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発明の名称 窒化ガリウム系半導体レーザ装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−12729(P2007−12729A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−189174(P2005−189174)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
発明者 田中 明
要約 課題
本発明は、高出力時の動作電流が低減され、信頼性の改善された窒化ガリウム系半導体レーザ装置を提供する。

解決手段
第1導電型を有する第1クラッド層と、前記第1クラッド層上に設けられた活性層と、前記活性層上に設けられた第2導電型を有するオーバーフロー防止層と、前記オーバーフロー防止層の上に設けられた第2導電型を有する第2クラッド層と、を備え、前記第2クラッド層はリッジ部と非リッジ部とを有し、AlGa1−yN(0.015≦y≦1)層とGaN層との超格子層で平均アルミニウム組成比が0.015以上0.040以下、またはAlGa1−xN(0.015≦x≦0.040)層により構成され、前記リッジ部の厚みは、前記非リッジ部の厚み以上でかつ0.45マイクロメータ以下であることを特徴とした窒化ガリウム系半導体レーザ装置が提供される。
特許請求の範囲
【請求項1】
第1導電型を有する第1クラッド層と、
前記第1クラッド層上に設けられた活性層と、
前記活性層上に設けられた第2導電型を有するオーバーフロー防止層と、
前記オーバーフロー防止層の上に設けられた第2導電型を有する第2クラッド層と、
を備え、
前記第2クラッド層はリッジ部と非リッジ部とを有し、AlGa1−yN(0.015≦y≦1)層とGaN層との超格子層で平均アルミニウム組成比が0.015以上0.040以下、またはAlGa1−xN(0.015≦x≦0.040)層により構成され、
前記リッジ部の厚みは、前記非リッジ部の厚み以上でかつ0.45マイクロメータ以下であることを特徴とした窒化ガリウム系半導体レーザ装置。
【請求項2】
前記オーバーフロー防止層は、アルミニウム組成比zが0.15以上のAlGa1−Nにより形成されたことを特徴とした請求項1記載の窒化ガリウム系半導体レーザ装置。
【請求項3】
前記第1クラッド層は、AlGa1−yN(0.04≦y≦1)層とGaN層との超格子で平均アルミニウム組成比が0.04以上0.10以下、またはAlGa1−xN(0.04≦x≦0.10)層により構成されたことを特徴とした請求項1または2に記載の窒化ガリウム系半導体レーザ装置。
【請求項4】
前記活性層は、InGa1−xN/InGa1−yNからなる単一または多重量子井戸構造を有し、井戸層のインジウム組成比xは0.05以上0.2以下であり、障壁層のインジウム組成比yは0以上0.05以下であることを特徴とした請求項1〜3のいずれか1つに記載の窒化ガリウム系半導体レーザ装置。
【請求項5】
前記リッジ部の上面に設けられ、第2導電型を有するコンタクト層と、
前記リッジ部の側面と前記非リッジ部の上面に設けられた絶縁膜と、
をさらに備え、
前記活性層からの放射光の基本水平横モードは、前記リッジ部を構成する前記第2クラッド層と前記絶縁膜との屈折率差により閉じ込められ、
前記リッジ部の高さと前記コンタクト層厚みとの和は、前記非リッジ部の厚みと前記絶縁膜厚みとの和以上であることを特徴とした請求項1〜4のいずれか1つに記載の窒化ガリウム系半導体レーザ装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化ガリウム系半導体レーザ装置に関し、特にリッジ導波路を有する窒化ガリウム系半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代DVD(Digital Versatile Disc)は、ハイビジョン映像の長時間記録や、コンピュータ用大容量記録のために、開発が進んでいる。従来のDVDの4倍以上の記録容量を得るために、半導体レーザ装置の波長は、従来の650ナノメータではなく、400ナノメータ帯であることが必要である。このためには、窒化ガリウム系材料が使われる。
