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発明の名称 発光装置、その製造方法および電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−26972(P2007−26972A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−209538(P2005−209538)
出願日 平成17年7月20日(2005.7.20)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 宮田 崇
要約 課題
光反射層の劣化を防止する。

解決手段
各単位素子Uは、基板10に形成された光反射層21と、光反射層21を挟んで基板10とは反対側に配置された半透過反射性の第2電極35と、光反射層21と第2電極35との間に介在する発光体33と、光反射層21と発光体33との間に介在する光透過性の第1電極25とを含む。各単位素子Uにおいては、発光体33からの出射光を光反射層21と第2電極35との間で共振させる共振器構造が形成される。透光層23は、光透過性の絶縁材料によって形成され、単位素子Urの光反射層21と第1電極25との間に介在して共振器構造を構成する一方、単位素子Urとは共振波長が相違する単位素子Ubの光反射層21のうち少なくとも一部とは重なり合わない。
特許請求の範囲
【請求項1】
基板上に形成された光反射層と、前記光反射層を挟んで前記基板とは反対側に配置された半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する発光層と、前記光反射層と前記発光層との間に介在する光透過性の電極とを各々が含む複数の単位素子が配列され、前記発光層からの出射光を前記光反射層と前記半透過反射層との間で共振させる共振器構造が前記各単位素子に形成される発光装置であって、
光透過性の絶縁材料によって形成され、前記複数の単位素子のうち第1の単位素子の前記光反射層と前記電極との間に介在して当該第1の単位素子の共振器構造を構成するとともに、共振器構造における共振波長が前記第1の単位素子とは相違する第2の単位素子の前記光反射層のうち少なくとも一部とは重なり合わない第1透光層
を具備する発光装置。
【請求項2】
前記第1透光層は、前記第2の単位素子の前記光反射層に対応する位置に開口部を有する
請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
光透過性の絶縁材料によって形成されて複数の単位素子にわたり分布する第2透光層を具備し、
前記第2透光層は、前記複数の単位素子のうち第1群に属する各単位素子の前記光反射層と前記電極との間に介在して当該各単位回路の共振器構造を構成するとともに、前記第1群とは異なる第2群に属する各単位回路の前記光反射層と前記基板との間に介在する
請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
基板上に形成された光反射層と、前記光反射層を挟んで前記基板とは反対側に配置された半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する発光層と、前記光反射層と前記発光層との間に介在する光透過性の電極とを各々が含む複数の単位素子が配列され、前記発光層からの出射光を前記光反射層と前記半透過反射層との間で共振させる共振器構造が前記各単位素子に形成される発光装置であって、
光透過性の絶縁材料によって形成されて前記複数の単位素子にわたり分布し、前記複数の単位素子のうち第1の単位素子の前記光反射層と前記電極との間に介在して当該第1の単位素子の共振器構造を構成するとともに、共振器構造における共振波長が前記第1の単位素子とは相違する第2の単位素子の前記光反射層と前記基板との間に介在する透光層
を具備する発光装置。
【請求項5】
前記複数の単位素子のうち一の単位素子と他の単位素子とは前記電極の膜厚が互いに相違する
請求項1から請求項4の何れかに記載の発光装置。
【請求項6】
前記一の単位素子の前記電極と前記他の単位素子の前記電極とは各々を構成する導電膜の積層数が相違する
請求項5に記載の発光装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の発光装置を具備する電子機器。
【請求項8】
基板上に形成された光反射層と、前記光反射層を挟んで前記基板とは反対側に配置された半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する発光層と、前記光反射層と前記発光層との間に介在する光透過性の電極とを各々が含む複数の単位素子が配列され、前記発光層からの出射光を前記光反射層と前記半透過反射層との間で共振させる共振器構造が前記各単位素子に形成される発光装置を製造する方法であって、
前記各単位素子の前記光反射層を前記基板上に形成する光反射層形成工程と、
前記複数の単位素子のうち第1の単位素子の前記光反射層を被覆するとともに、共振器構造における共振波長が前記第1の単位素子とは相違する第2の単位素子の前記光反射層のうち少なくとも一部とは重なり合わない第1透光層を、光透過性の絶縁材料によって形成する透光層形成工程と、
前記透光層形成工程後に前記各単位素子の前記電極を形成する電極形成工程と
を含む発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記電極形成工程は、前記複数の単位素子のうち少なくとも一部の単位素子の前記電極を構成する第1層を形成する第1層形成工程と、前記複数の単位素子のうち少なくとも一部の単位素子の前記電極を形成する第2層を前記第1層形成工程の後に形成する第2層形成工程とを含み、
前記第2の単位素子の前記電極は、前記第1層形成工程にて形成された第1層を含む
請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記光反射層形成工程は、
前記複数の単位素子のうち第1群に属する各単位素子の前記光反射層を前記基板上に形成する第1工程と、
前記第1工程で形成された前記光反射層を被覆する第1絶縁膜を光透過性の絶縁材料によって形成する第2工程と、
前記複数の単位素子のうち前記第1群とは異なる第2群に属する各単位素子の前記光反射層を前記第1絶縁膜の面上に形成する第3工程と
を含む請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
前記光反射層形成工程に先立って複数の配線を前記基板上に形成する配線形成工程を含み、
前記透光層形成工程は、
