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発明の名称 非水電解質二次電池および電池モジュール
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−12598(P2007−12598A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2006−139471(P2006−139471)
出願日 平成18年5月18日(2006.5.18)
代理人 【識別番号】100072431
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 和郎
発明者 一ノ瀬 浩明 / 永山 雅敏
要約 課題
電池ケースの寸法変化が許されない環境下においても、電極群から非水電解質が搾り出されることを回避できる、信頼性の高い非水電解質二次電池を提供する。

解決手段
電極群、非水電解質、ならびに電極群および非水電解質を収容する略直方体の電池ケース4を具備し、電池ケースの厚さα、幅β、および高さγが、α<β≦γを満たす非水電解質二次電池であって、電極群は、正極1、負極2、およびこれらの間に配置された多孔質耐熱層3を含み、正極は、正極活物質層を含み、負極は、負極活物質層を含み、電池の理論容量に対する、多孔質耐熱層の所定領域に含まれる空孔体積の比が、0.18〜1.117ml/Ahであり、前記所定領域は、正極活物質層の面積と同じ面積を有し、多孔質耐熱層の空孔率が、35〜85%である、非水電解質二次電池。
特許請求の範囲
【請求項1】
電極群、非水電解質、ならびに前記電極群および前記非水電解質を収容する略直方体の電池ケースを具備し、前記電池ケースの厚さα、幅β、および高さγが、α<β≦γを満たす非水電解質二次電池であって、
前記電極群は、正極、負極、および前記正極と前記負極との間に配置された多孔質耐熱層を含み、
前記正極は、正極活物質層を含み、前記負極は、負極活物質層を含み、
電池の理論容量に対する、前記多孔質耐熱層の所定領域に含まれる空孔体積の比が、
0.18〜1.117ml/Ahであり、前記所定領域は、前記正極活物質層の面積と同じ面積を有し、
前記多孔質耐熱層の空孔率が、35〜85%である、非水電解質二次電池。
【請求項2】
前記正極と前記負極との間に配置された、樹脂からなるセパレータをさらに含む、請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項3】
前記セパレータの厚みAに対する前記多孔質耐熱層の厚みBの比:B/Aが、
0.35〜2である、請求項2記載の非水電解質二次電池。
【請求項4】
前記多孔質耐熱層が、前記正極および前記負極よりなる群から選ばれた少なくとも一方の電極の活物質層に接着している、請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項5】
前記多孔質耐熱層が、絶縁性フィラーおよび結着剤を含む、請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項6】
前記絶縁性フィラーが、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニアおよびジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5記載の非水電解質二次電池。
【請求項7】
前記絶縁性フィラーのメディアン径が、0.3〜4μmである、請求項5記載の非水電解質二次電池。
【請求項8】
前記結着剤が、ポリフッ化ビニリデンおよびアクリルゴムよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5記載の非水電解質二次電池。
【請求項9】
前記結着剤の量が、前記絶縁性フィラー100重量部あたり0.3〜8.5重量部である、請求項5記載の非水電解質二次電池。
【請求項10】
前記多孔質耐熱層が、前記正極または前記負極のいずれか一方の電極の活物質層に接着しており、前記多孔質耐熱層が接着していない他方の電極の活物質層の表面粗さが、前記多孔質耐熱層の表面粗さより大きい、請求項1記載の非水電解質二次電池。
【請求項11】
(a)請求項1記載の非水電解質二次電池が、少なくとも厚さ方向に、少なくとも2つ積層された積層物、
(b)前記積層物の前記電池の厚さ方向における2つの端面の各々に配置されたエンドプレート、ならびに
(c)2つの前記エンドプレートを連結して、複数の前記非水電解質二次電池を拘束する少なくとも2つの架橋体
を備える電池モジュール。
【請求項12】
前記電池の電池ケースの厚みαに対する前記エンドプレートの厚みYの比:Y/αが、0.4〜2である、請求項11記載の電池モジュール。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質二次電池およびこれを用いる電池モジュールに関し、より詳しくは、電極群のサイズの変化が抑制される場合でも、電極群が十分な量の非水電解質を保持することができる非水電解質二次電池およびこれを用いる電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池は、高い作動電圧と高エネルギー密度を有する。このため、近年、携帯電話、ノート型パソコン、ビデオカムコーダーなどのポータブル電子機器の駆動用電源のみならず、電動工具用や電気自動車用などの高出力への対応が求められる電源として、リチウムイオン二次電池の展開が加速している。特に、ハイブリッド電気自動車(HEV)に用いられる市販のニッケル水素蓄電池に代わる電源として、高容量のリチウムイオン二次電池の開発が活発に行われている。
【0003】
HEV用の電源は、小型民生用の電源と比較して、高容量であることが必要とされる。サイズが小さくても、高容量が得られるため、略直方体の形状を有する電池を複数個積層した電池モジュールをHEV用の電源として用いることが望ましい。
【0004】
一方、このような電池モジュールにおいて、特にその中央部に配置された電池は、モジュール寸法を保持するための拘束力の影響を受けやすい。前記のような影響を受けると、例えば、ポリオレフィンのような樹脂からなる微多孔質フィルムをセパレータとして用いる非水電解質二次電池においては、加圧により、セパレータから非水電解質が容易に搾り出される。実際、樹脂製のセパレータを用いる略直方体形のリチウムイオン二次電池は、樹脂でモールドされると、モールドした樹脂の拘束力によって、セパレータから非水電解質が搾り出される。その結果、セパレータにおいて、イオン伝導性が消失し、電池特性が低下する。
【0005】
そこで、従来の樹脂製セパレータの代わりに、シリカなどの絶縁性フィラーと、ポリフッ化ビニリデンなどの結着剤とからなる、剛性の高い多孔質耐熱層を用いることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−106530号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
電池モジュールにおいて、数十セルの略直方体形の非水電解質二次電池が拘束されることが多い。充電時には、電極が膨張するため、電池ケースも膨張しようとする。しかしながら、電池モジュールにおいては、全電池が拘束されているため、各電池は自由に変形することができず、電池ケースの変形に伴って生じる力が、モジュールの中央部に集中しやすくなる。よって、モジュールの中央に配置された電池には、電池の厚さ方向の端面において、充電時に最大100kgf/cm2(平均20kgf/cm2)の荷重がかかる。
【0007】
このような過酷な環境下では、本発明者らの実験により、特開平10−106530号公報に開示される技術を用いただけでは、その多孔質耐熱層における非水電解質の枯渇が解消されないことがわかった。
【0008】
