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発明の名称 エレクトロルミネッセンス装置、エレクトロルミネッセンス装置の製造方法および電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−26849(P2007−26849A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−206552(P2005−206552)
出願日 平成17年7月15日(2005.7.15)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 前田 強 / 松本 友孝
要約 課題
画素によって厚さの異なる陽極を、比較的に容易にかつ高精度に形成することができるEL装置、EL装置の製造方法および電子機器を提供する。

解決手段
基板上において、複数色にそれぞれ対応する複数の画素の各々に、光透過性の陽極層、少なくとも発光層を含む機能層、および陰極層が積層された発光素子を備えたEL装置の製造方法であって、前記陽極層は、少なくとも、前記複数色における第1色の画素形成領域には第1の厚さで形成され、前記複数色における第2色の画素形成領域には第2の厚さで形成されるものであり、前記第1の厚さから前記第2の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域に形成する第1工程と、前記第2の厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域とに形成する第2工程とを有することを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
基板上において、複数色にそれぞれ対応する複数の画素の各々に、光透過性の陽極層、少なくとも発光層を含む機能層、および陰極層が積層された発光素子を備えたエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記陽極層は、少なくとも、前記複数色における第1色の画素形成領域には第1の厚さで形成され、前記複数色における第2色の画素形成領域には第2の厚さで形成されるものであり、
前記第1の厚さから前記第2の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域に形成する第1工程と、
前記第2の厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域とに形成する第2工程とを有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項2】
基板上において、複数色にそれぞれ対応する複数の画素の各々に、光透過性の陽極層、少なくとも発光層を含む機能層、および陰極層が積層された発光素子を備えたエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記陽極層は、前記複数色における第1色の画素形成領域には第1の厚さで形成され、前記複数色における第2色の画素形成領域には第2の厚さで形成され、前記複数色における第3色の画素形成領域には第3の厚さで形成されるものであり、
前記第1の厚さから前記第2の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域に形成する第1工程と、
前記第2の厚さから前記第3の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域とに形成する第2工程と、
前記第3の厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域と前記第3色の画素形成領域とに形成する第3工程とを有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項3】
前記発光素子は、前記陽極層の下層側に下層側反射層を備えた光共振器が形成されたエレクトロルミネッセンス素子であり、
前記第1色は、赤色であり、
前記第2色は、緑色であり、
前記第3色は、青色であり、
前記第1工程から第3工程は、それぞれフォトリソグラフィ工程を用いて行われることを特徴とする請求項2に記載のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項4】
基板上において、複数色にそれぞれ対応する複数の画素の各々に、光透過性の陽極層、少なくとも発光層を含む機能層、および陰極層が積層された発光素子を備えたエレクトロルミネッセンス装置であって、
前記陽極層は、前記複数色における第1色の画素形成領域には第1の厚さで形成され、前記複数色における第2色の画素形成領域には第2の厚さで形成され、前記複数色における第3色の画素形成領域には第3の厚さで形成されており、
さらに前記陽極層は、
前記第1の厚さから前記第2の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域に形成する第1工程と、
前記第2の厚さから前記第3の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域とに形成する第2工程と、
前記第3の厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域と前記第3色の画素形成領域とに形成する第3工程とを、少なくとも用いて形成されたものであることを特徴とするエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
前記発光層で発生した光は、当該発光層から見て前記基板とは反対側に出射されることを特徴とする請求項4に記載のエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
前記発光素子は、前記陽極層の下層側に下層側反射層を備えた光共振器が形成されたエレクトロルミネッセンス素子であり、
