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発明の名称 非水電解質電池及び電池パック
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−18863(P2007−18863A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−198871(P2005−198871)
出願日 平成17年7月7日(2005.7.7)
代理人 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦
発明者 高見 則雄 / 稲垣 浩貴
要約 課題
−20℃以下の低温での充放電サイクル特性に優れた非水電解質電池を提供する。

解決手段
コバルト、ニッケル、マンガン及び鉄よりなる群から選択される少なくとも一種類の金属元素を含有するリチウム金属化合物を含む正極活物質含有層を具備する正極と、リチウム吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の負極活物質を含有する負極活物質含有層を備えた負極と、非水電解質とを具備する非水電解質電池であって、前記正極活物質含有層及び前記負極活物質含有層は、以下の(1)〜(3)式を満足することを特徴する非水電解質電池。
特許請求の範囲
【請求項1】
コバルト、ニッケル、マンガン及び鉄よりなる群から選択される少なくとも一種類の金属元素を含有するリチウム金属化合物を含む正極活物質含有層を具備する正極と、リチウム吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の負極活物質を含有する負極活物質含有層を備えた負極と、非水電解質とを具備する非水電解質電池であって、
前記正極活物質含有層及び前記負極活物質含有層は、以下の(1)〜(3)式を満足することを特徴する非水電解質電池。
0.5m2/g≦Sn≦50m2/g (1)
5≦(Sn/Sp)≦100 (2)
0.5≦(Lp/Ln)<1 (3)
nは前記負極活物質含有層のBET法による比表面積(m2/g)で、Spは前記正極活物質含有層のBET法による比表面積(m2/g)で、Lnは前記負極活物質含有層の厚さ(μm)で、Lpは前記正極活物質含有層の厚さ(μm)である。
【請求項2】
前記正極活物質含有層のBET法による比表面積Spは0.1m2/g以上、2m2/g以下であることを特徴する請求項1記載の非水電解質電池。
【請求項3】
前記リチウム金属化合物はLiaNiCoMn2(但し、モル比a,b,c及びdは0≦a≦1.1、b+c+d=1)で表されることを特徴とする請求項1または2記載の非水電解質電池。
【請求項4】
前記リチウム金属化合物はLiaNiCoMn2(但し、モル比a,b,c及びdは0≦a≦1.1、b+c+d=1)で表され、(Lp/Ln)の値は0.7以上、0.9以下であることを特徴とする請求項1または2記載の非水電解質電池。
【請求項5】
前記負極活物質は、チタン含有金属複合酸化物であることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の非水電解質電池。
【請求項6】
前記チタン含有金属複合酸化物は、Li4+xTi512(xは−1≦x≦3)で表されるリチウムチタン酸化物であることを特徴とする請求項5記載の非水電解質電池。
【請求項7】
前記非水電解質は、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びγ−ブチロラクトンよりなる群から選択される少なくとも二種類の非水溶媒を含有することを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載の非水電解質電池。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか1項記載の非水電解質電池の組電池を具備することを特徴とする電池パック。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質電池と、この非水電解質電池から形成された組電池を具備する電池パックとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
リチウム金属、リチウム合金、リチウム化合物または炭素質物を負極に用いた非水電解質電池は、高エネルギー密度電池として期待され、盛んに研究開発が進められている。これまでに、活物質としてLiCoO2またはLiMn24を含む正極と、リチウムを吸蔵・放出する炭素質物を含む負極と具備したリチウムイオン電池が広く実用化されている。また、負極においては前記炭素質物に代わる金属酸化物あるいは合金の検討がなされている。このような非水電解質電池においては、自動車などの車両に搭載する場合、寒冷地においても高性能を実現することが要求されているため、−20℃以下の低温環境下での高出力性能、長寿命性能が求められている。
【0003】
ところで、特許文献1には、負極にラムスデライト型の結晶構造を有するリチウムチタン酸化物を用い、正極に対する負極の電気容量比(負極/正極)が1〜7の電気化学キャパシタが記載されている。
【特許文献1】特開2004−221523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、−20℃以下の低温での充放電サイクル特性に優れた非水電解質電池及び電池パックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る非水電解質電池は、コバルト、ニッケル、マンガン及び鉄よりなる群から選択される少なくとも一種類の金属元素を含有するリチウム金属化合物を含む正極活物質含有層を具備する正極と、リチウム吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の負極活物質を含有する負極活物質含有層を備えた負極と、非水電解質とを具備する非水電解質電池であって、
前記正極活物質含有層及び前記負極活物質含有層は、以下の(1)〜(3)式を満足することを特徴するものである。
【0006】
0.5m2/g≦Sn≦50m2/g (1)
5≦(Sn/Sp)≦100 (2)
0.5≦(Lp/Ln)<1 (3)
