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発明の名称 圧電振動片の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−142628(P2007−142628A)
公開日 平成19年6月7日(2007.6.7)
出願番号 特願2005−331392(P2005−331392)
出願日 平成17年11月16日(2005.11.16)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 内藤 松太郎 / 遠藤 秀男
要約 課題
圧電振動片の生産性を向上させ、検査時における波形不良による設計変更を無くすことができる圧電振動片の製造方法を提供する。

解決手段
上記課題を解決するための圧電振動片の製造方法は、圧電体ウェハから個片に切り出して圧電振動片を形成する圧電振動片の製造方法において、まず、圧電体結晶から切り出した圧電体ウェハを研磨する。次に、研磨した前記圧電体ウェハの複数箇所における共振周波数を測定する。その後、測定した前記複数の共振周波数に基づいて、前記圧電体ウェハを研磨または/およびエッチングし、前記圧電体ウェハを所定の平行度に、かつ前記周波数測定工程の測定箇所における共振周波数を個片化後の圧電基板に所望する周波数に調整する厚み調整工程と、を有し、個片化後、あるいは励振電極形成後の圧電基板に対して周波数調整を行わないことを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
圧電体ウェハから個片に切り出して圧電振動片を形成する圧電振動片の製造方法におい
て、
圧電体結晶から切り出した圧電体ウェハを研磨する研磨工程と、
研磨した前記圧電体ウェハの複数箇所における共振周波数を測定する周波数測定工程と

測定した前記複数の共振周波数に基づいて、前記圧電体ウェハを研磨または/およびエ
ッチングし、前記圧電体ウェハを所定の平行度に、かつ前記周波数測定工程の測定箇所に
おける共振周波数を個片化後の圧電基板に所望する周波数に調整する厚み調整工程と、を
有し、
個片化後、あるいは励振電極形成後の圧電基板に対する周波数調整を行わないことを特
徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項2】
圧電体ウェハから個片に切り出して圧電振動片を形成する圧電振動片の製造方法におい
て、
圧電体結晶から切り出した圧電体ウェハを研磨する研磨工程と、
研磨した前記圧電体ウェハの複数箇所における共振周波数を測定する周波数測定工程と

測定した前記複数の共振周波数に基づいて、前記圧電体ウェハを研磨または/およびエ
ッチングし、前記圧電体ウェハを所定の平行度に、かつ前記周波数測定工程の測定箇所に
おける共振周波数を個片化後の圧電基板に所望する周波数に調整する厚み調整工程と、を
有し、
前記周波数測定工程における周波数測定箇所を、圧電体ウェハの中心部と周縁部とに設
けることを基本とし、当該周波数測定箇所の数を前記圧電体ウェハから切り出される個片
の数よりも少なくしたことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項3】
圧電体ウェハから個片に切り出して圧電振動片を形成する圧電振動片の製造方法におい
て、
圧電体結晶から切り出した圧電体ウェハを研磨する研磨工程と、
研磨した前記圧電体ウェハの複数箇所における共振周波数を測定する周波数測定工程と

測定した前記複数の共振周波数に基づいて、前記圧電体ウェハを研磨または/およびエ
ッチングし、前記圧電体ウェハを所定の平行度に、かつ前記周波数測定工程の測定箇所に
おける共振周波数を個片化後の圧電基板に所望する周波数に調整する厚み調整工程と、を
有し、
前記周波数測定工程における周波数測定箇所を、圧電体ウェハの中心部と周縁部とに設
けることを基本とし、当該周波数測定箇所の数を前記圧電体ウェハから切り出される個片
の数よりも少なくし、
個片化後、あるいは励振電極形成後の圧電基板に対する周波数調整を行わないことを特
徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項4】