前記陽極層と前記下層側反射層との層間には、該下層側反射層を覆う光透過性の絶縁保護層が形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載のエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項7】
前記下層側反射層は、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、および銀合金のうちのいずれかからなることを特徴とする請求項6に記載のエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項8】
前記絶縁保護層の屈折率は、前記陽極層の屈折率よりも小さいことを特徴とする請求項6又は7に記載のエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項9】
前記陽極層は、画素毎に前記光共振器の光学距離を赤色光、緑色光、青色光のいずれかに対応する長さとする厚さに設定されていることを特徴とする請求項4から8のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
請求項4から9のいずれか一項に記載のエレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする電子機器。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロルミネッセンス装置、エレクトロルミネッセンス装置の製造方法および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital
Assistants)などの電子機器に使用される表示装置や、デジタル複写機やプリンタなどの画像形成装置における露光用ヘッドとして、有機エレクトロルミネッセンス(EL/Electroluminescence)装置などの発光装置が注目されている。この種の発光装置をカラー用に構成するにあたっては、従来、発光層を構成する材料を画素毎に変えることにより、各画素から各色の光が出射されるように構成されている。
【0003】
その一方で、発光層の下層側に形成された下層側反射層と発光層の上層側に形成された上層側反射層との間に光共振器を形成するとともに、ITO(Indium Tin oxide)などからなる陽極の厚さを変えることにより光共振器の光学長を画素毎に変えて、発光素子の出射光から各色の光を取り出す技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2797883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術を利用して、発光層からみて基板側に光を出射するボトムエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、下層側反射層を半透過反射層で構成することになる。また、発光層からみて基板とは反対側に光を出射するトップエミッション型の有機EL装置を構成する場合には、下層側反射層をアルミニウムや銀などといった反射率の高い金属膜で構成することになる。
【0005】
また、ITO膜によって陽極を形成するには、ITO膜を成膜した後、ITO膜の上層にフォトリソグラフィ技術を用いてレジストマスクを形成し、エッチングを行うことになる。このため、陽極の厚さを赤色用の画素、緑色用の画素、青色用の画素で相違させるには、上記の工程を3回以上、繰り返す必要がある。その結果、ITO膜をエッチングするのに用いたエッチング液あるいはエッチングガスによって下層側反射層がエッチングされてしまい、下層側反射層の反射特性の低下や下層側反射層の欠落などが発生するという問題点が生じる。かかる下層側反射層のエッチングは、下層側反射層がITOから露出するエッチング終期に限らず、ITOに微小な孔があいている場合、エッチング開始直後から発生する可能性がある。
【0006】
また、画素毎に陽極の厚さを変えるために、例えば、上記の3回の工程ごとにエッチング時間を変える方法が考えられる。しかし、工程ごとのエッチング時間が異なると、工程管理が難しくなるのみならず、長いエッチング時間が生じることにより、サイドエッジの発生などの不都合が生じてしまう。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、画素によって厚さの異なる陽極を形成する場合でも、陽極の下層側に位置する光共振器用の下層側反射層が劣化することのないエレクトロルミネッセンス装置、エレクトロルミネッセンス装置の製造方法および電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明は、画素によって厚さの異なる陽極を、比較的に容易にかつ高精度に形成することができるエレクトロルミネッセンス装置、エレクトロルミネッセンス装置の製造方法および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、基板上において、複数色にそれぞれ対応する複数の画素の各々に、光透過性の陽極層、少なくとも発光層を含む機能層、および陰極層が積層された発光素子を備えたエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記陽極層は、少なくとも、前記複数色における第1色(例えば緑)の画素形成領域には第1の厚さ(g)で形成され、前記複数色における第2色(例えば青)の画素形成領域には第2の厚さ(b)で形成されるものであり、前記第1の厚さから前記第2の厚さを引いた厚さ(g−b)の前記陽極層を前記第1色の画素形成領域に形成する第1工程と、前記第2の厚さ(b)の前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域とに形成する第2工程とを有することを特徴とする。
本発明は、例えば2色の原色(例えば緑色と青色など)で色を表現するエレクトロルミネッセンス装置において、各色での光共振に最適な光学膜厚の陽極層を比較的容易に実現することができる。
