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固体高分子型燃料電池システム - 株式会社東芝
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発明の名称 固体高分子型燃料電池システム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−12636(P2007−12636A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2006−288046(P2006−288046)
出願日 平成18年10月23日(2006.10.23)
代理人 【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
発明者 齊藤 和夫 / 霜鳥 宗一郎 / 堀 美知郎
要約 課題
システムの小形軽量化を犠牲にすることなく、固体高分子電解質膜の乾燥を確実に防ぐことにより安定した運転状態を維持する信頼性の高い固体高分子型燃料電池システムを提供する。

解決手段
燃料電池本体1にはその温度を検出するための温度センサ19が取付けられている。また、未反応空気と既反応空気が温度と湿度の交換を行う温湿度交換器2が設けられており、ここには未反応空気供給管6を介して空気供給ファン5が取付けられている。温度センサ19には検出した温度に基づいて空気供給ファン5を制御する制御ユニット8が接続されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
固体高分子電解質膜を有し反応ガスを取入れて多量の水蒸気を含む既反応ガスを排出する燃料電池本体と、炭化水素系の燃料を改質して改質ガスを生成する改質器と、保水性の多孔質体を有し前記既反応ガス及び前記反応ガスを取入れ該多孔質体を介して両ガスを接触させることにより両ガス間の熱及び水分の交換を行う温湿度交換器と、前記燃料電池本体の温度を制御する温度制御手段とが具備された固体高分子型燃料電池システムにおいて、
前記改質器の下流側の改質ガスを燃焼させて前記冷却媒体を加熱する第2のバーナが設けられたことを特徴とする固体高分子型燃料電池システム。
【請求項2】
前記第2のバーナが触媒燃焼器であることを特徴とする請求項1記載の固体高分子型燃料電池システム。
【請求項3】
システムの起動時または停止時に前記第2のバーナの燃焼ガスが前記反応ガスの供給経路に供給されるように構成されたことを特徴とする請求項1または2記載の固体高分子型燃料電池システム。
【請求項4】
前記第2のバーナの燃焼ガスが前記温湿度交換器に供給されるように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池システム。
【請求項5】
前記第2のバーナから燃焼ガスが供給された際の前記反応ガスの温度を検出するガス温度検出手段が設けられ、
前記ガス温度検出手段が検出した反応ガスの温度に応じて前記温度制御手段が燃料電池本体の温度を制御するように構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池システム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応ガスの加湿並びに燃料電池の予熱を行う固体高分子型燃料電池システムに改良を施したものである。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電解質を挟んでアノード電極及びカソード電極を設け、アノード電極に水素等の燃料、カソード電極に空気等の酸化剤といった反応ガスをそれぞれ供給することにより電気化学反応を起こし、燃料の持つ化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置である。燃料電池の種類には電解質の違い等により様々なタイプがあるが、近年では電解質として固体高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池が注目を集めている。固体高分子型燃料電池はシンプルな構造で高出力密度を得ることができるため、燃料電池の運転を実行するシステムの簡素化及びコンパクト化が可能である。したがって、宇宙用や車両用などの電源として高い関心が寄せられており、システム全体にわたる包括的な開発が進められている。
