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発明の名称 基板加熱方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−12827(P2007−12827A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190814(P2005−190814)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100113859
【弁理士】
【氏名又は名称】板垣 孝夫
発明者 西田 航 / 松澤 豊 / 高森 益教
要約 課題
複数の基板を1枚ずつ処理室に搬入して加熱処理する際の基板間の膜厚均一性を向上した基板加熱方法を提供する。

解決手段
(1)処理室内に順次に搬入される基板の温度をモニターし、(2)基板温度の経時変化より処理室への蓄熱量を推測し、(3)処理室内の基板について、前記蓄熱量を基に、基板毎の供給熱量が一定になるように加熱処理時間、特に成膜工程時間(B1,B2,B3,・・)を制御する。これにより、処理室への蓄熱に起因する膜厚変動を防ぐことができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の基板を1枚ずつ処理室に搬入して加熱処理する際に、
(1)処理室内に順次に搬入される基板の温度をモニターし、
(2)各基板の温度の経時変化より処理室への蓄熱量を推測し、
(3)処理室内の基板について、前記蓄熱量を基に、基板毎の供給熱量が一定になるように加熱処理時間を制御する基板加熱方法。
【請求項2】
処理室に搬入する1枚目および2枚目の被処理基板を所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目の被処理基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目の被処理基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、3枚目以降のn枚目の被処理基板については、n−1枚目の被処理基板で算出された蓄熱量値を用いて、基板を所定の成膜温度に維持する成膜工程時間を算出し、算出値を用いて加熱処理する請求項1記載の基板加熱方法。
【請求項3】
被処理基板と同数のモニタ基板を用意し、処理室に搬入する1枚目および2枚目のモニタ基板を所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目のモニタ基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目のモニタ基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、その後に、処理室に搬入する1枚目の被処理基板を前記所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目の被処理基板については、対応する(n−1)枚目のモニタ基板で算出された蓄熱量値を用いて、基板を所定の成膜温度に維持する成膜工程時間を算出し、算出値を用いて加熱処理する請求項1記載の基板加熱方法。
【請求項4】
少なくとも2枚のモニタ基板を用意し、処理室に搬入する1枚目および2枚目のモニタ基板を所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目のモニタ基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目のモニタ基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、算出された各蓄熱量値よりモニタ基板1枚当たりの平均蓄熱量を算出し、その後に、処理室に搬入する1枚目の被処理基板を前記所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目の被処理基板については、前記モニタ基板で算出された平均蓄熱量値を用いて、基板を所定の成膜温度に維持する成膜工程時間を算出し、算出値を用いて加熱処理する請求項1記載の基板加熱方法。
【請求項5】
複数の基板を1枚ずつ処理室に搬入して加熱処理する際に、
(1)処理室内に順次に搬入される基板の温度をモニターし、
(2)各基板の温度の経時変化より処理室への蓄熱量を推測し、
(3)処理室内の基板について、前記蓄熱量を基に、基板毎の供給熱量が一定になるように処理室を冷却する基板加熱方法。
【請求項6】
