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発明の名称 圧電振動片の製造方法、圧電振動片
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−13384(P2007−13384A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−189516(P2005−189516)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 小林 博文
要約 課題
加工時間の短縮、コスト低減が可能な圧電振動片の製造方法と、この製造方法により、高精度な外形形状を有し、良好な周波数特性を備える圧電振動片を提供する。

解決手段
圧電振動片の製造方法は、水晶基板1からエッチング加工によって水晶振動片10の外形形状を形成する水晶振動片10の製造方法であって、水晶基板1の主面にCr層30を形成する工程と、Cr層30の表面にプラズマ処理によってCrのプラズマ変質層40を形成する工程と、Crのプラズマ変質層40の表面にAu層50を形成する工程と、Cr層30、Crのプラズマ変質層40、Au層50の3層からなるプロテクト膜70を形成する工程と、プロテクト膜70を用いて、エッチング加工によって、水晶振動片10の外形形状を形成する工程と、を含む。また、この製造方法によって製造される水晶振動片10は、垂直断面と高精度な外形形状を有し、良好な周波数特性を備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
圧電基板からエッチング加工によって圧電振動片の外形形状を形成する圧電振動片の製造方法であって、
前記圧電基板の主面にCr層を形成する工程と、
前記Cr層の表面にプラズマ処理によってCrのプラズマ変質層を形成する工程と、
前記Crのプラズマ変質層の表面にAu層を形成する工程と、
前記Cr層、前記Crのプラズマ変質層、前記Au層の3層からなるプロテクト膜を形成する工程と、
前記プロテクト膜を用いて、エッチング加工によって、前記圧電振動片の外形形状を形成する工程と、
を含むことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動片の製造方法において、
前記プラズマ処理の手段が酸素プラズマ処理であり、前記Crのプラズマ変質層が酸化クロムであることを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の圧電振動片の製造方法において、
前記プラズマ処理の手段が窒素プラズマ処理であり、前記Crのプラズマ変質層が窒化クロムであることを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の圧電振動片の製造方法において、
前記圧電基板の表面にCr層を形成する工程と、
前記Cr層の表面に前記酸素プラズマ処理または前記窒素プラズマ処理によってCrのプラズマ変質層を形成する工程と、
前記Crのプラズマ変質層の表面にAu層を形成する工程と、
前記Au層の表面に前記圧電振動片の外形形状を成すレジスト膜を形成する工程と、
このレジスト膜を用いて、前記Cr層と前記Crのプラズマ変質層と前記Au層の3層からなる前記圧電振動片の外形形状を成すプロテクト膜を形成する工程と、
前記プロテクト膜を用いて、エッチング加工により前記圧電基板から前記圧電振動片の外形形状を形成する工程と、
を含むことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の圧電振動片の製造方法によって製造され、
基部と、該基部から延在される少なくとも振動腕と、を備えて形成されていることを特徴とする圧電振動片。