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発明の名称 発光管の製造方法及び発光管
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−5036(P2007−5036A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−181156(P2005−181156)
出願日 平成17年6月21日(2005.6.21)
代理人 【識別番号】100090446
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 司朗
発明者 板谷 賢二 / 天野 豊一 / 富吉 泰成
要約 課題
旋回軸を中心に旋回した旋回部分を有する螺旋形状の発光管において、蛍光体膜をできるだけ損傷させることなく、上記旋回部分の横断面における膜厚を、上記旋回軸に近い内周側を外周側に比べて分厚くすることが可能な発光管の製造方法を提供する。

解決手段
旋回軸Aの回りに旋回した旋回部分18を有する螺旋形状のガラス管11の内面に、蛍光体を塗布する蛍光体塗布工程とを有する発光管の製造方法であって、前記蛍光体塗布工程に含まれる予備乾燥工程では、蛍光体膜用の懸濁液26が塗布されたガラス管11の旋回部分18の内側に冷却媒体28を嵌挿することで、旋回軸Aに近い側を低温にし、懸濁液の粘度をこの近い側に対向する遠い側に比べて高くした状態で乾燥する。
特許請求の範囲
【請求項1】
旋回軸を中心に旋回した旋回部分を有する螺旋形状のガラス管の内面に、蛍光体を塗布する蛍光体塗布工程を有する発光管の製造方法であって、
前記蛍光体塗布工程は、蛍光体膜用の懸濁液が塗布されたガラス管を、前記旋回部分の横断面であって、前記旋回軸に近い側とこれに対向する遠い側において、前記懸濁液の粘度を前記旋回軸に近い側に比べて遠い側を低くした状態で乾燥する予備乾燥工程を含むことを特徴とする発光管の製造方法。
【請求項2】
前記予備乾燥工程では、前記旋回軸に近い側を遠い側に比べて低温にすることによって、前記懸濁液の粘度を前記旋回軸に近い側に比べて遠い側を低くした状態にすることを特徴とする請求項1に記載の発光管の製造方法。
【請求項3】
前記予備乾燥工程では、前記旋回部分の内側に冷却媒体を嵌挿することによって、前記旋回軸に近い側を遠い側に比べて低温にすることを特徴とする請求項2に記載の発光管の製造方法。
【請求項4】
旋回軸を中心に旋回した旋回部分を有する螺旋形状のガラス管を有し、前記ガラス管の内面に蛍光体膜が形成されている発光管であって、
前記旋回部分のガラス管の横断面であって、前記旋回軸に近い側とこれに対向する遠い側において、前記蛍光体膜の膜厚は前記旋回軸に近い側が遠い側に比べて厚く、前記蛍光体膜は、水溶性増粘剤を用いた蛍光体懸濁液を塗布することにより形成されたものであることを特徴とする発光管。
【請求項5】
前記ガラス管は、管長手方向における略中央に折り返し部を有し、前記旋回部分は、前記折り返し部から一方の端部方向に旋回した第1旋回部分と、前記折り返し部から他方の端部方向に旋回した第2旋回部分とを有する二重螺旋形状であり、前記第1旋回部分における所定部位と、前記第2旋回部分における前記所定部位に対応する部位とにおけるガラス管の横断面の蛍光体膜の厚みの分布が略等しいことを特徴とする請求項4に記載の発光管。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光管の製造方法及び発光管に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー時代を迎えて、省エネ光源として一般電球を代替する種々の電球形蛍光ランプの開発が進められている。
このような電球形蛍光ランプにおいては、一般白熱電球と同程度の大きさ外形を実現するべく、発光管の小型化が図られてきている。最近では特に、小型化に有利である二重螺旋状発光管の採用が検討されている。
【0003】
係る二重螺旋状発光管は、その両端間の略中央に折り返し部を有し、この折り返し部から両端部に亘る部分(旋回部分)が旋回軸周りに二重に旋回する形状をしている。そして、この旋回部分は旋回軸から一定距離離間しながら旋回しており、旋回部分の内側に、いわば発光管に囲まれた中空領域が形成される。