例えば、赤色の画素領域に第1の厚さdgの陽極層を形成し、緑色の画素領域に第2の厚さdbの陽極層を形成することとする。そして、第1工程において、赤色の画素領域にdg−dbの厚さの陽極層を形成する。次いで、第2工程において、赤色の画素領域に第2の厚さdbの陽極層を積層し、同時に、緑色の画素領域に第2の厚さdbの陽極層を形成する。すると、赤色の画素領域では、(dg―db+db)=dgの厚さの陽極層が形成され、緑色の画素領域では、dbの厚さの陽極層が形成されることとなる。
ここで、第1の厚さdgは第2の厚さdbの2倍程度とすることができ、各工程で形成する陽極層の厚さを同程度にすることができる。したがって、本発明によれば、第1工程と第2工程とでエッチング時間を同程度に近づけることができる。そこで、本発明は、フォトリソ工程の回数増大を抑えながら、長時間のエッチングによるサイドエッジの発生などを回避でき、工程管理を容易化することもできる。
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、基板上において、複数色(例えば赤、緑、青)にそれぞれ対応する複数の画素の各々に、光透過性の陽極層、少なくとも発光層を含む機能層、および陰極層が積層された発光素子を備えたエレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記陽極層は、前記複数色における第1色(例えば赤)の画素形成領域には第1の厚さで形成され、前記複数色における第2色(例えば緑)の画素形成領域には第2の厚さで形成され、前記複数色における第3色(例えば緑)の画素形成領域には第3の厚さで形成されるものであり、前記第1の厚さから前記第2の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域に形成する第1工程と、前記第2の厚さから前記第3の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域とに形成する第2工程と、前記第3の厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域と前記第3色の画素形成領域とに形成する第3工程とを有することを特徴とする。
本発明は、例えば3原色(赤色、緑色、青色)で色を表現するエレクトロルミネッセンス装置において、各色での光共振に最適な光学膜厚の陽極層を比較的容易に実現することができる。
例えば、赤色の画素領域に第1の厚さdrの陽極層を形成し、緑色の画素領域に第2の厚さdgの陽極層を形成し、青色の画素領域に第3の厚さdbを形成することとする。そして、第1工程において、赤色の画素領域にdr−dgの厚さの陽極層を形成する。次いで、第2工程において、赤色の画素領域にdg−dbの厚さの陽極層を積層し、緑色の画素領域にdg−dbの厚さの陽極層を形成する。次いで、第3工程において、赤色の画素領域に第3の厚さdbの陽極層を積層し、緑色の画素領域に第3層の厚さdbの陽極層を積層し、青色の画素領域に第3層の厚さdbの陽極層を形成する。
すると、赤色の画素領域では、(dr―dg)+(dg−db)+db=drの厚さの陽極層が形成される。緑色の画素領域では、(dg−db)+db=dgの厚さの陽極層が形成される。青色の画素領域では、dbの厚さの陽極層が形成されることとなる。
これらにより、各工程で形成する陽極層の厚さを同程度にすることができる。したがって、本発明によれば、第1から第3工程のそれぞれにおいてエッチング時間を同程度に近づけることができる。そこで、本発明は、フォトリソ工程の回数増大を抑えながら、長時間のエッチングによるサイドエッジの発生などを回避でき、工程管理を容易化することもできる。
【0010】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、前記発光素子が、前記陽極層の下層側に下層側反射層を備えた光共振器が形成されたエレクトロルミネッセンス素子であり、前記第1色は赤色であり、前記第2色は緑色であり、前記第3色は青色であり、前記第1工程から第3工程はそれぞれフォトリソグラフィ工程を用いて行われることが好ましい。
本発明によれば、発光層から見て基板とは反対側に光が出射されるトップエミッション型のEL装置の製造方法において、フォトリソ工程の回数増大を抑えながら、長時間のエッチングによるサイドエッジの発生などを回避でき、工程管理を容易化することもできる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、基板上において、複数色(例えば赤、緑、青)にそれぞれ対応する複数の画素の各々に、光透過性の陽極層、少なくとも発光層を含む機能層、および陰極層が積層された発光素子を備えたエレクトロルミネッセンス装置であって、前記陽極層は、前記複数色における第1色(例えば赤)の画素形成領域には第1の厚さで形成され、前記複数色における第2色(例えば緑)の画素形成領域には第2の厚さで形成され、前記複数色における第3色(例えば緑)の画素形成領域には第3の厚さで形成されており、さらに前記陽極層は、前記第1の厚さから前記第2の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域に形成する第1工程と、前記第2の厚さから前記第3の厚さを引いた厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域とに形成する第2工程と、前記第3の厚さの前記陽極層を前記第1色の画素形成領域と前記第2色の画素形成領域と前記第3色の画素形成領域とに形成する第3工程とを、少なくとも用いて形成されたものであることを特徴とする。
本発明によれば、画素領域ごとに異なる厚さの陽極層を有するエレクトロルミネッセンス装置を低コストで、かつ信頼性の高い製品として提供することができる。ここで、各工程で積層された陽極層同士の界面は、その物性が外面以外の部分の物性と異なることから、特定することができる。
【0012】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、前記発光層で発生した光が当該発光層から見て前記基板とは反対側に出射されるものであることが好ましい。
本発明によれば、所謂トップエミッション型のEL装置を低コストで、かつ信頼性の高い製品として提供することができる。
