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発明の名称 静電吸着電極、基板処理装置および静電吸着電極の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−27315(P2007−27315A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−205716(P2005−205716)
出願日 平成17年7月14日(2005.7.14)
代理人 【識別番号】100099944
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 宏志
発明者 林 聖
要約 課題
絶縁層の一部にポリイミドフィルムなどの耐熱性合成樹脂フィルムを使用しながら、電極層への電気的接続が十分に確保された静電吸着電極を提供する。

解決手段
基材41に接着剤101を塗布し、合成樹脂フィルム42および導電性フィルム43の積層体を貼付する。給電ピン70を装着した状態で、開口42a,43aに溶射装置100によって導電性材料をピンポイント溶射し、溶射部45を形成する。次に、導電性フィルム43の表面に溶射のためのプライマー102を塗布した後、導電性フィルム43の表面に溶射装置100を用いてAlなどのセラミックスを均一に溶射して絶縁被覆する。
特許請求の範囲
【請求項1】
基板処理装置において基板を吸着保持するための静電吸着電極であって、
基材と、
該基材上に設けられた第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層よりも上層に設けられた電極層と、
前記電極層よりも上層に設けられた第2の絶縁層と、
を備え、
前記第1の絶縁層は、耐熱性合成樹脂フィルムにより形成され、
前記電極層は、その一部または全部が溶射により形成されていることを特徴とする、静電吸着電極。
【請求項2】
前記電極層は、導電性フィルム領域と、該導電性フィルム領域に形成された開口部を埋める溶射領域と、を有し、
前記第2の絶縁層は、溶射により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の静電吸着電極。
【請求項3】
前記電極層および前記第2の絶縁層が、溶射により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の静電吸着電極。
【請求項4】
前記第2の絶縁層がセラミックス溶射膜であることを特徴とする、請求項2または請求項3に記載の静電吸着電極。
【請求項5】
前記電極層が溶射により形成されるとともに、
前記第2の絶縁層は、耐熱性合成樹脂フィルムにより形成され、
さらに、前記第2の絶縁層より上層に、第3の絶縁層が溶射により形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の静電吸着電極。
【請求項6】
前記第3の絶縁層がセラミックス溶射膜であることを特徴とする、請求項5に記載の静電吸着電極。
【請求項7】
前記第1の絶縁層である耐熱性合成樹脂フィルムには開口が設けられ、該開口内に導電性材料が溶射されて溶射部を形成していることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の静電吸着電極。
【請求項8】
前記溶射部は、前記電極層に電圧を印加するための電気的接続部に形成されていることを特徴とする、請求項7に記載の静電吸着電極。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載された静電吸着電極を備えた基板処理装置。
【請求項10】
フラットパネルディスプレイの製造に用いられるものである、請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
基板に対し、プラズマエッチング処理を行なうプラズマエッチング装置であることを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の基板処理装置。
【請求項12】
基板処理装置において基板を吸着保持するための静電吸着電極の製造方法であって、
開口部を有する耐熱性合成樹脂フィルムと開口部を有する導電性フィルムとを前記開口部が重なるように接着した積層体を、基材の上に貼付して、前記基材側から順に第1の絶縁層および電極層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層と前記電極層に形成された開口部に導電性材料を溶射して溶射部を形成する工程と、
前記電極層の上に、絶縁材料を溶射して第2の絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、静電吸着電極の製造方法。
