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発明の名称 多層構造形成方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−5519(P2007−5519A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−182974(P2005−182974)
出願日 平成17年6月23日(2005.6.23)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 和田 健嗣 / 新舘 剛
要約 課題
剥離されにくい多層構造をインクジェットプロセスによって形成すること。

解決手段
多層構造形成方法が、第1の絶縁パターン上にダミーポストを設ける第1のインクジェット工程と、前記ダミーポストの側面を囲む第2の絶縁パターンが得られるように、前記第1の絶縁パターン上に前記第2の絶縁パターンを設ける第2のインクジェット工程と、前記ダミーポストに接続された第1の導電パターンが得られるように、前記第2の絶縁パターン上に前記第1の導電パターンを設ける第3のインクジェット工程と、を包含している。そして、前記第1のインクジェット工程は、前記第1の導電パターンに対して密着性のよい第1の導電材料を含有した機能液を前記第1の絶縁パターンへ吐出する工程を含んでいる。
特許請求の範囲
【請求項1】
第1の絶縁パターン上にダミーポストを設ける第1のインクジェット工程と、
前記ダミーポストの側面を囲む第2の絶縁パターンが得られるように、前記第1の絶縁パターン上に前記第2の絶縁パターンを設ける第2のインクジェット工程と、
前記ダミーポストに接続された第1の導電パターンが得られるように、前記第2の絶縁パターン上に前記第1の導電パターンを設ける第3のインクジェット工程と、
を包含した多層構造形成方法であって、
前記第1のインクジェット工程は、前記第1の導電パターンに対して密着性のよい第1の導電材料を含有した機能液を前記第1の絶縁パターンへ吐出する工程を含んでいる、
多層構造形成方法。
【請求項2】
請求項1記載の多層構造形成方法であって、
前記第2のインクジェット工程は、前記第1の絶縁パターンに対して密着性のよい所定の絶縁材料を含有した機能液、または前記第1の絶縁パターンに対して密着性のよい前記所定の絶縁材料の前駆体を含有する機能液、を前記第1の絶縁パターンへ吐出する工程を含んでいる、多層構造形成方法。
【請求項3】
請求項2記載の多層構造形成方法であって、
物体表面上に前記第1の絶縁パターンを設ける第4のインクジェット工程をさらに包含した多層構造形成方法。
【請求項4】
請求項2または3記載の多層構造形成方法であって、
前記第1の絶縁パターンの材料と、前記所定の絶縁材料とは、互いに同じである、
多層構造形成方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の多層構造形成方法であって、
前記第1の導電材料と、前記第1の導電パターンの材料とは、互いに同じである、
多層構造形成方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一つに記載の多層構造形成方法であって、
前記第1の導電材料と、前記第1の導電パターンとは、同じ金属を含む、
多層構造形成方法。
【請求項7】
請求項3記載の多層構造形成方法であって、
前記物体表面上に位置する第2の導電パターン上に導電ポストを設ける第5のインクジェット工程と、
前記第2の導電パターンを覆うとともに前記導電ポストの側面の下部を囲む前記第1の絶縁パターンが得られるように、前記物体表面上に前記第1の絶縁パターンを設ける前記第4のインクジェット工程と、
前記導電ポストの側面の残りと前記ダミーポストの側面とを囲む前記第2の絶縁パターンが得られるように、前記第1の絶縁パターン上に前記第2の絶縁パターンを設ける前記第2のインクジェット工程と、
前記導電ポストと前記ダミーポストとに接続された前記第1の導電パターンが得られるように、前記第2の絶縁パターン上に前記第1の導電パターンを設ける前記第3のインクジェット工程と、
を包含した多層構造形成方法。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一つに記載の多層構造形成方法であって、
前記第3のインクジェット工程は、前記第1の導電パターンとして接続ランドを設ける工程を包含している、
多層構造形成方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一つに記載の多層構造形成方法であって、
前記第3のインクジェット工程は、前記第1の導電パターンとして多層構造の最表層を設ける工程を包含している、
多層構造形成方法。
【請求項10】
ダミーポストと前記ダミーポストの側面を囲む第2の絶縁パターンとを設ける第1のインクジェット工程と、
前記ダミーポストに接続された第1の導電パターンが得られるように、前記第2の絶縁パターン上に前記第1の導電パターンを設ける第2のインクジェット工程と、
を包含した多層構造形成方法であって、
前記第1のインクジェット工程は、
(a)所定の絶縁材料を含有した機能液または前記所定の絶縁材料の前駆体を含有した機能液を第1の絶縁パターンへ吐出して、前記機能液の層を形成する第1の工程と、
(b)前記ダミーポストに対して密着性のよい第1の導電材料を含有した機能液を前記機能液の層へ吐出して、ダミーポスト前駆体を形成する第2の工程と、を含んでいる、
多層構造形成方法。
【請求項11】
請求項10記載の多層構造形成方法であって、
前記第1のインクジェット工程は、
(c)前記機能液の層と前記ダミーポスト前駆体とから前記第2の絶縁パターンと前記ダミーポストとがそれぞれ得られるように、前記機能液の層と前記ダミーポスト前駆体とを一度に活性化する第3の行程、をさらに含んでいる、
多層構造形成方法。
【請求項12】
請求項10または11記載の多層構造形成方法であって、
前記第1の工程は、前記第1の絶縁パターンに対して密着性のよい前記所定の絶縁材料を含有した前記機能液、または前記第1の絶縁パターンに対して密着性のよい前記所定の絶縁材料の前駆体を含有した前記機能液、を前記第1の絶縁パターンへ吐出する工程を含んでいる、
多層構造形成方法。
【請求項13】
請求項12記載の多層構造形成方法であって、
物体表面上に前記第1の絶縁パターンを設ける第3のインクジェット工程をさらに包含した多層構造形成方法。
【請求項14】
請求項12または13記載の多層構造形成方法であって、
前記第1の絶縁パターンの材料と、前記所定の絶縁材料とは、互いに同じである、
多層構造形成方法。
【請求項15】
請求項10から14のいずれか一つに記載の多層構造形成方法であって、
前記第1の導電材料と、前記第1の導電パターンの材料とは、互いに同じである、
多層構造形成方法。
【請求項16】
請求項10から15のいずれか一つに記載の多層構造形成方法であって、
前記第1の導電材料と、前記第1の導電パターンとは、同じ金属を含む、
多層構造形成方法。
【請求項17】
基板表面上に設けられた導電パターンであって第1の導電材料からなる導電パターン上に、凹凸パターンを設ける第1のインクジェット工程と、
前記導電パターンと前記凹凸パターンとを覆う絶縁パターンを設ける第2のインクジェット工程と、
を包含した多層構造形成方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、多層構造形成方法に関し、特に、インクジェットプロセスの適用が好適な多層構造形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷法によるアディティブプロセス(Additive Process)を用いて配線基板や回路基板を製造する方法が注目されている。薄膜の塗布プロセスとフォトリソグラフィープロセスとを繰り返す従来の製造方法に比べて、アディティブプロセスのコストは低いからである。
