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発明の名称 層間絶縁膜の形成方法、層間絶縁膜形成用の前駆体溶液、層間絶縁膜形成用のCVD原料、及びシロキサンオリゴマー形成用原料
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−5572(P2007−5572A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184247(P2005−184247)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘
発明者 青井 信雄
要約 課題
機械的強度に優れ且つ低誘電率の層間絶縁膜を形成する方法を提供する。

解決手段
プラズマCVD法を用いた層間絶縁膜の形成方法は、一般式:-O-Si(R12)-OR3 (但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物を原料として用る。
特許請求の範囲
【請求項1】
基板上に層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜の形成方法であって、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物を原料として用いて、プラズマCVD法により、前記層間絶縁膜を形成する工程を備えることを特徴とする層間絶縁膜の形成方法。
【請求項2】
前記層間絶縁膜を形成する工程は、酸化剤を用いずに行なわれることを特徴とする請求項1に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項3】
前記層間絶縁膜を形成する工程は、不活性ガスを希釈ガスとして用いて行なわれることを特徴とする請求項1に記載の層間絶縁膜の形成方法。
【請求項4】
基板上に層間絶縁膜を形成する層間絶縁膜の形成方法であって、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物を原料として用いて、塗布法により、前記層間絶縁膜を形成する工程を備えることを特徴とする層間絶縁膜の形成方法。
【請求項5】
塗布法により、基板上に層間絶縁膜を形成するために用いる層間絶縁膜形成用の前駆体溶液であって、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物から得られるシロキサンオリゴマーを含んでいることを特徴とする層間絶縁膜形成用の前駆体溶液。
【請求項6】
CVD法により、基板上に層間絶縁膜を形成するために用いる層間絶縁膜形成用のCVD原料であって、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物であることを特徴とする層間絶縁膜形成用のCVD原料。
【請求項7】
塗布法により、基板上に層間絶縁を形成するために用いる層間絶縁膜形成用の前駆体溶液に含まれるシロキサンオリゴマー形成用原料であって、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物であることを特徴とするシロキサンオリゴマー形成用原料。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置における多層配線構造に用いる層間絶縁膜の形成方法及び重合体組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の高集積化の進展に伴って、金属配線同士の間の寄生容量である配線間容量が増加している。配線間容量の増加は配線遅延時間の増大をもたらすので、その結果、半導体集積回路の高性能化が妨げられている。なお、配線遅延時間とは、金属配線の抵抗と配線間容量との積に比例するいわゆるRC遅延と呼ばれるものである。
【0003】
したがって、配線遅延時間を低減するためには、金属配線の抵抗を小さくするか、又は配線間容量を小さくすることが必要である。
【0004】
そこで、金属配線の抵抗を小さくする目的で、配線材料としてアルミ系合金材料に代えて銅材料を用いた半導体集積回路装置が、IBM社又はモトローラ社によって報告されている。銅材料の比抵抗は、アルミ系合金材料の比抵抗の約3分の2である。このため、配線材料として銅材料を用いると、配線材料としてアルミ系合金材料を用いる場合に比べて、配線遅延時間は、単純に計算して約3分の2に減少する。したがって、配線における伝達時間を1.5倍にまで高速化することができる。
【0005】
