米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 電気素子 -> 株式会社東芝

発明の名称 熱電変換装置及びその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−110082(P2007−110082A)
公開日 平成19年4月26日(2007.4.26)
出願番号 特願2006−198936(P2006−198936)
出願日 平成18年7月21日(2006.7.21)
代理人 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
発明者 十河 敬寛 / 舘山 和樹 / 花田 博吉 / 斎藤 康人 / 荒川 雅之 / 近藤 成仁 / 常岡 治 / 岩撫 直和
要約 課題
温度サイクルが付加されても気密封止を保って発電性能を向上することができるとともに、部品点数を減らすことで構造の単純化、生産性及び装置の信頼性の向上を図ることができる熱電変換装置及びその製造方法を提供する。

解決手段
金属基板2と、この金属基板2の表面上の中央部に載置された熱電変換素子3と、熱電変換素子3の上面及び側面を覆う金属製の蓋4と、金属基板2の表面上の周辺部において、金属基板2と蓋4との間を気密封止する金属製の接合用金属部材5とを備えている。
特許請求の範囲
【請求項1】
金属部材で内部空間が構成され、第1の主面と第2の主面とが互いに離間し対向する密閉容器と、
前記第1の主面上に形成される絶縁層と、
前記絶縁層表面に設けられる配線層と、
前記配線層上に一端が固着されて立設され、電気的に接続される複数の熱電変換素子と、
前記熱電変換素子の他端に配置され、前記複数の熱電変換素子間を電気的に接続する金属細線網と、
前記金属細線網と前記第2の主面との間に設けられた絶縁部材と、
を備えることを特徴とする熱電変換装置。
【請求項2】
前記密閉容器を構成する金属部材のうち、少なくとも前記熱電変換素子の他端側に位置する前記金属部材の材料は、コバール若しくはステンレス、又は双方の材料を組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1に記載の熱電変換装置。
【請求項3】
前記密閉容器の密閉構造を構成するために設けられる複数の前記金属部材を連結する接合部は、前記金属部材の材料とニッケルとの合金により構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱電変換装置。
【請求項4】
前記絶縁部材は、前記金属部材の内面に溶射膜として密着して形成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の熱電変換装置。
【請求項5】
前記溶射膜はホワイトアルミナ、グレイアルミナ、マグネシアスピネル、クロミア、又はジルコンのいずれかの素材で構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の熱電変換装置。
【請求項6】
前記第1の主面を有する基板を貫通して設けられるスルーホール配線と、
前記スルーホール配線を介して前記熱電変換素子において生じた起電力を前記熱電変換装置の外部に取り出す外部電極と、
を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の熱電変換装置。
【請求項7】
前記外部電極における前記スルーホール配線との接続面と反対の面は、前記第1の主面を有する基板の裏面と同一の高さであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の熱電変換装置。
【請求項8】
前記外部電極における前記スルーホール配線との接続面と反対の面は、前記第1の主面を有する基板の裏面よりも前記スルーホール配線に近い位置となるように設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の熱電変換装置。
【請求項9】
前記金属細線網は、金属箔で包まれていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の熱電変換装置。
【請求項10】
金属製の基板と、
前記基板の表面上の中央部に載置された熱電変換素子と、
前記基板の表面上の周辺部において接合され、前記熱電変換素子を内側に囲む枠体と、
前記基板の表面上において、一端が前記熱電変換素子に電気的に接続され、他端が前記枠体よりも外側に引き出され外部電極に接続された引出配線と、
前記基板の表面上に前記枠体を介して対向配置され、前記基板及び前記枠体とともに前記熱電変換素子を封止する蓋と、
を備えることを特徴とする熱電変換装置。
【請求項11】
前記引出配線の一端には前記熱電変換素子に電気的に接続する電極が一体に構成され、前記引出配線の他端には前記外部電極が一体に構成されていることを特徴とする請求項10に記載の熱電変換装置。
【請求項12】
金属製の基板と、
前記基板の表面に載置された熱電変換素子と、
前記熱電変換素子を介在して前記基板に対向配置された蓋と、
前記熱電変換素子の周囲を取り囲んで前記基板の周縁部に一端が接合されるとともに、前記蓋の周縁部に他端が接合される高熱抵抗形状部を有する枠体と、
を備えることを特徴とする熱電変換装置。
【請求項13】
前記高熱抵抗形状部は、前記一端から前記他端に向かって複数の屈曲部が現われるように部材を成形して形成された形状であることを特徴とする請求項12に記載の熱電変換装置。
【請求項14】
前記高熱抵抗形状部は、二辺がなす内角が鋭角である山部と二辺がなす外角が鋭角である谷部とが交互に現われるように部材を前記基板と前記蓋との間で交互に接合して形成された形状であることを特徴とする請求項12に記載の熱電変換装置。
【請求項15】
前記蓋と前記基板とを含むような任意の切断面内において、前記枠体の端部以外の切断面に接合部が形成された形状であることを特徴とする請求項12に記載の熱電変換装置。
【請求項16】
金属製の密閉容器を構成する第1の主面上に絶縁層を介して配線層を形成する工程と、
接合材料を介して前記配線層上に熱電変換素子を接合する工程と、
前記熱電変換素子上に金属細線網を載置する工程と、
絶縁部材を前記金属細線網上に載置するとともに金属製の密閉容器を構成する第2の主面との間で挟持し、前記金属製の容器を溶接によって密閉することで前記金属製の容器内に形成される内部空間を気密に封止する工程と、
を備えることを特徴とする熱電変換装置の製造方法。
【請求項17】
基板上に熱電変換素子を載置する工程と、
前記基板の表面上の周辺部に枠体を取り付ける工程と、
絶縁性を有する材料が溶射されて形成された溶射膜が内面に形成された蓋の、前記溶射膜上に金属細線網を固定する工程と、
前記基板の表面と前記蓋の内面とを対向配置し、前記蓋が前記溶射膜を介して前記金属細線網を前記熱電変換素子の他方の電極に押しつけるとともに、前記蓋の周辺部を前記枠体に取り付け前記基板と前記蓋と前記枠体とにより囲まれた空間内に前記熱電変換素子を気密封止する工程と、
を備えることを特徴とする熱電変換装置の製造方法。
【請求項18】
前記気密封止する工程は、前記基板と前記枠体端部とを溶接して気密封止する工程であることを特徴とする請求項17に記載の熱電変換装置の製造方法。
【請求項19】
前記溶射膜上に前記金属細線網を載置する工程は、前記溶射膜上に塗布された無機接着剤を介して前記金属細線網を接合する工程であることを特徴とする請求項17または請求項18のいずれかに記載の熱電変換装置の製造方法。
【請求項20】
金属製の基板の表面上においてその中央部からその周辺部に渡って引出配線を形成する工程と、
前記基板の表面上の周辺部に、前記引出配線を跨いで枠体を接合する工程と、
前記引出配線の一端部の領域に構成された電極に熱電変換素子を電気的に接続する工程と、
前記基板の表面上に前記枠体を介して蓋を取り付け、前記基板、前記枠体及び前記蓋により形成された空間内に前記熱電変換素子を封止する工程と、
を備えることを特徴とする熱電変換装置の製造方法。
【請求項21】
前記引出配線を形成した後に、
金属箔に絶縁性を備えた接着膜が形成されているプリプレグを前記枠体を接合する領域及び前記熱電変換素子が載置される前記基板の表面上の中央部に張り合わせる工程と、
前記プリプレグを前記基板の表面上の中央部から取り除く工程と、
を備えることを特徴とする請求項20に記載の熱電変換装置の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電変換装置及びその製造方法に関し、特に熱を電気に或いは電気を熱に変換する熱電変換装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電変換装置は、トムソン効果、ペルチェ効果、ゼーベック効果等の熱電効果を利用した装置である。既に量産化されているものとしては、電気を熱に変換する温度調整ユニット等を挙げることができる。また、例えば、排熱から電気を取り出す発電ユニットとしても研究開発が進められている。
【0003】
熱電変換装置の発電効率を熱電変換素子自体の発電効率に近づけるためには、熱電変換素子の一端部への熱供給と熱電変換素子の他端部からの放熱とをスムーズに行う必要がある。そのため、熱電変換装置を構成する絶縁基板には熱伝導に優れたセラミック基板が使用されている。そして熱電変換素子の端部に配置される電極は、電気抵抗の低い材料によって構成されている。
【0004】
また、熱電変換装置が200℃以上の高温にさらされる場合には、直接熱にさらされる部材が熱により破壊されないということの他に、熱電変換素子や熱電変換素子を電気的に接続する電極が気密に封止されることが求められる。これは、熱電変換素子や電極が高温にさらされることにより酸化し、発電性能が低下することを防止するためである。熱電変換装置においては、前述のように絶縁基板にはセラミック基板が一般的に使用されており、このセラミック基板とケースとの間はろう接により気密封止がなされている。
【0005】
熱電変換装置は、外部に取り出すことのできる起電力の出力を上げるために、基板上複数の熱電変換素子が電極を有する絶縁基板に挟まれて配列されるとともに、電気的に直列に熱的には並列に接続されて配置される。但し、個々の熱電変換素子の高さにばらつきがあることもあり、この場合、高温側から吸収された熱が十分に熱電変換素子に供給されない等の不都合が発生し、所望の発電性能が得られない場合がある。そこで、弾性を有する導電性部材を熱電変換素子の基板と接合された一端面と対向する他端面に配置し、さらに、その移動を防止するために導電性部材及び熱電変換素子を覆うキャップ型の電極を配置した熱電変換装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−64457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている発明では、熱電変換装置における発電性能の向上を図ることが困難な場合も考えられる。すなわち、上述したキャップ型の電極を設けた場合に、これら複数の電極が互いに接触して短絡することを防止するため、基板上であって熱電変換素子の間に所定の高さを有する絶縁板が配置される。この絶縁板が配置されると、基板上に配置される熱電変換素子の個数が限定され、基板の単位面積あたりに占める熱電変換素子の割合が減ることになるため、熱電変換装置の出力密度を高めることができず、発電性能は低下することになる。