【0003】
このようなアディティブプロセスに利用される技術の一つがインクジェットプロセスである。例えば、特許文献1は、インクジェット法で導電性パターンを形成する技術を開示している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−6578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェットプロセスを用いれば、絶縁パターンと配線パターンとを複数層に亘って積層して、多層構造を製造することができる。ただし、金属パターンを構成する材料と絶縁パターンを構成する材料との組合せによっては、互いに積層される金属パターンと絶縁パターンとの間の密着性が良好でないことがある。そして、密着性が良好でない材料の組合せが選択されると、互いに積層された金属パターンおよび絶縁パターンのうち、下地として機能する一方から他方が剥がれやすくなる。
【0006】
この課題は、特に、絶縁パターンおよび金属パターンの一方が、多層構造の最表層を構成する場合により顕著である。例えば、最表層を構成する金属パターンには、LSIベアチップ、LSIパッケージ、コネクタなど電子部品が接続されることがある。そして、金属パターンに電子部品が接続された場合には、その接続点を介して金属パターンに、多層構造の外へ向いた外力が作用することがある。そして、そのような外力が働く場合に、金属パターンが下地の絶縁パターンから、より剥がれやすい。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされ、その目的の一つは、剥離されにくい多層構造をインクジェットプロセスによって形成することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の多層構造形成方法は、第1の絶縁パターン上にダミーポストを設ける第1のインクジェット工程と、前記ダミーポストの側面を囲む第2の絶縁パターンが得られるように、前記第1の絶縁パターン上に前記第2の絶縁パターンを設ける第2のインクジェット工程と、前記ダミーポストに接続された第1の導電パターンが得られるように、前記第2の絶縁パターン上に前記第1の導電パターンを設ける第3のインクジェット工程と、を包含している。そして、前記第1のインクジェット工程は、前記第1の導電パターンに対して密着性のよい第1の導電材料を含有した機能液を前記第1の絶縁パターンへ吐出する工程を含んでいる。
【0009】
上記特徴によれば、ダミーポストがインクジェット工程によって設けられるので、ダミーポストの断面形状がテーパ状になる。そして、このようなダミーポストの側面が、第2の絶縁パターンで囲まれるので、ダミーポストが第2の絶縁パターンに固定される。一方で、上記特徴によれば、第1の導電パターンとダミーポストとは密着する。これらのことから、第1の導電パターンは、第2の絶縁パターンに対して固定される。
【0010】
好ましくは、前記第2のインクジェット工程は、前記第1の絶縁パターンに対して密着性のよい所定の絶縁材料を含有した機能液、または前記第1の絶縁パターンに対して密着性のよい前記所定の絶縁材料の前駆体を含有する機能液、を前記第1の絶縁パターンへ吐出する工程を含んでいる。
【0011】
上記特徴によれば、第2の絶縁パターンが、下地の第1の絶縁パターンと密着できる。ここで、上述のように第1の導電パターンはダミーポストのおかげで第2の絶縁パターンに対して固定されているので、第1の導電パターンは、より下地の第1の絶縁パターンに対しても固定される。
【0012】
本発明のある態様では、上記多層構造形成方法が、物体表面上に前記第1の絶縁パターンを設ける第4のインクジェット工程をさらに包含している。
【0013】
上記特徴によれば、第1の絶縁パターンがインクジェット工程によって設けられるので、多層構造を形成するために消費される材料の量を減らすことができる。
【0014】
好ましくは、前記第1の絶縁パターンの材料と、前記所定の絶縁材料とは、互いに同じである。
【0015】
上記特徴によれば、第1の絶縁パターンと第2の絶縁パターンとが密着する。
【0016】
好ましくは、前記第1の導電材料と、前記第1の導電パターンの材料とは、互いに同じである。さらに好ましくは、前記第1の導電材料と、前記第1の導電パターンとは、同じ金属を含む。
【0017】
上記特徴によれば、ダミーポストと第1の導電パターンとが密着する。
【0018】
本発明の他の態様では、上記多層構造形成方法が、前記物体表面上に位置する第2の導電パターンに導電ポストを設ける第5のインクジェット工程と、前記第2の導電パターンを覆うとともに前記導電ポストの側面の下部を囲む前記第1の絶縁パターンが得られるように、前記物体表面上に前記第1の絶縁パターンを設ける前記第4のインクジェット工程と、前記導電ポストの側面の残りと前記ダミーポストの側面とを囲む前記第2の絶縁パターンが得られるように、前記第1の絶縁パターン上に前記第2の絶縁パターンを設ける前記第2のインクジェット工程と、前記導電ポストと前記ダミーポストとに接続された前記第1の導電パターンが得られるように、前記第2の絶縁パターン上に前記第1の導電パターンを設ける前記第3のインクジェット工程と、を包含している。
【0019】
上記特徴によれば、第1の導電パターンが剥がれにくい多層構造が得られる。
【0020】
本発明のさらに他の態様では、前記第3のインクジェット工程は、前記第1の導電パターンとして接続ランドを設ける工程を包含している。
【0021】
上記特徴によれば、下地から剥がれにくい接続ランドが得られる。
【0022】
本発明のさらに他の態様では、前記第3のインクジェット工程は、前記第1の導電パターンとして多層構造の最表層を設ける工程を包含している。
【0023】
上記特徴によれば、外力を受けても下地から剥がれにくい接続ランドが得られる。
【0024】
本発明の多層構造形成方法は、ダミーポストと前記ダミーポストの側面を囲む第2の絶縁パターンとを設ける第1のインクジェット工程と、前記ダミーポストに接続された第1の導電パターンが得られるように、前記第2の絶縁パターン上に前記第1の導電パターンを設ける第2のインクジェット工程と、を包含している。そして、前記第1のインクジェット工程は、(a)所定の絶縁材料を含有した機能液または前記所定の絶縁材料の前駆体を含有した機能液を第1の絶縁パターンへ吐出して、前記機能液の層を形成する第1の工程と、(b)前記ダミーポストに対して密着性のよい第1の導電材料を含有した機能液を前記機能液の層へ吐出して、ダミーポスト前駆体を形成する第2の工程と、を含んでいる。また、本発明の他の態様では、前記第1のインクジェット工程は、(c)前記機能液の層と前記ダミーポスト前駆体とから前記第2の絶縁パターンと前記ダミーポストとがそれぞれ得られるように、前記機能液の層と前記ダミーポスト前駆体とを一度に活性化する第3の行程、をさらに含んでいる。
【0025】
上記特徴によれば、ダミーポストがインクジェット工程によって設けられるので、ダミーポストの断面形状がテーパ状になる。そして、このようなダミーポストの側面が、第2の絶縁パターンで囲まれるので、ダミーポストが第2の絶縁パターンに固定される。一方で、上記特徴によれば、第1の導電パターンとダミーポストとは密着する。これらのことから、第1の導電パターンは、第2の絶縁パターンに対して固定される。
【0026】
好ましくは、前記第1の工程は、前記第1の絶縁パターンに対して密着性のよい前記所定の絶縁材料を含有した前記機能液、または前記第1の絶縁パターンに対して密着性のよい前記所定の絶縁材料の前駆体を含有した前記機能液、を前記第1の絶縁パターンへ吐出する工程を含んでいる。
【0027】
上記特徴によれば、第2の絶縁パターンが、下地の第1の絶縁パターンと密着できる。ここで、上述のように第1の導電パターンはダミーポストのおかげで第2の絶縁パターンに対して固定されているので、第1の導電パターンは、より下地の第1の絶縁パターンに対しても固定される。