【請求項13】
基板処理装置において基板を吸着保持するための静電吸着電極の製造方法であって、
基材の上に、開口部を有する耐熱性合成樹脂フィルムを貼付して第1の絶縁層を形成する工程と、
前記耐熱性合成樹脂フィルムの上に導電性材料を溶射して電極層を形成する工程と、
前記電極層の上に、絶縁材料を溶射して第2の絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、静電吸着電極の製造方法。
【請求項14】
基板処理装置において基板を吸着保持するための静電吸着電極の製造方法であって、
基材の上に、開口部を有する耐熱性合成樹脂フィルムを貼付して第1の絶縁層を形成する工程と、
前記耐熱性合成樹脂フィルムの上に導電性材料を溶射して電極層を形成する工程と、
前記電極層の上に、耐熱性合成樹脂フィルムを積層して第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第2の絶縁層より上層に、絶縁材料を溶射して第3の絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、静電吸着電極の製造方法。
【請求項15】
前記電極層を形成する工程の前に、前記耐熱性合成樹脂フィルムの開口部に導電性材料を溶射して溶射部を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項13または請求項14に記載の静電吸着電極の製造方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電吸着電極、基板処理装置および静電吸着電極の製造方法に関し、詳細には、フラットパネルディスプレイ(FPD)等の製造過程において、ガラス基板等の基板を吸着保持する為に使用される静電吸着電極、該静電吸着電極を備えた基板処理装置および静電吸着電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
FPDの製造過程では、被処理体であるガラス基板に対してドライエッチングやスパッタリング、CVD(Chemical Vapor Deposition)等のプラズマ処理が行なわれる。例えば、チャンバー内に一対の平行平板電極(上部および下部電極)を配置し、下部電極として機能するサセプタ(基板載置台)にガラス基板を載置した後、処理ガスをチャンバー内に導入するとともに、電極の少なくとも一方に高周波電力を印加して電極間に高周波電界を形成し、この高周波電界により処理ガスのプラズマを形成してガラス基板に対してプラズマ処理を施す。この際、ガラス基板は、サセプタ上に設けられた静電吸着電極によって、例えばクーロン力を利用して吸着固定されるようになっている。
【0003】
このような静電吸着電極としては、例えば金属などの導電性材料により形成された基材の上に、絶縁層、電極層および絶縁層を順に積層した構造を有するものが知られており、該電極層に電圧を印加することによりクーロン力を発生させてガラス基板を吸着固定できるようになっている。そして、前記基材上に形成される絶縁層としては、セラミックスなどの溶射絶縁膜が知られているが、溶射絶縁膜は耐電圧性能に限界があるため、溶射絶縁膜に換えてポリイミドフィルムを使用することが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0004】
上記従来技術のように、絶縁層にポリイミドフィルムを使用するメリットとして、耐電圧性能に優れていることが挙げられる。つまり、耐電圧性能の高いポリイミドフィルムの絶縁膜は、溶射絶縁膜に比べて同じ耐電圧特性を得るための膜厚を薄くすることができる。また、薄膜化できることにより、アルミニウムなどの材質からなる基材の熱膨張への追随性も向上させることが可能になる。
【0005】
また、溶射絶縁膜の場合には、膜中の気孔を塞ぎ、耐電圧性能を改善するための含浸処理が必須であり、それに伴い工程数、労力が多くなることや、局所的な含浸不良箇所が存在すると耐電圧性能が著しく低下するという問題があるが、ポリイミドフィルムを使用することにより、これらの問題は解決される。
