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発明の名称 水晶電極成膜用メタルマスク
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−103983(P2007−103983A)
公開日 平成19年4月19日(2007.4.19)
出願番号 特願2005−287188(P2005−287188)
出願日 平成17年9月30日(2005.9.30)
代理人
発明者 山口 裕 / 佐藤 貴昭 / 近野 仁志
要約 課題
水晶板を洗浄、乾燥する際に、下電極メタルマスクと中板と上電極メタルマスクとの間に洗浄液の液溜りを低減する水晶電極成膜用メタルマスクの手段を得る。

解決手段
電極パターン開口部を有する下電極メタルマスクと、水晶板を充填する開口部を有する中板と、電極パターン開口部を有する上電極メタルマスクとを備えた水晶電極成膜用メタルマスクにおいて、前記中板の両面と、下電極メタルマスク及び上電極メタルマスクの少なくとも中板に接する面とに、組み立て際に互いに平行する多数の細い溝を形成して水晶電極成膜用メタルマスクを構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
電極パターン開口部を有する下電極メタルマスクと、水晶板を充填する開口部を有する中板と、電極パターン開口部を有する上電極メタルマスクとを備えた水晶電極成膜用メタルマスクにおいて、
前記中板の両面と、下電極メタルマスク及び上電極メタルマスクの少なくとも中板に接する面とに多数の細い溝を形成することを特徴とする水晶電極成膜用メタルマスク。
【請求項2】
上記多数の細い溝の形成にフォトリソ技術とエッチング手法を用いることを特徴とする請求項1に記載の水晶電極成膜用メタルマスク。



