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発明の名称 プラズマ処理装置およびその異常放電抑止方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−73309(P2007−73309A)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
出願番号 特願2005−258157(P2005−258157)
出願日 平成17年9月6日(2005.9.6)
代理人 【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
発明者 伊藤 奈津子 / 八坂 三夫 / 上杉 文彦 / 板垣 洋輔
要約 課題
プラズマ処理における異常放電を抑止する。

解決手段
直流電源部10は、静電吸着用電圧を発生し、下部電極22に供給する。下部電極22は、半導体基板等を静電吸着力で保持する静電チャックの構成部分であって、載置台を兼ね、その上に誘電体である絶縁被膜23を設け、さらにその上に半導体基板等の被処理体24を載せる。上部電極21と下部電極22との間に高圧の直流電圧を印加して、静電吸着力によって被処理体24を載置台である下部電極22に保持する。高周波電源部11は、高周波電力信号を発生し、下部電極22に供給して上部電極21と下部電極22との間にプラズマ25を形成する。被処理体24は、プラズマ25によってプラズマ処理がなされる。制御部14aは、窓電位検出部27が出力する窓プローブ電位が所定の閾値を超えたならば静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように直流電源部10を制御する。
特許請求の範囲
【請求項1】
高周波電力によって発生するプラズマで被処理体を処理するプラズマ処理装置において、
被処理体を静電吸着力で保持する静電チャックと、
前記静電チャックに静電吸着用電圧を印加する直流電源部と、
プラズマの異常放電発生を事前に捕らえる予兆信号を検出する信号検出部と、
前記予兆信号に基づいてESCリーク電流を制御する制御部と、
を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記静電吸着用電圧を制御することを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記予兆信号が所定の範囲外となった場合に前記静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように制御することを特徴とする請求項2記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように制御して一定時間後に、前記静電吸着用電圧の絶対値を小さくする前の電圧に戻すことを特徴とする請求項3記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記高周波電力を制御することを特徴とする請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記予兆信号が所定の範囲外となった場合に前記高周波電力を下げるように制御することを特徴とする請求項5記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記信号検出部は、プラズマ処理装置のチャンバの壁に設けられた絶縁性透明窓の表面電位を検出する窓電位検出部を含み、該表面電位から前記予兆信号を生成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記信号検出部は、前記直流電源部から前記静電チャックに対して流れるリーク電流を検出する電流検出部を含み、該リーク電流から前記予兆信号を生成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
高周波電力によって発生するプラズマで被処理体を処理するプラズマ処理装置がプラズマ処理における異常放電を抑止する方法であって、
被処理体を静電吸着力で保持する静電チャックに対し、直流電源部から供給される静電吸着用電圧を印加するステップと、
プラズマの異常放電発生を事前に捕らえる予兆信号を検出するステップと、
前記予兆信号に基づいてESCリーク電流を制御するステップと、
を含むことを特徴とするプラズマ処理装置の異常放電抑止方法。
【請求項10】
前記静電吸着用電圧を制御するステップにおいて、前記予兆信号が所定の範囲外となった場合に前記静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように制御することを特徴とする請求項9記載のプラズマ処理装置の異常放電抑止方法。
【請求項11】
前記静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように制御して一定時間後に、前記静電吸着用電圧の絶対値を小さくする前の電圧に戻すことを特徴とする請求項10記載のプラズマ処理装置の異常放電抑止方法。
