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発明の名称 有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、及び電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−26852(P2007−26852A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−206708(P2005−206708)
出願日 平成17年7月15日(2005.7.15)
代理人 【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
発明者 松本 友孝
要約 課題
画素によって膜厚が異なる画素電極を従来よりも少ない工程で形成し、高い表示性能を実現すると共に低コスト化を実現できる有機EL装置、及び有機EL装置の製造方法、及び電子機器を提供する。

解決手段
基板20上に、第1電極23R,23G,23B及び第2電極50に挟持された発光機能層110を有する画素XR,XG,XBと、複数の画素XR,XG,XBからなる単位画素群Pxを備える有機エレクトロルミネッセンス装置であって、単位画素群Pxにおける複数の第1電極23R,23G,23Bの各々は、エッチング選択性が異なる複数の導電膜11,12のうち、単独又はその組み合わせによって形成されていること、を特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
基板上に、第1電極及び第2電極に挟持された発光機能層を有する画素と、複数の前記画素からなる単位画素群を備える有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
前記単位画素群における複数の前記第1電極の各々は、
エッチング選択性が異なる複数の導電膜のうち、単独又はその組み合わせによって形成されていること、
を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
前記導電膜は、透明性導電膜であること、
を特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
前記複数の前記第1電極は、膜厚が異なること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
前記複数の第1電極のうち、
前記エッチング選択性が異なる複数の導電膜の組み合わせからなる第1電極は、
前記基板側に形成された第1導電膜と、
当該第1導電膜に積層され、かつ、当該第1導電膜よりもエッチング選択性が高い第2導電膜と、
によって形成されていること、
を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
前記基板と前記第1電極との間には、反射膜が形成されていること、
を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
前記複数の画素の各々は、異なる色を出射すること、
を特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
前記複数の画素の各々において、
前記発光機能層は異なる色波長の発光光を出射すること、
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
前記複数の画素の各々において、
前記発光機能層に対向配置された複数色の着色層を備えること、
を特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
基板上に、第1電極及び第2電極に挟持された発光機能層を有する画素と、複数の前記画素からなる単位画素群を備える有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記単位画素群における複数の前記第1電極の各々を形成する第1電極形成工程は、
エッチング選択性が異なる複数の導電膜のうち、単独又はその組み合わせによって前記複数の第1電極を形成すること、
を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1電極形成工程は、
前記基板上に第1導電膜を成膜してパターニングする第1工程と、
当該第1工程によってパターニングされた第1導電膜上及び前記基板上に、前記第1導電膜よりもエッチング選択性が高い第2導電膜を成膜して、当該第2導電膜をパターニングする第2工程と、
を含むこと、
を特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項11】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたこと、
を特徴とする電子機器。



発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistants)等の電子機器に使用される表示装置や、デジタル複写機やプリンタなどの画像形成装置における露光用ヘッドとして、有機エレクトロルミネッセンス装置(以下、有機EL装置と称する。)等の発光装置が注目されている。この種の発光装置をカラー用に構成するにあたっては、従来、発光層を構成する材料を画素毎に変えることにより、各画素から各色の光が出射されるように構成されている。
【0003】
その一方で、発光層の下層側に形成された下層側反射層と発光層の上層側に形成された上層側反射層との間に光共振器を形成するとともに、ITO(Indium Tin Oxide)等からなる画素電極の膜厚を変えることにより、光共振器の光学長を画素毎に変えて、発光素子の出射光から各色の光を取り出す技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2797883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術を利用して、発光層からみて基板側に光を出射するボトムエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、下層側反射層を半透過反射膜で構成することになる。また、発光層からみて基板とは反対側に光を出射するトップエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、下層側反射層をアルミニウムや銀などといった反射率の高い金属膜で構成することになる。
【0005】
