米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 電気素子 -> エプソントヨコム株式会社

発明の名称 ルビジウム原子発振器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−88538(P2007−88538A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−271363(P2005−271363)
出願日 平成17年9月20日(2005.9.20)
代理人
発明者 柴田 恒則
要約 課題
LC発振回路で構成されるランプ励振器の発振回路は温度変化等に対する周波数変化率が極めて大きく、その信号成分がランプ励振器の回路構成部品を搭載したプリント基板上のパターンを経由して周波数制御部の他の回路に入り込み、ルビジウム原子発振器としての特性を劣化させる。

解決手段
キャビティ16の受信アンテナ15で取り出したマイクロ波帯の信号より、ローパスフィルタ42aによってその遮断周波数以下のビート周波数信号を検出して低周波増幅器42bによって増幅し、その出力信号を整流回路42cで直流化して直流増幅回路42dにて増幅する。この出力をレベル比較回路42eにおいて基準レベルVrefと比較し、大きい場合レベル比較回路42eより所定の直流電力を制御電圧切換回路43の励磁コイルLに印加して、切換器SWを動作させ、該切換器SWの常時開回路端子NOを介して制御電圧V2を可変容量ダイオードD1に印加する。
特許請求の範囲
【請求項1】
ルビジウム原子が封入されたルビジウムランプと、該ルビジウムランプに高周波信号を供給してルビジウム励起光を点灯させるランプ励振手段と、ルビジウム原子が封入されたガスセルと、前記ガスセルを通過した前記ルビジウム励起光を検出する光検出手段と、少なくとも前記ガスセルを収容するキャビティと、前記ガスセルに封入されたルビジウム原子の共鳴周波数に同期した発振信号を出力する電圧制御型圧電発振器(スレーブ発振器)と、前記光検出手段の出力信号から前記電圧制御型圧電発振器の周波数を制御する電圧を生成する手段と、該電圧制御型圧電発振器の出力信号を所定の低周波信号にて位相変調あるいは周波数変調すると共にこれを前記共鳴周波数に等しい中心周波数のマイクロ波に周波数変換して前記キャビティに供給する手段と、前記キャビティのマイクロ波帯の信号を受信する受信アンテナとを備えたルビジウム原子発振器において、
前記ランプ励振手段は、周波数可変手段を有し前記ルビジウム励起光を点灯させるための高周波信号を発生する周波数可変発振器と、前記受信アンテナ受信信号の中から前記共鳴周波数に等しい中心周波数のマイクロ波とスプリアス信号とのビート周波数を検出するビート周波数検出手段と、複数の制御電圧を切替えて前記周波数可変発振器の周波数可変手段に供給する制御電圧切換手段とを備え、前記ルビジウム原子発振器の動作開始時には、前記周波数可変発振器が所定の高周波信号を発振するように、前記制御電圧切換手段より第1の制御電圧を供給し、前記ビート周波数検出手段において所定の周波数帯域内のビート周波数を検出した場合は、前記制御電圧切換手段より前記第1の制御電圧と異なる制御電圧を供給することによって、前記ビート周波数が前記所定の周波数帯域外となるように前記周波数可変発振器の発振周波数を切替えるよう構成したことを特徴とするルビジウム原子発振器。
【請求項2】
前記ビート周波数検出手段は、前記受信アンテナの受信信号を所定の遮断周波数で低域濾波するローパスフィルタと、該ローパスフィルタ出力を増幅する低周波増幅回路と、該低周波増幅回路出力を直流化する整流回路と、該整流回路出力を増幅して基準の直流レベルと比較し該基準の直流レベルを越えたときに所定のレベルの電圧を出力するレベル比較回路とから成り、前記制御電圧切換手段は、第1の制御電圧が印加された常時閉回路端子と第2の制御電圧が印加された常時開回路端子と共通端子とを有する切換器と、前記レベル比較回路の出力電圧に従い前記切換器を励磁しこれを切換える励磁コイルとを備え、前記切換器の共通端子から前記第1の制御電圧あるいは第2の制御電圧のいずれか一方を選択して出力したことを特徴とする請求項1記載のルビジウム原子発振器。