このような発光管を備えたランプは、その点灯時において、上記旋回部分から中空領域へと発光する光の一部分は、中空領域を挟んで対向する他の旋回部分等に衝突し吸収されることで、旋回部分の外側に放射されない(発光が旋回部分内側に閉じ込められてしまう)という問題がある。
【0004】
これに関して、特許文献1では、旋回軸を中心としてコイル状に巻かれた発光管の、横断面における蛍光体膜厚を、内側(旋回軸側)を外側と比べて厚くすることで、内側の中空領域へと抜ける光を低減して発光効率を向上させられるとしている。
上記構成を実現するため、この特許文献1では、直管状をしたガラス管に蛍光体被膜を形成した後に、ガラス管を屈曲させることで、外側の蛍光体被膜を引き伸ばし、膜厚を内側より薄くするとしている。
【0005】
また、二重螺旋状発光管の蛍光体塗布に関する技術として、特許文献2では、二重螺旋状ガラス管に、蛍光体懸濁液を注入し、折り返し部が上になるように立設した状態で注入した懸濁液を流出させ、続いてその立設状態を維持したままで乾燥させることで、旋回部分における蛍光体膜厚を、折り返し部側を他方側より薄く調整できるとしている。
【特許文献1】特開平8−339781号公報
【特許文献2】特開2004−186147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本願発明者らの検討によると、従来の製造方法では、直管状ガラス管に蛍光体膜を形成した後に、ガラス管を屈曲するため、屈曲の過程で加わる熱により蛍光体膜にひびが入ったり、剥がれたりすることがわかった。
このように蛍光体膜が損傷すると、発光管の美観を損なう上、発光効率が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであって、旋回軸を中心に旋回した旋回部分を有する螺旋形状の発光管において、蛍光体膜をできるだけ損傷させることなく、上記旋回部分の横断面における膜厚を、上記旋回軸に近い内側を外側に比べて分厚くすることが可能な発光管の製造方法及び当該製造方法により得られた発光管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る請求項1に記載の発光管の製造方法は、旋回軸を中心に旋回した旋回部分を有する螺旋形状のガラス管の内面に、蛍光体を塗布する蛍光体塗布工程を有する発光管の製造方法であって、前記蛍光体塗布工程は、蛍光体膜用の懸濁液が塗布されたガラス管を、前記旋回部分の横断面であって、前記旋回軸に近い側とこれに対向する遠い側において、前記懸濁液の粘度を前記旋回軸に近い側に比べて遠い側を低くした状態で乾燥する予備乾燥工程を含むことを特徴としている。
【0009】
また、本発明に係る請求項2に記載の発光管の製造方法は、請求項1に記載の発光管の製造方法であって、前記予備乾燥工程では、前記旋回軸に近い側を遠い側に比べて低温にすることによって、前記懸濁液の粘度を前記旋回軸に近い側に比べて遠い側を低くした状態にすることを特徴としている。
また、本発明に係る請求項3に記載の発光管の製造方法は、請求項2に記載の発光管の製造方法であって、前記予備乾燥工程では、前記旋回部分の内側に冷却媒体を嵌挿することによって、前記旋回軸に近い側を遠い側に比べて低温にすることを特徴としている。
【0010】
また、本発明に係る請求項4に記載の発光管は、旋回軸を中心に旋回した旋回部分を有する螺旋形状のガラス管を有し、前記ガラス管の内面に蛍光体膜が形成されている発光管であって、前記旋回部分のガラス管の横断面であって、前記旋回軸に近い側とこれに対向する遠い側において、前記蛍光体膜の膜厚は前記旋回軸に近い側が遠い側に比べて厚く、前記蛍光体膜は、水溶性増粘剤を用いた蛍光体懸濁液を塗布することにより形成されたものであることを特徴としている。
【0011】
