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半導体発光素子 - 株式会社東芝
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発明の名称 半導体発光素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−5591(P2007−5591A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184533(P2005−184533)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
発明者 酒井 隆行
要約 課題
外部光取り出し効率が改善された半導体発光素子を提供する。

解決手段
発光層314を含む半導体多層構造体と、前記半導体多層構造体のうちの第1の半導体層310とオーミックコンタクトを形成する第1の電極330と、前記半導体多層構造体のうちの第2の半導体層320とオーミックコンタクトを形成する第2の電極340と、前記第2の電極に隣接して設けられ、前記発光層からの放射光の少なくとも一部を反射する光反射器350と、を備え、前記第2の電極は、前記第2の半導体層を伝播する前記発光層からの放射光の媒質内波長の1/2以下である幅の複数の領域を有することを特徴とする半導体発光素子を提供する。
特許請求の範囲
【請求項1】
発光層と第1及び第2の半導体層とを含む半導体多層構造体と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第1の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第1の電極と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第2の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第2の電極と、
前記第2の電極に隣接して設けられ、前記発光層からの放射光の少なくとも一部を反射する光反射器と、
を備え、
前記第2の電極は、前記第2の半導体層を伝播する前記発光層からの放射光の媒質内波長の1/2以下である幅の複数の領域を有することを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記複数の領域のうちのそれぞれ隣接する領域の間に前記光反射器が設けられたことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記複数の領域は、前記光反射器を介して電気的に接続されてなることを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項4】
ダブルヘテロ接合と第1及び第2の半導体層とを含む半導体多層構造体と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第1の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第1の電極と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第2の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第2の電極と、
前記ダブルヘテロ接合と前記第1の電極との間の第1の媒質内に設けられ、第1のグレーティングを含む第1のグレーティング領域と、
を備え、
前記第1のグレーティングは、前記第1の媒質内に異種材料を周期的に配置することにより形成されてなり、
前記異種材料の屈折率は、前記第1の媒質の屈折率よりも小さく、
前記第1のグレーティングのピッチは、前記第1の媒質を伝播する前記ダブルヘテロ接合からの放射光の媒質内波長以下であることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項5】
発光層と第1及び第2の半導体層とを含む半導体多層構造体と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第1の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第1の電極と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第2の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第2の電極と、
前記発光層と前記第1の電極との間の第1の媒質内部に設けられ、第1のグレーティングを含む第1のグレーティング領域と、
を備え、
前記第1のグレーティングのピッチは、前記第1の媒質を伝播する前記発光層からの放射光の媒質内波長以下であり、かつ前記放射光の前記第1のグレーティング領域における媒質内波長以上であることを特徴とする半導体発光素子。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体発光素子に関し、特に、光外部取り出し効率が改善された半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ用バックライト、携帯電話のボタン照明、自動車のダッシュボード表示及び交通信号灯などに、高輝度で高外部取出し効率を有する半導体発光素子が要求されている。これらの用途においては、半導体発光素子(light emitting diode:LED)は、パッケージ内にマウントされ、半導体発光素子を覆うように封止樹脂が充填される。