【請求項12】
前記静電吸着用電圧を制御するステップにおいて、前記予兆信号が所定の範囲外となった場合に前記高周波電力を下げるように制御することを特徴とする請求項9記載のプラズマ処理装置の異常放電抑止方法。
【請求項13】
前記予兆信号を検出するステップにおいて、前記プラズマ装置のチャンバの壁に設けられた絶縁性透明窓の表面電位を検出し、該表面電位から前記予兆信号を生成することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一記載のプラズマ処理装置の異常放電抑止方法。
【請求項14】
前記予兆信号を検出するステップにおいて、前記直流電源部から前記静電チャックに対して流れるリーク電流を検出し、該リーク電流から前記予兆信号を生成することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか一記載のプラズマ処理装置の異常放電抑止方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置およびその異常放電抑止方法に係り、特に被処理体を静電チャックによって載置し、高周波、高電圧によるプラズマ放電を用いて処理する処理装置およびこの処理装置に発生する異常放電を抑止する方法に係る。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野において、プラズマ放電を用いて半導体基板等の表面処理を行うプラズマ処理装置が広く使われている。プラズマ処理装置では、チャンバ内に備えられる2つの電極(高周波電力の印加電極とそれに対向する定電圧印加電極)との間にプラズマを発生させ、半導体基板等の被処理体に対しプラズマ処理を行う。また、印加電極は、半導体基板等を静電吸着力で保持する静電チャック(ESC)の構成部分ともなる。すなわち、印加電極を兼ねる載置台の上に誘電体である絶縁被膜を設け、その上に半導体基板等の被処理体を載せる。あるいは、絶縁被膜中に印加電極を封入した静電チャックシートを載置台の上に設け、その上に半導体基板等の被処理体を載せる。そして、印加電極に高圧の直流電圧を印加して絶縁被膜を分極させることで、被処理体との境面に静電気を発生させ、その静電吸着力(クーロン力)によって被処理体を載置台上に保持するようにしている。
【0003】
ところで、このようなプラズマ処理装置では、チャンバ内のプラズマ中に時として局所的な放電(異常放電)が発生することが知られている。異常放電が発生すると、プラズマ放電を行なうチャンバ内部品の破損を引き起こし、溶融した飛沫は、被処理基板上に付着して、これを汚染する。また、チャンバ壁に付着した反応生成物の剥離物が異常放電発生時に増加することが知られており、これにより被処理基板を汚染する。さらに、被処理基板上に異常放電が発生すると、基板の損傷、基板上の配線の損傷が発生する。このようにプラズマ装置内に発生する異常放電は、被処理基板の損傷と、装置そのものの損傷とを引きおこす。
【0004】
このため異常放電を検出することは、プラズマ処理上重要であり、従来から異常放電を捉える技術がいくつか知られている。例えば特許文献1では、プラズマに対向する面の少なくとも一部に開口部が設けられた導電性支持部材と、導電性支持部材の開口部に設置された片側表面にプローブ電極を有する誘電体部材とを少なくとも有する窓型プローブが開示されている。この窓型プローブの出力端に、電圧波形を計測する電圧波形計測部を備え、電圧波形計測部により検出した電圧波形の変化によりプラズマの異常放電を検出するようにしている。
【0005】
また、特許文献2には、高周波電源によって処理室内にプラズマを発生させて、静電チャックに載置される半導体ウエハを処理する装置が開示されている。この装置は、静電チャック作動用の直流電流を検出する電流モニタと、高周波電源の電力供給線からVDCレベルを検出するVDCモニタとを有し、これら各モニタからのモニタ信号を検出装置で比較処理する。異常放電の発生箇所によって各モニタ信号の変動幅等は異なっているから、検出装置での比較処理によって異常放電の有無、及びその発生箇所が検出されるものである。
【0006】
一方、関連する技術として特許文献3には、被処理体を所望の静電吸着力で保持するとともに自己バイアス電圧の変動に対して静電吸着力を設定値に安定に維持することができる静電吸着装置が開示されている。この静電吸着装置は、図8に示すように可変直流電源146の出力端子とアースとの間に、電流計144、抵抗体(誘電体膜)132、半導体ウェハW、プラズマPRおよび上部電極152が直列接続された電気回路を形成する。自己バイアス電圧を測定するために、可変直流電源146の出力電圧Voを変えながら、電流計144によって抵抗体132に流れる漏れ電流iLを検出する。さらに、制御部150は、自己バイアス電圧の変動に対して静電吸着力を維持するために、可変直流電源146の出力電圧Voを調整するようにしている。
【0007】
【特許文献1】特開2003−318115号公報(図1)
【特許文献2】特開平6−232089号公報(図1)