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片の製造方法とこの製造方法によって製造される圧電振動片に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水晶基板の表面に、一層目をCr(クロム),2層面をAg(銀)、3層目をAu(金)として、スパッタリングによってそれぞれの金属膜を形成し、この3層の金属膜をプロテクト膜として用いて、エッチング加工により水晶振動片の外形成形、または水晶振動片の外形成形後において、このプロテクト膜を用いて電極形成を行う水晶振動片の製造方法というものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、エッチング加工によって外形形成する水晶振動片の製造方法において、エッチング加工時に使用するプロテクト膜が、水晶基板上にCr層、このCr層の上にAu層を形成し、さらにCr層の上にAu層を形成し、それを1組として複数組重ねて構成されたプロテクト膜を用いて、エッチング加工により水晶振動片を形成する製造方法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−17975号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】特開平9−153763号公報(第3頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
旧来、水晶基板をエッチング加工によって外形成形する水晶振動片のエッチング加工時に使用するプロテクト膜の構造は、図5に示すようなCr層の表面にAu層を形成することが一般的である。
図5に旧来のプロテクト膜の形成について示す。図5において、水晶基板1の水晶振動片として残すべき部分にCr(クロム)層30を蒸着し、その表面にAu(金)層50を蒸着し、エッチング液に浸して、フォトリソグラフィ加工によりプロテクト膜を付けてない部分をエッチング加工により除去する方法が採用されてきた。
【0006】
しかしながら、このようなプロテクト膜の構成では、Au層50の蒸着工程やレジスト膜の除去のために用いられるプラズマ処理工程の際に100〜200℃程度に加熱されるため、CrとAuが相互拡散し、Au層の表面まで拡散が進行すると、Au層50のエッチングの際に、拡散層(Cr層を含む)がエッチング液によって侵され、プロテクト膜に孔が明き、その孔の部分の水晶基板1が侵されることがあった。また、Au層とCr層の界面のAu/Cr相互拡散層が、エッチング液によりエッチングされ、正確な形状のプロテクト膜ができないことから、水晶振動片の外形形状にばらつきが発生し、高精度な周波数特性が得られなくなるという課題を有していた。
【0007】
そこで、これらの課題を解決する手段として、前述した特許文献1または特許文献2によるプロテクト膜を形成して高精度な外形形状を有する水晶振動片を形成する製造方法というものが提案されている。
【0008】
前述した特許文献1によれば、水晶基板の表面に、一層目をCr,2層面をAg(銀)、3層目をAuとするプロテクト膜をスパッタリングによって形成しているために、Ag層を形成するためのスパッタリング工程を行うことによる加工工程増及び製造時間が長くなることから製造効率を低下することになる。また、スパッタリング工程においてAgターゲットを要し、コスト高の原因となる。
【0009】
また、前述した特許文献2では、プロテクト膜が、水晶基板上にCr層、このCr層の上にAu層を蒸着によって形成し、さらにCr層の上にAu層を形成し、それを1組として複数組重ねて構成しているために、これらの金属層形成のために少なくとも数回以上の蒸着工程を必要とし、工程が長くなりコスト低減は困難である。
【0010】
本発明の目的は、AuとCrの相互拡散を防止し、加工時間の短縮、コスト低減が可能な圧電振動片の製造方法と、この製造方法により、断面が垂直で高精度な外形形状を有し、良好な周波数特性を備える圧電振動片を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の圧電振動片の製造方法は、圧電基板からエッチング加工によって圧電振動片の外形形状を形成する圧電振動片の製造方法であって、前記圧電基板の主面にCr層を形成する工程と、前記Cr層の表面にプラズマ処理によってCrのプラズマ変質層を形成する工程と、前記Crのプラズマ変質層の表面にAu層を形成する工程と、前記Cr層、前記Crのプラズマ変質層、前記Au層の3層からなるプロテクト膜を形成する工程と、前記プロテクト膜を用いて、エッチング加工によって、前記圧電振動片の外形形状を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
ここで、圧電基板としては、例えば水晶を採用し、従って圧電振動片は水晶振動片である。