【0003】
半導体発光素子の発光層の材料としては、紫外光から赤外光にわたる波長範囲に対応して、GaN、AlGaAs、AlGaP、GaP、InGaAlPなどの化合物半導体が適宜用いられる。そして、これらの半導体層に対してオーミックコンタクトを形成するように、電極材料と半導体コンタクト層の材料、濃度が選ばれる。また、光取り出し側とは反対側においては、光を反射させる光反射器が設けられ、外部光取り出し効率が改善される(例えば、特許文献1)。
【0004】
一般に、金属電極と半導体コンタクト層とは、例えば250〜450℃の熱処理によりアロイ層を形成することによって接触抵抗の低減が図られる。しかしながら、このようにして形成されるアロイ層は、光の吸収による損失や、光の散乱を生じる。すなわち、アロイ層における光の吸収による損失や散乱が、より高い外部光取り出し効率の実現を困難にしている。この結果として、半導体発光素子のさらなる高輝度化が困難であった。
【特許文献1】特開2004−95941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、外部光取り出し効率が改善された半導体発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
発光層と第1及び第2の半導体層とを含む半導体多層構造体と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第1の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第1の電極と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第2の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第2の電極と、
前記第2の電極に隣接して設けられ、前記発光層からの放射光の少なくとも一部を反射する光反射器と、
を備え、
前記第2の電極は、前記第2の半導体層を伝播する前記発光層からの放射光の媒質内波長の1/2以下である幅の複数の領域を有することを特徴とする半導体発光素子が提供される。
【0007】
本発明の他の一態様によれば、
ダブルヘテロ接合と第1及び第2の半導体層とを含む半導体多層構造体と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第1の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第1の電極と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第2の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第2の電極と、
前記ダブルヘテロ接合と前記第1の電極との間の第1の媒質内に設けられ、第1のグレーティングを含む第1のグレーティング領域と、
を備え、
前記第1のグレーティングは、前記第1の媒質内に異種材料を周期的に配置することにより形成されてなり、
前記異種材料の屈折率は、前記第1の媒質の屈折率よりも小さく、
前記第1のグレーティングのピッチは、前記第1の媒質を伝播する前記ダブルヘテロ接合からの放射光の媒質内波長以下であることを特徴とする半導体発光素子が提供される。
【0008】
また、本発明のさらに他の一態様によれば、
発光層と第1及び第2の半導体層とを含む半導体多層構造体と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第1の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第1の電極と、
前記半導体多層構造体のうちの前記第2の半導体層とオーミックコンタクトを形成する第2の電極と、
前記発光層と前記第1の電極との間の第1の媒質内部に設けられ、第1のグレーティングを含む第1のグレーティング領域と、
を備え、
前記第1のグレーティングのピッチは、前記第1の媒質を伝播する前記発光層からの放射光の媒質内波長以下であり、かつ前記放射光の前記第1のグレーティング領域における媒質内波長以上であることを特徴とする半導体発光素子が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、外部光取り出し効率が改善された半導体発光素子が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる半導体発光素子を模式的に表す断面図である。
また、図2は、図1において破線で表した半導体発光素子の一表面領域345を拡大した模式断面図である。
【0011】