【特許文献3】特開2002−252276号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、プラズマ処理装置におけるプラズマの異常放電は、装置内部での電荷の蓄積、あるいは部分的な電位差の急激な拡大等によって突発的に発生する。したがって、特許文献1および特許文献2等で開示される技術によってプラズマの異常放電を検出したとしても、その時には既に異常放電によって被処理体にゴミが付着していたり、被処理体自体が破壊されていたりしてしまうことがある。このため製造工程で製造を一時中断して不良品の交換などを行う必要が生じ、製造コストが増大する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するためには、異常放電の発生を抑止する技術が求められる。このため本発明者は、異常放電発生の予兆を捉えるべく鋭意検討した。その結果、異常放電発生の予兆として、プラズマ処理装置のチャンバの壁に設けた絶縁性透明窓の表面電位の変化、あるいは直流電源部から静電チャックに対して流れるリーク電流の変化等に着目し、これらの信号変化を観測することで異常放電発生を事前に捉えることが可能であることを見出した。
【0010】
次に、この異常放電発生の予兆について説明する。プラズマの異常放電が発生すると、放電によって超音波(AE:Acoustic Emission)が発生し、発生した超音波がプラズマ処理装置のチャンバを伝播することが知られている。これを利用し、チャンバに超音波センサを取り付けてチャンバを伝播する超音波を検出することで異常放電の発生を検出することができる。また、絶縁性透明窓の表面電位の変化を捉える特許文献1に記載のような窓型プローブをチャンバに取り付け、窓型プローブの信号を観測する。さらに、直流電源部から静電チャックに対し流れるリーク電流(ESCリーク電流)を観測する。
【0011】
図1は、以上のような信号の観測結果の例を示す図である。図1において、AE(超音波)センサ信号は、タイミングP1、P2、P3、P4等において、急峻な変化を呈し、これらのタイミングでプラズマの異常放電が発生していることを示している。これに対し、タイミングP1を遡ること数百msのタイミングQ1において、窓型プローブ信号が急峻に立上ることが観測された。また、タイミングQ1と同一のタイミングR1において、ESCリーク電流も急峻に立上っていることが観測された。この観測結果から、本発明者は、異常放電が発生してからESCリーク電流が流れるのではなく、ESCリーク電流が流れるから異常放電が発生するとの仮説を立てた。これらのことから、窓型プローブ信号の大きな変動あるいはESCリーク電流の大きな変動を検出することで異常放電発生の予兆を捉えることが可能であり、この予兆となる信号を元に静電チャックの静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように制御すれば、プラズマの異常放電を抑止することが可能であるとの確証を得て本発明を創案するに到った。
【0012】
本発明の一つのアスペクトに係るプラズマ処理装置は、高周波電力によって発生するプラズマで被処理体を処理するプラズマ処理装置である。この装置は、被処理体を静電吸着力で保持する静電チャックと、静電チャックに静電吸着用電圧を印加する直流電源部と、プラズマの異常放電発生を事前に捕らえる予兆信号を検出する信号検出部と、予兆信号に基づいてESCリーク電流を制御する制御部と、を備える。
【0013】
本発明の一つのアスペクトに係るプラズマ処理装置の異常放電抑止方法は、高周波電力によって発生するプラズマで被処理体を処理するプラズマ処理装置がプラズマ処理における異常放電を抑止する方法である。この方法は、被処理体を静電吸着力で保持する静電チャックに対し、直流電源部から供給される静電吸着用電圧を印加するステップと、プラズマの異常放電発生を事前に捕らえる予兆信号を検出するステップと、予兆信号に基づいてESCリーク電流を制御するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、検出された予兆信号を元にプラズマを制御してプラズマの異常放電の発生を抑止することができる。プラズマの制御は、静電吸着用電圧を制御することにより行うことができ、これにより異常放電の発生を未然に抑止できる。あるいは、高周波電力を制御することによってもESCリーク電流を制御することができ、これにより異常放電の発生を未然に抑止できる。したがって、異常放電の発生を未然に防ぐことができるため、プラズマ処理における製造工程における不良品の交換などを行う回数が低減され、製造コストの増大を押さえることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るプラズマ処理装置は、高周波電力によって発生するプラズマで半導体基板等の被処理体を処理する。プラズマ処理装置は、被処理体を静電吸着力で保持する静電チャックと、静電チャックに静電吸着用電圧を印加する直流電源部と、プラズマの異常放電発生を事前に捕らえる予兆信号を検出する信号検出部と、予兆信号に基づいてESCリーク電流を制御する制御部と、を備える。制御部は、より具体的には、静電吸着用電圧の絶対値を小さくする制御部、あるいは、高周波電力を下げるように制御する制御部が相当する。信号検出部は、より具体的には、プラズマ処理装置のチャンバの壁に設けられた絶縁性透明窓の表面電位を検出する窓電位検出部、あるいは、直流電源部から静電チャックに対して流れるリーク電流を検出する電流検出部が相当する。