前記光反射層形成工程で形成された前記光反射層を被覆する第2絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を一括して選択的に除去する工程であって、前記第2絶縁膜のうち前記第2の単位素子の前記光反射層に対応する位置に開口部を形成して前記光反射層を作成するとともに、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を貫通して前記配線に至るコンタクトホールを形成する除去工程と
を含み、前記電極形成工程においては、前記コンタクトホールを介して前記各単位素子の電極を前記配線に導通させる
請求項10に記載の発光装置の製造方法。
【請求項12】
基板上に形成された光反射層と、前記光反射層を挟んで前記基板とは反対側に配置された半透過反射層と、前記光反射層と前記半透過反射層との間に介在する発光層と、前記光反射層と前記発光層との間に介在する光透過性の電極とを各々が含む複数の単位素子が配列され、前記発光層からの出射光を前記光反射層と前記半透過反射層との間で共振させる共振器構造が前記各単位素子に形成される発光装置を製造する方法であって、
前記複数の反射層のうち第1の単位素子の前記光反射層を前記基板上に形成する第1工程と、
前記複数の単位素子にわたって分布するとともに前記第1工程で形成された光反射層を被覆する透光層を光透過性の絶縁材料によって形成する第2工程と、
共振器構造における共振波長が前記第1の単位素子とは相違する第2の単位素子の前記光反射層を前記透光層の面上に形成する第3工程と、
前記第2光反射層形成工程後に前記各単位素子の前記電極を形成する電極形成工程と
を含む発光装置の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光層を発光させる構造およびその構造を作成する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(ElectroLuminescent)材料などの発光材料からなる発光層を第1電極と第2電極との間に介在させた素子(以下「単位素子」という)が基板上に配列された発光装置は従来から提案されている。この種の発光装置においては、発光層による出射光のスペクトルのピーク幅が広くその強度も低いため、例えば表示装置として採用されたときに充分な色再現性の確保が困難であるという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、例えば特許文献1には、発光層からの出射光を共振させる共振器構造を各単位素子に形成した構成が開示されている。この構成においては、発光層に対して基板側に位置する光透過性の第1電極と当該基板との間に光反射層(誘電体ミラー)が配置される。発光層からの出射光は、この発光層を挟んで相互に対向する光反射層と第2電極との間で往復する。そして、光反射層と第2電極との光学的距離に応じた共振波長の光が選択的に増幅されたうえで観察側に出射する。したがって、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高い光を表示に利用することができ、これによって表示装置の色再現性を向上させることが可能となる。また、単位素子ごとに光反射層と第2電極との光学的距離を調整することによって複数の色彩(例えば赤色や緑色や青色)に対応した波長の光を取り出すこともできる。
【特許文献1】国際公開第01/039554号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、以上の構成においては、基板の表面に形成された光反射層を被覆するように第1電極を形成する必要がある。したがって、例えば第1電極のパターニングに使用されるエッチングの溶液が付着することによって光反射層の表面が損傷(腐食)するという問題がある。光反射層の材料としてはアルミニウムや銀などの材料が好適に採用されるが、この種の材料は耐蝕性が低いから、エッチングの溶液による損傷や劣化は特に顕著である。そして、このような損傷によって光反射層の反射特性(例えば反射率)が劣化すると、共振器構造による共振の効率が低下するという問題がある。本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光反射層の劣化を防止するという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、基板上に形成された光反射層と、光反射層を挟んで基板とは反対側に配置された半透過反射層(例えば各実施形態の第2電極35)と、反射層と半透過反射層との間に介在する発光層と、光反射層と発光層との間に介在する光透過性の電極(例えば各実施形態の第1電極25)とを各々が含む複数の単位素子が配列され、発光層からの出射光を光反射層と半透過反射層との間で共振させる共振器構造が各単位素子に形成される発光装置であって、光透過性の絶縁材料によって形成され、複数の単位素子のうち第1の単位素子(例えば各実施形態の単位素子Urまたは単位素子Ug)の光反射層と電極との間に介在して当該第1の単位素子の共振器構造を構成するとともに、共振器構造における共振波長が第1の単位素子とは相違する第2の単位素子(例えば各実施形態の単位素子Ub)の光反射層のうち少なくとも一部とは重なり合わない第1透光層(例えば第1実施形態の透光層23や第2実施形態の第1透光層231)を具備する。例えば、第1透光層は、第2の単位素子の光反射層に対応する位置に開口部(例えば図1や図6の開口部23a)を有する。
この構成によれば、第1の単位素子の光反射層を被覆するように透光層が形成されるから、電極の形成時における光反射層の劣化を防止することができる。さらに、第1の単位素子の光反射層を被覆するとともに第2の単位素子の光反射層と重なり合わないように第1透光層が形成されるから、共振器構造における共振波長を第1透光層の有無に応じて第1の単位素子と第2の単位素子とで個別に調整することができる。したがって、例えば電極の膜厚のみに応じて各単位素子の共振波長が調整される構成と比較して製造工程の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
【0006】
本発明の望ましい態様において、光透過性の絶縁材料によって形成されて複数の単位素子にわたり分布する第2透光層(例えば第2実施形態の第2透光層232)がさらに設けられ、第2透光層は、複数の単位素子のうち第1群に属する各単位素子(例えば第2実施形態における単位素子Ur)の光反射層と電極との間に介在して当該各単位回路の共振器構造を構成するとともに、第1群とは異なる第2群に属する各単位回路(例えば第2実施形態における単位素子Ugまたは単位素子Ub)の光反射層と基板との間に介在する。この態様によれば、第1透光層の有無に加えて、第2透光層を光反射層と電極との間に介在させるか否かに応じて共振器構造における共振波長を単位素子ごとに調整することが可能となる。なお、この態様の具体例は第2実施形態として後述される。
