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発明の名称 アルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−12344(P2007−12344A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−189410(P2005−189410)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 川勝 徹 / 中井 晴也 / 海老原 孝 / 湯浅 浩次
要約 課題
電池使用環境下で安定な多糖類を用いつつ、電池特性向上のために電極に添加した各種添加剤の分散性が向上できる、効率的なアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法を提供する。

解決手段
平均粒子径が異なる2種の粉末と多糖類とを含むことを前提としており、大きい粉末Aの平均粒子径が8〜35μm、小さい粉末Bの平均粒子径が0.1〜5μmであって、粉末Bと多糖類とを混練する第一の工程と、第一の工程の混練物と粉末Aとを混練する第二の工程とからなる。
特許請求の範囲
【請求項1】
平均粒子径が異なる2種の粉末と、多糖類とを含むアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法であって、
前記粉末のうち大きい方の粉末Aの平均粒子径は8〜35μmであり、小さい方の粉末Bの平均粒子径は0.1〜5μmであり、
前記粉末Bと前記多糖類とを混練する第一の工程と、
前記第一の工程の混練物と前記粉末Aとを混練する第二の工程とからなることを特徴とするアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法。
【請求項2】
前記粉末A、粉末Bおよび多糖類に加えて、粒子状の結着剤を含んでおり、
前記第一および第二の工程に加えて、前記第二の工程の混練物と前記結着剤とを混練する第三の工程を有することを特徴とする、請求項1記載のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法。
【請求項3】
前記粉末Aは水酸化ニッケルであり、前記粉末Bはコバルト、コバルト化合物および希土類元素化合物の少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1記載のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法。
【請求項4】
前記多糖類がキサンタンガムであることを特徴とする、請求項3記載のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法。
【請求項5】
前記粉末Aは水素吸蔵合金であり、前記粉末Bは希土類元素化合物であることを特徴とする、請求項1記載のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法。
【請求項6】
前記多糖類がカルボキシメチルセルロースおよびその変性体であることを特徴とする、請求項5記載のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法に関し、より詳しくはアルカリ蓄電池の特性改良に不可欠な電極合剤の分散性向上技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の著しい普及にともない、高エネルギー密度なアルカリ蓄電池の開発が要望されている。この要望を受けて、ニッケルカドミウム蓄電池(以下ニカド電池という)の分野においては、従来の焼結式ニッケル正極を用いたニカド電池の高容量化が進み、また、これより30〜60%高容量である発泡メタル式ニッケル正極を用いた高エネルギー密度のニカド電池が開発されている。さらに、負極に水素吸蔵合金を用いた、ニカド電池よりもさらに高容量化したニッケル水素蓄電池(以下Ni/MHという)が開発されている。
【0003】
中でもNi/MHについては、正極のエネルギー密度を向上させるために、発泡ニッケル多孔体やニッケル繊維多孔体などの多孔度の高い3次元金属多孔体に、水酸化ニッケルや水素吸蔵合金などの活物質を含む電極合剤を高密度に充填・圧延したものが用いられている。 これらの正極、負極には、利用率の向上や高温特性の向上など各種特性の改善を目的として、様々な添加剤が添加される。一般的に添加剤は活物質より平均粒子径が小さいので、効率的な分散を目的とした電極合剤ペーストの製造方法が種々提案されている。
【0004】