本発明によれば、Cr層の表面にプラズマ処理によりCrのプラズマ変質層を形成し、その表面にAu層を形成しているので、圧電基板に対するAu層の密着性を保持しながら、Cr層とAu層の界面における拡散層形成がないので、エッチング加工の際に、この拡散層がエッチング液によって侵され、プロテクト膜に孔が明き、この孔の部分の圧電基板が侵されることを防止することができる。
【0013】
また、Crのプラズマ変質層を設けることから、前述した旧来技術によるAu層とCr層の界面のAu/Cr相互拡散層が、エッチング液によりエッチングされることがないため、圧電振動片の外形形成の際のエッチング加工において、形状精度が高いプロテクト膜を形成することができる。このことによって、断面形状が主面に対して垂直で、高精度な外形形状の圧電振動片を形成することができ、良好な周波数特性を実現できる。
【0014】
また、Cr層の表面にプラズマ処理を追加するだけで所望のプロテクト膜を形成することが可能となり、さらに、プラズマ処理によって形成されるCrのプラズマ変質層の厚みは、ナノメートルオーダーであるため、Cr層の除去の際にCrのプラズマ変質層も一緒に除去することができ、加工時間が長くなることがない。従って、プラズマ処理を行っても、前述した従来技術に比べ、加工時間を短縮することができ、製造効率がよくコスト低減が可能な製造方法を提供することができる。
【0015】
また、本発明では、前記プラズマ処理の手段が酸素プラズマ処理であり、前記Crのプラズマ変質層が酸化クロムであることが好ましい。
このようにすることで、Crの最表層にはプラズマ変質層として酸化クロム(CrO3)層が形成される。酸化クロム層はAuとの密着性がよく、CrとAuとの拡散を防止することが可能であるため、前述した効果を有する。
【0016】
また、前記プラズマ処理の手段が窒素プラズマ処理であり、前記Crのプラズマ変質層が窒化クロムであることが好ましい。
プラズマ処理としては窒素プラズマ処理を選択することができ、Crの最表層にはプラズマ変質層として窒化クロム(CrN)層が形成され、上述の酸化クロム層に近い性質を有しているので、同様な効果を得ることができる。
【0017】
また、本発明の圧電振動片の製造方法は、前記圧電基板の表面にCr層を形成する工程と、前記Cr層の表面に前記酸素プラズマ処理または前記窒素プラズマ処理によってCrのプラズマ変質層を形成する工程と、前記Crのプラズマ変質層の表面にAu層を形成する工程と、前記Au層の表面に前記圧電振動片の外形形状を成すレジスト膜を形成する工程と、このレジスト膜を用いて、前記Cr層と前記Crのプラズマ変質層と前記Au層の3層からなる前記圧電振動片の外形形状を成すプロテクト膜を形成する工程と、前記プロテクト膜を用いて、エッチング加工により前記圧電基板から前記圧電振動片の外形形状を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
従って、圧電基板の主面にCr層、酸化クロム層または窒化クロム層、Au層からなるプロテクト膜を形成し、このプロテクト膜は圧電振動片形成のためのマスクであり、このプロテクト膜を用いてエッチング加工によって圧電振動片の外形を形成するが、圧電基板にプラズマ処理によるCrのプラズマ変質層を形成する以外の工程は、一般的に用いられる加工手段であるため、特別な装置を必要とせず、また、加工時間を短縮できる他、高精度な外形形状を有する圧電振動片を提供することができる。
【0019】
また、本発明の圧電振動片は、前述した製造方法で製造されるとともに基部と、該基部から延在される少なくとも振動腕と、を備えて形成されていることを特徴とする。
【0020】
詳しくは、後述する実施の形態で説明するが、本発明の圧電振動片は、基部から複数の振動腕あるいは検出腕を備えて構成されており、これらの振動腕、検出腕は、基部の重心を通るX軸、Y軸に平行な直線に対して、それぞれ対称形に形成されている。従って、前述した製造方法によれば、振動腕、検出腕それぞれの断面が圧電基板の主面に垂直、且つ、設計値に対して正確な形状が得られる他、形状の対称性が保たれ、高精度な周波数特性と検出特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図4は本発明の実施形態の圧電振動片及びこの圧電振動片の製造方法を示している。
(実施形態)
【0022】
図1は、本実施形態の圧電振動片を示し、図2〜図4は、この圧電振動片の製造方法を示している。
