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発明の名称 活物質層と固体電解質層とを含む積層体およびこれを用いた全固体リチウム二次電池
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−5279(P2007−5279A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−357888(P2005−357888)
出願日 平成17年12月12日(2005.12.12)
代理人 【識別番号】100072431
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 和郎
発明者 南野 哲郎 / 玉井 秀和 / 中西 真二 / 井上 竜也 / 小林 恵治
要約 課題
固体電解質層、活物質層を熱処理により緻密化または結晶化させつつ、電気化学的に活性な活物質/固体電解質界面を有する積層体、および内部抵抗が低く、大容量の全固体リチウム二次電池を提供する。

解決手段
活物質層と、前記活物質層に焼結接合された固体電解質層を含む積層体であって、活物質層は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1物質を含み、固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2物質を含む。ここで、積層体は、X線回折法により分析したときに、前記活物質層の構成成分および前記固体電解質層の構成成分以外の成分が検出されない。また、このような積層体と負極活物質層を含む全固体リチウム二次電池。
特許請求の範囲
【請求項1】
活物質層と、前記活物質層に焼結接合された固体電解質層を含む全固体リチウム二次電池用積層体であって、
前記活物質層は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1物質を含み、
前記固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2物質を含み、
前記積層体は、X線回折法により分析したときに、前記活物質層の構成成分および前記固体電解質層の構成成分以外の成分が検出されない全固体リチウム二次電池用積層体。
【請求項2】
前記第1物質が、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物を含み、前記第2物質が、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2リン酸化合物を含む請求項1記載の全固体リチウム二次電池用積層体。
【請求項3】
少なくとも前記固体電解質層の充填率が70%を超える請求項1記載の全固体リチウム二次電池用積層体。
【請求項4】
前記活物質層および前記固体電解質層の少なくとも1つが、非晶質酸化物を含む請求項1記載の全固体リチウム二次電池用積層体。
【請求項5】
前記活物質層および前記固体電解質層の少なくとも1つが、それぞれ前記非晶質酸化物を0.1〜10重量%含む請求項4記載の全固体リチウム二次電池用積層体。
【請求項6】
前記非晶質酸化物の軟化点が、700℃以上950℃以下である請求項4記載の全固体リチウム二次電池用積層体。
【請求項7】
前記第1リン酸化合物が、以下の一般式:
LiMPO4
(Mは、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である)
で表される請求項2記載の全固体リチウム二次電池用積層体。
【請求項8】
前記第2リン酸化合物が、以下の一般式:
Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43
(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)
で表される請求項2記載の全固体リチウム二次電池用積層体。
【請求項9】
正極活物質層と、前記正極活物質層に焼結接合された固体電解質層とを含む組を少なくとも1つ含む積層体を備える全固体リチウム二次電池であって、
前記正極活物質層は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1物質を含み、
前記固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2物質を含み、
前記積層体は、X線回折法により分析したときに、前記活物質層の構成成分および前記固体電解質層の構成成分以外の成分が検出されない全固体リチウム二次電池。
【請求項10】
前記第1物質が、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物であり、前記第2物質が、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2リン酸化合物である請求項9記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項11】
前記組が、前記固体電解質層を介して前記正極活物質層と対向する負極活物質層を有し、前記固体電解質層と前記負極活物質層とが接合されており、前記負極活物質層は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第3リン酸化合物またはTiを含む酸化物を含む請求項9記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項12】
前記固体電解質層の充填率が70%を超える請求項9記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項13】
前記第1リン酸化合物が、以下の一般式:
LiMPO4
(Mは、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である)
で表される請求項10記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項14】
前記第2リン酸化合物が、以下の一般式:
Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43
(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)
で表される請求項10記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項15】
前記第3リン酸化合物が、FePO4、Li3Fe2(PO43、およびLiFeP27よりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項11記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項16】
前記第2リン酸化合物がLi1+XIIIXTiIV2-X(PO43(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)を含み、前記固体電解質層が負極活物質層を兼ねる請求項10記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項17】
前記正極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも1つが、非晶質酸化物を含む請求項9記載の全固体リチウム電池。
【請求項18】
前記非晶質酸化物が、それが含まれる層の0.1〜10重量%を占める請求項17記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項19】
前記非晶質酸化物の軟化点が、700℃以上950℃以下である請求項17記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項20】
前記正極活物質層および前記固体電解質層の少なくとも一つが、Li427を含み、前記固体電解質層の充填率が70%を超えている請求項9記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項21】
Li427が、それが含まれる層の0.1〜10重量%を占める請求項20記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項22】
前記固体電解質層の前記正極活物質層と接合されていない面が、耐還元性を有する電解質からなる層を介して、金属リチウムまたは集電体と、接合されている請求項9記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項23】
前記組が、正極集電体および負極集電体により挟まれている請求項9記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項24】
前記正極活物質層が正極集電体を備え、前記負極活物質層が負極集電体を備える請求項11記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項25】
正極および負極の少なくとも一方の活物質層内に、薄膜状の集電体が設けられている請求項24記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項26】
前記正極集電体および前記負極集電体の少なくとも1つの多孔度が、20%以上60%以下である請求項25記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項27】
前記薄膜状の正極集電体および前記薄膜状の負極集電体の少なくとも一方が、活物質層の厚さ方向の中央部に配置されている請求項25記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項28】
前記正極活物質層および前記負極活物質層の少なくとも一方の全体にわたって、集電体が三次元網目状に配置されている請求項24記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項29】
前記正極活物質層の固体電解質層と接している方の面と反対側の面および前記負極活物質層の固体電解質と接している方の面と反対側の面の少なくとも一方に、集電体を備える請求項24記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項30】
前記組が2つ以上であり、前記正極集電体および前記負極集電体が、それぞれ、正極外部集電体および負極外部集電体により並列に接続されている請求項24記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項31】
前記正極集電体および前記負極集電体が、導電性材料からなる請求項24記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項32】
前記導電性材料が、ステンレス鋼、銀、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、金、および白金よりなる群から選択される少なくとも1種を含む請求項31記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項33】
前記正極外部集電体および前記負極外部集電体が、金属とガラスフリットとの混合物からなる請求項30記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項34】
活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、活物質層形成用スラリー1を得る工程、
固体電解質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、固体電解質層形成用スラリー2を得る工程、
前記スラリー1を用いて、活物質グリーンシートを得る工程、
前記スラリー2を用いて、固体電解質グリーンシートを得る工程、
前記活物質グリーンシートおよび固体電解質グリーンシートを積層し、熱処理して、積層体を得る工程を包含し、
前記活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る第1リン酸化合物を含み、
前記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する第2リン酸化合物を含む、活物質層と固体電解質層とからなる積層体の製造方法。
【請求項35】
前記スラリー1および前記スラリー2の少なくとも一方に、非晶質酸化物を含ませ、前記熱処理を700℃以上1000℃以下で行う請求項34記載の積層体の製造方法。
【請求項36】
前記少なくとも一方のスラリーにおいて、前記非晶質酸化物と、前記活物質または前記固体電解質との合計に占める非晶質酸化物の割合が、0.1重量%〜10重量%である請求項35記載の積層体の製造方法。
【請求項37】
前記非晶質酸化物の軟化点が、700℃以上950℃以下である請求項35記載の積層体の製造方法。
【請求項38】
基板上に活物質を堆積させて、活物質層を形成する工程、
前記活物質層の上に、固体電解質を堆積させて、固体電解質層を形成する工程、
前記活物質層および固体電解質層を、熱処理して、結晶化させる工程を包含し、
前記活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物からなり、
前記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2リン酸化合物からなる、活物質層と固体電解質層とからなる積層体の製造方法。
【請求項39】
前記活物質および前記固体電解質の前記基板への堆積が、スパッタ法によって行われる請求項38記載の積層体の製造方法。
【請求項40】
(a)正極活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、正極活物質層形成用スラリー1を得る工程、
(b)固体電解質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、固体電解質層形成用スラリー2を得る工程、
(c)負極活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、負極活物質層形成用スラリー3を得る工程、
(d)前記スラリー1を用いて、正極活物質グリーンシートを得る工程、
(e)前記スラリー2を用いて、固体電解質グリーンシートを得る工程、
(f)前記スラリー3を用いて、負極活物質グリーンシートを得る工程、
(g)前記固体電解質シート、ならびに前記固体電解質シートを挟み込むように配置された前記正極活物質グリーンシートおよび前記負極活物質グリーンシートを含む組を少なくとも1つ含む第1グリーンシート群を形成する工程、ならびに
(h)前記第1グリーンシート群を熱処理して、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層とが一体化された組を少なくとも1つ含む積層体を得る工程を包含し、
前記正極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物を含み、
前記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する第2リン酸化合物を含み、
前記負極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る第3リン酸化合物またはTiを含む酸化物を含む、全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項41】
前記スラリー1、前記スラリー2および前記スラリー3よりなる群から選択される少なくとも1つが、非晶質酸化物を含む請求項40記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項42】
前記工程(h)において、前記熱処理を700℃以上1000℃以下で行う請求項41記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項43】
前記スラリー1、前記スラリー2および前記スラリー3よりなる群から選択される少なくとも1つに、Li427を添加し、
前記工程(h)において、前記熱処理を700℃以上1000℃以下で行う請求項40記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項44】
前記工程(g)において、前記組を、少なくとも2枚の前記正極活物質グリーンシート、少なくとも2枚の前記負極活物質グリーンシート、および固体電解質グリーンシートを用いて構成し、
前記少なくとも2枚の正極活物質グリーンシートの間に1枚の正極集電体が設けられ、前記少なくとも2枚の負極活物質グリーンシートの間に1枚の負極集電体が設けられ、
前記積層体の表面の異なる領域に、前記正極集電体の一方の端部および前記負極集電体の一方の端部がそれぞれ露出される請求項40記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項45】
前記工程(a)および工程(c)において、正極集電体を構成する材料および負極集電体を構成する材料が、それぞれ、前記スラリー1および前記スラリー3に、さらに混合され、
前記積層体の表面の異なる領域に、前記正極活物質層の一方の端部および前記負極活物質層の一方の端部がそれぞれ露出される請求項40記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項46】
(A)正極活物質層、負極活物質層、および前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置された固体電解質層を含む組を備える第1群を得る工程、ならびに
(B)前記第1群を、所定の温度で熱処理して、前記正極活物質層、前記固体電解質層および前記負極活物質層を一体化させるとともに、結晶化させる工程を包含し、
前記工程(A)は、
(i)所定の基板上に正極活物質または負極活物質を堆積させて、第1活物質層を形成する工程、
(ii)前記第1活物質層の上に、固体電解質を堆積させて、固体電解質層を形成する工程、および
(iii)前記固体電解質層の上に、前記第1活物質層とは異なる第2活物質層を積層させて、前記第1活物質層と前記固体電解質層と前記第2活物質層からなる組を含む積層物を得る工程、を包含し、
前記正極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物を含み、
前記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する第2リン酸化合物を含み、
前記負極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る第3リン酸化合物またはチタンを含む酸化物を含む、全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項47】
前記工程(iii)が、前記工程(B)の前に、前記組を、固体電解質層を介して、少なくとも2つ積層して、第1群を得る工程をさらに含む請求項46記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項48】
前記活物質および前記固体電解質の前記基板への堆積が、スパッタ法または熱蒸着によって行われる請求項46記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項49】
前記第2リン酸化合物および前記第3リン酸化合物が、Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)を含み、
前記熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われ、
前記水蒸気は、前記雰囲気ガスの5〜90体積%を占め、
前記熱処理の最高温度が、700℃以上1000℃以下である請求項44記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項50】
前記第1リン酸化合物が、以下の一般式:
LiMPO4
(Mは、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である)
で表されるとともに、前記第1リン酸化合物は、Feを含み、
前記熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われ、
前記水蒸気は、前記雰囲気ガスの5〜90体積%を占め、
前記熱処理の最高温度が700℃以上1000℃以下である請求項40記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項51】
前記雰囲気ガスにおいて、平衡酸素分圧PO2(気圧)が、前記熱処理の一定維持温度をT℃とした場合に、以下の式:
−0.0310T+33.5≦−log10PO2≦−0.0300T+38.1
を満たす請求項49記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項52】
前記雰囲気ガスにおいて、平衡酸素分圧PO2(気圧)が、前記熱処理の一定維持温度をT℃とした場合に、以下の式:
−0.0310T+33.5≦−log10PO2≦−0.0300T+38.1
を満たす請求項50記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項53】
前記第1リン酸化合物が、以下の一般式:
LiMPO4
(Mは、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である)
で表されるとともに、前記第1リン酸化合物は、Feを含み、
前記熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われ、
前記水蒸気は、前記雰囲気ガスの5〜90体積%を占め、
前記熱処理の最高温度が700℃以上1000℃以下である請求項34記載の積層体の製造方法。
【請求項54】
前記雰囲気ガスにおいて、平衡酸素分圧PO2(気圧)が、前記熱処理の一定維持温度をT℃とした場合に、以下の式:
−0.0310T+33.5≦−log10PO2≦−0.0300T+38.1
を満たす請求項53記載の積層体の製造方法。
【請求項55】
前記低酸素分圧ガスが、酸素を放出可能なガスおよび酸素と反応するガスの混合物を含む請求項53記載の積層体の製造方法。
【請求項56】
前記正極集電体および前記負極集電体のうちの少なくとも一方が、銀、銅、およびニッケルよりなる群から選ばれる1種からなり、
前記熱処理が、電極の酸化還元平衡酸素分圧より低い酸素分圧を有する雰囲気ガス中で行われ、
前記熱処理の最高温度が700℃以上1000℃以下である請求項44記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項57】
前記雰囲気ガスが、3容量%以下の炭酸ガスと水素ガスを含み、前記炭酸ガスと前記水素ガスとの混合比を変化させることにより、前記雰囲気ガスの酸素分圧が調節されている請求項56記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項58】
前記正極集電体および前記負極集電体の少なくとも一方が、銀、銅およびニッケルよりなる群から選ばれる少なくとも1種の材料を含み、
前記熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われ、
前記水蒸気は、前記雰囲気ガスの5〜90体積%を占め、
前記熱処理の最高温度が700℃以上1000℃以下である請求項44記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項59】
前記正極集電体および前記負極集電体の少なくとも一方が、銀、銅およびニッケルよりなる群から選択される少なくとも1種の材料を含み、
前記熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われ、
前記水蒸気は、前記雰囲気ガスの5〜90体積%を占め、
前記熱処理の最高温度が700℃以上1000℃以下である請求項45記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項60】
前記雰囲気ガスにおいて、平衡酸素分圧PO2(気圧)が、前記熱処理の一定維持温度をT℃した場合に、以下の式:
−0.0310T+3.5≦−log10PO2≦−0.0300T+38.1
を満たす請求項58記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項61】
前記雰囲気ガスにおいて、平衡酸素分圧PO2(気圧)が、前記熱処理の一定維持温度をT℃した場合に、以下の式:
−0.0310T+3.5≦−log10PO2≦−0.0300T+38.1
を満たす請求項59記載の全固体リチウム二次電池。
【請求項62】
前記低酸素分圧ガスが、酸素を放出可能なガスおよび酸素と反応するガスの混合物を含む請求項49記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
【請求項63】
(a)正極活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、正極活物質層形成用スラリー1を得る工程、
(b)固体電解質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、固体電解質層形成用スラリー2を得る工程、
(c)前記スラリー1を用いて、正極活物質グリーンシートを得る工程、
(d)前記スラリー2を用いて、固体電解質グリーンシートを得る工程、
(e)前記正極活物質グリーンシート、および前記固体電解質グリーンシートを含む組を少なくとも1つ含む第2グリーンシート群を形成する工程、ならびに
(f)前記第2グリーンシート群を熱処理して、正極活物質層と固体電解質層とが一体化された組を少なくとも1つ含む積層体を得る工程を包含し、
前記工程(e)において、前記組を、少なくとも2枚の前記正極活物質グリーンシート、少なくとも2枚の前記固体電解質グリーンシートを用いて構成し、前記少なくとも2枚の正極活物質グリーンシートの間に1枚の正極集電体が設けられ、前記少なくとも2枚の固体電解質グリーンシートの間に1枚の負極集電体が設けられ、
前記正極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る第1リン酸化合物を含み、
前記固体電解質はリチウムイオン伝導性を有する第2リン酸化合物を含み、前記固体電解質は負極活物質を兼ね、
前記正極集電体および前記負極集電体の少なくとも一方が、銀、銅、およびニッケルよりなる群から選択され、
前記熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われる、全固体リチウム二次電池の製造方法。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、正極活物質層と固体電解質層とを含む積層体およびこれを用いた全固体リチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の小型化に伴い、その主電源やバックアップ電源として高エネルギー密度を有する電池が要望されている。中でもリチウムイオン二次電池は、従来の水溶液系の電池に比べ、高電圧であり、かつ高エネルギー密度を有しているために注目を集めている。
【0003】
リチウムイオン二次電池において、LiCoO2、LiMn24、LiNiO2などの酸化物が正極活物質として用いられ、カーボンやSiなどの合金、Li4Ti512などの酸化物が負極活物質として用いられている。また、電解液には炭酸エステルやエーテル系の有機溶媒にLi塩を溶解したものが用いられている。
【0004】
しかしながら、上記のような電解液は液体であるため、漏液の可能性がある。さらには、電解液には、可燃物が使用されているため、誤使用時の電池の安全性を高める必要がある。リチウムイオン二次電池の安全性及び信頼性を高めるために、電解液の代わりに固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池の研究が盛んに行われている。
しかしながら、固体電解質は、液体である電解液と比較して、導電率が低く、出力密度が低いという問題がある。
【0005】
一方で、高エネルギー密度化を達成するために、正極と、固体電解質または電解質を含むセパレータと、負極とを1組以上積層して一体化した積層体を備える積層型電池が提案されている(特許文献1)。この積層体の側面および上下面の少なくともいずれかの端面には、それぞれ、正極および負極に接続された端子電極が設けられている。
また、導電率を増加させるために、液体の電解液を含むゲル電解質を、正極活物質層と負極活物質層との間に配置することも考えられる。
【0006】
特許文献1においては、正極、固体電解質および負極の組は、端子電極により、並列または直列に接続されている。端子電極は、メッキ、焼き付け、または蒸着、スパッタリング等により形成される。しかしながら、例えば、液体の電解液を含むゲル電解質を備える積層型電池で、上記のような方法を用いることは困難である。メッキの場合、メッキ液に含まれる水分が電池内へと混入してしまうために、非水電解液を含む系に適用することはできない。焼き付けの場合、電解液の沸騰・蒸発が生じるため、適用することは困難である。蒸着やスパッタリングの場合、これらの方法は、減圧雰囲気下で行う必要がある。この場合にも、電解液の沸騰・蒸発が生じるため、適用することは困難である。
【0007】
Perovskite型のLi0.33La0.56TiO3やNASICON型のLiTi2(PO43は、Liイオンを高速で伝導することができるLiイオン伝導体である。近年、このような固体電解質を用いた全固体電池が研究されている。
無機系固体電解質、正極活物質および負極活物質を用いた固体電池は、正極活物質層と固体電解質層と負極活物質層とを順に積層して積層体を形成し、熱処理により焼結させることにより作製される。この方法では、正極活物質層と固体電解質層との界面、および固体電解質層と負極活物質層との界面を接合することができる。しかし、この方法を用いることは、従来、種々の理由から不利益が大きい。
【0008】
例えば、非特許文献1には、正極活物質であるLiCoO2と固体電解質であるLiTi2(PO43を用いて焼結を行った場合、焼結過程において両者が反応し、充放電反応に寄与しないCoTiO3、Co2TiO4、LiCoPO4などの化合物が生成することが報告されている。
この場合、活物質と固体電解質との焼結界面に、活物質でも固体電解質でもない物質が生成することにより、その焼結界面が電気化学的に不活性化するという問題が生じる場合がある。
【0009】
このような問題を解決するために、例えば、以下のような作製方法が提案されている。まず、LiMn24/Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43/Li4Ti512の構成の3層ペレットを構成した後、このペレットを750℃で12時間焼結して、電極を得る。次に、10〜100μmmの厚さまで、その電極を研磨することにより、全固体電池とする(非特許文献2参照)。ここで、上記各層は、0.44LiBO2−0.56LiFを焼結助剤として15wt%ずつ含んでいる。
【0010】
しかしながら、非特許文献2の製造方法において、750℃という低温では焼結が十分進行せず、固体電解質と活物質の界面接合が不充分となる。このため、非特許文献2に示されている充放電カーブは10μA/cm2という非常に小さい電流値のものである。つまり、非特許文献2に開示される固体電池の内部抵抗は非常に大きなものであると推測される。
この場合、固体電池の内部抵抗を低減するために、焼結温度を上げて焼結を促進させることが考えられるが、元素の拡散による不活性相が、例えば、活物質層と固体電解質層との間に生成するため、充放電が困難となるという問題が生じる。
【0011】
また、結着材を含有する正極材料と固体電解質材料と負極材料の成形体を積層し、それらをマイクロ波加熱により焼結して、固体電池を作製することも提案されている(特許文献2参照)。特許文献2において、成形体は、シート成形もしくは基板上に原料ペーストをスクリーン印刷した後に乾燥して基板を除去することにより、作製される。
【0012】
特許文献2の作製方法によれば、電極と固体電解質層中の各粒子の反応を抑えつつ充填率を向上させることが可能とされている。しかしながら、特許文献2の実施例で述べられているような活物質/固体電解質の組合せでは、本質的に高温下で、活物質と固体電解質とが反応し、その界面にLiイオン伝導性のない相が発現する。このため、如何にマイクロ波加熱により焼成時間を短くしたとしても、活物質と固体電解質との界面での不活性相の発現を完全に抑制することは困難である。つまり、特許文献2の作製方法では、活物質/固体電解質の焼結界面での抵抗の増加、活物質の変性による容量低下などを抑制することは困難である。
【0013】
さらには、正極活物質と正極集電体からなる正極、固体電解質、および負極活物質と負極集電体からなる負極を積層して電池を作製した場合、充放電時の活物質の膨張および収縮により、活物質/電解質界面、および活物質/集電体界面においてデラミネーションが生じたり、その電池にクラックが発生したりするおそれがある。特に、固体電解質として無機酸化物を用いたとき、応力を緩和する層が存在しないため、その傾向が大きくなる。
【0014】
ところで、LiTi2(PO43を単体で用いた場合は、焼結性が悪く、1200℃で焼結しても、リチウムイオン伝導度は、10-6S/cm程度にしかならない。そこで、LiTi2(PO43と、焼結助剤であるLi3PO4やLi3BO3を添加することにより、LiTi2(PO43を800〜900℃で焼結することが可能となり、かつリチウムイオン伝導性が向上することが報告されている(非特許文献3参照)。
【0015】
また一方で、リチウムホスホラスオキシニトリド(LiXPOYZ、ここで、X=2.8であり、3Z+2Y=7.8である)を固体電解質に用いた薄膜電池も提案されている(特許文献3参照)。
【0016】
スパッタリングなどの手法で、活物質及び固体電解質の薄膜を基板上に形成させて電池を作製する場合、アモルファス状態で薄膜が形成される。一般的に用いられるLiCoO2、LiNiO2、LiMn24、Li4Ti512などの活物質は、アモルファス状態では充放電できないため、薄膜形成後、400〜700℃程度の熱処理を施して結晶化させる必要がある。
【0017】
しかしながら、特許文献3で用いられるリチウムホスホラスオキシニトリドは、300℃程度で分解してしまうため、正極、固体電解質、負極を連続して積層した後、熱処理を施して活物質を結晶化させるのは不可能である。
また、耐熱性のあるPerovskite型のLi0.33La0.56TiO3やNASICON型のLiTi2(PO43などの固体電解質を用いた場合、一般的な活物質と共に熱処理を施すと、活物質/固体電解質界面で不純物が生成してしまうため、充放電を行うことが困難である。
【0018】
以上のように、活物質と固体電解質との界面で、充放電に寄与しない物質が生成する副反応が進行するため、熱処理により活物質層および固体電解質層を緻密化または結晶化させながら、良好な活物質/固体電解質界面を形成することは、従来困難である。
【0019】
また、正極活物質として、リチウム金属に対して4.8Vで充放電するLiCoPO4を用いることが提案されている(非特許文献4参照)。
【0020】
しかしながら、4.8Vという高い作動電位のために電解液が分解し、このような活物質を用いる電池は寿命特性が短くなるという問題がある。
また、従来、LiCoPO4のような高い作動電圧を有する活物質を安定して作動させることは困難であった。
【特許文献1】特開平6−231796号公報
【特許文献2】特開2001−210360号公報
【特許文献3】米国特許第5597660号明細書
【非特許文献1】J.Power Sources,81−82,(1999),853
【非特許文献2】Solid State Ionics 118(1999),149
【非特許文献3】Solid State Ionics,47(1991),257−264
【非特許文献4】Electrochemical and Solid−State Letters,3(4),178(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
そこで、本発明は、固体電解質層、活物質層を熱処理により緻密化または結晶化させつつ、電気化学的に活性な活物質/固体電解質界面を有する積層体、および内部抵抗が低く、大容量の全固体リチウム二次電池を提供することを目的とする。また、焼結による反りおよび脆化を抑制し、活物質層と固体電解質層との界面の接合強度を向上した全固体リチウム二次電池を提供することを目的とする。さらには、デミラレーション、クラックなどを抑制して、信頼性の高い全固体リチウム二次電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、活物質層と、前記活物質層に接合された固体電解質層を含む積層体に関する。ここで、活物質層は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1物質を含み、固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2物質を含む。積層体をX線回折法により分析したときに、活物質層の構成成分および固体電解質層の構成成分以外の成分が検出されない。
【0023】
上記積層体において、第1物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物を含み、第2物質は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2リン酸化合物を含むことが好ましい。
【0024】
上記積層体は、少なくとも固体電解質層の充填率が70%を超えることが好ましい。ここで、充填率とは、各層を構成する物質の真密度に対する各層の見かけの密度の割合を、百分率値として表したものである。あるいは、各層の充填率は、その層の多孔度をX%としたとき、(100−X)%と定義することもできる。
【0025】
上記積層体において、活物質層および固体電解質層よりなる群から選択される少なくとも1つの層が、非晶質酸化物を含むことが好ましい。非晶質酸化物が含まれる層において、非晶質酸化物は、各層の0.1〜10重量%を占めることが好ましい。また、非晶質酸化物の軟化点は、700℃以上950℃以下であることが好ましい。
【0026】
上記積層体において、第1リン酸化合物は、以下の一般式:
LiMPO4
(Mは、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である)
で表されることが好ましい。第2リン酸化合物は、以下の一般式:
Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43
(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)
で表されることが好ましい。
【0027】
また、本発明は、正極活物質層と、正極活物質層に接合された固体電解質層とを含む組を少なくとも1つ含む積層体を備える全固体リチウム二次電池に関する。正極活物質層は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1物質を含み、固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2物質を含む。前記積層体は、X線回折法により分析したときに、前記活物質層の構成成分および前記固体電解質層の構成成分以外の成分が検出されない。また、前記第1物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物であることが好ましい。前記第2物質は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2リン酸化合物であることが好ましい。
【0028】
上記全固体リチウム二次電池において、前記組は、固体電解質層を介して正極活物質層と対向する負極活物質層を有し、固体電解質層と負極活物質層とは接合されており、負極活物質層は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第3リン酸化合物またはTiを含む酸化物を含むことが好ましい。
【0029】
上記全固体リチウム二次電池において、少なくとも固体電解質層の充填率は70%を超えることが好ましい。
【0030】
上記全固体リチウム二次電池において、第1リン酸化合物は、以下の一般式:
LiMPO4
(Mは、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である)
で表されることが好ましい。第2リン酸化合物は、以下の一般式:
Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43
(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)
で表されることが好ましい。
【0031】
上記全固体リチウム二次電池において、第3リン酸化合物は、FePO4、Li3Fe2(PO43、およびLiFeP27よりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、少なくとも固体電解質層の充填率が70%を超えることがさらに好ましい。
【0032】
上記全固体リチウム二次電池において、固体電解質がLi1+XIIIXTiIV2-X(PO43(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)を含み、固体電解質層が負極活物質層を兼ねることが好ましい。
【0033】
上記全固体リチウム二次電池において、活物質層および固体電解質層よりなる群から選択される少なくとも1つの層が、非晶質酸化物を含むことが好ましい。非晶質酸化物が含まれる層において、非晶質酸化物は、各層の0.1〜10重量%を占めることが好ましい。また、非晶質酸化物の軟化点は、700℃以上950℃以下であることが好ましい。