【0003】
ここで、図10を参照して一般的な固体高分子型燃料電池の構成について具体的に説明する。固体高分子型燃料電池にはイオン伝導性とガス分離機能を有する固体高分子電解質膜103が設けられている。この電解質膜103を挟持するようにしてアノード電極101a、カソード電極101bからなる一対のガス拡散電極が配置されている。各電極101a、101bにおいて電解質膜103に接する面には、Pt等の貴金属からなる触媒を含有した触媒層102a、102bが形成されている。これらの電極101a、101b、触媒層102a、102b及び電解質膜3から単電池104が構成される。さらに、単電池104を挟むようにしてガス不透過性のセパレータ5が配置されている。このセパレータ5の両面または片面には、水素等の燃料あるいは空気等の酸化剤といった反応ガスを供給するための溝が形成されている。
【0004】
以上の固体高分子型燃料電池では、セパレータ5の溝を介してアノード電極101aに水素等の燃料を、カソード電極101bに空気等の酸化剤をそれぞれ供給することにより、電気化学反応であるガス電極反応が起き、単電池104にて起電力が生じる。ただし、単電池104単位の起電力は1V程度と低い。そのため実際には、セパレータ105を介して複数の単電池104が積層されて電池スタック106として使用される。また、前記電気化学反応は発熱を伴うので、余剰な熱を除去する必要がある。通常、固体高分子型燃料電池の運転温度は70〜90℃に設定される。そこで、電池スタック106ごとに冷却媒体を流通させる冷却板107が挿入され、この冷却板107に所定の温度及び流量の冷却媒体を供給することにより所望の運転温度を維持するように構成されている。
【0005】
さらに、系外へのガスリークはガス利用率の低下や水素等の可燃ガスによる爆発の危険性が生じる。そのため、固体高分子電解質膜103とセパレータ105との間にはシール剤108が設けられ、ガスシールがなされている。また、カソード電極101bではガス電極反応に伴って水蒸気を生成するが、電極反応部に水が凝縮するとガス拡散性の悪化を招く。そこで、この凝縮水は未反応ガスと共に電池外に排出されるようになっている。
【0006】
ところで、固体高分子電解質膜103としては、フッ素系イオン交換膜であるパーフルオロスルホン酸膜等が代表的であるが、これらの固体高分子電解質膜3は分子中に水素イオンの交換基を持っており、飽和含水状態とすることによりイオン伝導性物質として機能する。逆に、固体高分子電解質膜103が乾燥すると、イオン導電性が悪化し、電池性能が著しく低下する。
【0007】
そのため固体高分子型燃料電池システムでは、固体高分子電解質膜103の乾燥防止対策が施されるのが一般的である。例えば、反応ガスの相対湿度を高めるために、アノード及びカソードの両電極101a、101bに供給する反応ガスを互いに対向するように流通させ、さらに運転温度を通常の70〜90℃よりも下げて60℃以下にするといった技術が知られている。しかし、こうした技術の場合、固体高分子電解質膜103や電池特性の長期安定性には問題があり、しかも60℃以下という低温での運転ではアノード電極101a側の触媒層102aのCO被毒が激しくなり、アノード分極が増大して電池特性が低下するおそれがある。
【0008】
以上の不具合を解消するには、加湿器によって予め反応ガスを加湿し、これを燃料電池に供給することによって固体高分子電解質膜103の乾燥を防ぐことが望ましい。具体的には、固体高分子電解質膜103が水蒸気透過膜であることを利用して、その両面に水と反応ガスを流通させる構造の加湿器が設置されたシステムが提案されている。
【0009】
また、非特許文献1に記載されているように、燃料電池から排出された既反応ガスと、燃料電池へと供給される反応ガスつまり未反応ガスとを、水蒸気透過膜によって隔てられたガス室にそれぞれ導くことにより、未反応ガスを加湿する方法が知られている。前述したように、ガス電極反応に伴いカソード電極101b側では水蒸気を生成するため、既反応ガスは飽和もしくはそれに近い多量の水蒸気を含んでいる。一方、未反応ガスは少量の水蒸気しか含んでおらず、ガス間には水蒸気分圧差が生じる。この分圧差を駆動力として水蒸気を濃度拡散させ、未反応ガスを加湿することができる。前記の文献でも述べられているように、相変化を生じさせないというところにこの方法の特徴がある。特許文献1に記載された技術もこれと同様の考え方を採用したものである。