【0028】
本発明のある態様では、上記多層構造形成方法が、物体表面上に前記第1の絶縁パターンを設ける第3のインクジェット工程をさらに包含している。
【0029】
上記特徴によれば、第1の絶縁パターンがインクジェット工程によって設けられるので、多層構造を形成するために消費される材料の量を減らすことができる。
【0030】
好ましくは、前記第1の絶縁パターンの材料と、前記所定の絶縁材料とは、互いに同じである。
【0031】
上記特徴によれば、第1の絶縁パターンと第2の絶縁パターンとが密着する。
【0032】
好ましくは、前記第1の導電材料と、前記第1の導電パターンの材料とは、互いに同じである。さらに好ましくは、前記第1の導電材料と、前記第1の導電パターンとは、同じ金属を含む。
【0033】
上記特徴によれば、ダミーポストと第1の導電パターンとが密着する。
【0034】
本発明の多層構造形成方法は、基板表面上に設けられた導電パターンであって第1の導電材料からなる導電パターン上に、凹凸パターンを設ける第1のインクジェット工程と、前記導電パターンと前記凹凸パターンとを覆う絶縁パターンを設ける第2のインクジェット工程と、を包含している。
【0035】
上記特徴によれば、凹凸パターンのおかげで、導電パターンに対する絶縁パターンの密着性が増加する。このため、導電パターン上から絶縁パターンが剥がれにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
(実施形態1)
まず、本実施形態の多層構造形成方法において用いられる液滴吐出装置の構造および機能を説明する。
【0037】
(1.液滴吐出装置の全体構成)
図1に示す液滴吐出装置100は、基本的にはインクジェット装置である。より具体的には、液滴吐出装置100は、液状材料111を保持するタンク101と、チューブ110と、グランドステージGSと、吐出ヘッド部103と、ステージ106と、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、制御部112と、光照射装置140と、支持部104aと、を備えている。
【0038】
吐出ヘッド部103は、ヘッド114(図2)を保持している。このヘッド114は、制御部112からの信号に応じて、液状材料111の液滴Dを吐出する。なお、吐出ヘッド部103におけるヘッド114は、チューブ110によってタンク101に連結されており、このため、タンク101からヘッド114に液状材料111が供給される。
【0039】
ステージ106は基板1を固定するための平面を有している。さらにステージ106は、吸引力を用いて基板1の位置を固定する機能も有する。ここで、後述するように、基板1は、ベース基板としてポリイミドからなるフレキシブル基板であり、その形状はテープ状である。また、基体1の両端は、図示しない一対のリールに固定されている。
【0040】
第1位置制御装置104は、支持部104aによって、グランドステージGSから所定の高さの位置に固定されている。この第1位置制御装置104は、制御部112からの信号に応じて、吐出ヘッド部103をX軸方向と、X軸方向に直交するZ軸方向と、に沿って移動させる機能を有する。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで吐出ヘッド部103を回転させる機能も有する。ここで、本実施形態では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。
【0041】
第2位置制御装置108は、制御部112からの信号に応じて、ステージ106をグランドステージGS上でY軸方向に移動させる。ここで、Y軸方向は、X軸方向およびZ軸方向の双方と直交する方向である。
【0042】
上記のような機能を有する第1位置制御装置104の構成と第2位置制御装置108の構成とは、リニアモータやサーボモータを利用した公知のXYロボットを用いて実現できる。このため、ここでは、それらの詳細な構成の説明を省略する。なお、本明細書では、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108を、「ロボット」または「走査部」とも表記する。
【0043】
さて上述のように、第1位置制御装置104によって、吐出ヘッド部103はX軸方向に移動する。そして、第2位置制御装置108によって、基板1はステージ106と共にY軸方向に移動する。これらの結果、基板1に対するヘッド114の相対位置が変わる。より具体的には、これらの動作によって、吐出ヘッド部103、ヘッド114、またはノズル118(図2)は、基板1に対して、Z軸方向に所定の距離を保ちながら、X軸方向およびY軸方向に相対的に移動、すなわち相対的に走査する。「相対移動」または「相対走査」とは、液状材料111を吐出する側と、そこからの吐出物が着弾する側(被吐出部)の少なくとも一方を他方に対して相対移動することを意味する。
【0044】
制御部112は、液状材料111の液滴Dを吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部112は、受け取った吐出データを内部の記憶装置に格納するとともに、格納された吐出データに応じて、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、ヘッド114と、を制御する。なお、吐出データとは、基板1上に、液状材料111を所定パターンで付与するためのデータである。本実施形態では、吐出データはビットマップデータの形態を有している。
【0045】
上記構成を有する液滴吐出装置100は、吐出データに応じて、ヘッド114のノズル118(図2)を基板1に対して相対移動させるとともに、基板1または基体10A(後述)に向けてノズル118から液状材料111を吐出する。なお、液滴吐出装置100によるヘッド114の相対移動と、ヘッド114からの液状材料111の吐出と、をまとめて「塗布走査」または「吐出走査」と表記することもある。
【0046】
本明細書では、液状材料111の液滴が着弾する部分を「被吐出部」とも表記する。そして、着弾した液滴が濡れ広がる部分を「被塗布部」とも表記する。「被吐出部」および「被塗布部」のどちらも、液状材料111が所望の接触角を呈するように、物体表面に表面改質処理が施されることによって形成された部分でもある。ただし、表面改質処理を行わなくても物体表面が、液状材料111に対して所望の撥液性または親液性を呈する(つまり着弾した液状材料111が物体表面上で望ましい接触角を呈する)場合には、物体表面そのものが「被吐出部」または「被塗布部」であり得る。
【0047】
さて、図1に戻って、光照射装置140は、基板1に付与された液状材料111に紫外光を照射する装置である。光照射装置140の紫外光の照射のON・OFFは制御部112によって制御される。
【0048】
(2.ヘッド)
図2(a)および(b)に示すように、液滴吐出装置100におけるヘッド114は、複数のノズル118を有するインクジェットヘッドである。具体的には、ヘッド114は、振動板126と、複数のノズル118と、複数のノズル118のそれぞれの開口を規定するノズルプレート128と、液たまり129と、複数の隔壁122と、複数のキャビティ120と、複数の振動子124と、を備えている。
【0049】
液たまり129は、振動板126と、ノズルプレート128と、の間に位置しており、この液たまり129には、図示しない外部タンクから孔131を介して供給される液状材料111が常に充填される。また、複数の隔壁122は、振動板126と、ノズルプレート128と、の間に位置している。
【0050】