【0013】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、前記発光素子が、前記陽極層の下層側に下層側反射層を備えた光共振器が形成されたエレクトロルミネッセンス素子であり、前記陽極層と前記下層側反射層との層間には該下層側反射層を覆う光透過性の絶縁保護層が形成されていることが好ましい。
本発明によれば、陽極層の厚さが相違する画素が含まれているため、このような陽極層を形成する際に複数回のエッチング工程を行うことになる。しかし、本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、陽極層と下層側反射層との層間に、当該下層側反射層を覆う光透過性の絶縁保護層が形成されているため、下層側反射層を形成した以降、陽極層を形成するのに複数回のエッチング工程を行っても、かかるエッチングによって下層側反射層が劣化することを回避できる。
【0014】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、前記下層側反射層がアルミニウム、アルミニウム合金、銀、および銀合金のうちのいずれかからなることが好ましい。
アルミニウム、アルミニウム合金、銀、銀合金などの金属層は、陽極層形成時のエッチング液、エッチングガス又は剥離液によって劣化し易い。しかし、本発明によれば、絶縁保護層により下層側反射層を覆っているので、上記エッチング液などによって下層側反射層が劣化することを回避できる。また、本発明は、下層側反射層にアルミニウム又は銀などを主成分とする金属を用いることにより、下層側反射層での反射率を高めることができ、光取り出し効率の高いエレクトロルミネッセンス装置を提供することができる。
【0015】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、前記絶縁保護層の屈折率が前記陽極層の屈折率よりも小さいことが好ましい。
本発明によれば、下層側反射層と陽極層との間に絶縁保護層を形成すると、この絶縁保護層の光学距離(厚さ×屈折率)が光共振器の光学距離に含まれることとなる。ここで、光共振器に求められる光学距離は画素が対応する色毎に決まっている。そこで、絶縁保護層の屈折率が大であると、陽極層を薄くしなければならず、あまりに薄い陽極層を高精度に形成することは困難であるので、陽極層の厚さ精度が低下する。しかし、本発明では、絶縁保護層の屈折率が小であるため、陽極層を厚くすることができ、厚さについて精度の高い陽極層を簡便に形成することができる。このような観点より、絶縁保護層は、SiN、SiO又はアクリル系樹脂などが好ましい。
【0016】
また、本発明のエレクトロルミネッセンス装置は、前記陽極層が、画素毎に前記光共振器の光学距離を赤色光、緑色光、青色光のいずれかに対応する長さとする厚さに設定されていることが好ましい。
本発明によれば、赤色、緑色および青色を原色とするカラー表示のエレクトロルミネッセンス装置を、低コストで、かつ信頼性の高い製品として提供することができる。
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、前記エレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、高品位のカラー画像を表示することができる電子機器を、低コストでかつ信頼性の高い製品として提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いた各図では、各層及び各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層及び各部材毎に縮尺を相違させてある。
【0019】
[第1実施形態]
(EL装置の基本構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL装置(EL装置)の構成を模式的に示す断面図である。
【0020】
図1において、本実施形態の有機EL装置1は、発光層14から見て基板11側とは反対側に向けて表示光を出射するトップエミッション型の装置であり、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれの画素100(R)、(G)、(B)にも、有機EL素子10が形成されている。有機EL素子10は、ガラスなどからなる基板11の上層側に、ITOなどからなる透明な陽極層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、マグネシウム−銀合金からなる半透過反射性をもつ陰極層16がこの順に積層された構成を有する。
前記の各画素100には、陽極層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、陰極層16からなる有機EL素子10が各々形成されるとともに、後述する反射層19及び絶縁保護層18が形成されており、該有機EL素子10、反射層19及び絶縁保護層18から一単位としての画素が構成されている。
【0021】
また、基板11と陽極層12の間には、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、または銀合金からなる反射層19(全反射層)が形成されている。そして、反射層19からなる下層側反射層と陰極層16からなる上層側反射層との間に光共振器40が構成されている。
【0022】
ここで、有機EL素子10に用いた正孔輸送層13および発光層14は、いずれの画素100(R)、(G)、(B)においても同一の材料から構成されている。そして、有機EL素子10は、白色光を内部で発生させる。
【0023】
ただし、本実施形態では、陽極層12の厚さは、各画素100(R)、(G)、(B)で相違しており、陽極層12の厚さは、
画素100(B)<画素100(G)<画素100(R)
である。例えば、陽極層12の厚さは、各画素100(R)、(G)、(B)で以下の値
画素100(B)の陽極層12の厚さ=30nm
画素100(G)の陽極層12の厚さ=65nm
画素100(R)の陽極層12の厚さ=95nm