【0007】
また、熱電変換装置においては、その動作中高温にさらされるので、熱電変換装置を構成する各部材が常温時に比して熱膨張し、しかも各部材の線膨張係数の違いや吸熱側と放熱側との温度差により各部材の変形量は異なる。特に、セラミックの基板とケースとの間の線膨張係数差が大きいためろう付部に加わる負荷が大きくなって破断が生じ、熱電変換装置の内部の気密性が劣化し発電性能が低下する。
【0008】
さらに、熱源から熱電変換素子への熱抵抗は、熱源と熱電変換素子の間に介在する部材の種類、厚さ、部材間の機械的な接触に影響を受けることになる。特に機械的な接触による影響が大きいことから、部品点数を減らすことで熱源と熱電変換素子の間における機械的な接触を低減し、熱抵抗を低くして発電性能を向上させる必要がある。熱電変換装置の基板と冷媒との間においても、例えば、熱電変換装置から外部へ起電力を取り出す外部電極の厚みが基板よりも厚く基板と冷媒との間に隙間ができると、この間における熱抵抗が大きくなり、発電性能が低下する原因となる。
【0009】
また、蓋との電気的な絶縁を図るためにセラミック基板を蓋の内面に隙間なく接触させて組み付ける場合も、加工精度の問題から蓋の内面とセラミック基板との間に隙間が生じ、この隙間に存在する空気層によって熱電変換素子への熱伝達ロスが生じる。この熱伝達ロスはキャップ型電極とセラミック基板との間でも生じ、これらの熱伝達ロスは発電性能の低下につながる。
【0010】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、温度サイクルが付加されても気密封止を保って発電性能を向上することができるとともに、部品点数を減らすことで構造の単純化、生産性及び装置の信頼性の向上を図ることができる熱電変換装置及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、熱電変換装置において、金属部材で内部空間が構成され、第1の主面と第2の主面とが互いに離間し対向する密閉容器と、第1の主面上に形成される絶縁層と、絶縁層表面に設けられる配線層と、配線層上に一端が固着されて立設され、電気的に接続される複数の熱電変換素子と、熱電変換素子の他端に配置され、複数の熱電変換素子間を電気的に接続する金属細線網と、金属細線網と第2の主面との間に設けられた絶縁部材とを備える。
【0012】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、熱電変換装置において、金属製の基板と、基板の表面上の中央部に載置された熱電変換素子と、基板の表面上の周辺部において接合され、熱電変換素子を内側に囲む枠体と、枠体が接合された基板の表面上において、一端が熱電変換素子に電気的に接続され、他端が枠体よりも外側に引き出された配線電極と、基板の表面上に枠体を介して対向配置され、基板及び枠体とともに熱電変換素子を封止する蓋とを備える。
【0013】
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、熱電変換装置において、金属製の基板と、基板の表面に載置された熱電変換素子と、熱電変換素子を介在して基板に対向配置された蓋と、熱電変換素子の周囲を取り囲んで基板の周縁部に一端が接合されるとともに、蓋の周縁部に他端が接合される高熱抵抗形状部を有する枠体とを備える。
【0014】
本発明の実施の形態に係る第4の特徴は、熱電変換装置の製造方法において、金属製の密閉容器を構成する第1の主面上に絶縁層を介して配線層を形成する工程と、接合材料を介して配線層上に熱電変換素子を接合する工程と、熱電変換素子上に金属細線網を載置する工程と、絶縁部材を金属細線網上に載置するとともに金属製の密閉容器を構成する第2の主面との間で挟持し、金属製の容器を溶接によって密閉することで金属製の容器内に形成される内部空間を気密に封止する工程とを備える。
【0015】
本発明の実施の形態に係る第5の特徴は、熱電変換装置の製造方法において、基板上に熱電変換素子を載置する工程と、基板の表面上の周辺部に枠体を取り付ける工程と、絶縁性を有する材料が溶射されて形成された溶射膜が内面に形成された蓋の、溶射膜上に金属細線網を固定する工程と、基板の表面と蓋の内面とを対向配置し、蓋が溶射膜を介して金属細線網を熱電変換素子の他方の電極に押しつけるとともに、蓋の周辺部を枠体に取り付け基板と蓋と枠体とにより囲まれた空間内に熱電変換素子を気密封止する工程とを備える。
【0016】
本発明の実施の形態に係る第6の特徴は、熱電変換装置の製造方法において、金属製の基板の表面上においてその中央部からその周辺部に渡って引出配線を形成する工程と、基板の表面上の周辺部に、引出配線を跨いで枠体を接合する工程と、引出配線の一端部の領域に構成された電極に熱電変換素子を電気的に接続する工程と、基板の表面上に枠体を介して蓋を取り付け、基板、枠体及び蓋により形成された空間内に熱電変換素子を封止する工程とを備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、温度サイクルが付加されても気密封止を保って発電性能を向上することができるとともに、部品点数を減らすことで構造の単純化、生産性及び装置の信頼性の向上を図ることができる熱電変換装置及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換装置(密閉容器)1は、金属製の金属基板2と、この金属基板2の表面(以下、適宜「第1の主面α」という。)上の中央部に載置された熱電変換素子3と、熱電変換素子3の上面及び側面を覆う金属製の蓋4と、第1の主面αの周辺部において、金属基板2と蓋4との間を気密封止する金属製の接合用金属部材5とから構成される。すなわち、金属基板2、金属製の蓋4、接合用金属部材5と、その容器(熱電変換装置)1を構成する全ての部材が金属でできている。
【0020】
第1の主面α上の中央部には絶縁層6が設けられ、この絶縁層6上には導電性の第1の配線層7が載置されている。絶縁層6には、例えば、樹脂若しくはセラミック粉末を含有した樹脂が好適に用いられる。具体的には、第1の実施の形態においては、金属基板2及び第1の配線層7に銅、絶縁層6にセラミック粉末を含有したエポキシ樹脂を使用することができる。第1の配線層7の上には、例えば半田等の接合材料8を介して熱電変換素子3が接合されている。
【0021】
第1の配線層7と接合されていない熱電変換素子3の端部の上には、一対の熱電変換素子3を跨ぐように網目状の導電性部材として金属細線網9が配置されている。具体的には、金属細線網9には、直径0.6mmのCu細線を編み込んで形成されたストラップを所定の長さに切断したものを使用することができる。
【0022】
金属細線網9は厚さ方向に弾性を有していることから、金属細線網9は実装された熱電変換素子3の高さのばらつきを吸収することができる。そのため、この金属細線網9により熱電変換素子3と第2の配線層11との間の電気的な接続を確実に行うことができるとともに、熱電変換素子3を長さごとに選別、検定する等の工程を除くことができる。
【0023】
金属細線網9の上には絶縁部材10が配置されている。この絶縁部材10の表面(図1中、下側表面)には第2の配線層11が形成されており、絶縁部材10の裏面(図1中、上側表面)の全面には金属被膜12が設けられている。金属被膜12は、蓋4において第1の主面αと対向する面(以下、「第2の主面β」という。)と接する。第2の配線層11と金属被膜12との間に絶縁部材10を挟み込む構造とすることにより、絶縁部材10の機械的強度を上げることができる。また、第2の主面βに金属被膜12が接しているので、吸熱効率を高めることができる。
【0024】
蓋4は、例えば、コバール或いはステンレス(好ましくは、SUS304。)等の金属により構成されており、金属製の接合用金属部材5を介して金属基板2と金属接合されている。接合用金属部材5には、ニッケル(Ni)箔等の金属箔を使用することができる。これまでのセラミックの基板とは異なり、金属基板2も蓋4も金属でできていることから、金属基板2と蓋4との線膨張係数差が小さくなり、温度サイクルに伴い双方の接合部に発生する応力を減少させることができ、気密性を維持することができる。
【0025】
第1の実施の形態に用いている配線層は、市販のメタル基板を熱電変換装置用に成形したものである。一般的に広く販売されているメタル基板は、金属基板2に銅(Cu)やアルミニウム(Al)などが用いられている。そして、フィラーを含有する絶縁性のエポキシ接着剤を用いて、銅箔がパターニングされた第1の配線層7が、金属基板2の第1の主面αに貼着されている。このような市販のメタル基板を利用する場合、コバールやステンレスといった合金との接合を行うには、ニッケル部品を介する溶接により合金を形成して金属結合させることが有効である。このため、金属基板2が表出しているメタル基板の外縁に沿って配設可能なように、接合用金属部材5には、メタル基板の外周と同じ外形の枠状ニッケル部材を用いる。なお、金属基板2の材料として蓋4と同じ材料を用いることができる場合には、接合用金属部材5は不要である。
【0026】
蓋4は、その第2の主面βにおいて金属被膜12に接して複数の熱電変換素子3の上面及び側面を覆うように配置されて、金属基板2の周辺部において金属製の接合用金属部材5を介して金属基板2と接合されている。蓋4と金属基板2とが接合されることで熱電変換素子3上に載置されている絶縁部材10(第2の配線層11)及び金属細線網9は、蓋4及び金属基板2によって熱電変換素子3の長手方向、すなわち、起電力の発生に伴い電流が流れる方向に圧力が加えられるよう保持され挟持されている。
【0027】
蓋4において接合用金属部材5に当接する部分はフランジ形状に加工されている。蓋4のフランジの端部と接合用金属部材5と金属基板2とが重ね合わされている側面部分は、全周に渡ってレーザ溶接が施されていて、ニッケルを組成に含む合金が形成されることにより接合されている。
【0028】
このように、熱電変換装置1は金属基板2及び蓋4により囲まれた内部空間を有し、この内部空間が外部に対して密閉された密閉容器となる。密閉容器の内部は、高温にさらされても密閉容器が変形、破壊が生じにくいように、減圧雰囲気に設定されている。各熱電変換素子3は、減圧雰囲気が維持された密閉容器内に気密に封止されている。
