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発明の名称 燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置と検査方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−240357(P2007−240357A)
公開日 平成19年9月20日(2007.9.20)
出願番号 特願2006−63916(P2006−63916)
出願日 平成18年3月9日(2006.3.9)
代理人 【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
発明者 大橋 隆司 / 渡海 和俊
要約 課題
燃料棒を第1種管理区域から第2種管理区域に搬出する際に、人手がかからず、全数、全面の表面の汚染の有無を迅速に検査可能とし、ストックヤードも不必要とする。

解決手段
搬送装置と、複数のα線測定部と、汚染密度評価部とを有し、搬送装置は回転が制御されたローラ装置上に燃料棒を載せて燃料棒を長さ方向に搬送し、複数のα線測定部は燃料棒の表面から放出されるα線を測定するために搬送装置の複数箇所に配置され、かつ複数個のα線センサーがその検出端が内部の孔を燃料棒が通過することとなる円筒を形成するように配置され、燃料棒通過時及び非通過時に必要なαの測定を行い、汚染密度評価部は、複数のα線測定部の少なくとも1つからの燃料棒通過時及び非通過時の測定値を基に燃料棒表面の核分裂性物質による汚染の密度を所定の手順で評価する燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置。
特許請求の範囲
【請求項1】
搬送装置と、複数のα線測定部と、汚染密度評価部とを有している燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置であって、
前記搬送装置は、回転が制御されたローラ装置上に燃料棒を載せ、さらに燃料棒をその長さ方向に搬送するものであり、
前記複数のα線測定部は、燃料棒の表面から放出されるα線を測定するために前記搬送装置の搬送方向の複数箇所に配置され、かつ複数個のα線センサーがその検出端が内部の孔を燃料棒が通過することとなる円筒を形成するように配置されてなり、
前記汚染密度評価部は、前記複数のα線測定部の少なくとも1つにおける燃料棒が前記α線センサーの先端を通過していない時における測定値と、燃料棒が通過している時における測定値とを基に、燃料棒表面の核分裂性物質による汚染の密度を所定の手順で評価するものである、
ことを特徴とする燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置。
【請求項2】
前記複数のα線測定部は、検出端が円筒を形成する様に配置されている複数個のα線センサー相互の隣接箇所が、前記燃料棒に対して占める位相角が各α線測定部で相互に相違している様に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置。
【請求項3】
前記複数のα線測定部の各α線センサーの検出端は、前記搬送装置により搬送される燃料棒の表面からの距離が、0.2cm〜0.6cmであり、
前記搬送装置が燃料棒を搬送する速度は、1cm/s〜20cm/sであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置。
【請求項4】
前記α線測定部のα線センサーは、シンチレータであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置。
【請求項5】
ウラン燃料棒を第1種管理区域から第2種管理区域又は管理区域外に搬出する際に、搬出可能とされる表面の汚染密度の基準値を保持している搬出基準値保持部と、
前記汚染密度評価部の評価結果と前記搬出基準値保持部の保持する基準値を基に、ウラン燃料棒の第2種管理区域又は管理区域外への搬出の可否を判断する判断部と
を、有していることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置。
【請求項6】