本実施形態の半導体発光素子は、基板300の上に、GaNバッファ層302、n型GaN層310、n型GaNガイド層312、活性層314、p型GaNガイド層316、p型GaN層320がこの順序で設けられた構造を有する。基板300としては、例えば、サファイヤが用いられる。また、活性層314は、例えば、In0.15Ga0.85N/In0.02Ga0.98N MQW(Multi-Quantum Well)構造などで構成でき、例えば、青色光を放射する。また、n型GaN層310の上には、n側電極330が形成されている。
【0012】
そして、p型GaN層320の上面には、p側電極340と光反射器350とが交互に設けられている。p側電極340は、GaN層320とアロイ層を形成する材料により形成され、光反射器350は、GaN層320とアロイ層を形成しない材料により形成されている。なお、図1に例示した半導体発光素子は、いわゆる「フリップチップ構造」を有するので、実装に際してはp側電極340側がパッケージに接着され、活性層314から放出された光は基板300を通して取り出される。
【0013】
p側電極340としては、AuZn/Mo/Auや、Ti/Pt/Auなどを用いることができる。n側電極330としては、AuGe/Mo/Auや、Ti/Pt/Auなどを用いることができる。また、光反射器350としては、Au系またはAl系の金属膜を用いることができる。
【0014】
図3は、本実施形態の半導体発光素子の平面構造の一部を例示する模式図である。
本具体例においては、p側電極340は、幅Dのストライプ状に形成されている。そして、幅Dは、電極340に隣接した媒質内における、半導体発光素子の放射光の媒質内波長(自由空間波長/媒質屈折率)の2分の1以下とされる。例えば、放射光波長を400nmとし、p型GaN層320の屈折率を2.67とすれば、媒質内波長は約150nmとなる。従って、電極幅Dは、75nm以下とすればよい。なお、フリップチップではなく、ボンディングワイヤでパッケージのリードに接続する場合には、図3に例示したように、電極340を広げてボンディングパッド部360を形成すればよい。または、光反射器350を金属により形成する場合には、光反射器350を拡げてボンディングパッド部360を形成してもよい。p側電極340と光反射器350とは電気的に接続されているからである。
【0015】
ここで、p側電極340の幅Dを1/2波長以下とする理由について説明する。
p側電極340などの作用体が光の波長に比べて充分に大きい場合には、光は直進する光束として扱われ、スネルの法則をはじめとする幾何光学により光の振る舞いが説明される。ところが、作用体が光の波長と同程度のサイズになると、光は波動性を増し、幾何光学では説明できない現象を生じる。光が「曲がる」のも、回折や散乱という波動性に起因する。この波動性は、作用体のサイズが波長に比べてより小さくなるほど、顕著に表れる。この領域においては、回折現象を電磁気学にもとづいて厳密に計算することは不可能である。
【0016】
図1及び図2を参照しつつ、本実施形態の半導体発光素子における光路を説明する。まず、活性層314から上方に向かう光のうち、光反射器350に入射する光Lの多くは、ほぼ幾何光学にしたがって反射される。この時、光反射器350とGaN層320との間にはアロイ層が形成されていないので、光は高い反射率で反射される。
一方、p側電極340に入射した光の一部Tは、p側電極340の近傍に形成されているアロイ層で吸収され損失となる。ところが、電極340の幅Dが1/2波長より小さいために、電極340に入射しようとする光H、J、Kは、散乱または回折という波動光学に従う。この結果として、p側電極340とp型GaN層320との境界面で、アロイ層に吸収されずに散乱される光S1、S2、S3が生じる。一般的には、p側電極340の幅Dが波長と比べて小さくなるほど、光の波動性が高まり、散乱光の成分が増加して、反射率が上がる。
【0017】
例えば、p側電極340の幅Dを1/4波長とし、光反射器350の面積占有率を70%とすると、光の反射率として約85%が得られる。つまり、光反射器350の単純な面積占有率よりも、約15%ほども高い光反射率が実現できる。p側電極340の幅Dをより小さくすると、散乱が増加して、反射率を高めることができる。
【0018】
一方、キャリアは、電極340の幅Dが小さくとも、p側電極340を介して半導体層に注入・放出される。すなわち、本実施形態によれば、LEDの電気的動作を損なうことなく、p側電極340における光反射を上げることができる。この結果として、電極近傍に形成されるアロイ層での光の損失を低減し、外部光取り出し効率を改善できる。
【0019】
図4は、本実施形態の半導体発光素子のp側電極340の平面構造の第1の変型例を表す模式図である。
すなわち、本変型例においては、p側電極340はジグザグ状に屈曲したストライプ形状に形成されている。ただし、この場合も、p側電極340の幅Dは、1/2波長以下とされる。このようにすれば、電極340における光の反射や散乱を促進させ、アロイ層による光の損失を低減できる。
【0020】
図5は、本実施形態の半導体発光素子のp側電極340の平面構造の第2の変型例を表す模式図である。
すなわち、本変型例においては、p側電極340は、分割された複数の小領域により島状に構成されている。これら小領域のそれぞれを、一辺が1/2波長以下の正方形(あるいはその他の形状でもよい)とすることにより、より散乱を増やすことができて反射率を高めることができる。