【0016】
このような構成のプラズマ処理装置は、静電チャックに対し、直流電源部から供給される静電吸着用電圧を印加し、被処理体を静電吸着力で静電チャックに保持する。そして、保持された被処理体に対してプラズマ処理を行う。この際、信号検出部において予兆信号を検出するようにする。予兆信号が所定の範囲外となった場合には、静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように制御する。静電吸着用電圧の絶対値を小さくすることでプラズマの異常放電の発生を抑止することができる。また、静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように制御した一定時間後には、静電吸着用電圧の絶対値を小さくする前の電圧に戻すように制御する。静電吸着電圧の絶対値を小さくしても、静電気の静電吸着力(クーロン力)が消滅するまでには時間がかかる。従って、静電吸着力を保持できる時間内に、静電吸着用電圧を元の電圧に戻せば、静電吸着力は保持される。これによって被処理体に対してプラズマ処理が安定に継続してなされることとなる。
【0017】
あるいは、予兆信号が所定の範囲外となった場合には、高周波電力を下げるように制御しても良い。高周波電力を下げることで、プラズマの異常放電の発生を抑止することができる。また、高周波電力を下げるように制御した一定時間後には、高周波電力を下げる前の電圧に戻すように制御する。これによって被処理体に対してプラズマ処理が継続してなされることとなる。
【0018】
以上のようにプラズマ処理装置が動作し、プラズマの異常放電の発生を抑止しながらプラズマ処理を行うので、プラズマ処理における製造工程における不良品の交換などを行う回数が低減され、製造コストの増大を押さえることができる。
【0019】
また、本発明によれば、従来からあるプラズマ処理装置のチャンバの構造をほとんど変えることなく、またプロセス条件の変更も必要なく、プラズマの異常放電の発生を抑止することが可能である。さらに、静電チャックを使用していれば、ほとんどのプラズマ処理装置でも本発明を適用することが可能である。以下、実施例に即し、図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
図2は、本発明の第1の実施例に係るプラズマ処理装置の構成を表すブロック図である。図2において、プラズマ処理装置は、直流電源部10、高周波電源部11、コンデンサ12、フィルタ13、制御部14a、チャンバ20を備える。また、チャンバ20は、上部電極21、下部電極22、絶縁被膜23、覗窓(ビューポート)26を備える。さらに、絶縁被膜23の上には半導体基板等の被処理体24が置かれる。
【0021】
直流電源部10は、数百から数千Vの静電吸着用電圧を発生し、フィルタ13を介して高圧の直流電圧(ESC電位)として下部電極22に供給する。下部電極22は、半導体基板等を静電吸着力で保持する静電チャック(ESC)の構成部分であって、載置台を兼ね、その上に誘電体である絶縁被膜23を設け、さらにその上に半導体基板等の被処理体24を載せる。下部電極22に対向するように配置され、接地されている上部電極21と下部電極22との間に高圧の直流電圧を印加して絶縁被膜23を分極させることで、被処理体24との境面に静電気を発生させる。この静電気の静電吸着力(クーロン力)によって被処理体24を載置台である下部電極22に保持するようにする。
【0022】
なお、図示しないが、静電チャックは、下部電極22をシート状として絶縁被膜中に封入した静電チャックシートを載置台の上に設け、その上に半導体基板等の被処理体を載せる構造としてもよい。
【0023】
高周波電源部11は、高周波電力信号を発生し、コンデンサ12を介して下部電極22に供給する。供給される高周波電力によって上部電極21と下部電極22との間にプラズマ25が形成される。被処理体24は、形成されたプラズマ25によってプラズマ処理がなされる。
【0024】
フィルタ13は、高周波電源部11によって発生された高周波電力信号が直流電源部10に流れ込まないように高周波電力信号を阻止する働きを有する。また、コンデンサ12は、直流電源部10によって発生された静電吸着用電圧が高周波電源部11に直接かからないように静電吸着用電圧を阻止する働きを有する。
【0025】
覗窓26は、チャンバ20内のプラズマ25の状況等を観測するためにチャンバ20に取り付けられた石英等で作られる窓である。また、覗窓26には、窓型プローブ、すなわち絶縁性透明窓の表面電位(窓プローブ電位)を検出する窓電位検出部27が設けられ、プラズマ25における異常放電を検出する。特に、この窓電位検出部27は、図1に示したように異常放電発生の前にその予兆を捉え、予兆信号となる窓プローブ電位を出力する。