本発明の別の局面において、活物質層および固体電解質層よりなる群から選択される少なくとも一つの層に、Li427が含まれていることが好ましい。
【0034】
上記全固体リチウム二次電池において、固体電解質層の正極活物質層と接合されていない面は、耐還元性を有する電解質からなる層を介して、金属リチウムまたは集電体と接合されていてもよい。
【0035】
上記全固体リチウム二次電池において、前記組は、正極集電体および負極集電体により挟まれていることが好ましい。
【0036】
上記全固体リチウム二次電池において、正極活物質層が正極集電体を備え、負極活物質層が負極集電体を備えていることが好ましい。また、本発明の別の局面において、正極および負極の少なくとも一方の活物質層内に、薄膜状の集電体が設けられていることが好ましい。
【0037】
上記全固体リチウム二次電池において、正極集電体および負極集電体よりなる群から選択される少なくとも1つの集電体の多孔度が、20%以上60%以下であることが好ましい。
また、前記薄膜状の正極集電体および前記薄膜状の負極集電体の少なくとも一方は、活物質層の厚さ方向の中央部に配置されていることが好ましい。
【0038】
本発明の別の局面において、正極活物質層および負極活物質の少なくとも一方において、集電体の全体にわたって三次元網目状に配置されていることが好ましい。
【0039】
上記全固体リチウム二次電池は、正極活物質層の固体電解質層と接している方の面と反対側の面および負極活物質層の固体電解質と接している方の面と反対側の面の少なくとも一方に、集電体を備えることが好ましい。
【0040】
上記全固体リチウム二次電池において、前記組が2つ以上であり、正極集電体および負極集電体が、それぞれ、正極外部集電体および負極外部集電体により並列に接続されていることが好ましい。また、正極外部集電体および負極外部集電体は、金属とガラスフリットとの混合物からなることがさらに好ましい。
【0041】
上記全固体リチウム二次電池において、正極集電体および負極集電体が、導電性材料からなることが好ましい。前記導電性材料は、ステンレス鋼、銀、銅、ニッケル、コバルト、パラジウム、金、および白金よりなる群から選択される少なくとも1種を含むことがさらに好ましい。
【0042】
前記全固体リチウム二次電池において、上記積層体は、金属ケース内に収容されており、その金属ケースは密閉されていることが好ましい。
【0043】
前記全固体リチウム二次電池は、樹脂により覆われていることが好ましい。また、本発明の別の局面において、全固体リチウム二次電池の表面に、撥水処理が施されていることが好ましい。本発明のさらに別の局面において、全固体リチウム二次電池は、撥水処理が施されたのちに、樹脂により覆われていることが好ましい。
【0044】
本発明のさらに別の局面において、上記全固体リチウム二次電池は、低融点ガラスによって被覆されていることが好ましい。
【0045】
また、本発明は、活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、活物質層形成用スラリー1を得る工程、
固体電解質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、固体電解質層形成用スラリー2を得る工程、
前記スラリー1を用いて、活物質グリーンシートを得る工程、
前記スラリー2を用いて、固体電解質グリーンシートを得る工程、
前記活物質グリーンシートおよび固体電解質グリーンシートを積層し、所定の温度で熱処理して、積層体を得る工程を包含し、
前記活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る第1リン酸化合物を含み、
前記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する第2リン酸化合物を含む、活物質層と固体電解質層とからなる積層体の製造方法に関する。
【0046】
上記積層体の製造方法において、スラリー1およびスラリー2よりなる群から選択される少なくとも一方のスラリーに非晶質酸化物を含ませ、熱処理を行うときの所定の温度を、700℃以上1000℃以下とすることが好ましい。前記少なくとも1つのスラリーにおいて、非晶質酸化物と、活物質または固体電解質との合計に占める非晶質酸化物の割合は、0.1重量%〜10重量%であることがさらに好ましい。非晶質酸化物の軟化点は、700℃以上950℃以下であることが好ましい。
【0047】
また、本発明は、
基板上に活物質を堆積させて、活物質層を形成する工程、
前記活物質層の上に、固体電解質を堆積させて、固体電解質層を形成する工程、および
前記活物質層および固体電解質層を、所定の温度で熱処理して、結晶化させる工程を包含し、前記活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物を含み、前記固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2リン酸化合物を含む、活物質層と固体電解質層とからなる積層体の製造方法に関する。ここで、前記活物質および前記固体電解質の前記基板への堆積は、スパッタ法によって行われることが好ましい。
【0048】
また、本発明は、
(a)正極活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、正極活物質層形成用スラリー1を得る工程、
(b)固体電解質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、固体電解質層形成用スラリー2を得る工程、
(c)負極活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、負極活物質層形成用スラリー3を得る工程、
(d)前記スラリー1を用いて、正極活物質グリーンシートを得る工程、
(e)前記スラリー2を用いて、固体電解質グリーンシートを得る工程、
(f)前記スラリー3を用いて、負極活物質グリーンシートを得る工程、
(g)固体電解質グリーンシート、ならびに前記固体電解質グリーンシートを挟むように配置された正極活物質グリーンシートおよび負極活物質グリーンシートを含む組を少なくとも1つ含む第1グリーンシート群を形成する工程、ならびに
(h)前記第1グリーンシート群を所定の温度で熱処理して、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層とが一体化された組を少なくとも1つ含む積層体を得る工程を包含する全固体リチウム二次電池の製造方法に関する。ここで、正極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物を含み、固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する第2リン酸化合物を含み、負極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る第3リン酸化合物またはTiを含む酸化物を含む。
【0049】
上記全固体リチウム二次電池の製造方法において、スラリー1、スラリー2およびスラリー3よりなる群から選択される少なくとも一方のスラリーに非晶質酸化物を含ませることが好ましい。前記少なくとも一方のスラリーにおいて、非晶質酸化物と、活物質または固体電解質との合計に占める非晶質酸化物の割合は、0.1重量%〜10重量%であることがさらに好ましい。非晶質酸化物の軟化点は、700℃以上950℃以下であることが好ましい。
また、この場合、熱処理を行うときの所定の温度を、700℃以上1000℃以下とすることが好ましい。
【0050】
本発明の別の局面において、スラリー1、スラリー2およびスラリー3よりなる群から選択される少なくとも1つのスラリーに、Li427を添加し、熱処理を700℃以上1000℃以下で行うことが好ましい。
【0051】
上記全固体リチウム二次電池の製造方法の工程(g)において、前記組を作製するときに、前記正極活物質グリーンシートおよび前記負極活物質グリーンシートよりなる群から選択される少なくとも1つが、集電体と一体化されていることが好ましい。
【0052】
本発明の別の局面では、上記工程(g)において、前記組を、少なくとも2枚の前記正極活物質グリーンシート、少なくとも2枚の前記負極活物質グリーンシート、および固体電解質グリーンシートを用いて構成する。このとき、少なくとも2枚の正極活物質グリーンシートの間に1枚の正極集電体が設けられ、少なくとも2枚の負極活物質グリーンシートの間に1枚の負極集電体が設けられ、積層体の表面の異なる領域に、正極集電体の一方の端部および負極集電体の一方の端部が露出されることが好ましい。
【0053】
本発明のさらに別の局面では、上記工程(a)および工程(c)において、正極集電体を構成する材料および負極集電体を構成する材料が、それぞれ、スラリー1およびスラリー3に、さらに混合され、積層体の表面の異なる領域に、正極活物質層の一方の端部および負極活物質層の一方の端部が露出されることが好ましい。
【0054】
また、本発明は、
(A)正極活物質層、負極活物質層、および前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置された固体電解質層を含む組を備える第1群を得る工程、ならびに
(B)前記第1群を、所定の温度で熱処理して、前記正極活物質層、前記固体電解質層および前記負極活物質層を一体化させるとともに、結晶化させる工程を包含し、
前記工程(A)は、
(i)所定の基板上に正極活物質または負極活物質を堆積させて、第1活物質層を形成する工程、
(ii)前記第1活物質層の上に、固体電解質を堆積させて、固体電解質層を形成する工程、および
(iii)前記固体電解質層の上に、前記第1活物質層とは異なる第2活物質層を積層させて、前記第1活物質層と前記固体電解質層と前記第2活物質層からなる組を含む第1群を得る工程、を包含し、正極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物を含み、固体電解質は、リチウムイオン伝導性を有する第2リン酸化合物を含み、負極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る第3リン酸化合物またはTiを含む酸化物を含む、全固体リチウム二次電池の製造方法に関する。前記活物質および前記固体電解質の前記基板への堆積が、スパッタ法または熱蒸着によって行われることが好ましい。
【0055】
また、上記全固体リチウム二次電池の製造方法において、工程(iii)が、工程(B)の前に、前記組を、固体電解質層を介して、少なくとも2つ積層して、積層物を得る工程をさらに含むことが好ましい。
【0056】
また、本発明は、
(a)正極活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、正極活物質層形成用スラリー1を得る工程、
(b)固体電解質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、固体電解質層形成用スラリー2を得る工程、
(c)前記スラリー1を用いて、正極活物質グリーンシートを得る工程、
(d)前記スラリー2を用いて、固体電解質グリーンシートを得る工程、
(e)前記正極活物質グリーンシート、および前記固体電解質グリーンシートを含む組を少なくとも1つ含む第2グリーンシート群を形成する工程、ならびに
(f)前記第2グリーンシート群を所定の温度で熱処理して、正極活物質層と固体電解質層とが一体化された組を少なくとも1つ含む積層体を得る工程を包含し、工程(e)において、前記組を、少なくとも2枚の前記正極活物質グリーンシート、少なくとも2枚の前記固体電解質グリーンシートを用いて構成し、前記少なくとも2枚の正極活物質グリーンシートの間に1枚の正極集電体が設けられ、前記少なくとも2枚の固体電解質グリーンシートの間に1枚の負極集電体が設けられ、正極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る第1リン酸化合物を含み、固体電解質はリチウムイオン伝導性を有する第2リン酸化合物を含み、固体電解質は負極活物質を兼ね、正極集電体および負極集電体の少なくとも一方が、銀、銅、およびニッケルよりなる群から選択され、熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われる全固体リチウム二次電池の製造方法に関する。
【0057】
上記全固体リチウム二次電池の製造方法において、第2リン酸化合物および第3リン酸化合物が、Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)を含み、熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われ、前記水蒸気は、雰囲気ガスの5〜90体積%を占め、熱処理の最高温度が、700℃以上1000℃以下であることがさらに好ましい。
【0058】
上記積層体および全固体二次電池の製造方法において、第1リン酸化合物が、以下の一般式:
LiMPO4
(Mは、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である)
で表されるとともに、第1リン酸化合物は、Feを含み、熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われ、前記水蒸気は、雰囲気ガスの5〜90体積%を占め、熱処理の最高温度が700℃以上1000℃以下であることがさらに好ましい。
【0059】
上記積層体および全固体二次電池の製造方法において、前記雰囲気ガスに含まれる酸素ガスの平衡分圧PO2(気圧)が、熱処理の一定維持温度をT℃とした場合に、以下の式:
−0.0310T+33.5≦−log10PO2≦−0.0300T+38.1
を満たすことがさらに好ましい。ここで、熱処理(焼結)において、グリーンチップが所定の昇温速度で加熱されていくが、その途中で、所定の時間の間、グリーンチップが所定の一定温度に維持され、焼結を行う前にバインダー等が除去される。本発明において、その所定の一定温度のことを、一定維持温度という。
【0060】
上記積層体および全固体リチウム二次電池の製造方法において、低酸素分圧ガスは、酸素を放出可能なガスおよび酸素と反応するガスの混合物を含むことがさらに好ましい。
【0061】
上記全固体リチウム二次電池の製造方法において、正極集電体および負極集電体のうちの少なくとも一方が、銀、銅、およびニッケルよりなる群から選ばれる1種からなり、熱処理が、電極の酸化還元平衡酸素分圧より低い酸素分圧を有する雰囲気ガス中で行われ、熱処理の最高温度が700℃以上1000℃以下であることがさらに好ましい。このとき、雰囲気ガスが、炭酸ガスと水素ガスを含み、炭酸ガスと前記水素ガスとの混合比を変化させることにより、雰囲気ガスの酸素分圧が調節されている。
【0062】
上記全固体リチウム二次電池の製造方法において、正極集電体および負極集電体のうちの少なくとも一方が、銀、銅、およびニッケルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含み熱処理が、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われ、前記水蒸気は、雰囲気ガスの5〜90体積%を占め、熱処理の最高温度が700℃以上1000℃以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0063】
本発明によれば、固体電解質層、活物質層を熱処理により緻密化させつつ、電気化学的に活性な活物質/固体電解質界面を形成することが可能となる。また、高い作動電圧を有する活物質の寿命特性を改善することが可能となる。また、前記積層体と負極との組を少なくとも1つ用いることにより、内部抵抗が小さく、高容量の全固体リチウム二次電池を提供することができる。さらには、撥水処理を施すことにより、高温多湿雰囲気下で保存した場合でも、信頼性の高い全固体リチウム二次電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
本発明の積層体(以下、第1積層体ともいう)は、活物質層と、活物質層に接合した固体電解質層とを含む。
活物質層は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1物質を含み、固体電解質層は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2物質を含む。ここで、前記積層体において、X線回折法により、活物質層の構成成分および固体電解質層の構成成分以外の成分が検出されない。
また、活物質層および固体電解質は、結晶性であることが好ましい。
なお、積層体を用いて作製された電池において、正極は、活物質層を含む。
【0065】
活物質層に含まれる第1物質としては、例えば、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物を用いることができる。第1リン酸化合物としては、以下の一般式:
LiMPO4
(Mは、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である)で表される材料を用いることが好ましい。
【0066】
また、固体電解質層に含まれる第2物質としては、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2リン酸化合物を用いることができる。第2リン酸化合物としては、以下の一般式:
Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43
(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)で表される材料を用いることが好ましい。
【0067】
上記のような活物質を含む活物質層と、上記のような固体電解質を含む固体電解質層とを用いることにより、積層体を作製するときに熱処理を行った場合でも、第1物質と第2物質との接合界面(つまり、活物質と固体電解質との接合界面)において、活物質でも固体電解質でもなく、充放電反応に寄与しない不純物相の発現を抑制することができる。
【0068】
全固体電池が充放電可能となるためには、活物質層と固体電解質層との接合界面において、リチウムイオン伝導性が保持され、かつ活物質層と固体電解質層とが広い面積で強固に接合されていることが必要である。本発明による活物質層と固体電解質層の組合せによれば、このような界面の接合が可能となる。
【0069】
活物質層および固体電解質層は、いずれもリチウムイオン伝導性を有することが好ましい。また、少なくとも固体電解質層における固体電解質の充填率が70%を超えることが好ましい。同様に、活物質層における活物質の充填率が70%を超えることが好ましい。それらの充填率が70%よりも小さい場合、例えば、本発明の積層体を用いて作製した電池の高率充放電特性が低下してしまうことがある。
【0070】
活物質層および固体電解質層における電子電導性やイオン伝導性が阻害されるため、活物質層および固体電解質層には、有機バインダーのような有機物が含まれていないことが好ましい。つまり、堆積膜や焼結体であることが好ましい。
【0071】
上記第1積層体において、活物質層の厚さx1は、0.1〜10μmであることが好ましい。活物質層の厚さx1が0.1μmよりも小さくなると、充分な容量を有する電池を得ることができなくなる。活物質層の厚さx1が、10μmよりも大きくなると、電池の充放電が困難となる。
【0072】
また、固体電解質層の厚さyは、比較的広い範囲の厚さをとることができる。なかでも、固体電解質層の厚さyは、1μm〜1cm程度であることが好ましく、10〜500μmであることがさらに好ましい。これは、エネルギー密度の観点からは、固体電解質層の厚さは薄い方がよいが、固体電解質層の機械的強度も必要だからである。
【0073】
本発明の積層体において、活物質層および固体電解質層よりなる群から選択される少なくとも1つの層が、非晶質酸化物を含むことが好ましい。
一般に異なるセラミックス材料(例えば、上記第1リン酸化合物および第2リン酸化合物)は異なる焼結温度を有する。このため、複数の異種のセラミックス材料を積層して形成された積層体を一度に熱処理して焼結した場合、材料ごとにその焼結が始まる温度や焼結速度等が異なる。このように、各層の焼結が始まる温度や焼結速度等が異なると、焼結の際に反りが生じたり、熱歪みが積層体に残存して脆化したりする場合がある。さらには、活物質層と固体電解質層との界面が剥離する場合がある。そこで、活物質層および固体電解質層のうちで、焼結を促進させたい層に、焼結助剤である非晶質酸化物を添加する。これにより、各層の焼結が始まる温度や焼結速度等を揃えることが可能となる。よって、積層体を焼結した際の積層体の反りや脆化、活物質層と固体電解質層との界面剥離等を低減することが可能となる。なお、非晶質酸化剤の種類(軟化点)により、焼結が開始する温度等を調節することができ、また、その添加量により、焼結速度等を調節することができる。
さらには、上記積層体を用いて全固体電池を作製した場合、活物質層および固体電解質層の少なくとも1つが非晶質酸化物を含むことにより、その全固体電池のインピーダンスを低下させることもできる。このようなインピーダンスが低下した電池は、ハイレート特性が優れる。
【0074】
上記非晶質酸化物としては、例えば、SiO2とAl23とNa2OとMgOとCaOとを含むもの、72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaO、72wt%SiO2−1wt%Al23−14wt%Na2O−3wt%MgO−10wt%CaO、62wt%SiO2−15wt%Al23−8wt%CaO−15wt%BaO等が挙げられる。
なお、非晶質酸化物の軟化温度は、非晶質酸化物に、アルカリ金属やアルカリ土類金属及び希土類の酸化物を添加したり、それらの含有量を変化させたりすることにより、変化させることができる。
【0075】
また、非晶質酸化物が添加された層において、その非晶質酸化物の量は、その層の0.1重量%以上10重量%以下であることが望ましい。非晶質酸化物の量が、0.1重量%未満では、非晶質酸化物の焼結促進効果が得られない場合がある。非晶質酸化物の量が10重量%を超えると、その層における非晶質酸化物の量が多すぎて、電池の電気化学的特性が低下する場合がある。
【0076】
次に、本発明の全固体リチウム二次電池について説明する。
本発明の全固体リチウム二次電池は、正極活物質層、負極活物質層、および正極活物質層と負極活物質層との間に配置された固体電解質層を含む組を少なくとも1つ含む積層体(以下、第2積層体ともいう)を備える。本発明の全固体リチウム二次電池において、少なくとも正極活物質層および固体電解質層は接合(一体化)されている。つまり、第2積層体において、上記第1積層体が、正極活物質層および固体電解質層として機能する。
【0077】
この場合にも、少なくとも固体電解質層の各々の充填率は70%を超えることが好ましい。同様に、正極活物質層の充填率は70%を超えることが好ましい。
【0078】
第1積層体と同様に、正極活物質層は、例えば、上記第1リン酸化合物のような第1物質を含み、固体電解質層は、例えば、上記第2リン酸化合物のような第2物質を含む。負極活物質としては、例えば、板状で用いることができる材料からなるものを使用することができる。このような材料としては、例えば、金属リチウム、Al、Sn、In等が挙げられる。
負極活物質層の厚さは、500μm以下であることが好ましい。
【0079】
また、第1リン酸化合物の中でも、上記一般式:LiMPO4(Mは、Mn、Fe、CoおよびNiよりなる群から選ばれる少なくとも1種である)で表される化合物は、一般に作動電位が高い。このため、例えば、正極活物質として、上記一般式で表される第1リン酸化合物を用い、負極活物質として金属リチウムを用いることにより、高い作動電圧を有する電池を得ることが可能となる。
【0080】
また、固体電解質として用いられる第2リン酸化合物のなかでも、Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)で表される化合物は、Li/Li+極に対して2.5V程度で還元を受けることが知られている。よって、作動電圧がLi/Li+極に対して2.5V以下の活物質を用いる場合には、このような還元を防止するために、耐還元性を有する電解質からなる層を固体電解質層と負極との間に配置することが好ましい。これにより、可逆性に優れた固体電池を得ることが可能となる。
【0081】
耐還元性を有する電解質としては、当該分野で一般的なポリマー電解質を用いることができる。このようなポリマー電解質としては、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルなどの高分子ホストに電解液を含浸させて膨潤させたゲル電解質や、ポリエチレンオキシドを基本骨格とするポリエーテルと、シロキサン、アクリル酸系化合物、分岐鎖となる多価アルコールなどとを共重合したポリマーに、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiN(SO2CF32などのLi塩を溶解させたドライポリマーなどが挙げられる。
上記ゲル電解質に用いられる電解液としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメトキシエタン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどからなる混合溶媒にLiPF6、LiClO4、LiBF4、LiN(SO2CF32などのLi塩を溶解させたものが挙げられる。
【0082】
上記ゲル電解質からなる層は、例えば、以下のようにして固体電解質層の表面に形成することができる。
予め、高分子ホスト単独を、アセトニトリル、2−メチルピロリジノン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルフォルムアミドなどの有機溶媒に溶解させる。この溶液を、固体電解質層の表面にキャストやスピンコートなどの方法で塗着し、乾燥させて、薄膜とする。この後、この薄膜に、上記のようなLi塩を含む電解液を添加し、その膜をゲル化させることにより、固体電解質層の表面にゲル電解質からなる層を形成することができる。
【0083】
また、ドライポリマーからなる層は、ゲル電解質と同様に形成することもできる。すなわち、上記ポリエーテルを含む共重合体にLi塩を溶解させた状態で、アセトニトリル、2−メチルピロリジノン、1,2−ジメトキシエタン、ジメチルフォルムアミドなどの有機溶媒中に溶解させる。この溶液を固体電解質層の表面に、キャストやスピンコートなどの方法で塗着し乾燥させることにより、固体電解質層表面にドライポリマーからなる層を形成することができる。
【0084】
なお、本発明の電池においては、耐還元性を有する電解質からなる層と負極集電体との間に負極を設けず、耐還元性を有する電解質からなる層の上に直接負極集電体を設けてもよい。この電池を充電したとき、正極活物質に含まれるリチウムイオンが、金属リチウムとして負極集電体上に析出して、この金属リチウムが負極として作用することができるからである。
【0085】
また、本発明の全固体リチウム二次電池においては、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層が一体化されていることが好ましい。正極活物質層と固体電解質層と負極活物質層とが一体化されている場合、負極活物質は、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る第3リン酸化合物を含むことが好ましい。第3リン酸化合物としては、FePO4、Li3Fe2(PO43、およびLiFeP27よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0086】
また、負極活物質層は、活物質として、例えば、Li4Ti512を含んでいてもよい。この場合、例えば、Li0.33La0.56TiO3を固体電解質として用いることができる。
【0087】
また、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層は、それぞれ、結晶性であることが好ましい。
【0088】
このような負極活物質を用いることにより、正極活物質と固体電解質との界面だけでなく、さらに負極電解質と固体電解質との界面においても、充放電反応に寄与しない不純物相の発現を抑制することが可能となる。また、それらの界面において、リチウムイオン伝導性が保持され、かつ活物質層と固体電解質層とが広い面積で強固に接合されることが可能となる。つまり、全固体リチウム二次電池の内部抵抗を低下させるとともに、信頼性を向上させることができる。
この場合、負極活物質層の厚さx3は、0.1〜10μmであることが好ましい。活物質層の厚さx3が0.1μmよりも小さくなると、充分な容量を有する電池を得ることができなくなる。活物質層の厚さx3が、10μmよりも大きくなると、電池の充放電が困難となる。
なお、正極活物質の厚さx1は、0.1〜10μmであることが好ましく、固体電解質層の厚さyは1μm〜1cm程度が好ましく、10〜500μmが好ましい。これは、上記と同様の理由による。
【0089】
また、上記組を1つ以上含む第2積層体において、各組同士も接合されていることが好ましい。上記組が1つ以上含まれているために、電池容量を大きくすることができるとともに、各組が一体化されているために、全固体リチウム二次電池の内部抵抗を低下させることができる。
【0090】
この場合にも、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層の各々の充填率は、70%を超えることが好ましい。
【0091】
また、本発明の全固体リチウム二次電池は、正極集電体および負極集電体を含んでいてもよい。
【0092】
例えば、正極活物質層の固体電解質層と接している面と反対側の面に正極集電体を設け、負極活物質層の固体電解質層と接している面と反対側の面に負極集電体を設けてもよい。この場合、例えば、積層体の作製が終了した後に、正極集電体および負極集電体が設けられる。
また、上記組を形成した後、正極集電体および負極集電体を形成する場合には、正極集電体および/または負極集電体は、当該分野で公知の導電性材料からなるもの(例えば、所定の金属薄膜等)を用いることができる。
【0093】
また、本発明の全固体リチウム二次電池において、上記組が2つ以上積層されている場合、全固体リチウム二次電池に含まれる各正極活物質層および各負極活物質層が、それぞれ、正極集電体および負極集電体を、その内部に有していてもよい。このとき、正極集電体は、薄膜状であってもよいし、三次元網目構造を有していてもよい。
【0094】
上記のように2つ以上の組が積層されている場合、各正極活物質層に設けられた正極集電体および各負極活物質層に設けられた負極集電体は、それぞれ、正極外部集電体および負極外部集電体により、並列に接続することができる。このとき、正極集電体の一端および負極集電体の一端が、2つ以上の組が積層された積層体の互いに異なる面に露出することが好ましい。例えば、2つ以上の組が積層された第2積層体が6面体である場合、正極集電体の一端をその積層体の所定の面に露出させ、その正極集電体の一端が露出する面の反対側の面に、負極集電体の一端が露出されるようにすることができる。
なお、上記第2積層体の表面において、正極外部集電体および負極外部集電体で覆われている部分以外は、固体電解質層で覆われていることが好ましい。この場合、正極外部集電体、負極外部集電体および固体電解質層が外装として機能する。
【0095】
上記正極外部集電体および負極外部集電体としては、電子伝導性を有する金属材料と熱融着性を有するガラスフリットとを含む混合物からなるものを用いることができる。金属材料としては、一般的には銅が用いられるが、他の金属を用いることもできる。ガラスフリットとしては、軟化点が400〜700℃程度の低融点のものが用いられる。
【0096】
上記組の作製の途中に正極集電体や負極集電体を設ける場合、正極集電体や負極集電体は、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層と同一の雰囲気下で熱処理することが可能であるとともに、それぞれ、正極活物質および負極活物質と反応しないことが好ましい。
このような正極集電体および負極集電体の材料として、銀、銅、ニッケル、パラジウム、金および白金からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。大気雰囲気中(空気中)で熱処理を行う場合は、これらの中でも、パラジウム、金および白金がさらに好ましい。銀、銅およびニッケルは、活物質との反応性を示す場合があるからである。
【0097】
また、上記組が2つ以上ある場合、同種の活物質層を、集電体を介して、それらの組を積層することにより、全固体リチウム二次電池に、正極集電体および負極集電体を設けることができる。例えば、第1の組、第2の組および第3の組の3つの組がある場合、第1の組の正極活物質層と第2の組の正極活物質層とが正極集電体の両面に担持され、第2の組の負極活物質層と第3の組の負極活物質層とが負極集電体の両面に担持されるように積層する。このようにして、全固体リチウム二次電池に、正極集電体および負極集電体を設けることができる。
【0098】
また、Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43(MIIIはAl、Y、Ga、InおよびLaより選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6)を含む固体電解質層を用いる場合には、この固体電解質が負極活物質を兼ねることができる。この固体電解質は、Li/Li+極に対して、約2.5VでLiを吸蔵および放出し得るからである。
【0099】
また、全固体リチウム二次電池、特に上記組が複数個積層された全固体リチウム二次電池において、正極集電体および負極集電体の少なくとも一方の集電体の多孔度が20%以上60%以下であることが好ましい。
活物質は、一般に、充放電時にリチウムが挿入および脱離することにより、その体積が膨張および収縮する。活物質の体積が変化した場合でも、集電体が空孔を有することにより、その空孔が緩衝層のような役割を果たす。このため、集電体と活物質との界面のデラミネーションや全固体電池のクラックなどが生じるのを抑制することができる。
【0100】
集電体の多孔度が20%より小さくなると、活物質の体積変化を緩和できなくなるために、電池が破損しやすくなることがある。集電体の多孔度が60%より大きくなると、集電体の集電性が低下するために、電池容量が低下することがある。
【0101】
さらに、正極集電体は正極活物質と反応せず、負極集電体は、負極活物質と反応しないことが好ましい。また、正極集電体および負極集電体は、正極活物質、固体電解質および負極活物質と、同一の雰囲気中で同時に熱処理できることが望ましい。
【0102】
このような正極集電体および負極集電体を構成する材料としては、例えば、白金、金、パラジウム、銀、銅、ニッケル、コバルトおよびステンレス鋼を用いることができる。
しかしながら、銀、銅、ニッケル、コバルトおよびステンレス鋼は、活物質との反応性が高いため、積層体の焼成工程において、雰囲気制御が必須となる。そのため、白金、金、パラジウムからなる集電体を用いることがより好ましい。
また、正極集電体は正極活物質層の中央部に、負極集電体は負極活物質層の中央部に層状に挿入されるのが好ましい。
【0103】
上記第1積層体と同様に、本発明の全固体リチウム二次電池においても、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層よりなる群から選択される少なくとも1つの層は、非晶質酸化物を含んでいてもよい。また、非晶質酸化物が含まれる層において、非晶質酸化物の量は、その層の0.1重量%以上10重量%であることが好ましい。これは、上記と同様の理由による。
上記のように、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層よりなる群から選択される少なくとも1つの層が非晶質酸化物を含むことにより、その全固体電池のインピーダンスを低下させることができるため、ハイレート特性を向上させることができる。
【0104】
また、Li427は、第1リン酸化合物、第2リン酸化合物または第3リン酸化合物と焼結可能である。よって、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層よりなる群から選択される少なくとも1つの層が、Li427を含んでもよい。Li427の融点は、876℃であるが、700℃以上で焼結助剤として作用するため、Li427が、正極活物質層、負極活物質層および固体電解質層よりなる群から選択される少なくとも1つに含まれることにより、その層の焼結性を向上させることができる。このように、Li427は、非晶質酸化物と同様の効果を有するため、非晶質酸化物と同様に取り扱うことができる。
【0105】
次に、第1積層体の作製方法について説明する。
第1積層体は、例えば、以下のようにして作製することができる。
まず、活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、活物質層形成用スラリー1を得る。同様にして、固体電解質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、固体電解質層形成用スラリー2を得る(工程(1))。ここで、活物質は、例えば、上記第1リン酸化合物を含み、固体電解質は、例えば、上記第2リン酸化合物を含む。
【0106】
ここで、バインダーおよび可塑剤は、溶媒中に分散されていてもよいし、溶解されていてもよい。
【0107】
次に、得られたスラリー1を、例えば、離型剤層を備える所定の基体(例えば、シート、フィルム等)上に塗布し、乾燥して、活物質グリーンシートを得る。同様に、スラリー2を、所定の基体上に塗布し、乾燥して、固体電解質グリーンシートを得る(工程(2))。
【0108】
次に、得られた活物質グリーンシートおよび固体電解質グリーンシートを積層し、熱処理(焼結)して、活物質層と固体電解質層とからなる第1積層体を得る(工程(3))。
活物質グリーンシートおよび固体電解質グリーンシートに含まれるバインダーや可塑剤のような有機物は、焼結時に分解されるため、得られた積層体の活物質層および固体電解質層に、有機物は含まれない。
また、活物質層および固体電解質層の充填率は、焼結温度の最高値や昇温速度等を調整することにより、調節することができる。ここで、焼結温度の最高値は、700℃〜1000℃の範囲にあることが好ましい。焼結温度の最高値が700℃より小さい場合、焼結が進行しない場合がある。焼結温度の最高値が1000℃より大きい場合、Li含有化合物からLiが揮発してそのLi含有組成物の組成が変化したり、活物質と固体電解質との相互拡散が生じ、充放電ができなくなったりする場合がある。また、昇温速度は、400℃/時以上であることが好ましい。昇温速度が、400℃/時より遅いと、活物質と固体電解質との相互拡散が生じ、充放電ができなくなることがある。
【0109】
また、上記工程(1)において、上記スラリー1およびスラリー2よりなる群から選択される少なくとも1つに、上記非晶質酸化物を添加してもよい。
添加する非晶質酸化物の軟化点は、活物質層および固体電解質層のうちで焼結の最も進行しやすい層の焼結開始温度に合わせることが望ましい。例えば、活物質層がLiCoPO4を含む場合、この正極活物質層が最も焼結しやすいため、非晶質酸化物の軟化点を、活物質層の焼結開始温度に合わせることが好ましい。また、焼結の最高温度に合わせて、非晶質酸化物酸化物の軟化点を適宜調節してもよい。
本発明においては、非晶質酸化物の軟化点は700℃以上950℃以下であることが望ましい。
【0110】
また、第1積層体は、以下のようにしても作製することもできる。
まず、所定の基板上に活物質を堆積させて、活物質層を形成し、次いで、その活物質層の上に、固体電解質を堆積させて、固体電解質層を形成する(工程(1’))。活物質および固体電解質の堆積は、スパッタ法を用いて行うことができる。
【0111】
次に、活物質層と固体電解質層とを所定の温度で熱処理して、結晶化させることにより、第1積層体が得られる(工程(2’))。
ここで、工程(2’)において、活物質層と固体電解質層とを熱処理して結晶化させるときの温度は、500℃〜900℃であることが好ましい。この温度が500℃より低くなると、結晶化が困難となることがある。900℃より高くなると、活物質と固体電解質との相互拡散が激しくなることがある。
【0112】
このようにして得られた積層体においては、活物質層と固体電解質層との間に、リチウムイオンの移動を妨げる第3の層が形成されることがない。
【0113】
なお、上記積層体の製造方法において、活物質としては、例えば、上記第1リン酸化合物のような第1物質を用いることができる。固体電解質としては、上記第2リン酸化合物のような第2物質を用いることができる。
【0114】
次に、本発明の全固体リチウム二次電池の作製方法について説明する。
第1積層体と負極活物質層を含む組を少なくとも1つ含む第2積層体を備える全固体リチウム二次電池は、上記のようにして得られた第1積層体に、固体電解質層を介して正極活物質層と対向するように、負極活物質層を設けることにより、作製することができる。上記組が複数ある場合には、各組を、例えば、固体電解質層を介して積層することにより、全固体リチウム二次電池を作製することができる。
【0115】
また、上記のように、固体電解質層と負極活物質層との間に、耐還元性を有する電解質からなる層が設けられている場合には、固体電解質層の上に、負極活物質層が設けられる前に、耐還元性を有する電解質からなる層が設けられる。この層の形成方法は、特に限定されず、種々の方法を用いることができる。
【0116】
次に、第2積層体において、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層が一体化されている全固体リチウム二次電池の作製方法について説明する。このような全固体リチウム二次電池は、例えば、以下のようにして作製される。
