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発明の名称 電気化学素子の電極に用いる活物質の製造法。
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−12450(P2007−12450A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−192093(P2005−192093)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
代理人 【識別番号】100072431
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 和郎
発明者 石田 澄人 / 松田 博明 / 芳澤 浩司
要約 課題
電気化学的に電気容量を蓄積することが可能な活物質の表面にカーボンナノファイバを効率的に成長させる複合活物質の製造法を提供する。

解決手段
活物質の表面に、カーボンナノファイバの成長を促進する触媒元素を担持させ、原料ガスを用いて、活物質の表面に結合したカーボンナノファイバを成長させる、複合活物質の製造法において、活物質は酸化物を含み、原料ガスは炭素含有ガス、または、炭素含有ガスと水素ガスとの混合ガスからなり、炭素含有ガスは、一酸化炭素、Cn+2(n≧1)で表される飽和炭化水素ガス、C2n(n≧2)で表される不飽和炭化水素ガス、およびC2n-2(n≧2)で表される不飽和炭化水素ガスよりなる群から選択される少なくとも1種であり、混合ガスに占める水素ガスの含有量は5体積%未満である。
特許請求の範囲
【請求項1】
活物質の表面に、カーボンナノファイバの成長を促進する触媒元素を担持させる工程、触媒元素を担持した活物質を原料ガスと接触させ、前記活物質の表面にカーボンナノファイバを成長させる工程を有する、複合活物質の製造法であって、
前記活物質は、酸化物を含み、
前記原料ガスは、炭素含有ガス、または、炭素含有ガスと水素ガスとの混合ガスからなり、
前記炭素含有ガスは、一酸化炭素(CO)、C2n+2(n≧1)で表される飽和炭化水素ガス、C2n(n≧2)で表される不飽和炭化水素ガス、およびC2n-2(n≧2)で表される不飽和炭化水素ガスよりなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記混合ガスに占める、前記水素ガスの含有量が、5体積%未満である、複合活物質の製造法。
【請求項2】
前記活物質の少なくとも表層部が、酸化物を含む、請求項1記載の複合活物質の製造法。
【請求項3】
前記触媒元素が、Cu、Fe、Co、Ni、MoおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1記載の複合活物質の製造法。
【請求項4】
反応容器中に前記原料ガスと触媒元素を担持した活物質とを導入し、前記反応容器内の温度を400〜750℃に保持することにより、前記活物質の表面に結合したカーボンナノファイバを成長させる、請求項1記載の複合活物質の製造法。
【請求項5】
前記反応容器が、鋳鉄、カーボンおよびアルミナよりなる群から選択される少なくとも1種の材料で構成されている、請求項4記載の複合活物質の製造法。
【請求項6】
前記触媒元素を塩もしくは化合物の状態で担持した活物質を、前記原料ガスと接触させる、請求項1記載の複合活物質の製造法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか記載の方法で製造された活物質を含む一対の分極性電極と、両電極の間に配したセパレータと、水溶液もしくは非水電解液と、を含む電気化学キャパシタ。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか記載の方法で製造された活物質を含む正極と、負極と、両電極の間に配したセパレータと、非水電解液と、を含む二次電池。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか記載の方法で製造された活物質を含む負極と、正極と、両電極の間に配したセパレータと、非水電解液と、を含む二次電池。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気化学的に電気容量を蓄積することが可能な活物質の表面にカーボンナノファイバを効率的に成長させる複合活物質の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノファイバを合成する方法には、以下の2通りが挙げられる。
一つ目の方法は、炭素電極間のアーク放電により、ファイバを成長させるアーク放電法である。アーク放電法により、カーボンナノファイバの1種である単層カーボンナノチューブ(SWNTs)または多層カーボンナノチューブ(MWNTs)が生成することが報告されている。しかし、同時に、それ以外のカーボンスート(煤)が多く生成する。よって、カーボンナノファイバの生成率(収率)は非常に少なくなり、さらにカーボンスートとの分離作業も伴うため実用的ではない。
【0003】
二つ目の方法は、水素ガスと有機ガスとの混合ガスを、高温雰囲気で金属触媒に接触させ、カーボンナノファイバを気相成長させる合成方法である。有機ガスを水素ガスと混合する理由は、触媒を活性化させるためである。有機ガスのみでは触媒活性が小さくなり、原料ガスのカーボンナノファイバへの転化率が低下するか、もしくは触媒が不活性となり、カーボンナノファイバの生成を確認できなくなる(非特許文献1、2、特許文献1)
【0004】
カーボンナノファイバを気相成長させる方法を応用して、電気化学素子の電極に用いる、金属または半金属を含む活物質の表面に、カーボンナノファイバを気相成長させる試みもなされている。しかし、実際に確認できるカーボンナノファイバの生成率は低いものである。また、触媒が活物質表面から脱離しやすいため、カーボンナノファイバを成長させた活物質を用いて電極を作製しても、導電性ネットワークの構築が不完全となる。よって、キャパシタ、二次電池などの電気化学素子においては、期待するサイクル特性の向上が得られない(特許文献2)。
【非特許文献1】稲垣道夫著、「炭素材料工学」、日刊工業新聞社発行、1987年12月23日、p.72−76
【非特許文献2】飯島澄夫その他著、「カーボンナノチューブ」、シーエムシー発行、2001年11月10日、p.1−25
【特許文献1】特開2001−196064号公報