しかしながら、半導体集積回路の高集積化が更に進展すると、配線遅延時間が増大するので、配線材料として金属を用いる場合であっても、配線の伝達時間の高速化は限界に到達すると懸念されている。また、配線材料として用いる銅は、銀に次いで比抵抗が小さいので、仮に、配線材料として、銅材料に代えて銀材料よりなる金属配線を用いた場合であっても、金属配線の抵抗の低減は僅かなものである。
【0006】
このため、半導体集積回路の更なる高集積化に対応するためには、配線抵抗の低減に加えて、配線間容量の低減が重要になっており、配線間容量を低減するためには、層間絶縁膜の比誘電率を小さくすることが必要である。
【0007】
層間絶縁膜としてシリコン酸化膜が従来から用いられているが、シリコン酸化膜の比誘電率は4〜4.5程度であるので、該シリコン酸化膜は、より高集積化された半導体集積回路における層間絶縁膜として採用し難い。そこで、シリコン酸化膜の比誘電率よりも小さい比誘電率を有する層間絶縁膜として、フッ素が添加されたシリコン酸化膜、カーボンを含有するシリコン酸化膜、低誘電率SOG(Spin On Glass )膜、及び有機高分子膜が提案されている。
【特許文献1】特開2003−349084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、比誘電率の低い層間絶縁膜として用いられる材料の中で、比誘電率を著しく低減することが可能な材料として、多孔質材料が有望視されている。多孔質材料を用いた層間絶縁膜の場合、膜中に導入する空孔の量(空孔率)を大きくすることにより、層間絶縁膜の低誘電率化を実現している。
【0009】
しかしながら、層間絶縁膜における空孔率の増加は、比誘電率を低減する一方で、機械的強度(弾性率、硬さ、密着性)を著しく低下させる。層間絶縁膜の機械的強度が著しく低下すると、集積化プロセスにおいて発生する様々な応力によって、層間絶縁膜の膜剥がれ又は層間絶縁膜の膜破壊が発生することが懸念されている。なお、ここでの応力とは、銅配線を形成する際のCMP(化学的機械研磨:Chemical Mechanical Polishing)による応力、プロセス中における熱処理に起因する応力、又はボンディングの際の応力などである。また、機械的強度の一つである弾性率については、少なくとも8GPa以上の値が層間絶縁膜にとって必要であると言われているが、多孔質材料を用いた層間絶縁膜では、その比誘電率が2以下の値であるときには、その弾性率は少なくとも8GPaという値を大きく下回っている。
【0010】
前記に鑑み、本発明の目的は、機械的強度に優れ且つ比誘電率が低い層間絶縁膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成するために、本発明の第1の側面に係る層間絶縁膜の形成方法は、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物を原料として用いて、プラズマCVD法により、層間絶縁膜を基板上に形成する工程を備える。
【0012】
本発明の第1の側面に係る層間絶縁膜の形成方法によると、機械的強度に優れ且つ低誘電率の層間絶縁膜を形成することができる。
【0013】
本発明の第1の側面に係る層間絶縁膜の形成方法において、層間絶縁膜を形成する工程は、酸化剤を用いずに行なわれることが好ましい。
【0014】
このようにすると、酸化剤を用いずにプラズマ重合が行なわれるため、例えばSi−OHなどの酸化物の生成を抑制することができるので、良質で且つより低誘電率の層間絶縁膜を形成できる。
【0015】
本発明の第1の側面に係る層間絶縁膜の形成方法において、層間絶縁膜を形成する工程は、不活性ガスを希釈ガスとして用いて行なわれることが好ましい。
【0016】
このようにすると、より低誘電率の層間絶縁膜を形成することができる。
【0017】
本発明の第2の側面に係る層間絶縁膜の形成方法は、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物を原料として用いて、塗布法により、層間絶縁膜を基板上に形成する工程を備える。
【0018】
本発明の第2の側面に係る層間絶縁膜の形成方法によると、機械的強度に優れ且つ低誘電率の層間絶縁膜を形成することができる。また、プラズマCVD法を用いて層間絶縁膜を形成する場合と比べて、より低誘電率の層間絶縁膜を形成することができる。
【0019】
本発明の一側面に係る塗布法による層間絶縁膜形成用の前駆体溶液は、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物から得られるシロキサンオリゴマーを含んでいる。
【0020】