nは前記負極活物質含有層のBET法による比表面積(m2/g)で、Spは前記正極活物質含有層のBET法による比表面積(m2/g)で、Lnは前記負極活物質含有層の厚さ(μm)で、Lpは前記正極活物質含有層の厚さ(μm)である。
【0007】
本発明に係る電池パックは、非水電解質電池の組電池を具備し、
前記非水電解質電池は、コバルト、ニッケル、マンガン及び鉄よりなる群から選択される少なくとも一種類の金属元素を含有するリチウム金属化合物を含む正極活物質含有層を具備する正極と、リチウム吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の負極活物質を含有する負極活物質含有層を備えた負極と、非水電解質とを具備する非水電解質電池であって、前記正極活物質含有層及び前記負極活物質含有層は、前記(1)〜(3)式を満足することを特徴するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、−20℃以下の低温での充放電サイクル特性に優れた非水電解質電池及び電池パックを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
−20℃以下の低温環境下での充放電サイクル特性を改善するために本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、リチウム吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の負極活物質を使用し、負極活物質含有層の比表面積Snを0.5m2/g以上、50m2/g以下にすると共に、活物質含有層の比表面積比(Sn/Sp)を5以上、100以下にすることにより、−20℃以下の低温環境下で急速充電(高入力)した際にも負極表面へのリチウム析出と溶媒の還元分解とを抑制できることを見出した。
【0010】
すなわち、リチウム吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の負極活物質を備えた非水電解質電池では、比表面積Snを0.5m2/g未満にするか、比表面積比(Sn/Sp)を5未満にすると、リチウム析出を抑制する効果を十分に得られないことがわかった。また、比表面積Snを50m2/gより大きくするか、比表面積比(Sn/Sp)が100を超えると、非水電解質の分布が負極に偏り、正極での非水電解質不足を招くため、低温環境下で高出力放電した際に正極が過放電となる。比表面積Snのより好ましい範囲は、5m2/g以上、50m2/g以下である。一方、比表面積比(Sn/Sp)のさらに好ましい範囲は、10以上、80以下である。
【0011】
さらに、リチウム吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)以上の負極活物質を使用し、負極活物質含有層の比表面積Snを0.5m2/g以上、50m2/g以下にすると共に、活物質含有層の比表面積比(Sn/Sp)を5以上、100以下にしつつ、活物質含有層の厚さ比(Lp/Ln)を0.5以上、1未満にすることにより、正極に1.5mol/L以上のリチウム塩を溶解した高粘性の非水電解質を均一に浸透させることができるため、低温環境下においても正極のインピーダンスを負極より小さくすることができる。これにより、低温環境下における高出力放電作動の際にも正極が過放電となることを抑制することができる。
【0012】
厚さ比(Lp/Ln)を0.5未満にすると、電池容量が小さくなりエネルギー密度の低下が大きく好ましくない。一方、厚さ比(Lp/Ln)を1以上にすると、負極に比べ、正極活物質含有層内の非水電解質のイオン抵抗と電子抵抗が大きくなり、低温での出力性能とサイクル寿命の低下が大きくなる。厚さ比(Lp/Ln)のより好ましい範囲は、0.6以上、0.9以下である。
【0013】
従って、急速充電時の負極表面へのリチウム析出および還元分解と、高出力時の正極の過放電とが抑制されたことから、−20℃以下の低温環境下における高出力性能とサイクル寿命性能を向上することができる。
【0014】
なお、リチウム吸蔵電位が0.4V(vs.Li/Li+)未満の負極活物質(例えば炭素質物、リチウム金属)では、負極活物質含有層の比表面積、比表面積比(Sn/Sp)及び厚さ比(Lp/Ln)を前記範囲にすると、正極のインピーダンスが負極に比べて小さくなるものの、非水電解質の還元分解反応により負極のインピーダンスが著しく上昇するため、低温環境下で急速充電(高入力)した際に負極表面にリチウムデンドライトが析出し、低温での高出力性能と充放電サイクル特性が低下する。
【0015】
ここで、負極活物質のリチウム吸蔵電位とは、負極活物質にリチウムイオンが吸蔵される電位であって、後述する実施例にて説明する方法により測定される。なお、負極活物質のリチウム吸蔵電位は0.4V(vs.Li/Li+)以上が好ましいが、高電圧を得るには、上限値を3V(vs.Li/Li+)にすることが望ましく、より好ましくは2V(vs.Li/Li+)である。
【0016】
本願の実施形態に係る非水電解質電池において、正極活物質含有層のBET法による比表面積Spを0.1m2/g以上、2m2/g以下にすることにより、低温での充放電サイクル特性をさらに向上することができる。
【0017】
また、正極のリチウム金属化合物として、LiaNiCoMn2(但し、モル比a,b,c及びdは0≦a≦1.1、b+c+d=1)で表される酸化物を使用し、厚さ比(Lp/Ln)を0.7以上、0.9以下にすることにより、低温放電容量を向上することができる。
【0018】
一方、負極活物質としてチタン含有金属複合酸化物を使用すると、充放電サイクルによる負極の体積変化を小さくすることができると共に、非水電解質の還元分解を抑制することができるため、低温環境下での高出力性能と充放電サイクル特性をさらに向上することができる。チタン含有金属複合酸化物の中でも、Li4+xTi512(xは−1≦x≦3)で表されるリチウムチタン酸化物が、高容量が得られるため、望ましい。
【0019】
また、非水電解質として、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート及びγ−ブチロラクトンよりなる群から選択される少なくとも二種類の非水溶媒を含有することにより、正極の非水電解質含浸性をより高くすることができるため、正極の過放電をさらに抑制することができ、低温環境下での高出力性能をより向上することができる。
