〜接続電極形成工程までを示す断面図。
【図8】本発明の実施形態1に係る積層体を切断する工程を模式的に示す説明図。
【図9】本発明の実施形態2に係る下基板ウエハの製造工程を示し、(a)は、表面側を示す斜視図、(b)は、(a)のC−C切断面を示す断面図。
【図10】本発明の実施形態2に係る陽極接合工程〜接続電極形成工程を示す部分断面図。
【図11】本発明の実施形態3に係る積層体の一部を示す断面図。
【符号の説明】
【0085】
1…積層体、2…切断線、10…水晶振動子、20…水晶基板ウエハ、21…水晶振動片、22,23…振動腕、25…枠部、26a…下側導電膜、30…上基板ウエハ、31…上基板、40…下基板ウエハ、41…下基板、44…貫通孔、47…接続電極、50…凹部。




 

 


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