【0010】
さらに、固体高分子型燃料電池はその電極であるアノード側とカソード側に触媒層を設けているが、発電中は水素と酸素をそれぞれの側に供給している。発電を停止するときは反応ガスの供給を遮断するが、そのまま遮断してしまうと、アノード側に空気が拡散するため、水素と酸素がアノード側の触媒で反応することになり、発熱反応が生じて、ひどい場合には電解質膜が損傷する可能性がある。そこで、燃料電池の運転を停止する際には、アノード側への空気の拡散を防止すべく、触媒面に窒素などの不活性ガスを流してパージすることが一般的に行われている。
【非特許文献1】J.F.McElroy and L.J.Nuttall,"Status of Solid Polymer Electrolyte Technology and Potential for Transportation Applications," 17th IECEC, 1982, pp.667-671. 1968年米国
【特許文献1】特開平6−132038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述の従来技術には次のような問題点があった。まず、加湿器や湿度交換により反応ガスを加湿する場合、システムが複雑化してコンパクト化が困難になった。また、水蒸気透過膜の両面に水と反応ガスを流通させる構造の加湿器では、外気温が0℃以下になると、水流路側で凍結が生じ、氷による流路の閉塞、氷の体積膨張による膜の破損、さらにはセパレータの変形といった不具合が生じる。さらに、起動時には凍結した氷を溶かさなくてはならないような低温環境では、起動に非常に長い時間を要することになり、起動時間の大幅な短縮が強く望まれていた。
【0012】
一方、水蒸気透過膜によって隔てられたガス室にそれぞれ既反応ガスと未反応ガスを導いて未反応ガスの加湿を行う場合、水流路の存在による不具合はないが、互いのガスの水蒸気分圧差だけで加湿を行っているので、十分な加湿を実施する場合には大きな加湿器が必要になり、システムの大形化及び重量化を招いた。これは、既反応ガス側での水蒸気濃度勾配による拡散抵抗、水蒸気透過膜内の拡散抵抗、さらに未反応ガス側での拡散抵抗など、水蒸気の拡散抵抗が非常に大きくなるためである。また、燃料電池の運転停止時に電池内部を窒素ガスによりパージする場合、窒素ガスを供給するための高圧ボンベが不可欠であり、システムが大形化及び重量化するといった問題があった。
【0013】
本発明は、以上の問題点を解決するために提案されたものであり、その主たる目的は、システムの小形軽量化を犠牲にすることなく、固体高分子電解質膜の乾燥を確実に防ぐことにより安定した運転状態を維持する信頼性の高い固体高分子型燃料電池システムを提供することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、低温環境でも短時間で確実な起動を可能とする固体高分子型燃料電池システムを提供することである。さらに、本発明の他の目的は、運転停止時における不活性ガスのパージを簡単な構成にて実現することができる固体高分子型燃料電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そこで、上記目的を達成するために、請求項1に対応する固体高分子型燃料電池システムは、燃料電池本体から排出された既反応ガスと燃料電池本体に供給される反応ガスとを保水性の多孔質体を介して接触させることにより温湿度交換を行う温湿度交換器と、炭化水素系の燃料を改質して改質ガスを生成する改質器とを具備し、改質器の下流側に改質ガスを燃焼させて冷却媒体を加熱する第2のバーナを設けたことを特徴としたものである。このような請求項1の発明では、冷却媒体の加熱源として改質器下流側の改質ガスを利用して燃料電池本体を予熱することができるため、燃料の節約及び起動時間の短縮が可能となる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1記載の固体高分子型燃料電池システムにおいて、第2のバーナが触媒燃焼器であることを特徴とする。