に設定されている。従って、各画素100(R)、(G)、(B)における光共振器40の光学長(光学距離)は、各画素100(R)、(G)、(B)で相違している。言い換えれば、陽極層12の厚さは、光共振器の光学長が、各画素100(R)、(G)、(B)から所定の色光が出射されるように調整されている。また、例えば、陽極層12をなすITOの屈折率は1.95とする。
【0024】
このように構成した有機EL素子10では、陽極層12から正孔輸送層13および発光層14を通じて陰極層16に電流が流れると、そのときの電流量に応じて発光層14が発光する。そして、発光層14が出射された光は陰極層16を透過して、観測者側に出射される一方、発光層14から基板11に向けて出射された光は、陽極層12の下層に形成された反射層19によって反射され、陰極層16を透過して観測者側に出射される。その際、発光層14から出射された光は、光共振器40の下層側反射層(反射層19)と上層側反射層(陰極層16)の間で多重反射され、光共振器40の光学長が1/4波長の整数倍に相当する光の色度を向上させることができる。従って、有機EL素子10は、白色光を内部で発生させるが、赤色(R)に対応する画素100(R)から赤色光を出射し、緑色(G)に対応する画素100(G)から緑色光を出射し、青色(B)に対応する画素100(B)から青色光を出射する。
【0025】
(絶縁保護層の構成)
また、本実施形態では、反射層19と陽極層12との層間に、反射層19の表面および側面を覆うように光透過性の絶縁保護膜18が形成されている。このような絶縁保護膜18としては、例えば、厚さが約50nm、屈折率が1.8のシリコン窒化膜(SiN)が挙げられる。
【0026】
(製造方法)
このような構成の有機EL装置1を製造するには、まず、基板11の表面に光反射性を備えた金属膜(アルミニウム、アルミニウム合金、銀、または銀合金)をスパッタ法又は真空蒸着法などにより形成した後、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、反射層19を形成する。
【0027】
次に、反射層19の表面側にシリコン窒化膜からなる絶縁保護膜18をCVD法などにより形成する。
【0028】
次に、絶縁保護膜18の表面側に所定厚さのITO膜をスパッタ法などで形成した後、ITO膜の上層にフォトリソグラフィ技術を用いてレジストマスクを形成し、エッチングを行う。ただし、本実施形態では、陽極層12の厚さは、各画素100(R)、(G)、(B)で相違しているため、このような工程を3回繰り返す。これにより、陽極層12が形成される。陽極層12の形成方法は、本発明の特徴の一つであり、後で詳細に説明する。
【0029】
次に、いわゆるインクジェット法とも言われる液滴吐出法などを利用して正孔輸送層13および発光層14を順次、形成する。この液滴吐出法は、液滴吐出ヘッドから、正孔輸送層13や発光層14を構成する材料の液状物を液滴として吐出した後、乾燥させて、正孔輸送層13や発光層14として定着させる方法である。その際、各画素100(R)、(G)、(B)の周りにバンクと称する隔壁(図示せず)を形成しておき、吐出した液滴や液状物が周囲にはみ出さないようにすることが好ましい。
【0030】
このような方法を採用するにあたって、正孔輸送層13は、例えば、ポリオレフィン誘導体である3、4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)を正孔注入材料として用い、この有機溶剤を主溶媒として分散させてなる分散液を所定領域に吐出した後、乾燥させることにより形成できる。また、正孔輸送層13を形成するための材料としては、前記のものに限定されることなく、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1、1−ビスー(4−N、N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン等を用いることもできる。
【0031】
また、発光層14を形成する材料についても、高分子材料、例えば分子量が1000以上の高分子材料が用いることが好ましい。具体的には、ポリフルオレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、例えばルブレン、ペリレン、9、10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等をドープしたものが用いられる。なお、このような高分子材料としては、二重結合のπ電子がポリマー頂上で非極在化しているπ共役系高分子材料が、導電性高分子でもあることから発光性能に優れるため、好適に用いられる。特に、その分子内にフルオレン骨格を有する化合物、すなわちポリフルオレン系化合物がより好適に用いられる。また、このような材料以外にも、例えば特開平11−40358号公報に示される有機EL素子用組成物、すなわち共役系高分子有機化合物の前駆体と、発光特性を変化させるための少なくとも1種の蛍光色素とを含んでなる有機EL素子用組成物も、発光層形成材料として使用可能である。
【0032】
このようにして正孔輸送層13および発光層14を形成した後、電子輸送層15および陰極層16を順次形成する。
【0033】
(陽極層の形成方法)
次に、陽極層12の形成方法について具体的に説明する。
図2は、図1に示す有機EL装置1の陽極層12の形成方法を示す模式断面図である。図3は、陽極層12の形成方法の具体例を示す模式断面図である。
先ず、上記製造方法で述べたようにして、基板11の表面に反射層19を形成する。次いで、反射層19の露出全体を覆うように絶縁保護膜18を形成する。その後、絶縁保護膜18の上層に、図2および図3に示すような厚みが画素ごとに異なる陽極層12の形成工程を行う。
【0034】
これらの陽極層12は、図3(a),(b),(c)に示す3回のフォトリソ工程により形成したものである。また、図2に示すように、赤色(R)の画素100(R)では、陽極層12がITO膜121、ITO膜122およびITO膜123の3層構造となっている。緑色(G)の画素100(G)では、陽極層12がITO膜122およびITO膜123の2層構造となっている。青色(B)の画素100(B)では、陽極層12がITO膜123の1層構造となっている。
