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発明の名称 電気機械信号選択素子、その製造方法およびそれを用いた電気機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−5909(P2007−5909A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−180879(P2005−180879)
出願日 平成17年6月21日(2005.6.21)
代理人 【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
発明者 内藤 康幸
要約 課題
小型化、高集積化が可能で、高感度な信号検出が可能な電気機械信号選択素子を提供する。

解決手段
入力信号に対して共振可能な微小振動子101と、前記微小振動子と所定の間隔を隔てて配設された励振電極102、検出電極103を備え、前記微小振動子と前記検出電極との間の静電容量の変化を検出することにより、前記微小振動子の機械的共振を電気信号として出力する電気機械信号選択素子であって、前記微小振動子と前記励振電極、前記検出電極間の微小ギャップ形成において、犠牲層を液化し除去することを特徴とする。微小振動子と励振電極、検出電極間の微小ギャップ形成において、「犠牲層を液化し除去する」、また「犠牲層をイオン化し移動させ除去する」ことにより、微細でかつ高感度の検出を実現する。
特許請求の範囲
【請求項1】
入力信号に対して励振可能な微小振動子と、前記微小振動子と所定の微小ギャップを隔てて配設された電極とを備え、前記微小振動子と前記電極との間の静電容量の変化に基づいて、前記微小振動子の機械的共振を電気信号として出力する電気機械信号選択素子であって、
前記微小振動子と前記励電極との間の微小ギャップが、電界による状態変化に起因して易移動性を持つ材料で構成された犠牲層を、除去することによって形成されることによって形成された電気機械信号選択素子。
【請求項2】
請求項1に記載の電気機械信号選択素子であって、
入力信号に対して共振可能な微小振動子と、前記微小振動子と所定のギャップを隔てて配設された励振電極と、検出電極とを備え、前記微小振動子と前記検出電極との間の静電容量の変化を検出することにより、前記微小振動子の機械的共振を電気信号として出力する電気機械信号選択素子。
【請求項3】
請求項1記載の電気機械信号選択素子であって、
前記微小ギャップを形成する前記犠牲層が電気粘性流体である電気機械信号選択素子。
【請求項4】
請求項1記載の電気機械信号選択素子であって、
前記電極表面に固体電解質を具備した電気機械信号選択素子。
【請求項5】
入力信号に対して励振可能な微小振動子と、前記微小振動子と所定の微小ギャップを隔てて配設された電極とを備え、前記微小振動子と前記電極との間の静電容量の変化に基づいて、前記微小振動子の機械的共振を電気信号として出力するように構成された電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記微小振動子と前記電極との間の微小ギャップの形成工程が、
電界による状態変化に起因して易移動性を持つ材料で構成された犠牲層を含むように、前記微小振動子および前記電極を積層する工程と、
電界を印加して前記犠牲層に状態変化を与え、前記犠牲層を選択的に除去することにより微小ギャップを形成する工程とを含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記犠牲層は、電気粘性流体層を含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項7】
請求項5記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記電界はプラズマによる電界である電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項8】
請求項5記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記微小ギャップを形成する工程は、電界を印加しながら、前記電気粘性流体層を囲むように電極層を形成した後、前記電界の印加を解除し、前記犠牲層を易移動性にし、洗浄、乾燥工程により除去する工程を含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項9】
請求項6記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記微小ギャップの形成工程は、スピンコーティング法、またはスプレーコーティング法により電気粘性流体層を形成する工程を含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項10】
請求項6記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
基板表面に、第1の犠牲層を介して微小振動子を構成する第1の材料層のパターンを形成する工程と、
前記第1の材料層のパターンの側壁に電気粘性流体層からなる第2の犠牲層を形成する工程と、
電界を印加して、前記電気粘性流体層の粘度を維持しつつ前記第2の犠牲層の側壁を覆うように電極形成材料を形成する工程と、
前記電界を除去し、前記電気粘性流体層を易移動性にして、除去し、前記第2の犠牲層を除去し微小ギャップを形成する工程と、
露呈する前記第1の犠牲層をエッチング除去し、前記微小振動子を形成する工程とを含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
電気粘性層は、粒子分散系ER流体または、イオン交換樹脂溶媒中で液晶性を示す高分子(リオトロピック液晶高分子)の濃厚溶液などの均一系ER流体である電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項12】
請求項5記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記微小ギャップを形成する工程は、前記犠牲層をイオン化し移動させることにより、前記犠牲層を易移動性にし、除去する工程を含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記微小ギャップを形成する工程は、前記電極表面に固体電解質を形成する工程と、
前記固体電解質に当接するように前記犠牲層として金属材料層を形成する工程と、