【特許文献1】特開2002−64134号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献2】特開2001−284328号公報(図3など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように静電吸着電極は、絶縁層の間に電極層を介在させ、そこに電圧を印加するために、直流電源との電気的接続を図る必要がある。上記従来技術では、電極層として金属箔や金属板を使用しているが、これら金属箔や金属板をポリイミドフィルムに積層して使用する場合には、直流電源に接続された給電部材と電極層との接合部位の電気的接続を確保することが難しく、この部分が接続不良になると、静電吸着電極としての機能が維持できない、という問題があった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、絶縁層の一部としてポリイミドフィルムなどの耐熱性合成樹脂フィルムを使用しながら、電極層への電気的接続を十分に確保できる静電吸着電極を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点は、基板処理装置において基板を吸着保持するための静電吸着電極であって、
基材と、
該基材上に設けられた第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層よりも上層に設けられた電極層と、
前記電極層よりも上層に設けられた第2の絶縁層と、
を備え、
前記第1の絶縁層は、耐熱性合成樹脂フィルムにより形成され、
前記電極層は、その一部または全部が溶射により形成されていることを特徴とする、静電吸着電極を提供する。
【0009】
上記第1の観点において、前記電極層は、導電性フィルム領域と、該導電性フィルム領域に形成された開口部を埋める溶射領域と、を有し、前記第2の絶縁層は、溶射により形成されていてもよい。あるいは、前記電極層および前記第2の絶縁層が、溶射により形成されていてもよい。これらの場合、前記第2の絶縁層がセラミックス溶射膜であってもよい。
【0010】
また、上記第1の観点において、前記電極層が溶射により形成されるとともに、前記第2の絶縁層は、耐熱性合成樹脂フィルムにより形成され、さらに、前記第2の絶縁層より上層に、第3の絶縁層が溶射により形成されていてもよい。この場合、前記第3の絶縁層がセラミックス溶射膜であってもよい。
【0011】
上記第1の観点において、前記第1の絶縁層である耐熱性合成樹脂フィルムには開口が設けられ、該開口内に導電性材料が溶射されて溶射部を形成していることが好ましい。この場合、前記溶射部は、前記電極層に電圧を印加するための電気的接続部に形成されていることがより好ましい。
【0012】
本発明の第2の観点は、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載された静電吸着電極を備えた基板処理装置が提供される。この基板処理装置は、フラットパネルディスプレイの製造に用いられるものであってもよい。また、基板に対し、プラズマエッチング処理を行なうプラズマエッチング装置であってもよい。
【0013】
本発明の第3の観点は、基板処理装置において基板を吸着保持するための静電吸着電極の製造方法であって、
開口部を有する耐熱性合成樹脂フィルムと開口部を有する導電性フィルムとを、前記開口部が重なるように接着した積層体を基材の上に貼付して、前記基材側から順に第1の絶縁層および電極層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層と前記電極層に形成された開口部に導電性材料を溶射して溶射部を形成する工程と、
前記電極層の上に、絶縁材料を溶射して第2の絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、静電吸着電極の製造方法を提供する。
【0014】
本発明の第4の観点は、基板処理装置において基板を吸着保持するための静電吸着電極の製造方法であって、
基材の上に、開口部を有する耐熱性合成樹脂フィルムを貼付して第1の絶縁層を形成する工程と、
前記耐熱性合成樹脂フィルムの上に導電性材料を溶射して電極層を形成する工程と、
前記電極層の上に、絶縁材料を溶射して第2の絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、静電吸着電極の製造方法を提供する。
【0015】
本発明の第5の観点は、基板処理装置において基板を吸着保持するための静電吸着電極の製造方法であって、
基材の上に、開口部を有する耐熱性合成樹脂フィルムを貼付して第1の絶縁層を形成する工程と、
前記耐熱性合成樹脂フィルムの上に導電性材料を溶射して電極層を形成する工程と、
前記電極層の上に、耐熱性合成樹脂フィルムを積層して第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第2の絶縁層より上層に、絶縁材料を溶射して第3の絶縁層を形成する工程と、
を含むことを特徴とする、静電吸着電極の製造方法を提供する。
【0016】