【0029】
なお、この熱電変換素子3にはp型熱電変換素子3aとn型熱電変換素子3bとの2種類がある。複数のp型熱電変換素子3aと複数のn型熱電変換素子3bとが交互に電気的に直列に接続され、かつ熱的に吸熱側から放熱側に向かって並列に配置されている。
【0030】
ここで、熱電変換素子3において、p型熱電変換素子3aとn型熱電変換素子3bとでは、熱を加えたときに電流の生じる方向が熱の勾配の方向に対して互いに逆向きとなる。p型の熱電変換素子3a、n型の熱電変換素子3bを第1の配線層7並びに第2の配線層11によって電気的に直列に接続することによって、起電力の電圧を昇圧させるようになっている。
【0031】
電気的に直列接続する構成としては、例えば、p型熱電変換素子3a、n型熱電変換素子3bを金属基板2上で行方向及び列方向に交互に配置し、各行において一対のp型熱電変換素子3a、n型熱電変換素子3bの一端にそれぞれ1つの第1の配線層7を電気的に接触させる。そして、共通の第1の配線層7に接続されていない隣接する一対のp型熱電変換素子3a、n型熱電変換素子3bの他端にそれぞれ1つの第2の配線層11を電気的に接触させる。すなわち、各行の端部におけるp型熱電変換素子3a、n型熱電変換素子3bについては、列方向に隣接する熱電変換素子同士を第1の配線層7或いは第2の配線層11により電気的に接触させた構成とする。このような構成とすることで、熱から変換された電流は、p型熱電変換素子3aとn型熱電変換素子3bとを交互に通過して外部電極から取り出される。
【0032】
金属基板2と絶縁層6を貫通して設けられたスルーホール配線13は、さらに金属基板2の外部に露出した部分において金属層14と接続され、この金属層14が半田15を介して外部電極16と接続されることで、熱電変換素子3において生成された起電力が外部に取り出されることになる。
【0033】
次に、熱電変換装置1の製造方法(組立方法)の一例について、図2ないし図7を利用して説明する。
【0034】
図2に示すように、金属基板2(第1の主面α)に、第1の配線層7を設けた絶縁層6を接合するとともに、スルーホール配線13を形成する。絶縁層6は、第1の主面αの表面全体に接合されるのではなく、後述する蓋4と金属基板2との接合領域を確保するため、金属基板2の周縁に沿った周辺部において、絶縁層6が接合されない領域が存在するように金属基板2の中央部に接合される。
【0035】
図3に示すように、第1の配線層7の上の所定部位に接合材料8を塗布する。接合材料8は、例えば半田が好適に用いられるが、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができるのであれば、その材質を特に限定するものではない。
【0036】
次に、図4に示すように、接合材料8が塗布された箇所であって、例えば上述した配列に従って複数の熱電変換素子3a及び3bを載置し、第1の配線層7と熱電変換素子3a、3bのそれぞれとを接合する。例えば、接合材料8に半田を用いた場合には、リフロー炉内において、第1の配線層7と熱電変換素子3a、3bのそれぞれとは一括して接合される。
【0037】
図5に示すように、熱電変換素子3aと3bとを跨ぐ(双方の間を電気的に接続する)ように金属細線網9を載置する。本工程においては、金属細線網9は熱電変換素子3との間において接合はせず、あくまでも載置するだけである。
【0038】
その後、熱電変換素子3上に載置された金属細線網9の上に、予め表面に第2の配線層11、裏面に金属被膜12を設けた絶縁部材10を載置する。図6からも明らかなように、第2の配線層11は、金属細線網9と接する範囲にのみ設けられている。なお、本工程においても、絶縁部材10は金属細線網9と接合されることはなく、金属細線網9の上に載置されるだけである。
【0039】
そして、図7に示すように、蓋4を絶縁部材10の上から金属被膜12と接して熱電変換素子3の上面及び側面を覆うとともに、蓋4の側面部分を上述した絶縁層6が接合されていない金属基板2の表面の周辺部に配置する。その後、この蓋4と金属基板2との間を金属製の接合用金属部材5を介して接合する。なお、第1の実施の形態では、蓋4の素材としてSUS304、接合用金属部材5にNiを使用したが、気密封止を維持できるのであれば蓋4、接合用金属部材5の素材としてこれらの素材に限定されるものではない。
【0040】
このように蓋4と金属基板2を接合することによって、両者の間に熱電変換素子3が配置される内部空間C1が生成される。蓋4に予め設けられていた封止孔17を利用してこの内部空間C1内を、例えば大気圧に対して0.07MPaだけ減圧して減圧雰囲気にし、または、併せて窒素やアルゴンガス等を充填して非酸化雰囲気にし、封止孔17をレーザにより溶融して気密に封止する。これにより、気密封止構造を有する熱電変換装置1を得ることができる。そして、熱電変換装置1により発電された電気を外部に取り出すための外部電極16をスルーホール配線13の部分に取り付ける。なお、熱電変換装置1に設けられるスルーホール配線13は1つに限らず、複数設けられてもよい。
【0041】
このようにして、金属製の基板2に金属製の接合用金属部材5を介して金属製の蓋4を接合することにより、熱電変換装置1の外部を構成する各部材の線膨張係数差を減少することができることから、熱電変換装置1が高温にさらされても金属基板2と蓋4との間の接合部分が破壊され気密封止を損なうことがなくなる。従って、熱電変換装置1内の内部空間C1に設けられた熱電変換素子3の発電性能を向上することができ、信頼性に優れた熱電変換装置1を実現することができるとともに、この熱電変換装置1を簡易に製作することができる。
【0042】
(第1の変形例)
次に第1の実施の形態における第1の変形例について説明する。なお、第1の変形例並びに第1の実施の形態におけるそれ以降の各変形例において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0043】
第1の変形例の構成は、第1の実施の形態に示した構成とは蓋4が蓋4と枠体4aとに分割され、枠体4aと金属基板2との接合方法において相違する。すなわち、第1の実施の形態においては、蓋4を金属基板2の表面上の周辺部において金属製の接合用金属部材5を介して接合したが、第1の変形例においては、金属基板2の裏面上の周辺部において枠体4aが接合される。
【0044】
熱電変換装置1は、吸収した熱から熱電変換素子3を用いて発電する。より大きな出力を発生させ熱電変換効率を上げるためには、第1の主面αにおいて単位面積あたりにより多くの熱電変換素子3を配置する必要がある。しかし、蓋4を第1の主面αの周辺部において接合すると、蓋4と金属基板2との接合に一定の接合面積が必要となり、熱電変換素子3を配置するために必要となる第1の主面αの表面面積が減少することになる。そこで、第1の変形例における熱電変換装置1においては、熱電変換素子3の第1の主面α上における実装効率を向上しつつ、蓋4と金属基板2との接合面積を十分に確保するようにしたものである。
【0045】
すなわち、図8に示すように、熱電変換素子3の側面を覆う部分の枠体4aが金属基板2の裏面に回り込むように構成し、この枠体4aと金属基板2の裏面の周辺部との間を金属製の接合用金属部材5を介して接合する。これにより第1の主面αと比べても金属基板2の裏面には枠体4aとの接合領域を十分に確保することができる。接合領域(金属基板2の裏面の周辺部)においては、金属基板2の裏面の中央部に比べて、金属基板2の厚さが薄く設定されており、接合用金属部材5の位置決めが容易に行えるとともに、枠体4a(接合部分)が金属基板2の裏面の中央部より突出しないようになっている。
【0046】
このようにして、枠体4aを金属基板2の裏面において接合することにより、第1の主面αに接合領域を設けずに熱電変換素子3の実装領域として有効に利用することができ、第1の主面α上により多くの熱電変換素子3を配置することができる。従って、熱電変換装置1において、気密封止を保ちつつ発電性能をより一層向上することができる。
【0047】
(第2の変形例)
次に第1の実施の形態における第2の変形例について説明する。
【0048】
第2の変形例においては、上述の第1の実施の形態とは異なり、図9に示すようにスルーホール配線13の構成が異なる。すなわち、第2の変形例においては、図10(A)に示すように、まず金属基板2にスルーホール配線13を形成するために、予め貫通孔13Aを形成する。引き続き、図10(B)に示すように、貫通孔13Aに絶縁材13Bを埋め込み、金属基板2に形成した貫通孔13Aを一旦塞ぐ。その上で第1の主面αに第1の配線層7を有する絶縁層6を接合し、金属基板2の裏面には絶縁層13C及び金属層14を接合する(いずれも図10においては図示せず。)。従って、下の層から見ると、金属層14、絶縁層13C、金属基板2、絶縁層6、第1の配線層7の順に層が形成されている(図9参照。)。
【0049】
この状態において、図10(C)に示すように、上述した各層を貫通するスルーホール13Dを形成する。スルーホール13Dは、例えばドリルを使用した機械加工により形成する。また、スルーホール13Dは打ち抜き加工により形成してもよい。図10(D)に示すように、スルーホール13Dの少なくとも内壁に沿ってスルーホール配線13を形成する。スルーホール配線13は、例えばめっきにより形成することができる。そしてその後、外部電極16を半田15を介して金属層14に接合する。
【0050】
このようなスルーホール配線13の製造方法を採用することで、熱電変換装置1内の内部空間C1を気密に封止して熱電変換素子3の発電性能を向上することができ、信頼性に優れた熱電変換装置1並びにその製造方法を実現することができるだけではなく、スルーホール配線13の製作に特別な治具等を用いることなく、簡易にスルーホール配線13を製作することができる。
【0051】
(第3の変形例)
次に、第1の実施の形態における第3の変形例について説明する。
【0052】
第3の変形例においては、上記第1の実施の形態とは異なり、図11に示すようにスルーホール配線23の構成が異なる。まず、金属基板2にスルーホール配線23を形成するために、予め貫通孔23Aを形成する。この貫通孔23Aは金属基板2の表面(第1の主面α)に開いた径よりも裏面の径を大きく形成する。続いて、貫通孔23Aに絶縁材23Bを埋め込み、金属基板2に形成した貫通孔23Aを一旦塞ぐ。但し、絶縁材23Bは貫通孔23Aを完全に埋めるのではなく、金属基板2の裏面から見て窪みが形成されるように埋める。
【0053】
その上で金属基板2の表面に第1の配線層7を有する絶縁層6を接合し、これら第1の配線層7を除く各層を貫通するスルーホール23Cを形成する。スルーホール23Cは例えばドリルを使用した機械加工により形成する。また、スルーホール23Cは打ち抜き加工により形成してもよい。
【0054】