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルビジウム原子発振器に関し、特に、ランプ励振器の発振周波数のずれによる影響を抑えて、優れた周波数安定度を有するルビジウム原子発振器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルビジウム原子発振器は、光マイクロ波ユニットにおける原子の光・マイクロ波二重共鳴現象を利用して、ルビジウム原子の持つ極めて安定度の高い固有周波数に水晶発振器の発振周波数を同期させた発振器であって、SDH等の情報通信の網同期システム、GPS機能を用いた位置特定サービス用の基地局等における、周波数安定度の極めて高い基準周波数発生源として用いられている。
【0003】
図4は、従来のルビジウム原子発振器の一例の構成概要を示す模式図である。本ルビジウム原子発振器50は、光マイクロ波ユニット10と、周波数制御部30と、電圧制御型水晶発振器40(スレーブ発振器)と、バッファアンプ41とで構成される。
前記光マイクロ波ユニット(0ptica1 Microwave Unit、以下、OMUという)10は、ルビジウム原子が封入されたルビジウムガスセル(以下、単にガスセルという)11、
ルビジウム原子励起光を発するルビジウムランプ12、前記ガスセルを通過してくる励起光の検出装置としての太陽電池13、マイクロ波を発生する逓倍・混変調回路14、マイクロ波帯信号モニタ用の受信アンテナ15、前記ガスセル11と太陽電池13と逓倍・混変調回路14と受信アンテナ15とを収容するキャビティ16、前記ルビジウムランプ12を収容する熱筒17、及び前記ガスセル11に封入されているルビジウム原子の共鳴周波数を設定するC磁場を発生するソレノイド・コイル18を備えている。
【0004】
さらに、前記OMU10は、前記ルビジウムガスセル11を外部の磁場から遮断する磁気シールド構造19、前記ルビジウムランプ12を励振するランプ励振器24、前記逓倍・混変調回路14に後述の周波数制御回路30からの2つの高周波信号を効率よく伝達する整合回路21、前記ルビジウムガスセル11を所定の温度に保つためのガスセル部温度制御回路22、及び前記熱筒17を所定の温度に保つための熱筒部温度制御回路23を備えている。
【0005】
また、前記周波数制御部30は、所定の低周波の変調用信号を発生する低周波発振器31、該低周波発振器31出力によって前記電圧制御型水晶発振器(以下、VCXOという)40の出力を位相変調する位相変調回路32と、該周波数変調回路32出力信号の周波数を逓倍する周波数逓倍回路33と、前記VCXO40出力信号を所定の周波数に変換する周波数変換回路34と、前記OMU10の太陽電池13出力を前記低周波発振器31出力で位相検波する位相検波回路35と、該検波出力をもとに前記VCXO40の制御電圧を生成する制御電圧発生回路36とで、構成される。
【0006】
上記構成のルビジウム原子発振器の動作は次のとおりである。先ず、OMU10における光・マイクロ波の二重共鳴現象について説明する。
図5は、ルビジウム原子発振器のOMU10における光・マイクロ波の二重共鳴の動作原理を説明する図である。
同図(a)に示されるように、通常の熱平衡状態ではガスセル11中のルビジウム原子は基底準位の(5S,F=1)と(5S,F=2)の各準位に、等しい確率で存在している。
この状態で、ランプ励振器24によって励振されたルビジウムランプ12の励起光がガスセル11に照射されると(5S,F=1)準位のルビジウム原子のみが励起光を吸収して光ポンピングされ、励起準位(5P準位)へ励起される(同図(b))。
【0007】
しかし、励起準位(5P準位)は不安定なエネルギー準位であるので、自然放出によって基底準位である(5S,F1)準位と(5S,F2)準位に等しい確率で遷移する(同図(c))。
そして、ルビジウムランプ12の励起光による(5S,F1)準位のルビジウム原子の光ポンピングによる5P準位への励起と、自然放出による5P準位から(5S,F1)準位への遷移、あるいは(5S,F2)準位への遷移が繰り返される。これによって、ルビジウム原子は(5S,F2)準位にのみ存在する負温度の状態となる(同図(d))。