ところで、ITO膜によって膜厚の異なる画素電極を形成するには、ITO膜を成膜した後、ITO膜の上層にフォトリソグラフィ技術を用いてレジストマスクを形成し、エッチングを行うことになる。このため、画素電極の厚さを赤色用の画素、緑色用の画素、青色用の画素で相違させるには、上記の工程を3回繰り返す必要があり、工程が複雑になってしまう。従って、表示性能は向上するものの、生産性が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑み創案されたもので、画素によって膜厚が異なる画素電極を従来よりも少ない工程で形成し、高い表示性能を実現すると共に低コスト化を実現できる有機EL装置、及び有機EL装置の製造方法、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の問題点を解決すべく、以下の手段を有する本発明を想到した。
即ち、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、基板上に、第1電極及び第2電極に挟持された発光機能層を有する画素と、複数の前記画素からなる単位画素群を備える有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記単位画素群における複数の前記第1電極の各々は、エッチング選択性が異なる複数の導電膜のうち、単独又はその組み合わせによって形成されていること、を特徴としている。
【0008】
ここで、エッチング選択性について説明する。
本発明の複数の導電膜は、その材料の種類や、その材料の構造(結晶状態或いは非晶質状態)によって、ウエットエッチングやドライエッチングにおける薬液や反応性ガスに対するエッチングレートが異なる性質を有している。例えば、同一の薬液に対して、複数の導電膜の一つは、高いレート(エッチング速度、エッチングレート)でエッチングされる性質を有しているのに対し、他の導電膜は、殆どエッチングされないという性質を有する場合がある。このように、本発明では、同一の薬液や反応性ガスに対し、複数の導電膜の各々のエッチングのし易さの程度をエッチング選択性としている。そして、同一の薬液や反応性ガスを利用して、複数の導電膜を同時にエッチングした時に、エッチングされてしまう導電膜を「エッチング選択性が高い」ものとし、殆どエッチングされない導電膜を「エッチング選択性が低い」ものとする。
【0009】
従来は、複数の第1電極を形成するにあたり、当該第1電極の数と同じ回数のレジストマスク形成工程及びエッチング工程を行っているのは、各エッチング工程において他の第1電極がエッチングされてしまうことを防ぐために、レジストマスクによって非エッチング対象の第1電極を被覆する必要があったためである。
これに対して、本発明は、複数の導電膜のエッチング選択性を利用して第1電極を形成しているので、エッチング選択性が低い導電膜(第1導電膜)に対してレジストマスクを被覆せずに、エッチング選択性が高い導電膜(第2導電膜)をエッチングすることが可能となる。
従って、本発明によれば、従来よりもレジストマスクを形成する工程が少なくなり、換言すれば、露光工程数の削減やマスク枚数の削減を達成するので、製造コストが低減された有機EL装置を実現できる。
【0010】
また、複数の第1電極は、複数の導電膜のうち、単独又はその組み合わせによって形成されているので、導電膜の単層構造や、複数の導電膜の積層構造によって構成されたものである。また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記導電膜は、透明性導電膜であることを特徴としており、前記複数の前記第1電極は、膜厚が異なること、を特徴としている。
従って、複数の第1電極は、膜厚が異なると共に、透明性を有するものとなり、光共振器として機能させることができ、光共振器の光学長を画素毎に異ならせる(調整する)ことができる。例えば、長波長(例えば赤色光)の発光を行う画素の第1電極の膜厚を長くして、その光学長を合わせることができ、短波長(例えば青色光)の発光を行う画素の第1電極の膜厚を短くして、その光学長を合わせることができる。
また、光学長を長くするには、複数の導電膜を積層して形成し、一方、光学長を短くするには、複数の導電膜のうち導電膜を単層で形成することで光学長を調整できる。また、導電膜を単層で形成する場合の中でも、要求される光学長を考慮して、厚膜又は薄膜の単層膜を選択することで、光学長を調整できる。また、要求される光学長を考慮して、複数の導電膜の各膜厚を成膜の際に、厚膜化或いは薄膜化することで、光学長を調整できる。
このように、複数の画素における第1電極の光学長が調整されることで、表示性能が高い有機EL装置を実現できる。具体的には、NTSC比の向上、白色バランスの最適化、白色表示の無彩色化を実現でき、色設計の自由度を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記複数の第1電極のうち、前記エッチング選択性が異なる複数の導電膜の組み合わせからなる第1電極は、前記基板側に形成された第1導電膜と、当該第1導電膜に積層され、かつ、当該第1導電膜よりもエッチング選択性が高い第2導電膜と、によって形成されていること、を特徴としている。このようにすれば、上記の有機EL装置と同様の効果が得られる。
【0012】
なお、「複数の第1電極の膜厚が異なる」とは、複数の第1電極の膜厚が各々異なる場合を限定するものではなく、複数の第1電極のうち少なくとも2つの第1電極の膜厚が同じ場合を含むことを意味する。例えば、複数の第1電極が4つ或いは3つによって構成され、そのうち2つの電極の膜厚が同じであってもよい。
【0013】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記基板と前記第1電極との間には、反射膜が形成されていること、を特徴としている。
このようにすれば、反射膜によって発光機能層の発光光を反射させることができ、第2電極の側に発光光を出射させることができる。また、本発明においては、発光機能層の発光光は、反射することなく第2電極の側から出射する光(非反射光)と、反射膜によって反射した後に第2電極の側から出射する光を含んでいる。反射膜によって反射される場合、非反射光と比較して、第1電極の導電膜を通過する分だけ光学長が長くなり、非反射光とのバランスによって、光学長を調整する必要がある。上記のように本発明は、複数の導電膜の単層構造又は積層構造によって光学長を調整するので、反射光と非反射光が混在している場合でも容易にそれを調整することができる。
【0014】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記複数の画素の各々は、異なる色を出射すること、を特徴としている。
ここで、複数の画素の各々は、R(赤),G(緑),B(青)を原色とすることが好ましい。なお、これに限定することなく、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)といった補色の少なくともいずれかを含んでもよい。