前記厚み調整工程後、前記圧電体ウェハをエッチングして貫通した外形溝を設け、矩形
状の圧電振動片用個片の少なくとも3辺を形成する外形形成工程と、
前記個片に励振電極を形成する電極形成工程と、
外形溝により少なくとも3辺を形成された前記個片を前記圧電体ウェハから折り取る個
片化工程と、
を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の圧電振動片の製造
方法。
【請求項5】
前記圧電体ウェハは、水晶ウェハとし、前記圧電振動片はATカット水晶振動片とした
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の圧電振動片の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片の製造方法に係り、特に厚み滑り振動を励振するATカット水晶
振動片の製造に好適な圧電振動片の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ATカットの水晶振動片を製造する場合は、圧電体ウェハの研磨、チップ加工、
電極形成という手順を採っていた。ここで、圧電体ウェハの研磨は、ラッピング工程(粗
研磨)、エッチング工程、ポリッシュ工程(仕上げ研磨)という手順で行われ、ポリッシ
ュ工程の後に洗浄、ライトエッチング、厚み、周波数測定、周波数の合わせ込みなどが行
われる(図8:S1)。チップ加工は、ATカット水晶振動片の場合、通常、複数の圧電
体ウェハを感光性の接着剤等で接着し、ワイヤソー等を用いて切断し、切断した圧電基板
を薬液につける。切断した圧電基板を薬液につけることにより、接着剤が溶解し、圧電基
板を個片化することができる(図8:S2)。個片化された圧電基板は、各々個別に厚み
測定や周波数測定、及び目的とする共振周波数への周波数の合わせ込みが行われる(図8
:S3)。そして、個片毎の周波数調整が終了した後、蒸着やスパッタ等により個片毎に
励振電極が形成される(図8:S4)。
【0003】
このようなATカット水晶振動片の製造方法では、圧電体ウェハの状態での研磨及び周
波数の測定、合わせ込みは、大まかに行い、圧電体ウェハを個片化した後に詳細な周波数
の合わせ込みが行われる。
例えば特許文献1に開示されている製造方法がこれにあたるが、特許文献1では、歩留
りを向上させるための手段として大型の圧電体ウェハを採用し、大型の圧電体ウェハを研
磨する際の平行度のバラツキを抑制する技術について開示されている。
【特許文献1】特開2000−53567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような製造方法ではウェハレベルで求められる平行度が低いため、通
常、ウェハ面内に平行度のバラツキが残る。この平行度のバラツキは、圧電体ウェハを個
片化した際に圧電振動片単位の厚みのバラツキとなり、個片毎の共振周波数にバラツキを
生じさせる。このため、上記製造方法では圧電体ウェハを個片化した後に個片化した圧電
基板毎に周波数の測定、及び調整を行うこととなる。このため、周波数の測定、調整とい
う作業は個片が増す毎に増えることとなり、生産性を低下させる原因ともなりえる。また
、圧電振動片の主モードに対する不要モードは、個片が小さくなるほど乗りやすくなると
いう傾向があるため、個片の設計値が良好であっても検査時における波形に歪みやカップ
リングが生じるということがある。このような場合、製品としては不良と扱われてしまう
ことがあり、再加工や設計変更等を要する場合が生じ、開発設計に遅れを生じさせる原因
となる。
そこで本発明では、圧電振動片の生産性を向上させ、検査時における波形不良による設
計変更を無くすことができる圧電振動片の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための本発明に係る圧電振動片の製造方法は、圧電体ウェハから個
片に切り出して圧電振動片を形成する圧電振動片の製造方法において、圧電体結晶から切
り出した圧電体ウェハを研磨する研磨工程と、研磨した前記圧電体ウェハの複数箇所にお
ける共振周波数を測定する周波数測定工程と、測定した前記複数の共振周波数に基づいて
、前記圧電体ウェハを研磨または/およびエッチングし、前記圧電体ウェハを所定の平行