【0020】
以下、負極、正極及び非水電解質について説明する。
【0021】
1)負極
この負極は、負極集電体と、前記集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質、導電剤および結着剤を含む負極活物質含有層とを有する。
【0022】
0.4〜3V(vs.Li/Li+)の範囲でリチウムを吸蔵することが可能な負極活物質は、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物あるいは合金であることが望ましい。
【0023】
このような金属酸化物としては、例えば、チタン含有金属複合酸化物、例えばSnB0.40.63.1などのアモルファススズ酸化物、例えばSnSiO3などのスズ珪素酸化物、例えばSiOなどの酸化珪素、例えばWO3などのタングステン酸化物などが挙げられる。中でも、チタン含有金属複合酸化物が好ましい。
【0024】
チタン含有金属複合酸化物としては、例えば、リチウムチタン酸化物、酸化物合成時はリチウムを含まないチタン系酸化物などを挙げることができる。リチウムチタン酸化物としては、例えばLi4+xTi512(xは-1≦x≦3)やLi2+xTi37(xは-1≦x≦3)などが挙げられる。チタン系酸化物としては、TiO2、TiとP、V、Sn、Cu、Ni及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物などが挙げられる。TiO2はアナターゼ型で熱処理温度が300〜500℃の低結晶性のものが好ましい。TiとP、V、Sn、Cu、Ni及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物としては、例えば、TiO2−P25、TiO2−V25、TiO2−P25−SnO2、TiO2−P25−MeO(MeはCu、Ni及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素)などを挙げることができる。この金属複合酸化物は、結晶性が低く、結晶相とアモルファス相が共存もしくは、アモルファス相単独で存在したミクロ構造であることが好ましい。このようなミクロ構造であることによりサイクル性能が大幅に向上することができる。中でも、リチウムチタン酸化物、TiとP、V、Sn、Cu、Ni及びFeよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物が好ましい。
【0025】
金属硫化物としては、例えば、例えばTiS2などの硫化チタン、例えばMoS2などの硫化モリブデン、例えば、FeS、FeS2、LixFeS2などの硫化鉄などが挙げられる。
【0026】
金属窒化物としては、例えば、リチウムコバルト窒化物(例えば、LixCoyN、0<x<4,0<y<0.5)などが挙げられる。
【0027】
負極活物質の平均粒径は1μm以下にすることが望ましい。平均粒径が1μmを超える負極活物質を使用して負極の比表面積Snを大きくすると、負極の非水電解質含浸性が低下してインピーダンスが正極に比して著しく低下する恐れがあるからである。但し、平均粒径が小さいと、粒子の凝集が起こりやすくなり、負極の均質性の低下を招く恐れがあることから、下限値は0.001μmにすることが望ましい。
【0028】
負極活物質は、その平均粒径が1μm以下で、かつN2吸着によるBET法での比表面積が3〜200m2/gの範囲であることが望ましい。これにより、負極の非水電解質との親和性をさらに高くすることができる。
【0029】
負極の多孔度(集電体を除く)は、20〜50%の範囲にすることが望ましい。これにより、負極と非水電解質との親和性に優れ、かつ高密度な負極を得ることができる。多孔度のさらに好ましい範囲は、25〜40%である。
【0030】
負極活物質含有層の厚さ(Ln)は、集電体の片面で5μm以上、150μm以下にすることが望ましい。より好ましい範囲は集電体の片面で30μm以上、150μm以下である。
【0031】
負極集電体は、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔であることが望ましい。負極集電体は、平均結晶粒子径が50μm以下であることが好ましい。これにより、集電体の強度を飛躍的に増大することができるため、負極を高いプレス圧で高密度化することが可能となり、電池容量を増大することができる。また、高温環境下(40℃以上)における過放電長期サイクルでの負極集電体の溶解・腐食劣化を防ぐことができるため、負極インピーダンスの上昇を抑制することができる。さらに、出力特性、急速充電、充放電サイクル特性も向上することができる。平均結晶粒子径のより好ましい範囲は30μm以下であり、さらに好ましい範囲は5μm以下である。
【0032】
平均結晶粒子径は次のようにして求められる。集電体表面の組織を電子顕微鏡観察し、1mm×1mm内に存在する結晶粒子数nを求める。このnを用いてS=1x106/n(μm2)から平均結晶粒子面積Sを求める。得られたSの値から下記(4)式により平均結晶粒子径d(μm)を算出する。
【0033】
d=2(S/π)1/2 (4)
前記平均結晶粒子径の範囲が50μm以下の範囲にあるアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、材料組成、不純物、加工条件、熱処理履歴ならび焼なましの加熱条件など多くの因子に複雑に影響され、前記結晶粒子径(直径)は、製造工程の中で、前記諸因子を有機的に組み合わせて調整される。
【0034】
アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。アルミニウム箔の純度は99.99%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属は100ppm以下にすることが好ましい。
【0035】
前記導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、カーボンブラック、コークス、炭素繊維、黒鉛、アルミニウム粉末、TiO等を挙げることができる。より好ましくは、熱処理温度が800℃〜2000℃の平均粒子径10μm以下のコークス、黒鉛、TiOの粉末、平均繊維径1μm以下の炭素繊維が好ましい。前記炭素材料のN2吸着によるBET比表面積は10m2/g以上が好ましい。