まず、正極活物質を、バインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、正極活物質層形成用スラリー1を得る。同様にして、固体電解質をバインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、固体電解質層形成用スラリー2を得、負極活物質をバインダーおよび可塑剤を含む溶媒中に分散させて、負極活物質層形成用スラリー3を得る(工程(a))。ここで、正極活物質は、例えば、上記第1リン酸化合物を含み、固体電解質は、例えば、上記第2リン酸化合物を含み、負極活物質は、例えば、上記第3リン酸化合物またはTiを含む酸化物を含む。
【0117】
次に、得られたスラリー1を、例えば、離型剤層を備える所定の基体(例えば、シート、フィルム等)上に塗布し、乾燥して、正極活物質グリーンシートを得る。同様にして、負極活物質グリーンシートおよび固体電解質グリーンシートを得る(工程(b))。
【0118】
次に、固体電解質グリーンシート、ならびに固体電解質グリーンシートを挟むように配置された正極活物質グリーンシートおよび負極活物質グリーンシートを含む組を少なくとも1つ備える第1グリーンシート群を形成する(工程(c))。上記組が複数個ある場合には、それらの組は、例えば、固体電解質グリーンシートを介して積層される。
【0119】
次いで、上記第1グリーンシート群を、所定の温度で焼結して、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層を含む組を少なくとも1つ備える第2積層体を得る(工程(d))。なお、上記第1リン酸化合物、第2リン酸化合物、および第3リン酸化合物は、結晶性のものであり、これらを焼結することにより、各層が結晶性となる。
【0120】
なお、活物質グリーンシートおよび固体電解質グリーンシートに含まれるバインダーや可塑剤のような有機物は、焼結時に分解されるため、得られた積層体の活物質層および固体電解質層に、有機物は含まれない。
【0121】
また、活物質層および固体電解質層の充填率は、上記と同様に、焼結温度の最高値や昇温速度等を調整することにより、調節することができる。ここで、焼結温度の最高値は、700℃〜1000℃の範囲にあることが好ましく、昇温速度は、400℃/時以上であることが好ましい。これは、上記と同様の理由による。
【0122】
また、上記工程(a)において、スラリー1、スラリー2およびスラリー3よりなる群から選択される少なくとも1つのスラリーに、上記非晶質酸化物を添加してもよい。例えば、正極活物質グリーンシート、負極活物質グリーンシートおよび固体電解質グリーンシートがそれぞれ異なる焼結速度を有する場合、焼結速度の遅い2つのグリーンシートを形成するためのスラリーに非晶質酸化物を添加してもよい。また、各グリーンシートの焼結速度の差が小さい場合には、一番遅い焼結速度を有するグリーンシートを形成するためのスラリーに非晶質酸化物を添加してもよい。
【0123】
なお、正極活物質、固体電解質、および負極活物質が、上記のようなリン酸化合物であり、またそれらの粒径がほとんど同じであるならば、正極活物質グリーンシートおよび負極活物質グリーンシートに比較して、固体電解質グリーンシートは焼結の開始温度が高くなる傾向がある。よって、この場合には、固体電解質層形成用スラリーに非晶質酸化物を添加することが好ましい。
【0124】
非晶質酸化物が添加されたスラリーにおいて、非晶質酸化物の量は、そのスラリーの0.1〜10重量%であることが好ましい。これは、上記と同様の理由による。
【0125】
なお、上記工程(d)において、正極活物質グリーンシートと、固体電解質グリーンシートと、負極活物質グリーンシートとを順に積層した状態で、その積層物を熱処理し、正極活物質層と固体電解質層と負極活物質層とからなる積層体を得ることが好ましい。例えば、正極活物質グリーンシートと固体電解質グリーンシートとを積層した積層物を熱処理し、その後に負極活物質グリーンシートを、その固体電解質層の正極活物質層と接している面とは反対側の面に形成し、それをさらに熱処理して接合する。この場合、固体電解質層は充分に焼結されているにも拘わらず、負極活物質グリーンシートは焼結により収縮するため、固体電解質層/負極活物質層の界面は接合されずに剥離してしまうことがあるからである。
【0126】
正極集電体および負極集電体は、第2積層体を挟み込むように配置されていてもよいし、各正極活物質層および/または各負極活物質層が、それぞれ、集電体を有してもよい。
【0127】
正極集電体および負極集電体が第2積層体を挟み込むように配置されている場合、その正極集電体および負極集電体は、第2積層体の積層方向の両端面に、それぞれ、配置される。
この場合、集電体は、以下のようにして形成することができる。
例えば、上記のような導電性材料を含むペーストを活物質層上に塗布し、乾燥等することにより、導電性層を形成し、この層を集電体として用いることができる。また、スパッタ法や蒸着法などを用いて、上記のようなで導電性材料からなる金属層を活物質層上に形成して、それを集電体として用いることもできる。
このような導電性層や金属層を設けることにより、活物質層からの集電を効率良く行うことができる。
【0128】
上記のように、得られた積層体において、正極集電体および負極集電体の多孔度は、それぞれ20〜60%であることが好ましい。集電体の多孔度は、例えば、導電性材料を含むペーストに含まれる導電性材料の量、焼結の最高温度および/または焼結の昇温速度を適宜調節することにより、制御することができる。ここで、焼結の最高温度および焼結の昇温速度は、上記のように700〜1000℃であることが好ましい。焼結の昇温速度は、400℃/時以上であることが好ましい。
【0129】
次に、各正極活物質層および/または各負極活物質層が、それぞれ、集電体を有する場合について、説明する。
例えば、正極活物質層内に薄膜状の集電体を設ける場合、2枚のグリーンシートを用い、この2枚のグリーンシートの間に、例えば、集電体として、金属薄膜を配置するか、または導電性材料からなる層を配置する。焼結後、間に集電体を備える2枚のグリーンシートが、上記組における、1つの正極活物質層となる。このようにして、薄膜状の集電体を含む正極活物質層を得ることができる。なお、上記では、2枚のグリーンシートを用いたが、3枚以上のグリーンシートを用いてもよい。
負極活物質層に薄膜状の集電体を設ける場合も、上記正極活物質層に薄膜状の集電体を設ける場合の方法と同様にして行うことができる。
【0130】
集電体として金属薄膜を用いる場合、その集電体を構成する材料としては、上記のように、金、白金、パラジウム、銀、銅、ニッケル、コバルトおよびステンレス鋼を用いることができる。同様に、集電体として導電性材料からなる層を用いる場合、導電性材料として、前記のような金属材料を用いることができる。
【0131】
正極活物質層および/または負極活物質層の内部全体に、集電体を構成する材料の粒子を分散させて、三次元網目状の集電体を設ける場合、まず、正極活物質層形成用スラリーおよび/または負極活物質層形成用スラリーを作製するときに、正極集電体を構成する材料または負極集電体を構成する材料が、混合される。
このようなスラリーを用いて、正極活物質グリーンシートおよび負極活物質グリーンシートが作製される。得られた正極活物質グリーンシートおよび負極活物質グリーンシートにおいては、集電体が三次元網目構造を形成している。
【0132】
同様に、スラリーに含まれる集電体を構成する材料としては、金、白金、パラジウム、銀、銅、ニッケル、コバルトおよびステンレス鋼を用いることができる。また、スラリーに含まれる集電体を構成する材料粒子の量は、活物質100重量部あたり、50〜300重量部であることが好ましい。
【0133】
上記のようにして得られた、薄膜状の集電体または三次元網目状の集電体を備える正極活物質グリーンシートおよび負極活物質グリーンシート、ならびに固体電解質グリーンシートを用いて、第2積層体を作製する。このとき、第2積層体の異なる表面領域に、正極活物質層の一方の端部および負極活物質層の一方の端部が露出することが好ましい。
このような第2積層体の表面の異なる領域への露出は、例えば、以下のようにして行うことができる。
正極活物質グリーンシート、固体電解質グリーンシートおよび負極活物質グリーンシートを積層した段階で、積層物の表面の異なる領域に、正極活物質グリーンシートの一方の端部および負極活物質グリーンシートの一方の端部を露出させる。このような積層物を焼結して、第2積層体の表面の異なる領域に、正極活物質層の一方の端部および負極活物質層の一方の端部を露出させてもよい。
【0134】
また、正極活物質グリーンシート、固体電解質グリーンシートおよび負極活物質グリーンシートを含む積層物を、所定のパターンで積層および/または配置したものを、適切に切断し、焼結する。これにより、第2積層体の表面の異なる領域に、正極活物質層の一方の端部および負極活物質層の一方の端部を露出させることができる。
【0135】
このように、正極活物質層および/または負極活物質層が2つ以上設けられた場合でも、各活物質層の集電体を、第2積層体の表面の異なる領域に露出させることにより、例えば、各正極活物質層の集電体を並列に接続する外部集電体の形成が容易となる。
【0136】
正極外部集電体および負極外部集電体は、例えば、電子伝導性を有する金属材料と熱融着性を有するガラスフリットとを含むペーストを、正極集電体の露出領域および負極集電体の露出領域に塗布し、熱処理することにより、形成することができる。
【0137】
また、第2積層体の表面において、正極外部集電体および負極外部集電体で被覆される領域以外は、固体電解質層で覆われていることが好ましい。これは、例えば、上記積層物を焼結して第2積層体を作製する前に、上記積層体の外部集電体で覆われるであろう部分以外の領域を、固体電解質グリーンシートで覆うことにより達成することができる。
【0138】
また、本発明の全固体リチウム二次電池を構成する第2積層体は、以下のようにして、作製することもできる。
正極活物質層、負極活物質層、および前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に配置された固体電解質層を含む組を備える第1群を得る(工程(A))。次に、前記第1群を、所定の温度で熱処理して、前記正極活物質層、前記固体電解質層および前記負極活物質層を一体化させるとともに、結晶化させて、積層体を得る(工程(B))。
【0139】
前記工程(A)において、第1群は、以下のようにして作製することができる。
まず、所定の基板上に、正極活物質または負極活物質を堆積させて、第1活物質層を形成する。次いで、その第1活物質層の上に、固体電解質を堆積させて、固体電解質層を形成する。次に、この固体電解質層の上に、第1活物質層とは異なる第2活物質層(つまり、第1活物質層が正極活物質層ならば、第2活物質層は負極活物質層)を堆積させる。このようにして、第1活物質層、固体電解質層、第2活物質層からなる組を含む第1群を形成する。このとき、その第1群は、1つの組からなるか、もしくは2つ以上の組を積層してなることが好ましい。なお、2つ以上の組がある場合には、前記組は、例えば、固体電解質層を介して積層されていることが好ましい。
ここで、活物質および固体電解質の堆積は、スパッタ法を用いて行うことができる。
【0140】
上記工程(B)において、固体電解質層と両方の活物質層とを熱処理して結晶化させるときの温度は、500℃〜900℃であることが好ましい。この温度が500℃より低くなると、結晶化が困難となることがある。900℃より高くなると、活物質と固体電解質との相互拡散が激しくなることがある。
【0141】
また、本発明の全固体リチウム二次電池は、密閉可能な金属ケース内に収容されていてもよい。この場合、金属ケースの密閉は、例えば、その開口部を封口板とガスケットを用いて行うことができる。
【0142】
また、本発明の全固体リチウム二次電池は、樹脂で覆われていてもよい。なお、樹脂モールドを行うことにより、電池の全体を樹脂で覆うことができる。
【0143】
さらには、本発明の全固体リチウム二次電池の表面に、撥水処理を施してもよい。この撥水処理は、例えば、シラン類、フッ素樹脂等からなる撥水剤を分散した分散液に、上記積層体を浸漬することにより行うことができる。
本発明の全固体リチウム二次電池を樹脂で覆う前に、その表面に撥水処理を施してもよい。
【0144】
また、本発明の全固体リチウム二次電池の表面に、釉薬などのガラス層を形成してもよい。例えば、低融点ガラスを含むスラリーを、塗布し、所定の温度で熱処理を行うことにより、本発明の全固体リチウム二次電池を、ガラス層で密閉化することができる。
【0145】
このように、上記全固体リチウム二次電池が外気と接触することを防止することにより、外気が含む湿気の影響、例えば、集電体金属などと水が反応することにより生じる内部短絡等を防ぐことが可能となる。
【0146】
上記全固体リチウム二次電池の製造方法において、例えば、空気(酸化雰囲気)中での熱処理(焼結)において、バインダーおよび可塑剤は、酸化分解により、簡単に除去される。しかし、このとき、集電体として用いることができる材料は、パラジウム、金、白金などの高価な貴金属のみである。
【0147】
本発明において、正極に含まれる正極集電体および負極に含まれる負極集電体の少なくとも一方を、銀、銅、ニッケルなどの比較的に安価な金属材料から構成することができる。この場合、固体電解質層を構成する第2リン酸化合物が、Li1+XIIIXTiIV2-X(PO43(MIIIは、Al、Y、Ga、InおよびLaよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属イオンであり、0≦X≦0.6である)で表されるリン酸化合物であり、また、その第2リン酸化合物が負極活物質を兼ねることが好ましい。
【0148】
銀、銅、ニッケルなどの酸化され易い金属材料を使用する場合、熱処理(焼結)は、酸素分圧が低い雰囲気で行う必要がある。一方で、上記FePO4、Li3Fe2(PO43、LiFeP27のような第3リン酸化合物(負極活物質)はFe(III)を含み、このようなFe(III)を安定に焼結させるためには、比較的高い酸素分圧(例えば、10-11気圧(700℃))が必要となる。つまり、集電体材料として、銅、銀、ニッケルなどの金属材料を用いる場合には、Fe(III)を含む負極活物質を用いることができない場合がある。この場合、Fe(III)を含まないリン酸化合物、例えば、固体電解質を負極活物質として用いることにより、銀、銅、ニッケルなどの金属材料からなる集電体を用いることができる。
【0149】
しかしながら、上記低酸素分圧条件では、通常、バインダー及び可塑剤の炭素化(カーボナイゼーション)が進行し、活物質、固体電解質及び集電体材料の焼結・緻密化が阻害される。さらに、生成するカーボン類が導電性を有する場合、構成される電池の自己放電特性が悪化することがある。また、内部短絡が生じることもある。
【0150】
また、正極活物質層を構成する前記式LiMPO4で表される第一リン酸化合物中に少なくともFeが含まれる場合、空気などの酸化雰囲気での焼成によって、正極活物質層中に、Li3Fe2(PO43などのFe(III)化合物が生成するため、充放電容量及び電池の内部抵抗が上昇することがある。このFe(III)の生成を防止するために、Ar、N2などの非酸化性雰囲気で焼成を行うと、先述のようにバインダー及び可塑剤の炭素化(カーボナイゼーション)が進行するため、電池に種々の悪影響を与えることがある。
【0151】
集電体が銅、銀、ニッケルなどの金属材料からなる場合、上記のような炭素化を回避するために、水蒸気および低酸素分圧ガスを含む雰囲気ガス中において焼結を行うことが好ましい。このような雰囲気下では、有機物の熱分解が促進されるため、カーボン類の生成を抑制しながら、脱バインダーや脱可塑剤が可能となり、正極活物質、負極活物質および固体電解質を緻密に焼結することができる。このため、電池の充放電特性及び信頼性を向上させることが可能となる。
また、Feを含む正極活物質においては、Fe(III)の生成を抑制しつつ、カーボン類の生成を抑制しながら、脱バインダーや脱可塑剤が可能となる。
【0152】
このような全固体リチウム二次電池の作製方法の一例を以下に示す。この製造方法において、上記スラリー1を用いて、正極活物質グリーンシートを得、上記スラリー2を用いて、固体電解質グリーンシートを得る。次に、正極活物質グリーンシート、および固体電解質グリーンシートを含む組を少なくとも1つ含む第2グリーンシート群を形成する。次いで、第2グリーンシート群を熱処理して、正極活物質層と固体電解質層とが一体化された組を少なくとも1つ含む積層体を得る。ここで、第2グリーンシート群を作製するときに、前記組を、少なくとも2枚の正極活物質グリーンシート、少なくとも2枚の固体電解質グリーンシートを用いて構成し、少なくとも2枚の正極活物質グリーンシートの間に1枚の正極集電体を設け、少なくとも2枚の固体電解質グリーンシートの間に1枚の負極集電体を設ける。ここで、固体電解質は負極活物質を兼ねており、正極集電体および負極集電体の少なくとも一方が、銀、銅、およびニッケルよりなる群から選択される。また、熱処理は、水蒸気と低酸素分圧ガスとを含む雰囲気ガス中で行われる。
【0153】
さらに、正極活物質として、少なくともFeを含むLiMPO4(例えば、LiFePO4)を用いる場合、その正極活物質に含まれるFeの酸化数は2価である。このとき、この2価のFeが安定な領域で焼結を行うことが好ましい。そのため、焼結(熱処理)が行われる雰囲気に含まれる平衡酸素分圧PO2は、以下の式(1):
−0.0310T+33.5≦−log10PO2≦−0.0300T+38.1(1)の範囲内であることが望ましい。酸素分圧が上記式(1)で規定される範囲よりも大きくなると、Feが酸化されたり、集電体が酸化される場合がある。一方、酸素分圧が上記式(1)で規定される範囲よりも小さくなると、カーボン類の生成を抑制することが困難となる場合がある。
【0154】
また、酸素分圧を上記範囲に安定して調整するために、焼結が行われる雰囲気は、少なくとも、酸素ガスを放出可能なガス、および酸素ガスと反応するガスとからなる混合ガスを含むことが好ましい。このような混合ガスとしては、二酸化炭素ガス、水素ガス及び窒素ガスからなる混合ガス等が挙げられる。ここで、例えば、酸素ガスを放出可能なガスとして二酸化炭素ガスを用い、酸素ガスと反応するガスとして水素ガスを用いることができる。混合ガスが水素ガスを含む場合、水素ガスの体積含有率は、安全のため、水素の爆発限界以下の4%以下にすることが望ましい。
【0155】
これらの気体から構成されるガスは、平衡反応により、焼結(熱処理)の間、焼結が行われる雰囲気の酸素分圧を安定して一定に維持することが可能となる。
【0156】
なお、第1積層体の作製においても、活物質がFe等を含む場合には、雰囲気ガスにおける酸素分圧を上記のように調節することが好ましい。
【0157】
また、例えば、銀、銅、ニッケル、およびコバルトのような金属材料からなる集電体を含む積層体を焼結する場合や活物質がFe等を含む積層体を焼結する場合、雰囲気ガスは、それらの材料の酸化還元平衡酸素分圧より低い酸素分圧を有することが好ましい。このような雰囲気ガスとして、炭酸ガス(CO2)と水素ガス(H2)とを含む混合ガスを用いることもできる。このようなCO2とH2とを含む混合ガスにおいても、その混合ガスに含まれる酸素分圧を低く維持することができる。
【0158】
混合ガスに含まれるCO2とH2との混合比は、集電体を構成する金属材料により、適宜変更される。例えば、混合ガスにおけるCO2とH2との体積比は、10〜8×103:1であることが好ましい。水素ガスに対する炭酸ガスの体積比が10よりも小さくなると、バインダーの分解が困難となることがある。水素ガスに対する炭素ガスの体積比が8×103より大きくなると、集電体が酸化されることがある。
銅からなる集電体を用いる場合、雰囲気ガスに含まれるCO2とH2との体積比は、例えば、103:1とすることができる。
コバルトからなる集電体を用いる場合、雰囲気ガスに含まれるCO2とH2との体積比は、例えば、10:1とすることができる。
ニッケルからなる集電体を用いる場合、雰囲気ガスに含まれるCO2とH2との体積比は、例えば、40:1とすることができる。なお、ニッケルからなる集電体を用いる場合、CO2とH2との体積比は、10〜50:1とすることが好ましい。
【0159】
混合ガスに含まれる水素ガスの体積含有率は、4%以下であることが好ましい。これは、上記と同様の理由による。
【0160】
上記のように、例えば、正極活物質層が、式LiMPO4で表される第1リン酸化合物から構成され、かつその第1リン酸化合物に少なくともFeが含まれるときにも、CO2とH2とを含む混合ガスを焼成の雰囲気ガスとして用いることが好ましい。このとき、CO2とH2との体積比は、10〜104:1であることが好ましい。水素ガスに対する炭酸ガスの比が10より少ない場合には、バインダーの分解が困難となることがある。水素ガスに対する炭酸ガスの比が104より大きい場合には、正極活物質が分解してしまうことがある。
【実施例】
【0161】
《実施例1−1》
上記第1積層体や第2積層体を焼結プロセスを用いて作製する場合、活物質と固体電解質との界面を電気化学的に活性とするためには、焼結時に活物質と固体電解質との焼結界面で、焼結以外の副反応が起こらないことが必要となる。そのため、800℃で加熱した場合の活物質と固体電解質の反応性について調べた。
【0162】
まず、以下に、正極活物質と固体電解質の反応性について説明する。
(焼結体1)
正極活物質としてLiCoPO4を用い、固体電解質としてLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43を用いた。正極活物質および固体電解質を、それぞれを、ボールミルにて粉砕して、その粒径を約1μmとした。これらの粉体を重量比1:1でボールミルを用いて混合し、粉体成形により直径18mmのペレットとした。そのペレットを、空気中、800℃で5時間焼結した。焼結後の焼結体をメノウ乳鉢を用いて粉砕した。粉砕後の焼結体を、焼結体1とした。
【0163】
(焼結体2)
正極活物質としてLiNiPO4を用いたこと以外、上記焼結体1の作製方法と同様にして、焼結体2を得た。
【0164】
(比較焼結体1)
正極活物質としてLiCoO2を用いたこと以外、上記焼結体1の作製方法と同様にして、比較焼結体1を得た。
【0165】
(比較焼結体2)
正極活物質としてLiMn24を用いたこと以外、上記焼結体1の作製方法と同様にして、比較焼結体2を得た。
【0166】
(比較焼結体3)
固体電解質としてLi0.33La0.56TiO3を用いたこと以外、上記焼結体1の作製方法と同様にして、比較焼結体3を得た。
【0167】
(比較焼結体4)
正極活物質としてLiNiPO4を用い、固体電解質としてLi0.33La0.56TiO3を用いたこと以外、上記焼結体1の作製方法と同様にして、比較焼結体4を得た。
【0168】
(比較焼結体5)
正極活物質としてLiCoO2を用い、固体電解質としてLi0.33La0.56TiO3を用いたこと以外、上記焼結体1の作製方法と同様にして、比較焼結体5を得た。
【0169】
(比較焼結体6)
正極活物質としてLiMn24を用い、固体電解質としてLi0.33La0.56TiO3を用いたこと以外、上記焼結体1の作製方法と同様にして、比較焼結体6を得た。
【0170】
(焼結体3)
正極活物質としてLiCo0.5Ni0.5PO4を用いたこと以外、上記焼結体1の作製方法と同様にして、焼結体3を得た。
【0171】
焼結体1〜3および比較焼結体1〜6を用い、CuのΚα線を用いるX線回折法により、焼結を行う前と後におけるX線回折パターンを調べた。各焼結体のX線回折パターンを、それぞれ図1〜9に示す。なお、図1〜9において、焼結後のX線回折パターンをAで表し、焼結前のX線回折パターンをBで表している。
【0172】
図1(焼結体1)、図2(焼結体2)および図9(焼結体3)では、熱処理の前後で、各ピークの位置及びパターンは、よく維持されていた。一方、図3〜8(比較焼結体1〜6)では、熱処理の後に、新規のピークの発現が見られた。
以上の結果から、焼結体1〜3では、正極活物質と固体電解質との焼結界面においては、固相反応による第三相が発現しないのに対し、比較焼結体1〜6では、正極活物質でも固体電解質でもない第三相が発現することが明らかとなった。
【0173】
よって、上記のような第1リン酸化合物(正極活物質)および第2リン酸化合物(固体電解質)を用いることにより、積層体を作製するときに、正極活物質と固体電解質との界面に、正極活物質でも固体電解質でもない第三相を発現させることなく、正極活物質と固体電解質とを焼結させて、接合することが可能である。
【0174】
次に、負極活物質と固体電解質の反応性について説明する。
(焼結体4)
負極活物質として三方晶系のFePO4を用い、固体電解質としてLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43を用いた。負極活物質および固体電解質を、それぞれ、ボールミルにて粉砕して、その粒径を約1μmとした。これらの粉体を重量比1:1でボールミルを用いて混合し、粉体成形により直径18mmのペレットとした。そのペレットを、空気中、800℃で5時間焼結した。焼結後の焼結体をメノウ乳鉢を用いて粉砕した。粉砕後の焼結体を、焼結体4とした。
【0175】
(焼結体5)
負極活物質としてLi3Fe2(PO43を用いたこと以外、上記焼結体4の作製方法と同様にして、焼結体5を得た。
【0176】
(焼結体6)
負極活物質としてLiFeP27を用いたこと以外、上記焼結体4の作製方法と同様にして、焼結体6を得た。
【0177】
(比較焼結体7)
負極活物質としてLi4Ti512を用いたこと以外、上記焼結体4の作製方法と同様にして、比較焼結体7を得た。
【0178】
(比較焼結体8)
負極活物質としてNb25を用いたこと以外、上記焼結体4の作製方法と同様にして、比較焼結体8を得た。
【0179】
(比較焼結体9)
固体電解質としてLi0.33La0.56TiO3を用いたこと以外、上記焼結体4の作製方法と同様にして、比較焼結体9を得た。
【0180】
(比較焼結体10)
負極活物質として三方晶系のLi3Fe2(PO43を用い、固体電解質としてLi0.33La0.56TiO3を用いたこと以外、上記焼結体4の作製方法と同様にして、比較焼結体10を得た。
【0181】
(比較焼結体11)
負極活物質としてLiFeP27を用い、固体電解質としてLi0.33La0.56TiO3を用いたこと以外、上記焼結体4の作製法方法と同様にして、比較焼結体11を得た。
【0182】
(焼結体12)
負極活物質としてLi4Ti512を用い、固体電解質としてLi0.33La0.56TiO3を用いたこと以外、上記焼結体4の作製方法と同様にして、焼結体12を得た。
【0183】
(比較焼結体13)
負極活物質としてNb25を用い、固体電解質としてLi0.33La0.56TiO3を用いたこと以外、上記焼結体4の作製方法と同様にして、比較焼結体13を得た。
【0184】
上記と同様にして、焼結体4〜6および12、ならびに比較焼結体7〜11および13について、焼結を行う前と後におけるX線回折パターンを調べた。各焼結体のX線回折パターンを、それぞれ、図10〜19に示す。図10〜19において、焼結後のX線回折パターンをAで表し、焼結前のX線回折パターンをBで表している。
【0185】
図10(焼結体4)、図11(焼結体5)、図12(焼結体6)および図18(焼結体12)では、熱処理前後で各ピークの位置及びパターンはよく維持されていた。一方、図13〜17(比較焼結体7〜11)および図19(比較焼結体13)では、熱処理によりピークの強度が激減したり、新規のピークの発現が見られた。つまり、焼結体4〜6および焼結体12においては、負極活物質と固体電解質との焼結界面において、固相反応による第三相が発現しないのに対し、比較焼結体7〜11および比較焼結体13においては、活物質でも固体電解質でもない第三相が発現することが明らかとなった。
【0186】
よって、上記のような第2リン酸化合物(固体電解質)および第3リン酸化合物(負極活物質)、ならびにLi4Ti512のようなチタンを含む酸化物(負極活物質)およびLi0.33La0.56TiO3のようなチタンを含む酸化物(固体電解質)を用いることにより、積層体を作製するときに、負極活物質と固体電解質との界面に、負極活物質でも固体電解質でもない第三相を発現させることなく、負極活物質と固体電解質とを焼結させて、接合することが可能である。
【0187】
従って、焼結体1〜3の結果により、第1リン化合物を含む正極活物質層と第2リン酸化合部物を含む固体電解質層を、正極活物質層と固体電解質層との界面に電池の充放電に関与しない不純物相を生じさせることなく、接合できることがわかる。また、焼結体4〜6および12の結果より、第2リン酸化合部物を含む固体電解質層と第3リン酸化合物を含む負極活物質層、およびチタンを含む酸化物からなる固体電解質層とチタンを含む酸化物からなる負極活物質層を、負極活物質層と固体電解質層との界面に電池の充放電に関与しない不純物相を生じさせることなく、接合できることがわかる。
【0188】
《実施例1−2》
以下のような電池および比較電池を作製し、所定の条件下で充放電を行い、放電容量を求めた。
【0189】
(電池1)
まず、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43で表される固体電解質粉体と、LiCoPO4で表される正極活物質粉体とを用意した。固体電解質粉体に、バインダーであるポリビニルブチラール樹脂、溶剤である酢酸n−ブチル、および可塑剤であるフタル酸ジブチルを加え、ジルコニアボールと共にボールミルで24時間混合して、固体電解質層形成用スラリーを調製した。
正極活物質層形成用スラリーについても、固体電解質層形成用スラリーを調製したときと同様にして、調製した。
【0190】
次に、ポリエステル樹脂を主成分とするキャリアフィルム1上に、固体電解質層形成用スラリーを、ドクターブレードを用いて塗布した。その後、塗布したスラリーを乾燥して、図20に示すように、固体電解質グリーンシート2(厚さ:25μm)を得た。なお、キャリアフィルム1の表面には、Siを主成分とする離型剤層が形成されている。
【0191】
また、固体電解質グリーンシートを作製するのと同様の方法で、図21に示すように、キャリアフィルム3の上に、正極活物質グリーンシート4(厚さ:4μm)を作製した。
【0192】
次に、支持台5の上に、その両面に接着剤のついたポリエステルフィルム6を貼り付けた。次いで、図22に示すように、ポリエステルフィルム6の上に、固体電解質グリーンシート2のキャリアフィルム1と接していない側の面を載せた。
【0193】
次いで、キャリアフィルム1の上から80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、図23に示すように、キャリアフィルム1と固体電解質グリーンシート2からキャリアフィルムを剥離した。
【0194】
この固体電解質グリーンシート2の上に、上記のようにして作製した、別のキャリアフィルム1’上に形成された固体電解質グリーンシート2’を載せた。次いで、キャリアフィルム1’上から圧力、温度を加えることで、グリーンシート2と2’を接合させつつ、キャリアフィルム1’をグリーンシート2’から剥離させた。
この操作を20回繰り返し、固体電解質グリーンシート群7(厚さ:500μm)を作製した。
【0195】
次に、作製したグリーンシート群7上に、上記のように作製したキャリアフィルム3上に形成された正極活物質グリーンシート4を載せた。次いで、キャリアフィルム3上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、グリーンシート4からキャリアフィルム3を剥離した。このようにして、図24に示すように、グリーンシート群7と正極活物質グリーンシート4からなる積層物(厚さ:約500μm)を作製した。この積層物を、ポリエステルフィルム6から剥離し、7mm(幅)×7mm(長さ)×約500μm(厚さ)のサイズに切断し、グリーンチップ8を得た。
【0196】
次に、図25に示すように、得られたグリーンチップ8を2つ1組にした。このとき、グリーンチップ8の正極活物質グリーンシート4がある側とは反対側の固体電解質面9同士を重ね合わせ、活物質グリーンシート4が外側にくるようにした。
【0197】
次に、予めLi雰囲気中で焼成することでLiを充分に吸収させた、2枚のアルミナ製のセラミックス板10を用い、各セラミックス板が、それぞれ活物質グリーンシート4に接するようにして、1組のグリーンチップを挟み込んだ。
Liは、揮発しやすいため、焼結中に、グリーンチップからLiが揮発する場合がある。上記のように、Liを充分に吸収させたセラミックス板を用いることにより、焼結中に、グリーンチップからのLiの揮発が抑制され、不純物層の生成が抑制される。
【0198】
次いで、これらを、空気中において、400℃/hの昇温速度で400℃まで昇温させ、400℃に5時間保持して、バインダーや可塑剤の有機物を充分に熱分解させた。この後、400℃/hの昇温速度で、900℃まで昇温させ、次いで、400℃/hの冷却速度で、速やかに室温まで冷却した。このようにして、グリーンチップの焼結を行った。
【0199】
ここで、焼結後のグリーンチップの充填率は、例えば、以下のようにして、測定することができる。
まず、固体電解質層に含まれる固体電解質の重量、および活物質層に含まれる活物質の重量を求める。具体的には、例えば、所定の厚さの固体電解質層グリーンシートの単位面積あたりに含まれるTiの量、または所定の厚さの活物質グリーンシートの単位面積あたりに含まれるCoの量を、ICP分析により求める。その得られたTiおよびCoの量を用いて、固体電解質グリーンシート単位面積あたりのLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43の重量および活物質グリーンシートあたりのLiCoPO4の重量を求めることができる。
【0200】
次に、焼結後のチップの固体電解質層および活物質層の体積を求める。焼結後のチップは、例えば、図24のように角柱の形状であるため、その底面積と、各層のそれぞれの厚さがわかれば、各層の体積を求めることができる。ここで、各層の厚さは、チップの断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)等で、例えば、複数の箇所、例えば、所定の5箇所を測定し、その平均値を各層の厚さとして用いることができる。
【0201】
以上のようにして求めた活物質層に含まれる活物質の重量および活物質層の体積から、活物質層の見かけの密度((活物質層に含まれる活物質の重量)/(活物質層の焼結後の体積))を求めることができる。また、このことは、固体電解質層においても同様である。
【0202】
充填率は、上記のように、活物質層の場合、活物質の真密度に対する活物質層の見かけの密度の割合を、百分率値として表した値であるので、活物質の真密度として、活物質のX線密度を用いた場合、充填率は、以下の式:
{[(活物質層に含まれる活物質の重量)/(活物質層の焼結後の体積)]/(活物質のX線密度)}×100
を用いて、求めることができる。
また、固体電解質層の充填率も、上記と同様にして、求めることができる。
【0203】
また、所定量の活物質を含む活物質層または所定量の固体電解質を含む固体電解質層の各々を、積層体を作製するときの焼結条件と同じ条件で焼結して、活物質層または固体電解質層をそれぞれ別個に作製する。得られた各層の充填率を、上記のような式を用いて求め、その値を積層体での各層の充填率としてみなすこともできる。
【0204】
なお、本実施例では、固体電解質層と比較して活物質層が十分に薄いため、焼結後のチップ全てがLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定して、その充填率を求めた。その結果、充填率は83%程度であった。ここで、上記チップの充填率は、[{(チップ重量)/(チップ体積)}/(固体電解質のX線密度)]×100により求めた。
【0205】
なお、SEM像等より、活物質層の充填率は、ほぼ100%であると仮定することができる。
【0206】
また、正極活物質層に関し、焼結後のグリーンチップの研磨断面をSEM観察したところ、正極活物質層はその厚さが約1μmであること、そしてその正極活物質層はほとんど空孔が見られず緻密に焼結していることが確認された。
【0207】
なお、グリーンチップを2つ1組にして、焼結を行っているが、この2つのグリーンチップは、焼結によって接合しない。
【0208】
次に、1組のグリーンチップを2つに分け、図26に示すように、正極活物質層11aと固体電解質層11bとからなる第1積層体11の活物質層11aの表面に金をスパッタリングし、正極集電体となる金薄膜12(厚さ:数nm〜数十nm)を形成した。この後、第1積層体11の各側面13に付着した金を、紙ヤスリを用いて研磨して、除去した。
【0209】
次に、第1積層体上に、耐還元性を有する電解質からなる層と負極活物質層を、露点−50℃以下のドライエアー中にて、以下のように形成した。
まず、厚さ150μmの金属リチウム箔14を直径10mmに打ち抜き、厚さ0.5mm、直径20mmに打ち抜いたSUS板15中央部に貼付した。なお、このSUS板は、負極集電体として機能する。
【0210】
平均分子量1,000,000のポリエチレンオキシド(以下、PEOともいう)とLiN(SO2CF32(以下、LiTFSIともいう)を、PEOの酸素原子とLiTFSIのリチウムが[O]/[Li]=20/1となるように脱水アセトニトリルに溶解させた。なお、この溶液において、Liの濃度が0.1Mになるようにした。
次いで、この溶液を、金属リチウム上に2000rpmにてスピンコートし、真空乾燥して、金属リチウム箔14上にPEO−LiTFSI層16を形成した。真空乾燥後、PEO−LiTFSI層の厚さをSEMにより確認したところ、約50μmであった。
【0211】
このPEO−LiTFSI層16と、第1積層体11の正極活物質層とは反対側の固体電解質面17を貼り合わせることにより、図27に示すような全固体リチウム二次電池を作製した。得られた電池を、電池1とした。
【0212】
(電池2)
LiCoPO4の代わりに、LiMnPO4を用いたこと以外は、電池1を作製するときの方法と同様にして、電池2を作製した。
【0213】
(比較電池1)
LiCoPO4の代わりに、LiCoO2を用いたこと以外は、電池1を作製するときの方法と同様にして、比較電池1を作製した。
【0214】
(比較電池2)
LiCoPO4の代わりに、LiMn24を用いたこと以外は、電池1を作製するときの方法と同様にして、比較電池2を作製した。
【0215】
(電池3)
図28を参照しながら、スパッタ法を用いて作製された全固体リチウム二次電池について説明する。
表面を窒化ケイ素からなる層21で被覆した、30mm×30mmの単結晶ケイ素基板22上に、RFマグネトロンスパッタ法にて、厚さ0.05μmのチタン薄膜23を形成し、さらに、チタン薄膜23上に、正極集電体である厚さ0.5μmの金薄膜24を形成した。このとき、20mm×12mmの開口部を有するメタルマスクを用いた。なお、上記チタン薄膜23は、窒化ケイ素からなる層21と金薄膜24とを接合する機能を有する。
【0216】
次に、金薄膜24上に、LiCoPO4ターゲットを用いるRFマグネトロンスパッタ法により、厚さ0.5μmのLiCoPO4薄膜25を形成した。このとき、10mm×10mmの開口部を有するメタルマスクを用いた。また、スパッタガスとしては、25%の酸素および75%のアルゴンからなるものを用いた。
【0217】
次いで、LiCoPO4薄膜25が、開口部の中央に位置するように、15mm×15mmの開口部を有するメタルマスクを配置した。LiTi2(PO43ターゲットを用いるRFマグネトロンスパッタ法により、LiCoPO4薄膜25を覆うように、厚さ2μmのLiTi2(PO43薄膜26を形成した。ここで、スパッタガスとしては、25%の酸素および75%のアルゴンからなるものを用いた。
【0218】
得られた積層物を、空気中、600℃にて2時間アニールすることにより、それぞれLiCoPO4からなる正極活物質およびLiTi2(PO43からなる固体電解質を結晶化させて、第1積層体を形成した。
【0219】
次に、固体電解質層であるLiTi2(PO43薄膜26の上に、耐還元性の電解質層および負極である金属リチウム層を形成した。これらの形成は、露点−50℃以下のドライエアー中にて行った。
【0220】
具体的には、まず、PEO(平均分子量1,000,000)とLiTFSIを、PEOの酸素原子とLiTFSIのリチウムとが[O]/[Li]=20/1となるように、脱水アセトニトリルに溶解した。この溶液において、Liの濃度は、0.05Mとした。
【0221】
次に、LiTi2(PO43薄膜26上に、上記溶液を2000rpmにてスピンコートし、真空乾燥して、耐還元性の電解質層であるPEO−LiTFSI層27を形成した。真空乾燥後、PEO−LiTFSI層の厚さをSEMにより確認したところ、約5μmであった。
【0222】
次いで、PEO−LiTFSI層27上に、抵抗加熱蒸着法により、負極を構成する厚さ0.5μmの金属リチウム薄膜28を形成した。このとき、10mm×10mmの開口部を有するメタルマスクを用いた。
【0223】
その後、正極集電体である金薄膜24と接触せず、かつ金属リチウム薄膜28を完全に覆うように、RFマグネトロンスパッタ法により、負極集電体である、厚さ0.5μmの銅薄膜29を形成し、図28に示されるような全固体リチウム二次電池を得た。このとき、20mm×12mmの開口部を有するメタルマスクを用いた。
このようにして得られた全固体リチウム二次電池を、電池3とした。ここで、正極層と固体電解質層の各層の充填率は、ほぼ100%である。
【0224】
(電池4)
LiCoPO4の代わりに、LiMnPO4を用いたこと以外は、電池3を作製するときの方法と同様にして、電池4を作製した。
【0225】
(比較電池3)
LiCoPO4の代わりに、LiCoO2を用いたこと以外は、電池3を作製するときの方法と同様にして、比較電池3を作製した。
【0226】
(比較電池4)
LiCoPO4の代わりに、LiMn24を用いたこと以外は、電池3を作製するときの方法と同様にして、比較電池4を作製した。
【0227】
作製直後の電池1〜4および比較電池1〜4について、露点−50℃、環境温度60℃の雰囲気中で、10μAの電流値にて充放電を1回行った。そのときの放電容量を初期放電容量として示す。また、上限カット電圧および下限カット電圧についても、表1に示す。
【0228】
【表1】