本発明の一側面に係る層間絶縁膜形成用の前駆体溶液は、シロキサンオリゴマーを含むので、プラズマ重合によって層間絶縁膜を形成する場合に比べて高い選択性にて、Si−ORにおけるアルコキシ基の加水分解及び脱水縮合によってシロキサン骨格の形成が可能になる。このため、より低密度の膜構造が得られるので、より低誘電率の層間絶縁膜を形成することが可能になる。
【0021】
本発明の一側面に係るCVD法による層間絶縁膜形成用のCVD原料は、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物である。
【0022】
本発明の一側面に係る層間絶縁膜形成用のCVD原料を用いて、プラズマCVD法を行なうことにより、機械的強度に優れ且つ低誘電率の層間絶縁膜を形成することができる。
【0023】
本発明の一側面に係る塗布法による層間絶縁膜形成用の前駆体溶液に含まれるシロキサンオリゴマー形成用原料は、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物である。
【0024】
本発明の一側面に係る層間絶縁膜形成用の前駆体溶液に含まれるシロキサンオリゴマー形成用原料を用いて、機械的強度に優れ且つ低誘電率の層間絶縁膜を塗布法によって形成することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明によると、プラズマCVD法又は塗布法を用いて、機械的強度に優れ且つ低誘電率の層間絶縁膜を形成する方法を提供できる。また、プラズマCVD法に用いるCVD原料、又は塗布法に用いる前駆体溶液を提供できる。その結果、LSIの多層配線構造に用いる層間絶縁膜として、集積化が容易な低誘電率の層間絶縁膜を形成することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の各実施例について具体的に説明する前提として、本発明の技術的思想について説明する。
【0027】
本願発明者は、前記の目的を達成するために、種々の検討を加えた結果、プラズマCVD法又は塗布法を用いて層間絶縁膜を形成する場合に、
一般式:-O-Si(R12)-OR3
(但し、R1 及びR2 は、同種又は異種であって、メチル基、エチル基、又はプロピル基であり、R3 は、R1 及びR2 と同種又は異種であって、メチル基、エチル基、プロピル基、又はフェニル基である。)
で表されるユニットを少なくとも3つ以上有するシリコン原子を一つ以上含む有機シロキサン化合物を原料として用いることにより、機械的強度に優れ且つ比誘電率が低い層間絶縁膜を形成できることを見出した。
【0028】
以下では、本発明の第1及び第2の実施例における層間絶縁膜の形成方法に用いる具体的な原料を例にして、本発明のメカニズムを説明する。
【0029】
本発明の第1及び第2の実施例における層間絶縁膜の形成方法では、下記[化1]で表される分岐型の有機シロキサン化合物[テトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シラン]を原料として用いる。
【0030】
【化1】


【0031】
化学式(1)に示す分岐型の有機シロキサン化合物よりなる原料では、末端のSi−OR部位が重合することにより、シロキサン骨格が形成される。したがって、結合の繰り返し単位は、[Si−O−Si]よりなる単位となる。一方、従来の層間絶縁膜を形成する場合には、膜形成に寄与する結合の繰り返し単位は、[Si−O]よりなる単位となる。
【0032】
このように、本発明のシロキサン骨格は、繰り返し単位が[Si−O−Si]よりなる単位であるので、化学式(1)に示す原料を用いて層間絶縁膜を形成する場合における重合単位の体積は、繰り返し単位が[Si−O]よりなる単位であるSiOC膜などの従来の層間絶縁膜を形成する場合における重合単位に比べて、大きくなる。したがって、化学式(1)に示す原料を用いて形成された層間絶縁膜を構成する一つの単位構造当たりに含まれる空間を大きくすることができる。これにより、化学式(1)に示す原料を用いることにより、機械的強度に優れ且つ低誘電率の層間絶縁膜を形成することができる。以下に、具体的に説明する。
【0033】
<低誘電率化について>
図1(a)及び(b)は、本発明の有機シロキサン化合物におけるシロキサン骨格と従来の有機シロキサン化合物におけるシロキサン骨格との相違を示している。なお、図1(a)は、本発明のシロキサン骨格を示す分子構造モデルであり、図1(b)は、従来のシロキサン骨格を示す分子構造モデルである。
【0034】
−体積−
まず、図1(a)に示すように、本発明の有機シロキサン化合物におけるシロキサン骨格の構成単位は[Si−O−Si]である。ここで、Siを中心とした単位構造当たりの体積を概算してみる。具体的には、原子間距離を分子構造シミュレーションによって計算すると、単位骨格における1単位構造の1辺の長さは、例えば4.5×10-10(m)はとなる。したがって、単位構造当たりの体積は、概算すると、91.1×10-30(m3)となる。