【0007】
本発明の具体的な態様において、電極はITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)など光透過性の導電材料によって形成される一方、第1透光層や第2透光層は酸化珪素や窒化珪素など光透過性の絶縁材料によって形成される。ただし、電極と各透光層との屈折率を略等しくして両者の界面での屈折や散乱を防止するという観点からすると、電極がITOによって形成されるとともに第1透光層や第2透光層が窒化珪素によって形成された構成が望ましい。
【0008】
本発明は、以上に説明した第2透光層のみを含む発光装置(すなわち第1透光層を含まない発光装置)としても特定される。すなわち、この発光装置は、基板上に形成された光反射層と、光反射層を挟んで基板とは反対側に配置された半透過反射層と、光反射層と半透過反射層との間に介在する発光層と、光反射層と発光層との間に介在する光透過性の電極とを各々が含む複数の単位素子が配列され、発光層からの出射光を光反射層と半透過反射層との間で共振させる共振器構造が各単位素子に形成される発光装置であって、光透過性の絶縁材料によって形成されて複数の単位素子にわたり分布し、複数の単位素子のうち第1の単位素子(例えば第2実施形態における単位素子Ur)の光反射層と電極との間に介在して当該第1の単位素子の共振器構造を構成するとともに、共振器構造における共振波長が第1の単位素子とは相違する第2の単位素子(例えば第2実施形態における単位素子Ugまたは単位素子Ub)の光反射層と基板との間に介在する透光層(例えば第2実施形態における第2透光層232)を具備する。
この構成によれば、第1の単位素子の光反射層を被覆するように透光層が形成されるから、電極の形成時における光反射層の劣化を防止することができる。また、第1の単位素子の光反射層と電極との間に介在するとともに第2の単位素子の光反射層と基板との間に介在するように光反射層が形成されるから、共振器構造における共振波長を透光層の有無に応じて第1の単位素子と第2の単位素子とで個別に調整することができる。したがって、例えば電極の膜厚のみに応じて各単位素子の共振波長が調整される構成と比較して製造工程の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
【0009】
本発明の望ましい態様において、複数の単位素子のうち一の単位素子と他の単位素子とは、電極の膜厚が互いに相違する。この態様によれば、各単位素子における電極の膜厚に応じて各単位素子の共振器構造における共振波長を高精度に調整することが可能となる。なお、本態様においては、単一の導電膜からなる電極の膜厚を単位素子ごとに相違させてもよいが、より望ましい態様において、一の単位素子の電極との単位素子の電極とは、各々を構成する導電膜の積層数が相違する。この態様によれば、電極を構成する導電膜の積総数を単位素子ごとに決定することによって共振波長が単位素子ごとに調整される。
【0010】
本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。この電子機器の典型例は、発光装置を表示装置として利用した機器である。この種の電子機器としては、パーソナルコンピュータや携帯電話機などがある。もっとも、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成するための露光装置(露光ヘッド)としても本発明の発光装置を適用することができる。また、例えば液晶パネルの背面に設置される照明装置(バックライト)としても本発明の発光装置を採用することができる。
【0011】
本発明に係る発光装置の製造方法は、各単位素子の光反射層を基板上に形成する光反射層形成工程(例えば図2の工程A3および工程A4または図7の工程C1ないし工程C5)と、複数の単位素子のうち第1の単位素子の光反射層を被覆するとともに、共振器構造における共振波長が第1の単位素子とは相違する第2の単位素子の光反射層のうち少なくとも一部とは重なり合わない第1透光層を、光透過性の絶縁材料によって形成する透光層形成工程(例えば図2の工程A5および工程A6または図8の工程C6および工程C7)と、透光層形成工程後に各単位素子の電極を形成する電極形成工程(例えば図3の工程A7ないし工程A10または図8の工程C8および工程C9)とを含む。この方法によれば、電極形成工程に先立って第1の単位素子の光反射層が第1透光層によって被覆されるから、電極形成工程における光反射層の劣化(例えば電極の形成時に使用されるエッチング液による腐食)は防止される。また、第1透光層の有無に応じて第1の単位素子と第2の単位素子とで共振波長が個別に調整されるから、例えば電極の膜厚のみに応じて各単位素子の共振波長が調整される構成と比較して製造工程の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
【0012】
本発明に係る製造方法の望ましい態様において、電極形成工程は、複数の単位素子のうち少なくとも一部の単位素子の電極を構成する第1層を形成する第1層形成工程(例えば図3の工程A7および工程A8)と、複数の単位素子のうち少なくとも一部の単位素子の電極を形成する第2層を第1層形成工程の後に形成する第2層形成工程(例えば図3の工程A9および工程A10)とを含み、第2の単位素子の電極は、第1層形成工程にて形成された第1層を含む。透光層形成工程にて形成される第1透光層は第2の単位素子における光反射層の少なくとも一部を被覆しないが、本態様においては、第2の単位素子の光反射層が第1層によって被覆されるから、第1層や第2層の形成に際して第2の単位素子における光反射層の劣化を有効に防止することができる。
【0013】
また、本発明の望ましい態様において、光反射層形成工程は、複数の単位素子のうち第1群に属する各単位素子の光反射層を基板上に形成する第1工程(例えば図7の工程C1および工程C2)と、第1工程で形成された光反射層を被覆する第1絶縁膜(例えば図7の絶縁膜Lb1)を光透過性の絶縁材料によって形成する第2工程(例えば図7の工程C3)と、複数の単位素子のうち第1群とは異なる第2群に属する各単位素子の光反射層を第1絶縁膜の面上に形成する第3工程(例えば図7の工程C4および工程C5)とを含む。この態様によれば、第1透光層の有無に加えて、第2透光層を光反射層と電極との間に介在させるか否かに応じて共振器構造における共振波長を単位素子ごとに調整することが可能となる。なお、この態様の具体例は第2実施形態として後述される。