【0036】
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム、コアシェルバインダーなどが挙げられる。
【0037】
前記負極の活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質80〜95重量%、導電剤3〜18重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
【0038】
負極は、前述した負極活物質、導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁させ、この懸濁物を集電体に塗布し、乾燥し、加温プレスを施すことにより作製されるが、この際、結着剤の添加量が少ない状態で負極活物質の粒子を均一分散させる。結着剤の添加量が多い方が粒子の分散性が高くなる傾向があるものの、粒子の表面が結着剤で覆われやすく、負極活物質含有層の比表面積としては小さくなるからである。結着剤の添加量が少ないと、粒子が凝集しやすくなるため、攪拌条件(ボールミルの回転数、攪拌時間及び攪拌温度など)を調整して粒子の凝集を抑えることによって、微粒子を均一分散させることができ、負極活物質含有層の比表面積を大きくすることができる。さらに、結着剤添加量と攪拌条件が適正範囲内でも、導電剤の添加量が多いと、負極活物質の表面が導電剤で被覆されやすく、また、負極表面のポアも減少する傾向があることから、負極活物質含有層の比表面積としては小さくなる傾向がある。また、導電剤の添加量が少ないと、負極活物質が粉砕されやすくなって負極活物質含有層の比表面積が大きくなったり、あるいは負極活物質の分散性が低下して負極活物質含有層の比表面積が小さくなる傾向がある。さらには、負極活物質含有層の比表面積は、負極密度によっても調整することができる。
【0039】
2)正極
この正極は、正極集電体と、前記集電体の片面もしくは両面に担持され、活物質、導電剤および結着剤を含む正極活物質含有層とを有する。
【0040】
正極活物質には、コバルト、ニッケル、マンガン及び鉄よりなる群から選択される少なくとも一種類の金属元素を含有するリチウム金属化合物が使用される。
【0041】
かかる正極活物質としては、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2)、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物(LixMn2-yNiy4、x、yは0≦x≦1、0.4≦y≦1)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(LixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixVPO4F、LixCoPO4など)、層状結晶構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物などが挙げられる。なお、x,yは、特に記載がない限り、0〜1の範囲であることが好ましい。
【0042】
高電圧で、出力性能に優れた非水電解質電池を得るためには、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、スピネル型リチウムマンガンニッケル複合酸化物、リチウムマンガンコバルト複合酸化物、リチウムリン酸鉄、層状結晶構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物などを使用することが望ましい。
【0043】
層状結晶構造を有するリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の組成は、LiaNibCocMnd2(但し、モル比a,b,c及びdは0≦a≦1.1、b+c+d=1)で表されることが好ましい。モル比a,b,c及びdのより好ましい範囲は、0≦a≦1.1、0.1≦b≦0.5、0≦c≦0.9、0.1≦d≦0.5である。
【0044】
正極活物質含有層のBET法による比表面積Spを0.1m2/g以上、2m2/g以下にする理由を説明する。比表面積Spを0.1m2/g未満にすると、正極の抵抗が大きくなるため、出力性能が低下する恐れがある。一方、比表面積Spが2m2/gを超えると、非水電解質の酸化分解反応が進みサイクル性能が劣化する恐れがある。より好ましい範囲は、0.5m2/g以上、1.5m2/g以下である。
【0045】
正極活物質含有層の厚さ(Lp)は、集電体の片面で5μm以上、150μm以下にすることが望ましい。より好ましい範囲は集電体の片面で20μm以上、150μm以下である。
【0046】
前記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0047】
前記結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムなどが挙げられる。
【0048】
前記正極の活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜19重量%、結着剤1〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
【0049】
前記正極は、例えば、正極活物質、導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物をアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の集電体に塗布し、乾燥し、プレスを施すことにより作製される。
【0050】
前記集電体のアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、負極集電体と同様に平均結晶粒子径が50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、平均結晶粒子径が30μm以下である。さらに好ましくは5μm以下である。前記平均結晶粒子径の範囲が50μm以下であることにより、アルミニウム箔またはアルミニウム合金箔の強度が飛躍的に増大することができ、正極を高いプレス圧で高密度化することが可能となり、電池容量を増大することができる。
【0051】