第1種管理区域にあるウラン燃料棒に対して、表面の核分裂性物質による汚染が第2種管理区域又は管理区域外への搬出を許可されるために必要な基準値を充たしているか否かを直接法によるα線の測定で検査する搬出用検査ステップと、
第2種管理区域又は管理区域外へ搬出されたウラン燃料棒に対して、原子炉での使用条件を充たすため定められている表面の汚染密度の基準値を充たしているか否かをスミヤ法によるα線の測定で検査するスミヤ検査ステップと
を、有していることを特徴とする燃料棒の表面汚染密度の検査方法。
【請求項7】
前記直接法によるα線の測定が、請求項1ないし請求項6の何れかの装置を使用するものであることを特徴とする請求項6に記載の燃料棒の表面汚染密度の検査方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置と検査方法に関し、特に燃料棒の表面の核分裂性物質による汚染密度を、表面から放出されるα線を直接法により測定することにより自動的に検査する装置と、検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子炉用のウラン燃料をある特定の管理区域から別の種類の管理区域に搬出する際や、その他完成検査等においては、その表面の核分裂性物資による汚染密度が一定の基準値以下であることを検査することが義務付けられている。
以下、製造時を例に挙げて、このことを詳しく説明する。
【0003】
原子炉用のウラン燃料においては、第1種管理区域において被覆管内へのウランペレットを積み重ねた装填がなされ、その他ヘリウムの充填、スプリングの装着等がなされた後、被覆管の端栓の完全な密封溶接が行われる。端栓の完全な密封溶接がなされた後の被覆管、即ち燃料棒は、その表面が放射性物質、例えばウラン等の核分裂性物質、による汚染を極力防止するため、出来るだけ速やかに第2種管理区域に搬出される。
【0004】
ここに、第1種管理区域とは、密封されていないウランを取り扱う区域であり、このため物品の取り扱いを含め放射線環境の管理が要求される。第2種管理区域とは、密封されたウランを取り扱う区域であり、外部線量の管理だけが要求される。
また、第1種管理区域にあった物品を第2種管理区域へ搬出する際には、その表面の核分裂性物質による汚染密度が法に定める基準値以下、具体的には0.4Bq/cm(1Bqとは放射性壊変が1秒に1個)以下、であることを確認するため、表面から放出されるα線の検査がなされている。
【0005】
しかし、前記基準値はあくまでも物品を第2種管理区域へ搬出する際の可否を決める値として定めたものであり、第2種管理区域へ搬出された燃料棒を原子炉で使用するためには、前記の基準値とは別に定められたさらに厳しい基準値以下、具体的には0.004Bq/cm以下、であることとされている。
なお、参考までに記すならば、第1種管理区域と第2種管理区域とは、より一層の安全性の確保、管理の都合等の面から管理区域を加工事業者がさらに細かく分類した概念であり、密封された部品を取扱う区域を第2種管理区域とし、それ以外の管理区域を第1管理区域と定めているものである。このため、第1種管理区域から管理区域外へ搬出する場合も、表面汚染密度に限定すれば同じ基準値となる。
【0006】
ただし、測定そのものに必要な時間、バックグラウンドから生じる制約等のため、前記の用途等における実用上技術的に直接法で測定可能な表面汚染密度の基準値の下限は0.1Bq/cm台とされている。このため、現在は第1種管理区域にあった燃料棒を第2種管理区域へ搬出する際の検査は、燃料棒の表面の物質をスミヤ濾紙と言われる清浄な布や紙等で拭き取り、そのスミヤ濾紙から放出されるα線を固定式の低バックグラウンド放射能測定装置で測定して検査する間接的な方法(スミヤ法)が使用されている(非特許文献1)。
また、第2種管理区域に搬出された燃料棒は、さらに外観検査、燃料集合体への組込み、燃料集合体としての検査等がなされることとなる。
【特許文献1】WO 2004/059656 A1
【非特許文献1】JIS Z 4504
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、スミヤ法は、燃料棒表面を拭いたスミヤ濾紙を試料として別途設置された低バックグラウンド放射能測定装置で検査する方法であるため、手間と時間がかかるだけでなく、検査結果が出るまで検査対象の燃料棒を保管しておく必要がある。そのため、封詰溶接速度、スミヤ法での測定に要する時間等にもよるが、第1種管理区域内に数十本から数百本の燃料棒を保管しておく場所(ストックヤード)が必要である。