また、本発明に係る請求項5に記載の発光管は、請求項4に記載の発光管であって、前記ガラス管は、管長手方向における略中央に折り返し部を有し、前記旋回部分は、前記折り返し部から一方の端部方向に旋回した第1旋回部分と、前記折り返し部から他方の端部方向に旋回した第2旋回部分とを有する二重螺旋形状であり、前記第1旋回部分における所定部位と、前記第2旋回部分における前記所定部位に対応する部位とにおけるガラス管の横断面の蛍光体膜の厚みの分布が略等しいことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る発光管の製造方法によれば、旋回部分の横断面において、旋回軸に近い側と遠い側とで懸濁液の粘度に差異を設けた状態で乾燥するので、従来のように蛍光体膜を損傷させることなく、蛍光体の膜厚を調整することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を二重螺旋状蛍光ランプに適用した実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
1.二重螺旋状蛍光ランプ及び発光管の構成
図1は、二重螺旋状蛍光ランプ1を示す正面図である。
図1に示すように、二重螺旋状蛍光ランプ1は、二重螺旋状をした発光管2と、この発光管2を覆う外管バルブ3と、電子安定器4と、電子安定器4を収納するケース5と、E形の口金6とを備えている。二重螺旋状蛍光ランプ1(以下、単に「ランプ1」という。)は、一般電球100Wの代替となる電球形蛍光ランプ22W品種である。
【0014】
発光管2は二重螺旋状に旋回する部分を有しており、先端の頂部7には凸部7aが形成され、一対の電極12,13(図2参照)が封着された両端部14,16は樹脂製の保持基板10に保持・装着されている。
この凸部7aは、透明性のシリコーン樹脂からなる熱伝導性媒体8を介して外管バルブ3の頂部9と結合されている。このため、発光管2の発光時には、放熱性の良い凸部7aが最冷点箇所となる。上記最冷点箇所の温度は高ランプ効率が得られる55℃〜65℃の範囲に設定されている。
【0015】
外管バルブ3の内表面には、主成分が炭酸カルシウムの粉体からなる拡散膜が塗布されている。
電子安定器4は、シリーズインバータ方式であり、その回路効率は91%である。
図2は、本実施の形態に係る二重螺旋状蛍光ランプ1の発光管2を示す正面図であり、その横断面の形状がわかるようにガラス管11の一部を切り欠いた状態で示している。
【0016】
発光管2は、容囲器となるガラス管11と、このガラス管11の両端部に配設された一対の電極12,13とを備えている。
ガラス管11は旋回部分18を備えており、この旋回部分18は管長手方向における略中央の頂部(折り返し部)7を起点として、旋回軸Aの周りに電極12側の端部14まで旋回する第1旋回部分15と、旋回軸Aの周りに他方の電極13側の端部16まで旋回する第2旋回部分17とから構成される。
【0017】
両旋回部分15,17は約6.7回旋回しており、旋回軸Aに平行な方向における第1旋回部分15と第2旋回部分17との隙間(旋回部分18におけるガラス管11どうしの隙間)は、小型化のために、約1mm程度と比較的狭く設定されている。
このように、旋回部分18におけるガラス管11どうしの隙間が狭いことに加えて、旋回回数が多いと、旋回部分18の内側へと放射される光は、他の旋回部分18の部位に衝突して旋回部分18の外側へと放出されない割合が著しく高くなる。
【0018】
ここで、図2に示すように、ガラス管11の旋回部分18の横断面部を頂部7側から順番に11a〜11fと符号を付する。
電極12,13は、それぞれ一対のリード線19a,19b,20a,20bにより支持されている。
リード線19a,19b,20a,20bはビーズガラスマウント方式によりガラス管の端部14,16において気密封止されている。また、ガラス管の一方の端部12には、排気管21(発光管排気後に先端部封止)が封着されている。
【0019】
ガラス管11は、バリウム・ストロンチウムシリケイトガラス(軟化点675℃)の軟質ガラスであり、ガラス管11内には、発光物質としての水銀が約5mgと、緩衝用希ガスとしてアルゴンが常温時の圧力で約400Pa封入されている。
ガラス管11内面には、紫外線を可視光へと変換する蛍光体を含む蛍光体膜22が形成されている。この蛍光体としては、赤(Y23:Eu3+)、緑(LaPO4:Ce3+,Tb3+)及び青(BaMg2Al1627:Eu2+)の各色を発光する蛍光体を混合した平均粒径約5μmのものを用いている。
【0020】
ここで、ガラス管11及びランプ1の各部の寸法は次の通りである。
ガラス管11の横断面部11a〜11fにおける外径は8.8mm、内径は7.4mm、電極12,13間距離は700mm、全長は88.0mmである。平面視したときの(旋回軸A側から見たときの)ガラス管11の環外径は41.5mm、環内径は23.9mmである。また、ランプ1の外管バルブ3の外形は60mm、ランプ全長は137mmである。