このような請求項2の発明では、触媒燃焼器の採用により、不活性ガス成分をよりクリーンにすることができ、さらに信頼性の高いシステムを実現することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の固体高分子型燃料電池システムにおいて、システム起動時またはシステム停止時に第2のバーナの燃焼ガスを反応ガスの供給経路に供給したことを特徴としている。以上の請求項3の発明においては、システム起動時に第2のバーナの燃焼ガスを反応ガスの供給経路に取り込むことにより、より効率的に燃料電池本体の予熱を実施することができ、起動時間を大幅な短縮することができる。また、システム停止時に電池の周囲雰囲気を覆う不活性ガスとして第2のバーナの燃焼ガスを用いることができるので、窒素ガスを供給するための高圧ボンベが不要となり、システムの小形軽量化を進めることができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池システムにおいて、第2のバーナの燃焼ガスを温湿度交換器に供給したことを特徴とする。このような請求項4の発明では、第2のバーナの燃焼ガスを利用して温湿度交換器の予熱及び保水性の多孔質の加湿を行うことができる。
【0019】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の固体高分子型燃料電池システムにおいて、第2のバーナからの燃焼ガスが供給された際の反応ガスの温度を検出するガス温度検出手段を設け、このガス温度検出手段が検出した反応ガスの温度に応じて温度制御手段が燃料電池本体の温度を制御することを特徴としている。
【0020】
以上のような請求項5の発明においては、ガス温度検出手段にて検出された温度に基づき温度制御手段が燃料電池本体の温度を制御するので、第2のバーナからの燃焼ガスが高温であれば、燃料電池本体の温度を下げ、固体高分子電解質膜の劣化を防止することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、保水性の多孔質体を介して既反応ガスと未反応ガスを接触させ未反応ガスの加湿を行なう温湿度交換器を有する固体高分子型燃料電池システムにおいて、温湿度交換器が必要とする反応ガスの最適な温度条件あるいは湿度条件の時に反応ガスを供給し、システムの起動・停止・さらには定常運転ができるようになるので、余分な機器を動作させる必要がなくなりエネルギの無駄を省いて、高効率なシステムを提供することができる。また、冷却媒体を加熱するためのバーナの燃焼ガスを温湿度交換器および燃料電池本体のガス供給管に供給することにより、システムの効率的な予熱ができ、燃料の節約および起動時間の短縮が実現した。さらに、燃焼ガスが不活性である性質を利用して、電池のパージを行ない、電解質膜の劣化を防ぎつつ、システムの今泊とかに寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態の一例について、図面を参照して具体的に説明する。なお、従来例と同一の部材については同一符号を記し、説明を省略する。
【0023】
(1)第1の実施の形態
[構成]
本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態のシステム系統図を示しており、図2は本発明の温湿度交換器の温湿度交換の原理を示す概念図を示したものである。
【0024】
まず、図2を用いて温湿度交換器2について説明する。温湿度交換器2は保水性の多孔質体50を挟んで、未反応ガスと既反応ガスを接触させる構造をとっている。この図に示すように、固体高分子型燃料電池本体1より排出された高温、高湿の既反応ガスは、温湿度交換器2に導かれ、ガス溝52を通って排出されるが、温湿度交換器2の内部では、多孔質体50を介して低温の未反応ガスと接触する。一方、未反応ガスは外部より温湿度交換器2に導かれガス溝51を通って電池本体1へと供給される。
【0025】
