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発明の名称 弾性表面波素子片、弾性表面波デバイスおよび電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−13459(P2007−13459A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190376(P2005−190376)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
発明者 米谷 克朗
要約 課題
横モードスプリアスの無い低インピーダンスな弾性表面波素子片、弾性表面波デバイスおよび電子機器を提供する。

解決手段
弾性表面波素子片は、入力側すだれ状電極16および出力側すだれ状電極18と、これらのすだれ状電極16,18を挟み込む位置に配置された反射器34,36とを圧電基板12上に設け、前記すだれ状電極16,18を構成する電極指20に接続部24を設けて、前記各電極指20を複数の直線部26に分割し、前記反射器34,36を構成するストリップ電極38に接続部40を設けて、前記各ストリップ電極38を複数の直線部42に分割し、前記入力側すだれ状電極16と前記出力側すだれ状電極18との対応する前記直線部26でトラックを構成し、前記各トラックにおいて弾性表面波の位相を反転させ、低周波トラックにおける高周波共振と高周波トラックにおける低周波共振とを重ねてフィルタ特性の通過帯域を形成してなる、ことを特徴としている。
特許請求の範囲
【請求項1】
入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極と、これらのすだれ状電極を挟み込む位置に配置された反射器とを圧電基板上に設け、
前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極を構成する電極指に接続部を設けて、前記各電極指を複数の直線部に分割し、
前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極のうち、いずれか一方のすだれ状電極における同一の前記電極指に設けられた前記各直線部を弾性表面波の伝搬方向にずらし、
前記反射器を構成するストリップ電極に接続部を設けて、前記各ストリップ電極を複数の直線部に分割し、
前記入力側すだれ状電極と前記出力側すだれ状電極との対応する前記直線部でトラックを構成し、
前記各トラックにおいて弾性表面波の位相を反転させ、低周波トラックにおける高周波共振と高周波トラックにおける低周波共振とを重ねてフィルタ特性の通過帯域を形成してなる、
ことを特徴とする弾性表面波素子片。
【請求項2】
前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極のうち、他方の前記すだれ状電極を構成する前記各電極指に設けられた前記接続部は、少なくとも2段階に折り曲げられてなることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子片。
【請求項3】
入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極と、これらのすだれ状電極を挟み込む位置に配置された反射器とを圧電基板上に設け、
前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極を構成する電極指に接続部を設けて、前記各電極指を複数の直線部に分割し、
前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極のうち、いずれか一方のすだれ状電極における同一の前記電極指に設けられた前記各直線部を弾性表面波の一方の伝搬方向にずらすとともに、他方の前記すだれ状電極における同一の前記電極指に設けられた各直線部を弾性表面波の他方の前記伝搬方向にずらし、
前記反射器を構成するストリップ電極に接続部を設けて、前記各ストリップ電極を複数の直線部に分割し、
前記入力側すだれ状電極と前記出力側すだれ状電極との対応する前記直線部でトラックを構成し、
前記各トラックにおいて弾性表面波の位相を反転させ、低周波トラックにおける高周波共振と高周波トラックにおける低周波共振とを重ねてフィルタ特性の通過帯域を形成してなる、
ことを特徴とする弾性表面波素子片。
【請求項4】
前記反射器は、前記入力側すだれ状電極に隣接する入力側反射器と、前記出力側すだれ状電極に隣接する出力側反射器とを有し、
前記入力側反射器を構成する前記ストリップ電極は、前記入力側すだれ状電極を構成する前記電極指の形状に倣い、