そして、スルーホール23Cの内壁にスルーホール配線23を形成するとともに、絶縁材23Bと接し金属基板2の裏面と同一平面を形成するようにランド部23Dを形成する。スルーホール配線23及びランド部23Dは、例えばめっきにより形成することができる。その後、図11には記載していないが、半田15を介して外部電極16を接合する。
【0055】
このようなスルーホール配線13の製造方法を採用することで、熱電変換装置1内の内部空間C1を気密に封止して熱電変換素子3の発電性能を向上することができ、信頼性に優れた熱電変換装置1並びにその製造方法を実現することができるとともに、形成するランド部23Dの大きさを設計上自由に決めることが可能となる。すなわち、図11のAに示すようにランド部23Dと金属基板2との間の距離、いわゆる絶縁距離を自由に決めることができることにつながるため、ランド部23Dと金属基板2との間の絶縁をより確実に行うことが可能となる。さらに、外部電極16とランド部23Dの接合部分の面積を絶縁距離との兼ね合いを考慮しつつ最大限大きくすることができるため、外部電極16とランド部23Dとの間の接合をより簡易に強固なものとすることができる。
【0056】
なお、第3の変形例では貫通孔23Aを1段の段が付くように開孔したが、金属基板2の裏面の孔の方が表面の孔よりも大きく開孔されていれば、すなわち金属基板2の裏面から表面に向かって径が小さくなるように開孔されていれば、例えば、テーパ状に開孔する等、どのような形状となっていてもかまわない。
【0057】
また、第3の変形例におけるランド部23Dのように、ランド部23Dは設置性の問題から同一平面上をすることが望ましいが、必ずしも同一平面上に形成されなくても良い。但し、金属基板2と冷熱源との接触を妨げないように配慮してあることが好ましい。
【0058】
(第4の変形例)
次に第1の実施の形態における第4の変形例について説明する。
【0059】
第4の変形例に係る熱電変換装置1は、図12に示すように、金属基板2の裏面にフィン2aを備えた点に特徴がある。第4の変形例において、フィン2aは、金属基板2に機械加工し易い金属を採用しているので、金属基板2の裏面の切削加工、エッチング加工等により、製作することができる。
【0060】
すなわち、放熱側である金属基板2の裏面に放熱効果の高いフィン2aを備えることにより、熱電変換装置1の放熱効率を向上させることができ、熱電変換素子3の発電効率を向上させることができるので、熱電変換装置1の発電性能をより一層向上させることができる。
【0061】
なお、フィン2aは、金属基板2の裏面を加工して製作するのではなく、金属基板2とは別体として製作し金属基板2の裏面に装着してもよい。
【0062】
(第5の変形例)
次に第1の実施の形態における第5の変形例について説明する。
【0063】
第5の変形例に係る熱電変換装置1は、図13(A)及び図13(B)に示すように、金属基板2に熱交換ジャケット機能を備える点に特徴がある。図13(B)は、図13(A)のB−B線で切断して熱交換ジャケット2bを平面で表わした図である。
【0064】
すなわち、熱交換ジャケット機能は、熱電変換装置1の金属基板2の内部に引き回された、媒体を循環させる流路2cを備えて構成されている。流路2cは、均等かつ高い熱交換効率が得られるように、外部電極16との接続領域を除き、金属基板2の全域に蛇行するように引き回されている。金属基板2を2枚の基板の貼り合わせにより製作し、少なくとも一方の貼り合わせ基板に機械加工やエッチング加工により流路2cを形成することにより、金属基板2に簡易に熱交換ジャケット機能を備えることができる。
【0065】
金属基板2に熱交換効果の高い熱交換ジャケット機能を備えることにより、熱電変換装置1の熱交換効率を向上することができ、熱電変換素子3の発電効率を向上することができるので、熱電変換装置1の発電性能をより一層向上することができる。
【0066】
なお、前述の第4の変形例に係る熱電変換装置1と同様に、第5の変形例に係る熱電変換装置1においては、金属基板2の裏面に、金属基板2とは別体として製作した熱交換ジャケット2bを装着してもよい。また、図14に示すように併せて第4の変形例で述べたフィン2aを装着して表面積を大きくしても良い。
【0067】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態並びに第2の実施の形態における各変形例において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0068】
図15に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置31は、基板32と、基板32上の熱電変換素子3と、熱電変換素子3上の蓋34とを備えており、絶縁性を有する蓋34の内面に密着して形成されている溶射膜35を備える。
【0069】
基板32は、絶縁基板32a、絶縁基板32aに設けられた金属膜32b及び配線層37によって構成される。なお、ここで基板32の表面とは、熱電変換素子3が載置される面を意味し、裏面とは金属膜32bが設けられた面を意味する。絶縁基板32aには、例えば、図15に示すような第2の実施の形態におけるセラミック板の他、樹脂若しくはセラミック粉末を含有した樹脂が好適に用いられる。また、金属膜32bは、例えば接合し、或いは蒸着等により絶縁基板32aの裏面に形成されてもよい。金属膜32bには、例えば銅を好適に使用することができる。絶縁基板32aの表面の配線層37の上には、例えば半田等の接合材料8を介して熱電変換素子3が接合されている。
【0070】
熱電変換素子3にはp型熱電変換素子3aとn型熱電変換素子3bとの2種類がある。複数のp型熱電変換素子3aと複数のn型熱電変換素子3bとが交互に電気的に直列に接続され、かつ熱的に吸熱側から放熱側に向かって並列に配置されている。
【0071】
蓋34は、例えば、コバール或いはステンレス(好ましくは、SUS304。)等の金属により構成されており、その内面に密着させるようにして溶射膜35を設けている。なお、ここで蓋34の内面とは、基板32の表面と熱電変換素子3を介して対向する面を意味し、蓋34のうち熱電変換装置31として構成された場合に外部と接する面を外面とする。
【0072】
溶射膜35は、絶縁性を有するセラミックス材料を用いている。このセラミックス材料としては、電気絶縁性、耐摩耗性があり、蓋34を構成する例えば、コバール或いはステンレスに対する相性がよい、例えば、ホワイトアルミナ、グレイアルミナ、マグネシアスピネル、クロミア、又はジルコン等を適宜選択して溶射することができる。なお、蓋34の内面における溶射膜35の溶射範囲は、蓋34の全面でもよいが、少なくとも熱電変換素子3が配列されている領域を覆う程度には溶射膜35が形成される必要がある。
【0073】
蓋34は、複数の熱電変換素子3の上面を覆う位置に配置され、枠体39と接合されている。蓋34と枠体39とが接合されることで熱電変換素子3上に載置されている金属細線網9は、蓋34、枠体39及び基板32によって熱電変換素子3の長手方向、すなわち、起電力の発生に伴い電流が流れる方向に圧力が加えられるよう押さえ付けられている。
【0074】
枠体39において蓋34に当接する部分はフランジ形状に加工されている。蓋34と枠体39のフランジの端部とが重ね合わされている側面部分は、全周に渡ってレーザ溶接が施され接合されている。
【0075】
熱電変換素子3の配線層37と接合されていない端部の上には、一対の熱電変換素子3を跨ぐように網目状の導電性部材として金属細線網9が配置されている。
【0076】
枠体39は、絶縁基板32aの表面上周辺部に設けられた枠接続用電極40上の接合用接着材41を介して絶縁基板32aに接合されている。すなわち、枠体39はその内部に熱電変換素子3を囲み基板32及び蓋34との間をつないでいる。接合用接着材41としては、例えばろう材が好適に用いられる。
【0077】
このように、熱電変換装置31は基板32、蓋34及び枠体39により囲まれた内部に空間を有し、この内部空間が外部に対して密閉された箱形構造体となる。箱形構造体の内部は、高温にさらされても箱形構造体が変形、破壊が生じにくいように、減圧雰囲気に設定されている。各熱電変換素子3は、減圧雰囲気が維持された箱形構造体内に気密に封止されている。
【0078】
絶縁基板32aを貫通して設けられたスルーホール配線42は、さらに絶縁基板32aの外部に露出した部分において接合材料(図示せず。)を介して外部電極43と接続されることで、熱電変換素子3において生成された起電力が外部に取り出されることになる。
【0079】
次に、熱電変換装置31の製造方法(組立方法)の一例について、図16ないし図23を利用して説明する。
【0080】
図16に示すように、まず熱電変換装置31のうち蓋34を除く基板32の部分を製造する。絶縁基板32a及び金属膜32bからなる基板32の表面上に、配線層37を接合するとともに、スルーホール配線42及び外部電極43を形成する。配線層37は、基板32の表面全体に接合されるのではなく、基板32の表面において枠体39との接合領域を確保するため、基板32の周縁に沿った周辺部において、配線層37が接合されない領域が存在するように基板32の中央部に接合される。基板32の周縁に沿った周辺部は、枠体39と基板32の接合領域とされ、枠接続用電極40が形成される。
【0081】
図17に示すように、基板32上に形成された枠接続用電極40の上に、さらに接合用接着材41を介して枠体39を接合する。
【0082】
図18に示すように、配線層37の上の所定の部位に接合材料8を塗布する。接合材料8は、例えば半田が好適に用いられるが、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができるのであれば、その材質を特に限定するものではない。
【0083】
図19に示すように、接合材料8が塗布された箇所であって、例えば第1の実施の形態で述べたような配列に従って複数の熱電変換素子3a及び3bを載置し、配線層37と熱電変換素子3a、3bのそれぞれとを接合する。例えば、接合材料8に半田を用いた場合には、リフロー炉内において、配線層37と熱電変換素子3a、3bのそれぞれとは一括して接合される。
【0084】
次に、蓋34を製造する。図20に示すように蓋34の外面を下に向けて(内面を上に向けて)載置する。蓋34には予め封止孔34aを形成しておく。
【0085】
そして図21に示すように、蓋34の内面に溶射膜35を形成する。溶射膜35としては上述のように、例えばホワイトアルミナ等が好適に用いられるが、第2の実施の形態と同様の効果を得ることができるのであれば、その材質を特に限定するものではない。
【0086】