度に、かつ前記周波数測定工程の測定箇所における共振周波数を個片化後の圧電基板に所
望する周波数に調整する厚み調整工程と、を有し、個片化後、あるいは励振電極形成後の
圧電基板に対する周波数調整を行わないことを特徴とする。このような方法で圧電振動片
を製造することによれば、個片化後の圧電基板に圧電体ウェハ板面における厚みムラの影
響が出ることが無い。すなわち、圧電体ウェハを個片に分割した際に、圧電体ウェハの厚
みのバラツキにより、個片化した圧電基板間に共振周波数のバラツキが生じることが無い
。したがって、圧電基板の板厚の測定と、共振周波数の合わせ込みといった作業は、ウェ
ハ状態で行うだけで良いこととなり、個片化後の圧電基板のそれぞれを個別に検査、調整
する必要性がなくなり、圧電振動片の生産性を向上させることができる。また、ウェハ状
態での周波数の測定は、個片状態での周波数の測定に比べ、出力される波形が鮮明であり
、波形にカップリングによる乱れ等が生じる可能性も低い。このため、検査時の波形不良
によって圧電振動片の歩留りが低下することを防ぐことができる。また、波形不良等が生
じた場合には、波形が良好となる設計値を検討しなおす必要があるが、ウェハ状態での測
定に関しては、波形にカップリングによる乱れが生じる可能性が極めて低いため、これら
の設計変更が不要となり、開発設計のスピードを向上させることが可能となる。これらの
波形不良は、不要波が乗りやすい個片化後の不鮮明な周波数特性に基づく共振周波数の合
わせ込みが原因ともされるが、本発明に係る圧電振動片の製造方法では、これらの工程を
意図的に除外することで、歩留りの向上を図ることができる。
【0006】
また、上記目的を達成するための本発明に係る圧電振動片の製造方法は、圧電体ウェハ
から個片に切り出して圧電振動片を形成する圧電振動片の製造方法において、圧電体結晶
から切り出した圧電体ウェハを研磨する研磨工程と、研磨した前記圧電体ウェハの複数箇
所における共振周波数を測定する周波数測定工程と、測定した前記複数の共振周波数に基
づいて、前記圧電体ウェハを研磨または/およびエッチングし、前記圧電体ウェハを所定
の平行度に、かつ前記周波数測定工程の測定箇所における共振周波数を個片化後の圧電基
板に所望する周波数に調整する厚み調整工程と、を有し、前記周波数測定工程における周
波数測定箇所を、圧電体ウェハの中心部と周縁部とに設けることを基本とし、当該周波数
測定箇所の数を前記圧電体ウェハから切り出される個片の数よりも少なくしたことを特徴
とするものであっても良い。このような圧電振動片の製造方法であっても、個片化後の圧
電基板に圧電体ウェハ板面における厚みムラの影響を出すことが無く、上記方法と同様な
効果を得ることができる。また、上記圧電振動片の製造方法と同様に、ウェハ状態での周
波数の測定は、個片状態での周波数の測定に比べ、出力される波形が鮮明であり、波形に
カップリングによる乱れ等が生じる可能性も低い。このため、検査時の波形不良によって
圧電振動片の歩留りが低下することを防ぐことができる。また、波形不良等が生じた場合
には、波形が良好となる設計値を検討しなおす必要があるが、ウェハ状態での測定に関し
ては、波形にカップリングによる乱れが生じる可能性が極めて低いため、これらの設計変
更が不要となり、開発設計のスピードを向上させることが可能となる。また、本願発明者
らは、研磨工程後における圧電体ウェハ板面の厚みムラが、ウェハ中心部よりも周縁部が
薄くなるという傾向にあるということを見出した。このことより、周波数測定工程におけ
る周波数測定箇所を、圧電体ウェハの中心と周縁部を基本とし、周波数測定箇所の数を圧
電体ウェハから製造される個片の数よりも少なくした場合であっても、圧電体ウェハから
製造される個片数と同じ数の計測箇所を設ける場合と同程度の精度で平行度を出すことが
可能となる。
【0007】
また、上記目的を達成するための本発明に係る圧電振動片の製造方法は、圧電体ウェハ
から個片に切り出して圧電振動片を形成する圧電振動片の製造方法において、圧電体結晶
から切り出した圧電体ウェハを研磨する研磨工程と、研磨した前記圧電体ウェハの複数箇
所における共振周波数を測定する周波数測定工程と、測定した前記複数の共振周波数に基