前記出力側反射器を構成する前記ストリップ電極は、前記出力側すだれ状電極を構成する前記電極指の形状に倣う、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の弾性表面波素子片。
【請求項5】
一方の前記トラックにおける前記入力側すだれ状電極と前記出力側すだれ状電極との間と、他方の前記トラックにおける前記入力側すだれ状電極と前記出力側すだれ状電極との間との差は、
【数1】


(λ:弾性表面波の波長)
の関係を満たすことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の弾性表面波素子片。
【請求項6】
同一の前記電極指に設けられた前記各直線部は、弾性表面波の伝搬方向に距離L1だけ離れるとともに、
同一の前記ストリップ電極に設けられた前記各直線部は、弾性表面波の伝搬方向に距離L2だけ離れており、
前記距離L1,L2は、
3λ/8≦L1≦5λ/8 (但し、λは弾性表面波の波長)
3λ/8≦L2≦5λ/8
の関係を満たすことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の弾性表面波素子片。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の弾性表面波素子片をパッケージに実装したことを特徴とする弾性表面波デバイス。
【請求項8】
請求項7に記載の弾性表面波デバイスを搭載したことを特徴とする電子機器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾性表面波素子片、弾性表面波デバイスおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弾性表面波(Surface Acoustic Wave:以下、SAWという)素子片は、SAWフィルタやSAW共振片を構成している。このSAWフィルタの一例としては、ツイン・ジュアルモード・フィルタを構成したものがある。ツイン・ジュアルモード・フィルタは、導電路を介して接続された2つのジュアルモード・フィルタを備えている。各ジュアルモード・フィルタは、入力トランスジューサおよび出力トランスジューサを備えている。また各ジュアルモード・フィルタは、入力トランスジューサのうちの一方と接続する短い反射器、および出力トランスジューサのうちの一方と接続する短い反射器を入力トランスジューサと出力トランスジューサとの間に配設している。
【0003】
また各ジュアルモード・フィルタは、入力トランスジューサおよび出力トランスジューサを挟み込む位置に反射器を配置した構成であり、隣接するトランスジューサのうち短い反射器と接続していないトランスジューサと各反射器が接続している。そして入力側の反射器同士および出力側の反射器同士が導電路を介して互いに接続するとともに、入力側の短い反射器同士および出力側の短い反射器同士が導電路を介して互いに接続している。
【0004】
さらにツイン・ジュアルモード・フィルタは、各DMSトラックにおける低周波トラックの高周波共振が高周波トラックの低周波共振に当たるように、互いに周波数がずれて形成されている。このようなツイン・ジュアルモード・フィルタでは、ボンディング線がDMSトラックの少なくとも1つの上に引かれることが無くなり、且つ擾乱性の横モードが発生することなしに低いインピーダンスが得られる(特許文献1を参照)。
【特許文献1】特許3419465号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したツイン・ジュアルモード・フィルタでは、2つ以上のツイン・ジュアルモード・フィルタを並列接続すると低インピーダンスが得られるが、ジュアルモード・フィルタを多段に並列接続しなければならないので、縦方向のサイズが大きくなってしまう。すなわち、ジュアルモード・フィルタを導電路で接続しているので、ジュアルモード・フィルタを多段に並列接続すればするほど導電路を設ける面積も大きくなっていき、縦方向のサイズが大きくなってしまう。ところで、近年は、電子機器が小型化されているのに伴い、この電子機器に搭載されるSAW素子片にも小型化が要求されているので、ツイン・ジュアルモード・フィルタでは小型化の要求を満たすことができない。
【0006】
また仮に、ツイン・ジュアルモード・フィルタの小型化をするために、トランスジューサの電極指や反射器のストリップ電極を接続する電極導体を細くした場合は、電極導体に生じる抵抗分が大きくなり、フィルタ特性の損失が大きくなってしまう問題がある。
【0007】
さらにツイン・ジュアルモード・フィルタの電極パターンは、トランスジューサや反射器を電極導体で接続したり、スペースを設けたりしているので、均一なパターンになっていない。SAW素子片では、トランスジューサや反射器の電極パターンが均一に設けられているのが好ましいので、均一になっていない場合はフィルタ特性が劣化する虞がある。