キャビティ120は、振動板126と、ノズルプレート128と、一対の隔壁122と、によって囲まれた部分である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、一対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129から液状材料111が供給される。なお、本実施形態では、ノズル118の直径は、約27μmである。
【0051】
さて、複数の振動子124のそれぞれは、それぞれのキャビティ120に対応するように振動板126上に位置する。複数の振動子124のそれぞれは、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む一対の電極124A,124Bと、を含む。制御部112が、この一対の電極124A,124Bの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118から液状材料111の液滴Dが吐出される。ここで、ノズル118から吐出される材料の体積は、0pl以上42pl(ピコリットル)以下の間で可変である。なお、ノズル118からZ軸方向に液状材料111の液滴Dが吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
【0052】
本明細書では、1つのノズル118と、ノズル118に対応するキャビティ120と、キャビティ120に対応する振動子124と、を含んだ部分を「吐出部127」とも表記する。この表記によれば、1つのヘッド114は、ノズル118の数と同じ数の吐出部127を有する。吐出部127は、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部127は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して液状材料111を吐出する構成を有していてもよい。
【0053】
(3.制御部)
次に、制御部112の構成を説明する。図3に示すように、制御部112は、入力バッファメモリ200と、記憶装置202と、処理部204と、光源駆動部205と、走査駆動部206と、ヘッド駆動部208と、を備えている。これら入力バッファメモリ200と、処理部204と、記憶装置202と、光源駆動部205と、走査駆動部206と、ヘッド駆動部208とは、図示しないバスによって相互に通信可能に接続されている。
【0054】
光源駆動部205は、光照射装置140と通信可能に接続されている。さらに、走査駆動部206は、第1位置制御装置104および第2位置制御装置108と相互に通信可能に接続されている。同様にヘッド駆動部208は、ヘッド114と相互に通信可能に接続されている。
【0055】
入力バッファメモリ200は、液滴吐出装置100の外部に位置する外部情報処理装置(不図示)から、液状材料111の液滴Dを吐出するための吐出データを受け取る。入力バッファメモリ200は、吐出データを処理部204に供給し、処理部204は吐出データを記憶装置202に格納する。図3では、記憶装置202はRAMである。
【0056】
処理部204は、記憶装置202内の吐出データに基づいて、被吐出部に対するノズル118の相対位置を示すデータを走査駆動部206に与える。走査駆動部206はこのデータと、所定の吐出周期と、に応じたステージ駆動信号を第1位置制御装置104および第2位置制御装置108に与える。この結果、被吐出部に対する吐出ヘッド部103の相対位置が変わる。一方、処理部204は、記憶装置202に記憶された吐出データに基づいて、液状材料111の吐出に必要な吐出信号をヘッド114に与える。この結果、ヘッド114における対応するノズル118から、液状材料111の液滴Dが吐出される。
【0057】
また、処理部204は、記憶装置202内の吐出データに基づいて、光照射装置140をON状態およびOFF状態のどちらかの状態にする。具体的には、光源駆動部205が光照射装置140の状態を設定できるように、処理部204は、ON状態またはOFF状態を示すそれぞれの信号を光源駆動部205へ供給する。
【0058】
制御部112は、CPU、ROM、RAM、バスを含んだコンピュータである。したがって、制御部112の上記機能は、ROMに格納されたソフトウェアプログラムをCPUが実行することで実現される。もちろん、制御部112は、専用の回路(ハードウェア)によって実現されてもよい。
【0059】
(4.液状材料)
上述の「液状材料」とは、ヘッド114のノズル118から液滴Dとして吐出されうる粘度を有する材料をいう。ここで、「液状材料」が水性であると油性であるとを問わない。ノズル118から吐出可能な流動性(粘度)を備えていれば十分で、固体物質が混入していても全体として流動体であればよい。ここで、「液状材料」の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下であるのが好ましい。粘度が1mPa・s以上である場合には、「液状材料」の液滴Dを吐出する際にノズル118の周辺部が「液状材料」で汚染されにくい。一方、粘度が50mPa・s以下である場合は、ノズル118における目詰まり頻度が小さく、このため円滑な液滴Dの吐出を実現できる。
【0060】
後述する機能液14(図6)は「液状材料」の一種である。本実施形態の機能液14は、分散媒と、導電材料としての銀と、を含有する。ここで、機能液14における銀は、銀粒子の形態をしており、その銀粒子の平均粒径は10nm程度である。そして、機能液14において、銀粒子は分散媒中に安定して分散されている。なお、銀粒子はコーティング剤で被覆されていてもよい。ここで、コーティング剤は、銀原子に配位可能な化合物である。
【0061】
なお、平均粒径が1nm程度から数100nmまでの粒子は、「ナノ粒子」とも表記される。この表記によれば、機能液14は銀のナノ粒子を含んでいる。
【0062】
上述の分散媒(または溶媒)としては、銀粒子などの導電性微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、導電性微粒子の分散性と分散液の安定性、またインクジェットプロセスへの適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0063】
また、後述する機能液15(図7)も、「液状材料」の一種である。本実施形態の機能液15は、溶剤と、絶縁材料としての感光性のアクリル樹脂と、を含有している。なお、機能液15において、感光性のアクリル樹脂は溶剤に溶けている。もちろん、機能液15における絶縁材料は、感光性のアクリル樹脂に代えて、光硬化性を有する他の絶縁樹脂、熱硬化性を有する絶縁樹脂、またはそれら絶縁樹脂の前駆体、であってもよい。
【0064】
(5.多層構造形成方法)
図4から図7を参照しながら、本実施形態の多層構造形成方法を説明する。
【0065】
まず、図4(a)に示すような基体10Aを準備する。基体10Aは、基板1と、基板1上に位置している導電パターン2と、を備えている。ここで、基板1は、ポリイミドからなるフレキシブル基板である。基板1はテープ状の形状を有しており、そしてこのため、基板1はテープ基板とも呼ばれる。なお、本明細書において、「基体10A」とは、基板1と、基板1上に設けられた1つ以上のパターンまたは層と、をまとめた総称である。また、本明細書では、説明の便宜上、基板1の表面は、上述のX軸方向およびY軸方向の双方に平行に配置されている。
【0066】
次に、図4(b)に示すように、導電パターン2上の一部にインクジェット工程によって、導電ポスト3を設ける。ここで、導電ポスト3の形成方法の詳細は、後述するダミーポスト5の形成方法と基本的に同じである。また、本実施形態の導電ポスト3は、銀からなる。
【0067】
導電ポスト3を形成した後に、図4(c)および(d)に示すように、インクジェット工程によって、絶縁パターン4を設ける。設けられた絶縁パターン4は、導電ポスト3の側面の下部を囲むとともに導電パターン2を覆うことになる。ここで、以下で説明するように、絶縁パターン4は、互いに積層された2つの絶縁サブパターン41,42からなる。そして、このような絶縁パターン4が本発明の「第1の絶縁パターン」の一種である。絶縁パターン4の形成方法は以下の通りである。