【0003】
また、高密度光ディスクへの書き換え及び読み取りを行うために、以下のような構造が用いられる。すなわち、窒化ガリウム基板上に、InGaAlN系材料を用いて、ダブルへテロ接合を成長し、上部p型クラッド層をリッジ形状とした窒化ガリウム系リッジ導波路型半導体レーザ装置である。しかし、窒化ガリウム系材料は、InGaAlP系材料などと比べて、格子不整合や結晶欠陥を生じやすく、半導体レーザ装置の特性および信頼性を低下させる要因となっている。
【0004】
InGaAlN系半導体レーザ装置における構成元素組成比の最適化により格子不整合や結晶欠陥を低減し、リッジ構造の最適化により光の閉じ込めを改善する技術開示例がある(例えば、特許文献1)。しかしながら、書き換え用途に要求される、100mW以上の光出力、書き換えに適したFFP(Far Field Pattern)を有する光ビーム品質、長期信頼性を実現するには、これらの開示例では、困難であった。
【特許文献1】特開2002−94190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、高出力時の動作電流が低減され、信頼性の改善された窒化ガリウム系半導体レーザ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
第1導電型を有する第1クラッド層と、
前記第1クラッド層上に設けられた活性層と、
前記活性層上に設けられた第2導電型を有するオーバーフロー防止層と、
前記オーバーフロー防止層の上に設けられた第2導電型を有する第2クラッド層と、
を備え、
前記第2クラッド層はリッジ部と非リッジ部とを有し、AlGa1−yN(0.015≦y≦1)層とGaN層との超格子層で平均アルミニウム組成比が0.015以上0.040以下、またはAlGa1−xN(0.015≦x≦0.040)層により構成され、
前記リッジ部の厚みは、前記非リッジ部の厚み以上でかつ0.45マイクロメータ以下であることを特徴とした窒化ガリウム系半導体レーザ装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明により、高出力時の動作電流が低減され、信頼性の改善されたリッジ導波路型窒化ガリウム系半導体レーザ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態につき説明する。
図1は、本発明の具体例にかかる窒化ガリウム系半導体レーザ装置の模式断面図である。n型GaN基板20上に、n型Al0.04Ga0.96Nクラッド層22(厚み1.5〜2.0マイクロメータ)、n型GaN光ガイド層24(厚み0.01〜0.10マイクロメータ)、活性層26が積層されている。
【0009】
さらに、MQW活性層26の上には、ノンドープGaN拡散防止層27(厚み0.02〜0.1マイクロメータ)、p型Al0.16Ga0.84Nオーバーフロー防止層28(厚み5〜20ナノメータ)、p型GaN光ガイド層30(厚み0.01〜0.10マイクロメータ)、p型AlGa1−xNクラッド層32、p型GaNコンタクト層34(厚み0.02〜0.10マイクロメータ)が積層されている。アルミニウム(Al)の組成比xの範囲は、0.015〜0.040が望ましく、0.015≦x≦0.035がより好ましい。これら、半導体積層膜は、例えばMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、n型GaN基板上に、順次成長することができる。なお、n型不純物としてはシリコンが、p型不純物としてはマグネシウムが一般的に用いられる。
【0010】
なお、本明細書において「窒化ガリウム系半導体」とは、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)なる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させたすべての組成の半導体を含むものとする。また、導電型を制御するために添加される各種の不純物のいずれかをさらに含むものも、「窒化ガリウム系半導体」に含まれるものとする。
【0011】
