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発明の名称 燃料電池及び燃料電池用カートリッジ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−5247(P2007−5247A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−187163(P2005−187163)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
発明者 中川 泰忠 / 吉田 勇一
要約 課題
余分な電力及びスペースを必要とせずに液体燃料の残量を把握でき、しかも搭載方向によらず常に安定して燃料を供給して発電できる燃料電池及び燃料電池用カートリッジを提供することを目的とする。

解決手段
燃料貯蔵部と、燃料供給部と、酸素導入部と、発電部と、を備え、前記燃料貯蔵部は、液体燃料を貯留可能な空洞を有し、前記貯留された前記液体燃料を外部から視認可能とする透明または半透明の燃料窓を有する第1の燃料貯蔵部と、前記第1の燃料貯蔵部の、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間に延在するいずれかの面と、のそれぞれに隣接して連続的に延設され、前記第1の燃料貯蔵部から供給された前記液体燃料を拡散させる媒体が充填された第2の燃料貯蔵部と、前記第1の燃料貯蔵部と前記第2の燃料貯蔵部との間に設けられ、前記液体燃料を通過させる複数の燃料経路と、を有することを特徴とする燃料電池を提供する。
特許請求の範囲
【請求項1】
燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
前記燃料貯蔵部から与えられた燃料を供給する燃料供給部と、
外部から酸素を導入する酸素導入部と、
前記燃料供給部から供給された前記燃料と、前記酸素導入部から供給された酸素と、により電力を発生する発電部と、
を備え、
前記燃料貯蔵部は、
液体燃料を貯留可能な空洞を有し、前記貯留された前記液体燃料を外部から視認可能とする透明または半透明の燃料窓を有する第1の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部の、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間に延在するいずれかの面と、のそれぞれに隣接して連続的に延設され、前記第1の燃料貯蔵部から供給された前記液体燃料を拡散させる媒体が充填された第2の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部と前記第2の燃料貯蔵部との間に設けられ、前記液体燃料を通過させる複数の燃料経路と、
を有することを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
前記燃料貯蔵部において、前記第1の燃料貯蔵部の前記第1の面と前記第2の面と前記いずれかの面のそれぞれに、前記燃料経路が設けられたことを特徴とする請求項1記載の燃料電池。
【請求項3】
前記空洞は、略直方体状であり、
前記略直方体の角部のそれぞれに近接して前記燃料経路が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
【請求項4】
燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
前記燃料貯蔵部から与えられた燃料を供給する燃料供給部と、
外部から酸素を導入する酸素導入部と、
前記燃料供給部から供給された前記燃料と、前記酸素導入部から供給された酸素と、により電力を発生する発電部と、
を備え、
前記燃料貯蔵部は、
液体燃料を貯留可能な空洞を有し、前記貯留された前記液体燃料を外部から視認可能とする透明または半透明の燃料窓を有する第1の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部から供給された前記液体燃料を拡散させる媒体が充填された第2の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部と前記第2の燃料貯蔵部との間に設けられ、前記液体燃料を通過させる燃料経路と、
を有し、
前記第1の燃料貯蔵部は、前記空洞の内壁に敷設され前記燃料経路を介して前記媒体に接続された多孔質状または繊維状の拡散層をさらに有することを特徴とする燃料電池。
【請求項5】
前記拡散層は、前記燃料窓を除く前記空洞の内壁のほぼ全面に亘って敷設されてなることを特徴とする請求項4記載の燃料電池用カートリッジ。
【請求項6】
燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
前記燃料貯蔵部から与えられた燃料を供給する燃料供給部と、
外部から酸素を導入する酸素導入部と、
前記燃料供給部から供給された前記燃料と、前記酸素導入部から供給された酸素と、により電力を発生する発電部と、
を備え、
前記燃料貯蔵部は、
液体燃料を貯留可能な空洞を有し、前記貯留された前記液体燃料を外部から視認可能とする透明または半透明の燃料窓を有する第1の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部から供給された前記液体燃料を拡散させる媒体が充填された第2の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部と前記第2の燃料貯蔵部との間に設けられ、前記液体燃料を通過させる複数の燃料経路と、
を有し、
前記第1の燃料貯蔵部は、前記複数の燃料経路のそれぞれから前記空洞の中に突出し前記媒体に接続された多孔質状または繊維状の拡散体をさらに有することを特徴とする燃料電池。
【請求項7】
前記拡散体の先端は、前記燃料経路に対向する前記空洞の内壁に至ることを特徴とする請求項6記載の燃料電池。
【請求項8】
燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
前記燃料貯蔵部から与えられた燃料を供給する燃料供給部と、
外部から酸素を導入する酸素導入部と、
前記燃料供給部から供給された前記燃料と、前記酸素導入部から供給された酸素と、により電力を発生する発電部と、
を備え、
前記燃料貯蔵部は、