電圧を印加し、前記犠牲層を構成する金属材料層をイオン化し、前記固体電解質内に移動させることにより微小ギャップを形成する工程とを含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項14】
請求項13記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記固体電解質を形成する工程は、金属層のパターンを形成する工程と、
前記金属層のパターンの少なくとも一部を硫化し、硫化金属層からなる固体電解質を形成する工程を含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項15】
請求項13記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記金属層は、銀である電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項16】
請求項13記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記金属層は、銅である電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項17】
請求項13記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
前記イオン化する工程は、前記微小振動子と前記電極とに対して電圧を印加し、前記犠牲層を前記固体電解質に移動させることにより微小ギャップを形成する工程を含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項18】
請求項13記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
基板表面に、第1の犠牲層を介して微小振動子を構成する第1の材料層のパターンを形成する工程と、
前記第1の材料層のパターンの側壁に金属材料からなる第3の犠牲層を形成する工程と、
前記第3の犠牲層の一部を残して表面を硫化し、固体電解質を形成する工程と、
前記固体電解質の側壁を覆うように電極形成材料を形成する工程と、
前記電極形成材料と、前記微小振動子との間に電界を印加し、前記第3の犠牲層をイオン化し、前記固体電解質に浸透させることにより、前記第3の犠牲層を除去して微小ギャップを形成する工程と、
露呈する前記第1の犠牲層をエッチング除去し、前記微小振動子を形成する工程とを含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項19】
請求項13記載の電気機械信号選択素子の製造方法であって、
基板表面に、第1の犠牲層を介して電極形成材料を形成し、これをパターニングし電極のパターンを形成する工程と、
前記電極のパターン表面を硫化し、まわりに固体電解質を形成する工程と、
金属材料からなる第3の犠牲層を形成する工程と、
前記第3の犠牲層の間に微小振動子を構成する第1の材料層を形成する工程と、
前記電極形成材料と、前記微小振動子との間に電界を印加し、前記第3の犠牲層をイオン化し、前記固体電解質に浸透させることにより、前記第3の犠牲層を除去して微小ギャップを形成する工程と、
露呈する前記第1の犠牲層をエッチング除去し、前記微小振動子を形成する工程とを含む電気機械信号選択素子の製造方法。
【請求項20】
請求項5乃至19のいずれかの電気機械信号選択素子の製造方法で形成された電気機械信号選択素子を備えた電気機器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械信号選択素子、その製造方法およびそれを用いた電気機器に係り、特に共振器となる微小振動子、それを励振する機構、および信号を検出する機構を備える電気機械信号選択素子に関するものであり、微小振動子と励振電極、検出電極間の微小ギャップ形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線端末などの情報通信機器の普及に伴い、通信に使用される周波数は、携帯電話等の数百MHzから無線LAN等の数GHz帯と広帯域化が加速している。現在は、各種通信方式に対応した端末を独立に使用している状況であるが、将来的には、一つの無線端末で各種通信方式に対応した端末の実現が望まれている。
【0003】
また、無線の端末の小型化に伴い、端末の筐体内に内蔵されるフィルタなどの受動部品の小型化が望まれている。近年、特に、無線通信でよく用いられているLC共振回路などによる電気的共振を利用したフィルタは、共振器サイズが電気長に依存するため、フィルタの小型化が難しいという問題があり、新たな信号選択の原理が模索されている。
【0004】
その中で、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術により作製されるRF-MEMSフィルタの開発が活発になっている。RF-MEMSフィルタとは、微小振動子の機械的振動を用いた電気機械信号選択素子である。その利点として、高周波信号の電気的振動を微小振動子の機械的振動に変換し、この機械的振動を再び電気的振動として出力信号を取り出すことができるため、共振器のサイズが電気長に依存することがなく、フィルタの小型化が可能であることが挙げられる。また、RF-ICと親和性の良いプロセスで製造可能であるため、フィルタをRF-ICに内蔵することも可能であり、無線部の小型化に大きく貢献する技術として期待されている。
【0005】
GHz帯の微小振動子を用いた電気機械信号選択素子として、シリコン基板を用いたものが提案されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。非特許文献1では、シリコン基板上に円盤型の微小振動子を構成し、微小振動子の機械的共振現象を利用して、中心周波数1.14GHzのバンドパスフィルタを実現している。信号フィルタリングの仕組みは、信号入力ポートから励振電極に入力された高周波信号により、励起振動電極と微小振動子の間に静電力が生起せしめられ、高周波信号の周波数で微小振動子が励振される。微小振動子の機械的な自己共振周波数の信号が入力された場合、微小振動子は大きく励振され、微小振動子と検出電極間の距離の変化による静電容量の変化が生ずる。このとき、微小振動子に電圧VPが印加されているため、微小振動子の機械的振動を電気的振動として検出電極で取り出し、検出電極から信号出力ポートへと信号が出力される。つまり、微小振動子の自己共振周波数により設定された周波数の信号のみを、選択的に出力することができることになる。
【0006】