図1は、本実施形態に係る圧電振動片の1例を示す平面図である。本実施形態では、圧電基板として水晶基板を用いており、圧電振動片は水晶振動片である。図1において、水晶振動片10は、所定面としてのXY平面内に形成される(図2、参照)。本実施形態では、水晶振動片10は、電気軸と呼ばれるX軸、機械軸と呼ばれるY軸及び光学軸と呼ばれるZ軸の、X軸とY軸の平面方向に切り出されたZカットの水晶基板からなる。
【0023】
水晶振動片10は、所定の厚みの水晶基板1で形成されている。水晶振動片10の平面形状は、水晶の結晶軸に合わせてXY平面に展開され、中心点に対して180°点対称の形状をしている。また中心点は水晶振動片10の重心位置Gであり、重心位置Gを通りX軸、Y軸に平行な直線に対して対称形でもある。また、図1では図示していないが、水晶振動片10の表面には所定の電極が形成されている。
【0024】
水晶振動片10には、X軸方向とY軸方向にそれぞれ平行な端面をもつ矩形状の基部12が形成され、基部12のY軸に平行な2端面の中央からX軸に平行な方向に延在される二つの連結腕13,14と、基部12のX軸に平行な2端面の中央からY軸に平行な方向に延在される検出腕16A,16Bが形成されている。連結腕13,14それぞれの先端には1対の振動腕15A,15Bと、15C,15Dと、が形成されている。
【0025】
振動腕15A,15B,15C,15Dは、所定の周波数の駆動振動が発生するように幅や長さなどの寸法が設定されている。また、検出腕16A,16B、及び連結腕13,14は、所定の検出振動が発生するように幅や長さなどの寸法が設定されている。
【0026】
このような構成の水晶振動片10は、振動型ジャイロスコープに用いられ、振動腕15A〜15Dは、X軸方向に屈曲振動を繰り返す。検出腕16A,16Bは、振動腕15A〜15Dが屈曲振動をしている状態で、水晶振動片10にZ軸周りの回転角速度ωが加わった時、コリオリ力が発生し、検出振動をする。
このような水晶振動子は、一般に、ダブルT型振動子と呼称されている。
【0027】
続いて、本実施形態による水晶振動片10の製造方法について図面を参照して説明する。
図2は、水晶基板1における形成すべき水晶振動片10の配置について示している。図2において、水晶振動片10は、水晶基板1上に、前述した振動腕15A〜15D、検出腕16A,16Bの長手方向をY軸に平行となるように、X軸及びY軸に平行に複数個が配列される。このように配列された水晶振動片10をエッチング加工によって、一つ一つに外形形状を形成し分離する。
【0028】
図3、図4は、本実施形態に係る水晶振動片10の製造工程を示す断面図である。
図3(a)は、Crのスパッタリング工程を示す。まず、水晶基板1の主面の表裏両面にCrをスパッタリングによりCr層30を形成する。なお、以降、水晶基板1の表裏工程は一括して行うため、表面のみを例示して説明する。Crは、拡散性がよく、水晶表面に拡散することで、後述するAu層50と水晶基板1との密着性を強化するために設けられている。このCr層30の表面にCrのプラズマ変質層を形成する。
【0029】
図3(b)は、Cr層30の表面にCrのプラズマ変質層40を形成する工程を示す。Crのプラズマ変質層40は、プラズマ処理の手段としては、プラズマ装置を用いて、プラズマガスとして酸素を使用して形成される。従って、ここでCrのプラズマ変質層40としては酸化クロム(CrO3)が形成される。このCrのプラズマ変質層40はCr層30の最表層に数ナノメートル程度の厚さで形成される。
なお、この工程は、プラズマガスとして窒素を採用することができ、窒化クロム(CrN)層を形成する。窒化クロム層は、酸素を用いる場合と同様な装置を使用でき、ほぼ同じ厚さで形成される。
このCrのプラズマ変質層40の表面にAu層50を形成する。
【0030】
図3(c)は、Au層50の形成工程を示している。Au層50は、Crのプラズマ変質層40の表面にスパッタリングによって均一の厚さで形成する。Auと酸化クロムの界面は、相互拡散は発生しないが密着性はよく、従って、水晶基板1とAu層50との密着性もよい。このようにして、水晶基板1上には、Cr層30、プラズマ変質層40、Au層50の3層の金属層が形成される。
この3層構成の金属層の表面(つまりAu層の表面)に、エッチング加工のためのレジスト膜を形成する。
【0031】