具体的には、練合において撹拌の回転数を変化させ、添加剤の分散性を向上させて利用率を図る方法(例えば、特許文献1)、活物質と添加剤の混合物にアルカリ液を加えて混練することで添加効果を高める方法(例えば、特許文献2)、活物質と添加剤とを混合し、固練り状態で混練して分散性を高める方法(例えば、特許文献3)が提案されている。
【特許文献1】特開平06−036767号公報
【特許文献2】特開平10−106552号公報
【特許文献3】特開2001−167756号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ニカド電池やNi/MHなどのアルカリ蓄電池は、分散性を高めペーストに適度な粘性を持たせるための増粘剤として、耐アルカリ性および電気化学的安定性が高い多糖類を用いる。この多糖類とともに平均粒子径が異なる複数の粉末を混練した場合に、特許文献1〜3の方法を用いても、分散が不均一となり、利用率が低下するという課題があった。
【0006】
本発明は上記の課題を解決するものであり、電池使用環境下で安定な多糖類を用いつつ、電池特性向上のために電極に添加した各種添加剤の分散性が向上できる、効率的なアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法は、平均粒子径が異なる2種の粉末と多糖類とを含むことを前提としており、大きい粉末Aの平均粒子径が8〜35μm、小さい粉末Bの平均粒子径が0.1〜5μmであって、粉末Bと多糖類とを混練する第一の工程と、第一の工程の混練物と粉末Aとを混練する第二の工程とからなることを特徴とする。
【0008】
多糖類は飽和6員環を主体とした繰り返し単位からなる鎖状構造を有しているため、増
粘作用は高いものの、6員環が飽和結合であるがゆえに立体障害が大きく、鎖状構造に柔軟性がない(折れ曲がりにくい)。そのため、大きい粉末である活物質と、小さい粉末である添加剤と、多糖類とを同時に投入し混練すると、柔軟性のない多糖類は緩やかな球面を持った活物質のみに選択的に吸着する。したがって分散剤を兼ねる多糖類にほとんど吸着されない添加剤は電極合剤ペースト中で凝集し、分散性が低下する。しかるに本発明の製造方法では、多糖類に吸着されにくい添加剤を先に多糖類と混練することで、電極合剤ペースト内の添加剤の分散状態が良化するため、電池特性が向上する。
【0009】
なお上述の説明では、粉末Aとして活物質を、粉末Bとして添加剤を例に本発明の効果を述べたが、充填性向上のために平均粒子径のみ異なる2種の同組成の活物質を用いた場合でも、同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように本発明によれば、平均粒子径が異なる2種の粉末の分散性を高めることができるので、粒子径が小さい粉末が添加剤であればその効果が飛躍的に向上するので、寿命特性をはじめとして電池諸特性に優れたアルカリ蓄電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に本発明のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法について、詳細に説明する。
【0012】
請求項1に記載の発明は、平均粒子径が異なる2種の粉末と多糖類とを含むことを前提としたアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法であって、大きい粉末Aの平均粒子径が8〜35μm、小さい粉末Bの平均粒子径が0.1〜5μmであって、粉末Bと多糖類とを混練する第一の工程と、第一の工程の混練物と粉末Aとを混練する第二の工程とからなることを特徴とする。上述したように多糖類は増粘作用が高いものの、鎖状構造に柔軟性がなく折れ曲がりにくい。ここで仮に上述した材料を一括混練した場合、多糖類は大きい方の粉末Aのみに選択的に吸着し、粉末Bは分散剤を兼ねる多糖類にほとんど吸着されずに電極合剤ペースト中で凝集する。請求項1に記載したように、多糖類に吸着されにくい粉末Bを先に多糖類と混練することにより、電極合剤ペースト内の分散性とともに電池特性を向上させることができる。
【0013】
ここで粉末Aが活物質であり粉末Bが添加剤である場合、添加剤の効果(導電性・高温充電効率など)が向上するので好ましい。また粉末A・Bともに活物質である場合、電極合剤ペーストの塗布・充填効率(g/ml)が向上して高容量化が無理なく達成できるので好ましい。
【0014】
なお、粉末Aは平均粒子径が8〜35μmである必要がある。8μm未満の場合は多糖類の吸着性が低下するので好ましくなく、35μmを超える場合は電極合剤ペーストの塗布・充填効率が顕著に低下するので好ましくない。また粉末Bは平均粒子径が0.1〜5μmである必要がある。0.1μm未満の場合は本発明の製造方法をもってしても多糖類の吸着性が低下するので好ましくなく、5μmを超える場合は添加剤としての機能や電極合剤ペーストの塗布・充填効率が顕著に低下するので好ましくない。