また、スミヤ法は本来的には抜き取り検査に近く、特に作業員による拭取りの習熟度の相違、個人差等を考慮した場合にはなおさらその傾向が強くなる。
また、検査の完全性という面からは、多数の燃料棒の全数かつ全面を検査することが望ましい。
【0008】
このため、燃料棒を第1種管理区域から第2種管理区域又は管理区域外に搬出する際に、人手がかからず、また速やかに表面汚染を検査することが可能であり、ひいては第1種管理区域内にストックヤードを設ける必要がなくなる技術の開発が望まれていた。
またこの際、多数の燃料棒の全数かつ全面を、容易かつ迅速に検査することが可能な技術の開発が望まれていた。
以上の他、どの様な目的であれ、原子炉用の多数のウラン燃料の表面の核分裂性物質による汚染密度が一定の基準値以下であることを検査する際に、全数かつ全面を、容易かつ迅速に検査することが可能な技術の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以上の課題を解決することを目的としてなされたものであり、燃料棒表面の核分裂性物質による汚染の密度を、燃料棒を搬送する装置にα線センサーの対(組)を複数設置し、燃料棒表面の汚染密度を測定していない時にはバックグラウンドのα線を測定することにより、直接法で多数の燃料棒の全数かつ全面を、容易かつ迅速に検査することを可能としたものである。
以下、各請求項の発明を説明する。
【0010】
請求項1に記載の発明は、
搬送装置と、複数のα線測定部と、汚染密度評価部とを有している燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置であって、
前記搬送装置は、回転が制御されたローラ装置上に燃料棒を載せ、さらに燃料棒をその長さ方向に搬送するものであり、
前記複数のα線測定部は、燃料棒の表面から放出されるα線を測定するために前記搬送装置の搬送方向の複数箇所に配置され、かつ複数個のα線センサーがその検出端が内部の孔を燃料棒が通過することとなる円筒を形成するように配置されてなり、
前記汚染密度評価部は、前記複数のα線測定部の少なくとも1つにおける燃料棒が前記α線センサーの先端を通過していない時における測定値と、燃料棒が通過している時における測定値とを基に、燃料棒表面の核分裂性物質による汚染の密度を所定の手順で評価するものである、
ことを特徴とする燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置である。
【0011】
本請求項の発明においては、燃料棒の表面の核分裂性物質による汚染密度の検査が、表面から放出されるα線とバックグラウンドのα線を、スミヤ法でなく直接法で測定する検査により行われる。
ここに、α線測定部は複数箇所に配置され、複数のセンサーが燃料棒の複数箇所からのα線を測定し、また燃料棒がセンサーの先端を通過していない時にはバックグラウンドのα線を測定し、後で具体的に説明する「所定の手順で評価する」ため、測定精度が向上する。即ち、バックグラウンドのα線があり、また燃料棒表面の単位面積から放出されるα線の個数が少なくても、燃料棒表面から放出されるα線の個数を正確に測定可能となる。
【0012】
その結果、検査の合否の基準値が低い値であっても、直接法を使用して燃料棒表面の核分裂性物質による汚染が基準値以下であるか否かの検査を容易に行うことが可能となる。
なお、バックグラウンドのα線の測定は、「少なくとも1つ」のα線測定部が測定するのではなく、目下燃料棒がα線センサーの先端を通過していないため燃料棒の表面汚染密度を測定していない状態のα線測定部「全て」がバックグラウンドのα線を測定している様になされていることが好ましい。
また、燃料棒は搬送装置で運ばれており、α線測定部は搬送装置の搬送方向に設置され、そのセンサーが形成する円筒の内部を通過するため、全数かつ全周の検査が可能であり、さらに順に搬送されて来る多数の燃料棒の全数を迅速かつ容易に測定可能となる。
【0013】
ここに、「所定の手順で評価する」とは、例えば以下の様な手順である。
