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発明の名称 受熱器、電子機器および投射型表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−12955(P2007−12955A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−193368(P2005−193368)
出願日 平成17年7月1日(2005.7.1)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 難波 修
要約 課題
受熱器での流路と液体の接触面積を増やしながら流路の抵抗上昇をおさえ、受熱効率がよく、小型で、低コストの受熱器、および、発熱部品を効率的に冷却できる電子機器および投射型表示装置を提供する。

解決手段
金属と液体の接触面積を増やしつつ、流路112の抵抗をさげるために流路112を複数層113、114、115積み上げて複数の流路を有する受熱器100を構成した。受熱器100は、その流入口から複数の流路に液体を分岐させる分岐路と、複数の流路から流出口に液体を合流させる合流路とを備える構成とした。
特許請求の範囲
【請求項1】
発熱部品から直接又は他の部材を介して熱を受け取る受熱面と、
前記受熱面からの距離が異なり、内部を液体が流れるための複数の流路と、
前記液体が流入するための流入口と、
前記液体が流出するための流出口と、
前記流入口から前記複数の流路に前記液体を分岐させる分岐路と、
前記複数の流路から前記流出口に前記液体を合流させる合流路とを備えた受熱器。
【請求項2】
前記複数の流路は、前記受熱面から前記流路までの距離が大きくなるに従い、前記流路の断面積が小さくなるように構成されている請求項1に記載の受熱器。
【請求項3】
前記受熱部と前記複数の流路とを有する受熱部と、
前記流入口と前記分岐路とを有する分岐部と、
前記流出口と前記合流路とを有する合流部とを備え、
全ての前記流路の内面は、前記受熱面に平行な線分の集合により形成される形状であり、
前記受熱部と前記分岐部、および、前記受熱部と前記合流部とが接合されてなる請求項1または2に記載の受熱器。
【請求項4】
請求項1に記載の受熱器と、
前記受熱器に液体を供給するポンプとを有し、
前記受熱器の前記受熱面に発熱部品を直接又は他の部材を介して接続してなる電子機器。
【請求項5】
前記発熱部品が半導体発光素子である請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
請求項2に記載の受熱器と、
前記受熱器に液体を供給するポンプとを有し、
前記受熱器の前記受熱面に半導体発光素子を直接又は他の部材を介して接続してなる投射型表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱部品から熱を受け取り、その内部に液体を流すことで発熱部品から熱を奪い冷却する受熱器、および当該受熱器が用いられる電子機器および投射型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子は、その製造技術の進歩に伴い高精細化が進み、また、半導体で消費される電力も上昇し、発生する熱量が増加してきている。半導体の性能、信頼性及び寿命を確保するためには、半導体の温度を許容される温度範囲内に保つ必要がある。そのため、半導体に接して配置された金属内部に液体を流すことで半導体から熱を奪う液冷方式が使われるようになってきた。
【0003】
特許文献1には、半導体と接してその熱を奪う受熱器の一例が開示されている。図15に特許文献1に記載の従来の受熱器の分解斜視図を示す。
【0004】
受熱器においては、その内部に液体を流すための流路を熱の伝導性の良い金属で形成することが重要となるが、金属で微細な形状を成形することは難しく、流路の断面積は大きいものであった。
【0005】
一方で、流路と液体との接触面積を大きくすると冷却性能が上がるため、流路の断面積を小さくする要望があった。
【0006】
そこで、特許文献1においては、金属成型ではできない細い流路を形成するために、銅ベース1に薄板2をろう付けすることによって発熱部品が接続される面と平行に開放された流路3が形成され、その流路上部に蓋をする1枚のモリブデン板4を、ねじ止めまたはろう付けによって固定することで形成される受熱器が提案されている。
【特許文献1】特開平11−121668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に係る従来の受熱器では、金属と液体との接触面積を大きくするために流路を微細に形成することを目的としている。しかし、金属を切削加工したり、または、別の部品をろう付けすることによって形成しなければならず、受熱器の製造コストが上昇してしまう。
