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発明の名称 電池用正極およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−5281(P2007−5281A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2006−4516(P2006−4516)
出願日 平成18年1月12日(2006.1.12)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 脇 新一
要約 課題
正極として二酸化マンガンを用い、負極にリチウム金属を用いたリチウム電池において高容量を有する電池を提供することを目的とする。

解決手段
集電体と活物質である単結晶二酸化マンガン粒子とからなる電池用正極であって、前記単結晶二酸化マンガン粒子のc軸方向が集電体に対し垂直に配向していることを特徴とし、二酸化マンガンの電池内充填量を増加することによりリチウムイオンの活物質粒子内拡散を向上させ、放電特性を向上させることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
集電体と、活物質である単結晶二酸化マンガン粒子とからなる電池用正極であって、前記単結晶二酸化マンガン粒子のc軸方向が集電体に対し垂直に配向していることを特徴とする電池用正極。
【請求項2】
単結晶二酸化マンガンを有する電池用正極の製造方法であって、マンガンを溶解した水溶液と集電体とを容器内に密封する密封工程と、前記容器内を250℃以上20MPa以上の高温高圧状態に加熱する水熱処理工程を有する電池用正極の製造方法。
【請求項3】
前記水熱処理工程の条件が374℃以上、22MPa以上であることを特徴とする請求項2に記載の電池用正極の製造方法。
【請求項4】
前記密封工程において容器内に酸素ガス、オゾンガス、過酸化水素および硝酸からなる群より選ばれる少なくとも一つの酸化剤を密封することを特徴とする請求項2または3に記載の電池用正極の製造方法。
【請求項5】
水熱処理工程を絶縁性無機材料からなる容器内で行うことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の電池用正極の製造方法。
【請求項6】
水熱処理工程を石英ガラスからなる容器内で行うことを特徴とする請求項5に記載の電池用正極の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極活物質に二酸化マンガンを用いた電池用正極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
二酸化マンガンは資源的に豊富であり、安価であることから電池用正極活物質として広く用いられており、負極に亜鉛を用いたマンガン電池やアルカリ電池、あるいは負極にリチウム金属を用いたリチウム電池などが知られている。
【0003】
従来の電池用二酸化マンガンの製造方法としては、硫酸などの酸性水溶液にマンガン鉱物を溶解し、その溶液を電気分解し陽極に析出させる電解法や、炭酸マンガンなどのマンガン塩を焼成する固相法が知られている。
【0004】
従来これらの二酸化マンガン1を電池用正極として使用する場合には、図1に示すように結着剤2および導電助材3とともに混合する。この合剤を集電体4であるステンレスメッシュあるいはステンレス箔に塗工し、乾燥後圧延したものを正極極板としている。
【0005】
また、二次電池用正極活物質であるLiMn24において、真空蒸着法により電極表面上に柱状に成長させた単結晶構造が報告されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−187994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年の電子機器のポータブル化、多機能化に伴い、電池に対して高容量化や高出力化などさらなる高性能化が求められている。
【0007】
従来の製造法で得られる二酸化マンガンは多結晶構造であり結晶欠陥や結晶粒界が存在する。そのため、高出力で電池を放電する場合に二酸化マンガン粒子内でリチウムイオンの拡散が速やかに行われず正極で分極が起こる。
【0008】
また、極板内に結着剤や導電材など発電に不要な材料を含むため活物質の充填量が制限され放電容量が小さくなるという課題がある。
【0009】