【特許文献2】特開2004−349056号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電気化学素子の電極に用いる活物質の表面に、カーボンナノファイバを成長させて、複合活物質を調製する場合、上記アーク放電法では、活物質が熱で溶解したり、変質したりするという問題がある。また、カーボンスートを分離するのが困難であり、非効率的である。
【0006】
上記カーボンナノファイバを気相成長させる方法は、活物質粒子を、触媒となる金属元素の硫酸塩、硝酸塩、塩化物などを含む水溶液や有機溶液中に含浸後、乾燥させて、溶媒成分を除去する工程を含む。しかし、触媒となる金属元素の硫酸塩、硝酸塩、塩化物などは、高温雰囲気中では昇華するため、一旦、酸素含有雰囲気で熱処理を施し、昇華しない金属酸化物に変換する必要がある。そして、カーボンナノファイバの合成前に、高温雰囲気中で、多量の水素ガスを用いて、金属酸化物を金属状態に還元する必要がある。そのため、多量の水素ガスを要し、原料ガスのカーボンナノファイバへの転化率も低下する。
【0007】
仮に、触媒元素の塩を金属酸化物に変換する工程を省略すれば、カーボンナノファイバの生成が認められないか、もしくは原料ガスのカーボンナノファイバへの転化率は極端に少なくなる。一方、触媒元素の塩を金属酸化物に変換したり、金属酸化物を金属状態に還元したりする工程を経ることで、せっかく活物質表面に配置した触媒元素が剥がれ落ち、活物質と直接結合していないカーボンナノファイバが生成するという問題もある。よって、カーボンナノファイバを成長させた複合活物質を用いて電極を作製しても、導電性ネットワークの構築が不完全となり、キャパシタ、二次電池などの充放電特性やサイクル特性は低下する。
【0008】
なお、高温に加熱された反応容器中に、多量の水素ガスと触媒種が存在する場合、反応容器の材質は大きく制限され、主に、水素ガスと触媒種の両方に対して不活性である石英が用いられる。石英は加工性に難があるため、装置の大型化は困難である。一方、例えばステンレス鋼(SUS)製の反応容器であれば、安価であり、大型化も容易である。しかし、SUS成分は有機ガスと反応してしまうため、SUSの反応容器への適用は困難である。また、カーボン製の反応容器は、水素還元に対する耐性が高い点で優れているが、水素ガスと触媒との共存下では、カーボンの水素化やガス化反応が進行し、反応容器が劣化してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、活物質の表面に、カーボンナノファイバの成長を促進する触媒元素を担持させ、原料ガスを用いて、活物質の表面に結合したカーボンナノファイバを成長させる複合活物質の製造法であって、活物質は、酸化物を含み、原料ガスは、炭素含有ガス、または、炭素含有ガスと水素ガスとの混合ガスからなり、炭素含有ガスは、一酸化炭素(CO)、C2n+2(n≧1)で表される飽和炭化水素ガス、C2n(n≧2)で表される不飽和炭化水素ガス、およびC2n-2(n≧2)で表される不飽和炭化水素ガスよりなる群から選択される少なくとも1種であり、炭素含有ガスと水素ガスとの混合ガスに占める水素ガスの含有量が5体積%未満である複合活物質の製造法に関する。
【0010】
活物質は、少なくとも、その表層部に酸化物を含むことが望ましい。
触媒元素は、Cu、Fe、Co、Ni、MoおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0011】
本発明の製造法では、例えば、反応容器中に原料ガスと触媒元素を担持した活物質とを導入し、反応容器内の温度を400〜750℃に保持することにより、活物質の表面に結合したカーボンナノファイバを成長させる。
【0012】
反応容器には、鋳鉄、カーボンおよびアルミナよりなる群から選択される少なくとも1種の材料を用いることができる。特に鋳鉄やカーボンは、加工性が高い点で好ましい。
【0013】
本発明の製造法では、触媒元素を塩もしくは化合物の状態で担持した活物質を、原料ガスと接触させることが、効率的である。
【0014】
本発明は、また、上記方法で製造された活物質を含む一対の分極性電極と、両電極の間に配したセパレータと、水溶液もしくは非水電解液とを含む電気化学キャパシタに関する。
【0015】
本発明は、更に、正極と、負極と、両電極の間に配したセパレータと、非水電解液とを含み、正極および負極の少なくとも一方が、上記方法で製造された活物質を含む二次電池に関する。
【0016】
本発明は、例えば、(a)活物質の少なくとも表層部にカーボンナノファイバの成長を促進するCu、Fe、Co、Ni、MoおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種の触媒元素を、例えば塩もしくは化合物の状態で担持させる工程と、(b)5体積%未満の水素ガスを含んでもよい原料ガスを、触媒元素を担持した活物質とともに、400〜750℃に保持された反応容器中に導入し、活物質の表面に結合したカーボンナノファイバを成長させる工程とを含む。
【0017】
ここで、活物質とは、電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料(電気化学的に活性な材料)をいう。活物質を構成する酸化物は、主として、金属酸化物である。活物質は、通常、粉末、粒状物、フレークなどの状態である。
【0018】
触媒元素とは、主に金属状態で、カーボンナノファイバの成長に対する活性を有する元素をいう。触媒元素の塩もしくは化合物は、例えば硫酸塩、硝酸塩、塩化物などであり、硝酸ニッケル、硝酸コバルト、硝酸鉄、塩化ニッケル、塩化コバルト、塩化鉄、硫酸ニッケル、硫酸コバルト、硫酸鉄、水酸化ニッケル、水酸コバルト、水酸化鉄、炭酸ニッケル、炭酸コバルト、炭酸鉄、酢酸ニッケル、酢酸コバルト、酢酸鉄、酸化ニッケル、酸化コバルト、酸化鉄などである。
【0019】
電気化学キャパシタは、電気二重層キャパシタ、レドックスキャパシタなどを含む。分極性電極には、酸化ルテニウム電極、酸化マンガン電極などが含まれる。
二次電池には、リチウムイオン二次電池などが含まれる。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、活物質中に存在する酸化物の酸素元素と、触媒元素とが分子間力、イオン結合等により結合するため、カーボンナノファイバの成長を開始する前に触媒元素の硫酸塩、硝酸塩、塩化物などが昇華するのを抑制することが可能であり、更には触媒元素が活物質表面に確実に固定化される。よって、硫酸塩、硝酸塩、塩化物などの金属酸化物への変換を省くことが可能となる。
【0021】