【0008】
また、半導体の発熱量はますます大きなものとなってきており、特許文献1に係る従来の受熱器では十分に熱を吸収することが出来なくなってきている。
【0009】
これを解消する一つの方法として、銅ベース1を発熱部品5と平行な方向に広げて内部に流れる液の量を増加させることが考えられる。しかし、その方法によっても、発熱部品5から離れた部分の流路3に流れる液には、発熱部品5の熱が十分に伝わらず、冷却効率がそれほど上昇しないという課題が考えられる。特に、半導体は高密度化が進んでいるため、小型で発熱量が大きい、つまり受熱器に接している面積あたりの発熱量が大きくなってきている。したがって、上記課題は顕著に現れる。
【0010】
また、他の方法として、流路3の断面積をさらに小さくすることが考えられる。しかし、その方法によっても、流路3の断面積を小さくすることにより、液体にとっては内部を流れる際の抵抗が大きくなってしまう。より熱を奪うためには、より多くの液体を流す必要があるが、流れる抵抗が大きくなっているため、冷却性能が悪化する場合もあり、液体を循環させるポンプの能力を向上させなければならず、冷却装置の大型化、コストアップとなってしまう。また、流路3の断面積をさらに小さくするためには、金属を切削加工したり、または、別の部品をろう付けする精度がさらに高く要求され、受熱器の製造コストが上昇してしまう。
【0011】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、受熱器での流路と液体の接触面積を増やしながら流路の抵抗上昇をおさえ、受熱効率がよく、小型で、低コストの受熱器、および、発熱部品を効率的に冷却できる電子機器および投射型表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的のうち1つは、以下の受熱器によって達成される。
発熱部品から直接又は他の部材を介して熱を受け取る受熱面と、
前記受熱面からの距離が異なり、内部を液体が流れるための複数の流路と、
前記液体が流入するための流入口と、前記液体が流出するための流出口と、
前記流入口から前記複数の流路に前記液体を分岐させる分岐路と、
前記複数の流路から前記流出口に前記液体を合流させる合流路
とを備えた受熱器。
【0013】
さらに、前記複数の流路は、前記受熱面から前記流路までの距離が大きくなるに従い、前記流路の断面積が小さくなるように構成されていることが好ましい。
【0014】
これにより、受熱器の姿勢によらず、常に効率のよい冷却が可能となる。
【0015】
またさらに、前記受熱部と前記複数の流路とを有する受熱部と、
前記流入口と前記分岐路とを有する分岐部と、
前記流出口と前記合流路とを有する合流部とを備え、
全ての前記流路の内面は、前記受熱面に平行な線分の集合により形成される形状であり、
前記受熱部と前記分岐部、および、前記受熱部と前記合流部とが接合されている構成とするのが好ましい。
【0016】
これにより、製造が容易な受熱器が提供できる。
【0017】
また、上記目的のうち1つは、以下の電子機器によって達成される。前記受熱器のいずれかと、前記受熱器に液体を供給するポンプとを有し、前記受熱器の前記受熱面に発熱部品を直接又は他の部材を介して接続してなる電子機器。
【0018】
さらに、前記発熱部品が半導体発光素子である電子機器において大きな効果が得られる。半導体発光素子は面積あたりの発熱量が非常に大きいため、従来に比べ本発明の受熱器が有する高い冷却効果が顕著に現れる。
【0019】
また、上記目的のうち1つは、以下の投射型表示装置によって達成される。前記受熱器のいずれかと、前記受熱器に液体を供給するポンプとを有し、前記受熱器の前記受熱面に半導体発光素子を直接又は他の部材を介して接続してなる投射型表示装置。
【0020】
さらに、前記複数の流路が前記受熱面から前記流路までの距離が大きくなるに従い前記
流路の断面積が小さくなるように構成されている受熱器を用いるのが好ましい。投射型表示装置は設置条件によりさまざまな姿勢にて使用されるが、これにより、投射型表示装置の設置姿勢によらず、常に効率のよい冷却が可能となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、受熱効率がよく、小型で、低コストの受熱器、および、発熱部品を効率的に冷却できる電子機器および投射型表示装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において実質的に同一のものには同一の符号を付している。
【0023】