【0068】
まず、後述する「インクジェットサブ工程」によって、基板1の表面上の部分のうち、導電パターン2がない部分に絶縁サブパターン41を設ける(図4(c))。ここで、絶縁サブパターン41の厚さは導電パターン2の厚さにほぼ一致するように設定されている。そしてこのため、絶縁サブパターン41が設けられた後では、絶縁サブパターン41の表面と、導電パターン2の表面とは、ほぼ同じレベルに位置することになる。また、本実施形態の絶縁サブパターン41は、アクリル樹脂を含有する。
【0069】
次に、導電パターン2と絶縁サブパターン41とが形成する面上に、「インクジェットサブ工程」によって絶縁サブパターン42を設ける(図4(d))。ここで、絶縁サブパターン42は、下地の導電パターン2と絶縁サブパターン41とを覆うとともに、導電ポスト3の側面の下部を囲むように設けられる。また、絶縁サブパターン42は、アクリル樹脂を含有する。
【0070】
さて、「インクジェットサブ工程」とは、図1〜図3の液滴吐出装置100のような装置を用いて、物体表面上に、層、膜、またはパターンを設けるプロセスのことである。上述のように、液滴吐出装置100とは、物体表面の任意の位置に、機能液14,15の液滴Dを着弾させる装置である。ここで、液滴Dは、液滴吐出装置100に与えられた吐出データに応じて、液滴吐出装置100におけるヘッド114のノズル118から吐出されることになる。なお、本実施形態では、「インクジェットサブ工程」ごとに、それぞれ対応する液滴吐出装置100が用いられる。しかしながら、インクジェットプロセスにおける全ての「インクジェットサブ工程」を通して、1つの液滴吐出装置100が用いられてもよい。
【0071】
また、場合によって、「インクジェットサブ工程」は、機能液14,15に対して物体表面を親液化する工程を包含するように定義されてもよい。あるいは、「インクジェットサブ工程」は、機能液に対して物体表面を撥液化する工程を包含するように定義されてもよい。
【0072】
さらに、「インクジェットサブ工程」は、物体表面に設けられた機能液14,15の層またはパターンから絶縁層、絶縁パターン、導電層、または導電パターンが得られるように、機能液14,15の層またはパターンを、乾燥または活性化する工程を包含するように定義されることもある。ここで、「活性化」とは、機能液14,15の層またはパターンに、熱を与える工程、および紫外光などの電磁波を照射する工程の少なくとも1つに対応する。要するに、「活性化」とは、機能液14,15における材料に応じて、機能液14,15の層またはパターンから、絶縁性、導電性、または半導体性などの所望の性質を発現させる工程である。
【0073】
そして、本明細書では、以上のような1つ以上の「インクジェットサブ工程」をまとめて、「インクジェット工程」または「インクジェットプロセス」と表記している。
【0074】
次に、図4(e)に示すように、絶縁パターン4上にインクジェット工程によって、複数のダミーポスト5を設ける。ここで、複数のダミーポスト5のそれぞれの上部と、導電ポスト3の上部とが、ほぼ同じレベルに位置するように、複数のダミーポスト5が設けられる。複数のダミーポスト5のそれぞれは、後述する導電パターン7に対して密着性のよい導電材料を含有するように構成される。本実施形態では、導電パターン7が銀からなるので、複数のダミーポスト5のそれぞれも銀を含有するように構成される。そして、このことで、複数のダミーポスト5のそれぞれと、導電パターン7とは、密着できる。
【0075】
また、複数のダミーポスト5のそれぞれがインクジェット工程によって形成されるので、複数のダミーポスト5のそれぞれの断面形状は、テーパ状になる。具体的には、ダミーポスト5の底部の幅が、ダミーポスト5の上部の幅よりも大きくなる。なお、複数のダミーポスト5を設けるインクジェット工程の詳細は、図6を参照しながら後述する。
【0076】
次に、図5(a)に示すように、絶縁パターン4上にインクジェット工程によって、複数のダミーポスト5のそれぞれの側面を囲むとともに、絶縁パターン4上に突出している導電ポスト3の側面を囲む絶縁パターン6を設ける。ここで、絶縁パターン6の厚さは、絶縁パターン6から複数のダミーポスト5のそれぞれの上部と、導電ポスト3の上部とが、露出するように、設定されている。なお、絶縁パターン6を設けるインクジェット工程は、図7を参照しながら後述する。
【0077】
このように絶縁パターン6を設ければ、複数のダミーポスト5にZ軸方向の外力を加えることで複数のダミーポスト5を絶縁パターン6から抜き取ろうとしても、複数のダミーポスト5は絶縁パターン6を抜け出ることがない。つまり、複数のダミーポスト5のそれぞれは、絶縁パターン6に対して固定される。
【0078】
さらに、後述するように、絶縁パターン6は、絶縁パターン4に対して密着性のよい絶縁材料を含有するように構成される。具体的には、絶縁パターン4がアクリル樹脂を含有するように構成されているので、絶縁パターン6も同様に、アクリル樹脂を含有するように構成されている。そして、このことから、絶縁パターン6と絶縁パターン4とは、互いに密着する。つまり、絶縁パターン6は絶縁パターン4に対して固定される。
【0079】
次に、図5(b)に示すように、絶縁パターン6上にインクジェット工程によって、複数のダミーポスト5のそれぞれの上部に接続されるとともに、導電ポスト3の上部に接続される導電パターン7を設ける。本実施形態では、このような工程によって、基体10Aから多層構造10が得られる。ここで、導電パターン7は、銀を含有する。上述のように、複数のダミーポスト5のそれぞれも銀を含有するので、導電パターン7と、複数のダミーポスト5とは、互いに密着する。つまり、導電パターン7は、複数のダミーポスト5に対して固定される。
【0080】
上述のように、複数のダミーポスト5のそれぞれは絶縁パターン6に対して固定されているので、このため、導電パターン7も絶縁パターン6に対して固定される。しかも、絶縁パターン6は絶縁パターン4に対して固定されているので、結果として、導電パターン7は、より下地の絶縁パターン4に対しても固定される。
【0081】
(6.ダミーポストを設けるインクジェット工程)
図6を参照しながら、図4(e)に示された複数のダミーポスト5を設けるインクジェット工程をより詳細に説明する。なお、以下では、説明の便宜上、1つのダミーポスト5に着目して工程が説明されているが、実際には、この工程によって複数のダミーポスト5が設けられる。
【0082】
図6(a)に示すように、絶縁サブパターン42、つまり絶縁パターン4に、液滴吐出装置100(図1)を用いて、導電材料を含有した機能液14を付与する。より具体的には、液滴吐出装置100がヘッド114と基体10Aとの少なくとも一方を他方に対して相対移動させる。そして、ヘッド114のノズル118が、ダミーポスト5が設けられるべき位置に対応した領域内に存在する場合に、液滴吐出装置100は、ノズル118から所定の周期で機能液14の液滴Dを吐出する。そうすると、吐出された液滴Dは絶縁パターン4に着弾して、そしてその結果、図6(b)に示すような機能液14の層5bが得られる。
【0083】
そして、層5bを仮乾燥して、図6(c)に示すように、仮乾燥状態の層5b’を得る。層5b’が仮乾燥状態にあるとは、少なくとも層5b’の表面が乾燥している状態をいう。仮乾燥状態を達成するには、機能液14からなる層5bに乾燥した空気を吹き付けてもよいし、機能液14からなる層5bに赤外線を照射してもよい。
【0084】
その後、仮乾燥状態の層5b’上に、再び、層5bを設けて、そして、設けられた層5bを仮乾燥する。さらに、これらの工程を繰り返すことで、図6(d)に示すように、絶縁パターン4上に、Z軸方向に積層された4つの層5b’を得る。本実施形態では、仮乾燥状態にある4つの層5b’をまとめて、ダミーポスト前駆体5bpと表記する。