本発明は、上記問題を鑑みてなされたものであり、電池ケースの寸法変化が許されない環境下においても、電極群から非水電解質が搾り出されることを回避できる、信頼性の高い非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、電極群、非水電解質、およびこれらを収容する略直方体の電池ケースを具備し、電池ケースの厚さα、幅β、および高さγが、α<β≦γを満たし、電極群は、正極、負極、および正極と負極との間に配置された多孔質耐熱層を含み、正極は、正極活物質層を含み、負極は、負極活物質層を含み、電池の理論容量に対する、多孔質耐熱層の所定領域に含まれる空孔体積の比が、0.18〜1.117ml/Ahであり、多孔質耐熱層の空孔率が、35〜85%である、非水電解質二次電池に関する。前記所定領域は、正極活物質層の面積と同じ面積を有する。
【0010】
前記非水電解質二次電池は、正極と負極との間に配置された、樹脂からなるセパレータをさらに含むことが好ましい。このとき、セパレータの厚みAに対する多孔質耐熱層の厚みBの比:B/Aは、0.35〜2であることがさらに好ましい。
【0011】
前記多孔質耐熱層は、正極および負極よりなる群から選ばれた少なくとも一方の電極の活物質層に接着していることが好ましい。
多孔質耐熱層は、絶縁性フィラーおよび結着剤を含むことが好ましい。絶縁性フィラーは、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニアおよびジルコニアよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、絶縁性フィラーのメディアン径は、0.3〜4μmであることが好ましい。
【0012】
結着剤は、ポリフッ化ビニリデンおよび変性アクリルゴムよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、結着剤の量は、絶縁性フィラー100重量部あたり0.3〜8.5重量部であることが好ましい。
【0013】
多孔質耐熱層が正極または負極のいずれか一方の電極の活物質層に接着している場合、多孔質耐熱層が接着していない他方の電極の活物質層の表面粗さが、多孔質耐熱層の表面粗さより大きいことがさらに好ましい。
【0014】
また、本発明は、(a)上記非水電解質二次電池が、少なくとも厚さ方向に、少なくとも2つ積層された積層物、(b)積層物の前記電池の厚さ方向における2つの端面の各々に配置されたエンドプレート、ならびに(c)2つのエンドプレートを連結して、複数の非水電解質二次電池を拘束する少なくとも2つの架橋体を備える電池モジュールに関する。
上記電池の電池ケースの厚みαに対するエンドプレートの厚みYの比:Y/αは、0.4〜2であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明においては、電池の理論容量に対する、多孔質耐熱層の所定領域に含まれる空孔体積の比を、0.18〜1.117ml/Ahとし、多孔質耐熱層の空孔率を、35〜85%としている。これにより、電池の使用時において、電池の厚さ方向における端面に、17〜100kgf/cm2の荷重がかけられた状態でも、多孔質耐熱層は、その形状を保持することができる。さらに、電極群の変形が抑制されることによって発生する力(例えば、電池モジュール化に伴う寸法規制)が、電池にかけられたとしても、多孔質耐熱層は、電池として機能できる量の非水電解質を保持することができる。このため、非水電解質二次電池の寸法変化を規制しても、寿命特性を良好にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
実施の形態1
図1に、本発明の一実施形態にかかる非水電解質二次電池の概略図を示す。
図1の電池は、正極1および負極2を含む電極群、非水電解質(図示せず)、およびこれらを収容する電池ケース4を含む。正極1と負極2の間には、多孔質耐熱層3が配置されている。電池ケース4の形状は、図2に示されるように、略直方体形である。電池ケース4(つまり、非水電解質二次電池)の厚さα、幅βおよび高さγは、α<β≦γを満たす。なお、図2には、電池ケースの形状のみが示されており、正極端子、負極端子等は示されていない。
【0017】
正極1は、活物質、結着剤および導電剤を含む正極活物質層を具備する。正極活物質としては、例えば、LiMO2(Mは、Co、Ni、Mn、AlおよびMgよりなる群から選ばれる少なくとも1種など)や、LiMn24を用いることができる。
【0018】
正極結着剤は、特に限定されず、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、および粒子状の変性アクリルゴム(ポリアクリル酸系)(日本ゼオン(株)製のBM−500(商品名))を用いることができる。なお、ポリテトラフルオロエチレンや粒子状の変性アクリルゴムは、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシドおよび正極活物質層を作製するときに用いられる溶媒に可溶の変性アクリルゴム(ポリアクリロニトリル系)(日本ゼオン(株)製のBM−720H(商品名))などの増粘剤と組み合わせて用いることが好ましい。
正極活物質層に含まれる正極結着剤の量は、正極活物質100重量部あたり、1〜8重量部であることが好ましい。増粘剤が含まれる場合、増粘剤の添加量は、正極活物質100重量部あたり、1〜4重量部であることが好ましい。
【0019】
正極導電剤としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、および各種黒鉛を用いることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質層に含まれる正極導電剤の量は、正極活物質100重量部あたり、1.5〜8重量部であることが好ましい。
【0020】
また、正極1は、正極集電体とその上に担持された正極活物質層とから構成されてもよい。正極集電体は、例えば、アルミニウムなどの金属箔であることが好ましい。
【0021】
負極2は、活物質および結着剤を含む負極活物質層を具備する。負極活物質としては、各種天然黒鉛、各種人造黒鉛、シリコン含有複合材料、各種合金材料を用いることができる。
【0022】
負極結着剤としては、例えば、スチレン単位およびブタジエン単位を含むゴム性状高分子が用いられる。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体のアクリル酸変性体などを用いることができるが、これらに限定されない。
負極結着剤は、水溶性高分子からなる増粘剤と組み合わせて用いることが好ましい。水溶性高分子としては、セルロース系樹脂が好ましく、特にカルボキシメチルセルロースが好ましい。
負極活物質層に含まれる負極結着剤の量は、負極活物質100重量部あたり、0.1〜5重量部であることが好ましい。増粘剤が含まれる場合、増粘剤の添加量は、負極活物質100重量部あたり、0.1〜5重量部であることが好ましい。
【0023】
また、負極2も、負極集電体とその上に担持された負極活物質層とから構成されてもよい。負極集電体は、例えば、銅などの金属箔であることが好ましい。
【0024】
電極群は、積層型であってもよいし、捲回型であってもよい。積層型の電極群は、例えば、矩形の正極1および矩形の負極2を、多孔質耐熱層を介して積層することにより、作製することができる。捲回型の電極群は、シート状の正極1、シート状の負極2、およびこれらの間に配置された多孔質耐熱層を、その横断面が略矩形状となるように、捲回することにより、作製することができる。
【0025】
非水電解質は、非水溶媒と、それに溶解した溶質を含む。非水溶媒としては、特に限定されないが、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどを用いることができる。これらは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶質としては、例えば、LiPF6、LiBF4などのリチウム塩を用いることが好ましい。