金属の熱伝導は一般に非常に良いので、発熱部品から効率よく熱を奪うためには、液体と金属部品との接触面積を大きくする必要がある。そのため、流路の断面積を小さくし、かつ、その流路の幅を高さに対し小さくすることが望まれる。しかし流路を小さくしていくと流路の抵抗が大きくなるので、金属と液体の接触面積を増やしつつ、流路の抵抗をさげるために流路を複数層積み上げて受熱器を構成した。
【0024】
(実施の形態1)
実施の形態1の受熱器は、全ての流路の断面積を等しくしたものである。
【0025】
図1に実施の形態1に係る受熱器の斜視図を示す。図2に実施の形態1に係る受熱器の分解斜視図を示す。図3(a)に実施の形態1の受熱器の切断面Aの位置を表す図、図3(b)に実施の形態1の受熱器の切断面Bの位置を表す図を示す。図4に実施の形態1に係る受熱器を切断面Aで切断した断面図を示す。図5に実施の形態1に係る受熱器を切断面Bで切断した断面図を示す。
【0026】
実施の形態1に係る受熱器100は、受熱部110と、分岐部120と、合流部130の3つの部材にて構成される。
【0027】
また、各図においては、発熱部品140を記載し、発熱部品140と受熱器100との接合状態がわかるようにしている。
【0028】
受熱部110は、銅、アルミニウム、銀、金等の金属からなる。これらは熱伝導率が高いため有効である。外側の各面のうち一面は、発熱部品140から直接又は他の部材を介して熱を受け取る受熱面111である。受熱面111には、発熱部品140を直接接合してもよいし、熱を拡散するための熱拡散板等を間に介して接合してもよい。接合方法は、別途設けたバネ等の弾性体による弾性力により押し付ける方法、トルクを管理しながらネジにより締結する方法、直接はんだ付けをする方法等がある。
【0029】
受熱部110には、内部に液体が流れるための複数の流路112が形成される。全ての流路112の内面は、受熱面111に平行な線分の集合により形成される形状である。また、全ての流路112の断面積は同一である。
【0030】
複数の流路112は互いに所定の距離を空けて配列されている。また、複数の流路112により受熱面111と平行な3つの層が構成されている。具体的には、複数の流路112のうちの一部により、受熱面111からそれぞれ等しい距離をもって配列して第1流路層113が構成されている。また、複数の流路112のうちの他の一部により、受熱面111からそれぞれ等しい距離をもち、第1流路層113よりも受熱面111から離れて配列している第2流路層114が構成されている。さらに、複数の流路112のうちの残りにより、受熱面111からそれぞれ等しい距離をもち、第2流路層114よりも受熱面111から離れて配列している第3流路層115が構成されている。別の言い方によると、複数の流路112により、受熱面111から順に、受熱面111に平行に配列した複数の流路112からなる第1流路層113、第2流路層114、第3流路層115が構成されている。また別の言い方によると、受熱器100は、受熱面111からの距離が異なる3種類の流路112を有する。
【0031】
なお、本明細書中において、「受熱面から流路までの距離」とは、受熱面から流路の断面の重心までの最短距離を意味する。また、「重心」とは、図形上に一様に質量を分布させたときの質量中心を意味する。
【0032】
受熱部110では、受熱面111の大きさを、接合される発熱部品140よりも大きく設定している。具体的には、第1流路層113を形成する全ての流路112が、流路112を受熱面111に垂直に投影した場合に発熱部品140と少なくとも一部が重なるように設定されている。
【0033】
分岐部120は、銅、アルミニウム、銀、金等の金属、または、PPE(ポリフェニレンエーテール)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂からなる。分岐部120に金属を用いる場合は、受熱部110と同じ金属材料を用いる。異なる金属材料を用いる場合、電食を起こす恐れがあるからである。
【0034】
分岐部120は、液体が流入するための流入口121と、流入口121から複数の流路112に液体を分岐させる分岐路122を有する。分岐路122は、分岐部120が受熱部110から分離した状態で開放された空間であり、分岐部120が受熱部110と接合された状態で全ての流路112と接する空間である。流入口121は分岐部120が受熱部110と接合された状態でも外部と分岐路122とをつなぐ空間を形成している。
【0035】
合流部130は、銅、アルミニウム、銀、金等の金属、または、PPE(ポリフェニレンエーテール)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂からなる。合流部130に金属を用いる場合は、受熱部110と同じ金属材料を用いる。異なる金属材料を用いる場合、電食を起こす恐れがあるからである。