【0229】
表1に示されるように、比較電池1〜4は、放電することができなかった。これは、熱処理により、正極活物質と固体電解質との界面に活物質でも固体電解質でもない不純物相が生成したため、電気化学的にその界面が不活性になったためと考えられる。
一方で、電池1〜4では、充放電が可能であった。これは、本発明においては、リチウムイオンを放出および吸蔵し得る結晶性の第1リン酸化合物からなる正極活物質と、リチウムイオン伝導性を有する結晶性の第2リン酸化合物からなる固体電解質との界面に、充放電反応に関与しない不純物相が生成せず、その界面が電気化学的に活性であるためと考えられる。
以上のように、本発明によれば、正極活物質と固体電解との界面に不純物相が形成されず、その界面が電気化学的に活性であり、充放電が可能であることが示された。
【0230】
次に、電池1〜4について、露点−50℃、環境温度60℃の雰囲気中で、10μAの電流値にて3.5〜5.0Vの範囲で充放電サイクルを繰り返し、放電容量が初期放電容量の60%となるときの充放電サイクルの回数を調べた。得られた結果を表2に示す。
【0231】
【表2】


【0232】
電池1および2については100回程度、電池3および4については180回程度の充放電が可能であった。
一方、70重量部のLiCoPO4、25重量部のアセチレンブラック、および5重量部のポリテトラフルオロエチレンからなる正極と、金属リチウムからなる負極と、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)との混合溶媒(EC:DMC=1:1(体積比))にLiPF4を1Mの濃度で溶解した電解液を用いる従来の液式電池を作製し、そのサイクル寿命を、上記と同様にして測定したところ、10回程度であった。
【0233】
このように、本発明の電池のサイクル寿命と、従来の液式電池のサイクル寿命を比較した場合、本発明の電池のサイクル寿命が、大幅に改良されていることが明らかとなった。
【0234】
《実施例1−3》
次に、積層体の充填率について検討を行った。
【0235】
(電池5)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温速度で、850℃まで昇温させたこと以外、電池1を作製するときの方法と同様にして、電池1を作製した。
【0236】
(参考電池6)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温速度で、800℃まで昇温させたこと以外、電池1を作製するときの方法と同様にして、参考電池6を作製した。
【0237】
これらの電池1、電池5、および参考電池6について、1kHzでのインピーダンスを測定した。
【0238】
表3に、電池1、電池5および参考電池6に用いられる積層体の充填率、ならびにこれらの電池のインピーダンスを示す。なお、充填率に関しては、上記実施例1−2と同様に、積層体の全てがLi1.3Al0.3Ti(PO43であると仮定した場合の充填率を表3に示している。
【0239】
【表3】