【0021】
なお、フリップチップではなく、ボンディングワイヤでパッケージのリードに接続する場合には、光反射器350を構成する金属部分を広げてボンディングパッド部360を設ければよい。このようにすれば、ボンディングパッド部360の下においても、高い反射率で光を反射させることができる。
【0022】
図6は、光反射器350の膜厚をp側電極340より厚くした変形例を表す模式断面図である。
また、図7は、本変型例の模式平面図である。
本変型例においても、p側電極340は、分割された複数の小領域により構成されている。これら小領域のそれぞれを、一辺が1/2波長以下の正方形(あるいはその他の形状でもよい)とすることにより、より散乱を増やすことができて反射率を高めることができる。そして、光反射器350を金属で構成することにより、これら島状に分割されたp側電極340のそれぞれを電気的に接続できる。光反射器350の膜厚をp側電極340よりも厚くし、p側電極340を覆うようにすれば、光反射器350の上の任意の部分をボンディングパッド部360として用いることもできる。
【0023】
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる半導体発光素子について説明する。
図8は、本実施形態の半導体発光素子を模式的に表す断面図である。
また、図9は、図8に表した半導体発光素子の一表面領域347の拡大断面図である。なお、これらの図面に関しては、図1乃至図7に関して前述したものと同様の要素については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0024】
本実施形態においては、金属材料からなる光反射器の代わりに、分布ブラッグ反射器(Distributed Bragg Reflector:DBR)356が設けられている。DBRは、屈折率が異なる2種類の薄膜を交互に積層させることにより形成できる。例えば、Al0.5Ga0.5N/GaNの薄膜ペアー数を5(すなわち5周期)とすると、発光波長が400〜550nmの範囲で、約50%の反射率が得られる。ペアー数を増やすことにより、反射率をさらに高くすることが可能となる。
また、本実施形態においても、隣接する分布ブラッグ反射器356の間のp側電極346の幅Dは、第1の実施の形態と同じく、媒質内波長の1/2以下とされる。
【0025】
本実施形態の半導体発光素子の製造プロセスは、以下の如くである。すなわち、基板300の上にp型GaN層320を含む積層構造を形成したのち、例えば、AlGaN/GaNの薄膜ペアーを積層する。この後、DBR層を、例えば、フォトリソグラフィーによりパターニングする。その上から、p側電極346を形成する。分布ブラッグ反射器356は、上述した半導体膜の積層構造の他にも、2種類以上の誘電体膜などを積層させても実現できる。
【0026】
本実施形態においても、第1の実施の形態と同様に、活性層314から放射された光のうち、分布ブラッグ反射器356へ向かう光は反射される。反射された光は、基板300などを透過して外部に取り出される。
一方、1/2波長以下の幅Dを有するp側電極346においては、吸収および透過は起こらず、散乱のみが生じる。すなわち、幅Dが1/2波長以下であるため、入射光Tはアロイ層に入射できず、従って吸収されることなく反射され、損失を生じない。一方、光H、J、Kは、境界面で散乱されるので、基板300などを介して取り出され、外部光取り出し効率の改善に寄与する。p側電極346の幅Dが小さいほど、散乱を増やし反射が増やせる。一方、キャリアはp側電極346を介して流れることができるので、半導体発光素子の動作を損なうことはない。
なお、p側電極346及び分布ブラッグ反射器356の平面形状に関しては、図3〜図7に関して前述したような各種の具体例を適用できる。
【0027】
次に、本発明の第3の実施の形態にかかる半導体発光素子について説明する。
図10は、本発明の第3の実施の形態にかかる半導体発光素子を模式的に表す断面図である。
本実施形態の半導体発光素子は、p型GaP基板400の上に、p型InGaAlP接着層410、p型InGaAlPクラッド層420、InGaP/InGaAlP MQW活性層430、n型InGaAlPクラッド層440、n型InGaAlP電流拡散層450がこの順に積層された構造を有する。電流拡散層450の上面には、n側電極460が形成されている。
【0028】
そして、GaP基板400の下面には、第1の実施の形態と同様に、金属材料の光反射器470とp側電極480とが設けられている。p側電極480の幅Dは、媒質内波長の1/2以下とされている。活性層430からは、波長640nmの光が放射される。GaPの屈折率が約3.2とすると、媒質内波長は200nmとなるので、p側電極480の幅Dを100nm以下とすればよい。
【0029】
半導体発光素子の下面、すなわちp側電極480側を実装部材にマウントすると、半導体発光素子の上面から放射光O、Pが放射され、側面からQ、Rが放射される。一方、活性層430から下方に放出されたり、電極460の裏面で反射されて下方へ向かう光Vは、例えば、光反射器470で反射され上方に向かって外部に取り出すことができる。同じく、活性層430から下方に放出されたり、電極460の裏面で反射されて下方へ向かう光Wは、光反射器470で反射された後、側面から上方へ放射される。さらに、p側電極480に向かう光Yは、図9に関して前述したように、1/2波長より小さい幅Dを有する電極480において、吸収や透過が起こらず、散乱光U1およびU2のみを生じる。この結果、上方へ向かう光を増やすことができて、外部光取り出し効率を改善できる。