前記平均結晶粒子径の範囲が50μm以下の範囲にあるアルミニウム箔またはアルミニウム合金箔は、材料組成、不純物、加工条件、熱処理履歴ならび焼なましの加熱条件など多くの因子に複雑に影響され、前記結晶粒子径(直径)は、製造工程の中で、前記諸因子を有機的に組み合わせて調整される。
【0052】
前記アルミニウム箔およびアルミニウム合金箔の厚さは、20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
【0053】
正極と負極の間にはセパレータを配置することができる。セパレータとしては、例えば合成樹脂製不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルム、セルロース製不織布などを挙げることができる。
【0054】
3)非水電解質
非水電解質には、リチウム塩電解質を有機溶媒に溶解することにより調整される液状電解質、前記液状電解質と高分子材料を複合化したゲル状電解質、またはリチウム塩電解質と高分子材料を複合化した固体電解質を使用することができる。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。また、非水電解質には、揮発性がなく不燃性のイオン性液体からなる常温溶融塩を含有させることもできる。
【0055】
電解質であるリチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO22]、LiN(C25SO22,Li(CF3SO23C、LiB[(OCO)22などが挙げられる。使用する電解質の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0056】
リチウム塩は、有機溶媒に1.5mol/L以上溶解させることが望ましい。これにより低温環境下においても高出力を取り出すことができる。リチウム塩濃度を1.5mol/L未満にすると、大電流(ハイレート)で放電中に正極と非水電解質界面のリチウムイオン濃度が急激に低下するため、出力低下を招く恐れがある。一方、リチウム塩濃度が2.5mol/Lを越えると、非水電解質の粘度が高くなるため、リチウムイオンの移動速度が低下して出力低下に至る可能性がある。このため、リチウム塩濃度は、1.5mol/L以上、2.5mol/L以下にすることが望ましい。さらに好ましい範囲は、2.2mol/L以上、2.4mol/L以下である。
【0057】
前記有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネートや、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)などの鎖状カーボネートや、ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)などの鎖状エーテルや、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキソラン(DOX)などの環状エーテルや、γ−ブチロラクトン(GBL)、アセトニトリル(AN)、スルホラン(SL)などを挙げることができる。これらの有機溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。中でも、PC、EC、DEC及びGBLよりなる群から選択される少なくとも一種類を含有するものが好ましい。これにより、二次電池の出力特性もしくは充放電サイクル寿命を向上することができる。十分な特性向上を図るためには、PC、EC、DEC及びGBLよりなる群から二種以上を選択することが望ましい。
【0058】
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、またはポリフッ化ビニリデン(PVdF)を含む多孔質フィルム、合成樹脂製不織布等を挙げることができる。中でも、ポリエチレン又はポリプロピレンからなる多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能であり、安全性向上の観点から好ましい。
【0059】
正極、負極及び非水電解質が収容される容器には、金属製容器や、ラミネートフィルム製容器を使用することができる。
【0060】
金属製容器としては、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレスなどからなる金属缶で角形、円筒形の形状のものが使用できる。また、容器の板厚は、0.5mm以下にすることが望ましく、さらに好ましい範囲は0.2mm以下である。
【0061】
ラミネートフィルムとしては、例えば、金属箔を樹脂フィルムで被覆した多層フィルムなどを挙げることができる。樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの高分子を用いることができる。また、ラミネートフィルムの厚さは0.2mm以下にすることが好ましい。
【0062】
アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属缶は、平均結晶粒子径が50μm以下であることが好ましい。より好ましくは、平均結晶粒子径が30μm以下である。さらに好ましくは5μm以下である。前記平均結晶粒子径の範囲が50μm以下であることにより、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属缶の強度が飛躍的に増大することにより缶の肉厚を薄くすることができる。その結果、軽量かつ高出力で長期信頼性に優れた車載に最適な電池を実現することができる。アルミニウム箔の純度は99.99%以上が好ましい。アルミニウム合金としては、マグネシウム、亜鉛、ケイ素などの元素を含む合金が好ましい。一方、鉄、銅、ニッケル、クロムなどの遷移金属は100ppm以下にすることが好ましい。これにより電池の軽量化、高温環境下での長期信頼性、放熱性を飛躍的に向上することができる。
【0063】
本発明の実施形態に係る非水電解質電池を図1〜図3に示す。図1は本発明の一実施形態に係る扁平型非水電解質二次電池を模式的に示す部分切欠斜視図で、図2は図1のA部の拡大断面図で、図3は本発明の別な実施形態に係る扁平型非水電解質二次電池を模式的に示す部分切欠斜視図である。
【0064】