より望ましくは、光反射層形成工程に先立って複数の配線を基板上に形成する配線形成工程(例えば図2の工程A1)を含み、透光層形成工程は、光反射層形成工程で形成された光反射層を被覆する第2絶縁膜(例えば図8の絶縁膜Lb2)を形成する絶縁膜形成工程(例えば図8の工程C6)と、第1絶縁膜および第2絶縁膜を一括して選択的に除去する工程であって、第2絶縁膜のうち第2の単位素子の光反射層に対応する位置に開口部を形成して光反射層を作成するとともに、第1絶縁膜および第2絶縁膜を貫通して配線に至るコンタクトホールを形成する除去工程(例えば図8の工程C7)とを含み、電極形成工程においては、コンタクトホールを介して各単位素子の電極を配線に導通させる。この態様によれば、第1絶縁膜と第2絶縁膜とが一括して選択的に除去されるから、第1絶縁膜と第2絶縁膜とを個別にパターニングする方法と比較して製造工程の簡素化および製造コストの低減が図られる。
【0014】
また、本発明に係る発光装置の製造方法は、複数の反射層のうち第1の単位素子の光反射層を基板上に形成する第1工程(例えば図7の工程C1および工程C2)と、複数の単位素子にわたって分布するとともに第1工程で形成された光反射層を被覆する透光層を光透過性の絶縁材料によって形成する第2工程(例えば図7の工程C3)と、共振器構造における共振波長が第1の単位素子とは相違する第2の単位素子の光反射層を透光層の面上に形成する第3工程(例えば図7の工程C4および工程C5)と、第2光反射層形成工程後に各単位素子の電極を形成する電極形成工程(例えば図8の工程C8および工程C9)とを含む。この方法によれば、電極形成工程に先立って第1の単位素子の光反射層を被覆する透光層が形成されるから、電極の形成時における光反射層の劣化を防止することができる。また、第1の単位素子の光反射層と電極との間に介在するとともに第2の単位素子の光反射層と基板との間に介在するように光反射層が形成されるから、共振器構造における共振波長を透光層の有無に応じて第1の単位素子と第2の単位素子とで個別に調整することができる。したがって、例えば電極の膜厚のみに応じて各単位素子の共振波長が調整される構成と比較して製造工程の簡素化や製造コストの低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
<A:第1実施形態>
<A−1:発光装置の構造>
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光装置の構造を示す断面図である。同図に示されるように、発光装置Dは、マトリクス状に配列された複数の単位素子U(Ur,Ug,Ub)が封止材37によって基板10の面上に封止された構成となっている。各単位素子Uは複数の色彩(赤色・緑色・青色)の何れかに対応した波長の光を発生する要素である。すなわち、単位素子Urは赤色光を出射し、単位素子Ugは緑色光を出射し、単位素子Ubは青色光を出射する。本実施形態における発光装置Dは、各単位素子Uにて発生した光が基板10とは反対側に向かって出射するトップエミッション型である。したがって、ガラスなどの光透過性を有する板材のほか、セラミックスや金属のシートなど不透明な板材を基板10として採用することもできる
【0016】
基板10の表面には複数の配線12が形成される。これらの配線12は、各単位素子Uを駆動するための信号を伝送する配線(例えばデータ線や走査線)である。各配線12が形成された基板10の表面は下地層14によって覆われる。この下地層14は、例えばアクリル系やエポキシ系といった樹脂材料または酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)といった無機材料など各種の絶縁材料によって形成された膜体である。
【0017】
下地層14の表面上には各単位素子Uに対応するように光反射層21が形成される。本実施形態における光反射層21は、各単位素子Uの配列に沿うようにストライプ状に形成される。各光反射層21は、光反射性を有する材料からなる。このような材料としては、アルミニウムや銀などの単体金属、またはアルミニウムや銀を主成分とする合金といった様々な材料がある。
【0018】
光反射層21が形成された下地層14の表面は、複数の単位素子Uにわたって連続に分布する透光層23によって被覆される。この透光層23は、光反射層21の保護に利用される膜体であり、例えば酸化珪素(SiOx)や窒化珪素(SiNx)といった光透過性の絶縁材料によって形成される。基板10の表面と垂直な方向からみて配線12と重なり合う位置には、透光層23と下地層14とを各々の厚さ方向に貫通するコンタクトホールHが単位素子Uごとに形成される。
【0019】
図1に示されるように、透光層23は、赤色の単位素子Urに対応する光反射層21と緑色の単位素子Ugに対応する光反射層21とを被覆する。一方、透光層23のうち青色の単位素子Ubの光反射層21と重なり合う領域は、この透光層23を厚さ方向に貫通する開口部23aとなっている。したがって、青色の単位素子Ubの光反射層21は開口部23aを介して透光層23から露出する。
【0020】
透光層23が形成された基板10の表面上には、第1電極25が単位素子Uごとに相互に離間して形成される。各第1電極25は、第1層251と第2層252とを基板10側からこの順番に積層した構造となっている。第1層251および第2層252の各々は、ITO(Indium Tin Oxide)やIZO(Indium Zinc Oxide)といった光透過性の導電材料によって形成される。第1電極25は、その第1層251がコンタクトホールHに入り込んで配線12に接触することによって配線12と電気的に接続される。
【0021】
第1電極25のうち光反射層21と重なり合う部分の構造は単位素子Uの発光色ごとに相違する。例えば、赤色の単位素子Urおよび青色の単位素子Ubの各々における第1電極25の第1層251および第2層252は双方が光反射層21と重なり合うように分布する。これに対し、緑色の単位素子Ugの第1電極25においては第2層252のみが光反射層21と重なり合う。すなわち、単位素子Ugの第1電極25の第1層251は、コンタクトホールHの近傍のみに形成されて光反射層21とは重なり合わない。
【0022】
第1電極25が形成された基板10の表面上にはバンク層31が形成される。このバンク層31は、基板10の表面上の空間を単位素子Uごとに仕切るように格子状に形成された隔壁である。バンク層31は、例えばアクリル系やエポキシ系といった樹脂材料または酸化珪素や窒化珪素といった無機材料など各種の絶縁材料によって形成される。