また、活物質表面の酸素原子の電子吸引効果により、低水素濃度雰囲気もしくは水素ガスを含まない雰囲気においても、温度制御のみにより、触媒元素を金属状態に還元することができる。その結果、原料ガス中の炭素含有ガス量を増加させることが可能となり、飛躍的に原料ガスのカーボンナノファイバへの転化率が向上する。また、石英以外の材質からなる反応容器を用いることが可能となる。
【0022】
以上のように、本発明の製造法によれば、単純な工程により、原料ガスのカーボンナノファイバへの転化率を大幅に改善することが可能である。また、本発明の製造法によれば、石英以外の材質からなる反応容器を用いることができるため、反応装置の大型化が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、少なくとも表層部に酸化物を含む活物質を用いるとともに、原料ガス中の水素ガス濃度を低減することにより、原料ガスのカーボンナノファイバへの転化率を大幅に向上させる技術に関する。本発明では、原料ガスが水素ガスを含まないか、含んでも低濃度であるため、石英以外の加工性やハンドリング性に優れた材質からなる反応容器を用いることが可能であり、反応装置の大型化も容易となる。
【0024】
原料ガスは、炭素含有ガス、または、炭素含有ガスと水素ガスとの混合ガスからなる。ただし、原料ガスは、不活性なキャリアガスと混合して用いてもよい。炭素含有ガスと水素ガスとの混合ガスを用いる場合、混合ガスに占める水素ガスの含有量が5体積%以上になると、金属触媒上でカーボンが水素化反応によりガス化する影響で、カーボンナノファイバの生成率が大きく低下する。
【0025】
炭素含有ガスは、一酸化炭素(CO)、C2n+2(n≧1)で表される飽和炭化水素ガス、C2n(n≧2)で表される不飽和炭化水素ガス、およびC2n-2(n≧2)で表される不飽和炭化水素ガスよりなる群から選択される少なくとも1種である。ただし、炭素含有ガスは、少なくとも不飽和炭化水素ガスを含むことが好ましい。不飽和結合を含む炭化水素を用いることにより、水素ガス濃度の低い雰囲気、もしくは水素ガスを含まない雰囲気におけるカーボンナノファイバの生成率を向上させることが可能となる。
【0026】
例えば飽和炭化水素であるエタンは、高温雰囲気中で重合反応を開始し、重合反応と同時に水素ガスを発生する。この水素ガスが、触媒元素を還元し、もしくは触媒元素に付着したパイロカーボン(熱分解性炭素)を水素化分解する。よって、原料ガス中の水素濃度が極端に少ないか、もしくは水素が含まれていない場合でも、効率的に原料ガスが分解され、高効率でカーボンナノファイバが生成するものと考えられる。
【0027】
不飽和炭化水素も同様に作用すると考えられる。ただし、例えば不飽和炭化水素であるエチレンが重合した場合、生成した重合体には、不飽和結合が含まれる。よって、飽和炭化水素ガスと比較して、グラフェンシートが成長し易く、カーボンナノファイバの生成速度も大幅に向上すると考えられる。
【0028】
2n+2(n≧1)で表される飽和炭化水素には、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘプタンなどを用いることができる。飽和炭化水素のnは、1≦n≦5であることが好ましい。
【0029】
2n(n≧2)もしくはC2n-2(n≧2)で表される不飽和炭化水素には、例えばエチレン、アセチレン、プロペン、アレン、プロピン、ブテン、メチルプロペン、ブタジエンなどを用いることができる。不飽和炭化水素のnは、2≦n≦5であることが好ましい。
【0030】
なお、カーボンナノファイバの生成速度を上げたい場合には、不飽和炭化水素を用いることが好ましく、カーボンナノファイバの生成量を正確にコントロールしたい場合には、生成速度は低下するが、飽和炭化水素および一酸化炭素より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。飽和炭化水素および一酸化炭素より選ばれる少なくとも1種と、不飽和炭化水素とを、併用する場合にも、カーボンナノファイバの生成量を正確にコントロールしたい場合には、前者(飽和炭化水素もしくは一酸化炭素)の割合を多くし、カーボンナノファイバの生成速度を上げたい場合には、後者(不飽和炭化水素)の割合を多くすることが好ましい。
【0031】
活物質、すなわち電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料は、酸化物を含む。
リチウムイオン二次電池の負極用活物質の場合、酸化物には、例えばSiO、SnO、SnO、GeO、GeOなどの金属酸化物もしくは半金属酸化物を用いることができるが、これらに限定されない。
【0032】
リチウムイオン二次電池の正極用活物質の場合、酸化物には、例えばLiCoO、LiNiO、LiMnなどのリチウム複合遷移金属酸化物を用いることができるが、これらに限定されない。
【0033】
電気化学キャパシタの分極性電極用活物質の場合、酸化物には、例えばRuO、MnOなどの遷移金属酸化物を用いることができるが、これらに限定されない。
【0034】
活物質は、その全体が酸化物からなる必要はない。活物質の表層部だけが酸化物を含んでもよい。例えば、電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料(例えばSi、Sn、Geなど)を、酸素雰囲気中で加熱処理して、材料の表層部に酸化物を含む活物質を合成し、これを用いることもできる。
【0035】
カーボンナノファイバの成長を促進する触媒元素には、Cu、Fe、Co、Ni、MoおよびMnよりなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0036】
活物質の表面に、触媒元素を担持させる方法は、特に限定されないが、例えば触媒元素を含む塩(例えば硝酸塩、硫酸塩、塩化物など)もしくは触媒元素を含む化合物を溶解させた水溶液もしくは有機溶液中に、活物質を含浸させ、その後、溶媒成分のみを除去する方法が挙げられる。溶媒成分の除去は、エバポレータなどの装置を用いて行うことができる。このような方法によれば、活物質の表面に、触媒元素を硝酸塩、硫酸塩、塩化物などの状態で均一に担持することができる。
【0037】
触媒元素を含む塩もしくは化合物としては、例えば、硝酸ニッケル六水和物、硝酸コバルト六水和物、硝酸鉄九水和物、硝酸銅三水和物、硝酸マンガン六水和物、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物などを挙げることができる。なかでも硝酸塩が好ましい。
【0038】