図22に示すように、溶射膜35の上に耐熱性接着剤35aを塗布してその上に導電性部材である金属細線網9を接合する。第2の実施の形態においては、例えば熱電変換装置31が高温下で使用された場合であってもガス等が出ることのないように、耐熱性接着剤35aは無機の接着材を使用している。この耐熱性接着剤35aは、金属細線網9を仮固定することができる程度の量が塗布されていればよい。また、耐熱性接着剤35aを塗布することでその部分が盛り上がり、溶射膜35上凹凸ができることになるが、金属細線網9がその盛り上がりに沿って変形するため、熱電変換素子3と接触してもこの凹凸は吸収されることになる。なお、耐熱性接着剤35aを使用せず、溶射膜35の所定の位置に金属細線網9を載置するのみでも本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0087】
次に、このようにそれぞれ製造された基板32の部分と蓋34の部分を基板32の表面と蓋34の内面とを枠体39を介して対向するように接合する。図23においては、蓋34の製造工程において溶射膜35と金属細線網9とを耐熱性接着剤35aを用いて接合していない場合を想定している。すなわち、金属細線網9は蓋34の内面に形成された溶射膜35の上に載置されているだけであり、基板32との接合にあたり蓋34の内面を下に向けると金属細線網9は落下してしまう。そのため、基板32の部分を熱電変換素子3が下になるようにし、蓋34の上から基板32をかぶせるように蓋34と枠体39を接合する。
【0088】
一方、金属細線網9を耐熱性接着剤35aを介して溶射膜35の上に固定されている場合には、金属細線網9が落下することはないので、上述の場合とは異なり接合の手順は問わず、基板32と蓋34のいずれか一方を他方に接合すればよい。
【0089】
このように基板32の表面と蓋34の内面とを枠体39を介して対向するように接合することによって、両者の間に熱電素子が配置される内部空間C2が生成される。蓋34に予め設けられていた封止孔34aを利用してこの内部空間C2内を減圧雰囲気にする。第2の実施の形態においては、例えば、大気圧に対して0.07MPaだけ減圧し、または、併せて窒素やアルゴンガス等を充填して非酸化雰囲気にし、封止孔34aをレーザーにより溶融して気密に封止する。これにより、気密封止構造を有する熱電変換装置31を得ることができる。なお、熱電変換装置31に設けられるスルーホール配線42は1つに限らず、複数設けられてもよい。
【0090】
このようにして製造された熱電変換装置31によれば、キャップ型の電極や絶縁板を設ける必要はなく、蓋34の内面と熱電変換素子3との間には溶射膜35及び金属細線網9のみ設けられている。従って基板32の表面上により多くの熱電変換素子3を設けることができるため、出力密度を高めるとともに、部品点数を減らして熱源と熱電素子の間における機械的な接触を低減し、熱抵抗を低くすることで発電性能を向上することができる熱電変換装置31を実現することができるとともに、この熱電変換装置31を低コストかつ生産性良く製造することができる。
【0091】
(第1の変形例)
次に本発明の第2の実施の形態における第1の変形例について説明する。
【0092】
第2の実施の形態においては、蓋34及び枠体39が金属で構成されていたが、第1の変形例においては、併せて基板32も金属で構成されている点及び蓋34の形状の2点が相違する。すなわち、第1の実施の形態で示した熱電変換装置1に第2の実施の形態における溶射膜35を設けた構成とされている。
【0093】
図24に示すように、第2の実施の形態における第1の変形例に係る熱電変換装置51は、金属製の基板2と、この金属基板2の表面上に載置された熱電変換素子3と、金属基板2の表面と対向する内面を有する上壁とこの上壁の周縁部に連接され金属基板2の周縁部に接合された側壁とから構成される。さらに蓋24の内面に接して溶射膜35と、熱電変換素子3の電極に接するとともにこの溶射膜35に接する金属細線網9とを備えている。金属製の基板2の表面上の中央部には絶縁層6が設けられ、この絶縁層6上には導電性の配線層37が載置されている。
【0094】
第1の変形例における蓋24は、第1の実施の形態における蓋4とその形状を同じくする。このため、金属基板2の表面周辺部に第2の実施の形態における枠体39を設ける必要がなく、部品点数を削減することが可能となる。第1の変形例における蓋24は、例えば、コバール或いはステンレスにより形成され、その部材の厚さを0.2mm以下としている。
【0095】
また、蓋24は第2の実施の形態における蓋34及び枠体39を一体化して構成されており、金属基板2とレーザー溶接により金属接合される。ここで、例えばニッケル(Ni)箔等の接合用金属部材5を介することにより蓋24と金属基板2との接合性を向上させることができる。
【0096】
金属基板2と絶縁層6を貫通して設けられたスルーホール配線13は、さらに金属基板2の外部に露出した部分において金属層14と接続され、この金属層14が半田15を介して外部電極16と接続されることで、熱電変換素子3において生成された起電力が外部に取り出されることになる。
【0097】
このように形成された金属基板2及び蓋24とを、例えばレーザーにより金属接合することによって、両者の間に熱電素子が配置される内部空間C2が生成される。蓋24に予め設けられていた封止孔4bを利用してこの内部空間C2内を減圧雰囲気にし、または、併せて窒素やアルゴンガス等を充填して非酸化雰囲気にし、封止孔4bをレーザにより溶融して気密に封止する。これにより、気密封止構造を有する熱電変換装置51を得ることができる。
【0098】
このようにして製造された熱電変換装置51によれば、蓋24を金属基板2の表面と対向する内面を有する上壁とこの上壁の周縁部に連接され金属基板2の周縁部に接合される側壁とを備えた形状とすることで、部品点数を減らすことができる。同時にキャップ型の電極や絶縁板を設ける必要はなく、蓋24の内面と熱電変換素子3との間には溶射膜35及び金属細線網9のみ設けられている。そのため、金属基板2の表面上により多くの熱電変換素子3を設けることができるため、出力密度を高めるとともに、部品点数を減らして熱源と熱電素子の間における機械的な接触を低減し、熱抵抗を低くすることが可能となる。従って、部品点数を減らしつつ熱電変換装置51内の内部空間C2に設けられた熱電変換素子3の発電性能を向上することができ、信頼性に優れた熱電変換装置51を実現することができるとともに、この熱電変換装置51を低コストかつ生産性良く製造することができる。
【0099】
(第2の変形例)
次に本発明の第2の実施の形態における第2の変形例について説明する。
【0100】
第1の変形例においては、蓋24を金属基板22の表面上の周辺部において金属製の接合用金属部材5を介して接合したが、第2の変形例においては、金属基板22の裏面上の周辺部において蓋が接合される点で相違する。すなわち、第1の実施の形態における第1の変形例で示した熱電変換装置1に第2の実施の形態における溶射膜35を設けた構成とされている。
【0101】
図25に示すように、熱電変換素子3の側面を覆う部分の枠体4aが基板2の裏面に回り込むように構成し、この枠体4aと金属基板2の裏面の周辺部との間を金属製の接合用金属部材5を介して接合する。これにより金属基板2の表面と比べても金属基板2の裏面には枠体4aとの接合領域を十分に確保することができる。接合領域(金属基板2の裏面の周辺部)においては、金属基板2の裏面の中央部に比べて、金属基板2の厚さが薄く設定されており、接合用金属部材5の位置決めが容易に行えるとともに、枠体4a(接合部分)が金属基板2の裏面の中央部より突出しないようになっている。さらにこの蓋4の内面に接して溶射膜35と、熱電変換素子3の電極に接するとともにこの溶射膜35に接する金属細線網9とを備えている。
【0102】
このようにして、金属基板2の表面に接合領域を設けずに枠体4aを金属基板2の裏面において接合することにより、金属基板2の表面上を熱電変換素子3の実装領域として有効に利用することができ、より多くの熱電変換素子3を配置することができる。同時にキャップ型の電極や絶縁板を設ける必要はなく、蓋4の内面と熱電変換素子3との間には溶射膜35及び金属細線網9のみ設けられている。従って、出力密度を高めるとともに、部品点数を減らして熱源と熱電素子の間における機械的な接触を低減し、熱抵抗を低くすることが可能となる。そのため、部品点数を減らしつつ熱電変換装置61内の内部空間C2に設けられた熱電変換素子3の発電性能を向上することができ、信頼性に優れた熱電変換装置61を実現することができるとともに、この熱電変換装置61を低コストかつ生産性良く製造することができる。
【0103】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0104】
図26は、第3の実施の形態にかかる熱電変換装置1の断面図である。熱電変換素子3において生成された起電力は、スルーホール配線13、金属層14、半田15及び外部電極16がそれぞれ接続されることによって熱電変換装置1の外部に取り出されることになる。第3の実施の形態においては、さらに外部電極16の半田15と接続される面と反対の面に冷媒との絶縁のために絶縁材料18が設けられている。
【0105】
上述した各実施の形態における熱電変換装置1等では、金属基板2等の厚みが起電力を取り出すスルーホール配線13の領域において外部電極16等を収めるために薄くなっている。そしてスルーホール配線13から金属層14、半田15、外部電極16まで積層された後の厚みは、金属基板2の裏面と同一である。
【0106】
第3の実施の形態においては、この起電力を取り出すためスルーホール配線13の領域に設けられるスルーホール配線13から金属層14、半田15、外部電極16、絶縁材料18までが積層された厚みが金属基板2の裏面よりもγだけ薄くなる(金属基板2の表面からみて窪む)ようにされている。すなわち、金属基板2の裏面からスルーホール配線13と金属層14との接合面までの距離は絶縁材料18からスルーホール配線13と金属層14との接合面までの距離よりもγだけ長い。
【0107】
すなわち、例えば、絶縁材料18を設けることによってスルーホール配線13から絶縁材料18まで積層された際の厚みが厚くなることで、金属基板2の裏面に冷媒を接触させた場合に、スルーホール配線13から絶縁材料18までの厚みによって金属基板2と冷媒との間に隙間ができることも考えられる。しかし、このように構成されることにより、冷媒と金属基板2の裏面との間に隙間ができることによる熱抵抗の増大を避けることが可能となる。そのため、熱電変換装置1からの放熱が効率よく行われることになり、熱電変換素子3の発電効率を向上させることができるので、熱電変換装置1の発電性能をより一層向上させることができる。
【0108】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態について説明する。なお、第4の実施の形態において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0109】