【0015】
請求項2に記載の発明は、粉末A・粉末Bおよび多糖類に加えて粒子状の結着剤を含んでおり、上述した第一および第二の工程に加えて、第二の工程の混練物と結着剤とを混練する第三の工程を有することを特徴とする。粒子状の結着剤としてはスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(以下SBRという)やその変性体、ポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEという)およびアクリルニトリル単位を含む変性ゴムなどを挙げることができるが、これら結着剤はそれら自身の表面あるいは表面に吸着させた界面活性剤に、酸素原子
を含む官能基を有している。この官能基は多糖類中に存在する水酸基やエーテル部位との親和性が高いので、電極合剤ペーストの密着性を上げる観点から上述した結着剤を用いる場合、多糖類との化学的親和性が高くない粉末A・Bと多糖類とを先に混練し、その後に結着剤を添加・混練するのが好ましい。
【0016】
請求項3に記載の発明は、粉末Aが水酸化ニッケルであり、粉末Bがコバルト、コバルト化合物および希土類元素化合物の少なくとも1つであることを特徴とする。この組成はアルカリ蓄電池の正極に関するものであり、コバルトおよびコバルト化合物は導電性を有さない水酸化ニッケル(正極活物質)に導電ネットワークを持たせるために添加され、希土類元素化合物は主に高温充電効率を向上するために添加される。上述した材料からなる正極合剤ペーストを本発明の製造方法にて作製することにより、アルカリ蓄電池の電池諸特性を向上させることができる。なおコバルト化合物の一例としてはCoO、Co(OH)2およびCoOOHを挙げることができ、希土類元素化合物の一例としてはY23、Yb23、Lu23、Tm23およびEr23を挙げることができる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、請求項3の要件に加え、多糖類がキサンタンガムであることを特徴とする。キサンタンガムはグルコースの結合による主鎖部分と、マンノースなどからなる側鎖部分とから成り、一般的な多糖類であり主鎖部分のみから成るカルボキシメチルセルロース(以下CMCという)よりも増粘効果が大きい。よってコバルト・コバルト化合物・希土類元素化合物など、比重の大きな添加剤の沈降を抑制することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、粉末Aが水素吸蔵合金であり、粉末Bが希土類元素化合物であることを特徴とする。この組成はNi/MHの負極に関するものであり、希土類元素化合物は高温充電効率やアルカリ電解液に対する耐腐食性を向上するために添加される。上述した材料からなる負極合剤ペーストを本発明の製造方法にて作製することにより、Ni/MHの電池諸特性を向上させることができる。なお希土類元素化合物の一例としては請求項3と同様のものを挙げることができる。さらにここで、導電性を高めるために炭素質材料(例えばケッチェンブラック・カーボンブラックなどのハードカーボン)を添加するのも好ましい態様の1つである。炭素質材料は凝集状態により2次粒子径が変動するものの、表面物性的に分散媒(水や極性溶媒など)との親和性が低いので、粉末Bとともに第1の工程にて混練するのが好ましい。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5の要件に加え、多糖類がCMCおよびその変性体であることを特徴とする。上述したように増粘効果はキサンタンガムのように側鎖部分を有する多糖類の方が高いが、粉末Aが水素吸蔵合金である場合、多糖類としてCMCおよびその変性体を選択するのが好ましい。この理由として、水素吸蔵合金の形状が砕石状であり、水酸化ニッケルのように球形ではないため、比較的柔軟性の高い構造を有する多糖類の方が吸着しやすいためと考えられる。なおCMCの変性体としては、エーテル化した部分をナトリウム塩およびアンモニウム塩にしたものが挙げられる。
【0020】
上述した構成(活物質+添加剤)の他に、粉末A・Bとして平均粒子径の異なる2種の水酸化ニッケルを用いた場合、電極合剤ペーストの塗布・充填効率(g/ml)が向上するので高容量化が無理なく達成できる。なおこの場合、水酸化ニッケルの表面をコバルト・コバルト化合物および希土類元素化合物で被覆しておけば、塗布・充填効率の向上に加えて請求項3の効果を付与できるので、より好ましい。
【0021】