【0021】
図3は、図2におけるガラス管11の旋回部分18の横断面部11c,11d付近の拡大図である。
同図に示すように、本実施の形態に係るガラス管11の内面に形成された蛍光体膜22の膜厚は均一ではなく、旋回軸Aに近い側(旋回部分18の内側)が旋回軸Aに遠い側(旋回部分18の外側)に比べて膜厚が厚くなっている。
【0022】
このような膜厚の差異により、旋回部分18の内側に放射される光を低減して、発光効率を向上させることが可能である。
なお、蛍光体膜の膜厚を直接測定するのは困難であるため、蛍光体膜の膜密度を測定して膜厚の指標としている。
具体的な例を述べると、横断面部11dにおける蛍光体膜の単位面積あたりの質量(膜密度)を、底部側Wb=20.3mg/cm2、頂部側Wu=9.0mg/cm2、旋回軸に最も近い側Wi=9.8mg/cm2、旋回軸に最も遠い側Wo=5.9mg/cm2、と設定した発光管を有するランプにおいては、発光損失割合(発光管から発光される光のうち、発光管自体に吸収される光の割合)を従来のランプ(旋回軸に近い側の膜厚が遠い側に比べて薄いランプ、図5参照。)の約12%から約6%へと低減でき、管入力22Wにおいて初期光束1530(lm)でランプ効率69.6(lm/W)という優れた特性が得られた。
2.二重螺旋状発光管の製造方法
次に発光管2の製造方法について説明する。発光管2は、(A)直管状のガラス管を二重螺旋状に形成する工程、(B)ガラス管内面に蛍光体を塗布する工程、(C)電極の封着、希ガス、水銀等の封入等の工程、を経て製造される。
【0023】
以下では、(B)の二重螺旋状ガラス管内に蛍光体膜を形成する工程について詳しく説明し、上記(A)と(C)の工程については従来と同じ方法であるため説明を省略する。
(1)ガラス管内面に蛍光体を塗布する工程(蛍光体塗布工程)
図4は、蛍光体塗布工程の全体的な流れを説明する図である。蛍光体塗布工程は、(i)注入工程(ii)濡れ塗布工程(iii)滴下工程(iv)予備乾燥工程(v)本乾燥工程
を含んでいる。以下、(i)〜(v)の5つの工程について順を追って説明する。
【0024】
(i)注入工程
注入工程では、二重螺旋状に形成されたガラス管11を旋回軸Aが略垂直で、かつ頂部(先端部)7が略下方向になるように設置する。
そして、略上方向に位置したガラス管11の両端の開口部24,25の少なくとも一方から所定量の蛍光体懸濁液26を注入する[図4(a)]。
【0025】
この蛍光体懸濁液26は、水溶性増粘剤を用いた蛍光体懸濁液であり、増粘剤としてポリエチレンオキサイド(PEO)1〜3wt%の水溶液、結着剤として酸化ランタンを含むアルミナが2wt%が添加され、合わせて界面活性剤としてのノイゲンと、pH調整用としてのアンモニアが添加されている。
他に増粘剤としてはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の水溶液、結着剤としてアルミナ等を用いてもよい。
【0026】
なお、蛍光体懸濁液26の粘度は、好適な蛍光体塗布量を得るため、室温25℃で3×10-3〜5×10-3Pa・sの範囲になるように調整されている。
(ii)濡れ塗布工程
ガラス管11を軽く揺らすことにより蛍光体懸濁液26をガラス管11の内壁面全体に行き渡るように濡らせて、塗布する[図4(b)]。
【0027】
(iii)滴下工程
次いで頂部7が略上方向になるように屈曲ガラス管2を上下反転させて設置して、ガラス管11を約10回転/分の回転速度で旋回軸A廻りに回転させながら、余剰の蛍光体懸濁液26を開口部24,25から滴下させる[図4(c)]。
【0028】
(iv)予備乾燥工程
滴下工程に引き続いて、そのままガラス管11を回転させながら管内壁面に塗布された蛍光体懸濁液26を予備乾燥する[図4(d)]。
ここで、本実施の形態に係る予備乾燥工程の特徴をより明確にするために、従来の予備乾燥工程を説明した後で説明する。
【0029】
図5は従来技術に係る予備乾燥工程を説明するための図であり、図6は本実施の形態に係る予備乾燥工程を示す図である。なお、図5においては、本実施の形態に係る発光管2と同様の構成部材には同様の符号を付してその説明を省略する。