液体燃料を貯留可能な空洞を有し、前記貯留された前記液体燃料を外部から視認可能とする透明または半透明の燃料窓を有する第1の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部から供給された前記液体燃料を拡散させる媒体が充填された第2の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部と前記第2の燃料貯蔵部との間に設けられ、前記液体燃料を通過させる燃料経路と、
を有し、
前記第1の燃料貯蔵部は、前記空洞を区画し移動可能に設けられた仕切と、前記仕切からみて前記燃料経路とは反対側に設けられ前記仕切に対して押圧力を付与する付勢手段と、をさらに有することを特徴とする燃料電池。
【請求項9】
前記燃料窓またはその近傍に、目盛りが設けられたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の燃料電池。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つに記載の燃料貯蔵部を備え、前記燃料供給部に対して着脱可能とされたことを特徴とする燃料電池用カートリッジ。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池及び燃料電池用カートリッジに関し、より詳細には、自発呼吸型の燃料電池及びこれに装着可能な燃料電池用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
ノートパソコン、小型オーディオプレーヤやワイヤレスヘッドセットなどの小型電子機器の電源として、メタノールなどを燃料とした燃料電池が実用化されつつある。これらメタノール燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)は、 自発呼吸型の燃料電池であり、燃料としてのメタノールが毛細管現象や拡散現象等により、燃料極まで自発的に輸送される。そして、燃料極で発生した活性化した水素元素(以下、プロトン)及び電子と、電解質膜を介して空気から取り込んだ酸素ガスとの間で電気化学反応が生じ、電力を発生する(例えば、特許文献1)。
その燃料供給方法についてみると、例えば、燃料を含んだカートリッジを本体に設けられた受け入れカートリッジに装着し、液体燃料を供給する燃料電池が開示されている(特許文献2)。
【0003】
このカートリッジに関して、ユーザが、燃料カートリッジの燃料の残量を把握できないと、寿命が予測できず、例えばデバイスの使用中に突如、「燃料切れ」が発生するなどの問題が生じうる。
【0004】
また、カートリッジから供給される燃料の供給が、燃料電池の向きによって変化すると、燃料電池を使用する際の自由度が限定されるため、デバイスの利便性が損なわれるという問題が生じうる。
【特許文献1】特開2000−106201号公報
【特許文献2】特開2004−349087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、余分な電力及びスペースを必要とせずに液体燃料の残量を把握でき、しかも搭載方向によらず常に安定して燃料を供給して発電できる燃料電池及び燃料電池用カートリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、
燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
前記燃料貯蔵部から与えられた燃料を供給する燃料供給部と、
外部から酸素を導入する酸素導入部と、
前記燃料供給部から供給された前記燃料と、前記酸素導入部から供給された酸素と、により電力を発生する発電部と、
を備え、
前記燃料貯蔵部は、
液体燃料を貯留可能な空洞を有し、前記貯留された前記液体燃料を外部から視認可能とする透明または半透明の燃料窓を有する第1の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部の、第1の面と、前記第1の面に対向する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間に延在するいずれかの面と、のそれぞれに隣接して連続的に延設され、前記第1の燃料貯蔵部から供給された前記液体燃料を拡散させる媒体が充填された第2の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部と前記第2の燃料貯蔵部との間に設けられ、前記液体燃料を通過させる複数の燃料経路と、
を有することを特徴とする燃料電池が提供される。
【0007】
また、本発明の他の一態様によれば、
燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
前記燃料貯蔵部から与えられた燃料を供給する燃料供給部と、
外部から酸素を導入する酸素導入部と、
前記燃料供給部から供給された前記燃料と、前記酸素導入部から供給された酸素と、により電力を発生する発電部と、
を備え、
前記燃料貯蔵部は、
液体燃料を貯留可能な空洞を有し、前記貯留された前記液体燃料を外部から視認可能とする透明または半透明の燃料窓を有する第1の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部から供給された前記液体燃料を拡散させる媒体が充填された第2の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部と前記第2の燃料貯蔵部との間に設けられ、前記液体燃料を通過させる燃料経路と、
を有し、
前記第1の燃料貯蔵部は、前記空洞の内壁に敷設され前記燃料経路を介して前記媒体に接続された多孔質状または繊維状の拡散層をさらに有することを特徴とする燃料電池が提供される。
【0008】
また、本発明のさらに他の一態様によれば、
燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
前記燃料貯蔵部から与えられた燃料を供給する燃料供給部と、
外部から酸素を導入する酸素導入部と、
前記燃料供給部から供給された前記燃料と、前記酸素導入部から供給された酸素と、により電力を発生する発電部と、
を備え、
前記燃料貯蔵部は、