第4の実施の形態においては、上述した各実施の形態において使用されている金属細線網9を金属箔で包んだ点に特徴がある。この金属箔で包まれた金属細線網9a(以下、「箔付き金属細線網9a」という)は、例えば、次のような方法で制作することができる。
【0110】
まず、図27(A)に示すように金属箔9bを円筒状に溶接した円筒状金属箔9cと図27(B)に示す金属細線網9を用意する。そしてこの円筒状金属箔9cの中に金属細線網9を通し(図27(C)参照)、点線で示すように適当な大きさに切断して箔付き金属細線網9aを制作する。
【0111】
また、例えば、図28に示すような方法によっても箔付き金属細線網9aを制作することができる。すなわち、図28(A)に示すように、金属細線網9を2枚の金属箔9bで挟み、金属細線網9の両側で金属箔9bを溶接する(図28(B)参照)。溶接されてできた複数の箔付き金属細線網9aを点線で示すような所定の大きさに切断して所望の箔付き金属細線網9aを得る。
【0112】
このような箔付き金属細線網9aを使用することにより、熱電変換素子3との密着度が増すとともに、熱抵抗の低減を図ることができるとともに、金属細線網9を金属箔9bによって包むため、金属細線網9のCu細線が折れて落下し、第1の配線層7等に接触して短絡することも防止できることから一層の発電性能向上を図ることが可能となる。また、熱電変換装置1等の製造に当たって箔付き金属細線網9aを吸着してハンドリングすることが可能となるため、熱電変換素子3上に載置する工程を自動化することができ、熱電変換装置1等の生産性の向上も図ることができる。
【0113】
(第5の実施の形態)
次に第5の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態並びに第5の実施の形態における変形例において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0114】
図29に示すように、本発明における第5の実施の形態に係る熱電変換装置71は、金属製の基板72と、基板の表面上の中央部に載置された熱電変換素子3と、この基板72の表面上の周辺部において接合され、熱電変換素子3を内側に囲む枠体74と、基板72の表面上において、一端が熱電変換素子3に電気的に接続され、他端が枠体74よりも外側に引き出され外部電極に接続された引出配線75と、基板72の表面上に枠体74を介して対向配置され、基板72及び枠体74とともに熱電変換素子3を封止する蓋76とから構成される。
【0115】
基板72の表面上には第1の絶縁膜77が設けられ、この第1の絶縁膜77上の中央部には導電性の第1の電極78が載置されている。第1の絶縁膜77には、例えば、樹脂若しくはセラミック粉末を含有した樹脂が好適に用いられる。具体的には、第5の実施の形態においては、基板72及び第1の電極78に銅、第1の絶縁膜77にセラミック粉末を含有したエポキシ樹脂を使用することができる。第1の電極78の上には、例えば半田等の接合材料79を介して熱電変換素子3が接合されている。
【0116】
熱電変換素子3の第1の電極78と接合されていない端部の上には、絶縁基板80が配置されている。この絶縁基板80の表面(図29中、下側表面)には第2の電極81が形成されており、一対の熱電変換素子3を跨ぐように載置されている。絶縁基板80の裏面(図29中、上側表面)の全面には金属被膜82が設けられている。第2の電極81と金属被膜82との間に絶縁基板80を挟み込む構造とすることにより、絶縁基板80の機械的強度を上げることができると共に、外部と接触する蓋76との接触熱抵抗が低減し、熱電素子の上下端の温度差が大きくなることから発電能力を向上させることが可能となる。
【0117】
枠体74は、基板72の表面上周辺部において、その内側に熱電変換素子3を囲むように基板72(金属箔83)及び蓋76とそれぞれ接合され、熱電変換装置71を箱形構造体に形成する。枠体74は、例えばステンレス(好ましくは、SUS304。)等の金属により構成されており、金属箔83と枠体74との間にニッケル箔を挟みレーザ溶接を行うことで基板72と金属接合されている。
【0118】
引出配線75は、基板72の表面上に枠体74の下をくぐるように載置されている。引出配線75の一端部の領域に構成された電極には熱電変換素子3が電気的に接続され、他端部の領域は枠体74をくぐり枠体74の外側に引き出されている。この他端部の領域は外部電極であり、熱電変換素子3において生成された起電力が熱電変換装置71の外部に取り出されることになる。このようにスルーホール配線を利用せずに起電力を熱電変換装置71の外部に取り出すこととしたため、スルーホール配線を設けることにより生じる電気抵抗をなくすことができ、熱電変換装置71の発電能力を向上させることができる。
【0119】
蓋76は、例えば、コバール或いはステンレス(好ましくは、SUS304。)等の金属により構成されている。特に枠体74と同じ材質を採用することで、蓋76と枠体74との接合、気密封止も容易に行うことができる。蓋76は、金属被膜82に接して複数の熱電変換素子3の上面を覆うように基板72の表面上に枠体74を介して対向配置されている。蓋76と枠体74とが接合されることで熱電変換素子3上に載置されている絶縁基板80(第2の電極81)は、蓋76及び基板72によって熱電変換素子3の長手方向、すなわち、起電力の発生に伴い電流が流れる方向に圧力が加えられるよう保持され挟持されている。
【0120】
このように、熱電変換装置71は基板72、枠体74及び蓋76により囲まれた内部に内部空間を有し、この内部空間が外部に対して密閉された箱形構造体となる。箱形構造体の内部は、高温にさらされても箱形構造体が変形、破壊が生じにくいように減圧雰囲気にし、または、併せて非酸化雰囲気に設定することで箱形構造体内は気密封止されている。
【0121】
次に、熱電変換装置71の製造方法(組立方法)の一例について、図30ないし図40を利用して説明する。
【0122】
図30に示すように、金属製の基板72の表面上に、第1の絶縁膜77を設け、その上に第1の電極78を接合する。このとき基板72及び第1の絶縁膜77の端部と揃えるように引出配線75も接合する。
【0123】
引出配線75は基板72(第1の絶縁膜77)上の枠体74が接続される領域の一部で枠体74をくぐって熱電変換素子3の載置されている枠体74の内側から外側に引き出されている。すなわち、図31に示すように、上述の通り引出配線75には、一端部に電極の領域と他端部に外部電極の領域と、これら電極と外部電極に挟まれた領域とが設けられている。この電極と外部電極に挟まれた領域は、その上に枠体74が設けられる、例えば、狭義の引出電極とされる。そして、枠体74を基板72(第1の絶縁膜77)上に水平に形成するためには、枠体74が接続される領域であって引出配線75が引き出されていない領域において、引出配線75の高さと同じだけの高さを確保する必要がある。そこで、図31及び図32に示すように、基板72(第1の絶縁膜77)の表面上周辺部の枠体74が接続される領域であって引出配線75が引き出されていない領域に枠体接続用の金属箔85を形成する。なお、基板72の表面とは、図30中、上側表面であって、第1の絶縁膜77が接合される面を意味する。
【0124】
図32、図33に示すように、第2の絶縁膜84の上に金属箔83を形成したプリプレグ86を基板72の表面上周辺部の枠体74を接合する領域及び熱電変換素子3が載置される基板72の表面上中央部に張り合わせる。すなわち、基板72の表面上周辺部に形成された枠体接続用の金属箔85の外周とプリプレグ86の外周が一致し、しかも第2の絶縁膜84が枠体接続用の金属箔85と直接接合されるように載置する。
【0125】
熱電変換装置71が動作した場合、枠体74は吸熱側と放熱側とを繋ぐ熱経路となるが、枠体74の内部を流れる熱量は熱電変換装置71の発電に寄与しない。第5の実施の形態においては、上述のように引出配線75、枠体接続用の金属箔85と金属箔83の間に熱伝導率の低い第2の絶縁膜84を積層する構造を採用している。このようにすることで、金属箔83上に接合される枠体74への熱流量を減少させ、熱電変換素子3への熱流量を増加させることが可能となり、熱電変換装置71の発電能力が向上する。
【0126】
その後、図34に示すようにプリプレグ86を枠体74を接合する領域を残して除去する。この除去の方法としては、例えば、エッチングにより金属箔を、また研削で絶縁膜を除去する方法を挙げることができるが、この方法に限られるものではない。この結果、図35にも明らかなように、第2の絶縁膜84及び金属箔83(プリプレグ86)が引出配線75を跨いで熱電変換素子3を内側に囲むように形成される。なお、引出配線75と金属箔83との間には第2の絶縁膜84が形成されていることから、引出配線75と金属箔83との間において短絡する等の弊害が生じることは防止される。
【0127】
次に、図36に示すように、第1の電極78の上に接合材料79を塗布し、例えば第1の実施の形態において述べた配列に従って複数の熱電変換素子3a及び3bを載置する。その上で第1の電極78と熱電変換素子3a、3bのそれぞれとを接合する。なお、ここで、接合材料79は、例えば半田が好適に用いられるが、他の実施の形態と同様の効果を得ることができるのであれば、その材質を特に限定するものではない。また、例えば、接合材料79に半田を用いた場合には、リフロー炉内において、使用される半田の種類に応じた温度で第1の電極78と熱電変換素子3a、3bのそれぞれとが一括して接合される。
【0128】
図37に示すように、金属箔83上に枠体74を、例えばレーザ溶接により接合する。引出配線75が形成された部分とその他の部分において既に高さが揃えられているので、接続箇所により枠体74の高さを変更させる必要はなく、しかも容易に全周にわたって水平であることを確保できる。また、レーザ溶接を行うことにより、熱電変換装置71の全体を加熱することなく接合部分のみを局所的に加熱することができる。そのため、熱電変換素子3と第1の電極78とを接合材料79を用いて接合した後に枠体74を接合することが可能となり、熱電変換装置71の製造が容易となる。
【0129】
その後、図38に示すように、予め表面に第2の電極81、裏面に金属被膜82を設けた絶縁基板80を載置する。特に第2の電極81は、熱電変換素子3aと3bとを跨ぐ(双方の間を電気的に接続する)ように載置される。このように載置されることにより、第1の電極78と第2の電極81との間は複数のp型熱電変換素子3aと複数のn型熱電変換素子3bとが交互に電気的に直列に接続される。なお、本工程においては、絶縁基板80は熱電変換素子3との間において接合はせず、あくまでも載置するだけである。
【0130】