【0023】
バンク層31の内壁に包囲されて第1電極25を底面とする空間には単位素子Uごとに発光体33が形成される。この発光体33は、有機EL材料からなる発光層を含む複数の機能層を積層した構造となっている。各単位素子Uの発光体33は、その単位素子Uに対応した波長の光を発光する発光層を含む。各単位素子Uの第1電極25は発光体33に電気エネルギを付与するための陽極として機能する。一方、各発光体33の表面には、発光体33の陰極として機能する第2電極35が形成される。ただし、第1電極25が陰極として機能するとともに第2電極35が陽極として機能する構成としてもよい。
【0024】
本実施形態における発光体33は、正孔輸送層と発光層と電子輸送層という3種類の機能層を基板10側から第2電極35側に向かってこの順番に積層した構造となっている。ただし、発光体33の構造はこの例示に限定されない。例えば、正孔輸送層と第1電極25との間に正孔注入層を介在させた構成や、電子輸送層と第2電極35との間に電子注入層を介在させた構成としてもよい。すなわち、第1電極25と第2電極35との間に発光層が介在する構成であれば足りる。
【0025】
第2電極35は、その表面に到達した光の一部を透過するとともにその残りを反射する性質(すなわち半透過反射性)を持った半透過反射層として機能する。本実施形態における第2電極35は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性を有する材料によって形成される。このように第2電極35が光透過性の材料からなる場合であっても、第2電極35よりも屈折率が低い材料によって封止材37を形成すれば、第2電極35と封止材37との界面において光の一部が透過するとともに他の一部が反射するから、第2電極35を半透過反射層として機能させることができる。また、アルミニウムや銀(あるいはこれらの金属を主成分とする合金)といった光反射性の材料を薄く形成して第2電極35とした場合であっても、第2電極35を半透過反射層として機能させることができる。
【0026】
各単位素子Uは、光反射層21と第1電極25と発光体33と第2電極35とを含む要素である。各単位素子Uにおいては、光反射層21と第2電極35との間で発光層からの出射光を共振させる共振器構造が形成される。すなわち、発光体33の発光層による出射光は光反射層21と第2電極35との間で往復し、共振器構造における共振波長の成分のみが選択的に増幅されたうえで第2電極35を透過して観察側(図1の上方)に出射する。したがって、本実施形態によれば、スペクトルのピーク幅が狭く強度も高い光を表示に利用することができる。
【0027】
共振器構造における共振波長λは、以下の式(1)で表現されるように、光反射層21と第2電極35との光学的距離Lに応じて決定される。ただし、式(1)における「Φ(rad)」は、共振器構造の両端部で発生する位相シフトであり、より具体的には、光反射層21で反射するときに生じる位相シフトΦ1(rad)と第2電極35で反射するときに生じる位相シフトΦ2と(rad)の和(Φ=Φ1+Φ2)である。また、「m」は光学的距離Lが正となる整数である。
(2L)/λ+Φ/(2π)=m ……(1)
各単位素子Uから出射されるべき所望の共振波長λを式(1)に代入することによって、この共振波長λによる光共振を実現するための光学的距離Lが決定される。
【0028】
いま、発光体33の屈折率および膜厚が各単位素子Uの発光色に拘わらず略同一であると仮定すれば、光反射層21のうち発光体33に対向する表面と発光体33のうち光反射層21に対向する表面との間の光学的距離に応じて共振波長が決定される。そして、本実施形態における光反射層21と発光体33との光学的距離は、以下に説明するように、第1電極25の膜厚(積層数)と透光層23の有無とに応じて単位素子Uの発光色ごとに個別に決定される。
【0029】
図1を参照して説明したように、赤色の単位素子Urにおける光反射層21と発光体33との間には、第1電極25の第1層251および第2層252と透光層23とが介在する。また、緑色の単位素子Ugの光反射層21と発光体33との間には第1電極25の第2層252と透光層23とが介在する。さらに、青色の単位素子Ubの光反射層21と発光体33との間には第1電極25の第1層251と第2層252が介在する。いま、第1電極25の第1層251および第2層252の膜厚を40nmとし、透光層23の膜厚を70nmとすると、各発光色の単位素子Uにおける光反射層21と発光体33との間の幾何学的な距離は以下のように算定される。
単位素子Ur:150nm (=70nm[透光層23]+40nm[第1層251]+40nm[第2層252])
単位素子Ug:110nm (=70nm[透光層23]+40nm[第2層252])
単位素子Ub:80nm (=40nm[第1層251]+40nm[第2層252])
【0030】
また、第1電極25(第1層251および第2層252)がITO(Indium Tin Oxide)によって形成され、この第1電極25と屈折率が略同一である窒化珪素によって透光層23が形成された場合を想定すると、光反射層21と発光体33との光学的距離は両者間の幾何学的な距離に比例する。すなわち、本実施形態においては、単位素子Urの共振波長が単位素子Ugの共振波長よりも長く、単位素子Ugの共振波長が単位素子Ubの共振波長よりも長いといった具合に、各単位素子Uの共振器構造における単位素子Uが第1電極25の膜厚と透光層23の有無とによって決定される。
【0031】
<A−2:製造方法>
次に、図2および図3を参照しながら、本実施形態の発光装置Dを製造する方法について説明する。なお、以下に示す各層は、スパッタリングやCVD(Chemical Vapour Deposition)や蒸着など公知である様々な成膜技術によって形成される。また、各層のパターニングには、例えばフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術が利用される。
【0032】
まず、基板10の表面上に複数の配線12が形成される(図2の工程A1)。続いて、基板10の表面上に下地層14が形成される(工程A2)。次に、基板10の全面にわたって光反射性の導電膜La1が形成され(工程A3)、この導電膜La1のパターニングによって光反射層21が形成される(工程A4)。さらに、基板10の全面にわたって絶縁膜Lb1が70nm程度の膜厚に形成される(工程A5)。この絶縁膜Lb1のパターニングによって透光層23が形成される(工程A6)。工程A6においては、絶縁膜Lb1のうち配線12に重なり合う部分が除去されてコンタクトホールHが形成されるとともに、青色の単位素子Ubの光反射層21に重なり合う部分が除去されて開口部23aが形成される。