液体燃料を貯留可能な空洞を有し、前記貯留された前記液体燃料を外部から視認可能とする透明または半透明の燃料窓を有する第1の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部から供給された前記液体燃料を拡散させる媒体が充填された第2の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部と前記第2の燃料貯蔵部との間に設けられ、前記液体燃料を通過させる複数の燃料経路と、
を有し、
前記第1の燃料貯蔵部は、前記複数の燃料経路のそれぞれから前記空洞の中に突出し前記媒体に接続された多孔質状または繊維状の拡散体をさらに有することを特徴とする燃料電池が提供される。
【0009】
また、本発明のさらに他の一態様によれば、
燃料を貯蔵する燃料貯蔵部と、
前記燃料貯蔵部から与えられた燃料を供給する燃料供給部と、
外部から酸素を導入する酸素導入部と、
前記燃料供給部から供給された前記燃料と、前記酸素導入部から供給された酸素と、により電力を発生する発電部と、
を備え、
前記燃料貯蔵部は、
液体燃料を貯留可能な空洞を有し、前記貯留された前記液体燃料を外部から視認可能とする透明または半透明の燃料窓を有する第1の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部から供給された前記液体燃料を拡散させる媒体が充填された第2の燃料貯蔵部と、
前記第1の燃料貯蔵部と前記第2の燃料貯蔵部との間に設けられ、前記液体燃料を通過させる燃料経路と、
を有し、
前記第1の燃料貯蔵部は、前記空洞を区画し移動可能に設けられた仕切と、前記仕切からみて前記燃料経路とは反対側に設けられ前記仕切に対して押圧力を付与する付勢手段と、をさらに有することを特徴とする燃料電池が提供される。
【0010】
また、本発明のさらに他の態様によれば、上記いずれかの燃料貯蔵部を備え、前記燃料供給部に対して着脱可能とされたことを特徴とする燃料電池用カートリッジが提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、余分な電力及びスペースを必要とせずに液体燃料の残量を把握でき、しかも搭載方向によらず常に安定して燃料を供給して発電できる燃料電池及び燃料電池用カートリッジを提供でき、産業上のメリットは多大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池の燃料貯蔵部の具体例を表し、同図(a)はその断面図、図1(b)はA−A’線の断面構造の模式図である。
また、図2は、図1(a)のB−B’線断面図である。
【0013】
本実施形態の燃料貯蔵部40は、第1燃料貯蔵部5と、その周囲を取り囲むように設けられた第2燃料貯蔵部10と、を有する。第1燃料貯蔵部5は、中空に形成され、その内部に液体燃料LFが充填される。液体燃料LFとしては、例えば、メタノール、エタノール、ブドウ糖や砂糖などの糖類の水溶液などを用いることが可能である。
第2燃料貯蔵部10は、第1燃料貯蔵部5の第1の面(例えば、図1(a)において、載置面7とは反対側の表面)と、これに対向する第1燃料貯蔵部5の第2の面(例えば、図1(a)において、載置面7の側の表面)と、これら第1及び第2の面の間に延在するいずれかの面(例えば、図1(b)において第1燃料貯蔵部5の上側、左側あるいは下側のいずれかの表面)と、のそれぞれに隣接して連続的に延設されている。例えば、第1燃料貯蔵部5の第1の面を「上面」とした場合には、上面から少なくともいずれかの側面を介してと下面に回り込み、第1燃料貯蔵部5を上下から取り囲むように、第2燃料貯蔵部10が延設されている。
【0014】
この第2燃料貯蔵部10の中は多孔質状または繊維状の媒体により充填され、液体燃料LFが毛細管力などにより浸透・拡散する。第1燃料貯蔵部5と第2燃料貯蔵部10との間には複数の燃料経路15が設けられ、矢印F1で表したように、これら燃料経路15を介して第1燃料貯蔵部5から第2燃料貯蔵部10に燃料が供給される。例えば、図2に表したように、載置面7が鉛直下方に向けて載置された場合、矢印F1で表したように燃料経路15を介して第2燃料貯蔵部10に供給された液体燃料は、図2に矢印F2で表したように、第2燃料貯蔵部10に充填された多孔質状または繊維状の媒体の中を浸透・拡散して拡がり、燃料電池接続部23を介して、矢印Fで表したように燃料電池本体に供給される。後に詳述するように、第2燃料貯蔵部10に充填する多孔質状または繊維状の媒体は、液体燃料を極めて迅速に拡散させ均一な濃度で拡げることが可能である。
【0015】
また、第1燃料貯蔵部5には、透明または半透明な燃料窓35が設けられている。このため、ユーザは肉眼により燃料残量を確認でき、突然の「燃料切れ」を防ぐことができる。また、第1燃料貯蔵部5の周囲を第2燃料貯蔵部10により取り囲み、その間に複数の燃料通路15を設けることにより、燃料電池の載置方向によらず常に液体燃料を安定的に供給することができ、また、第1燃料貯蔵部5に充填した液体燃料をほぼ完全に使い切ることが可能となる。
【0016】
図3は、本実施形態の燃料貯蔵部を備えた燃料電池の基本構成を表す概略断面図である。
【0017】
まず、この燃料電池の基本構成について説明する。
【0018】
本実施形態の燃料電池は、燃料貯蔵部40の上に、燃料供給部45と、発電部50と、酸素導入部55と、がこの順に積層され、これらがアノード側筐体部65に収容された構造を有する。そして、アノード側筐体部65の上部には、カソード側筐体部60が設けられており、外部応力などから保護されている。
【0019】
燃料貯蔵部40は、燃料電池に対して固定的に設けてもよく、または、燃料電池に対して脱着可能なカートリッジとして設けることも可能である。カソード側筐体部65に図示しない燃料供給口を設け、メタノールなどの液体燃料を燃料貯蔵部40に充填可能としてもよく、または、カソード側筐体部65に図示しない脱着口を設け、カートリッジ式の燃料供給部40交換可能とすることができる。
【0020】
この燃料貯蔵部40から矢印Fで表したように燃料供給部45に燃料が供給されると、燃料供給部45において、燃料は拡散して発電部50に供給される。カソード極側の燃料の移動は、例えば毛細管力をドライビングフォースとして生じさせることができる。
【0021】
一方、酸素導入部55は、矢印Aで表したように、外部から酸素を取り入れて発電部50に供給する。酸素を酸素導入部55に導入するため、カソード側筐体部60には、図示しない開口を設けて、十分に良好な通気性を確保することが望ましい。