図1に示すように、ラミネートフィルム製の外装容器1内には、積層型電極群2が収納されている。積層型電極群2は、図2に示すように、正極3と負極4とをその間にセパレータ5を介在させながら交互に積層した構造を有する。正極3は複数枚存在し、それぞれが正極集電体3aと、正極集電体3aの両面に担持された正極活物質含有層3bとを備える。負極4は複数枚存在し、それぞれが負極集電体4aと、負極集電体4aの両面に担持された負極活物質含有層4bとを備える。それぞれの負極4の負極集電体4aは、一辺が正極3から突出している。正極3から突出した負極集電体4aは、帯状の負極端子6に電気的に接続されている。帯状の負極端子6の先端は、外装容器1から外部に引き出されている。また、ここでは図示しないが、正極3の正極集電体3aは、負極集電体4aの突出辺と反対側に位置する辺が負極4から突出している。負極4から突出した正極集電体3aは、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子6とは反対側に位置し、外装容器1の辺から外部に引き出されている。なお、図2中、セパレータ5は点線で表したが、これは便宜的なものであり、実際上のセパレータ5の断面を示すものではない。
【0065】
図3に示すように、電極群は、正極8及び負極9をその間にセパレータ10を介在させて偏平形状となるように渦巻き状に捲回した構造を有する。前記電極群は、正極8及び負極9をその間にセパレータ10を介在させて偏平形状となるように渦巻き状に捲回した後、加熱プレスを施すことにより作製される。電極群における正極8、負極9及びセパレータ10は、接着性を有する高分子により一体化されていても良い。帯状の正極端子11は、正極8に電気的に接続されている。一方、帯状の負極端子12は、負極9に電気的に接続されている。この電極群は、ラミネートフィルム製容器13内に正極端子11と負極端子12の端部を容器13から突き出させた状態で収納されている。正極端子11と負極端子12は、容器13の同じ辺から外部に引き出されている。なお、ラミネートフィルム製容器13は、ヒートシールにより封止がなされている。
【0066】
非水電解質電池を電池単体として構成した組電池を備えた電池パックを使用することも可能である。本発明の実施形態に係る非水電解質電池は、電池電圧の検知による正極もしくは負極電位の制御が容易なため、保護回路が電池電圧のみを検知する場合に特に適合する。
【0067】
組電池を構成する電池単体は直列に接続しても並列に接続しても良い。また、電池単体には、図1または図3に示す扁平型電池を使用することができる。
【0068】
図4の電池パックにおける電池単体21は、図3に示す扁平型非水電解質電池から構成されている。複数の電池単体21は、正極端子11と負極端子12が突出している向きを一つに揃えて厚さ方向に積層されている。図4に示すように、電池単体21は、直列に接続されて組電池22をなしている。組電池22は、図4に示すように、粘着テープ23によって一体化されている。
【0069】
正極端子11および負極端子12が突出する側面に対しては、プリント配線基板24が配置されている。プリント配線基板24には、図5に示すように、サーミスタ25、保護回路26および外部機器への通電用の端子27が搭載されている。
【0070】
図4及び図5に示すように、組電池22の正極側配線28は、プリント配線基板24の保護回路26の正極側コネクタ29に電気的に接続されている。組電池22の負極側配線30は、プリント配線基板24の保護回路26の負極側コネクタ31に電気的に接続されている。
【0071】
サーミスタ25は、電池単体21の温度を検知するためのもので、検知信号は保護回路26に送信される。保護回路26は、所定の条件で保護回路と外部機器への通電用端子との間のプラス側配線31a及びマイナス側配線31bを遮断できる。所定の条件とは、例えば、サーミスタの検出温度が所定温度以上になったとき、電池単体21の過充電、過放電、過電流等を検知したとき等である。この検知方法は、個々の電池単体21もしくは電池単体21全体について行われる。個々の電池単体21を検知する場合、電池電圧を検知してもよいし、正極電位もしくは負極電位を検知してもよい。後者の場合、個々の電池単体21中に参照極として用いるリチウム電極が挿入される。図5の場合、電池単体21それぞれに電圧検知のための配線32を接続し、これら配線32を通して検知信号が保護回路26に送信される。
【0072】
組電池22について、正極端子11および負極端子12が突出する側面以外の三側面には、ゴムもしくは樹脂からなる保護シート33が配置される。正極端子11および負極端子12が突出する側面とプリント配線基板24との間には、ゴムもしくは樹脂からなるブロック状の保護ブロック34が配置される。
【0073】
この組電池22は、各保護シート33、保護ブロック34およびプリント配線基板24と共に収納容器35に収納される。すなわち、収納容器35の長辺方向の両方の内側面と短辺方向の内側面それぞれに保護シート33が配置され、短辺方向の反対側の内側面にプリント配線基板24が配置される。組電池22は、保護シート33及びプリント配線基板24で囲まれた空間内に位置する。収納容器35の上面には、蓋36が取り付けられる。
【0074】
なお、組電池22の固定には、粘着テープ23に代えて、熱収縮テープを用いても良い。この場合、組電池の両側面に保護シートを配置し、熱収縮チューブを周回させた後、該熱収縮チューブを熱収縮させて組電池を結束させる。
【0075】
なお、図4,5に示した電池単体21は直列に接続されているが、電池容量を増大させるためには並列に接続しても良い。無論、組み上がった電池パックを直列、並列に接続することもできる。
【0076】
また、電池パックの態様は用途により適宜変更される。
【0077】
電池パックの用途としては、高温環境下での使用が想定されるものが好ましい。具体的には、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車等の車載用や電子機器の非常用が挙げられる。
【0078】
なお、車載用の場合、−20℃以下の低温環境下におけるサイクル特性が求められる。電子機器の非常用の場合、−20℃〜0℃の低温環境下におけるサイクル特性が求められる。後述する実施例に示すように、−30℃での充電サイクル特性が改善されるため、車載用にも電子機器の非常用にも適用可能である。特に、車載用が好適である。
【0079】
[実施例]