【0033】
次に、第1電極25の第1層251となる導電膜Lc1が基板10の全面にわたって40nm程度の膜厚に形成される(図3の工程A7)。この導電膜Lc1はコンタクトホールHを介して配線12に導通する。続いて、導電膜Lc1のパターニングによって、各単位素子Uの第1層251が相互に離間した形状に形成される(工程A8)。この工程A8においては、導電膜Lc1のうち緑色の単位素子Ugの光反射層21と重なり合う部分が除去される。
【0034】
工程A8に際して、単位素子Urおよび単位素子Ugの各々における光反射層21は透光層23によって被覆されているから、工程A8に使用されるエッチング液(エッチャント)がこれらの光反射層21に付着することはない。また、青色の単位素子Ubの第1電極25は第1層251を含むから(図1参照)、図3の工程A8に示すように単位素子Ubについては第1層251が除去されない。したがって、工程A6のパターニング後に青色の単位素子Ubの光反射層21が開口部23aを介して透光層23から露出するとは言っても、工程A8において単位素子Ubの光反射層21にエッチング液が付着することはない。以上のように、本実施形態によれば、工程A8で使用されるエッチング液の付着に起因した各光反射層21の劣化を有効に防止することができる。
【0035】
次に、第2層252となる導電膜Lc2が基板10の全面にわたって40nm程度の膜厚に形成される(工程A9)。そして、この導電膜Lc2のパターニングによって各第1電極25の第2層252が形成される(工程A10)。本実施形態においては、総ての単位素子Uの各々について第2層252が形成される。したがって、工程A10で使用されるエッチング液によって光反射層21が損傷することはない。
【0036】
続いて、樹脂膜の形成およびそのパターニングによってバンク層31が形成される(工程A11)。さらに、このバンク層31によって仕切られた単位素子Uごとの空間に、当該単位素子Uに対応した発光色の発光層を含む発光体33が順次に形成される(工程A12)。次いで、各発光体33を挟んで第1電極25と対向するように半透過反射性の第2電極35が形成されたうえで(工程A13)、基板10の全面を覆うように封止材37が設置される(図1参照)。
【0037】
以上が本実施形態に係る発光装置Dの製造方法である。本実施形態の発光装置Dにおいては、第1電極25の膜厚と透光層23の有無とに応じて共振器構造の共振波長が単位素子Uの発光色ごとに調整されるから、各層の成膜やパターニングの回数を削減することができるという効果がある。この効果について詳述すると以下の通りである。
【0038】
透光層23によって光反射層21の損傷を防止しながら共振器構造の共振波長を調整する構造としては、単一の透光層23によって総ての単位素子Uの光反射層21を被覆したうえで、第1電極25の膜厚を単位素子Uの発光色ごとに個別に選定する構成(以下「対比例」という)も考えられる。図4および図5は、対比例に係る発光装置Dの製造方法の工程図である。
【0039】
図5の工程B10に示すように、対比例の発光装置Dにおいては、総ての単位素子Uの光反射層21が共通の透光層23によって被覆される。一方、各第1電極25を構成する導電層の総数は単位素子Uごとに相違する。すなわち、赤色の単位素子Urの第1電極25は第1層251・第2層252および第3層253の3層からなり、緑色の単位素子Ugの第1電極25は第2層252および第3層253の2層からなり、青色の単位素子Ubの第1電極25は第3層253のみからなる。つまり、本実施形態においては第1電極25の膜厚の調整および透光層23の有無の選定の双方によって共振波長が調整されるのに対し、対比例においては、第1電極25の膜厚の調整のみによって共振波長が調整される。この対比例の構造を製造する場合には、図2の工程A2に続いて、以下に説明する図4および図5の工程B1ないし工程B10が実施される。
【0040】
まず、導電膜La1の成膜(図4の工程B1)およびそのパターニング(工程B2)によって光反射層21が形成される。次いで、絶縁膜Lb1の成膜(工程B3)およびそのパターニング(工程B4)によって透光層23が総ての単位素子Uにわたって連続に形成される。続いて、第1電極25の第1層251ないし第3層253が順次に形成される。すなわち、第1に、導電膜Lc1の成膜(工程B5)およびそのパターニング(工程B6)によって単位素子Urの光反射層21のみと重なるように第1層251が形成される。第2に、導電膜Lc2の成膜(図5の工程B7)およびそのパターニング(工程B8)によって単位素子Urおよび単位素子Ugの各光反射層21と重なるように第2層252が形成される。そして第3に、導電膜Lc3の成膜(工程B9)およびそのパターニング(工程B10)によって総ての単位素子Uの各光反射層21と重なるように第3層253が形成される。この後に図3の工程A11ないし工程A13が実施される。
【0041】
以上に説明したように、対比例の発光装置Dを製造する場合には、光反射層21の形成から第1電極25の形成までに5回の成膜工程(B1・B3・B5・B7・B9)と5回のパターニング工程(B2・B4・B6・B8・B10)とを実施する必要がある。これに対し、本実施形態によれば、図2および図3に示すように、光反射層21の形成から第1電極25の形成までに4回の成膜工程(A3・A5・A7・A9)と4回のパターニング工程(A4・A6・A8・A10)を実施すれば足りる。つまり、対比例における第3層253の形成を不要とすることができるから、本実施形態によれば、製造工程の簡素化および製造コストの低減を図ることができる。
【0042】
また、対比例の構成においては光反射層21と発光体33との間に透光層23と第1電極25の第1層251ないし第3層253という合計4層を介在させる必要があるから、所期の光学的距離を得るためには各層の膜厚を比較的に薄くしなければならない。これに対し、本実施形態によれば、光反射層21と発光体33との間に透光層23と第1電極25の第1層251および第2層252という合計3層を介在させれば足りるから、各層の膜厚を対比例よりも厚くしても所期の光学的距離を得ることができるという利点がある。
【0043】
<B:第2実施形態>
<B−1:発光装置Dの構造>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態のうち第1実施形態と同様の要素については共通の符号を付してその説明を適宜に省略する。
【0044】
図6は、本実施形態に係る発光装置Dの構成を示す断面図である。同図に示されるように、本実施形態における総ての単位素子Uの第1電極25は、基板10の全面を被覆する単一の導電膜から形成された1層のみからなる。したがって、各単位素子Uの第1電極25の膜厚は等しい。