づいて、前記圧電体ウェハを研磨または/およびエッチングし、前記圧電体ウェハを所定
の平行度に、かつ前記周波数測定工程の測定箇所における共振周波数を個片化後の圧電基
板に所望する周波数に調整する厚み調整工程と、を有し、前記周波数測定工程における周
波数測定箇所を、圧電体ウェハの中心部と周縁部とに設けることを基本とし、当該周波数
測定箇所の数を前記圧電体ウェハから切り出される個片の数よりも少なくし、個片化後、
あるいは励振電極形成後の圧電基板に対する周波数調整を行わないことを特徴とするもの
であっても良い。このような圧電振動片の製造方法であれば、上記2つの圧電振動片の製
造方法について挙げた双方の作用効果を奏することができる。
【0008】
また、上記のような圧電振動片の製造方法では、前記厚み調整工程後、前記圧電体ウェ
ハをエッチングして貫通した外形溝を設け、矩形状の圧電振動片用個片の少なくとも3辺
を形成する外形形成工程と、前記個片に励振電極を形成する電極形成工程と、外形溝によ
り少なくとも3辺を形成された前記個片を前記圧電体ウェハから折り取る個片化工程と、
を有するものであると良い。このような方法により圧電振動片を製造することによれば、
上記圧電振動片の製造方法による効果の他、次のような効果を奏することができる。まず
、個片化する圧電基板は、ウェハから折り取られ、圧電振動片が完成されるまでウェハ状
態で取り扱うことが可能となり、ハンドリング等の圧電基板の取り扱いが、個片状態の場
合に比べて容易となる。また、個片毎に形成される励振電極は、フォトリソ等の処理を用
いることにより、ウェハ単位でバッチ処理することができることとなり、生産性を向上さ
せることができる。
【0009】
また、上記圧電振動片の製造方法において、前記圧電体ウェハは、水晶ウェハとし、前
記圧電振動片はATカット水晶振動片とすることが望ましい。圧電基板の平行度は、厚み
滑り振動を励起する圧電振動片に対して最も影響を与えるものであり、圧電基板を水晶と
した場合には、ATカット水晶振動片に対して最も顕著な効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の圧電振動片製造方法に係る実施の形態について説明する。なお、以下に
示す実施の形態は、基板材料を水晶とし、製造する圧電振動片をATカット水晶振動片と
する例であるが、本発明の用途はこの種の圧電振動片に限定されるものではない。
まず、圧電体結晶である水晶のブロックから図1、図2に示すような圧電体ウェハ(以
下、単にウェハという)を切り出す。なお、図1はウェハの平面図を示すものであり、図
2は図1のウェハの正面図と、このウェハの板厚、及び周波数を計測する様子を示す図で
ある。切り出したウェハ10は、ラッピング工程、エッチング工程、ポリッシュ工程を経
て洗浄され、厚み調整が行われる。
【0011】
ラッピング工程は、いわゆる粗研磨を行う工程であり、ブロックから切り出されたウェ
ハ10表面の荒れを慣らすものである。ATカット水晶振動片は、圧電基板の厚さによっ
て、励起される振動の共振周波数が異ってくるため、エッチング工程を経ることによって
ウェハ10の大まかな厚み調整を行うのである。その後、ポリッシュ工程(仕上げ研磨)
を経ることで、ウェハ10表面を磨きあげて励振が起こりやすい状態に仕上げるのである
。そして、洗浄工程を経ることでウェハ10表面に残る研磨剤や塵等を除去することがで
き、ウェハ10単位の厚み調整、及び周波数調整が行われる。
【0012】
ここで、従来は、洗浄後におけるウェハ単位の厚み調整を行う際は、ウェハ状態で要求
される共振周波数、及び板面の平行度を出した後、複数のウェハを感光性の接着剤等を用
いて接着し、ワイヤソー等を用いて所望する大きさに切断し、薬液により接着剤を溶解さ
せるという工程を経ることによりウェハを個片化していた。元来ウェハ状態での板面の平
行度や、共振周波数の合わせ込みは、高い精度が要求されていないため、個片化された圧
電基板には、ウェハにおける板厚の面内バラツキの影響が表れることとなる。すなわち、
個片化された圧電基板は、切り出されたウェハの部位により板厚が異なり、共振周波数に
ズレが生じるのである。このため、従来は、ウェハを個片化した後に、個片単位で板厚の
調整、すなわち共振周波数の合わせ込みを行う必要が生じていた。
【0013】
