米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 電気素子 -> 国立大学法人東北大学

発明の名称 プラズマ処理装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−48718(P2007−48718A)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
出願番号 特願2005−234878(P2005−234878)
出願日 平成17年8月12日(2005.8.12)
代理人 【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
発明者 大見 忠弘 / 平山 昌樹
要約 課題
被処理基板が大面積化しても均一処理を可能とする。

解決手段
導波管102に導入されたマイクロ波を、スロット103を通して誘電体板104に伝搬させ、真空容器101中に供給されたガスをプラズマ化させて基板107表面にプラズマ処理を施す装置であって、複数の導波管102を並列配置し、各導波管102毎に複数の誘電体板104を設け、隣り合う誘電体板104間に導体からなり接地された仕切り部材106を配置する。プランジャ111を上下に動かして、導波管102の管内波長を最適値に調整する。また、誘電体板と隣接する部材との隙間で意図しないプラズマが発生することがなく、安定したプラズマを効率よく発生させることができる。結果として、高速かつ均一なエッチング、成膜、クリーニング、アッシング等の処理を可能とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
内部にプラズマが励起される容器と、当該容器内にプラズマを励起させるために必要なマイクロ波を供給するマイクロ波供給システムと、当該マイクロ波供給システムに接続され、複数のスロットが開口された導波路と、当該スロットから放出されたマイクロ波をプラズマに伝搬させる誘電体板とを備えたプラズマ処理装置であって、
当該導波路内を伝搬するマイクロ波の波長を、当該導波路の外部から調節する手段を備えていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記導波路を構成する導体壁の一部を、当該導波路の外部から移動させるよう構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
前記導波路は矩形導波管であり、当該導波管のE面(狭壁面)管壁の少なくとも一部を、当該導波管の外部から移動させるよう構成されていることを特徴とする、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記導波路内に挿入された複数のロッドを備え、当該導波路の外部から各々の当該ロッドを移動させるよう構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記導波路内に第1の誘電体部材を備え、当該導波路の外部から当該第1の誘電体部材を移動させるよう構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記マイクロ波供給システムが供給するマイクロ波の周波数を変えることにより、前記波長が調整されるよう構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
内部にプラズマが励起される容器と、当該容器内にガスを供給するガス供給システムと、当該容器内にプラズマを励起させるために必要なマイクロ波を供給するマイクロ波供給システムと、当該マイクロ波供給システムに接続され、複数のスロットが開口された1または2以上の導波管と、当該スロットから放出されたマイクロ波をプラズマに伝搬させる複数の誘電体板と、当該容器内に収容され被処理基板が置かれる載置台とを備えたプラズマ処理装置であって、
当該導波管毎に複数の当該誘電体板が設けられており、隣り合う当該誘電体板の間には少なくとも一部が導体からなる仕切り部材が設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項8】
複数の前記導波管を備えていることを特徴とする、請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
前記容器の内部と外部との間にある気密保持部の少なくとも一部は、前記誘電体板の前記スロット側の面と当該容器との間に設けられていることを特徴とする、請求項7または8に記載のプラズマ処理装置。
【請求項10】
前記誘電体板間の前記導波管内を伝搬するマイクロ波の進行方向のピッチと前記スロット間の当該進行方向のピッチとが、概ね等しいことを特徴とする、請求項7乃至9の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項11】
前記スロット間の前記進行方向のピッチが、前記導波管内を伝搬するマイクロ波波長の「1/2」の自然数倍と概ね等しいことを特徴とする、請求項7乃至10の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項12】
前記スロット間の前記進行方向のピッチが、前記波長の「1/2」倍と概ね等しいことを特徴とする、請求項11に記載のプラズマ処理装置。
【請求項13】
前記スロットの内部の少なくとも一部に、第2の誘電体部材が設けられていることを特徴とする、請求項7乃至12の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項14】
前記スロットの少なくとも一部に、誘電率の異なる複数の前記第2の誘電体部材が設けられていることを特徴とする、請求項13に記載のプラズマ処理装置。
【請求項15】
前記導波管の内部の少なくとも一部に、第3の誘電体部材が設けられていることを特徴とする、請求項7乃至14の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項16】
前記導波管は矩形導波管であり、前記スロットは当該導波管のH面(広壁面)に開口されていることを特徴とする、請求項7乃至15の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項17】
前記導波管は矩形導波管であり、前記スロットは当該導波管のE面(狭壁面)に開口されていることを特徴とする、請求項7乃至15の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項18】
前記導波管内を伝搬するマイクロ波の波長を、当該導波管の外部から調節する機能を備えていることを特徴とする、請求項7乃至17の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項19】
前記導波管の管壁の一部を、当該導波管の外部から移動させるよう構成されていることを特徴とする、請求項18に記載のプラズマ処理装置。
【請求項20】
前記導波管内に挿入された複数のロッドを備え、当該導波管の外部から各々の当該ロッドを移動させるよう構成されていることを特徴とする、請求項18に記載のプラズマ処理装置。