現在、小型GHz帯電気機械信号選択素子においては、適応周波数の高周波化、高Q値(Quality Factor)化が試みられている。適応周波数の高周波化を実現するためには、微小振動子の自己共振周波数を高周波化する必要がある。そのためには、微小振動子のサイズを小さくする方法と、微小振動子の高次モードを使用する方法などが考えられる。
【0007】
微小振動子のサイズを小さくしようとする場合、マイクロメートルオーダーからナノメートルオーダーへと微細化が進めば、その振動振幅はオングストロームオーダーへと微小となり、量子振動や熱振動のノイズレベルへと近づくため、量子限界の振動変位測定を可能とする超高感度の振動検出方法の実現が必要である。
【0008】
【特許文献1】WO2002016256A2
【非特許文献1】J. Wang, et al., IEEE RFIC Symp., 8-10 June, pp. 335-338, 2003.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、現在のところ、微小振動子の自己共振周波数の高周波化を図った場合、微小振動子の振動振幅が小さくなるため、そこから発生する微小な静電容量の変化を、電気信号の出力として検出することが、困難であるという問題がある。より高感度で微小振動子の微小振動を検出するためには、微小振動子と検出電極間の距離を小さくするか、微小振動子に印加する電圧VPを高くする必要がある。例えば、非特許文献1にみられる電気機械信号選択素子においては、半径20μm、厚さ2μmの円盤型の微小振動子において、微小振動子と検出電極間の距離は100nmであり、3μm深さの高アスペクト比エッチングにより形成している。今後、さらなる微小振動子と検出電極間の距離の微細化をはかろうとすると、製造方法の限界に達することが予想される。従来のエッチング技術による犠牲層除去プロセスでは、微小ギャップ(〜nm)の形成が困難となる可能性があるため、新概念の微小ギャップ形成技術が必要である。
【0010】
また、微小振動子に印加する電圧VPは、12.9Vから30.54Vであり、無線端末に適用するには電圧が高いという問題もある。また、高い電圧のVPによって雑音指数が高くなる課題がある。
【0011】
電気機械信号選択素子の適応周波数の高周波化を実現するには、製造可能な微小振動子と検出電極間の距離において、微小振動子の微小振動を無線端末に適応可能な微小振動子に印加する電圧VPで検出する方法が必要であり、そのためには、微小振動子と検出電極間に励起される微小な電荷の変化を検出し、かつ電気信号として出力する方法が必要である。
【0012】
本発明は、前記実情に鑑みてなされたものであり、微細でかつ高感度の電気機械信号選択素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
そこで本発明の電気機械信号選択素子では、微小振動子と励振電極、検出電極間の微小ギャップ形成において、電界を印加することにより、犠牲層を易移動性にするものである。すなわち「犠牲層を液化し除去する」、また「犠牲層をイオン化し移動させ除去する」ものであり、新しい概念の微小ギャップ形成技術を実現し、微細でかつ高感度の検出を実現しようとするもので、電気粘性流体(ER流体:Electro-Rheological Fluid)や、固体電解質と接合した金属を犠牲層として積層形成した後、犠牲層を易移動性にすることによって、除去し、微小ギャップを形成するものである。
【0014】
すなわち本発明の電気機械信号選択素子は、入力信号に対して励振可能な微小振動子と、前記微小振動子と所定の微小ギャップを隔てて配設された電極とを備え、前記微小振動子と前記電極との間の静電容量の変化に基づいて、前記微小振動子の機械的共振を電気信号として出力する電気機械信号選択素子であって、前記微小振動子と前記励電極との間の微小ギャップが、電界による状態変化に起因して易移動性を持つ材料で構成された犠牲層を、除去することによって形成されることによって形成されたことを特徴とする。
この構成によれば、従来実現困難であった微小ギャップ形成を可能とし、電気機械信号選択素子における高感度の振動検出が可能となる。
【0015】
本発明の電気機械信号選択素子は、入力信号に対して共振可能な微小振動子と、前記微小振動子と所定のギャップを隔てて配設された励振電極と、検出電極とを備え、前記微小振動子と前記検出電極との間の静電容量の変化を検出することにより、前記微小振動子の機械的共振を電気信号として出力するものを含む。
すなわち、入力される信号に対して共振可能な微小振動子と、前記微小振動子と所定の間隔を隔てて配設された励振電極、検出電極を備え、前記微小振動子と前記検出電極との間の静電容量の変化を検出することにより、前記微小振動子の機械的共振を電気信号として出力する電気機械信号選択素子であって、前記微小振動子と前記励振電極、前記検出電極間の微小ギャップ形成において、犠牲層を液化し除去することを特徴とする。
【0016】
また本発明の電気機械信号選択素子は、前記微小ギャップを形成する前記犠牲層が電気粘性流体であるようなものを含む。
また本発明の電気機械信号選択素子は、前記電気粘性流体上にプロセスを行う場合、電界中でプロセスを行うようなものを含む。
また本発明の電気機械信号選択素子は、前記電界がプラズマによる電界であるものを含む。
また本発明の電気機械信号選択素子は、犠牲層を洗浄、乾燥工程により除去するものを含む。
【0017】
また本発明の電気機械信号選択素子は、前記電気粘性流体をスピンコーティング法、またはスプレーコーティング法により形成するものを含む。
この構成により、ナノメートルオーダーを含む微小ギャップを形成する犠牲層を流体材料により形成可能であり、簡易な犠牲層除去を実現することができる。また、流体材料を硬質化することが可能であり、その上への材料堆積を含むプロセスを行うことができる。
【0018】
本発明の電気機械信号選択素子は、前記電極表面に固体電解質を具備したものを含む。
この構成により、電界を印加することにより、イオンの移動性を高めイオンの移動により、従来実現困難であった微小ギャップ形成を可能とし、電気機械信号選択素子における高感度の振動検出が可能となる。
【0019】
また本発明の電気機械信号選択素子は、前記微小ギャップを形成する前記犠牲層が金属材料であるようなものを含む。
【0020】
また本発明の電気機械信号選択素子は、前記微小振動子、または前記励振電極、前記検出電極に電位を印加し前記微小ギャップを形成する前記犠牲層を除去するようなものを含む。
この構成により、ナノメートルオーダーを含む微小ギャップを形成する犠牲層を、電位を印加することにより除去可能であり、簡易な犠牲層除去を実現することができる。