また、非水電解質は、ビニレンカーボネート、シクロヘキシルベンゼン、またはこれらの誘導体を含んでいてもよい。非水電解質が、このような溶媒を含むことにより、正極および/あるいは負極の活物質表面に、その溶媒に由来する皮膜を形成される。このような被膜が形成されることにより、例えば、過充電時の電池の安定性を確保することが可能となる。
【0026】
本発明において、多孔質耐熱層3の空孔率は、35〜85%である。多孔質耐熱層3のイオン伝導性を高めるためには、その空孔率を高くする必要がある。しかし、空孔率が過剰な場合、多孔質耐熱層3の強度が低下する。多孔質耐熱層3の空孔率を上記範囲とすることにより、多孔質耐熱層3のイオン伝導性を高めつつ、多孔質耐熱層の強度を高いレベルに維持することができる。なお、多孔質耐熱層3の空孔率は、例えば、絶縁性フィラーのメディアン径を変化させること、乾燥条件を変化させることにより、調整することができる。例えば、乾燥温度を高くするか、または熱風の風量を多くすることにより、多孔質耐熱層の空孔率を高くすることができる。
【0027】
また、電池の理論容量Cに対する、多孔質耐熱層の所定の領域に含まれる空孔体積Vの比:V/Cは、0.18〜1.117ml/Ahである。ここで、多孔質耐熱層の所定の領域は、正極活物質層の面積と同じ面積を有する。例えば、空孔体積Vは、正極活物質層と接する面の面積が正極活物質層の面積と同じである多孔質耐熱層の一部分に含まれる空孔の体積である。正極活物質層の面積とは、正極活物質層の正極集電体と接する面と反対側の面の面積をいう。
電池内に、複数の多孔質耐熱層が含まれる場合、各多孔質耐熱層の所定の領域に含まれる空孔体積の合計が、空孔体積Vとなる。
例えば、一方の電極の両面に多孔質耐熱層を設ける場合、電極の両面に設けられた多孔質耐熱層の所定の領域に含まれる空孔体積の合計が、空孔体積Vとなる。多孔質耐熱層1つあたりの空孔体積は、V/2となる。なお、比(V/2)/Cは、0.0889〜0.57ml/Ahであることが好ましい。
【0028】
電池の理論容量Cに対する空孔体積Vの比を、0.18〜1.117ml/Ahとすることにより、多孔質耐熱層内における非水電解質の分布が適正化され、電池特性を高いレベルに維持できる。一方、多孔質耐熱層3の空孔体積が、1.117ml/Ahよりも大きくなると、多孔質耐熱層において、非水電解質が満たされていない空孔が多く占めるようになり、電池特性が低下する。多孔質耐熱層3の空孔体積が、0.18ml/Ahより小さくなると、充電時に電池の厚さ方向の端面に荷重がかかった場合に、電池として機能するだけの量の非水電解質を保持できなくなる。
【0029】
多孔質耐熱層の厚さは、2〜20μmであることが好ましい。多孔質耐熱層の厚さが、2μm未満であると、正極を薄くしない限り、比V/Cが上記好適範囲に入らない。このため、電池の単位体積当りの理論容量が過度に小さくなる。多孔質耐熱層の厚さが20μmを超えると、正極を厚くしない限り、比V/Cが好適範囲に入らない。このため、高出力が得られない。
【0030】
以上のように、比V/Cを上記範囲に調節することにより、電池の使用時において、電池の厚さ方向における端面(面積β×γ)に、17〜100kgf/cm2の荷重がかけられた状態でも、多孔質耐熱層は、その形状を保持することができる。さらに、電極群の変形が抑制されることによって発生する力(例えば、電池モジュール化に伴う寸法規制)が、電池にかけられたとしても、多孔質耐熱層は、電池として機能できる量の非水電解質を保持することができる。
つまり、本発明で用いられる多孔質耐熱層は、非水電解質を吸収し得る孔を多く有するとともに、剛性が高い。よって、この多孔質耐熱層は、十分な量の非水電解質を保持できるとともに、充電時における電極群の変形を抑制する力に対する耐久性を有する。このため、上記多孔質耐熱層を含む電池に荷重がかかった場合でも、多孔質耐熱層から非水電解質が搾り出されることを抑制することができる。従って、非水電解質二次電池の寸法変化を規制しても、寿命特性を良好にすることができる。特に、この効果は、少ないスペースに多数を配置する略直方体の非水電解質二次電池において、顕著となる。
従って、本発明の非水電解質二次電池は、高い寸法精度が要求されるHEV用の電源などとして用いた場合でも、良好な寿命特性および高い信頼性を維持することができる。
【0031】
多孔質耐熱層の空孔率は、例えば、多孔質耐熱層の厚さ、絶縁性フィラーおよび結着剤の真比重、絶縁性フィラーと結着剤との重量比などを用いて求めることができる。また、多孔質耐熱層の厚さは、例えば、多孔質耐熱層を切断し、その切断面での厚さを、電子顕微鏡により、10カ所ほど測定する。その測定値を平均した値を、多孔質耐熱層の厚さとすることができる。
また、多孔質耐熱層の空孔体積Vは、正極活物質層の面積と同じ面積を有する多孔質耐熱層の体積に、空孔率を乗じることにより求めることができる。
【0032】
多孔質耐熱層は、正極および負極よりなる群から選ばれる少なくとも一方の電極の上、例えば、活物質層上に接着することが好ましい。多孔質耐熱層を、電極の上に接着することにより、多孔質耐熱層の構造的強度を高いレベルに維持することができる。なお、通常の二次電池の電池容量は、正極により規制されている。つまり、正極活物質層のサイズより負極活物質層のサイズを大きくしている。このような場合は、少なくとも負極活物質層上に多孔質耐熱層を接着するのが、正極と負極との短絡を防止する観点から好ましい。
【0033】
多孔質耐熱層は、主材料である絶縁性フィラーと、これらを結着する結着剤とから構成されていてもよい。また、多孔質耐熱層は、高耐熱性樹脂からなる多孔質のシートであってもよい。ここで、高耐熱性樹脂としては、例えば、溶融温度が250℃以上のアラミドおよびポリアミドイミドが挙げられる。
絶縁性フィラーの構成材料としては、例えば、耐熱性樹脂および無機酸化物が挙げられる。絶縁性フィラーが無機酸化物からなる場合、絶縁性フィラーは、アルミナ、シリカ、マグネシア、チタニアおよびジルコニアよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの無機酸化物は、熱伝導性や電気化学的な安定性が高いからである。なお、絶縁性フィラーが耐熱性樹脂からなる場合、絶縁性フィラーとしては、例えば、耐熱性樹脂からなるビーズを用いることができる。
【0034】
絶縁性フィラーとしては、種々の形状のものを用いることができる。ただし、絶縁性フィラーのメディアン径は、0.3〜4μmであることが好ましい。絶縁性フィラーおよび結着剤を用いて多孔質耐熱層を構成する場合、絶縁性フィラー間に形成される隙間がイオンの通り道となる細孔として機能する。絶縁性フィラーのメディアン径が過度に小さい場合、絶縁性フィラーが緻密に充填されすぎて、多孔質耐熱層内における空孔体積が小さくなる。一方、絶縁性フィラーのメディアン径が過度に大きい場合、充填度合が粗くなるので、多孔質耐熱層の強度を高くすることができない。よって、絶縁性フィラーのメディアン径を0.3〜4μmとすることにより、適度な空孔体積を有するとともに、強度が高い多孔質耐熱層を形成することができる。
【0035】
多孔質耐熱層に含まれる結着剤は、ポリフッ化ビニリデンおよびアクリルゴムよりなる群から選ばれた少なくとも1種を含むことが好ましい。一般に、結着剤は、電池構成後に、非水電解質を吸収して膨潤する。このため、結着剤の添加量は、少ない方がよい。上記ポリフッ化ビニリデンおよびアクリルゴムは、少量でも結着効果を示すため、その添加量を少なくすることができる。
アクリルゴムとして、例えば、粒子状の変性アクリルゴム(日本ゼオン(株)製のBM−500B(商品名))、および多孔質耐熱層を作製するためのペーストに用いられる溶媒に可溶な変性アクリルゴム(日本ゼオン(株)製のBM−720H(商品名))が挙げられる。