【0085】
そして、ダミーポスト前駆体5bpを活性化する。本実施形態では、150℃のホットプレート上で基体10Aを約30分間加熱する。そうすると、ダミーポスト前駆体5bpにおける銀粒子が焼結または融着する。その結果、図6(e)に示すように、ダミーポスト前駆体5bpからダミーポスト5が得られる。
【0086】
さて、図6(d)に戻って、層5b’の表面は、下地に接する下部表面と、気相に接する上部表面と、上部表面と下部表面とをつなぐとともに気相に接する側面と、からなる。下部表面は、平坦な下地に接するので、平坦である。上部表面も平坦である。ただし、上部表面の面積は、機能液14の表面張力の作用によって、下部表面の面積よりも小さい。そして、このような上部表面上に、次の層5b’が設けられることになる。したがって、より上層の層5b’の大きさは、より下層の層5b’よりも小さくなる。
【0087】
以上の理由から、複数の層5b’からなるダミーポスト前駆体5bpの断面形状はテーパ状であり、そしてこのため、ダミーポスト前駆体5bpから得られるダミーポスト5の断面形状もテーパ状になる。
【0088】
さて、本実施形態では、複数の層5b’を積層することで1つのダミーポスト前駆体5bpを構成している。ただし、このような構成に代えて、1つの層5b’から1つのダミーポスト前駆体5bpを構成してもよい。この場合、ダミーポスト前駆体5bpの高さは制限されるが、それでも、ダミーポスト前駆体5bpの断面形状は、機能液14の表面張力によってテーパ状になる。そしてこのため、ダミーポスト前駆体5bpから得られるダミーポスト5の断面形状もテーパ状になる。
【0089】
このように、インクジェット工程によってダミーポスト5を形成するので、ダミーポスト5の断面形状がテーパ状になる。具体的には、ダミーポスト5の底部の幅が、ダミーポスト5の上部の幅より大きい。しかも、図5(a)を参照しながら説明したように、絶縁パターン6が、このような断面形状のダミーポスト5の側面を囲む。したがって、ダミーポスト5の底部から上部へ向かって働く力でダミーポスト5を抜こうとすると、テーパ形状の断面形状のおかげで、ダミーポスト5は絶縁パターン6に止められる。つまり、ダミーポスト5の断面形状によって、アンカー効果(後述の第2のアンカー効果)が生じる。
【0090】
(7.絶縁パターンを設けるインクジェット工程)
図7を参照しながら、図5(a)の絶縁パターン6を設けるインクジェット工程をより詳細に説明する。
【0091】
まず、図示はしていないが、絶縁サブパターン42の表面、つまり絶縁パターン4の表面を、絶縁パターン6を形成するための機能液15に対して親液化する。本実施形態では、172nmの波長の光を、絶縁パターン4に照射する。そうすると、絶縁パターン4の表面は機能液15に対して親液化されるので、機能液15は絶縁パターン4上で広く濡れ広がることができる。
【0092】
次に、図7(a)に示すように、絶縁パターン4上に、液滴吐出装置100(図1)を用いて、絶縁材料を含有した機能液15を付与する。より具体的には、液滴吐出装置100がヘッド114と基体10Aとの少なくとも一方を他方に対して相対移動させる。そして、ヘッド114のノズル118が、絶縁パターン6が設けられるべき位置に対応した領域内に存在する場合に、液滴吐出装置100は、ノズル118から所定の周期で機能液15の液滴Dを吐出する。そうすると、吐出された液滴Dは絶縁パターン4に着弾して、そしてその結果、図7(b)に示すような機能液15の層6bが得られる。
【0093】
層6bを設ける際に、後に層6bから得られる絶縁パターン6が、複数のダミーポスト5のそれぞれの側面に接するとともに、絶縁パターン4から突出している導電ポスト3の側面に接するように、吐出される液滴Dの体積および数が、設定されている。また、絶縁パターン6から、複数のダミーポスト5のそれぞれの上部と導電ポスト3の上部とが露出するように、吐出される液滴Dの体積および数が、設定されている。
【0094】
次に、図7(b)に示すように、層6bを硬化する。本実施形態では、365nmの波長の光を所定時間だけ照射する。そうすると、機能液15における絶縁材料としての感光性のアクリル樹脂の硬化反応が進行して、図7(c)に示すように、層6bから絶縁パターン6が得られる。
【0095】
ここで、層6bを硬化すると、機能液15に含まれる絶縁材料が収縮するので、絶縁パターン6と複数のダミーポスト5との間の密着性が向上する。この結果、複数のダミーポスト5が、それらの底部から上部へ向かって働く力で抜き取られようとすると、ダミーポスト5は絶縁パターン6によって止められる。このように、絶縁材料の収縮(硬化収縮)によって第1のアンカー効果が生じるので、複数のダミーポスト5のそれぞれは、絶縁パターン6に対して固定される。
【0096】
しかも、本実施形態では、複数のダミーポスト5のそれぞれはインクジェット工程で設けられているので、複数のダミーポスト5のそれぞれの断面形状は、テーパ状である。つまり、ダミーポスト5の底部の幅が、ダミーポスト5の上部の幅よりも大きい。そしてこのため、ダミーポスト5が、その底部から上部へ向かって働く力で抜き取られようとすると、ダミーポスト5は絶縁パターン6によって止められる。このように、複数のダミーポスト5のそれぞれの断面形状によって第2のアンカー効果が生じるので、複数のダミーポスト5のそれぞれは、絶縁パターン6に対して固定される。
【0097】
本実施形態によれば、上述の導電パターン7が、複数のダミーポスト5に対して固定される。ここで、複数のダミーポスト5のそれぞれは絶縁パターン6に対して固定されているので、このため、導電パターン7は絶縁パターン6に対しても固定される。しかも、絶縁パターン6は絶縁パターン4に対して固定されているので、結果として、導電パターン7は、より下地の絶縁パターン4に対しても固定される。
【0098】
(実施形態2)
図8を参照しながら、実施形態2の多層構造形成方法を説明する。
【0099】
本実施形態の多層構造形成方法は、ダミーポスト5の形成方法と絶縁パターン16の形成方法とを除いて、実施形態1の多層構造形成方法と基本的に同じである。このため、実施形態1と同様な構成要素には実施形態1と同じ参照符号が付されており、記載が重複することを防ぐ目的で、それらの詳細な説明は省略されている。
【0100】
まず、実施形態1の図4(a)〜(d)で説明した工程によって、導電ポスト3と、導電ポスト3の側面の下部を囲む絶縁パターン4と、を設ける(図8(a))。上述のように本実施形態の絶縁パターン4は、互いに積層された2つの絶縁サブパターン41,42からなる。
【0101】
次に、図8(b)から(d)に示すように、絶縁パターン4上にインクジェット工程によって、複数のダミーポスト5と、複数のダミーポスト5のそれぞれの側面を囲む絶縁パターン16とを、設ける。具体的には、以下の通りである。
【0102】
まず、絶縁パターン4上に、液滴吐出装置100を用いて、絶縁材料を含有した機能液15を付与する。より具体的には、液滴吐出装置100がヘッド114と基体10Aとの少なくとも一方を他方に対して相対移動させる。そして、ヘッド114のノズル118が、絶縁パターン16が設けられるべき位置に対応した領域内に存在する場合に、液滴吐出装置100は、ノズル118から所定の周期で機能液15の液滴Dを吐出する。そうすると、吐出された液滴Dは絶縁パターン4に着弾して、そしてその結果、図8(b)に示すような機能液15の層16bが得られる。
【0103】
そして、層16bを硬化する前に、液滴吐出装置100を用いて、導電材料を含有した機能液14を付与する。具体的には、液滴吐出装置100がヘッド114と基体10Aとの少なくとも一方を他方に対して相対移動させる。そして、ヘッド114のノズル118が、ダミーポスト5が設けられべき位置に対応した領域内に存在する場合に、液滴吐出装置100はノズル118から所定の周期で機能液14の液滴Dを吐出する。
【0104】