溶液の溶媒は、塩もしくは化合物の溶解度、活物質との相性などを考慮して、水、有機溶媒、水と有機溶媒との混合物などから好適なものを選択すればよい。有機溶媒としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール、トルエン、ベンゼン、ヘキサン、テトラヒドロフランなどを用いることができる。
【0039】
触媒元素は、活物質100重量部あたり、0.01〜10重量部を担持させることが好ましく、1〜3重量部を担持させることが更に好ましい。触媒元素の量が少なすぎると、カーボンナノファイバを成長させるのに長時間を要し、生産効率が低下する場合がある。触媒元素の量が多すぎると、触媒元素の凝集により、不均一で太い繊維径のカーボンナノファイバが成長し、電極の導電性や活物質密度が低下することがある。また、複合活物質に占める活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)の割合が相対的に少なくなりすぎ、高容量の電極を得ることが困難となる。
【0040】
活物質粒子の表面にカーボンナノファイバを成長させた場合、活物質粒子の表面とカーボンナノファイバとの結合は、結着剤などの樹脂成分を介するものではなく、化学結合そのものである。そのため電池内では集電に対する抵抗が小さくなり、高い電子伝導性が確保される。従って、良好な初期充放電特性が期待できる。
【0041】
次に、活物質の表面にカーボンナノファイバを成長させる際の手順や条件について例示する。
触媒元素を担持した活物質を、原料ガスを含む高温雰囲気中に導入すると、活物質の表面に結合したカーボンナノファイバの成長が進行する。
【0042】
例えば石英製の反応容器に、触媒元素を担持した活物質を投入し、不活性ガス中で400〜750℃、好ましくは500〜600℃になるまで昇温する。その後、カーボンナノファイバの原料ガスを反応容器に導入し、反応容器内の温度を400〜750℃、好ましくは500〜600℃に維持する。反応容器内の温度が400℃未満では、カーボンナノファイバの成長が遅くなりすぎ、生産性が損なわれることがある。反応容器内の温度が750℃を超えると、原料ガスの分解が促進され、カーボンナノファイバの生成が妨げられることがある。
【0043】
カーボンナノファイバの成長を終了させる際には、原料ガスを、不活性ガスに置換し、反応容器内を室温まで冷却させる。
活物質の表面に成長させるカーボンナノファイバの量は、活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)100重量部あたり、5〜150重量部が望ましい。カーボンナノファイバの量が少なすぎると、電極の導電性を高めたり、電池の充放電特性やサイクル特性を高めたりする効果が十分に得られないことがある。カーボンナノファイバの量が多くても、電極の導電性や電池の充放電特性やサイクル特性の観点からは問題ないが、電極の活物質密度や電池の容量が小さくなる。
【0044】
本発明の製造法では、反応容器の材質として、カーボン、鋳鉄、アルミナなどを用いることが好ましい。反応容器の材質として石英を用いることもできるが、石英は加工性に難点があるため、反応容器の大型化が難しく、生産性を向上させることが困難となる。一方、カーボン、鋳鉄、アルミナなどは、耐熱性が高く、かつ、高温雰囲気に暴露された場合でも、炭素含有ガスとほとんど反応しない上、加工性に優れている。
【0045】
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の実施態様の一部を例示するものに過ぎず、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0046】
本実施例では、活物質として酸化ケイ素(SiO)、触媒元素としてNiを用い、炭素含有ガスとしてエチレンガスを用い、以下の手順で、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【0047】
関東化学(株)製の硝酸ニッケル6水和物(特級)1gを、イオン交換水100gに溶解させ、得られた溶液を平均粒径10μm以下に粉砕された(株)高純度化学研究所製の酸化ケイ素20gと混合した。この混合物を1時間攪拌後、エバポレータ装置で水分を除去することで、酸化ケイ素粒子の表面に、硝酸ニッケルを担持させた。
【0048】
硝酸ニッケルを担持した酸化ケイ素を、石英製の反応容器に投入し、ヘリウムガス存在下で550℃まで昇温させた。その後、ヘリウムガスを、水素ガス2体積%とエチレンガス98体積%との混合ガスに置換し、反応容器内を550℃で1時間保持した。
【0049】
その後、混合ガスをヘリウムガスに置換し、反応容器内が室温になるまで冷却した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の負極材料として用いることができるものであり、酸化ケイ素100重量部あたり、カーボンナノファイバを約101重量部含んでいた。なお、カーボンナノファイバの重量は、それを成長させる前後の酸化ケイ素の重量変化から測定した。
【実施例2】
【0050】
水素ガス2体積%とエチレンガス98体積%との混合ガスの代わりに、エチレン100体積%の単独ガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例3】
【0051】
水素ガス2体積%とエチレンガス98体積%との混合ガスの代わりに、水素ガス5体積%とエチレンガス95体積%との混合ガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例4】
【0052】
石英製反応容器の代わりに、カーボン製反応容器を用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例5】
【0053】
石英製反応容器の代わりに、鋳鉄製反応容器を用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例6】
【0054】
石英製反応容器の代わりに、アルミナ製反応容器を用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【比較例1】
【0055】
水素ガス2体積%とエチレンガス98体積%との混合ガスの代わりに、水素ガス10体積%とエチレンガス90体積%との混合ガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【比較例2】
【0056】