以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細に説明するが、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
【0080】
(実施例1)
正極活物質として、平均粒子径が3μmの層状構造のリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/32)を用意した。これに導電材として正極全体に対して8重量%の黒鉛粉末、結着剤として正極全体に対して5重量%のPVdFをそれぞれ配合してn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散してスラリーを調製した。厚さ15μmで平均結晶粒子径10μmのアルミニウム合金箔(純度99%)の両面にスラリーを塗布し、乾燥し、プレス工程を経て、片面の塗布量12.8mg/cm2、片面の正極活物質含有層の厚さLpが43μm、電極密度が3.0g/cm3の正極を作製した。前記正極活物質含有層のBET法による比表面積Spは、0.5m2/gであった。
【0081】
また、平均粒子径が0.3μm、BET比表面積が15m2/g、リチウム吸蔵電位が1.55V(vs.Li/Li+)のスピネル型のチタン酸リチウム(Li4Ti512)粉末と、平均粒子径0.4μmのBET比表面積50m2/gのコークス粉末と、アセチレンブラック粉末と、結着剤としてPVdFとを重量比で90:6:2:2となるように配合した。これらをn−メチルピロリドン(NMP)溶媒に分散させ、ボールミルを用いて回転数1000rpmで、かつ攪拌時間が2時間の条件で攪拌を用い、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ10μmで平均結晶粒子径10μmのアルミニウム箔(純度99.99%)に塗布し、乾燥し、加熱プレス工程を経ることにより、片面の塗布量が13mg/cm2、片面の負極活物質含有層の厚さLnが59μm、電極密度が2.2g/cm3の負極を作製した。集電体を除く負極多孔度は、35%であった。また、負極活物質含有層のBET比表面積Snは10m2/gであった。よって、Lp/Lnは0.729であった。
【0082】
一方、厚さ12μmのポリエチレン製多孔質フィルムのセパレータを正極に密着して覆い、負極を正極に対向するように重ねて渦巻状に捲回して電極群を作製した。この電極群をさらにプレスし扁平状に成形した。厚さが0.1mmのアルミニウム含有ラミネートフィルムからなる容器に電極群を収納した。
【0083】
一方、非水電解質として、エチレンカーボネート(EC)及びγ−ブチロラクトン(BL)の混合溶媒(体積比率25:75)に電解質としての四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)を2.0mol/L溶解することにより液状非水電解質(非水電解液)を調製した。この非水電解質を容器内の電極群に注液し、前述した図1示す構造を有し、厚さ3.8mm、幅35mm、高さ63mmの薄型非水電解質電池を作製した。
【0084】
以下に、負極活物質の粒径及びリチウム吸蔵電位と、負極活物質、負極活物質含有層及び正極活物質含有層の比表面積と、負極活物質含有層及び正極活物質含有層の厚さと、負極の多孔度の測定方法を説明する。
【0085】
<負極活物質の粒径>
負極活物質の粒径測定は、レーザー回折式分布測定装置(島津SALD-300)を用い、まず、ビーカーに試料を約0.1gと界面活性剤と1〜2mLの蒸留水を添加して十分に攪拌した後、攪拌水槽に注入し、2秒間隔で64回光度分布を測定し、粒度分布データを解析するという方法にて測定した。
【0086】
<リチウム吸蔵電位>
負極を1cm×1cmの大きさに切り出し、作用極とした。作用極と2cm×2cmのリチウム金属箔からなる対極とをグラスフィルター(セパレータ)を介して対向させ、作用極と対極とに触れぬようにリチウム金属を参照極として挿入した。これら電極を3極式ガラスセルに入れ、作用極、対極、参照極の夫々をガラスセルの端子に接続し、ECとBLが体積比25:75で混合された混合溶媒にLiBF4を2mol/L溶解した電解液を50mL注ぎ、セパレータと電極に充分に電解液が含浸された状態にし、ガラス容器を密閉した。作製したガラスセルを25℃の恒温槽内に配置し、0.1mA/cm2の電流密度で充電した際の作用極のリチウムイオン吸蔵電位を測定した。
【0087】
<N2吸着によるBET比表面積>
負極活物質のBET比表面積の測定には、粉末の負極活物質1gを用意した。負極活物質含有層のBET比表面積Snには、2x2cm2の負極を2枚切り取り、これをサンプルとした。正極活物質含有層のBET比表面積Spには、2x2cm2の正極を2枚切り取り、これをサンプルとした。BET比表面積測定装置はユアサ アイオニクス社製を使用し、窒素ガスを吸着ガスとした。
【0088】
<活物質含有層の厚さ>
負極の厚さを任意の20箇所で測定し、その平均値を求めた。集電体の両面から負極活物質含有層を引き剥がした後、集電体の表面をアセトンで洗浄し、集電体の厚さを任意の20箇所で測定し、その平均値を求めた。平均負極厚さから平均集電体厚さを差し引き、得られた値に1/2を掛け合わせたものを負極活物質含有層の厚さLnとした。
【0089】
正極の厚さを任意の20箇所で測定し、その平均値を求めた。集電体の両面から正極活物質含有層を引き剥がした後、集電体の表面をアセトンで洗浄し、集電体の厚さを任意の20箇所で測定し、その平均値を求めた。平均正極厚さから平均集電体厚さを差し引き、得られた値に1/2を掛け合わせたものを正極活物質含有層の厚さLpとした。
【0090】
<負極の多孔度>
負極の多孔度は、負極活物質含有層の体積を、多孔度が0%の時の負極活物質含有層体積と比較し、多孔度が0%の時の負極活物質含有層体積からの増加分を空孔体積とみなして算出したものである。なお、負極活物質含有層の体積は、集電体の両面に負極活物質含有層が形成されている場合、両面の負極活物質含有層の体積を合計したものとする。
【0091】
(実施例2〜14)
正極活物質組成、正極活物質含有層の厚さLpと比表面積Sp、負極活物質含有層厚さLnと比表面積Sn、厚さ比(Lp/Ln)、比表面積比(Sn/Sp)及びリチウム塩濃度を下記表1に示すように設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして薄型の非水電解質電池を作製した。