図1に例示される構造は、リッジ導波路型とも呼ばれる屈折率導波構造に属する。すなわち、p型AlGaNクラッド層32には、破線部で表される高さHのリッジ部42、及び破線部で表される厚みJの非リッジ部40が形成されている。リッジ部42の上部のp型GaNコンタクト層も、同時にパターニングされている。パターニングされたp型GaNコンタクト層34側面及びリッジ部42のリッジ側面44には、絶縁膜36が形成されている。絶縁膜36の材料としては、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(Si)などを用いることができる。なお、シリコン酸化膜の屈折率は約1.5であり、シリコン窒化膜の屈折率は1.9〜2.1である。
【0012】
また、p型GaNコンタクト層34は、例えば、Pt、Pd、Ni、Auなどの単層、積層、または合金からなるp側電極50と接続される。またn型GaN基板20は、Ti、Pt、Au、Alなどの単層、積層、または合金からなるn側電極52と接続されている。
【0013】
リッジ部42のリッジ側面44には、絶縁膜36が設けられているので、リッジ部42を構成するp型AlGaNクラッド層32と、絶縁膜36との屈折率に差が生じている。p型AlGaNクラッド層32の屈折率は、Al0.035Ga0.965Nにおいて約2.526、Al0.04Ga0.96Nにおいて約2.523である。このようにリッジ部42の屈折率は、絶縁膜36より高いので、基本水平横モードは、光軸(Z軸に平行)に直交する断面内において、MQW活性層26に対して水平方向(X軸)に閉じ込められる。但し、波長に比べて、リッジ部42の底面における幅Wが大きすぎると水平横モードに高次モードを生じる。本具体例においては、リッジ部42の幅Wは、1〜3マイクロメータとすることにより、高次モードを抑制できている。
【0014】
また、非リッジ部40の厚みJをリッジ部42の高さHに近づけると、屈折率差を有する領域が薄くなり横方向への光閉じ込めが弱くなって効率が低下する。従って、(H−J)≧0.05μmが望ましい。さらに、後に詳述するように、リッジ部42の高さHは、0.45マイクロメータ以下とすることが望ましい。
【0015】
次に、積層構造の作用につき、より詳細に説明する。
図2は、本具体例の半導体積層構造のバンド図である。ノンドープGaN拡散防止層27は、例えばマグネシウム(Mg)などのp型不純物が、高濃度であるp型AlGaNオーバーフロー防止層28から、MQW活性層26へ拡散することを抑制する。
【0016】
また、p型オーバーフロー防止層28は、n型GaN基板20側から注入された矢印で表す電子Qが、p型AlGa1−xNクラッド層32へ漏れることによる動作電流の不必要な増大を抑制する。
【0017】
すなわち、p型AlGa1−xNオーバーフロー防止層28のアルミニウム組成比xを大きくすると、MQW活性層26とのバンドギャップ差が大きくなり、n側から注入された電子QがMQW活性層26からp型AlxGa1−xNクラッド層32への漏れることを低減できる。さらに、p型AlGaNオーバーフロー防止層28のp型濃度を高くすることにより(例えば、1×1020cm−3)、活性層26との伝導帯側へテロ障壁を大きくできるために、電子Qの漏れをより低減できる。
【0018】
また、アルミニウム組成比を大とすると、一般に、格子定数は小となるので、格子不整合を生じるなど、結晶性を損なう方向となる。しかし、p型AlGaNオーバーフロー防止層28の厚みは、例えば5〜20ナノメータと薄いので、結晶性の劣化の影響を小さくできる。これに対して、p型AlGaNクラッド層32は、p型AlGaNオーバーフロー防止層より厚いので、結晶性の劣化防止のために、アルミニウム組成比には上限が存在する。
【0019】
次に、アルミニウム組成比を大とした場合の、ビーム特性につき説明する。アルミニウム組成比を大とすると、屈折率が小となるので、垂直(Y軸)方向への光閉じ込めが強くなる。従って、p型AlGaNクラッド層32のアルミニウム濃度を大きくしすぎると、垂直方向へのビーム広がり角(Θ)が大となり、水平方向へのビーム広がり角(Θ)との比であるアスペクト比(Θ/Θ)が大となる。光出力を有効に利用するには、アスペクト比は、1に近いほうが望ましい。したがって、大きすぎるアスペクト比の場合に、ビーム整形レンズなどが必要となり光学系が複雑になるので、実用上好ましくない。本具体例においては、p型AlGaNクラッド層32のアルミニウム組成比を、0.015〜0.040、より望ましくは0.015〜0.035とすれば、アスペクト比を適正値にできる。すなわち、アルミニウム組成比を0.04以下とすると、Θ⊥を22°以下とできて、整形レンズなどが不要となる。