多孔質体50では低温の未反応ガスと高温の既反応ガスが接触することにより熱交換が行われると同時に、既反応ガス側では露点以下となるために、含まれていた蒸気が凝縮し、保水性の多孔質体50に吸収される。さらに吸収された凝縮水は未反応ガス側へと移動し、乾燥状態にある未反応ガスへ蒸発する。このように温湿度交換器で2は温度と湿度が同時に交換されることになる。未反応ガスおよび既反応ガスはそれが酸化剤ガスであっても、燃料ガスであってもまた両方のガスであってもかまわないが、ここでは反応ガスに空気だけを用いている。これは燃料の流量に比べて空気の流量が圧倒的に多いため、空気の加湿が主体的になるためである。
【0026】
続いて、図1を参照して上記のような温湿度交換器2を持つ固体高分子型燃料電池システムについて説明する。図1において、1は固体高分子型燃料電池本体、2は温湿度交換器、3は固体高分子型燃料電池本体1に対する未反応ガスの入口、4は固体高分子型燃料電池本体1からの既反応ガスの出口を示している。5は空気を供給するファンであり、未反応空気供給管6を介して温湿度交換器2に取付けられている。また、温湿度交換器2には既反応空気排出管7が取付けられている。前述したように温湿度交換器2では未反応空気と既反応空気が温度と湿度の交換を行い、さらに高温で高湿の未反応空気が燃料電池本体1へと供給されるようになっている。
【0027】
一方、燃料電池本体1側では、16が燃料供給管、17が燃料排出管であり、20が燃料供給バルブ、18が冷却媒体循環経路を示している。燃料電池本体1内部では供給された未反応空気と燃料ガスとが反応することによって発電を行なうとともに、燃料電池本体1内部で発電に伴う発熱が生じる。冷却媒体循環経路18には、電池本体1内部の発熱を廃熱として大気へと放散させるための放熱器12、放熱器12に空気を送り込むための放熱ファン13、冷却媒体を搬送するためのポンプ9、冷却媒体を起動時に加熱するための冷却媒体加熱器10およびこれに熱を加えるためのバーナ11が組込まれており、これらにより燃料電池本体1の温度を制御する電池温度制御手段が構成される。
【0028】
14はバーナ11に燃料を送り込むための燃料ポンプ、15は燃焼用空気供給ファンである。19は燃料電池本体1の温度を検出するための温度センサであり、8はその温度をもとに各機器の制御を行う制御ユニットである。この制御ユニット8は、空気供給ファン5を制御し温湿度交換器2に対する空気の供給量を調整するようになっている。なお、図1では、温湿度交換部2と燃料電池本体1とは分離されて図示されているが、もちろん一体となっていてもいいことは言うまでもない。
【0029】
次に、図3の制御フロー図を用いて温度センサ19によって各機器が制御される様子を説明する。起動時、センサ19の温度がある設定温度Taより低いとき(ステップ1)は、燃料電池本体1を加熱するように機器が制御される。ここで設定温度Taは本システムにおいては特に重要な値となる。すなわち、本システムのように、電池の廃熱を利用して未反応ガスを加湿する場合、電池の動作温度に温湿度交換器の能力が大きく左右されるためである。通常、電池の動作温度に近い70℃以上か、これに近い温度、もしくは水素燃料のような温度が十分低くても動作可能な燃料であればもっと低い温度に設定されることになる。
【0030】
燃料電池本体1を加熱する場合、まず冷却媒体ポンプ9が起動する(ステップ2)。このとき放熱ファン13はOFFとなっており(ステップ3)、予熱の無駄をできる限り省くように制御される。そして、燃料ポンプ14、燃焼用空気供給ファン15及び冷却媒体加熱器10のバーナ11がONとなり(ステップ4)、高温に熱せられた冷却媒体が温湿度交換器2から燃料電池本体1へと供給されて燃料電池本体1を加熱する。この際、バーナ11の加熱量と冷却媒体量を燃料電池本体1の温度に応じて加減すれば、オーバーシュートのない制御が可能となる。
【0031】
燃料電池本体1が設定温度Taに達すると、これらの燃料電池本体を加熱するための機器はOFFとなり、燃料バルブ20がON(ステップ5)、空気供給ファン5がON(ステップ6)となり、反応ガスが電池へ供給され発電が開始される。そして、燃料ポンプ14、燃焼用空気供給ファン15及び冷却媒体加熱器10のバーナ11がOFFとなり(ステップ7)、放熱ファンがONとなって(ステップ8)、定常運転に移行する。なお、定常状態における燃料電池本体1の温度制御は、冷却媒体の放熱量を電池の発熱量に合わせるように放熱量を制御して行うこととなる。
【0032】