そして、図39に示すように、蓋76と枠体74との間をレーザ溶接によって接合する。枠体74は、上述のように基板72の表面上において水平になるように金属箔83と接合されていることから、蓋76との間での接合も気密を維持して封止することが可能である。なお、第5の実施の形態では、蓋76及び枠体74の素材としてSUS304を使用したが、気密封止を維持することができるのであれば蓋76、枠体74の素材としてこれらの素材に限定されるものではない。
【0131】
このように蓋76と基板72を枠体74を介して接合することによって、両者の間に熱電素子が配置される内部空間C3が生成される。蓋76に予め設けられていた封止孔(図示せず。)を利用してこの内部空間C3内を減圧雰囲気にし、または、併せて窒素、アルゴンガスを充填して非酸化雰囲気にし、封止孔をレーザにより溶融して気密に封止する。これにより、気密封止構造を有する熱電変換装置71を得ることができる。
【0132】
このようにして、熱電変換素子3によって生成された起電力をスルーホール配線を通じてではなく、金属製の基板72上に形成された引出配線75を通じて外部に取り出すこととしたことから、スルーホール配線を設けることによる抵抗の増大を防ぐことができる。また、図29のDから矢印の方向に熱電変換装置71を見た図40に示すように、引出配線75と同じ高さの枠体接続用の金属箔85が、枠体74が基板72上に接続される領域であって引出配線75が形成されていない領域において形成されることにより、基板72上に枠体74及び蓋76がそれぞれ水平に接合され、内部空間C3内の気密封止が維持される。
【0133】
従って、簡素な構成で熱電変換装置の電気抵抗を低くし、発電された電気を効率的に外部に取り出すとともに、気密封止を維持しつつ、熱電変換装置71内の内部空間C3に設けられた熱電変換素子3の発電性能を向上することが可能な、信頼性に優れた熱電変換装置71を実現し、併せてこの熱電変換装置を簡易に製造することができる。
【0134】
(第1の変形例)
次に第5の実施の形態における第1の変形例について説明する。
【0135】
第1の変形例に係る熱電変換装置71は、図41に示すように、基板72の裏面にフィン2aを備えた点に特徴がある。第5の実施の形態において説明したように、熱電変換装置71において生成された起電力は金属製の基板72の表面上に形成された引出配線75を利用して外部に取り出される。すなわち、スルーホール配線を利用する場合のように、基板72の裏面に外部電極を接続する必要がなく、基板2の裏面は凹凸のない平面の状態を維持することができる。
【0136】
従って、基板72の平面な裏面に熱交換効果の高いフィン2aを備えることにより、熱電変換装置71の熱交換効率を向上させることができ、熱電変換素子3の発電効率を向上させることができるので、熱電変換装置71の発電性能をより一層向上させることができる。
【0137】
なお、この第1の変形例において、フィン2aは、基板72に機械加工し易い金属を採用しているので、基板72の裏面の切削加工、エッチング加工等により、製作することができる。また、フィン2aは、基板72の裏面を加工して製作するのではなく、基板72とは別体として製作し基板72の裏面に装着してもよい。さらに、第1の実施の形態における第5の変形例で説明したように(図13参照)、熱交換ジャケット2bを装着し、或いは、フィン2aと熱交換ジャケット2bと組み合わせて用いても良い。
【0138】
(第6の実施の形態)
次に第6の実施の形態について説明する。なお、第6の実施の形態並びに第6の実施の形態における各変形例において、上述の第1の実施の形態において説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、同一の構成要素の説明は重複するので省略する。
【0139】
図42に示すように、本発明の第6の実施の形態に係る熱電変換装置91は、基板92と、基板92の表面に載置された熱電変換素子3と、熱電変換素子3を介在して基板92に対向配置された蓋94と、熱電変換素子3の周囲を取り囲んで基板92の周縁部に一端が接合されるとともに、蓋94の周縁部に他端が接合される高熱抵抗形状部を有する枠体95とから構成される。
【0140】
基板92は、第1の絶縁基板92a及び第1の絶縁基板92aの裏面に設けられた金属箔92bによって構成され、第1の絶縁基板92aの表面上の中央部には導電性の第1の電極96が載置されている。第1の絶縁基板92aには、例えば、図42に示すような第6の実施の形態におけるセラミック板の他、樹脂若しくはセラミック粉末を含有した樹脂が好適に用いられる。金属箔92bは、例えば接合し、或いは蒸着等により第1の絶縁基板92aの裏面に形成されてもよい。金属箔92bには、例えば銅を好適に使用することができる。第1の電極96の上には、例えば半田等の第1の接合材料97を介して熱電変換素子3が接合されている。
【0141】
熱電変換素子3の第1の電極96と接合されていない端部の上には第2の絶縁基板98が配置されている。この第2の絶縁基板98の表面(図42中、下側表面)には一対の熱電変換素子3を跨ぐように第2の電極99が形成されており、第2の絶縁基板98の裏面(図42中、上側表面)の全面には金属被膜100が設けられている。金属被膜100を設けることにより、第2の絶縁基板98の機械的強度を上げることができると共に、蓋94との接触性が向上するため、熱抵抗が低減し外部との熱交換効率を高めることができる。
【0142】
蓋94は、例えば、コバール或いはステンレス(好ましくは、SUS304。)等の金属により構成されており、金属被膜100に接して複数の熱電変換素子3の上面を覆う位置に配置され、枠体95と金属接合されている。蓋94と枠体95とが接合されることで熱電変換素子3上に載置されている第2の絶縁基板98(第2の電極99)は、蓋94、枠体95及び基板92によって熱電変換素子3の長手方向、すなわち、起電力の発生に伴い電流が流れる方向に圧力が加えられるよう保持され挟持されている。また、蓋94は、例えば、枠体95に同じ金属を用いれば蓋94と枠体95との接合部に発生する応力を減少することができ、気密性の確保が容易となる。
【0143】
枠体95は、基板92の表面上周辺部において、その内側に熱電変換素子3を囲むように基板92及び基板92と対向する位置に配置される蓋94とを接合して両者をつなぎ、熱電変換装置91を箱形構造体に形成する。枠体95は、例えばステンレス(好ましくは、SUS304。)等の金属により構成されており、蓋94と、また、基板92とは枠体接合用金属箔101a及びニッケル箔101bとを介してそれぞれ金属接合されている。枠体接合用金属箔101には、銅箔等の金属箔を使用することができる。
【0144】
また、熱電変換装置91は基板92及び蓋94により囲まれた内部に空間を有し、この内部空間が外部に対して密閉される。箱形構造体の内部は、高温にさらされても箱形構造体が変形、破壊が生じにくいように、減圧雰囲気に設定されている。各熱電変換素子3は、この雰囲気が維持された箱形構造体内に気密に封止されている。
【0145】
ところで「熱抵抗」とは、1Wの電力を印加した場合における温度の上昇を示すものであり、長さ(距離)に比例して熱抵抗が大きくなる。そこで、本発明の実施の形態においては、基板92と蓋94との間の離間距離よりも枠体95の長さを長くすることで、枠体95の熱抵抗を増やし、枠体95への熱流量を減らして、より多くの熱が熱電変換素子3に供給されるようにする。このことにより、熱電変換装置91の発電性能の向上を図ることができる。
第6の実施の形態にかかる枠体95は、図42に示すように、熱抵抗を大きくするために直線の断面を有する形状とするのではなく、その断面形状が、基板92の周縁部から蓋94の周縁部に向けて左右に山を形成する部分と谷を形成する部分とが交互に現われるように部材を成形して形成されている。
【0146】
より詳しく述べるならば、基板92と蓋94との間で枠体95の長さをより長くするには、図42に示すように、山を形成する部分と谷を形成する部分とが基板92から蓋94との間で交互に現われるように部材を接合してその曲げ部の半径を可能な限り小さくし、円弧(ひだ)の数を多くする。例えば、枠体95と接合する枠体接合用金属箔101の表面から蓋94の裏面までの長さを20mm、枠体95の厚さを0.25mmとした場合、塑性加工によりこの曲げ部の半径を0.5mm程度にすることが可能である。この場合、枠体95の熱電変換装置91の外部に向かって張り出すことになるひだの数は9となり、図43(A)に示すように、枠体95の全長はおよそ31mmとなる。
【0147】
また、図43(B)に示すような場合、枠体95の全長はおよそ40mmとなり、そもそもの枠体接合用金属箔101の表面から蓋94の裏面までの長さと比較しておよそ2倍となる。
【0148】
熱抵抗は上述のように、長さ(距離)に比例して大きくなることから、全長がおよそ2倍になれば熱抵抗もおよそ2倍となる。この状態では熱電変換装置91を取り付ける熱源の容量が小さく限られる場合は、熱電変換素子3内を流れる熱量と枠体95を流れる熱量の比率が6:4から7.5:2.5となり、熱電変換素子3への熱量の供給は1.25倍となることから、熱電変換装置91の発電性能の向上を図ることができる。
【0149】
さらに枠体95は、例えば、成形ベローズを利用することができる。成形ベローズは、例えば、内側に予めひだを設けた金型の中に枠体95を構成する材質でできたパイプを通し、さらにこのパイプ内に水や油等の流動体を大量に通すことでこの流動体の圧力によりパイプが外側に膨張し、金型に設けられたひだの形に整形されることで作られる。また、枠体95を構成する材質でできたパイプの内側から外側に押し出すようにひだを付けて絞り加工を施す等の製造方法も採りうる。熱電変換装置91が、例えば円筒の構造体である場合には、このように形成された成形ベローズを、また、箱形構造体を採用する場合には、さらにこの成形ベローズを矩形に塑性加工することにより枠体95として利用することが可能となる。また、平板に波状の加工を施した後に折り曲げ、両端を溶接してリング状とすることにより枠体95を作ることも可能である。
【0150】
基板92及び蓋94と枠体95との接合にあたっては、枠体95の基板92或いは蓋94と接合される一端と他端が熱電変換装置91の外側を向くように接合される。なお、基板92と枠体95とが直接接合されているかのような表現をしている箇所もあるが、上述のように両者は枠体接合用金属箔101a及びニッケル箔101bを介して接合されている。
【0151】
すなわち、蓋94と枠体95との接合部を例にとって説明すると、図44に示すように、枠体95は他端95cに蓋94と接合するために第2の接合領域95dを有している。この他端95cの他端面95eは蓋94の周縁側に配置され、第2の接合領域95dを介して蓋94と枠体95とが接合される。基板92と接合する枠体95の一端も同様に配置され基板92と接合される。
【0152】
基板92及び蓋94に対して枠体95をこのような向きに配置することで、互いの接合をより容易に行うことができる。
【0153】