【請求項21】
前記導波管内に第1の誘電体部材を備え、当該導波管の外部から当該第1の誘電体部材を移動させるよう構成されていることを特徴とする、請求項18に記載のプラズマ処理装置。
【請求項22】
前記誘電体板の厚さが、当該誘電体板に対面する前記スロットからの距離に応じて設定されていることを特徴とする、請求項7乃至21の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項23】
前記仕切り部材と前記載置台との間隔は、前記誘電体板と当該載置台との間隔よりも短く設定されていることを特徴とする、請求項7乃至22の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項24】
前記仕切り部材は、前記ガス供給システムから導入されたガスを前記容器内に放出するためのガス放出機能を備えていることを特徴とする、請求項7乃至23の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項25】
前記仕切り部材は、前記容器内にガスを放出するための複数のガス放出穴を備えていることを特徴とする、請求項24に記載のプラズマ処理装置。
【請求項26】
前記仕切り部材は、前記ガス供給システムから導入されたガスを複数の前記ガス放出穴に導くためのガス流路を備えていることを特徴とする、請求項7乃至25の一つに記載のプラズマ処理装置。
【請求項27】
請求項1乃至26のいずれか一つに記載されたプラズマ処理装置を使用して処理を行い、製品を製造することを特徴とする製品の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置に係わり、特に大面積基板を均一に処理することが可能なプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理法とは、特定のガスをプラズマ化して活性の強いイオンとラジカル(遊離基)とを発生させ、このイオンとラジカルとを用いて被処理基板表面にエッチング、成膜、クリーニング、アッシング等の処理を施す加工方法をいい、プラズマ処理装置とは、プラズマ処理法の実施に用いられる装置をいう。ガスをプラズマ化するエネルギーは、電磁波で与えられることが多い。半導体、太陽電池およびフラットパネルディスプレイなどの製造工程では、ガスをプラズマ化するエネルギーの媒体として、数MHzから数10MHzの高周波を用いた平行平板プラズマ処理装置や、誘導結合プラズマ処理装置が用いられている。2.45GHzのマイクロ波と875ガウスの直流磁場を併用し、プラズマ中の電子のサイクロトロン運動とマイクロ波の共鳴現象とを用いてガスを効率的にプラズマ化する電子サイクロトロン共鳴プラズマ装置も知られている。
【0003】
近年、共鳴現象を用いなくてもマイクロ波の印加のみで高密度プラズマを効率的に生成しうることが判明し、そのプラズマを用いたプラズマ処理法やプラズマ処理装置が注目されている。この種のプラズマ装置としては、矩形導波管に導入されたマイクロ波を導波管の開口部(スロットと呼ばれる)を通して誘電体板に伝搬させ、真空容器内に導入されたガスをプラズマ化する装置が、特許文献1(特開2005−141941号)により知られている。このような手法によりマイクロ波で励起されたプラズマは、高周波で励起されたプラズマと比較してプラズマ密度が高く電子温度が低いため、高速でかつ基板に損傷を与えない優れた処理が行える特長がある。
【0004】
導波管の内部には、スロットによる反射や導波管端面の短絡部における反射により生じた反射波と入射波とが干渉して定在波が発生する。均一なプラズマを励起するためには、全てのスロットから均一に効率よくマイクロ波を放出する必要があるため、スロットは定在波の腹の位置に等間隔に配置される。定在波の腹のピッチは、「n」を自然数とし「λg」を導波管内の管内波長として「λg/2」となる。従って、スロット間のピッチを「n×λg/2」に設定すれば、均一なプラズマを発生させることができる。
【0005】
ところが、真空容器に導入するガスの種類や圧力、マイクロ波電力等を変えると、管内波長が変化する。管内波長が最適値からずれると、各々のスロットから放出されるマイクロ波の強度が不均等になり、プラズマの均一性が悪化してしまう。このため、均一なプラズマが得られる条件が限定されてしまうという問題がある。
【0006】
また、実際の管内波長は、導波路の各部寸法や誘電率、接触部のインピーダンスのばらつき、周波数のばらつき等により、設計値と完全には一致しないし、装置毎にばらついてしまうのが一般的である。特に大型のプラズマ処理装置では、導波管が長く導波管毎のスロット数が多いため、管内波長の最適値からのずれがプラズマの均一性に大きな影響を与える。従って、使用される条件が限定されていたとしても、常に均一なプラズマを発生させることは難しく、特に装置毎に特性がばらついてしまうという問題がある。半導体、太陽電池、およびフラットパネルディスプレイなどの基板は大面積化する一方であり、プラズマ処理装置も大型化している。プラズマの均一性にかかわるこれらの問題が、今後ますます顕在化することは明らかである。
【0007】
プラズマ処理中には、プラズマ中のイオンの入射により誘電体板の温度が上昇して(400℃を超えることもある)誘電体板が膨張する。誘電体板が膨張して隣接する部材と接触すると、膨張が抑えられて誘電体板に過大な応力がかかるので、誘電体板が割れてしまうことがある。このため、誘電体板と隣接する部材との間には、所望の隙間が必要である。誘電体板が大きいほど膨張分が増加するため、大きな誘電体板に対しては、その隙間を大きく設定しなければならない。
【0008】
一方、この隙間がある程度以上大きくなると(例えば0.1mm以上)、隙間において意図しないプラズマが発生してしまうという問題が生じる。隙間においてプラズマが発生すると、マイクロ波のエネルギーが無駄に使われるためプラズマ生成効率が低下するばかりでなく、プラズマの均一性や安定性が著しく損なわれる。基板の大面積化に伴い、誘電体板も大面積化する。誘電体板と隣接する部材との間の隙間でプラズマが発生する問題が、ますます顕在化することは明らかである。
【0009】
プラズマ処理においては、真空容器内のガスの流れが処理の均一性に影響を与えるため、真空容器内へのガスの導入方法が重要である。特に成膜処理においては、プラズマ処理に必要なガスを被処理基板全面に渡って均一に放出しないと均一な成膜が行えない。
【0010】
ところが、例えば、特許文献2(特開平9−63793号)に記載のプラズマ処理装置では、被処理基板の周囲からガスを導入する構成になっているため、被処理基板の中央部においてガスの停留部が生じてしまう。このため、均一な処理が行えず、限られた用途にしか使用できないという問題がある。
【0011】