【0240】
表3に示されるように、積層体の充填率が70%を下回るとインピーダンスが極端に増加した。これは、正極活物質粉体と固体電解質粉体同士の焼結が進行しないと、リチウムイオンを伝導するための経路が細くなってしまうためであると考えられる。
また、インピーダンスの大きい電池は高率充放電性能が低下してしまうため、好ましくない。
【0241】
以上の結果から、積層体を構成する正極活物質層と固体電解質層、ならびに負極活物質層のそれぞれの層の充填率が70%を超えることが好ましい。
【0242】
《実施例1−4》
正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層が一体化されている電池を作製した。
(電池7)
まず、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43で表される固体電解質粉体と、LiCoPO4で表される正極活物質粉体と、Li3Fe2(PO43で表される負極活物質粉体を用意した。
固体電解質粉体にバインダーであるポリビニルブチラール樹脂、溶剤である酢酸n−ブチル、および可塑剤であるフタル酸ジブチルを加え、ジルコニアボールと共にボールミルで24時間混合して、固体電解質層形成用スラリーを調製した。
正極活物質層形成用スラリーおよび負極活物質層形成用スラリーについても、固体電解質層形成用スラリーを調製したときと同様にして、調製した。
【0243】
次に、ポリエステル樹脂を主成分とするキャリアフィルム30上に、固体電解質層形成用スラリーを、ドクターブレードを用いて塗布した。その後、塗布したスラリーを乾燥して、図29に示すように、固体電解質グリーンシート31(厚さ:25μm)を得た。なお、キャリアフィルム30の表面には、Siを主成分とする離型剤層が形成されている。
【0244】
固体電解質グリーンシートを作製するのと同様の方法で、図30に示すように、別のキャリアフィルム30の上に、正極活物質グリーンシート32(厚さ:4μm)を作製した。また、上記と同様にして、図31に示すように、別のキャリアフィルム30上に、負極活物質グリーンシート33(厚さ:7μm)を作製した。
【0245】
次に、支持台34の上に、その両面に接着剤のついたポリエステルフィルム35を貼り付けた。次に、図32に示すように、ポリエステルフィルム35の上に、負極活物質グリーンシート33のキャリアフィルム30と接していない側の面を載せた。
【0246】
次いで、キャリアフィルム30の上から80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、図33に示すように、負極活物質グリーンシート33からキャリアフィルム30を剥離した。
【0247】
次に、負極活物質グリーンシート33の上に、固体電解質グリーンシート31のキャリアフィルムと接していない方の面を載せ、上記と同様の圧力および温度の条件で、固体電解質グリーンシートを負極活物質グリーンシートに接合させつつ、固体電解質グリーンシートからキャリアフィルムを剥離させた。
【0248】
次に、この固体電解質グリーンシート31の上に、上記のようにして作製した、別のキャリアフィルム30’上に形成された固体電解質グリーンシート31’を載せた。次いで、キャリアフィルム30’上から圧力、温度を加えることで、グリーンシート31と31’を接合させつつ、キャリアフィルム30’をグリーンシート31’から剥離させた。
この操作を20回繰り返し、固体電解質グリーンシート群36(厚さ:約500μm)を作製した。
【0249】
次に、作製した固体電解質グリーンシート群36上に、上記のように作製したキャリアフィルム30上に形成された正極活物質グリーンシート32を載せた。次いで、キャリアフィルム30上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、正極活物質グリーンシート32からキャリアフィルム30を剥離した。このようにして、図34に示すように、負極活物質グリーンシート33と固体電解質グリーンシート群36と正極活物質グリーンシート32からなる積層物(厚さ:約500μm)を作製した。この積層物を、ポリエステルフィルム35から剥離し、7mm(幅)×7mm(長さ)×約500μm(厚さ)のサイズに切断し、グリーンチップ(第1グリーンシート群)37を得た。
【0250】
次に、図35に示すように、得られたグリーンチップ37を2つ1組にした。このとき、グリーンチップ37の負極活物質グリーンシート33がある側の面同士を重ね合わせ、正極活物質グリーンシート32がある側の面を外側にくるようにした。
【0251】
次に、予めLi雰囲気中で焼成することでLiを充分に吸収させた、2枚のアルミナ製のセラミックス板38を用い、各セラミックス板が、それぞれ正極活物質グリーンシート32に接するようにして、1組のグリーンチップを挟み込んだ。
【0252】
次いで、これらを、空気中において、400℃/hの昇温速度で400℃まで昇温させ、400℃に5時間保持して、バインダーや可塑剤の有機物を充分に熱分解させた。この後、400℃/hの昇温速度で、900℃まで昇温させ、次いで、400℃/hの冷却速度で、速やかに室温まで冷却した。このようにして、グリーンチップの焼結を行った。
【0253】
ここで、焼結後のグリーンチップの充填率を、上記実施例1−2と同様にして、求めた。その結果、焼結後のグリーンチップの充填率は83%程度であった。
【0254】
また、正極活物質層および負極活物質層に関し、焼結後のグリーンチップの研磨断面をSEM観察したところ、正極活物質層はその厚さが約1μmであること、負極活物質層はその厚さが約2μmであること、そしてその正極活物質層および負極活物質層はほとんど空孔が見られず緻密に焼結していることが確認された。
【0255】
なお、グリーンチップを2つ1組にして、焼結を行っているが、この2つのグリーンチップは、焼結によって接合しない。
【0256】
次に、1組のグリーンチップを2つに分け、図36に示すように、正極活物質層39aと固体電解質層39bと負極活物質層39cからなる組が1つ含む第2積層体39を得た。第2積層体の正極活物質層39aの表面に金をスパッタリングし、正極集電体となる金薄膜40(厚さ:数nm〜数十nm)を形成した。また、積層体39の負極活物質層39cの表面にも、上記と同様にして、負極集電体となる金薄膜41(厚さ:数nm〜数十nm)を形成した。この後、角柱状の積層体39の各側面42に付着した金を紙ヤスリを用いて研磨して、除去して、全固体リチウム二次電池を作製した。この得られた電池を電池7とした。
【0257】
(電池8)
LiCoPO4の代わりにLiMnPO4を正極活物質として用いたこと以外は、電池7の作製方法と同様にして、電池8を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、80%であった。
【0258】
(電池9)
Li3Fe2(PO43の代わりにFePO4を負極活物質として用いたこと以外は、電池7の作製方法と同様にして、電池9を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、85%であった。
【0259】
(電池10)
Li3Fe2(PO43の代わりにLiFeP27を負極活物質として用いたこと以外は、電池7の作製方法と同様にして、電池10を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、75%であった。
【0260】
(比較電池5)
LiCoPO4の代わりにLiCoO2を正極活物質として用い、Li3Fe2(PO43の代わりにLi4Ti512を用いたこと以外は、電池7の作製方法と同様にして、比較電池5を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、71%であった。
【0261】
(電池11)
スパッタ法を用いて、図37に示されるような全固体リチウム二次電池を、以下のようにして作製した。
表面を窒化ケイ素からなる層43で被覆した、30mm×30mmの単結晶ケイ素基板44上に、RFマグネトロンスパッタ法にて、厚さ0.05μmのチタン薄膜45を形成し、さらに、チタン薄膜45上に、正極集電体である厚さ0.5μmの金薄膜46を形成した。このとき、20mm×12mmの開口部を有するメタルマスクを用いた。なお、上記チタン薄膜45は、窒化ケイ素からなる層43と金薄膜46とを接合する機能を有する。
【0262】
次に、金薄膜46上に、LiCoPO4ターゲットを用いるRFマグネトロンスパッタ法により、厚さ0.5μmのLiCoPO4薄膜47を形成した。このとき、10mm×10mmの開口部を有するメタルマスクを用い、25%の酸素および75%のアルゴンからなるスパッタガスを用いた。
【0263】
次いで、LiCoPO4薄膜47が、開口部の中央に位置するように、15mm×15mmの開口部を有するメタルマスクを配置した。LiTi2(PO43ターゲットを用いるRFマグネトロンスパッタ法により、LiCoPO4薄膜47を覆うように、厚さ2μmのLiTi2(PO43薄膜48を形成した。なお、上記スパッタリングにおいて、25%の酸素および75%のアルゴンからなるスパッタガスを用いた。
【0264】
次に、LiTi2(PO43薄膜48の上に、Li3Fe2(PO43ターゲットを用いるRFマグネトロンスパッタ法により、厚さ1μmのLi3Fe2(PO43薄膜49を形成した。このとき、10mm×10mmの開口部を有するメタルマスクを用い、25%の酸素および75%のアルゴンからなるスパッタガスを用いた。
【0265】
得られた積層体(第1群)を、600℃にて2時間アニールすることにより、LiCoPO4からなる正極活物質層、LiTi2(PO43からなる固体電解質層、およびLi3Fe2(PO43からなる負極活物質層を一体化するとともに、結晶化させた。
【0266】
この後、正極集電体である金薄膜46と接触せず、かつLi3Fe2(PO43薄膜49を完全に覆うように、RFマグネトロンスパッタ法により、負極集電体である、厚さ0.5μmの銅薄膜50を形成し、図37に示されるような全固体リチウム二次電池を得た。このとき、20mm×12mmの開口部を有するメタルマスクを用いた。
このようにして得られた全固体リチウム二次電池を、電池11とした。なお、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層の各層の充填率は、ほぼ100%である。
【0267】
(電池12)
LiCoPO4の代わりに、LiMnPO4を正極活物質として用いたこと以外は、電池11の作製方法と同様にして、電池12を作製した。
【0268】
(電池13)
Li3Fe2(PO43の代わりにFePO4を負極活物質として用いたこと以外は、電池11の作製方法と同様にして、電池13を作製した。
【0269】
(電池14)
Li3Fe2(PO43の代わりにLiFeP27を負極活物質として用いたこと以外は、電池11の作製方法と同様にして、電池14を作製した。
【0270】
(比較電池6)
LiCoPO4の代わりにLiCoO2を正極活物質として用い、Li3Fe2(PO43の代わりにLi4Ti512を負極活物質として用いたこと以外は、電池11の作製方法と同様にして、比較電池6を作製した。
【0271】
(比較電池7)
全固体リチウム二次電池を作製するときに、スパッタ法により作製した積層体に含まれる正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層を、アニールして結晶化させなかった。これ以外、電池11の作製方法と同様にして、比較電池7を作製した。
【0272】
上記のようにして作製した電池7〜14および比較電池5〜7を用いて、露点−50℃、環境温度25℃の雰囲気中で、10μAの電流値にて充放電を1回行った。そのときの放電容量を初期放電容量として示す。また、上限カット電圧および下限カット電圧についても、表4に示す。
【0273】
【表4】


【0274】
表4に示されるように、比較電池5〜7は、放電することができなかった。一方、電池7〜14は、充放電することが可能であった。
比較電池5〜6においては、熱処理により、正極活物質と固体電解質との界面および/または負極活物質と固体電解質との界面に、活物質でも固体電解質でもない不純物相が形成されたために、それらの界面が電気化学的に不活性になったと考えられる。比較電池7においては、正極活物質、負極活物質および固体電解質を結晶化するためのアニール処理をしなかった。このため、固体電解質において、リチウムイオン伝導性が発現せず、また、正極活物質および負極活物質において、リチウムイオンを充放電するサイトが形成されず、充放電が不可能であったと考えられる。
【0275】
以上のように、本発明によれば、正極活物質と固体電解質、負極活物質と固体電解質とが、その界面に不純物相が形成されることなく接合され、その界面が電気化学的に活性であること、また、上記積層体を含む電池が、充放電可能であることが示された。
【0276】
次に、電池7〜14について、露点−50℃、環境温度25℃の雰囲気中で、10μAの電流値にて、上記表4に示されるカット電圧で、充放電サイクルを繰り返し、放電容量が初期放電容量の60%となるときの充放電サイクルの回数を調べた。得られた結果を表5に示す。
【0277】
【表5】


【0278】
電池7〜10は300回程度、電池11〜14は500回程度の充放電が可能であった。
以上により、本発明により、サイクル寿命特性に優れる全固体リチウム二次電池を作製できることが明らかとなった。
【0279】
《実施例1−5》
次に、第2積層体の焼結密度について検討を行った。
(電池15)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温速度で、850℃まで昇温させたこと以外、電池7の作製方法と同様にして、電池15を作製した。
【0280】
(参考電池16)
焼結を行うとき、400℃/hの昇温温度で、800℃まで昇温させたこと以外、電池7の作製方法と同様にして、参考電池16を作製した。
【0281】
電池15および参考電池16、ならびに上記電池7を用いて、1kHzでのインピーダンスを測定した。
【0282】
表6に、電池7、電池15および参考電池16に用いられる第2積層体の充填率、ならびにこれらの電池のインピーダンスを示す。なお、充填率に関しては、第2積層体の全てがLi1.3Al0.3Ti(PO43であると仮定した場合の充填率を表6に示している。
【0283】
【表6】


【0284】
表6に示されるように、第2積層体の充填率が70%を下回るとインピーダンスが極端に増加した。これは、正極活物粉末と固体電解質粉末、および/または負極活物質粉末と固体電解質粉末の焼結が進行しないと、リチウムイオンを伝導するための経路が細くなってしまうためであると考えられる。
また、インピーダンスの大きい電池は、高率充放電性能が低下してしまうため、好ましくない。
【0285】
よって、正極活物質層と固体電解質層と負極活物質層とが一体化された第2積層体の各層において、その充填率は70%を超えることが好ましい。
【0286】
《実施例1−6》
次に、湿気が電池に及ぼす影響について検討した。
(電池17)
積層体の正極活物質層の表面および負極活物質層の表面のそれぞれに、スパッタ法により、銀薄膜からなる集電体を形成したこと以外、電池7の作製方法と同様にして、電池17を作製した。
【0287】
(電池18)
上記電池17を、図38に示すように、ナイロン製ガスケット53が配置された金属ケース51に収納し、金属ケース51の開口部を、ガスケット53を介して金属製封口板52にかしめつけることにより、直径9mm、高さ2.1mmのボタン型の密閉電池を作製した。このようにして得られた電池を、電池18とした。このとき、金属ケース51が正極端子となり、金属製封口板52が負極端子となるように、上記電池17を金属ケース内に収容した。また、金属ケース51と電池17との間には、ニッケル製のスポンジメタル片54を入れて、電池17と、金属ケースおよび金属製封口板とが、密接するようにした。
なお、図38において、電池17は、銀薄膜55、正極活物質層39a、固体電解質層39b、負極活物質層39c、および銀薄膜56を含む。
【0288】
(電池19)
上記電池17の正極活物質層側の銀薄膜と負極活物質側の銀薄膜の各々に、直径0.5mmの銅製のリード57をハンダ58により接続し、それぞれ、正極端子および負極端子とした。図39に示すように、銀薄膜、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層、および銀薄膜を含む電池17が封入されるように、エポキシ樹脂59にて樹脂モールドを施した。こうして得られた電池を電池19とした。
【0289】
(電池20)
銅製のリードを正極端子および負極端子として備える電池17を、フッ素樹脂からなる撥水剤をn−ヘプタンに分散させた分散液中に浸漬し、電池17の表面に撥水処理を施したこと以外、上記電池19の作製方法と同様にして、電池20を作製した。
【0290】
上記のようにして得られた電池17〜20について、以下のようにして、保存前と保存後の放電容量を測定した。
電池17〜20を用い、露点−50℃、環境温度25℃の雰囲気中で、10μAの電流値にて、1.0〜2.6Vの範囲で充放電を行い、初期放電容量を求めた。こののち、これらの電池を2.6Vまで充電した後、温度が60℃であり、相対湿度が90%の雰囲気中で、30日間保存した。次いで、これらの電池を、露点−50℃、環境温度25℃の雰囲気中で、10μAの電流値にて放電させた。これらの電池の初期放電容量と30日保存したのちの放電容量を表7に示す。
【0291】
【表7】