【0036】
合流部130は、液体が流出するための流出口131と、複数の流路112から流出口131に液体を合流させる合流路132とを有する。合流路132は、合流部130が受熱部110から分離した状態で開放された空間であり、合流部130が受熱部110と接合された状態で全ての流路112と接する空間である。流出口131は合流部130が受熱部110と接合された状態でも外部と合流路132をとつなぐ空間を形成している。
【0037】
なお、本実施の形態では、合流部130は分岐部120と等しい形状としており、流入口121と流出口131、分岐路122と合流路132がそれぞれ対応する。したがって、本実施の形態では、流入口121と流出口131、分岐路122と合流路132を区別することなく製造および使用することが可能となっている。
【0038】
受熱部110は、上述のような形状をしているため、その製造が容易である。例えば、押し出し成型によって容易に製造される。
【0039】
分岐部120および合流部130は、上述のような形状をしているため、その製造が容易である。例えば、樹脂を用いる場合は射出成型、金属を用いる場合はダイカスト(金属の射出成型)によって容易に製造される。
【0040】
受熱部110と分岐部120、受熱部110と合流部130はそれぞれろう付けにて接合されている。その他の接合方法としては、受熱部110と分岐部120、受熱部110と合流部130のそれぞれの接合部に溝を形成しておき、ゴム等からなる封止部材を入れ、受熱部110と分岐部120、受熱部110と合流部130に形成された穴とめネジを利用して、ネジ止めをするという方法が考えられる。
【0041】
次に、本実施の形態の受熱器100の使用の一例とその動作について説明する。
【0042】
図6に受熱面111が重力方向下向きに位置した際の実施の形態1に係る受熱器内部の液体の流れを表す図を示す。
【0043】
本実施の形態の受熱器100の使用の際には、ポンプ(図示せず)と受熱器100の流入口121、流出口131と放熱器(図示せず)、放熱器とポンプがそれぞれチューブ(図示せず)等により接続される。ポンプ、受熱器100、チューブの内部には、純水、エチレングリコール、プロピレングリコール等の液体が充填される。ポンプが駆動されることにより、液体には一方向の圧力が付加され、液体は一方向に流れる。なお、寒冷地でも正常に機能するためには、凝固点の低いエチレングリコール、プロピレングリコール等がより好ましい。
【0044】
ポンプから送り出された液体はチューブを通って流入口121へ流入する。流入口121より流入した液体は、分岐路122へ流れ込む。分岐路122では、流入口121より流入した液体の量にほぼ等しい量の液体が複数の流路112に分配して送り出される。各流路112に送られる液体の分配量は、流路112の断面積、重力の影響、その他流路112内の液体の流れを妨げる抵抗力等により決定される。図6では、重力方向下向きから順に第1流路層113、第2流路層114、第3流路層115となる状態で受熱器100が位置している。また、全ての流路112の断面積が等しい。そのため、結果として第1流路層113を構成する複数の流路112、第2流路層114を構成する複数の流路112、第3流路層115を構成する複数の流路112の順に流れる液体の量が多くなっている。
【0045】
各流路112を流れた液体は、合流路132へ流出し、合流する。合流した液体は、流出口131より流出し、チューブを通って放熱器へ流れ込む。
【0046】
一方、発熱部品140から発生した熱は、その一部が受熱面111に伝達される。受熱面111に伝達された熱は、受熱部110の外面と流路112、流路112と流路112の間の金属部材で充填された熱伝達壁116を通って各流路112の内面に伝達される。そして、各流路112において内面から液体に熱が伝えられる。
【0047】
各流路112にて熱を受けた液体は、放熱器に流れ、放熱器にて熱を放出する。放熱器としては一般に用いられているものが流用できる。
【0048】
以上のように、発熱部品140から発生した熱は、受熱器100にて効率よく液体に伝えられ、放熱器にて放熱される。
【0049】
本実施の形態では、受熱面111の面積を大きくすることなく、受熱器100に流れる液体の量を多くすることを可能とする。これは、流路112を第1流路層113、第2流路層114、第3流路層115と複数層構造にすることにより実現される。第1流路層113を形成する流路112は発熱部品140から効率よく熱を受け取るとともに、その内部を流れる液体が奪いきれない熱を、第2流路層114、第3流路層115を形成する流路112にてその内部を流れる液体が吸収する。
【0050】