上記第4の観点および第5の観点において、前記電極層を形成する工程の前に、前記耐熱性合成樹脂フィルムの開口部に導電性材料を溶射して溶射部を形成する工程を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の静電吸着電極によれば、少なくとも基材に隣接する絶縁層として、耐電圧特性が高く薄膜化が可能な耐熱性合成樹脂フィルムを使用するとともに、電極層の少なくとも一部を溶射により形成することで、給電線との電気的接続を十分に確保することが可能になる。従って、本発明の静電吸着電極は、絶縁層の膜厚が薄く、基材の熱膨張への追随性が高く、吸着能に優れ、かつ耐電圧性能に優れたものである。
【0018】
また、本発明の静電吸着電極の製造方法によれば、上記静電吸着電極を、短期間に、少ない工程数で、かつ低コストに製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る静電吸着電極としての静電チャックを備えた処理装置の一例であるプラズマエッチング装置を示す断面図である。図1に示すように、プラズマエッチング装置1は、矩形をした被処理体であるFPD用ガラス基板などの基板Gに対してエッチングを行なう容量結合型平行平板プラズマエッチング装置として構成されている。ここで、FPDとしては、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)ディスプレイ、エレクトロルミネセンス(Electro Luminescence;EL)ディスプレイ、蛍光表示管(Vacuum Fluorescent Display;VFD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)等が例示される。なお、本発明の処理装置は、プラズマエッチング装置にのみ限定されるものではない。
【0020】
このプラズマエッチング装置1は、例えば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる角筒形状に成形されたチャンバー2を有している。このチャンバー2内の底部には絶縁材からなる角柱状の絶縁板3が設けられており、この絶縁板3の上には、基板Gを載置するためのサセプタ4が設けられている。基板載置台であるサセプタ4は、サセプタ基材4aと、サセプタ基材4aの上に設けられた静電チャック40と、を有している。なお、サセプタ基材4aの外周には、絶縁膜5が形成されて絶縁被覆されている。
【0021】
静電チャック40は、アルミニウムなどの導電性材料からなる基材41を有しており、この基材41の上面には、下から順に、第1の絶縁層としての合成樹脂フィルム42、電極層としての導電性フィルム43および第2の絶縁層としてのセラミックス溶射膜44が積層されている。静電チャック40は、合成樹脂フィルム42とセラミックス溶射膜44との間の導電性フィルム43に、直流電源26から給電線27を介して直流電圧を印加することにより、例えばクーロン力によって基板Gを静電吸着する。なお、静電チャック40の詳細な構造については後述する。
【0022】
前記絶縁板3およびサセプタ基材4a、さらには静電チャック40には、これらを貫通するガス通路9が形成されている。このガス通路9を介して伝熱ガス、例えばHeガスなどが被処理体である基板Gの裏面に供給される。
すなわち、ガス通路9に供給された伝熱ガスは、サセプタ基材4aと静電チャック40の基材41との境界に形成されたガス溜り9aを介して一旦水平方向に拡散した後、静電チャック40内に形成されたガス供給連通穴9bを通り、静電チャック40の表面から基板Gの裏側に噴出する。このようにして、サセプタ4の冷熱が基板Gに伝達され、基板Gが所定の温度に維持される。
【0023】
サセプタ基材4aの内部には、冷媒室10が設けられている。この冷媒室10には、例えばフッ素系液体などの冷媒が冷媒導入管10aを介して導入され、かつ冷媒排出管10bを介して排出されて循環することにより、その冷熱がサセプタ基材4aから前記伝熱ガスを介して基板Gに対して伝熱される。
【0024】
前記サセプタ4の上方には、このサセプタ4と平行に対向して上部電極として機能するシャワーヘッド11が設けられている。シャワーヘッド11はチャンバー2の上部に支持されており、内部に内部空間12を有するとともに、サセプタ4との対向面に処理ガスを吐出する複数の吐出孔13が形成されている。このシャワーヘッド11は接地されており、サセプタ4とともに一対の平行平板電極を構成している。
【0025】
シャワーヘッド11の上面にはガス導入口14が設けられ、このガス導入口14には、処理ガス供給管15が接続されており、この処理ガス供給管15には、バルブ16およびマスフローコントローラ17を介して、処理ガス供給源18が接続されている。処理ガス供給源18からは、エッチングのための処理ガスが供給される。処理ガスとしては、例えばハロゲン系のガス、Oガス、Arガス等、通常この分野で用いられるガスを用いることができる。
【0026】