【0021】
このように、本発明電気機械信号選択素子は、微小振動子と励振電極、検出電極間の微小ギャップ形成において「犠牲層を易移動性にして除去する」すなわち、「犠牲層を液化し除去する」、また「犠牲層をイオン化し移動させ除去する」ことにより、従来実現困難であった高感度な検出機構を実現することができる。
この構成により、信号フィルタリング機能を有する高感度の電気機械信号選択素子を実現することができる。
【0022】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、入力信号に対して励振可能な微小振動子と、前記微小振動子と所定の微小ギャップを隔てて配設された電極とを備え、前記微小振動子と前記電極との間の静電容量の変化に基づいて、前記微小振動子の機械的共振を電気信号として出力するように構成された電気機械信号選択素子の製造方法であって、前記微小振動子と前記電極との間の微小ギャップの形成工程が、電界による状態変化に起因して易移動性を持つ材料で構成された犠牲層を含むように、前記微小振動子および前記電極を積層する工程と、電界を印加して前記犠牲層に状態変化を与え、前記犠牲層を選択的に除去することにより微小ギャップを形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0023】
この構成により、電界の印加によって犠牲層の粘度を制御することにより、極めて微小なギャップを容易に形成することが可能となる。
【0024】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記犠牲層が、電気粘性流体層を含むものを含む。
この構成により、電界を印加することによって容易に粘度を変化させることができるため、微小なギャップを容易に形成することができる。またアスペクト比が大きい場合にも容易に対応可能である。
【0025】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記電界はプラズマによる電界であるものを含む。
この構成により、効率よくプラズマ密度を調整することにより、粘度を制御することができる。
【0026】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記微小ギャップを形成する工程が、電界を印加しながら、前記電気粘性流体層を囲むように電極層を形成した後、前記電界の印加を解除し、前記犠牲層を易移動性にし、洗浄、乾燥工程により除去する工程を含むものを含む。
この構成により、電界を印加した状態で形状を維持し、積層構造を形成した後、電界の印加を解除し、流動化することにより、容易に微小ギャップを形成することができる。
【0027】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記微小ギャップの形成工程が、スピンコーティング法、またはスプレーコーティング法により電気粘性流体層を形成する工程を含むものを含む。
この構成により、容易に側壁への電気粘性流体層の形成が可能となる。
【0028】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、基板表面に、第1の犠牲層を介して微小振動子を構成する第1の材料層のパターンを形成する工程と、前記第1の材料層のパターンの側壁に電気粘性流体層からなる第2の犠牲層を形成する工程と、電界を印加して、前記電気粘性流体層の粘度を維持しつつ前記第2の犠牲層の側壁を覆うように電極形成材料を形成する工程と、前記電界を除去し、前記電気粘性流体層を易移動性にして、除去し、前記第2の犠牲層を除去し微小ギャップを形成する工程と、露呈する前記第1の犠牲層をエッチング除去し、前記微小振動子を形成する工程とを含むものを含む。
この構成により、微小振動子と電極との間に微小ギャップを形成することができ、微細で高精度の電気機械信号選択素子を形成することができる。
【0029】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、電気粘性層が、粒子分散系ER流体または、イオン交換樹脂溶媒中で液晶性を示す高分子(リオトロピック液晶高分子)の濃厚溶液などの均一系ER流体であるものを含む。
粒子分散系ER流体の場合、製造方法が簡易である効果がある。また、イオン交換樹脂溶媒中で液晶性を示す高分子(リオトロピック液晶高分子)の濃厚溶液などの均一系ER流体の場合、ビンガム流動を示す粒子分散系とは異なり、ニュートン流動を示すため、電界強度に対し粘度を線形的に制御することが可能であり、制御性に優れているという効果がある。
【0030】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記微小ギャップを形成する工程は、前記犠牲層をイオン化し移動させることにより、前記犠牲層を易移動性にし、除去する工程を含むものを含む。
この構成により、極めて容易に微細な微小ギャップを形成することができる。
【0031】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記微小ギャップを形成する工程は、前記電極表面に固体電解質を形成する工程と、前記固体電解質に当接するように前記犠牲層として金属材料層を形成する工程と、電圧を印加し、前記犠牲層を構成する金属材料層をイオン化し、前記固体電解質内に移動させることにより微小ギャップを形成する工程ものを含む。
この構成により、電圧を印加し、前記犠牲層を構成する金属材料層をイオン化し、前記固体電解質内に移動させることにより極めて容易に微細な微小ギャップを形成することができる。
【0032】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記固体電解質を形成する工程は、金属層のパターンを形成する工程と、前記金属層のパターンの少なくとも一部を硫化し、硫化金属層からなる固体電解質を形成する工程を含むものを含む。
この構成により、硫化時間を制御することにより、金属層の厚さを調整することができ、高精度で微細なギャップの形成が可能となる。
【0033】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記金属層は、銀であるものを含む。
この構成により、固体電解質である硫化銀を形成することが可能となる。
【0034】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記金属層は、銅であるものを含む。