ここで、層16bは硬化されていないので、吐出された機能液14の液滴Dは、層16b内に沈んでいく。このため、吐出された機能液14からなる複数のダミーポスト前駆体5bpのそれぞれは、図8(c)に示すように、層16bに埋まる。
【0105】
このようにして、複数のダミーポスト前駆体5bpのそれぞれの側面は、層16bに囲まれる。なお、後述する絶縁パターン16から複数のダミーポスト5のそれぞれの上部が露出するように、層16bの厚さと、複数のダミーポスト前駆体5bpのそれぞれの高さとが、設定されている。
【0106】
次に、層16bと、複数のダミーポスト前駆体5bpと、を一度に活性化する。本実施形態では、層16bと、複数のダミーポスト前駆体5bpとを、一度に加熱する。そうすると、層16bにおける絶縁材料が硬化するとともに、複数のダミーポスト前駆体5bpのそれぞれにおける銀粒子が焼結または融着する。そしてこのため、このような活性化によって、図8(d)に示すように、層16bから絶縁パターン16が得られるとともに、複数のダミーポスト前駆体5bpから複数のダミーポスト5が得られる。
【0107】
ここで、複数のダミーポスト5は、インクジェット工程によって設けられているので、実施形態1において説明したように、複数のダミーポスト5のそれぞれの断面形状は、テーパ状である。具体的には、ダミーポスト5のそれぞれの底部の幅が、ダミーポスト5の上部の幅より大きい。そして、このような形状の複数のダミーポスト5のそれぞれの側面が、絶縁パターン16に囲まれるので、複数のダミーポスト5は、絶縁パターン16に固定される。
【0108】
次に、絶縁パターン16上にインクジェット工程によって、複数のダミーポスト5のそれぞれの上部に接続されるとともに、導電ポスト3の上部に接続される導電パターン7を設ける(図8(e))。実施形態1で説明したように、導電パターン7も、複数のダミーポスト5のそれぞれも銀を含有するので、導電パターン7と、複数のダミーポスト5とは、互いに密着できる。つまり、導電パターン7は、複数のダミーポスト5に対して固定される。
【0109】
ここで、複数のダミーポスト5のそれぞれは絶縁パターン16に対して固定されているので、このため、導電パターン7は絶縁パターン16に対しても固定される。しかも、絶縁パターン16は絶縁パターン4に対して固定されているので、結果として、導電パターン7は、より下地の絶縁パターン4に対しても固定される。
【0110】
(実施形態3)
図9を参照しながら、実施形態3の多層構造形成方法を説明する。
【0111】
まず、図9(a)に示すような基体10Bを準備する。ここで、基体10Bは、基板21と、基板21上に位置する導電パターン22とを備えている。基板21は、ポリイミドからなるフレキシブル基板であり、その形状はテープ状である。また、導電パターン22は、銅(Cu)からなり、フォトリソグラフィー工程によってパターニングされている。なお、導電パターン22は金(Au)からなってもよい。
【0112】
次に、図9(b)に示すように、導電パターン22上にインクジェット工程によって、凹凸パターンを設ける。
【0113】
具体的には、導電パターン22上にインクジェット工程によって、複数のダミーポスト23を設ける。ここで、複数のダミーポスト23を形成するインクジェット工程は、複数のダミーポスト5(図6)を設けるインクジェット工程と基本的に同じである。つまり、複数のダミーポスト23は、機能液14を吐出して複数のダミーポスト前駆体を形成して、そして、形成されたダミーポスト前駆体を活性化、つまり加熱して、得られる。ここで、上述のように機能液14は、導電材料として銀を含有する。そして、銀は、銅からなる導電パターン22に対して密着性がよい。このため、得られる複数のダミーポスト23のそれぞれは導電パターン22に密着する。
【0114】
さて、複数のダミーポスト23のそれぞれの形状は、ほぼ円錐台である。そして、本実施形態では、複数のダミーポスト23のそれぞれの高さは、導電パターン22の高さ(厚さ)のほぼ半分である。本実施形態では、導電パターン22の表面と、導電パターン22上に設けられた複数のダミーポスト23とが、凹凸パターンを構成する。
【0115】
次に、図9(c)に示すように、インクジェット工程によって、絶縁パターン24を設ける。この際、絶縁パターン24は、基板21上と、導電パターン22上と、複数のダミーポスト23と、を覆うように設けられる。また、絶縁パターン24を設けるインクジェット工程は、絶縁パターン6(図7)を設けるインクジェット工程と基本的に同じである。つまり、絶縁パターン24は、機能液15を吐出して機能液15の層を形成し、そして、形成された機能液15の層を活性化、つまり硬化して、得られる。ここで、上述のように機能液15は、絶縁材料として感光性のアクリル樹脂を含有する。そして、アクリル樹脂は、ポリイミドからなる基板21に対して密着性がよい。このため、得られる絶縁パターン24は基板21に密着する。
【0116】
さてここで、仮に、導電パターン22上に、ダミーポスト23が一つもない場合には、導電パターン22上に絶縁パターン24が直接接することになる。ここで、導電パターン22は、フォトリソグラフィー法で形成されており、そしてこのため、導電パターン22の表面は、平坦度の高い光沢面である。このような表面を有する導電パターン22に対して絶縁パターン24は、密着しにくい。このため、局所的にとは言え、得られた多層構造10は、剥がれやすい部分を含むことになる。
【0117】
ところが、本実施形態では、絶縁パターン24は、導電パターン22の表面とダミーポスト23とが構成する凹凸パターンを覆う。そして、この結果、導電パターン22と絶縁パターン24との密着性は向上する。この理由の一つは以下の通りである。絶縁パターン24を設けるインクジェット工程が、機能液15の層を硬化する工程を含むので、機能液15における絶縁材料(アクリル樹脂)が硬化収縮する。この結果、得られる絶縁パターン24は、凹凸パターンに対してアンカー効果を及ぼす。そしてこのため、絶縁パターン24が、導電パターン22に密着する。
【0118】
したがって、本実施形態の多層構造形成方法によれば、下地の導電パターン22から剥がれにくい絶縁パターン24が得られる。
【0119】
(変形例1)
実施形態1および2のダミーポスト5の形状は、ほぼ円錐台であり、そしてこのため、ダミーポスト5の断面形状は、テーパ状である(図10(a))。しかしながら、本発明の「ダミーポスト」の形状は、円錐台に限定されない。具体的には、「ダミーポスト」の断面形状がテーパ状であれば、ダミーポストの形状が円錐台の形状である必要ない。
【0120】
例えば、図10(b)および図11に示すダミーポスト35の形状は、X軸方向またはY軸方向へ延びるストライプ状である。ダミーポスト35の形状がストライプ状であっても、インクジェット工程によって設けられるのであれば、ダミーポスト35の断面形状はテーパ状になる。つまり、ダミーポスト35の底部の幅は、ダミーポスト35の上部の幅よりも大きい。
【0121】
ダミーポスト35の形状がストライプ状であれば、円錐台のダミーポスト5の場合と比べて、ダミーポスト35と導電パターン7との接触面積がより大きい。そしてこのため、ダミーポスト35と導電パターン7とをより密着させることができる。なお、図10(a)および(b)の紙面は、XY平面に平行である。
【0122】
(変形例2)
実施形態1および2では、導電パターン7は接続ランドである。また、導電パターン7を固定する機能を担うのは、導電ポスト3と複数のダミーポスト5との組合せである。ただし、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、図10(c)に示すように、接続ランドを固定する機能を担うのが、複数のダミーポスト5だけでもよい。つまり、導電ポスト3は無くてもよい。さらに、複数のダミーポスト5が固定する対象は、接続ランドに限定されず、ストライプ状の導電パターン7Aでもよい。なお、図10(c)の紙面は、XY平面に平行である。