一方、特許文献3(特開2001−49442号)に記載の装置では、誘電体板が多数のガス放出穴を備えるシャワープレートとなっており、被処理基板全面にわたって均一にガスを放出することができる。ところが、誘電体板はプラズマ処理中に強いマイクロ波に晒されるため、誘電体板に開口されたガス放出穴の内部で意図しないプラズマが発生してしまうことがある。ガス放出穴の内部でのプラズマの発生を抑制するには、ガス放出穴の直径を小さくすればよい。実使用条件では、例えば直径を0.1mm以下にすればよい。しかし、セラミックや石英といった硬い材料からなる誘電体板に、このように小さな穴を均一に多数開口するには高度な技術が必要であり、コストと時間とを要する。また、プラズマ処理中に膜が付着してガス放出穴が塞がれてしまうという問題も生じる。
【0012】
【特許文献1】特開2005−141941号公報
【特許文献2】特開平9−63793号公報
【特許文献3】特開2001−49442号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする課題は、被処理基板が大面積化した際、均一な処理ができないことである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明では、上記課題を解決するため、内部にプラズマが励起される容器と、当該容器内にプラズマを励起させるために必要なマイクロ波を供給するマイクロ波供給システムと、当該マイクロ波供給システムに接続され、複数のスロットが開口された導波路と、当該スロットから放出されたマイクロ波をプラズマに伝搬させる誘電体板とを備えたプラズマ処理装置であって、当該導波路内を伝搬するマイクロ波の波長を、当該導波路の外部から調節する手段を備えていることを特徴とするプラズマ処理装置が提供される(請求項1)。
【0015】
好ましくは、前記導波路を構成する導体壁の一部を、当該導波路の外部から移動させるよう構成されていてもよい(請求項2)。前記導波路は矩形導波管であり、当該導波管のE面(狭壁面)管壁の少なくとも一部を、当該導波管の外部から移動させるよう構成されていてもよい(請求項3)。前記導波路内に挿入された複数のロッドを備え、当該導波路の外部から各々の当該ロッドを移動させるよう構成されていてもよい(請求項4)。前記導波路内に第1の誘電体部材を備え、当該導波路の外部から当該第1の誘電体部材を移動させるよう構成されていてもよい(請求項5)。前記マイクロ波供給システムが供給するマイクロ波の周波数を変えることにより、前記波長が調整されるよう構成されていてもよい(請求項6)
また、本発明によれば、内部にプラズマが励起される容器と、当該容器内にガスを供給するガス供給システムと、当該容器内にプラズマを励起させるために必要なマイクロ波を供給するマイクロ波供給システムと、当該マイクロ波供給システムに接続され、複数のスロットが開口された1または2以上の導波管と、当該スロットから放出されたマイクロ波をプラズマに伝搬させる複数の誘電体板と、当該容器内に収容され被処理基板が置かれる載置台とを備えたプラズマ処理装置であって、当該導波管毎に複数の当該誘電体板が設けられており、隣り合う当該誘電体板の間には少なくとも一部が導体からなる仕切り部材が設けられていることを特徴とするプラズマ処理装置が提供される(請求項7)。
【0016】
好ましくは、複数の前記導波管を設けてもよい(請求項8)。前記容器内部と外部との間にある気密保持部の少なくとも一部は、前記誘電体板の前記スロット側の面と当該容器との間に設けられていてもよい(請求項9)。前記誘電体板間の前記導波管内を伝搬するマイクロ波の進行方向のピッチと、前記スロット間の当該進行方向のピッチとが、概ね等しく設定されていてもよい(請求項10)。前記スロット間の前記進行方向のピッチが、前記導波管内を伝搬するマイクロ波波長の「1/2」の自然数倍と概ね等しく設定されていてもよい(請求項11)。前記スロット間の前記進行方向のピッチが、前記波長の「1/2」倍と概ね等しく設定されていてもよい(請求項12)。前記スロットの内部の少なくとも一部に、第2の誘電体部材が設けられていてもよい(請求項13)。前記スロットの少なくとも一部に、誘電率の異なる複数の前記第2の誘電体部材が設けられていてもよい(請求項14)。前記導波管の内部の少なくとも一部に、第3の誘電体部材が設けられていてもよい(請求項15)。前記導波管は矩形導波管であり、前記スロットは当該導波管のH面(広壁面)に開口されていてもよい(請求項16)。前記導波管は矩形導波管であり、前記スロットは当該導波管のE面(狭壁面)に開口されていてもよい(請求項17)。前記導波管内を伝搬するマイクロ波の波長を、当該導波管の外部から調節するする機能を備えていてもよい(請求項18)。前記導波管の管壁の一部を、当該導波管の外部から移動させるよう構成されていてもよい(請求項19)。前記導波管内に挿入された複数のロッドを備え、当該導波管の外部から各々の当該ロッドを移動させるよう構成されていてもよい(請求項20)。前記導波管内に第1の誘電体部材を備え、当該導波管の外部から当該第1の誘電体部材を移動させるよう構成されていてもよい(請求項21)。前記誘電体板の厚さが、当該誘電体板に対面する前記スロットからの距離に応じて設定されていてもよい(請求項22)。前記仕切り部材と前記載置台との間隔は、前記誘電体板と当該載置台との間隔よりも短く設定されていてもよい(請求項23)。前記仕切り部材は、前記ガス供給システムから導入されたガスを前記容器内に放出するためのガス放出機能を備えていてもよい(請求項24)。前記仕切り部材は、前記容器内にガスを放出するための複数のガス放出穴を備えていてもよい(請求項25)。前記仕切り部材は、前記ガス供給システムから導入されたガスを複数の前記ガス放出穴に導くためのガス流路を備えていてもよい(請求項26)。
【0017】
また、これらのプラズマ処理装置を使用して処理を行い、製品を製造する方法が提供される(請求項27)。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、管内波長を導波路の外部から調整する手段を設け、その手段により導波路の管内波長を調整することにより、ガスの種類や圧力、マイクロ波電力等の使用条件が変わっても管内波長を常に最適値に保つことができる。このため、極めて広範囲な使用条件において常に均一なプラズマを発生させることができる。例えば、使用条件を連続的に変えながら行う処理にも柔軟に対応することが可能になる。さらに、プラズマ処理装置の製造上の様々なばらつきがあっても、管内波長を最適値に設定することができるため、プラズマ処理装置が大型化しても容易に均一なプラズマが得られる。
【0019】
さらに、本発明によれば、複数の導波管を備え、各導波管毎に複数の誘電体板を設けたことにより、誘電体板が著しく小型化され、誘電体板の熱膨張の影響が小さくなるため、誘電体板と隣接する部材との間の隙間を小さく設定することができる。このため、被処理基板が大面積化しても、誘電体板と隣接する部材との間の隙間で意図しないプラズマが発生する問題が生じない。
【0020】
また、仕切り部材に複数のガス放出穴を設けることにより、ガス放出穴間のピッチを小さく設定することができる。このため、被処理基板全面にわたって均一にガスが供給され、むらのない均一な処理が可能になる。また、仕切り部材は導体からなりかつ接地されているため、ガス放出穴の内部にマイクロ波電界が印加されるので、意図しないプラズマが発生する問題が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明のプラズマ処理装置を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