発電部50では、これら液体燃料と酸素との電気化学反応により電力を発生する。なお、これら各要素の具体的な構造については、後に詳述する。
【0022】
そして、本実施形態に係る燃料貯蔵部40は、電力及びスペースを必要とせずに液体燃料の残量を把握でき、搭載方向によらず発電性能を阻害しない構造を有する。
【0023】
再び図1に戻り、本実施形態の燃料貯蔵部の具体例について詳細に説明する。
【0024】
図1に表したように、本具体例の燃料カートリッジ40は、第1燃料貯蔵部5が第2燃料貯蔵部10に取り囲まれた構造を有する。第1燃料貯蔵部5の筐体20には、第1燃料貯蔵部5から第2燃料貯蔵部10へ液体燃料を供給するための複数の燃料経路15が設けられている。このように複数の燃料経路15を設けることにより、搭載方向によらず常に安定して液体燃料を供給できる。
【0025】
さらに、第1燃料貯蔵部5の筐体20には、燃料窓35が設けられており、この燃料貯蔵部40の外側から燃料窓35を介して液体燃料を把握することができる。
【0026】
また、第2燃料貯蔵部10を貫通して第1燃料貯蔵部5に至る燃料供給口30が設けられているため、液体燃料がなくなった場合でも、この燃料供給口30を介して液体燃料を充填することができる。液体燃料を充填可能とすることにより、燃料電池を繰り返し使用でき、また、燃料貯蔵部40をカートリッジ式とした場合にも、その燃料カートリッジ40を、リサイクルできる。
【0027】
以下、本実施形態に係る燃料貯蔵部の構造について、さらに詳細に説明する。
図4は、本実施形態にかかる燃料貯蔵部の載置方向に対する液体燃料の供給経路を例示した模式図である。
第1燃料貯蔵部の筐体20の燃料窓35に接する部位の近傍に燃料経路15を設けると、図4(a)に表したように燃料窓35が載置面7(鉛直下方)とされた時でも、第2燃料貯蔵部10へ液体燃料を安定的に供給し、充填した燃料を使い切ることができる。また、第1燃料貯蔵部の筐体20の燃料供給口30に接する部位の近傍に燃料経路15を設けると、図4(b)に表したように、燃料供給口30が載置面7(鉛直下方)とされた時でも、第2燃料貯蔵部10へ液体燃料を安定的に供給し使い切ることができる。
また、図1(a)に表したように燃料貯蔵部40が水平に載置された場合にも、鉛直下方に設けられた燃料経路15を介して第2燃料貯蔵部10へ液体燃料が供給され、図2に矢印F2で表したように燃料を拡散させることにより、燃料電池接続部23から燃料電池本体に燃料を安定的に供給し、第1燃料貯蔵部5に貯留された液体燃料を使い切ることができる。
【0028】
以上説明したように、燃料経路15を適宜設けることにより、燃料電池の向きによらず常に安定して燃料を供給でき、且つ、充填した液体燃料を残さずほぼ完全に使い切ることが可能となる。このためには、第1燃料貯蔵部5の上面と下面と少なくともいずれかの側面に亘り連続的に第2燃料貯蔵部10を延設させ、また、第1燃料貯蔵部5の空洞が略直方体状である場合には、その角部のそれぞれに近接させて燃料経路15を設けるとよい。
【0029】
ここで、燃料経路15の総断面積をセル面積の10%以内とすると、多くの場合に液体燃料を過不足無く供給することができる。
【0030】
図5は、本実施形態にかかる燃料貯蔵部40の外観を例示した模式図である。
同図(a)に表したように、筐体25の側面には、透明または半透明の燃料窓35が設けられており、第1燃料貯蔵部5に貯留された液体燃料LFを目視により確認できる。
このような構造にすることにより、余分な電力やスペースなどを必要とせずに液体燃料の残量を把握することができる。燃料窓35の材料としては、例えば、透明なアクリル樹脂や誘電体材料等の材料を用いることができる。また、光の照射による液体燃料の変質を防止するために、UVカットフィルムを燃料窓35に設けてもよい。また、図5(b)に表したように、燃料窓35に「目盛」を設けることにより、ユーザがより定量的に液体燃料の残量を把握することができる。
【0031】
燃料電池接続部23は、例えば、第2燃料貯蔵部10に充填された多孔質状または繊維状の媒体が露出し、あるいは、これは異なる多孔質体や繊維状体などの媒体が露出したものとして構成できる。第2燃料貯蔵部10に供給された燃料は、この燃料電池接続部23を介して、燃料電池の燃料供給部45(図3)に供給される。
【0032】
図6は、本実施形態に係る燃料貯蔵部40に用いることができる第2燃料貯蔵部10における液体燃料の濃度変化を説明するための模式図である。
【0033】
ここで、第2燃料貯蔵部10は、空隙率が70%の多孔質ポリエステルにより充填され、また、簡単のために、第1燃料貯蔵部5の片側のみに設けられたものとした。また、第1燃料貯蔵部5と、第2燃料貯蔵部10との間は、図示しない筐体20により仕切られて、その一端に燃料経路15が設けられている。ここで、第2燃料貯蔵部10を充填する多孔質ポリエステルのサイズは、縦56ミリメートル、横70ミリメートル、厚さ2ミリメートルとした。そして、図6(a)に表したように、第1燃料貯蔵部5の端に、燃料経路15が、長さ(L):1ミリメートル×幅(W):56ミリメートルの寸法で設けられており、その上方に接するように第2燃料貯蔵部10が設けられている。この構造から得られる燃料消費量は、40mA/cm相当のフラックスであるとした。
【0034】
図6(b)は、多孔質ポリエステルにおける燃料の濃度分布を表す。第2貯蔵部10に充填された多孔質ポリエステルにおける液体燃料の濃度分布は、燃料経路15からの距離が増加するのに伴い、若干低下する傾向にあるが、その濃度低下は、発電中でも0.4%以内である。つまり、このような多孔質体または繊維体により第2燃料貯蔵部10を形成すると、狭い燃料経路15を介して供給された液体燃料を極めて迅速に浸透・拡散させ、均一な濃度に分布させることができる。その結果として、第2燃料貯蔵部10から燃料供給部45(図3)の全面に対して、ほぼ均一に燃料を供給でき、発電部50(図3)において均一に発電をさせることができる。
【0035】
図7は、第2燃料貯蔵部10における液体燃料の濃度変化のもうひとつの具体例を表す模式図である。
本具体例においては、同図(a)に表したように、燃料経路15の寸法を長さ(L):1ミリメートル×幅(W):2ミリメートル×6箇所とした。この場合も、これら6箇所の燃料経路15を介して供給された燃料は、第2燃料貯蔵部10に充填された多孔質ポリエステルにおいてほぼ均一に浸透・拡散し、同図(b)に表したように、その濃度の変動幅は、0.4パーセント以下と極めて小さい。つまり、第1燃料貯蔵部5に貯留された液体燃料を均一な分布で燃料供給部45(図3)に供給できる。