α線測定部は、α線センサーの先端を燃料棒が通過しているか否かに無関係に、常時α線を測定している。このため、燃料棒がα線センサーの先端を通過していないときにはバックグラウンドのα線を測定し、通過している時には燃料棒の表面から放出されるα線をも併せて測定している。α線の全計数量をA個とし、前者の計数量をB個とし、さらに燃料棒が通過する時間(t)の全測定時間に対する比率をrとすれば、全測定時間中におけるバックグラウンドのα線の計数量はB/(1−r)個となる。このため、燃料棒表面から放出されるα線は、t時間当たり{A−B/(1−r)}個となる。
【0014】
以上の他、後で説明するセンサーの不感帯の存在があるため、必要な修正を行なって、燃料棒表面からの単位面積当たりのα線の放出量が求められることとなる。さらに、求められた放出量が予め定められている許容量以内であるか等の判断もなされたりすることとなる。
実際には、複数台、例えば4台のα線測定部を使用するため、計数量は4倍となり、測定限界は大きく向上することとなる。
この様に、バックグラウンドの測定は、燃料棒表面から放出されるα線測定部を使用して行うため、燃料棒と同じ場所、同じ時間で測定することとなり、精度が高くなる。
【0015】
以上の構成により、専用のバックグラウンドα線測定部を装備しなくてすみ、設備費を低減することが可能となる。
ただし、専用のバックグラウンドα線測定部をも装備していてもよいのはもちろんである。
なお、「ローラ装置」とは、ローラを使用して燃料棒を長さ方向に搬送し、円筒形のα線測定部を通過させる装置を指す。
【0016】
請求項2に記載の発明は、前記の発明において、
前記複数のα線測定部は、検出端が円筒を形成する様に配置されている複数個のα線センサー相互の隣接箇所が、前記燃料棒に対して占める位相角が各α線測定部で相互に相違している様に配置されていることを特徴とする燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置である。
【0017】
各α線測定部においては、各α線センサーの検出端が全体で円筒を形成する様に配置されているが、複数個のα線センサー相互の隣接箇所はα線センサーの取付け条件の都合で不感帯となる。このため、本請求項の発明においては、各α線測定部の不感帯が相互に補完し合う様に、あるいは燃料棒の周囲の測定箇所に死角が発生しない様に、各α線測定部における各α線センサーの隣接箇所が、α線センサーの検出端が形成する円筒の中心に位置する、そして長さ方向に搬送されてくる燃料棒に対して占める位相角が相互に相違する様に、具体的には例えば相互に直交する様にしている。その結果、全周の検査の信頼性も向上する。
【0018】
請求項3に記載の発明は、前記の発明において、
前記複数のα線測定部の各α線センサーの検出端は、前記搬送装置により搬送される燃料棒の表面からの距離が、0.2cm〜0.6cmであり、
前記搬送装置が燃料棒を搬送する速度は、1cm/s〜20cm/sであることを特徴とする燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置である。
【0019】
本請求項の発明においては、一般的な送りローラの精度、燃料棒の曲がりや設置の精度、α線の極めて短い飛程を考慮の上、薄く損傷し易いα線測定部の検出端は、燃料棒の表面との距離が0.2cm〜0.6cmとなるようにしている。なお、第1種管理区域から第2種管理区域への搬出の可否の検査であるならば、下限は0.4cmとすることが、送りローラの精度、燃料棒の曲がりや設置の精度の面から好ましい。
また、搬送装置が燃料棒を搬送する速度は、他の工程、検査の目的、燃料棒表面の汚染密度の基準値、バックグラウンドのα線の程度等にもよるが、1cm/s(秒)〜20cm/s、好ましくは5cm/s〜20cm/sとしている。
【0020】
請求項4に記載の発明は、前記の発明において、
前記α線測定部のα線センサーは、シンチレータであることを特徴とする燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置である。
【0021】
シンチレータであるため、検出器の寸法が小さいにも関わらず、計数率が高く、効率が高く、容易にほぼ全周の検査が可能であり、条件によっては放射性粒子のエネルギー分布等も測定可能である。
シンチレータの種類としては、ZnS(Ag)を挙げられる。
【0022】
請求項5に記載の発明は、前記の発明において、