このような従来技術に対し、本実施形態では、ウェハ10の厚みを測定し、その平行度
を出すための研磨、または/およびエッチング加工を行うと共に、ウェハ状態にて共振周
波数の合わせ込み、すなわちウェハ10の厚み調整を行う。共振周波数の合わせ込みは、
ウェハ10板面の数点にて周波数を測定して行うこととなるが、本願発明者らの研究によ
ると、上述したポリッシュ工程後のウェハ10では、ウェハ中心部に比べ、周縁部の厚み
が薄くなるという傾向があることが見出された。すなわち、ウェハ10面内の厚みのバラ
ツキはランダムに生じるものでは無く、ある程度の傾向があるといえるのである。
【0014】
そして、上記のような研究結果に基づき、本願発明者らがさらに鋭意研究を進めた結果
、ウェハ10板面における共振周波数の測定箇所の数を当該ウェハ10から製造される圧
電振動片18の数よりも少なく設定した場合であっても、ウェハ10の平行度を高精度に
出すことができることが判った。共振周波数の具体的な測定箇所は、図3に周波数測定ポ
イントとして白丸で示すように、ウェハ10板面の中心付近と周縁部とを基本とする。そ
して、ウェハ10の大きさ、厚み調整の精度等に合わせて適宜測定箇所の数を調整すれば
良い。例えば図4に示すように、ウェハ10から15個の個片12を切り出す(15個の
圧電振動片18を製造する)場合、本実施形態の製造方法によれば、ウェハ10の厚み調
整のための共振周波数の測定箇所は14箇所以下とすることができる。さらに言及すると
、共振周波数の測定箇所を、図3(A)に示す9箇所や、図3(B)に示す5箇所とした
場合であっても、ウェハ10は、個片12を形成する15箇所全てについて共振周波数を
測定してウェハ10の厚み調整を行う場合と遜色の無い平行度を得ることができる。
【0015】
上記のようにして測定した共振周波数に基づくウェハ10の厚み調整(周波数の合わせ
込み)は、エッチングやプラズマCVM等の技術を用いて行い、ウェハ板面の平行度を高
い精度で出すようにする。例えば本実施形態におけるウェハ10の平行度は、圧電振動片
に要求する共振周波数を基に、数式1の関係を満たす範囲に仕上げるようにすれば良い。
【数1】


ここで、Fr〔MHz〕は、圧電振動片に要求する共振周波数である。したがって、共振
周波数を13MHzとする圧電振動片18を製造する場合には、1μm以下に、共振周波
数を26MHzとする圧電振動片18を製造する場合には、0.5μm以下に、それぞれ
ウェハ10面内の厚さのバラツキを抑えるように調整すれば良い(図6:S10)。また
、本実施形態のように、ウェハ状態にて高精度に平行度を調整し、周波数の合わせ込みを
行うことで、ウェハ10を個片に分割した場合であっても個片状態での周波数のバラツキ
を無くすことが可能となる。このため、個片化した後の周波数測定、及び周波数の合わせ
込みのための厚み調整等を実施する必要性がなくなり、圧電振動片の生産性が向上する。
【0016】
また、ウェハ10は個片に比べて波形の伝播面積が広いことから、励起される主モード
の次数が高くなり、不要モードが乗りにくくなる傾向がある。このことより、ウェハ状態
で共振周波数の測定を行った場合、出力される波形に歪みが生じにくく、個片状態で共振
周波数を測定する場合に比べて出力される周波数の波形が鮮明になる。このため、個片化
後の圧電基板の共振周波数を測定する場合に比べ、合わせ込む共振周波数の測定誤差も小
さくなり、周波数歩留りも向上することとなる。
【0017】
ここで、ウェハ10の共振周波数の測定は、図2に示すように、ウェハ10板面におけ
る複数箇所を、電極20a,20bによって挟み込み、あるいは僅かに隙間をあけて挟み
込み、ウェハ10の発振動作を発振回路30によって得るようにする。発振回路30によ
って得られたウェハ10の共振周波数は、カウンタ40によって計測され、数値として得
るようにすれば良い。また、得られた共振周波数に基づいて、ウェハ10の厚さを算出す
るようにしても良い。
【0018】
また、圧電振動片の設計においては、周波数管理上、製造段階で測定した周波数特性を
示す波形にカップリングによる乱れが生じてはならない。しかし、電極膜形成後の特性か
ら逆算される圧電振動片の設計においては、偶然にも個片状態での周波数特性を示す波形