このようにすれば、単位画素群毎にフルカラー表示を行うことができ、単位画素群を複数備えた(例えば、マトリクス状に複数備えた)場合には、フルカラー画像を表示することができる。
【0015】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記複数の画素の各々において、前記発光機能層は異なる色波長の発光光を出射すること、を特徴としている。
このようにすれば、発光機能層の各々において異なる色の発光光が生じるので、画素毎に異なる色を出射させることができ、即ち、先の有機EL装置と同様の効果が得られる。
【0016】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置においては、前記複数の画素の各々において、前記発光機能層に対向配置された複数色の着色層を備えること、を特徴としている。
ここで、複数色の着色層は、例えば、RGBの各色の着色層である。
そして、発光機能層が出射する発光光が白色の単一光である場合には、発光機能層において生じた白色光が着色層に透過することで、着色層は白色光に対してRGBに着色する(RGBの色波長毎に透過させる)ので、画素毎に異なる色を出射させることができ、即ち、先の有機EL装置と同様の効果が得られる。
また、発光機能層が出射する発光光が、例えば、RGBの各色である場合には、発光機能層において生じたRGBの各色光が、同じ色の着色層に透過することで、着色層から出射された光の色純度を高くすることができ、即ち、先の有機EL装置と同様の効果が得られる。
【0017】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、基板上に、第1電極及び第2電極に挟持された発光機能層を有する画素と、複数の前記画素からなる単位画素群を備える有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記単位画素群における複数の前記第1電極の各々を形成する第1電極形成工程は、エッチング選択性が異なる複数の導電膜のうち、単独又はその組み合わせによって前記複数の第1電極を形成すること、を特徴としている。
本発明によれば、複数の導電膜のエッチング選択性を利用して第1電極を形成するので、エッチング選択性が高い導電膜(第1導電膜)に対してレジストマスクを被覆せずに、エッチング選択性が低い導電膜(第2導電膜)をエッチングすることが可能となる。
従って、従来よりもレジストマスクを形成する工程が少なくなり、換言すれば、露光工程数の削減やマスク枚数の削減を達成するので、製造コストが低減された有機EL装置を実現できる。
【0018】
また、第1電極形成工程によって、複数の導電膜のうち、単独又はその組み合わせによって第1電極を形成しているので、第1電極は、導電膜の単層構造や、複数の導電膜の積層構造によって構成されるものとなる。
また、本発明においては、前記導電膜は透明性導電膜であり、複数の前記第1電極の膜厚が異なることが好ましい。
従って、第1電極形成工程によって形成される複数の第1電極は、膜厚が異なると共に、透明性を有するものとなり、光共振器として機能させることができ、光共振器の光学長を画素毎に異ならせる(調整する)ことができる。例えば、長波長(例えば赤色光)の発光を行う画素の第1電極の膜厚を長くして、その光学長を合わせることができ、短波長(例えば青色光)の発光を行う画素の第1電極の膜厚を短くして、その光学長を合わせることができる。
また、光学長を長くするには、複数の導電膜を積層して形成し、一方、光学長を短くするには、複数の導電膜のうち導電膜を単層で形成することで光学長を調整できる。また、導電膜を単層で形成する場合の中でも、要求される光学長を考慮して、厚膜又は薄膜の単層膜を選択することで、光学長を調整できる。また、要求される光学長を考慮して、複数の導電膜の各膜厚を成膜の際に、厚膜化或いは薄膜化することで、光学長を調整できる。
このように、複数の画素における第1電極の光学長が調整されることで、表示性能が高い有機EL装置を実現できる。具体的には、NTSC比の向上、白色バランスの最適化、白色表示の無彩色化を実現でき、色設計の自由度を向上させることができる。
【0019】
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法においては、前記第1電極形成工程は、前記基板上に第1導電膜を成膜してパターニングする第1工程と、当該第1工程によってパターニングされた第1導電膜上及び前記基板上に、前記第1導電膜よりもエッチング選択性が高い第2導電膜を成膜して、当該第2導電膜をパターニングする第2工程と、を含むこと、を特徴としている。
このようにすれば上記と同様の効果が得られる。
【0020】
また、本発明の電子機器は、先に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたこと、を特徴としている。
このような電子機器としては、例えば、携帯電話機、移動体情報端末、時計、ワープロ、パソコンなどの情報処理装置、プリンタ等を例示できる。また、大型の表示画面を有するテレビや、大型モニタ等を例示できる。このように電子機器の表示部に、本発明の電気光学装置を採用することによって、低価格で表示性能が高い表示部を備える電子機器を提供できる。また、プリンタ等の光源に適用してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を詳しく説明する。
なお、この実施の形態は、本発明の一部の態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下に示す各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならせてある。
【0022】
(有機EL装置の第1実施形態)
まず、本発明の有機EL装置の第1実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の有機EL装置の配線構造を示す模式図であり、図1において符号1は有機EL装置である。
この有機EL装置1は、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTと称する。)を用いたアクティブマトリクス方式のもので、複数の走査線101…と、各走査線101に対して直角に交差する方向に延びる複数の信号線102…と、各信号線102に並列に延びる複数の電源線103…とからなる配線構成を有し、走査線101…と信号線102…との各交点付近に画素X…を形成したものである。
もちろん本発明の技術的思想に沿えば、TFTなどを用いるアクティブマトリクスは必須ではなく、単純マトリクス向けの基板を用いて本発明を実施し、単純マトリクス駆動しても全く同じ効果が低コストで得られる。
【0023】