図1は本発明のプラズマ処理装置における第1の実施例を示す断面図である。図2は図1におけるA−A断面図、また、図3は図1におけるB−B断面図である。
【0023】
真空容器101は、例えばアルミニウムからなり、かつ接地された状態になっている。真空容器101の内部には、基板107と、基板107の載置台108とが備えられている。基板107は、例えばガラス基板である。載置台108と真空容器101との間にはベローズ109が設けられており、図面には記載されていない昇降機構により気密を保持したまま載置台108を昇降できるようになっている。真空容器101の下部には、真空容器101の外部に設けられた真空ポンプ等により真空容器101内部のガスを排気するための排気口110が設けられている。
【0024】
2本の矩形の導波管102が互いに平行に、すなわち、H面(矩形導波管の広壁面)が基板107と平行に配置されている。導波管102の一端は短絡面になっており、もう一端には導波管および分岐を介してマイクロ波供給システム113が接続されている。マイクロ波供給システム113は、例えば、マグネトロン、アイソレーター、入射/反射電力計および自動整合器からなり、周波数2.45GHz、最大電力2kWのマイクロ波を発生させることができる。
【0025】
導波管102の載置台108側の面には、複数のスロット103が2列に等間隔に開口されている。導波管102およびスロット103の内部は中空になっている。導波管102の載置台108側の面には、各導波管102毎に2列のスロット103に跨って直方体形状の誘電体板104が配置されている。誘電体板104は石英からなるが、ムライト、アルミナ、サファイア、イットリア、窒化アルミ、窒化シリコン等であってもよい。
【0026】
スロット103を取り囲むようにOリング105が配置されており、真空容器101の気密が保持されている。Oリング105の内側、スロット103、および導波管102の内部は大気で満たされている。
【0027】
マイクロ波供給システム113で発生したマイクロ波は、分岐を通して2本の導波管102に導入された後、導波管102中をTE10モードで伝搬する。導波管102中を伝搬するマイクロ波の一部は、各々のスロット103を通して誘電体板104に供給され、誘電体板104全体に拡がる。誘電体板104近傍のマイクロ波電界によりプラズマ中の電子が加速され、プラズマが生成、維持される。
【0028】
誘電体板104中をマイクロ波が伝搬するものの、スロット103の周辺において電界強度が強くなりやすく、スロット103の周辺においてプラズマ密度が高くなる傾向がある。この導波管軸に垂直方向のプラズマ密度のむらを抑制するために、誘電体板104の厚さの分布が最適化されている。図1のように、プラズマ密度が高くなりやすいスロット103の周辺では、誘電体板104の厚さが厚く、スロット103から離れた部分では薄くなっている。誘電体板104の外周部には、仕切り部材106に高密度プラズマが直接接しないようにスリーブ状の平坦部が設けられている。
【0029】
誘電体板104は、上面および側面を金属壁に、下面をプラズマに取り囲まれたマイクロ波の導波路を形成している。本実施の形態では、各導波管102毎に複数の誘電体板104を設け、誘電体板104間のピッチをスロット103間のピッチと等しく設定した。そのため、誘電体板104の幅が著しく狭くなっており、誘電体板104中を伝搬するマイクロ波は、単一モードの矩形導波管に似たモードで伝搬する。このような状態では、誘電体板104の厚さが厚い部分ではマイクロ波電界が主に誘電体板104中を通るためプラズマが余り励起されないのに対し、薄い部分ではプラズマ中も通るようになりプラズマが盛んに励起される。このように、誘電体板104の厚さの分布を最適化することにより、誘電体板104内のプラズマ密度の分布を均一化することができる。
【0030】
図4に、導波管軸に垂直方向の基板107上の電子密度分布を測定した結果を示す。破線は厚さが一様な誘電体板を用いた場合、実線は厚さの分布を最適化した誘電体板を用いた場合の結果である。ガスは「Ar」を用いた。圧力は100Paに設定した。
【0031】
厚さが一様な誘電体板を用いた場合には、スロット103周辺の電子密度が高くなっており、導波管軸に垂直方向のプラズマ分布は著しく不均一である。一方、厚さの分布を最適化した誘電体板を用いた場合には、ほぼ均一な分布が得られている。このように、誘電体板104の厚さ分布の最適化は、均一なプラズマを得るためには極めて有効である。
【0032】
本実施の形態では、誘電体板104の厚さは、スロット103からの距離に対して単調減少の関係になっているが、単調減少でなくてもかまわない。また、誘電体板104の厚さを導波管軸に垂直な方向に連続的に変化させているが、平坦部を並べて配列して段階的に変化させてもよい。さらに、導波管軸に垂直な方向にプラズマの濃淡部が移動することを防いでプラズマの安定性を高めるために、誘電体板104の厚さが変わるステップ部に隆起部を設けてもよい。
【0033】
誘電体板104は、例えばアルミニウムからなる仕切り部材106で周囲を取り囲まれると同時に保持されている。仕切り部材106は導体であるとともに電気的に接地されているため、隣り合う誘電体板104間のマイクロ波の伝搬が抑制される。さらに、仕切り部材106と載置台108との間隔を、誘電体板104と載置台108との間隔より短く設定して仕切り部を隆起させることにより、より確実に誘電体板104間のマイクロ波の伝搬が抑制される。このため、誘電体板104内におけるマイクロ波の伝搬の仕方が各誘電体板毎に独立に決定されるため、制御しやすく均一性と安定性とに優れたプラズマが得られる。
【0034】
導波管102の内部には、スロット103による反射や端面での反射により生じた反射波と入射波とが干渉して定在波が発生する。各々のスロット103から放出されるマイクロ波の強度を均等にするためには、H面に沿って流れる壁面電流がほぼ極大となる位置にスロット103を配置すればよい。すなわち、スロット103間の導波管軸方向のピッチ、および導波管102の端面から直近のスロットまでの距離を、およそ「n×λg/2」(nは自然数、λgは管内波長)とすればよい。本実施例では「n=1」に設定されているが、「1」以外の自然数であってもよい。
【0035】
スロットを備えた矩形導波管の管内波長λgは、次式(1)で表される。
【数1】


【0036】
ここで、「a」は導波管のH面の幅である。「ε」は導波管内の比誘電率であり、本実施の形態では中空なので「1」である。「λ0」は自由空間中の波長であり、真空中の光速度c、マイクロ波の周波数fとした場合の「c/f」に等しい。本実施の形態では、マイクロ波の周波数が2.45GHzであり自由空間中の波長λ0は122mmとなる。「K」は波長短縮率であり、スロットがなければ「1」で、スロットがあればスロットのインピーダンスによって決まる実数である。波長短縮率Kは、スロット103の誘電率、形状、位置、誘電体板104の誘電率、形状、プラズマの誘電率(複素部も含む)等の関数である。このうち、プラズマの誘電率は、プラズマ中の電子の密度や電子温度、ガスの種類、圧力等によって決まる。