また特許文献1には、二次電池用正極活物質であるLiMn24において、真空蒸着法により電極表面上に単結晶構造を有する前記正極活物質を析出させる正極板の製造方法が報告されているが、このような方法により電極に対しc軸が垂直に配向した単結晶二酸化マンガンを生成した報告はなされておらず、電池放電の際電解液から単結晶二酸化マンガン粒子へのリチウムイオン挿入は単位格子の(002)面により行われるが、c軸が極板に対し垂直に配向していない場合、電極表面がリチウムイオン挿入が行われない(002)面以外ので覆われ電池の放電特性が低下する。
【0010】
本発明は以上の課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の正極は、集電体と活物質である単結晶二酸化マンガン粒子とからなる電池用正極であって、前記単結晶二酸化マンガン粒子のc軸方向が集電体に対し垂直に配向していることを特徴とし、これにより導電剤や結着剤を使用しないため活物質の充填量が増加し、電池の放電容量が増加する。また、二酸化マンガン粒子内に結晶欠陥や結晶粒界が存在
せず、高出力で電池を放電する場合であっても二酸化マンガン粒子内でのリチウムイオンの拡散が速やかに行われる。また、本発明では単結晶二酸化マンガン粒子のc軸方向がステンレス表面に対し垂直に配向しているため、電極表面が単位格子の(002)面で覆われ放電特性が向上する。
【0012】
また、本発明は単結晶二酸化マンガンを有する電池用正極の製造方法であって、マンガンを溶解した水溶液と集電体とを容器内に密封する密封工程と、前記容器内を250℃以上20MPa以上の高温高圧状態に加熱する水熱処理工程を有することを特徴とし、これによりc軸方向が集電体表面に対し垂直となるように単結晶二酸化マンガン粒子の析出および成長を起こすことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、二酸化マンガンの電池内充填量を増加し、二酸化マンガン粒子内のリチウムイオンの拡散を促進するものであり、低電流および高出力放電時において放電容量を増加させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の正極は、集電体と活物質である単結晶二酸化マンガン粒子とからなる電池用正極であって、前記単結晶二酸化マンガン粒子のc軸方向が集電体に対し垂直に配向していることを特徴とし、放電特性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明は単結晶二酸化マンガンを有する電池用正極の製造方法であって、マンガンを溶解した水溶液と集電体とを容器内に密封する密封工程と、前記容器内を250℃以上20MPa以上の高温高圧状態に加熱する水熱処理工程を有することを特徴とし、c軸方向が集電体表面に対し垂直となるように単結晶二酸化マンガン粒子の析出および成長を起こすことが可能となる。
【0016】
また、本発明において水熱処理の条件は374℃以上、22MPa以上であることがより好ましい。このようにすることにより、溶媒である水は超臨界状態となり、二酸化マンガンの溶解度が低下し生成反応が促進される。また、酸素ガスが水と均一相を形成するため、良好な酸化反応場が形成され、マンガンイオンの2価から4価への酸化が促進される。
【0017】
さらに本発明において、反応容器にマンガンイオンを溶解した水溶液と集電体および酸化剤とを密封し、水熱処理することにより二酸化マンガンを正極集電体に析出させる正極の製造方法であって、該酸化剤が酸素ガス、オゾンガス、過酸化水素および硝酸からなる群より選ばれる少なくとも一つの酸化剤を密封することが好ましく、これによりマンガンイオンの酸化が好適に行われる。
【0018】
また、本発明において水熱処理を行う反応容器の材質は絶縁性無機材料であることが好ましく、これにより、反応槽内側で二酸化マンガンの生成が起こらず集電体表面で選択的に二酸化マンガンを析出させることができる。
【0019】
また、本発明において水熱処理を行う反応容器の材質は石英ガラスであることが好ましい。石英ガラスは絶縁体であり、耐熱性が高く、酸性水溶液に対しても安定であることから、反応槽内側で二酸化マンガンの生成が起こらず集電体表面で選択的に二酸化マンガンを析出させることができる。
【0020】
以下、本発明を実施例に沿って具体的に説明する。但し、本実施例は本発明の一実施形態を示すものであり、その内容に限定されるものではない。
【0021】
<正極の作製>
本発明の正極の作製方法を以下に示す。石英ガラスにより内壁をコーティングしたステンレス製の反応容器に和光純薬工業(株)製硝酸マンガン(II)六水和物(特級)および和光純薬工業(株)製過酸化水素(特級)を溶解した水溶液と集電体である帯状のステンレス箔を密封する。この容器を電気炉により加熱し、250℃以上、20MPa以上とする。容器内が反応温度に達した後10分間加熱を行い、その後容器を電気炉から取り出し室温まで冷却後、ステンレス箔を取り出しこれを正極とした。この原料水溶液は、容器内の温度において、目的とする圧力になるように調整される。