【0008】
本発明は、横モードスプリアスの無い低インピーダンスな弾性表面波素子片を提供することを目的とする。
また、この弾性表面波素子片を用いた弾性表面波デバイスおよび電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る弾性表面波素子片は、入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極と、これらのすだれ状電極を挟み込む位置に配置された反射器とを圧電基板上に設け、前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極のうち、いずれか一方の前記すだれ状電極における同一の前記電極指に設けられた前記各直線部を弾性表面波の伝搬方向にずらし、前記すだれ状電極を構成する電極指に接続部を設けて、前記各電極指を複数の直線部に分割し、前記反射器を構成するストリップ電極に接続部を設けて、前記各ストリップ電極を複数の直線部に分割し、前記入力側すだれ状電極と前記出力側すだれ状電極との対応する前記直線部でトラックを構成し、前記各トラックにおいて弾性表面波の位相を反転させ、低周波トラックにおける高周波共振と高周波トラックにおける低周波共振とを重ねてフィルタ特性の通過帯域を形成してなる、ことを特徴としている。
【0010】
これにより横モードスプリアスの無い低インピーダンスな弾性表面波素子片を得ることができる。また弾性表面波素子片は、低周波トラックと高周波トラックとで弾性表面波の位相が反転しているので、低周波トラックにおける高周波共振と高周波トラックにおける低周波共振を同位相にすることができる。また弾性表面波素子片は、各トラックで弾性表面波を励起して、各トラックで通過帯域を得ることができる。そして各トラックは、それぞれで得られるフィルタ特性の通過帯域をずらして、これらの通過帯域の一部分を重ねているので、弾性表面波素子片は広い通過帯域を得ることができる。さらに弾性表面波素子片は、同一の電極指や同一のストリップ電極において接続部を介して直線部を連結した構成なので、電極指等に沿う方向の大きさを小型化することができる。さらにまた、一方のすだれ状電極では、同一の電極指に設けられた各直線部が弾性表面波の伝搬方向にずれている。これに対して、他方のすだれ状電極では、同一の電極指に設けられた各直線部が弾性表面波の伝搬方向にずれていない。これにより一方のトラックにおける入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極の間と、他のトラックにおける入力側すだれ状電極と出力側すだれ状電極との間に少なくとも弾性表面波の半波長分の差を設けることができる。
【0011】
また前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極のうち、他方の前記すだれ状電極を構成する前記各電極指に設けられた前記接続部は、少なくとも2段階に折り曲げられてなることを特徴としている。接続部を2段階に折り曲げると、平面視く字型となる。これにより他方のすだれ状電極において、同一の電極指に設けられた各直線部は、弾性表面波の伝搬方向にずれることなく接続部により接続されることができる。
【0012】
また弾性表面波素子片は、入力側すだれ状電極および出力側すだれ状電極と、これらのすだれ状電極を挟み込む位置に配置された反射器とを圧電基板上に設け、前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極を構成する電極指に接続部を設けて、前記各電極指を複数の直線部に分割し、前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極のうち、いずれか一方のすだれ状電極における同一の前記電極指に設けられた前記各直線部を弾性表面波の一方の伝搬方向にずらすとともに、他方の前記すだれ状電極における同一の前記電極指に設けられた各直線部を弾性表面波の他方の前記伝搬方向にずらし、前記反射器を構成するストリップ電極に接続部を設けて、前記各ストリップ電極を複数の直線部に分割し、前記入力側すだれ状電極と前記出力側すだれ状電極との対応する前記直線部でトラックを構成し、前記各トラックにおいて弾性表面波の位相を反転させ、低周波トラックにおける高周波共振と高周波トラックにおける低周波共振とを重ねてフィルタ特性の通過帯域を形成してなる、ことを特徴としている。この場合、前記入力側すだれ状電極および前記出力側すだれ状電極の前記各電極指において、同一のトラックを構成している前記直線部が、前記弾性表面波の伝搬方向にずらされていることを特徴としている。
【0013】