前記チャンバー2の側壁下部には排気管19が接続されており、この排気管19には排気装置20が接続されている。排気装置20はターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており、これによりチャンバー2内を所定の減圧雰囲気まで真空引き可能なように構成されている。また、チャンバー2の側壁には基板搬入出口21と、この基板搬入出口21を開閉するゲートバルブ22とが設けられており、このゲートバルブ22を開にした状態で基板Gが隣接するロードロック室(図示せず)との間で搬送されるようになっている。
【0027】
サセプタ4には、高周波電力を供給するための給電線23が接続されており、この給電線23には整合器24および高周波電源25が接続されている。高周波電源25からは例えば13.56MHzの高周波電力がサセプタ4に供給される。
【0028】
次に、このように構成されるプラズマエッチング装置1における処理動作について説明する。
まず、被処理体である基板Gは、ゲートバルブ22が開放された後、図示しないロードロック室から基板搬入出口21を介してチャンバー2内へと搬入され、サセプタ4上に形成された静電チャック40上に載置される。この場合に、基板Gの受け渡しはサセプタ4の内部を挿通しサセプタ4から突出可能に設けられたリフターピン(図示せず)を介して行われる。その後、ゲートバルブ22が閉じられ、排気装置20によって、チャンバー2内が所定の真空度まで真空引きされる。
【0029】
その後、バルブ16が開放されて、処理ガス供給源18から処理ガスがマスフローコントローラ17によってその流量が調整されつつ、処理ガス供給管15、ガス導入口14を通ってシャワーヘッド11の内部空間12へ導入され、さらに吐出孔13を通って基板Gに対して均一に吐出され、チャンバー2内の圧力が所定の値に維持される。
【0030】
この状態で高周波電源25から高周波電力が整合器24を介してサセプタ4に印加され、これにより、下部電極としてのサセプタ4と上部電極としてのシャワーヘッド11との間に高周波電界が生じ、処理ガスが解離してプラズマ化し、これにより基板Gにエッチング処理が施される。この際、直流電源26から、静電チャック40の電極43に所定の電圧を印加することにより、基板Gが例えばクーロン力によって静電チャック40に吸着保持される。また、ガス通路9を介して伝熱ガスを基板Gの裏面側に供給することより、効率良く温度調節が行なわれる。
【0031】
このようにしてエッチング処理を施した後、高周波電源25からの高周波電力の印加を停止し、ガス導入を停止した後、チャンバー2内の圧力を所定の圧力まで減圧する。そして、ゲートバルブ22が開放され、基板Gが基板搬入出口21を介してチャンバー2内から図示しないロードロック室へ搬出されることにより基板Gのエッチング処理は終了する。このように、静電チャック40により基板Gを静電吸着するとともに、温度調節しながら、基板Gのエッチング処理を行うことができる。
【0032】
次に、本発明の第1実施形態に係る静電チャック40について詳細に説明する。図2(a)は静電チャック40の断面図であり、同図(b)は直流電源26との接続部分の要部断面図である。前記のように、静電チャック40は、基材41の上に、第1の絶縁層である合成樹脂フィルム42、導電性フィルム43および第2の絶縁層であるセラミックス溶射膜44を備えている。
【0033】
合成樹脂フィルム42は、例えば厚さ25μm〜50μm程度の耐熱性合成樹脂により形成されたフィルムである。その材質としては、例えばポリイミドなどの耐高温性、耐プラズマ性、耐薬品性、電気絶縁性の高い材料を用いることができる。なお、耐熱性ポリイミドフィルムとしては、例えばカプトン(登録商標;東レ・デュポン社製)、ユーピレックス−S(商品名;宇部興産株式会社製)などの商品名で市販されているものを好適に用いることができる。
合成樹脂フィルム42には、開口42aが設けられており、この開口42aに給電ピン70が挿入される(後述)。
【0034】
導電性フィルム43は、例えば厚さ0.01mm〜0.05mm程度の金属などの導電性素材により形成されたフィルムである。その材質としては、具体的には、アルミニウム、銅等を挙げることができる。好適には、アルミ箔、銅箔などを使用できる。
【0035】
セラミックス溶射膜44は、耐久性および耐食性に優れたセラミックスにより、例えば0.1mm〜0.5mm程度の厚さに形成されている。セラミックスの種類は特に限定されるものではなく、典型的にはAl、Zr、Si等の絶縁材料を挙げることができるが、SiCのようにある程度導電性を有するものであってもよい。このようなセラミックス溶射膜44は、溶射した後、研磨によって表面を平滑化してもよい。
【0036】