【0037】
従って、真空容器101に供給するガスの種類や圧力、マイクロ波電力等を変えると、波長短縮率Kが変化して管内波長λgも変化する。管内波長が最適値からずれると、各々のスロット103から放出されるマイクロ波の強度が不均等になり、プラズマの均一性が悪化する。このため、種々の条件が変化しても管内波長が一定に保たれるよう、管内波長を調整する機能を備えていることが望ましい。
【0038】
実際の管内波長は、導波路の各部寸法や誘電率、接触部のインピーダンスのばらつき、および周波数のばらつき等により、設計値と完全には一致しないし、装置毎にばらついてしまうのが一般的である。特に大型のプラズマ処理装置では、導波管が長く導波管毎のスロット数が多いため、管内波長の最適値からのずれがプラズマの均一性に大きな影響を与える。使用される条件が限定されていてプラズマの誘電率が一定の場合であっても、管内波長のずれを補正する機能を備えていることが望ましい。
【0039】
上記式(1)によれば、管内波長λgは、H面の幅a、導波管内の比誘電率εr、およびマイクロ波の周波数fの関数となっていることが分かる。すなわち、これらの値を変化させることにより、管内波長λgを調整することができる。
【0040】
本実施の形態では、導波管102のE面(矩形導波管の狭壁面)内側に沿って上下に移動するプランジャ111が設けられている。プランジャ111を上下に移動させて導波管102のH面の幅aを実効的に変化させることにより、管内波長λgを調整することができるようになっている。例えば、プランジャ111を上方向に移動させると、H面の幅aが実効的に広くなり、管内波長λgが短くなる。
【0041】
プランジャ111と導波管102との間には、シールドスパイラル112が設けられており、これらの間で放電が発生せず、壁面を沿って流れるマイクロ波電流が摺動部においても確実に流れるよう構成されている。
【0042】
導波管102中を伝搬するマイクロ波は、スロット103からエネルギーを放出しながら伝搬するため、端面に近づくに従い次第に減衰する。このため、「λg/2」をスロット103間のピッチに完全に一致させると、条件によっては、スロット103から放出されるマイクロ波の強度が端面側において弱くなってしまう場合がある。このような場合には、プランジャ111の位置を調整して、「λg/2」がスロット103間のピッチよりも僅かに大きくなるように設定するか、あるいは僅かに小さくなるように設定することにより、マイクロ波導入側のスロット103から放出されるマイクロ波の強度を低下させる。この結果、全体として良好な均一性を得ることができる。このように、本実施の形態では、管内波長を調整する機能を備えることにより、極めて広範囲な使用条件において常に均一なプラズマを発生させることができる。
【0043】
本発明のプラズマ処理装置を用いて、導波管102のスロット103存在面とプランジャ111の先端との間隔であるプランジャ位置h(図1参照)を変えたときに、プラズマの分布がどのように変化するかを調べた。図5に、導波管軸方向の基板上の電子密度分布を示す。スロット103間のピッチは、71.0mmに設定した。導入したガスは「Ar」で、ガス流量は700sccm、圧力は100Paである。
【0044】
プランジャ位置hを12.1mmに設定すると(破線参照)、「λg/2」はスロット103間のピッチと等しい71.0mmとなる。このとき、基板上の電子密度はマイクロ波導入側で高く、端面側で低くなっている。次に、プランジャ位置hを17.7mmに設定すると(実線参照)、「λg/2」はスロット103間のピッチよりも若干短い70.1mmとなる。このとき、基板上の電子密度はほぼ均一になっている。次に、プランジャ位置hを24.2mmに設定すると(一点鎖線)、「λg/2」は更に短くなり、69.2mmとなる。このとき、基板上の電子密度はマイクロ波導入側で低く、端面側で高くなっている。このように、プランジャ位置hにより導波管軸方向のプラズマの分布が変化し、またプランジャ位置hを変えて管内波長λgを最適化することにより、均一なプラズマが得られることが分かる。
【0045】
導入ガスや圧力を変えたときにプランジャ位置hの最適値がどのように変化するかを調べた結果を表1に示す。「Ar」ガスで、流量700sccm、圧力100Paの場合、前記のようにプランジャ位置hが17.7mmで、「λg/2」が70.1mmのときに最も均一なプラズマが得られた。次に、プランジャ位置hは変えずに圧力を10Paに下げると、波長短縮率Kが減少して管内波長λgが短くなり、プラズマの均一性が悪化した。管内波長λgを最適値である70.1mmに戻すために、プランジャ位置hを15.1mmまで減少させてH面の幅aを実効的に減少させることにより、再び均一なプラズマが得られた。
【表1】


【0046】
「Ar」と「O」との混合ガス、および「Ar」と「SiH」との混合ガスでも同様の実験を行った結果、均一なプラズマを得るためのプランジャ位置hの最適値は、条件により異なることが明らかになった。これは、条件によりプラズマの誘電率が異なるためである。このように、使用条件が変わってもプランジャ位置hを変えて波長λgを調整することにより、常に均一なプラズマを得ることができることが実証された。
【0047】
図3のように、仕切り部材106には、真空容器101の内部にガスを放出するための複数のガス放出穴115が設けられている。各ガス放出穴115は、ガス流路114につながっている。本実施の形態では、6本のガス流路114が導波管102と平行に配置されている。ガス供給システム116から供給されたガスは、六つの経路に分岐された後にそれぞれのガス流路114に導かれ、複数のガス放出穴115から均一に放出される。
【0048】
本実施の形態によれば、各導波管102毎に複数の誘電体板104を設け、誘電体板104間のピッチをスロット103間のピッチと等しく設定したことにより、誘電体板が著しく小型化され、誘電体板の熱膨張の影響が小さくなるため、誘電体板104と隣接する部材との間の隙間を小さく設定することができる。このため、基板が大面積化しても、誘電体板と隣接する部材との間の隙間でプラズマが発生することがなく、均一で安定なプラズマを効率よく生成することができる。
【0049】
また、仕切り部材106に複数のガス放出穴115を設けることにより、ガス放出穴間のピッチを小さく設定することができる。結果として、基板107全面にわたってほぼ均一にガスが供給され、誘電体板104と基板107の間隔を狭くしてもむらの少ない均一な処理が行える。また、仕切り部材106は導体からなり、かつ接地されているため、ガス放出穴の内部にマイクロ波電界が印加されてプラズマが発生するという問題は生じない。
【0050】
さらに、気密保持部を誘電体板104のスロット103側の面と真空容器101との間に設けることにより、誘電体板104が大気と接する面積が減少して大気圧により誘電体板104が受ける力が小さくなるので、誘電体板104保持部の必要強度が低下する。このため、誘電体板104の保持機能を有する仕切り部材106の幅を狭くすることができる。結果として、仕切り部材106周辺のプラズマ密度の低下が抑えられ、プラズマの均一性を向上させることができる。