また、受熱面111の面積を大きくすることにより流路112を増やした場合には、流路112と発熱部品140との距離が大きくなり受熱効率が悪い流路112が出来てしまうが、本実施の形態の受熱器100では、流路112を第1流路層113、第2流路層114、第3流路層115と複数層構造にすることにより、全ての流路112と発熱部品140との距離を大きくすることなく、全ての流路112において効率よく受熱できる。
【0051】
さらに、流路112の内面と液体の接触面積を増やすために各流路112の断面積を小さくする場合には、流路112の抵抗が大きくなってしまう、流路112の形成が容易でなくなる等の問題がある。しかし、本実施の形態の受熱器100では、流路112を第1流路層113、第2流路層114、第3流路層115と複数層構造にすることにより流路112の内面と液体の接触面積を増やすことが可能であるため、各流路112の断面積をそれほど小さくすることなく十分な受熱能力を得ることが可能である。特に、発熱部品140が半導体発光素子である場合、半導体発光素子は面積あたりの発熱量が非常に大きいため、従来に比べ本発明の受熱器100が有する高い冷却効果が顕著に現れる。
【0052】
またさらに、本実施の形態に係る受熱器100は、図6に示すように受熱面111が重力方向下向きに位置した際には、上述のように第1流路層113を構成する複数の流路112、第2流路層114を構成する複数の流路112、第3流路層115を構成する複数の流路112の順に流れる液体の量が多くなっている。したがって、本実施の形態に係る受熱器100を電子機器等で用いる場合、受熱面111が重力方向下向きに配置されるのが好ましい。このように配置されることで、発熱部品140に近い流路112により多くの液体を流すことができ、受熱器100は高い受熱効率を得ることができる。
【0053】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る受熱器100は、その姿勢により十分な受熱効率を得ることができない場合がある。
【0054】
図7に受熱面111が重力方向上向きに位置した際の実施の形態1に係る受熱器100内部の液体の流れを表す図を示す。図7に示すように受熱器100の姿勢が受熱面111を重力方向上向きになるような姿勢となった場合、とくに顕著に受熱効率が低下する。以下に理由を説明する。
【0055】
この場合、受熱面111から近い第1流路層113を構成する複数の流路112、第2流路層114を構成する複数の流路112、第3流路層115を構成する複数の流路112の順に流れる液体の量が少なくなる。これは、実施の形態1に係る受熱器100の全ての流路112の断面積が等しいため、重力方向下向きの流路112ほど重力の影響を強く受け、流量が増すためである。重力の影響とは、具体的には各流路112よりも重力方向上向きにある液体の重量によって流路112を流れる液体が受ける圧力による影響のことである。
【0056】
したがって、受熱器100の姿勢が受熱面111を重力方向上向きとするような姿勢となった場合、発熱部品140に近い流路112ほど流路112を流れる液体の量が少なくなり、受熱器100の受熱効率は低下する。
【0057】
そこで、実施の形態1に係る受熱器の上記課題を解決し、受熱器の姿勢によらず高い受熱効率を得るために、実施の形態2に係る受熱器は、受熱面から流路までの距離が大きくなるに従い、流路の断面積が小さくなるように構成されている。
【0058】
図1に実施の形態2に係る受熱器の斜視図を示す。図8に実施の形態2に係る受熱器の分解斜視図を示す。図3(a)に実施の形態2の受熱器の切断面Aの位置を表す図、図3(b)に実施の形態2の受熱器の切断面Bの位置を表す図を示す。図9に実施の形態2に係る受熱器を切断面Aで切断した断面図を示す。図10に実施の形態2に係る受熱器を切断面Bで切断した断面図を示す。
【0059】
実施の形態2に係る受熱器200が実施の形態1に係る受熱器100と異なる点は、受熱部210の有する各流路212の断面積のみである。したがって、受熱器200の外観、分岐部120、合流部130は実施の形態1と同一である。
【0060】
受熱部210は、銅、アルミニウム、銀、金等の金属からなる。これらは熱伝導率が高いため有効である。外側の各面のうち一面は、発熱部品140から直接又は他の部材を介して熱を受け取る受熱面211である。受熱面211には、発熱部品140を直接接合してもよいし、熱を拡散するための熱拡散板等を間に介して接合してもよい。接合方法は、別途設けたバネ等の弾性体による弾性力により押し付ける方法、トルクを管理しながらネジにより締結する方法、直接はんだ付けをする方法等がある。
【0061】