静電チャック40には、給電線27と接続された給電ピン70が貫装されている。給電ピン70は、静電チャック40の基材41に形成された貫通孔に樹脂被覆部71を介して挿入され、合成樹脂フィルム42に形成された開口42aを貫いて導電性フィルム43にまで到達している。なお、樹脂被覆部71は、基材41と給電ピン70とを絶縁するために設けられている。
【0037】
合成樹脂フィルム42の開口42aと積層した状態で重なるように、導電性フィルム43にも同様の開口43aが形成されている。そして、コンタクトホールである、これら合成樹脂フィルム42と導電性フィルム43との開口42aおよび43a内には、給電ピン70の周囲の空間を埋めるように、例えばアルミニウム、タングステン、モリブデンなどの溶射可能な電極材料(導電性材料)による溶射部45が形成されている。この溶射部45により、直流電源26から導電性フィルム43までの電気的接続が確実になされた状態となり、直流電源26に直流電圧を印加することにより、例えばクーロン力によって基板Gを静電吸着できる。
【0038】
次に、第1実施形態に係る静電チャック40の製造方法について図3を参照しながら説明する。まず、合成樹脂フィルム42および導電性フィルム43を積層したものを準備する。合成樹脂フィルム42と導電性フィルム43は、例えば接着剤により接着したものや、プリント配線等に利用される無接着型積層フィルムを用いることができる。前記のように、合成樹脂フィルム42には、開口42aが形成され、導電性フィルム43には、開口43aが形成されており、これらの開口42aと43aは互いに重なるように積層されている。
【0039】
図3(a)に示すように、基材41に接着剤101を塗布しておき、そこに合成樹脂フィルム42および導電性フィルム43の積層体を貼付する。この際、開口42aと43aと給電ピン70の位置が一致するように貼付する。なお、積層体を用いずに、合成樹脂フィルム42と導電性フィルム43を順次別々に貼付することもできるが、大面積であるために貼付け時にエアが混入したり、しわ等が発生しやすいことから、積層体を用いることが好ましい。そして、図3(b)に示す如く、開口42aと43aとにより形成される給電ピン70周囲の空隙を溶射により埋める。
すなわち、合成樹脂フィルム42および導電性フィルム43を基材41に貼り、給電ピン70を装着した状態で、開口42a,43aの真上(つまり、給電ピン70の直上位置)から溶射装置100によって導電性材料をピンポイント溶射することによって溶射部45を形成する。ピンポイント溶射した後は、溶射部45の高さを導電性フィルム43に揃えるために、部分的な研磨を実施することが好ましい。
【0040】
次いで、図3(c)に示すように、導電性フィルム43の表面に溶射のためのプライマー102を塗布した後、導電性フィルム43の表面に溶射装置100を用いてAlなどのセラミックスを均一に溶射し、セラミックス溶射膜44を形成することによって絶縁被覆する。これにより、図3(d)に示すような静電チャック40が製造される。このように製造された静電チャック40は、第1の絶縁層として合成樹脂フィルム42を用いることにより、耐電圧特性に優れたものであり、さらに、表面層はセラミックス溶射膜44であるため耐プラズマ性に優れたものである。そして、耐電圧特性は最下層の合成樹脂フィルム42により確保できるので、溶射封孔処理は薄い表面層(セラミックス溶射膜44)のみでよく、封孔不足等による耐圧不良を減少させることができる、という長所を備えている。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態に係る静電チャック50について説明する。この静電チャック50は、第1実施形態の静電チャック40と同様に、例えば、図1に示すプラズマエッチング装置1の静電チャックとして使用できるものである。図4(a)は、静電チャック50の断面図であり、同図(b)は直流電源26との接続部分の要部断面図である。
【0042】
静電チャック50は、導電性材料からなる基材51の上に、下から順に、第1の絶縁層としての合成樹脂フィルム52、電極層としての金属溶射膜53および第2の絶縁層であるセラミックス溶射膜54を備えている。合成樹脂フィルム52は、第1実施形態の静電チャック40における合成樹脂フィルム42と同様の材質で、例えば25μm〜50μm程度の厚さに形成されている。また、合成樹脂フィルム52には、開口52aが設けられており、この開口52aに給電ピン70が挿入される。
【0043】
金属溶射膜53は、例えば厚さ0.01mm〜0.05mm程度の金属により形成された溶射膜である。その材質としては、例えば、アルミニウム、タングステン、モリブデンなどの溶射に適した金属材料等を挙げることができる。
【0044】