水素ガス2体積%とエチレンガス98体積%との混合ガスの代わりに、水素ガス50体積%とエチレンガス50体積%との混合ガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【比較例3】
【0057】
水素ガス2体積%とエチレンガス98体積%との混合ガスの代わりに、水素ガス50体積%とエチレンガス50体積%との混合ガスを用い、更に、石英製反応容器の代わりに、カーボン製反応容器を用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【比較例4】
【0058】
水素ガス2体積%とエチレンガス98体積%との混合ガスの代わりに、水素ガス50体積%とエチレンガス50体積%との混合ガスを用い、更に、石英製反応容器の代わりに、鋳鉄製反応容器を用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【比較例5】
【0059】
水素ガス2体積%とエチレンガス98体積%との混合ガスの代わりに、水素ガス50体積%とエチレンガス50体積%との混合ガスを用い、更に、石英製反応容器の代わりに、アルミナ製反応容器を用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【0060】
実施例1〜6および比較例1〜5において、カーボンナノファイバの生成率および問題点を表1に示した。カーボンナノファイバの生成率は、以下の式(1):
「カーボンナノファイバの生成率(重量%)=
100×(生成したカーボンナノファイバの重量÷活物質の重量)」
より求めた。
【0061】
【表1】


【0062】
表1に示すように、実施例1〜6では、比較例1、2と比較して、カーボンナノファイバの生成率(収率)が大幅に向上した結果が得られた。
比較例3に関しては、水素ガスと触媒との共存効果により、反応容器を構成するカーボンのガス化が確認された。反応容器には、数回実験に用いただけで、極度な強度劣化が確認された。
【0063】
比較例4で用いた鋳鉄製反応容器についても同様に、鋳鉄中に含まれるカーボン成分がガス化により侵食され、反応容器自体の強度劣化に繋がった。
【0064】
比較例5に関しては、アルミナの劣化により、水素ガスの微量リークが検出され、実験的も満足に検討することができなかった。
【実施例7】
【0065】
硝酸ニッケル6水和物1gの代わりに、関東化学(株)製の硝酸コバルト6水和物(特級)1gをイオン交換水100gに溶解させたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例8】
【0066】
硝酸ニッケル6水和物1gの代わりに、関東化学(株)製の硝酸鉄九水和物(特級)1gをイオン交換水100gに溶解させたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例9】
【0067】
硝酸ニッケル6水和物1gの代わりに、関東化学(株)製の七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(特級)1gをイオン交換水100gに溶解させたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例10】
【0068】
硝酸ニッケル6水和物1gの代わりに、関東化学(株)製の硝酸ニッケル6水和物0.5gと硝酸コバルト6水和物0.5gとをイオン交換水100gに溶解させたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【比較例6】
【0069】
硝酸ニッケル6水和物を溶解させなかったこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素を含む活物質を調製した。
【0070】
実施例1、7〜10および比較例6において、カーボンナノファイバの生成率を表2に示した。カーボンナノファイバの生成率は上記式(1)から求めた。
【0071】
【表2】


【0072】
表2に示すように、触媒種が代わっても、カーボンナノファイバの生成率は大きく影響されず、一律に高収率であった。一方、触媒が存在しない比較例6に関しては、全くカーボンナノファイバが生成しないことも明らかになった。
【実施例11】
【0073】
炭素含有ガスとしてエチレンガスの代わりに、エタンガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例12】
【0074】
炭素含有ガスとしてエチレンガスの代わりに、アセチレンガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例13】
【0075】
炭素含有ガスとしてエチレンガスの代わりに、プロパンガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例14】
【0076】
炭素含有ガスとしてエチレンガスの代わりに、プロペンガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例15】
【0077】
炭素含有ガスとしてエチレンガスの代わりに、プロピンガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例16】
【0078】
炭素含有ガスとしてエチレンガスの代わりに、アレンガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例17】
【0079】
炭素含有ガスとしてエチレンガス98体積%の代わりに、エタンガス28体積%とエチレンガス70体積%とを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例18】
【0080】
炭素含有ガスとしてエチレンガス98体積%の代わりに、エタンガス49体積%とエチレンガス49体積%とを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例19】
【0081】
炭素含有ガスとしてエチレンガス98体積%の代わりに、エタンガス70体積%とエチレンガス28体積%を用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例20】
【0082】
炭素含有ガスとしてエチレンガスの代わりに、メタンガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例21】
【0083】