受熱部210には、内部を液体が流れるための複数の流路212が形成される。全ての流路212の内面は、受熱面211に平行な線分の集合により形成される形状である。
【0062】
複数の流路212は互いに所定の距離を空けて配列されている。また、複数の流路212により受熱面211と平行な3つの層が構成されている。具体的には、複数の流路212のうちの一部により、受熱面211からそれぞれ等しい距離をもって配列して第1流路層213が構成されている。また、複数の流路212のうちの他の一部により、受熱面211からそれぞれ等しい距離をもち、第1流路層213よりも受熱面211から離れて配列している第2流路層214が構成されている。さらに、複数の流路212のうちの残りにより、受熱面211からそれぞれ等しい距離をもち、第2流路層214よりも受熱面211から離れて配列している第3流路層215が構成されている。別の言い方によると、複数の流路212により、受熱面211から順に、受熱面211に平行に配列した複数の流路212からなる第1流路層213、第2流路層214、第3流路層215が構成されている。また別の言い方によると、受熱器200は、受熱面211からの距離が異なる3種類の流路212を有する。
【0063】
第1流路層213を構成する複数の流路212はそれぞれ等しい断面積を有する。また、第2流路層214を構成する複数の流路212はそれぞれ等しい断面積を有する。さらに、第3流路層215を構成する複数の流路212はそれぞれ等しい断面積を有する。そして、第1流路層213を構成する複数の流路212、第2流路層214を構成する複数の流路212、第3流路層215を構成する複数の流路212の順に各流路212の断面積が大きくなっている。つまり、各流路212は、受熱面211から流路212までの距離が大きくなるに従い、流路212の断面積が小さくなるように構成されている。
【0064】
受熱部210では、受熱面211の大きさを、接合される発熱部品140よりも大きく設定している。具体的には、第1流路層213を形成する全ての流路212が、流路212を受熱面211に垂直に投影した場合に発熱部品140と少なくとも一部が重なるように設定されている。
【0065】
受熱部210は、上述のような形状をしているため、その製造が容易である。例えば、押し出し成型によって容易に製造される。
【0066】
次に、本実施の形態の受熱器200の使用の一例とその動作について説明する。
【0067】
図11に受熱面が重力方向下向きに位置した際の分岐路に係る受熱器内部の液体の流れを表す図を示す。
【0068】
本実施の形態の受熱器200の使用の際には、ポンプ(図示せず)と受熱器200の流入口121、流出口131と放熱器(図示せず)、放熱器とポンプがそれぞれチューブ(図示せず)等により接続される。ポンプ、受熱器200、チューブの内部には純水、エチレングリコール、プロピレングリコール等の液体が充填される。ポンプが駆動されることにより、液体には一方向の圧力が付加され、液体は一方向に流れる。なお、寒冷地でも正常に機能するためには、凝固点の低いエチレングリコール、プロピレングリコール等がより好ましい。
【0069】
ポンプから送り出された液体はチューブを通って流入口121へ流入する。流入口121より流入した液体は、分岐部122へ流れ込む。分岐部122では、流入口121より流入した液体の量にほぼ等しい量の液体を複数の流路212に分配して送り出す。各流路212に送られる液体の分配量は、流路212の断面積、重力の影響、その他流路212内の液体の流れを妨げる抵抗力等により決定される。
【0070】
図11では、重力方向下向きから順に第1流路層213、第2流路層214、第3流路層215となる状態で受熱器200が位置している。また、第1流路層213を構成する複数の流路212、第2流路層214を構成する複数の流路212、第3流路層215を構成する複数の流路212の順に断面積が大きくなっている。結果として第1流路層213を構成する複数の流路212、第2流路層214を構成する複数の流路212、第3流路層215を構成する複数の流路212の順に流れる液体の量が多くなっている。
【0071】
各流路212を流れた液体は、合流路132へ流出し、合流する。合流した液体は、流出口131より流出し、チューブを通って放熱器へ流れ込む。
【0072】
一方、発熱部品140から発生した熱は、その一部が受熱面211に伝達される。受熱面211に伝達された熱は、受熱部210の外面と流路212、流路212と流路212の間の金属部材で充填された熱伝達壁216を通って各流路212の内面に伝達される。そして、各流路212において内面から液体に熱が伝えられる。
【0073】
各流路212にて熱を受けた液体は、放熱器に流れ、放熱器にて熱を放出する。放熱器としては一般に用いられているものが流用できる。
【0074】