【0292】
電池17〜20の初期放電容量は、いずれの電池においても20μAh程度でほぼ同等であった。高湿度状態で30日保存した後は、電池17は放電が不可能であり、電池19は容量低下が見られた。電池18および電池20では、保存後の放電容量は、初期放電容量と同程度であった。
【0293】
電池17においては、保存中に多湿雰囲気に曝されると、電池表面(つまり積層体表面)に、水の液膜が生成する。この水の液膜の生成により、集電体であるAgのイオン化及びAgイオンのマイグレーションが生じて短絡が起こり、30日の保存後には放電不可能であったと考えられる。
電池19においては、上記のように、電池17ほどではないが、容量低下が見られた。樹脂モールド単独では密閉性が悪いため、湿った空気が樹脂内に入り込む。これにより、集電体であるAgのイオン化及びAgイオンのマイグレーションが生じて微小短絡が起こり、容量低下したものと考えられる。
【0294】
一方で、電池18および電池20では、多湿状態で30日間保存したあとでも、放電容量が保持されていた。このことから、電池18では、密閉性が良好な収容容器を用いることにより、湿潤空気を遮断できること、また電池20では、電池(積層体)の表面に撥水剤を付与することにより、電池表面での液膜生成が抑制されることが確認された。
【0295】
以上のように、密閉性の高い収容容器に電池(積層体)を収容したり、電池(積層体)の表面を撥水処理したりすることにより、電池の取り扱いが向上し、外気の湿度の影響を低減することができる。
【0296】
《実施例1−7》
本実施例では、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層を含む組を2つ以上含む第2積層体を備える全固体リチウム二次電池を作製した。
(電池21)
まず、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43で表される固体電解質粉体と、LiCo0.5Ni0.5PO4で表される正極活物質粉体と、Li3Fe2(PO43で表される負極活物質粉体を用意した。
固体電解質粉体にバインダーであるポリビニルブチラール樹脂、溶剤である酢酸n−ブチル、および可塑剤であるフタル酸ジブチルを加え、ジルコニアボールと共にボールミルで24時間混合して、固体電解質層形成用スラリーを調製した。
正極活物質層形成用スラリーおよび負極活物質層形成用スラリーについても、固体電解質層形成用スラリーを調製したときと同様にして、調製した。
【0297】
次に、ポリエステル樹脂を主成分とするキャリアフィルム60上に、固体電解質層形成用スラリーを、ドクターブレードを用いて塗布した。その後、塗布したスラリーを乾燥して、図40に示すように、固体電解質グリーンシート61(厚さ:10μm)を得た。なお、キャリアフィルム60の表面には、Siを主成分とする離型剤層が形成されている。
【0298】
別のキャリアフィルム60の上に、正極活物質層形成用スラリーを、スクリーン印刷により、図41に示すような、5つの正極活物質グリーンシート62が直線状に並んだ列63が、ジグザグに配置されたパターンで、塗布し、乾燥して、所定のパターンで配置された複数の正極グリーンシートを得た。ここで、正極活物質グリーンシートの厚さは3μmとした。正極活物質グリーンシートの幅X1は1.5mmとし、正極活物質グリーンシートの長さX2は6.8mmとした。各列における正極活物質グリーンシートの間隔Y1は0.4mmとし、各列同士の間隔Y2は0.3mmとした。
【0299】
次に、市販のポリビニルブチラール樹脂をバインダーとする金ペーストを作製し、この金ペーストを、キャリアフィルム60上に、スクリーン印刷で、図42に示されるように、正極活物質グリーンシートを作製したときと同様のパターンで、塗布し、乾燥して、正極集電体グリーンシート64(厚さ:1μm)を作製した。
【0300】
キャリアフィルム60上に、負極活物質層形成用スラリーを、スクリーン印刷により、図43に示されるような、5つの負極活物質グリーンシート65が直線状に並んだ列が、正極活物質グリーンシートの場合とは、ジグザグの出っ張りの方向が逆になっているパターンで、塗布した。ここで、負極活物質グリーンシートの厚さは5μmとした。また、負極活物質グリーンシートの幅X1、負極活物質グリーンシートの長さX2、各列おける負極活物質グリーンシートの間隔Y1、および各列同士の間隔Y2は、正極活物質グリーンシートの場合と同じにした。
【0301】
次に、上記金ペーストを、キャリアフィルム60上に、スクリーン印刷で、図44に示されるように、負極活物質グリーンシートを作製したときと同様のパターンで塗布し、乾燥して、負極集電体グリーンシート66(厚さ:1μm)を作製した。
【0302】
次に、支持台67の上に、その両面に接着剤のついたポリエステルフィルム68を貼り付けた。次に、図45に示すように、ポリエステルフィルム68の上に、固体電解質グリーンシート61のキャリアフィルム60と接していない側の面を載せた。
【0303】
次いで、キャリアフィルム60の上から80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、図46に示すように、固体電解質グリーンシート61からキャリアフィルム60を剥離した。
【0304】
次に、固体電解質グリーンシート61の上に、上記のようにして作製した、別のキャリアフィルム60’上に形成された固体電解質グリーンシート61’を載せた。次いで、キャリアフィルム60’上から圧力、温度を加えることで、グリーンシート61と61’を接合させつつ、キャリアフィルム60’をグリーンシート61’から剥離させた。
この操作を20回繰り返し、図47に示されるような、固体電解質グリーンシート群69(厚さ:約200μm)を作製した。
【0305】
次に、図48に示されるように、キャリアシート60上に形成された固体電解質グリーンシート61上に、上記のように作製したキャリアフィルム60上に形成された複数の負極活物質グリーンシート65を、それらの負極活物質グリーンシート65が固体電解質グリーンシート61に接するように載せた。次いで、複数の負極活物質グリーンシートを担持したキャリアフィルム60上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、負極活物質グリーンシート65からキャリアフィルム60を剥離した。
【0306】
次に、それらの負極活物質グリーンシートの上に、キャリアシート60上に担持された複数の負極集電体グリーンシート66を、負極活物質グリーンシート65と重なるように積層した。複数の負極集電体グリーンシート66を担持したキャリアフィルム60上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、負極集電体グリーンシート66からキャリアフィルム60を剥離した。さらに、負極集電体グリーンシート66上に、負極活物質グリーンシート65を、上記と同様にして積層して、図49に示されるような積層物を得た。ここで、固体電解質グリーンシート61と、その上に担持された複数の、2つの負極活物質グリーンシートおよびその2つのグリーンシートに挟まれた負極集電体グリーンシートからなるものとを含む積層物を、負極積層物70とした。
【0307】
次に、図50に示されるように、キャリアシート60上に形成された固体電解質グリーンシート61上に、上記のように作製したキャリアフィルム60上に形成された複数の正極活物質グリーンシート62を、それらの正極活物質グリーンシート62が固体電解質グリーンシート61に接するように載せた。次いで、複数の正極活物質グリーンシートを担持したキャリアフィルム60上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、正極活物質グリーンシート62からキャリアフィルム60を剥離した。
【0308】
次に、正極活物質グリーンシート62の上に、キャリアシート60上に担持された複数の正極集電体グリーンシート64を、正極活物質グリーンシートと重なるように積層した。正極集電体グリーンシート64群を担持したキャリアフィルム60上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、正極集電体グリーンシート64からキャリアフィルム60を剥離した。さらに、正極集電体グリーンシート64上に、正極活物質グリーンシート62を、上記と同様にして積層して、図51に示されるような積層物を得た。ここで、固体電解質グリーンシート61と、その上に担持された複数の、2つの正極活物質グリーンシートおよびその2つのグリーンシートに挟まれた正極集電体グリーンシートからなるものとを含む積層物を、正極積層物71とした。
【0309】
次に、図52に示すように、支持台67上に設置されている固体電解質グリーンシート群69上に、負極積層物70を載せた。キャリアフィルム60上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、負極積層物70からキャリアフィルム60を剥離した。このようにして、固体電解質グリーンシート群69の上に、負極活物質グリーンシートが接するように、負極積層物70を積層した。
【0310】
同様にして、負極積層物70の固体電解質グリーンシートに正極積層物71の正極活物質グリーンシートが接するように、負極積層物70上に正極積層物71を載せた。キャリアフィルム60上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、正極積層物71からからキャリアフィルム60を剥離した。このようにして、負極積層物70上に正極積層物71を積層した。負極積層物と正極積層物が積層されたとき、負極活物質グリーンシートが直線状に並んだ列と正極活物質グリーンシートが直線状に並んだ列とは、そのジグザグのパターンが反対になるようにした。
【0311】
上記のような操作を繰り返して、図53に示されるような、固体電解質グリーンシート群、5層の負極積層物、4層の正極積層物からなる積層物72を得た。なお、積層物72の積層方向において、固体電解質グリーンシート群側と反対側の端部には、負極積層物が配置されている。
【0312】
最後に、積層物72の固体電解質グリーンシート群側と反対側の負極積層物の上に、固体電解質グリーンシートを20層積層して、積層シートを得た。この後、この積層シートを、ポリエステルフィルム68を備える支持台67から剥離した。
【0313】
得られた積層シートを、切断し、グリーンチップ73を得た。得られたグリーンチップを、図54〜56で示す。ここで、図54は、グリーンチップ73の上面図である。図55は、線X−Xで切り取ったときの縦断面図である。図56は、線Y−Yで切り取ったときの縦断面図である。
図56に示されるように、得られたグリーンチップ73においては、正極活物質グリーンシート74、固体電解質グリーンシート75および負極活物質グリーンシート76を含む組が、複数積層されている。このようなグリーンチップを焼結することにより、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層が一体化された組を少なくとも1つ含む積層体を得ることができる。なお、一体化された組の数は、正極積層物、固体電解質グリーンシート、および負極積層物の積層数を変化させることにより、調節することができる。
【0314】
また、本実施例で得られたグリーンチップは、六面体の形状をしており、図55に示されるように、その六面体の1つの面に、負極活物質グリーンシート76および負極集電体グリーンシート78の一方の端部が露出している。この面の反対側の面には、正極活物質グリーンシート74および正極集電体グリーンシート77の一方の面が露出している。つまり、上記で説明したような作製方法を用いることにより、正極集電体と負極集電体とが、積層体の表面の異なる領域に露出させることができる。また、上記以外の方法を用いて、正極集電体と負極集電体とを、積層体の表面の異なる領域に露出させてもよい。
なお、本実施例においては、これら2つ以外の面は、固体電解質層で覆われている。
【0315】
次に、得られたグリーンチップを、空気中において、400℃/hの昇温速度で400℃まで昇温させ、400℃に5時間保持して、バインダーや可塑剤の有機物を充分に熱分解させた。この後、400℃/hの昇温速度で、900℃まで昇温させ、次いで、400℃/hの冷却速度で、速やかに室温まで冷却した。このようにして、グリーンチップの焼結を行い、焼結体(第2積層体)を得た。得られた焼結体の寸法は、幅約3.2mm、奥行き約1.6mm、高さ約0.45mmであった。
【0316】
ここで、焼結体の充填率を、焼結体の全てが、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定し、上記実施例1−2と同様にして求めた。その結果、焼結体の充填率は83%程度であった。
【0317】
また、焼結体の研磨断面をSEM観察したところ、正極集電体および負極集電体の厚さは、それぞれ、0.3μm程度であった。また、正極集電体の片面に担持されている正極活物質層の厚さは約1μmであり、負極集電体の片面に担持されている負極活物質層の厚さは約2μmであった。また、その焼結体には、ほとんど空孔が見られず緻密に焼結していることが確認された。
【0318】
得られた焼結体79の正極集電体露出面80および負極集電体露出面81の各々に、銅およびガラスフリットを含む外部集電体ペーストを塗布した。この後、外部集電体ペーストを塗布された焼結体を、窒素雰囲気下、600℃で1時間、熱処理して、図57に示されるような、正極外部集電体82および負極外部集電体83を形成した。このようにして、全固体リチウム二次電池を作製した。得られた電池を、電池21とした。
【0319】
(電池22)
LiCo0.5Ni0.5PO4の代わりに、LiMnPO4を用いたこと以外、電池21を作製するときの方法と同様にして、電池22を作製した。
【0320】
(電池23)
Li3Fe2(PO43の代わりに、FePO4を用いたこと以外、電池21を作製するときの方法と同様にして、電池23を作製した。
【0321】
(電池24)
Li3Fe2(PO43の代わりに、LiFeP27を用いたこと以外、電池21を作製するときの方法と同様にして、電池24を作製した。
【0322】
(比較電池8)
LiCo0.5Ni0.5PO4の代わりにLiCoO2を用い、Li3Fe2(PO43の代わりに、Li4Ti512を用いたこと以外、電池21を作製するときの方法と同様にして、比較電池8を作製した。
【0323】
(電池25)
Li3Fe2(PO43の代わりに、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43を用いたこと以外、電池21を作製するときの方法と同様にして、電池25を作製した。
【0324】
(電池26)
Li1.3Al0.3Ti0.7(PO43で表される固体電解質粉末、LiCo0.5Ni0.5PO4で表される正極活物質粉体、Li3Fe2(PO43で表される負極活物質粉体を用意した。
固体電解質粉末に、バインダーであるポリビニルブチラール樹脂、溶剤である酢酸n−ブチル、および可塑剤であるフタル酸ジブチルを添加し、ジルコニアボールと共にボールミルで24時間混合して、固体電解質層形成用スラリーを作製した。
【0325】
正極活物質粉体に、ポリビニルブチラール樹脂、酢酸n−ブチル、およびフタル酸ジブチル、さらに、パラジウム粉末を添加し、ジルコニアボールと共にボールミルで24時間混合して、正極活物質層形成用スラリーを作製した。なお、パラジウム粉末は、形成された正極活物質層内において、三次元網目状の集電体として機能する。
負極活物質層形成用スラリーは、上記負極活物質を用い、正極活物質層形成用スラリーの場合と同様にして作製した。
【0326】
固体電解質層形成用スラリーを用い、電池21の場合と同様に、キャリアフィルム上に固体電解質グリーンシート(厚さ:10μm)を形成した。
【0327】
正極活物質層形成用スラリーを用いて、電池21の場合と同様に、図58に示されるようなパターンで、キャリアフィルム60上の固体電解質グリーンシート61上に、内部に集電体を含む、複数の正極活物質グリーンシート84を形成し、固体電解質グリーンシートと正極活物質グリーンシートを含む正極シート85を作製した。各正極活物質グリーンシートの厚さは4μmであった。
【0328】
負極活物質層形成用スラリーを用いて、電池21の場合と同様に、図59に示されるようなパターンで、キャリアフィルム60上の固体電解質グリーンシート61上に、内部に集電体を含む、複数の負極活物質グリーンシート86を形成し、固体電解質グリーンシートと負極活物質グリーンシートを含む負極シート87を作製した。各負極活物質グリーンシートの厚さは7μmであった。
なお、正極活物質グリーンシートの幅X1、正極活物質グリーンシートの長さX2、各列における正極活物質グリーンシートの間隔Y1、および各列同士の間隔Y2は、上記電池21の場合と同様にした。このことは、負極活物質グリーンシートの場合も同様である。
【0329】
次に、その両面に接着剤のついたポリエステルフィルムを備える支持台の上に、電池21の場合と同様にして、固体電解質グリーンシートを20層重ねて、固体電解質グリーンシート群(厚さ:約200μm)を形成した。
【0330】
次いで、図60に示されるように、電池21の場合と同様にして、固体電解質グリーンシート群69の上に、シート87を載せた。キャリアフィルム60の上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、固体電解質グリーンシート61からキャリアフィルム60を剥離した。このようにして、固体電解質グリーンシート群上に、負極シート87を積層した。同様にして、負極シート87の固体電解質グリーンシート上に、正極シート85の正極活物質グリーンシートが接するように、正極シート85を積層した。こののち、上記と同様にして、固体電解質グリーンシートから、キャリアフィルムを剥離した。
【0331】
これらの操作を繰り返して、図61に示されるように、5層の負極シート87と、4層の正極シート85を含む積層物88を形成した。積層物88の固体電解質グリーンシート群とは反対側の負極シート87上に、固体電解質グリーンシートを20層積層して、積層シートを作製した。
【0332】
得られた積層シートを、切断し、グリーンチップを得た。得られたグリーンチップを、図62〜64で示す。ここで、図62は、グリーンチップ89の上面図である。図63は、図62のグリーンチップ89を線X−Xで切り取ったときの縦断面図である。図64は、図62のグリーンチップ89を線Y−Yで切り取ったときの縦断面図である。
グリーンチップ89は、集電体が活物質グリーンシート内に三次元網目状の配置されていること以外、上記電池21で作製したグリーンチップ73(図54〜56)とほとんど同じである。つまり、グリーンチップ89においては、正極活物質グリーンシート90、固体電解質グリーンシート91および負極活物質グリーンシー92を含む組が複数積層されている。また、グリーンチップの表面の異なる領域に、それぞれ、正極活物質グリーンシートの一方の端部および負極活物質グリーンシートの一方の端部が露出している。
【0333】
次に、得られたリーンチップを、空気中において、400℃/hの昇温速度で400℃まで昇温させ、400℃に5時間保持して、バインダーや可塑剤の有機物を充分に熱分解させた。この後、400℃/hの昇温速度で、900℃まで昇温させ、次いで、400℃/hの冷却速度で、速やかに室温まで冷却した。このようにして、グリーンチップの焼結を行った。得られた焼結体の寸法は、幅約3.2mm、奥行き約1.6mm、高さ約0.45mmであった。
【0334】
ここで、焼結体の充填率を、焼結体の全てが、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定し、上記実施例1−2と同様にして求めた。その結果、焼結体の充填率は83%程度であった。
【0335】
また、焼結体の研磨断面をSEM観察したところ、正極活物質層の厚さは約2μmであり、負極活物質層の厚さは約4μmであった。また、その焼結体には、ほとんど空孔が見られず緻密に焼結していることが確認された。
【0336】
得られた焼結体93の正極集電体露出面94および負極集電体露出面95の各々に、銅およびガラスフリットを含む外部集電体ペーストを塗布した。この後、外部集電体ペーストを塗布された焼結体を、窒素雰囲気下、600℃で1時間、熱処理して、図65に示されるような、正極外部集電体96および負極外部集電体97を形成した。このようにして、全固体リチウム二次電池を作製した。得られた電池を、電池26とした。
【0337】
得られた電池21〜26および比較電池8を用い、露点−50℃、環境温度25℃の雰囲気中で、10μAの電流値にて充放電を1回行った。そのときの放電容量を初期放電容量として、表8に示す。また、上限カット電圧および下限カット電圧についても、表8に示す。
【0338】
【表8】


【0339】
電池21〜26は放電が可能であった。しかし、比較電池8では充放電ともに不可能であった。以上の結果から、本発明により、充放電が可能な全固体リチウム二次電池を作製することが可能であることがわかる。また、正極活物質層、固体電解質層、および負極活物質層の数を増やすことにより、電池容量を大きくすることが可能である。このため、積層数を増やすことにより、電池容量を大きくすることが可能である。
【0340】
次に、表面処理が施された電池について、評価した。
(電池27)
電池21の正極外部集電体82および負極外部集電体83を除く部分に、フッ素樹脂からなる撥水剤のn−ヘプタン分散液を塗布して、撥水処理を施した。このようにして得られた電池を電池27とした。
【0341】
(電池28)
電池21の正極外部集電体82および負極外部集電体83を除く部分に、72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaO(軟化点750℃)を含むスラリーを塗布した。塗布したスラリーを乾燥した後、700℃で熱処理した。これにより、図66に示されるように、電池21の正極外部集電体82および負極外部集電体83を除く部分を、ガラス層98でコートした。このようにして得られた電池を、電池28とした。
【0342】
(電池29)
(0.3Na2O−0.7CaO)0.5Al23・4.5SiO2で表される軟化点750℃の透明釉スラリーを、電池21の正極外部集電体および負極外部集電体を除く部分に塗布した。塗布したスラリーを乾燥した後、700℃で熱処理した。これにより、電池21の正極外部集電体および負極外部集電体を除く部分を釉薬でコートした。このようにして得られた電池を、電池29とした。
【0343】
電池21および電池27〜29を、雰囲気温度60℃、相対湿度90%の高温高湿槽内において、2.2Vの定電圧で、30日間保存した。この後、それらの電池をその槽から取り出し、10μAの定電流で放電させ、放電容量を求めた。得られた結果を、表9に示す。
【0344】
【表9】