少なくとも2枚のモニタ基板を用意し、処理室に搬入する1枚目および2枚目のモニタ基板を所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目のモニタ基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目のモニタ基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、算出された各蓄熱量値よりモニタ基板1枚当たりの平均蓄熱量を算出し、その後に、処理室に搬入する1枚目および2枚目の被処理基板を、処理室の壁部を所定流量の冷媒で冷却しつつ所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目の被処理基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目の被処理基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、3枚目以降のn枚目の被処理基板については、前記モニタ基板で算出された平均蓄熱量値と、n−1枚目の被処理基板で算出された蓄熱量値と、前記冷媒の流量値とを用いて、基板を所定の成膜温度に維持する冷媒流量を算出し、算出値を用いて加熱処理する請求項5記載の基板加熱方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体製造装置などにおける基板加熱方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置の1つである熱処理装置に、複数の基板を1枚ずつ順次に加熱処理していく枚葉式のものがある。枚葉式熱処理装置は一般に、処理室に回転可能な基板支持部材と加熱ランプとを配置しており、被処理基板を基板支持部材上に設置し、処理室内に成膜ガスを供給し、基板温度を光学的に監視する状態において、被処理基板を加熱ランプで所定の温度まで加熱するように構成されている(たとえば特許文献1)。
【特許文献1】特開2001−127057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、枚葉式熱処理装置において、特に急速熱処理(RTP:Rapid Thermal Processing)装置において、酸化プロセス等の成膜処理を行った場合、図12に示すように、基板処理枚数が増えるにしたがって、基板上に形成される酸化膜の膜厚が厚くなる傾向が見られる。基板間の膜厚均一性(面間均一性)が得られないと、半導体装置の量産を行う上で重要な条件の1つである成膜の再現性が充分に得られなくなり、品質の安定性や製造効率が低下してしまう。上記した特許文献1では、加熱処理を開始した際の特に1枚目の基板が2枚目以降の基板に較べて膜厚が小さくなる現象を改善するために、1枚目の基板の搬入前に処理室を予備加熱することが提案されているが、2枚目以降の基板間の膜厚均一性については何ら考慮されておらず、依然として課題となっている。
【0004】
本発明は、複数の基板を1枚ずつ処理室に搬入して加熱処理する際の基板間の膜厚均一性を向上できる基板加熱方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
枚葉式熱処理装置では通常、図13に示すように、昇温工程と成膜工程の処理時間が基板間で一定になるように制御されている。本発明者らは、通常は制御されていない降温工程も含めて時系列温度データを収集した結果、加熱処理で得られる膜厚は、基板に加わった熱(基板温度の変位に相当する)とその間の加熱時間との積、すなわち基板に供給された熱量に比例することを見出した。
【0006】
これは、基板温度が一定になるように加熱ランプより逐次熱供給がなされる間に、処理室の構成要素、例えば処理室の壁部や加熱ランプの周辺部材や基板支持台等も蓄熱効果で昇温し、基板と処理室の構成要素との熱伝導、熱輻射のエネルギー収支の関係が変化することに関連するものと思われる。このことは、制御されていない降温工程で、基板の処理枚数が増えるに従って降温カーブが緩やかになる傾向に表れている。
【0007】
本発明の第1の基板加熱方法は、上記知見に基づき、基板間の膜厚を均一にするべく、基板の加熱処理時間、特に成膜工程の時間を積極的に制御することで、基板に供給される熱量を一定に保つようにしたものである。
【0008】
すなわち、複数の基板を1枚ずつ処理室に搬入して加熱処理する際に、
(1)処理室内に順次に搬入される基板の温度をモニターし、
(2)各基板の温度の経時変化より処理室への蓄熱量を推測し、
(3)処理室内の基板について、前記蓄熱量を基に、基板毎の供給熱量が一定になるように加熱処理時間を制御することを特徴とする。