結着剤としてポリフッ化ビニリデンを用いる場合、多孔質耐熱層を作製するためのペーストに適度な粘度を付与することができる。このため、均質な多孔質耐熱層を形成させることが可能となる。なお、上記粒子状の変性アクリルゴムは、増粘性のある結着剤、具体的には、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、上記溶媒に可溶な変性アクリルゴムなどと組み合わせて用いることが好ましい。
【0036】
多孔質耐熱層に含まれる結着剤の量は、絶縁性フィラー100重量部あたり0.3〜8.5重量部であることが好ましい。上記のように、結着剤は、電池構成後に非水電解質を吸収して膨潤し、その結果、多孔質耐熱層内の空孔の径が小さくなる。このため、多孔質耐熱層のイオン伝導性が低下することがある。よって、結着剤の添加量は少ないほどよいが、その量が顕著に少ないと、多孔質耐熱層の強度が低下する。結着剤の量を、上記範囲とすることにより、適度なイオン伝導性を有し、強度が高い多孔質耐熱層を得ることができる。
【0037】
次に、絶縁性フィラーおよび結着剤を含む多孔質耐熱層の作製方法を説明する。
まず、絶縁性フィラーと結着剤とを、所定の分散媒または溶媒と混合する。得られた混合物を、例えば、双椀式練合機などを用いて攪拌して、ペーストを得る。このペーストを、ドクターブレードやダイコートなどの方法で、電極の上や、形成された多孔質耐熱層が剥離しやすい金属板の上に塗布し、遠赤外線や熱風で乾燥する。こうして、多孔質耐熱層を形成することができる。
【0038】
多孔質耐熱層が、正極または負極のいずれか一方の電極の活物質層上に接着されている場合、多孔質耐熱層が接着されていない他方の電極の活物質層の表面粗さは、多孔質耐熱層の表面粗さより大きいことが好ましい。このとき、多孔質耐熱層の表面粗さRa1と、多孔質耐熱層が接着されていない他方の電極の活物質層の表面粗さRa2との比は、1:2〜1:8であることが好ましい。多孔質耐熱層は、剛性が高いが、脆い。このため、電池の落下などにより、多孔質耐熱層が破損したり、正極と負極との相対的な位置がずれたりすることがある。一方で、活物質層の表面粗さを大きくすることにより、アンカー効果によって、多孔質耐熱層が、多孔質耐熱層が接着していない活物質層に対して、食い込むことができる。このため、落下などの不具合に対する電池の耐久性を向上させることができる。
【0039】
また、図3に示されるように、正極1と負極2との間には、多孔質耐熱層3の他に、樹脂からなるセパレータ5が配置されていてもよい。なお、図3において、多孔質耐熱層3は、負極2の上に形成されている。図3において、図1と同じ構成要素には、同じ番号を付している。
正極と負極との間に、樹脂からなるセパレータをさらに配置することにより、剛性は高いが脆い多孔質耐熱層がセパレータにより保護される。このため、電極からの多孔質耐熱層の剥がれなどの不具合に対する耐久性を向上させることができる。さらには、多孔質耐熱層が剥がれた場合でも、樹脂からなるセパレータが正極と負極との間に配置されていることにより、正極と負極との短絡を防止することができる。
【0040】
セパレータ5は、200℃以下の融点を有する樹脂からなる微多孔質フィルムであることが望ましい。中でも、セパレータを構成する材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの混合物、またはエチレン単位およびプロピレン単位を含む共重合体であることがより好ましい。セパレータ5は、フィラーなどを含んでもよい。また、樹脂成分は、セパレータの50〜100重量%であることが好ましい。
【0041】
セパレータ5が上記のような材料から構成されることにより、電池が外部短絡した場合に、その外部短絡によって発生した熱により、セパレータ5が溶融して、セパレータに存在する細孔を消失させることができる。これにより、電池の抵抗を高くし、短絡電流を小さくすることができる。よって、電池が外部短絡した場合でも、電池が発熱して、高温になることを防ぐことが可能となる。
【0042】
電池がセパレータをさらに含む場合、セパレータの厚みAに対する、多孔質耐熱層の厚みBの比:B/Aは、0.35〜2であることが好ましい。ここで、多孔質耐熱層の厚みBとは、多孔質耐熱層1つあたりの厚みのことである。
【0043】
電池ケースの寸法変化を規制した場合、セパレータは非水電解質を保持する能力を十分に発揮できない。このため、セパレータが多孔質耐熱層に対して過剰に厚いと、セパレータは電池反応の単なる抵抗成分となる。一方で、比B/Aが2よりも大きくなると、上記のような効果が発揮されにくくなる。よって、比B/Aを上記範囲とすることにより、電池反応の抵抗を低減しつつ、多孔質耐熱層の剥がれ等を防止することができる。
セパレータ5の厚みは、イオン伝導性を確保しつつエネルギー密度を維持する観点から、10〜40μmであることが好ましい。
【0044】
電池ケースを構成する材料は、金属材料であってもよいし、ラミネートフィルムであってもよい。金属材料としては、例えば、鉄およびアルミニウムが挙げられる。電池ケースが前記金属材料を含む金属板から構成される場合、金属板の厚さは、100μm〜500μmであることが好ましい。電池ケースが鉄からなる場合は、電池ケースの内部は、ニッケルメッキされていることが好ましい。
ラミネートフィルムとしては、例えば、ポリアミド層、アルミニウム層およびポリエチレン層の三層からなるフィルムが挙げられる。ラミネートフィルムの厚さは、50μm〜200μmであることが好ましい。
【0045】
実施の形態2
次に、図4〜7を参照しながら、複数の本発明の非水電解質二次電池から構成される電池モジュールについて説明する。
本発明の電池モジュールは、(a)上記非水電解質二次電池が、少なくとも厚さ方向に、少なくとも2つ積層された積層物、(b)その積層物の前記電池の厚さ方向における2つの端面の各々に配置されたエンドプレート、および(c)2つのエンドプレートを連結して、複数の前記電池を拘束する少なくとも2つの架橋体を備える。
例として、図4に、上記非水電解質二次電池が、その厚さ方向に積層された電池モジュールを示す。
【0046】
図4の電池モジュール40は、複数の上記非水電解質二次電池41が、その厚さ方向に積層された積層物42を備える。
積層物42の電池の厚さ方向の2つの端面には、それぞれ、エンドプレート44および45が配置されている。エンドプレート44と45は、4つの架橋体46により連結されている。図4において、2つの架橋体は、電池の幅方向における積層物の端面の一方に接している。もう2本の架橋体(図示せず)は、その反対側の端面に接している。架橋体の数は、その2つの端面において、それぞれ1本ずつでもよい。また、架橋体を積層物のエンドプレートが配置されていない4つの面の各々に、少なくとも1つの架橋体を配して、2つのエンドプレートを連結してもよい。
【0047】
各電池41は、連結端子43により、直列に接続されている。なお、図4においても、電池41に設けられた正極端子および負極端子は示されていない。なお、電池ケースが、ラミネートシートなどの絶縁物から構成される場合、これらの端子は、電池ケースから絶縁する必要はない。
【0048】
従来の非水電解質二次電池を用いて、上記のような電池モジュールを構成した場合、繰返し充放電を行うことにより、電池モジュールの中央に配置された電池の電極群から非水電解質が搾り出されやすくなる。このため、その電池モジュールの中央に配置された電池は劣化が著しくなり、電池モジュール内の電池の電池特性がばらつくことになる。各電池の電池特性がばらつくと、電池モジュールの寿命特性が急激に低下する。一方で、本発明の非水電解質二次電池においては、圧力がかけられた状態でも、多孔質耐熱層が非水電解質を十分に保持できる。このため、本発明の非水電解質二次電池を用いる電池モジュールは、従来の非水電解質二次電池を用いた電池モジュールとは異なり、寿命特性の急激な低下を回避することができる。
【0049】