この構成により、固体電解質である硫化銅を形成することが可能となる。
【0035】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、前記イオン化する工程は、前記微小振動子と前記電極とに対して電圧を印加し、前記犠牲層を前記固体電解質に移動させることにより微小ギャップを形成する工程を含むものを含む。
この構成により、電極を利用して効率よく電界を印加することができる。
【0036】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、基板表面に、第1の犠牲層を介して微小振動子を構成する第1の材料層のパターンを形成する工程と、前記第1の材料層のパターンの側壁に金属材料からなる第3の犠牲層を形成する工程と、前記第3の犠牲層の一部を残して表面を硫化し、固体電解質を形成する工程と、前記固体電解質の側壁を覆うように電極形成材料を形成する工程と、前記電極形成材料と、前記微小振動子との間に電界を印加し、前記第3の犠牲層をイオン化し、前記固体電解質に浸透させることにより、前記第3の犠牲層を除去して微小ギャップを形成する工程と、露呈する前記第1の犠牲層をエッチング除去し、前記微小振動子を形成する工程とを含むものを含む。
この構成により、電極を利用して効率よく電界を印加することができる。
【0037】
本発明の電気機械信号選択素子の製造方法は、基板表面に、第1の犠牲層を介して電極形成材料を形成し、これをパターニングし電極のパターンを形成する工程と、前記電極のパターン表面を硫化し、まわりに固体電解質を形成する工程と、金属材料からなる第3の犠牲層を形成する工程と、前記第3の犠牲層の間に微小振動子を構成する第1の材料層を形成する工程と、前記電極形成材料と、前記微小振動子との間に電界を印加し、前記第3の犠牲層をイオン化し、前記固体電解質に浸透させることにより、前記第3の犠牲層を除去して微小ギャップを形成する工程と、露呈する前記第1の犠牲層をエッチング除去し、前記微小振動子を形成する工程とを含むものを含む。
この構成により、電極を利用して効率よく電界を印加することができる。
【0038】
本発明の電気機器は、電気機械信号選択素子の製造方法で形成された電気機械信号選択素子を備えたものを含む。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、犠牲層の液化プロセスや犠牲層イオン化プロセスにより、微小振動子と励振電極、検出電極間の微小ギャップ形成が可能となり、電気機械信号選択素子の低インピーダンス化、振動検出の高精度化、低駆動電圧化による小型GHz帯電気機械信号選択素子の実現を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における電気機械信号選択素子を図1に示す。
図1(a)は、本発明の実施の形態1における電気機械信号選択素子の構成を模式的に示す斜視図である。
この電気機械信号選択素子100では、微小振動子101と、励振電極102および検出電極103の間の微小ギャップ形成において、電気粘性流体(ER流体:Electro-Rheological Fluid)を用い、電界を印加することにより、犠牲層を易移動性にして、微小ギャップを形成することにより、微細でかつ高感度の検出を実現しようとするものである。
表面に絶縁層106が形成された基板107上に、ポスト104と、このポスト104間に架橋された微小振動子101と、スペーサ105と、このスペーサ105上に設けられた励振電極102とが配設されている。励振電極102には、信号を入力する信号入力ポートINが接続されており、高周波信号が入力された場合、励振電極102と微小振動子101との間に電位差が生じ、高周波信号と同じ周波数で、振動子に静電力が印加される仕組みになっている。微小振動子101の電位は、微小振動子101に印加する電圧VPにより制御される。
【0041】
可動電極101の近傍には、スペーサ105上に設けられた検出電極103が設けられており、検出電極103には、信号を外部に出力する信号出力ポートOUTが接続されている。微小振動子101の振動による変位を、微小振動子101と検出電極103間の静電容量変化として検出して、出力する仕組みになっている。
【0042】
次に、この電気機械信号選択素子100における微小振動子の信号フィルタリングの仕組みについて説明する。
信号入力ポートINより入力された信号は、励振電極102に伝搬し、高周波信号の周波数で微小振動子101を励振する。微小振動子101の自己共振周波数の信号が入力された場合のみ、微小振動子101は大きな振幅で励振され、微小振動子101と検出電極103との間の距離が変化することによる静電容量の変化が生ずる。微小振動子101の振動方向をVで示す。微小振動子101には電位VPが印加されているため、微小振動子101と検出電極103間の容量変化による電気信号が発生し、信号出力ポートOUTへ出力される。その電気信号の周波数は、微小振動子101の機械的共振周波数である。つまり、微小振動子101の自己共振周波数の信号が信号入力ポートINより入力された場合のみ、信号出力ポートOUTへ同じ周波数の信号が出力されるわけである。
【0043】
図1(b)は、本発明実施の形態1における電気機械信号選択素子の信号フィルタリング特性を示す図である。微小振動子101の機械的共振周波数と同等の中心周波数fのバンドパスフィルタ特性を有することが可能である。
しかし、微小振動子101が極微で、その振動振幅が小さいほど、その変化量を直接的に検出して信号を取り出すことは困難であるが、本発明の電気機械信号選択素子100では、より微小な微小振動子101と励振電極102、検出電極103間の微小ギャップを高精度に、形成することができるものである。
【0044】
次に、前記電気機械信号選択素子100の製造方法について説明する。
図2(a)〜(c)、図3(d)〜(e)は、本発明の実施の形態1における電気機械信号選択素子の製造工程を、段階的に説明する断面説明図である。図1におけるA−B断面図である。この方法では犠牲層に電気粘性層を用い、電界を印加することにより、粘度を高めて固定し、積層構造を形成したのち電界の印加を解除し、電気粘性層を除去し微小ギャップを形成するものである。