セラミックス溶射膜54は、第1実施形態に係る静電チャック40のセラミックス溶射膜44と同様の材質のセラミックスにより、例えば0.1mm〜0.5mm程度の厚さで形成されている。このようなセラミックス溶射膜54は、溶射した後、研磨によって表面を平滑化してもよい。
【0045】
静電チャック50には、給電線27と接続された給電ピン70が貫装されている(図1参照)。前記のように、合成樹脂フィルム52には、開口52aが形成されている。そして、コンタクトホールである合成樹脂フィルム52の開口52a内には、給電ピン70周囲を埋めるように、金属溶射膜53が部分的に突出した溶射部55が形成されている。
【0046】
給電ピン70は、静電チャック50の基材51に形成された貫通孔に樹脂被覆部71を介して挿入され、合成樹脂フィルム52に形成された開口52aを貫いて金属溶射膜53にまで到達している。合成樹脂フィルム52の開口52a内には、溶射によって導電性材料が埋め込まれた溶射部55が存在するので、給電ピン70との電気的接続が十分に確保されている。これにより、直流電源26から金属溶射膜53までが電気的に接続された状態となり、直流電源26に直流電圧を印加することにより、例えばクーロン力によって基板Gを静電吸着することができる。
【0047】
静電チャック50の主要な製造工程は、図5に示すとおりである。まず、図5(a)に示すように、基材51上に接着剤103を塗布し、そこに合成樹脂フィルム52を貼付する。このとき、合成樹脂フィルム52の開口52aが給電ピン70と一致するようにする。次に、図5(b)に示すように、合成樹脂フィルム52の表面にプライマー104を塗布した後、溶射装置100によって金属を溶射し、金属溶射膜53を形成する。金属溶射膜53を形成する際には、合成樹脂フィルム52の開口52aが埋まるように、まずピンポイント溶射を行って溶射部55を形成し(図4参照)、その後、所定のパス数で合成樹脂フィルム52の上に均一に溶射を行い、金属溶射膜53を形成する。また、ピンポイント溶射をした部位は、その周囲の金属溶射膜53との高さを揃えるために、必要に応じて、部分的な研磨を実施することが好ましい。
【0048】
そして、図5(c)に示すように、形成された金属溶射膜53の表面に溶射装置100を用いてAlなどのセラミックスを均一に溶射し、セラミックス溶射膜54を形成することによって絶縁被覆する。以上の工程により、図5(d)に示すような静電チャック50が製造される。このように製造された静電チャック50は、第1の絶縁層として合成樹脂フィルム52を用いることにより、耐電圧特性に優れたものであり、さらに、表面層はセラミックス溶射膜54であるため耐プラズマ性に優れたものである。そして、耐電圧特性は最下層の合成樹脂フィルム52により確保できるので、溶射封孔処理は薄い表面層(セラミックス溶射膜54)のみでよく、封孔不足等による耐圧不良を減少させることができる、との長所を備えている。
【0049】
次に、本発明の第3実施形態に係る静電チャック60について説明する。この静電チャック60は、第1実施形態の静電チャック40と同様に、例えば、図1に示すプラズマエッチング装置1の静電チャックとして使用できるものである。図6(a)は、静電チャック60の断面図であり、同図(b)は直流電源26との接続部分を示す要部断面図である。
【0050】
この静電チャック60は、導電性材料からなる基材61の上に、下から順に、第1の絶縁層としての合成樹脂フィルム62、電極層としての金属溶射膜63および第2の絶縁層としての合成樹脂フィルム64、第3の絶縁層としてのセラミックス溶射膜65を備えている。
合成樹脂フィルム62は、第1実施形態の静電チャック40における合成樹脂フィルム42と同様の材質により、例えば25μm〜50μmの厚みで形成されている。また、合成樹脂フィルム62には、開口62aが設けられており、この開口62aに給電ピン70が挿入される。
【0051】
金属溶射膜63は、第2の実施形態の金属溶射膜53と同様の材質の金属によって、例えば厚さ0.01mm〜0.05mm程度に形成された溶射膜である。
【0052】
合成樹脂フィルム64は、第1実施形態の静電チャック40における合成樹脂フィルム42と同様の材質により、例えば25μm〜50μmの厚みで形成されている。なお、合成樹脂フィルム64は、合成樹脂フィルム62と同じ材質としてもよく、異なる材質でもよい。
【0053】
セラミックス溶射膜65は、第1実施形態に係る静電チャック40のセラミックス溶射膜44と同様の材質のセラミックスにより、例えば0.1mm〜0.5mm程度の厚さ構成されている。このようなセラミックス溶射膜65は、溶射した後、研磨によって表面を平滑化してもよい。
【0054】