図4はシステム停止時のフロー図である。システム停止が命令されると(ステップ11)、まず空気供給ファン5をOFFし(ステップ12)、次に燃料バルブ20をOFFにする(ステップ13)。その後、温度センサ19が検出した燃料電池本体1の温度が設定温度Tbよりも高ければ(ステップ14)、冷却媒体ポンプ9をON(ステップ15)、放熱ファン13をON(ステップ16)にして燃料電池本体1の温度を下げ、設定温度Tbに達したらシステム全体を停止させる(ステップ17)。なお、設定温度Tbは通常動作温度よりも高いオーバーシュートしている場合であって、動作温度よりも高い設定値にしてある。
【0033】
[作用効果]
以上述べたように、第1の実施の形態では、未反応ガスと既反応ガスを温湿度交換する温湿度交換器2の働きにより、燃料電池本体1から排出された既反応ガスの廃熱を利用して未反応ガスの加湿することができる。このとき、温度センサ19が検出した燃料電池本体1の温度に基づいて、制御ユニット8が空気供給ファン5を制御して温湿度交換器2に対する空気の供給量を調整している。したがって、最適な温度条件下で温湿度交換器2に反応ガスを供給可能であり、温湿度交換器2は高い能力を発揮することができる。その結果、効率良く未反応ガス(空気)を加湿して固体高分子電解質膜103の乾燥防止を行うことができる。これにより、システムの大形化及び重量化を招くことなく、安定した運転の維持が可能である。また、燃料電池本体1の温度を検出することによって、システムを構成する各機器の動作を的確に制御することができる。したがって、余分な機器を動作させる必要がなく、エネルギーの無駄を省いて高効率なシステムを提供することができる。
【0034】
さらに、第1の実施の形態においては、反応ガスを空気だけにしているので、温湿度交換器2の構成を極めて単純化することができ、システムのコンパクト化、軽量化さらには低コスト化が可能となる。しかも、バーナ11を用いて冷却媒体を加熱しているため、短時間で燃料電池本体1を予熱することができ、起動時間を大幅に短縮化することができる。
【0035】
(2)第2の実施の形態
[構成]
図5は本発明の第2の実施の形態のシステム系統図を示している。システムの要素部品およびそれらの構成はほぼ第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明はここでは省略する。第2の実施の形態では、燃料電池本体1の空気出口に湿度センサ21が設けられた点が構成上の特徴である。
【0036】
温湿度交換器2の動作特性は、既反応空気の状態によって大きく影響を受ける。つまり、既反応空気が高温でしかも高湿であればあるほど、未反応空気の受け取る水分は多くなるといった特性がある。また反対に既反応空気が低温、低湿であれば未反応空気の受け取る水分は少なくなる。この湿度交換量を適度な値に保つには、当然最適な湿度条件が存在し、これを維持することがこのシステムを安定に動かすために必要である。実験的に求められた条件は、通常固体高分子型燃料電池1の動作温度範囲が60℃から100℃以下のとき、燃料電池本体1の空気出口の湿度が約85%〜100%の間であれば、良好な特性を示すことがわかっている。本システムは動作中この値を保持するように構成されている。
【0037】
既反応空気の条件を変えるにはさまざまな方法があるが、第2の実施の形態では最も簡単な方法として燃料電池本体1の動作温度を変えることを採用している。すなわち、反応ガス量を変化させずに燃料電池本体の温度を上げると、蒸気圧が上がるため、相対的な湿度は下がる傾向にある。反対に、燃料電池本体1の温度を下げると相対的な湿度が上がる傾向にある。つまり、燃料電池本体1の温度を冷却媒体の温度あるいは流量を変化させることによって、燃料電池本体1の温度を制御し、その温度により最適な湿度となるように構成されている。
【0038】
[作用効果]
第2の実施の形態には、上記第1の実施の形態に加えて次のような作用効果がある。燃料電池本体1の空気出口つまり温湿度交換器2入口の湿度を検出しており、検出された湿度から温湿度交換器2が最適な条件で動作するように燃料電池本体1の温度を変化させることができる。これによって燃料電池本体1の出口の湿度を常時最適な85%〜100%に制御することができ、システムの安定した運転を可能とすることができる。
【0039】
(3)第3の実施の形態