信号線102には、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン及びアナログスイッチを備えるデータ線駆動回路100が接続されている。また、走査線101には、シフトレジスタ及びレベルシフタを備える走査線駆動回路80が接続されている。
【0024】
更に、画素Xの各々には、走査線101を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(スイッチング素子)112と、このスイッチング用TFT112を介して信号線102から共有される画素信号を保持する保持容量113と、該保持容量113によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT(スイッチング素子)123と、この駆動用TFT123を介して電源線103に電気的に接続したときに該電源線103から駆動電流が流れ込む画素電極(第1電極)23と、当該画素電極23と陰極(第2電極)50との間に挟み込まれた発光機能層110とが設けられている。
【0025】
次に、本実施形態の有機EL装置1の具体的な態様を、図2〜図4を参照して説明する。ここで、図2は有機EL装置1の構成を模式的に示す平面図である。図3は有機EL装置1の単位画素群を模式的に示す断面図である。図4は、発行機能層を説明するために模式図である。
【0026】
まず、図2を参照し、有機EL装置1の構成を説明する。
図2は、基板20上に形成された各種配線,TFT,画素電極,各種回路によって、発光機能層110を発光させる有機EL装置1を示す図である。
図2に示すように、有機EL装置1は、電気絶縁性とを備える基体20と、スイッチング用TFT112に接続された画素電極23が基板20上にマトリックス状に配置されてなる画素X(図1参照)と、画素Xの周囲に配置されるとともに各画素電極に接続される電源線103…と、少なくとも画素X上に位置する平面視ほぼ矩形の画素部3(図2中一点鎖線枠内)とを備えて構成されている。
なお、本実施形態において画素部3は、中央部分の実表示領域4(図中二点鎖線枠内)と、実表示領域4の周囲に配置されたダミー領域5(一点鎖線および二点鎖線の間の領域)とに区画されている。
【0027】
実表示領域4においては、赤色発光(R)、緑色発光(G)、及び青色発光(B)で各々発光する、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBが紙面左右方向に規則的に配置されている。また、各色画素XR,XG,XBの各々は、紙面縦方向において同一色で配列しており、所謂ストライプ配置を構成している。また、各色画素XR,XG,XBの各々は、先述のTFT112,123の動作に伴って、RGBの各色で発光する発光機能層110を備えた構成となっている。そして、各色画素XR,XG,XBが一つのまとまりとなって、単位画素群Px(後述)が構成されており、当該単位画素群PxはRGBの発光を混色させてフルカラー表示を行うようになっている。従って、単位画素群Pxがマトリクス状に配置されることで構成された実表示領域4においては、フルカラーの画像を表示するようになっている。
また、実表示領域4の図2中両側には、走査線駆動回路80、80が配置されている。この走査線駆動回路80、80は、ダミー領域5の下層側に位置して設けられている。
【0028】
また、実表示領域4の図2中上方側には検査回路90が配置されており、この検査回路90はダミー領域5の下層側に配置されて設けられている。この検査回路90は、有機EL装置1の作動状況を検査するための回路であって、例えば検査結果を外部に出力する検査情報出力手段(図示せず)を備え、製造途中や出荷時における有機EL装置の品質、欠陥の検査を行うことができるように構成されている。
【0029】
走査線駆動回路80および検査回路90の駆動電圧は、所定の電源部から駆動電圧導通部(不図示)及び駆動電圧導通部(不図示)を介して印加されている。また、これら走査線駆動回路80及び検査回路90への駆動制御信号および駆動電圧は、この有機EL装置1の作動制御を司る所定のメインドライバなどから駆動制御信号導通部(不図示)及び駆動電圧導通部(不図示)を介して送信および印加されるようになっている。なお、この場合の駆動制御信号とは、走査線駆動回路80および検査回路90が信号を出力する際の制御に関連するメインドライバなどからの指令信号である。
【0030】
次に、図3を参照し、有機EL装置1の単位画素群の構造について説明する。
なお、図3においては、画素電極23,発光機能層110,及び陰極50の構成について詳述し、画素電極23には駆動用TFT123が接続されているものとする。
【0031】
図3に示すように、有機EL装置1の単位画素群Pxは、基板20上に、画素電極23及び陰極50に挟持された発光機能層110を備えている。また、各電極23,50及び発光機能層110は、基板20と、当該基板20に対向配置された対向基板30の間に配置されている。当該基板20,30の間は、窒素ガス等の不活性ガスが充填された空間であり、不図示の乾燥剤やゲッター剤によって乾燥状態に維持されている。
また、発光機能層110は、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBの各々について、異なる発光材料を有しており、RGBの各色を発光するようになっている。また、発光光は、基板20を透過して出射するようになっている。従って、本実施形態の有機EL装置1は、ボトムエミッション型を構成している。
【0032】
基板20は、ガラス基板や樹脂基板等の透明性基板である。また、基板20と画素電極23の間には、先述のTFT112、123等が形成され、これらTFT112、123と画素電極23との間には層間絶縁膜が形成されている。
【0033】
画素電極23は、赤色画素XRに形成された画素電極23R、緑色画素XGに形成された画素電極23G、及び青色画素XBに形成された画素電極23Bによって構成されている。そして、各画素電極23R,23G,23Bは、透明性導電膜であるITOによって形成されているが、各々において異なる構成となっている。
具体的に説明すると、画素電極23Rは、基板20側に形成された結晶ITO(第1導電膜)11と、当該結晶ITO11に積層された非晶質ITO(第2導電膜)12とによって構成されている。また、画素電極23Rの膜厚は合計110nmとなっており、結晶ITO11の膜厚40nmと、非晶質ITO12の膜厚70nmとを足し合わせた膜厚となっている。
また、画素電極23Gは、非晶質ITO12の単層によって形成され、その膜厚は70nmとなっている。
また、画素電極23Bは、結晶ITO11の単層によって形成され、その膜厚は40nmとなっている。
従って、画素電極23R,23G,23Bの膜厚を比較すると、画素電極23R>画素電極23G>画素電極23Bとなっている。
また、結晶ITO11及び非晶質ITO12は、スパッタ法によって成膜される導電膜であり、その屈折率は共に約1.9程度である。また、スパッタ法においては、スパッタ条件を適宜調整するだけで、結晶状態或いは非晶質状態にITOを形成することが可能である。