【0045】
また、本実施形態の発光装置Dは、各々が基板10の全面を覆うように複数の単位素子Uにわたって連続に分布する第1透光層231および第2透光層232を含む。第1透光層231および第2透光層232は、第1実施形態の透光層23と同様に、酸化珪素や酸化窒素といった光透過性の絶縁材料からなる。
【0046】
第1透光層231の形状は第1実施形態の透光層23と同様である。すなわち、第1透光層231は、赤色の単位素子Urの光反射層211および緑色の単位素子Ugの光反射層212の双方を被覆する一方、青色の単位素子Ubの光反射層212に対応する部分は開口部23aとなっている。したがって、第1実施形態と同様に、青色の単位素子Ubの光反射層212は開口部23aを介して第1透光層231から露出する。
【0047】
一方、第2透光層232は、第1透光層231よりも基板10側に配置された膜体である。この第2透光層232は、赤色の単位素子Urの光反射層211と発光体33との間(より具体的には光反射層211と第1透光層231との間)に介在する。したがって、発光装置Dの製造工程において単位素子Urの光反射層211は第2透光層232によって保護される。さらに、第2透光層232は、緑色の単位素子Ugおよび青色の単位素子Ubの各々の光反射層212と基板10との間隙に介在する。以上のように、単位素子Urにおいては第2透光層232が光反射層211と第2電極35との間に介在して共振器構造を構成するのに対し、単位素子Ugおよび単位素子Ubの各々においては、光反射層212と第2電極35との間に第2透光層232は介在しない。
【0048】
以上の構成において、各単位素子Uの光反射層21と第2電極35との間の光学的距離は、両者間に介在する透光層23の積層数に応じて決定される。本実施形態においては、各単位素子Uの光反射層21と第2電極35との間の光学的距離が、各単位素子Uの発光色に応じた共振波長に対応する数値となるように(すなわち式(1)を満たすように)、光反射層21と第2電極35との間に介在する透光層23の総数が単位素子Uごとに決定される。さらに具体的に説明すると以下の通りである。
【0049】
赤色の単位素子Urの光反射層21と第2電極35との間には第1透光層231と第2透光層232と第1電極25と発光体33とが介在する。また、緑色の単位素子Ugの光反射層21と第2電極35との間には、第2透光層232と第1電極25と発光体33とが介在し第1透光層231は介在しない。さらに、青色の単位素子Ubの光反射層21と第2電極35との間には第1電極25と発光体33とが介在し第1透光層231および第2透光層232の何れも介在しない。いま、第1電極25の膜厚を80nmとし、第2透光層232の膜厚を40nmとし、第1透光層231の膜厚を30nmとすると、各発光色の単位素子Uにおける光反射層21と発光体33との間の幾何学的な距離は以下のように算定される。
単位素子Ur:150nm (=40nm[第2透光層232]+30nm[第1透光層231]+80nm[第1電極25])
単位素子Ug:110nm (=30nm[第1透光層231]+80nm[第1電極25])
単位素子Ub:80nm [第1電極25]
【0050】
第1実施形態にて説明したように、第1電極25の屈折率と第1透光層231および第2透光層232の各々の屈折率とが略同一であると仮定すると、光反射層21と発光体33との光学的距離は両者間の幾何学的な距離に比例する。したがって、本実施形態においても第1実施形態と同様に、単位素子Urの共振波長が単位素子Ugの共振波長よりも長く、単位素子Ugの共振波長が単位素子Ubの共振波長よりも長いといった具合に、各単位素子Uの共振器構造における共振波長が第1透光層231や第2透光層232の有無に応じて決定される。
【0051】
<B−2:製造方法>
次に、図7および図8を参照しながら、本実施形態の発光装置Dを製造する方法について説明する。図7の工程C1は、図2の工程A2に続いて実施される工程である。また、各層の成膜やパターニングに利用される技術は第1実施形態と同様である。
【0052】
まず、複数の配線12と下地層14とが形成された基板10の全面にわたって導電膜La1が形成される(図7の工程C1)。そして、この導電膜La1のパターニングによって、赤色の単位素子Urの各々に対応する領域に光反射層211が形成される(工程C2)。続いて、光反射層211が形成された下地層14の全体を覆うように絶縁膜Lb1(第2透光層232)が形成される(工程C3)。この絶縁膜Lb1の膜厚は40nm程度である。
【0053】
次に、絶縁膜Lb1の全域を覆うように導電膜La2が形成される(工程C4)。そして、この導電膜La2のパターニングによって、緑色の単位素子Ugおよび青色の単位素子Ubの各々に対応する領域に光反射層212が形成される(工程C5)。
【0054】
さらに、これらの光反射層212が形成された絶縁膜Lb1の全域を覆うように絶縁膜Lb2(第1透光層231)が形成される(図8の工程C6)。この絶縁膜Lb2の膜厚は30nm程度である。続いて、絶縁膜Lb1および絶縁膜Lb2の一括的なパターニングによって第1透光層231と第2透光層232とが形成される(工程C7)。すなわち、この工程C7においては、絶縁膜Lb1のうちコンタクトホールHとなる部分の除去によって第2透光層232が形成されるとともに、絶縁膜Lb2のうちコンタクトホールHとなる部分と青色の単位素子Ubの光反射層21に重なり合う部分(開口部23a)との除去によって第1透光層231が形成される。この方法によれば、絶縁膜Lb1と絶縁膜Lb2とを別個の工程にてパターニングする方法と比較して製造工程の簡素化および製造コストの低減が図られる。
【0055】
次に、第1電極25となる導電膜Lc1が基板10の全面にわたって80nm程度の膜厚に形成される(工程C8)。そして、この導電膜Lc1のパターニングによって第1電極25が単位素子Uごとに形成される(工程C9)。この後に図3の工程A11ないし工程A13が実施されることによって図6の発光装置Dが完成する。
【0056】
以上に説明したように、本実施形態においては、光反射層211の形成から第1電極25の形成までに5回の成膜工程(C1・C3・C4・C6・C8)と4回のパターニング工程(C2・C5・C7・C9)が実行される。すなわち、図4および図5に示した対比例の製造方法と比較して1回のパターニング工程を削減することができる。
【0057】