【0345】
高温多湿状態で保存した後、電池21は、ほとんど放電が不可能であった。一方、電池27〜29においては、比較的良好な放電容量が得られた。
電池21では、電池の最外装にある固体電解質が充分に焼結されておらずに、多孔質である場合がある。このように、最外装の固体電解質層が多孔質であると、電池が多湿雰囲気に保持された場合、水分が電池内部に侵入して、金からなる正極集電体がイオン化される、イオン化された金は、固体電解質層中を移動し、負極活物質層で還元され、そこに金が析出する。このように金が析出すると、正極活物質層と負極活物質層との間で短絡が生じる。このため、電池21では、ほとんど放電が不可能であったと考えられる。
【0346】
表面に撥水処理を施された電池27、低融点ガラスを焼き付けられた電池28、および釉薬を焼き付けられた電池29においては、外部から電池内部への水分の侵入が防止される。このため、内部短絡が生じず、良好な放電容量が得られたと考えられる。
【0347】
以上のように、本実施例により、高温多湿雰囲気下で保存された場合でも、信頼性の高い全固体リチウム二次電池を提供することが可能であることがわかる。
【0348】
《実施例1−8》
(電池30)
まず、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43で表される固体電解質粉体と、LiFePO4で表される正極活物質粉体を用意した。
固体電解質粉体にバインダーであるポリビニルブチラール樹脂、溶剤である酢酸n−ブチル、および可塑剤であるフタル酸ジブチルを加え、ジルコニアボールと共にボールミルで24時間混合して、固体電解質層形成用スラリーを調製した。
正極活物質層形成用スラリーについても、固体電解質層形成用スラリーを調製したときと同様にして、調製した。
【0349】
次に、ポリエステル樹脂を主成分とするキャリアフィルム99上に、固体電解質層形成用スラリーを、ドクターブレードを用いて塗布した。その後、塗布したスラリーを乾燥して、図67に示すように、固体電解質グリーンシート100(厚さ:10μm)を得た。なお、キャリアフィルム99の表面には、Siを主成分とする離型剤層が形成されている。
【0350】
別のキャリアフィルム99の上に、正極活物質層形成用スラリーを、スクリーン印刷により、図68に示すような、5つの正極活物質グリーンシート101が直線状に並んだ列102が、ジグザグに配置されたパターンで、塗布し、乾燥して、所定のパターンで配置された複数の正極活物質グリーンシート101を得た。ここで、正極活物質グリーンシートの厚さは3μmとした。正極活物質グリーンシートの幅X1は1.5mmとし、正極活物質グリーンシートの長さX2は6.8mmとした。各列における正極活物質グリーンシートの間隔Y1は0.4mmとし、各列同士の間隔Y2は0.3mmとした。
【0351】
次に、市販のポリビニルブチラール樹脂をバインダーとする銅ペーストを作製し、この銅ペーストを、キャリアフィルム99上に、スクリーン印刷で、図69に示されるように、正極活物質グリーンシートを作製したときと同様のパターンで、塗布し、乾燥して、複数の正極集電体グリーンシート103(厚さ:1μm)を作製した。
【0352】
次に、上記銅ペーストを、キャリアフィルム99上に、スクリーン印刷で、図70に示されるように、正極活物質グリーンシートの場合とは、ジグザグの出っ張りの方向が逆になっているパターンで、塗布し、乾燥して、複数の負極集電体グリーンシート104(厚さ:1μm)を作製した。このとき、負極集電体グリーンシートの幅X1、負極集電体グリーンシートの長さX2、各列おける負極集電体グリーンシートの間隔Y1、および各列同士の間隔Y2は、正極活物質グリーンシートの場合と同じにした。
【0353】
次に、支持台105の上に、その両面に接着剤の付いたポリエステルフィルム106を貼り付けた。次に、図71に示すように、ポリエステルフィルム106の上に、固体電解質グリーンシート100のキャリアフィルム99と接していない側の面を載せた。
【0354】
次いで、キャリアフィルム99の上から80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、図72に示すように、固体電解質グリーンシート100からキャリアフィルム99を剥離した。
【0355】
次に、固体電解質グリーンシート100の上に、上記のようにして作製した、別のキャリアフィルム99’上に形成された固体電解質グリーンシート100’を載せた。次いで、キャリアフィルム99’上から圧力、温度を加えることで、グリーンシート100と100’を接合させつつ、キャリアフィルム99’をグリーンシート100’から剥離させた。
この操作を20回繰り返し、図73に示されるような、固体電解質グリーンシート群107(厚さ:約200μm)を作製した。
【0356】
次に、図74に示されるように、キャリアシート99上に形成された固体電解質グリーンシート100上に、上記のように作製したキャリアフィルム99上に形成された複数の負極集電体グリーンシート104を、それらの負極集電体グリーンシート104が固体電解質グリーンシート100に接するように載せた。次いで、複数の負極集電体グリーンシートを担持したキャリアフィルム99上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、負極集電体グリーンシート104からキャリアフィルム99を剥離した。このようにして、図75に示されるように、固体電解質グリーンシート100と、その上に担持された負極集電体グリーンシート104とを含む負極兼固体電解質シート108を得た。
【0357】
次に、図76に示されるように、キャリアシート99上に形成された固体電解質グリーンシート100上に、上記のように作製したキャリアフィルム99上に形成された複数の正極活物質グリーンシート101を、それらの正極活物質グリーンシートが固体電解質グリーンシートに接するように載せた。次いで、複数の正極活物質グリーンシートを担持したキャリアフィルム99上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、正極活物質グリーンシート101からキャリアフィルム99を剥離した。
【0358】
次に、正極活物質グリーンシート101の上に、キャリアシート99上に担持された複数の正極集電体グリーンシート103を、正極活物質グリーンシート101と重なるように積層した。正極集電体グリーンシート103群を担持したキャリアフィルム99上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、正極集電体グリーンシート103からキャリアフィルム99を剥離した。さらに、正極集電体グリーンシート103上に、正極活物質グリーンシート101を、上記と同様にして積層して、図77に示されるような積層物を得た。ここで、固体電解質グリーンシート100と、その上に担持された複数の、2つの正極活物質グリーンシートおよびその2つのグリーンシートに挟まれた正極集電体グリーンシートからなるものとを含む積層物を、正極積層物109とした。
【0359】
次に、図78に示すように、支持台105上に設置されている固体電解質グリーンシート群107上に、負極兼固体電解質シート108を載せた。キャリアフィルム99上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、負極兼固体電解質シート108からキャリアフィルム99を剥離した。このようにして、固体電解質グリーンシート群107に負極集電体グリーンシート104が接するように、固体電解質グリーンシート群上に負極兼固体電解質シート108を積層した。
【0360】
同様にして、負極兼固体電解質シート108の固体電解質グリーンシートに正極積層物109の正極活物質グリーンシートが接するように、負極兼固体電解質シート108上に正極積層物109を載せた。キャリアフィルム99上から、80kg/cm2の圧力を加えながら70℃の温度をかけ、正極積層物109からからキャリアフィルム99を剥離した。このようにして、負極兼固体電解質シート108上に正極積層物109を積層した。負極兼固体電解質シートと正極積層物が積層されたとき、負極集電体グリーンシートが直線状に並んだ列と正極活物質グリーンシートが直線状に並んだ列とは、そのジグザグのパターンが反対になるようにした。
【0361】
上記のような操作を繰り返して、図79に示されるような、固体電解質グリーンシート積層物、5層の負極兼固体電解質シート、4層の正極積層物からなる積層物110を得た。なお、積層物110の積層方向において、固体電解質グリーンシート群側と反対側の端部には、負極兼固体電解質シート108が配置されている。
【0362】
最後に、積層物110の固体電解質グリーンシート群側と反対側の負極兼固体電解質層の上に、固体電解質グリーンシートを20層積層して、積層シートを得た。この後、この積層シートを、ポリエステルフィルム106を備える支持台105から剥離した。
【0363】
得られた積層シートを、切断し、グリーンチップ111を得た。得られたグリーンチップを、図80〜82で示す。ここで、図80は、グリーンチップ111の上面図である。図81は、線X−Xで切り取ったときの縦断面図である。図82は、線Y−Yで切り取ったときの縦断面図である。
【0364】
図82に示されるように、得られたグリーンチップ111においては、正極活物質グリーンシート101および正極集電体グリーンシート103を含む正極活物質積層物と、負極集電体グリーンシート104を含む負極兼固体電解質シートが、複数積層されている。このようなグリーンチップを焼結することにより、正極活物質層、負極兼固体電解質層が一体化された組を少なくとも1つ含む積層体を得ることができる。なお、一体化された組の数は、正極積層物、負極兼固体電解質層の積層数を変化させることにより、調節することができる。
【0365】
また、本実施例で得られたグリーンチップは、六面体の形状をしており、図81に示されるように、その六面体の1つの面に、負極集電体グリーンシート104の一方の端部が露出している。この面の反対側の面には、正極活物質グリーンシート101および正極集電体グリーンシート103の一方の面が露出している。つまり、上記で説明したような作製方法を用いることにより、正極集電体と負極集電体とが、積層体の表面の異なる領域に露出させることができる。また、上記以外の方法を用いて、正極集電体と負極集電体とを、積層体の表面の異なる領域に露出させてもよい。
なお、本実施例においては、これら2つ以外の面は、固体電解質層で覆われている。
【0366】
第1雰囲気ガスと水蒸気からなる雰囲気ガス中で、グリーンチップを焼結炉内で熱処理した。第1雰囲気ガスとして、CO2/H2/N2=4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスを用いた。雰囲気ガスに含まれる水蒸気の体積を5%とした。炉内への雰囲気ガスの流量は、温度700℃、1気圧において、12L/分となるようにした。雰囲気ガスの炉への供給は、炉の温度が200℃になった時点で開始した。
【0367】
グリーンチップを、昇温速度100℃/hで700℃まで加熱し、700℃に5時間保持した。その後、400℃/hの昇温速度で900℃まで昇温させ、次いで、400℃/hの冷却速度で、速やかに室温まで冷却した。ガスの供給は炉内温度が200℃になった時点で停止した。このようにして、グリーンチップの焼結を行い、焼結体を得た。得られた焼結体の寸法は、幅約3.2mm、奥行き約1.6mm、高さ約0.45mmであった。
【0368】
また、焼結体の研磨断面をSEM観察したところ、正極集電体および負極集電体の厚さは、それぞれ、0.3μm程度であった。また、正極集電体の片面に担持されている正極活物質層の厚さは約1μmであった。また、その焼結体には、ほとんど空孔が見られず緻密に焼結していることが確認された。
【0369】
得られた焼結体112の正極集電体露出面113および負極集電体露出面114の各々に、銅およびガラスフリットを含む外部集電体ペーストを塗布した。この後、外部集電体ペーストを塗布された焼結体を、窒素雰囲気下、600℃で1時間、熱処理して、図83に示されるような、正極外部集電体115および負極外部集電体116を形成した。このようにして、全固体リチウム二次電池を作製した。得られた電池を、電池30とした。
【0370】
なお、上記のような、CO2/H2/N2=4.99/0.01/95の組成を有する低酸素分圧ガスにおいては、以下の式(2)および式(3):
CO2 → CO + 1/2O2 (2)
2 + 1/2O2 → H2O (3)
のような平衡反応が生じる。式(2)の反応により、酸素が生成されるとともに、式(3)の反応により、酸素が消費されるために、雰囲気ガス内には、酸素が存在するとともに、その分圧がほぼ一定値に維持されることとなる。
【0371】
(電池31〜34)
混合ガスに含まれる水蒸気の量を、20体積%、30体積%、50体積%または90体積%としたこと以外、電池30の作製方法と同様にして、それぞれ、電池31〜34を作製した。
【0372】
(参考電池35)
低酸素分圧ガスとしてCO2/H2/N2=4.99/0.01/95の組成のガスを用い、水蒸気を添加しなかったこと以外は、電池30と同様にして、参考電池35を作製した。
【0373】
(参考電池36)
CO2/H2/N2=4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスの代わりに空気を用い、雰囲気ガスに含まれる水蒸気の量を30体積%としたこと以外は、電池30と同様にして、参考電池36を作製した。
【0374】
(参考電池37)
CO2/H2/N2=4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスの代わりに純度4Nの高純度アルゴンガスを用い、雰囲気ガスに含まれる水蒸気の量を30体積%としたこと以外は、電池30と同様にして、参考電池37を作製した。
【0375】
(参考電池38)
CO2/H2/N2=4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスの代わりに純度4Nの高純度CO2ガスを用い、雰囲気ガスに含まれる水蒸気の量を30体積%としたこと以外は、電池30と同様にして。参考電池38を作製した。
【0376】
(参考電池39)
CO2/H2/N2=4.99/0.01/95の組成の低酸素分圧ガスの代わりに純度4Nの高純度H2ガスを用い、雰囲気ガスに含まれる水蒸気の量を30体積%としたこと以外は、電池30と同様にして、参考電池39を作製した。
【0377】
(電池40)
正極活物質にLiCoPO4を用いたこと以外、電池32の作製方法と同様にして、電池40を作製した。
【0378】
電池30〜34および電池40、ならびに参考電池35〜39について、焼結体の充填率を焼結体の全てがLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定し、上記実施例1−2と同様にして求めた。得られた結果を表10に示す。また、表10には、第1雰囲気の種類、水蒸気の添加量、および−log10PO2値を同時に示す。
【0379】
【表10】


【0380】
電池30〜34においては、いずれの水蒸気量においても、充填率は80%程度と比較的良好であった。電池40においても、充填率は85%と比較的良好な値を示した。
一方、参考電池35および参考電池39では、充填率は60%を下回り、ほとんど焼結が進行していないことが分かった。また、これらの参考電池において、焼結体が黒色を呈していた。よって、これらの参考電池においては、バインダー及び可塑剤が熱分解によりカーボン化したため、グリーンチップの焼結が阻害されたと考えられる。
参考電池39において、H2/H2O=7/3の雰囲気ガス中における、700℃での平衡酸素分圧は10-22気圧程度と極微量であるために、生成したカーボンが残留したものと考えられる。
また、これらの参考電池35および39は、脆く、外部集電体塗布時のハンドリング中に崩壊した。
【0381】
電池30〜34および電池40においては、焼結体はほぼ白色を呈していた。表10に示されるような雰囲気ガス中における、700℃での平衡酸素分圧はほぼ10-16気圧程度と見積もられた。この場合、バインダーや可塑剤が、水蒸気により低分子量化されて速やかに系外に排出されると同時に、微量の酸素により、副生成物であるカーボンが除去されて、焼結が進行したものと考えられる。
また、参考電池36〜38における充填率は、電池30〜34および電池40と比べると、若干劣るものの、焼結体はほぼ白色を呈していた。
【0382】
次に、電池30〜34および電池40ならびに参考電池36〜38を用い、露点−50℃、環境温度25℃の雰囲気中で、上限カット電圧2.0Vとし、下限カット電圧0Vとして、10μAの電流値にて、充放電を1回行った。また、電池40においては、上限カット電圧を5.0Vとし、下限カット電圧を0Vとしたこと以外、上記と同様にして充放電を行った。そのときの放電容量を初期放電容量として、表11に示す。
【0383】
【表11】


【0384】
電池30〜34においては、6μAhを超える初期放電容量が得られた。また、電池40については、2.8μAhの初期放電容量が得られた。一方、参考電池36〜38は、ほとんど充放電が不可能であった。特に、参考電池36においては、空気雰囲気中で焼成したため、LiFePO4がLi3Fe2(PO43などのFe(III)化合物へと変化するとともに、集電体材料であるCuが酸化されて集電体として機能しなくなり、充放電が不可能であったと考えられる。
【0385】
一方、参考電池37〜38を作製するときの雰囲気ガスにおいては、700℃における平衡酸素分圧は、それぞれ、10-7気圧程度と見積もられる。このため、LiFePO4がLi3Fe2(PO43などのFe(III)化合物へと変化し、ほとんど放電ができなかったものと考えられる。
【0386】
ここで、上記式(1)から算出される、700℃における平衡酸素分圧は10-17.1気圧から10-11.8気圧である。平衡酸素分圧が前記範囲に入る電池30〜34においては、集電体の酸化および活物質であるFe(II)のFe(III)への酸化が抑制されつつ、バインダーおよび可塑剤が熱分解する際に生成するカーボンが酸素により除去されることがわかる。このため、酸素分圧を適切に調節することにより、良好な充放電容量を有する全固体リチウム二次電池を作製することができると考えられる。
【0387】
また、このとき、低酸素分圧ガス雰囲気に含まれる酸素分圧が一定に維持されるように、低酸素分圧ガスは、CO2などの酸素を放出可能なガスと、H2のように酸素と反応するガスとの混合物を含むことが好ましい。
【0388】
《実施例2−1》
次に、以下のような電池および比較電池を作製し、所定の条件で充放電を行い、その放電容量を求めた。
(電池2−1)
固体電解質層形成用スラリーに、軟化点が750℃の72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOで表される非晶質酸化物粉体を、固体電解質粉末と非晶質酸化物粉末との重量比が97:3になるように混合した。また、グリーンチップの焼結の最高温度を900℃から700℃に変更した。これら以外、電池7の作製方法と同様にして、電池2−1を作製した。
なお、正極活物質が最も焼結しやすく、固体電解質層が最も焼結しにくいが、正極活物質と負極活物質とで焼結のしやすさは、それほど大きく変わらない。このため、本実施例においては、固体電解質層にのみ、非晶質酸化物を添加している。
【0389】
なお、上記実施例1−2と同様に、固体電解質層と比較して正極活物質層および負極活物質層が十分に薄いため、焼結後のチップ全てがLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定して、焼結後のグリーンチップの充填率を求めた。その結果、充填率は73%程度であった。ここで、上記チップの充填率は、[{(チップ重量)/(チップ体積)}/(固体電解質のX線密度)]×100により求めた。
【0390】
また、正極活物質層および負極活物質層に関し、焼結後のグリーンチップの研磨断面をSEM観察したところ、正極活物質層および負極活物質層はその厚さが約1μmであること、およびその正極活物質層および負極活物質層はほとんど空孔が見られず緻密に焼結していることが確認された。
【0391】
(電池2−2)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温速度で700℃まで昇温させる代わりに、400℃/hの昇温温度で800℃まで昇温させたこと以外、電池2−1の作製方法と同様にして、全固体電池を作製した。得られた電池を電池2−2とした。なお、焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、93%であった。
【0392】
(電池2−3)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温温度で700℃まで昇温させる代わりに、400℃/hの昇温温度で900℃まで昇温させたこと以外、電池2−1の作製方法と同様にして、全固体電池を作製した。得られた電池を電池2−3とした。なお、焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、95%であった。
【0393】
(電池2−4)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温温度で700℃まで昇温させる代わりに、400℃/hの昇温温度で1000℃まで昇温させたこと以外、電池2−1の作製方法と同様にして、全固体電池を作製した。得られた電池を電池2−4とした。なお、焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、95%であった。
【0394】
(電池2−5)
固体電解質層形成用スラリーを調製するときに、Li427を非晶質酸化物として添加した。また、焼結を行うときに、400℃/hの昇温温度で700℃まで昇温させる代わりに、400℃/hの昇温温度で800℃まで昇温させた。これら以外、電池2−1の作製方法と同様にして、電池2−5を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、93%であった。
【0395】
(比較電池2−1)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温温度で700℃まで昇温させる代わりに、400℃/hの昇温温度で600℃まで昇温させたこと以外、電池2−1の作製方法と同様にして、比較電池2−1を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、57%であった。
【0396】
(比較電池2−2)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温温度で700℃まで昇温させる代わりに、400℃/hの昇温温度で1100℃まで昇温させたこと以外、電池2−1の作製方法と同様にして、比較電池2−2を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、93%であった。
【0397】
(比較電池2−3)
固体電解質層形成用スラリーを調製するときに非晶質酸化物を加えなかった。また、焼結を行うときに、400℃/hの昇温温度で700℃まで昇温させる代わりに、400℃/hの昇温温度で800℃まで昇温させた。これら以外、電池2−1の作製方法と同様にして、比較電池2−3を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、55%であった。
【0398】
(電池2−6)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温温度で800℃まで昇温させる代わりに、400℃/hの昇温温度で900℃まで昇温させた。これ以外、比較電池2−3の作製方法と同様にして、電池2−6を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、83%であった。
【0399】
(電池2−7)
焼結を行うときに、400℃/hの昇温温度で800℃まで昇温させる代わりに、400℃/hの昇温温度で1000℃まで昇温させた。これ以外、比較電池2−3の作製方法と同様にして、電池2−7を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、87%であった。
【0400】
上記のようにして作製した電池2−1〜2−7および比較電池2−1〜2−3を用いて、露点−50℃、温度25℃の雰囲気中、2.3Vから1.0Vの範囲で、10μAの電流値にて充放電を1回行った。そのときの放電容量を、表12に示す。また、充放電後の電池について、1kHzでのインピーダンスを測定した。得られた結果を表12に示す。
【0401】
【表12】


【0402】
放電容量は、比較電池2−1〜2−3において0であった。また、比較電池2−1〜2−3においては、インピーダンスが非常に大きかった。これは、固体電解質の焼結が進行せず、リチウムイオン伝導性が非常に小さくなったためと考えられる。特に比較電池2−2の充放電後のインピーダンスは測定レンジ外(107Ω以上)であった。これは、固体電解質が高温に耐えられず、変性したため、リチウムイオン伝導性が消失したと考えられる。
一方、本発明による電池2−1〜2−5はいずれも比較的良好な放電容量と低いインピーダンスが得られた。
【0403】
また、電池2−1〜2−4と比較電池2−1〜2−2との比較から、焼結温度は700℃以上1000℃以下の場合に充放電が可能であったことから、この温度範囲が望ましいことが明らかである。
また、電池2−1〜2−4と、比較電池2−3および電池2−6〜2−7との比較において、焼結助剤を添加したものの方がインピーダンスが低くなっており、電池として優れていることが明らかである。
《実施例2−2》
【0404】
次に、焼結助剤の添加量について検討を行った。
(電池2−8)
固体電解質層形成用スラリーを調製するときに、固体電解質であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43と、非晶質酸化物である72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOとを、99.9:0.1の重量比で混合した。このこと以外は、電池2−2(焼結温度:800℃)の作製方法と同様にして、電池2−8を作製した。なお、焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、72%であった。
【0405】
(電池2−9)
固体電解質層形成用スラリーを調製するときに、固体電解質であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43と、非晶質酸化物である72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOとを、99:1の重量比で混合した。このこと以外は、電池2−2(焼結温度:800℃)の作製方法と同様にして、電池2−9を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、89%であった。
【0406】
(電池2−10)
固体電解質層形成用スラリーを調製するときに、固体電解質であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43と、非晶質酸化物である72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOとを、95:5の重量比で混合した。このこと以外は、電池2−2(焼結温度:800℃)の作製方法と同様にして、電池2−10を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、94%であった。
【0407】
(電池2−11)
固体電解質層形成用スラリーを調製するときに、固体電解質であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43と、非晶質酸化物である72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOとを、90:10の重量比で混合したこと以外、電池2−2(焼結温度:800℃)の作製方法と同様にして、電池2−11を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、94%であった。
【0408】
(比較電池2−4)
固体電解質層形成用スラリーを調製するときに、固体電解質であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43と、非晶質酸化物である72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOとを、99.95:0.05の重量比で混合した。このこと以外、電池2−2(焼結温度:800℃)の作製方法と同様にして、比較電池2−4を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、57%であった。
【0409】
(電池2−12)
固体電解質層形成用スラリーを調製するときに、固体電解質であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43と、非晶質酸化物である72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOとを、85:15の重量比で混合した。このこと以外、電池2−2(焼結温度:800℃)の作製方法と同様にして、電池2−12を作製した。なお、焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、93%であった。
【0410】
上記のようにして作製した電池2−8〜2−12および比較電池2−4を用い、上記実施例2−1と同様にして、放電容量および1kHzでのインピーダンスを測定した。得られた結果を表13に示す。また、参考のため、電池2−2および比較電池2−3についての結果も同時に示す。
【0411】
【表13】


【0412】
比較電池2−4は、放電容量が0であった。比較電池2−4は、焼結助剤の添加量が少なすぎるため、焼結が進行せず、インピーダンスが大きくなったと考えられる。また、電池2−12では、逆に添加量が多すぎるため、固体電解質層中のイオン伝導性が低下し、インピーダンスが大きくなったものと考えられる。
【0413】
以上の結果から、添加する焼結助剤は、添加される層の0.1〜10重量%を占めることが好ましい。
【0414】
《実施例2−3》
次に、固体電解質層に添加する焼結助剤の種類及び焼結助剤の軟化点について検討を行った。
(電池2−13)
72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOの代わりに、80wt%SiO2−14wt%B23−2wt%Al23−3.6wt%Na2O−0.4wt%K2Oで表される非晶質酸化物を用いた。このこと以外、電池2−2の作製方法と同様にして、電池2−10を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、91%であった。
【0415】
(比較電池2−5)
72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOの代わりに、Al23粉を用いた。このこと以外、電池2−2の作製方法と同様にして、比較電池2−5を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、55%であった。
【0416】
(比較電池2−6)
72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOの代わりに、軟化点が600℃の72wt%SiO2−1wt%Al23−14wt%Na2O−3wt%MgO−10wt%CaO粉を用いた。このこと以外、電池2−2の作製方法と同様にして、比較電池2−6を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、97%であった。
【0417】
(比較電池2−7)
72wt%SiO2−1wt%Al23−20wt%Na2O−3wt%MgO−4wt%CaOの代わりに、軟化点が1020℃の62wt%SiO2−15wt%Al23−8wt%CaO−15wt%BaO粉を用いた。このこと以外、電池2−2の作製方法と同様にして、比較電池2−7を作製した。焼結後のグリーンチップの充填率は、グリーンチップが全てLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定した場合、58%であった。
【0418】
上記のようにして作製した電池2−13および比較電池2−5〜2−7を用いて、実施例2−1と同様にして、放電容量および1kHzでのインピーダンスを測定した。得られた結果を表14に示す。また、参考のため、電池2−2についての結果も同時に示す。
【0419】
【表14】


【0420】
電池2−13の放電容量およびインピーダンスは、電池2−2の放電容量およびインピーダンスと同程度であった。
一方、一般的に焼結助剤として用いられるAl23を用いた比較電池2−5においては、放電容量が0であった。これは、焼結時に積層体の焼結が進行しなかったためと考えられる。つまり、Al23を用いた系では、Al23が固体電解質であるLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43と反応し、固体固体電解質層に不純物相が生成するために、焼結性が低下したと考えられる。
【0421】
また、軟化点が600℃の非晶質酸化物を添加した比較電池2−6においても放電容量が0であったが、これは焼結反応が進行するほかに、活物質と固体電解質の拡散が進行したため、充放電が不可能になったものと考えられる。
【0422】
軟化点が1020℃の非晶質酸化物を添加した比較電池2−7においても放電容量が0であったが、これは添加剤の軟化点が高すぎるため焼結に寄与しなかったためと考えられる。
【0423】
以上の結果から、正極活物質層、固体電解質層、負極活物質層の少なくとも1つに、軟化点が700℃以上950℃以下の非晶質酸化物を添加することにより、良好な充放電性能を示す全固体電池が作製可能となることが示された。
【0424】
《実施例2−4》
負極活物質層を設けず、また、焼結温度の最高値を800℃としたこと以外、比較電池2−3、比較電池2−4、電池2−8、電池2−9、電池2−2、電池2−10、電池2−11、または電池2−12の作製方法と同様にして、正極活物質層と固体電解質層とからなる積層体を得た。得られた積層体を、それぞれ、比較積層体2−3、比較積層体2−4、積層体2−8、積層体2−9、積層体2−2、積層体2−10、積層体2−11、および積層体2−12とした。これらの積層体の反り量について、調べた。ここで、反り量とは、正極活物質層を上にして、積層体を所定の平板に置いたときに、積層体の端面の正極活物質層側の上辺から、その平板までの垂直距離をいう。なお、これらの積層体の焼結前のグリーンチップの厚さは、約500μmであり、そのサイズは7mm×7mmである。
また、表15には、固体電解質層形成用グリーンシートに添加されている非晶質酸化物の量と焼結温度の最高値を同時に示す。
【0425】
【表15】


【0426】
表15により、非晶質酸化物の添加量が大きくなるほど、積層体の反りが小さくなることがわかる。よって、反りを抑制するためには、非晶質酸化物の添加量は、0.1重量%以上であることが好ましい。
【0427】
《実施例3−1》
(電池3−1)
正極集電体グリーンシートおよび負極集電体グリーンシートを作製するときに、金ペーストの代わりに、パラジウムペーストを用いた。パラジウムの量は、このペーストの25重量%とした。正極集電体グリーンシートおよび負極集電体グリーンシートの厚さは、それぞれ10μmとした。また、グリーンチップを焼結するときの最高温度を900℃から950℃に変更した。これら以外は、電池21の作製方法と同様にして、電池3−1を作製した。
【0428】
なお、グリーンチップを焼結して得られる焼結体の寸法は幅約3.2mm、奥行き約1.6mm、高さ約0.45mmであった。上記実施例1−2と同様に、その焼結体全てがLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43であると仮定して、焼結体の充填率を求めた。その結果、充填率は、85%程度であった。
また、焼結体の研磨断面をSEM観察したところ、正極活物質層および負極活物質層の厚さは、それぞれ約1μmおよび約2μmであった。正極活物質層内に配置された正極集電体層および負極活物質層内に負極集電体の厚さは、それぞれ4μm程度であった。
【0429】
正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、例えば、以下のようにして求めることができる。
正極集電体グリーンシートまたは負極集電体グリーンシートにおいて、単位面積あたりのパラジウムの重量を求める。焼結すると集電体グリーンシートは収縮する。収縮した後の単位面積あたりのパラジウム重量を、前記グリーンシートの単位面積あたりのパラジウム重量を用いて計算する。次いで、焼結後の集電体層の見かけの厚さをSEMにより測定する。こうして、集電体層の体積とそれに含まれるパラジウムの量を求めることができる。これらの値を用いて、集電体層の多孔度を求めることができる。以下の実施例では、このようにして多孔度を求めた。
その結果、正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ50%であった。
【0430】
(電池3−2)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を65重量%にしたこと以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、電池3−2を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ20%であった。
【0431】
(電池3−3)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を20重量%にしたこと以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、電池3−3を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ60%であった。
【0432】
(電池3−4)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を70重量%にしたこと以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、比較電池3−1を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ15%であった。
【0433】
(電池3−5)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を10重量%にしたこと以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、比較電池3−2を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ70%であった。
【0434】
電池3−1〜3−5について、各10セルずつ、露点−50℃、温度25℃の雰囲気中で、10μAの電流値で、定電流充放電を1回行った。このとき、上限カット電圧は2.2Vとし、下限カット電圧は1.0Vとした。
各電池について、破損することなく充放電できたセルの初期放電容量、および構造欠陥が発生したセルの数を表16に示す。
【0435】
【表16】