非水電解質二次電池の厚み、つまり電池ケースの厚みαに対するエンドプレートの厚みYの比:Y/αは、0.4〜2であることが好ましい。エンドプレートの厚みは、電極群の変形を抑制する力と比例しており、エンドプレートが厚いほど、電極群を所定の寸法に保つことが容易になる。しかし、エンドプレートが過度に薄いと、電極群を所定の寸法に保つことができなくなることがある。エンドプレートが過度に厚い場合には、電極群の変形による歪みを、積層された非水電解質二次電池間で相互に緩和することさえできなくなる。よって、電池の厚みαに対するエンドプレートの厚みYの比:Y/αを上記範囲とすることにより、電池モジュールを、所定の寸法に保ちつつ、非水電解質二次電池間で、電極群の変形による歪みを緩和することが可能となる。
【0050】
エンドプレート44および45、ならびに架橋体46を構成する材料としては、強度や耐久性の観点から、アルミニウム、アルミニウム合金、鋼あるいはステンレス鋼などの金属を用いることが好ましい。電池モジュールにおいて、エンドプレートを構成する材料と架橋体を構成する材料とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
エンドプレートへの架橋体の連結は、ネジ止めによって行ってもよいし、溶接によって行ってもよい。
【0051】
電池モジュールに含まれる積層物においては、図5に示すように、上記非水電解質二次電池は、その厚さ方向だけでなく、その幅方向にも積層されていてもよい。
図5の電池モジュール50は、上記非水電解質二次電池51が、その幅方向および厚さ方向に積層された積層物52を備える。上記と同様に、各電池51は、連結端子53により、直列に接続されている。
積層物52の電池の厚さα方向の2つの端面には、それぞれ、エンドプレート54および55が配置されている。また、4本の架橋体56が、図4の電池モジュールと同様に配置されている。
【0052】
さらに、積層物52において、上記非水電解質電池が、その厚さ方向だけでなく、幅方向にも配置される場合、図6や図7に示されるように、2つのエンドプレートの中央部同士をさらに連結する連結体を有していてもよい。なお、図6および図7において、図5と同じ構成要素には、同じ番号を付している。
図6の電池モジュール60においては、架橋体56の他に、上記二次電池51が厚さ方向に積層された第1列62および第2列63の間を通り、2つのエンドプレート64および65の中央部同士を連結する2つの連結体66が設けられている。これらの連結体66は、エンドプレートの高さ方向に並んで配置されている。
図6の電池モジュールにおいては、連結体66は、ネジ切りシャフト66aとナット66bからなり、ネジ切りシャフトが、ナットによりエンドプレートに固定されている。
各電池51は、連結端子53により連結されている。
【0053】
積層物において、上記電池の幅方向にも電池が設けられている場合、積層物の幅も大きくなる。このとき、積層物の電池の厚さ方向の端面に配置されるエンドプレートが、積層物の幅方向の2つの端面に配置された架橋体により連結される場合、エンドプレートの中央部が、積層物から外側に向かってたわんでしまい、エンドプレートの中央部が、積層物を十分に拘束できないことがある。図6に示されるように、2つのエンドプレートの中央部同士を連結する連結体をさらに設けることにより、エンドプレートの中央部のたわみを抑制することができる。これにより、積層物に含まれる複数の電池を、2つのエンドプレートにより、均等な力で十分に拘束することが可能となる。
【0054】
さらに、2つのエンドプレートの中央部同士の連結を、例えば、ネジ切りシャフトとナットを用いるのみで行うことができるため、2つのエンドプレートの中央部同士の連結を、安価にかつ容易に行うことができる。
【0055】
2つのエンドプレートの中央部の連結は、図7に示されるように行ってもよい。
図7の電池モジュール70においては、2つのエンドプレート54および55が、架橋体56の他に、エンドプレートの幅方向に平行な上側の辺同士を連結する連結体71、およびその幅方向に平行な下側の辺同士を連結する連結体72により連結されている。
【0056】
図7のような構成とすることにより、図6の電池モジュールと同様に、積層物に含まれる複数の電池を、2つのエンドプレートにより、均等な力で十分に拘束することが可能となる。さらには、図7の電池モジュールは、図6の電池モジュールと比較して、第1列73と第2列74との間に、連結体が通る間隔を設ける必要がないため、スペース効率が高くなる。なお、上記の同様に、各電池51は、連結端子53により連結されている。ただし、第1列73に含まれる電池51bと第2列74に含まれる電池51cとは、連結体の上を通る配線75により、接続されている。
電池モジュール70に用いられる連結体71および連結体72としては、上記架橋体を用いることができる。
【0057】
なお、これらの場合にも、電池の厚みαに対するンドプレートの厚みYの比:Y/αは、0.4〜2であることが好ましい。
【0058】
上記積層物において、上記非水電解質二次電池の厚さ方向に積層される電池の数は、2〜30個であることが好ましく、幅方向に積層される電池の数は、1〜2個であることが好ましい。
【0059】
以下、本発明を、実施例に基づいて、詳細に説明する。なお、本実施例では、捲回型の電極群を備える円筒形電池を作製したが、本発明は、例えば、捲回型の電極群または積層型の電極群を備える角形電池にも適用できる。
【実施例】
【0060】
《実施例1》
(正極の作製)
LiCoO2を30kgと、ポリビニルピロリドンのN−メチル−2−ピロリドン(MNP)溶液(呉羽化学(株)製の#1320、固形分12重量%)を10kgと、アセチレンブラックを900gと、適量のNMPとを、双腕式練合機にて攪拌し、正極ペーストを調製した。このペーストを、15μm厚のアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥し、総厚が120μmとなるように圧延して、正極板を得た。得られた正極板を、活物質層の幅が54mmとなり、長さが338mmとなるように切断して、正極を得た。得られた正極において、正極片面あたりの活物質層の面積は183cm2であった。
【0061】
(負極の作製)
人造黒鉛を20kgと、スチレン−ブタジエン共重合体のアクリル酸変性体(日本ゼオン(株)製のBM−400B、固形分40重量%)を750gと、カルボキシメチルセルロースを300gと、適量の水とを、双腕式練合機にて攪拌し、負極ペーストを調製した。このペーストを、10μm厚の銅箔の両面に塗布し、乾燥し、総厚が132μmとなるように圧延して、負極板を得た。得られた負極板を、活物質層の幅が58mmとなり、長さが408mmとなるように切断して、負極を得た。
【0062】
(多孔質耐熱層の作製)
繊維状のアラミド樹脂を1000メッシュの篩で漉くことにより、14μm厚のアラミドシートを得た。そのシートを、270℃下で1時間加熱することにより、構造的補強を行うとともに、その空孔率を60%に調整した。こののち、そのシートを、負極活物質層の寸法と同じ寸法に切断して、多孔質耐熱層を得た。
多孔質耐熱層の空孔率は、上記のようにして、求めた。空孔体積は、正極活物質層の面積と同じ面積を有する多孔質耐熱層の体積に、空孔率を乗じることにより求めた。
【0063】
(電池の組立)
上記のようにして得られた正極、負極、および正極と負極との間に配置された多孔質耐熱層を、略直方体状に捲回して、電極群を作製した。このとき、電極群の上部には、正極活物質層が設けられていないアルミニウム箔の露出部が配置されるようにした。電極群の下部には、負極活物質層が設けられていない銅箔の露出部が配置されるようにした。
アルミニウム箔の露出部には、アルミニウム製の正極集電板(厚み0.3mm)を溶接し、銅箔の露出部には、銅製の負極集電板(厚み0.3mm)を溶接した。