【0051】
このように、基板が大面積化してプラズマ生成領域が拡がっても、広範囲な使用条件において均一で安定したプラズマを効率よく発生させることができる。さらに、プラズマ処理に必要なガスが基板全面にわたってほぼ均一に供給されるため、誘電体板104と基板107との距離を狭くしても均一な処理が行える。結果として、本装置は極めて汎用性に富み、均一かつ高速で高性能な処理を行うことができる。
【0052】
本発明のプラズマ処理装置は、プラズマ励起に高周波を用いた平行平板プラズマ処理装置や誘導結合プラズマ処理装置と比較してプラズマ励起周波数が高いため、電子温度が低く密度が高いプラズマが得られる。例えば、従来の平行プラズマ処理装置では、電子温度が3eV〜10eV程度、電子密度が1010〜1011cm−3程度であるが、本発明のプラズマ処理装置では、電子温度が0.3eV〜3eV、電子密度が1011〜10cm−3程度である。このため、高速かつ基板に損傷を与えない優れた処理が行える特長がある。
【0053】
本発明のプラズマ処理装置を、有機ELディスプレイ製造工程の一部の処理に適用した。適用した処理は、プラズマ化学気層反応法によるシリコン窒化膜の成膜である。ガス供給システム116から、「Ar、SiH、およびNH」の混合ガスを供給し、ガス流路114を通してガス放出穴115から真空容器101内に導入するとともに、真空ポンプを用いて排気口110から排気した。各ガスの流量は、それぞれ400sccm、30sccm、および120sccmに設定した。基板107としてガラス基板を用いた。基板温度は300℃に設定した。
【0054】
シリコン窒化膜は、ゲート絶縁膜、層間絶縁膜、または保護膜として用いられ、絶縁耐圧の高耐圧化、リーク電流の低減、および成膜速度の高速化が求められている。従来の平行平板プラズマ処理装置を用いて形成したシリコン窒化膜の絶縁耐圧は、例えば5.4MV/cm、リーク電流は2.4×10−6A/cm−2であり、成膜速度は110nm/minであった。一方、本発明のプラズマ処理装置を用いて形成した薄膜の絶縁耐圧は、例えば11.8MV/cm、リーク電流1.6×10−8A/cm−2であり、成膜速度は280nm/minであった。このように、従来のプラズマ処理装置と比較して優れた特性のシリコン窒化膜を高速に形成することができる。さらに、均一性も大幅に改善された。
【0055】
本実施の形態では、誘電体板104は矩形であるが、円柱形や多角形であってもよい。誘電体板104の厚さは一様であってもよい。仕切り部材106と真空容器101は一体であってもよく、また、絶縁物等で覆われていてもよい。仕切り部には段差を設けなくてもよい。導波管102はリッジ導波管や円形導波管等であってもよい。導波管102は2本以外であってもよく、導波管あたりのスロット103の数は12個以外であってもよく、ガス流路114は6本以外であってもよい。ガス供給システム116、ガス流路114、およびガス放出穴115を複数系統備え、それぞれ異なるガスが供給されるように構成してもよい。導波管102には、スロット103が「λg/2」ピッチで2列に配列されているが、1列であってもよい。また、一方の列と他方の列とが互い違いに配列されてもよい。
【0056】
本実施の形態では、可動のプランジャ111を設け、プランジャの位置を変えることにより管内波長を調節しているが、マイクロ波供給システム113で発生するマイクロ波の周波数fを変えることにより管内波長を調節するようにしてもよい。この場合には、可動のプランジャ111は不要である。
【0057】
本発明のプラズマ処理装置を用いて、マイクロ波の周波数fを変えたときに、プラズマの分布がどのように変化するかを調べた。図6に、導波管軸方向の基板上における電子密度分布を示す。プランジャ位置hは、17.7mmに固定にした。スロット103間のピッチは、71.0mmに設定した。導入したガスは「Ar」で、ガス流量は700sccm、圧力は100Paである。
【0058】
マイクロ波供給システム113で発生するマイクロ波の周波数を標準周波数より0.02GHz低い2.43GHzに設定すると(破線参照)、「λg/2」は70.8mmとなる。このとき、基板上の電子密度はマイクロ波導入側で高く、端面側で低くなっている。次に、標準周波数である2.45GHzに設定すると(実線参照)、「λg/2」は若干短くなり、70.1mmとなる。このとき、基板上の電子密度はほぼ均一になっている。次に、標準周波数より0.02GHzだけ高い2.47GHzに設定すると(一点鎖線)、「λg/2」は更に短くなり、69.4mmとなる。このとき、基板上の電子密度はマイクロ波導入側で低く、端面側で高くなっている。このように、マイクロ波の周波数により導波管軸方向におけるプラズマの分布が変化し、また周波数を変えて管内波長λgを最適化することにより、均一なプラズマが得られることが分かる。
【0059】
図7は、ガス放出部の別の形態を示した断面図である。ガス穴付ボルト117には、ガス放出穴118が開口されている。仕切り部材106は、複数のガス穴付ボルト117により真空容器101に固定される。各々のガス放出穴118はガス流路114につながっており、ガス流路114に導入されたガスは、複数のガス放出穴118から真空容器101の内部に放出される。ガス穴付ボルト117が、仕切り部材106および誘電体板104を保持する機能と、ガスを放出する機能とを兼ねるため、構造を単純化することができる。
【0060】
図8は、ガス放出部のさらに別の形態を示した縦断面図である。仕切り部材106には、例えばアルミナからなる多孔質部材119が備えられている。ガス流路114により多孔質部材119まで導かれたガスは、多孔質部材119中を通り抜けて真空容器101の内部に放出される。ガス放出穴からガスを放出するよりも、より均一に放出することが可能である。
【実施例2】
【0061】
図9は本発明のプラズマ処理装置における第2の実施例を示す断面図である。ここでは、第1の実施例との相違点についてのみ説明する。
【0062】
導波管102の載置台108側の面には、各スロット103毎に直方体形状の誘電体板104が配置されている。なお、誘電体板104を複数の導波管102に跨って配列する構成であってもよい。
【0063】
導波管102の内部には、導波管内誘電体201が設けられている。導波管内誘電体201は比誘電率2.1のフッ素樹脂からなるが、石英、ムライト、アルミナ、サファイア、イットリア、窒化アルミ、窒化シリコン等であってもよい。このように、導波管の内部に誘電体を挿入すると、導波管断面の寸法および管内波長λgが縮小される。導波管内誘電体の比誘電率を「ε」とすると、導波管断面の寸法および管内波長λgは、中空の場合と比較して「1/ε1/2」倍となる。導波管102の内部に導波管内誘電体201を設けることにより、導波管102の断面寸法が小さくなり装置を小型化することができる。さらに、スロット103間のピッチが小さくなるため、ガス放出穴間のピッチが小さくなり、より均一にガスを放出することができる。
【0064】