次に、受熱器200の姿勢が変化した際の受熱器200内部の液体の流れについて説明する。
【0075】
図12に受熱面211が重力方向上向きに位置した際の分岐路に係る受熱器内部の液体の流れを表す図を示す。この場合、重力方向上向きから順に第1流路層213、第2流路層214、第3流路層215となる状態で受熱器200が位置している。したがって、重力の影響のみ考慮した場合には発熱部品140から近い流路212ほど流量が小さくなってしまう。
【0076】
しかし、本実施の形態に係る受熱器200では、第1流路層213を構成する複数の流路212、第2流路層214を構成する複数の流路212、第3流路層215を構成する複数の流路212の順に断面積が大きくなっている。したがって、断面積のみ考慮した場合には発熱部品140から近い流路212ほど流量が大きくなる。これは、断面積が小さいほど流路212内の液体の流れを妨げる抵抗力が大きいためである。
【0077】
このように、本実施の形態に係る受熱器200では、受熱面211が重力方向上向きに位置した際にも、重力の影響を流路212の断面積により相殺し、発熱部品140に近い流路212に多くの液体が流れる。したがって、本実施の形態に係る受熱器200は、十分な受熱能力を得ることが可能である。
【0078】
図13に受熱面211が重力方向と平行に位置した際の分岐路に係る受熱器200内部の液体の流れを表す図を示す。この場合、第1流路層213、第2流路層214、第3流路層215はすべて重力方向の位置が等しくなる。したがって、重力の影響による各流路212の流量の差は生じない。
【0079】
また、本実施の形態に係る受熱器200では、第1流路層213を構成する複数の流路212、第2流路層214を構成する複数の流路212、第3流路層215を構成する複数の流路212の順に断面積が大きくなっている。したがって、断面積のみ考慮した場合には発熱部品140から近い流路212ほど流量が大きくなる。これは、断面積が小さいほど流路212内の液体の流れを妨げる抵抗力が大きいためである。
【0080】
このように、本実施の形態に係る受熱器200では、受熱面211が重力方向と平行に位置した際にも発熱部品140に近い流路212に多くの液体が流れる。したがって、本実施の形態に係る受熱器200は、高い受熱能力を得ることが可能である。
【0081】
以上のように、発熱部品140から発生した熱は、受熱器200にて効率よく液体に伝えられ、放熱器にて放熱される。
【0082】
本実施の形態では、受熱面211の面積を大きくすることなく、受熱器200に流れる液体の量を多くすることを可能とする。これは、流路212を第1流路層213、第2流路層214、第3流路層215と複数層構造にすることにより実現される。第1流路層213を形成する流路212にて発熱部品140から効率よく熱を受け取るとともに、その内部を流れる液体が奪いきれない熱を、第2流路層214、第3流路層215を形成する流路212にてその内部を流れる液体が吸収する。
【0083】
また、受熱面211の面積を大きくすることにより流路212を増やした場合には、流路212と発熱部品140の距離が大きくなり受熱効率が悪い流路212が出来てしまうが、本実施の形態の受熱器200では、流路212を第1流路層213、第2流路層214、第3流路層215と複数層構造にすることにより、全ての流路212が発熱部品140からの距離を大きくすることなく、全ての流路212において効率よく受熱できる。
【0084】
さらに、流路212の内面と液体の接触面積を増やすために各流路212の断面積を小さくする場合には、流路212の抵抗が大きくなってしまう、流路212の形成が容易でなくなる等の問題があるが、本実施の形態の受熱器200では、流路212を第1流路層213、第2流路層214、第3流路層215と複数層構造にすることにより流路212の内面と液体の接触面積を増やすことが可能であるため、各流路212の断面積をそれほど小さくすることなく十分な受熱能力を得ることが可能である。特に、発熱部品140が半導体発光素子である場合、半導体発光素子は面積あたりの発熱量が非常に大きいため、従来に比べ本発明の受熱器200が有する高い冷却効果が顕著に現れる。
【0085】
またさらに、本実施の形態に係る受熱器200は、図11に示すように受熱面211が重力方向下向きに位置した際には、上述のように第1流路層213を構成する複数の流路212、第2流路層214を構成する複数の流路212、第3流路層215を構成する複数の流路212の順に流れる液体の量が多くなっている。したがって、本実施の形態に係る受熱器200を電子機器等で用いる場合、受熱面211を重力方向下向きに配置するのが好ましい。このように配置することで、発熱部品140に近い流路212により多くの液体を流すことができ、受熱器200は高い受熱効率を得ることができる。