この負温度の状態で、逓倍・混変調回路14より輻射されるマイクロ波(以下、輻射マイクロ波という)によって、キャビティ16が励振されると、ガスセル11の(5S,F2)準位にあるルビジウム原子は誘導放出によって(5S,F1)準位に遷移する(同図(e))。
一方、前述の光ポンピングのときに、ガスセル11のルビジウム原子はルビジウムランプ12から出力された励起光のエネルギーを吸収するので、励起光を検出する太陽電池13の出力レベルが低下する。
【0008】
そして、ルビジウム原子が(5S,F2)準位から(5S,F1)準位に遷移する確率は、輻射マイクロ波の周波数が(5S,F2)準位と(5S,F1)準位のエネルギー差に対応する周波数(これを共鳴周波数という)に一致した時に最大になり、前記輻射マイクロ波の周波数と共鳴周波数との差が大きくなる程低下する。
即ち、前記太陽電池13の出力は、前記輻射マイクロ波の周波数が共鳴周波数f0に一致した時に最小になり、輻射マイクロ波の周波数と共鳴周波数f0との差が大きくなる程増加し、最終的には、輻射マイクロ波による誘導放出が起きない状態となり光検出器出力は一定になる。
その結果、ガスセル11を透過したルビジウムランプ12の励起光のレベルを光検出装置(太陽電池13)で検出すると、同図(f)に示されるように、共鳴周波数f0近傍に急激な凹部(ディップ部)を有する光吸収スペクトル曲線がえられる。
【0009】
上述のOMU10における光マイクロ波二重共鳴現象を利用したルビジウム原子発振器50の動作は次のとおりである。
図4において、VCXO40は、その制御端子に印加される制御電圧に応じた発振周波数を出力し、10MHzの標準周波数信号をバッファアンプ41を介して外部へ出力すると共に、その出力信号の一部は周波数制御部30の位相変調回路32において低周波発振器31の出力によって位相変調され、さらに、周波数逓倍回路33によって180MHzに周波数逓倍されて前記OMU10の整合回路21に出力される。
さらに、前記VCXO40の出力信号は、周波数変換回路34において、5.3125MHzに周波数変換されて前記整合回路21に出力される。
【0010】
前記整合回路21を介して逓倍・混変調回路14に供給された180MHzの位相変調信号と5.3125MHzの2つの高周波信号は、該逓倍・混変調回路14において、図示しないステップリカバリダイオードによって6,840MHzに逓倍される。さらに、この6,840MHzと5.3125MHzの両信号が混変調されて、6834.6875MHzのマイクロ波が生成され、これが図示しない送信アンテナを介してキャビティ16を励振する。尚、受信アンテナ15は、前記マイクロ波を受信するためのモニタ用のアンテナである。
【0011】
図6は、太陽電池出力を位相検波して得られる出力を説明した図で、(a)は太陽電池出力の説明図、(b)は位相検波出力特性図を示したものである。
前述したように、前記逓倍・混変調回路14への180MHzの高周波入力信号は、低周波発振器31出力によって位相変調されているので、キャビティ16を励振する逓倍・混変調回路14出力の輻射マイクロ波の周波数は変化する。このため、ガスセル11における光の吸収量が変わり、太陽電池13の出力レベルが変化する。
同図(a)において、まず、輻射マイクロ波の中心周波数がガスセル11における共鳴周波数f0にちょうど等しい時には、輻射マイクロ波の周波数は前記光吸収スペクトル曲線のディップ部の底付近で変化するので、太陽電池13の出力は同図のアに示すように、低周波信号を全波整流したような波形になる。
【0012】
次に、輻射マイクロ波の中心周波数がガスセル11の共鳴周波数f0より高い時には、輻射マイクロ波の周波数は光吸収スペクトル曲線のディップ部の右側の立ち上り部で変化するので、太陽電池13の出力は同図のイに示す如く、低周波信号と同じ位相で変化する。
一方、輻射マイクロ波の中心周波数がガスセル11の共鳴周波数f0より低い時には、該周波数は光吸収スペクトル曲線のディップ部の左側の立ち下り部で変化するので、太陽電池13の出力は同図のウに示す如く、低周波信号と逆の位相で変化する。