【0030】
本実施形態においても、光反射器470とp側電極480の平面形状については、図3〜図7に関して前述した各種の形状を採用することができる。また、光反射器470は、第2の実施の形態に関して前述したように、DBRとしてもよい。
【0031】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図11は、本発明の第4の実施の形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。同図については、図1乃至図9に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0032】
本実施形態においては、n型GaNガイド層312、活性層314及びp型GaNガイド層316からなるダブルへテロ接合の上に、p型GaN層320を介してp側電極348が設けられている。そして、p型GaN層320の中には、グレーティング370が設けられている。グレーティング370の材料としては、例えば、SiO(屈折率約1.46)などの誘電体やAlGaNなどの半導体などを用いることができる。AlGaNなどを用いた場合には、エピタキシャル成長が可能となる。そして、グレーティング370のピッチP1は、半導体発光素子の放射光の媒質内波長以下とされている。つまり、この具体例の場合、グレーティング370のピッチP1は、GaN層320内の媒質内波長以下とされている。
【0033】
グレーティング370の材料として半導体を用いた場合には、p型GaN層320を途中までエピタキシャル成長させ、その上にグレーティングの材料をエピタキシャル成長させてパターニングし、さらにその上を埋め込むようにp型GaN層320をエピタキシャル成長させることができる。
一方、グレーティング370の材料としてSiOなどの誘電体を用いた場合には、例えば、「ラテラル・エピタキシャル技術」を用いることにより形成できる。すなわち、p型GaN層320を途中までエピタキシャル成長させ、その上にSiOなどの材料を堆積してパターニングすることによりグレーティング370を形成する。さらに、その上からp型GaN層320をエピタキシャル成長させると、グレーティング370の隙間においてエピタキシャル成長が開始し、グレーティング370の隙間を埋め尽くすと、グレーティング370の上において横方向にエピタキシャル成長が進行する。このようにして、誘電体からなるグレーティング370を埋め込むようにしてp型GaN層320をエピタキシャル成長させることができる。
【0034】
ここで、グレーティング370のピッチが媒質内波長以下の場合の光の振る舞いについて説明する。一般に、グレーティングのピッチが光の波長に近くなると、光の波動性のために、光は直進せず回折を起こす。この現象を利用した回折格子が光ピックアップなどにおいて、光の分離手段として用いられる。グレーティングのピッチや素子形状がさらに小さくなってくると、波動性は一層顕著となる。この場合、光は幾何光学よりも波動光学的に振舞う。すなわち、グレーティング370のピッチが媒質内波長以下である場合、グレーティング領域349は、光学的にみて平均的な実効屈折率で満たされた一様な媒質として扱うことが妥当になる。
【0035】
図12は、グレーティング領域349の一部を拡大して表した模式断面図である。
ここで、p型GaN層の屈折率N1は、約2.67であり、SiOの屈折率は約1.46である。グレーティング領域349の実効屈折率N2は、グレーティングのピッチP1が媒質内波長程度以下であれば、両者の光学的な平均屈折率として近似される。この場合、放射光の真空中の波長を400nmとすると、p型GaN層における媒質内波長は、約186nmとなる。したがって、グレーティングのピッチP1は、186nm以下に選ばれる。
そして、この場合のグレーティング領域349の実効屈折率N2は、入射光の電場の偏光方向に応じてそれぞれ次式により与えられる。

Nh=((A×n+B×n)/A+B)1/2

Nv=((A+B)/(A/n+B/n))1/2

ここで、Nhは、入射光の電場の偏光方向が水平偏光の場合のグレーティング領域349の実効屈折率であり、Nvは、入射光の電場の偏光方向が垂直偏光の場合のグレーティング領域349の実効屈折率である。またここで、媒質(GaN層320)とグレーティング370との体積率はA:Bであるものとし、nとnはそれぞれ媒質(GaN層320)とグレーティング370の屈折率である。
一般的な無偏光状態の場合には、グレーティング領域349の実効屈折率は、これらNhとNvとの算術平均に近似できる。
【0036】
従って、GaN層320とグレーティング370との体積率が1:1である場合には、実効屈折率N2=2.15となる。
【0037】