これにより、横モードスプリアスの無い低インピーダンスな弾性表面波素子片を得ることができる。また低周波トラックにおける高周波共振と高周波トラックにおける低周波共振を同位相にすることができるので、この高周波共振と低周波共振とを重ねることにより広い通過帯域を得ることができる。さらに弾性表面波素子片は、同一の電極指や同一のストリップ電極において接続部を介して直線部を連結した構成なので、電極指等に沿う方向の大きさを小型化することができる。
【0014】
そして前記反射器は、前記入力側すだれ状電極に隣接する入力側反射器と、前記出力側すだれ状電極に隣接する出力側反射器とを有し、前記入力側反射器を構成する前記ストリップ電極は、前記入力側すだれ状電極を構成する前記電極指の形状に倣い、前記出力側反射器を構成する前記ストリップ電極は、前記出力側すだれ状電極を構成する前記電極指の形状に倣う、ことを特徴としている。これにより各反射器を構成するストリップ電極に設けられた接続部は、隣接するすだれ状電極の接続部に倣う形状にすることができる。
【0015】
また一方の前記トラックにおける前記入力側すだれ状電極と前記出力側すだれ状電極との間と、他方の前記トラックにおける前記入力側すだれ状電極と前記出力側すだれ状電極との間の差は、
【数2】


(λ:弾性表面波の波長)
の関係を満たすことを特徴としている。これにより弾性表面波素子片は、位相が反転された弾性表面波と、反転されてない弾性表面波とを励起することができる。
【0016】
また同一の前記電極指に設けられた前記各直線部は、弾性表面波の伝搬方向に距離L1だけ離れるとともに、同一の前記ストリップ電極に設けられた前記各直線部は、弾性表面波の伝搬方向に距離L2だけ離れており、前記距離L1,L2は、
3λ/8≦L1≦5λ/8 (但し、λは弾性表面波の波長)
3λ/8≦L2≦5λ/8
の関係を満たすことを特徴としている。これにより弾性表面波素子片は、フィルタ特性の中心周波数や共振子の共振周波数から横モードスプリアスを遠ざけることができ、インピーダンスを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明に係る弾性表面波素子片、弾性表面波デバイスおよび電子機器の最良の実施形態について説明する。以下に説明する実施形態では、弾性表面波(SAW)素子片としてSAWフィルタを構成した形態について説明する。
まず第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態に係るSAWフィルタの概略平面図である。SAWフィルタ10は、入力側すだれ状電極16(Interdigital Transducer:以下、IDTという)および出力側IDT18と、これらのIDT16,18を挟み込む位置に配置された反射器34,36とを圧電基板12上に備えた構成である。
【0018】
IDT16,18は、複数の電極指20の基端を電極導体で接続して櫛歯22を形成し、2つの櫛歯22の電極指20を互いに噛み合せて形成したものである。各電極指20は、その途中に接続部24を備えることにより、複数の直線部26に分割されている。すなわち接続部24の両端に直線部26が接続されている。各直線部26の長さは、横モードスプリアスの発生しない長さに設定されている。この横モードスプリアスは、直線部26が噛み合わされている交差幅を大きくすればする程、フィルタ特性の中心周波数に近い位置に発生する。このため、直線部26の長さは、計算や実験等を行うことによって横モードスプリアスが中心周波数から遠ざけられた位置にくるよう設定されている。また接続部24は、電極指20が一直線にならないように形成され、本実施形態の場合、折り曲げ形成されている。そして図1に示すSAWフィルタ10では、入力側IDT16を構成する電極指20に設けられた接続部24は折り曲げられて形成されており、出力側IDT18を構成する電極指20に設けられた接続部24は平面視く字型に折り曲げられて形成されている。
【0019】
また入力側IDT16を構成する各電極指20において、同一の電極指20に設けられた各直線部26(26a,26b)は弾性表面波の伝搬方向に距離L1だけ離れており、この距離L1は3λ/8≦L1≦5λ/8(但し、λは弾性表面波の波長)の関係を有している。さらに出力側IDT18を構成する各電極指20において、同一の電極指20に設けられた各直線部26(26a,26b)は弾性表面波の伝搬方向にずれることはなく、各直線部26は弾性表面波の伝搬方向と交差する方向に沿って設けられている。
【0020】
そして入力側IDT16における一方の直線部26aと、出力側IDT18における一方の直線部26aとは距離d1離れており、入力側IDT16における他方の直線部26bと、出力側IDT18における他方の直線部26bとは距離d2離れている。この距離d1と距離d2の差は、数式3の関係を満たしている。