にカップリングが生じる事が多い。このような場合新たに、電極形成後に周波数特性が良
好となる圧電基板の設計値を見つけるという設計変更が必要となり、設計開発に遅れを生
じさせることとなる。
【0019】
これは、上述したように、個片12化された圧電基板の共振周波数の測定には、主モー
ドに対する不要モードの重畳が生じやすいということに起因する。例えば個片12化され
た圧電基板の周波数特性を測定すると、不要モードの重畳により図7の実線で示すような
特性が得られることがある。このような周波数特性が示された場合、波形にカップリング
が生じているため、F2とF3との間に示される共振周波数の特定が困難となり、F2、
あるいはF3の示す位置を共振レベルのピークとしてとらえ、これを共振周波数として設
定してしまうことがある。また、不要モードの重畳の仕方は、同一ウェハ10の面内にお
いてもバラツキがあり、測定される共振周波数にもバラツキが生じる。このため、圧電基
板に形成する励振電極16の膜厚の設定は、個片12毎の共振周波数の平均値に基づいて
設定されることとなるが、不要モードの重畳の仕方により、本来良品である個片12の周
波数特性が、不適切な膜厚の励振電極16を形成された結果として不良品と判定されるこ
とがあるのである。
【0020】
これに対し、上記のようにウェハ状態で共振周波数の合わせ込みを行うようにすれば、
出力波形が鮮明になるだけでなく、個片化した圧電基板を測定する場合に比べて、周波数
特性の波形にカップリングによる乱れが生じる可能性が格段に低くなるのである(例えば
図7の破線で示す特性)。したがって、合わせ込みを行った共振周波数F1に基づいて励
振電極16の膜厚を決定すれば、ウェハ10の厚みに対して選定される最適な電極膜厚と
することができ、励振電極16形成後に不良と判定されることが無い。よって、本実施形
態のような圧電振動片の製造方法によれば、製造段階において設計値の変更を必要とされ
る可能性が低いため、設計開発のスピードを向上させることができる。換言すると、本発
明に係る圧電振動片の製造方法を実施する場合には、個片12化後の共振周波数の測定、
合わせ込み(厚み調整)を行う工程は行わないようにすべき事項といえる。
【0021】
上記のようにしてウェハ状態で高精度な平行度調整、及び共振周波数の合わせ込みを行
った後、フォトリソによりウェハ状態の圧電基板に対して、ウェハ10を個片化するため
の外形溝14を形成する(図4参照)。ここで、外形溝14は個片化する圧電基板を矩形
とする場合には、当該矩形形状の少なくとも3辺に亙る貫通溝を形成することが望ましい

【0022】
フォトリソによってウェハ10を個片化するための外形溝14を形成する場合、まず、
ウェハ10に対して洗浄等の前処理を施す。その後、ウェハ10板面にエッチング液に対
する保護膜となるレジストを塗布する。レジストの塗布は、例えばスピンコーティングや
ディップコーティング等によれば良い。ウェハ10板面をレジストによりコーティングし
た後、形成する外形溝14の形状に合わせたマスクを用いて露光を行い、薬液を用いて現
像し、レジストの不要部分(外形溝形成部分)を除去する。現像終了後、不要な薬液等を
除去するため、ベーキング処理を行う。その後、エッチング液を用いてウェハ10に外形
溝14を形成するエッチング工程を経る。エッチング終了後、保護膜として使用したレジ
ストを除去する。
このようにしてウェハ10に外形溝14を形成し、ウェハ形状を枠として複数の個片1
2を保持する状態を構成することにより、製造段階におけるハンドリングが容易となる(
図6:S20)。
【0023】
この後、従来の製造方法と異なり、外形溝14によって形付けられた個片12毎の共振
周波数の測定や調整は行わず、上述したウェハレベルで調整した共振周波数に基づいて定
められた膜厚の励振電極16をウェハ10板面に形成する。励振電極16の形成は、ウェ
ハ10板面にスパッタや蒸着を用いて金属薄膜を形成し、フォトリソにより、個片化する
ための外形溝14によって区分けされた個片12毎に形成する(図5参照)。このように
して個片12に励振電極16を形成することにより、個片12の電極形成をバッチ処理で
行うことができ、圧電振動片18の生産性を向上させることができる(図6:S30)。
【0024】