ウラン燃料棒を第1種管理区域から第2種管理区域又は管理区域外に搬出する際に、搬出可能とされる表面の汚染密度の基準値を保持している搬出基準値保持部と、
前記汚染密度評価部の評価結果と前記搬出基準値保持部の保持する基準値を基に、ウラン燃料棒の第2種管理区域又は管理区域外への搬出の可否を判断する判断部と
を、有していることを特徴とする燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置である。
【0023】
本請求項の発明においては、燃料棒を第1種管理区域から第2種管理区域又は管理区域外に搬出する際の表面の汚染密度の検査は基準値が高くなることに着目して、基準値が低い炉心へ装荷するための検査とは別に行う様にしている。このため、直接法を使用して全数かつ全面を、容易かつ迅速に検査することが可能となるため、第1種管理区域内へ燃料棒のストックヤードを設けたり、多数の作業員を配置したりする必要がなくなる。
なお、ウラン燃料棒を第1種管理区域から第2種管理区域に搬出する際の表面の汚染密度の検査における基準値は0.4Bq/cmである。
【0024】
ローラの送り速度は、前の燃料棒溶接工程における燃料棒1本当りの処理速度によって決定されるが、5cm/s〜20cm/s程度とするのが好ましい。
測定装置の台数であるが、送り中における燃料棒の真直性維持の面からローラの設定ピッチは30〜50cmであり、ローラの大きさを考慮するとローラピッチ間に設置可能な装置の大きさは15〜30cmとなり、有効測定長は10〜25cmとなり、この値と、燃料棒の送り速度、必要と判断される測定下限から必要な測定装置の台数が決まる。例えば、必要な測定下限を0.1Bq/cmとすれば、4台設置することとなる。
【0025】
請求項6に記載の発明は、
第1種管理区域にあるウラン燃料棒に対して、表面の核分裂性物質による汚染が第2種管理区域又は管理区域外への搬出を許可されるために必要な基準値を充たしているか否かを直接法によるα線の測定で検査する搬出用検査ステップと、
第2種管理区域又は管理区域外へ搬出されたウラン燃料棒に対して、原子炉での使用条件を充たすため定められている表面の汚染密度の基準値を充たしているか否かをスミヤ法によるα線の測定で検査するスミヤ検査ステップと
を、有していることを特徴とする燃料棒の表面汚染密度の検査方法である。
【0026】
本請求項の発明は、従来はウラン燃料棒の製造工程において、端栓の完全な密封溶接が終了したウラン燃料棒を第1種管理区域から第2種管理区域又は管理区域外に搬出する際に、その表面の核分裂性物質による汚染密度が搬出を許可されるために必要な基準値を充たしていることを確認するための検査を、燃料棒が炉心へ装荷するための基準値を充たしていることを確認する検査と併せて行っていたのを、別に行う様にしたものである。このため、合格の基準値が低い前者の検査を直接法で迅速に行うことが可能となる。なお、基準値が高い後者の検査は、第2種管理区域内で完成検査時等にスミヤ法で行われることとなる。
【0027】
請求項7に記載の発明は、前記の燃料棒の表面汚染密度の検査方法であって、
前記直接法によるα線の測定が、請求項1ないし請求項6の何れかの装置を使用するものであることを特徴とする燃料棒の表面汚染密度の検査方法である。
【0028】
本請求項の発明は、請求項6の発明における直接法の測定は、請求項1ないし請求項5の何れかの発明に関わる燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置を使用している。このため、多数の燃料棒であっても、全数かつ全面の検査が容易かつ迅速に行えることとなる。
【発明の効果】
【0029】
本発明においては、燃料棒表面の核分裂性物質による汚染の密度を、燃料棒を搬送する装置に時間当たりの測定下限が低下する様に複数のα線センサーを有するα線測定部を複数箇所設置し、同時にバックグラウンドのα線をも測定して評価に使用(利用)するため、多数の燃料棒であっても、全数かつ全面(全周)を、容易かつ迅速に検査することが可能となる。
【0030】
さらに各α線測定部のα線センサーが燃料棒に対して占める位相角を相互に相違させて燃料棒の全周を確実に測定可能とし、併せて燃料棒を計測していない状態のα線測定部が測定したα線をバックグラウンドのα線の測定に使用するため、測定位置が共通するためバックグラウンドα線の測定も正確となる。これらのため、評価の基準値が低い汚染密度であっても、直接法で迅速に測定し、評価を下すことが容易となる。