【0035】
例えば、画素100(R)の陽極層12の膜厚drを95nm、画素100(G)の陽極層12の膜厚dgを65nm、画素100(B)の陽極層12の膜厚dbを30nmとする。
そして、図3(a)に示す第1回目のフォトリソ工程(第1工程)において、画素100(R)の形成領域Rに概ね膜厚(dr−dg=約30nm)のITO膜121を形成する。
次いで、図3(b)に示す第2回目のフォトリソ工程(第2工程)において、画素100(R)の形成領域Rと画素100(G)の形成領域Gとに、概ね膜厚(dg−db=約35nm)のITO膜122を形成する。
次いで、図3(c)に示す第3回目のフォトリソ工程(第3工程)において、画素100(R)の形成領域Rと画素100(G)の形成領域Gと画素100(B)の形成領域Bとに、概ね膜厚(db:約30nm)のITO膜123を形成する。
【0036】
これらにより、画素100(R)の形成領域Rには、(r−g)+(g−b)+b=rにより、膜厚dr(95nm)の陽極層12が形成される。また、画素100(G)の形成領域Gには、(g−b)+b=gにより、膜厚dg(65nm)の陽極層12が形成される。また、画素100(B)の形成領域Bには、膜厚db(30nm)の陽極層12が形成される。したがって、本実施形態によれば、各画素の発光色に対応した光共振に最適な光学膜厚の陽極層12を比較的に容易に実現することができる。
【0037】
次に、上記3回のフォトリソ工程についての具体的な処理例を説明する。先ず、絶縁保護膜18の上層に、SiN層を50nm形成する。その後、第1工程を行う。
(第1工程)
上記SiN層の上層に、膜厚30nmのITOをスパッタ法で成膜する。次いで、レジスト塗布、レジストプリキュア、マスク露光、レジスト現像をすることにより、画素100(R)の画素領域Rのみにレジストがパターニングされた状態にする。次いで、レジストキュア、ITOエッチング、レジスト剥離をすることにより、画素100(R)の画素領域Rのみに膜厚30nmのITO121がパターニングされた状態とする(図3(a)の状態)。
【0038】
(第2工程)
膜厚35nmのITOをスパッタ法で成膜する。次いで、レジスト塗布、レジストプリキュア、マスク露光、レジスト現像をすることにより、画素100(R)の画素領域Rと画素100(G)の画素領域Gのみにレジストがパターニングされた状態にする。次いで、レジストキュア、ITOエッチング、レジスト剥離をすることにより、画素100(R)の画素領域Rと画素100(G)の画素領域Gのみに膜厚35nmのITO122がパターニングされた状態とする(図3(b)の状態)。すなわち、画素領域Rでは30nm+35nm=65nmのITOが形成されたこととなり、画素領域Gでは35nmのITOが形成されたこととなる。
【0039】
(第3工程)
膜厚30nmのITOをスパッタ法で成膜する。次いで、レジスト塗布、レジストプリキュア、マスク露光、レジスト現像をすることにより、画素100(R)の画素領域Rと画素100(G)の画素領域Gと画素100(B)の画素領域Bとにレジストがパターニングされた状態にする。次いで、レジストキュア、ITOエッチング、レジスト剥離をすることにより、画素100(R)の画素領域Rと画素100(G)の画素領域Gと画素100(B)の画素領域Bとに膜厚30nmのITO123がパターニングされた状態とする(図3(c)の状態)。すなわち、画素領域Rでは30nm+35nm+30nm=95nmのITOが形成されたこととなり、画素領域Gでは35nm+30nm=65nmのITOが形成されたこととなり、画素領域Bでは30nmのITOが形成されたこととなる。これらにより、陽極層12の形成が完了する。
【0040】
(本実施形態の効果)
これらにより本実施形態によれば、3回のフォトリソ工程で、赤色、緑色、青色の各画素について光共振に最適な光学膜厚を比較的容易に実現することができる。本実施形態にような製造方法及びITO積層構造を用いないで、各色の画素ごとに異なる膜厚のITO電極(陽極層12)を形成するには、3回のフォトリソ工程では不可能である。また、本実施形態では、最も厚い赤色の画素領域Rの陽極層12を3つの工程に分割して形成しているので、各工程(第1から第3工程)のエッチング時間を概ね近い時間とすることができ、工程管理を容易化することができる。また、1回の工程で形成する陽極層12の膜厚を大きくした場合、エッチング時間の長時間化などによりサイドエッジが生じ易くなる。本実施形態によれば、第1工程及び第2工程においてエッチング深さを等分割することができ、サイドエッジの発生を回避することができる。
【0041】
また、本実施形態では、複数の画素100は各々、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)に対応しているが、有機EL素子10を構成する正孔輸送層13や発光層14などの有機機能層の材質は、対応する色にかかわらず、共通であり、いずれの色に対応するかは、陽極層12の厚さによって決定されている。すなわち、本実施形態では、各画素100に光共振器40を構成し、陽極層12の厚さによって、光共振器40の光学長を赤色光、緑色光、青色光のいずれかに対応する長さに設定する。従って、画素100がいずれの色に対応するかにかかわらず、有機EL素子10の寿命は略等しいので、有機EL装置1全体の寿命を延ばすことができる。また、有機EL装置1を製造する際、画素100間で同一の材料を用いるので、生産性を向上させることができる。
【0042】
さらに、複数の画素100には、陽極層12の厚さが相違する画素が含まれているため、このような陽極層12を形成する際には、複数回のエッチング工程を行うことになる。しかし、本実施形態では、陽極層12と反射層19との層間に、反射層19を覆う光透過性の絶縁保護膜18が形成されているため、反射層19を形成した以降、陽極層12を形成するのに何回のエッチングエ程を行っても、かかるエッチングによって、反射層19が劣化することがない。特に本実施形態では、発光層14で発生した光は、発光層14からみて基板11とは反対側に出射される。このような場合には、反射層19には反射率が高いことが求められるが、本実施形態によれば、陽極層12を形成する際のエッチングによって、反射層19が劣化しないので、反射率の高い反射層19を構成することができる。したがって、本実施形態は、光取り出し効率の高い有機EL装置を提供することができる。