【0009】
詳細には、処理室に搬入する1枚目および2枚目の被処理基板を所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目の被処理基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目の被処理基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、3枚目以降のn枚目の被処理基板については、n−1枚目の被処理基板で算出された蓄熱量値を用いて、基板を所定の成膜温度に維持する成膜工程時間を算出し、算出値を用いて加熱処理することを特徴とする。
【0010】
また、被処理基板と同数のモニタ基板を用意し、処理室に搬入する1枚目および2枚目のモニタ基板を所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目のモニタ基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目のモニタ基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、その後に、処理室に搬入する1枚目の被処理基板を前記所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目の被処理基板については、対応する(n−1)枚目のモニタ基板で算出された蓄熱量値を用いて、基板を所定の成膜温度に維持する成膜工程時間を算出し、算出値を用いて加熱処理することを特徴とする。
【0011】
また、少なくとも2枚のモニタ基板を用意し、処理室に搬入する1枚目および2枚目のモニタ基板を所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目のモニタ基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目のモニタ基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、算出された各蓄熱量値よりモニタ基板1枚当たりの平均蓄熱量を算出し、その後に、処理室に搬入する1枚目の被処理基板を前記所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目の被処理基板については、前記モニタ基板で算出された平均蓄熱量値を用いて、基板を所定の成膜温度に維持する成膜工程時間を算出し、算出値を用いて加熱処理することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の基板加熱方法は、基板の周囲の構成要素を積極的に冷却することで、基板の降温特性を基板処理毎に一定に保ち、基板に供給される熱量を一定に保つようにしたものである。
【0013】
すなわち、複数の基板を1枚ずつ処理室に搬入して加熱処理する際に、
(1)処理室内に順次に搬入される基板の温度をモニターし、
(2)各基板の温度の経時変化より処理室への蓄熱量を推測し、
(3)処理室内の基板について、前記蓄熱量を基に、基板毎の供給熱量が一定になるように処理室を冷却することを特徴とする。
【0014】
詳細には、少なくとも2枚のモニタ基板を用意し、処理室に搬入する1枚目および2枚目のモニタ基板を所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目のモニタ基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目のモニタ基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、算出された各蓄熱量値よりモニタ基板1枚当たりの平均蓄熱量を算出し、その後に、処理室に搬入する1枚目および2枚目の被処理基板を、処理室の壁部を所定流量の冷媒で冷却しつつ所定の加熱プロファイルで加熱処理し、2枚目以降のn枚目の被処理基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量を、1枚目およびn枚目の被処理基板における、基板温度の変位とその間の加熱時間との積で定義される供給熱量の差分として算出し、3枚目以降のn枚目の被処理基板については、前記モニタ基板で算出された平均蓄熱量値と、n−1枚目の被処理基板で算出された蓄熱量値と、前記冷媒の流量値とを用いて、基板を所定の成膜温度に維持する冷媒流量を算出し、算出値を用いて加熱処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の基板加熱方法は、基板温度の経時変化より処理室への蓄熱量を推測し、基板毎の供給熱量が一定になるように、前記蓄熱量を基に、加熱処理時間を制御するか、あるいは処理室を積極的に冷却するものであり、これにより、基板間の膜厚不均一を解消し、デバイス特性の不均一を抑制することが可能になった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の基板加熱方法に用いる熱処理装置の概略構成を示す断面図である。