【0031】
また、センサーの検出端が搬送装置により搬送される燃料棒の表面から適切な距離となる様に設置され、さらに搬送装置が燃料棒を搬送する速度も適切であるため、直接法による測定の精度が向上し、検査の迅速性も担保される。
また、α線センサーにシンチレータを使用するため、全周の測定が容易となり、測定の精度が向上する。
【0032】
特に、従来は燃料棒表面の核分裂性物質による汚染密度が原子炉用の燃料棒に要求される極めて低い基準値以下であることの確認の検査を兼ねて燃料棒を第1種管理区域から第2種管理区域に搬出する際の燃料棒表面の核分裂性物質による汚染密度の検査をスミヤ法で行っていたが、後者の搬出の可否の検査は基準値が高いことに着目して別に直接法で行う様にしたため、第1種管理区域内に燃料棒のストックヤードを設ける必要がなくなり、また第1種管理区域に配置する作業員の数も減らせる。
なお、前者の燃料棒表面の核分裂性物質による汚染密度が原子炉用の燃料棒に要求される極めて低い基準値以下であることの確認の検査は、別途燃料棒の外観検査時やその前後にスミヤ法で行う様にすることとなる。
【0033】
また、搬送速度、燃料棒表面とα線センサー間の距離、α線測定部の個数等に工夫を凝らすことにより、燃料棒表面の核分裂性物質による汚染密度が原子炉用の燃料棒に要求される極めて低い基準値以下であることの確認の検査も、直接法で連続的かつ容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0035】
図1に、本実施の形態の燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置の全体構成を概念的に示す。図1において、10は、燃料棒である。20は燃料棒の搬送装置であり、矢印は燃料棒10の搬送方向である。21はそのローラであり、22はローラの回転制御系であり、23は制御信号線である。30は、α線測定部であり、31はそれらの出力信号線である。40は、燃料棒の検出センサーであり、41はその出力信号線である。50は、汚染密度評価部であり、51は警報出力信号線である。なお、図が煩雑となるので、同じ機器等が複数ある場合には原則としてその内の一個にのみ符号を付してある。そしてこのことは、他の図でも同様である。
【0036】
燃料棒10は、直径1.0cm程度、肉厚0.05cm程度、全長約4mのジルカロイ製被覆管内にウランペレットを積重ねて装填し、さらにヘリウムを充たす等の処理をした後、被覆管の端栓を完全に密封溶接したものである。
内部のウラン燃料から放出されるα線は被覆管壁により完全に遮断されるため、その表面に付着した核分裂性物質の汚染密度の検査は、表面から放出されるα線を測定することによりなされる。
【0037】
燃料棒の搬送装置20には、水平かつ等間隔で一直線上に多数のローラ21が配置され、これらローラ21がローラの回転制御系22の制御の下で一定の角速度で回転し、その上に置かれた燃料棒10がその長さ方向に一定速度で搬送されていく。なお、燃料棒は5〜10g/cmと重く、前記のごとく直径は小さく、肉厚は薄いため、曲がり易い。このため、ローラ21の間隔は、30cm〜50cmとしている。
また、搬送途中の複数箇所には、ローラ21で搬送される燃料棒10の位置に合せて、α線測定部30と燃料棒の検出センサー40が設置されている。
【0038】
α線測定部30は、2個1組のα線センサーからなり、全体の外形はほぼ直方体であり、中心に貫通孔が形成されている。そして、この貫通孔内を前記搬送装置20により搬送される燃料棒10が通過するように設置されている。
α線測定部30の構造を図2に、外形を図3に概念的に示す。図2と図3において、32はZnS(Ag)製のシンチレータであり、33は遮光板(アルミ蒸着マイラー膜)であり、34は反射板であり、35はライトガイドであり、36は光電子倍増管であり、37はケースであり、38はフランジ部である。
【0039】
また、図2の中心部の点線で示す円は、燃料棒が通過していくスペースである。その外側0.5cm離れた位置に、半円筒状の2個の遮光板33が相対向して内径が2cmの円筒状となる様に配置され、さらにそれらの外周にほぼ半円筒状のシンチレータ32が配置されている。ここに、遮光板と燃料棒間のスペースを0.5cmとしているのは、両方の接触の防止と、飛程が短いα線の減衰防止との折衷を図ったことによる。