【0026】
制御部14aは、窓プローブ電位が所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲外と判断した場合、直流電源部10が発生する静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように直流電源部10を制御する。また、静電吸着用電圧の絶対値を小さくした場合、一定時間経過後には再び絶対値を小さくする前の電圧に戻すように制御する。ウエハのセルフバイアス電位は、通常負となっているので、静電吸着用電圧が正の時は電位差を小さくするため静電吸着用電圧を下げ、ゼロに近づける。逆に、静電吸着用電圧が負の時は電位差を小さくするため静電吸着用電圧を上げ、ゼロに近づける。なお、一定時間とは、被処理体24が載置台から離脱しないように、静電吸着力の低下に至る時間(数秒程度)以下であることが好ましい。
【0027】
次に、プラズマ処理装置における動作について説明する。図3は、プラズマ処理装置における動作を示すフローチャートである。ステップS11において、直流電源部10は、下部電極22にESC電位を印加する。
【0028】
ステップS12において、制御部14aは、窓電位検出部27が出力する窓プローブ電位が所定の閾値を超えたか否かを判断する。超えていなければステップS12にとどまり、超えていればステップS13に進む。
【0029】
ステップS13において、制御部14aは、直流電源部10が発生する静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように直流電源部10を制御する。
【0030】
ステップS14において、制御部14aは、一定時間待ち、一定時間経過後には再び絶対値を小さく前の電圧に戻すように直流電源部10を制御するためにステップS11に戻る。
【0031】
以上のようにプラズマ処理装置が動作し、プラズマの異常放電発生を予知して静電吸着用電圧を制御し、プラズマの異常放電の発生を抑止する。すなわち、異常放電が発生してからESCリーク電流が流れるのではなく、ESCリーク電流が流れるから異常放電が発生するとの仮説は正しく、ESCリーク電流を制御することによってプラズマの異常放電を抑止できることが立証された。
【実施例2】
【0032】
図4は、本発明の第2の実施例に係るプラズマ処理装置の構成を表すブロック図である。図4において、図2と同一の符号は、同一物を表し、その説明を省略する。図4のプラズマ処理装置は、図2における制御部14aと窓電位検出部27の代わりに制御部14bと電流検出部15を備え、電流検出部15によって異常放電の予兆を捉えるものである。
【0033】
電流検出部15は、直流電源部10とフィルタとの間に挿入され、直流電源部10から下部電極22に供給される電流(ESC電流)を検出する。制御部14bは、このESC電流が所定の範囲にあるか否かを判断し、所定の範囲外となった場合、直流電源部10が発生する静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように直流電源部10を制御する。また、静電吸着用電圧の絶対値を小さくして一定時間経過後には再び下げる前の電圧に戻すように制御する。
【0034】
なお、第2の実施例に係るプラズマ処理装置の動作は、図3のステップS12において、窓電位検出部27が出力する窓プローブ電位の代わりに、電流検出部15が検出するESC電流が所定の閾値を超えたか否かを判断する点を除き、図3と同等である。
【0035】
次に、プラズマの異常放電の抑止効果について説明する。図5は、プラズマ処理装置におけるプラズマの異常放電の抑止効果を示す図である。図5において、RFパワー信号は、高周波電源部11によって発生された高周波電力信号である。ESC電圧は、直流電源部10によって発生された静電吸着用電圧である。ESCリーク電流は、直流電源部10から下部電極22に供給される電流である。窓型プローブ信号は、窓電位検出部27によって検出される信号である。AEセンサ信号は、チャンバに付けられた超音波センサによって検出される信号である。
【0036】
図5(a)は、制御部14aあるいは制御部14bによって直流電源部10が発生する静電吸着用電圧を制御したときの各信号の波形を表す。また、図5(b)は、制御部14aおよび制御部14bのいずれによっても、直流電源部10が発生する静電吸着用電圧を制御しないときの各信号の波形を表す。
【0037】
図5(a)に示すように、タイミングS1、S2、S3においてESCリーク電流あるいは窓型プローブ信号の急峻な変化を捉えて、ESC電圧を下げるように制御する。このようにESC電圧を制御することで、プラズマの異常放電の発生が抑止される。すなわち、AEセンサ信号に大きな変動が生じないことが示されている。
【0038】
一方、制御部14aおよび制御部14bのいずれによっても、直流電源部10が発生する静電吸着用電圧を制御しない場合には、図5(b)に示すように、異常放電が発生している。このためAEセンサ信号が大きく変動し、窓型プローブ信号も大きく変動する。また、異常放電によって大きなESCリーク電流が流れる。