【0036】
図8は、本実施形態に係る燃料貯蔵部40の第2燃料貯蔵部10の他の具体例を表した模式図である。
本具体例においては、第2燃料貯蔵部10は、面内において複数の空隙率領域分布を有する媒体により充填されている。すなわち、燃料経路15からの距離の増加に伴い、空隙率及び体積占有率が増加するように異なる媒体が配置されている。ここでは、燃料経路15の近傍は、空隙率70%の多孔質媒体80(体積占有率20%)とし、燃料経路15から遠ざかるに従い、順に、空隙率80%の多孔質媒体90(体積占有率30%)、空隙率90%の多孔質媒体100(体積占有率50%)を配置する。こうすることで、第2燃料貯蔵部10の面内方向の燃料の濃度差異を漸近的にゼロとし、より均一に液体燃料を燃料供給部45へ供給できる。
【0037】
図9は、本実施形態に係る燃料貯蔵部40の第2燃料貯蔵部10のさらに他の具体例を表した模式図である。
本具体例においては、第1燃料貯蔵部5の両端に設けられた燃料経路15に対応して、その上方にある第2燃料貯蔵部10の媒体を空隙率70%の多孔質体80(体積占有率20%)とし、それらに挟まれる中央付近の媒体を、空隙率80%の多孔質体90(体積占有率60%)とする。このように、燃料経路15から遠ざかると空隙率を増加させることにより、より均一に燃料を供給できる。
【0038】
図10及び図11は、本実施形態にかかる燃料貯蔵部に開閉弁が設けられた第1の具体例を例示する模式図及び断面図である。
【0039】
すなわち、これらの(a)は、第1燃料貯蔵部5と第2燃料貯蔵部10とを連通する燃料経路15が仕切り板120により閉ざされいていない状態を表し、(b)は、燃料経路15が仕切り板120により閉じられた状態を表している。ここで、仕切板120は開閉弁として機能し、ガイドレール110に沿って切替ツマミ115により開閉制御される。
【0040】
また、燃料経路15及び仕切板120は、図11(a)及び(b)に表したように、第1燃料貯蔵部5の上面と下面にそれぞれ設けられており、搭載方向によらず均一に液体燃料を供給することができる。
【0041】
このような仕切板120を設けることにより発電が不要な場合には、仕切板120を閉じて燃料の消耗を抑制することができる。また、例えば、燃料貯蔵部40を燃料電池に対して着脱自在のカートリッジ式とした場合、燃料貯蔵部40を装着する際に、燃料電池本体のアノード側筐体の一部に切替ツマミ115を引っかけながら装着すると、仕切板120が自動的に開状態になるようなシステムにしてもよい。この開閉弁は、機械的に手動で行うようにしてもよく、この燃料カートリッジを含む燃料電池あるいは電子デバイスから電気信号を送って開閉制御してもよい。
【0042】
図12は、燃料貯蔵部40と燃料供給部45との間に開閉弁を設けた具体例を表す模式断面図である。すなわち、同図(a)は開閉弁が開いている状態、同図(b)閉まっている状態を表している。
【0043】
本具体例においては、燃料供給部45と燃料貯蔵部40との間に、にスライドシャッタ125が設けられている。このスライドシャッタ125は、それぞれが開口を有する2枚の板状部材を相対的にスライドさせることにより、連通経路のコンダクタンスをゼロから所定値まで調節できる。つまり、このスライドシャッタ125を燃料供給部45の主面に対して平行にスライドさせることにより、液体燃料の供給を停止させたり、供給量を制御することができる。
【0044】
典型的には、図13に表したように、電力使用時にスライドシャッタ125を開けることにより、液体燃料が供給されて電力が発生する(ステップS200)。一方、電力不使用時には、スライドシャッタ125を閉じることにより、液体燃料の供給が停止されて電力が停止する(ステップS210)。図1乃至図11に関して前述したように、燃料貯蔵部40には、多孔質状の媒体が充填された第2燃料貯蔵部10が設けられている。燃料貯蔵部40と燃料供給部45との間に、このようなスライドシャッタ125を設けることにより、電力が不要な時には、スライドシャッタ125を閉じて、第2燃料貯蔵部10が燃料で満たされた状態を維持できる。そして、電力が必要となりスライドシャッタ125を開くと、第2燃料貯蔵部10から燃料供給部45に直ちに燃料が供給され、迅速に発電を開始させることができる。
【0045】
また、これら全閉と全開との中間的な位置にスライドシャッタ125を調節することにより、燃料の消費量を制御することも可能である。このようなスライドシャッタ125を設けることにより、燃料の無駄な消費を防ぎ、効率的な使用が可能となる。
【0046】
図14は、本実施形態にかかる燃料貯蔵部を着脱自在なカートリッジ式とした具体例を表す断面図である。
【0047】
すなわち、燃料電池のアノード側筐体部165に設けられたツメ130をスライドさせることにより、カートリッジ式の燃料貯蔵部40を固定したり外したりすることが可能となる。この時、図12に例示したようなスライドシャッタ125を燃料貯蔵部40に設けておけば、燃料電池本体に装着しない状態においてはスライドシャッタ125を閉じることにより、燃料の消耗を防ぐことができる。
【0048】
また、このように燃料貯蔵部40をカートリッジ式にした場合、燃料供給部45に燃料を供給する燃料電池接続部23をプラスチックフィルムなどで覆っておくと、燃料の消耗を防止できる。
【0049】
図15は、本具体例のカートリッジ式の燃料貯蔵部の使用態様を説明するためのフローチャートである。
すなわち、使用前の燃料貯蔵部(カートリッジ)40は、燃料電池接続部23が、例えばプラスチックフィルム等で密閉されており、液体燃料が減少するのを防止した状態である(ステップS100)。
そして、燃料貯蔵部(カートリッジ)40を使用する際は、燃料電池接続部23のプラスチックフィルムをはがし、密封状態を破った後、燃料電池本体へ装着すると、燃料供給部45へ液体燃料が供給される。(ステップS110)。
【0050】
これらの一連の使用態様は、メーカからユーザへの流通形態に適合させることができる。つまり、メーカ側は、プラスチックフィルムで密封された燃料カートリッジを販売する。ユーザは、その燃料カートリッジ40を購入し、このプラスチックフィルムをはがし、燃料電池にセットしてデバイスを起動させるといった具合である。