【0043】
ここで、反射層19の反射率を高める場合には、反射層19をアルミニウム、アルミウム合金、銀、あるいは銀合金で形成すればよい。このような金属層は、ITO膜のエッチングに用いるエッチング液やエッチングガスで劣化しやすいが、本実施形態によれば、陽極層12を形成する際のエッチングによって、反射層19が劣化することがないので、反射層19をアルミニウム、アルミウム合金、銀、あるいは銀合金で形成することができる。
【0044】
また、本実施形態では、反射層19と陽極層12との間に絶縁保護膜18が介在するので、絶縁保護膜18の光学長(厚さ×屈折率)が光共振器40の光学長に含まれることになる。この場合、絶縁保護膜18の屈折率が大であると、光共振器40に求められる光学長は画素が対応する色毎に決まっているため、絶縁保護膜18の屈折率が大であると、陽極層12を薄くしなければならず、陽極層12の厚さ精度が低下する。
ところが本実施形態では、絶縁保護膜18は、シリコン窒化膜(SiN)から構成されており、その屈折率は、1.8と小であるため、陽極層12を厚くすることができ、陽極層12が厚ければ、厚さの精度を高くできるなどの利点がある。
【0045】
ここで、絶縁保護膜18の屈折率は陽極層12の屈折率(=1.95)より小さいことが好ましく、このような材料としては、SiNの他、SiON(屈折率1.7)、SiO又はアクリル樹脂(例えば屈折率1.6)などが好ましい。
【0046】
これらにより、本実施形態によれば、画素に応じて異なる膜厚の陽極層12の形成時に反射層19を劣化させることなく、高効率な光共振器を備えた有機EL装置を製造することができる。
【0047】
また、上記実施形態では、3原色でカラー表示する有機EL装置について説明したが、本発明は、2つの原色でカラー表示する有機EL装置に適用することもできる。例えば、緑色の画素100(G)と青色の画素100(B)とを有してなる有機EL装置とする。そして、図3(b)と図3(c)の工程を用いて、画素100(G)の画素領域GにITO膜122とITO膜123からなる陽極層12を形成し、画素100(B)の画素領域BにITO膜123からなる陽極層12を形成する。これにより、2つの原色でカラー表示する有機EL装置の製造工程において、画素によって厚さの異なる陽極を比較的に容易にかつ高精度に形成することができる。また、本発明は、4つ以上の原色でカラー表示する有機EL装置に適用することもできる。
【0048】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態に係る有機EL装置(EL装置)の構成を模式的に示す断面図である。
【0049】
図4に示す有機EL装置1も、第1実施形態と同様、発光層14から見て基板11側とは反対側に向けて表示光を出射するトップエミッション型の装置であり、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれの画素100(R)、(G)、(B)にも、有機EL素子10が形成されている。有機EL素子10は、ガラスなどからなる基板11の上層側に、ITOなどからなる透明な陽極層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、マグネシウム−銀合金からなる半透過反射性をもつ陰極層16がこの順に積層された構成を有する。
【0050】
また、基板11と陽極層12の間には、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、または銀合金からなる反射層19(全反射層)が形成されており、この反射層19からなる下層側反射層と、陰極層16からなる上層側反射層との間に光共振器40が構成されている。さらに、有機EL素子10に用いた正孔輸送層13および発光層14は、いずれの画素100(R)、(G)、(B)においても同一の材料から構成されており、有機EL素子10は、白色光を内部で発生させる。
【0051】
ただし、本実施形態では、陽極層12の厚さは、各画素100(R)、(G)、(B)で相違しており、陽極層12の厚さは、
画素100(B)<画素100(G)<画素100(R)
である。例えば、陽極層12の厚さは、各画素100(R)、(G)、(B)で以下の値
画素100(B)の陽極層12の厚さ=40nm
画素100(G)の陽極層12の厚さ=70nm
画素100(R)の陽極層12の厚さ=110nm
に設定されている。すなわち、陽極層12の厚さは、光共振器の光学長が、各画素100(R)、(G)、(B)から所定の色光が出射されるように調整されている。また、陽極層12は、屈折率が1.95のITOで構成されているものとする。
【0052】
また、本実施形態では、反射層19と陽極層12との層間に、反射層19の表面および側面を覆うように光透過性の絶縁保護膜18が形成されている。このような絶縁保護膜18として本実施形態では、厚さが約30nm、屈折率が1.5のシリコン酸化膜が形成されている。
【0053】
このような構成の有機EL装置1の製造方法は、第1実施形態と同様の製造方法とすることができる。特に、陽極層12の形成方法は、第1実施形態の陽極層12の形成方法と同様にすることが好ましい。
【0054】
本実施形態によれば、陽極層12と反射層19との層間に、反射層19を覆う光透過性の絶縁保護膜18が形成されている。したがって、反射層19を形成した以降、陽極層12を形成するのに何回のエッチング工程を行っても、かかるエッチングによって、反射層19が劣化することがないなど、第1実施形態と同様な効果を奏することができる。すなわち、本実施形態によれば、画素に応じて異なる膜厚の陽極層12の形成時に反射層19を劣化させることなく、高効率な光共振器を備えた有機EL装置を製造することができる。また、本実施形態によれば、絶縁保護膜18の屈折率(1.5)が第1実施形態の絶縁保護膜18の屈折率(1.8)よりも小さいので、陽極層12の膜厚を第1実施形態よりも厚くすることができ、かかる陽極層12をより製造し易いものとすることができる。