次に、その電極群を、厚さ5mm、幅42mm、高さ71mmの略直方体の電池ケースに収容した。電池ケースの材料としては、厚さ70μmのラミネートフィルムを用いた。ラミネートフィルムは、ポリエチレン層(厚さ20μm)、アルミニウム層(厚さ30μm)およびポリアミド層(厚さ30μm)から構成されている。ラミネートフィルムにおいて、電池ケースの内側から外側に向かって、ポリエチレン層、アルミニウム層およびポリアミド層の順に並んでいる。
その後、その電池ケースに、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒(体積比1:3)と、その混合溶媒に溶解したLiPF6を含む非水電解質を4ml注入した。LiPF6の濃度は、1.0mol/Lとした。
次いで、電池ケースの開口部を封口して、略直方体形のリチウムイオン二次電池を作製した。得られた電池を、実施例1の電池とした。なお、得られた電池の理論容量は、860mAhであった。得られた電池の容量は、正極規制されている。よって、電池の理論容量は、正極活物質(LiCoO2)の単位重量あたりの容量(142mAh/g)に、正極活物質層に含まれる正極活物質の量を乗じることにより求めることができる。
【0064】
《実施例2》
本実施例では、絶縁性フィラー(アルミナ)と結着剤(ポリフッ化ビニリデン)とからなる多孔質耐熱層を用いた。
メディアン径が2μmであり、かつタップ密度が1.2g/mlのアルミナ粉末を3000gと、ポリフッ化ビニリデンのNMP溶液(呉羽化学(株)製の#1320、固形分12重量%)を1000gと、適量のNMPとを、双腕式練合機にて攪拌し、多孔質耐熱層形成用ペーストを調製した。このペーストを、両方の負極活物質層の上に、ダイコーターにより塗布した。塗布したペーストの厚さは、14μmとした。こののち、そのペーストを、130℃の熱風を2m/分の風速で4分間当てて乾燥した。このとき、多孔質耐熱層の空孔率が60%となるようにした。多孔質耐熱層を含む負極板を、実施例1と同じ寸法になるように切断し、負極を得た。この負極を用いたこと以外、実施例1と同様にして、実施例2の電池を作製した。なお、結着剤の添加量は、絶縁性フィラー100重量部当たり、4重量部とした。
【0065】
《実施例3〜7》
多孔質耐熱層と正極との間に、セパレータを配置し、セパレータの厚みを、7μm、10μm、20μm、35μm、または40μmとした。用いた各セパレータの厚みに対する多孔質耐熱層の厚さの比は、それぞれ、2、1.4、0.7、0.4、および0.35であった。
また、セパレータの厚みに対応して、電池ケースの厚みを、5.2mm、5.3mm、5.6mm、6.0mm、または6.2mmとした。
これら以外は、実施例2と同様にして、実施例3〜7の電池を作製した。セパレータとしては、ポリエチレン製微多孔質フィルムを用いた。
【0066】
《実施例8〜11》
多孔質耐熱層3に含まれるアルミナのメディアン径を0.3μm、0.5μm、3μm、または4μmとして、多孔質耐熱層の空孔率を、それぞれ35%、40%、66%、または73%とした。これら以外は、実施例5と同様にして、実施例8〜11の電池を作製した。
【0067】
《実施例12〜13》
多孔質耐熱層形成用ペーストを乾燥する際の熱風の風速を5m/分または7m/分として、多孔質耐熱層の空孔率を、それぞれ80%または85%とした。これら以外は、実施例5と同様にして、実施例12〜13の電池を作製した。
【0068】
《実施例14》
正極の総厚を225μmに変更し、正極活物質層の長さを169mm(正極活物質層の面積:92cm2)に変更した。負極の総厚を227μmに変更し、負極活物質層の長さを387mmに変更した。電池ケースの厚みを5.4mmに変更した。これら以外は、実施例5と同様にして、実施例14の電池を作製した。
【0069】
《実施例15》
正極の総厚を190μmに変更し、正極活物質層の長さを211mm(正極活物質層の面積:114cm2)に変更した。負極の総厚を213μmに変更し、負極活物質層の長さを281mmに変更した。電池ケースの厚みを、4.9mmに変更した。これら以外は、実施例5と同様にして、実施例15の電池を作製した。
【0070】
《実施例17》
正極の総厚を50μmに変更し、正極活物質層の長さを1020mm(正極活物質層の面積:549cm2)に変更した。負極の総厚を51μmに変更し、負極活物質層の長さを1080mmに変更した。電池ケースの厚みを7.1mmに変更した。これら以外は、実施例5と同様にして、実施例16の電池を作製した。
【0071】
《実施例18》
正極の総厚を48μmに変更し、正極活物質層の長さを1060mm(正極活物質層の面積:572cm2)に変更した。負極の総厚を49μmに変更し、負極活物質層の長さを1120mmに変更した。電池ケースの厚みを7.2mmに変更した。これら以外、実施例5と同様にして、実施例17の電池を作製した。
【0072】
《実施例18〜22》
多孔質耐熱層に含まれるポリフッ化ビニリデンの量を、アルミナ100重量部あたり、0.3重量部、0.5重量部、1.5重量部、7重量部、または8.5重量部としたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例18〜22の電池を作製した。
【0073】
《実施例23》
多孔質耐熱層に含まれる結着剤の種類を、ポリフッ化ビニリデンから、変性アクリルゴム(日本ゼオン(株)製のBM−720H)に変更したこと以外、実施例5と同様にして、実施例23の電池を作製した。
【0074】
《実施例24〜27》
多孔質耐熱層に含まれる絶縁性フィラーとして、アルミナの代わりに、シリカ、マグネシア、チタニアまたはジルコニアに変更したこと以外は、実施例5と同様にして、実施例24〜27の電池を作製した。なお、シリカ、マグネシア、チタニアおよびジルコニアのメディアン径は2μmとした。
【0075】
《実施例28》
正極の表面をサンドペーパーで研磨し、正極の表面粗さRaを1.1μmとし、多孔質耐熱層の表面粗さ(Ra=0.4μm)より粗くしたこと以外は、実施例5と同様にして、実施例28の電池を作製した。なお、実施例5の電池において、正極活物質層の表面粗さRaは、0.3μmであった。
【0076】
《比較例1》
負極の上に多孔質耐熱層を設けなかったこと以外は、実施例5と同様にして、比較例1の電池を作製した。
【0077】
《比較例2》
多孔質耐熱層に含まれるアルミナのメディアン径を0.25μmに変更し、多孔質耐熱層の空孔率を28%に変更したこと以外は、実施例5と同様にして、比較例2の電池を作製した。
【0078】
《比較例3》
多孔質耐熱層形成用ペーストを乾燥するときの熱風の風速を8m/分に変更して、多孔質耐熱層の空孔率を89%にしたこと以外は、実施例5と同様にして、比較例3の電池を作製した。
【0079】
表1〜3に、実施例1〜28および比較例1〜3の電池に用いた多孔質耐熱層の構成、用いた絶縁性フィラーの種類およびメディアン径、結着剤の種類および絶縁性フィラー100重量部あたりの添加量、正極活物質層の面積、多孔質耐熱層の厚さB、空孔率、空孔体積、空孔体積/理論容量、セパレータの厚さAおよび比B/Aを示す。空孔体積および空孔体積/理論容量については、負極片面あたりおよび負極両面あたりの両方の値を示す。多孔質耐熱層の厚さBは、負極片面あたりの多孔質耐熱層の厚さである。
なお、実施例1〜28および比較例1〜3の電池において、理論容量は、同じにした。
【0080】
【表1】


【0081】
【表2】


【0082】
[評価]
上述した電池を、以下の評価に供した。
(耐落下性)
実施例1〜28および比較例1〜3の電池を各20セルずつ、2mの高さからコンクリート製の床に落下させた。この落下は、連続して、15回行った。また、落下時は、電池の蓋面が床に衝突するようにした。
この後、X線透過測定により、電極群における正極と負極とのズレおよび多孔質耐熱層の崩壊の有無を確認した。正極と負極とのズレについては、各電池において、正極が負極からはみ出したセルの数を求めた。多孔質耐熱層の崩壊については、多孔質耐熱層の崩壊が部分的にでも目視で観察されたセルの数を求めた。結果を表3に示す。