先ず、図2(a)に示すように、シリコンなどの基板107上に、熱酸化などにより膜厚1μm程度の酸化シリコン膜を堆積し、表面絶縁層106を形成する。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法などにより、ポスト104、スペーサ105の部材となるとともに、除去された部分ではギャップを形成する犠牲層202を膜厚1μm程度形成する。この犠牲層202を形成する材料としては、酸化シリコン膜などの絶縁材料が望ましい。更に、その上に、CVD法などにより、微小振動子101となる材料を形成する。微小振動子101には、シリコンを用いるのが望ましい。次いで、微小振動子101上に、電子線ビームリソグラフィーやフォトリソグラフィーなどによりマスクパターンを形成し、エッチングによりマスクパターンから露呈する振動子101を形成する。その後、マスクパターンを除去する。
【0045】
なお、シリコンの堆積は、エピタキシャル成長法などを用い単結晶とすることが可能である。単結晶とすることにより、微小振動子101の機械的振動エネルギー損失を低減することが可能である。また、アモルファス、多結晶としてもよい。アモルファスシリコンを成膜後、アニ−ルにより多結晶化し、多結晶シリコンとしてもよい。また、基板112としてはシリコン基板に限定されることなく、ガリウム砒素(GaAs)などの化合物半導体基板であってもよい。また、熱酸化によって形成した酸化シリコン膜からなる絶縁層106は、CVD法やスパッタリングによって形成しても良いし、窒化シリコン膜など他の絶縁膜を用いてもよい。
【0046】
次いで、微小ギャップとなる電気粘性流体201の形成を行う。
図2(b)に示すように、ゾルゲル法などにより作製した電気粘性流体201を、スピンコーティング法やスプレーコーティング法などにより塗布する。この場合、ナノメートルオーダーの厚みを、微小振動子101の側壁のみに形成するために、コーティング時の基板回転数を高くする。
電気粘性流体は電界を印加することにより、流体の見かけ上の粘度を、可逆的に変化させることのできる流体である。この性質はER効果と呼ばれ、電気粘性流体はER流体とも呼ばれている。電界を印加することによって流体中の粒子が分極し、静電気力によって粒子同士は互いに引き付け合う。その結果、粒子が再配列し鎖状構造が形成される。また、棒状の高分子が電場により配向したりする。これが流動抵抗となって、見かけ上、流体の粘度は増加する。材料は、イオン交換樹脂の微粒子をシリコンオイル中に分散させた粒子分散系ER流体、イオン交換樹脂が、水によって電気二重層を形成したもの、イオン交換樹脂溶媒中で液晶性を示す高分子(リオトロピック液晶高分子)の濃厚溶液などの均一系ER流体などである。粒子分散系ER流体は、ポリアミドエラストマー粒子を、シリコーン油に分散させた流体や、スルホン化ポリマー粒子を、フッ素系散媒体に分散させた流体などである。均一系ER流体は、液晶ポリシロキサン粒子をベースとした流体などである。分散系ER流体は、製造が簡易であることが特徴である。均一系ER流体は、ビンガム流動を示す粒子分散系とは異なり、ニュートン流動を示すため、電界強度に対し、粘度を線形的に制御することが可能であり、制御性に優れているという特徴がある。
【0047】
ここで電気粘性流体201は、後の微小ギャップ形成で「犠牲層を液化し除去する」工程で除去されるわけであるが、その前に電気粘性流体201上に他の材料を形成する必要がある。このため、一度電気粘性流体201を、形成位置から流動的に移動してしまわないよう硬質化する必要がある。
【0048】
そこで、電界中での励振電極102、検出電極103の形成を行う。
図2(c)に示すように、CVD法やスパッタリング法などのプラズマプロセスを使用することにより、プラズマによる電界中で、電極材料を形成することによって形成することが可能である。電極材料としては、ドープドシリコンやアルミニウムなどの金属材料が望ましい。その上に、電子線ビームリソグラフィーなどによりマスクパターンを形成し、エッチングにより励振電極102、検出電極103を形成する。その後、マスクパターンを除去する。
なお、電極のパターニングを行う前に、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用い表面の平坦化を行うことが可能である。
【0049】
次いで、微小ギャップ203の形成を行う。
図3(d)に示すように、電界の印加を解除した電気粘性流体201は、再び粘度の低い流体となり、水洗などの洗浄、乾燥工程により簡易に除去可能である。流体は粘度の高いところから低いところへ流動する性質があるため、微小ギャップ内の電気粘性流体201は簡易に除去可能である。なお、電気粘性流体201の置換工程により除去可能である。
【0050】
最後に、図3(e)に示すように、犠牲層202の暴露部分をエッチングにより除去し、ポスト部104、スペーサ105を形成すると同時に、ギャップ204を形成、微小振動子101を中空に解放する。犠牲層202がシリコン酸化膜の場合、エッチャントとしてHFなどを用いる。微小振動子101を中空に開放後、基板へのくっつき(スティクション)を回避するために、ベーパーHF(フッ酸蒸気)を用いることも可能である。
【0051】
なお、高周波信号の基板112による損失の影響がないことが保障される場合には、絶縁層106を形成しないで形成することも可能である。
【0052】
また、微小振動子101の材料として、ガリウム砒素などの半導体、アルミニウム、金、銅などの金属、または超伝導体等を用いてもよい。
また、本実施の形態1における微小ギャップの形成方法は、微小振動子101の側壁への微小ギャップの形成方法を示したが、微小振動子101の上下を含む他の部位への微小ギャップの形成方法としても適用可能である。
【0053】
また、本実施の形態1における微小ギャップの形成方法は、電気機械素子のみならず、半導体素子を含む、他の微小ギャップ形成が要求される技術分野への適用が可能である。
このように、電気機械信号選択素子100によれば、小型化が容易であり、所定の周波数の信号のみを選択して、出力することが可能である。
【0054】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2における電気機械信号選択素子の構成および微小ギャップ形成方法として、イオン化による、移動による例を示す。
図1に示した本発明電気機械信号選択素子100において、微小振動子101と励振電極102、検出電極103間の微小ギャップを形成するに際し、犠牲層をイオン化し移動させ除去することにより、従来実現困難であった微細ギャップの実現を可能にし、高感度の検出機構を実現するものである。
次に、前記電気機械信号選択素子100の製造方法について説明する。
図4(a)〜(c)、図5(d)〜(e)は、本発明の実施の形態2における電気機械信号選択素子の製造工程を、段階的に説明する断面説明図である。図1におけるA−B断面図である。
【0055】