【0035】
一方、従来の有機シロキサン化合物(例えば、ジメチルジメトキシシラン)におけるシロキサン骨格の構成単位は[Si−O]である。ここで、同様に、Siを中心とした単位構造当たりの体積を概算してみる。単位骨格における1単位構造の1辺の長さは、例えば2.0×10-10(m)となるので、単位構造当たりの体積は、8.0×10-30(m3)となる。
【0036】
以上により、本発明のシロキサン骨格の構造は、従来のシロキサン骨格の構造と比べて、11倍程度の体積を有することが分かる。
【0037】
−原子量−
次に、本発明の有機シロキサン化合物におけるシロキサン骨格の1単位構造当たりの原子量は、概算すると、352(Si54.5824 )である。一方、従来の有機シロキサン化合物におけるシロキサン骨格の1単位構造当たりの原子量は、概算すると、64(SiO2 )である。
【0038】
以上により、本発明のシロキサン骨格の構造には、従来のシロキサン骨格の構造に含まれる原子量に比べて、5.5倍程度の原子量が含まれることが分かる。
【0039】
以上の体積及び原子量に関する結果から、本発明のシロキサン骨格の構造は、従来のシロキサン骨格の構造と比較して、11倍程度の体積を有しているにもかかわらず、重合単位に含まれる原子量は、6倍程度しか増加していないことが分かる。
【0040】
−膜密度−
次に、本発明のシロキサン骨格における膜密度を概算してみる。
【0041】
まず、従来におけるシロキサン骨格の1単位構造の体積に対する本発明におけるシロキサン骨格の1単位構造の体積の比は、前述の結果を用いると、91.1×10-30(m3)/8.0×10-30(m3)=11.4となる。また、従来におけるシロキサン骨格の1単位構造の原子量に対する本発明におけるシロキサン骨格の1単位構造の原子量の比は、352/64=5.5となる。そして、膜密度は原子量/体積に比例するので、従来におけるシロキサン骨格の1単位構造における膜密度である2.34g/cm3 を基準に概算すると、本発明におけるシロキサン骨格の1単位構造における膜密度は、(5.5/11.4)×2.34=1.12g/cm3 となる。したがって、本発明の有機シロキサン化合物を用いて形成された層間絶縁膜は、従来の有機シロキサン化合物を用いて形成された層間絶縁膜に比べて、0.4程度という小さい膜密度を持つ構造を有していることが分かる。
【0042】
−比誘電率−
次に、前述した膜密度に基づいて、本発明の有機シロキサン化合物を用いて形成された層間絶縁膜の比誘電率を概算してみる。
【0043】
図2は、SiOC系よりなる絶縁膜の膜密度と比誘電率との相関関係(計算値)を示しており、横軸に膜密度を示すと共に、縦軸に比誘電率を示している。
【0044】
図2に示すように、膜密度が高くなる程、比誘電率が上昇することが分かる。そして、本発明の有機シロキサン化合物を用いて形成された層間絶縁膜の膜密度が1.12g/cm3 であるので、本発明の有機シロキサン化合物を用いて形成された層間絶縁膜の比誘電率は2.0程度と見積もることができる。したがって、本発明の有機シロキサン化合物を用いて形成された層間絶縁膜は、通常のSiO2 膜よりなる層間絶縁膜と比べて低い誘電率を有していることが分かる。
【0045】
以上説明したように、本発明の有機シロキサン化合物を用いて層間絶縁膜を形成すると、重合単位が大きくなることにより、膜密度が低密度化され、層間絶縁膜の低誘電率化を実現することができる。
【0046】
<機械的強度について>
−膜密度と弾性率との関係−
まず、弾性率は、応力が与えられたときにおける体積の縮みと力の大きさとの関係から求められる定数であって、弾性率が大きくなればなる程、与えられた応力から生じる弾性ひずみが小さくなり、機械的強度が高いことを示す。
【0047】
ここで、図3は、SiOC系の絶縁膜における膜密度と弾性率との関係を示している。
【0048】
図3に示すように、本発明の有機シロキサン化合物を用いて形成された層間絶縁膜の膜密度は、前述の通り、1.12g/cm3 であるので、本発明の有機シロキサン化合物を用いて形成された層間絶縁膜の弾性率は、約9.5GPaと推定できる。
【0049】
この推定結果から、原子間の架橋構造の割合のみに基づいて膜の機械的強度を想定する場合に比べて、本発明のシロキサン骨格を有する層間絶縁膜の機械的強度の低下を抑制できることが分かる。
【0050】