【数3】


ここで、λはSAWの波長である。
【0021】
このようなIDT16,18において、入力側IDT16を構成する一方の櫛歯22aに入力側電極パッド28aが設けられるとともに、出力側IDT18を構成する他方の櫛歯22bに出力側電極パッド30aが設けられている。
【0022】
反射器34,36は、複数のストリップ電極38を有しており、ストリップ電極38の両端を電極導体で接続して形成されている。そして2つの反射器34,36のうち、入力側IDT16に隣接して設けられた入力側反射器34は、入力側IDT16の他方の櫛歯22bと接続している。具体的には、入力側IDT16を構成する櫛歯22のうち入力側電極パッド28aが設けられていない櫛歯22bにおいて、この櫛歯22bの電極指20の基端を接続する電極導体と、入力側反射器34におけるストリップ電極38の端部を接続する電極導体とが接続している。この入力側反射器34にも、入力側電極パッド28bが設けられている。
【0023】
また入力側反射器34を構成するストリップ電極38は、その途中に接続部40を備えることにより複数の直線部42に分割されている。このストリップ電極38に設けられた接続部40は、入力側IDT16に設けられた接続部24の形状に倣って折り曲げ形成されている。したがって入力側反射器34を構成する各ストリップ電極38において、同一のストリップ電極38に設けられた各直線部42は弾性表面波の伝搬方向に距離L2だけ離れており、この距離L2は3λ/8≦L2≦5λ/8(但し、λは弾性表面波の波長)の関係を有している。
【0024】
出力側IDT18に隣接して設けられた出力側反射器36は、出力側IDT18の一方の櫛歯22aと接続している。具体的には、出力側IDT18を構成する櫛歯22のうち出力側電極パッド30aが設けられていない櫛歯22aにおいて、この櫛歯22aの電極指20の基端を接続する電極導体と、出力側反射器36におけるストリップ電極38の端部を接続する電極導体とが接続している。この出力側反射器36にも、出力側電極パッド30bが設けられている。
【0025】
また出力側反射器36を構成するストリップ電極38は、その途中に接続部40を備えることにより複数の直線部42に分割されている。このストリップ電極38に設けられた接続部40は、出力側IDT18に設けられた接続部24の形状に倣って平面視く字型に折り曲げ形成されている。
【0026】
このようなSAWフィルタ10では、入力側IDT16と出力側IDT18との対応する直線部26、すなわち各直線部26a,26bが交差している部分でトラックを構成しており、図1に示す場合では、直線部26aの部分でトラック1が構成され、直線部26bの部分でトラック2が構成されている。SAWフィルタ10に複数のトラックを設けることにより、インピーダンスが小さくなる。
【0027】
またSAWフィルタ10は、トラック1およびトラック2のいずれか一方のトラックで得られるフィルタ特性の中心周波数が、他方のトラックで得られるフィルタ特性の中心周波数よりも低くなるように形成され、且つ、一方のトラックのフィルタ特性に生じる高周波共振と他方のトラックのフィルタ特性に生じる低周波共振とが重なるように形成されている。
【0028】
次に、SAWフィルタ10の動作について説明する。図2は各トラックで得られるフィルタ特性の説明図である。図3はSAWフィルタのフィルタ特性の説明図である。入力側電極パッド28(28a,28b)に電気信号を加えると、電気信号は入力側IDT16に伝えられ、圧電基板12上にSAWが励起される。励起されたSAWはトラック1,2を伝搬し、入力側反射器34および出力側反射器36で反射される。これにより入力側反射器34と出力側反射器36の間に定在波が生じる。そして出力側IDT18に達したSAWは、電気信号に変換されて出力側電極パッド30(30a,30b)から出力される。
【0029】
ここで、SAWフィルタ10で得られるフィルタ特性は、トラック1で得られるフィルタ特性と、トラック2で得られるフィルタ特性を合成したものである。トラック1とトラック2では、それぞれのフィルタ特性の中心周波数をずらしている。すなわち図2に示されるように、トラック1およびトラック2のいずれか一方のトラックで得られるフィルタ特性を他方のトラックで得られるフィルタ特性よりも低周波側に位置させている。なお図2では、一方のトラック(低周波トラック)で得られるフィルタ特性が実線で示され、他方のトラック(高周波トラック)で得られるフィルタ特性が点線で示されている。
【0030】