図3(d)は、レジスト膜60を成膜する工程を示している。レジスト膜60は、前述した3層の金属層を後工程のプロテクト膜を形成するために設けられるものであり、Au層50の表面の全面に均一に成膜する。
このレジスト膜60をエッチング加工により水晶振動片10の外形形状が残るように形成する。
【0032】
図3(e)は、レジスト膜60を露光する工程を示している。Au層50の全面に成膜されたレジスト膜60を水晶振動片10の外形形状(図1、参照)が残るように露光してレジスト膜61を形成する。ここで、図3(e)以降の図示は、図1のA−A断面を表している。つまり、振動腕15Aと検出腕16Aを他の部位を代表して示している。従って、図3(e)では、Au層50の表面に、振動腕15Aと検出腕16Aに対応した形状のレジスト膜61が示されている。
このレジスト膜61を用いてエッチング加工によりプロテクト膜を形成する。
【0033】
まず、Au層50の除去すべき領域を除去する。
図3(f)は、Au層50を除去する工程を示している。レジスト膜61を用いてエッチング加工をし、水晶振動片10の外形形状以外の領域を除去する。従って、レジスト膜61の下層にあるAu層51が残る。
次に、Cr層30を除去する。
【0034】
図3(g)は、Cr層30を除去する工程を示している。ここで、Cr層30とその表面に形成された酸化クロムからなるCrのプラズマ変質層40は、一括して除去することが可能である。従って、レジスト膜61の下層にあるCr層31(Crの変質層41を含む)が残る。このようにして、3層の金属層は、水晶振動片の外形形状に形成され、プロテクト膜70を形成する。
次に、レジスト膜61を除去してプロテクト膜70を形成する。
【0035】
図3(h)には、前述までの工程により形成されたプロテクト膜70が示されている。Cr層30、Crのプラズマ変質層40、Au層50からなる3層の金属層は、水晶振動片10と同じ外形形状を備えるプロテクト膜70である。このプロテクト膜70は、水晶振動片10をエッチング加工で形成、分離する際のマスクである。
このプロテクト膜70を用いて、エッチング加工により水晶振動片10の外形形状の成形を行う。
【0036】
図4は、水晶振動片10を形成するための残りの工程を表している。
図4(i)は、水晶振動片10の外形形状の形成工程を示す。この図4(i)に示すように、フッ酸混液等を用いたエッチング加工により、プロテクト膜70が残る部分(水晶振動片10の外形形状範囲)の形状の範囲以外の水晶基板1を除去し、水晶振動片10の外形形状を形成する。
そして、プロテクト膜70を除去し、水晶振動片10の外形形状が完成する。
【0037】
図4(j)には、水晶振動片10の断面形状を示している。図示されているのは、図1のA−A断面であるため、図4(j)では、振動腕15A及び検出腕16Aであるが、図1に示すような水晶振動片10が形成されている。
なお、Crのプラズマ変質層40の形成手段として窒素プラズマ処理を採用する場合においても、プラズマ処理以降の加工工程は、酸素プラズマ処理を採用する場合と同じであるため、説明を省略する。
【0038】
従って、前述した実施形態によれば、Cr層30の表面にプラズマ処理により酸化クロムまたは窒化クロムからなるCrのプラズマ変質層40を形成し、その表面にAu層50を形成しているので、水晶基板1に対するAu層50の密着性を保持しながら、Cr層30とAu層50との界面における拡散層が形成されないので、水晶基板1のエッチング加工の際に、この拡散層がエッチング液(フッ酸混液)によって侵され、プロテクト膜70に孔が明き、その孔の部分の水晶基板1が侵されることを防止することができる。
【0039】
また、Crのプラズマ変質層40を設けることから、旧来技術のようなAu層50とCr層30との界面にできるAu/Cr相互拡散層が、エッチング液によりエッチングされることがないため、水晶振動片10の外形形成において形状精度の高いプロテクト膜70を形成することができる。このことによって、断面形状が主面に対して垂直で、高精度な外形形状の水晶振動片10を形成することができ、良好な周波数特性を実現できる。
【0040】
また、Cr層30の表面にプラズマ処理を追加するだけで所望のプロテクト膜70を形成することが可能となり、さらに、プラズマ処理によって形成されるCrのプラズマ変質層40の厚みは、数ナノメートル程度でよいため、Cr層30の除去の際に一緒に除去することができ、加工時間が長くなることがない。従って、プラズマ処理を行っても、前述した従来技術に比べ、加工時間を短縮することができ、製造効率がよくコスト低減が可能な製造方法を提供することができる。