(従来技術に係る予備乾燥工程)
従来の予備乾燥工程では、図5に示すように、ガラス管11には約35℃の温風が外周から約6分間に亘って当てられ、併せて、開口部24,25のいずれか一方から約25℃の常温の乾燥空気が吹き込まれる。このときの横断面部11a〜11fにおける旋回軸Aに近い側と遠い側との管内壁温度は略同等である。従って、蛍光体懸濁液26の粘度も上記近い側と遠い側とで略同等となる。
【0030】
そして、ガラス管11の外周は、肉厚な内周より曲率半径が大きく[例えば、横断面の平均肉厚0.7mmの場合、内周側の肉厚ti=0.8mm、外周側の肉厚tO=0.6mmとなる(図3参照)]、より平坦に近いため蛍光体懸濁液26の流動性は大きくなる。
このため、内周側に蛍光体懸濁液が溜まって塗布量が多くなり、対する外周側(旋回軸Aに遠い側)では蛍光体懸濁液の塗布量は少なくなる。
【0031】
また、ガラス管11は、旋回軸Aが鉛直方向に一致し、開口部24,25が下側となる姿勢で乾燥されるので、蛍光体の膜厚は、頂部7側と比べて底部側(頂部7と反対側)の方が厚くなる。これにより、発光管2を頂部7側が下方となる姿勢で使用する場合に、下方の直下における照度を向上することが可能となる(詳細は、特開2004−186147号公報等参照。)。
【0032】
具体的に、粘度4.6×10−3Pa・sの蛍光体懸濁液26を用いて、この従来の手法により蛍光体を塗布したところ、製造された発光管における蛍光体膜の膜密度は、底部側Wb=22.6mg/cm2、頂部側Wu=10.8mg/cm2、旋回軸に最も近い側Wi=8.9mg/cm2、旋回軸に最も遠い側Wo=5.7mg/cm2、となった。この発光管を備えたランプは、管入力22Wにおいて初期光束1430(lm)でランプ効率65.0(lm/W)となり、目標とする特性が得られない結果となった。
【0033】
(本実施の形態に係る予備乾燥工程)
本実施の形態に係る予備乾燥工程では、図6に示すように、ガラス管11には約8分間に亘って、約45℃(従来の約35℃より高い)の温風が外周から当てられている。
また、開口部24,25のいずれか一方から約25℃の常温の乾燥空気が吹き込まれる。
【0034】
なお、ガラス管11は、その旋回軸Aを中心に回転(回転速度10回転/分)した状態で予備乾燥される。これは、未乾燥の流動性を有する蛍光体懸濁液26が底側(頂部7と反対側)に沈積することを防止するためである。
ガラス管11の旋回部分18の内側には冷却媒体28が嵌挿されている。
この冷却媒体28は、樹脂スポンジ部材からなり、屈曲ガラス管11の中空領域の形状に合わせた円柱形状をしている。その外形Sは28.0mmであり、屈曲ガラス管11の環内径23.9mmより大きい。
【0035】
従って、冷却媒体28は弾性変形された状態で、ガラス管11の中に嵌挿され、その復元力によりガラス管11の旋回部分18内側の管外壁に接触した状態となっている。
また冷却媒体28は、約20℃の水が含浸されている。これは、図外の霧吹きを用いて冷却媒体28に水を吹き付けることにより行ったものである。
冷却媒体28は、旋回部分18内側の管外壁に接触しているので、この接触部分からガラス管11の熱が放熱される。このため旋回部分18の内側の管内壁だけが冷却され、旋回部分18の外側の管内壁と比べて低温となる。
【0036】
具体的には、横断面部11a〜11fでの旋回軸Aに遠い側での管内壁温度は、40℃近傍の温度となり、旋回軸Aに近い側での管内壁温度はより低温の、30℃程度となる。
蛍光体懸濁液26の粘度は温度が低いほど大きくなるので、このような温度差を設定することにより、旋回軸Aに近い側での粘度を遠い側に比べて高くすることができる。
従って、従来の手法を用いた場合の旋回軸Aに近い側と遠い側での、曲率半径の影響による流動性の関係を逆転させて、旋回軸Aに近い側での流動性を遠い側に比べて小さくすることができる。
【0037】
ゆえに、旋回軸Aに近い側での蛍光体膜厚を遠い側と比べて厚くすることが可能となる。
(v)本乾燥工程
屈曲ガラス管11を雰囲気温度60℃の乾燥炉内に移設し、一方の管端開口部24から約60℃の温風を吹き込みながら約10分間置くことにより、ガラス管11の内面に塗布された蛍光体懸濁液26の本乾燥を行う[図4(e)]。
3.その他の事項