図1は本発明のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法を示すフローチャート図である。第一の工程として、小さい方の粉末B・適量の多糖類および分散媒(水や極性溶剤など)とを予め混練する。引続き第二の工程として、第一の工程の混練物に大きい方の粉末Aを加え、さらに必要に応じ適量の分散媒を加えて混練する。ここで電極合剤ペース
トの密着性を揚げる観点から粒子状の結着剤を用いる場合、第三の工程として第二の工程の混練物に上述した結着剤を加えることになる。
【0022】
以下に実施例をあげて、本発明を更に詳しく説明する。
【実施例1】
【0023】
(実施例1−1)
図1に沿って金属コバルト粉末、CoOOH粉末、Yb23粉末(全て平均粒子径4μm)とキサンタンガム粉末とを適量の純水とともに混練し、正極添加剤ペーストを作製した。このペーストに平均粒子径が10μmの水酸化ニッケル粉末を加えて練合撹拌し、さらにPTFE結着剤の分散液(第一工業製薬製D−1:商品名)を加えて正極合剤ペーストを作製した。ここで水酸化ニッケル100重量部に対して、金属コバルトは5重量部、CoOOHは5重量部、Yb23は4重量部、キサンタンガムは0.15重量部、PTFEは0.1重量部である(それぞれ固形分比)。このようにして作製した正極合剤ペーストを電極支持体である発泡状ニッケル多孔体へ充填し、乾燥、加圧後に所定の寸法(幅35mm、長さ220mm、厚み0.6mm)に切断して2800mAhの理論容量を持つ正極を作製した。
【0024】
一方、図1に沿ってY23粉末(平均粒子径4μm)、炭素質材料としてケッチェンブラック粉末およびCMC(第一工業製薬製EP/商品名)を適量の純水とともに混練し、負極添加剤ペーストを作製した。このペーストに熱アルカリ浸漬処理を経た水素吸蔵合金粉末(平均粒子径27μm)を加えて練合撹拌し、さらにSBRの分散液(日本エーアンドエル社製NSK−72/商品名)を加えて負極合剤ペーストを作製した。ここで水素吸蔵合金100重量部に対して、Y23は0.7重量部、ケッチェンブラックは0.3重量部、CMCは0.15重量部である(それぞれ固形分比)。このようにして作製した負極合剤ペーストを二次元多孔体であるパンチングメタルに塗布し、乾燥、加圧後に所定の寸法(幅35mm、長さ310mm、厚み0.30mm)に切断して4200mAhの理論容量を持つ負極を作製した。
【0025】
以上の正負極を用いて円筒状の密閉型NI/MHを作製した。正負極およびこれらを隔絶するスルホン化ポリプロピレン製のセパレータを渦巻き状に旋回した電極群を、負極端子を兼ねるケースに挿入し、比重が1.27である水酸化カリウム−水酸化ナトリウム−水酸化リチウムからなるアルカリ電解液を4.7ml注入した後、安全弁および端子部を備えた封口板を配置して封口した。このようにして作製した電池を、実施例1−1の電池とする。
【0026】
(実施例1−2〜3)
実施例1−1に対し、水酸化ニッケルの平均粒子径を15および8μmとした以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、実施例1−2および1−3の電池とする。
【0027】
(実施例1−4〜6)
実施例1−1に対し、金属コバルト粉末、CoOOH粉末およびYb23粉末の平均粒子径を、全て5、2および0.1μmとした以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、実施例1−4、1−5および1−6の電池とする。
【0028】
(実施例1−7〜8)
実施例1−1に対し、水素吸蔵合金粉末の平均粒子径を20および35μmとした以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、実施例1−7および1−8の電池とする。
【0029】
(実施例1−9〜11)
実施例1−1に対し、Y23粉末の平均粒子径を5、2および0.1μmとした以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、実施例1−9、1−10および1−11の電池とする。
(比較例1−1)
従来の一括混練法である図2に沿って金属コバルト粉末、CoOOH粉末、Yb23粉末(全て平均粒子径4μm)と酸化亜鉛粉末とキサンタンガム粉末および平均粒子径が10μmの水酸化ニッケル粉末を適量の純水とともに一括混練して正極合剤ペーストを作製した以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、比較例1−1の電池とする。
(比較例1−2)