すなわち、まず、原子間の架橋構造の割合に基づいて、層間絶縁膜の機械的強度を見積もってみると、原子間の架橋構造は重合単位毎に必ず形成されるので、従来及び本発明におけるシロキサン骨格では、ともに1単位構造当たり4つの重合箇所が存在する。ここで、本発明におけるシロキサン骨格の1単位構造当たりの体積が、従来におけるシロキサン骨格の1単位構造当たりの体積の11倍程度であることを考慮すると、本発明のシロキサン骨格における架橋密度は、逆に、従来のシロキサン骨格における架橋密度の約11分の1になると見積もることができる。本発明の有機シロキサン化合物を用いて形成された層間絶縁膜の膜密度が、架橋密度の割合に比例すると想定すると、本発明のシロキサン骨格を有する層間絶縁膜の機械的強度は、従来のシロキサン骨格を有する層間絶縁膜の機械的強度と比べて11分の1程度に低下するはずである。しかしながら、実際には、シロキサン骨格の単位骨格における膜密度などにより、本発明のシロキサン骨格を有する層間絶縁膜の弾性率は約9.5GPaであり、従来のシロキサン骨格を有する層間絶縁膜と比べると、機械的強度の大きな低下が見られないことが分かる。
【0051】
以上説明したように、化学式(1)に示す分岐型の有機シロキサン化合物を用いて層間絶縁膜を形成することにより、従来の層間絶縁膜と比較して、低密度化を実現すると共に、機械的強度の低下の抑制を実現することができる。
【0052】
(実施例1)
以下、本発明の実施例1における層間絶縁膜の形成方法について、図面を参照しながら説明する。
【0053】
本発明の実施例1は、前述した化学式(1)に示す分岐型の有機シロキサン化合物[テトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シラン]を原料として用いて、プラズマCVD方法により、基板上に層間絶縁膜を形成する方法について説明するものである。
【0054】
実施例1におけるプラズマCVD法を用いた層間絶縁膜の形成方法は、例えば図4に概略構成を示す一般的な平行平板型カソードカップル型(陰極結合型)プラズマCVD装置を用いることによって実現される。以下に、具体的に説明する。
【0055】
まず、加圧容器10a中に、CVD原料として、テトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シランをガス供給管1aを介して充填する。そして、加圧容器10aに充填されたテトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シランを、Heによって気化器11aに圧送し、気化器11aにて180℃で気化する。続いて、気化したテトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シランをガス供給管1bを介して成膜チャンバー12内に導入する。なお、成膜チャンバー12内では、その底部に下部電極12aが設置されていると共に、その上部に上部電極12bが設置されており、被成膜基板2aを、下部電極12aの上に設置された基板指示部12cの上に搭載している。また、成膜チャンバー12内における下部電極12aの側には、反応後のガス又は反応に充分関与しなかったガスなどの排気を順次行なえるように排気口12dが設けられている。
【0056】
具体的に本実施例1では、成膜チャンバー12内の圧力が400Pa及び基板温度が400℃である条件下で、成膜チャンバー12内にテトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シランを導入流量10g/minにて導入しながら、高周波(RF:Radio Frequency)電源13によって下部電極12a及び上部電極12bに0.2W/cm2 の電力をかけてプラズマ重合を行なった。特に、CVD原料として用いたテトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シランでは、プラズマによってメトキシ基のメチル基が脱離することによってラジカル化されて、脱アルコキシ化しながらプラズマ重合が行なわれる。このようにして、実施例1に係る層間絶縁膜が得られる。
【0057】
以上のように、テトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シランをCVD原料として用いたプラズマCVD法によって形成された層間絶縁膜によると、比誘電率が1.9であり、弾性率が6GPaであった。この弾性率の値は、シリコン酸化物系の低誘電率膜にとって、理論上の上限に近い値であった。なお、このような値が実現されるメカニズムについては、前述した通りである。
【0058】