発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、水晶板の洗浄及び電極成膜を兼ねるメタルマスクに関し、特に水晶板洗浄後、水晶板上に残る洗浄液の液留まりを大幅に低減し、水晶板上に生じる洗浄シミを改善した水晶電極成膜用メタルマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子は小型であること、経年変化が小さいこと、高精度、高安定な周波数が容易に得られること等のため、通信機器から電子機器まで広く用いられている。中でも周波数−温度特性が3次曲線を呈するATカット水晶振動子は、携帯電話等に多量に用いられている。従来、水晶振動子の製造工程における水晶板の洗浄方法としては、例えばガラス容器に洗浄液と水晶板とを入れ、このガラス容器を超音波洗浄槽に浸して水晶板を洗浄する手法が行われていた。水晶板を洗浄し、乾燥した後は、図3(a)に示すように、成膜用メタルマスクに詰め、蒸着装置等の真空中で金属を蒸着して水晶板上に電極を成膜し、パッケージ内に気密封止して水晶振動子を構成する。
【0003】
しかし、多数の水晶板をガラス容器に入れて洗浄する方法では、水晶板同志の重なり合い等により洗浄むらが生じ、乾燥後に水晶板上にシミが残るという問題があった。この解決法の一つとして、洗浄用治具に水晶板を一個ずつ詰めて洗浄する方法が、特開平10−145166号公報に開示されている。この場合の水晶振動子の製造フローは図3(b)のようになる。図4は洗浄治具の要部(一個の水晶板を収容する部分)を示す斜視図であって、下部プレート21、上部プレート22及び薄板23とからなり、それらの材質は耐食性のあるステンレス板材等である。下部プレート21と上部プレート22とは、例えば熱圧着して一体化し基板20としてもよい。
【0004】
下部プレート21には切り欠き窓(開口部)24aがあり、その周縁に複数の爪状の支持片25を備えている。上部プレート22も切り欠き窓24bがあり、その周縁に複数の凸湾曲状の間隔保持片26が形成されている。そして、薄板23にも切り欠き窓24cがあり、その周縁に複数の爪状の押さえ片27が形成され、切り欠き窓24a、24b、24cは重ねて組み立てる際に上下対向する。長方形の水晶板28は上部プレート22の切り欠き窓24bに収容される際に、凸湾曲状の間隔保持片26の先端に当接し、下部プレート21の爪状の支持片25と薄板23の爪状の押さえ片27とにより上下より保持される構造となっている。
【0005】
図5は実用に供される洗浄治具の模式的斜視図であり、基板20は下部プレート21と上部プレート22とを熱圧着し一体化したもので、上部プレート22の切り欠き窓24bに水晶板28を収容し、この上に薄板23を重ね、ネジ29等を用いて基板20と薄板23とを固定する。このとき、水晶板28は上下対向する爪状の支持片25と爪状の押さえ片27とによって保持され、切り欠き窓24bの中では凸湾曲状の間隔保持片26に点接触し、水抜きの隙間Sが大きく確保されることになる。
【0006】
更に、洗浄治具にて水晶板28を洗浄し、図6に示すように乾燥した後、基板20と薄板23とを重ねて固定した洗浄治具30に水晶板28を収容した状態で、2つの成膜用プレート31を上下から挟むように装着し、ネジ33にて洗浄治具30と成膜用プレート31、31とを固定する。成膜用プレート31にはそれぞれには励振電極生成部32aと、引き出し電極生成部32bとからなる透孔32が形成されている。これを蒸着装置等に入れ、真空中で金属を蒸発させることにより透孔32を介して水晶板に所望の電極が形成される。
【0007】
しかし、上記の洗浄治具を用いて水晶板を洗浄した後、成膜用プレート31を装着する手法では、成膜用プレート31を装着する工数が発生することと、成膜用プレート31をネジ33で取り付ける際に細かなゴミが発生し、このゴミが水晶板28に付着し、この状態で電極が形成されるおそれがあった。細かなゴミが付着した水晶振動子では、エージング特性、ドライブレベル特性等に問題が生じる場合がある。
そこで、図7に示すように水晶板を成膜用メタルマスクに装填した後、成膜用メタルマスク全体を洗浄装置に入れて、洗浄、水切り、乾燥した後、真空中にて成膜する製造フローを用いて水晶振動子を製作する場合がある。
【0008】
図8はこのような水晶電極成膜用メタルマスクの一例の模式的斜視図であり、下枠治具40a、下電極マスク41a、中板42、上電極マスク41b、上枠治具40bとからなる。下枠治具40a、上枠治具40bにはそれぞれ開口部43a、43bがあり、下電極マスク41a、上電極マスク41bにはそれぞれ所望の電極形状パターンの開口部44a、44bが形成されている。そして、開口部43a、43bの形状は開口部44a、44bの形状より十分に大きくする。中板42には水晶板を収容する開口部45が形成されており、中板42の厚さは水晶板の厚さより若干厚く設定する。下電極マスク41a、上電極マスク41bの厚さは薄い方が望ましいが、マスクの大きさと強度を考慮して適切に設定する。また、材質としては耐蝕性のあるステンレスを用いる場合が多い。
【0009】
水晶電極成膜用メタルマスクの使用法は、下枠治具40aのガイドピンPに順に下電極マスク41a、中板42のガイドピン孔46を通して重ね、中板42の開口部45に水晶板Xを充填した後、さらに上電極マスク41b、上枠治具40bのガイドピン孔46を通して重ね、ネジ孔47にネジ48を挿入回転して固定する。この水晶電極成膜用メタルマスクを洗浄装置に浸して水晶板を洗浄する。
【0010】
図9(a)は一例として実用的な中板42の構成を示す平面図であり、水晶板Xを充填する開口部45が縦横に多数空けられている。中板42の開口部の一部αを拡大した図を図9(b)に示す。
【特許文献1】特開平10−145166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特開平10−145166号公報の洗浄治具を用いて水晶板を洗浄した後、成膜用プレートを装着する手法では、図10に示すように成膜用プレート31と水晶板28との間に隙間Gが生じ、成膜した電極の輪郭に膜ボケが発生するという問題があった。また、図8、9に示した水晶電極成膜用メタルマスクでは、中板42に水晶板Xを充填し、洗浄装置に浸して洗浄した後、水切り、乾燥させる際に、図9(b)の開口部45間βの拡大図を同図(c)に示すように、洗浄液の水滴49が中板42の開口部45間の面に残り、完全に除去することが難しい。この状態を水晶電極成膜用メタルマスクの要部断面図で示すと図11のようになり、水晶板Xと下電極マスク41a、中板42、上電極マスク41bとの間に洗浄液の液溜まり50が生じ、水晶板を乾燥すると部分的に洗浄シミが発生するという問題があった。