従来の一括混練法である図2に沿ってY23粉末、ケッチェンブラック粉末(共に平均粒子径4μm)とCMCおよび熱アルカリ浸漬処理を経た水素吸蔵合金粉末(平均粒子径27μm)を適量の純水とともに一括混練して負極合剤ペーストを作製した以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、比較例1−2の電池とする。
(比較例1−3)
実施例1−1に対し、水酸化ニッケルの平均粒子径を7μmとした以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、比較例1−3の電池とする。
(比較例1−4〜5)
実施例1−1に対し、金属コバルト粉末、CoOOH粉末およびYb23粉末の平均粒子径を、全て6および0.05μmとした以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、比較例1−4および1−5の電池とする。
(比較例1−6)
実施例1−1に対し、水素吸蔵合金粉末の平均粒子径を40μmとした以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、比較例1−4の電池とする。
(比較例1−7〜8)
実施例1−1に対し、Y23粉末の平均粒子径を7および0.05μmとした以外は、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、比較例1−7および1−8の電池とする。
【0030】
以上の各電池を24時間放置した後、25℃雰囲気下で以下に示す初充放電を行い、その後に諸評価を行った。結果を(表1)に示す。
初充放電条件:
充電−280mAにて15時間(充電後に1時間放置)。
放電−900mAにて1.0Vに達するまで。
【0031】
(常温充放電試験)
25℃雰囲気下で以下に示す充放電を行った。結果を(表1)に示す。
充放電条件:
充電−280mAにて16時間(充電後に1時間放置)。
放電−560mAにて1.0Vに達するまで。
【0032】
(高温充電試験)
以下に示す充放電を行った。結果を(表1)に示す。
充放電条件:
充電−50℃雰囲気下で280mAにて15時間(充電後に25℃雰囲気下で3時間放置)。
放電−25℃雰囲気下で900mAにて1.0Vに達するまで。
【0033】
(間欠充電保存試験)
25℃雰囲気下で280mAにて10時間充電を行った後、65℃雰囲気下で以下に示す休止−補充電サイクルを繰り返した。
休止−22時間放置、補充電−280mAにて2時間。
【0034】
休止−補充電サイクルを1ヶ月繰り返す毎に、上述した常温充放電試験と同条件で放電容量を測定した。そして保存前の放電容量に対する保存後の放電容量の比率(以下、容量回復率と称す)が80%を下回るまで、休止−補充電サイクルと放電容量測定とからなる保存試験を繰り返した。この保存試験を繰り返した月数を(表1)に示す。
【0035】
【表1】


正極合剤ペーストを従来の一括混練法(比較例1−1/図2)によらず本発明の混練法(図1)にて作製することにより、粉末Bに当たる金属コバルト、CoOOHおよびYb23を効率よく分散することができる。その結果、導電ネットワークの充実の効果として常温充放電特性が向上し、Yb23の効果として高温充電特性が向上した。ただし水酸化ニッケルの平均粒子径が小さすぎる場合(比較例1−3)は多糖類であるキサンタンガムが水酸化ニッケル自身に吸着しづらくなることにより、主にYb23の分散効率が低下して高温充電特性が低下した。また添加剤である粉末Bの平均粒子径が大きすぎる場合(比較例1−4)は添加剤としての機能が顕著に低下し、平均粒子径が小さすぎる場合(比較例1−5)は本発明の製造方法をもってしても多糖類の吸着性が低下し、共に常温充放電特性および高温充電特性が低下する結果となった。
【0036】
負極合剤ペーストを従来の一括混練法(比較例1−2/図2)によらず本発明の混練法(図1)にて作製することにより、粉末Bに当たるY23を効率よく分散することができる。その結果、アルカリ電解液に対する耐腐食性が向上することにより間欠充電保存特性が向上した。ただし水素吸蔵合金の平均粒子径が大きすぎる場合(比較例1−6)は電極合剤ペーストの塗布・充填効率が顕著に低下した結果として、間欠充電保存特性が低レベルであった。また添加剤であるY23の平均粒子径が大きすぎる場合(比較例1−7)は添加剤としての機能が顕著に低下し、平均粒子径が小さすぎる場合(比較例1−8)は本発明の製造方法をもってしても多糖類の吸着性が低下し、共に間欠充電保存特性が低レベ
ルであった。
【0037】
以上、粉末Bとして添加剤を用いた場合の結果として、平均粒子径が異なる2種の粉末と多糖類とを含むアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストを作製する場合、大きい粉末Aの平均粒子径が8〜35μm、小さい粉末Bの平均粒子径が0.1〜5μmであって、粉末Bと多糖類とを混練する第一の工程と、第一の工程の混練物と粉末Aとを混練する第二の工程とに分割されている必要があることがわかる。