ここで、燃料電池接続部23をカバーするものは、例えば、プラスチックケースやメタルケース等で行なっても同様の効果が得られる。
【0051】
図16は、図15に表した使用態様を利用したリサイクルシステムを説明するためのフローチャートである。
すなわち、燃料貯蔵部(カートリッジ)40の液体燃料が空になると(ステップS150)、ユーザはこの燃料貯蔵部40を取り外して所定の方法で提出し、メーカ側は、これら燃料カートリッジを回収する(ステップS160)。そして、液体燃料を充填した後(ステップS170)、その燃料カートリッジをユーザに販売する(ステップS180)という流れを繰り返すリサイクルシステムを構築することもできる。その結果、材料資源やエネルギー資源を節約でき、環境負荷を低減することが可能となる。
【0052】
以下、本実施形態に係る燃料貯蔵部の他の具体例について説明する。
図17(a)は、本実施形態にかかる燃料貯蔵部の他の具体例を表す模式断面図であり、(b)はそのA−A’線断面図である。
また、図18は、図17(a)のB−B’線断面図である。図17以降の図面については、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して、詳細な説明は省略する。
本具体例においては、第1燃料貯蔵部5の上に第2燃料貯蔵部10が設けられている。第1燃料貯蔵部5の内壁には、燃料窓35の部分を除いた他のほぼ全ての部分に、燃料経路15から拡散層137が敷設されている。拡散層137は、第2燃料貯蔵部10に充填されている媒体と同様に、多孔質状または繊維状の媒体からなる。、液体燃料は、この拡散層137を介して、燃料経路15を経て、第2燃料貯蔵部10に供給される。燃料経路15は、図17に例示したように、中央付近に一箇所だけ設けてもよく、または、数カ所に分散させて設けてもよい。またその開口形状は、円形、四角形、スリット状、多角形状など各種の形状を適宜採用することができる。
第2燃料貯蔵部10には、多孔質状または繊維状の媒体が充填され、図6及び図7に関して前述したように、液体燃料を迅速に浸透・拡散させて燃料電池接続部23の全面にわたり均一に供給する。
【0053】
本具体例においては、第1燃料貯蔵部5の内周壁のほぼ全面にわたり多孔質層137を敷設することにより、燃料貯蔵部40(燃料電池)が鉛直方向に対してどのような向きに設置されている時も、拡散層137の何処かの部分は、第1燃料貯蔵部5に貯留されている液体燃料に接した状態となる。つまり、燃料電池がどのような向きに設置された時も、第1燃料貯蔵部5に貯留されている液体燃料を吸い出して、第2燃料貯蔵部10に供給することができ、安定的に発電させつつ、液体燃料を最後まで使い切ることができる。
【0054】
また、第1燃料貯蔵部5には燃料窓35が設置されているので、ユーザは液体燃料の残量を確実かつ容易に確認できる。この燃料貯蔵部は、燃料電池本体に固定的に設けてもよく、または燃料電池に対して着脱自在のカートリッジ式としてもよい。
【0055】
図19(a)は、本実施形態にかかる燃料貯蔵部のさらに他の具体例を表す模式図であり、(b)はそのA−A’線模式断面図である。
本具体例においても、第1燃料貯蔵部5の上に第2燃料貯蔵部10が設けられている。そして、これらの間に設けられた複数の燃料経路15を介して、第2燃料貯蔵部10から第1燃料貯蔵部5の底面まで、多孔質体135が突出している。これら拡散体135は、多孔質状または繊維状の媒体からなる。そして、これら拡散体135は、第1燃料貯蔵部5の少なくとも4隅に設けるとよい。
本具体例においても、複数の拡散体135を第1燃料貯蔵部5の底面まで延出させることにより、燃料貯蔵部40(燃料電池)が鉛直方向に対してどのような向きに設置されている時も、何処かの燃料経路15から延出した拡散体135は、液体燃料に接した状態となる。その結果として、燃料電池がどのような向きに設置された時も、第1燃料貯蔵部5に貯留されている液体燃料を吸い出して、第2燃料貯蔵部10に供給し、安定的に発電させつつ、液体燃料を最後まで使い切ることができる。
また、ユーザは、燃料窓35を介して燃料の残量を確実且つ容易に確認できる。この燃料貯蔵部も、燃料電池本体に固定的に設けてもよく、または燃料電池に着脱自在のカートリッジ式としてもよい。
【0056】
図20(a)は、本実施形態にかかる燃料貯蔵部のさらに他の具体例を表す模式図であり、(b)はそのA−A’線模式断面図である。
本具体例においては、第1燃料貯蔵部5に設けられたバネ140の付勢力を利用して仕切り板120に圧力を与えることで、燃料電池の向きによらずに、液体燃料が均一に供給され、最後まで使い切ることができる。また、本具体例においても、第1燃料貯蔵部5に燃料窓35を設けることにより、液体燃料の残量を目視により確実且つ容易に確認できる。この燃料貯蔵部も、燃料電池本体に固定的に設けてもよく、または着脱自在のカートリッジ式としてもよい。
【0057】
図21は、図20に表した燃料貯蔵部40にスライドシャッタ125を設けた具体例を表す断面図である。すなわち、同図(a)はスライドシャッタ125が開いている状態、(b)閉まっている状態をそれぞれ表す。
このような構造にすると、発電しない時には、スライドシャッタ125を閉じることにより燃料の消耗を防ぐことができ、経済的である。また、カートリッジ式の燃料貯蔵部40を燃料電池から外した状態においても、液体燃料の蒸発を防ぐことができる。
【0058】
図22(a)は、本実施形態に係る燃料貯蔵部の第1燃料貯蔵部5の具体例を表す模式図であり、(b)はそのA−A’線模式断面図である。
本具体例の場合、第1燃料貯蔵部5が燃料カートリッジとなっており、第2燃料貯蔵部10は、燃料電池本体に組み込まれている。この第1燃料貯蔵部5は、図20に表したものと同様の供給機構を備えている。つまり、第1燃料貯蔵部5に設けられたバネ140が仕切り板120を押し上げることで、液体燃料が供給され、燃料電池の向きによらずに常に安定して燃料を供給することができる。また、第1燃料貯蔵部5には燃料窓35が設けられ、目視による燃料の残量の確認ができる。
未使用状態においては、このカートリッジ式の燃料貯蔵部5の燃料経路15は、例えばプラスチックフィルムなどで封止され、燃料電池に装着する時あるいは装着後に、このプラスチックフィルムを剥がして燃料の供給を開始させることができる。
【0059】