【0086】
さらに、本実施の形態に係る受熱器200は、受熱面211から流路212までの距離が大きくなるに従い、流路212の断面積が小さくなるように構成されているため、受熱器200の姿勢によらず常に発熱部品140に近い流路212に多くの液体を流すことができ、受熱器200の姿勢によらず常に高い受熱効率を有する。
【0087】
本実施の形態に係る受熱器200は、受熱器200の前記受熱面211に半導体発光素子を直接又は他の部材を介して接続してなる投射型表示装置において使用される場合に特に効果が高い。投射型表示装置は設置条件によりさまざまな姿勢にて使用される。例えば、机の上に設置される標準姿勢、標準姿勢から機体を反転し天井に吊り下げる姿勢、標準姿勢から機体を横に倒した姿勢等の姿勢での使用が想定される。しかし、本実施の形態の受熱器200は、受熱器200の姿勢によらず常に高い受熱効率を有するため、投射型表示装置の設置姿勢によらず、常に効率のよい冷却が可能となる。
【0088】
(実施の形態3)
実施の形態3に係る受熱器は実施の形態2の変形例であり、実施の形態2と同様に、受熱面から流路までの距離が大きくなるに従い、流路の断面積が小さくなるように構成されている。
【0089】
図1に実施の形態3に係る受熱器の斜視図を示す。図14に実施の形態3に係る受熱器の分解斜視図を示す。
【0090】
本実施の形態に係る受熱器300が実施の形態2に係る受熱器200と異なる点は、受熱部310の有する各流路312の断面積と配置のみである。したがって、受熱器300の外観、分岐部120、合流部130は実施の形態1、2と同一である。
【0091】
本実施の形態に係る受熱器300は、実施の形態2の受熱器200と同様に、受熱面311から流路312までの距離が大きくなるに従い、流路312の断面積が小さくなるように構成されている。また、実施の形態3に係る受熱器300は、受熱面311に平行な方向に隣り合う1組の流路312の間に位置して一組の流路312のそれぞれに隣り合うように他の流路312が配置されている。
【0092】
本実施の形態による受熱器300の使用の一例とその動作、また、受熱器300の姿勢が変化した際の受熱器300内部の液体の流れについては、実施の形態2と実質的に同じであるため、説明を省略する。
【0093】
また、本実施の形態の受熱器300の効果は、実施の形態2の受熱器200の効果と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、小型で発熱量の大きい発熱部品から効率よく熱を受けることが出来るため、半導体などの発熱部品、もしくは半導体の冷却に用いるペルチェ素子の発熱部などから熱を受け取り、その内部に水などの液体を循環させて冷却する受熱器、電子機器および投射型表示装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】実施の形態1、2、3に係る受熱器の斜視図
【図2】実施の形態1に係る受熱器の分解斜視図
【図3】(a)実施の形態1、2の受熱器の切断面Aの位置を表す図、(b)実施の形態1、2の受熱器の切断面Bの位置を表す図
【図4】実施の形態1に係る受熱器を切断面Aで切断した断面図
【図5】実施の形態1に係る受熱器を切断面Bで切断した断面図
【図6】受熱面が重力方向下向きに位置した際の実施の形態1に係る受熱器内部の液体の流れを表す図
【図7】受熱面が重力方向上向きに位置した際の実施の形態1に係る受熱器内部の液体の流れを表す図
【図8】実施の形態2に係る受熱器の分解斜視図
【図9】実施の形態2に係る受熱器を切断面Aで切断した断面図
【図10】実施の形態2に係る受熱器を切断面Bで切断した断面図
【図11】受熱面が重力方向下向きに位置した際の実施の形態2に係る受熱器内部の液体の流れを表す図
【図12】受熱面が重力方向上向きに位置した際の実施の形態2に係る受熱器内部の液体の流れを表す図
【図13】受熱面が重力方向と平行に位置した際の実施の形態2に係る受熱器内部の液体の流れを表す図
【図14】実施の形態3に係る受熱器の分解斜視図
【図15】従来の受熱器の分解斜視図
【符号の説明】
【0096】
100、200、300 受熱器
110、210、310 受熱部
111、211、311 受熱面
112、212、312 流路
113、213 第1流路層
114、214 第2流路層
115、215 第3流路層
116、216、316 熱伝達壁
120 分岐部
121 流入口
122 分岐路
130 合流部
131 流出口
132 合流路
140 発熱部品




 

 


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