この熱処理装置は、枚葉式急速熱処理装置と呼ばれるものであり、処理室1と、処理室1内で処理対象の基板(シリコンウェハ)Wを支持する基板支持部材2と、基板支持部材2に支持された基板Wを加熱するランプモジュール3と、基板支持部材上に支持された基板Wの温度を検出する温度センサ4とを備えている。
【0017】
処理室1は、ステンレス製の円筒状の側壁部5とベース部6と蓋部7とで構成されている。側壁部5内には、側壁部5自体の変形や破損を防止するとともに、後述する機能を担う冷却水路8が設けられている。
【0018】
基板支持部材2は、処理室1の側壁部5に対してベアリング9などの回転機構を介して取り付けられた円筒フレーム10と、円筒フレーム10の上端に取り付けられたリングフレーム11とを有している。リングフレーム11は内周側の段部で基板Wの外周縁部を受けて基板Wを水平方向に保持する。円筒フレーム10は図示しない駆動手段により軸心廻りに回転して、リングフレーム11上の基板Wを一体に回転させる。処理室1のベース部6はこの円筒フレーム10で囲まれている。
【0019】
ランプモジュール3は、複数の加熱ランプ12で構成されており、処理室1の蓋部7に取り付けられている。
温度センサ4は、基板温度を光学的に検出可能な複数のパイロメータ13からなり、基板裏面側に形成される光学的閉空間に臨むように処理室1のベース部6に組み込まれている。複数のパイロメータ13の位置は、円形のベース部6の軸心を頂点とする扇形領域内である。
【0020】
図示を省略するが、処理室1の側壁部5には、基板表面側空間に臨むガス供給口とガス排出口とが対向して設けられている。ベース部6には、基板Wを基板支持部材2の所定位置に載せまた取り外すリフト部材、たとえばベース部6を貫通した昇降自在な複数の支持ピンが設けられている。
【0021】
処理室1の外部には、この処理室1と弁装置を介して連通した前処理室と、前処理室から処理室1へ基板Wを搬送する搬送ロボットとが配置されている。前処理室は、複数の基板Wを収容して、加熱処理時の処理室1内と同等圧力の窒素雰囲気内に保持する。
【0022】
上記熱処理装置で基板Wを加熱処理する際の動作を説明する。
前処理室内に収容された同一種類の複数の基板の内、1枚目の基板Wを搬送ロボットにより取り出して処理室1内に搬送し、基板支持部材2上の所定位置に設置し、この基板Wに対して加熱処理プロセスを実施する。加熱処理プロセスが終了したら基板Wを搬送ロボットにより処理室1外に回収し、2枚目以降の基板に対して同様に搬送および加熱処理プロセスを行なう。
【0023】
処理室1内の加熱処理プロセスとしては、基板表面側空間に成膜ガスを供給し、基板支持部材2を介して基板Wを軸芯廻りに一定速度で回転させる状態において、基板裏面の温度を各パイロメータ13で光学的に検出しながら、その検出値が予め決めた設定温度に一致するようにランプモジュール3の出力を制御して各加熱ランプ12の熱を基板Wに供給することにより、基板Wの表面に成膜する。加熱処理の一例はISSG(In Situ Steam Generation)プロセスなどのウェット酸化プロセス(HおよびOを供給しHOを生成させて酸化膜を生成する)である。所定時間が経過したら、基板Wの回転を停止し、加熱処理プロセスを終了する。
【0024】
図2に、加熱処理プロセスにおける基板温度の経時変化を示す。パイロメータ13による基板温度測定値データを収集したものである。
基板Wを所定位置に設置して処理レシピを開始する時刻tでの基板温度はTである。この基板Wをランプモジュール3を一定出力にして加熱する。一般にパイロメータ13を使用した温度制御系では450℃以下の温度領域の検知感度が充分でないので、ここでも、検出感度を確保できる温度(帯)Tまでは一定出力にて加温する制御方法を用いる。基板温度がTに達したら、その時刻tから所定の時刻tまでTを安定に保持する。
【0025】
時刻t以後は、パイロメータ13の出力をフィードバックして基板温度を管理しつつ加熱する。所定の時刻tに、成膜が開始する温度Tまで到達させる。時刻tから所定の成膜工程時間となる時刻tまでは、基板温度をTに制御しつつ成膜ガスを基板全面に供給する。この成膜工程時間t〜tは従来は処理レシピが同一であれば一定としている。