【0055】
さらに、本実施形態では、陰極層16の上層側には、各画素100(R)、(G)、(B)に対応する位置に赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のカラーフィルタ21(R)、(G)、(B)が形成された透明基板20が、エポキシ系の透明な接着剤層30によって接着されている。従って、本実施形態によれば、第1実施形態と比較して、各画素100(R)、(G)、(B)から色純度の高い光を出射でき、色再現範囲を広げることができる。
【0056】
[その他の実施形態]
上記実施形態では、基板11側とは反対側に向けて表示光を出射するトップエミッション型を例に説明したが、基板側に向けて表示光を出射するボトムエミッション型に本発明を適用してもよい。すなわち、ボトムエミッション型の場合には、陽極層の下層側に半透過反射性の下層側反射層を形成することになるが、陽極層と半透過反射性の下層側反射層との層間に絶縁保護膜を形成しておけば、陽極層をエッチング形成する際、下層側反射層が劣化することを防止できる。
【0057】
また、上記実施形態では、陽極層12と陰極層16の間に、正孔輸送層13、発光層14および電子輸送層15の3つの層があるが、陽極層12と陰極層16の間に、さらに複数の層(例えば、電子注入層、正孔注入層、2層目の発光層など)を入れた構造としてもよい。また、これらは、高分子タイプであっても低分子タイプであってもよい。
【0058】
[表示装置への適用例]
本発明を適用した有機EL装置1は、パッシブマトリクス型表示装置あるいはアクティブマトリクス型表示装置として用いることができる。これらの表示装置のうち、アクティブマトリクス型表示装置は、図5に示す電気的構成とすることができる。
【0059】
図5は、本発明の実施形態に係るアクティブマトリクス型の有機EL装置の電気的構成を示す回路図である。図5に示す有機EL装置1は、複数の走査線63と、この走査線63の延設方向に対して交差する方向に延設された複数のデータ線64と、これらのデータ線64に並列する複数の共通給電線65と、データ線64と走査線63との交差点に対応して配置された画素100(発光領域)とを有して構成されている。画素100は、画像表示領域にマトリクス状に配置されている。
【0060】
データ線64は、シフトレジスタ、レベルシフタ、ビデオライン、アナログスイッチを備えるデータ線駆動回路51に接続されている。走査線63は、シフトレジスタおよびレベルシフタを備える走査線駆動回路54に接続されている。また、画素100の各々には、走査線63を介して走査信号がゲート電極に供給される画素スイッチング用の薄膜トランジスタ6と、この薄膜トランジスタ6を介してデータ線64から供給される画像信号を保持する保持容量33と、この保持容量33によって保持された画像信号がゲート電極43に供給される電流制御用の薄膜トランジスタ7と、薄膜トランジスタ7を介して共通給電線65に電気的に接続したときに共通給電線65から駆動電流が流れ込む有機EL素子10とが構成されている。また、有機EL装置1において、各画素100は、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のいずれかに対応することになる。
【0061】
[電子機器への搭載例]
本発明を適用した発光装置(EL装置)は、携帯電話機、パーソナルコンピュータ又はPDAなど、様々な電子機器において表示装置として用いることができる。また、本発明を適用した発光装置は、デジタル複写機又はプリンタなどの画像形成装置における露光用ヘッドとして用いることもできる。
【0062】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な材料や層構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0063】
例えば、上記実施形態では、RGBの3原色の画素でカラー表示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、4原色又は5原色以上の画素でカラー表示する構成としてもよい。また、発光色の異なる2つの画素で、カラー表示する構成としてもよい。例えば4原色でカラー表示する構成の場合は、RGBの画素に、シアン、マゼンダ、イエローのいずれか1つの色を発光する画素を加えることとする。
【0064】
また、上記実施形態では、本発明に係る表示装置について有機EL素子を画素として用いて構成した例を挙げているが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明に係る表示装置は有機EL素子以外の各種電気光学素子などを用いて構成することができる。また、本発明に係る表示装置は、電気光学装置などの表示装置以外の照明装置に適用することができる。ここで、照明装置とは、画像又は情報などを表示する表示装置ではなく、所定の光を被照射体に出射するものである。
【0065】
また、本発明に係る表示装置(EL装置)は、各種家電機器の操作パネル、各種計器類、操作部を有するモニタなどに適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の構成を示す断面図である。
【図2】同上の有機EL装置における陽極層の形成方法を示す断面図である。
【図3】同上の陽極層の形成方法を具体的に示す模式断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係る有機EL装置の電気的構成例を示す回路図である。
【符号の説明】
【0067】
1…有機EL装置、10…有機EL素子、11…基板、12…陽極層、13…正孔輸送層、14…発光層、15…電子輸送層、16…陰極層(上層側反射層)、18…絶縁保護膜、19…反射層(下層側反射層)、21(R)、(G)、(B)…カラーフィルタ、40…光共振器、100(R),(G),(B)…画素、121,122,123…ITO膜





 

 


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