図23は、図22に表した燃料カートリッジを燃料電池に装着した状態を例示する断面図である。本具体例の場合、第1燃料貯蔵部5の燃料経路側に開閉弁が設けられている。この開閉弁はスライドシャッタ125からなり、図23(a)は開いている状態、図23(b)は閉じている状態を表す。
スライドシャッタ125をスライドさせることにより、カートリッジ式の燃料貯蔵部5から燃料電池本体に取り付けられた第2燃料貯蔵部10への液体燃料の供給の有無を制御でき、燃料を効率的に使用することができる。
【0060】
図24(a)は、本実施形態に係る燃料貯蔵部の第1燃料貯蔵部5のさらに他の具体例を表す模式図であり、(b)はそのA−A’線模式断面図である。
本具体例においては、カートリッジ式の第1燃料貯蔵部5の内壁には拡散層137が敷設され、この拡散層137に接続された拡散体135を介して液体燃料が供給される。これら拡散層137と拡散体135は、それぞれ多孔質状または繊維状の媒体からなる。拡散体135の形状は凸型であり、また、相対する第2燃料貯蔵部10の接続部分は凹型となっており、それぞれを嵌め合わせることにより、燃料が供給される。
【0061】
図25は、図22に表したカートリッジ式の第1燃料貯蔵部5を燃料電池本体に着脱する様子を表す模式図である。すなわち、同図(a)は、第1燃料貯蔵部5を燃料電池本体に装着した状態を表し、図25(b)は、燃料電池本体から外した状態を表す。
燃料電池本体から取り外した状態においては、第1燃料貯蔵部5の凸状の拡散体135をキャップ等で覆うことにより、液体燃料の蒸発を防ぐことが可能となる。
【0062】
図26(a)は、本実施形態に係る燃料貯蔵部の第1燃料貯蔵部5のさらに他の具体例を表す模式図であり、(b)はそのA−A’線模式断面図である。
本具体例においては、第1燃料貯蔵部5の内部に、その主面に対して平行な方向に伸張するバネ140が設けられている。このバネ140が仕切り板120を押すことにより、燃料電池の向きによらずに、燃料経路15を介して液体燃料が第2燃料貯蔵部10に常に安定に供給される。さらに、燃料経路15には、開閉制御可能な開閉弁145が設けられている。また、第1燃料貯蔵部5には、燃料窓35が設けられ、液体燃料の残量を目視により確認できる。
【0063】
図27は、図26に表した第1燃料貯蔵部5を燃料電池本体に装着した状態の模式断面図である。同図(a)は、開閉弁145が開いている状態、(b)は、閉じている状態を表す。
また、図28は、図27(a)のA−A’線の切断面を上方から眺めた模式図であり、(a)は開閉弁が開いている状態、(b)は閉じている状態をそれぞれ表す。
開閉弁145は、燃料経路15と同様の形状の開口部150が設けられた円板であり、回転軸152を中心に回転させると、燃料経路15の開口形状と開口部150とが重なることにより、液体燃料の供給が制御が可能となる。なお、図24乃至図26においては、燃料貯蔵部5がカートリッジ式とされた具体例を表したが、本発明はこれに限定されず、燃料貯蔵部5が燃料電池本体に固定的に設けられていてもよい。
【0064】
以上説明したように、本実施形態に係る燃料貯蔵部40は、燃料電池の向きによらずに常に安定的に燃料を供給でき、また、余分な電力やスペースを必要とせずに液体燃料の残量を確認できる。またさらに、燃料電池本体に対して着脱自在なカートリッジ式とすることも可能である。
【0065】
図29は、本発明の実施形態に用いることができる燃料電池の具体的な構造を例示する概略断面図である。
すなわち、本具体例の燃料電池は、第1燃料貯蔵部5と第2燃料貯蔵部10とからなる燃料貯蔵部40と、燃料極側集電体100と、燃料側ガス拡散層50と、燃料極130と、電解質板70と、酸化剤極80と、酸化剤側ガス拡散層90と、酸化剤側集電体120と、保湿シート160と、をこの順に積層させた構造を有する。これらの要素は、アノード側筐体部65の中に収容され、上方はカソード側筐体部60により保護されている。そして、アノード側筐体部65の側面に燃料供給口30と燃料窓35が設けられている。燃料供給口30には、メタノールなどの液体燃料が充填されたタンクなどが接続され、燃料供給口30を介して液体燃料が第1燃料貯蔵部5に供給される。燃料貯蔵部40は、図1に関して前述したものと同様の構造を有する。
【0066】
次に、本具体例の燃料電池における発電メカニズムについて説明する。
まず、燃料極130側は、次式(1)により表されるメタノールと水の電気化学反応に基づく半反応により、プロトン(H)と電子(e)とを発生させる。

CHOH(l)+HO(l) → CO(g)↑+6H+6e (1)

ここで、メタノールは毛細管現象をドライビングフォースとして第2燃料貯蔵部10に充填された多孔質状または繊維状の媒体の中を自発的に移動し、燃料極側集電体100に設けられた開口(図示せず)を通り、燃料側ガス拡散層50を経由して燃料極130に供給される。
【0067】
これに対応して、酸化剤極80側においては、保湿シート160から燃料電池系内に酸素を取り込み、次式(2)より表される半反応により、大気中の酸素(O)ガスを燃料側からのHとeと、電気化学反応を行うことで、発電が生じる。

3/2O+6H+6e → 3HO (2)

なお、この電気化学反応により生じた水(HO)は、電解質板70を透過し、燃料極130へ移動し、再度(1)の電気化学反応に基づく半反応において燃料として、再利用することが可能である。
【0068】
ここで、この燃料電池を構成する主要部の材料の具体例を以下に列挙する。
まず、燃料供給口30は熱可塑性ポリエステル、第2燃料貯蔵部10に充填する多孔質状の媒体としては例えば、多孔質ポリエステルで、フィルムの透気度は、例えば2秒/100cm程度で、透湿度は4000g/m・24h程度とすることにより、それぞれ形成することができる。
また、燃料極130は、白金族元素の単体金属(例えば、Pt、Ru、Rh、Ir、Oa、Pd等)や白金属元素を有する合金などを用いて形成することができ、メタノールや一酸化炭素に対する耐性の強いPt−Ru合金を用いることが望ましいが、これには限定されない。また、燃料極130の材料として、炭素材料のような伝導性担持体を使用する担持触媒を用いることもできる。