またSAWフィルタ10は、トラック1で得られるフィルタ特性の通過帯域の一部と、トラック2で得られるフィルタ特性の通過帯域の一部とを重ねている。すなわち各トラック1,2の通過帯域には、低周波共振(図2の矢印A,B’)および高周波共振(図2の矢印B,A’)が生じる。そしてトラック1およびトラック2のうち低周波トラックの通過帯域に生じる高周波共振(図2の矢印B)と、高周波トラックの通過帯域に生じる低周波共振(図2の矢印B’)とを重ねている。
【0031】
さらにSAWフィルタ10は、トラック1における入力側IDT16と出力側IDT18の間隔と、トラック2における入力側IDT16と出力側IDT18の間隔の差によって、トラック1とトラック2に励起されるSAWの位相差が180°ずれている。したがってSAWフィルタ10では、低周波トラックに生じる低周波共振(図2の矢印A)の位相が0°であれば高周波共振(図2の矢印B)の位相が180°となり、高周波トラックに生じる低周波共振(図2の矢印B’)の位相が180°となり、高周波共振(図2の矢印A’)の位相が0°となる。
【0032】
そしてSAWフィルタ10は、出力側電極パッド30がトラック1とトラック2で共通になっているので、トラック1のフィルタ特性とトラック2のフィルタ特性を合成した、図3に示す広帯域なフィルタ特性が得られる。具体的な一例としては、トラック1を低周波トラックとし、トラック2を高周波トラックとすることにより、各トラックで図2に示すフィルタ特性を得ることができる。そしてSAWフィルタ10は、図3に示す広帯域なフィルタ特性を得ることができる。また他の例としては、トラック1を高周波トラックとし、トラック2を低周波トラックとすることができる。また図2の矢印A,A’で示す共振の位相を180°とし、図2の矢印B,B’で示す共振の位相を0°とすることもできる。
【0033】
このようなSAWフィルタ10は、IDTの電極指20に形成される直線部26の長さ、すなわち各交差幅を適宜設定しているので、フィルタ特性の中心周波数から横モードスプリアスを遠ざけることができ、フィルタ特性が劣化するのを防止できる。またSAWフィルタ10は、複数のトラック1,2を備えているので、インピーダンスを低減することができる。さらにSAWフィルタ10は、各直線部26,42を接続部24,40で接続した構成なので、縦方向の大きさ、すなわち直線部26,42の長さ方向に沿った方向の大きさを、従来技術に係るSAWフィルタに比べて小さくすることができる。
【0034】
またSAWフィルタ10は、低周波トラックおよび高周波トラックを有しており、低周波トラックのフィルタ特性に生じる高周波共振と高周波トラックに生じる低周波共振を同位相にして重ねている。したがってSAWフィルタ10のフィルタ特性は、低周波トラックで得られるフィルタ特性と高周波トラックで得られるフィルタ特性を合成したものなので、広い通過帯域を得ることができる。
【0035】
またSAWフィルタ10は、IDT16,18や反射器34,36の上に落下した導電異物等によって隣り合うIDT同士等が短絡するのを防止するために、IDT16,18や反射器34,36の表面に絶縁保護膜を設ける場合がある。この絶縁保護膜は、IDT16,18や反射器34,36がアルミニウムやアルミニウム合金等で形成されている場合、これらの表面を陽極酸化して形成することができる。すなわち、この場合の絶縁保護膜は、アルミニウム等を陽極酸化させてなる酸化アルミニウム膜である。
【0036】
そして絶縁保護膜を陽極酸化により形成する方法の一例としては、IDT16,18や反射器34,36を陽極電極に接続してSAWフィルタ10を電解溶液に浸漬するとともに、陰極電極を電解溶液に浸漬し、陽極電極および陰極電極に通電することにより形成される。この陽極酸化をする場合は、IDT16,18や反射器34,36等を接続パターンで導通しておき、陽極酸化した後に接続パターンを切断すれば、一度に電極の陽極酸化を行える。本実施形態に係るSAWフィルタ10は、IDT16,18を構成する一対の櫛歯22のうちのいずれか一方と反射器34,36とが接続する構成なので、陽極酸化後に接続パターンを切断する工程を簡略化することができる。
【0037】
なお上述したSAWフィルタ10は、入力側IDT16および入力側反射器34に設けられた接続部24,40を折り曲げ形成して、同一の電極指20や同一のストリップ電極38に設けられた直線部26,42をSAWの伝搬方向にずらした構成にするとともに、出力側IDT18および出力側反射器36に設けられた接続部24,40を平面視く字型に折り曲げ形成して、同一の電極指20や同一のストリップ電極38に設けられた直線部26,42をSAWの伝搬方向にずらさない構成としたが、この形態に限定されることはない。すなわち、SAWフィルタ10は、入力側IDT16および入力側反射器34に設けられた接続部24,40を平面視く字型に折り曲げ形成して、同一の電極指20や同一のストリップ電極38に設けられた直線部26,42をSAWの伝搬方向にずらさない構成にするとともに、出力側IDT18および出力側反射器36に設けられた接続部24,40を折り曲げ形成して、同一の電極指20や同一のストリップ電極38に設けられた直線部26,42をSAWの伝搬方向にずらした構成にしてもよい。