【0034】
また、画素電極23R,23G,23Bは、上記のように膜厚が異なると共に透明性を有するので、光共振器として機能させることができる。即ち、光共振器の光学長を画素電極23R,23G,23B毎に異ならせる(調整する)ことが可能となる。例えば、長波長(例えば赤色光)の発光を行う画素の画素電極23R,23G,23Bの膜厚を長くして、その光学長を合わせることができ、短波長(例えば青色光)の発光を行う画素の画素電極23R,23G,23Bの膜厚を短くして、その光学長を合わせることができる。
また、光学長を長くするには、複数の導電膜を積層して形成し、一方、光学長を短くするには、複数の導電膜のうち導電膜を単層で形成することで光学長が調整可能となる。また、導電膜を単層で形成する場合の中でも、要求される光学長を考慮して、厚膜又は薄膜の単層膜を選択することで、光学長が調整可能となる。また、要求される光学長を考慮して、複数の導電膜の各膜厚を成膜の際に、厚膜化或いは薄膜化することで、光学長が調整可能となる。
なお、本実施形態においては、画素電極23R,23G,23Bの各膜厚を110nm,70nm,40nmとしたが、例えば、90nm,60nm,30nmとしてもよい。
【0035】
次に、結晶ITO11及び非晶質ITO12の性質について説明する。
本発明の特徴点として述べたように、結晶ITO11及び非晶質ITO12は、エッチング選択性が異なる導電膜である。ウエットエッチング工程において、非晶質ITO12はシュウ酸系の薬液に対してエッチングされる性質を有しているが、同一薬液に対して結晶ITO11は殆どエッチングされない性質を有している。従って、結晶ITO11及び非晶質ITO12を同時にシュウ酸系薬液によってエッチングした際には、非晶質ITO12が選択的にエッチングされ、結晶ITO11は殆どエッチングされないものとなる。従って、非晶質ITO12は結晶ITO11よりもエッチング選択性が高いものとなっている。また、薬液として王水を用いた場合では、結晶ITO11及び非晶質ITO12は共にエッチングされる性質を有している。
なお、本実施形態においては、画素電極23R,23Gの導電膜として非晶質ITO12を採用しているが、当該非晶質ITO12に代えてIZO(Indium Zinc Oxide)を採用してもよい。このような場合でも、シュウ酸系の薬液によってIZOを選択的にエッチングすることが可能となる。
【0036】
発光機能層110は、図4に示すように画素電極23上に形成された正孔注入層(発光機能層)70と、当該正孔注入層70上に形成された有機EL層(発光機能層)60とが積層されて構成されている。
正孔注入層70の形成材料としては、高分子材料では特に3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、即ち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、正孔注入層70の形成材料としては、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。低分子材料では、銅フタロシアニン、m−MTDATA、TPD、α―NPDなど、通常の正孔注入材料を蒸着法にて用いることができる。
【0037】
有機EL層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。また、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBの各々に有機EL層60R,60G,60Bを設けることで、フルカラー表示が可能な有機EL装置となる。
有機EL層60(60R,60G,60B)の形成材料として具体的には、高分子材料としては(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。低分子材料としては、Alq3、DPVBiなどのホスト材料、これにナイルレッド、DCM、ルブレン、ぺリレン、ローダミンなどをドープして、またはホスト単独で、蒸着法にて用いることができる。
また、赤色の有機EL層60Rの形成材料としては例えばMEHPPV(ポリ(3−メトキシ6−(3−エチルヘキシル)パラフェニレンビニレン)を、緑色の有機EL層60Gの形成材料としては例えばポリジオクチルフルオレンとF8BT(ジオクチルフルオレンとベンゾチアジアゾールの交互共重合体)の混合溶液を、青色の有機EL層60Bの形成材料としては例えばポリジオクチルフルオレンを用いる場合がある。
【0038】
このような有機EL層60R,60G,60Bについては、特にその厚さについては制限がなく、各色毎に好ましい膜厚が調整されている。また、その発光特性や発光寿命によって適宜膜厚が調整されている。
また、有機EL層60R,60G,60Bの発光光の光学長は、陰極50から画素電極23R,23G,23Bの下面までの距離LR,LG,LB(図3参照)によって規定される。本実施形態においては、光学長LR,LG,LBの調整を有機EL層60R,60G,60Bの膜厚によって調整を行うものではなく、画素電極23R,23G,23Bの膜厚によって調整し、上記のように規定している。従って、有機EL層60R,60G,60Bの膜厚を規定する際には、光学長に依存することなく、発光特性や発光寿命を優先的に考慮して規定することが可能となる。
【0039】
陰極50は、画素電極23R,23G,23Bに対向する共通電極である。当該陰極50は、有機EL層60上に設けられた低仕事関数の金属からなる第1陰極と、該第1陰極上に設けられて該第1陰極を保護する第2陰極とからなるものである。第1陰極を形成する低仕事関数の金属としては、特に仕事関数が3.0eV以下の金属であるのが好ましく、具体的にはCa(仕事関数;2.6eV)、Sr(仕事関数;2.1eV)、Ba(仕事関数;2.5eV)が好適に用いられる。第2陰極は、第1陰極を覆って酸素や水分などからこれを保護するとともに、陰極50全体の導電性を高めるために設けられたものである。本実施形態の有機EL装置1は、基板20側から発光光を取り出すボトムエミッション型であるから陰極50は非透明であってよい。従って、反射性金属として、アルミニウム等が採用される。
なお、図3においては、有機EL層60の各々に陰極50を形成した構成となっているが、これを限定することなく、有機EL層60の総面積より広い面積を備え、それを覆うように形成してもよい。
【0040】
なお、本実施形態においては、有機EL層60R,60G,60Bの表面に陰極50を設けた構成となっているが、これに限定されることなく、有機EL層60R,60G,60Bと陰極50との間に電子注入層を設けた構成を採用してもよい。この場合、電子注入層としてLiFやSrF等が採用される。低分子材料を用いた場合には、BCP:Cs/ITO、Mg:Ag/ITO陰極やLiF/Al/ITOの薄膜陰極など、仕事関数の比較的高い陰極を用いる。