電解質板70には、例えば、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂、スルホン酸基を有するハイドロカーボン系樹脂、タングステン酸やリンタングステン酸などの無機物などを用いることができるが、これらには限定されない。一方、酸化剤極80には、白金族元素の単体金属(例えば、Pt、Ru、Rh、Ir、OsやPd等)、白金族元素を含有する合金など、炭素材料のような伝導性担持体を使用する担持触媒を使用することもできる。
【0069】
また、この燃料電池の外形寸法は、例えば、長さ75ミリメートル×幅:60ミリメートル×厚さ:5ミリメートル程度の板状とすることができる。
【0070】
本実施形態によれば、このような燃料電池において、図1乃至図28に関して前述したような独特の構造を有する燃料貯蔵部を設けることにより、燃料電池の向きによらずに常に安定して燃料を供給できるとともに、充填された液体燃料を使い切ることができる。また、燃料窓35を設けることにより、液体燃料の残量を目視で確実且つ容易に確認できる。
【0071】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
例えば、本発明の燃料電池及び燃料電池用カートリッジを構成する各要素の材質、サイズ、形状、配置関係などについては、当業者が適宜変更を加えたものであっても、本発明の要旨を包含する限りにおいて本発明の範囲に包含される。
【0072】
また、燃料窓35に関して、サイズ、数、箇所、着色等、あるいは、カートリッジ構造に関する、燃料経路の形状、個数、場所等、あるいは、各燃料貯蔵部の材質、形状等についても、当業者が適宜変更を加えたものであっても、本発明の要旨を包含する限りにおいて本発明の範囲に包含される。またさらに、燃料電池に用いる燃料は必ずしも、メタノールに限定されず、例えば、エタノール、ブドウ糖、砂糖、ショ糖の糖類とすることもでき、またさらに、液体状のものには限定されず、例えば、固体状の燃料や、流動体状の燃料や、気相と液相との混合状態である臨界流体状の燃料などを用いたものも本発明の範囲に包含される。またさらに、燃料カートリッジ以外の他電気供給源を補助的に設けたデバイスにおいても、本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本実施形態にかかる燃料カートリッジの第1の具体例を表す(a)断面図と、(b)A−A’線の平面図である。
【図2】図1(a)のB−B’線断面図である。
【図3】本発明に用いることができる燃料電池の基本構成を表す概略断面図である。
【図4】本実施形態にかかる燃料カートリッジの載置方向に対する液体燃料の供給経路を例示した模式図である。
【図5】本実施形態にかかる燃料カートリッジの外観を例示した模式図である。
【図6】本実施形態に係る燃料カートリッジ40に用いることができる第2燃料貯蔵部10の液体燃料の濃度変化を表した模式図である。
【図7】本実施形態に係る燃料カートリッジ40に用いることができる他の第2燃料貯蔵部10の液体燃料の濃度変化を表した模式図である。
【図8】本実施形態に係る燃料カートリッジ40に用いることができる他の第2燃料貯蔵部10を表した模式図である。
【図9】本実施形態に係る燃料カートリッジ40に用いることができる他の第2燃料貯蔵部10を表した模式図である。
【図10】本実施形態にかかる燃料カートリッジに設けられた開閉弁が開閉している第1の具体例を例示する模式図であり、(a)開いている状態、(b)閉まっている状態を表している。
【図11】図10のA−A’線の断面図であり、(a)開いている状態、(b)閉まっている状態を表している。
【図12】本実施形態にかかる燃料カートリッジに設けられた開閉弁が開閉している第2の具体例を例示する断面図であり、(a)開いている状態、(b)閉まっている状態を表している。
【図13】図10乃至12に表した使用状態に対応するフローチャートである。
【図14】本実施形態にかかる燃料カートリッジに用いることができる脱着時の使用形態の具体例を表す断面図である。
【図15】本発明の具体例の燃料カートリッジの使用態様を表すフローチャートである。
【図16】図15に表した使用形態を利用したリサイクルシステムを説明するためのフローチャートである。
【図17】本実施形態にかかる燃料カートリッジの第2の具体例を表す(a)模式図と、(b)A−A’線の断面図である。
【図18】図17(a)のB−B’線断面図である。
【図19】本実施形態にかかる燃料カートリッジの第3の具体例を表す(a)模式図と、(b)A−A’線の断面図である。
【図20】本実施形態にかかる燃料カートリッジの第4の具体例を表す(a)模式図と、(b)A−A’線の断面図である。
【図21】図20に表した燃料カートリッジに設けられた開閉弁が開閉している第3の具体例を例示する断面図であり、(a)開いている状態、(b)閉まっている状態を表している。
【図22】本実施形態に係る燃料カートリッジの第5の具体例を表す(a)模式図と、(b)A−A’線の断面図である。
【図23】上述した図22の燃料カートリッジを用いて燃料電池に装着した断面図である。
【図24】本実施形態に係る燃料カートリッジの第6の具体例を表す(a)模式図と、(b)A−A’線の断面図である。
【図25】上述した図23の燃料カートリッジ40を燃料電池本体に脱着させた断面図である。
【図26】本実施形態に係る燃料カートリッジ40の第7の具体例を表す(a)模式図と、(b)A−A’線の断面図である。
【図27】上述した図26の燃料カートリッジを燃料電池本体に装着した断面図である。
【図28】上述した図27(a)のA−A’線の上面から眺めた断面図である。
【図29】本発明の実施形態に用いることができる燃料電池の具体的な構造を例示する概略断面図である。
【符号の説明】
【0074】
5 燃料貯蔵部
7 載置面
10 燃料貯蔵部
15 燃料経路
20 燃料貯蔵部筐体
23 燃料電池接続部
25 カートリッジ筐体
30 燃料供給口
35 燃料窓
40 燃料カートリッジ
45 燃料供給部
50 燃料側ガス拡散層
55 酸素導入部
60 カソード側筐体部
65 アノード側筐体部
70 電解質板
80 酸化剤極
90 酸化剤側ガス拡散層
110 ガイドレール
115 ツマミ
125 スライドシャッタ
130 燃料極
135 拡散体
137 拡散層
145 ケーシング
140 バネ
145 開閉弁
150 保湿シート
150 開口部
152 回転軸
154 ストッパ
160 保湿シート




 

 


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