炭素含有ガスとしてエチレンガスの代わりに、一酸化炭素ガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【比較例7】
【0084】
エチレンガスの代わりに、ヘキサンとヘリウムとの混合ガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素を含む複合活物質を調製した。ヘリウムガスは、常温で液体であるヘキサンのキャリアガスとして混合させた。
【比較例8】
【0085】
エチレンガスの代わりに、ベンゼンとヘリウムとの混合ガスを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素を含む複合活物質を調製した。ヘリウムガスは、常温で液体であるベンゼンのキャリアガスとして混合させた。
実施例1、11〜21および比較例7、8において、カーボンナノファイバの生成率を表3に示した。カーボンナノファイバの生成率は上記式(1)から求めた。
【0086】
【表3】


【0087】
表3に示すように、実施例1、11〜21で使用した炭素含有ガスは、比較例7、8で使用したガスと比較して、高いカーボンナノファイバの生成率が得られた。また、飽和炭化水素ガスを多く含む原料ガスを用いた場合、カーボンナノファイバの生成率は低下する傾向も得られた。
【0088】
比較例7、8で用いた炭素原子が6個含まれる化合物は、重合性が高く、特にベンゼンは触媒がなくても重縮合反応が進行しやすい。そのため触媒を基点としてカーボンファイバを形成せず、活物質表面にカーボン被膜もしくは炭化物を形成してしまう。そのためカーボンナノファイバの生成は認められなかった。
【実施例22】
【0089】
カーボンナノファイバの合成を550℃で行う代わりに、400℃で行ったこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例23】
【0090】
カーボンナノファイバの合成を550℃で行う代わりに、600℃で行ったこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
【実施例24】
【0091】
カーボンナノファイバの合成を550℃で行う代わりに、750℃で行ったこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。
実施例1、22〜24において、カーボンナノファイバの生成率を表4に示した。カーボンナノファイバの生成率は上記式(1)から求めた。
【0092】
【表4】


【0093】
表4に示すように、実施例1、22〜24の合成温度範囲では、いずれもカーボンナノファイバの高い生成率が得られた。
【実施例25】
【0094】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕し、更に、1000℃で1時間の酸化処理を施した(株)高純度化学研究所製のSiを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の負極材料として用いることができる。
【実施例26】
【0095】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕し、更に、150℃で30分間の酸化処理を施した(株)高純度化学研究所製のSnを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、すずとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の負極材料として用いることができる。
【実施例27】
【0096】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕された(株)高純度化学研究所製のSnOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、一酸化酸化スズとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の負極材料として用いることができる。
【実施例28】
【0097】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕された(株)高純度化学研究所製のSnOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、二酸化スズとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の負極材料として用いることができる。
【実施例29】
【0098】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕し、更に、600℃で30分間の酸化処理を施した(株)高純度化学研究所製のGeを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、ゲルマニウムとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の負極材料として用いることができる。
【実施例30】
【0099】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕された(株)高純度化学研究所製のGeOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、一酸化ゲルマニウムとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の負極材料として用いることができる。
【実施例31】
【0100】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕された(株)高純度化学研究所製のGeOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、二酸化ゲルマニウムとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の負極材料として用いることができる。
【実施例32】
【0101】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕されたLiCoOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、コバルト酸リチウムとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の正極材料として用いることができる。