【0013】
上述の太陽電池13の出力信号を、周波数制御回路30の位相検波回路35において低周波発振器31の出力によって位相検波すると、図6(b)に示した位相検波出力特性が得られる。同図に示すように、輻射マイクロ波の中心周波数がガスセル11の共鳴周波数f0に等しい時には、位相検波回路35の出力電圧はゼロになる。
一方、輻射マイクロ波の中心周波数がガスセル11の共鳴周波数f0より低い時には、位相検波回路35の出力電圧は正の値になり、また、輻射マイクロ波の中心周波数がガスセル11の共鳴周波数f0より高い時には、位相検波回路35の出力電圧は負の値になる。
【0014】
上述の位相検波回路35の出力を制御電圧発生回路36に供給し、該制御電圧発生回路36においてこの出力を積分処理することによって得た制御電圧をVCXO40に供給する。
即ち、この制御電圧発生回路36の出力電圧によって前記VCXO40の出力周波数は、輻射マイクロ波の中心周波数がガスセル11の共鳴周波数f0に等しくなるように制御される。その結果、ルビジウム原子発振器50は高精度の10MHzの標準周波数信号を、前記バッファアンプ41を介して外部へ供給することができる。
【特許文献1】特開2000−4095号公報
【非特許文献1】“SMALL-SIZED RUBIDIUM OSCILLATOR” 1998 IEEE INTERNATIONAL FREQUENCY CONTROL SYMPOSIUM
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、従来のルビジウム原子発振器50のルビジウムランプ12を点灯・励振するランプ励振器24は、コルピッツ型LC発振回路で構成されるのが一般的である。図7は、従来のランプ励振器の一例を示す回路構成図である。
同図に示されるように、このランプ励振器24は、発振用トランジスタQ1と、バイアス用抵抗R1、R2、R3、R4と、発振周波数調整用のトリマーコンデンサC1と、固定コンデンサC2、C3と、前記ルビジウムランプ12を中に挿入した空芯コイルで形成されるインダクタンスL1と、で構成される一般的なコルピッツ型のLC発振器である。そして、その発振周波数は、前記コンデンサC1、C2、C3とインダクタンスL1とで決定される。
そのため、前記ランプ励振器24の発振周波数は温度変化等による周波数変化率が極めて大きいため周波数安定度が悪く、また、ルビジウムランプ12を点灯させるために大振幅の信号で発振させるため、その信号成分が、ランプ励振器24の回路構成部品を搭載した図示しないプリント基板上のパターンや空間を経由して前記周波数制御部30の他の回路に回り込み、ルビジウム原子発振器としての特性を劣化させるという問題があった。
【0016】
特に、本来、前記VCXO40出力が位相変調回路32、周波数逓倍回路33及び逓倍・混変調回路14によって6,840MHzの周波数成分のみが選択出力されるべきであるが、温度変化等によって所定値から変動したランプ励振器24の発振周波数が前記位相変調回路32、周波数逓倍回路33、逓倍・混変調回路14に回り込む場合があり、この回り込んだ周波数の高調波成分が悪影響を与えたり、あるいは、該高調波成分とVCXO40出力の高調波成分との混変調成分が悪影響を与えることがある。
例えば、本ランプ励振器24が70MHz帯の発振周波数をもつ場合、温度変化等によってその周波数が71.25MHzに変動した場合、ランプ励振器24の発振出力の96次の高調波成分として6,840MHzが現れる。また、同様に、ランプ励振器24の周波数が71.6667MHzに変動した場合、その発振出力の96次の高調波成分(6,880.0032MHz)とVCXO40の出力の10MHzの4次の高調波成分(40MHz)との混変調によって6,840MHzが現れる。
【0017】