【0123】
(変形例3)
実施形態1から3の機能液14には、銀のナノ粒子が含まれている。しかしながら、銀のナノ粒子に代えて、他の金属のナノ粒子が用いられてもよい。ここで、他の金属として、例えば、金、白金、銅、パラジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム、イリジウム、鉄、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、クロム、チタン、タンタル、タングステン、インジウムのいずれか1つが利用されてもよいし、または、いずれか2つ以上が組合せられた合金が利用されてもよい。ただし、銀であれば比較的低温で還元できるため、扱いが容易であり、この点で、液滴吐出装置100を利用する場合には、銀のナノ粒子を含有する機能液14を利用することは好ましい。
【0124】
また、機能液14が、金属のナノ粒子に代えて、有機金属化合物を含んでいてもよい。ここでいう有機金属化合物は、加熱による分解によって金属が析出するような化合物である。このような有機金属化合物には、クロロトリエチルホスフィン金(I)、クロロトリメチルホスフィン金(I)、クロロトリフェニルフォスフィン金(I)、銀(I)2,4−ペンタンヂオナト錯体、トリメチルホスフィン(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)銀(I)錯体、銅(I)ヘキサフルオロペンタンジオナトシクロオクタジエン錯体、などがある。
【0125】
このように、機能液14に含まれる金属の形態は、ナノ粒子に代表される粒子の形態でもよいし、有機金属化合物のような化合物の形態でもよい。
【0126】
さらに、機能液14は、金属に代えて、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレンなどの高分子系の可溶性材料を含んでいてもよい。
【0127】
(変形例4)
実施形態1において述べたように、機能液14における銀のナノ粒子は、有機物などのコーティング剤で被覆されてもよい。このようなコーティング剤として、アミン、アルコール、チオールなどが知られている。より具体的には、コーティング剤として、2−メチルアミノエタノール、ジエタノールアミン、ジエチルメチルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、メチルジエタノールアミンなどのアミン化合物、アルキルアミン類、エチレンジアミン、アルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、アルキルチオール類、エタンジチオールなどがある。コーティング剤で被覆された銀のナノ粒子は、分散媒中でより安定して分散され得る。
【0128】
(変形例5)
実施形態1から3によれば、紫外域の波長の光を照射して、基板1,21の表面、および絶縁パターン4の表面を親液化する。しかしながら、このような親液化に代えて、大気雰囲気中で酸素を処理ガスとするO2プラズマ処理を施しても、これらの表面を親液化できる。O2プラズマ処理は、物体表面に対して、図示しないプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射する処理である。O2プラズマ処理の条件は、プラズマパワーが50〜1000W、酸素ガス流量が50〜100mL/min、プラズマ放電電極に対する物体表面の相対移動速度が0.5〜10mm/secであり、物体表面の温度が70〜90℃であればよい。
【0129】
(変形例6)
実施形態1から3では、多層構造形成方法が、複数の液滴吐出装置100によって実現される。ただし、多層構造形成方法において利用される液滴吐出装置100の数は1つだけでもよい。液滴吐出装置100の数が1つの場合には、1つの液滴吐出装置100において、ヘッド114ごとに異なる液状材料111を吐出すればよい。
【0130】
(変形例7)
実施形態1から3では、機能液15は、溶剤と、絶縁材料として感光性のアクリル樹脂と、を含有している。つまり、機能液15は、溶剤に溶けた重合体を含有している。
【0131】
しかしながら、このような構成に代えて、機能液15が、絶縁材料の前駆体を含有していてもよい。例えば、機能液15が、光重合開始剤と、ビニル基、エポキシ基等の重合性官能基を有するモノマーおよび/またはオリゴマ−と、を含んでいてもよい。また、例えば、機能液15は、光官能基を有するモノマーが溶解している有機溶液であってもよい。ここで、光官能基を有するのモノマーとして、光硬化性イミドモノマーが利用できる。さらに例えば、絶縁樹脂の材料であるモノマー自体がノズル118からの吐出に適した流動性を有する場合には、モノマーが溶けた有機溶液を用いる代わりに、モノマーそれ自体(つまりモノマー液)を機能液15としてもよい。このような機能液15を用いる場合でも、本発明の絶縁パターンまたは絶縁サブパターンを形成できる。このように、絶縁パターンを設けるための機能液15は、絶縁材料の前駆体を含有し得る。
【0132】
また、機能液15は、絶縁材料として、SiO2などの無機の絶縁材料を含有していてもよい。つまり、得られる絶縁パターン6が「絶縁樹脂」である必要はない。ダミーポスト5,35の断面形状がテーパ状であれば、絶縁パターン6が絶縁樹脂以外から構成されていても、アンカー効果が得られるからである。
【0133】
(変形例8)
実施形態1および2では、多層構造10が、その最下層を構成する基板1から最表層を構成する導電パターン7まで、Z軸方向に積層された5つの層からなる。しかしながら、実際には、基板1と、絶縁パターン4との間に、さらに多くの層が存在してよい。つまり、本発明の「物体表面」は、基板1の表面でもよいし、他の絶縁層または絶縁パターンの表面でもよい。また、多層構造10において、複数の絶縁層または絶縁パターンの間に、抵抗器、キャパシタ、LSIベアチップ、またはLSIパッケージなどの電子部品が埋め込まれていてもよい。また、ポリイミドからなる基板1に代えて、セラミック基板、ガラス基板、エポキシ基板、ガラスエポキシ基板、またはシリコン基板などが利用されても、上記実施形態で説明した効果と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本実施形態の多層構造形成方法において用いられる液滴吐出装置の模式図。
【図2】(a)および(b)は、本実施形態の液滴吐出装置のヘッドを示す模式図である。
【図3】本実施形態の液滴吐出装置における制御部を示す機能ブロック図。
【図4】(a)から(e)は、本実施形態の製造方法の概要を説明する図である。
【図5】(a)および(b)は、本実施形態の製造方法の概要を説明する図である。
【図6】(a)から(e)は、本実施形態の製造方法の概要を説明する図である。
【図7】本実施形態の多層構造の断面を示す模式図。
【図8】(a)から(e)は、実施形態2の製造方法を説明する図である。
【図9】(a)から(c)は、実施形態3の製造方法を説明する図である。
【図10】(a)は、実施形態1から3のダミーポストの形状を示す模式図であり、(b)および(c)は、実施形態1から3のダミーポストの形状の変形例を示す模式図。
【図11】図10に示したダミーポストの断面形状を示す模式図。
【符号の説明】
【0135】
1…基板、2…導電パターン、3…導電ポスト、4…絶縁パターン、41…絶縁サブパターン、42…絶縁サブパターン、5…ダミーポスト、5b…層、5bp…ダミーポスト前駆体、6…絶縁パターン、6b…層、7…導電パターン、10a…基体、10b…基体、14,15…機能液、16…絶縁パターン、16b…層、21…基板、22…導電パターン、23…ダミーポスト、24…絶縁パターン、100…液滴吐出装置、114…ヘッド、118…ノズル。




 

 


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