【0083】
(寿命試験)
厚さ20mmのステンレス鋼製の厚板で、電池の厚さ方向の2つの端面を挟持し、その面に17kgf/cm2の荷重をかけた状態で、各電池について、以下のような寿命試験を行った。
まず、慣らし充放電を行った。具体的には、430mAの電流値で、電池電圧を3.0〜4.1Vの範囲で変化させた充放電サイクルを、2回行った。
次いで、430mAの電流値で、電池電圧が4.1Vになるまで充電し、充電後の電池を、45℃で7日間エージングした。
エージング後の電池に、上記のようにして、17kgf/cm2の荷重をかけた状態で、860mAの電流値で、電池電圧を3.0〜4.2Vの範囲で変化させた第1充放電サイクルを500回繰り返した。エージング後、1サイクル目の放電容量(初期放電容量)に対する500サイクル目の放電容量の比を百分率値として求めた値を、容量維持率とした。この容量維持率を寿命特性の尺度とした。結果を表3に示す。
【0084】
【表3】


【0085】
多孔質耐熱層を用いず、正極1と負極2との間に、ポリエチレン製のセパレータのみを配置した比較例1の電池は、容量維持率が顕著に低下していた。これは、荷重をかけて、電池ケースの寸法の変化が抑制された状態で充放電を繰り返すと、電極群に過度の荷重がかかるため、セパレータから非水電解質が搾り出されたためと考えられる。
【0086】
多孔質耐熱層の空孔率(空孔体積)が過度に小さい比較例2の電池においても、電極群の変形を抑制したときの容量維持率が低く、比較例1の電池と同レベルであった。これは、多孔質耐熱層の空孔体積が過度に小さいと、電極群の変形が抑制されることによって発生する力に対し、多孔質耐熱層が、電池として機能できるだけの量の非水電解質を保持することができないためであると考えられる。
【0087】
多孔質耐熱層の空孔体積が過度に大きい比較例3の電池においては、落下試験を行った場合に、多孔質耐熱層が破損したセルの数が多かった。このように、多孔質耐熱層の空孔体積が過度に大きいと、多孔質耐熱層の構造的強度が著しく低下するので、電池の使用時においても、多孔質耐熱層が、その形状を保持できなくなると考えられる。
【0088】
一方、正極と負極との間に適度な空孔体積を有する多孔質耐熱層3を配置した各実施例の電池は、寿命特性および耐落下性が大幅に向上していた。
【0089】
以下に、各実施例の比較を行う。
多孔質耐熱層としてアラミドシートを用いた実施例1の電池は、比較例3の電池ほどではないものの、落下の際に多孔質耐熱層が破損する傾向があった。この原因は、アラミドシート自体の構造的強度が多少弱く、そのアラミドシートと、いずれの電極の活物質層とも接着していないためであると考えられる。
【0090】
多孔質耐熱層が絶縁性フィラーと結着剤とから構成される実施例2の電池においては、落下試験時に、多孔質耐熱層が破損するセルの数が低下していた。これは、結着剤が絶縁性フィラー同士を強固に結着するだけでなく、多孔質耐熱層を活物質層とも接着できるためであると考えられる。
【0091】
ポリエチレンからなるセパレータと多孔質耐熱層とを併用した実施例3〜7の電池は、実施例2の電池と比較して、落下試験時に、多孔質耐熱層が破損するセルの数が低下していた。これは、剛性は高いが脆い多孔質耐熱層がセパレータにより保護されたためと考えられる。
【0092】
また、セパレータが多孔質耐熱層を保護する効果は、セパレータの厚みAに対する多孔質耐熱層の厚みBの比:B/Aが2以下、特に1.4以下の場合に顕著であった。また、セパレータの厚さが厚く、比B/Aが0.35である場合でも、容量維持率は良好な値を示し、多孔質耐熱層が破損したセルの数および正極と負極とのズレが生じたセルの数も少なかった。なお、比B/Aが0.4未満となった場合には、実施例3〜6の電池と比較して、寿命特性がやや低下していた。これは、電池の寸法変化を規制した場合、セパレータは、非水電解質を保持する能力を十分に発揮できず、電池反応の単なる抵抗成分として影響を及ぼしたためと考えられる。
以上の結果から、比B/Aは、0.35〜2が好ましく、0.4〜1.4であることがさらに好ましい。
【0093】
多孔質耐熱層に含まれるアルミナのメディアン径を変化させて、空孔率を変化させた実施例8〜11の電池のなかでも、絶縁性フィラーのメディアン径が0.3μmである実施例8の電池では、寿命特性がやや低下していた。これは、絶縁性フィラーのメディアン径が過度に小さいために、絶縁性フィラーが緻密に充填されすぎて、多孔質耐熱層3内の空孔率が35%まで低下したためであると考えられる。一方、絶縁性フィラーのメディアン径が4μmである実施例11の電池は、落下試験時に、多孔質耐熱層が破損するセルの数が若干多かった。これは、絶縁性フィラーが過度に大きいために、実際の空孔率から想定される以上に、絶縁性フィラーの充填度合が粗くなり、多孔質耐熱層の構造的強度が低下したためと考えられる。
以上の結果から、絶縁性フィラーのメディアン径は0.5〜3μmであることが好ましい。
【0094】
多孔質耐熱層形成用ペーストの乾燥条件を変化させて、多孔質耐熱層の空孔率を調節した実施例12〜13の電池の結果から、多孔質耐熱層の空孔率が85%である実施例12の電池の場合には、落下試験時に、多孔質耐熱層が破損するセルの数が若干多くなることがわかった。以上の結果と実施例8〜11の結果とから、多孔質耐熱層の空孔率は、40〜80%であることが好ましい。
【0095】
負極活物質層の面積(多孔質耐熱層の面積)を変化させて、電池の理論容量Cに対する多孔質耐熱層の空孔体積Vの比を調節した実施例14〜17の結果に示されるように、理論容量Cに対する多孔質耐熱層の空孔体積V1(負極片面あたり)の比が、0.0899ml/Ah未満である場合、つまり、理論容量Cに対する多孔質耐熱層の空孔体積V2(負極両面あたり)の比が、0.18ml/Ah未満である場合には、寿命特性が若干低下していた。これは、非水電解質を保持し得る多孔質耐熱層の量が少なくなったためであると考えられる。一方、理論容量Cに対する多孔質耐熱層の空孔体積V1(負極片面あたり)の比が0.57ml/Ahを超える場合、つまり、理論容量Cに対する多孔質耐熱層の空孔体積V2(負極両面あたり)の比が、1.117ml/Ahを超える場合にも、寿命特性が若干低下していた。多孔質耐熱層の空孔体積が大きすぎると、多孔質耐熱層において、非水電解質が満たされていない空孔が多く占めるようになる。このため、電池反応に対する多孔質耐熱層の反応抵抗が大きくなり、寿命特性が若干低下したと考えられる。
以上の結果から、比V2/Cは、0.18〜1.117ml/Ahであることが好ましい。
【0096】
多孔質耐熱層に含まれるPVDFの量を変化させた実施例18〜22の電池の結果から、PVDFの量が、絶縁性フィラー100重量部あたり0.5重量部未満である場合には、結着剤の量が少ないために、落下試験時に、多孔質耐熱層が破損するセルの数が若干多くなることがわかった。
一方、PVDFの量が、絶縁性フィラー100重量部あたり7重量部を超える場合には、寿命特性がやや低下していた。これは、多孔質耐熱層に含まれる結着剤が、電池構成後に非水電解質を吸収して膨潤し、その結果、多孔質耐熱層内の空孔体積が小さくなり、イオン伝導性が低下したためと考えられる。
以上の結果から、多孔質耐熱層に含まれる結着剤の量は、絶縁性フィラー100重量部あたり0.5〜7重量部であることが好ましい。
【0097】
実施例23の結果から、結着剤の種類をPVDFから変性アクリルゴムに変更した場合でも、優れた寿命特性および耐落下性が得られることがわかる。なお、この変性アクリルゴムも、結着剤として用いた場合、PVDFと同様に、少量で高い結着力を発揮できる。
一方で、多孔質耐熱層が、粒子状の変性アクリルゴム(日本ゼオン(株)製のBM−500B)とPVDFとの1:1(重量比)混合物を結着剤として含み、その結着剤の量がアルミナ100重量部あたり4重量部である場合、その多孔質耐熱層は、負極活物質層との間に十分な接着力を示した。しかし、多孔質耐熱層が、ポリテトラフルオロエチレンとCMCとの1:1(重量比)混合物を結着剤として含み、その結着剤の量がアルミナ100重量部あたり4重量部である場合、その多孔質耐熱層は、負極活物質層との間に、十分な接着力が得られなかった。