先ず、図4(a)に示すように、シリコンなどの基板107上に、熱酸化などにより膜厚1μm程度の酸化シリコン膜を堆積し、表面絶縁層106を形成する。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法などにより、ポスト104、スペーサ105の部材となる犠牲層202を膜厚1μm程度形成する。材料は、酸化シリコン膜などの絶縁材料が望ましい。更に、その上にCVD法などにより、微小振動子101となる材料を形成する。微小振動子101は、シリコンが望ましい。次いで、微小振動子101上に、電子線ビームリソグラフィーやフォトリソグラフィーなどにより、マスクパターンを形成し、エッチングによりマスクパターンから露呈する振動子101を形成する。その後、マスクパターンを除去する。更にその上に、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属材料を堆積し、微小振動子101の側壁に金属材料302を残す形で、異方性エッチングなどによりパターニングする。
【0056】
なお、シリコンの堆積は、前記実施の形態1と同様、エピタキシャル成長法などを用い単結晶とすることが可能である。単結晶とすることにより、微小振動子101の機械的振動エネルギー損失を低減することが可能である。また、アモルファス、多結晶としてもよい。アモルファスシリコンを成膜後、アニ−ルにより多結晶化し、多結晶シリコンとしてもよい。また、基板112としては、シリコン基板に限定されることなく、ガリウム砒素(GaAs)などの化合物半導体基板であってもよい。また、熱酸化によって形成した酸化シリコン膜からなる絶縁層106は、CVD法やスパッタリングによって形成しても良いし、窒化シリコン膜など他の絶縁膜を用いてもよい。
【0057】
次いで、微小ギャップとなる金属材料302の形成を行う。
図4(b)に示すように、微小振動子101の側壁に残された金属材料302をナノメートルオーダーの厚みになるまで微細化する。ここでは、金属材料302を硫黄(S)雰囲気中で硫化し、硫化銀(Ag2S)や硫化銅(CuS)などの固体電解質301を形成する。この場合、微小ギャップとなるナノメートルオーダーの厚みの金属材料302を形成するために、固体電解質301の硫化進行度合を、時間管理を含むプロセス条件により、最適化する。なお、CMP法を用い、上面の硫化が進行した厚み程度を除去し、金属材料302の上部の固体電解質301を除去することができる。
【0058】
次に、励振電極102、検出電極103の形成を行う。
図4(c)に示ように、CVD法やスパッタリング法などにより、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属材料を堆積する。励振電極102、検出電極103となる金属材料は、微小ギャップとなる金属材料302と同種であることが望ましい。その上に、電子線ビームリソグラフィーなどにより、マスクパターンを形成し、エッチングにより励振電極102、検出電極103を形成する。その後、マスクパターンを除去する。なお、電極のパターニングを行う前にCMP法などを用い、表面の平坦化を行うことが可能である。
【0059】
次いで、ギャップ204の形成を行う。
図5(d)に示すように、犠牲層202の暴露部分をエッチングにより除去し、ポスト部104、スペーサ105を形成すると同時に、ギャップ204を形成、微小振動子101を中空に解放する。犠牲層202がシリコン酸化膜の場合、エッチャントとしてHFなどを用いる。微小振動子101を中空に開放後基板へのくっつき(スティクション)を回避するために、ベーパーHFを用いることも可能である。
【0060】
最後に、図5(e)に示ように、微小振動子101に電位VPを印加することにより、固体電解質301に電圧を印加し、金属材料302をイオン化、イオン化された金属材料302は固体電解質301内へ移動し金属イオンを含む固体電解質301Sとなり、金属材料302のあった領域に微小ギャップ203が形成される。このようにして「犠牲層をイオン化し移動させ除去する」ことにより微小ギャップを形成することができる。この場合、電位VPは正電位とするが望ましい。
【0061】
なお、ここでも高周波信号の基板112による損失の影響がないことが保障される場合には、絶縁層106を形成しないで省略することが可能である。
また、微小振動子101の材料として、ガリウム砒素などの半導体、アルミニウム、金、銅などの金属、または超伝導体等を用いてもよい。
【0062】
また、電位VPを励振電極102、検出電極103に印加することも可能である。また、本実施の形態2における微小ギャップの形成方法は、微小振動子101の側壁への微小ギャップの形成方法を示したが、微小振動子101の上下を含む他の部位への微小ギャップの形成方法としても適用可能である。
【0063】
また、本実施の形態2における微小ギャップの形成方法は、電気機械素子のみならず、半導体素子を含む、他の微小ギャップ形成が要求される技術分野への適用が可能である。
このように、電気機械信号選択素子100によれば、小型化が容易であり、所定の周波数の信号のみを選択して、出力することが可能である。
【0064】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3における電気機械信号選択素子の構成および微小ギャップ形成方法を示す。本実施の形態でも、犠牲層をイオン化し移動させ除去することにより、従来実現困難であった微細ギャップの実現を可能にし、高感度の検出機構を実現するものである。本実施の形態では、励振電極102、検出電極103を先にパターニングし、この周りを硫化して、固体電解質を形成した後、微小ギャップとなる犠牲層としての金属層を形成し、さらに、微小振動子を形成し、この金属層をイオン化して移動させることにより、微小ギャップを形成するものである。
【0065】
図1の本発明電気機械信号選択素子100において、微小振動子101と励振電極102、検出電極103間の微小ギャップ形成方法を導入する。
次に、前記電気機械信号選択素子100の製造方法について説明する。
図6(a)〜(c)、図7(d)は、本発明の実施の形態3における電気機械信号選択素子の製造工程を、段階的に説明する断面説明図である。図1におけるA−B断面図である。
【0066】
先ず、図6(a)に示すように、シリコンなどの基板107上に、熱酸化などにより、膜厚1μm程度の酸化シリコン膜を堆積し、表面絶縁層106を形成する。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やスパッタリング法などにより、ポスト104、スペーサ105の部材となる犠牲層202を膜厚1μm程度形成する。材料としては、酸化シリコン膜などの絶縁材料を用いるのが望ましい。