本実施形態においては、グレーティング領域349へ垂直に入射した光aの反射光として、0次反射光bが得られる。さらに、グレーティング370の材料であるSiOの屈折率が媒質(GaN層320)の屈折率よりも小さく、グレーティング領域349は、隣接するGaN層320よりも実効屈折率が小さいため、グレーティング領域349へ斜めに入射した光cは、その界面で全反射され、全体としての反射率が増加する。その結果として、p側電極348とp型GaN層320との間に形成されたアロイ層における損失を減らして光出力を増加させ、外部光取り出し効率を改善できる。
なお、キャリアは、グレーティング370の隙間を通過して、電極348に到達できるので、電流駆動特性には実質的な変化は生じない。
【0038】
また、第4の実施の形態においては、グレーティングが電極と離れて形成されているが、グレーティングを電極に隣接させてもよい。
【0039】
次に、本発明の第5の実施の形態にかかる半導体発光素子について説明する。
図13は、本発明の第5の実施の形態にかかる半導体発光素子を表す模式断面図である。同図に関しては、図10に関して前述したものと同様の要素については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0040】
本実施形態においては、n側電極460の下において、n型InGaAlP電流拡散層450の中に、ピッチP2が媒質内波長以下のグレーティング481が形成されている。
【0041】
図14は、グレーティング領域485の拡大断面図である。
グレーティング481は、例えば、屈折率約3.56のZnTeで形成することができる。ピッチP2が媒質内波長(本具体例の場合、媒質は、n型InGaAlP電流拡散層450である)程度以下であれば、第4の実施の形態に関して前述したように、グレーティング領域485は、光学的にみて平均的な実効屈折率で満たされた一様な媒質とみなすことができる。
【0042】
例えば、自由空間中の発光波長が640nmの場合は、ピッチP2をInGaAlP内の媒質内波長である187.6nm以下とすればよい。
そして、この場合も、第4の実施の形態に関して前述したものと同様に、グレーティング領域485の実効屈折率は、n型InGaAlP電流拡散層450とグレーティング(ZnTe)481の体積率を勘案した実効屈折率NhとNvとの算術平均値とみなすことができる。従って、体積率が1:1の場合には、グレーティング領域485の実効的な屈折率N4=3.48となる。
【0043】
つまり、グレーティング領域485は、この実効屈折率N4の媒質により一様に満たされた領域として近似することができる。
さらに具体例において、グレーティング481のピッチP2を、グレーティング領域485における媒質内波長以上とすると、グレーティング領域485を伝搬する光に対してグレーティング481による回折効果が得られる。つまり、図14に表したように、グレーティング領域485に入射する光aが、グレーティング領域485においてはグレーティング481により回折されて回折光cが得られる。このためには、例えば、グレーティング481のピッチP2は、グレーティング領域485内の波長である183.9nm以上のたとえば185nmに設定すればよい。
【0044】
そして、このようにして形成された回折光cは、上述の如くグレーティング領域485における実効屈折率N4(3.48)がInGaAlP電流拡散層450の屈折率(3.41)よりも大きいために、図14に表したように、界面で全反射され、反射光dとして取り出すことが可能となる。
【0045】
またさらに、本実施形態においては、半導体多層構造体の下部にも、上部のグレーティング481と同様の作用体としてグレーティング490が設けられている。すなわち、p側電極482の上方において、p型GaP基板400内にグレーティング490が設けられたグレーティング領域495が形成されている。グレーティング490は、例えば、ZnTeを用いて形成することができる。
【0046】
図15は、グレーティング領域495の拡大断面図である。
この場合も、グレーティング490のピッチP3は媒質(屈折率N5が3.23のGaP)内波長である198.1nm以下およびグレーティング領域495での波長である188.2nm以上のたとえば190nmに設定する。グレーティング領域495の実効屈折率は、GaPとZnTeの体積率を勘案したNhとNvとの算術平均値とみなすことができる。例えば、体積率が1:1の場合には、実効屈折率N6=3.4である。
【0047】
本実施形態においては、グレーティング領域485、495へ垂直に入射した光a、eの反射光として、まず、0次反射光b、fが得られる。さらに、グレーティング481、490のピッチP2、P3を、それぞれグレーティング領域内波長よりも大きくすることにより、グレーティング領域485、495において回折効果が生ずる。つまり、グレーティング領域485、495へ進入した光は回折されて、1次回折光c、gが形成される。グレーティング領域485、495は、それらの上下に位置する半導体層よりも実効屈折率が大きいため、1次回折光c、gは、その界面で全反射し、再び入射側への出射光d、hとなり、全体としての反射率が増加する。
【0048】
一方、グレーティング481、490のピッチP2、P3をそれぞれのグレーティング領域485、495内の波長と等しい値183.9nm、および188.2nmとした場合には、共鳴反射を生じて、さらに反射が増加する。
【0049】