シンチレータ32は、有効長さが12cmである。
また、半円筒状の2個の遮光板33を相対向して円筒状となる様に配置したのは、燃料棒の全周を検査可能とすることと、α線測定部の万が一のトラブル時に燃料棒を移動させることなく対処可能なことによる。
【0040】
遮光板33は、燃料棒の長さ方向から入ってくる光が光電子倍増管36に入射するのを防止するため設置されており、半円筒状の端面部がフランジ部38の内側への凸出部に固定支持されている。このため、フランジ部38の内側(燃料棒方向)への凸出部にはシンチレータが無く、測定の死角(不感部分)となっている。この範囲を、円弧状の両矢印39で示す。
なお、α線用のシンチレータそのものは周知技術であるため、前記各部の詳細な説明は省略する。
【0041】
図2の点線で示す位置を燃料棒が通過する際、汚染によりその表面に付着している核分裂性物質が崩壊すれば、発生したα線がシンチレータ32に飛び込んで発光させ、さらに光電子倍増管36が増光してα崩壊が検出されることとなる。この際、左右2個のシンチレータ32は、フランジ部38により生じた不感部分を除き、燃料棒10が通過するスペースの周囲全体を覆う様に配置されているため、燃料棒が1箇所のα線測定部30を通過するだけで、燃料棒のほぼ全周を検査することが可能である。
【0042】
複数個設置されたα線測定部30は、各α線測定部30の前記フランジ部38が燃料棒10に対して占める位相角が、相互に相違する様に設置されている。図4に、この様子を示す。図4において、左側のα線測定部30はそのフランジ部38が上下の2箇所に位置し、右側のα線測定部30はそのフランジ部38が垂直方向に位置しており、この結果これら2箇所のα線測定部30の不感部分は相互に重ならず、相互に補完されることとなる。このため、燃料棒10は、これら2箇所のα線測定部30を通過することにより、全周の検査がなされることとなる。
【0043】
また、図1と図4では煩雑となるため2個しか示していないが、実際には多数のα線測定部30を緻密に設置している。このため、1本の燃料棒の各部を多数のα線測定部30が分担して検査していることとなる。その結果、単位時間に燃料棒表面から放出されるα線の個数が少なくてもその発生頻度を短い検査時間で精度よく求めることが可能であり、ひいては燃料棒表面の汚染密度の基準値が低くても、充分に検査可能となる。
【0044】
燃料棒の検出センサー40は、光源から投射された細い光線束が燃料棒10に遮られるか否かによりL/E変換機がオン、オフすることを利用するものである。
燃料棒の検出センサー40は、図1に示す様に、2個のα線測定部30の前後に2個1組で配置されている。これにより、あるα線測定部30の前後に配置された2個1組の燃料棒の検出センサー40の何れもが燃料棒を検出していないときには、それらの間にある各α線測定部30は円筒状の遮光板33にある作業環境雰囲気中の、即ちバックグラウンドのα線を測定していることとなる。
【0045】
また、いずれの燃料棒の検出センサー40も燃料棒を検出しているときには、図5に示す様に、円筒状の遮光板33にある燃料棒10表面の汚染物質からのα線と燃料棒10と遮光板33の間にあるスペース19中の作業環境雰囲気中のα線を測定していることとなる。なお図5は、円筒状の遮光板33内を燃料棒10が通過している時に、燃料棒の長さ方向に直交する方向から見たそれらの位置関係を概念的に示す図である。
【0046】
汚染密度評価部50には、各α線測定部30およびそれらの前後にある燃料棒の検出センサー40から、各々α線の測定値と燃料棒の検出の有無が入力されている。汚染密度評価部50は、内部に燃料棒が無い時のα線測定部30の測定値と、ある時のα線測定部30の測定値とから、バックグラウンドのα線密度と燃料棒表面の汚染密度を求めることとなる。なお、いずれか一方の燃料棒の検出センサー40のみが燃料棒を検出しているときのα線測定部30の測定値は、予めインプットされてある燃料棒の搬送速度と長さ及びその様になった時刻からの経過時間を基に、必要な修正がなされる。
【0047】
燃料棒表面の汚染密度は、基本的には(燃料棒が通過中のα線測定部30の測定値)−(燃料棒が無い状態のα線測定部30の測定値)から求められる。