よって、多孔質耐熱層3に用いる結着剤は、PVDFおよび変性アクリルゴムよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0098】
絶縁性フィラーの種類を変化させた実施例24〜27の電池の結果から、絶縁性フィラーとして、シリカ、マグネシア、チタニアまたはジルコニアを用いた場合でも、アルミナを用いた場合と同等の結果が得られることがわかった。
正極活物質層の表面粗さを大きくした実施例28の電池では、落下試験時の、正極と負極とのズレを顕著に改善することができた。多孔質耐熱層は、剛性は高いが脆いので、落下などにより、正極と負極との相対位置が僅かにずれる傾向がある。しかし、正極活物質層の表面粗さを大きくすることによるアンカー効果により、多孔質耐熱層が正極活物質層に食い込むことができる。このため、落下による正極と負極との相対位置がずれることを顕著に改善できたと考えられる。
【0099】
以下の実施例では、図4に示されるような電池モジュールを作製した。
《実施例29〜33》
20個の実施例5のリチウムイオン二次電池を用いて、図4に示されるような電池モジュールを、以下のようにして作製した。
まず、各電池を、連結端子で直列に連結して、積層物を得た。次いで、電池の厚さ方向における積層物の各端面に、アルミニウム製で、厚さ1.7mmのエンドプレートを配置した。この2つのエンドプレートを、4本の架橋体で連結して、20個の電池を拘束した。このとき、電池モジュールに含まれる各電池において、電池の厚さ方向の端面に17kgf/cm2の荷重がかかるようにした。
このようにして、実施例29の電池モジュールを作製した。実施例5の電池の厚さαは5.6mmであり、エンドプレートの厚みYは1.7mmであるので、比:Y/αは、0.3であった。
【0100】
エンドプレートの厚さを、2.2mm、6.7mm、11.2mm、または14.0mmとしたこと以外、実施例29と同様にして、実施例30〜33の電池モジュールを作製した。実施例30〜33の電池モジュールにおいて、比Y/αは、それぞれ、0.4、1.2、2.0、または2.5であった。
【0101】
[評価]
各実施例の電池モジュールを、上記第1充放電サイクルに500回供した。1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の比を百分率値として表した値を、容量維持率とした。この容量維持率を、寿命特性の尺度とした。また、電池モジュールの寸法変化についても、調べた。結果を表4に示す。
【0102】
【表4】


【0103】
表4の結果から、本発明の電池を用いることにより、電池モジュールの寿命特性の低下を抑制できることがわかる。
ただし、比Y/αが0.4未満である実施例29の電池モジュールでは、その寸法の変化が目視で確認できた。また、比Y/αが2.0を超える実施例33の電池モジュールは、寿命特性が若干低下していた。この低下は、エンドプレートが過度に厚いと、電極群の変形による歪みを、積層された電池間で、相互に緩和することができなくなったためと考えられる。よって、以上の結果から、比Y/αは0.4〜2であることが好ましい。
【0104】
以下の実施例では、図6に示されるような電池モジュールを作製した。
《実施例34〜38》
40個の実施例5のリチウムイオン二次電池を用い、その厚さ方向に20個ずつ積層した第1列および第2列からなる積層物を備える電池モジュールを作製した。
まず、各電池を、その厚さ方向に、一列あたり20個ずつ並べて、第1列と第2列とからなる積層物を得た。なお、得られた積層物において、第1列と第2列との間には、所定の幅の間隙を空けておいた。
次いで、積層物の電池の厚さ方向の各端面に、アルミニウム製で、厚さ1.7mmのエンドプレートを配置した。各エンドプレートの中央部には、その高さ方向に、並んで配置された2つの穴を設けておいた。
ネジ切りシャフトを、第1列と第2列との間の間隙を通して、各エンドプレートの中央部に設けた穴に挿入し、ナットで固定した。このようにして、2つのエンドプレートの中央部同士を、2本の連結体で連結した。さらに、積層物の幅方向の2つの端面に、2本ずつ配置された架橋体を用いて、2つのエンドプレートをさらに連結した。このとき、電池モジュールに含まれる各電池において、電池の厚さ方向の端面に17kgf/cm2の荷重がかかるようにした。
以上のように、積層物に含まれる複数の電池を、エンドプレート、架橋体および連結体で拘束し、実施例34の電池モジュールを作製した。この電池モジュールにおいても、電池の厚みαに対するエンドプレートの厚みYの比(Y/α)は、0.3であった。
【0105】
エンドプレートの厚さを、2.2mm、6.7mm、11.2mm、または14.0mmとしたこと以外、実施例34と同様にして、実施例35〜38の電池モジュールを作製した。実施例30〜33の電池モジュールにおいて、比Y/αは、それぞれ、0.4、1.2、2.0、または2.5であった。
【0106】
[評価]
各実施例の電池モジュールを、上記第1充放電サイクルに500回供した。1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の比を百分率値として表した値を、容量維持率とした。この容量維持率を、寿命特性の尺度とした。また、電池モジュールの寸法変化についても、調べた。結果を表5に示す。
【0107】
【表5】


【0108】
表5の結果から、本発明の電池を用いることにより、電池の幅方向にも2つの電池が配置された積層物を有する電池モジュールの場合にも、その寿命特性の低下を抑制できることがわかる。
また、表5から、電池の厚みαに対するエンドプレートの厚みYの比:Y/αは、0.4〜2であることが好ましいことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明によれば、電池の寸法変化が許されない環境下においても、寿命特性に優れた高容量非水電解質二次電池、および、複数の前記電池を備える電池モジュールを提供することができる。このような電池および電池モジュールは、HEV用途や電動工具用途など、高出力が求められる機器の電源として用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の一実施形態にかかる非水電解質二次電池の一部を模式的に示す縦断面図である。
【図2】略直方体の電池ケースの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の別の実施形態にかかる非水電解質二次電池の一部を模式的に示す縦断面図である。
【図4】本発明の一実施形態にかかる電池モジュールを示す斜視図である。
【図5】本発明の別の実施形態にかかる電池モジュールを示す斜視図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態にかかる電池モジュールを示す斜視図である。
【図7】本発明のさらに別の実施形態にかかる電池モジュールを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0111】
1 正極
2 負極
3 多孔質耐熱層
4 電池ケース
5 セパレータ
40、50、60、70 電池モジュール
41、51、51b、51c 非水電解質二次電池
42、53 積層物
43、53 連結端子
44、45、64、65 エンドプレート
46、56 架橋体
62、72 第1列
63、74 第2列
66、71、72 連結体
66a ネジ切りシャフト
66b ナット
75 配線




 

 


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