【0038】
また第1の実施形態では、IDT16,18の電極指20に設けられる接続部24および反射器34,36のストリップ電極38に設けられる接続部40を折り曲げ形成した形態について説明したがこの形態に限定されることはなく、各接続部24,40を湾曲形成して直線部26,42を曲線により接続してもよい。
【0039】
またSAWフィルタ10は、IDT16,18の電極指20に設けられる接続部24および反射器34,36のストリップ電極38に設けられる接続部40を全て平面視く字型に形成し、く字型部分の上部および下部の比率を調整することにより形成することもできる。図4は接続部を平面視く字型にしたときの説明図である。ここで図4(A)〜図4(C)は接続部の部分拡大図、図4(D)は平面視く字型の接続部の上部と下部の比率を変えたSAWフィルタの概略平面図である。
【0040】
接続部24,40は、図4(A)に示すように、く字型の頂点部分から上側の部分(上部)と、頂点部分から下側の部分(下部)の比率を変えることができる。このような接続部24,40は、図1の入力側IDT16および入力側反射器34に設けられた接続部24,40や図4(B)に示すように、上部を無くして全て下部のみで形成することができる。これとは逆に接続部24,40は、図4(C)に示すように、下部を無くして全て上部のみで形成することもできる。そして接続部24,40の上部と下部の比率は、図4(B)のような上部:下部=0:1から図4(C)のような上部:下部=1:0までの間の比率を取ることができ、上部:下部=0.5:0.5のときは図4(A)に示す形状になる。
【0041】
そして平面視く字型の接続部24,40をSAWフィルタ10の電極指20およびストリップ電極38に用いた場合の一例は図4(D)に示すようになる。図4(D)に示すSAWフィルタ10は、く字型の接続部24,40の頂点が同一方向に向けられている。入力側IDT16および入力側反射器34に設けられた接続部24,40では、く字型の上部と下部の比率が上部:下部=0.25:0.75となっている。また出力側IDT18および出力側反射器36に設けられる接続部24,40では、く字型の上部と下部の比率が上部:下部=0.75:0.25となっている。
【0042】
このような接続部24,40により、電極指20はトラック1を構成する直線部26aとトラック2を構成する直線部26bに分割されることができ、またトラック1を伝搬するSAWの位相とトラック2を伝搬するSAWの位相を反転させることができる。また、く字型の接続部24,40の頂点を同一方向に向けることで、SAWフィルタ10のIDT16,18や反射器34,36の電極パターンをより均一にすることができる。
【0043】
さらにSAWフィルタ10は、IDT16,18の電極指20に設けられる接続部24および反射器34,36のストリップ電極38に設けられる接続部40の全てを直線で形成することもできる。図5は全ての接続部を直線で形成したときのSAWフィルタの概略平面図である。全ての接続部24,40を直線で形成する場合、SAWフィルタ10は、入力側IDT16および入力側反射器34に設けられる接続部24,40と、出力側IDT18および出力側反射器36に設けられる接続部24,40の折り曲げ方向を逆にする構成となる。すなわち、図5に一例を示すように、入力側IDT16および入力側反射器34に設けられる接続部24,40を図面の左側に折り曲げたときは、出力側IDT18および出力側反射器36に設けられる接続部24,40を図面の右側に折り曲げた構成となる。このような接続部24,40により、電極指20等はトラック1を構成する直線部26aとトラック2を構成する直線部26bに分割されることができ、またトラック1を伝搬するSAWの位相と、トラック2を伝搬するSAWの位相とを反転させることができる。
【0044】
次に、第2の実施形態について説明する。なお第2の実施形態では、第1の実施形態に係るSAWフィルタ10の変形例について説明するので、第1の実施形態に係るSAWフィルタ10と同構成の部分に同番号を付し、その説明を省略または簡略する。図6は第2の実施形態に係るSAWフィルタの概略平面図である。第2の実施形態に係るSAWフィルタ50は、IDT16,18の電極指20や反射器34,36のストリップ電極38に複数の接続部24,40を設けて、電極指20やストリップ電極38を複数の直線部26,42に分割した構成である。
【0045】