したがって、このような不要な6,840MHzの周波数成分が、周波数逓倍回路33及び逓倍・混変調回路14を経て生成される6,840MHzの信号と互いに干渉しあい、ルビジウム原子発振器50出力の周波数安定度を極めて低下させるという重大な問題があった。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、高安定で優れた特性を有するルビジウム原子発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、請求項1においては、ルビジウム原子が封入されたルビジウムランプと、該ルビジウムランプに高周波信号を供給してルビジウム励起光を点灯させるランプ励振手段と、ルビジウム原子が封入されたガスセルと、前記ガスセルを通過した前記ルビジウム励起光を検出する光検出手段と、少なくとも前記ガスセルを収容するキャビティと、前記ガスセルに封入されたルビジウム原子の共鳴周波数に同期した発振信号を出力する電圧制御型圧電発振器(スレーブ発振器)と、前記光検出手段の出力信号から前記電圧制御型圧電発振器の周波数を制御する電圧を生成する手段と、該電圧制御型圧電発振器の出力信号を所定の低周波信号にて位相変調あるいは周波数変調すると共にこれを前記共鳴周波数に等しい中心周波数のマイクロ波に周波数変換して前記キャビティに供給する手段と、前記キャビティのマイクロ波帯の信号を受信する受信アンテナとを備えたルビジウム原子発振器において、
前記ランプ励振手段は、周波数可変手段を有し前記ルビジウム励起光を点灯させるための高周波信号を発生する周波数可変発振器と、前記受信アンテナ受信信号の中から前記共鳴周波数に等しい中心周波数のマイクロ波とスプリアス信号とのビート周波数を検出するビート周波数検出手段と、複数の制御電圧を切替えて前記周波数可変発振器の周波数可変手段に供給する制御電圧切換手段とを備え、前記ルビジウム原子発振器の動作開始時には、前記周波数可変発振器が所定の高周波信号を発振するように、前記制御電圧切換手段より第1の制御電圧を供給し、前記ビート周波数検出手段において所定の周波数帯域内のビート周波数を検出した場合は、前記制御電圧切換手段より前記第1の制御電圧と異なる制御電圧を供給することによって、前記ビート周波数が前記所定の周波数帯域外となるように前記周波数可変発振器の発振周波数を切替えるよう構成したことを特徴とする。
【0019】
請求項2においては、請求項1記載のルビジウム原子発振器において、前記ビート周波数検出手段は、前記受信アンテナの受信信号を所定の遮断周波数で低域濾波するローパスフィルタと、該ローパスフィルタ出力を増幅する低周波増幅回路と、該低周波増幅回路出力を直流化する整流回路と、該整流回路出力を増幅して基準の直流レベルと比較し該基準の直流レベルを越えたときに所定のレベルの電圧を出力するレベル比較回路とから成り、前記制御電圧切換手段は、第1の制御電圧が印加された常時閉回路端子と第2の制御電圧が印加された常時開回路端子と共通端子とを有する切換器と、前記レベル比較回路の出力電圧に従い前記切換器を励磁しこれを切換える励磁コイルとを備え、前記切換器の共通端子から前記第1の制御電圧あるいは第2の制御電圧のいずれか一方を選択して出力したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明のルビジウム原子発振器においては、キャビティを励振するマイクロ波帯の信号を受信する受信アンテナの受信信号の中から、該受信信号を所定の遮断周波数を有するローパスフィルタでフィルタリングすることによって、ガスセルに封入されたルビジウム原子の共鳴周波数に等しい中心周波数のマイクロ波とランプ励振器の発振周波数が変動することによって発生するスプリアス信号との差の周波数のビート周波数を検出し、このビート周波数検出信号をもとにランプ励振器の周波数制御回路に印加する制御電圧を、前記ビート周波数が高くなるように構成した。
その結果、周囲温度の変化等によって、ランプ励振器の発振周波数が変動して、その周波数の高調波成分や、前記高調波成分と前記電圧制御型圧電発振器の高調波成分との混変調によって作り出される不要な周波数成分が、本来、前記電圧制御型圧電発振器出力を逓倍することによって得る所定の高周波信号の周波数と一致し、お互いが干渉しあってルビジウム原子発振器の特性を劣化させるという問題を事前に防止できる。