【0020】
次に、積層構造の構成要素に関する補足説明をする。p型クラッド層32は、p型AlGa1−xN層(0.015≦x≦0.040)に限定されることなく、例えば、AlGa1−yN(0≦y≦1)/GaNペアが積層された超格子層であっても良い。この場合、平均アルミニウム組成比は、0.015以上で0.040以下が望ましく、0.015以上、0.035以下がより望ましい。超格子層にすると、格子不整合などによるストレスが緩和され(すなわちクラック防止などに効果がある)、また、動作電圧を低減できる。例えば、幅2.5ナノメータのGaNと幅2.5ナノメータのAl0.07Ga0.93Nを交互に200組積層することにより、厚み1マイクロメータで平均アルミニウム組成比0.035のクラッド層が実現できる。さらに、GaN層にマグネシウムを変調ドープすると一層効果が高まる。
【0021】
同様に、n型クラッド層22は、n型Al0.04Ga0.96N層に限定されることなく、AlxGa1−xN(0.04≦x≦0.10)であっても良い。さらに、AlGa1−yN/GaNペアが積層された超格子層であっても良い。この場合、平均アルミニウム組成比としては、0.04以上で0.10以下であればよい。超格子の効果はp型クラッド層と同様である。n型クラッド層22におけるアルミニウム組成比が0.04以上であることは動作電流を低減するために好ましく、0.10以下であることは垂直方向へのビーム広がり角(Θ⊥)を22°以下とするために好ましい。
【0022】
さらに、InGa1−xN/InGa1−yNからなる活性層26に関しては、単一または多重量子井戸活性層(Multiple Quantum Well)であっても良い。この場合、井戸層におけるインジウム組成比xが0.05以上で0.2以下、かつ障壁層におけるインジウム組成比yが0以上で0.05以下の範囲内で選択することができる。例えば、In0.13Ga0.87N/In0.01Ga0.99N構造とし、井戸層厚み2〜5ナノメータ、井戸数2〜4、障壁層厚み3〜10ナノメータとすることができる。活性層の組成及びプロファイルを変えることにより、閾値電流、FFP,温度特性などを調整できる。
【0023】
さらに、オーバーフロー防止層28は、アルミニウム組成比が、0.15以上であるAlGa1−xNとすることができる。
【0024】
図3は、リッジ部42を有する窒化ガリウム系半導体レーザ装置における高出力時動作電流のリッジ部42の厚みH依存性を表すグラフ図である。アルミニウム組成比xをパラメータとして、シミュレーションを行った結果である。
本シミュレーション例において、非リッジ部40の高さJは0.05マイクロメータと固定し、p型AlGa1−xNクラッド層32のリッジ部42の厚みHを、0.05〜0.50マイクロメータの範囲で変化させている。また、アルミニウム組成比xを、0.015、0.025、0.04と選択した。一方、n型Al0.04Ga0.96Nクラッド層22においては、アルミニウムの組成比を0.04、層厚を1.65マイクロメータと固定した。更に、リッジ部42の底面幅Wを1.7マイクロメータに設定した。
【0025】
また、窒化ガリウム半導体レーザ装置の光共振器を構成する前側へきかい面には反射率10%の反射膜が、後側へきかい面には反射率95%の反射膜が設けられており、前側からの光出力が高められている。
【0026】
縦軸は、周囲温度であるTa=80℃において、CW光出力が80mWであるときの動作電流を表し、横軸は、リッジ厚みH(μm)を表す。リッジ部厚みHが0.15〜0.45マイクロメータの範囲においては、動作電流の微増はあるものの270ミリアンペア以下と低い動作電流とできている。また、アルミニウム組成比が0.015〜0.040の範囲において、実用的な動作電流が得られており、アルミニウム組成比が大きい方が電流飽和傾向があるものの、実用的な動作電流が得られている。アルミニウム組成比としては0.05以上では光の閉じ込めが強くなるためリッジ部厚みHを薄くしても効果はないが、0.04以下では効果的であると考えられる。