【0041】
また、Cr層30の最表層にはプラズマ変質層として酸化クロム層または窒化クロム層が形成される。酸化クロム及び窒化クロムはともにAuとの密着性がよく、CrとAuとの拡散を防止することが可能であり、前述した効果を有する。
【0042】
さらに、水晶基板1にプラズマ処理によるCrのプラズマ変質層40を形成する工程以外は、一般的に用いられる加工手段であるため、特別な装置を必要とせず、また、加工時間を短縮できる他、高精度な外形形状を有する水晶振動片10を提供することができる。
【0043】
また、前述した製造方法で製造された水晶振動片10は、振動腕15A〜15D、検出腕16A,16Bそれぞれの断面が水晶基板1の主面に垂直、且つ、設計値に対して正確な形状が得られる他、振動腕及び検出腕それぞれの形状の対称性が保たれ、高精度な周波数特性と検出特性を得ることができる。
【0044】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明しているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲に逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、材質、組み合わせ、その他の詳細な構成、及び製造工程間の加工方法において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
【0045】
従って、上記に開示した形状、材質、製造工程などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものでないから、それらの形状、材質、組み合わせなどの限定の一部もしくは全部の限定をはずした部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0046】
例えば、前述した実施形態では、圧電基板として水晶を例示しているが、水晶以外の圧電材料からなる圧電基板にも応用することができる。
【0047】
また、本実施形態では、振動型ジャイロスコープに使用されるダブルT型の水晶振動片を例示して説明したが、この形状に限らず、一般に音叉型、H型、単純バー型と称せられる水晶振動片にも応用することが可能である。
【0048】
さらに、本実施形態では、水晶振動片の外形形状の形成について説明、図示しているが、水晶振動片の表面に形成される駆動電極や検出電極の形成にも応用できる。例えば、一般に水晶振動片の表面には、導電性が高いAu電極が形成されるが、この電極形成の際に、Au電極と水晶基板との密着性を高める目的で、それらの間にCr層が形成されることが多い。このような電極構成の際に、Cr層の表面に、本発明によるプラズマ処理によって酸化クロムや窒化クロム等のCrのプラズマ変質層を設けることにより、駆動電極や検出電極を正確に形成することができる。
【0049】
従って、前述の実施形態によれば、AuとCrの相互拡散を防止し、加工時間の短縮、コスト低減が可能な圧電振動片の製造方法と、この製造方法により、断面が垂直で高精度な外形形状を有し、良好な周波数特性を備える圧電振動片を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る圧電振動片の1例を示す平面図。
【図2】本発明の水晶基板における形成すべき水晶振動片の配置を模式的に示す斜視図。
【図3】(a)〜(h)は、本発明の実施形態に係る水晶振動片の製造工程を模式的に示す断面図。
【図4】(i)〜(j)は、本発明の実施形態に係る水晶振動片の製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】旧来の水晶振動片の一部を示す断面図。
【符号の説明】
【0051】
1…圧電基板としての水晶基板、10…圧電振動片としての水晶振動片、15A〜15D…振動腕、16A,16B…検出腕、30…Cr層、40…プラズマ変質層、50…Au層、70…プロテクト膜。




 

 


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