また、陰極の表面に封止層を設けてもよい。当該封止層としては、陰極50に被覆形成された酸化窒化シリコン膜等のパシベーション膜が採用される。これにより、発光機能層110への水分や酸素の侵入を抑制することが可能となる。
【0041】
対向基板30は、電気絶縁性とを備える基板であり、ボトムエミッション型の有機EL装置を構成する基板としては、樹脂基板や金属基板等の非透明基板が採用される。また、対向基板30において、基板20と対向する側に、凹部面を形成し、缶封止構造としてもよい。また、対向基板30と基板20との間の外周には、乾燥剤が貼設されている。従って、対向基板30は、封止基板として機能する。
【0042】
なお、上記の構成を有する単位画素群Pxにおいては、赤色画素XR、緑色画素XG、及び青色画素XBの相互間にバンク(隔壁)が形成されてもよい。
この場合、高分子材料からなる発光機能層を液滴吐出法によって形成することができる。また、バンクは、無機材料からなるバンクと、有機材料からなる有機バンクによって構成されていることが好ましい。また、無機バンクの表面には親液性が付与され、有機バンクの表面には撥液性が付与されていることが好ましい。これによって、液滴吐出法によって発光機能層110を形成する際に、バンク間に液滴を留めることができる。
【0043】
また、発光機能層は、低分子材料から構成されていてもよい。この場合、発光機能層はマスク蒸着法を用いて形成されるので、バンクを形成する必要ない。また、低分子系の発光機能層としては、正孔輸送層や電子注入バッファ層が含まれていることが好ましい。
【0044】
(有機EL装置の製造方法)
次に、図5を参照して、本発明の有機EL装置の製造方法について説明する。
ここでは、画素電極23R,23G,23Bを形成する工程(第1電極形成工程)について詳述する。
【0045】
まず、図5(a)に示すように、基板20を用意する。ここで、基板20の表面には、TFT112,123,層間絶縁膜が既に形成されている。
次に、図5(b)に示すように、スパッタ法によって基板20上に結晶ITO膜11Aを形成する。当該結晶ITO膜11Aの膜厚は40nmとする。
次に、図5(c)に示すように、第1レジストマスクM1を結晶ITO膜11A上に形成する。当該第1レジストマスクM1は、スピンコート法によってレジスト材料を塗布後、プレベーク、露光処理、現像処理によって形成される。これにより、マスク開口部Hから結晶ITO膜11Aが露出した状態となる。また、第1レジストマスクM1は、後に画素電極23R,23Bとなる部分の結晶ITO膜11Aに対して形成される。
次に、ウエットエッチング処理を行い、結晶ITO膜11Aの露出部分を除去する。ここで、薬液としては、王水を使用する。その後、アッシング処理によって第1レジストマスクM1を除去する。
以上の、図5(b)〜(c)の工程(第1工程)を経ることで、基板20上に結晶ITO11が形成される(図5(d))。
そして、当該結晶ITO11は、図3に示したように画素電極23Rの下層側の導電膜となると共に、画素電極23Bの単層膜となる。
【0046】
次に、図5(e)に示すように、スパッタ法によって基板20上に非晶質ITO膜12Aを形成する。また、既に基板20上に形成されている結晶ITO11に対しては、非晶質ITO膜12Aは積層される。ここで、非晶質ITO膜12Aの膜厚は70nmとする。
次に、図5(f)に示すように、第2レジストマスクM2を非晶質ITO膜12A上に形成する。当該第2レジストマスクM2の形成方法は、第1レジストマスクM1と同様である。これにより、マスク開口部Hから非晶質ITO膜12Aが露出した状態となる。また、第2レジストマスクM2は、後に画素電極23R,23Gとなる部分の非晶質ITO膜12Aに対して形成される。
次に、ウエットエッチング処理を行い、非晶質ITO膜12Aの露出部分を除去する。ここで、薬液としては、シュウ酸系の薬液を使用する。
すると、非晶質ITO膜12Aは、結晶ITO膜11よりも高いエッチング選択性を有していることから、非晶質ITO膜12Aがエッチングされ、結晶ITO膜11はエッチングされない。その後、アッシング処理によって第2レジストマスクM2を除去する。
以上の、図5(e)〜(f)の工程(第2工程)を経ることで、基板20上に非晶質ITO12が形成されると共に、結晶ITO膜11上にも非晶質ITO12が形成される(図5(g))。
以上の工程を経ることにより、結晶ITO11の単層からなる40nm膜厚の画素電極23Bと、非晶質ITO12の単層からなる70nm膜厚の画素電極23Gと、結晶ITO11と非晶質ITO12の積層からなる合計110nm膜厚の画素電極23Rが形成される。
【0047】
上述したように、本実施形態の有機EL装置1においては、単位画素群Pzにおける複数の画素電極23R,23G,23Bの各々は、エッチング選択性が異なる結晶ITO11及び非晶質ITO12のうち、その単層又はその積層によって形成されている。そして、画素電極23Rは、結晶ITO11及び非晶質ITO12の積層構造からなり、画素電極23Gは、非晶質ITO12の単層構造からなり、画素電極23Bは、結晶ITO11の積層構造からなる。これら画素電極23R,23G,23Bは、導電膜のエッチング選択性を利用して形成されているので、従来よりもレジストマスクを形成する工程が少なくなり、換言すれば、露光工程数の削減やマスク枚数の削減を達成するので、製造コストが低減された有機EL装置を実現できる。
【0048】
また、上記のように、画素電極23R,23G,23Bの膜厚を異ならせることで、光学長が調整されることで、表示性能が高い有機EL装置を実現できる。具体的には、NTSC比の向上、白色バランスの最適化、白色表示の無彩色化を実現でき、色設計の自由度を向上させることができる。
【0049】
(有機EL装置の第2実施形態)
次に、本発明の有機EL装置の第2実施形態を説明する。
本実施形態は、図3の画素電極23R,23G,23Bを構成する導電膜の材料のみが異なっており、他の構成は同一である。
具体的には、本実施形態においては、第1導電膜としての結晶ITO11に代えてSnO(酸化すず)を採用し、第2導電膜としての非晶質ITO12に代えてZnO(酸化亜鉛)を採用している。
このようなSnO及びZnOは、エッチング選択性が異なる導電膜である。ウエットエッチング工程において、ZnOはシュウ酸系の薬液に対してエッチングされる性質を有しているが、同一薬液に対してSnOは殆どエッチングされない性質を有している。従って、SnO及びZnOを同時にシュウ酸系薬液によってエッチングした際には、ZnOが選択的にエッチングされ、SnOは殆どエッチングされないものとなる。従って、ZnOはSnOよりもエッチング選択性が高いものとなっている。また、薬液として王水を用いた場合では、SnO及びZnOは共にエッチングされる性質を有している。