【0026】
時刻tに、直ちに成膜ガスをパージするとともに熱供給を遮断して、成膜を速やかに停させる。その後の所定の時刻tに基板Wを回収する。
このようにして加熱処理する間に基板に供給される供給熱量について、図3を参照しながら説明する。この図3は図2と同等の基板温度の経時変化を示している。
【0027】
基板への供給熱量は基板温度の変位と加熱処理時間との積(図中では面積)で表わされる。ここでは、時刻tまでは一定出力で昇温させるステップであって基板処理枚数に関わらず一定なので、その間の面積は簡便のために除外し、パイロメータの測定値をフィードバックして基板温度を制御する時刻t以降の面積を用いる。また時刻t以降では基板温度は常にTより高いので、基板温度T以下の面積も簡便のために除外する。
【0028】
つまり、成膜処理開始時刻tから成膜工程時間(t〜t)を経て基板搬出時刻tに至るまでの時間範囲と、成膜処理開始温度Tから成膜温度Tを経て成膜処理終了温度Tに至るまでの温度範囲とで規定される、塗潰した領域の面積Xを基板への供給熱量として算出する。算出法にはたとえば台形面積計算法を用いる。
【0029】
台形面積計算法について、図4に基板温度の経時変化を模式的に示して説明する。
時刻0から一定周期αで基板温度の測定値を収集するとき、時刻tおよび時刻t+αでの測定値をそれぞれA、Bとすると、その間に基板に供給された熱量は図中の塗潰した台形領域で示され、その面積Sは以下の(式1)で算出される。
【0030】
=(A+B)×(t+α−t)/2・・・・(式1)
任意の時刻tまでの面積Xは、測定周期毎に算出される任意の面積(S)´の和として以下の(式2)で算出される。
【0031】
【数1】


図5は、複数の基板について面積Xの値(基板への供給熱量)と膜厚とを調べた結果を示す。面積値と膜厚とは、既述したように比例関係、つまり直線関係にある。
【0032】
本発明の基板加熱方法は、この比例関係を利用して、基板間の膜厚を均一にすべく、以下のようして基板毎に関連付けが可能な形式でデータ収集を行い、基板への供給熱量を一定に制御するものである。
【0033】
なお図5の結果は、パイロメータより出力される基板中心ゾーンの温度データを1.5秒周期で取得して面積Xを算出したものであるが、他ゾーンの出力値を用いてもよく、またデータ取得間隔は1.5秒以下であれば問題ない。昇温時や降温時等の温度変化が発生する期間のみデータ取得間隔を短く設定するようにしても勿論構わない。
(実施例1)
本発明の実施例1の基板加熱方法は、基板温度の測定結果から処理室に蓄積する熱量を評価し、その結果を基に、基板への供給熱量を成膜工程時間の制御により管理するものである。昇温工程、降温工程は一定時間とする。
【0034】
ロット内の1枚目及び2枚目の被処理基板について、成膜温度をT、成膜工程時間をBとする所定の処理レシピで加熱処理を実施する。
その際の成膜処理開始時刻、成膜処理開始温度を基準とした温度プロファイルは図6で示される。1枚目の被処理基板に供給された熱量は破線で囲まれた面積に相当し、その面積値Xは上記(式2)で算出される。2枚目の被処理基板に供給された熱量は実線で囲まれた面積に相当し、その面積値Xも上記(式2)で算出される。以下、基板への供給熱量に相応する面積およびその値を熱面積、熱面積値という。
【0035】
2枚目の被処理基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量ΔSを、2枚目の被処理基板の熱面積値と1枚目の被処理基板の熱面積値との差分に相当するものとして、以下の(式3)で算出する。
【0036】
ΔS=X−X・・・(式3)
3枚目の被処理基板の成膜工程時間Bを以下の(式A)で算出し、算出値を用いて同基板を加熱処理する。即ち、蓄熱量ΔSが温度Tにて蓄積されるのに要する理論上の時間だけ成膜時間を短縮するのである。
【0037】
=B−ΔS/T・・・(式A)
3枚目の被処理基板の熱面積Xを上記(式2)より算出する。3枚目の基板処理時の処理室の蓄熱量ΔSを、3枚目の被処理基板の熱面積値と1枚目の基板の熱面積値との差分に相当するものとして、以下の(式B)で算出する。
【0038】
ΔS=X−X・・・(式B)
4枚目の被処理基板の成膜工程時間Bを上記と同様にして以下の(式C)で算出し、算出値を用いて同基板を加熱処理する。
【0039】
=B−ΔS/T・・・(式C)
つまり、3枚目以降のn枚目の基板については、その成膜工程時間Bを以下の(式D)で算出し、算出値を用いて加熱処理するのである。
【0040】
=B−ΔSn−1/T(ただしn≧3)・・・(式D)