スロット103の内部には、平板状のスロット内誘電体202,203が設けられている。スロット内誘電体202,203は誘電率が異なり、例えば、スロット内誘電体202は比誘電率2.1のフッ素樹脂からなり、スロット内誘電体203は比誘電率3.8の石英からなる。スロット内誘電体202,203は、ムライト、アルミナ、サファイア、イットリア、窒化アルミ、窒化シリコン等であってもよい。
【0065】
このように、スロット103の内部に誘電体を挿入すると、スロット103から放出されるマイクロ波の強度が変化する。また、スロット内誘電体の誘電率により、スロット103から放出されるマイクロ波の強度を変えてプラズマの分布を制御することができる。現実的には、誘電率を連続的に変えることは困難なため、本実施の形態では、誘電率の異なる二つの誘電体をスロットに挿入し、それらの厚さを変えることによりスロット103内の実効的な誘電率を変えてスロット103から放出されるマイクロ波の強度を制御している。
【0066】
プラズマ処理装置内のプラズマ密度は、基板の周辺部において低くなる傾向がある。このため、周辺部のスロットから放出されるマイクロ波の強度が他よりも大きくなるように設定すれば、均一なプラズマが得られやすい。本実施の形態では、導波管102の両端のスロット103においては、スロット内誘電体202,203の厚さをそれぞれ4mmおよび6mmに、それ以外のスロットでは、スロット内誘電体202,203両者共5mmに設定した。
【0067】
本発明のプラズマ処理装置を用いて、スロット内誘電体202,203の厚さを変えたときに、導波管軸方向における基板上の電子密度の分布がどのように変化するかを調べた結果を図10に示す。導入したガスは「Ar」で、ガス流量は700sccm、圧力は100Paである。
【0068】
全てのスロット103においてスロット内誘電体202,203の厚さを5mmに設定した場合(実線)には、基板の両端において電子密度が低下していることが分かる。一方、両端のスロット103においてのみ、スロット内誘電体202,203の厚さをそれぞれ4mmおよび6mmに設定した場合(破線)には、基板の両端において電子密度の低下が抑えられ、ほぼ均一な分布になっていることが分かる。これは、両端のスロット103においてスロット内誘電体203の厚さをスロット内誘電体202よりも厚くしたことにより、両端のスロット103から放出されるマイクロ波の強度が他よりも強くなったためである。このように、スロット内誘電体202,203それぞれの厚さを変えることにより、導波管軸方向のプラズマの分布を細かく最適化することができる。
【0069】
本実施の形態では、スロット内誘電体を図9において左右方向に2分割にしているが、2分割以外であってもよい。また、図9において上下方向に分割してもよいし、紙面に垂直方向に分割してもよい。
【実施例3】
【0070】
図11は、本発明のプラズマ処理装置における第3の実施例を示す断面図である。図12は図11におけるA−A断面図である。ここでは、第1の実施例との相違点についてのみ説明する。
【0071】
単一の矩形導波管301は、E面(矩形導波管の狭壁面)が基板107と平行になるように配置されている。導波管301の一端は短絡面になっており、もう一端にはマイクロ波供給システム113が接続されている。本実施の形態では、細長いプラズマを発生させることができるため、細長い部材にプラズマ処理を行う場合や、大面積基板を導波管軸に垂直方向に移動させながらプラズマ処理を行う場合に適している。
【0072】
導波管301の載置台108側の面には、複数のスロット103が等間隔に開口されている。導波管301の載置台108側の面には、各スロット103毎に直方体形状の誘電体板104が配置されている。スロット103間の導波管軸方向のピッチ、および導波管301の端面から直近のスロットまでの距離は、およそ「n×λg/2」(nは自然数)とすればよい。本実施例では、「n=1」に設定されているが、「1」以外の自然数であってもよい。
【0073】
本実施の形態では、導波管301のE面を構成し、上下に移動するプランジャ302が設けられている。プランジャ302には、例えばステンレスからなる支持棒304が固定されている。導波管301の外部から支持棒304とともにプランジャ302を上下に移動させて導波管301のH面の幅を変化させることにより、管内波長を調整することができる。例えば、プランジャ302を上方向に移動させると、H面の幅が広くなり管内波長は短くなる(上記式(1)参照)。また、複数のプランジャ302を導波管軸方向に並べて配列してもよい。この場合、各プランジャ302毎にH面の幅を変化させることにより、より精密に管内波長を調整することが可能である。本実施の形態では、管内波長を調整する機能を備えることにより、極めて広範囲な使用条件において常に均一なプラズマを生成することができる。
【0074】
プランジャ302には、チョーク誘電体303が設けられている。チョーク誘電体303は比誘電率9.4のアルミナからなるが、フッ素樹脂、石英、ムライト、サファイア、イットリア、窒化アルミ、窒化シリコン等か、あるいは中空であってもよい。図11のd部の長さは、チョーク誘電体303中におけるマイクロ波の波長の「1/4」すなわち「λ/(4×ε1/2)」に設定されている。ここで、「λ」は、マイクロ波供給システム113が発生するマイクロ波の自由空間中の波長であり、「ε」は、チョーク誘電体303の比誘電率である。
【0075】
このような構造は、チョーク構造と呼ばれ、導波管のフランジや、整合器等の導波管摺動部等に用いられている。
【0076】
次に、チョーク構造の動作原理を説明する。
【0077】
チョーク誘電体303部は、終端面を短絡されたマイクロ波の導波路として動作し、入射波と反射波との干渉により定在波が発生している。図11のB部は短絡面となっており、チョーク誘電体303内の電界は「ゼロ」で、壁面に流れる電流は最大となっている。一方、B部から「1/4」波長離れたC部においては、チョーク誘電体303内の電界は最大、壁面に流れる電流は「ゼロ」となっている。また、B部から「1/2」波長離れたD部は等価的に短絡面となっており、チョーク誘電体303内の電界は「ゼロ」で、壁面に流れる電流は最大となっている。
【0078】
D部が等価的に短絡面となっていることから、チョーク構造があってもなくても導波管301内の電磁波の分布は変わらない。また、C部において壁面に流れる電流が「ゼロ」になっているため、摺動部に多少隙間があってもマイクロ波の漏洩や放電等が発生せず、マイクロ波を確実に伝搬させることができる。
【0079】
支持棒304と真空容器101との間には、シールドスパイラル305が設けられており、装置外部へのマイクロ波の漏洩を確実に防止できるようになっている。
【0080】
図12のように、仕切り部材106には、真空容器101の内部にガスを放出するための複数のガス放出穴307、および複数のガス放出穴307にガスを導くためのガス流路306が設けられている。ガス流路306は、ガス供給システムに接続されている。
【0081】