また、本実施系形態においては、第1電極25が1層で構成されるから、第1電極25が複数層によって構成される第1実施形態や対比例と比較して第1電極25の表面(発光体33との対向面)を平坦化することが可能となる。第1電極25の表面に段差があるとその近傍に電界の特異点(例えば電界が集中するか箇所)が発生して第1電極25の劣化を促進する原因となり得る。本実施形態によれば、第1電極25の表面が平坦化されるから、第1電極25の表面における電界の集中は第1実施形態や対比例よりも少ない。したがって、本実施形態によれば第1電極25の劣化を抑制することができる。
【0058】
<C:変形例>
以上の各形態には様々な変形を加えることができる。具体的な変形の態様を例示すれば以下の通りである。なお、以下の各態様を適宜に組み合わせてもよい。
【0059】
(1)変形例1
第2実施形態においては、第1透光層231および第2透光層232の双方を備えた発光装置Dを例示したが、第2透光層232のみを備えた構成(図6の第1透光層231が省略された構成)も採用される。この構成においても、光反射層21(211)と第1電極25との間隙に第2透光層232が位置するか光反射層21(212)と基板10との間隙に第2透光層232が位置するかに応じて共振器構造における共振波長を単位素子Uごとに調整することができる。これに加えて、第1透光層231が省略された構成においては、第1実施形態に説明したように第1電極25の膜厚を単位素子Uごとに選定することによって単位素子Uごとに共振波長を調整してもよい。
【0060】
(2)変形例2
各実施形態においては、各発光色の単位素子Uを構成する要素が相互に離間して形成された構成を例示したが、各要素は各発光色の単位素子Uにわたって連続していてもよい。例えば、発光体33の少なくともひとつの機能層や第2電極35が総ての単位素子Uにわたって連続的に分布する構成としてもよい。発光層が総ての単位素子Uにわたって連続する構成であっても、各単位素子の共振波長を適宜に選定することによって各単位素子Uの発光色を相違させることは可能である。さらに、第1実施形態における光反射層21が総ての単位素子Uにわたって連続的に分布する構成としてもよい。
【0061】
また、各実施形態においては第2電極35が共振器構造の半透過反射層として兼用される構成を例示したが、半透過反射層が第2電極35とは別個に形成された構成としてもよい。この構成における半透過反射層は第2電極35に対して発光体33側に設置されてもよいしこれとは反対側(観察側)に配置されてもよい。
【0062】
(3)変形例3
図9に示されるように、各単位素子Uの発光色に対応した色彩(赤色・緑色および青色)のカラーフィルタ41(41r・41g・41b)が設置された構成としてもよい。同図においては、光透過性を有する板材40の表面に各色のカラーフィルタ41が形成された場合が例示されている。各単位素子Uに対応するカラーフィルタは、その単位素子Uの共振波長に対応する波長の光を選択的に透過させる手段である。例えば、赤色の単位素子Urの観察側には赤色に対応した光を透過させるカラーフィルタが設置される。この構成によれば、各単位素子Uからの出射光のうちカラーフィルタを透過した成分のみが観察側に出射するから、カラーフィルタが設置されない構成よりも色再現性を向上することができる。また、各カラーフィルタによって外光が吸収されるから、外光の反射が低減されるという利点もある。
【0063】
(4)変形例4
発光装置Dを構成する各部の材料や各々を製造する方法は任意に変更される。例えば、各実施形態においては有機EL材料からなる発光層を例示したが、例えば無機EL材料からなる発光層を含む発光装置や、発光ダイオードを発光体に利用した発光装置にも本発明を同様に適用することができる。
【0064】
<D:応用例>
次に、本発明に係る発光装置を利用した電子機器について説明する。図10は、以上に説明した何れかの形態に係る発光装置Dを表示装置として採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、表示装置としての発光装置Dと本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
【0065】
図11に、実施形態に係る発光装置Dを適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置Dに表示される画面がスクロールされる。
【0066】
図12に、実施形態に係る発光装置Dを適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置としての発光装置Dを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が発光装置Dに表示される。
【0067】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図10から図12に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、液晶パネルのバックライトとして本発明の発光装置を利用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図2】発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図3】発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図4】対比例に係る発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図5】対比例に係る発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図7】発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図8】発光装置の製造方法を説明するための工程図である。
【図9】変形例に係る発光装置の構成を示す断面図である。
【図10】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る電子機器の具体的な形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0069】
D……発光装置、10……基板、12……配線、14……下地層、H……コンタクトホール、21,211,212……光反射層、23……透光層、231……第1透光層、232……第2透光層、25……第1電極、251……第1層、252……第2層、31……バンク層、33……発光体、35……第2電極、37……封止材37。




 

 


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