【0092】
(実施例15)
負極活物質として平均粒子径が0.1μmで、リチウム吸蔵電位が2.0Vから1.0 V(vs.Li/Li+)の範囲の低結晶性のTiO2を用い、正極活物質含有層の比表面積Sp、負極活物質含有層の比表面積Sn及び比表面積比(Sn/Sp)を下記表1に示すように設定すること以外は、実施例2と同様にして薄型の非水電解質電池を作製した。
【0093】
(実施例16)
負極活物質として、平均粒子径が0.1μmで、リチウム吸蔵電位が2.0Vから1.0V(vs.Li/Li+)の範囲で、TiO2−P25−SnO2−NiO−CuOで表され、低結晶性のTiO2の微結晶相とアモルファス相が共存したチタン含有金属複合酸化物を用い、正極活物質含有層の比表面積Sp、負極活物質含有層の比表面積Sn及び比表面積比(Sn/Sp)を下記表1に示すように設定すること以外は、実施例2と同様にして非水電解質電池を作製した。
【0094】
(比較例1〜4)
正極活物質含有層の厚さLpと比表面積Sp、負極活物質含有層厚さLnと比表面積Sn、厚さ比(Lp/Ln)、比表面積比(Sn/Sp)及びリチウム塩濃度を下記表1に示すように設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして薄型の非水電解質電池を作製した。
【0095】
(比較例5)
正極活物質にLiFePO4を用い、正極活物質含有層の厚さLpと比表面積Sp、負極活物質含有層厚さLnと比表面積Sn、厚さ比(Lp/Ln)、比表面積比(Sn/Sp)及びリチウム塩濃度を下記表1に示すように設定すること以外は、実施例1と同様にして薄型の非水電解質電池を作製した。
【0096】
(比較例6)
正極活物質にLiCoO2を用い、負極活物質にメソフェーズピッチ系炭素繊維を使用し、正極活物質含有層の厚さLpと比表面積Sp、負極活物質含有層厚さLnと比表面積Sn、厚さ比(Lp/Ln)、比表面積比(Sn/Sp)及びリチウム塩濃度を下記表1に示すように設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして薄型の非水電解質電池を作製した。
【0097】
(比較例7)
正極活物質にLiCoO2を用い、負極活物質にメソフェーズピッチ系炭素繊維を使用し、正極活物質含有層の厚さLpと比表面積Sp、負極活物質含有層厚さLnと比表面積Sn、厚さ比(Lp/Ln)、比表面積比(Sn/Sp)及びリチウム塩濃度を下記表1に示すように設定すること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして薄型の非水電解質電池を作製した。
【0098】
得られた実施例及び比較例の非水電解質電池に−30℃の環境下で1.2Aの定電流で2.8Vまで30分で急速充電した後、0Vまで0.6Aの定電流放電を繰り返すサイクル試験を行った。
【0099】
また、−30℃環境下の0.6A放電時の放電初期容量と、−30℃で3Aの大電流放電時の容量維持率を測定した。容量維持率は、25℃、0.6A放電時の容量を100%とした際の容量維持率である。
【0100】
これらの測定結果を下記表1に示す。
【表1】


【0101】
表1から明らかなように、実施例1〜16の非水電解質電池は、比較例1〜7に比べ、−30℃の低温環境下での充放電サイクル寿命に優れる。
【0102】
実施例1〜5の比較により、厚さ比(Lp/Ln)が0.5以上、1未満の範囲内においては、厚さ比(Lp/Ln)が大きい方が−30℃での初期容量、3Aの大電流で放電時の容量維持率、サイクル寿命に優れることが理解できる。特に、厚さ比(Lp/Ln)が0.7以上、0.9以下の実施例1,5において、優れたサイクル特性が得られている。
【0103】
実施例1,9,10,11の比較により、比表面積比(Sn/Sp)が5以上、100以下の範囲で優れたサイクル特性が得られていることが理解できる。中でも、比表面積比(Sn/Sp)が10以上、80以下である実施例1,11の電池は、3Aの大電流放電時の容量維持率にも優れている。
【0104】
また、実施例1,12,13,14の比較により、正極活物質としてリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物もしくはリチウムコバルト複合酸化物を使用した実施例1,12において、−30℃で3Aの大電流放電時の容量維持率とサイクル寿命に優れることが理解できる。
【0105】
これに対し、厚さ比(Lp/Ln)が0.5以上、1未満の範囲から外れた比較例1,2の電池と、比表面積比(Sn/Sp)が5以上、100以下の範囲から外れた比較例3,4の電池は、−30℃でのサイクル寿命が実施例1〜16に比して劣ったものとなった。
【0106】
比較例5の結果から、厚さ比(Lp/Ln)及び比表面積比(Sn/Sp)が前記範囲を外れていると、正極活物質の組成を変更しても特性が劣ったものとなることが理解できる。
【0107】
比較例6,7の電池は、いずれも、負極活物質として炭素材料を備える。比較例7の電池は、厚さ比(Lp/Ln)、比表面積比(Sn/Sp)及び比表面積Snが実施例と同様な範囲に設定されているにも拘わらず、特性が比較例6よりも低下した。
【0108】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明に係る非水電解質電池の一実施形態である扁平型非水電解質電池を模式的に示した部分切欠斜視図。
【図2】図1のA部の拡大断面図。
【図3】本発明に係る非水電解質電池の別な実施形態である扁平型非水電解質電池を模式的に示した部分切欠斜視図。
【図4】本発明の実施形態に係る電池パックの分解斜視図。
【図5】図4の電池パックの電気回路を示すブロック図。
【符号の説明】
【0110】
1…外装容器、2…電極群、3…正極、3a…正極集電体、3b…正極活物質含有層、4…負極、4a…負極集電体、4b…負極活物質含有層、5…セパレータ、6…負極端子、7…正極端子、8…正極、9…負極、10…セパレータ、11…正極端子、12…負極端子、13…容器、21…電池単体、22…組電池、23…粘着テープ、24…プリント配線基板、28…正極側配線、29…正極側コネクタ、30…負極側配線、31…負極側コネクタ、33…保護ブロック、35…収納容器、36…蓋。




 

 


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