【実施例33】
【0102】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕されたLiNiOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、ニッケル酸リチウムとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の正極材料として用いることができる。
【実施例34】
【0103】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕されたLiMnを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、マンガン酸リチウムとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の正極材料として用いることができる。
【実施例35】
【0104】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕されたLiFePOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、LiFePOとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の正極材料として用いることができる。
【実施例36】
【0105】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕された(株)高純度化学研究所製のRuOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ルテニウムとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、電気化学キャパシタの電極材料として用いることができる。
【実施例37】
【0106】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕された(株)高純度化学研究所製のMnOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、二酸化マンガンとカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、電気化学キャパシタの電極材料として用いることができる。
【比較例9】
【0107】
活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)として、SiOの代わりに、10μm以下に粉砕された(株)高純度化学研究所製のSiを、酸化処理を行わずにそのまま用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、ケイ素とカーボンナノファイバとを含む複合活物質を調製した。得られた複合活物質は、例えば、非水電解質二次電池の負極材料として用いることができる。
【比較例10】
【0108】
水素ガス2体積%とエチレンガス98体積%との混合ガスの代わりに、水素ガス50体積%とエチレンガス50体積%との混合ガスを用い、活物質(電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料)としてSiOの代わりに、10μm以下に粉砕されたSnOを用いたこと以外、実施例1と同様の操作を行い、酸化ケイ素を含む活物質を調製した。
【0109】
実施例1、23〜37および比較例9、10において、カーボンナノファイバの生成率と活物質の構造変化の有無を表5に示した。カーボンナノファイバの生成率は上記式(1)から求めた。活物質の構造変化については、カーボンナノファイバを成長させる前後の活物質を粉末X線回折で測定し、熱履歴および水素ガス還元による結晶構造の変化の有無を調べた。
【0110】
【表5】



【0111】
表5に示すように、実施例1、25〜37では、いずれもカーボンナノファイバの生成が確認できる。カーボンナノファイバの生成率は、電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料の式量に依存する傾向がある。式量が大きくなると、カーボンナノファイバの生成率は小さくなり、式量が小さくなると、カーボンナノファイバの生成率は高くなる。相対的にみると、若干比表面積などの影響でバラツキは生じるが、カーボンナノファイバの生成量は、ほぼ同程度となる。
【0112】
一方、比較例9、すなわち表層部に酸化物を含まないSiを用いた場合、実施例25と比較して、カーボンナノファイバの生成率は半減する結果が得られた。このことから、活物質の表層部における酸化物の存在が、触媒の還元性、およびそれに伴う触媒活性を向上させ、カーボンナノファイバの生成率を向上させていると推測される。
【0113】
さらに、原料ガス中の水素ガス濃度を高くして、原料に二酸化スズを用いた比較例10においては、水素ガスと熱履歴により、二酸化スズ自体の還元反応が確認された。カーボンナノファイバの生成が認められない原因は、酸化スズの還元反応により触媒が活物質表面から脱離し、更に、還元反応で生成した水により触媒が酸化され、不活性化したのではないかと推測している。
【実施例38】
【0114】
実施例1で製造された複合活物質を用い、非水電解液二次電池用電極板を作製した。
すなわち、複合活物質100重量部に対し、フッ化ビニリデン樹脂からなる結着剤10重量部と、適量のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とを混合して、合剤スラリーを調製し、そのスラリーを厚さ10μmのCu箔両面上にキャスティングし、乾燥後、合剤を圧延して、電極板を得た。得られた電極板の合剤密度は1.2g/cmであった。
【0115】
この電極板を80℃のオーブンで十分に乾燥させた後、作用極として用い、リチウム金属箔をその対極として用いて、作用極で容量規制されたコイン型リチウムイオン電池を作製した。
【0116】
非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積1:1の混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを使用した。
【実施例39】
【0117】
実施例1で製造された複合活物質の代わりに、実施例25で製造された複合活物質を用いたこと以外、実施例38と同様の操作を行い、コイン型リチウムイオン電池を作製した。