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、洗浄シミを大幅に低減し、膜ボケを無くした水晶電極成膜用メタルマスクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る水晶電極成膜用メタルマスクに請求項1の発明は、電極パターン開口部を有する下電極メタルマスクと、水晶板を充填する開口部を有する中板と、電極パターン開口部を有する上電極メタルマスクとを備えた水晶電極成膜用メタルマスクにおいて、前記中板の両面と、下電極メタルマスク及び上電極メタルマスクの少なくとも中板に接する面とに多数の細い溝を形成して水晶電極成膜用メタルマスクを構成することを特徴とする。
請求項2の発明は、上記多数の細い溝の形成にフォトリソ技術とエッチング手法を用いることを特徴とする請求項1に記載の水晶電極成膜用メタルマスクである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水晶電極成膜用メタルマスクにおける請求項1の発明は、中板の両面と、下電極マスク及び上電極マスクの少なくとも中板に接する面に多数の細い溝を形成したので、洗浄後の水滴が重力により前記溝に沿って滴り落ち、容易に除去できるので、水晶板の洗浄シミを大幅に改善できるという利点がある。
請求項2の発明は、中板の両面、下電極マスク及び上電極マスクの面に多数の細い溝を形成する手段を具体的に示したので、本発明の実用を容易とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は本発明に係る水晶洗浄及び電極成膜用メタルマスクの実施の形態を示す模式的斜視図であって、下枠治具1a、下電極マスク2a、中板3、上電極マスク2b、上枠治具1bとを備えている。下枠治具1a、上枠治具1bにはそれぞれ開口部4a、4bを有し、下枠治具1aの端にはガイドピンPとネジ孔8とを設け、上枠治具1bにはガイドピン孔7とネジ孔8とを設ける。また、下電極マスク2a、上電極マスク2bにはそれぞれ成膜用開口部5a、5bを形成し、それぞれの端にはガイドピン孔7とネジ孔8とを設ける。また、中板3には水晶板を充填するための開口部6を形成し、端にはガイドピン孔7とネジ孔8とを設ける。そして、中板3の厚さは水晶板の厚さより若干厚く設定し、下電極マスク2a、上電極マスク2bの厚さは薄い方が望ましいが、マスクの大きさとその強度を考慮して適切に設定する。また、これらの材質としては耐蝕性のあるステンレスを用いる場合が多い。
【0015】
水晶電極成膜用メタルマスクの使い方は、下枠治具1aのガイドピンPに下電極マスク2a、中板3のそれぞれのガイドピン孔7を通して重ね、中板3の開口部6に水晶板Xを充填した後、上電極マスク2b、上枠治具1bのそれぞれのガイドピン孔7を通して重ね、ネジ孔8にネジ9を挿入回転して固定する。固定した水晶電極成膜用メタルマスクを洗浄装置に入れ、水晶板を洗浄すると共に上、下枠治具1a、1b等に付着する細かいゴミも同時に取り除く。これは蒸着装置の中で水晶電極成膜用メタルマスクを回転させる際に、上、下枠治具1a、1b上にあるゴミが水晶板に付着することを避けるためでもある。なお、下枠治具1a及び上枠治具1bの開口部4a、4bの大きさは水晶板洗浄と電極成膜とに支障のないように大きく空ける必要がある。
【0016】
図2は中板3の構成を示す平面図であり、同図(a)は全体図、同図(b)は(a)の開口部6の一部αの拡大図、同図(c)は(b)の開口部6間βの拡大図、同図(d)は(c)の断面図である。図3(c)の拡大図に示すように中板3の開口部6間の面に、フォトリソ技術とエッチング手段と用いて多数の細い溝10を形成し、水滴が重力により中板3の溝10を伝わって矢印方向(重力方向)に落下し易くするようにする。中板3の両面に多数の細い溝10を形成すると共に、下電極マスク2a、上電極マスク2bの面の少なくとも中板3に接する面に中板3と同様に細い溝10を形成する。このとき、中板3の両面に形成する溝、下電極マスク2a、上電極マスク2bの面に形成する溝の方向は同一方向に形成する。
このように、中板3、下電極マスク2a、上電極マスク2bの表面に多数の細い溝を形成することにより、水滴の水切れが良くなり、図11に示した液溜まりが減り、乾燥後の洗浄シミが大幅に低減される。また、水切りには遠心力を用いるとより有効である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る水晶電極成膜用メタルマスクの構成を示す模式的斜視図である。
【図2】中板の構成を示す平面図で、(a)は全体図、(b)、(c)は拡大図である。
【図3】(a)は従来の製造フローの一部を示す図、(b)は改良を施した従来の製造フローの一部を示す図である。
【図4】従来の洗浄治具の要部の構成を示した斜視図である。
【図5】従来の洗浄治具の構成を示した斜視図である。
【図6】洗浄治具の上下から成膜用プレートを装着する様子を示す斜視図である。
【図7】従来の製造フローの一部を示す図である。
【図8】従来の水晶成膜用メタルマスクの構成を示す概略斜視図である。
【図9】従来の中板の構成を示す平面図で、(a)は全体図、(b)、(c)は拡大図である。
【図10】洗浄治具に成膜用プレートを装着したものの要部の断面図である。
【図11】従来の水晶電極成膜用メタルマスクを用いて洗浄した後の要部の断面図である。
【符号の説明】
【0018】
1a 下枠治具
1b 上枠治具
2a 下電極マスク
2b 上電極マスク
3 中板
4a、4b 開口部(下、上枠治具の)
5a、5b 開口部(下、上電極マスクの)
6 開口部(中板の)
7 ガイドピン孔
8 ネジ孔
P ガイドピン
9 ネジ
10 中板の両面に形成した溝







 

 


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