【0067】
次に、励振電極102、検出電極103の形成を行う。CVD法やスパッタリング法などにより、銀(Ag)、銅(Cu)などの金属材料を堆積する。その上に電子線ビームリソグラフィーなどにより、マスクパターンを形成し、エッチングにより励振電極102、検出電極103を形成する。その後、マスクパターンを除去する。
【0068】
次に、励振電極102、検出電極103の金属材料表面を硫黄(S)雰囲気中で硫化し、硫化銀(Ag2S)や硫化銅(CuS)などの固体電解質301を形成する。次いで、微小ギャップとなる金属材料302の形成を行う。銀(Ag)、銅(Cu)などの金属材料を微小ギャップのサイズとなるナノメートルオーダー程度堆積し、励振電極102、検出電極103の側壁に金属材料302を残す形で異方性エッチングなどによりパターニングする。微小ギャップとなる金属材料302は、励振電極102、検出電極103となる金属材料と同種であることが望ましい。異方性エッチングによるエッチバックにより、上面の金属材料を除去する。なお、CMP法を用い、上面の金属材料を除去するようにしてもよい。
【0069】
次に、微小振動子101の形成を行う。
図6(b)に示すように、CVD法などにより、微小振動子101となる材料を形成する。微小振動子101は、シリコンが望ましい。次いで、微小振動子101上に、電子線ビームリソグラフィーやフォトリソグラフィーなどによりマスクパターンを形成し、エッチングにより、マスクパターンから露呈する振動子101を形成する。その後、マスクパターンを除去する。
なお、電極のパターニングを行う前に、CMP法などを用い表面の平坦化を行うことが可能である。
【0070】
なお、シリコンの堆積は、実施の形態1および2で述べたのと同様、エピタキシャル成長法などを用い単結晶とすることが可能である。単結晶とすることにより、微小振動子101の機械的振動エネルギー損失を低減することが可能である。また、アモルファス、多結晶としてもよい。アモルファスシリコンを成膜後、アニ−ルにより多結晶化し、多結晶シリコンとしてもよい。また、基板112としてはシリコン基板に限定されることなく、ガリウム砒素(GaAs)などの化合物半導体基板であってもよい。また、熱酸化によって形成した酸化シリコン膜からなる絶縁層106は、CVD法やスパッタリングによって形成しても良いし、窒化シリコン膜など他の絶縁膜を用いてもよい。
【0071】
次いで、ギャップ204の形成を行う。
図6(c)に示すように、犠牲層202の暴露部分をエッチングにより除去し、ポスト部104、スペーサ105を形成すると同時に、ギャップ204を形成、微小振動子101を中空に解放する。犠牲層202がシリコン酸化膜の場合、エッチャントとしてHFなどを用いる。微小振動子101を中空に開放後基板へのくっつき(スティクション)を回避するために、ベーパーHFを用いることも可能である。
【0072】
最後に、図7(d)に示ように、微小振動子101に電位VPを印加することにより、固体電解質301に電圧を印加し、金属材料302をイオン化、イオン化された金属材料302は固体電解質301内へ移動し、微小ギャップ203が形成される。「犠牲層をイオン化し移動させ除去する」微小ギャップの形成方法である。この場合、電位VPは正電位が望ましい。
なお、高周波信号の基板112による損失の影響がないことが保障される場合には、絶縁層106を形成しないことが可能である。
【0073】
また、微小振動子101の材料として、ガリウム砒素などの半導体、アルミニウム、金、銅などの金属、または超伝導体等を用いてもよい。
また、電位VPを励振電極102、検出電極103に印加することも可能である。
また、本実施の形態2における微小ギャップの形成方法は、微小振動子101の側壁への微小ギャップの形成方法を示したが、微小振動子101の上下を含む他の部位への微小ギャップの形成方法としても適用可能である。
【0074】
また、本実施の形態2における微小ギャップの形成方法は、電気機械素子のみならず半導体素子を含む他の微小ギャップ形成が要求される技術分野への適用が可能である。
このように、電気機械信号選択素子100によれば、小型化が容易であり、所定の周波数の信号のみを選択して、出力することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る電気機械信号選択素子は、微小振動子と励振電極、検出電極間の微小ギャップ形成において、「犠牲層を液化し除去する」、また「犠牲層をイオン化し移動させて除去する」ことにより、微小振動子の微小振動を検出することを可能にすることができ、高感度の検出機構を備えた高周波信号のフィルタリング機能を有する電気機械信号選択素子の形成に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態1における電気機械信号選択素子を示す図であり、(a)はこの電気機械信号選択素子の構成を示す斜視図、(b)はこの電気機械信号選択素子のフィルタリング特性を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1における電気機械信号選択素子の製造工程を段階的に説明する断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における電気機械信号選択素子の製造工程を段階的に説明する断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2における電気機械信号選択素子の製造工程を段階的に説明する断面図である。
【図5】本発明の実施の形態2における電気機械信号選択素子の製造工程を段階的に説明する断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3における電気機械信号選択素子の製造工程を段階的に説明する断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3における電気機械信号選択素子の製造工程を段階的に説明する断面図である。
【符号の説明】
【0077】
100 電気機械信号選択素子
101 微小振動子
102 励振電極
103 検出電極
104 ポスト
105 スペーサ
106 絶縁層
107 基板
201 電気粘性流体
202 犠牲層
203 微小ギャップ
204 ギャップ
301 固体電解質
302 金属材料




 

 


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