以上の基板加熱方法のシミュレーション結果を図7に示す。横軸は基板処理枚数、左軸は膜厚、右軸は基板間膜厚均一性を示している。図中に記したように、この実施例1の方法によれば、従来法に較べて基板間膜厚のばらつきを約1%改善することができる。なおシミュレーションは、ISSGプロセスでSi基板に対してH、Oを成膜ガスとしてSiOを成膜したものである。以下の実施例でも同様である。
(実施例2)
本発明の実施例2の基板加熱方法は、被処理基板と同数のモニタ基板を用いて処理室に蓄積される熱量を評価し、その結果を基に、基板への供給熱量を成膜工程時間の制御により管理するものである。
【0041】
まず、処理室に蓄積される熱量を評価する。
被処理基板と同数のモニタ基板を用意する。このモニタ基板は、被処理基板と同種の結晶構造を有し、且つ可能であれば同様のパターン形状を有したものとする。
【0042】
ロット内の1枚目および2枚目のモニタ基板を、被処理基板と同一レシピ、つまり成膜温度をT、成膜工程時間をBとする所定の処理レシピで加熱処理する。
実施例1と同様にして、加熱処理時の温度データから、1枚目のモニタ基板の熱面積Xm1および2枚目のモニタ基板の熱面積Xm2を上記(式2)により算出する。
【0043】
2枚目以降のn枚目のモニタ基板の加熱処理時の処理室の蓄熱量ΔSmnを実施例1と同様にして以下の(式F)で算出する。
ΔSmn=Xmn−Xm1(ただしn≧2)・・・(式F)
その後に被処理基板の加熱処理プロセスを開始する。
【0044】
ロット内の1枚目の被処理基板を、処理温度をT、成膜工程時間をBとする所定の処理レシピで加熱処理する。
2枚目以降のn枚目の被処理基板については、その成膜工程時間Bを、n−1枚目のモニタ基板で得た蓄熱量値を用いて実施例1と同様にして以下の(式I)で算出し、算出値を用いて加熱処理する。
【0045】
=B−ΔSmn-1/T(ただしn≧2)・・・(式I)
以上の基板加熱方法によるシミュレーション結果を図8に示す。横軸は基板処理枚数、左軸は膜厚、右軸は基板間膜厚均一性を示している。図中に記したように、この実施例2の方法によれば、従来法に較べて基板間膜厚のばらつきを約2.4%改善することができる。
(実施例3)
本発明の実施例3の基板加熱方法は、少なくとも2枚のモニタ基板を加熱処理して、処理室に蓄積される熱量を推測し、平均化し、その結果を基に、基板への供給熱量を成膜処理時間の制御により管理するものである。
【0046】
少なくとも2枚のモニタ基板を用意する。このモニタ基板は、被処理基板と同種の結晶構造を有し、且つ可能であれば同様のパターン形状を有したものとする。
ロット内の1枚目および2枚目のモニタ基板を、被処理基板と同一レシピ、つまり成膜温度をT、成膜工程時間をBとする所定の処理レシピで加熱処理する。
【0047】
2枚目以降のn枚目のモニタ基板の加熱処理時の処理室の蓄熱量ΔSmnを実施例2と同様にして以下の(式F)で算出する。
ΔSmn=Xmn−Xm1(ただしn≧2)・・・(式F)
次に、蓄熱量ΔSmnの値からモニタ基板1枚当りの平均蓄熱量ΔSavを以下の(式4)で算出する。
【0048】
ΔSav=ΔSmn/(n−1)(但しn≧2)・・・(式4)
さらに、平均蓄熱量ΔSavの値から単位基板当りの成膜工程短縮時間Δtを以下の(式5)で算出する。
【0049】
Δt=ΔSav/T・・・(式5)
その後に、被処理基板の加熱処理プロセスを開始する。
図9に示すように、ロット内の1枚目の被処理基板を、処理温度をT、成膜工程時間をBとする所定の処理レシピで加熱処理する。その際に被処理基板に供給される熱量は、図中の塗潰した領域に相応するものとなる(温度積分値A:熱面積)。
【0050】
2枚目以降のn枚目の被処理基板については、その成膜工程時間Bを、所定の成膜工程時間Bとモニタ基板により求めた短縮時間Δtとを用いて以下の式(式7)で算出し、算出値を用いて加熱処理する。
【0051】
=B−(n−1)Δt(但しn≧2)・・・(式7)
その際に被処理基板に供給される熱量は、図中の塗潰した領域に相応するものとなる(温度積分値A,A・・・)。
【0052】
実施例2よりも簡便でありながら、1枚目からn枚目の被処理基板に供給される熱量を一定に制御できる方法である。
なお従来技術でも問題とされているように、1枚目の基板と2枚目の基板との間で膜厚変動が大きいので、2枚目の被処理基板の成膜工程時間Bはモニタ基板によって実測された結果を基に算出し、3枚目以降の被処理基板の成膜工程時間Bnは(式5)より算出される短縮時間Δtを用いて簡便に算出するようにしてもよい。
【0053】
つまり、2枚目の成膜工程時間B2は上記(式G)で算出し、3枚目以降の成膜工程時間Bは以下の(式J)で算出することになる。
=B−(n−2)Δt(但しn≧3)・・・(式J)