[構成]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。図6は第3の実施の形態のシステム系統図を示している。システムの要素部品およびそれらの構成はほぼ第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明はここでは省略する。本実施の形態では、未反応空気供給管6に対して冷却媒体循環経路18内の冷却媒体加熱用バーナ11の燃焼ガス出口が接続され、システムの起動時にバーナ11の燃焼ガスが未反応空気供給管6に供給されるように構成された点、及び未反応空気供給管6に切替弁25が設置され、システムの起動時にバーナ11の燃焼ガスが燃料電池本体1に供給されるように構成された点に特徴がある。
【0040】
[作用効果]
システムの起動時に冷却媒体の加熱が必要な場合、バーナ11の高温の燃焼ガスによって冷却媒体加熱器10が加熱され、熱交換によって冷却媒体が加熱されるが、この燃焼ガスはバーナ出口ではまだ十分に温度が高い。そのため、第3の実施の形態では、この燃焼ガスを未反応空気供給管6を介して温湿度交換器2及び燃料電池本体1に導くことによって、捨てられる熱を予熱に回し、より効率的な予熱ができることになる。また、この燃焼ガスは水分を含むために、燃料電池本体1内部の固体高分子電解質膜103や、温湿度交換器2内の多孔質体50に適度な湿分を与えて高湿度状態とすることができ、より起動をスムーズにすることができる。
【0041】
さらに、バーナ11の燃焼ガスは水蒸気、CO2および窒素が主成分として構成されているため、不活性ガスとしての特性を示す。この特性を利用し、システムの停止時に切替弁25を切替えて燃焼ガスを燃料電池本体1内部へと導き、バーナ11の燃焼ガスにより電池本体1の周囲ガスのパージを行うことができ、電解質膜の劣化を防止できる。しかも、バーナ11の燃焼ガスを利用すれば、窒素ガス供給用の高圧ボンベをわざわざシステム中に組み込む必要がないため、システムの小形軽量化をいっそう進めることができる。なおこの場合、燃料電池本体1の温度が上昇するので、冷却媒体を用いて燃料電池本体1を冷却することになる。
【0042】
(4)第4の実施の形態
[構成]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。図7は第4の実施の形態のシステム系統図である。第4の実施の形態の基本構成も第1の実施の形態と同様であるが、燃料電池本体1側に改質器30によって炭化水素系の燃料から得られた水素が燃料供給管16より燃料電池本体1内部へ供給される点が異なっており、改質器30の下流側に改質ガスを燃焼させて冷却媒体を加熱する第2のバーナとして触媒バーナ31を設けたことに特徴がある。以下、改質器30に設置される機器について説明する。33は改質器30に燃料を供給するためにポンプであり、通常メタノールを利用する場合は水分を含んだ状態で供給されるようになっている。また、32はバーナ31に燃焼用空気を供給するためのファン、34は改質器30の予熱バーナである。
【0043】
[作用効果]
上記の構成により、第4の実施の形態では、改質器30下流側に設けられたバーナ31で改質ガス中の水素を燃料させ、その熱で冷却媒体を加熱することができる。起動時に改質器30で生成された水素を発電に用いるには、まだ温度が上がっていないため効率が悪く、さらにCOも含まれている場合が多いので、燃料電池本体1の劣化につながる場合がある。しかし本実施の形態では、改質器30のガスをバーナ31にて燃焼させてしまうため、より多くの熱を燃料電池本体1の予熱に用いることができる。しかも、バーナ31の燃焼ガスを燃料電池本体1内部へ供給し燃料電池本体1を加熱することができる。したがって、燃焼ガスを直接燃料電池本体1内部へと供給できるので、冷却媒体の加熱に燃焼ガスの加熱を加え、より多くの熱で燃料電池本体1の予熱ができるようになる。また、燃焼ガスには水蒸気が含まれているために、燃料電池本体1内部の固体高分子電解質膜3を高湿度の状態とすることができ、より起動をスムーズにすることができる。さらに、バーナ31に触媒バーナを採用しているので、クリーンな燃焼ガスの供給が可能となる。また、燃焼ガスが不活性ガスであることを利用して、起動時および停止時にバーナを燃焼させることにより、燃料電池本体のパージを行うことも可能である。
【0044】
(5)第5の実施の形態