【実施例2】
【0038】
(実施例2−1)
図1に沿って、粉末Bとして表面がCo(OH)2で被覆されている平均粒子径4μmの水酸化ニッケルと、キサンタンガム粉末とを適量の純水とともに混練した後、粉末Aとして表面がCo(OH)2で被覆されている平均粒子径10μmの水酸化ニッケルを加えてさらに混練し、最後にPTFE結着剤の分散液を加えて正極合剤ペーストを作製した。なお水酸化ニッケル100重量部に対して、被覆されている水酸化コバルトは7重量部であり、平均粒子径4μmの水酸化ニッケル(粉末B)と平均粒子径10μmの水酸化ニッケル(粉末A)の配合比は重量比で1:1である。この正極合剤ペーストを用いて実施例1−1と同様に正極を作製した。なおこの正極は、厚みが実施例1−1と同じく0.6mmとなるよう作製した。
【0039】
負極は実施例1−1で作製したものを用い、実施例1−1と同様にして作製したNi/MHを、実施例2−1の電池とする。
【0040】
(実施例2−2〜3)
実施例2−1に対し、粉末Aの平均粒子径を15および8μmとした以外は、実施例2−1と同様にして作製したNi/MHを、実施例2−2および2−3の電池とする。
【0041】
(実施例2−4〜6)
実施例2−1に対し、粉末Bの平均粒子径を5、2および0.1μmとした以外は、実施例2−1と同様にして作製したNi/MHを、実施例2−4、2−5および2−6の電池とする。
(比較例2−1)
従来の一括混練法である図2に沿って実施例2−1と同じ材料を適量の純水とともに一括混練して正極合剤ペーストを作製した以外は、実施例2−1と同様にして作製したNi/MHを、比較例2−1の電池とする。
(比較例2−2)
実施例2−1に対し、粉末Aの平均粒子径を7μmとした以外は、実施例2−1と同様にして作製したNi/MHを、比較例2−2の電池とする。
(比較例2−3〜4)
実施例2−1に対し、粉末Bの平均粒子径を6および0.05μmとした以外は、実施例2−1と同様にして作製したNi/MHを、比較例2−3および2−4の電池とする。
【0042】
以上の各電池に対し実施例1と同様の放置と初充放電を行った後、実施例1と同様の常温充放電試験を行った。結果を(表2)に示す。
【0043】
【表2】


正極合剤ペーストを従来の一括混練法(比較例2−1/図2)によらず本発明の混練法(図1)にて作製することにより、粉末Bを粉末Aに対して効率よく分散することができる。結果では常温充放電特性が向上したが、これは充填効率が実施例1−1よりも向上したために単位体積当たりの正極活物質量が増加したことによると考えられる。このように同一の組成を有する粉末どうしを混合した場合でも、本発明を展開することにより高容量化が無理なく達成できることがわかる。
【0044】
ただし粉末Aの平均粒子径が小さすぎる場合(比較例2−2)は多糖類であるキサンタンガムが粉末A自身に吸着しづらくなることにより、粉末Aの分散が悪化して充填効率が低下した。また粉末Bの平均粒子径が大きすぎる場合(比較例2−3)は粉末Aと粉末Bとの粒子径の差が実質的になくなるために粉末Bが過分散となり、かえって充填効率が低下した。さらには粉末Bの平均粒子径が小さすぎる場合(比較例2−4)は本発明の製造方法をもってしても粉末Bへの多糖類の吸着性が低下するので、粉末Bの分散が悪化して充填効率が低下した。結果的にこれら3種の比較例は、共に常温充放電効率が低レベルであった。
【0045】
なお本実施例では粉末Bとして金属コバルト、CoOOH、Yb23、Y23について効果的に作用していることを示したが、コバルト化合物としてCoOやCo(OH)2を添加した場合や、希土類元素化合物としてY、Er、Tm、Yb、Luのうち少なくとも1種類以上の元素を含む酸化物、水酸化物およびフッ化物を添加した場合でも、本発明の効果が得られることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明にかかる製造方法はアルカリ蓄電池用電極に用いる添加物の効果を高めることや、活物質の充填性を向上して容易に高容量化することに展開が可能であり、あらゆる機器の電源として利用可能性は高く、その効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法のフローチャート
【図2】従来のアルカリ蓄電池用電極合剤ペーストの製造方法のフローチャート




 

 


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