したがって、本発明によれば高安定なルビジウム原子発振器を実現する上で著しい効果を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を図面に示した実施の形態に基づいて説明する。図1は、本発明に係わるルビジウム原子発振器の実施の一形態例を示す構成概要図である。
同図に示されるように、本ルビジウム原子発振器100は、光マイクロ波ユニット10と、周波数制御回路30と、スレーブ発振器としての電圧制御型水晶発振器(以下、VCXOという)40と、バッファアンプ41と、ビート周波数検出回路42と、制御電圧切換回路43とで構成される。
前記光マイクロ波ユニット(0ptica1 Microwave Unit、以下、OMUという)10は、ルビジウムガスセル(以下、単にガスセルという)11、ルビジウムランプ12、太陽電池13(光検出手段)、逓倍・混変調回路14、受信アンテナ15、キャビティ16、熱筒17、及びソレノイド・コイル18を備えている。
さらに、前記OMU10は、磁気シールド構造19、前記ルビジウムランプ12を励振するランプ励振器20、整合回路21、ガスセル部温度制御回路22、及び熱筒部温度制御回路23を備えている。
次に、前記周波数制御部30は、低周波発振器31、位相変調回路32、周波数逓倍回路33、周波数変換回路34、位相検波回路35及び制御電圧発生回路36で構成される。
【0022】
そして、前記光マイクロ波ユニット10の各構成部位は、ランプ励振器20を除いて、図4に示した従来の光マイクロ波ユニット10の同一の符号で示されたガスセル11、ルビジウムランプ12、太陽電池13、逓倍・混変調回路14、受信アンテナ15、キャビティ16、熱筒17、ソレノイド・コイル18、磁気シールド構造19、整合回路21、ガスセル部温度制御回路22、及び熱筒部温度制御回路23と同一の構成、機能を有する。
また、前記周波数制御回路30、VCXO40及びバッファアンプ41は、図4の従来のルビジウム原子発振器50における同一符号で示された周波数制御回路30、VCXO40及びバッファアンプ41と同一の構成、機能を有する。
したがって、上記の同一の符号を有する各構成部位の詳細な機能・動作の説明は省略する。
【0023】
図2は、前記ランプ励振器20、ビート周波数検出回路42及び制御電圧切換回路43の詳細回路構成図である。
同図に示されるように、ランプ励振器20は、トランジスタQ1、抵抗R1、R2、R3、R4、前記ルビジウムランプ12を中に挿入した空芯コイルで形成されるインダクタンスL1、トリマーコンデンサC1、固定コンデンサC2、C3及び可変容量ダイオードD1(周波数可変手段)で構成される。
本ランプ励振器20は、図7に示したランプ励振器24において、トリマーコンデンサC1と接地間に可変容量ダイオードD1を追加したものであって、該トリマーコンデンサC1と可変容量ダイオードD1との接続点に後述する周波数制御電圧を印加するよう構成したコルピッツ型のLC発振器である。その発振周波数は、トリマーコンデンサC1、固定コンデンサC2、C3、後述の制御電圧切換回路43よりの制御電圧によってその容量値が決まる可変容量ダイオードD1及びインダクタンスL1で決定される。
【0024】
また、ビート周波数検出回路42は、所定の遮断周波数を備えたローパスフィルタ42aと、該ローパスフィルタ42a出力信号を増幅する低周波増幅器42bと、該低周波増幅器42b出力を直流化する整流回路42cと、直流増幅回路42dと、該直流増幅回路出力と基準電圧Vrefと比較するレベル比較回路42eと、で構成される。
さらに、制御電圧切換回路43は、直流電源V1が接続された常時閉路端子NCと、直流電源V2が接続された常時開路端子NOとを有する切換器SWと、前記切換器SWを切換える励磁コイルLを備え、切換器SWの共通端子Cより前記V1、V2のいずれか一方が周波数制御電圧として選択出力される。
【0025】
本発明のルビジウム原子発振器100の特徴的な点は、従来、製造段階において逓倍・混変調回路14から輻射されるマイクロ波のモニタ用として使用していた受信アンテナ15の受信信号をビート周波数検出回路42に入力して、前記VCXO40を逓倍して得られる6,840MHzの信号とその近傍に発生したスプリアスとによって生じるビート信号成分を検出し、該ビート信号成分をもとにして周波数制御電圧を生成してランプ励振器20の発振周波数を制御するよう構成したことである。