[構成]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。図8は本実施の形態を示す固体高分子型燃料電池のシステム系統図を示している。システムの要素部品およびそれらの構成はほぼ第4の実施の形態と同様であるので、詳細な説明はここでは省略する。本実施の形態では、改質器30下流側に設けられたバーナ31の燃焼ガスを燃料電池本体1の燃料ガス供給側に接続するとともに、温湿度交換器2の未反応ガス供給管5に接続していることが特徴である。
【0045】
[作用効果]
上記のように構成されたシステムでは、温湿度交換器2の予熱による起動時間の短縮化という作用効果に加えて、未反応ガス供給管5を介して温湿度交換器2にバーナ31の燃焼ガスを供給できるので、温湿度交換器2内部の多孔質体50にも水分の供給が可能となり、多孔質体50の加湿が可能となる。したがって、予熱が終了して乾燥した未反応ガスが供給されても、よりスムーズに立ち上げが可能となる。
【0046】
(6)第6の実施の形態
[構成]
図9は本発明の第6の実施の形態のシステム系統図である。システムの要素部品およびそれらの構成はほぼ第4の実施の形態と同様であるので、詳細な説明はここでは省略する。本実施の形態では、燃料電池本体1の燃料ガス入口部に温度検出手段37を設け、制御ユニット8により検出された温度に応じて冷却媒体の流量を制御するように構成されたことに特徴がある。
【0047】
燃焼ガスを直接燃料電池本体1に供給してその予熱を行なう場合、燃焼ガスが燃料電池本体1内の反応面と触れるために、あまり高温度で供給することはできない。通常、高分子電解質膜の耐熱温度である120℃以下である。本実施の形態では温度検出手段37が燃焼ガスの燃料電池本体1の入口部の温度を検出し、制御ユニット8がこの温度を120℃以下になるように、冷却媒体の流量を制御するようになっている。本実施の形態では温度の検出を燃料ガスの入口部としているが、もちろんバーナ31からの燃焼ガスが供給される温湿度交換器2の未反応ガス入口側であってもかわまない。また両方でもあってもよい。
【0048】
[作用効果]
上記のように構成されたシステムにおいては、第4の実施の形態で得られる作用に加えて、燃料電池本体1の入口部の燃焼ガスの温度を検出しこの温度に応じて冷却媒体の流量を制御することによって、燃料電池本体1の予熱するための燃焼ガスの温度を120℃以下とし、高分子電解質膜3を劣化させないように適正な温度に維持することができる。したがって、システムの信頼性がいっそう向上する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の第1の実施例の形態のシステム系統図
【図2】第1の実施例の形態の湿度交換部の概念図
【図3】本発明の第1の実施例の形態のシステム起動時の制御フロー図
【図4】本発明の第1の実施例の形態のシステム停止時の制御フロー図
【図5】本発明の第2の実施例の形態のシステム系統図
【図6】本発明の第3の実施例の形態のシステム系統図
【図7】本発明の第4の実施例の形態のシステム系統図
【図8】本発明の第5の実施例の形態のシステム系統図
【図9】本発明の第6の実施例の形態のシステム系統図
【図10】従来の固体高分子型燃料電池システムの系統図
【符号の説明】
【0050】
1…固体高分子型燃料電池本体
2…温湿度交換器
3…未反応空気の電池入口
4…既反応空気の電池出口
5…未反応空気供給ファン
6…未反応空気供給管
7…既反応空気排出管
8…制御ユニット
9…冷却媒体供給ポンプ
10…冷却媒体加熱器
11…冷却媒体加熱バーナ
12…放熱器
13…放熱ファン
14…バーナ用燃料供給ポンプ
15…燃焼用空気供給ファン
16…燃料ガス供給管
17…燃料ガス排出管
18…冷却媒体循環経路
19,37…温度センサ
20…燃料ガスバルブ冷却ファン
21…湿度センサ
25,36…燃焼ガス−未反応空気の切替弁
30…改質器
31…改質ガスバーナ
32…空気供給ファン
33…燃料ポンプ
34…改質器予熱バーナ
35…空気切り替え弁
50…保水性多孔質体
51…未反応ガス供給溝
52…既反応ガス供給溝
53…エンドプレート
55…セパレータ




 

 


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