【0022】
ここで、この圧力は、原料水溶液を純水であると仮定し、スチームテーブル(Steam Table)により算出する。例えば、反応温度400℃、反応圧力30MPaの水の密度は、0.35g/cm3であることから、容器の容積が10cm3であれば、容器内の原料水溶液が合計で3.5cm3になるように原料溶液を仕込む。また、ステンレス箔に析出する二酸化マンガンの析出量は原料水溶液の濃度により調節を行った。
【0023】
<電池の作製>
図4に本実施例において用いた円筒形電池の縦断面図を示す。この電池は、負極にリチウムを用い、正極に二酸化マンガンを用いた円筒形リチウム電池である。
【0024】
上記方法にて作製された正極9と、リチウム金属からなる帯状の負極11と、これら正負極電極間に介在されたセパレータ13とを渦巻き状に捲回して電極群を構成した。この電極群は負極端子を兼ねる金属製の電池ケース16内に配置されている。電池ケース16の上部開口部には、ガスケット18を介して安全弁を備えた組立封口板17が装着されている。組立封口板17の頂部は正極端子19として用いられる。正極板の芯材に接続された正極リード10は、組立封口板17に連結されている。また、電極群の上部には上部絶縁板14が配置されている。
【0025】
電極群は負極リード12をほぼ直角に折り曲げて下部絶縁板15を電極群の底部に沿わせ、電池ケース16内に挿入される。次に負極リード12は、電極群中央の中空部および下部絶縁板15の透孔を通して挿入した溶接電極を用いて電池ケース16の内底面に溶接される。
【0026】
上記のようにして電極群を電池ケース内に組み入れた後、電池ケースの上部に段部を設け、プロピレンカーボネートと1、2−ジメトキシエタンとの混合溶媒に過塩素酸リチウムを1mol/lの割合で溶解させた有機電解液を注入し、電池ケースの開口部にガスケット18および組立封口板17を装着して密閉型電池が完成する。こうして外径17mm、高さ35mmの円筒形二酸化マンガンリチウム一次電池を得た。
【実施例1】
【0027】
前記方法を用いて反応温度を400℃、圧力を30MPaとし正極を作製した。ステンレス箔に析出した二酸化マンガンの膜厚は100μm,膜の空隙率は30%であった。この正極を用いて前述の方法にて作製した電池を電池Aとした。
【実施例2】
【0028】
反応温度を250℃、圧力を20MPaとした以外は実施例1と同様に正極を作製した。ステンレス箔に析出した二酸化マンガンの膜厚は100μm,膜の空隙率は30%であった。この正極を用いて前述の方法にて作製した電池を電池Bとした。
【実施例3】
【0029】
反応温度を200℃、圧力を15MPaとした以外は実施例1と同様に正極を作製した。ステンレス箔に析出した二酸化マンガンの膜厚は100μm,膜の空隙率は30%であった。この正極を用いて前述の方法にて作製した電池を電池Cとした。
【実施例4】
【0030】
過酸化水素を加えない以外は実施例1と同様に正極を作製した。ステンレス箔に析出した二酸化マンガンの膜厚は100μm,膜の空隙率は30%であった。この正極を用いて前述の方法にて作製した電池を電池Dとした。
【実施例5】
【0031】
反応容器の空間を酸素ガスで充填した以外は実施例4と同様に正極を作製した。ステンレス箔に析出した二酸化マンガンの膜厚は100μm,膜の空隙率は30%であった。この正極を用いて前述の方法にて作製した電池を電池Eとした。
【実施例6】
【0032】
反応容器の空間をオゾンガスで充填した以外は実施例4と同様に正極を作製した。ステンレス箔に析出した二酸化マンガンの膜厚は100μm,膜の空隙率は30%であった。この正極を用いて前述の方法にて作製した電池を電池Fとした。
【実施例7】
【0033】
マンガン原料として和光純薬工業(株)製硫酸マンガン(II)五水和物を使用した以外は実施例4と同様に正極を作製した。ステンレス箔に析出した二酸化マンガンの膜厚は100μm,膜の空隙率は30%であった。この正極を用いて前述の方法にて作製した電池を電池Gとした。
【実施例8】
【0034】
反応容器の内側材質をステンレスとした以外は実施例1と同様に正極を作製した。ステンレス箔に析出した二酸化マンガンの膜厚は91μm、膜の空隙率は30%であった。この正極を用いて前述の方法にて作製した電池を電池Hとした。
【0035】
(比較例1)