【比較例11】
【0118】
10μm以下に粉砕されたSiOを100重量部に対し、導電材であるアセチレンブラックを100重量部添加し、混合した。得られた混合物を、実施例1で製造された複合活物質の代わりに用いたこと以外、実施例38と同様の操作を行い、コイン型リチウムイオン電池を作製した。
【比較例12】
【0119】
実施例1で製造された複合活物質の代わりに、比較例9で製造された複合活物質を用いたこと以外、実施例38と同様の操作を行い、コイン型リチウムイオン電池を作製した。
【0120】
実施例38、39および比較例11、12で得られたコイン型リチウムイオン電池の初期放電効率とサイクル効率を表6に示した。
なお、初期放電効率は、電池を0.2Cの速度で充電し、1Cもしくは2Cの各速度で放電し、1C放電容量に対する2C放電容量の割合であり、次式:
「初期放電効率(%)=(2C放電容量÷1C放電容量)×100」
により求めた。
【0121】
サイクル効率は、1Cの充放電速度で得られた初期放電容量に対する、同充放電速度で充放電を100サイクル繰り返した時の放電容量の割合であり、次式:
「サイクル効率(%)
=(100サイクル後の放電容量÷初期放電容量)×100」
【0122】
【表6】


【0123】
表6に示すように、実施例38、39では、比較例11、12と比較して、初期放電効率とサイクル効率が優れる結果が得られた。カーボンナノファイバを電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料の表面に成長させたことにより、強固な導電性ネットワークの形成が可能となり、これが初期放電特性とサイクル効率の向上に繋がったものと考えられる。
【0124】
施例39と比較例12の結果からは、表層部に酸化物を含む活物質を用いた方が、優れた電池特性が得られることがわかる。これについては、表層部に酸化物が存在する方が、触媒元素が活物質表面に強固に担時され、より均一にカーボンナノファイバが成長したことが原因と考えられる。
【実施例40】
【0125】
実施例32で製造された複合活物質を用い、非水電解液二次電池用電極板を作製した。
すなわち、複合活物質100重量部に対し、フッ化ビニリデン樹脂からなる結着剤10重量部と、適量のNMPとを混合して、合剤スラリーを調製し、そのスラリーを厚さ10μmのAl箔両面上にキャスティングし、乾燥後、合剤を圧延して、電極板を得た。得られた電極板の合剤密度は2.8g/cmであった。
【0126】
この電極板を80℃のオーブンで十分に乾燥させた後、作用極として用い、リチウム金属箔をその対極として用いて、作用極で容量規制されたコイン型リチウムイオン電池を作製した。
【0127】
非水電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの体積1:1の混合溶媒に、LiPFを1.0mol/Lの濃度で溶解させたものを使用した。
【比較例13】
【0128】
10μm以下に粉砕されたLiCoOを100重量部に対し、導電材であるアセチレンブラックを55重量部添加し、混合した。得られた混合物を、実施例32で製造された複合活物質の代わりに用いたこと以外、実施例40と同様の操作を行い、コイン型リチウムイオン電池を作製した。
実施例40と比較例13で得られた電池の初期放電効率とサイクル効率を表7に示した。
【0129】
なお、初期放電効率は、電池を0.2Cの速度で充電し、1Cもしくは2Cの各速度で放電し、1C放電容量に対する2C放電容量の割合であり、次式:
「初期放電効率(%)=(2C放電容量÷1C放電容量)×100」
により求めた。
【0130】
サイクル効率は、1Cの充放電速度で得られた初期放電容量に対する、同充放電速度で充放電を500サイクル繰り返した時の放電容量の割合であり、次式:
「サイクル効率(%)
=(500サイクル後の放電容量÷初期放電容量)×100」
【0131】
【表7】


【0132】
表7に示すように、実施例40で得られた初期放電効率とサイクル効率は、比較例13と比較して、優れていた。カーボンナノファイバを電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料の表面に成長させたことにより、強固な導電性ネットワークの形成が可能となり、これが初期放電特性とサイクル効率の向上に繋がったものと考えられる。
【実施例41】
【0133】
実施例36で製造された複合活物質を用い、電気二重層キャパシタ用電極板を作製した。
すなわち、複合活物質100重量部に対し、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる結着剤7重量部と、適量の水とを混合して、合剤スラリーを調製し、そのスラリーを厚さ10μmのSUS箔両面上にキャスティングし、乾燥後、合剤を圧延して、電極板を得た。
【0134】
この電極板を150℃のオーブンで十分に乾燥させた。一対の電極板を作製し、これらで、セルロース系セパレータを挟み、コイン型電気二重層キャパシタを作製した。電解液には、エチルメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレートを1.5mol/Lの濃度でスルフォランに溶解させたものを使用した。
【比較例14】
【0135】
10μm以下に粉砕されたRuOを100重量部に対し、導電材であるアセチレンブラックを43重量部添加し、混合した。得られた混合物を、実施例36で製造された複合活物質の代わりに用いたこと以外、実施例41と同様の操作を行い、コイン型電気二重層キャパシタを作製した。
【0136】
実施例41と比較例14で得られた電気二重層キャパシタに関し、1kHzでのインピーダンスを測定した。
【0137】
【表8】


【0138】
表8に示すように、実施例41で得られた1Kzのインピーダンスは、比較例14と比較して、低くなった。カーボンナノファイバを電気化学的に電気容量を蓄積可能な材料の表面に成長させたことにより、強固な導電性ネットワークの形成が可能となり、これが界面抵抗成分の低減に繋がったと考えている。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の製造法によれば、電気化学的に電気容量を蓄積することが可能な活物質の表面にカーボンナノファイバを効率的に成長させることが可能となるため、電池、電気化学キャパシタ等の電気化学素子の電極に用いる活物質の製造法として有用である。




 

 


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