【0026】
本ルビジウム原子発振器100におけるランプ励振器20の発振周波数は次の用に制御される。
まず、ルビジウム原子発振器100の動作開始時において、前記ランプ励振器20の可変容量ダイオードD1には電圧切換回路43の切換器SWの常時閉路端子NCと共通端子Cを介して直流電源V1の電圧が印加されている。
この電圧(V1)によって決定される前記可変容量ダイオードD1の容量とトリマーコンデンサC1と固定コンデンサC2、C3及びインダクタンスL1によって、ランプ励振器20は所定の発振周波数を発振してルビジウムランプ12を励起する。このルビジウムランプ12の励起光によってガスセル11のルビジウム原子が励起され、前述した従来例と同様に、VCXO40より10MHzの標準周波数信号を、バッファアンプ41を介して外部へ供給する。
【0027】
次に、周囲温度の変化等によって、前記ランプ励振器20の発振周波数が変動すると、変動した周波数の高調波成分、あるいは該高調波成分とVCXO40出力の高調波との混変調によるスプリアス成分周波数が、VCXO40出力を周波数逓倍回路33及び逓倍・混変調回路14によって逓倍して得られる6,840MHzに接近し、その差の周波数のビート周波数が受信アンテナ15で受信される。
このビート周波数成分の信号は、前記ビート周波数検出回路42のローパスフィルタ42aに入力され、その周波数が該ローパスフィルタ42aの遮断周波数以下の場合にその出力として低周波増幅器42bに出力され、該低周波増幅器42bにおいて増幅される。増幅された低周波信号は整流回路42cにおいて整流されて直流化され、直流増幅回路42dに出力される。
直流増幅回路42dにおいて増幅された前記直流出力は、レベル比較回路42eにおいて予め設定された基準電圧Vrefと比較される。そして、その直流レベルが基準電圧Vrefを越えたときに、該レベル比較回路42eは所定のレベルの直流電圧を電圧切換回路43に出力し、不要なスプリアス成分が発生したものと判定する。
【0028】
そこで、レベル比較回路42eより直流電圧が電圧切換回路43の励磁コイルLに印加されると、切換器SWが切換わり、電源電圧V2が切換器SWの常時開路端子NO及び共通端子Cを介してランプ励振器20の可変容量ダイオードD1に印加される。
これによって、前記可変容量ダイオードD1の容量が変化し、ランプ励振器20の発振周波数は、所定の発振周波数から意図的にずらされ、前記ビート周波数がローパスフィルタ42aの遮断周波数以上となるように制御される。
したがって、ランプ励振器20の出力周波数が周囲温度変化等によって所定値から変動して、変動した周波数の高調波成分、あるいは該高調波成分とVCXO40出力の高調波との混変調によるスプリアス成分周波数が6,840MHzに接近しても、6,840MHzに一致する前にその接近を防止するように、前記可変容量ダイオードD1に制御電圧がフィードバックされてランプ励振器20の出力周波数が制御されるので、ルビジウム原子発振器100は近傍のスプリアスによる特性劣化を受けることなく安定した動作を行うことができる。
【0029】
なお、本実施例では、VCXO40の標準周波数信号を10MHz、ランプ励振器20の発振周波数を70MHz帯の周波数としている。
ここで、設定する発振周波数を考慮し、ランプ励振器20の発振周波数が逓倍されて生成される高調波成分、あるいは、ランプ励振器20の発振周波数が逓倍された高調波成分とVCXO40の発振出力の高調波成分とが混変調を起こして生成される周波数成分が、本来ルビジウム原子発振器100の前記VCXO40の発振周波数(10MHz)を周波数逓倍回路33及び逓倍・混変調回路14において逓倍して得られるべき6,840MHzと一致して、お互いが干渉しあってルビジウム原子発振器100の特性を劣化させることのないように、次の周波数は避けて設定している。
(1)71.2596MHz : 71.2596MHz×96=6840MHz