このような材料によって画素電極23を形成すると、画素電極23Rは基板20上からSnO、ZnOが順次積層された構成となり、画素電極23Gは基板20上にZnOが形成された単層となり、画素電極23Bは基板20上からSnOが形成された単層となる。また、膜厚としては、SnOは結晶ITO11と同様に、ZnOの膜厚は非晶質ITO12と同様にすることが可能である。
【0050】
また、このような導電膜からなる画素電極23R,23G,23Bの形成方法は、結晶ITO膜11Aに代えてSnO膜を採用する点と、非晶質ITO膜12Aに代えてZnO膜を採用する点だけ異ならせるだけで、上記の図5と同様の工程によって行なわれる。
具体的には、SnO膜を形成する工程、第1レジストマスクM1を形成する工程、王水によるウエットエッチング処理を行う工程によって、画素電極23R,23Bの導電膜としてSnOが形成される。
その後、ZnO膜を形成する工程、第2レジストマスクM2を形成する工程、シュウ酸によるウエットエッチング処理を行う工程によって、画素電極23R,23Gの導電膜としてZnOが形成される。
従って、上記のように導電膜の材料を異ならせた場合でも、先の第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
(有機EL装置の第3実施形態)
次に、本発明の有機EL装置の第3実施形態を説明する。
本実施形態では、先の実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
図6は、本実施形態の有機EL装置1Aの単位画素群を模式的に示す断面図である。
本実施形態の有機EL装置1Aは、対向基板30の側から発光光を取り出すトップエミッション構造である点が、先の実施形態と相違している。
【0052】
このような有機EL装置1Aは、トップエミッション構造を実現するために、画素電極23と基板20との間に形成された反射膜24と、透明性を有する陰極50と、透明性基板からなる対向基板30とを備えている。
反射膜24は、基板20上において、各色画素XR,XG,XBの各々に設けられている。その材料としては、Al等の光反射性かつ導電性の金属が採用され、各画素電極23R,23G,23Bの各々に導通している。また、反射膜24は、先述の駆動用TFT123のドレイン電極を接続されている。
【0053】
また、反射膜24は、先の図5(b)よりも前の工程によって、パターニング形成される。そして、パターニングされた反射膜24と、基板20の全面を被覆するように、結晶ITO膜11Aが形成される。
【0054】
陰極50は、上記と同様に第1陰極及び第2陰極とによって構成されるが、透明性を実現するために、第2陰極の形成材料を先述とは異ならせている。当該第2陰極としては、導電性が高く、化学的に安定でしかも透明で、製膜温度が比較的低いものに限定される。例えば、ITOやIZOを採用することが可能である。他にタングステンインジウム酸化物や、インジウムガリウム酸化物でもよい。
【0055】
対向基板30は、光透過性と電気絶縁性とを備える基板である。例えば、ガラス基板や透明性の樹脂基板からなる。また、対向基板30は、先述の発光機能層110や基板20及び対向基板30の間の封止領域を保護するための保護基板として機能する。なお、基板20の材料としては、非透明基板が採用される。
また、基板20及び対向基板30の間には、封止領域40が形成されている。トップエミッション構造では、当該封止領域40にアクリルやエポキシ樹脂等からなる封止樹脂が充填されている。また、封止樹脂と陰極50との間には、ガスバリア性を向上させるためのガスバリア層を設けてもよい。或いは,当該ガスバリア層や陰極50へのクラックを抑制する緩衝層が設けられていてもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、画素電極23G,24Rを結晶ITO11及び非晶質ITO12の積層構造とし、画素電極23Bを結晶ITO11からなる単層構造としている。従って、本実施形態では、画素電極23R,23Gを同じ膜厚とし、画素電極23Bの膜厚をそれよりも薄くしている。このような画素電極23R,23G,23Bを形成するには、5(c)において、レジストマスクを異ならせるだけよい。第1レジストマスクM1は、後に画素電極23Gとなる結晶ITO膜11Aを被覆しているが、当該箇所を露出状態にするだけで、画素電極23R,23Gを同じ膜厚で形成することが可能となる。これにより、画素XR,XG,XBにおける光学長を調整している。
【0057】
上述したように、本実施形態の有機EL装置1Aにおいては、反射膜24によって発光機能層110の発光光を反射させることができ、陰極50の側に発光光を出射させることができる。また、発光機能層110の発光光は、反射膜24に反射することなく陰極50の側から出射する光(非反射光)と、反射膜24によって反射した後に陰極50の側から出射する光を含んでいる。反射膜24によって反射される場合、非反射光と比較して、画素電極23R,23G,23Bの導電膜を通過する分だけ光学長が長くなり、非反射光とのバランスによって、光学長を調整する必要がある。先の実施形態において説明したように、結晶ITO11及び非晶質ITO12による単層構造又は積層構造によって光学長LR,LG,LBを調整するので、反射光と非反射光が混在している場合でも容易にそれを調整することができる。
【0058】
(有機EL装置の第4実施形態)
次に、本発明の有機EL装置の第4実施形態について説明する。
本実施形態では、先の実施形態と同一構成には同一符号を付して説明を省略する。
図7は、本実施形態の有機EL装置1Bの単位画素群を模式的に示す断面図である。
本実施形態の有機EL装置1Bは、トップエミッション構造であるが、対向基板30がカラーフィルタ基板として機能する点と、発光機能層110が白色有機EL層を備える点が、先の実施形態と相違している。
【0059】
対向基板30は、カラーフィルタ基板31を基体として、基板20に対向する側に着色層25R,25G,25Bと、遮光層BMとを備えている。
着色層25R,25G,25Bの各々は、単位画素群Pxを構成する画素XR,XG,XBの各々に対応していると共に、発光機能層110に対向配置している。また、遮光層GMは、着色層25R,25G,25Bの相互間に形成されており、Cr等の遮光性金属や樹脂ブラック等からなる。これにより、対向基板30Aは、発光機能層110からの発光を着色層25R,25G,25Bを通じて取り出せるようになっている。そして、着色層25R,25G,25Bは、異なる光透過特性で発光を透過するようになっている。
また、発光機能層110は、白色で発光する白色有機EL層60Wを有している。白色光は、複数のピーク波長の色波長が合成された光である。
【0060】