【0039】
以上のようにESCリーク電流あるいは窓型プローブ信号の急峻な変化を捉えて、ESC電圧を下げるように制御すれば、プラズマの異常放電を抑止する大きな効果が得られることが示される。
【0040】
なお、以上の説明において、ESCリーク電流の信号および窓型プローブ信号の双方がそれぞれの閾値を超えたときに、静電吸着用電圧の絶対値を小さくするように制御するようにしてもよい。
【実施例3】
【0041】
図6は、本発明の第3の実施例に係るプラズマ処理装置の構成を表すブロック図である。図6において、図2と同一の符号は、同一物を表し、その説明を省略する。図6のプラズマ処理装置は、図2における制御部14aの代わりに制御部14cを備え、この制御部14cの予兆信号に基づき、高周波電源部11aが出力する高周波電力を制御するものである。具体的には、異常放電を抑止するために、高周波電力を下げるように制御する。つまり、高周波電力を下げることも、ESCリーク電流を制御するという意味では、静電吸着電圧の絶対値を小さくするように制御することと等価である。従って、予兆信号であるESCリーク電流の信号または窓型プローブ信号あるいはその双方が、それぞれの閾値を超えたとき、高周波電力を下げるように制御するようにすることで、異常放電の発生が抑止できる。但し、高周波電力を下げすぎると、被処理体のプラズマ処理の状態が変わる可能性があるので、プラズマ処理の安定性を確保できる範囲に下げ幅を抑えた方が好ましい。さらに、高周波電力を下げるように制御した一定時間後には、高周波電力を下げる前の電圧に戻すように制御する。
【0042】
図7は、本実施例に係る異常放電の抑止効果の原理を示す図である。これは、ウエハをチャンバ内に搬送し、プラズマ処理を行い、ウエハをチャンバ外に搬送するまでの1回のプラズマ処理サイクルの一例を示している。横軸の時間は、この一例の相対的なタイミングを表す。30sec付近に、ESC電圧が印加されてから高周波電力(RFパワー)が印加され、ウエハのプラズマ処理が行われる。RFパワーは80sec付近で一旦下げられ、ウエハの除電処理等が行われ、その後90sec付近でゼロにされる。ESCリーク電流は、ESC電圧が印加されると上がり始め、RFパワーが印加され、一定値となっていることが観測される。70sec付近で、何らかの原因によりESCリーク電流が急激に増加すると、その直後から異常放電が観測されていることがわかる。この場合、ESC電圧を制御しないまま放置しており、ESCリーク電流の急激な増減の影響を受けて、ESC電圧がふらついていることが観測されている。ESCリーク電流が大きい状態では、異常放電が観測され続けるが、80sec付近でRFパワーを下げると同時にESCリーク電流も下がり、異常放電が観測されなくなる。このことから、RFパワーを下げることによっても、ESCリーク電流を抑制し、異常放電を抑止する効果があることがわかる。
【0043】
プラズマ処理の安定性や、プラズマ処理による被処理体の加工精度等に対する影響の程度は、静電吸着用電圧を制御する方が、高周波電力を制御する場合に比べ小さい。従って、静電吸着用電圧を制御することによりESCリーク電流を制御する方が、プラズマ処理の安定性を確保しつつ、異常放電を抑止できる効果が高いといえる。
【0044】
以上本発明を上記実施例に即して説明したが、本発明は、上記実施例にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の各請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】異常放電発生を事前に捕らえる予兆信号の波形を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施例に係るプラズマ処理装置の構成を表すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施例に係るプラズマ処理装置の動作を表すフローチャートである。
【図4】本発明の第2の実施例に係るプラズマ処理装置の構成を表すブロック図である。
【図5】プラズマ処理装置における異常放電の抑止効果を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施例に係るプラズマ処理装置の構成を表すブロック図である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る異常放電の抑止効果の原理を示す図である。
【図8】従来のプラズマ処理装置の構成を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0046】
10 直流電源部
11、11a 高周波電源部
12 コンデンサ
13 フィルタ
14a、14b、14c 制御部
15 電流検出部
20 チャンバ
21 上部電極
22 下部電極
23 絶縁被膜
24 被処理体
25 プラズマ
26 覗窓
27 窓電位検出部




 

 


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