励振電極16を形成した後、エアピン(不図示)により個片12を枠状のウェハ10か
ら折り取り・吸着することにより、圧電振動片18が完成する。この後、圧電振動片18
を図示しないパッケージへ搭載することにより、圧電振動子や、発振器等を構成すること
ができる。
【0025】
上記のようにしてATカット水晶振動片を製造すれば、ウェハ10を個片化した後に必
要とされていた周波数や厚みの検査、合わせ込みを行う必要性が無くなる。このため、圧
電振動片18を完成させるまでの周波数の測定回数が減ることとなり、生産性が向上する
。また、個片にした段階で圧電振動片の製造が終了するため、製造完了までの間はウェハ
状態で圧電基板を取り扱うこととなる。このため、個片化した圧電基板を取り扱う場合に
比べ、ハンドリング等の取り扱いが容易となる利点もある。さらに、本実施形態の圧電振
動片の製造方法によれば、個片12化後の共振周波数の測定、及び圧電基板あるいは励振
電極16の厚み調整を行うことに起因する不良の発生を防ぐことができる。
【0026】
上記実施形態の圧電振動片の製造方法では、励振電極16の形成について、フォトリソ
によってバッチ処理で行う旨記載した。しかしながら当然に、励振電極16の形成は、他
の方法であっても良い。例えばメッキゲージを用いて個別に励振電極16を形成する方法
等である。メッキゲージを用いた場合、励振電極16の形状に合わせた金属薄膜を直接圧
電基板の板面に形成するため、エッチング処理が不要となる。
【0027】
また、上記実施形態においては、フォトリソを用いてウェハ10に対して圧電基板を個
片化するための外形溝14を形成する旨記載した。しかしながら、本発明に係る圧電振動
片の製造方法では、ウェハ10の状態にて共振周波数の合わせ込みを行うことができてい
れば、その後の工程を厳密に指定するものではない。例えばウェハ状態にて共振周波数の
合わせ込みを行った後、ウェハ10を個片12に分割し、個片12に分割した圧電基板に
対して励振電極16を形成するという工程を経るものであっても良い。また、上記実施形
態ではフォトリソにより外形溝14を形成して個片12を折り取ることによりウェハ10
を個片化する旨記載しているが、ウェハ10の個片化は、ワイヤソーや、その他の機械的
加工によって行うものであっても良い。
【0028】
また、上記実施形態においては、ウェハ状態で共振周波数の合わせ込みを行った後(図
6:S10)、個片化のための外形溝14を形成し(図6:S20)、励振電極16を形
成する(図6:S30)旨記載した。しかしながら、例えば、ウェハ状態で共振周波数の
合わせ込みを行った後(図6:S10)、ウェハ10の板面に個片単位の励振電極14を
形成し(図6:S120)、その後に個片化のための外形溝14を形成する(図5:S1
30)という工程を経るものであっても良い。このような工程を経る場合であっても、個
片12化後の圧電基板に対する周波数測定、及び電極膜厚の調整は行わない。
【0029】
なお、ウェハ状態における共振周波数と、個片化した圧電基板における共振周波数とは
、平行度を高精度に合わせた場合であっても若干ズレが生じることとなるが、このズレ量
を考慮して設計値を求めることにより、製造される圧電振動片の共振周波数を目的値に合
致させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ウェハ状の圧電基板を示す平面図である。
【図2】ウェハ状の圧電基板の周波数を計測する様子を示すブロック図である。
【図3】ウェハ状の圧電基板の周波数測定箇所を示す図である。
【図4】ウェハに個片化のための外形溝を形成した状態を示す図である。
【図5】外形溝を形成したウェハに励振電極を形成した状態を示す図である。
【図6】本発明に係る圧電振動片の製造方法の概略を示すフローである。
【図7】ウェハ状の圧電基板と個片化された圧電基板とにおける周波数と共振レベルとの関係を示す図である。
【図8】従来の圧電振動片の製造方法の概略を示すフローである。
【符号の説明】
【0031】
10………ウェハ(圧電体ウェハ)、12………個片、14………外形溝、16………
励振電極、18………圧電振動片。




 

 


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