このようなグレーティング領域485、495を電極460、482の前に設けることにより、これら電極460、482のアロイ層における光の損失を減少させることができる。すなわち、光の外部光取り出し効率が改善される。一方、キャリアはグレーティング481、490の隙間を通過できるので、電流駆動特性には実質的な変化は生じない。
【0050】
また、第5の実施の形態においては、グレーティングが第1及び第2の電極の前に設けられたが、少なくとも一方の電極の前のみにグレーティングが設けられてもよい。
【0051】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【0052】
例えば、半導体多層構造体として用いることができるものは、GaN系やInGaAlP系に限定されず、GaAlAs系やZnSe系をはじめとした各種の化合物半導体を用いたものであっても良い。
【0053】
また、半導体発光素子から放射される光についても、可視光に限らず、紫外光であっても赤外光であっても良い。例えば、紫外光や青色光と、封止樹脂中に分散配置された蛍光体との組み合わせにより、波長変換が行われ、白色光が得られる。
【0054】
その他、半導体発光素子を構成する基板、半導体層、電極、など各要素の形状、サイズ、材質、配置関係などに関して、当業者が各種の設計変更を加えたものであっても、本発明の要旨を有する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【0055】
なお、本明細書において「GaN系」化合物半導体とは、InAlGa1−x−yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)なる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させたすべての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、N(窒素)以外のV族元素もさらに含むものや、導電型などを制御するために添加される各種のドーパントのいずれかをさらに含むものも、「GaN系」化合物半導体に含まれるものとする。
【0056】
また、本明細書において「InGaAlP系」化合物半導体とは、InGaAl−x−yP(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)なる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させたすべての組成の半導体を含むものとする。またさらに、上記化学式において、P(リン)以外のV族元素もさらに含むものや、導電型などを制御するために添加される各種のドーパントのいずれかをさらに含むものも、「InGaAlP系」化合物半導体に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる半導体発光素子を模式的に表す断面図である。
【図2】図1において破線で表した半導体発光素子の一表面領域345を拡大した模式断面図である。
【図3】第1の実施の形態の半導体発光素子の平面構造の一部を例示する模式図である。
【図4】第1の実施の形態の半導体発光素子のp側電極340の平面構造の第1の変型例を表す模式図である。
【図5】第1の実施の形態の半導体発光素子のp側電極340の平面構造の第2の変型例を表す模式図である。
【図6】光反射器350の膜厚をp側電極340より厚くした変形例を表す模式断面図である。
【図7】図6に表した変型例の模式平面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態の半導体発光素子を模式的に表す断面図である。
【図9】図8に表した半導体発光素子の一表面領域347の拡大断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態にかかる半導体発光素子を模式的に表す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態にかかる半導体発光素子の模式断面図である。
【図12】グレーティング領域349の一部を拡大して表した模式断面図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態にかかる半導体発光素子を表す模式断面図である。
【図14】グレーティング領域485の拡大断面図である。
【図15】グレーティング領域495の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0058】
310 n型GaN層
312 n型GaNガイド層
314 活性層
316 p型GaNガイド層
320 p型GaN層
330、460 n側電極
340、346、348、480、482 p側電極
349 グレーティング領域
350、470 光反射器
356 分布ブラッグ反射器(DBR)
370、481、490 グレーティング
420 p型InGaAlPクラッド層
430 活性層
440 n型InGaAlPクラッド層
450 n型InGaAlP電流拡散層




 

 


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