静電チャック60には、給電線27と接続された給電ピン70が貫装されている(図1参照)。前記のように、合成樹脂フィルム62には、開口62aが形成され、コンタクトホールであるこの開口62a内には、給電ピン70周囲の空間を埋めるように、金属溶射膜63が部分的に突出して溶射部66が形成されている。そして、給電ピン70は、静電チャック60の基材61に形成された貫通孔に樹脂被覆部71を介して挿入され、合成樹脂フィルム62に形成された開口62a内の溶射部66を貫いて金属溶射膜63にまで到達している。このような構造により、直流電源26から金属溶射膜63までが電気的に接続された状態となり、直流電源26に直流電圧を印加することにより、例えばクーロン力によって基板Gを静電吸着することができる。
【0055】
静電チャック60の主要な製造工程は、図7に示すとおりである。まず、図7(a)に示すように、基材61上に接着剤106を塗布し、そこに合成樹脂フィルム62を貼付する。このとき、合成樹脂フィルム62の開口62aが給電ピン70と一致するようにする。次に、図7(b)に示すように、合成樹脂フィルム62の表面にプライマー107を塗布した後、溶射装置100によって金属を溶射し、金属溶射膜63を形成する。金属溶射膜63を形成する際には、合成樹脂フィルム62の開口62aが埋まるように、まずピンポイント溶射を行い、溶射部66を形成する(図6参照)。その後、所定のパス数で合成樹脂フィルム62の上に均一に溶射を行い、金属溶射膜63を形成する。ピンポイント溶射した部位は、その高さを周囲の金属溶射膜63と揃えるために、部分的な研磨を実施することが好ましい。
【0056】
そして、図7(c)では、形成された金属溶射膜63の上に、接着剤108を塗布し、合成樹脂フィルム64を貼付する。図7(d)では、積層された合成樹脂フィルム64の表面にプライマー109を塗布した後、溶射装置100によってセラミックスを均一に溶射し、セラミックス溶射膜65を形成することによって絶縁被覆する。以上の工程により、図7(e)に示すような静電チャック60が製造される。
【0057】
このように製造された静電チャック60は、第1の絶縁層および第2の絶縁層として合成樹脂フィルムを用いており、両層とも耐電圧特性に優れていることから、耐圧不良の少ない静電チャックである。
【0058】
また、第2の絶縁層としての合成樹脂フィルム64を介在させることにより、以下の理由により第3の絶縁層としてのセラミックス溶射膜65を薄膜化することができる。
静電チャックの最外層のセラミックス溶射膜に絶縁機能を持たせるためには、その膜厚を厚くせざるを得ないが、溶射膜厚が増加すると基材61の熱膨張・収縮に対する追随性が低下してクラックが発生しやすくなる。これに対して、静電チャック60においては、第1の絶縁層である合成樹脂フィルム62と第2の絶縁層である合成樹脂フィルム64によって高い絶縁特性を担保できるので、セラミクス溶射膜65はプラズマ耐性が得られる程度の膜厚とすればよく、薄膜化が可能になる。
【0059】
以上、いくつかの実施形態を挙げ、本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に制約されることはなく、種々の変形が可能である。
例えば、本発明の処理装置については、下部電極に高周波電力を印加するRIEタイプの容量結合型平行平板プラズマエッチング装置を例示して説明したが、エッチング装置に限らず、アッシング、CVD成膜等の他のプラズマ処理装置に適用することができるし、上部電極に高周波電力を供給するタイプであっても、また容量結合型に限らず誘導結合型であってもよい。
【0060】
また、被処理基板はFPD用ガラス基板Gに限られず半導体ウエハであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る静電チャックが設けられた処理装置の一例であるプラズマエッチング装置を示す断面図。
【図2】第1実施形態に係る静電チャックの説明に供する図面であり、(a)は断面図、(b)は要部断面図である。
【図3】第1実施形態に係る静電チャックの製造工程の説明に供する図面である。
【図4】第2実施形態に係る静電チャックの説明に供する図面であり、(a)は断面図、(b)は要部断面図である。
【図5】第2実施形態に係る静電チャックの製造工程の説明に供する図面である。
【図6】第3実施形態に係る静電チャックの説明に供する図面であり、(a)は断面図、(b)は要部断面図である。
【図7】第3実施形態に係る静電チャックの製造工程の説明に供する図面である。
【符号の説明】
【0062】
1 プラズマエッチング装置
2 チャンバー
3 絶縁板
4 サセプタ
5 絶縁膜
11 シャワーヘッド
20 排気装置
25 高周波電源
40 静電チャック
41 基材
42 合成樹脂フィルム
43 導電性フィルム
44 セラミックス溶射膜
45 溶射部




 

 


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