3枚目以降の被処理基板についてのみ短縮時間Δtを用いる基板加熱方法によるシミュレーション結果を図10に示す。横軸は基板処理枚数、左軸は膜厚、右軸は基板間膜厚均一性を示している。図中にも記したように、この実施例3の方法によれば、基板間の膜厚ばらつきは1枚目の基板の膜厚を基準として±0.2%以内であり、従来法では±2.4%であるのに較べて、1/10以下に改善されている。
(実施例4)
本発明の実施例4の基板加熱方法は、基板への供給熱量を、処理室に蓄積する熱量を一定に制御することにより、具体的には処理室の冷媒路(図1参照)に流す冷却水流量を制御することにより、管理するものである。
【0054】
実施例3と同様にして、モニタ基板を用いて2枚目以降のn枚目の基板の加熱処理時に処理室に蓄積する蓄熱量ΔSmnを以下の(式F)で算出し、基板1枚当りの平均蓄熱量ΔSavを以下の(式4)で算出する。
【0055】
ΔSmn=Xmn−Xm1(ただしn≧2)・・・(式F)
ΔSav=ΔSmn/(n−1)(但しn≧2)・・・(式4)
ここで、被処理基板1枚当たりに処理室に蓄積する熱量が0となる冷却水流量をFとし、平均蓄熱量がΔSavとなる冷却水流量をFとすると、以下の(式8)で表わされる関係にある。
【0056】
F−F=ΔSav・・・(式8)
被処理基板を加熱処理するにあたって、ロット内の1枚目と2枚目の基板については冷却水流量をFとして加熱処理を実施する。この場合の2枚目の基板の加熱処理時の処理室の蓄熱量は、2枚目の基板の熱面積値Xと1枚目の基板の熱面積値Xとの差分となる。
【0057】
従って、3枚目の被処理基板の加熱処理時の冷却水流量をFとすると、上記(式8)を用いて、以下の式で算出される。
=(X−X)/ΔSav+F・・・(式9)
つまり、3枚目以降のn枚目の冷却水流量Fは以下の(式10)で算出される。算出値を用いて加熱処理する。
【0058】
=(Xn−1−X)/ΔSav+F・・・(式10)
更に基板温度制御で処理室の蓄熱量を制御する場合は、成膜工程と降温工程との間に一定温度で保持するステップを加え、基板温度と時間積分により得られる面積値を調整する事で可能となる。即ちn枚の基板からなるロットに対しては、1枚目の保持ステップの面積値は(n−1)ΔSavとなるように保持温度若しくはステップ時間を制御する工程を設ける。
【0059】
図11に保持温度Tで固定した場合の基板処理枚数と保持ステップ中の熱面積及び基板温度のダイアグラムを示す。基板1枚当たりの保持ステップ工程の熱面積をΔSavずつ減少させるように保持時間を逐次短縮している。降温工程の終了時の基板温度は、1枚目の基板でTE1とすると、2枚目の基板でTE2、・・・n枚目の基板でTEnというように、処理枚数の増加に伴って上昇する(降温曲線の傾きが変化する)ことになる。
【0060】
以上のような第4の基板加熱方法によっても、つまり処理室の蓄熱量を制御することによって、基板間膜厚均一性を向上させることが可能である。したがって基板特性を安定させて常に均質な製品を供給する事ができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の基板加熱方法は、処理室の蓄熱に起因する基板間の膜厚変動を抑えることができ、半導体製造における酸化膜形成工程(枚葉式RTP装置)や熱CVD工程、さらには液晶パネル製造の薄膜形成工程等にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の基板加熱方法に用いる従来よりある熱処理装置の概略構成を示す断面図
【図2】本発明および従来の基板加熱方法における基板温度の経時変化を示すグラフ
【図3】本発明の基板加熱方法に用いる、基板への供給熱量の算出法の説明図
【図4】基板への供給熱量の算出に用いる台形面積計算法の説明図
【図5】基板への供給熱量に相当する面積値と膜厚との相関図
【図6】本発明の基板加熱方法に用いる、2枚の基板への供給熱量の差分を示す説明図
【図7】本発明の実施例1の基板加熱方法によるシミュレーション結果
【図8】本発明の実施例2の基板加熱方法によるシミュレーション結果
【図9】本発明の実施例3の基板加熱方法の説明図
【図10】本発明の実施例3の基板加熱方法によるシミュレーション結果
【図11】本発明の実施例4の基板加熱方法の説明図
【図12】従来の基板加熱方法による基板処理枚数と膜厚との相関図
【図13】従来の基板加熱方法の説明図
【符号の説明】
【0063】
1 処理室
2 基板支持部材
3 ランプモジュール
4 温度センサ
8 冷却水路
W 基板




 

 


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