【0027】
しかし、リッジ部42の厚みHが、0.45マイクロメータ以上においては、動作電流の急激な上昇を招く。この理由の第1は、垂直横方向(Y軸)において、MQW活性層26への光の閉じ込めが弱くなるためと考えられる。第2の理由は、MQW活性層26から放熱面への距離が増加し、放熱性が悪くなるためと考えられる。すなわち、高出力用途においてはp側電極50が放熱のための金属ヒートシンクに共晶ハンダなどで接着されることが多いからである。
【0028】
また、リッジ部42の厚みHは、非リッジ部40の厚みJ(この場合、0.05マイクロメータと設定)以上でないと水平横モード(X軸)の閉じ込めが不完全となり、効率が低下する。
【0029】
次に、比較例につき説明する。
図4は、比較例である窒化ガリウム系半導体レーザ装置の模式断面図である。なお、図1と同様の構成要素には同一番号を付して詳細な説明を省略する。n型AlGa1−yNクラッド層22とp型AlGa1−xNクラッド層32において、アルミニウム組成比x及びyの変化範囲は、x=yでかつ0.02〜0.05とした。また、p型AlGa1−xNクラッド32のリッジ部42の高さHを0.5マイクロメータと設定した。
図5は、この比較例におけるシミュレーション結果を表すグラフ図である。縦軸は、80mW出力時における動作電流を表し、横軸は、p型AlGa1−xNクラッド層32のアルミニウム組成比xを表す。
【0030】
本比較例においては、クラッド層アルミニウム組成比x及びy(但しx=y)が0.03以下において、動作電流が急激に増加する。
【0031】
図6は、本具体例のCW光出力−動作電流特性測定値を、比較例と対比して表したグラフ図である。図6に例示されるのは、具体例のうち、p型Al0.025Ga0.975Nクラッド層32、n型Al0.04Ga0.96Nクラッド層22を有し、リッジ部42の高さHが0.35マイクロメータである窒化ガリウム系半導体装置の特性である。また、図6に例示される比較例は、p型Al0.025Ga0.975Nクラッド層32、n型Al0.025Ga0.975Nクラッド層22を有し、リッジ部42の高さHが0.5マイクロメータである窒化ガリウム系半導体レーザ装置である。
【0032】
ケース温度Tcは、いずれも、マイナス10、25、80℃である。なお、ヒートシンク依存性を含まないために周囲温度ではなく、ケース温度をパラメータとした。実線で表される本具体例においては、CW100mW時の動作電流は、約130mA(Tc=−10℃)、約150mA(Tc=25℃)、約175mA(Tc=80℃)である。一方、比較例においては、それぞれ、約200mA(Tc=−10℃)、約220mA(Tc=25℃)、約270mA(Tc=80℃)と、より高くなっている。さらに、比較例においては、出力に飽和傾向を生じている。このように比較例においては、高出力が得られにくく、また効率低下により動作温度がより上昇するので、長期信頼性が低下する。
【0033】
次世代DVDの書き換え用途においては、CW出力100mW以上,パルス出力200mW以上が要求される。本具体例に示したリッジ部42の厚み、p型AlGaNクラッド層32におけるアルミニウム組成比、およびp型オーバーフロー防止層28構造を適正に選択することにより、マイナス10〜80℃の範囲にわたって、キンクを発生することなく、100mW以上のCW光出力、200mA以下の低電流動作が可能となる。
【0034】
次に、具体例の変形例につき述べる。まず、絶縁膜36が、リッジ部42の高さと比べて厚くなると生じる不具合につき説明する。
図7〜図9は、このような窒化ガリウム系半導体レーザ装置の製造工程の要部を表わす工程断面図である。
図7において、リッジ部42の高さHとp型GaNコンタクト層34の厚みMとの和が、非リッジ部40の厚みJと絶縁膜36の厚みNとの和より小さい場合の断面を表す。
【0035】