【0436】
電池3−1〜3−3については充放電が可能であった。一方、電池3−4および3−5についても充放電が可能であった。電池3−5の初期放電容量は、他の電池と比較して減少していた。なお、電池容量は、積層数を増やすことにより、大きくすることが可能である。
【0437】
電池3−4については、4つのセルにおいて、クラックや、デラミネーションが観察された。それらが観察されたセルについては、充分な放電容量を得ることができなかった。
【0438】
電池3−1〜3−3は、集電体の多孔度が20〜60%であり、活物質の充放電に伴う体積変動を緩和する役目を果たしていると考えられる。それに比べ、集電体の多孔度が15%である電池3−4においては、リチウムイオンの吸蔵および放出による活物質の体積変動を緩和できなくなるために、破損する電池が増加したと考えられる。
また、集電体の多孔度が70%である電池3−5においては、電池の破損は発生しなかったが、その容量が、60〜70%程度に落ち込んだ。このような容量の低下は、集電体の集電性が低下しているためであると考えられる。したがって、正極集電体層および負極集電体層の多孔度は20〜60%であることが好ましい。
【0439】
以上のように、集電体層の多孔度を20〜60%とすることにより、充放電時に起こる活物質の膨張収縮が原因で発生するデラミネーションや積層型全固体電池のクラックを抑制し、信頼性の高い積層型全固体リチウム二次電池を作製できることがわかる。
【0440】
《実施例3−2》
本実施例では、他の活物質材料を用いた場合でも、集電体の多孔度が、放電容量および構造欠陥に影響を及ぼすことについて検討した。
(電池3−6)
LiCoPO4の代わりに、LiMnPO4を正極活物質として用いたこと以外、電池3−1の作製方法と同様にして、電池3−6を作製した。
【0441】
(電池3−7)
LiCoPO4の代わりに、LiFePO4を正極活物質として用いた。また、酸素分圧が所定の値に制御された、CO2とH2とを含む雰囲気ガス中で、グリーンチップを焼成した。なお、600℃に5時間維持して、グリーンチップに含まれるバインダーを分解させた。この雰囲気ガスにおいて、CO2とH2との混合比を103:1とした。
これら以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、電池3−7を作製した。
【0442】
(電池3−8)
LiCoPO4の代わりに、LiMn0.7Fe0.3PO4を正極活物質として用いた。また、酸素分圧が所定の値に制御された、CO2とH2とを含む雰囲気ガス中で、グリーンチップを焼成した。なお、600℃に5時間維持して、グリーンチップに含まれるバインダーを分解させた。この雰囲気ガスにおいて、CO2とH2との混合比を103:1とした。
これら以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、電池3−8を作製した。
【0443】
(電池3−9)
Li3Fe2(PO43の代わりにFePO4を負極活物質として用いたこと以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、電池3−9を作製した。
【0444】
(電池3−10)
Li3Fe2(PO43の代わりにLiFeP27を負極活物質として用いたこと以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、電池3−10を作製した。
【0445】
(電池3−11)
Li3Fe2(PO43の代わりにLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43を用いたこと以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、電池3−11を作製した。
【0446】
(電池3−12)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を75重量%にしたこと以外は、電池3−6の作製方法と同様にして、電池3−12を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0447】
(電池3−13)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を75重量%にしたこと以外は、電池3−7の作製方法と同様にして、電池3−13を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0448】
(電池3−14)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を75重量%にしたこと以外は、電池3−8の作製方法と同様にして、電池3−14を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0449】
(電池3−15)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を75重量%にしたこと以外は、電池3−9の作製方法と同様にして、電池3−15を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0450】
(電池3−16)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を75重量%にしたこと以外は、電池3−10の作製方法と同様にして、電池3−16を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0451】
(電池3−17)
パラジウムペーストにおけるパラジウムの量を75重量%にしたこと以外は、電池3−11の作製方法と同様にして、電池3−17を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0452】
電池3−6〜3−17について、各10セルずつ、露点−50℃、温度25℃の雰囲気中で、10μAの電流値で、定電流充放電を1回行った。このときの各電池の上限カット電圧および下限カット電圧を表17に示す。各電池について、破損することなく充放電できたセルの初期放電容量を表17に示す。また、構造欠陥が発生したセルの数を表18に示す。
【0453】
【表17】


【0454】
【表18】


【0455】
電池3−6〜3−11については充放電が可能であった。電池3−12〜3−17についても充放電が可能であり、その初期放電容量は、電池3−6〜3−11のそれとほぼ一致していた。
【0456】
しかしながら、電池3−12〜3−17において、クラックや、デラミネーションが観察されたセルがあった。それらが観察されたセルについては。充分な放電容量を得ることができなかった。
【0457】
一方で、電池3−6〜3−11については、電池3−12〜3−17と比較して、構造欠陥が発生したセルの数は少なかった。これは、集電体層の多孔度を20〜60%とすることにより、集電体層が緩衝層としての役割を果たし、活物質の充放電に伴う体積変化をその集電体層が十分に吸収することができたためと考えられる。
【0458】
《実施例3−3》
本実施例では、卑金属材料から構成される集電体を用いた。
(電池3−18)
正極活物質としてはLiCoPO4を用い、固体電解質としては、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43を用いた。なお、この固体電解質層は、負極活物質を兼ねる。
正極集電体層および負極集電体層に含まれる金属材料としては銅を用いた。なお、集電体材料のペーストにおける銅の量は、そのペーストの30重量%とした。
グリーンチップは、酸素分圧が所定の小さいな値に制御された、CO2とH2とを含む雰囲気ガス中において焼結した。なお、雰囲気ガスにおいて、CO2とH2との体積比は、103:1とした。
また、グリーンチップの焼結において、バインダーの分解温度は600℃とした。
これら以外は、電池3−1の作製方法と同様にして、電池3−18を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ50%であった。
【0459】
(電池3−19)
正極集電体層および負極集電体層に含まれる金属材料にコバルトを用いた。グリーンチップを焼成するときの雰囲気ガスにおけるCO2とH2との体積比を10:1に変更した。また、グリーンチップに含まれるバインダーを、600℃で72時間加熱することにより分解した。これら以外は、電池3−18の作製方法と同様にして、電池3−19を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ50%であった。
【0460】
(電池3−20)
正極集電体層および負極集電体層に含まれる金属材料にニッケルを用いた。グリーンチップを焼成するときの雰囲気ガスにおけるCO2とH2との体積比を40:1に変更した。また、グリーンチップに含まれるバインダーを、600℃で48時間加熱することにより分解した。これら以外は、電池3−18の作製方法と同様にして、電池3−20を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ50%であった。
【0461】
(電池3−21)
正極集電体層および負極集電体層に含まれる金属材料にステンレス鋼を用いた。グリーンチップの焼成の最高温度を1000℃に変更した。これら以外は、電池3−18の作製方法と同様にして、電池3−21を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ50%であった。
【0462】
(比較電池3−1)
正極集電体層および負極集電体層に含まれる金属材料にチタンを用いた。グリーンチップの焼成の最高温度を900℃に変更した。これら以外は、電池3−18の作製方法と同様にして、比較電池3−1を作製した。焼成後の正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ50%であった。
【0463】
電池3−18〜3−21および比較電池3−1について、各10セルずつ、電池3−11と同様の条件(上限カット電圧2.5V、下限カット電圧1.0V)で、定電流充放電を行った。各電池において、欠陥を起こすことなく充放電できたセルの初期放電容量、および構造欠陥が発生したセルの数を表19に示す。
【0464】
【表19】


【0465】
電池3−18〜3−21の結果より、卑金属を集電体材料として用いた場合でも、焼成時の雰囲気ガスの酸素分圧を制御しながら、グリーンチップの焼成を行えば、集電体材料が酸化されることを防止することができる。このため、卑金属を集電体材料として用いた固体電池は、充放電が可能となる。
【0466】
比較電池3−1においては、クラックおよび/またはデラミレーションが発生したセルはなかった。しかし、比較電池3−1は、充放電自体ができなかった。これは、集電体層を構成するチタン自体が酸化されて、その集電体層が集電性を維持できなくなったためであると考えられる。なお、グリーンチップの焼成を、チタンが酸化しない雰囲気で行うことが考えられるが、このような雰囲気を用いた場合、バインダーの分解は不可能となる。
【0467】
以上のように、雰囲気ガスの酸素分圧を調節することにより、ある程度酸化に強い金属材料を、集電体材料として用いることが可能であることがわかる。
【0468】
《実施例3−5》
本実施例では、正極集電体層および負極集電体層の多孔度をそれぞれ10%とした。
(電池3−22)
正極集電体層および負極集電体層を形成するための銅ペーストにおいて、銅の量をそのペーストの70重量%とした。このこと以外は、電池3−18の作製方法と同様にして、電池3−22を作製した。正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0469】
(電池3−23)
正極集電体層および負極集電体層を形成するためのコバルトペーストにおいて、コバルトの量をそのペーストの70重量%とした。このこと以外は、電池3−19の作製方法と同様にして、電池3−23を作製した。正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0470】
(電池3−24)
正極集電体層および負極集電体層を形成するためのニッケルペーストにおいて、ニッケルの量をそのペーストの70重量%とした。このこと以外は、電池3−20の作製方法と同様にして、電池3−24を作製した。正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0471】
(電池3−25)
正極集電体層および負極集電体層を形成するためのステンレス鋼ペーストにおいて、ステンレス鋼の量をそのペーストの70重量%とした。このこと以外は、電池3−21の作製方法と同様にして、電池3−25を作製した。正極集電体層および負極集電体層の多孔度は、それぞれ10%であった。
【0472】
電池3−22〜3−25について、各10セルずつ、電池3−18と同様の条件(上限カット電圧2.5V、下限カット電圧1.0V)にて、定電流充放電を行った。各電池において、欠陥を起こすことなく充放電できたセルの初期放電容量、および構造欠陥が発生したセルの数を表20に示す。
【0473】
【表20】


【0474】
電池3−22〜2−25の初期放電容量は、電池3−18〜3−21の初期放電容量と同程度であった。電池3−22〜3−25においては、正極集電体層および負極集電体層の多孔度が10%であるため、集電体層は、充放電時に起こる活物質の体積変化を緩衝することが困難となる。このため、電池3−22〜3−25においては、構造欠陥が発生したセルの数が増加したものと考えられる。
【0475】
以上のように、貴金属の他、酸化にある程度強い卑金属からなる集電体層を用いることができる。また、その多孔度を20〜60%とすることにより、充放電時の活物質の体積変化により発生するデラミネーションおよび/またはクラックを抑制することができる。よって、信頼性の高い全固体リチウム二次電池を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0476】
本発明の積層体は、固体電解質層および活物質層を熱処理により緻密化または結晶化させつつ、電気化学的に活性な活物質/固体電解質界面を有し、内部抵抗が低い。このような、積層体を用いるより、例えば、大容量でハイレート特性に優れた全固体リチウム二次電池を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0477】
【図1】LiCoPO4とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図2】LiNiPO4とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図3】LiCoO2とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図4】LiMn24とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図5】LiCoPO4とLi0.33La0.56TiO3との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図6】LiNiPO4とLi0.33La0.56TiO3との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図7】LiCoO2とLi0.33La0.56TiO3との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図8】LiMn24とLi0.33La0.56TiO3との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図9】LiCo0.5Ni0.5PO4とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図10】FePO4とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図11】Li3Fe2(PO43とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図12】LiFeP27とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図13】Li4Ti512とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図14】Nb25とLi1.3Al0.3Ti1.7(PO43との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図15】FePO4とLi0.33La0.56TiO3との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図16】Li3Fe2(PO43とLi0.33La0.56TiO3との混合粉体の熱処理前後のX線パターンを示すグラフである。
【図17】LiFeP27とLi0.33La0.56TiO3との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図18】Li4Ti512とLi0.33La0.56TiO3との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図19】Nb25とLi0.33La0.56TiO3との混合粉体の熱処理前後のX線回折パターンを示すグラフである。
【図20】キャリアフィルム上に形成された固体電解質グリーンシートを概略的に示す斜視図である。
【図21】キャリアフィルム上に形成された活物質グリーンシートを概略的に示す斜視図である。
【図22】ポリエステルフィルムを備える支持台の上に載せられた固体電解質グリーンシートとキャリアフィルムを概略的に示す縦断面図である。
【図23】固体電解質グリーンシートから、キャリアフィルムが剥がされた状態を概略的に示す縦断面図である。
【図24】ポリエステルフィルムを備える支持台の上に、20個の固体電解質グリーンシートと1つの活物物質グリーンシートが載せられた状態を概略的に示す縦断面図である。
【図25】2つのグリーンチップを重ね、それらをセラミック板で挟んだ状態を概略的に示す縦断面図である。
【図26】焼結後のグリーンチップ(つまり、本発明の積層体)とその上に形成された金薄膜を概略的に示す縦断面図である。
【図27】電池1を概略的に示す縦断面図である。
【図28】本発明の別の実施形態に係る全固体リチウム二次電池を概略的に示す縦断面図である。
【図29】キャリアフィルム上に形成された固体電解質グリーンシートを概略的に示す斜視図である。
【図30】キャリアフィルム上に形成された正極活物質グリーンシートを概略的に示す斜視図である。
【図31】キャリアフィルム上に形成された負極活物質グリーンシートを概略的に示す斜視図である。
【図32】ポリエステルフィルムを備える支持台の上に載せられた負極活物質グリーンシートとキャリアフィルムを概略的に示す縦断面図である。
【図33】負極活物質グリーンシートから、キャリアフィルムが剥がされた状態を概略的に示す縦断面図である。
【図34】ポリエステルフィルムを備える支持台の上に、負極活物質グリーンシート、20個の固体電解質グリーンシート、および正極活物質グリーンシートが順に積層された状態を概略的に示す縦断面図である。
【図35】2つのグリーンチップを重ね、それらをセラミック板で挟んだ状態を概略的に示す縦断面図である。
【図36】焼結後の積層体とその上に形成された金薄膜(電池7)を概略的に示す縦断面図である。
【図37】実施例4で作製した電池11を概略的に示す縦断面図である。
【図38】実施例6で作製した電池18を概略的に示す縦断面図である。
【図39】実施例6で作製した電池19を概略的に示す縦断面図である。
【図40】キャリアフィルム上に形成された固体電解質グリーンシートを概略的に示す斜視図である。
【図41】キャリアフィルム上に、所定のパターンで配置されている、複数の正極活物質グリーンシートを概略的に示す上面図である。
【図42】キャリアフィルム上に、所定のパターンで配置されている、複数の正極集電体グリーンシートを概略的に示す上面図である。
【図43】キャリアフィルム上に、所定のパターンで配置されている、複数の負極活物質グリーンシートを概略的に示す上面図である。
【図44】キャリアフィルム上に、所定のパターンで配置されている、複数の負極集電体グリーンシートを概略的に示す上面図である。
【図45】ポリエステルフィルムを備える支持台に載せられた固体電解質グリーンシートとキャリアフィルムを概略的に示す縦断面図である。
【図46】固体電解質グリーンシートから、キャリアフィルムが剥がされた状態を概略的に示す縦断面図である。
【図47】ポリエステルフィルムを備える支持台上に、20個の固体電解質グリーンシートが積層された状態を概略的に示す縦断面図である。
【図48】キャリアフィルム上に形成された固体電解質グリーンシート上に、キャリアフィルムの表面に担持された複数の負極活物質グリーンシートを積層しようとする状態を概略的に示す縦断面図である。
【図49】固体電解質グリーンシート上において、負極活物質グリーンシート、負極集電体グリーンシートおよび負極活物質グリーンシートが順に積層されている状態を概略的に示す縦断面図である。
【図50】キャリアフィルム上に形成された固体電解質グリーンシート上に、キャリアフィルムの表面に担持された複数の正極活物質グリーンシートを積層しようとする状態を概略的に示す縦断面図である。
【図51】固体電解質グリーンシート上において、正極活物質グリーンシート、正極集電体グリーンシートおよび正極活物質グリーンシートが順に積層されている状態を概略的に示す縦断面図である。
【図52】固体電解質グリーンシートの表面に担持された、負極活物質グリーンシート、負極集電体グリーンシートおよび負極活物質グリーンシートが順に積層されたものを、固体電解質グリーンシート積層物上に、積層した状態を概略的に示す縦断面図である。
【図53】固体電解質グリーンシート積層物上に、5層の負極積層物と、4層の正極積層物とが交互に積層されている状態を概略的に示す縦断面図である。
【図54】積層シートを切断して得られるグリーンチップの上面図である。
【図55】図54のグリーンチップを線X−Xで切ったときの、グリーンチップを概略的に示す縦断面図である。
【図56】図54のグリーンチップを線Y−Yで切ったときの、グリーンチップを概略的に示す縦断面図である。
【図57】正極集電体の露出した端面および負極集電体の露出した端面に、それぞれ、正極外部集電体および負極外部集電体が設けられた焼結体を概略的に示す縦断面図である。
【図58】キャリアフィルム上の固体電解質グリーンシートの上に、所定のパターンで配置された正極活物質グリーンシートを概略的に示す上面図である。
【図59】キャリアフィルム上の固体電解質グリーンシートの上に、所定のパターンで配置された負極活物質グリーンシートを概略的に示す上面図である。
【図60】固体電解質グリーンシートの表面に担持された、負極活物質グリーンシートを、固体電解質グリーンシート積層物上に積層した状態を概略的に示す縦断面図である。
【図61】固体電解質グリーンシート積層物上に、5層の負極シートと、4層の正極シートとが積層されている状態を概略的に示す縦断面図である。
【図62】積層シートを切断して得られるグリーンチップの上面図である。
【図63】図62のグリーンチップを線X−Xで切ったときの、グリーンチップを概略的に示す縦断面図である。
【図64】図62のグリーンチップを線Y−Yで切ったときの、グリーンチップを概略的に示す縦断面図である。
【図65】正極活物質層の露出した端面および負極活物質層の露出した端面に、それぞれ、正極外部集電体および負極外部集電体が設けられた焼結体を概略的に示す縦断面図である。
【図66】正極外部集電体および負極外部集電体で被覆された部分以外が、ガラス層で被覆されている焼結体を概略的に示す縦断面図である。
【図67】キャリアフィルム上に形成された固体電解質グリーンシートを概略的に示す斜視図である。
【図68】キャリアフィルム上に、所定のパターンで配置されている、複数の正極活物質グリーンシートを概略的に示す上面図である。
【図69】キャリアフィルム上に、所定のパターンで配置されている、複数の正極集電体グリーンシートを概略的に示す上面図である。
【図70】キャリアフィルム上に、所定のパターンで配置されている、複数の負極集電体グリーンシートを概略的に示す上面図である。
【図71】ポリエステルフィルムを備える支持台に載せられた固体電解質グリーンシートとキャリアフィルムを概略的に示す縦断面図である。
【図72】固体電解質グリーンシートから、キャリアフィルムが剥がされた状態を概略的に示す縦断面図である。
【図73】ポリエステルフィルムを備える支持台上に、20個の固体電解質グリーンシートが積層された状態を概略的に示す縦断面図である。
【図74】キャリアフィルム上に形成された固体電解質グリーンシート上に、キャリアフィルムの表面に担持された複数の負極集電体グリーンシートを積層しようとする状態を概略的に示す縦断面図である。
【図75】固体電解質グリーンシート上において、負極活物質グリーンシート、負極集電体グリーンシートが積層されている状態を概略的に示す縦断面図である。
【図76】キャリアフィルム上に形成された固体電解質グリーンシート上に、キャリアフィルムの表面に担持された複数の正極活物質グリーンシートを積層しようとする状態を概略的に示す縦断面図である。
【図77】固体電解質グリーンシート上において、正極活物質グリーンシート、正極集電体グリーンシートおよび正極活物質グリーンシートが順に積層されている状態を概略的に示す縦断面図である。
【図78】固体電解質グリーンシートの表面に担持された負極集電体グリーンシートを、固体電解質グリーンシート積層物上に、積層した状態を概略的に示す縦断面図である。
【図79】固体電解質グリーンシート積層物上に、5層の負極兼固体電解質シートと、4層の正極積層物とが交互に積層されている状態を概略的に示す縦断面図である。
【図80】積層シートを切断して得られるグリーンチップの上面図である。
【図81】図80のグリーンチップを線X−Xで切ったときの、グリーンチップを概略的に示す縦断面図である。
【図82】図80のグリーンチップを線Y−Yで切ったときの、グリーンチップを概略的に示す縦断面図である。
【図83】正極集電体の露出した端面および負極集電体の露出した端面に、それぞれ、正極外部集電体および負極外部集電体が設けられた焼結体を概略的に示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0478】
1、3 キャリアフィルム
2 固体電解質グリーンシート
4 正極活物質グリーンシート
5 支持台
6 ポリエステルフィルム
7 固体電解質グリーンシート群
8 グリーンチップ
9 固体電解質面
10 セラミックス板
11 第1積層体
11a 正極活物質層
11b 固体電解質層
12 金薄膜
13 積層体の側面
14 金属リチウム箔
15 SUS板
16、27 PEO−LiTFSI層
17 固体電解質面
21 窒化ケイ素からなる層
22 単結晶ケイ素板
23 チタン薄膜
24 金薄膜
25 LiCoPO4薄膜
26 LiTi2(PO43薄膜
28 金属リチウム薄膜
29 銅薄膜
【0479】
30 キャリアフィルム
31 固体電解質グリーンシート
32 正極活物質グリーンシート
33 負極活物質グリーンシート
34 支持台
35 ポリエステルフィルム
36 固体電解質グリーンシート群
37 グリーンチップ
38 セラミックス板
39 第2積層体
39a 正極活物質層
39b 固体電解質層
39c 負極活物質層
40、41 金薄膜
42 積層体の各側面
43 窒化ケイ素からなる層
44 単結晶ケイ素基板
45 チタン薄膜層
46 金薄膜
47 LiCoPO4薄膜
48 LiTi2(PO43薄膜
49 Li3Fe2(PO43薄膜
50 銅薄膜
51 金属製ケース
52 金属製封口板
53 ナイロン製ガスケット
54 ニッケル製のスポンジメタル片
55、56 銀薄膜
57 銅製リード
58 ハンダ
59 エポキシ樹脂
【0480】
60 キャリアフィルム
61、75 固体電解質グリーンシート
62、74 正極活物質グリーンシート
63 正極活物質グリーンシートが直線状に並んだ列
64、77 正極集電体グリーンシート
65、76 負極活物質グリーンシート
66、78 負極集電体グリーンシート
67 支持台
68 ポリエステルフィルム
69 固体電解質グリーンシート群
70 負極積層物
71 正極積層物
72 積層物
73 グリーンチップ
79 焼結体
80、94 正極集電体露出面
81、95 負極集電体露出面
82、96 正極外部集電体
83、97 負極外部集電体
84、90 三次元網目状の集電体を含む正極活物質グリーンシート
85 正極シート
86、92 三次元網目状の集電体を含む負極活物質グリーンシート
87 負極シート
88 積層物
89 グリーンチップ
90 固体電解質グリーンシート
93 焼結体
98 ガラス層
【0481】
99 キャリアフィルム
100 固体電解質グリーンシート
101 正極活物質グリーンシート
102 列
103 正極集電体グリーンシート
104 負極集電体グリーンシート
105 支持台
106 ポリエステルフィルム
107 固体電解質グリーンシート群
108 負極兼固体電解質シート
109 正極積層物
110 積層物
111 グリーンチップ
112 焼結体
113 正極集電体露出面
114 負極集電体露出面
115 正極外部集電体
116 負極外部集電体






 

 


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