(2)70.625MHz : 70.625MHz×96+6×10MHz=6840MHz
(3)70.7143MHz : 70.7143MHz×98−9×10MHz=6840MHz
(4)70.8333MHz : 70.8333MHz×96+4×10MHz=6840MHz
(5)71.0000MHz : 71.0000MHz×100+26×10MHz=6840MHz
(6)71.1111MHz : 71.1111MHz×99−20×10MHz=6840MHz
(7)71.42857143MHz : 71.42857143MHz×96−16×10MHz=6840MHz
(8)71.6667MHz : 71.6667MHz×96−4×10MHz=6840MHz
(9)71.72043011MHz : 71.72043011MHz×93+17×10MHz=6840MHz
【0030】
図3は、前記OMU10の逓倍・混変調回路14より輻射されるマイクロ波をモニタリングして得られたマイクロ波帯のスプリアス成分の周波数スペクトラムを示す特性データで、(a)は従来のルビジウム原子発振器50の場合、(b)は本発明のルビジウム原子発振器100の場合を示す。
同図(a)の黒丸で囲った部分で示したように、中心周波数6.84GHzから約35〜37kHz離れたところに発生した大きなレベルのスプリアスが、同図(b)では除去されていて、本発明の効果が著しいことが分かる。
なお、本実施例においては、ランプ励振器20の発振回路をコルピッツ発振回路としたが、これに限定されるものではなく、周波数を可変できるものであれば、どのような回路であっても良い。
以上説明したように、本発明は、ランプ励振器の出力周波数を制御するようにしたので、ルビジウム原子発振器の出力信号の近傍にスプリアスが現れるのを防止するのに極めて有効である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係わるルビジウム原子発振器の実施の一形態例を示す構成概要図。
【図2】ランプ励振器20、ビート周波数検出回路42及び制御電圧切換回路43の詳細回路構成図。
【図3】逓倍・混変調回路より輻射されるマイクロ波をモニタリングして得られたマイクロ波帯のスプリアス発生状況を示す特性データで、(a)は従来のルビジウム原子発振器50の場合、(b)は本発明のルビジウム原子発振器100の場合。
【図4】従来のルビジウム原子発振器の一例の構成概要を示す模式図。
【図5】ルビジウム原子発振器のOMUにおける光・マイクロ波の二重共鳴の動作原理を説明する図。
【図6】太陽電池出力を位相検波して、その出力を得る動作の説明図で、(a)は太陽電池出力の説明図、(b)は位相検波出力特性図。
【図7】従来のランプ励振器の一例を示す回路構成図。
【符号の説明】
【0032】
10・・光マイクロ波ユニット(OMU)、 11・・ルビジウムガスセル(ガスセル)、
12・・ルビジウムランプ、 13・・太陽電池、 14・・逓倍・混変調回路、
15・・受信アンテナ、16・・キャビティ、17・・熱筒、18・・ソレノイド・コイル、
19・・磁気シールド構造、20・・ランプ励振器、21・・整合回路、
22・・ガスセル部温度制御回路、23・・熱筒部温度制御回路、24・・ランプ励振器、
30・・周波数制御部、31・・低周波発振器、 32・・位相変調回路、
33・・周波数逓倍回路、34・・周波数変換回路、35・・位相検波回路、
36・・制御電圧発生回路、40・・電圧制御型水晶発振器(VCXO)、
41・・バッファアンプ、42・・ビート周波数検出回路、42a・・ローパスフィルタ、
42b・・低周波増幅器、42c・・整流回路、42d・・直流増幅回路、
42e・・レベル比較回路、43・・制御電圧切換回路、50・・ルビジウム原子発振器、
100・・ルビジウム原子発振器、
C1・・トリマーコンデンサ、C2、C3・・固定コンデンサ、D1・・可変容量ダイオード、
L・・励磁コイル、L1・・インダクタンス、Q1・・発振用トランジスタ、
R1、R2、R3、R4・・バイアス用抵抗、SW・・切換器




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013