また、本実施例1において、不活性ガスとして希ガスを添加してプラズCVD法を行なうことにより、プラズマの生成が容易になるので、印加するRF電力を少なくすることができる。このため、有機シロキサン化合物において、望ましくない分解(有機シロキサン化合物に含まれるSi−R部位が酸化してSi−OHなどの酸化部位が生成される)が生じることを抑制することができるので、形成される層間絶縁膜の比誘電率をさらに低減することができる。
【0059】
また、本実施例1におけるプラズマ重合においては、酸化剤を用いずにプラズマ重合を行なうことが好ましい。このようにしてプラズマ重合を行なうと、有機シロキサン化合物に含まれるSi−R部位が酸化されてSi−OHなどの酸化部位が生成されることを抑制することができる。その結果、以下の3つの効果を更に得ることができる。
【0060】
(a)有機シロキサン化合物に含まれるSi−R部位が酸化されて生成されるSi−OHなどの酸化部位における重合を抑制することにより、Si−OR部位における重合が優先的に生じる。このため、低密度のシロキサン骨格を効率的に形成することができるので、低誘電率の層間絶縁膜を形成することができる。
【0061】
(b)Si−OHなどの酸化部位が残留することによる吸湿性の上昇を抑制できるので、良質な層間絶縁膜を形成することができる。
【0062】
(c)Si−OHなどの酸化部位が生成されることによる分極率の上昇を抑制できるので、比誘電率が低減された層間絶縁膜を形成することができる。
【0063】
(実施例2)
以下、本発明の実施例2における層間絶縁膜の形成方法について、図面を参照しながら説明する。
【0064】
本発明の実施例2は、前述した化学式(1)に示す分岐型の有機シロキサン化合物を原料として用いて、塗布法により、基板上に層間絶縁膜を形成する方法について説明するものである。
【0065】
本実施例2では、100ccのメシチレンに、テトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シラン10gを溶解させた後に、酢酸1mlを加えると、加水分解及び脱水縮合が生じて、シロキサンオリゴマーの溶液が形成される。このシロキサンオリゴマーの溶液を−5℃で12時間保管した後に、回転塗布法により、このシロキサンオリゴマーの溶液を10℃に保持しながら被処理基板上に塗布する。この後、シロキサンオリゴマーの溶液が塗布された被処理基板をホットプレートによって160℃で1分間加熱した後に、窒素雰囲気下で400℃で1時間熱処理を行なう。このようにして、本実施例2における層間絶縁膜が得られる。
【0066】
以上のように、テトラキス-(ジメチルメトキシシリロキシシル)シランを用いた塗布法によって形成された層間絶縁膜によると、比誘電率が2.0であり、弾性率が6.5GPaであった。なお、このような値が実現されるメカニズムについては、前述した通りである。また、シロキサンオリゴマーの溶液は酢酸によって中和されるので、中和後は適度の粘土を有し安定となり、冷蔵において4か月以上ゲル化されなかった。
【0067】
ここで、オリゴマーとは、重合体のなかで重合度の低い重合体のことである。
【0068】
塗布法によると、あらかじめ溶液中にてこのシロキサンオリゴマーを形成することによって、プラズマ重合を用いる場合に比べて高い選択性にて、Si−OR部位におけるアルコキシ基の加水分解及び脱水縮合によってシロキサン骨格が形成される。このため、低密度のSiOCよりなる膜構造を実現することができる。なお、プラズマ重合を用いて層間絶縁膜を形成する場合には、望ましくない酸化分解反応が部分的に生じる場合があるので、実施例2の塗布法を用いて層間絶縁膜を形成する場合に比べて、望ましくない酸化分解反応によって生じた重合部位での架橋の形成が、膜密度を上昇させやすい場合もある。また、プラズマ重合を用いて層間絶縁膜を形成する場合には、酸化分解によって分極率の高い部位が生成されるので、比誘電率の上昇を招いてしまう原因となる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上説明したように、本発明は、機械的強度に優れ且つ低誘電率の層間絶縁膜の形成方法であって、特に、プラズマCVD法又は塗布法を用いる場合に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の有機シロキサン化合物におけるシロキサン骨格の分子構造モデル図である。
【図2】本発明の層間絶縁膜における膜密度と比誘電率との関係図である。
【図3】本発明の層間絶縁膜における膜密度と弾性率との関係図である。
【図4】本発明の第1の実施形態におけるCVD装置の概略構成図である。




 

 


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