ただし、前記のごとく燃料棒が通過中のα線測定部30は、燃料棒と遮光板間にある作業雰囲気中のα線も測定しているため、燃料棒が無い状態のα線測定部30の測定値、各部の形状や寸法、汚染対象の核分裂性物質(ウラン等)から定まるα線の空気中及び遮光板中の飛程等を基に必要な修正を行う。
また、前記のごとくα線測定部30には不感部分が存在するため、その修正も行う。
また、燃料棒表面は、測定される回数が同じとは限らないため、その修正も行われる。
【0048】
また、以上の各種修正等を行うため、汚染密度評価部50には、タイマー、メモリ、各種のプログラムを内蔵したCPU等が組込まれている。
ただし、これら各部の技術的構成や作用、計算や前記修正の手順、方法等のプログラムの論理構成等も容易であるため、それらの説明は省略する。
さらに、汚染密度評価部50は、燃料棒表面の汚染密度が予め定められた値以上であったり、局部的といえども異常な値を検出したりすれば、ローラの回転制御系22に停止指令を発し、また必要な警報を発することとなる。
【0049】
最後に、周知技術ではあるが、本発明の趣旨に直接の関係があるため、本実施の形態のα線測定装置の検出下限界について説明する。
検出下限界(Bq/cm)は、以下の式により求められる。
(3/2)×[(3/Ts)+{(3/Ts)+4×Nb×(1/Ts+1/Tb)}1/2]/(S×ε/100)
ここに、Tsは実計測時間(s、秒)であり、Tbはバックグラウンド測定時間(s)であり、
Nbはバックグラウンド計数率(s−1)であり、εは計数効率(%)であり、
Sは検出部内の燃料棒の表面積(cm)である。
ただし、前記式は日本原子力研究所の研究成果のレポート(JAERI―memo2703)に記載されている式であるため、その導出は省略する。
【0050】
本実施の形態では、各α線測定部は燃料棒の表面からのα線を測定している時には同時にバックグラウンドのα線をも測定する様にしており、燃料棒の表面から放出されるα線を測定していない時にはバックグラウンドのα線を測定する様にしている。
また多数のα線測定部が測定を行う様にしている。
また、計数効率は、主に計測箇所の幾何学的形状により定まるが、α線は飛程が短いため、前記のごとく各α線測定部の2個のシンチレータを円筒形とすると共に、燃料棒の外径と曲がり及びローラの送り精度等を考慮の上、シンチレータと燃料棒表面との距離を可能な限り小さくしている。
これらの結果、前記式におけるTs、Tb、S及びεとも充分に大きい値となり、必要な検出下限界を達成している。また、Nbは、現実の問題として、本来的に小さい値である。
【0051】
このため、単に第1種管理区域から第2種管理区域へ搬出する際のウラン燃料棒の表面の核分裂性物質による汚染密度の検査のみならず、原子炉での使用条件を充たしているか否かを検査する場合、即ち検査対象の燃料棒の汚染密度の基準値が非常に少ない場合であっても、充分に適用することが可能となる。
なお、単に第1種管理区域から第2種管理区域へ搬出する際のウラン燃料棒の表面の核分裂性物質による汚染密度の検査の場合には、α線測定部は多数でなく、4個と少なく設置していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施の形態の燃料棒の表面汚染密度の自動検査装置の全体構成の概念図である。
【図2】α線測定部の構造を概念的に示す図である。
【図3】α線測定部の外形を概念的に示す図である。
【図4】複数個のα線測定部の燃料棒に対する位相角が相違している様子を概念的に示す図である。
【図5】円筒状の遮光板内を燃料棒が通過している時に、燃料棒の長さ方向に直交する方向から見たそれらの位置関係を概念的に示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10 燃料棒
20 燃料棒の搬送装置
21 ローラ
22 ローラの回転制御系
23 制御信号線
30 α線測定部
31 出力信号線
32 シンチレータ
33 遮光板
34 反射板
35 ライトガイド
36 光電子倍増管
37 ケース
38 フランジ部
39 不感部分
40 燃料棒の検出センサー
41 出力信号線
50 汚染密度評価部
51 警報出力信号線




 

 


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