基板92と第1の絶縁基板92aを貫通して設けられたスルーホール配線102は、さらに基板92の外部に露出した部分において外部電極103と接続され、この外部電極103が第2の接合材料104を介して外部配線105と接続されることで、熱電変換素子3において生成された起電力が外部に取り出されることになる。
【0154】
このように、枠体95の断面を山を形成する部分と谷を形成する部分とが基板92から蓋94との間で交互に現われるように部材を接合して構成することで、枠体95の全長を長くすることができるため、枠体95における熱抵抗を大きくすることができ、外部からの熱をより多く熱電変換素子3に伝えることができる。従って、気密に封止された状態を維持しつつ、発電性能を向上することができ、信頼性に優れた熱電変換装置91を実現することができる。
【0155】
(第1の変形例)
次に第6の実施の形態における第1の変形例について説明する。
【0156】
第1の変形例の構成は、図45に示すように、第6の実施の形態に示した構成とは枠体110の形状おいて相違する。第6の実施の形態においては、断面形状が、基板92の周縁部から蓋94の周縁部に向けて左右に山を形成する部分と谷を形成する部分とが交互に現われるように部材を成形して枠体95を形成したが、第1の変形例においては、断面の形状が、二辺がなす内角が鋭角である山部と二辺がなす外角が鋭角である谷部とを基板から蓋に向かって交互に接合して枠体110を構成する。
【0157】
すなわち、図45、図46に示すように、枠体110の構成部材である構成部材110aと別の構成部材110aとの接合面に水平に引いた線をXとし(図46参照)、この線Xと構成部材110aの表面に現われる線を線Yとして、この両線XYの二辺がなす角度をΔ1とする。この場合Δ1の角度は90度以下である。ここで、枠体110を熱電変換装置91の外部から(Zの位置から)見た場合に、熱電変換装置91の内側に向かって山形が形成される場合を山部とし、反対に、枠体110を外部から見た場合に外側に向かって山形が形成される場合を谷部とする。このような山部と谷部とを基板92から蓋94に向かって交互に接合して枠体110とする。具体的には、枠体110は、中央部に孔を設けたリング状の平板を重ね、平板の中央部に設けられた孔の周縁部と平板の周辺部とを交互に接合して製造される。
【0158】
より詳しく述べるならば、例えば、枠体110が設けられる箇所で、枠体110と接合する枠体接合用金属箔101の表面から蓋94の裏面までの長さを10mm、枠体110の厚さを0.25mmとする。また、枠体110を製造するための平板(後述)を8枚重ねて枠体110を製造すると、枠体110の全長は24mmとなり、長さが2.4倍となる。上述のように熱抵抗は長さ(距離)に比例することから、熱抵抗も2.4倍となる。従って、枠体110の熱抵抗が大きくなるため、熱電変換素子3に供給される熱量がこれまでより多くなることから、熱電変換装置91の発電性能の向上を図ることができる。
【0159】
なお、基板92及び蓋94と枠体110との接合にあたっては、枠体110の基板92或いは蓋94と接合される一端と他端が熱電変換装置91の外側を向くように接合される。
【0160】
このように、枠体110の断面を二辺がなす内角が鋭角である山部と二辺がなす外角が鋭角である谷部とを基板92と蓋94との間で交互に接合することで枠体110の全長を長くし、熱抵抗を大きくすることができるため、外部からの熱をより多く熱電変換素子3に伝えることができる。従って、気密に封止された状態を維持しつつ、発電性能を向上することができ、信頼性に優れた熱電変換装置91を実現することができる。また、枠体110を上述の製造方法によって得ることにより、枠体110を容易に製造することが可能となる。
【0161】
(第2の変形例)
次に第6の実施の形態における第2の変形例について説明する。
【0162】
第2の変形例においては、枠体110を構成する構成部材を多くする。第1の変形例で示した枠体110を用いて説明すると、枠体110は、図47に示すような、例えば、構成部材110a、110bが接合されることにより構成されている。そして、構成部材110aと構成部材110bとは、例えばレーザ溶接により接合面110cにおいて接合することにより、枠体110における熱抵抗を大きくすることができ、熱電変換装置91の発電性能の向上を図る。
【0163】
枠体110を構成するこれら構成部材は、例えば上述のように、ステンレス(好ましくは、SUS304。)等の金属である。
【0164】
このように、蓋94と基板92とを含むような任意の切断面内において、枠体110の端部以外の切断面に接合部が形成される形状となるように、枠体110を構成する構成部材が互いに溶接されることにより、枠体110の熱抵抗が大きくなる。また、枠体110と基板92とが枠体110を接合するために用いられる金属箔を介して接合されても熱抵抗は大きくなる。従って、熱電変換素子3に供給される熱量がこれまでより多くなることから、熱電変換装置91の発電性能の向上を図ることができる。
【0165】
なお、第2の変形例においては、第1の変形例で示した枠体110を用いて説明したが、例えば、図48や図49に示すように枠体110を構成する構成部材を多く接合することで、枠体110の熱抵抗を大きくすることが可能である。また、これまで例えばレーザを用いた溶接がなされた場合を説明してきたが、その他、例えばろう付を行っても熱抵抗を大きくすることが可能である。
【0166】
なお、この発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換装置の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態、第1の変形例に係る熱電変換装置の断面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態、第2の変形例に係る熱電変換装置の断面図である。
【図10】(A)〜(D)は図9に示す熱電変換装置の要部の工程断面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態、第3の変形例に係る熱電変換装置の断面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態、第4の変形例に係る熱電変換装置の断面図である。
【図13】(A)は本発明の第1の実施の形態、第5の変形例に係る熱電変換装置の断面図であり、(B)は(A)に示すB−B線から矢印方向に見た熱交換ジャケットの平面図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態、第5の変形例に係る熱電変換装置の他の変形例の断面図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置の断面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図17】本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図18】本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図20】本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図21】本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図22】本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図23】本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図24】本発明の第2の実施の形態、第1の変形例に係る熱電変換装置の断面図である。
【図25】本発明の第2の実施の形態、第2の変形例に係る熱電変換装置の断面図である。
【図26】本発明の第3の実施の形態に係る熱電変換装置の断面図である。
【図27】本発明の第4の実施の形態に係る箔付き金属細線網の製造方法を示した説明図である。
【図28】本発明の第4の実施の形態に係る箔付き金属細線網の別の製造方法を示した説明図である。
【図29】本発明の第5の実施の形態に係る熱電変換装置の断面図である。
【図30】本発明の第5の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図31】図30に示す熱電変換装置の要部の工程平面図である。
【図32】本発明の第5の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図33】図32に示す熱電変換装置の要部の工程平面図である。
【図34】本発明の第5の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図35】図34に示す熱電変換装置の要部の工程平面図である。
【図36】本発明の第5の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図37】本発明の第5の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図38】本発明の第5の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図39】本発明の第5の実施の形態に係る熱電変換装置の製造方法を説明するための説明図である。
【図40】図29に示す熱電変換装置をDの方向から見た熱電変換装置の側面図である。
【図41】本発明の第5の実施の形態の変形例に係る熱電変換装置の断面図である。
【図42】本発明の第6の実施の形態に係る熱電変換装置の断面図である。
【図43】(A)(B)とも本発明の第6の実施の形態に係る枠体を拡大して示した説明図である。
【図44】本発明の第6の実施の形態において蓋と枠体との接合部を拡大して示した説明図である。
【図45】本発明の第6の実施の形態、第1の変形例に係る熱電変換装置の断面図である。
【図46】本発明の第6の実施の形態、第1の変形例に係る枠体を説明するための説明図である。
【図47】本発明の第6の実施の形態、第2の変形例に係る枠体を説明するための説明図である。
【図48】本発明の第6の実施の形態、第2の変形例の他の変形例の説明図である。
【図49】本発明の第6の実施の形態、第2の変形例の他の変形例の説明図である。
【符号の説明】
【0168】
1…熱電変換装置、2…金属基板、3…熱電変換素子、4…蓋、5…接合用金属部材、6…絶縁層、7…第1の配線層、8…接合材料、9…金属細線網、10…絶縁部材、11…第2の配線層、12…金属被膜、13…スルーホール配線、14…金属層、15…半田、16…外部電極。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013