本実施の形態では、導波管301は単一であるが、複数の導波管301を並べて配列してもよく、また誘電体板104を複数の導波管301に跨って配列してもよい。スロット103の数は6個以外であってもよく、ガス流路306は7本以外であってもよい。ガス供給システム、ガス流路306、およびガス放出穴307を複数系統備え、それぞれ異なるガスが供給されるように構成してもよい。誘電体板104の厚さはスロット103からの距離に応じて分布を持たせてもよい。導波管301、およびスロット103の内部は中空となっているが、第2の実施の形態で説明したように誘電体を挿入してもよい。プランジャ302と導波管301との間にはチョーク構造の代わりにシールドスパイラルや板ばね等を設けてもよい。また、シールドスパイラル305は設けなくてもよい。
【実施例4】
【0082】
図13は、本発明のプラズマ処理装置における第4の実施例を示す断面図である。ここでは、第3の実施例との相違点についてのみ説明する。
【0083】
単一の矩形導波管401は、E面が基板107と平行になるように配置されている。導波管401の一端は短絡面になっており、もう一端にはマイクロ波供給システム113が接続されている。
【0084】
導波管401内には、導波管401の上面に開口された複数の穴から、それぞれ波長調整ロッド402が挿入されている。波長調整ロッド402は、「λg/2」間隔で等間隔に配列されているが、これ以外の間隔であってもよい。波長調整ロッド402は金メッキを施した銅からなるが、アルミニウム、フッ素樹脂、石英、ムライト、アルミナ、サファイア、イットリア、窒化アルミ、窒化シリコン等であってもよい。導波管401の外部から各々の波長調整ロッド402を上下に移動させて、導波管401に挿入される長さを変えることにより、管内波長λgを調整することができる。
【0085】
本実施の形態では、導波管401は単一であるが、複数の導波管401を並べて配列してもよく、また誘電体板104を複数の導波管401に跨って配列してもよい。導波管301およびスロット103の内部は中空となっているが、誘電体を挿入してもよい。波長調整ロッド402と導波管401との間には、チョーク構造、シールドスパイラルや板ばね等を設けてもよい。
【実施例5】
【0086】
図14は、本発明のプラズマ処理装置における第5の実施例を示す断面図である。ここでは、第3の実施例との相違点についてのみ説明する。
【0087】
単一の矩形導波管501は、E面が基板107と平行になるように配置されている。導波管501の一端は短絡面になっており、もう一端にはマイクロ波供給システム113が接続されている。
【0088】
導波管501の載置台108側の面には、複数のスロット103が等間隔に開口されている。スロット103の内部にはスロット内誘電体504が挿入されており、スロット103から放出されるマイクロ波の強度が適切になされるよう構成されている。スロット内誘電体504はアルミナからなるが、フッ素樹脂、石英、ムライト、サファイア、イットリア、窒化アルミ、窒化シリコン等か、あるいは中空であってもよい。
【0089】
導波管501内には、導波管501の内寸より小さな直方体形状の導波管内誘電体502が挿入されている。導波管内誘電体502はフッ素樹脂からなるが、石英、ムライト、アルミナ、サファイア、イットリア、窒化アルミ、窒化シリコン等であってもよい。導波管内誘電体502には、例えばフッ素樹脂からなる支持棒503が固定されている。導波管501の外部から支持棒503とともに導波管内誘電体502を上下に移動させることにより、管内波長λgを調整することができる。
【0090】
上記式(1)によれば、中空の導波管の内部に誘電体を設置すると、管内波長λgが短くなることが分かる。誘電体の大きさが導波管の内寸よりも小さい場合には、導波管内の電界のより強い部分に誘電体を設置すると、管内波長λgがより短くなる。矩形導波管の対面するH面間にかかる電界は、H面の中心線上で最も強く、E面に近づくにつれて弱くなる。従って、導波管内誘電体502をH面の中心線上に配置すると管内波長λgが最も短くなり、中心線から上または下に移動させるとともに長くなる。このように、導波管内誘電体502の位置により管内波長を調整するようにすれば、シールドスパイラルやチョーク構造等を用いなくてもマイクロ波を確実に伝搬させることができる。
【0091】
本実施の形態では、導波管501は単一であるが、複数の導波管501を並べて配列してもよく、また誘電体板104を複数の導波管501に跨って配列してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
導波管に導入されたマイクロ波を誘電体板にスロットを通して伝搬させ、真空容器中に供給されたガスをプラズマ化させて基板表面にプラズマ処理を施す際、並列配置される各導波管毎に複数誘電体板を設け、隣り合う誘電体板間に導体からなり接地された仕切り部材を配置し、プランジャを上下に動かして、導波管の管内波長を最適値に調整することによって、誘電体板と隣接する部材との隙間で意図しないプラズマが発生することがないので、安定したプラズマを効率よく発生させることが必要な用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明のプラズマ処理装置における実施の一形態を断面で示す図である。(実施例1)
【図2】図1におけるA−A断面を示す図である。
【図3】図1におけるB−B断面を示す図である。
【図4】導波管軸に垂直方向における基板上の電子密度分布を示す図である。
【図5】導波管軸方向における基板上の電子密度分布のプランジャ位置h依存性を示す図である。
【図6】導波管軸方向における基板上の電子密度分布の周波数f依存性を示す図である。
【図7】ガス穴付ボルトを備えたガス放出部の断面を示す図である。
【図8】多孔質部材を備えたガス放出部の断面を示す図である。
【図9】本発明のプラズマ処理装置における実施の一形態を断面で示す図である。(実施例2)
【図10】導波管軸方向における基板上の電子密度分布のスロット内誘電体厚さ依存性を示す図である。(実線:全てのスロットにおいてスロット内誘電体202,203の厚さを5mmに設定した場合。破線:両端のスロットにおいてのみ、スロット内誘電体202,203の厚さをそれぞれ4mm、および6mmに、他のスロットにおいては5mmに設定した場合。)
【図11】本発明のプラズマ処理装置における実施の一形態を断面で示す図である。(実施例3)
【図12】図11におけるA−A断面を示す図である。
【図13】本発明のプラズマ処理装置における実施の一形態を断面で示す図である。(実施例4)
【図14】本発明のプラズマ処理装置における実施の一形態を断面で示す図である。(実施例5)
【符号の説明】
【0094】
101 真空容器
102、301、401、501 導波管
103 スロット
104 誘電体板
105 Oリング
106 仕切り部材
107 基板
108 載置台
109 ベローズ
110 排気口
111、302 プランジャ
112、305 シールドスパイラル
113 マイクロ波供給システム
114、306 ガス流路
115、118、307 ガス放出穴
116 ガス供給システム
117 ガス穴付ボルト
119 多孔質部材
201、502 導波管内誘電体
202、203、504 スロット内誘電体
303 チョーク誘電体
304、503 支持棒
402 波長調整ロッド




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013