(1)本実施の形態では、二重螺旋形状のガラス管を有する発光管を例に挙げて説明したが、二重螺旋に限らず、所定の旋回軸を中心に一の方向に旋回した一重螺旋形状の発光管にも適用することができる。
【0038】
なお、螺旋形状に限らず、所定の中空領域の周囲を囲む形状の発光管であれば、前述の発光損失が発生し得るので適用可能である。
(2)本実施の形態では、水溶性増粘剤を用いた蛍光体懸濁液を用いている。この水溶性増粘剤を用いた蛍光体懸濁液は、有機溶媒の増粘剤を用いた蛍光体懸濁液と比べると、蛍光体膜のひび入りや膜剥がれが生じやすいため、従来技術に係る製造方法では所望の膜厚に調整することは殆ど不可能であった。
【0039】
本実施の形態では、従来と異なり、ガラス管を二重螺旋状に形成した後で、蛍光体を塗布する構成である(後塗り方式である。)。このため、水溶性増粘剤を用いた蛍光体懸濁液を用いても所望の膜厚に調整することが可能となる。
(3)実施の形態においては特に詳しく説明しなかったが、本実施の形態に係る発光管の製造方法により製造された発光管は、第1旋回部分15の所定部位と、第2旋回部分17の上記所定部位に対応する部位における横断面の蛍光体膜の厚みの分布は略等しい。例えば、第1旋回部分15の横断面部11bにおける蛍光体膜の厚みの分布は、対応する第2旋回部分17の横断面部11bにおける蛍光体膜の厚みの分布と略等しく、両者とも旋回軸Aに近い側が遠い側と比べて分厚い分布となっている。
【0040】
これを別の観点から言うと、ガラス管11の第1旋回部分15の横断面と、第2旋回部分17の横断面における蛍光体膜厚の分布は、旋回軸Aを中心に略対称であると言うことができる。これにより、ランプ1は良好な配光分布を得ることができる。
一般に、直管状のガラス管において、例えばダウンフラッシュ法により蛍光体を塗布した場合、ガラス管の上端、中央部、下端部の各部分間において蛍光体膜厚を均一にすることは事実上困難であり、下端が分厚くなるなど不均一となることが多い。それゆえ、従来の特許文献1の手法では、管端間で蛍光体膜厚が不均一なガラス管を屈曲させるので、屈曲されたガラス管の両端部における蛍光体膜厚は必然的に不均一となってしまう。本実施の形態に係る発光管の製造方法によれば、係る問題を解決できよう。
【0041】
(4)本実施の形態では、ガラス管11の旋回部分18の内側を冷却する例を説明したが、要は旋回部分18の内側を外側より低温にすればよく、例えば旋回部分18の外側だけを高温にする構成としても構わない。
例えば、予備乾燥工程(図6参照)において、円筒形をした高温の金属部材を、ガラス管11を覆うようにして旋回部分18の外側の管外壁に接触させることで、旋回部分18の外側だけの温度を高くするような構成としても構わない。
【0042】
(5)実施の形態においては特に詳しく説明しなかったが、図3に示すように、ガラス管11の横断面部11dにおける蛍光体膜厚は、旋回軸Aに遠い側が、他の部分、すなわち旋回軸Aに近い側、頂部7側及び底部側(頂部7と反対側)と比べて薄くなっている。
このため、ガラス管11の外側の、旋回軸Aに遠い側に発光の放出窓としての機能を持たせることができ(発光管2の旋回軸Aに直交する方向への照度を向上させることができ)、従来の発光の閉じ込めによる発光損失割合を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明に係る発光管の製造方法によれば、従来より蛍光体膜を損傷させることなく、膜厚を調整できるので有用である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】二重螺旋状蛍光ランプ1を示す正面図
【図2】二重螺旋状蛍光ランプ1の発光管2を示す正面図
【図3】図2におけるガラス管11の旋回部分18の横断面部11c,11d付近の拡大図
【図4】蛍光体塗布工程の全体的な流れを説明する図
【図5】従来技術に係る予備乾燥工程を説明するための図
【図6】本実施の形態に係る予備乾燥工程を示す図
【符号の説明】
【0045】
1 二重螺旋状蛍光ランプ
2 発光管
7 頂部(折り返し部)
11 ガラス管
11a〜11f ガラス管11の旋回部分18の横断面部
15 第1旋回部分
17 第2旋回部分
18 旋回部分
26 蛍光体懸濁液
28 冷却媒体
A 旋回軸




 

 


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