絶縁膜36の上には、パターニングされたマスク材(図示せず)が設けられ、図8に例示されるように、絶縁膜36がパターニングされる。このとき、p型GaNコンタクト層34の表面を完全に露出させるために、絶縁膜36はオーバーエッチング気味となる。このあと、p側電極50が、図9のように形成される。この場合、リッジ部42のリッジ側面44の一部において、絶縁膜36が除去されることがある。この結果、水平横方向の光閉じ込めが不充分となることがある。
【0036】
図10は、これを解決する具体例の変形例である窒化ガリウム系半導体レーザ装置の要部を表わす部分模式断面図である。すなわち、リッジ部42の高さHとp型GaNコンタクト層34の厚みMとの和が、非リッジ部40の厚みJと絶縁膜36の厚みNとの和以上であれば、リッジ部42におけるリッジ側面44の露出が抑制できる。さらに、絶縁膜36及びp型コンタクト層34の表面を同一平面に近づけることができれば、p側電極50をより幅広として、ヒートシンクへの放熱を改善することが可能となる。絶縁膜36の厚みは、例えば、0.1〜0.4マイクロメータの範囲内で選択できる。
【0037】
以上の具体例においては、n型GaN基板20を用いた場合につき説明した。しかし、これに限定されることなく、例えば、サファイヤ基板上にELOG(Epitaxial Lateral Over Growth)などで半導体積層膜を形成しても良い。ここで、n型GaN基板20を用いる利点につき、要点を述べる。半導体積層膜を結晶成長する場合に、サファイヤと異なり、格子整合しているので、結晶性が極めて良好となる。また、バッファー層の形成や、熱処理が不要となり、製造工程が簡素化できる。
【0038】
また、n側電極52をn型GaN基板20の裏面に形成できるので、InGaAlP、GaAs、InPなどを材料とした半導体レーザ装置と同様に、電極を上下に配置できる。この結果、組み立てプロセスが簡素化できて、信頼性が向上する。
【0039】
さらに、n側電極52への電流経路はチップの上下方向である。サファイヤ基板上へのELOGにおいては、半導体積層の水平方向に電流経路が設けられるために、抵抗成分が増加して動作電圧の上昇を来たす場合がある。n型GaN基板20を用いれば、基板側における抵抗成分を低減できる。
【0040】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態を説明した。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、リッジ部を導波路とする半導体レーザ装置を構成する各要素の、サイズ、材質、配置関係などに関して、当業者が各種の設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を有する限りにおいては本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の具体例にかかる窒化ガリウム系半導体レーザ装置の模式断面図である。
【図2】本発明の具体例にかかる窒化ガリウム系半導体レーザ装置におけるバンド図である。
【図3】本発明の具体例にかかる窒化ガリウム系半導体レーザ装置における動作電流のリッジ厚み依存性を表すグラフ図である。
【図4】比較例である窒化ガリウム系半導体レーザ装置の模式断面図である。
【図5】比較例である窒化ガリウム系半導体レーザ装置における動作電流のクラッド層アルミニウム組成比依存性を表すグラフ図である。
【図6】本具体例及び比較例のCW光出力−動作電流特性測定値を表すグラフ図である。
【図7】絶縁膜が厚い窒化ガリウム系半導体レーザ装置の製造工程の要部を説明する工程断面図である。
【図8】絶縁膜が厚い窒化ガリウム系半導体レーザ装置の製造工程の要部を説明する工程断面図である。
【図9】絶縁膜が厚い窒化ガリウム系半導体レーザ装置の製造工程の要部を説明する工程断面図である。
【図10】本具体例の変形例である。
【符号の説明】
【0042】
20 n型GaN基板
22 n型AlGaNクラッド層
24 n型GaN光ガイド層
26 活性層
27 GaN拡散防止層
28 p型AlGaNオーバーフロー防止層
30 p型光ガイド層
32 p型AlGaNクラッド層
34 p型GaNコンタクト層
36 絶縁膜
40 非リッジ部
42 リッジ部
44 リッジ側面
50 p側電極
52 n側電極




 

 


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