電解二酸化マンガンを400℃で熱処理したものとカーボンとフッ素樹脂を質量比で90:5:5で混合した合剤を水に分散させステンレス箔に塗工及び乾燥した後、合剤厚みは100μm,膜の空隙率は30%となるように圧延した。この正極を用いて前述の方法にて作製した電池を電池Iとした。
【0036】
<電池の評価方法>
実施例1〜実施例5および比較例1の方法により集電体表面に析出した二酸化マンガンについて理学電機株式会社製X線回折装置(RINT−2500)により結晶構造の解析を行った。なお、測定条件としてはX線源としてCuKα線を使用し、2θ=10〜80°の範囲で測定を行った。
【0037】
また、電池A〜電池Iについて各10ケずつ1mA/cm2および10mA/cm2で2.0Vまで放電を行った。
【0038】
<評価結果>
実施例1〜実施例5で生成した二酸化マンガン試料を電極状態でX線回折測定を行った結果、いずれの試料においても2θ=64.860位置においてβ型MnO2の(002)面に対応するピークのみを確認できた。
【0039】
次に、各試料を集電体からはがし粉砕後粉末の状態で測定を行ったところ、(002)面以外の面に対応するピークも確認できた。以上の結果より、本発明の方法により集電体に析出した二酸化マンガンは単結晶構造を有しており、c軸方向が集電体に対し垂直に配向していることがわかる。
【0040】
なお、比較例1の電極についても測定を行ったところ、(002)面およびそれ以外の面のβ型MnO2に対応するピークが確認された。このことから、電池Fの電極に塗工された二酸化マンガンは配向していない。
【0041】
表1に実施例1〜5及び比較例の各放電電流における放電容量を示す。
【0042】
【表1】


【0043】
1mA/cm2で放電した結果、従来の設計である電池Iに対し電池A〜電池Hでは放電容量が増加した。このことから、本発明は正極にバインダーや結着剤を必要としないため、正極活物質の充填量が増加し放電容量の増加が可能となる。
【0044】
また、電池A〜電池Cの結果から反応温度が高いほど放電容量が大きいことから、亜臨界状態さらには超臨界状態にすることにより二酸化マンガンの結晶性が高くなり、利用率が向上したものと考えられる。
【0045】
また、電池A、D〜Eと電池Gを比較すると電池A、D〜Eの放電容量がより大きいことから、酸化剤を添加することにより二酸化マンガンの結晶性が高くなり、利用率が向上したものと考えられる。
【0046】
一方、10mA/cm2で放電した結果、電池Iに対し電池A〜電池Hで放電容量が増加した。これは本発明の活物質粒子が単結晶構造を成しておりc軸方向が集電体に対し垂直であることから、粒子内におけるリチウムイオンの拡散が速やかに行われているためと思われる。
【0047】
また、電池A〜電池Cから反応温度が高いほど放電容量が大きいことから、亜臨界状態さらには超臨界状態にすることにより二酸化マンガンの結晶性が高くなり、利用率が向上したものと考えられる。
【0048】
さらに、電池A、D〜Eと電池Gを比較すると電池A、D〜Eの放電容量がより大きいことから、酸化剤を添加することにより二酸化マンガンの結晶性が高くなり、利用率が向上したものと考えられる。
【0049】
また、電池Hの方法で正極を作成した場合に反応容器内面に生成物である二酸化マンガンの析出が確認されたが、電池A〜電池Gの方法では認められなかった。このことから、反応容器の内側材料に石英ガラスあるいはアルミナなどの絶縁性無機材料を使用することにより反応容器内面での生成物析出をより抑制できていると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明にかかる電池用正極は、二酸化マンガンの電池内充填量を増加し、二酸化マンガン粒子内のリチウムイオンの拡散を促進するものであり、低電流および高出力放電時において放電容量増加が可能となるので、リチウム電池用正極として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】従来の電池用電極の断面図
【図2】本発明の電池用電極の断面図
【図3】二酸化マンガンの結晶構造を示す図
【図4】本発明の実施例における円筒形電池の縦断面図
【符号の説明】
【0052】
1 二酸化マンガン
2 結着剤
3 導電助剤
4 集電体
5 二酸化マンガン
6 集電体
7 マンガン
8 酸素
9 正極
10 正極リード
11 負極
12 負極リード
13 セパレータ
14 上部絶縁板
15 下部絶縁板
16 電池ケース
17 組立封口板
18 ガスケット
19 正極端子




 

 


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