図6に示されるSAWフィルタ50は、このような構成の一例を示しており、各電極指20や各ストリップ電極38に3つの接続部24,40を設けて、各電極指20や各ストリップ電極38に4つの直線部26,42を設けた構成である。そして各電極指20や各ストリップ電極38には、折り曲げ形成された接続部24,40または平面視く字型に折り曲げ形成された接続部24,40が設けられている。なおIDT16,18や反射器34,36の電極パターンを対称な形状にすれば、圧電基板12を伝搬するSAWの性質が向上するので、接続部24,40の形状や折り曲げ方向を適宜設定して電極パターンを対称形状にすればよい。また各トラック1〜4のうち、伝搬するSAWの位相を反転させるトラックと、位相を反転させないトラックとの配置位置は任意である。なお図6では、トラック1およびトラック3を伝搬するSAWの位相と、トラック2および4を伝搬するSAWの位相が180°ずれている。
【0046】
このようなSAWフィルタ50は、各電極指20や各ストリップ電極38に複数の接続部24,40を設けて、複数のトラックを形成したとしても、入力側電極パッド28や出力側電極パッド30をIDT16,18や反射器34,36の前記電極導体等に設けることができ、容易にワイヤボンディング等を施すことができる。またトラックを多段に配設しているので、インピーダンスをより低減することができる。また複数のトラックで得られるフィルタ特性の一部を重ねているので、SAWフィルタ50のフィルタ特性をより広帯域にすることができる。
【0047】
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、第1および第2の実施形態で説明したSAWフィルタ10,50をパッケージに実装してなるSAWデバイスについて説明する。図7はSAWデバイスの概略断面図である。SAWデバイス60は、図7に一例を示すように、側面を階段状に形成した凹陥部62が内部に形成されたパッケージベース64を備えている。このパッケージベース64は、凹陥部62における階段部の上面にワイヤボンディングが施されるワイヤ電極66を備えている。またパッケージベース64は、裏面に実装端子74を備えている。実装端子74は、電子機器に搭載される実装基板と接合する時に用いられるものであり、ワイヤ電極66と電気的に接続している。
【0048】
そしてSAWフィルタ10,50は、パッケージベース64の凹陥部62の底面に接合材を用いてフェイスアップ実装されており、SAWフィルタ10,50に設けられた入力側電極パッド28および出力側電極パッド30とパッケージベース64に設けられたワイヤ電極66とがワイヤ68により電気的に接続されている。このようなパッケージベース64の上面に蓋体70が接合されている。このようにSAWフィルタ10,50は、パッケージベース64と蓋体70を備えたパッケージ72に実装され、封止されている。なおSAWデバイス60は、フリップチップボンディングを用いてSAWフィルタ10,50をパッケージ72にフェイスダウン実装することもできる。
【0049】
そして、このようなSAWデバイス60は、様々な電子機器に搭載することができる。その一例としては、SAWデバイス60は、伝送回路におけるフィルタ素子として通信機器に搭載されることもでき、基準周波数信号源として電子機器に搭載されることもできる。
【0050】
なお上述した第1〜第3の実施形態では、SAW素子片としてSAWフィルタ10を構成した形態について説明したが、SAW素子片は周波数が一定の信号を出力するSAW共振片であってもよい。この場合SAW共振片は、入力側反射器と出力側反射器の間にIDTが1つ配設された構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】第1の実施形態に係るSAWフィルタの概略平面図である。
【図2】各トラックで得られるフィルタ特性の説明図である。
【図3】SAWフィルタのフィルタ特性の説明図である。
【図4】接続部を平面視く字型にしたときの説明図である。
【図5】全ての接続部を直線で形成したときのSAWフィルタの概略平面図である。
【図6】第2の実施形態に係るSAWフィルタの概略平面図である。
【図7】SAWデバイスの概略断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10………SAWフィルタ、16………入力側IDT、18………出力側IDT、20………電極指、24………接続部、26………直線部、34………入力側反射器、36………出力側反射器、38………ストリップ電極、40………接続部、42………直線部、50………SAWフィルタ、60………SAWデバイス、72………パッケージ。




 

 


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