このように構成された有機EL装置においては、着色層25R,25G,25Bが、白色有機EL層60Wからの発光の光路上に設けられているので、白色光が着色層25R,25G,25Bによって着色される。即ち、着色層25Rを通じて画素XRから赤色発光が出射し、着色層25Gを通じて画素XGから緑色発光が出射し、着色層25Bを通じて画素XBから青色発光が出射する。そして、着色された光が合成されることで、単位画素群Pxの表示光が生じる。
【0061】
上述したように、本実施形態においては、発光機能層110において生じた白色光が着色層25R,25G,25Bに透過することで、着色層25R,25G,25Bは白色光に対してRGBに着色する(RGBの色波長毎に透過させる)ので、画素XR,XG,XBの各々に異なる色を出射させることができる。
また、発光機能層110を構成する有機EL層60として、白色有機EL層60Wからなる単色の発光材料を採用すればよいので、画素XR,XG,XBの各々に異なる色の有機EL層60を塗り分ける必要がない。従って、複数の発光材料を製膜する場合と比較して、一つの材料(白色材料)を製膜するだけでよいので、工程を簡素にすることができ、製造コストが削減された安価な有機EL装置を実現できる。
【0062】
なお、本実施形態においては、対向基板30に着色層25R,25G,25Bを設けた構成を採用したが、基板20の裏面側(画素電極の非形成面)にこれを形成してもよい。
【0063】
(有機EL装置の第4実施形態の変形例)
次に、先の第4実施形態について、その変形例を説明する。
本変形例では、白色有機EL層60Wに代えて、第1実施形態に示した各色有機EL層60R,60G,60Bを採用している。また、当該有機EL層60R,60G,60Bと、着色層25R,25G,25Bは、同色どうしで対向配置されている。この構成におおいては、各色有機EL層60R,60G,60BのRGB各色光が、同じ色の着色層に透過すると、着色層25R,25G,25Bから出射された光の色純度を高くすることができる。
【0064】
なお、上記の第1〜第4実施形態においては、複数色の有機EL層60や、複数色の着色層25を利用して、画素XR,XG,XBの各々からRGBの各色の表示光を取り出している。
本発明は、これに限定することなく、単位画素群Pxが4色画素を有する構成を採用してもよい。例えば、原色系の画素XR,XG,XBの他に、補色系のC(シアン)色の画素XCを備えてもよい。この場合においては、画素XCにおける画素電極23Cの膜厚を、他の画素電極23R,23G,23Bと異ならせてもよく、他の画素電極23R,23G,23Bの一つと同じに形成してもよい。
【0065】
画素電極23Cの膜厚を異ならせる場合、即ち、画素電極23R,23G,23B,23Cを形成するには、エッチング特性が異なる3種類の導電膜を採用する必要がある。そして、当該3種類の導電膜を利用し、単層膜、2層積層膜の組み合わせ、及び3層積層膜の組み合わせ、によって画素電極23R,23G,23B,23Cを形成することができる。これによって、画素電極23R,23G,23B,23Cの各膜厚を異ならせ、画素XR,XG,XB,XCの光学長を調整することができる。
【0066】
また、画素電極23Cの膜厚を他の画素電極23R,23G,23Bの一つと同じに形成するには、当該画素電極23Cの構造を、画素電極23G又は23Bと同一にすることが好ましい。これは、シアン色の色波長がBとGの中間であるため、画素電極23Cが画素電極23G又は23Bのいずれか一方と同一構造であっても、光学長には殆ど影響がないためである。
また、このようにすれば、2種類の導電膜によって、光学長が調整された4つの画素XR,XG,XB,XCを実現できる。また、画素電極23R,23G,23B,23Cを形成するには、図5(c)のレジストマスクを異ならせるだけで、先の実施形態の工程を流用できるため、工程数の増加を防ぐことができる。
なお、画素XC以外にも、M(マゼンタ)色やY(イエロー)の画素を採用する構成や、単位画素群Pxが5色画素を有する構成を採用してもよい。
また、2色画素の場合であってもよい。
【0067】
(電子機器)
次に、本発明の電子機器について説明する。
電子機器は、上述した有機EL装置(有機EL装置)1を表示部として有したものであり、具体的には図8に示すものが挙げられる。
図8(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図8(a)において、携帯電話1000は、上述した有機EL装置1を用いた表示部1001を備える。
図8(b)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図8(b)において、時計1100は、上述した有機EL装置1を用いた表示部1101を備える。
図8(c)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図8(c)において、情報処理装置1200は、キーボードなどの入力部1201、上述した有機EL装置1を用いた表示部1202、情報処理装置本体(筐体)1203を備える。
図8(a)〜(c)に示すそれぞれの電子機器は、上述した有機EL装置(有機EL装置)1を有した表示部1001,1101,1202を備えているので、表示部を構成する有機EL装置の低コスト化と、高い表示性能と、が実現されたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の配線構造を示す模式図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の構成を模式的に示す平面図。
【図3】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の構成を模式的に示す断面図。
【図4】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の発光機能層を模式的に示す図。
【図5】本発明の有機EL装置の製造方法を説明する図。
【図6】本発明の第3実施形態に係る有機EL装置の構成を模式的に示す断面図。
【図7】本発明の第4実施形態に係る有機EL装置の構成を模式的に示す断面図。
【図8】本発明の有機EL装置を備える電子機器を示す図。
【符号の説明】
【0069】
1 有機EL装置(有機エレクトロルミネッセンス装置)、 11 結晶ITO(第1導電膜,導電膜)、 12 非晶質ITO(第2導電膜,導電膜)、 20 基板、 23,23R,23G,23B 画素電極(第1電極)、 24 反射層、 25R,25G,25B 着色層、 50 陰極(第2電極)、 60,60R,60G,60B 有機EL層(発光機能層)、 70 正孔注入層(発光機能層)、 110 発光機能層、 1000 携帯電話(電子機器)、 1100 腕時計型電子機器(電子機器)、 1200 情報処理装置(電子機器)、 X,XR,XG,XB 画素、 Px 単位画素群。






 

 


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